『米中対立、経済をめぐる冷戦を熱戦にしない法』(5/23日経ビジネスオンライン FT)、『海底が握る大国の命運 米日欧の通信独占に迫る中国 本社コメンテーター 秋田浩之』(5/23日経)について

5/23希望の声<“六四”镇压30年来首次 蔡英文在总统府做了马英九陈水扁不敢做的事=30年で初めて“6月4日”鎮圧事件 蔡英文は総統府で馬英九や陳水扁があえてしなかったことをした>中共が鎮圧した1989年6月4日事件は、今年で30年目にあたり、近く「6月4日」に関する大規模な国際シンポが台湾で開催される。蔡英文中華民国総統は、今までの慣例を破り、総統府で初めて「6月4日の虐殺」の目撃者と会談した。 代表団のメンバーは、滕彪、王丹、王軍涛、方政、周鋒鎖、呉仁華、洪哲勝、李暁明等8人。 蔡英文は、「 “6月4日記念パーティー”などの一連の活動が台湾で開催され、台湾人に歴史の中で起こったことを思い出させ、中華民国に「民主主義の価値」を思い出させる」と語った。

蔡氏のこのところの動きは活発になり、同性婚の法制化やリベラル色を打ち出してきています。2020年総統選を意識してのものなのか、総統選撤退の為の実績作りなのかは分かりません。ただ言えることは、世論調査の数字を見る限り、蔡氏では民進党は勝てないという事です。米中貿易戦で中共が滅ぶ始まりが起きているので、台湾国民のことを考えて進退を決断してほしい。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/05/23/n2905114.html

5/24阿波羅新聞網<王沪宁煽情贸易战 CCTV6被封六公主 中共有个大金池不竭来源?=王滬寧は貿易戦争を煽る CCTV6チャンネルは第6プリンセスの名を受ける 中共には打ち出の小槌があるのか?>米中貿易戦争は程度を上げる中、王滬寧が率いる中共宣伝部は米国に対して巨大な宣伝戦を始めた。 その中でも「第6プリンセス」としてネチズンに称されているCCTV-6は、反米感情を煽るため、8日間の内7部の「抗米援朝」の旧作を放送した。目下大陸では貿易戦の為、失業問題が深刻化している。 中共は香港で空売りの機会を利用している。古参の銀行家は人民元切り下げの影響で、中共が香港からの融資を受けて、人民元を米ドルに換える可能性があることを懸念している。

中共は朝鮮戦争を国民に想起させて、愛国心に訴え、失業問題等から目を逸らせようとしています。その内、二進も三進も行かなくなれば、戦争を起こすかもしれません。警戒しておかねば。

https://www.aboluowang.com/2019/0524/1293426.html

5/24阿波羅新聞網<业内曝华为无法想象内幕 军事行动失败中共秘而不宣 川普:美中贸易战很快结束=業界は華為の想像できないような内幕を晒す 軍事行動は失敗 中共は秘匿 トランプ:米中貿易戦争はすぐに終わるだろう>米中科学技術戦争は本格化している。 フランスのメディアによると、「英国のチップ設計大手のアーム社は全世界で活動しているが、華為への供給を断ち手足をもいだ」と。 香港のメディアは、「24日中共の打ち上げたリモートセンシング衛星は失敗したが、中共は秘匿した」と。 トランプ大統領は24日、「米中貿易戦争はもうすぐ終わるみこみである」と語った。 古くからの通信業者は、「華為が出る所ペンペン草も生えず、国内の同業者たちに収益をもたらさず、技術開発チーム全体を直接引き抜き、技術を奪った。 国外での戦争思考を利用して、顧客からお金をそれほど取らないだけでなく、オペレーターに市場を与えた。 これはビジネスではない。国の財力で彼を支え、人々が苦労して稼いだお金は彼に貢ぐことになる。彼と競争できる企業はない。 996(午前9時から午後9時まで、週6日の労働)はもともと華為によって発明された」と述べた。

米国上院外交委員会は、5/22(水)に両党議員提出の《ウイグル人権政策法》を可決した

中国は自分達の軍事力を誇大に見せて、自由主義諸国の国民の不安を募ります。中国人は嘘つきなのが分かっていないから。「騙す方が賢い」と思っている民族です。日本の政治家にも手もなく騙されているのがいます。本記事の衛星打ち上げの失敗の例を見ればペーパータイガーなのが分かるでしょう。

香港のメディアは「情報筋によると、リモートセンシング衛星33の打ち上げは、ロケットの3段目の二回目の着火に失敗したため、衛星の予定軌道には入らなかった」と。

https://www.aboluowang.com/2019/0524/1293424.html

5/25阿波羅新聞網<华为遭围堵可能撑不住了 内部员工爆将裁员=華為は封じ込めに耐えられないかも 内部の人間はリストラを明らかに>ネットのプラットフォームであるFacebookとLineは、華為社員の動向を伝えているが、華為は恐らくレイオフすると流している。 華為の創始者である任正非がインタビューを受けたとき、大言壮語していたが、外部要因に対処するために一部をレイオフすることを認めた。 自由時報は、華為は持ちこたえられないのではと報じている。

自由時報の報道によれば匿名のインタビューを受けた中国の役人は、「任正非が最近ずっと蛍光スクリーンの前に現れ、普通のビジネスマンを超えた発言をし、中国政府の要求に從っていることを見抜くのは難しくない。但し、中国当局が米国の華為封じ込めと同じことをしようとしてもできない。Appleを封じ込めしようとしても“Appleの技術は中国由来のものでない。乞丐が貴族のふりをするな”」と指摘した。

失業問題が大きくなれば、習近平の責任が問われるのでは。そうでなくとも社会不安は増大していくでしょう。

https://www.aboluowang.com/2019/0525/1293502.html

日高義樹氏『2020年「習近平」の終焉  アメリカは中国を本気で潰す』の一部を紹介します。

P.34~35「「アメリカの核兵器で一億人の中国人が殺されても、まだ一〇億人いる」 毛沢東がこう言ったと伝えられているが、中国の指導者は国民をどれほど殺しても、あるいは犠牲にしても、まったく痛痒を感じないのである。したがってアメリカの戦略家たちは、中国の国民をいわば人質にとり、対立の終結点を目指して北京政府と話し合いをするという考え方が通ると思っていない。

アメリカの戦略家たちは、中国と戦うことになった場合には、ソビエトとの冷戦の時代と違い、中国の政治組織の中心、北京そのものを破壊しなければならないと考えている。そのために、アメリカの戦略核兵器の標的は北京に定められている。

アメリカとソビエトの間で四十年以上にわたって戦われた冷戦は、明らかに1つのルールのもとに続けられた。この本の最初で述べた北極圏の雪原に五〇〇〇キロにわたるDEWラインにも示されているように、常に相手側の行動を予測し、互いに決まった対応策をとるという戦略的な考え方が存在していた。 「MAD」と呼ばれる戦略も、この考え方に基づいてつくられた。MADはミューチュアル•アシュアード・ディストラクションの略で、日本語では「相互確証破壊」と訳されている。つまり、一方が核兵器を使えば、最終的に双方が必ず核兵器によって破壊し合うことを確証するという意味で、理論的にMADが確立した二国間では、核戦争は成立しない。

アメリカの戦略家たちは、中国とのあいだではMADは成り立たないと考えている。 「アメリカの核兵器によって一億人が殺されても、一〇億人が残る」と主張する毛沢東戦略に従えば、核戦争は全面的な降伏か自滅以外にない。

核戦略の専門家であるキッシンジャー博士は、「降伏か自滅か」という戦いの進め方は戦略ではないと言っているが、中国がいま進めている軍事力の強化を見るかぎり、まさにキッシンジャー博士の言葉どおりの戦略である。

冷戦時、アメリカの戦略家たちには、モスクワを攻撃する気持ちはなかった。しかしながら現在、アメリカの戦略家たちは、「北京を破壊することが確実な解決策である」という考え方に追い込まれている。

P.50「グアム島に展開したステルス性のB2、B1B、B52Hが実際に戦闘行動を起こした場合、中国側には対応する能力がない。アメリカの軍事専門家は、アメリカがつくりあげている核戦力を実際に行使した場合、中国は壊滅状態になり国家として存続できないと見ている。

これに対してアメリカの専門家のなかにも、中国が保有している核ミサイルや潜水艦を使ってアメリカに反撃を加えることは可能で、アメリカがかなりの損害を受けるのは免れないと見ている者もいる。だが、これまで見てきたように、アメリカが卓抜した技術力によって宇宙まで及ぶ警戒態勢や、邀撃態勢を確立した現在、中国からの攻撃で受ける損害は、中国が受ける損害に比べれば、はるかに小さいと見られている。

日本の専門家の多くが、アメリカと中国の対立を米中冷戦として捉えている。だが米ソの対立と異なり、米中の対立は冷戰にはなりえない。アメリカと中国の軍事力の差がありすぎるからだ。いまやアメリカの圧倒的な軍事カによる制圧が始まり、アメリカと中国は戦争状態に入ったとも言える状況になっている。」

P.157~159「アメリカや日本、ヨーロッパ諸国に進出した中国企業が、その国々からパテントを盗用するのも、中国政府にとっては当たり前のことになったが、こうした違法行為に対して各国が寛容な態度をとり続けたのは、「中国市場は大きく、大切だ」と考えたからである。アメリカの歴代政権も中国経済の拡大を手助けしてきたが、とくにオバマ前大統領は「中国経済がうまくいかなくなれば世界経済が混乱し、アメリカ経済が大きな打撃を受ける」と心配し、中国の違法行為を認めてしまった。長いあいだアメリカは、まるで泥棒のように他人の家に入り込み、盗みをするような中国のやり方を容認してきたのである。

私は歴代政権がとってきた、中国甘やかし政策の元凶はニクソンとキッシンジャーだと思っている。共産主義、共産党一党による専制体制の国をそのまま国際社会に引き込んだことは、大きな間違いだった。

「経済的に豊かになれば中国は民主主義に向かう」 キッシンジャーは幾度も私にこう言ったが、中固はいっこうにそうならず、むしろ専制体制を強化している。「中国は侵略国家ではない」。 これもキッシンジャーが言ったことだが、中国はウイグル、チべット、モンゴルなどを自分の領土にして弾圧政治を行っている。ウイグル、チべットの現状を見ると、ニクソン、キッシンジャーがやったことは間違いどころか犯罪だったとさえ言える

中国政府は数百万にのぼるウイグルの人々を強制収容所に押し込み、共産主義を無理やり学習させたり、強制労働に駆り立てたりしている。チベットでは中国の公安警察が仏教徒を弾圧し、家に入り込んで仏具を破壊したりしている。

トランプ大統領が行おうとしているのは、こういった中国の違法行為や、反人道的な行為をやめさせることだけでなく、体制そのものを変えさせることである。

私が見て来たニクソン以来の歴代大統領とその政権が、中国の不法行為や不道德な行動を容認してきたのは、中国が発展途上の大国であり、その国を国|際社会の一員にするためには、目をつむらなければならないこともある、と考えてきたからであった。

トランプ大統領は中国が大国であること、マス、つまり量が多いという事実を見据え、このまま中国の不正や反人道的な行動を許せば、やがて国際社会を壊してしまうと考えている。

アメリ力国民はこうしたトランプ大統領の考え方を、ようやく受け入れるようになっている。中国が行っている行動が反社会的、反人道的、反国際的であることに気付いたからである。

トランプ大統領は毀誉褒貶が激しい。だが中国の身勝手を許してはならない、いわんやアメリカやロシア、かつての日本やイギリスのような大国にしてはならない、というトランプ大統領の考え方が受け入れられているのは、中国のやり方を許していれば、やがて世界が滅びるという危機感が高まっているからである。」

P.194「ニクソン大統領と当時のキッシンジャー大統領補佐官は、中国が共産党一党独裁の国家 であることに目をつぶり、国際社会に引き込むことでソビエトに対抗するメンバーに組み入れようとしたのである。

キッシンジャー博士は本気かどうか別にして、「中国を経済的に豊かにすれば民主主義国家になる」と言い続けてきた。しかもキッシンジャー博士とその周辺は、中国を国際社会に引き入れた代償として、莫大な経済的見返りを受け取っている。これについてはキッ シンジャー博士も自覚しており、私にこう言ったことがあった。

「私が中国から多くの代償を得ていることから、私の中国政策を信用しない者がたくさんいるだろう」

キッシンジャー博士が冗談めかして言ったこの言葉には、自己反省が込められていたと思うが、歴史を大きく変えたニクソンとキッシンジャーの功績は大きかった。

しかしながら「豊かになれば民主主義に向かう」というキッシンジャーの予測は外れた。キッシンジャー、ニクソンに始まって、歴代のアメリカ政権に甘やかされ続けた中国はいまや、習近平のもとで共産主義体制を強化し、アメリカだけでなく世界の敵になってしまっている。」

FT記事は上述の日高氏の論説と違い、米中冷戦に進んでいくと考えているようですが、米国防総省には取材していないのでは。日高氏は、米中では軍事力のバランスが取れていない(中国と北のミサイルは宇宙から監視、大統領のOKがあれば即撃ち落としできる仕組みに変えた)、MADが成り立たないことを理由に米中は冷戦にはならず、熱戦になるとの予言をしました。

キッシンジャーも強欲ユダヤ人の面目躍如です。政治家が他国から莫大な金を受け取っているのではスパイor工作員と思われても仕方がない。政治家は他国のハニーと賄賂には気を付けないといけないのに。

ニクソンもキッシンジャーも誤った政策を採ったことで歴史に名を止めるでしょう。ケナンとは全然違います。リーダーに必要なのは①本質を見抜く力“insight”②先見の明“foresight”でしょう。中国人の本質=「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というのが、中国人と付き合っていても見抜けないのでは“insight”がないということです。また「中国を経済的に豊かにすれば民主主義国家になる」と考えたのは“foresight”がないということです。結果的に敵を肥大化させただけ。怪物の製造責任はこの二人が負うべきです。特に莫大な金を貰ったキッシンジャーは。多分ピルズベリー辺りも貰っているのでは。ビル・クリントンも含め民主党系は強欲米国人です。

秋田氏の記事は海底ケーブルを中国も敷設し出しているという事です。世界覇権に近づく第一歩です。真田幸光氏によれば英国から米国に覇権が移った時に、海底ケーブルも地政学的戦略要地としての港も引き継いだと記憶しています。中国も米国から覇権を奪うために、海底ケーブルを敷かないと、と思ったのでしょうが、これで米国の対中警戒感はますます高まるでしょう。やはり巨悪の共産主義国を叩き潰さないといけません。ジブチ~フランス間の海底ケーブル敷設は撤回すべきです。

FT記事

米政府が中国に対する姿勢を硬化させ、ファーウェイのサプライチェーンを断ち切る決定をした。強硬姿勢を求める声が議会でも高まっており、冷戦期におけるソ連への姿勢と同様の様相を示す。このままでは冷戦が熱戦へと向かいかねない。事態の悪化を止めるルールの確立が必要だ。

(イラスト=Ingram Pinn)

米中貿易戦争に関して不安なのは、これが単なる始まりにすぎないことだ。ドナルド・トランプ米大統領は貿易収支と関税にとらわれている。米国の産業がすべての国の産業を圧倒していた1950年代に憧れを抱いているのだ。だが米政界において対中タカ派が勢力を拡大している今、交易条件の見直しは、次に起きる事態の幕開けにすぎない。

米中の閣僚級協議が5月9~10日に開催されたものの、物別れに終わった。その頃、マイク・ポンペオ米国務長官は英ロンドンを訪れていた。同氏はテリーザ・メイ首相が率いる英国政府にどのようなメッセージを届けたのだろうか。英国が構築する5G通信ネットワークに、どのような形であれ中国の華為技術(ファーウェイ)が関与するなら、米国は英国との特別な関係に終止符を打つことになるかもしれない、というのがその内容だった。

米国に話を戻そう。トランプ大統領がファーウェイに対する新たな措置を発表した。同社が米国市場でその技術を販売するのを実質的に禁止した。さらにファーウェイは、同社製品を製造するのに不可欠な米国製半導体を購入できなくなる可能性もある。

米国から6000マイル離れた南シナ海では、米国の艦船が航行していた。日本、フィリピン、インドの艦船から成る小型艦隊の先頭で、米海軍は米国旗を高く掲げた。中国は、他国と領有権争いを繰り広げている南シナ海の岩礁を前哨基地にして、周辺の海域に対する領有権を主張している。こうした動きを強める中国に対し、米国は「航行の自由」作戦を展開して対抗する。

中国と旧ソ連は同様の脅威

一方、著名な共和党議員は反中国の姿勢を示す新たなロビー団体への支持を強めている。「現在の危機に関する委員会:中国」 は、旧ソ連との冷戦時代を思い起こさせる*1。米テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員*2、同フロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員、ニュート・ギングリッチ元下院議長らは、中国が新たな軍拡競争を始めたとの警戒感をあらわにしている。

トランプ大統領は、6月末に日本で開催されるG20会合で中国の習近平国家主席と会談し、貿易問題をめぐって何らかの合意に達することを期待していると言う。だが対中タカ派は、関税問題からさらに先に進もうとしている。彼らは基本的に、米中両国の経済を切り離す*3ことを望んでいる。

トランプ大統領もこの方向にかじを切り始めた。その一環として、米国経済の重要セクターに向けた中国からの投資に対する制限を強化するとともに、米国の大学に留学する中国人学生に新たな規制を課した。

「中国からの輸入品に高い関税をかければ、中国に工場を展開する米国企業が打撃を受ける」との苦情に対する同大統領の回答は単純明快だ。「米国で生産しろ」。米中をまたいで複雑に絡み合ったサプライチェーンを切り離せば、国家の独立が回復する。

中国は最近まで、経済分野においてアンフェアなゲームを展開する競争相手とみられていた。貿易や投資のルールを操り、欧米諸国に技術の移転を強要し、知的財産を盗み取るなどの不正を働いているというわけだ。米国では、中国のこうしたやり口に対する怒りを共和党だけでなく民主党も広く共有している。欧州も、中国が導入している投資制限や非対称な貿易ルールに対して同様のいら立ちを口にする。

だが、今や貿易問題はより強く警戒すべき問題の一部でしかない。経済は地政学と不可分なものとなっている。中国は単に経済面における危険な競争相手ではなく、迫りくる現実的な脅威に変容した。ホワイトハウスや議会のほぼあらゆる場所で、「中国」という単語を耳にする。

中国は旧ソ連のようなイデオロギー面での野心は持っていない。それでも、唯一無二の存在としての米国の地位を脅かす。この試練に立ち向かうためには、貿易における不均衡を是正するだけでは不十分だ。

トランプ大統領が中国への姿勢を強める兆候はすでに見て取ることができた。一つは2017年12月に作成した「国家安全保障戦略」 、もう一つは18年1月に発表した「国家防衛戦略」 (国防総省が作成)だ。

前者に「中国は、自身が抱く政治や安全保障面での要求を他の国に受け入れさせるべく様々な手段を講じる。経済的なアメとムチ、様々なオペレーションを通じて影響力を及ぼす。軍事的な脅威を示唆することもある」との記述がある。

南シナ海について「中国はこの地域に米国が近づくことを制限して、自分たちがより自由に行動できるようにしようと軍の近代化を急いでいる」。

国家防衛戦略の目的はいかなる懸念も一掃することにある。「米国は何十年もの間、中国の興隆を支援し、戦後の国際秩序に中国を組み入れることこそ、同国を民主化する道だとの信念に基づく政策を取り続けてきた。だが我々の希望に反し、中国は他の国の主権を犠牲にする形で力を拡大している。中国は米国に次ぐ能力と豊富な予算を持つ軍を築き上げた」

国防総省は中国の目的を「短期的にはインド太平洋地域で覇権を確立すること、将来的には米国を排除して世界に冠たる国を創り上げること」とみる。

皮肉なことに、11回に及ぶ米中交渉の過程で、トランプ大統領が貿易の基本部分に焦点を当て、習国家主席に盛大な賛辞を贈ることを習慣としたため、この重大な米国の政策転換が見えづらくなっている。

不信が生む現実の危機

テクノロジーの問題ほど米国を不機嫌にさせるものはない。1950年代に宇宙開発競争で旧ソ連に後れを取り、一時的に衝撃に見舞われた時を除き、米国は一貫して敵対国よりも技術的に優位にあるとの確信を抱いてきた。

だが、もはや、そうとは言えなくなった。最近開催された、米国の政策当局者と専門家が意見を交わす会議の場で、壇上に立った講演者たちは、次の不安を口々に表明した。中国は5Gと人工知能の技術を軍事的野心の実現にひそかに利用するのではないか。

一連の出来事に潜んでいる危険は明白だ。中国を確たる敵として扱えば確実に、中国がそのように行動するよう促すことになる。不信は不信を引き起こし、目に見える対立の引き金となる。

中国に非難されるべき点がないわけではない。欧米諸国の軍隊や重要なインフラ施設に絶え間ないサイバー攻撃を仕掛けていることだけをとっても、それは一目瞭然だ。

だが、中国がなすことすべてを悪だと決めつければ、現在の貿易戦争をより深刻な何かへと変化させるだけだ。米中両国が何よりも必要としているのは、事態がエスカレートするのを避けるための共通のルールである。

これを構築しなければ、我々は冷戦では済まず、より熱い戦争へと向かうことになる。

*1=この名称は、米ソ冷戦期に結成された「現在の危機に関する委員会」にちなむ。同委員会はソ連(当時)と対決すべく、米議会、メディア、国民に結束を呼び掛けた。「現在の危機に関する委員会:中国」の発起人にスティーブ・バノン氏が名を連ねるのは象徴的。同氏は「影の大統領」 「トランプ大統領の分身」との異名を取るほど、トランプ大統領に影響を与えた。対中強硬派として知られるとともに、*3にある「デカップリング」を主張する。トランプ政権で首席戦略官・上級顧問を務めたが、国際協調を重視するグループと対立し、ジョン・ケリー 大統領首席補佐官(当時)に更迭されたとされる

*2=16年の大統領選において共和党の予備選に立候補し、トランプ候補と鋭く対立した。クルーズ氏がトランプ氏を「病的な嘘つき」 と非難すると、トランプ氏が「嘘つきクルーズ」と応酬したほど。だが18年の中間選挙戦で苦戦を強いられたクルーズ氏はトランプ氏との関係を改善。トランプ応援演説が当選に一役買った

*3=「デカップリング」と呼ぶ。米中をまたぐサプライチェーンを分断すべきとの考え。対中強硬派のピーター・ナバロ大統領補佐官(通商担当)や米中協議をリードするロバート・ライトハイザー 米USTR(通商代表部)代表もデカップリングの考えを持つとされる

Philip Stephens ©Financial Times, Ltd. 2019 May16

日経記事

世界の主な通信インフラから中国を排除しようと、米国が圧力を強めている。中国側もひるむ様子はない。

最後に、どちらに軍配が上がるのか。勝敗の行方を大きく左右するのが、海底をめぐる攻防だ。

世界を行き交う通信やデータの99%が、海底に敷かれたケーブルを流れているからである。衛星も使われるが、容量が少ないため、シェアは1%にすぎない。

南北のアメリカ大陸とアジア、欧州、アフリカの人々によるメールや、金融取引の情報は、ほぼ必ず、海底ケーブルに流れる。裏返せば、海底の通信網を支配した国が事実上、地球のデータ流通を牛耳るといっても過言ではない。

世界には約400本の海底ケーブルが敷かれている。さらに、各国は軍事用の秘密ケーブルも張りめぐらせており、全貌は深海の闇に包まれている。

米国や日豪の安全保障担当者は最近、海底の通信網に中国が浸透し、影響力を広げかねないと警戒を深めている。中国の動向を注視するため、水面下で情報を持ち寄り、対策を検討しているという。

非公開の情報も交えて分析すると、今のところ米欧日が圧倒的な優位に立っているが、必ずしも安泰とはいえない。

いま、海底ケーブルの敷設で世界最大のシェアを誇るのは、米国のTEサブコムだ。それに日本のNECと欧州のアルカテル・サブマリン・ネットワークスが続く。3社が敷いた海底ケーブルの長さを合わせると、世界の9割超になるという。

この独占体制に風穴を開けつつあるのが、米国が目の敵にする中国通信大手、華為技術(ファーウェイ)だ。同社は約10年前、英企業と合弁会社を設けて海底ケーブル事業に参入し、じわりと実績を上げている。

昨年9月には、日米欧の業界をあっと言わせた。南米(ブラジル)とアフリカ(カメルーン)を結び、約6000キロメートルの海底ケーブルを完成させたのだ。

それまで同社が手がけたのは東南アジア内やロシア極東などの短いケーブルだけ。初の海洋横断プロジェクトを成功させたことで、経験こそ日米欧に遠く及ばないものの、技術では着実に追いつきつつあることを証明した。

いま同社が手がける新規の海底ケーブル建設は約30件とされる。既存ケーブルの陸揚げ基地局を拡充し、伝送力を高める工事も約60件、請け負っているもようだ。

2015~20年でみると、ファーウェイが完成させる新規ケーブルは20件に上る方向だ。短い区間が大半であり、すべて完成しても世界シェアは1割に満たないが、中期的にみれば、日米欧にとって侮れない競争相手になるだろう。関係者らの話を総合すると、少なくとも3つの理由がある。

まず、参入から約10年、日米欧が独占してきた大陸間の長いケーブルを敷く力を蓄えつつある。南米―アフリカに続き、来春の完成をめざし、パキスタン―ケニア、ジブチ―フランスも建設中だ。

第2に、ファーウェイは地上の通信インフラでは高い技術を持っている。海底ケーブルになくてはならない中継器や陸揚げ局の伝送装置では、強みを生かせる。

第3に、中国は「一帯一路」構想の一環として、自国企業による世界でのデジタル・インフラ建設を後押しする。中国政府の支援をどこまで受けているかは不透明だが、価格競争で日米欧の企業に優位に立つ可能性がある。

この状況に、米国やアジアの国々はどう向き合えばよいか。他のインフラにもいえるが、中国企業を完全に排除するのは無理だし、賢明でもない。データ通信の急増により、アジア太平洋には日米欧だけでは賄えない、莫大な海底ケーブルの需要があるからだ。

そのうえで大切なのは安全保障上、重要な情報やハイテク技術が行き交う「中枢ルート」について日米欧が連携し、自国の企業が敷設するよう支援することだ。

このルートに当たるのは米国と同盟国である日豪、欧州をめぐる海底ケーブルだ。複数の外交筋によると、日米豪は今後も、中国企業による自国への敷設は認めない方向という。ただ、すでにふれたジブチ―フランス間が完成すれば、中枢ルートに中国企業が参入するのを初めて許すことになる。

もうひとつ急ぐべきは、陸揚げ局の安全対策の徹底だ。IT専門家によると、海底ケーブルには光ファイバーが使われており、途中で情報を抜きとるのは難しい。だが、ケーブルの両端に設けられる陸揚げ局に侵入すれば、膨大なデータを盗むことができる。

民間任せにせず、政府が関与し、施設の安全を保つことも考えるべきだろう。万が一、陸揚げ局をテロリストに壊されたら、外国との商取引や通信が断たれ、社会がまひしてしまう危険もある。

海底ケーブルをめぐる覇権争いは、昔からあった。第1次世界大戦後にはドイツ帝国が敷いた海底ケーブルをどう分割するかが戦勝国で激論になった。それが大国間の力学も左右する、と日米欧が知っていたからだ。日本は西太平洋のヤップ島から上海に通じるケーブルを手に入れ、国際通信網への足がかりを築いた。

米中の覇権争いは、地上や宇宙に注目するだけでは足りない。海中の攻防にも目をこらしたい。

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