5/5ブログ狼魔人日記『オスプレイがネパール救援に出動!普天間基地のオスプレイ』 と4/12レコードチャイナ『日本の護衛艦「いずも」が空母になる日、中国がこれを左右する―米メディア』 記事について

日本の新聞と言うのは殆どが嘘を書きまくっているという事です。沖縄タイムズは大江健三郎の「沖縄ノート」を刊行、「沖縄戦における集団自決」を扱った裁判にもなりました。そもそもは沖縄タイムズの「鉄の暴風」という記事をヒントに書かれたもので大江は元軍人に取材をせず一方的に「軍命による自決強要」と断罪したもの。

2011年4月22日の産経新聞によると「太平洋戦争末期の沖縄戦で旧日本軍が「集団自決」を命じたとするノーベル賞作家、大江健三郎さんの「沖縄ノート」などの記述をめぐり、旧日本軍の元戦隊長らが名誉を傷つけられたとして、岩波書店と大江さんに出版差し止めなどを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は元戦隊長らの上告を退ける決定をした。集団自決についての軍の関与を認め、名誉毀損を否定した大江さん側勝訴の1、2審判決が確定した。決定は21日付。原告は元座間味島戦隊長で元少佐の梅沢裕さんと、元渡嘉敷島戦隊長の故赤松嘉次元大尉の弟の秀一さん。「沖縄ノート」と、歴史学者の故家永三郎さんの「太平洋戦争」の集団自決に関する記述をめぐり、「誤った記述で非道な人物と認識される」として提訴していた。争点は軍や元戦隊長らによる住民への命令の有無だったが、同小法廷は「原告側の上告理由は事実誤認や単なる法令違反の主張。民事訴訟で上告が許される場合に当たらない」として、判断を示さなかった。1審大阪地裁は「集団自決に軍が深く関与したのは認められる」と指摘して請求を棄却。2審もこれを支持し、控訴を棄却していた。」とあり、最高裁はノーベル賞の権威に恐れをなしたか、「軍の関与」ということにして、08年10月の大阪高裁判決で、集団自決の「軍命の有無」については強制はなかった言っているにも拘わらず、「表現の自由」を優先させました。「従軍慰安婦」と同じ構図です。「軍の関与」はあるのが当たり前でしょう。戦闘地域or配備されている地域なのですから。問題は「強制性の有無」です。

米軍のオスプレイがネパール地震で活躍しています。日本のような地震の多い国の物資輸送には最適でしょう。本年佐賀空港に配備されるそうですが、素人考えですが、やはり離島対策で沖縄に配備するのが良いのでは。与那国島に陸自が配備されるのでそこに駐機場、格納庫を造るのはどうでしょうか?そうすれば尖閣にも近く、物資供給にも役立つのでは。

またヘリ搭載護衛艦「いずも」には対潜ヘリやアパッチ、F-35Bが登載されるようです。オスプレイやいずもが抑止力となって中国の野望を挫くことになるでしょう。

狼魔人記事

沖縄2紙や翁長県知事が、声高に叫んでいた「危険な欠陥機オスプレイ」の反対運動は、寂として声なし。

何処へ消え去ったのだろう。

普天間飛行場を飛び立った「欠陥機オスプレイ」は、海を超え、あの山超えて谷超えて、ネパールの地震被災地に行ったとさ。

何のため?

勿論被災地のネパール住民を救援するため。

あれ? オスプレイって、「危険な欠陥機」ではなかったの?

それはねぇー、嘘つき新聞の琉球新報と沖縄タイムスがばら撒いた大嘘だったの。

何のため?

尖閣諸島収奪の野望を持つ中国様のため。

滑走路の要らないオスプレイは、沖縄のような離島の多い地域の防衛には最適なのよ。

【ネパール内陸山岳地震にオスプレイの有用性、普天間基地のオスプレイ派遣】

日本国内、特に沖縄でもマスコミは大きく報道していないが、普天間基地のオスプレイがネパールに派遣された。

道路素質が悪く、山岳地帯や高地での災害対処では、ヘリの運用は極めて有用だが、国際社会のヘリ支援には課題がある。ネパールは内陸国故に隣国のインド等の港に艦船でヘリを輸送してもそこから、ヘリコプター自身で、標高が高く、気圧が薄くかつ気象が変化しやすい山岳地帯を越えてネパールに移動しなければならず、日本の国際緊急援助隊登録のUH-1タイプではかなり厳しい。

その点、航続距離が長く、固定翼と回転翼の両方の機能を有するオスプレイは、滑走路がなくともある程度の空き地があれば着陸可能なので、艦船輸送やネパール国際空港の混雑の影響も受けにくい。将来の陸自にオスプレイが配備された際には国内の離島災害対処だけでなく、国際緊急援助隊の一部としても活躍が期待されるだろう。

今回、空自はCー130輸送機6機を運用し医療物資を輸送するが、航続距離の関係もあり、小牧基地を出てから4日かけてネパールに移動する。また、Cー130はCー2と違いUHー1を搭載することはできない。Cー2の早期開発と実運用が待たれる。

在日米空軍もCー17輸送機2機を運用してネパール災害派遣を始めたという。Cー17で支援物資をネパール国際空港等に輸送し、そこからオスプレイで各地に輸送する作戦も可能となる。また、Cー17は必要とあらばCH-47を搭載することも可能だ。エンジン出力や搭載量も比較的大きく、アフガンでの高地運用実績もあるCH-47の運用がネパールで開始されれば、支援のスピードアップも期待されるだろう。

贅沢な選択肢かもしれないが 、国内の離島対処にはオスプレイとC-1、離島以外の国内対応にはC-130とC-2、国外対応にはC-2、C-17 、KC -767を主体とする運用構想も望まれる。災害を含め事態発生時迅速な部隊展開や物資輸送は作戦運用の肝であり、輸送力の確保は統合機動防衛力の鍵でもある。

5/3 Nepal quake: US aid planes arrive in Kathmandu – BBC News

http://www.bbc.com/news/world-asia-32572533

Troops and emergency aircraft from the United States have arrived in Nepal to help deliver aid to remote areas hit by last week’s devastating earthquake.

Relief efforts near the epicentre have been hampered by a lack of aircraft.

About 100 US marines, two helicopters and four Ospreys capable of vertical take-off are now in Kathmandu.

Their arrival comes as Nepal’s only international airport has banned larger aircraft carrying aid from landing because of concerns over its runway.

More than 7,000 people died in the magnitude 7.8 earthquake. More than 14,021 people were injured.

The epicentre was in the Gorkha region, and many roads to the hilly district are impassable due to landslides.

The six aircraft are due to begin aid flights on Monday.

Helicopters at Kathmandu’s Tribhuvan airport

Brig Gen Paul Kennedy said: “We’ve got search and rescue teams waiting to go out to the remote areas, we’ve got relief supplies, especially shelters.”

New restrictions on planes landing at Kathmandu airport will not affect aid flights, a Nepali government spokesman said.

Planes heavier than 196 tonnes had been allowed to land since the earthquake but restrictions have been imposed because of potholes on the runway, officials say.

Also on Sunday, the United Nations said the problem of customs controls holding up aid deliveries from the airport was “diminishing”.

“The government has taken note of some of the concerns that we’ve expressed to them and they’ve addressed those,” said Jamie McGoldrick, who is co-ordinating the UN relief effort in Kathmandu.

Landslides and poor weather have hampered efforts to deliver aid to isolated areas.

The death toll could go up, as search and rescue efforts continuing in several hill districts including Dhading, Rasuwa and Sindhupalchok, the government has said.

While the vast majority of casualties were in Nepal, about 100 people are reported to have died in neighbouring India, China and Bangladesh.

On Sunday, Nepali police released a list of foreigners who had been killed or injured. The largest group of nationals affected is Indians, with 39 known to have died and 10 injured.

The EU envoy to Nepal, Rensje Teerink, said on Friday that the whereabouts of 1,000 EU citizens was still unknown.

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Two helicopters and four Ospreys have been sent by the US to Nepal

victims for Nepal earthquake

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Victims from the Sindhupalchok district were airlifted to Kathmandu on Sunday

レコードチャイナ記事

2015年4月9日、環球網は米メディアの記事を引用し、海上自衛隊の最新護衛艦「いずも」が空母に増強されるかどうかは、中国の戦闘機配備が大きなかかわりを持ってくると紹介した。

先月25日に就役した「いずも」は、中国をはじめとする多くの国から空母だとの指摘が上がっているが、実際にこれを空母に増強するには莫大な費用がかかる。現在、F35B戦闘機が1機当たり1億1600万ドル(約140億円)といわれる中、空母とするには十数機の戦闘機調達が発生するほか、甲板の強化も必要となるため、最終的には「いずも」本体と同等のコストがかかる見通しだ。

ただ、「いずも」がこの先、どの方向に舵を切るかは中国にかかっており、中国が殲-20や殲-31など第5戦闘機の規模を拡大し続ければ、日本にとってはこれが都合の良い口実となる。

日本側は「いずも」をヘリコプター搭載護衛艦だと説明しているが、通常の護衛艦の長さは248メートルに届かない。排水量の規模や甲板の形状、ヘリコプター搭載能力からみても、「いずも」は諸外国から空母と見なされ、特に中国は警戒感を募らせている。日本は「防衛」を強調するが、同様の理由は空母にも適用できる。日本は世界3位の経済大国だが、国防に多額の資金を投入できるほどの余力はない。中国の軍備拡大に対抗するというのであれば、日本はいっそうの検討が必要だろう。

10年後、「いずも」の甲板にヘリコプターだけがあるのであれば、東アジアの情勢は比較的平和だと判断できる。しかし、戦闘機の姿があれば、それは日本と中国の緊張状態がさらに強まったということだ。(翻訳・編集/野谷)

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9日、環球網は、海上自衛隊の最新護衛艦「いずも」が空母に増強されるかどうかは、中国の戦闘機配備が大きなかかわりを持ってくると紹介した。写真は「いずも」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤優『修羅場の極意』を読んで

佐藤優の本で思い出すのは「アメリカの情報将校が言った言葉“秘密情報の98%は公開情報から得られる”」というフレーズです。ですからいろんな情報をネットから取るだけでも、外国の公開情報を集めなくても、ある程度の動きが掴めると思います。日本のマスメデイアは偏向しているので、これだけだと偏った見方が刷り込まれます。バランスを取るうえでネットは大事です。情報弱者にならないためにも。こういう不断のチエックが選挙の時の判断に役立つと考えます。

さて、本の内容ですが、確かにプーチンは裏切り者は許さないでしょう。でもだからと言って利用しないことはないでしょう。中国同様いろいろと聞いたと思います。

4/30「西村眞悟の時事通信 安倍総理、よく健闘されたなあ」の中から抜粋します。 

http://www.n-shingo.com/jiji/

【ナポレオンが言った言葉を思い起こさせたであろう。  「余は、優柔不断の味方よりも、果敢な敵を愛する」

マックス・ウェーバーが、戦後(第一次世界大戦)の心構えとして言ったことも書いておこう(「職業としての政治」)。

「男らしく峻厳な態度をとる者なら、戦後になって『責任者』を追及するなどという愚痴っぽいことはせず、敵に向かってこう言うであろう。

 『われわれは戦いに敗れ、君たちは勝った。さあ、決着はついた。』  ・・・これ以外の表現は総て品位を欠き、禍根を残す。」】

やはり名を残す人は違います。戦争と言うゲームに勝ったとしても敵の敢闘精神を讃える余裕と気位の高さは尊敬を集めるでしょう。どこかの国々のように逃げ回るか抵抗もしないで、敗戦国の敢闘精神を讃えることもなく、歴史の改竄・捏造に血道を上げているのは愚かなことです。

命を賭けても守るべき存在を昔の日本人は皆持っていました。靖国神社に掲載されている「遺書」を読めば分かります。昭和40年代くらいまででしょうか。三島が自決した後は、精神的頽廃が始まったのでしょう。

英語を日本語に替えて学ぶ愚かさに気づかない日本人が増えて来たという事でしょうか?白人が世界を支配してきた歴史を学べばそうはならないでしょう。キチンと日本史、世界史を学んだ上で英語を勉強し、批判の目を養えるようになればよいと思います。勿論、外国語を話すことができるのは楽しいことです。小生も英会話と中国語会話を習っています。外国旅行に便利ですから。それと日本人の立場を外国語で表現できたらとの思いで習っています

内容

P.100~102

インテリジェンス•オフィサーの職業的良心は、国家のためにすべてを捧げることだ。この観点で、インテリジェンス機関は、アナーキストに対して先天的な忌避反応を持っている。

「裏切り者は敵よリ悪い」というプーチンの信念

六月二十一日までに米司法当局はスノーデンを訴追した。同二十三日、スノーデンは香港を出発し、ロシアを経由して、中南米に向かおうとした。しかし、米政府が

同日、スノーデンの旅券(パスボート)を無効にしたため、同人はモスクワのシェレメーチエボ国際空港で乗り継ぎの飛行機の切符を購入できなくなった。有効な旅券を持たないので、ロシアに入国することもできない。六月二十三日以後、スノーデンはシェレメーチェボ空港の国際線トラ ンジット(通過)地区に滞在している。

もっともトランジット地区には一般利用者とは切り離された政府高官や外国要人のみが利用できる特別室がある。ここはマスメディアを完全に遮断することができる。このような場所にスノーデンは隔離されているのであろう。当然、FSBの完全な監視下に置かれている。米政府はスノーデンの引き渡しを要求したが、同二十五日、フィンランドのナーンタリで会見したロシアのプーチン大統領は、〈米国との間に犯罪者引き渡し条約がないなどと説明。 また、スノーデン容疑者が国境を越えておらず、査証(ビザ)を必要としないことから拘束もしないとの考えを示した。/さらに、「(容疑者を支援しているとの)ロシアに対するいかなる非難も常軌を逸しており、ばかげている」と述べ、米国をけん制した。 (六月二十六日、ロイター)。

ただし、プーチンはスノーデンにまったく好意を寄せていない。プーチンは、「元インテリジェンス・オフイサーは存在しない」という発言を好む。「インテリジェンス機関に勤務した者は、一生、この世界の掟に従うべきだ」というのがプーチン大統領の信念だ。「裏切り者は敵より悪い」というのがこの世界の掟だ。プーチンが勤務した旧KGB (ソ連国家保安委員会)の場合、敵陣営に逃げ込んだ裏切り者に対しては、非公開で行われる欠席裁判にかけられ、死刑が宣告された。

もっとも実際に殺し専門部隊が編成され、裏切り者を消す場合は、ごく一部に限られた (KGBも役所なので、予算と人員に限りがある。小物にまでかかわっている暇はなかった)。 それでも死刑判決を言い渡されたという事実は、逃亡した元インテリジェンス・オフイサーにとって心理的重圧になった。いつKGBの魔の手が迫ってくるかと怯えながら生活することになるからだ。また、このような厳しい対応は、KGB現役職員の裏切りに対する抑止要因になった。インテリジエンス機関に勤務した経験のある者は、生涯現役で、国家のために尽くすべきだというのがプーチンの倫理観だ。プーチンはKGB第一総局(SVRの前身)の工作員として東ドイツで勤務した経験がある。それだからインテリジエンスの掟の厳しさを皮膚感覚で知っている。

スノーデンはロシア国家に協力したスパイではなく、自ら手を挙げて米国のインテリジェンス機関に勤務しながら、国家に反逆した裏切り者だ。国家主義者であるプーチンは、「米政府が世界中の人々のプライパシーやインターネット上の自由、基本的な権利を極秘の調査で侵害することを良心が許さなかった」というような素朴な正義感を強調するインテリジェンス•オフイサーが存在してはならないと考えているのであろう。

P.122~125

絶対的価値感を持つ者は克服できる(内村剛介について)

外務官僚も、特捜検事も、内村氏がいう意味で、「人間的」なのである。そういえば、ソ連時代にソ連共産党官僚やKGB機関員がいかに「人間的」であるかを筆者は目の当たりにした。裏返して言うと、こういう「人間性」を克服するために、筆者は神に身を委ねることの重要性を再認識した。内村氏は、神を失った人間を結びつける鍵となる概念がロシア語の「ブラート」であると考えた。

〈「ブラトノイ」=またの名を「ヴォール」ともいう。この語は「ブラートの人」「結び合った人」「血盟の人」を意味する。

「ブラート」=コネ。有用な結びつき。おそらくイデイシ(ユダヤ人のことば)が起りである。十九世紀からオデッサで用いられはじめたが、その後「一般」のロシア語にも用いられるようになる。オデッサは古来ロシア犯罪人たちの故郷、犯罪人たちの首都でこの状態は二十世紀三〇年代の終りまでつづいた。この犯罪者たちの頭目に伝統的英雄が多々あり、それはしばしばユダヤ人であった。イデイシの「ブラート」が採りあげられるようになるのは自然な成りゆきであろう。

プラトノイがロシア全土にわたる組織を作ったのは一九一七年政変のはるか以前である。ブラトノイ同士の連帯は固く、彼らは他のブラトノイを文字通り命をかけて衛る。ブラトノイの間で紛争が起れば、トルコヴィシチエと称する裁判にかけるが、その判事パハンの決定は最終的で控訴は許されない。戦いはブラトノイの常だ。ブラトノイはみずから犯罪者界のエリートをもって任じ、彼ら以外のものをマスチ(毛並)によって区別する。〉 (前掲書三七〜三八頁)

ロシア人同士で、「ブラート」と言うと、通常、コネを指す。コネで不正に何か物やポストを得たときに、ロシア人は片目をつぶって「パ•ブラートゥ」と言う。あるいは結束の強いマフィアのような集団も「ブラート」と言うが、これは日常的にはあまり使わない。内村氏が呼ぶ「ロシア無頼」とはブラトノイ集団のことだ。この集団が持つ独自の掟について内村氏はこう説明する。

〈ブラトノイは「法」なるものを、「規範」一般を深く軽蔑する。自分たちの不文律だけが彼らの法なのである。ブラトノイは彼ら以外の者=ブラトノイでない者、すなわち権力の手先やほかの犯罪者一般、いわゆるフライエル(「フライ」「フリー」「自由」から出た語=「とうしろう」)その他を無視している。監房へ連れてこられるとドアが閉まらぬうちにもうブラトノイはこういう–              「リユージおるか?」。リユージとは一般には人の複数形、つまり「ひとびと」を意味するが、特殊ブラトノイ的には彼ら自身のみを指す。そこに何百人いようとブラトノイは「リユージおるか?」と言ってのけ、この数百人の囚人を「ひと」と認めないことを宣言するのである。囚人の群れのなかのブラトノイが答える。「こっちへこい」。こうして特殊な訊問がはじまる。ほんものかどうかをしらべるのである。

ブラトノイのふりをするのはとても危険である。自称ブラトノイはこうしてやがて切り殺される。フライエルに対してブラトノイぶるだけならリスクはない。フライエルたちは自分をおどす者をブラトノイだと思い込むからである。〉 (前掲書三九頁)

要するにブラトノイは、国家によって定められた法規範よりも、自らの掟を優先させる人々ということだ。その意味で、イエス・キリストによって定められた掟を国家の法規よりも重視するキリスト教徒も、ブラトノイ集団の一種だ。筆者は獄中でキリスト教信仰を内村氏の知的遺産を強化するために用いたのである。

7章のことば

「恐いと思うときでもなお己の臆病風を克服し己のモラルに立って歯向っていく」(内村剛介)

■解説

命を賭けてでも守らなくてはならない絶対的価値を持っている人は、どのような試練であっても克服することができる。

P.147~148

個人が個として書きことばにむかいあう(藤原智美)

藤原氏は、インターネットの普及による人類の知的構造の変化について、存在論的な考察を展開している。哲学、言語学、歴史学の専門的な知識がない読者も十分についていくことができるていねいな文体だ。ただし、思想の内容は高度である。まず、英語の普遍化が日本語力を弱める危険性についての考察が鋭い。

〈日本語の土台の上に接ぎ木するようにして得た道具程度の英語力は、しよせんそれを母語とする人たちにはかなわない。英語と言う土俵に上がるまえに決着がついています。つまりその土俵とは思考そのものであり、日本語で考える人は圧倒的に不利なわけです。言語のルールは常に母語を使えるものに有利になっています。このルール上の優劣が英語化への圧力をさらに強めています。

将来を悲観的に見るなら、英語を母語のように使う人々と、日本語「しか」使えない人々との階層分化が起こるかもしれません。英語が巧みで英語的思考をするほうがその人にとって利益を生むと考えれば、日本語を学習することにエネルギーと時間を使うことは浪費と考えられるでしょう。

実際にその時代のその土地における経済力、覇権構造によって、多くの言語が消えていきました。グローバルネットワーク拡大のもうひとつの側面は「英語」対「他の母語」という言語間の戦争なのです。それは静かに、しかし急速に進行しています。〉

(藤原智美『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』 文藝春秋、2014年、三三〜三四頁)

5/2 ZAKZAK『習主席に脅威 側近に“黒いカネ”爆弾 「反腐敗運動」トップ自ら汚職疑惑』記事について

権力闘争の凄まじさです。中国で賄賂を取らない人はいないので、皆臑に傷を持つ身。政敵を倒すための手段だから、窮鼠猫を噛む場面は出てきます。悪がお互いに潰れることはいいこと。中国国民も喜ぶのでは。でも誰が為政者になっても「悪」そのものに変わりはないので、可哀想と言えば可哀想。日本はいい国ですよ。悪しざまに言う人間の気がしれません。よその国に旅行でなく、住んでみればすぐに分かります。

王岐山がアメリカに行って、犯罪者の引き渡しを要請すると言うのは聞いていましたが、スキャンダル潰しとは思いませんでした。習政権の幹部のSEXビデオがアメリカで出されれば、“厳打”はやむかもしれません。でもアメリカは出さずに、外交取引の材料とするでしょう。でも香港にいたスノーデンから中国もアメリカのCIAの傍受情報を握っていると思われるので相討ちになるかも。でも薄熙来の部下だった王立軍から成都のアメリカ総領事館で情報を取っているので、アメリカ有利か?

9月に習近平が国家主席として初の訪米をしますが、本当にそれまで持つかどうかです。北朝鮮の金正恩が訪露を止めたのも、クーデターを懸念してのことだろうと思います。ゴルバチョフの例もありますから。行ったとしても、国連で演説するのか、上下院で演説するのか知りませんが(自由主義陣営の敵対勢力としての共産党首脳に演説させるとしたらフルシチョフ、ゴルバチョフ以上の扱いになる。上下院とも共和党優勢だからそれはないと思いますが)、今度の安倍首相の米議会演説で、「昨日の敵は今日の友、日米同盟の確個たる紐帯」を示した以上、戦勝国クラブの一員としての演説はしにくくなったというか、やったら馬鹿にされると思います。安倍外交の勝利でしょう。青山繁晴氏は優柔不断のオバマついて心配していますが。

「ぼやきくっくり」の青山繁晴氏の安倍首相の訪米と習主席の訪米についてのコメント

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1715.html

記事

 「一族が巨額資産を保有」と米紙に暴露された中国・習近平国家主席。その権力基盤が揺るぎかねない重大懸念が浮上している。「反腐敗運動」を主導する腹心、王岐山・中国共産党中央政治局常務委員ら政権中枢幹部のスキャンダルが炸裂(さくれつ)しそうなのだ。背後で暗躍するのは「権力ハンター」「闇の帝王」などの異名を持つ謎多き政商と、失脚した大物幹部を兄に持つ実業家。中南海(党・政府所在地)に激震をもたらす爆弾情報とは-。

 「スキャンダルが公になれば、『反腐敗運動』は頓挫しかねない。それだけに、われわれの同胞はみな事の成り行きに注目している」

 中国共産党の高級幹部の子弟「太子党」関係者はこう声を潜める。

 中国人社会の間で注目を集める「スキャンダル」とは、習政権を支える氏に関するものだ。

 習氏が推し進める「反腐敗運動」で、腐敗官僚たちを次々と血祭りに上げている「党中央規律検査委員会」。その書記を務める王氏は、取り締まり側の現場責任者として辣腕(らつわん)をふるってきた。運動を、政敵潰しと国民の人気集めに利用してきた習氏にとって、政権の屋台骨を支えるキーマンともいえる。

 その王氏に関する不穏な情報が出回っている。

 「郭文貴氏という中国人実業家が、亡命先の米国で受けた米国メディアでのインタビューが発端だ。このなかで郭氏が、王氏自身も過去に汚職に関与していた…とほのめかした。事実なら、『反腐敗運動』の取り締まり側のトップが腐敗していたことになり、運動そのもの、ひいては習政権の正当性が問われることになる」(先の太子党関係者)

 習政権中枢の大物幹部のスキャンダルを握っているとされるこの郭氏。最近まで謎多き人物として正体が知られていなかった。

 複数の中国メディアによると、年齢は48歳で、「謎の実業家」「権力ハンター」などの異名を持ち、155億元(約2976億円)の資産を持つとされる。

 中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は、「北京経済界で『闇の帝王』といわれる政商だ。表向きは北京政泉証券の経営者だが、株価操作などを介して大企業の幹部らと親しく、あらゆる汚職、収賄事件に関与した疑いがある。2008年の北京五輪に絡む開発プロジェクトで暗躍し、『バンゲ会』という秘密結社のような利権集団を組織して、巨万の富を得たともいわれている。14年末に中国を出国し、英国に短期滞在後、米国に入ったことが確認されている」と話す。

 王氏は、03年から07年まで北京市長代行、同市長を歴任しており、北京五輪組織委員会執行主席も務めた。中国メディアによれば、この時期に郭氏と関係を持ち、汚職に絡んだ疑惑があるという。

 習政権にとっての脅威はこれだけではない。

 習氏に失脚させられた令計画・人民政治協商会議副主席の弟、令完成氏の存在だ。

 『月刊中国』の発行人である鳴霞(めいか)氏は、「令完成氏は、新華社通信の記者を経て、広告会社のトップにまで上り詰めた。兄の威光をバックにメディア産業で巨万の富を形成し、この過程で習政権の幹部のスキャンダルを握ったとみられている。彼は、幹部の情事の一部始終を収めたビデオを隠し持っているとも噂されている。一時は中国当局に身柄を拘束されたともいわれたが、米国に亡命を果たした可能性が高い。習氏は、隠し球として彼が持つ政権幹部のスキャンダルが公表されることを恐れている」と解説する。

 習氏の意向を受けて渦中の王氏が、近く米国を訪問する意向であるとも伝えられている。この場で、米連邦捜査局(FBI)に米国に亡命した腐敗官僚の摘発への協力を求める見込みで、郭氏と令完成氏の存在がその念頭にあるのは明らかだ。

 「2人の動向にピリピリしているのは間違いない。習政権は『反腐敗運動』への国民の支持によって持っているようなもので、その正当性を覆すようなスキャンダルがこのタイミングで出るのはまずい。政権運営に響く、そうした事態だけは避けたいと思っているはずだ」(鳴霞氏)

 赤い帝国に衝撃は走るか。

5/3 日経AIIB関連記事について

またまた財務官僚と日経の悪い癖が出ました。両方とも中国に対する見方が甘いです。中尾総裁はアメリカと下打ち合わせした上で発言しているとは思いますが、歴史観・世界観に乏しいです。オバマもそうですが。孫文に騙され、西原借款で段祺瑞に騙され、今も中国に南京虐殺、慰安婦という改竄・捏造された歴史問題で糾弾されているというのに。アメリカが衰退しているからといって韓国のように中国に擦り寄るのでは道義も何もあったものではない。ましてや相手は共産国。中国が民主化するかどうかは分かりませんが、なったとしても韓国と同じようになるだけ。選挙が行われるだけで、基本的人権(言論の自由を含む)や法治(司法権の独立を含む)は韓国同様、確保されないと言えば分かり易いでしょう。両方の概念は自己中心の中国人には多分理解されることはないでしょう。民主化される場合、今の中国の版図のままかどうかも分かりませんが。

中国は100年後に覇権をアメリカから奪おうと考えていると思います。「韜光養晦」です。ジワリ、ジワリとアメリカが許容するところまで攻めてきて、気がついたら逆転しているという構図を描いていると思います。オバマは有能な弁護士かもしれませんが、アメリカの最高司令官としては不適です。次はヒラリーと言われていますが、中国人の政治献金で味噌がついた人間に中国に対して厳しい政策は採れません。選ぶのはアメリカ人でどうしようもないですが。

AIIBに協力するというセンスが分かりません。共産党統治の延命を図ることになります。それが本当に世界のためになるのでしょうか?中国は日本が入ればイザと言うときに日本が肩代わりしてくれると思ってるハズです。それで誘っています。日本の信用で自分の目的である覇権を達しようとするのですから。いい加減お人好し日本人は卒業した方が良い。日経のASEAN高官から聞いた話と言うのは華僑の末裔ではないですか。中国に郷愁を持っている人たちだから祖国が有利になることを願っていると思った方が良い。やがて中国が強大になれば、国が奪われるかもしれないのに。大体インフラ投資と言いながら自分たちが賄賂を取る機会を増やし、額を大きくしたいだけでしょう。ADBの融資基準に合わないものに本当にAIIBが融資しないでいられるか、ありえないでしょう。中国の乱脈経営に巻き込まれるだけです。三重帳簿、偽装倒産が当たり前の国なのに。日経こそ、過去に中国進出を煽って、企業に損をさせた張本人なのに。少しは「反省」した方が良い。そうでなければ、中国撤退セミナーがはやるはずがありません。

アジア投霞と協調融資 アジア開銀国際基準尊重で一致

【パクー(アゼルパイジャン東部)=佐竹実】 アジア開発銀行(ADB) =3面きょうのことば=の年次総会が2日、アゼルバイジャンの首都パクーで開幕した。中尾武彦総裁は記者会見で、中国主導で創設されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)と協調融資を実施する考えを表明した。AIIB側と融資の際に国際基準を尊重することで一致したためだ。ADB の増資についても前向きだ。(関連記事3面に) 中尾総裁はAIIB総裁に就任する見通しの金立群•中国元財政次官と1日に会談した。中尾氏は「社会環境保全などの基準の重要性について意見が一致した」と述べた。 ADBは自行と同等の国際墓準を満たすことを協調融資の条件と表明しており、AIIB側がこれを受け入れた形だ。アジアでは年間8000億ドル(約96兆円)のインフラ需要が見込まれる。ADBだけ満たすのは難しいため、中尾総裁はAIIBとの協調融資に「様々な相乗効果が期待できる」と語った。

ADBは2日、自己資本と低所得国向け基金を2017年に統合し、融資枠を1•5倍の200 億$に拡大することで正式に合意した。総裁は「近い将来の増資や出資比率の見直しについても引き 続き検討する」と述べた。

アジア開銀迫られる改革 アジア投資銀を意識 民間資金活用急ぐ

【パクー(アゼルバイジャン東部) =中村亮】アジア開発銀行(A D B) の年次総会が2日開幕し、中尾武彦総裁は記者会見で業務の改革を加速させる考えを表明した。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が求心力を高めるなかで「利用される銀行」への改革を迫られる。採算が取れる案件の提供などで、民間マネーをどれだけ引き出せるかがカギを握りそうだ。(1面参照)

総裁、将来の増資に言及

「(民間資金などの) リソ—スの有効活用を進める」。中尾総裁は会見でこう力説した。「AIIB創設を前提にした長期戦略が必要になる」(日本の財務省幹部)なかで、 ADBは返済が確実な案件をつくり、民間マネーを呼び込むことに重点を置く。

中尾総裁は「我々には50年の歴史がある」と述ベ、1966年の設立から蓄積したインフラ向け|融資の経験やノウハウ、人材を強みに挙げた。A IIBに足りない利点を生かすことで、返済が確実で民間が参加しやすい案件をつくる考えだ。

■3メガ銀などと提携へ

年次総会では、日本3メガバンクや欧米の金融機関とインフラ案件づ<りで提携する見通し。具体的には、ADBと日米欧の金融機関が新興国の入札手続きや事業者の選定などで助言し、民間企業が参入しやすい案件づくりを支援する。 官民でつくったインフラ事業に資金を提供する新基金の構想もある。

ADBが民間との協力を急ぐのは、途上国のインフラ需要を満たすカギを握るからでもある。経済協力開発機構(OECD)によると、先進国から途上国への民間投資は直近で年間3000億ドルほど。リーマン•シヨックで落ち込んだ2008 年から2倍以上増えた。これに対し、政府開発援助(ODA)は約1割の増加にとどまる。

ADBは16年から融資案件の審査期間を15カ月間と12年比で6カ月ほど早めるほか、教育や保健分野への融資比率を上げる。融資枠も17年から5割増やし、融資の「質と量」の改革を急ぐ。

■新興国の動きに焦りADBの動きの裏にあるのは、新興国が独自路線を打ち出していることへの焦りだ。AIIBは今年末の設立を目指す。

それ以外にも中国単独の「シルクロード基金」や中国やインド、ブラジルなどが出資する「BRICS銀行」など、新興国による開発金融機関創設が相次ぐ。ADBが割安な資金を提供する貸し手の役割を続けるだけでは、存在感が低下しかねない。

「将来の増資をあきらめていない」。中尾総裁は記者会見で、09年以来の増資の可能性にも言及 した。国際通貨基金(I MF)は米議会の反対で実現していないが、10年に新興国の発言権を増やす改革案に合意済み。ADBはこうした改革が手つかずだ。新興国の不満は根強く、AIIB支持を表明した新興国に配慮を迫られた。

ADBも「経済規模に応じて国際機関の発言権を変えないと、将来的には立ち行かなくなる」(国際金融筋)との声が多い。出資比率(14年末時点) は15.7%の日本がトップで、15. 6%の米国が続く。一方、中国は6 .5%、インドは6.4% にとどまる。新興国の発言権を強める形での増資に踏み切れるか。増資計画はADB改革の試金石にもなる。

【ADB改革とA I IBを巡る中国の主張】

(ADB改革の概要)

・2017年に融資枠を1.5倍の200億ドルに拡大

・特に教育と保健分野への融資を拡大

・現地事務所の権限強化などで融資の審査期間を短く

・民間金融機関との連携を強化

(AIIBを巡る中国の主張)

・アジアの膨大なインフラ需要に応えたい

・ADBや世界銀行よりも迅速に意思決定する

・ADBや世界銀行に取って代わるのではなく補完する

・日本も参加してほしい

日曜に考える 中外時評 アジアの中でどう生きる 国開き耳傾ける努力を 論説副委員長 実 哲也

一言でいえば「残念」ということになろうか。

日本が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に創設メンバーとして加わらないことについて、東南アジアの識者らに感想を聞いた話だ。

インドネシアのハッサン元外相は「我が国のインフラ需要は増しているが、財源には限りがある」とAIIBへの期待を表明。そのうえで「日本は既存の国際金融秩序の恩恵を受けている。AIIBの意思決定のあり方を懸念するのもわかる。だが、中に入って改善策を議論する道もあるはずだ」と指摘する。

シンガポールのストレーツ• タイムズ紙のW.フエルナンデス編集長も「中国のための組織にしないように、日米豪などが早い段階から影響力を行使すベきだ」と語る。「世界が動いているのに日本の外交は古いまま。米国に追随したということだろう」(シンガポール国立大公共政策学院のK•マブバニ院長)と辛辣な声もあった。公正な融資の決定や環境へのアジアの利益を考えたうえでの判断か。いや、そうではなく中国の台頭阻止や日米関係強化が先に立った判断なのではないか。識者の声からはそんな疑念ものぞく。

円借款によるインフラ建設や人材育成などの支援を進めてきた日本への信頼が、AIIB不参加によって損なわれることはなかろう。海洋権益拡大に動く中国への警戒感が増しているのも事実。対抗勢力としての日米の存在は地域にとって重要だ。

だが、そうした状況に安住していいのか。日本はアジアの中で前向きな役割を果たしていくという強い意思をここで改めて示す必要があるように思える。

そのためにはアジアの声に耳をすまし、現実やニーズをもっと理解しなければならない。

「東南アジア諸国連合(ASEAN)は経済の発展や統合で自信を深めている。上から目線は通用しない」。ASEANの 統合過程などに詳しい大庭三枝東京理科大教授は語る。

2000年に日本の13%しかなかったASEANの経済規模は19年には3分の2に達すると国際通貨基金(IMF)は予測する。地場企業が伸び、米中欧など世界から企業が集まり競う熱気あふれる場になっている。

その中でどの大国にもなびかず、パランスよくつきあって果実を得るしたたかさを身につけてきた。日本は相手国の1つにすぎず、経済協力をしてきたから言うことを聞いてくれるはずという気持ちが少しでも出れば、反発を招<という。

国際交流基金の小川忠•東南アジア総局長は「1974年のジャカルタ反日暴動を経て、心と心のふれあいをうたった福田ドクトリンに沿って日本が動いたことで東南アジアで親日感情が育まれた。これにあぐらをかかず、相互理解の種をまき続けないといけない」と強調する。 気になるのは、インドネシアで増えている労働争議でロウムシャという言葉が時に飛び出すことという。日本占領期に強制徴用された人々をさす。新しく進出してくる日本企業は歴史にも目を配るべきだと説<。

日本に求められるのは何か。インフラ支援や企業の投資は今後も重要だが、それだけではない。インドネシアの経済誌「グローブ•アジア」のS.力グダ編集長は「日本と東南アジアは双方向の関係強化が必要。日本はもっと農産品などのモノを買ったり、看護師など人材を受け入れたりしてほしい」と言う。 「高齢化が進む日本と若者が多い東南アジアでは人材を補完し合える」(ハッサン元外相) のは確かだろう。日本への留学生も増やしたい。東南アジアからの留学先としては日本より米国や中国の方が圧倒的に多い。

アジアの対日投資も促すべきだ。シンガボール企業の出資を受けた車両輪送会社「ゼロ」の北村竹朗社長は「アジア市場での展開がしやすくなった」と語る。強いアジア企業の投資は日本経済の活性化につながる。

日本の期待も適切に伝える必要がある。例えば事業の妨げになる不透明な規制•慣行の撤廃や知的財産権保護などだ。インフラ投資の優先順位や資源輸出では双方の利害が食い違うこともある。要求をうのみにする必要はないが、長期的視野に立って対応すべき局面もあろう。

成長するアジアの活力を取り込むことは日本経済を強<する前提条件だ。それには懐に深く入り込み、物心両面で結びつきを強めなければならない。

5/1泉 ユキヲの 国際派時事コラム『日米はともに戦勝国だ @ 安倍総理演説』について

日本のメデイアはいつも中韓がこういうことを言ってる、NYTがこう言っていると馬鹿の一つ覚えのように言っています。進歩の言葉を知らない人達です。そういう言説は中国の日米分断を利すると考えたこともないのですかねえ。それでは知性が泣くでしょう。やはり不買を進めないと分からないのでしょう。

「エイブ」の話は「honest Abe」(リンカーン)から取ったものです。原稿を作成した方達はいろんなことを考えて作っている気がします。中韓からの批判が出ても受け流せる内容と思います。

8/15の70年談話もこの線で発表されるでしょう。「侵略」と「お詫び」はなしです。オバマ大統領、上下院でお墨付きを得たのですから、中韓が何を言おうと関係ありません。マイクホンダのような韓国系アメリカ人の票を当てにしてる議員はブツブツ言って来るでしょうが、相手にしないことです。首相の言う「戦後レジームからの脱却」がやっとスタートしたという事です。中国は日米分断の為、子分の韓国を使いながら、いろいろ仕掛けて来るでしょう。特に日本のメデイアを使いながら。

日本人もいい加減気が付いた方が良い。中韓の言ってきたことが正しいのかどうか?自分で調べればすぐ分かります。慰安婦は朝日が取消し、韓国の女性家族省も「強制性なし」と明言するに至りました。南京虐殺もすぐ嘘と分かります。当時の南京市民は20万しかいなくてどうやって30万も殺せるのか?また遺体処理は?孫子の遺伝子を持つ民族です。嘘を世界に広める情報戦で圧倒的に日本は負けています。戦闘レベルの優秀さを追求するだけでなく、世界観や戦略レベルでも勝たないと。やはり、日米豪印、ASEANの同盟が大事です。

南沙諸島の軍事基地で4/29中国海軍の呉勝利司令官は米海軍制服組トップのグリナート作戦部長とのTV会議で「米国を含む関係国や国際組織が施設を利用することを歓迎する」と言ったとニュースで流れていますが、領土係争地域で中国の領有を認めさせればいいという所でしょうか?この論理でいけば「尖閣に中国の基地を造り、日本にも使わせてやる」と言うことになるでしょう。おかしな話です。オバマが何もできないと足元を見ての発言です。南沙を他人事と思うのは危険です。

記事

 安倍首相の「希望の同盟へ」演説をわが外務省のサイトで読んで、目がうるうるした。まことにみごとな演説で、全文を教科書に載せてもいいと思う。

(全文、というのがポイントで、教科書執筆者の恣意に任せようものなら、自衛隊の国際貢献について具体的に語った箇所など、真っ先に削除されかねない。)

(英文原文)

http://www.mofa.go.jp/na/na1/us/page4e_000241.html

(外務省の和訳)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_001149.html

 前半はユーモアに満ち、米国人の心をぐっとつかむ。 安倍総理の人間味も伝わってくる語り口だ。日本そして安倍総理と関わった大ぜいの米国人の名を挙げることで、この日の演説の内容には数多くの証人がいるのだという印象を与える。この構成も秀逸。 

  一読してわかるのは、単に霞が関の外務官僚らが切り貼りした和文を英訳したものではないこと。 英語原作の憲法はサイテーだが、英語の演説はやはり英語原作でなければダメだ。

■ 日本は戦勝国だ ■

 日米がともに戦勝国であることをうたっているのが良い。

In the end, together with the U.S. and other like-minded democracies, we won the Cold War.

That’s the path that made Japan grow and prosper.

And even today, there is no alternative.

≪そしてついに、米国および志を同じくする民主主義諸国とともに、われわれは冷戦に勝利しました。この道を歩むことで日本は成長し繁栄するに至ったのです。これ以外の道がないことは、今日も同様です。≫

(なお、和訳は泉が英文から訳した。以下、同じ)

 第二次大戦時そもそも存在しなかった共産中国と韓国が「戦敗国の日本はオレたちにひれ伏せ」

と かまびすしい昨今であるが、とんでもない話で、「冷戦終結を以て日本は戦勝国となった。中国は、ちがうよね」という正しい歴史認識ののろしを上げたものと言ってよろしい。

 中国はもとより、韓国もすでに like-minded democracy とは言えまい。残念なことである。

■ 自責の念は、戦後すぐの話 ■

 この豊穣な内容の演説を読むにつけ、メディアがこぞって取り上げた例の箇所をことさらに論じるのは、あまりに「ためにする」ことと忸怩(じくじ)たる思いだが、わたしなりに語ろう。

Post war, we started out on our path bearing in mind feelings of deep remorse over the war. Our actions brought suffering to the peoples in Asian countries. We must not avert our eyes from that.

I will uphold the views expressed by the previous prime ministers in this regard.

≪戦争直後、日本国民はあの戦争に対してやるせない自責の念を心の中に抱きつつ歩み始めました。われわれの行為でアジア諸国の国民に苦しみをもたらしたのです。そのことから日本国民は目をそらしてはなりません。この点に関してわたしは、わが国の首相たちがこれまで表明してきた見解を引き継ぐものです。≫

 外務省訳が「戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました」とあるが、誤訳である。原文の英語は started out on our path とあるのだから「歩みを刻み始めました」である。つまり、外務省訳にいう「先の大戦に対する痛切な反省」は、あくまで、歩みを刻み「始めた」時点に抱いたものであり、今日なお deep remorse を抱いているとは、どこにも言っていない。

 それでよろしい。

 今回使われた remorse という単語も、上手に選んだものだ。 「内心に宿す自責の念」としては相当に強いことばだ。あくまで個々の人間の内心に属する感情であり、国家機構としての意思を言うものではない。内心に属するものであるがゆえに、謝罪という行為とは別である。

 それでいて、安倍総理の演説を聞く米国人らは、安倍総理自身が現在進行形で deep remorse を抱いているという印象を持つ。 「アベはアブナイ政治家だ」と触れ回る中・韓のエージェントらによる中傷を払拭するために大いに役立つことばを選んだものだ。

■ これっきりですね、の思いを引き継ぐ ■

 村山総理も小泉総理も、例の「おわび」を述べたときは、「これっきり」と思って述べたに違いない。ここまで繰り返し平身低頭を要求されることなど想像もしていなかったし、ましてやサンフランシスコ平和条約や日韓基本条約、日中友好条約を反故(ほご)にせんばかりの「賠償要求」を受けることなど想定もしていなかった。

 ≪この点に関してわたしは、わが国の首相たちがこれまで表明してきた見解を引き継ぐものです≫ と安倍総理は言ったのである。

 英語原文を読んでいると、東京都硫黄島(いおうとう)のことを Ioto と呼び、そのあと米国人の言を引用するなかでIwo Jima の名を使っている。日本では硫黄島(いおうじま)は鹿児島県の薩南諸島北部に位置する小島だ。 わが軍が祖国防衛戦を繰り広げた島は、硫黄島(いおうとう)なのである。

 ところが米国人にとっては、聖戦を繰り広げたのは Iwo Jima ということになっていて、この日本領の島に星条旗を立てる兵士らの姿の記念彫刻も Iwo Jima と称する。

 Iwo Jima という名称にも言及しつつ、正しい名称の Ioto を米国で正式にデビューさせたあたりも、この演説の起草者の偉いところだ。

演説全文(日本語)

米国連邦議会上下両院会議における安倍総理大臣演説

「希望の同盟へ」 平成27年4月30日(2015年4月29日(米国東部時間))

はじめに

 議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、 1957年6月、日本の総理大臣としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。

 「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信してい

るからであります」。

 以来58年、このたびは上下両院合同会議に日本国総理として初めてお話する機会を与えら

れましたことを、光栄に存じます。お招きに、感謝申し上げます。

 申し上げたいことはたくさんあります。でも、「フィリバスター」をする意図、能力ともに、ありません。

 皆様を前にして胸中を去来しますのは、日本が大使としてお迎えした偉大な議会人のお名前です。 マイク・マンスフィールド、ウォルター・モンデール、トム・フォーリー、そしてハワード・ベイカー。 民主主義の輝くチャンピオンを大使として送って下さいましたことを、日本国民を代表して、感謝申し上げます。 キャロライン・ケネディ大使も、米国民主主義の伝統を体現する方です。大使の活

躍に、感謝申し上げます。 私ども、残念に思いますのは、ダニエル・イノウエ上院議員がこの場においでにならないことです。日系アメリカ人の栄誉とその達成を、一身に象徴された方でした。

アメリカと私

 私個人とアメリカとの出会いは、カリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。家に住まわせてくれたのは、キャサリン・デル-フランシア夫人。寡婦でした。亡くした夫のことを、いつもこう言いました、「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と。心から信じていたようです。

 ギャラリーに、私の妻、昭恵がいます。彼女が日頃、私のことをどう言っているのかはあえて聞かないことにします。デル-フランシア夫人のイタリア料理は、世界一。彼女の明るさと親切は、たくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。

 のち、鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。上下関係にとらわれない実力主義。地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方なら躊躇なく採用する。

 ──この文化に毒されたのか、やがて政治家になったら、先輩大物議員たちに、アベは生意気だと随分言われました。

アメリカ民主主義と日本

 私の苗字ですが、「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると、悪い気はしません。民主政治の基礎を、日本人は、近代化を始めてこのかた、ゲティスバーグ演説の有名な一節に求めてきたからです。 農民大工の息子が大統領になれる──、そういう国があることは、19世紀後半の日本を、民主主義に開眼させました。 日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。

第二次大戦メモリアル

 先刻私は、第二次大戦メモリアルを訪れました。神殿を思わせる、静謐な場所でした。耳朶を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり。 一角にフリーダム・ウォールというものがあって、壁面には金色の、4000個を超す星が埋め込まれている。

 その星一つ、ひとつが、斃れた兵士100人分の命を表すと聞いたとき、私を戦慄が襲いました。 金色(こんじき)の星は、自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。しかしそこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も。

 真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海…、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。

 歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙祷を捧げました。 親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げます。とこしえの、哀悼を捧げます。

かつての敵、今日の友

 みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。70年前の2月、23歳の海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した方です。 近年、中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。

こう、仰っています。

 「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉を称えることだ」。

 もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のお祖父さんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。

 これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。

 熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。ほんとうに、ありがとうございました。

アメリカと戦後日本

 戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません。 アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と、繁栄のため、力を惜しんではならない。自らに言い聞かせ、歩んできました。この歩みを、私は、誇りに思います。

 焦土と化した日本に、子ども達の飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も、2,036頭、やってきました。 米国が自らの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから、最大の便益を得たのは、日本です。

 下って1980年代以降、韓国が、台湾が、ASEAN諸国が、やがて中国が勃興します。今度は日本も、資本と、技術を献身的に注ぎ、彼らの成長を支えました。一方米国で、日本は外国勢として2位、英国に次ぐ数の雇用を作り出しました。

TPP

 こうして米国が、次いで日本が育てたものは、繁栄です。そして繁栄こそは、平和の苗床です。

 日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場をつくりあげなければなりません。太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない。 許さずしてこそ、自由、民主主義、法の支配、私たちが奉じる共通の価値を、世界に広め、根づかせていくことができます。

 その営為こそが、TPPにほかなりません。

 しかもTPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを、忘れてはなりません。 経済規模で、世界の4割、貿易量で、世界の3分の1を占める一円に、私達の子や、孫のために、永続的な「平和と繁栄の地域」をつくりあげていかなければなりません。日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えています。米国と、日本のリーダーシップで、TPPを一緒に成し遂げましょう。

強い日本へ、改革あるのみ

 実は・・・、いまだから言えることがあります。

 20年以上前、GATT農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。

 日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません。

 私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。 世界標準に則って、コーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍の穂先となりこじあけてきました。

 人口減少を反転させるには、何でもやるつもりです。女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしています。

 日本はいま、「クォンタム・リープ(量子的飛躍)」のさなかにあります。

 親愛なる、上院、下院議員の皆様、どうぞ、日本へ来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本を見てください。

 日本は、どんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。

戦後世界の平和と、日本の選択

 親愛なる、同僚の皆様、戦後世界の平和と安全は、アメリカのリーダーシップなくして、ありえませんでした。 省みて私が心から良かったと思うのは、かつての日本が、明確な道を選んだことです。その道こそは、冒頭、祖父の言葉にあったとおり、米国と組み、西側世界の一員となる選択にほかなりませんでした。

 日本は、米国、そして志を共にする民主主義諸国とともに、最後には冷戦に勝利しました。

 この道が、日本を成長させ、繁栄させました。そして今も、この道しかありません。

地域における同盟のミッション

 私たちは、アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します。

 日本は豪州、インドと、戦略的な関係を深めました。ASEANの国々や韓国と、多面にわたる協力を深めていきます。

 日米同盟を基軸とし、これらの仲間が加わると、私たちの地域は格段に安定します。

 日本は、将来における戦略的拠点の一つとして期待されるグアム基地整備事業に、28億ドルまで資金協力を実施します。

 アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。

 第一に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第二に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。 太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。

 そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります。

 日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。

 この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。

それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。

 戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。

 ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って、協議をしました。

 いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組み

ができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。 それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。昨日、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです。

日本が掲げる新しい旗

 1990年代初め、日本の自衛隊は、ペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後、インド洋では、テロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を、10年にわたって支援しました。

 その間、5万人にのぼる自衛隊員が、人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジア、ゴラン高原、イラク、ハイチや南スーダンといった国や、地域においてです。

 これら実績をもとに、日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく。

そう決意しています。そのために必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現します。

 国家安全保障に加え、人間の安全保障を確かにしなくてはならないというのが、日本の不動の信念です。

 人間一人ひとりに、教育の機会を保障し、医療を提供し、自立する機会を与えなければなりません。紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。わたしたちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。

 自衛隊員が積み重ねてきた実績と、援助関係者たちがたゆまず続けた努力と、その両方の蓄積は、いまやわたしたちに、新しい自己像を与えてくれました。

 いまや私たちが掲げるバナーは、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」という旗です。

 繰り返しましょう、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」こそは、日本の将来を導く旗印となります。

 テロリズム、感染症、自然災害や、気候変動──。日米同盟は、これら新たな問題に対し、ともに立ち向かう時代を迎えました。

 日米同盟は、米国史全体の、4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢さを備え、深い信頼と、友情に結ばれた同盟です。

 自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。

それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。

未来への希望

 まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。 「落ち込んだ時、困った時、・・・目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために」。

 2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。

 そして、そのときでした。米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子供たちに、支援の手を差し伸べてくれました。

 私たちには、トモダチがいました。

 被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。

 ──希望、です。

 米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。

 米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。

 希望の同盟──。一緒でなら、きっとできます。

 ありがとうございました。

 

4/30日経ビジネスオンライン 福島香織『郭伯雄も失脚、不安定化する中国 軍の長老排除の先は、江沢民追及かクーデターか』記事について

中国の権力闘争が熾烈さを増してきているという事です。習近平・王岐山は生き延びれるかという所です。勝てば太子党の天下がずっと続き、国民はひもじい儘です。(でも誰が政権を握ろうが政権に対するチエックが働かない共産党政権では国民は蚊帳の外でしょうけど)。以前述べたように上海派の大物・曽慶紅の逮捕が間近であるとすれば、流石に主席経験者の江沢民の逮捕はないと思いますが。過去には主席である劉少奇や華国鋒が文化大革命や四人組打倒の流れで逮捕や更迭されましたが。中国が動乱の時代でしたので。今はネットで瞬時に情報が駆け巡る時代です。いくら中国政府がネット遮断しても。

何清漣は『中国 現代化の落とし穴』の中で、「権銭交易」(quan2qian2jiao1yi4で権と銭の発音が似ているためこう言った)=「権力の市場化」と言って政治の自由がないのに、経済的自由が認められたたためポストが金で取引されるようになったことを批判しています。軍も官僚組織ですから当たり前で、昇進するためには上官に賄賂を贈らなければ如何に能力があろうとも上には行けません。まあ賄賂を贈る能力(当然部下から人事権を行使して賄賂を取り、それをかき集めて上官の賄賂とする)も含めた能力という事でしょう。ただ、周永康もそうでしたが、日本が賄賂で逮捕或は報道される額とは桁違いです。兆円単位ですから。

上海派打倒の後は団派との戦いとなれば、習・王が生き延びるのは難しいのでは。太子党には「血」の正統性しかありません。共産主義で「血」の正統性を訴えても笑われるだけです。北朝鮮の金王朝を相手にしない習近平が「血」を言うことは自己矛盾です。団派はそれに引き換え、共産党の思想を忠実に守ることを誓約して集まった組織です。(殆ど出世のためにフリをしているだけでしょうけど)。小生は共産主義が嫌いですのでどちらにも肩入れはしませんが。上海派の残党が狙うし、団派も追い込まれれば窮鼠猫を噛むでしょうから。

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 中国の権力闘争がますますきな臭い。いよいよ、郭伯雄・元中央軍事委副主席失脚の正式発表も秒読みのようだ。元中央軍事副主席で党籍を剥奪されて軍事法廷での起訴準備が進められているうち、膀胱がんで死亡した東北の虎こと徐才厚と並んで、西北の狼と称された江沢民時代から軍を牛耳っていた上将である。産経新聞の情報を信じるならば、北京市内で軟禁状態にあった郭伯雄を、杜金才・党中央規律検査委員会副書記が4月9日に訪ね、「双規」(党内における取り調べ、事実上の身柄拘束)を通告した、という。この情報を裏付けるように、解放軍七大軍区幹部らに9日に中央軍事委および解放軍規律検査委が郭伯雄とその家族に対する取り調べを決定したという通達があったとサウスチャイナ・モーニングポスト(20日付)も報じている。七大軍区幹部らは思想教育の名目でこの日、北京に召集されていた。米国に本部を置く華字ニュースサイト博訊によれば、郭伯雄は北京の秦城監獄に収容されているとか。

 徐才厚に続いて郭伯雄という解放軍元制服組トップ2の長老を排除したことは、習近平政権の今後にどのように影響を与えるのか、考えてみたい。

江沢民の代理人、不正蓄財100億元超、愛人多数

 郭伯雄とはどんな人物であったか。

 1942年、陝西省出身で16歳の時、地元の軍工場学徒労働者となる。3年の勤務満期後、解放軍陸軍第19軍55師団に配属、64年に兵役満期後も軍残留を認められ、幹部コースに昇進。実戦経験はないが、江沢民国家主席に見出されて、順調に出世し、解放軍総後勤部(装備部)部長、北京軍区副司令、蘭州軍区司令などを歴任。2002年には中央軍事委副主席となり、中央政治局委員、解放軍常務副参謀長まで務めた。

 徐才厚とならんで、江沢民が自分の軍内における権力固めに出世させた上将であり、解放軍における江沢民の代理人ともささやかれた。江沢民が総書記、国家主席、そして中央軍事委主席を引退した後も彼らを通じて解放軍に強い影響力を持ち続けたため、胡錦濤政権は事実上、ほとんど解放軍における実権を握れなかった。

 彼は、江沢民政権時代に軍内における利権をほしいままにしたと言われている。特に、すでに失脚している元総後勤部副部長の谷俊山(元中将)と組んで、大量の軍事用地を売りさばき、周永康(失脚済、元政治局常務委)や賀国強(引退、元中央規律検査委書記)と共謀して不正蓄財を謀ったとか。郭伯雄の蓄財額は2010年の段階ですでに100億元を超え、広東、福建、江蘇、北京、雲南、広西、陝西、甘粛などに100を超える不動産を所有。いずれも億を超える豪華マンション、別荘であったとか。しかも郭伯雄は精力絶倫であり、愛人を十数人も抱えていたとか。郭伯雄は自分のお気に入りの愛人を徐才厚を通じて軍の歌舞団に入団させてもいたとか。

こうした話は、博訊が北京の三つの異なるソースから確認したものだという。

 香港報道を総合すると、郭伯雄が問われるであろう罪状は主に三つあると言われている。まず谷俊山から郭家に大量の金品が賄賂として贈られていること。また郭伯雄の妻、秘書、息子も大量の賄賂を受け取っていると言うこと。三つ目は軍常務副主席として、軍全体の腐敗の責任を問われるということ。解放軍内では昇進に具体的な賄賂額が暗黙に決まっており、事実上の将官位の売買が行われていた。目下、郭伯雄だけでなく、妻、息子、娘、秘書らの立件も準備に入っているという。

 本来なら、今年3月の両会(全人代と政治協商会議、国会に相当)直後に、郭伯雄の失脚が公式に発表される予定だったらしいが、徐才厚の死によって延期になったと言われている。

“恩”ある徐才厚を非情に追い詰めた習近平

 習近平の軍の汚職退治では、最初に失脚させられた大物が谷俊山で、2012年からの谷俊山の汚職取り調べが本格化、その過程で徐才厚が谷から少なくとも3600万元の賄賂を受け取っていることが証拠固めされた。2014年6月、徐才厚が史上最高額の軍汚職容疑で逮捕された。ちなみに、徐才厚は逮捕当時、末期の膀胱がんであったが、それでも容赦なく厳しい取り調べが行われた。

 徐才厚は、習近平がまだ国家主席になる前、軍内における後見人役として習近平をバックアップし、習近平夫人で元軍属歌手(少将)の彭麗援とも親しい間柄であった。その恩ある徐才厚に対する習近平の非情さについては、徐才厚のかつての愛人が、今の習近平の弟・習遠平の妻・張瀾瀾(元解放軍属歌手)であるという私怨が関係していたのではないかと言われている。一説によれば、徐才厚は、江沢民に習近平政権の軍における後見人を頼まれてはいたが、「五年(一期)たったら、やめさせる」と郭伯雄に語っていたという噂が、軍内に広がっていて、それが習近平の耳に入っていたという話もある。

 ちなみに習遠平が、徐才厚の愛人だった張瀾瀾の清純な容姿に惑わされて、習家の大反対を押し切って「できちゃった婚」によって2008年に結婚を果たしたいきさつは、やはり元軍属の歌姫・湯燦(失脚済、服役中)の獄中記「我的壮麗青春」の中に妙に生々しく書かれていた。湯燦は、徐才厚や谷俊山、周永康、李東生、令計画ら習近平の反汚職キャンペーンで失脚した要人たちの間を渡り歩いた「公共情婦」とも呼ばれ、2011年12月に中央規律検査委の呼び出しを受けて以降、行方不明となっている。一時、要人の秘密を知り過ぎたために秘密裡に処刑されたという噂も流れたが、その後、湖北省の刑務所で米CIAに国家・軍事情報を漏らした罪などで服役中だと香港メディアが報じていた。その後、彼女の獄中記なるものが今年2月に出版されているが、これが本物か偽物か確かめるすべはない。

 徐才厚の失脚によって、郭伯雄は自らの身に危険を感じたので昨年7月、国外脱出を図ったと噂されている。7月14日夕方、南京軍区の軍事演習による管制という理由で北京と上海間の飛行機100機以上の離陸の取り消し遅延があり、道路封鎖やテレビやネットで情報統制も敷かれた事態があったが、この時ネットに流れた噂では、郭伯雄が女装して国外脱出を図ろうとしたのを取り押さえたのだと言われていた。後にこの情報はガセであるとわかった。だが、郭伯雄が次なる「大虎」であることは、この頃からほぼ確定していたという。

江沢民まで追及か、クーデターの懸念増幅か

 今年3月の香港誌「動向」によれば、郭伯雄の息子・郭正鋼(解放軍浙江省軍区副政治委員、少将)は9冊のパスポートを用意して海外逃亡を画策したのだが、その逃亡計画が実行される前の2月に逮捕されたという。郭正鋼と妻は、偽名で杭州から深圳までの飛行機チケットを買い、陸路で香港に入り、香港かスウェーデンに行く予定だった。だが、郭正鋼にはすでにひそかな監視がついており、計画は実行されないまま、規律違反容疑で逮捕されたという。この息子の逃亡計画失敗によって、規律検査委側は郭伯雄の拘束(双規)に踏み切ったという。

 「動向」の分析によれば、9冊ものパスポートを用意したというのは、かなり異常なことであり、徐才厚の逮捕、そして取り調べ中の死亡によって、郭伯雄一族がいかに危機感に焦っていたかがうかがえる。

 今後の予想としては、徐才厚や郭伯雄ら長老だけでなく現役国防部長の上将・常万全ら現役軍幹部にまで粛正の手が伸びるのではないかともいわれている。徐才厚失脚後から今年3月までの間に失脚した軍幹部は33人以上で、現役少将以上の軍幹部は14人以上という。それ以外にも100~200人が取り調べを受けているともいう。前国防部長で退役上将の梁光烈の失脚も近いと噂されている。彼も江沢民政権時代に南京軍区司令から総参謀部長に抜擢された江沢民派の大物軍人である。ひょっとすると、元中央軍事委主席で元総書記の江沢民にまで、習近平の反汚職キャンペーンの追及の手は伸びるのではないか、という憶測もある。

 こうした状況から、習近平政権と軍の関係についての見方はおおむね二つに分かれている。根強い江沢民派の軍長老・現役幹部の影響力、利権構造を根こそぎ排除した習近平は、自分のお気に入りの若手幹部を七大軍区などの主要地位につけて、解放軍内に新たな秩序を築いて軍の掌握をほぼ完ぺきにした、という意見。もう一つは、粛正の恐怖により表向きは習近平への忠誠をうたう軍幹部が増えているが、内心の不満はたまっており、これが一気に噴出する、つまりクーデターなどの懸念はむしろ高まっているのではないかという意見だ。

 ここで、気になるのは、胡錦濤に連なる李克強、李源潮、汪洋といった共産主義青年団派閥(団派)と、政権の主導力を握る習近平・王岐山グループとの対立との兼ね合いだ。

 薄熙来、周永康、徐才厚らと並ぶ「新四人組」の一人として汚職・規律違反で失脚した令計画は、実際のところ胡錦濤の腹心であり団派である。周永康との関係が失脚の原因と表向きは報道されるも、習近平の権力闘争の矛先が最終的には団派に向かっているということのシグナルだというのが一般の見方だ。

 普通ならば、次の党大会で現在の7人の政治局常務委員のうち5人が引退し、現在の政治局委員の中から繰り上げ昇進となるのだが、現政治局委員の実力派メンバーは団派、李源潮(国家副主席)、汪洋(副首相)、胡春華(広東省党委書記)らである。中でも胡春華は次期総書記、国家主席にもっとも近いポジションにいるといっていい。習近平としては、自分の後に総書記となる人間は、自分の意をくんだ腹心をつけたいはずで、そのためには胡春華つぶし、胡春華を次期総書記の座につけようと画策する団派勢力を抑える必要がある。これは江沢民政権時代の陳希同事件、胡錦濤政権時代の陳良宇事件を振り返るまでもなく、何度も繰り返されてきた権力闘争のパターンと言える。令計画の失脚後、次のターゲットは李源潮だといわれ、実際、李源潮の腹心らが次々と失脚している。

著者不明の『誰が習近平を謀殺するのか』

 習近平は解放軍内の江沢民派と長老排除を急速に進める一方で、次の党大会をにらんだ団派との権力闘争も激化させる、いわば二面作戦を展開している。いや、もっと言えばメディア・ネットの締め付け強化、ウイグル・チベットの少数民族弾圧強化なども進めている。習近平・王岐山の敵は国内だけでも数知れない。香港メディアによれば、2013年以降、習近平は6回以上、王岐山は十数回の暗殺未遂に遭っているとか。習近平の暗殺のうち2回は周永康が企てたものだとか。会議室に爆弾が仕掛けられたり、北京301病院に赴いたときに毒針をさされそうになったという。

 今年2月ごろ、著者不明の電子書籍『誰が習近平を謀殺するのか』がネット上に話題になったのだが、それは習近平政権の容赦ない反腐敗キャンペーンが恨みを買ったり、反習近平勢力の結束を生んだりして、政変、軍事クーデター、暗殺を引き起こす可能性がある、そう考えている人が中国共産党内部に増えていると訴えている。

 こういった言説を信じるべきか否かは、判断の難しいところだが、ただ表向きに喧伝されているように、習近平が順調に権力基盤を固め、軍の掌握を進めているというものではないだろう。むしろ、中国の政治も社会も天安門事件以来もっとも不安定な時代が到来しているといえそうだ。

4/28ダイヤモンドオンライン 北野幸伯 『リベンジ~AIIBで中国に追いつめられた米国の逆襲』記事を読んで

安倍首相の米議会での演説は読み通り、「侵略」と「お詫び」は盛り込まれませんでした。アメリカとしては第二次大戦の不都合な真実には目を瞑りというか、FDRが日本に参戦するように仕掛けた真実を知らない人が多いと思います。(参考:ハミルトン・フィッシュ『ルーズベルトの開戦責任』

http://melma.com/backnumber_45206_6087907/ ですから「侵略」、「お詫び」は天に唾するもの、先人たちを愚弄するものと思っています)。政治は妥協の産物ですから「反省」はしないと受け入れられなかったでしょう。

さて、昨日に続きAIIBについてです。中国はADBの融資(全体で532億$)の25.3%=135億$(1兆6200億円)の融資を受けています。

http://www.adb.org/sites/default/files/page/41282/adb-glance-ja.pdf

先ずこれを返済した上でAIIBに出資すべきでは。AIIBは取敢えず500億$の資本金と言われていますからADBの中国への融資額は1/4相当となります。中国のAIIBの出資率は4割、払込資本はもっと下がります。ADBの融資額が中国の出資額とイコールになるかもしれません。

http://genuinvest.net/?eid=2369

それでADBに敵対する組織を作ろうと発想するのは流石中国人と言うもの。AIIBに日本の参加を促すメデイアや政治家は、こういう数字を並べて議論をして戴きたい。

オバマが4/28スピーチしたように「中国の平和的台頭」は日本人でも歓迎します。でもやっていることは全然別です。経済の伸びに合わせというか、それ以上に軍事力の拡張をしています。勝手に南シナ海に九段線を敷き、南沙諸島を埋立、基地を造っています。A2/AD戦略を取り、自由な航海を制限しようとしています。また勝手に防空識別圏を作ったり、尖閣にチョッカイを出したりしています。「韜光養晦」から「有所作為」に戦略転換したのです。やはり中国の軍事膨張主義を阻止するには中国経済を崩壊させねばなりません。「肉を切らして骨を断つ」です。戦争を起こさないためです。声高に戦争反対する人たちは真剣に考えた方が良い。アメリカもソ連崩壊、日本のバブル崩壊させたのだから、中国にだってできないことはないはずです。

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アジアインフラ投資銀行(AIIB)事件が、世界に大きな衝撃を与えている。加盟国は57ヵ国。米国と緊密なはずの英国、イスラエル、オーストラリアなども参加国だ。米国は、いかに逆襲するのだろうか?

AIIB事件の本質とは?  「覇権国家」米国の凋落

 習近平が2013年10月、APEC首脳会議で設立を提唱したAIIB。当初は、東アジア、東南アジア諸国が参加するだけの小規模なものになると見られていた。しかし、ふたを開けてみると、加盟国は57ヵ国。そして、参加国の中には、米国と緊密なはずの、英国、イスラエル、オーストラリアなどが、「米国の不参加要求」を「無視して」参加を決めた。

中国に面目を潰された覇権国家・米国はこれから、どんな逆襲に出るのだろうか?   世界的に孤立し、追いつめられた落ち目の覇権国家・米国は、いかに逆襲するのか?今回は、この重要問題を考えてみよう。

 米国の「逆襲方法」の前に、「AIIB事件の本質」について触れておこう。この事件の本質は、「同盟国が米国の言うことを聞かなかったこと」である。これは、それほど重要なことだろうか?

 米国は、「覇権国家」だ。少なくとも、今まではそうだった。ところで、「覇権」とはなんだろう?辞書を見ると、「覇者としての権力。力をもってする支配力」とある。要するに「支配している国」ということである。

 しかし、覇権国家とはいえ、他国を直接統治しているわけではない。 国連には、加盟国が193ヵ国あり、それぞれの国が、「独立した政治を行っている」(という建前である)。

 では、「覇権国家が覇権国家であること」は、なぜわかるのか?ポイントは、「覇権国家の言うことを他国が聞くかどうか?」である。なぜ日本は、「米国の属国」と言われるのか?日本政府が、米国の言うことを聞くからだ。政府が「国益」を最優先に考え、米国の言うことを聞いたり聞かなかったりすれば、日本は「属国」ではなく、「自立国家」と呼ばれるだろう。

 では、覇権国家の影響下にある国々が、言うことを聞かなくなったらどうなるのだろう。答えは、「覇権国家は、覇権国家でなくなる」だ。

かつてのソ連に見る 覇権国家没落の例

 ソ連はかつて、「共産主義陣営」の「覇権国家」だった。しかし、1980年代後半、ソ連経済は深刻な経済危機に陥った。そして、ゴルバチョフの「ソフト路線」もあり、支配下にあった東欧諸国は、もはやソ連を恐れなくなった。

 その時、何が起こったのか?89年、東西ドイツを隔てていた「ベルリンの壁」が崩壊。続いて、東欧で「民主革命」がドミノ式に起こった。そして、ソ連は「覇権国家」としての地位を失った。そればかりでなく、15の国々に分裂してしまった。これは、他国が言うことを聞かなくなり、覇権国が没落した分かりやすい例である。

 このことを踏まえて「AIIB事件」について考えてみよう。米国は、同盟国群に、「中国が主導するAIIBに参加しないよう」要請(命令)していた。ところが、英国は3月12日、G7諸国ではじめて参加を表明。これに、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、ルクセンブルグ、オーストラリア、韓国などが続いた。

 これらの国々は、「米国の言うことを聞かなかった」。つまり、米国の覇権(支配)を拒否したのだ。これは、「米国が覇権を喪失した象徴的事件」として、歴史に記憶されるはずである。

 そして、米国の要求を無視した国々は、逆に中国の言うことを聞いた。今回の一件だけで「中国が覇権国家になった」と考えるのは早計過ぎる。しかし、「覇権に一歩近づいた」とは言えるだろう。

 では、同盟国たちは、なぜ米国を裏切ったのだろうか?理由は、二つ考えられる。一つは、「AIIBに入ったほうが儲かりそうだ」と判断した。二つ目は、「逆らっても、オバマ米国は何もできないだろう」と判断した。

 特に理由二つ目は、「ソ連末期の状況に非常によく似ている」といえる。

 では、「AIIB事件後」、中国は一直線で「覇権国家」になれるのだろうか?米国は、このまま衰退しつづけ、中国に覇権を「禅譲」するのだろうか?

 もちろん、米国は、黙って覇権を譲ったりしないだろう。江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜、ソ連最初で最後の大統領ゴルバチョフのように、覇権を放り出した例も歴史にはある。しかし、米国は、まだそこまで落ちぶれてはいない。

 米国は、どうやって中国に逆襲するのか?おそらく、「AIIB後」の戦略は、「現在検討中」だろう。たとえ、もう出来上がっていたとしても、公開されるとは考えにくい。

 では、我々は米国が今後どう動くか知ることはできないのだろうか?そうでもない。米国の過去の行動を知ることで、ある程度未来の動きを予測できる。

反中プロパガンダ(情報戦)と民主化支援で 米国は中国に逆襲をする

「情報戦」は、米国がもっとも得意とする分野である。米国がその気になれば、安倍総理を「軍国主義者」にすることも、プーチンを「ヒトラーの再来」にすることもできる。

 中国は、経済力(GDP)、軍事力(軍事費)で、世界1位の米国を猛追している。しかし、「情報力」(プロパガンダ力)は、今も米国が圧倒的強さを誇っている。そして、今後も中国が勝つのは難しそうだ。なぜかというと、中国は、共産党の一党独裁国家であり、普通選挙もなければ、言論・信教・結社の自由もない。世界の誰もが認める「人権侵害国家」でもある。

 米国は、国益によって、中国の異質性を強調したり、しなかったりする。しかし、今後は、中国の「自由のなさ」「人権侵害」などを積極的にプロパガンダするようになるだろう。

 もう一つ、米国は、「反米的な国」での「民主化運動」を支援している。これは、「陰謀論」に思えるが、事実である。たとえば、03年にクーデターで失脚したジョージア(旧名グルジア)のシェワルナゼ大統領(当時)は、以下のように断言している。(太字筆者、以下同)

(朝日新聞03年11月29日)

<「混乱の背景に外国情報機関」シェワルナゼ前大統領と会見
  野党勢力の大規模デモで辞任に追い込まれたグルジアのシェワルナゼ前大統領は28日、首都トビリシ市内の私邸で朝日新聞記者らと会見した。大統領は混乱の背景に外国の情報機関がからんでいたとの見方を示し、グルジア情勢が不安定化を増すことに懸念を表明した。
 前大統領は、議会選挙で政府側による不正があったとする野党の抗議行動や混乱がここまで拡大するとは「全く予測しなかった」と語った。抗議行動が3週間で全国規模に広がった理由として、「外国の情報機関が私の退陣を周到に画策し、野党勢力を支援したからだ」と述べた>

 さらに05年のクーデターで失脚したキルギスのアカエフ大統領(当時)も、こう語っている。

<「政変では米国の機関が重要な役割を果たした。半年前から米国の主導で『チューリップ革命』が周到に準備されていた」>(時事通信05年4月7日)

<「彼らは野党勢力を訓練・支援し、旧ユーゴスラビア、グルジア、ウクライナに続く革命を画策した」>(同上)

 ちなみに、14年2月にウクライナで起こった革命。これについても、オバマ自身が、米国の関与を認めている。

<昨年2月ウクライナの首都キエフで起きたクーデターの内幕について、オバマ大統領がついに真実を口にした。恐らく、もう恥じる事は何もないと考える時期が来たのだろう。CNNのインタビューの中で、オバマ大統領は「米国は、ウクライナにおける権力の移行をやり遂げた」と認めた。>
(ロシアの声 2015年2月3日)

 これらの事実から考えると、米国が中国における「民主化運動支援」を強化する可能性は強いと思われる。昨年秋、香港の「反政府デモ」が大きな話題になった。これからは、香港だけでなく、チベットやウイグルでも「反中国政府運動」が活発化していくだろう。

「中国経済崩壊論」の拡散で AIIBつぶしに乗り出すか

「中国経済崩壊論」の拡散も、米国が今後、取るであろう戦略だ。これは「経済戦」の一環である(情報戦でもある)。

 米国は現在、日本と欧州を巻き込み、「対ロシア経済制裁」をしている。しかし、ロシアと違い、世界第2の経済大国・中国に経済制裁を課すことは、困難だろう。そもそも、「AIIBをつくったから制裁する」とはいえない。他の理由で中国を経済制裁しようにも、欧州が「制裁はイヤだ!」といえば、またもや米国の権威は失墜する。

 では、どうするのか?「中国経済の崩壊は近いですよ」という噂を広めるのだ。

 実をいうと、これは完全な「噂」でもない。実際、中国のGDP成長率は、年々下がっている。賃金水準が上がり、外国企業がどんどん東南アジアなどに逃げ出している。だから、米国が「中国経済の崩壊は近い」とプロパガンダしても、必ずしもウソとはいえない。

 事実、最近「中国崩壊説」をよく見かけるようになった。たとえば、ゴールドマン・サックスの元共同経営者ロイ・スミス氏は3月2日、「中国経済の現状は1980年代の日本と似ている点が多い」「日本と同様、バブル崩壊に見舞われるだろう」と述べた。

 さらに、かつては親中派だったデヴィッド・シャンボー(ジョージ・ワシントン大学教授)は3月6日、「ウォール・ストリート・ジャーナル」に、「終焉に向かいはじめた中国共産党」を寄稿して、中国政府を激怒させた。

「中国経済を破壊すること」。これは、米国の覇権を守る上で決定的に重要である。なぜなら、米国の同盟国たちが、AIIBに参加したのは「儲かる」と判断したからだ。しかし、中国経済が破綻したら、儲からなくなってAIIBは魅力を失うだろう。さらに、経済がダメになれば、共産党の正統性は失われる。

 そもそも中国共産党は、選挙によって選ばれたわけではなく、なんの正統性もない。それで、毛沢東時代は、「恐怖」によって支配をしていた。鄧小平の時代からは、「共産党のおかげで経済成長ができる神話」を、一党独裁の正統性にした。

 だから、経済成長がストップすれば、中国共産党政権の正統性は消え、ソ連のように体制が崩壊する可能性が強まる。そして、ソ連のようになった中国が米国の覇権に挑むのは、しばらく無理だろう。もちろん、中国経済の破綻は、世界経済へのダメージが大きく、米国も無傷ではいられない。しかし、「背に腹はかえられない」のだ。

最後の“切り札”はロシアとの和解!? 米国大物リアリストたちの主張

 最後に、米国が中国に勝つために「ロシアと和解する可能性」について触れておこう。「そんなバカな!」「モスクワ在住筆者の妄想だ!」――。恐らくそんな反応が返ってくるだろう。しかし、歴史は、「米国は勝利するためなら敵とも組む」ことを教えている。

 たとえば第2次大戦時、米国は、「資本主義打倒」「米帝打倒」を国是とするソ連と組み、ナチス・ドイツ、日本と戦った。そして、冷戦がはじまると、米国はかつて敵だった日本、ドイツ(西ドイツ)と組んだ。さらに、米国は70年代、ソ連に勝つために中国と和解している。こう見ると、米国が現在の敵・ロシアと組んでも、まったくおかしくはない。

 ニクソンは、ソ連に勝つために、中国と組んだ。今度は、中国に勝つために、ロシアと組む。実をいうと、これを主張しているのは、筆者ではない。

 日本ではあまり報じられていないが、大物リアリストたち、たとえばヘンリー・キッシンジャー、ジョン・ミアシャイマー(シカゴ大学)、スティーブン・ウォルト(ハーバード大学)などが、「米国はロシアと和解すべき」と主張している(親中派として知られたキッシンジャーやズビグニュー・ブレジンスキーは、中国の本性を知り、親中派を「卒業」したという)。

 理由は簡単で、「米国とロシアが戦えば、得をするのは中国だから」だ。そして、「AIIB事件」で明らかになったように、中国は今、世界でもっとも(正確にいえば米国に次いで)「覇権」に近いところにいる。

 米ロが戦って、「中国に覇権をプレゼントするのは愚かだ」というわけだ。

 さらに、米国一の「戦略家」エドワード・ルトワックは、その著書「自滅する中国」の中で、「ロシアを中国包囲網に入れる重要性」を繰り返し説いている。また、ルトワックは、日本が独立を維持できるか、それとも中国の属国になるかどうかについて、以下のように述べている。

<もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。>(188p)

 ルトワックが主張するように、ロシアを米国側に引き入れることができれば、米国の勝利は確実だろう。しかし、米政府が、「わが国は中ロを同時に敵にしても勝てる」と過信すれば見通しは暗い。

 とはいえ、米国の動向にかかわらず、中国の経済的栄華は終わりつつあるので、中国が覇権国家になれるわけではない。結局、世界は、覇権国家不在の「多極化」「無極化」時代に向かっているように見える。

古森 義久・石 平『自壊する中国反撃する日本』を読んで

日本のGDPと通貨発行量(M2+CD)の比較(=マーシャルのK)を見てみます。バブル期の94年には1.07位でした。アベノミクスによって、1.8位まで増えて来ています。ネットで解説を読みますと「過剰貯蓄」になるとマーシャルのKは高くなりやすいとのこと。中国と同じくらいなのに、日本は騒がれずアベノミクスが評価されているのは、個人金融資産が豊富で政府負債を大幅に上回っているせいか。中国は国全体で2600兆円も負債があり、裏付けるべき資産を持たないため批判されるのでは。

中国はインフレ亢進、バブル崩壊と噂されて久しいです。それもこれも嘘でデッチ上げた数字が基になっているため、正しい判断ができないのかと。AIIBに入るのは溝に金を捨てるようなものと思います。

『三菱UFJモルガン・スタンレー証券 2015年4月3日 嶋中雄二の月例景気報告 No.60~私が日銀に早期追加緩和を要望する理由より「日本のマーシャルのK」を抜粋』

japan k

 

 

 

 

 

 

 

また下記の記事も見つけました。

http://chugokukaigun-junnbi.blogspot.jp/2013/02/201328-1116-http-www.html2013年2月8日金曜日)より

レコードチャイナ 配信日時:2013年2月8日 11時16分

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69224&type=0

中国は世界最大の「紙幣印刷機」、メディアの報道に専門家が反論―中国メディア

2013年2月7日、各国が相次いで新たな量的緩和策を発表する中、あるメディアが「中国の通貨過剰発行も深刻だ。 2012年、中国の通貨増加量は世界の約半分を占め、世界最大の紙幣印刷機になった」と報じた。

 これについて専門家は、 「このような言い方はあまりにも常識外れで、一方的すぎる」との見方を示している。

 中国の通貨発行量が本当に深刻なのかどうか、1つのデータに基づいて当て推量することはできない。 通貨が過剰発行状態かどうかを判断する指標の 1つとして物価の安定がある。金融政策の良し悪しを判断する上で重要なのは、経済の成長率・規模と歩調が合っているかどうかだ。

▽.中国の通貨過剰発行は誇張

 中国の通貨過剰発行問題はここ数日、各方面で話題になっている。中国人民銀行(中央銀行)の統計データによると、 2012年末現在、中国のM2残高は「97兆4200億元(約1448兆8100億円)」に達し、世界一となった。 この額はすでに、世界のマネーサプライ総量の4分の1に近づいており、 米国の1.5倍だ。 さらに、M2の対GDP比は188%の過去最高に達した。ちなみに同期の米国の同比率は63%で、中国のわずか約3分の1だった。 一部メディアはこの差を根拠として中国を「世界最大の紙幣印刷機」と比喩し、多くの人が中国の通貨過剰発行が深刻であると考えるようになった。

 しかし、専門家はこれについて 「表面的に見て、中米のデータを比較すればこの結論も一理あるように感じるが、理論的に分析、もしくはもっと広範囲で比較すれば、この判断が大雑把であることが分かる。 特にM2残高と対GDP比だけで中国が通貨過剰発行状態だと断定するのはあまりにも単純で一方的だ。 各国のマネーサプライの統計範囲の違い、融資構造の違い、経済発展段階の特徴などの要素を全く考慮していない」と指摘する。

 中国人民大学財政金融学院の趙錫軍(ジャオ・シージュン)副院長は 「中国の通貨発行量は確かに多いが、中国経済の成長率を見ずに単純に過剰発行だと決め付けてはならない。合理的な通貨発行は、国の経済成長率・規模に応じたものであるべき。 例えば米国は経済成長が鈍化しているため、発行量を再度増やせば過度な発行になってしまう」とする。

▽.通貨発行量の増加には原因が

 中国人民銀行の周小川(ジョウ・シャオチュワン)総裁は、「中国がこれまで統計してきた実体経済には形のあるものしか含まれず、サービス業が含まれない。このため、市場化が進み経済発展が加速するに伴い、マネーサプライは統計範囲内の『実体経済』の需要をすぐに上回り、いわゆる『過剰発行』の状態になった。しかし実際のところ、マネーサプライは実体経済だけでなく、サービス業や金融市場の需要も満たす必要がある」と指摘する。

 興業銀行の魯政委(ルー・ジョンウェイ)チーフエコノミストは 「中国のM2対GDP比は前々から高かった。 この原因として、1つには中国のマネタイゼーションの進展が挙げられる。これまで市場で取引されてこなかった多くの製品が市場に流入し始め、自然とより多くの通貨が必要になった。

 もう1つの原因は、中国の社会融資構造だ。社会融資の大部分は銀行によるものであるため、M2が必然的に高くなる」とする。

 国家情報センター経済予測部世界経済研究室の張茉楠(ジャン・モーナン)副研究員は、「第1に、改革開放の深化と市場化の高まりに伴い、中国の通貨需要が絶えず高まり、マネーサプライの増加ペースが経済成長ペースを上回った。このためM2の対GDP比が高まった。

 第2に、WTO加盟以降、中国の輸出の高成長および蓄積された外貨準備高は、貨幣創造のメカニズムと供給構造を大きく変化させた。最後に、投資に対する過度な依存度もまた、通貨の受動的な過剰発行の主因となっている。金融資源の国有経済に対する過度な依存、国有部門の予算に対する『ソフトな制約』は、金融資源の効率低下を招いている。経済の高度成長を維持するためには、さらなる信用貸付・貨幣供給に依存する必要がある」と語る。

▽.市場を資源配分の主体に

 実際のところ、 「通貨の過剰発行」は表面的な現象であり、その裏には中国経済構造のアンバランスや金融体系発展の遅れといった問題が隠れている。 中国のマネタイゼーションの過程には、他国とまったく異なる構造的・制度的基礎が存在する。

 その核心は、

1).政府が主導となったマネタイゼーション、

2).国際資本の循環を受けた「受動的な創造」、

3).金融資源配分の効率低下

だ。

 張茉楠副研究員は、「通貨の中にいれば、通貨の仕組みを理解できないため、通貨の外に出て通貨を見直す必要がある。政府主導の資源配分モデルから脱却し、市場を資源配分の主体とし、投資への過度な依存をやめ、金融分野の全面的な改革を促進することで初めて、通貨の過剰発行を緩和することができる。

 人民銀行による通貨発行抑制や信用貸付規模に頼っていてはこの局面を変えるのは難しい」と指摘する。

 周小川総裁は、 「我々は2008年以降、世界的な金融危機に対応するために積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策をとってきた。政策自体は正しいが、副作用がもたらされることは確実だ。金融政策にはタイムラグが存在し、一部の効果や現象がやや遅れて現れることもある。 金融危機への対応の際は、マクロ経済調節に適度に力を入れる必要があるが、危機が過ぎた後は逆方向の調整が必要だ」と指摘する。

(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/内山)

 「お札を刷れる」というのは国家にとっての絶対的誘惑である。 その誘惑に負けて刷り過ぎるのが通常の動き。 通常はお札は貿易による外貨準備高を睨んで刷る。 ときにGDPを睨んで刷ることもある。しかし後者は先進国にのみ通用する判断とみるのが妥当。 お札を刷り過ぎるとは、上の条件から導き出せる数字をはるかに上回って刷ることをいう。外貨準備高に見あって刷っていれば、間違いなく安全である。GDPに合わせると、財政投融資といった公共投資まで組み込まれてしまうため、いわゆる「花見酒の経済」におちいる。

 さて、お札を刷りすぎると何が起こるか。こんなことはだれでも知っていることだが、確認しておく。

 巷にお金がだぶついてくる。よって、モノよりカネが多くなり、物価が上がる。 物価が上がるということは、それに合わせて賃金が上がるということになる。これをインフレ傾向と呼ぶ。このインフレ傾向を使って、賃金をあげ経済を上向きに引っ張るのが時の政府の政策になる。高度成長経済とはこれを正当な経済的裏付けをもってやることをいう。つまり、貿易黒字の充分な大きさを確保しながらお札の量を増やしていくことだ。成長経済とは永遠に続くものではない。成長が鈍っているのにお札をするとどうなる。モノの量に比べてお金だけが巷に溜まっていく。これが「インフレ」。

 貿易という場ではモノの価値は対外的に決まってくるので大きくは変わらない。モノの値段がある程度安定していると、今度はモノの量でお札を増やしていく。ものの量も限界がある。不必要には増えない。モノがたくさんあれば、それだけお金を巷に増やすことができる。しかし、それがピークに到達すると、刷り過ぎたお金は不動産に向かう。それがバブルとなる。経済破綻が待っている。

 中国でお金をジャカジャカ刷っているということは、充分な外資がある限り大丈夫だ。外資が足りなくなると、不動産に回してGDPを操作しながら、お札を刷る。そうするとバブルは弾ける。おそらく、中国は貿易的にピークを過ぎている。よって、GDPに合わせお札を刷っている。公共投資、財政融資でGDPの額を維持しようとしている。いまの、ロー・ミドルエンドの産業構造、環境破壊、インフレ化による賃金の高騰、ゴーストタウンの建設、ランニングコストを考えないミエだけのきらびやか建造物の増加、貿易経済の鈍化、中国からの国際資本の逃亡、といったところをみると中国は早晩、経済的に苦境に追い込まれる。通常なら引き締めにはいるべきなのだが、それを昔の夢追って拡大で乗り切ろうとするとバブル崩壊の悪夢に突入することになる。

 ちなみにデータをまとめると、

中国:GDPの「1.9倍」のお札を印刷

米国:GDPの「63%」のお札を印刷

 ということは、中国はアメリカの3倍のお札を刷っているということになる。いくらもっともらしい理屈を並べてみても、刷りすぎはみえみえ。早晩、インフレ、バブル崩壊へ向かう。 中国元が下落する。いまがピークだろう。

内容

P.95~97

太子党が持つオーナー意識

古森:メイン夕―ゲットは政治局常務委員と政治局委員だが、先に石平さんが説明したように、反腐敗運動の対象範囲は国有企業幹部、地方政府の中堅幹部まで広げられた。

産経新聞中国総局の記者の話では、習近平時代になってから逮捕された大物官僚の数は今年(2014年)の六月現在で約一〇〇人だそうだ。閣僚級、局長級も含まれるが、これぞ反腐敗運動 が権力闘争の手段であるという証左は、習近平と同根の太子党出身者が一人もいないことだ。

石平:習近平が中華人民共和国を樹立した毛沢東に心酔しているのは、よく知られるところだ。一九七〇年代半ばまで中国国内で絶対的なカリスマであった毛沢東を礼賛し、毛沢東を真似ることで、自らの存在感を示そうとしている。

たとえば習近平のスローガンである「中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現」は、中華思想にとらわれていた毛沢東の焼き直しであるし、反腐敗運動で政敵を次々と葬 っていく手口も毛沢東そのものである。 習近平が行ってきたキャンペーンは、この「反腐敗運動」と「反贅沢運動」と「反官僚主義運動」と「反日運動」の四つだが、反日を除く三つは毛沢東が建国直後の一九五一年に提唱した「三反運動」とまったく同じものなのである。対外政策も毛沢東を意識した「遠交近攻」であるし、好んで乗る車も、毛沢東が命じてつくらせた初代国産車「紅旗」だ。なぜそこまで習近平は毛沢東にこだわるのか。その答えは彼の出自である太子党に収斂する。

習近平のみならず太子党の面々は、中国共産党政権はわれわれのものである。われわれは、この政権のオ—ナ—なのだという独特の「オ—ナー意識」を持っている。

太子党である彼らの父親の世代が開国の父だった毛沢東と共に戦い、現在の中華人民共和国を建国したからだ。

習近平を領袖とする太子党の面々は、「われわれこそがこの国の正当なる継承者であり、政権を受け継ぐ当然の権利と使命があるのだ」と骨の髄から思い込んでいるわけである。

習近平たちにすれば、上海閥にしても共青団派にしても、それらの人たちは単なる政権の「雇われ経営者」であり、天下のオーナーである自分たちにとっての「使用人」にすぎない。たとえば、前の最高指導者胡錦濤は逆立ちしてもオーナーにはなれない。

そういう意味では太子党にとり、毛沢東は自分たちの血統と立場を“保証”してくれる絶対的な存在なのである。まずそれが一つ。

もう一つには、もうそろそろ共産党の中で毛沢東の権威を取り戻したいということだ。毛沢東の権威を取り戻すことで、共産党政権の一貫性を主張できると太子党の面々は信じている。

使用人であるはずの共青団の連中がこれから本気で天下を取ろうとするのであれば、自分たち太子党こそが身を挺してそれを阻止しなければならない。太子党の天下を取り戻して、革命の血を受け継いだ自分たちの継承権を確立しなければならない。これが偽らざる本音であろう。

そうした意味では、同じく太子党出身で、毛沢東主義を掲げて重慶市民の心を摑んだ薄熙来は習近平と同じ発想の持ち主であった。ただ、太子党のなかに二人の毛沢東主義を掲げるリーダーはいらない。習近平は薄熙来を失脚させる必要に迫られた。 だからこそ、本来ならライバルでもある共青団の胡錦濤とパーシャル連合し、薄熙来を潰した。

P.152~156

人民元を刷リ続けることができた理由

要は、中国政府が莫大な公共投資をすれば、さまざまな産業が繁栄するという方程式。たとえば、鉄道を敷けば土木建設、鉄鋼、機械関連の産業はみな潤うといった具合である。

では、こうした投資資金の出所はどこか。

中央政府が人民元をじゃんじゃん刷った。そして、中国がニ〇年間も毎年二桁近い経済成長を続けてこられた最大の要因は、土地ビジネスの成功であった。

「世界の工場」になった中国は、工場誘致した外国企業から三○〜五〇年分の土地使用権料を一度に、しかも外貨で獲得できた。土地所有を認めない自国のシステムが、中国を助けたと言えよう。外資系企業の進出ラッシュが続いた一九九五〜ニ〇〇五年は、各地各階層の共産党幹部、彼らにつながる連中にとり、土地はまさしく打出の小槌となった。

中国政府は外資企業から獲得した外貨を根拠に人民元を大増刷でき、それがケインズ政策実行の元手となったわけである。

だが、中国は図に乗りすぎた。

ニ〇〇八年のリーマン.ショック後、世界同時不況になり、中国の輸出は大幅に落ち込んだ。先にも述べたように、国内消費の弱い中国は輸出と公共事業に頼ってきた。その一方の柱が傾いてきたのだ。

中国政府が打った政策は、一つは財政出動。四兆元、日本円にして六八兆円という巨大な財政出動を行い、一気に公共事業投資を増やした。

もう一つの政策は、空前の金融緩和であった。要は、銀行からお金を大量に市場に回した。リーマン・ショック直後の一年間、中国の各銀行からの貸出総額は実に九•六兆元に上った。この額は当時の中国のG D Pの約三割という途方もないものだった。

この二つの政策は見事に奏功し、ニ〇〇九年には中国の経済は早くも回復を見せ、世界経済の「救世主」として中国がもてはやされたのは記憶に新しい。

当時の経済運営を任されていたのは温家宝首相で、彼もまた人民元札の輪転機をフル稼動させた。

終わリを告げた中国の経済成長戦略モデル

石平:だが、温家宝は経済の大原則を忘れていた。そうした財政出動や金融緩和には、必ず副作用があるということを。“無料の昼飯”などないのだ。どこかで必ず反動が出る。

人民元をバンバン刷って市場に回すと、市場に流通する金が溢れすぎる。通貨の量が、正常な経済活動に必要なレべルを上回る状態。つまり、過剰流動性に陥った。しかも大幅な過剰流動性に。

昨年末に中国国内で流通していた人民元は一〇九兆元にも上った。この一〇九兆元がどういうレベルかというと、昨年の中国のGDPが五ニ兆元だから、その二倍強となる。ドルに換算すれば、アメリカ国内で流通しているドル総額の一•五倍になる。

大幅な過剰流動性になると何が起きるのか。当然、国内では人民元の価値が下落する。逆に言えば、モノの価値が上がる。物価上昇、インフレとなる。その契機となったのがリーマン•ショック直後の政府の経済対策だったということになる。

ニ〇〇九年に中国でインフレが始まり、とくに食料品の価格上昇が目立ってきた。中国政府としては、大衆が食べていけないほどの物価上昇だけは阻止しなければならない。だが大衆が一斉に食えなくなったら、社会的大混乱に陥り、かつての「黄巾の乱」のような事態になりかねない。そうなれば共産党政権が持たなくなる。

結果的に政府は、こうしたインフレを退治するために金融を引き締めた。だが、金融引き締めもまた、重大な副作用が伴う。

金融緩和とは逆に、銀行から金を借りられなくなる。あるいは限定的にしか借りられなくなる。先刻古森さんが指摘されたように、国有銀行は国有企業に優先的に金を貸すので、この金融引き締めで犠牲になったのは当然民間の中小企業だった。

日本でも同じだが、中小企業は銀行から金が回ってこなくなったら、まず倒産する。中国でも同様で、全国の中小企業は酷い目に遭わされ、ニ〇〇九年から「国進民退」という言葉が大流行し始めた。

また、金融引き締めは公共投資も減少させた。これだけの副作用をもたらした挙句、個人消費も冷え込んだままだ。 おまけにここにきて、中国経済をずっと牽引してきた輸出に急ブレーキがかかった。 二〇一〇年までの対外輸出の伸びは毎年ニ五%以上だったが、昨年は七•九%まで落. 込んだ。さらに衝撃が襲う。今年の第一•四半期はついにマイナス六•四%まで落ち込んだのである。

輸出が完全に止まった。国内投資も止まった。中小企業は壊減状態。国有企業は国有銀行頼みで、競争力がまったくない。国内の人件費の高騰で、外資企業の中国離れが加速している。中国の経済成長の戦略モデルは完全に終わったのである。

 

 

 

 

 

 

 

4/28 ZAKZAK 『安倍首相の米議会演説を控え落ち着かない隣国とそのメディア』記事について

殆ど偏執狂(変宗教か=カルト?)のレベルです。懲りない面々と言うか、こんなことをしていれば世界に敵を作るだけでしょう。米国だけでなく、他の国もこんなにしつこいというのはヤクザ・暴力団の類と思って敬遠するでしょう。中国人は騙すけれども、こんなシツコイ厭らしさはありません。未熟な民族でしょう。

中国は女子が足りないため或は将来の労働力確保のため、拉致誘拐するトラフッキングが盛んとTVでやっていました。これもひどいですが、韓国に対して「韓国人男性と結婚禁止」の国があります。ネットで拾ったものですが(4/13「正しい歴史認識・国益重視外交・核武装実現」ブログより)、

http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-5794.html

2005年、フィリピン、自国女性に韓国人戒厳令

2010年、カンボジア、韓国人男性との結婚禁止

2012年、ベトナム、韓国人男性との結婚を制限的禁止

2013年、キルギス、韓国人男性との結婚禁止(法案検討中)

夫のDVの凄さで自殺に追い込まれたりしているので各国政府が禁止とのこと。

本日の米議会での安倍首相の演説後の彼らの発狂振りを見るのが楽しみです。彼らは自分がやってきたこと(金を使って籠絡する、賄賂・ハニトラも)は、当然日本もやっているだろうと、自分のことは棚に上げ、声高に非難する夜郎自大な民族です。日本は彼らを相手にせず、経済的にも締め上げ、朝鮮半島有事の際にも、在韓米軍と在韓邦人の救出だけやって知らんふりすればよい。どれだけ日本が韓国のためになっていたのか気が付くはずですが、多分それでも脳が犯されていますので気づかないでしょう。気づくのであればもっと早くから気づいていたでしょうから。

記事

安倍晋三首相による米上下両院合同会議での演説を今月29日に控え、韓国が落ち着かない。日本の戦後70年を節目に、安倍首相が歴史への反省を表明するかどうかを注視しているのだが、演説の中で「慰安婦問題」など韓国が固執する問題について、特にメディアが「安倍首相は言及し、反省すべき」と注文をつけている。命令調の要求まで出てきた。ワシントンでの演説の当事者は日米なのに、ここにまで干渉し、日本に反省させようというのだ。(ソウル 名村隆寛)

■忠告? まるで“命令”では

 安倍首相の米議会演説がワシントンで発表された3月26日以降、韓国メディアでは、「安倍、歴史について謝罪すべし」との主張が相次いだ。インドネシアでのアジア・アフリカ会議(バンドン会議、22・23日)で安倍首相が22日に行った演説にまで意見していた。

 その中で、韓国の思いを象徴するような記事があった。中央日報(16日付)に掲載された、国際問題大記者(ベテラン大論説委員)による「安倍総理(首相)に忠告する」と題したコラムで、概要は以下の通りだ。

 「バンドン会議と米議会での演説は8月15日(日本の終戦記念日)の予行演習に過ぎない。8・15演説を控え、多くの助言があり、内容は一貫。3月に訪日したメルケル独首相は安倍首相に、ドイツを見習い過去を直視して、慰安婦問題を解決し韓国と和解するよう促した」

 「オバマ米大統領はメルケル首相のように、はっきり懺悔(ざんげ)するよう安倍首相に対し、慰安婦問題の解決に向け圧力を加えねばならない。さもなくば、アジアの激しい逆風が待っている」

 「安倍演説は内部志向でなく外部志向、過去志向でなく未来志向でなけれならない。安倍首相は侵略行為と慰安婦問題を否認する歴史修正主義者らの要求を退けねばならない。3回の演説で過去を克服し、韓日中関係の悪循環を断ち切るよう忠告する」

 「忠告」どころか、まるで“命令”か“脅迫”である。

■関係のない韓国が…

 安倍首相の米議会演説をめぐり、韓国ではメディアが「巨額の資金を使い、日本が米国で日本の歴史認識を広める組織的な動きを見せている」との“警戒報道”を展開。韓国の政府や政界の要人の間でも「“歴史修正”を目的とし、日本が莫大(ばくだい)な金を投入した対米ロビー活動を大展開している」と、真実味をもって語られていた。

 外務省の知人や米国在住の友人に聞いたところ、「ロビーだけに金がつぎ込まれているわけでもなく、巨額の金でもない」「韓国が考えているほど組織的ではないし、米国での反日ロビー活動はむしろ、韓国の方が徒党を組んでいる。しかもエゲツない」と言う。

 演説が決定の方向にあった今から1カ月あまり前、韓国メディアは「安倍演説を断固阻止せよ!」と主張し、韓国政府の尻をたたいていた。

 韓国政府は、「日本政府がこれまで公言した通り、歴代内閣の歴史認識を変わりなく継承し、過去への真正な省察を示すことを期待する。演説が実現すれば、安倍首相と日本の外交にとって重要な試験台になるだろう」(外務省報道官が3月24日の定例会見で発言)と公式見解を明らかにしていた。

 安倍首相による今回の米議会演説は、韓国には直接関係ない。日米の一対一のものだ。韓国の演説への過剰な干渉は、あえて例えるならば、韓国を訪問した第三者の国の首脳に対し、日本が「ああ言え。こう言え」と出しゃばっているようなものだ。日本がそんなことをすることは、まずはないだろうが。

 妨害での演説阻止が無理なら、今度は強要だ。何にでも引っかけて、是が非でも、韓国が納得する謝罪を引き出そうとしている。国際社会の中で日本をさらし者にしたいかのようだ。

 韓国メディアの報道ぶりを見ていると、日本はあらゆる所で韓国との歴史を念頭に、反省し謝らなければならないかのようだ。ただ、当然のことだが、日本は韓国だけを相手にしているのではないし、そんなわけはない。

 安倍首相は29日、ワシントンでの演説で、70年前まで直接戦った相手の米国に対し、日米両国の歴史について間違いなく言及するだろう。「反省」にも言及しよう。ただし、これは米国に対するものである。韓国が熱望する「慰安婦問題での反省」は、ここで持ち出すべきテーマではない。全く場違いなものだ。

■米国もウンザリ…

 万が一、安倍首相が演説で慰安婦問題に触れたとすれば、一部の親韓派の米議員は「歓迎」するだろうし、“人道的”に評価されるかもしれない。

 しかし、これが今回、場違いなことであることに韓国のメディアや一部の知識人は気付いていないし、認めようともしない。逆に、先に紹介した中央日報のベテラン記者のように、当然視、絶対視する見方が多い。

 安倍首相を議会に迎える米国ではどうなのか。一部の韓国紙は、「ワシントンでは韓国に対する疲労感を口にする米政府関係者や議員がいる」と報じている。米国(の首都)に韓国人がやってきて、ここを舞台に日本非難を繰り返す。その執拗(しつよう)さに米国は辟易(へきえき)とし、ウンザリしているというわけだ。

 米国にいるわけではないが、韓国で生活している皮膚感覚から、嫌というほどその辟易感やウンザリ感は理解できる。韓国に対するこうした“疲労感”は今や日本だけのものではないのだ。韓国国内では、自国が日本だけでなく米国までもウンザリさせていることを自覚し、心配している人が、一部にはいる。

 しかし、謝罪要求を繰り返すメディアなどには、「むしろ、謝罪しない日本に対してわれわれが疲労感を感じている」との主張さえある。「やれやれ」ではあるが、これが当地韓国の現状なのだ。

■演説干渉どころでは…

 メディアを中心に“執拗な反日”を続ける韓国ではあるが、これが米国でどう受けとめられているかを、一方で密かに気にしているのも、韓国らしい。

 韓国政府も知らないわけではない。韓国政府は最近、「日本との歴史問題は重視する」という基本姿勢は維持する一方で、日米韓の同盟関係や国益など現実問題を考慮しているようだ。少なくとも、形式的には日本と協調する方向にある。

 国内メディアが何と言おうが、韓国政府内の外交実務の現場では、現在、韓国を取り巻いている“危ない空気”を敏感に感じ取っているのだ。安倍首相の演説を静観している最近の韓国政府の姿勢から、それを読み取ることができる。

 それ以上に、重大な国内問題を、韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権は、まさに今、抱えている。辞任した首相、朴政権の歴代の大統領府秘書室長、朴政権誕生に貢献した与党議員ら、大統領の側近が絡んだとされる金銭受け取り疑惑だ。1年前の旅客船「セウォル号」沈没とはまた違った大事件で。朴政権発足後では、最大級のスキャンダルとなった。

 疑惑の真相は検察当局の捜査に委ね、肝心の朴大統領は16日から12日間、南米4カ国を歴訪。そのような折、李完九(イ・ワング)首相が20日深夜になって突然、辞意を表明した。すったもんだ、難航の末、2月に就任したばかりの朴大統領の“切り札”であった李首相だが、任期はわずか2カ月だ。

 韓国の内政は今、混乱を極めている。さらに、セウォル号の引き揚げやら、遺族・行方不明者家族らの反発やら、未解決の問題、課題は山積している。

■演説内容に関わらず反発は続く?!

 紙面や報道時間の物理的な問題なのだろう。安倍首相演説への反発に血眼になっていたメディアの報道も、ここのところ、側近らの金銭受け取り疑惑に集中している。李首相の辞任が、メディアの報道をより内向きにさせている。

 しかし、安倍首相の演説について、韓国メディアとしては黙ってはいられないだろう。大統領側近の疑惑をはじめとする、ごく最近の国内のゴタゴタがなかったとすれば、韓国メディアの関心は間違いなく安倍首相の演説に集中し、もっと騒いでいたはずだ。

 とにかく、歴史認識問題をめぐって「安倍憎し」「安倍が悪い」なのだ。あくまでも、事前の予測ではあるが、演説の内容がどのようなものであれ、韓国のメディアが少なくとも何らかの反発を見せることは必至だ。

 韓国に直接関係のない場所でも、お構いなし。日本の歴史認識を、韓国が思う通りに“修正”するためなら、韓国はメディアを筆頭に、自らを振り返らず、執拗に口出しし、介入し、注文をつけ続けるだろう。真面目に韓国と向き合い、その言い分を聞く側は、その疲労感から当分、解かれそうにもない。

4/27日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「アベの米議会演説阻止」で自爆した韓国 ハルキも動員、韓国人の「聖戦」に疲れる米国人』記事について

アメリカもほとほと韓国人には困っているのでは。もともと移民の国ですが、白人の選民思想でできた国です。アジアのちっぽけな国の言うことを聞きすぎた咎めが出て来ています。それも北朝鮮・中国が後ろに控え、地政学的に自由陣営の砦としようとしたからで、でもAIIBやTHAADの事例を見て分かるように、事大主義の国です。オバマが軍事忌避するのを見てロシア・中国が平気で他国を侵略しています。それを見て韓国は中国に付いた方が良いと判断したのでしょう。歴史の示す通り、中国の属国に戻った方が良いでしょう。日本に対し、1000年、100年の恨みを言い募る国です。こんな国に対してまともな外交は出来ません。

昨日も書きましたが、韓国が如何に騒ごうが「侵略」「お詫び」については盛り込まれないと思います。バンドン会議でのスピーチは米国と事務局同士で擦り合わせたものと考えるからです。普通に考えて、会社でも必要な所には根回しするのと同じで、バンドン会議のスピーチも事前に擦り合わせしていると思います。韓国は「自分だけが正しい」と思いこむ偏狭な民族です。だから冷静に見れないのでしょう。日本人は彼らが取った行動をそれこそ1000年も覚えておいて、「非韓3原則」に徹しないとダメです。慰安婦の嘘で日本人の名誉を世界的に傷つけたのですから。それでも韓国の味方をするのは金、女、なりすましのいずれかと思って良いです。

ヘンリー・ストークス氏は自分の出たニューヨークタイムズを不勉強と謗っています。日本の駐在記者もこういうニューヨークにしかいないリベラルな読者対象の記事を有難がって転載すべきではない。発行部数も160万部くらいしかないのに。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150427/plt1504271140001-n1.htm

記事

安倍晋三首相の米議会演説を阻止しようとして韓国は失敗した。そこで次善の策として、演説の中に「韓国への謝罪」を入れさせようとしたのだが……。

普通の人から大統領まで

鈴置:安倍首相が訪米しました。4月28日のオバマ(Barack Obama)大統領との首脳会談に続き、29日には上下両院合同会議で演説します。韓国ではこの演説に対し、異様な関心が集まっています。

—なぜ、韓国人が関心を持つのですか。

鈴置:韓国は国を挙げて「アベの米議会演説阻止」に取り組んできたからです。「『安倍演説阻止』に向けた韓国の動き」をご覧下さい。

「安倍演説阻止」に向けた韓国の動き(2015年)

2月14日 聯合ニュース「在米韓国人、安倍首相の議会演説阻止に動く」と報道
3月4日 訪米した韓国国会の鄭義和議長、安倍首相の米議会演説に関し米下院議長に「日本の真の謝罪と行動が必要」
3月19日 聯合ニュース「米議会、安倍総理の上下院合同演説を許可する方向」と報道
3月20日 韓国外務省「安倍首相は米議会演説で歴史への省察を示すべきだ」
3月29日 韓国の尹炳世外相「安倍首相の米議会演説と70年談話が日本の歴史認識の試金石になる」
4月2日 鄭議長、訪韓した民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務に「日本の首相は米議会演説で過去を認め謝罪すべきだ」
4月2日 尹外相、ペロシ総務に「安倍演説は侵略、植民地支配、慰安婦に関しすでに認めた立場を具体的な表現で触れねばならない」
4月2日 朴槿恵大統領、ペロシ総務に「慰安婦問題の解決は急務」
4月16日 日米韓外務次官協議で韓国の趙太庸第1次官「安倍演説は正しい歴史認識を基に」と注文
4月21日 韓国国会の羅卿瑗・外交統一委員長、リッパート駐韓米大使に安倍首相の歴史認識について懸念表明
4月21日 WSJ「韓国政府が安倍首相の米議会演説に韓国の主張を反映させるべく米広報会社と契約」
4月22日 韓国の柳興洙駐日大使、戦後70年談話で「(侵略、植民地支配、反省の)3つの言葉を使うよう期待」
4月22日 韓国外務省、バンドン会議での安倍演説に関し「植民地支配と侵略への謝罪と反省がなかったことが遺憾」
4月23日 米下院議員25人「安倍首相が訪米中に歴史問題に言及し、村山・河野両談話を再確認する」ことを促す書簡送る
4月23日 韓国系と中国系の団体、元慰安婦とともに米議会内で会見し「安倍首相は演説で謝罪を」と要求
4月24日 韓国外交部「尹外相とケリー米国務長官が電話、歴史対立を癒す努力で一致」と発表
4月24日 ブラジル訪問中の朴大統領「日本に、正しい歴史認識を基にした誠意ある行動を期待」
4月24日 ローズ米大統領副補佐官「安倍首相に対し、過去の談話と合致し、地域の緊張を和らげるよう働きかけている」
4月24日 メディロス米NSCアジア部長「歴史問題は最終解決に達するよう取り組むことが重要」

普通の人が加盟する在米韓国人団体から、外務省、国会議長、はては朴槿恵(パク・クンヘ)大統領までオール韓国の体制を組んで「アベの演説」に横やりを入れてきました。あたかもジハード――民族の尊厳をかけた「聖戦」のようでした。

 当初は演説の阻止が目的でしたが、それが困難と分かると演説の中で韓国に謝罪させようとしました。もちろんメディアも「アベは謝れ!」と声を合わせています。最近も韓国各紙が“大合唱”したばかりです。

村上春樹に飛びつく

 小説家の村上春樹氏が共同通信のインタビューに答え「相手国が『すっきりとしたわけじゃないけれど、それだけ謝ってくれたから、わかりました。もういいでしょう』と言うまで謝るしかないんじゃないかな」と述べました。

 この記事は4月15日に配信されました。関東地方では4月17日に東京新聞が第6面全面を使って載せました。すると翌4月18日、韓国各紙は一斉に引用したのです。

 東亜日報の高美錫(コ・ミソク)論説委員は「2人の春樹の無限謝罪論」(日本語版)を書きました。

 村上氏と、和田春樹東大名誉教授の謝罪論を引用しつつ「安倍首相の米上下両院合同会議での演説には、慰安婦問題解決の具体的な内容が必ず含まれなければならない」と主張したのです。

 同日には中央日報も「村上春樹氏『相手国がもういいというまで日本は謝るしかない』」(日本語版)という記事に加え、社説でも取り上げました。「安倍首相、村上春樹氏の良心の声に耳を傾けるべき」(日本語版)です。

中央日報はいずれの記事でも「村上氏のコメントは戦後70年談話での謝罪を避ける安倍首相に覚醒を促したもの」と書いていますが、米議会演説での謝罪も催促するつもりで引用したと思われます。

首相辞意の日も謝罪要求

 朝鮮日報も「ハルキ、アベに一針……『相手国がもういいと言うまで謝罪せねば』」(4月18日、韓国語版)という東京特派員電で村上氏の主張を報じました。

 韓国では4月に入ると「韓国が期待するほどには安倍首相は謝らない」との見方が次第に広がりました。これに連れ、メディアの謝罪要求は日増しに激しくなりました。

 KBSは「米議会でちゃんと謝らないと、アベは今夏の戦後70年談話で『きちんと謝罪しろ』と、米国からさらなる圧力を受けるぞ」と威嚇しました。

 ここまで来るともう、捨て台詞です。「起立拍手と安倍総理の米議会演説」(4月20日、韓国語)がそれです。

 汚職スキャンダルで韓国の政局は大混乱。4月20日には、朴槿恵大統領が外遊中と言うのに首相が辞意を表明しました。そんな中でも韓国メディアは「謝罪要求」を忘れませんでした。

歴史カード」を磨く 

—韓国人はなぜ米議会での、つまり第3国での演説にまで介入するのでしょうか。

鈴置:議会演説が固まった頃の、中央日報の「韓国、『安倍首相の米議会演説』悪材料?…対米外交失敗に映らないか負担」(3月20日、日本語版)が、彼らの思いを率直に書いています。以下です。

  • 韓国外交部が安倍首相の米議会演説という悪材料にぶつかった。日本がこれを「免罪符」として活用する可能性があるからだ。

 朴槿恵大統領は慰安婦問題で「日本が謝らない限り首脳会談はしない」と強硬な謝罪要求を掲げてきました。しかし日本はなかなか折れてこない。そこで外交部は米国をして日本に圧力をかけ、謝罪させようとしていました。

 そんな状況下で米国が議会での演説を許せれば、アベは米国から免罪符を貰ったといい気になって今後、韓国に謝らなくなる――と韓国人は懸念したのです。

 そもそも「歴史カード」は韓国の大切な武器です。韓国は「慰安婦」や「植民地支配」を振りかざすことで、日本に対し外交的にも精神的にも「上位」の立場を保とうとしてきました。

 このカードは内政でも貴重です。これらを使って反日気分を盛り上げ、自身への批判をかわすのが歴代政権の困った時の手口です。このため韓国は、機会あるごとに日本に謝らせ「歴史カード」を磨いておく必要があるのです。

—なるほど。日本の首相が米国に行った時にも謝罪させておかないと統治の武器が鈍ってしまう、ということですね。

鈴置:その通りです。日本人には「免罪符を米国が発行する」という発想も分かりにくいでしょうけれど。韓国らしいというか、事大主義そのものです。

「カネでつかんだアベ演説」

—この記事の見出し「対米外交失敗に映らないか負担」の意味は?

鈴置:大統領に怒られないか外交部が頭を抱えている、ということでしょう。記事は以下のようなくだりに続きます。

  • 外交部はさまざまな経路で安倍首相の演説への懸念を米国側に伝えてきた。そして日本の歴史認識問題に対する韓国の外交戦略がある程度の成果を出していると判断していた。それだけに安倍首相が演説をすることになれば、努力が水の泡とならないか懸念している。
  • 今後、外交部は安倍首相の演説に過去の歴史に対する反省などが入るよう外交力を集中する計画だ。外交部関係者は「演説の反対給付として過去の歴史に対する正しい認識などが入るよう多様な経路を通じて要請している」と述べた。

 この記事は3月20日に掲載されたものです。先ほど申し上げたように、演説阻止に失敗したこの頃から、韓国は演説内容を自分の思い通りにすることに闘争目標を切り替えました。同時に「日本のカネに負けた」と言い出します。

 中央日報の「日本、金・人脈がつかんだ『議会演説』…力で劣った韓国外交」(3月20日、日本語版)がそれです。

 なおこの記事は「日本がカネで勝った」ことを示す具体的な証拠は提示していません。韓国外交部の負け惜しみでもあり、大統領と国民への言い訳でもあるのでしょう。

 さらになお、4月21日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「South Korea Hires PR Agency Ahead of Abe Speech」で「韓国政府が、安倍首相の米議会演説に韓国の主張を反映させるべく、米広報会社と契約した」と報じています。

押し掛ける韓国人、うんざりする米国人

—韓国民挙げての「聖戦」の舞台にされて、さぞ米国人も困っていることでしょう。

鈴置:ええ、米国人もうんざりしています。3月以降、米国の外交・安全保障関係者のもとに韓国人が押し掛けてきては「アベの演説をやめさせろ」とうるさく言ってきたからです。

 米国の外交関係者が日本人に会うたびに「日韓関係は――韓国は何とかならないのか。韓国人にはほとほと疲れた」とこぼすのが恒例になったそうです。

—韓国人は米国の「韓国疲れ」に気がつかないのですか。

鈴置:一部の識者は懸念しています。ヴァンダービルドというペンネームを使って韓国外交を厳しく批判する識者が「自殺点と韓国疲労症」(4月3日、韓国語)なる記事を書きました。

 「『安倍演説阻止』に向けた韓国の動き」にも入れましたが、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)米下院民主党院内総務が訪韓した時の話です。趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに載せた記事のポイントを翻訳します。

哀れでもどかしい国

  • 2007年に米下院が「慰安婦決議案」を採択した時の議長とはいえ、韓国の国会議長、外交部長官、大統領から繰り返し慰安婦など過去の歴史を聞かされて、ペロシ議員もさぞ疲労感を覚えたと思われる。
  • 米国など重要国の政治家は、訪韓すると必ず「慰安婦」「性奴隷」「侵略」「人類の平和」を聞かされるのが定番コースとなった。
  • (この政権は)「謝罪がない限りアベとは会わない」との、自ら作った束縛から逃れようと「日本に謝罪させてくれ」とすがりついているのだ。その姿は哀れであり、もどかしくもある。

 日本への執拗な謝罪要求が米国の「韓国疲れ」を呼んだ。オウンゴールになるぞ――とヴァンダービルド氏は警告しているのです。

 なお、ペロシ院内代表は「米議会でのアベ演説に謝罪を入れさせろ」という韓国の要求を受け流しました。

 ソウルでの記者会見で「彼(安倍首相)がどんな方法であれ謝罪することを望む」としつつも「必ずしも(米国)議会で行う必要はない。彼が(謝罪)声明を出すならば、他国でするよりはおそらく自国でするだろうと考える」と答えています。

 以上はハンギョレの「ペロシ前米国下院議長『安倍首相は慰安婦謝罪声明を出すべき』」(4月2日、日本語版)で読めます。

肉弾阻止はやり過ぎ

—ヴァンダービルド氏の意見は、例によって韓国では少数派なのでしょうね。

鈴置:韓国メディアの中でこの人1人が朴槿恵外交に対し直言する、というケースが目立ちました。でも「韓国疲れ」に関しては、数は多くありませんが大手メディアの記者も言及しました。

 朝鮮日報のイム・ミンヒョク記者は「すぐに出る米国の外交成績表」(4月3日、韓国語版)を書きました。要旨は以下です。

  • 安倍首相の米議会演説に対しては「韓国の対米外交の失敗」「我が国の外交官はなぜ、演説を阻止できなかったのか」との批判がある。だが、これをもってワシントンが「韓日歴史問題で日本の手を挙げた」と解釈すべきでない。
  • メディアや市民団体だけではなく、政府までが他国の首相の演説を「肉弾阻止」すれば、韓国はやり過ぎと見なされ逆効果となるだろう。ある外交官OBは「韓日戦ではない、他のすべてのゲームまで日本が負けるようにするなんて不可能」と言う。
  • 韓国外交の成否は演説の有無ではなく、安倍演説の内容とそれへの米国の評価だ。その評価こそが、歴史に関連した我々の論理が米国の朝野にどれだけ浸透しているかを図る最高の尺度である。

 イム・ミンヒョク記者は「韓国の主張を米国で浸透させること」の重要性は強調していますが「やり過ぎ」に対しては強く批判しています。

米議会闘争の次は……

 中央日報の「外交課題になった歴史の捕虜=韓国」(4月20日、日本語版)は「韓国疲れ」には直接は言及していません。が、歴史にこだわることの危うさを指摘しました。米国の韓国に対する視線が厳しくなっていることが背景にあると思われます。

 書いたのはチェ・ビョンゴン・ワシントン特派員で、記事の冒頭に米国が日本との「過去」をどう扱っているかを記しました。

  • 安倍首相の演説をめぐり、米国内の戦争捕虜支援団体が反対声明を出した。 しかしこれがすべてではない。米国防総省は「過去の敵は現在の友」と題した太平洋戦争に関する動画をユーチューブに載せた。
  • 動画では米軍参戦勇士が太平洋戦争当時の激戦地である硫黄島を訪問し「我々は以前(日本と)敵だったが、今は友人」と話す場面が登場する。
  • 日本を訪問したデンプシー米統合参謀本部議長が安倍首相を表敬訪問し「米国と日本の“絆”はこれ以上強くなりえない」と評価した直後だった。

謝罪は無限だ

—韓国人は「米議会闘争」の次は何を日本に仕掛けるのでしょうか。

鈴置:米議会での安倍首相の演説が、韓国人にとって満足のいくものならいったんは矛を収めるかもしれません。でも、韓国人が満足することはまずあり得ません。

 そこで「戦後70年談話」に焦点を当てて闘争を展開することになるでしょう。4月22日に柳興洙(ユ・フンス)駐日大使が都内で講演した際にも、戦後70年談話には「(侵略、植民地支配、反省の)3つの言葉を使うよう望む」と述べています。

—本当に「3つの言葉」で収まるのですか、韓国は。

鈴置:韓国にとって、日本に謝らせることそのものが外交得点であり、国内対策でもあるのです。日本が何と謝ろうと、困った時には「やっぱり不十分だった」と再び謝罪を求めてくるでしょう。

 先ほど、東亜日報の高美錫論説委員のコラムを引用しました。見出しが「無限謝罪論」であることを思い出して下さい。

—なるほど、「謝罪は無限に続くべき」なのですね。

「世界で孤立し自滅する日本」

鈴置:そこです。「無限」という言葉に韓国人の本音がよく現れています。村上春樹氏は無限に謝罪しよう、とは主張していません。「相手が納得するまで」と言っているのですが、韓国人は納得するつもりは全くないので「謝罪は無限に続く」ということになるのです。

 もっとも、それとは正反対の「反日限界論」も登場しました。4月21日にヴァンダービルド氏が「残念ながら『反日祭り』は終わった」(韓国語)という記事を書いています。要点を訳します。

  • これまで米国は韓国の反日感情に考慮して、歴史問題については日本に多くの圧力をかけてきた。「反日」は対国内、対日、対米の3つの面で効果を発揮してきた。
  • しかし、国内用を除きもう、効果がなくなったことがはっきりした。韓国の反日に日本が露骨に対抗し始め、米国も問題視し始めたからだ。その背景には中国の拡張的な動きがある。
  • 世の中が根本的に変わっているのに、韓国人は全く気づいていない。なぜなら韓国メディアは依然としてハトヤマ、ムラヤマ、カン・ナオトのような日本でも宇宙人扱いされる人々の例外的な意見ばかりを載せているからだ。
  • 「日本に一針」式の記事に慣れた韓国人は世界が「反日」で満ち溢れ、日本が孤立し自滅の道を歩んでいると思い込んでいる。
  • 国際的な勢力均衡を崩し始めた中国を懸念する米日が、中国と協力して反日を固守する韓国をどう見るだろうか。私たちは「反日」を感情次元ではなく、国の安全保障の観点からコントロールすべきだ。

日本を許す米国は許さない

—「謝罪や反日は無限どころか、そろそろ限界だぞ」という意見ですね。

鈴置:そうです。ここまではっきりとは書かないけれど「日本との関係を改善すべきだ」との意見が韓国紙に相次ぎ載るようになりました。

 「慰安婦」で国を挙げて頑張っても、思い通りに米国を動かせない。それどころか、韓国を置き去りにして日米関係は深まる一方だからです。

 それに4月22日、インドネシアのバンドンで習近平主席も安倍首相と会うなど、中国も日本との関係改善に動きました。

 「日本を孤立させた」と政府やメディアが言うので喝采を叫んでいたら、実は韓国が孤立していたではないか――と韓国人も朴槿恵外交を疑い始めたのです。

 しかし一方では、東亜日報がいみじくも書いたように、韓国では「無限謝罪論」が常識です。

 気になる記事があります。韓国人の心の奥底を覗いては日本語で解いてみせるシンシアリー氏が「韓国は、安倍談話をきっかけに、中国との関係を深めることになるでしょう」と断言したのです。

—あのシンシアリー氏が断言したのですか。

反日を捨てられない韓国は中国に行く

鈴置:だから不気味なのです。4月10日の「共通点と、皮肉な矛盾~儒教とプロテスタンティズム~」と言う長いブログの、最後のくだりです。

 過去よりも現在が大事な米国と、過去の「恨(ハン)」を永遠に引きずる韓国は、いつかは価値観が衝突する。米国が日本の過去を許せば、反日を捨てられない韓国人は米国を離れ中国に向かう――との見立てです。

—結局、韓国は「反日共闘」のためにも中国側に行くのか、米国との同盟を維持するために「反日」を自制するのか、どちらなのでしょうか。

鈴置:今時点では判断できません。1つ言えることは、どちらに向かうにしろそれに必要な指導力が朴槿恵政権にあるとは思えないことです。