1/27大礒正美氏『国際政策コラム<よむ地球きる世界>少数派に転落するか民主主義国』について

 

オバマは「戦争嫌い=武力行使嫌い」、「大きな政府」をモットーとし、リベラルにありがちな容共政策を取りたがっています。民主党政権はF・D・ローズベルトがそうでした。後にマッカーシー旋風が起きたくらいでした。ヒラリーもビルが大統領の時に医療保険をやろうとしていましたし、中国(今でも共産党支配です)から(米国在住の中国人ですが迂回でしょう)献金を受けたのが問題になっていました。

レジェンドが何もないオバマとしてはキューバと国交正常化して歴史に名を留めたいと思っているのでしょう。北朝鮮と違い核も持っていないのでやりやすいと言えばやりやすいでしょうが、フロリダに住む亡命キューバ人がどう思うかです。アメリカは中国について「豊かになれば民主化する」という安易な思いで豊かにしましたが、民主化されたでしょうか?結果はアメリカに対抗し、軍事覇権を目ざすモンスターを作ってしまいました。日本を戦争に巻き込み、中国の門戸開放を狙ったF・D・ローズベルトも彼の死後、戦後は中国大陸を共産党に牛耳られ、手出しできなくなりました。

キューバは中国と違い、人口も少ないので、脅威とはならないでしょう。但し、中国と同じで社会主義政権は役人の許認可権が生殺与奪の権を握り、政権を批判できるメデイアもありませんので、既得権益の固い岩盤を崩せるかどうかです。問題はニカラグアに運河を開こうとしている中国です。アメリカの裏庭に手を出そうとしているのに、表だって動こうとはしていません。ニカラグアは台湾と外交関係を結んでいる数少ない国で、中国の投資が実行されれば台湾と断交させられるのとパナマ運河が封鎖された時の代用施設を持っておきたいという軍事的な意味合いからだと思います。太平洋を分割統治しようという野望に沿ったものです。経済的には「不動産バブル」「理財商品」等でガタガタになっている中国ですが、いつまで帳簿改竄、「飛ばし」で持つのでしょうか。騙されてはいけないです。

安倍首相の戦後70年の談話は村山や小泉談話を引き継ぐ必要はありません。戦勝国史観に則って「植民地支配と侵略」へのお詫びを入れるというのは、倒錯しています。1940年代に植民地を多く持っていたのはどこの国かと言いたい。単に戦争に負けただけで、彼らと比較して悪いことをしたわけではありません。少なくとも日本は植民地(colony)ではなく併合(annexation)の形態でした。満州は中国の領土ではありません。満州族のものです。万里の長城の存在が物語っています。内蒙古自治区も新疆ウイグル自治区もチベット自治区も中国人というか漢族のものではありません。侵略を言うのであれば漢族でしょう。まあ、正面切って歴史を見直せばアメリカにとって「不都合な真実」がいっぱい出てきますので、過去に焦点を合わさず、未来の日本の姿を言うのが良いと思います。

記事

アメリカ政府が、というよりオバマ政権が、いつの間にか中国に対して民主化や人権を言わなくなった。日本でもそういう変化に気がついていたが、先月、オバマ大統領が突然、キューバ封じ込め政策を転換すると発表したことで、米国の変心が決定的になった。

 オバマはその前年2013年9月に、「世界の警察官ではない」と言い切っていた。キューバの共産党政権を認めるという決断も、その延長線上にあることは確かだ。

 この大転換は人類の歴史に刻まれるほどの衝撃である。冷戦後の世界が、実は間違っていたと言っているようなものだからだ。

 ソ連の完敗は近代民主主義の勝利と受け取られ、今後の世界は挑戦のない退屈なものになるだろう、というような楽観論が世界に広まった。

 その楽観論には、ロシアと中国が早期に自由民主主義を取り入れるだろうという期待が含まれていた。それが裏切られてもなお、ある国の総理大臣は、世界の紛争を「友愛」で解決できると言い続けた。

 その期待を「プーチン大帝」はアッサリと裏切って、昨年ウクライナのクリミア半島を電撃回収した。2015年は「中ソ Vs.旧西側」の第2次冷戦が始まるのではないかという見方もある。

 西側は何を間違えたのだろうか。

 答は民族のDNAを忘れたことである。「民族性」は簡単には変わらない。ロシアもチャイナも、何かに反発して、潜在していた民族性を吹き出させたと言えよう。

 ロシアに関しては「タタールの軛(くびき)」という古い表現で説明できる。タタール(韃靼)とは中央アジアの遊牧民を意味し、くびきは牛を使役に使うとき首を固定する道具のことである。

 つまりロシア民族は「ロシア的専制」と言われ、押さえつける支配と被支配の歴史・文化が特徴だということである。

 プーチンがウクライナに固執しているので誤解されることがあるが、ロシア帝国の前身はキエフ公国ではなくモスクワ大公国で、そのまた前身は大モンゴル帝国が残した諸「汗国」の1つの「キプチャク汗国」である。

 それが大モンゴルと同じように、アジア大陸の北半分を版図とする大帝国に発展したのである。

 つまり歴史上、このDNAは、モンゴル帝国、ロシア帝国、ソ連と、3回も同じような大帝国を繰り返し実現しているわけで、ただただ驚異(脅威)と言うしかない。

 次に、中国が米国と対等の地位を要求しているのは、いうまでもなく歴史的チャイナの中華思想ゆえである。この版図には朝鮮半島も入っているが、もともと中華思想には「国家」という概念が薄い。周辺の民族には服属の度合いによって序列を与える。

 これでは、根本的に民主主義とは相容れない。世界史の分け方では、近代どころか、まだ前近代にも達していな

いということになる。

 日本と比べてみると、その大きな差が分かるはずだ。

 日本は「忠孝」とか「忠義」「忠誠」という熟語で分かるように「忠」が最高の価値であるが、中華思想では「孝」が最高である。儒教より古い価値観だ。

 司馬遼太郎が「項羽と劉邦」(1980年)に書いているように、「儒教以前の土俗倫理も儒教以後の倫理においても、親がもとで、子は枝葉にすぎず、孝の思想はあくまで親が中心であった」。

 つまり、日本では家族・一族の親に対する「孝」よりも、主君への「忠」が重んじられ、それが武士階級を生み育てた。平安末期に源平の武家頭領が成立し、次第に主君と所属藩への「忠」が確立して約7百年後に、忠の対象が日本国にスムーズに移行して近代国家となった。

 中華思想の世界では武士階級が生まれず、国民国家の基盤が用意されなかった。日清戦争で日本が打ち破った相手は、国軍でなく北洋大臣・李鴻章が育てた私兵だった。孫文の辛亥革命のあとも、軍閥割拠になっただけで、国民軍も国民国家も成立せず今日に至っている。

 宗主国の制度をありがたがる朝鮮では、文官優位がもっと徹底していた。 

 10年ほど前、「武士(MUSA)」という韓国映画が日本でも公開された。日本の時代劇のパクリだが、主人公の武芸者が、なんと貴族官僚に仕える「奴隷」という設定になっていた。現代の韓国民でさえ、武人はイコール奴隷でないと納得がいかないのである。そうすると当然、幕末までの日本は奴隷が支配する国、奴隷民族だという理解になる。

 実際、韓国では「倭奴」(こびとのどれい)という蔑称が、「チョッパリ」(豚野郎)などと共に復活している。産経新聞ソウル支局長の名誉毀損裁判で、傍聴席から反日団体がこういうヘイトスピーチを大声で叫び、退廷させられたと報道されている。

 あまりにバカらしい「ナッツ・リターン」騒動も、その遠因である歪んだ財閥依存経済がどうして形成されたのかを考えると、「忠」がなくて「孝」だけだからだと分かるだろう。

 日本では、高度成長期に、「社蓄」とまで言われる会社への忠誠心が批判されたが、韓国は財閥の創始者に一族郎

党すべてが「孝」を尽くし、一般の社員はその秩序に従わねばならない。

 大統領も当選すると、本人はともかく、一族郎党が利権を漁るのが当然とされていて、必ずスキャンダルにまみれて5年の任期を浪費する。

 大統領は、彼らの「孝」に報いなければならず、その対価は極めて大きい。近代国家にはほど遠い段階である。

 宗主国のチャイナも、そのパターンを極大化させたものと思えばいい。習近平が自ら皇帝化してきたと言われるが、忠誠を誓う人民はひとりもいない。あるのは、支配組織としての共産党独裁体制と、2千年以上の昔からの一族社会である。

 愛国心を植え付けようとしても、近代国家の基盤である「忠」がどこにもないので、対象がない。そこで、「歴史的に領土を奪われた」という恨みを植え付けるしかないことになる。

 ひるがえってみれば、オバマ大統領はもともと人権派弁護士が出発点だったのに、今その初心を捨てて、冷戦終結後に残った3大共産党独裁国のうち2つの現状を容認し、民主化要求を後退させた。残る北朝鮮をどうするか。

 それだけでなく、中東への地上部隊派遣を否定した結果、イスラム過激派勢力の拡大をも許したことになる。

 イスラムのDNAと中東諸民族のDNAは、複雑にからみあっている。もともと民主主義の基盤はない。  

 歴史をさかのぼると、これも大帝国だったオスマン帝国に行き着く。いまのトルコ国民とはだいぶ違っていて、中央アジアから移動してきた民族が建てたと言われる。

 そうなると、将来の世界で、民主主義国はやはり西欧と北米と日本だけの少数派になるかもしれない。

 オバマにそういう歴史観はない。だから日本を軽視して「中韓に従え」と圧力をかけ続けている。

 面と向かって安倍総理が、民主主義の旗振り役を引き受けると宣言したら、どんな顔をするだろうか。

 終戦70周年の安倍談話を、こういう視点で「創成」する絶好の機会である。

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