10/11宮崎正弘氏メルマガ<米国議会、2022年の北京五輪の開催を見直せとIOCに勧告 「人権弾圧の国家で五輪開催はふさわしいとは思えない」とルビオ上院議員>今の日本人、政治家にしても、経営者にしても、覇権を握っている米国が中国を追い落とそうと躍起になっているのが見えていません。どちらに付いた方が良いかは自明でしょうに。中国は昔から専制で、今でもそうですから。
http://melma.com/backnumber_45206_6743574/
10/10NHKニュース21:14<新疆ウイグル自治区でイスラム容認しない方針 中国検察当局
横断幕には(ウルムチ市検察機関 “汎イスラム化(=中共の言う過激派)” 決戦大会)とあります。
イスラム教徒のウイグル族が多く住む中国の新疆ウイグル自治区で検察当局が検察内部でイスラム教の習慣などを容認しない方針を確認し、ウイグル族の風習や宗教の影響を排除する動きが強まっています。
中国メディアによりますと、中国でイスラム教徒のウイグル族が多く住む新疆ウイグル自治区で、中心都市ウルムチの検察当局が8日会議を開き、検察内部でイスラム教の戒律にのっとった習慣を容認しない方針を確認したということです。
この中で検察のトップは「イスラム化のまん延に対する戦いを徹底してやり抜く」と述べて、共産党員として宗教を信仰せず、神の存在を否定する無神論を貫くよう求めました。
さらに公共の場では職員同士がウイグル語ではなく、中国語を使うべきだとも強調されたということで、当局の中でウイグル族の風習や宗教の影響を排除する動きが強まっています。
ウイグル族をめぐっては中国当局がイスラム過激派によるテロを防ぐためとして、自治区での治安対策を強化する一方、アメリカ政府などは大勢のウイグル族が不当に拘束されていると問題視していて、当局の取り締まりが厳しくなり、この問題への懸念が強まることも予想されます。>(以上)
宗教を認めない中共に、手を差し伸べたバチカンの愚かさが分かるでしょう。
10/11阿波羅新聞網<美国会:中国人权状况恶化文革以来最严重 活摘器官要制裁 =米国議会:中国の人権状況は文革以来最悪 活きたままの臓器摘出は制裁されるだろう>米国議会&行政当局・中国委員会は2018年度人権報告を公表した。組織の共同代表であるルビオ議員とスミス議員の両者は「中国の人権状況は悪化の一途を辿っている。制裁や罪のある官員に対するビザ発給拒否、米中討議の議題に上げること等」提案した。スミス議員は「我々は強制臓器摘出販売の報告を受けている。これは、邪悪な政策に制裁を加えることができるという意味である。猖獗を極めているのは法輪功の信者にである」と述べた。ルビオ議員は「我々は中国人民を批判しているのでなく、中共とその政府である。中国は歴史上、人類に大きく貢献して来た。ウイグル人の教育キャンプに反対するため、新疆ウイグル人権法案を今週超党派で議会に提出する。また2022年北京オリンピックも見直しを要請する。Appleの技術サービスを中国当局に移転して人権侵害に利用されるのも防ぐ。FBIに在米中国人、ウイグル人、チベット人に脅しや攻撃を受けていないか調査を呼びかけている」とも。
左はルビオ議員、右はスミス議員
http://www.aboluowang.com/2018/1011/1187457.html
米国は本気になって中国の追い落としを図ろうとしています。核大国同士ですからホットウオーにはならないかも知れません。でも既に冷戦になっていることは間違いありません。旧ソ連と同じように封じ込められるでしょう。ルビオの「中国人は悪くない。中共とその政府が悪い」という言い方はどこかで聞いたことがありますが・・・・。でも中国と戦前戦中の日本の違いは専制VS民主主義国だったことですが。まあ、早く人民が共産党を打倒しろと言いたいのでしょう。
情報統制が敷かれている中国内で、中国国民に正確な情報を伝えるのは至難の業です。ですから今でも正しい情報は口コミになります。中国メデイアは全部「党の喉と舌」のプロパガンダ機関ですから、都合の悪い情報は流さないし、少しでも有利になると思えば針小棒大にして報道します。それは共産主義の構造的問題です。事実より党に有利か不利かで判断されるという事です。左翼に傾いている人の脳を調べてみたい。知的誠実さを持ち合わせているのですかと。
中共の都合の悪い情報をどんどん出して、口コミでも伝わるようにすることが今の所は良いのでは。
記事
ペンス米副大統領は10月4日、対中国政策に関してハドソン研究所で講演した(写真:AFP/アフロ)
(前回から読む)
米国のペンス(Mike Pence)副大統領が「邪悪な中国共産党」との戦いを国民に呼びかけた。
善きサマリア人
鈴置:ペンス副大統領が10月4日、ワシントンのハドソン(Hudson Institute)研究所でトランプ(Donald Trump)政権の対中政策に関し講演しました。40分以上に及ぶ本格的な演説で、動画でも視聴できます。
副大統領は中国を「米国に挑戦する国」と決めつけたうえ、「大統領と米国人は後ろに引かない」と国民に訴えました。中国とはともに天をいただかないと言い切ったのです。
NYT(ニューヨーク・タイムズ)は「新冷戦への号砲」と評しました。米中関係が暗くて長いトンネルに入るとの認識が広がりました。
ペンス副大統領はまず、中国が困っていた時代に米国がいかに助けたかを強調しました。その部分を要約しつつ翻訳します。
(19世紀から20世紀にかけて)中国が西欧や日本の半植民地の境遇に陥った際、米国だけがその主権を尊重した。伝道師を送って中国に最高の大学(清華大学)を設立しもした。
(21世紀には)中国をWTO(世界貿易機関)に招き入れ、米国市場への参入も許した。中国は米国の投資で急成長にも成功した。
米国らしい自画像です。米国人は自らを聖書に出てくる「善きサマリア人」と見なしがちです。この演説では、盗賊に襲われた瀕死の旅人は中国。「善きサマリア人」である米国に助けられてきたというわけです。
好意を裏切った中国共産党
—「中国には恩恵を施してきた。それなのに……」というのですね。
鈴置:その通りです。ペンス演説は「だが、我々の中国への好意は共産党政権によって裏切られた」と続きます。
冷戦が終わった後、米国のこれまでの政権は中国が政治面でも自由化すると期待した。個人の財産の尊重、宗教の自由、人権の尊重などだ。だが、そんな希望は満たされなかった。
過去17年間で中国経済は9倍に拡大し世界第2位の規模となった。自由や公正とはとても言えない為替操作、技術移転の強要、知的財産の盗みなどを駆使してのものだった。
以下、演説では「中国の罪状」が延々と続くのですが、あまりに長いので一覧表にします。要は、中国は米国の好意を利用して経済成長に成功したが、今度はその力を悪用して米国の覇権を揺らしている、と非難したのです。ペンス副大統領が示した例をまとめたのが「罪状①米国の覇権への挑戦」です。
★中国の「罪状」①米国の覇権への挑戦★
米国の2017年の対中貿易赤字は3750億ドルで、全赤字の半分近くを占める。
「メード・イン・チャイナ2025」計画により、官民あげて米国の知的財産を獲得しロボットやバイオテクノロジー、AIなど世界の先端産業の90%の支配を目論む。
米国企業を買収することで、先端的な武器の設計図などの技術を盗む。
陸海空、宇宙における米国の軍事的な優位を脅かす。西太平洋から米国を追い出そうとする。
日本の施政権下にある尖閣諸島の周辺を恒常的に哨戒する。中国の指導者は2015年にホワイトハウスで「南シナ海を軍事基地化しない」と述べたが、人工島に対艦・対空ミサイル基地を建設した。
南シナ海で「航行の自由作戦」を展開中の米イージス艦の45ヤード以内に中国の軍艦が接近し、衝突しかけた。しかし米国は今後も国益を守る。
米国は中国との良好な関係を望むが、中国は経済的な攻勢を緩めず、軍事力の強化につなげてきた。
聖書を燃やされ、信者は投獄
—中国人が聞いたら「なぜ、米国に挑戦してはいけないのか」と思うでしょうね。
鈴置:「米国は倫理性が高く、世界を指導すべき国である」と考える米国人が多い。こんな人は「米国に挑戦することこそが悪だ」と考えるでしょう。
もちろんそんな理屈は世界では通用しないと考える米国人もいます。そこでペンス演説は「クリスチャンが投獄され、聖書が燃やされている」などと数々の実例を挙げて中国の宗教弾圧を非難しました。
「罪状②中国での人権侵害」をご覧下さい。宗教弾圧に加え「オーウェル的世界」に突き進む中国の危さを指摘。そのうえでこんな国に覇権を握らせてはいけない、と訴えたのです。
★中国の「罪状」②中国での人権侵害★
自由と人権の尊重に向け歩み始めたこともあった。しかし近年、国民を支配・圧迫する方向に明らかに逆戻りした。
ネットによる中国の国民の自由な情報への接近への規制を強化している。
2020年までに人間のあらゆる側面を管理するジョージ・オーウェル的な世界の構築を狙う。
中国のクリスチャン、仏教徒、イスラム教徒が新たな迫害を受けている。
先月、中国最大の地下教会が閉鎖された。全国的にも当局は十字架を壊し聖書を燃やし、信者を投獄している。今や無神論者の共産党がカトリックの神父を任命できるよう、バチカンと交渉中だ。
チベットでは過去10年間で150人の僧侶が中国に抗議して焼身自殺した。新疆で共産党は100万人ものイスラム教徒のウイグル人を投獄している。
米国の裏庭にも魔の手
—でも、それは中国の中でのこと。宗教弾圧はともかく「オーウェル的世界」にまで介入する必要はないと思う米国人もいるのでは?
鈴置:いるでしょうね。そこでペンス副大統領は「野蛮な中国が米国の安全保障を脅かしている」と危機感をあおったのです。具体例が「罪状③世界への影響力拡大」です。
★中国の「罪状」③世界への影響力拡大★
アジアからアフリカと欧州、果ては中南米にまで不透明な融資条件の「債務外交」を展開し、影響力を拡大中だ。
中国国営企業から多額の借金をしたスリランカは2年前に返済できなくなり、港を中国に引き渡すよう強要されている。いずれ中国の遠洋海軍の最前線の軍港となろう。
腐敗し無能で、国民を弾圧するベネズエラのマドゥロ政権にも怪しげな50億ドルの借款を提供した。中国は今や最大の債権者だ。
中南米の3カ国に対し台湾との関係を断ち、自らを認めるよう動いている。台湾海峡を不安定にするものであり、米国はこれを認めない。
米国の裏庭たる中南米にまで中国は触手を伸ばしている――と言われれば、のんきな米国人も「中国は危険な存在だ」と考えるでしょう。「台湾が中国に取られそうだ」と言われても同じです。
米国世論も操る
そして決め手が「罪状④米国への介入」です。米国の世論さえも中国に操られているのだ。裏庭どころではない。土足で家の中にまで踏み込まれているのだ、と警告を発したのです。これは効くでしょう。
★中国の「罪状」④米国への介入★
米国の産業界、映画界、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方政府と連邦政府に中国共産党の影響が及んでいる。
中国共産党は米国の世論への工作も進めており、2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙の環境も変えようとしている。中国はトランプ大統領以外の大統領を望んでいる。
6月に中国は「宣伝と検閲に関する通知」という文書を回覧した。これは「中国は正確に注意深く、米国世論を分裂させねばならない」と指示している。
中国は米国の有力企業に対し、米政府の政策に反対しないと事業免許を取り消すと脅した。
中国が米国に課した関税は、中間選挙の動向を左右する産業と州を狙い撃ちにしている。
米国の駐中大使の地元であり、2018年と2020年の選挙でカギを握る地域の新聞に先週、中国政府は記事体の冊子を挟み込ませた。それらは米国の通商政策が不注意で有害なものだと主張した。
米国の在中合弁企業が社内に共産党組織を作るよう求められている。
「台湾は中国の1省」と呼ばなかったデルタ航空に、中国政府は謝罪させた。マリオット(ホテル)はチベットに関しツイートした米国人社員を辞めさせるよう強要された。
映画「ワールド・ウォーZ」はウィルスの発生源が中国とのくだりをカットさせられた。「レッド・ドーン」は悪役が中国ではなく、北朝鮮であるとデジタル処理で編集された。
中国共産党は米国と世界で数10億ドルの宣伝費用を使っている。
中国国際放送局は親中的な番組を米国の主な都市の30以上の局で流している。CGTN(中国国際電視台)は7500万人の米国人が視聴している。
米法務省は先週、この放送局に外国の(メディアではなく)政府組織としての資格を得るよう命じた。
中国共産党は米国メディアのサイトの閲覧を妨害し、米国人記者のビザ取得に障壁を設けている。
全米の150の大学に支部を持ち、43万人以上の中国人の学生と学者で構成する団体が存在する。中国人学生や米国人研究者が中国共産党の定めた枠を外れた場合、中国の大使館や領事館に知らせている。
メリーランド大学の卒業式で米国での「言論の自由を支える新鮮な空気」に言及した中国人学生は、中国共産党の新聞から批判され、家族もいじめられた。
中国は大学、シンクタンク、研究者に豊富な資金を提供し、中国共産党が危険であり攻撃的であるとの考え方を彼らに持たせないよう努めている。中国専門家は、彼らの研究が中国政府の気にいらないものである場合、ビザが遅れるか出ないことをことによく知っている。
中国からの資金提供を断る研究者やグループでさえ、中国の標的となる。ハドソン研究所も中国が好まない講演を企画した際、上海からサイバー攻撃を受けた。
中国のカネ漬けの研究者
—そして……。
鈴置:邪悪な中国に立ち向かおう、と国民に訴えたのです。原文は以下です。
our message to China’s rulers is this: This President will not back down. (Applause.) The American people will not be swayed.
この辺りから「トランプ大統領の下に団結し、中国と戦おう」とのニュアンスが濃くなってくるのです。
—中間選挙対策の演説だ、といった批判は出ないのでしょうか。
鈴置:それに対しては「罪状④米国への介入」が効果を発揮します。ペンス副大統領は以下のように指摘しました。
米国の産業界、映画界、大学、シンクタンク、研究者、ジャーナリスト、地方政府と連邦政府に中国共産党の影響が及んでいる。
中国は大学、シンクタンク、研究者に豊富な資金を提供し、中国共産党が危険であり攻撃的であるとの考え方を彼らに持たせないよう努めている。
もし、研究者や記者が「トランプの反中政策」を批判しようものなら、普通の米国人は「やはり彼らは中国からおカネを貰っているのだ」と見なすでしょう。
8月24日には米議会の米中経済安全保障問題検討委員会が有力シンクタンクや大学に中国が資金を提供し、影響力の行使を図っているとの報告書を発表したばかりです(「米国は中国をいたぶり続ける」参照)。
『China’s Overseas United Front Work』です。産経新聞の「『中国共産党が米シンクタンクに資金提供』 米議会委が報告書発表」(8月26日)が内容を報じています。
弱腰の記者を叱る
—ちゃんと「伏線」が敷いてあるのですね。
鈴置:2015年には「中国は1949年の建国当時から100年かけて米国を打倒し世界を支配する計画を立てていた」と警告する本が米国で出版されています。これも「米国は中国をいたぶり続ける」で紹介済みです。
『The Hundred- Year Marathon』で、書いたのは中国専門家のピルズベリー(Michael Pillsbury)氏。『China 2049』というタイトルで邦訳も出ています。
CIAの職員だった同氏は親中派から転向。この本では、米国の中国研究者の多くが中国共産党の思いのままに動かされていると暴露しました。米国の親中派は動きが取れなくなっていると思われます。
ちなみに著者のピルズベリー氏は、ペンス副大統領が演説したハドソン研究所のシニア・フェロー兼中国戦略センター所長です。
副大統領は演説で「ジャーナリストは中国を恐れるな。中国がいかに米国社会を操っているか報じよ」「研究者は学問の自由を守れ。中国のカネに踊らされるな」と呼び掛けています。以下です。
It’s also great to see more journalists reporting the truth without fear or favor, digging deep to find where China is interfering in our society, and why.
More scholars are also speaking out forcefully and defending academic freedom, and more universities and think tanks are mustering the courage to turn away Beijing’s easy money, recognizing that every dollar comes with a corresponding demand.
ここまで言われて「トランプの反中政策はおかしい」と声を上げるメディアや研究者は少ないでしょう。
NYT「新たな冷戦」
—「反トランプ」の先頭に立つNYTは?
鈴置:ペンス演説に関しては「反トランプ」の声をあげていません。社説でも、この問題を「パス」しています。
NYTはこの演説に対する中国の反論を「Pence’s China Speech Seen as Portent of ‘New Cold War’」(10月5日)で報じました。
ペンス演説の細かな点については「反論の余地があるかもしれない」と書いたものの、大筋では「米中冷戦が始まった」と客観的な状況認識を示しました。
中国専門家の言葉を引用し「ペンス演説は新たな冷戦を宣言したのも同然だ」と評したのです。2005年に当時の国務次官が「responsible stakeholder」と呼ぶなど米国は、中国を世界の問題を手を携えて解決していくパートナーと見なしてきたのですが。
it was unmistakably clear that the era of Washington holding out a hand to Beijing to become a “responsible stakeholder” in world affairs alongside the United States ─ a phrase used in 2005 by Robert B. Zoellick, then the deputy secretary of state ─ was over.
“This will look like the declaration of a new Cold War, and what China may do is more important than what it will say about Pence’s speech,” said Zhang Baohui, professor of international relations at Lingnan University in Hong Kong.
「鉄のカーテン」演説
—本当に、米中冷戦が始まったのですね。
鈴置:安保専門家の中にはペンス演説をチャーチル(Winston Churchill)の、冷戦の開始を告げた「鉄のカーテン」演説に例える人もいます。
首相を退任後に米国に招かれたチャーチル氏は1946年3月5日、ミズーリ州フルトンのウェストミンスター大学で講演しました。「ヨーロッパでは鉄のカーテンが降ろされた」と東西の2つの陣営の対峙が始まったと指摘した、あの有名な演説です。
レーガン(Ronald Reagan)大統領がソ連を「悪の帝国(evil empire)」と決めつけ、軍拡競争に誘い込んだことを思い出した人もいます。
米国のウェブ・メディア、VOXは「Pence says US “will not back down” from China’s aggression in fiery speech」(10月4日)で、中国専門家の「これはトランプ政権の『悪の帝国』だ」との談話を引用しています。
“This is the Trump administration’s ‘evil empire’ speech,” Bonnie Glaser, a China expert at the Center for Strategic and International Studies think tank in Washington, said. “This looks to me like deliberate confrontation.”
なお、「悪の帝国」という言葉をレーガン大統領は1983年3月8日の演説で初めて使ったとされています。
レーガンの「悪の帝国」再び
—ペンス演説は歴史に残る演説になりそうですね。でも日本ではさほど話題になりませんでした。
鈴置:日本ではまだ「米中の葛藤は貿易摩擦程度」といった認識にあるからでしょう。「米国は中国をいたぶり続ける」で指摘したように、米国は「おとしどころ」を設定していない。中国を潰すまで叩くということでしょう。
日本やカナダ、メキシコ、EUとの摩擦とはここが根本的に異なります。日米貿易摩擦では「いったん合意したTPP(環太平洋経済連携協定)の市場開放水準にどれだけ近付けるか」がポイントと米国側もはっきり語っています。
一方、中国への要求は「技術を盗むな」「為替を操作するな」と極めて抽象的。中国も譲歩のしようがない。そのうえ米国は人権まで持ち出し始めた。中国がいくら譲歩しても「まだ不十分だ」と言われることは目に見えています。
ペンス演説も米中両国民の友好は謳いました。が、中国共産党は米国の存在を脅かし、人権を蹂躙する、ともに天をいただくことのない、まさに「悪の帝国」であると米国人に訴えたのです。
中国から逃げ出す工場
注目すべきは米国の対中関税が、極めて注意深く準備されたものであることです。一部の人が見るように「トランプの思い付き」ではないのです。
適用範囲、税率、その拡大のプロセスを上手に設定することで米国の被害は最小化する一方、時間の経過と共に中国から工場を引き剥がすよう設計されています。
ことに重要なのは、米国の本気度を世界が見抜いたことです。例えばFTの「対中冷戦へと進む米国」(10月4日、日本語)は以下のように指摘しました。
今回のあまり賢明とはいえない追加関税は、ホワイトハウス内だけで拙速に決めた政治判断ではない。今回の措置は、もっと危険で永続的なものを表している。
米国と中国の経済的、政治的関係は完全にリセットされ、これからは貿易戦争というより冷戦に近い状態が始まる。
こうした「米中の葛藤が長期化する」との見方こそが、企業の中国離れをどんどん加速します。日経は企業の中国脱出劇を報じた「台湾EMSの新金宝、米中摩擦で脱『中国生産』」(9月20日)、「米中貿易戦争、日本企業も対策 生産・調達見直しへ」(9月22日)などを相次ぎ載せています。
—ところで前回の最後のところで「南北が手を組んで民族の核に動く」話を今回に話すとのことでしたが。
鈴置:「米中冷戦」の方が緊急性が高いと判断し「民族の核」は先送りしました。
—では、その話はいずれ落ち着いた時に。
(次回に続く)
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