この本の中で、筆者は習近平政治を表すキーワードとして「北京っ子」「毛沢東」「古代回帰」の3つを挙げています。
1.「北京っ子」・・・北京人の気質はプライドが高い、メンツ重視、頑固、短気、大胆、保守的、大雑把、お人好し、政治と権力闘争好き、経済オンチ→習近平は北京で習仲勲の息子として生まれた
胡錦濤と江沢民は江蘇省出身。(胡錦濤の先祖は安徽省)。この省出身の特徴は勤勉、クソ真面目、小心者、周囲への気配り上手、根回し上手、リスク回避
2012年11月に中国は特使を北朝鮮に派遣して「核実験とミサイル実験の凍結」を要請したが、12日後に長距離ミサイル実験、その2ケ月後に核実験を強行しました。メンツ重視の習はすぐさま原油50万t、食糧10万t、化学肥料2000万$分をストップしました。「言うことを聞かないなら、勝手にしろ」と言うことです。習は北朝鮮に行かずに先に韓国訪問しました。朴大統領は習主席に「北朝鮮有事になっても、アメリカ軍には38度線を越えさすことはない」と約束したとのこと。(そんなことをアメリカが受け入れるとは思えませんが。そんなことを言われるんだったら「韓国軍だけで戦え」となりますよ)。習としては新疆、チベット独立問題を抱え、東北3省に多く住む朝鮮族200万人を巻き込んで朝鮮半島が不安定になるのを嫌っています。それで「米軍が38度線を越えないのであれば、韓国主導で統一しても良い」と思っているようです。(核は放棄させられるでしょう)。
2.「毛沢東」・・・2012年11月15日の共産党演説の中で、「人民」を18回も連発した。「為人民服務」(人民に奉仕する)、「中国的人民是偉大的人民」(中国人は偉大な民族である)と言うように。演説の後半は「偉大なる中華民族の復興」とそのために「全身全霊、人民に奉仕する」と言うのが主旋律。これは文革の復活を告げる狼煙のようなもの。
3.「古代回帰」・・中国の「古代」の概念は清代までを指す。習が思い描く「中国夢」とは1840年以前への「古代回帰」に他ならない。その意味は中国を宗主国として周辺国に朝貢させる「冊封体制」を復活させること。(今の韓国はそれに該当)
「だが、このような「習近平理論」は、いくつもの矛盾を孕んでいる。まず第一に、周辺国の独立の問題である。 古代の中国を宗主国とした「冊封体制」において、日本とインドだけは例外だった。 日本は中国の隣国とはいえ、四方を海に囲まれた島国なので、敵から襲われる心配がなく、中国の庇護を必要としていなかった。中国としても、そんな日本を罰しようにも、海を渡って攻め入るのは大変だ。あの世界最強といわれたモンゴル帝国さえ、一三世紀後半に大規模な日本攻撃を二度試みて、二度とも失敗したほどだ。インドも同様に、世界最高峰のヒマラヤ山脈が国境の壁となって、中国から独立していられた。
現在も日本とインドは、当然ながら中国の属国ではなく、独立国家である。それどころ か、ニ一世紀の現在においては、かつて中国の属国だった周辺国家は、すべて独立国家である。北朝鮮のような、経済的には中国の植民地のような国でさえも、政治的にはほぼ完全に独立している。
そのため、中国の周辺国家が、必ずしも中国の意のままになるとは限らないというわけだ。
私はニ〇〇九年からニ〇一ニ年まで北京で暮らしており、彼の地で中国の近隣諸国の外交官たちと付き合いがあった。彼らは表立っては決して中国を非難しないが、少し親しくなる と、中国のことをボロクソにいっていた。日本はもちろん、韓国、北朝鮮、ロシア、モンゴル、ベトナム、フイリピン、インドなどの外交官たちだ。
私が知っているなかで唯一、中国の悪口をいわなかったのは、インドと対立関係にあるパキスタンの外交官だけ。中国とパキスタンは両国関係を「全天候型の関係」(雨の日も風の日も晴れの日のように付き合う関係)と称しているが、それは見事なものだった。 だが、パキスタン以外の国の外交官たちは、中国に対して強い警戒感を抱いていた。 習近平理論の第二の矛盾点は、現在、中国の多くの周辺国が、経済的には古代と同様、中国に依存していながらも、軍事的にはアメリカに依存していることだ。日本と韓国はアメリ力の同盟国であり、アメリカ軍が駐留している。他にも、台湾、フイリピン、タイが、アメリカと準同盟関係にある。アへン戦争以後の東アジア情勢を考察するとき、アメリカ抜きには語れないのである。
こうしたことから、習近平主席が現代版の「冊封体制」を築こうとすると、矛盾が噴出することになる。中国が、自国を中心にした「シルクロード経済帯」と「ニ一世紀の海上シルクロード」を築こうと躍起になればなるほど、各国.地域は中国を警戒して、アメリカの軍事力に頼るという構図が生まれているのだ。
ニ○一四年四月下旬には、前述のようにオバマ大統領が日本、韓国、マレーシア、フィリ ピンを歴訪した。五月にはアジア安全保障会議がシンガポールで開かれ、へーゲル国防長官が参加した。いずれの場でも、アメリカ首脳は東アジアで、かつてないほど歓迎されているのである。
こうして習近平主席の目論みは、早晩行き詰まることになる。」
「中国が開戦するための四つの条件」
さて、習近平主席は、毛沢東や鄧小平のような強力な指導者を目指して、近未来に近隣諸国に対して戦争を仕掛けたいと密かに思い描いているのは確かだ。
ところが、当初想定していた日本、フィリピン、ベトナムの三力国とも、前述のような理由で「開戦」はできない。正確にいうと、できないことはないが、それをやると返り血を浴 びて、長年苦労してようやくつかんだ自己の政権が崩壊してしまう可能性が高い。 そのため、戦略の再構築を迫られたのである。
新たな「標的」は、以下の四つの条件を満たす近隣の国.地域でないといけない。
- アメリカがその国•地域の味方をしない
- 中国が「開戦」する大義名分が立つ
- 中国が百パーセント勝つことのできる国・地域である
- 中国の国民が嫌っている国・地域である
中国は、陸の国境で一四ケ国と接しており、海の国境でも日本を始め多くの国 •地域と接している。だが、それらのなかで、この四条件を満たす国・地域は、たった一カ国しかない。
—それが、金正恩第一書記が統治する北朝鮮なのである。 条件①に関して、アメリカは北朝鮮と国交すら結んでいない。東アジアでアメリカが国交を結んでいない国は、北朝鮮だけだ。そして、かつてニ〇〇ニ年にブッシュ大統領が一般教書演説で、「イラク、イラン、北朝鮮は悪の枢軸」と三カ国を非難したが、北朝鮮に対する態度は、いまのオバマ政権でも、基本的に変わっていない。
条件②に関しては、前述のように、習近平があれだけ止めたにもかかわらず、金正恩はニ〇一二年一二月に長距離弾道ミサイルの発射実験を、翌二〇一三年二月には三度目の核実験を強行した。もしこれをあとワンサイクル繰り返せば、習近平政権が金正恩除去に向けて動き出す大義名分は立つのである。
条件③は、いくら北朝鮮に 一二〇万の大軍がいるとはいえ、二倍の兵力を持つ人民解放軍からすれば、虫けらのようなものだ。実戦の前に、国境を閉めて経済封鎖するだけで、北朝鮮は干上がってしまうだろう。
条件④第一章で示した通りである。「金三胖」(金ファミリーの三代目のデブ)というニックネームの金正恩第一書記は、世界で一番、中国人に嫌われている外国の指導者といっても過言ではない。
常識的に考えれば、中国は北朝鮮の最大の庇護国である。これまで年間五〇万トンの原油、一○万トンの食糧、ニ〇○〇万ドル分の化学肥料を無償で援助し続けてきた。
また、そもそも中国と北朝鮮は、朝鮮戦争(一九五〇〜一九五ニ年)を共に戦った「血を分けた誼」である。一九六一年には、いずれかが第三国からの攻撃を受けた際に、もう一方は軍を派遣して共闘するという中朝友好協カ相互援助条約を締結している。金正日時代を迎えてからも、金正日総書記は、死去するニ〇一一年まで計七回も訪中し、中朝の「血盟関係」を誇示している。
だが前述のように、いまの習近平主席に、このような「過去の常識」は、まったく通用しないと見るベきなのである。」
近藤氏は「中国と北朝鮮が一番戦争しやすい」と述べています。北朝鮮は石油も貰えない国ですから簡単に勝てるでしょうが、国際世論の反発を考慮すれば、クーデターを起こさせ、金正男に引き継がせ、正恩はどこかに亡命させる方法の方が簡単でしょう。韓国の朴が言っても習は韓国主導で統一はさせないでしょう。裏切る民族なのを充分承知しているので。