エコノミストのこの記者は問題がサッパリ分かっていないのでは。中国について問題とすべきは飽くなき軍拡の追求にあります。このまま中国の経済成長がリニアに発展していけば(経済崩壊が噂されていますのであり得ないとは思いますが、最悪を想定して)、米国の軍事力もいつの日か逆転されます。中国は今の所、技術的には幼稚とはいえ将来は分かりません。盗むのも得意ですから。時間の利益を与えることは米国、翻って日本にも不利となります。「言論の自由」のない国が世界を統治するとすれば、悪夢でしょう。中国は分割する以外、民主化することはないと思っていますので。
http://hiah.minibird.jp/?p=2004
http://www.huffingtonpost.com/artyom-lukin/world-war-3_b_5720254.html
中国は日本侵略の狙いで、世界に日本民族は如何に道徳的に劣るかと言うのを韓国と共にやってきています。中韓とも自国が真面でないため、他国への移民が多い訳ですが、彼らが反日で自国の為に動くというのも皮肉なものです。棄国した筈なのに。中国は人口侵略の狙いもあるのかもしれませんが。次はfacebookから取った「なでしこアクション」さんのブログに基づき「カナダ・オンタリオ州が南京大虐殺記念日の制定審議中」との記事に関し、州首相と州議会に抗議のメールを送りました。英語ですが文法的にあっているかどうかより、抗議の声をあげることが大事と思っています。日本人が自分の事以外は無関心、or左翼の自虐史観に洗脳されて中韓の言っていることが正しいと思っている人が多いから、中韓の好き勝手にされてしまっている訳です。反撃しなければ。英語の読める人はヘンリーストークスの“Fallacies in the Allied Nations’ Historical Perception As Observed by a British Journalist”を、読むのが大変と言う人は日本語版の「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」を読むことを勧めます。そうした文章を挙げます。
Dear, sir
I would like to appeal the massacre of Nanking has been a Chinese propaganda.
Henry Scott Stokes, the former journalist of Financial times, Times, NYT, wrote the book called “Fallacies in the Allied Nations’ Historical Perception As Observed by a British Journalist” was published in NY Nov last year.
The prologue in that book goes as follow.
“The Tokyo Trials were a total sham, serving only as a theater for unlawful retribution. And as for the “Nanking Massacre,” there is not one shred of evidence attesting to It. However, the Chinese are hell-bent on using foreign journalist and corporations to spread their propaganda throughout the world. I find it very disappointing that so few Japanese attempt to discredit the false accusations and set the record straight. In today’s international community those who maintain that there was no massacre in Nanking are shunned.”
I strongly protest against the Bill 79 Nanjing Massacre Commemorative Day Act.
It will create conflict between Chinese background citizens and Japanese background citizens in Ontario.
It is not good in your multicultural society.
Sincerely,
http://nadesiko-action.org/?p=11084
高濱氏の記事を読みますとペンスでは中国と対決は出来ないでしょう。でも、高濱氏はトランプが何らかの理由で下り、ペンスが大統領になることを期待しているように見えます。
北村氏の言うように防衛費は増やしていく必要があります。米国が同盟国にGDP比で防衛費の増額を求めるのは、中ロが仮想敵国になっているからでしょう。ワシントン会議やロンドン会議で日本の軍事支出を抑えにかかった米国の姿とは打って変わってです。防衛費増は日本の自主防衛にもプラスになります。ただ、単独で防衛は出来ません。多国間で中国に対峙しなければ。防衛費を増やすだけでなく、法的に戦える(憲法改正とネガテイブリストの法律)ことと、死亡した時の補償と靖国に合祀することを約束すること、「月月火水木金金」の編隊運用にならないような編成、装備の充実が大事かと思います。
The Economist記事
ダボス会議で登壇し、自由貿易に取り組む姿勢を強調する習近平国家主席(写真:AP/アフロ)
ようこそ、混迷を極める新たな通商政策の世界へ――。現在の世界貿易体制を生んだのは米国だ。米国はこれを、その後70年にわたって守り続けてきた。ところがこのたび就任したばかりの大統領は、どうやらこの体制を一新しようと決めているらしい。この人物は現システムに破綻をもたらすかもしれない。
一方、中国は大国として力をつけてきたもののルールに従わないことが多い。それでも習近平国家主席は現状を維持するための手段を講じている。
米国のドナルド・トランプ新大統領がケンカ腰なのは、貿易において中国や各国から譲歩を引き出すための単なる策略か。それとも目的を妨害されれば本当に経済戦争(およびさらなる惨劇)を引き起こす覚悟があるのか。その点はいまだ明らかではない。しかしながら世界最大の経済大国とそれに継ぐ大国の関係以上に重要な二国間関係など存在しない。今後の新たな経済秩序は、トランプ大統領と習国家主席がどう付き合っていくかで決まる部分が大きい。他の多くの事柄も同様だ。そして、ここには多くの不安材料がある。
トランプ大統領は政策が大きく揺れることで知られているが、こと貿易に関しては、米国が貧乏くじを引いているとの考えを一貫して主張している。大統領に就任してから数日のうちに、トランプ大統領は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を宣言した。これはアジアと南北アメリカの国々が参加する自由貿易協定だ。また、海外に生産拠点を移して米国内の雇用機会を奪う米国企業には高い国境税を適用すると圧力をかけた。加えて北米自由貿易協定(NAFTA)についても再交渉する考えを明らかにした。
貿易に対するこうした圧力とは異なり、中国に対抗したいという考えについてはまだ理解できる。習国家主席は自由市場を支持すると公言しているが、経済を重商主義に基づいて運用している。中国では、政府が指定する特定の企業だけが財務や賃借料について補助金を受けることができる。海外投資家が自国経済に参加するのを禁止する一方で、多額の資本を国内の有望企業につぎ込んでいる。例えば、半導体産業を育てるためにこれまで1500億ドル(約17兆2000億円)を充ててきた。中国市場への参加を許された企業は、知的財産の譲渡をしばしば求められる。
必要なステップは3つ
中国を相手に賢い取引をするつもりなら、トランプ大統領は次の3つのルールに従うべきだ。
第一は、貿易政策と地政学を混同しないことだ。人は得てして、この衝動に駆られる。トランプ新大統領は、中国が南シナ海で主張する権利と台湾の主権問題を貿易に結びつけることで、自らの交渉力を高められると考えているようだ。しかし、愛国主義的な支持層の機嫌をとりたいのはなにもトランプ大統領だけではない。習国家主席にとって台湾は交渉の余地のない事柄であるし、南シナ海は「核心的利益」なのだ。
第二のルールは、現実に起きた不正に的を絞ること、そして、自らを傷める行為を避けることだ。大統領選の間、トランプ大統領は中国を為替操作国に指定すると公約していた。中国が今も為替に介入しているのは、元の急激な値下がりを防ぐためである。元安を導いて輸出業者を支えるためではない。
トランプ大統領が導入すると威嚇している包括的な関税の類は、最終的に米国の最貧民層に打撃を与えることになるだろう。米国の対中輸出品は航空機や農産物の分野に集中している。これは中国当局による報復に対して米国が脆弱であることを意味する。
第三は、現在の国際貿易体制が擁する機関に、中国の濫用行為を訴えることだ。そして「中国は世界貿易における模範的存在だ」とする習国家主席のはったりを暴くべきである。国際貿易を管理する機構は極めてうまく機能している。オバマ前政権は世界貿易機関(WTO)に中国に関する16件の申し立てを行った。このうち敗訴したケースは一つもない。
確かに、対立を好む短気な大統領には合わない方法かもしれない。WTOは貿易を巡る政治案件を、劇的ではない平凡なものに見せようと意図的に事を運ぶ。一つの案件が決着を見るまでに数年を要することもある。訴訟が増え過ぎればWTO自体がパンクする恐れもある。だがWTOへの申し立ては、トランプ大統領が第一の目標に掲げる米国経済の健全な成長を脅かす全面対立のリスクを軽減することにつながる。
皮肉なことに、トランプ大統領はTPPから離脱し、最大の懸案である中国経済に影響を与えるための最善の道に自ら背を向けてしまった。TPPは現時点では中国を除外しているが、将来的には、同国が環境を汚染したり、国営企業に助成金を与えたりするのを抑制できる可能性がある。
もしもトランプ大統領が本気で世界の貿易体制を改善したいのであれば、TPP条項の一部を復活させ、中国をはじめとする国々との重要取引の基盤として活用するはずだ。そうすれば見事な取引になるだろう。だが残念ながらそういう展開にはとてもなりそうにない。
© 2017 The Economist Newspaper Limited. Jan 28th- Feb 2nd 2017 | From the print edition, All rights reserved.
高濱記事
米ニューヨークのトランプタワーに到着したマイク・ペンス次期副大統領〔AFPBB News〕
本文敬称略
就任以来、バナナのたたき売りのように大統領令を連発するドナルド・トランプ第45代大統領。メディアに叩かれようと、米議会共和党から批判が出ようとも、トランプの「悪性自己陶酔症」(Malignant narcissism)*は収まりそうにない。
*ジョンズホプキンス大学医学部のジョン・ガートナー博士が「診断」したトランプの病状。反社会的行動、サディズム、攻撃的言動、パラノイア、誇大妄想がその特徴だという。
メキシコとの国境に「壁」を造る。イスラム教徒の入国を禁ずる。大統領選の最中に言っていたことを本当に実行に移すとは、トランプに票を入れた米国民も驚いている。世界は仰天している。
「壁」の方は、予算措置を米議会が認めなければ、すぐには実現しないが、イスラム教徒の入国禁止は大統領令発布と同時に実施された。これに疑義を申し立てた司法長官代行は即刻解任された。
反移民の草の根保守が拍手喝采する一方で、これに反対する「良識派市民」は米国内主要都市の空港で抗議デモを繰り広げている。
「国益第一主義」追求で「例外主義」放棄か
自由と民主主義を「衣」に纏い、Exceptionalism(例外主義=米国は他の国とは違う特別の国家だという信念)を金科玉条に第1次大戦以後、超大国にのし上がったU.S.A.は、トランプの下でその「衣」をあっさりと脱ぎ捨て、「国益第一主義」を追求する並みの国家になってしまうのか――。
Mike Pence: A Biography by Jesse Dawson A & E Television Network, 2017
もう少し様子を見ないと、即断はできない。
やりたい放題のトランプの一挙手一投足を傍らでじっと見ている、胸に一物ありそうな男がいる。今は何も言葉を発さない。第48代副大統領のマイク・ペンス(57)だ。
ワシントン政界を過去50年間、取材してきた米有力紙のベテラン・ジャーナリストは、筆者にこう述べている。
「今ワシントン政界で最も注目されているのがペンスだ。このままトランプが突き進めば完全に生き詰まる。そうなると、病気を理由に辞めるか、弾劾されるかだ」
「その時とって代わるのは、継承順位第1位のペンスだ。就任時はペンスが大統領に昇格する確率は五分五分だったが、今や七分、三分になってきたぞ」 ケネディを信奉していたカトリック教徒民主党員
そのペンスの本が2冊出ている。出版関係者は今後、ペンスものが続々、出るだろうと見ている。大統領への昇格を睨んだ「狸の皮算用」であることは言うまでもない。
トランプが2016年7月、ツィッターでペンスを副大統領候補に選んだと書き込んだ時、米メディアは「Pence Who?」とこぞって報じた。
中西部の小州、インディアナでは下院議員6期12年、州知事を1期4年務め、知らぬ者はいなかった。共和党下院ナンバー3の「下院議員総会長」としてワシントン政界では一目も二目も置かれていた。だが、全国レベルではペンスを知る人はあまりいなかった。
「一にキリスト教徒、二に保守主義者、三に共和党員」
ここで紹介する2冊の本を読み通して、浮かび上がるペンス像は以下の通りだ。
一、ペンスは1959年、中西部インディアナ州コロンバスに生まれた。祖父はアイルランド移民、父親はガソリンスタンドを経営するカトリック教徒だった。
ペンスは6人兄弟姉妹の3男坊で、幼い頃からカトリック教会のミサのAltar Boy(侍者)を務める信仰心の厚い子供だった。
一、地元の大学に入学、政治に関心を持った。特にカトリック教徒で初の大統領となったジョン・F・ケネディ第35代大統領を信奉していた。民主党支部青年部でリーダーとなり、1980年の大統領選挙にはジミー・カーター大統領候補(第39代大統領)の応援に加わった。
ー、その後、在学中に知り合ったカレンさん(現夫人)の影響を受けてキリスト教エバンジェリカルズ(福音主義)にのめり込んだ。
ケンタッキー州で行われたエバンジェリカルズ音楽祭に参加した際に「宗教的ひらめき」(いわゆるボーン・アゲイン・クリスチャン)を体験。それ以後「エバンジェリカルズ・カトリック教徒」になる。
その後の選挙ではエバンジェリカルズの多い草の根保守「ティーパーティ」(茶会)から強い支持を得たのもこうした背景があったからだ。
一、自らの政治理念を問われて、「まずキリスト教徒であり、次に保守主義者であり、共和党員だ」と答えている。
一、ハノーバー大学卒業と同時にインディアナ大学法科大学院に進み、地元法律事務所で勤務。1994年には地元ラジオ局のホストを務め、「宗教保守」的なメッセージを発信する。99年、下院選挙に立候補するが落選。2000年再び立候補して見事当選する。
一、ペンスは上下両院議員の平均的共和党議員に比べるとより保守的で、米国最大の草の根保守団体「アメリカ保守同盟」(ACU)の保守度査定では最高点を得ていた。
一、不法移民問題ではペンスは極めて柔軟だった。2006年にはジョージ・W・ブッシュ第43代大統領に移民法改正を進言する一方、インディアナ州立大学に入学した不法移民の子女の授業料を州出身者並みにする法案に著名したりしている。
一、ペンスは2015年、個人、団体から自分の心情に反する行為を要求された場合、宗教的心情を理由にそれを拒否する権限を認める条項を盛り込んだ「宗教自由回復法」に署名。ところがメディアから「同性愛者を差別する反動主義者だ」と激しい批判を浴びるや、これを撤回した。
一、また教育面では、2015年から本格的スタートを切るはずだった「コモン・コア・ステート・スタンダード」(義務教育期間の全国統一学習到達度テスト)から脱退、インディアナ州独自の学習到達度テストの導入に踏み切った。
一、州知事時代には日系企業誘致にも積極的で、北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋経済提携協定(TPP)には賛同する姿勢に終始していた。
一、2016年大統領選では当初はテッド・クルーズ上院議員(中間選挙途中で撤退)を支持、その一方でトランプを称賛する発言を繰り返すなど日和見的なスタンスを取り続けていた。
ぶれぬ座標軸に立ちながら融通無碍の風見鶏
こう見てくると、予想不可能な言動を繰り広げるトランプに比べ、ペンスは宗教的政治的スタンスでは確固たる座標軸があった。
と同時に、「宗教自由回復法」や「コモン・コア」、さらには自由貿易協定についても一度決めたことを状況次第で百八十度転換させる。
ペンスのこれまでの生き様を見て見ると、座標軸はぶれないが、政策スタンスでは融通無碍に修正したり、撤回したり、極めて現実的、風見鶏的なところが目立つ。
ペンスを下院時代、知事時代から取材してきたインディアナ州地元紙のベテラン記者は著者にこう指摘している。
「万一、トランプにもしものことがあってペンスが大統領になったとしたら、ペンスはトランプが出した大統領令をすべて反故にして、白紙に戻すことだってあり得る」
「ペンスにはそうした可能性を秘めたところがある。トランプのように大声で喚き立てるようなことをせずに、何もなかったかのように冷静沈着に180度大転換するかもしれない」
「敬虔なカトリック教徒、徹底した保守主義者」の「衣」を纏って、その本心を表に出さぬペンスの「本性」をリベラル系雑誌「ローリング・ストーン」のステファン・ロドリックが見破っている。
「ペンスが大好きな映画は『オズの魔法使い』だ。彼は常にカーテンの後ろで控えているように振舞う。だがトランプのホワイトハウスでの彼の影響力は計り知れない。それは最高裁判事選びから慣れ親しんできた議会のかっての同僚たちへの説得に至るまで及ぶ」
「同じカトリック教徒でペンスの竹馬の友の1人は、こうつぶやいた。『ペンスは司祭の傍者をするときもまるで司祭よりも信仰心の厚いものであるかのように振る舞っていた。今はトランプへの忠誠を誓っている。しかし本当にそうなのか、ただそう振舞っているのか。その答えを知っているのはペンス自身以外にいないよ』」
何やらペンスは、「信長トランプ」にとっては「明智光秀」的存在になってきた感すらする。
北村記事
英国で開かれた「ファンボロー国際航空ショー」で飛行したロッキード・マーチンの最新鋭ステルス戦闘機F-35(2016年7月12日撮影、資料写真)。(c)AFP/ADRIAN DENNIS〔AFPBB News〕
先週の本コラム「トランプの『防衛費増額』要求はこうして突っぱねよ」では、トランプ政権による在日米軍駐留経費の増額(例えば沖縄を本拠地にしている第3海兵遠征軍の駐留に関連する経費の全額負担、あるいは大幅増額など)に対しては、金銭に見積もれば日本側だけでなくアメリカ側も莫大な利益を享受している情況を示しながら日米交渉にあたるべきだということを指摘した。
ただし、これは「駐留経費」増額の要求に対してである。トランプ政権は駐留経費増額以上に日本の国防費全体の増額も求めてくるであろう。それに対しても突っぱねるべきだというわけではない。
日本の国防費が国際的指標ならびに日本を取り巻く軍事的環境から客観的に評価すると異常なほど少ないことは明らかである。トランプ政権からの国防予算の増額要求は、いわば外圧を契機として国防費を国際常識的規模にするための良い機会と言える。
国防費のGDP比が低い日本とドイツ
中国の覇権主義的海洋進出や北朝鮮の核戦力強化などに対応すべく、安倍政権は防衛費の増額を進めている。とはいうものの、増額の幅はいまだに微増レベルに留まっている。各国の防衛努力を数量的に指し示す国際指標である国防支出対GDP比は依然として1%レベルであり、国際社会平均(2.3%)の半分以下の状態が続いている。
ちなみに、日本の国防予算の規模そのものはストックホルム国際平和研究所(スウェーデン)が公表した国際比較(2015年)では第8位である。しかしGDP比はきわめて低い。
下の表はストックホルム国際平和研究所のデータより作成した国防支出トップ15カ国のデータである。表から明らかなように、GDP額が高い割に国防支出が低いのが日本とドイツだ。結果として両国は国防支出のGDP比がそれぞれ1%と1.2%と15カ国中最低レベルになっている。
国防支出トップ15カ国(ストックホルム国際平和研究所のデータより作成)
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49060)
トランプの言う「同盟力強化」とは
トランプ政権はオバマ政権下でGDP比3.5%以下にまで落ち込んでしまったアメリカの国防費を、かつてのレベルである4.0%以上に引き上げるという方針を打ち出している。この程度の額にしなければ、選挙期間中より公約してきた海軍力再建は不可能である。そして、アメリカ自身の国防費を増額する以上、NATO諸国や同盟諸国に対しても経済規模相応の国防費増額を要求することは必至である。
アメリカが国防費を増加させて戦力増強に努めるのと歩調を合わせ、同盟諸国も国防費を増加させ戦力アップを図ることで、アメリカと同盟諸国の総合戦力は大増強が目論める。これこそ、トランプ大統領が打ち出している同盟の強化の実体的意味である。
「同盟を強化する」と首脳同士が誓い合っても、自動的に同盟国全体の戦力すなわち同盟力がアップするわけではない。また、どちらか一方が国防費を増額し戦力強化に励んでも、他方がそのような努力を欠けば、それは同盟戦力の強化とは見なせない。それぞれの同盟国が経済規模や戦略環境に応じて、相応の国防費を計上して戦力アップを図ることにより、同盟力が強化されるのだ。
おそらくトランプ政権は、世界第3位の経済規模を誇る日本と同じく4位のドイツには、少なくともイギリスやフランス並みにGDP比2%以上、できれば国際平均値である2.3%程度を目標に国防費を引き上げるように要求してくるものと思われる。その場合、日本の国防費は11.5兆円まで引き上げられることになる。
従来の慣行では血税を無駄遣いするだけ
だが、仮に日本が国防費をGDP比2%程度まで、もしくはそこまではいかずとも1.5%程度まで引き上げたとしても、従来の国防予算編成の慣行から脱却しない限り、血税の無駄遣いを倍増させる結果となりかねない。
すなわち、予算が大幅に増えたからといって国防当局がここぞとばかりに「買い物リスト」をこしらえて「モノ先にありき」を繰り返すようでは、それこそトランプ政権の思う壺になってしまう。
「日本の国防費が倍増されそうだ」となったら、トランプ政権はアメリカの基幹産業たる軍需産業を陣頭指揮して日本への売り込みを図るであろう。
すでに日本への売り込みを始めている超高額兵器の弾道ミサイル防衛システム「THAAD」、F-35戦闘攻撃機などをはじめ、日本を売り込み先として狙う商品は少なくない。
同時に、アメリカ自身が高額すぎて調達に支障を来している最新鋭高性能超高額兵器を日本に売り込むことでコストダウンを図り、米軍にとっても手ごろな価格に引き下げる策を実施するであろう(例えばTHAADはあまりにも高額なため、アメリカ軍は思ったように配備数を増やせない。F-35も、トランプ大統領自身が高額過ぎるとクレームをつけた)。
米国のご機嫌取りでは同盟強化にならない
アメリカの超高額兵器を日本が多数購入すれば、トランプ政権は、日本政府やメディアを喜ばせるノウハウに長けているアメリカのシンクタンクなどと一緒になって「日米同盟が強化された」などというまやかしを並べ、日本側を持ち上げたり安心させたりするであろう。
しかし、自衛隊がアメリカ製の超高額兵器を手にしたとしても、必ずしも日本の防衛力が強化されるわけではない。場合によっては、日本防衛にとって決して効率の良いツールとはならない。莫大な予算を投入してアメリカ製超高額商品を調達する前に、そのような予算を投入して揃えるべき日本の防衛にとって不可欠なシステムがいくらでも存在するのだ。
地政学的戦略環境を考えれば、日本にとって国防費総額の倍増は間違いなく必要である。トランプ政権の外圧を利用することはその絶好のタイミングであるし、ひょっとすると最後のチャンスかもしれない。
しかし、アメリカに対する“ご機嫌取り”が、すなわち“日米同盟の強化”という誤った姿勢のままでいては、国防費倍増も無駄な出費に終わるだけである。そうした姿勢は即刻捨て去り、アメリカも日本も共に戦力強化に努め、トータルで同盟力を強化するという正しい方向性に向かわなければ、日米同盟が中国に太刀打ちできなくなる日が遠からず訪れることになるであろう
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