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5/3 日経AIIB関連記事について
またまた財務官僚と日経の悪い癖が出ました。両方とも中国に対する見方が甘いです。中尾総裁はアメリカと下打ち合わせした上で発言しているとは思いますが、歴史観・世界観に乏しいです。オバマもそうですが。孫文に騙され、西原借款で段祺瑞に騙され、今も中国に南京虐殺、慰安婦という改竄・捏造された歴史問題で糾弾されているというのに。アメリカが衰退しているからといって韓国のように中国に擦り寄るのでは道義も何もあったものではない。ましてや相手は共産国。中国が民主化するかどうかは分かりませんが、なったとしても韓国と同じようになるだけ。選挙が行われるだけで、基本的人権(言論の自由を含む)や法治(司法権の独立を含む)は韓国同様、確保されないと言えば分かり易いでしょう。両方の概念は自己中心の中国人には多分理解されることはないでしょう。民主化される場合、今の中国の版図のままかどうかも分かりませんが。
中国は100年後に覇権をアメリカから奪おうと考えていると思います。「韜光養晦」です。ジワリ、ジワリとアメリカが許容するところまで攻めてきて、気がついたら逆転しているという構図を描いていると思います。オバマは有能な弁護士かもしれませんが、アメリカの最高司令官としては不適です。次はヒラリーと言われていますが、中国人の政治献金で味噌がついた人間に中国に対して厳しい政策は採れません。選ぶのはアメリカ人でどうしようもないですが。
AIIBに協力するというセンスが分かりません。共産党統治の延命を図ることになります。それが本当に世界のためになるのでしょうか?中国は日本が入ればイザと言うときに日本が肩代わりしてくれると思ってるハズです。それで誘っています。日本の信用で自分の目的である覇権を達しようとするのですから。いい加減お人好し日本人は卒業した方が良い。日経のASEAN高官から聞いた話と言うのは華僑の末裔ではないですか。中国に郷愁を持っている人たちだから祖国が有利になることを願っていると思った方が良い。やがて中国が強大になれば、国が奪われるかもしれないのに。大体インフラ投資と言いながら自分たちが賄賂を取る機会を増やし、額を大きくしたいだけでしょう。ADBの融資基準に合わないものに本当にAIIBが融資しないでいられるか、ありえないでしょう。中国の乱脈経営に巻き込まれるだけです。三重帳簿、偽装倒産が当たり前の国なのに。日経こそ、過去に中国進出を煽って、企業に損をさせた張本人なのに。少しは「反省」した方が良い。そうでなければ、中国撤退セミナーがはやるはずがありません。
アジア投霞と協調融資 アジア開銀国際基準尊重で一致
【パクー(アゼルパイジャン東部)=佐竹実】 アジア開発銀行(ADB) =3面きょうのことば=の年次総会が2日、アゼルバイジャンの首都パクーで開幕した。中尾武彦総裁は記者会見で、中国主導で創設されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)と協調融資を実施する考えを表明した。AIIB側と融資の際に国際基準を尊重することで一致したためだ。ADB の増資についても前向きだ。(関連記事3面に) 中尾総裁はAIIB総裁に就任する見通しの金立群•中国元財政次官と1日に会談した。中尾氏は「社会環境保全などの基準の重要性について意見が一致した」と述べた。 ADBは自行と同等の国際墓準を満たすことを協調融資の条件と表明しており、AIIB側がこれを受け入れた形だ。アジアでは年間8000億ドル(約96兆円)のインフラ需要が見込まれる。ADBだけ満たすのは難しいため、中尾総裁はAIIBとの協調融資に「様々な相乗効果が期待できる」と語った。
ADBは2日、自己資本と低所得国向け基金を2017年に統合し、融資枠を1•5倍の200 億$に拡大することで正式に合意した。総裁は「近い将来の増資や出資比率の見直しについても引き 続き検討する」と述べた。
アジア開銀迫られる改革 アジア投資銀を意識 民間資金活用急ぐ
【パクー(アゼルバイジャン東部) =中村亮】アジア開発銀行(A D B) の年次総会が2日開幕し、中尾武彦総裁は記者会見で業務の改革を加速させる考えを表明した。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が求心力を高めるなかで「利用される銀行」への改革を迫られる。採算が取れる案件の提供などで、民間マネーをどれだけ引き出せるかがカギを握りそうだ。(1面参照)
総裁、将来の増資に言及
「(民間資金などの) リソ—スの有効活用を進める」。中尾総裁は会見でこう力説した。「AIIB創設を前提にした長期戦略が必要になる」(日本の財務省幹部)なかで、 ADBは返済が確実な案件をつくり、民間マネーを呼び込むことに重点を置く。
中尾総裁は「我々には50年の歴史がある」と述ベ、1966年の設立から蓄積したインフラ向け|融資の経験やノウハウ、人材を強みに挙げた。A IIBに足りない利点を生かすことで、返済が確実で民間が参加しやすい案件をつくる考えだ。
■3メガ銀などと提携へ
年次総会では、日本3メガバンクや欧米の金融機関とインフラ案件づ<りで提携する見通し。具体的には、ADBと日米欧の金融機関が新興国の入札手続きや事業者の選定などで助言し、民間企業が参入しやすい案件づくりを支援する。 官民でつくったインフラ事業に資金を提供する新基金の構想もある。
ADBが民間との協力を急ぐのは、途上国のインフラ需要を満たすカギを握るからでもある。経済協力開発機構(OECD)によると、先進国から途上国への民間投資は直近で年間3000億ドルほど。リーマン•シヨックで落ち込んだ2008 年から2倍以上増えた。これに対し、政府開発援助(ODA)は約1割の増加にとどまる。
ADBは16年から融資案件の審査期間を15カ月間と12年比で6カ月ほど早めるほか、教育や保健分野への融資比率を上げる。融資枠も17年から5割増やし、融資の「質と量」の改革を急ぐ。
■新興国の動きに焦りADBの動きの裏にあるのは、新興国が独自路線を打ち出していることへの焦りだ。AIIBは今年末の設立を目指す。
それ以外にも中国単独の「シルクロード基金」や中国やインド、ブラジルなどが出資する「BRICS銀行」など、新興国による開発金融機関創設が相次ぐ。ADBが割安な資金を提供する貸し手の役割を続けるだけでは、存在感が低下しかねない。
「将来の増資をあきらめていない」。中尾総裁は記者会見で、09年以来の増資の可能性にも言及 した。国際通貨基金(I MF)は米議会の反対で実現していないが、10年に新興国の発言権を増やす改革案に合意済み。ADBはこうした改革が手つかずだ。新興国の不満は根強く、AIIB支持を表明した新興国に配慮を迫られた。
ADBも「経済規模に応じて国際機関の発言権を変えないと、将来的には立ち行かなくなる」(国際金融筋)との声が多い。出資比率(14年末時点) は15.7%の日本がトップで、15. 6%の米国が続く。一方、中国は6 .5%、インドは6.4% にとどまる。新興国の発言権を強める形での増資に踏み切れるか。増資計画はADB改革の試金石にもなる。
【ADB改革とA I IBを巡る中国の主張】
(ADB改革の概要)
・2017年に融資枠を1.5倍の200億ドルに拡大
・特に教育と保健分野への融資を拡大
・現地事務所の権限強化などで融資の審査期間を短く
・民間金融機関との連携を強化
(AIIBを巡る中国の主張)
・アジアの膨大なインフラ需要に応えたい
・ADBや世界銀行よりも迅速に意思決定する
・ADBや世界銀行に取って代わるのではなく補完する
・日本も参加してほしい
日曜に考える 中外時評 アジアの中でどう生きる 国開き耳傾ける努力を 論説副委員長 実 哲也
一言でいえば「残念」ということになろうか。
日本が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に創設メンバーとして加わらないことについて、東南アジアの識者らに感想を聞いた話だ。
インドネシアのハッサン元外相は「我が国のインフラ需要は増しているが、財源には限りがある」とAIIBへの期待を表明。そのうえで「日本は既存の国際金融秩序の恩恵を受けている。AIIBの意思決定のあり方を懸念するのもわかる。だが、中に入って改善策を議論する道もあるはずだ」と指摘する。
シンガポールのストレーツ• タイムズ紙のW.フエルナンデス編集長も「中国のための組織にしないように、日米豪などが早い段階から影響力を行使すベきだ」と語る。「世界が動いているのに日本の外交は古いまま。米国に追随したということだろう」(シンガポール国立大公共政策学院のK•マブバニ院長)と辛辣な声もあった。公正な融資の決定や環境へのアジアの利益を考えたうえでの判断か。いや、そうではなく中国の台頭阻止や日米関係強化が先に立った判断なのではないか。識者の声からはそんな疑念ものぞく。
円借款によるインフラ建設や人材育成などの支援を進めてきた日本への信頼が、AIIB不参加によって損なわれることはなかろう。海洋権益拡大に動く中国への警戒感が増しているのも事実。対抗勢力としての日米の存在は地域にとって重要だ。
だが、そうした状況に安住していいのか。日本はアジアの中で前向きな役割を果たしていくという強い意思をここで改めて示す必要があるように思える。
そのためにはアジアの声に耳をすまし、現実やニーズをもっと理解しなければならない。
「東南アジア諸国連合(ASEAN)は経済の発展や統合で自信を深めている。上から目線は通用しない」。ASEANの 統合過程などに詳しい大庭三枝東京理科大教授は語る。
2000年に日本の13%しかなかったASEANの経済規模は19年には3分の2に達すると国際通貨基金(IMF)は予測する。地場企業が伸び、米中欧など世界から企業が集まり競う熱気あふれる場になっている。
その中でどの大国にもなびかず、パランスよくつきあって果実を得るしたたかさを身につけてきた。日本は相手国の1つにすぎず、経済協力をしてきたから言うことを聞いてくれるはずという気持ちが少しでも出れば、反発を招<という。
国際交流基金の小川忠•東南アジア総局長は「1974年のジャカルタ反日暴動を経て、心と心のふれあいをうたった福田ドクトリンに沿って日本が動いたことで東南アジアで親日感情が育まれた。これにあぐらをかかず、相互理解の種をまき続けないといけない」と強調する。 気になるのは、インドネシアで増えている労働争議でロウムシャという言葉が時に飛び出すことという。日本占領期に強制徴用された人々をさす。新しく進出してくる日本企業は歴史にも目を配るべきだと説<。
日本に求められるのは何か。インフラ支援や企業の投資は今後も重要だが、それだけではない。インドネシアの経済誌「グローブ•アジア」のS.力グダ編集長は「日本と東南アジアは双方向の関係強化が必要。日本はもっと農産品などのモノを買ったり、看護師など人材を受け入れたりしてほしい」と言う。 「高齢化が進む日本と若者が多い東南アジアでは人材を補完し合える」(ハッサン元外相) のは確かだろう。日本への留学生も増やしたい。東南アジアからの留学先としては日本より米国や中国の方が圧倒的に多い。
アジアの対日投資も促すべきだ。シンガボール企業の出資を受けた車両輪送会社「ゼロ」の北村竹朗社長は「アジア市場での展開がしやすくなった」と語る。強いアジア企業の投資は日本経済の活性化につながる。
日本の期待も適切に伝える必要がある。例えば事業の妨げになる不透明な規制•慣行の撤廃や知的財産権保護などだ。インフラ投資の優先順位や資源輸出では双方の利害が食い違うこともある。要求をうのみにする必要はないが、長期的視野に立って対応すべき局面もあろう。
成長するアジアの活力を取り込むことは日本経済を強<する前提条件だ。それには懐に深く入り込み、物心両面で結びつきを強めなければならない。
5/1泉 ユキヲの 国際派時事コラム『日米はともに戦勝国だ @ 安倍総理演説』について
日本のメデイアはいつも中韓がこういうことを言ってる、NYTがこう言っていると馬鹿の一つ覚えのように言っています。進歩の言葉を知らない人達です。そういう言説は中国の日米分断を利すると考えたこともないのですかねえ。それでは知性が泣くでしょう。やはり不買を進めないと分からないのでしょう。
「エイブ」の話は「honest Abe」(リンカーン)から取ったものです。原稿を作成した方達はいろんなことを考えて作っている気がします。中韓からの批判が出ても受け流せる内容と思います。
8/15の70年談話もこの線で発表されるでしょう。「侵略」と「お詫び」はなしです。オバマ大統領、上下院でお墨付きを得たのですから、中韓が何を言おうと関係ありません。マイクホンダのような韓国系アメリカ人の票を当てにしてる議員はブツブツ言って来るでしょうが、相手にしないことです。首相の言う「戦後レジームからの脱却」がやっとスタートしたという事です。中国は日米分断の為、子分の韓国を使いながら、いろいろ仕掛けて来るでしょう。特に日本のメデイアを使いながら。
日本人もいい加減気が付いた方が良い。中韓の言ってきたことが正しいのかどうか?自分で調べればすぐ分かります。慰安婦は朝日が取消し、韓国の女性家族省も「強制性なし」と明言するに至りました。南京虐殺もすぐ嘘と分かります。当時の南京市民は20万しかいなくてどうやって30万も殺せるのか?また遺体処理は?孫子の遺伝子を持つ民族です。嘘を世界に広める情報戦で圧倒的に日本は負けています。戦闘レベルの優秀さを追求するだけでなく、世界観や戦略レベルでも勝たないと。やはり、日米豪印、ASEANの同盟が大事です。
南沙諸島の軍事基地で4/29中国海軍の呉勝利司令官は米海軍制服組トップのグリナート作戦部長とのTV会議で「米国を含む関係国や国際組織が施設を利用することを歓迎する」と言ったとニュースで流れていますが、領土係争地域で中国の領有を認めさせればいいという所でしょうか?この論理でいけば「尖閣に中国の基地を造り、日本にも使わせてやる」と言うことになるでしょう。おかしな話です。オバマが何もできないと足元を見ての発言です。南沙を他人事と思うのは危険です。
記事
安倍首相の「希望の同盟へ」演説をわが外務省のサイトで読んで、目がうるうるした。まことにみごとな演説で、全文を教科書に載せてもいいと思う。
(全文、というのがポイントで、教科書執筆者の恣意に任せようものなら、自衛隊の国際貢献について具体的に語った箇所など、真っ先に削除されかねない。)
(英文原文)
http://www.mofa.go.jp/na/na1/us/page4e_000241.html
(外務省の和訳)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_001149.html
前半はユーモアに満ち、米国人の心をぐっとつかむ。 安倍総理の人間味も伝わってくる語り口だ。日本そして安倍総理と関わった大ぜいの米国人の名を挙げることで、この日の演説の内容には数多くの証人がいるのだという印象を与える。この構成も秀逸。
一読してわかるのは、単に霞が関の外務官僚らが切り貼りした和文を英訳したものではないこと。 英語原作の憲法はサイテーだが、英語の演説はやはり英語原作でなければダメだ。
■ 日本は戦勝国だ ■
日米がともに戦勝国であることをうたっているのが良い。
In the end, together with the U.S. and other like-minded democracies, we won the Cold War.
That’s the path that made Japan grow and prosper.
And even today, there is no alternative.
≪そしてついに、米国および志を同じくする民主主義諸国とともに、われわれは冷戦に勝利しました。この道を歩むことで日本は成長し繁栄するに至ったのです。これ以外の道がないことは、今日も同様です。≫
(なお、和訳は泉が英文から訳した。以下、同じ)
第二次大戦時そもそも存在しなかった共産中国と韓国が「戦敗国の日本はオレたちにひれ伏せ」
と かまびすしい昨今であるが、とんでもない話で、「冷戦終結を以て日本は戦勝国となった。中国は、ちがうよね」という正しい歴史認識ののろしを上げたものと言ってよろしい。
中国はもとより、韓国もすでに like-minded democracy とは言えまい。残念なことである。
■ 自責の念は、戦後すぐの話 ■
この豊穣な内容の演説を読むにつけ、メディアがこぞって取り上げた例の箇所をことさらに論じるのは、あまりに「ためにする」ことと忸怩(じくじ)たる思いだが、わたしなりに語ろう。
Post war, we started out on our path bearing in mind feelings of deep remorse over the war. Our actions brought suffering to the peoples in Asian countries. We must not avert our eyes from that.
I will uphold the views expressed by the previous prime ministers in this regard.
≪戦争直後、日本国民はあの戦争に対してやるせない自責の念を心の中に抱きつつ歩み始めました。われわれの行為でアジア諸国の国民に苦しみをもたらしたのです。そのことから日本国民は目をそらしてはなりません。この点に関してわたしは、わが国の首相たちがこれまで表明してきた見解を引き継ぐものです。≫
外務省訳が「戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました」とあるが、誤訳である。原文の英語は started out on our path とあるのだから「歩みを刻み始めました」である。つまり、外務省訳にいう「先の大戦に対する痛切な反省」は、あくまで、歩みを刻み「始めた」時点に抱いたものであり、今日なお deep remorse を抱いているとは、どこにも言っていない。
それでよろしい。
今回使われた remorse という単語も、上手に選んだものだ。 「内心に宿す自責の念」としては相当に強いことばだ。あくまで個々の人間の内心に属する感情であり、国家機構としての意思を言うものではない。内心に属するものであるがゆえに、謝罪という行為とは別である。
それでいて、安倍総理の演説を聞く米国人らは、安倍総理自身が現在進行形で deep remorse を抱いているという印象を持つ。 「アベはアブナイ政治家だ」と触れ回る中・韓のエージェントらによる中傷を払拭するために大いに役立つことばを選んだものだ。
■ これっきりですね、の思いを引き継ぐ ■
村山総理も小泉総理も、例の「おわび」を述べたときは、「これっきり」と思って述べたに違いない。ここまで繰り返し平身低頭を要求されることなど想像もしていなかったし、ましてやサンフランシスコ平和条約や日韓基本条約、日中友好条約を反故(ほご)にせんばかりの「賠償要求」を受けることなど想定もしていなかった。
≪この点に関してわたしは、わが国の首相たちがこれまで表明してきた見解を引き継ぐものです≫ と安倍総理は言ったのである。
英語原文を読んでいると、東京都硫黄島(いおうとう)のことを Ioto と呼び、そのあと米国人の言を引用するなかでIwo Jima の名を使っている。日本では硫黄島(いおうじま)は鹿児島県の薩南諸島北部に位置する小島だ。 わが軍が祖国防衛戦を繰り広げた島は、硫黄島(いおうとう)なのである。
ところが米国人にとっては、聖戦を繰り広げたのは Iwo Jima ということになっていて、この日本領の島に星条旗を立てる兵士らの姿の記念彫刻も Iwo Jima と称する。
Iwo Jima という名称にも言及しつつ、正しい名称の Ioto を米国で正式にデビューさせたあたりも、この演説の起草者の偉いところだ。
演説全文(日本語)
米国連邦議会上下両院会議における安倍総理大臣演説
「希望の同盟へ」 平成27年4月30日(2015年4月29日(米国東部時間))
はじめに
議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、 1957年6月、日本の総理大臣としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。
「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信してい
るからであります」。
以来58年、このたびは上下両院合同会議に日本国総理として初めてお話する機会を与えら
れましたことを、光栄に存じます。お招きに、感謝申し上げます。
申し上げたいことはたくさんあります。でも、「フィリバスター」をする意図、能力ともに、ありません。
皆様を前にして胸中を去来しますのは、日本が大使としてお迎えした偉大な議会人のお名前です。 マイク・マンスフィールド、ウォルター・モンデール、トム・フォーリー、そしてハワード・ベイカー。 民主主義の輝くチャンピオンを大使として送って下さいましたことを、日本国民を代表して、感謝申し上げます。 キャロライン・ケネディ大使も、米国民主主義の伝統を体現する方です。大使の活
躍に、感謝申し上げます。 私ども、残念に思いますのは、ダニエル・イノウエ上院議員がこの場においでにならないことです。日系アメリカ人の栄誉とその達成を、一身に象徴された方でした。
アメリカと私
私個人とアメリカとの出会いは、カリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。家に住まわせてくれたのは、キャサリン・デル-フランシア夫人。寡婦でした。亡くした夫のことを、いつもこう言いました、「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と。心から信じていたようです。
ギャラリーに、私の妻、昭恵がいます。彼女が日頃、私のことをどう言っているのかはあえて聞かないことにします。デル-フランシア夫人のイタリア料理は、世界一。彼女の明るさと親切は、たくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。
のち、鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。上下関係にとらわれない実力主義。地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方なら躊躇なく採用する。
──この文化に毒されたのか、やがて政治家になったら、先輩大物議員たちに、アベは生意気だと随分言われました。
アメリカ民主主義と日本
私の苗字ですが、「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると、悪い気はしません。民主政治の基礎を、日本人は、近代化を始めてこのかた、ゲティスバーグ演説の有名な一節に求めてきたからです。 農民大工の息子が大統領になれる──、そういう国があることは、19世紀後半の日本を、民主主義に開眼させました。 日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。
第二次大戦メモリアル
先刻私は、第二次大戦メモリアルを訪れました。神殿を思わせる、静謐な場所でした。耳朶を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり。 一角にフリーダム・ウォールというものがあって、壁面には金色の、4000個を超す星が埋め込まれている。
その星一つ、ひとつが、斃れた兵士100人分の命を表すと聞いたとき、私を戦慄が襲いました。 金色(こんじき)の星は、自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。しかしそこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も。
真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海…、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。
歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙祷を捧げました。 親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げます。とこしえの、哀悼を捧げます。
かつての敵、今日の友
みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。70年前の2月、23歳の海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した方です。 近年、中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。
こう、仰っています。
「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉を称えることだ」。
もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のお祖父さんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。
これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。
熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。ほんとうに、ありがとうございました。
アメリカと戦後日本
戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません。 アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と、繁栄のため、力を惜しんではならない。自らに言い聞かせ、歩んできました。この歩みを、私は、誇りに思います。
焦土と化した日本に、子ども達の飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も、2,036頭、やってきました。 米国が自らの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから、最大の便益を得たのは、日本です。
下って1980年代以降、韓国が、台湾が、ASEAN諸国が、やがて中国が勃興します。今度は日本も、資本と、技術を献身的に注ぎ、彼らの成長を支えました。一方米国で、日本は外国勢として2位、英国に次ぐ数の雇用を作り出しました。
TPP
こうして米国が、次いで日本が育てたものは、繁栄です。そして繁栄こそは、平和の苗床です。
日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場をつくりあげなければなりません。太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない。 許さずしてこそ、自由、民主主義、法の支配、私たちが奉じる共通の価値を、世界に広め、根づかせていくことができます。
その営為こそが、TPPにほかなりません。
しかもTPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを、忘れてはなりません。 経済規模で、世界の4割、貿易量で、世界の3分の1を占める一円に、私達の子や、孫のために、永続的な「平和と繁栄の地域」をつくりあげていかなければなりません。日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えています。米国と、日本のリーダーシップで、TPPを一緒に成し遂げましょう。
強い日本へ、改革あるのみ
実は・・・、いまだから言えることがあります。
20年以上前、GATT農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。
日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません。
私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。 世界標準に則って、コーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍の穂先となりこじあけてきました。
人口減少を反転させるには、何でもやるつもりです。女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしています。
日本はいま、「クォンタム・リープ(量子的飛躍)」のさなかにあります。
親愛なる、上院、下院議員の皆様、どうぞ、日本へ来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本を見てください。
日本は、どんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。
戦後世界の平和と、日本の選択
親愛なる、同僚の皆様、戦後世界の平和と安全は、アメリカのリーダーシップなくして、ありえませんでした。 省みて私が心から良かったと思うのは、かつての日本が、明確な道を選んだことです。その道こそは、冒頭、祖父の言葉にあったとおり、米国と組み、西側世界の一員となる選択にほかなりませんでした。
日本は、米国、そして志を共にする民主主義諸国とともに、最後には冷戦に勝利しました。
この道が、日本を成長させ、繁栄させました。そして今も、この道しかありません。
地域における同盟のミッション
私たちは、アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します。
日本は豪州、インドと、戦略的な関係を深めました。ASEANの国々や韓国と、多面にわたる協力を深めていきます。
日米同盟を基軸とし、これらの仲間が加わると、私たちの地域は格段に安定します。
日本は、将来における戦略的拠点の一つとして期待されるグアム基地整備事業に、28億ドルまで資金協力を実施します。
アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。
第一に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第二に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。 太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。
そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります。
日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。
この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。
それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。
戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。
ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って、協議をしました。
いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組み
ができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。 それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。昨日、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです。
日本が掲げる新しい旗
1990年代初め、日本の自衛隊は、ペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後、インド洋では、テロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を、10年にわたって支援しました。
その間、5万人にのぼる自衛隊員が、人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジア、ゴラン高原、イラク、ハイチや南スーダンといった国や、地域においてです。
これら実績をもとに、日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく。
そう決意しています。そのために必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現します。
国家安全保障に加え、人間の安全保障を確かにしなくてはならないというのが、日本の不動の信念です。
人間一人ひとりに、教育の機会を保障し、医療を提供し、自立する機会を与えなければなりません。紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。わたしたちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。
自衛隊員が積み重ねてきた実績と、援助関係者たちがたゆまず続けた努力と、その両方の蓄積は、いまやわたしたちに、新しい自己像を与えてくれました。
いまや私たちが掲げるバナーは、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」という旗です。
繰り返しましょう、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」こそは、日本の将来を導く旗印となります。
テロリズム、感染症、自然災害や、気候変動──。日米同盟は、これら新たな問題に対し、ともに立ち向かう時代を迎えました。
日米同盟は、米国史全体の、4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢さを備え、深い信頼と、友情に結ばれた同盟です。
自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。
それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。
未来への希望
まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。 「落ち込んだ時、困った時、・・・目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために」。
2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。
そして、そのときでした。米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子供たちに、支援の手を差し伸べてくれました。
私たちには、トモダチがいました。
被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。
──希望、です。
米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。
米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。
希望の同盟──。一緒でなら、きっとできます。
ありがとうございました。
4/30日経ビジネスオンライン 福島香織『郭伯雄も失脚、不安定化する中国 軍の長老排除の先は、江沢民追及かクーデターか』記事について
中国の権力闘争が熾烈さを増してきているという事です。習近平・王岐山は生き延びれるかという所です。勝てば太子党の天下がずっと続き、国民はひもじい儘です。(でも誰が政権を握ろうが政権に対するチエックが働かない共産党政権では国民は蚊帳の外でしょうけど)。以前述べたように上海派の大物・曽慶紅の逮捕が間近であるとすれば、流石に主席経験者の江沢民の逮捕はないと思いますが。過去には主席である劉少奇や華国鋒が文化大革命や四人組打倒の流れで逮捕や更迭されましたが。中国が動乱の時代でしたので。今はネットで瞬時に情報が駆け巡る時代です。いくら中国政府がネット遮断しても。
何清漣は『中国 現代化の落とし穴』の中で、「権銭交易」(quan2qian2jiao1yi4で権と銭の発音が似ているためこう言った)=「権力の市場化」と言って政治の自由がないのに、経済的自由が認められたたためポストが金で取引されるようになったことを批判しています。軍も官僚組織ですから当たり前で、昇進するためには上官に賄賂を贈らなければ如何に能力があろうとも上には行けません。まあ賄賂を贈る能力(当然部下から人事権を行使して賄賂を取り、それをかき集めて上官の賄賂とする)も含めた能力という事でしょう。ただ、周永康もそうでしたが、日本が賄賂で逮捕或は報道される額とは桁違いです。兆円単位ですから。
上海派打倒の後は団派との戦いとなれば、習・王が生き延びるのは難しいのでは。太子党には「血」の正統性しかありません。共産主義で「血」の正統性を訴えても笑われるだけです。北朝鮮の金王朝を相手にしない習近平が「血」を言うことは自己矛盾です。団派はそれに引き換え、共産党の思想を忠実に守ることを誓約して集まった組織です。(殆ど出世のためにフリをしているだけでしょうけど)。小生は共産主義が嫌いですのでどちらにも肩入れはしませんが。上海派の残党が狙うし、団派も追い込まれれば窮鼠猫を噛むでしょうから。
記事
中国の権力闘争がますますきな臭い。いよいよ、郭伯雄・元中央軍事委副主席失脚の正式発表も秒読みのようだ。元中央軍事副主席で党籍を剥奪されて軍事法廷での起訴準備が進められているうち、膀胱がんで死亡した東北の虎こと徐才厚と並んで、西北の狼と称された江沢民時代から軍を牛耳っていた上将である。産経新聞の情報を信じるならば、北京市内で軟禁状態にあった郭伯雄を、杜金才・党中央規律検査委員会副書記が4月9日に訪ね、「双規」(党内における取り調べ、事実上の身柄拘束)を通告した、という。この情報を裏付けるように、解放軍七大軍区幹部らに9日に中央軍事委および解放軍規律検査委が郭伯雄とその家族に対する取り調べを決定したという通達があったとサウスチャイナ・モーニングポスト(20日付)も報じている。七大軍区幹部らは思想教育の名目でこの日、北京に召集されていた。米国に本部を置く華字ニュースサイト博訊によれば、郭伯雄は北京の秦城監獄に収容されているとか。
徐才厚に続いて郭伯雄という解放軍元制服組トップ2の長老を排除したことは、習近平政権の今後にどのように影響を与えるのか、考えてみたい。
江沢民の代理人、不正蓄財100億元超、愛人多数
郭伯雄とはどんな人物であったか。
1942年、陝西省出身で16歳の時、地元の軍工場学徒労働者となる。3年の勤務満期後、解放軍陸軍第19軍55師団に配属、64年に兵役満期後も軍残留を認められ、幹部コースに昇進。実戦経験はないが、江沢民国家主席に見出されて、順調に出世し、解放軍総後勤部(装備部)部長、北京軍区副司令、蘭州軍区司令などを歴任。2002年には中央軍事委副主席となり、中央政治局委員、解放軍常務副参謀長まで務めた。
徐才厚とならんで、江沢民が自分の軍内における権力固めに出世させた上将であり、解放軍における江沢民の代理人ともささやかれた。江沢民が総書記、国家主席、そして中央軍事委主席を引退した後も彼らを通じて解放軍に強い影響力を持ち続けたため、胡錦濤政権は事実上、ほとんど解放軍における実権を握れなかった。
彼は、江沢民政権時代に軍内における利権をほしいままにしたと言われている。特に、すでに失脚している元総後勤部副部長の谷俊山(元中将)と組んで、大量の軍事用地を売りさばき、周永康(失脚済、元政治局常務委)や賀国強(引退、元中央規律検査委書記)と共謀して不正蓄財を謀ったとか。郭伯雄の蓄財額は2010年の段階ですでに100億元を超え、広東、福建、江蘇、北京、雲南、広西、陝西、甘粛などに100を超える不動産を所有。いずれも億を超える豪華マンション、別荘であったとか。しかも郭伯雄は精力絶倫であり、愛人を十数人も抱えていたとか。郭伯雄は自分のお気に入りの愛人を徐才厚を通じて軍の歌舞団に入団させてもいたとか。
こうした話は、博訊が北京の三つの異なるソースから確認したものだという。
香港報道を総合すると、郭伯雄が問われるであろう罪状は主に三つあると言われている。まず谷俊山から郭家に大量の金品が賄賂として贈られていること。また郭伯雄の妻、秘書、息子も大量の賄賂を受け取っていると言うこと。三つ目は軍常務副主席として、軍全体の腐敗の責任を問われるということ。解放軍内では昇進に具体的な賄賂額が暗黙に決まっており、事実上の将官位の売買が行われていた。目下、郭伯雄だけでなく、妻、息子、娘、秘書らの立件も準備に入っているという。
本来なら、今年3月の両会(全人代と政治協商会議、国会に相当)直後に、郭伯雄の失脚が公式に発表される予定だったらしいが、徐才厚の死によって延期になったと言われている。
“恩”ある徐才厚を非情に追い詰めた習近平
習近平の軍の汚職退治では、最初に失脚させられた大物が谷俊山で、2012年からの谷俊山の汚職取り調べが本格化、その過程で徐才厚が谷から少なくとも3600万元の賄賂を受け取っていることが証拠固めされた。2014年6月、徐才厚が史上最高額の軍汚職容疑で逮捕された。ちなみに、徐才厚は逮捕当時、末期の膀胱がんであったが、それでも容赦なく厳しい取り調べが行われた。
徐才厚は、習近平がまだ国家主席になる前、軍内における後見人役として習近平をバックアップし、習近平夫人で元軍属歌手(少将)の彭麗援とも親しい間柄であった。その恩ある徐才厚に対する習近平の非情さについては、徐才厚のかつての愛人が、今の習近平の弟・習遠平の妻・張瀾瀾(元解放軍属歌手)であるという私怨が関係していたのではないかと言われている。一説によれば、徐才厚は、江沢民に習近平政権の軍における後見人を頼まれてはいたが、「五年(一期)たったら、やめさせる」と郭伯雄に語っていたという噂が、軍内に広がっていて、それが習近平の耳に入っていたという話もある。
ちなみに習遠平が、徐才厚の愛人だった張瀾瀾の清純な容姿に惑わされて、習家の大反対を押し切って「できちゃった婚」によって2008年に結婚を果たしたいきさつは、やはり元軍属の歌姫・湯燦(失脚済、服役中)の獄中記「我的壮麗青春」の中に妙に生々しく書かれていた。湯燦は、徐才厚や谷俊山、周永康、李東生、令計画ら習近平の反汚職キャンペーンで失脚した要人たちの間を渡り歩いた「公共情婦」とも呼ばれ、2011年12月に中央規律検査委の呼び出しを受けて以降、行方不明となっている。一時、要人の秘密を知り過ぎたために秘密裡に処刑されたという噂も流れたが、その後、湖北省の刑務所で米CIAに国家・軍事情報を漏らした罪などで服役中だと香港メディアが報じていた。その後、彼女の獄中記なるものが今年2月に出版されているが、これが本物か偽物か確かめるすべはない。
徐才厚の失脚によって、郭伯雄は自らの身に危険を感じたので昨年7月、国外脱出を図ったと噂されている。7月14日夕方、南京軍区の軍事演習による管制という理由で北京と上海間の飛行機100機以上の離陸の取り消し遅延があり、道路封鎖やテレビやネットで情報統制も敷かれた事態があったが、この時ネットに流れた噂では、郭伯雄が女装して国外脱出を図ろうとしたのを取り押さえたのだと言われていた。後にこの情報はガセであるとわかった。だが、郭伯雄が次なる「大虎」であることは、この頃からほぼ確定していたという。
江沢民まで追及か、クーデターの懸念増幅か
今年3月の香港誌「動向」によれば、郭伯雄の息子・郭正鋼(解放軍浙江省軍区副政治委員、少将)は9冊のパスポートを用意して海外逃亡を画策したのだが、その逃亡計画が実行される前の2月に逮捕されたという。郭正鋼と妻は、偽名で杭州から深圳までの飛行機チケットを買い、陸路で香港に入り、香港かスウェーデンに行く予定だった。だが、郭正鋼にはすでにひそかな監視がついており、計画は実行されないまま、規律違反容疑で逮捕されたという。この息子の逃亡計画失敗によって、規律検査委側は郭伯雄の拘束(双規)に踏み切ったという。
「動向」の分析によれば、9冊ものパスポートを用意したというのは、かなり異常なことであり、徐才厚の逮捕、そして取り調べ中の死亡によって、郭伯雄一族がいかに危機感に焦っていたかがうかがえる。
今後の予想としては、徐才厚や郭伯雄ら長老だけでなく現役国防部長の上将・常万全ら現役軍幹部にまで粛正の手が伸びるのではないかともいわれている。徐才厚失脚後から今年3月までの間に失脚した軍幹部は33人以上で、現役少将以上の軍幹部は14人以上という。それ以外にも100~200人が取り調べを受けているともいう。前国防部長で退役上将の梁光烈の失脚も近いと噂されている。彼も江沢民政権時代に南京軍区司令から総参謀部長に抜擢された江沢民派の大物軍人である。ひょっとすると、元中央軍事委主席で元総書記の江沢民にまで、習近平の反汚職キャンペーンの追及の手は伸びるのではないか、という憶測もある。
こうした状況から、習近平政権と軍の関係についての見方はおおむね二つに分かれている。根強い江沢民派の軍長老・現役幹部の影響力、利権構造を根こそぎ排除した習近平は、自分のお気に入りの若手幹部を七大軍区などの主要地位につけて、解放軍内に新たな秩序を築いて軍の掌握をほぼ完ぺきにした、という意見。もう一つは、粛正の恐怖により表向きは習近平への忠誠をうたう軍幹部が増えているが、内心の不満はたまっており、これが一気に噴出する、つまりクーデターなどの懸念はむしろ高まっているのではないかという意見だ。
ここで、気になるのは、胡錦濤に連なる李克強、李源潮、汪洋といった共産主義青年団派閥(団派)と、政権の主導力を握る習近平・王岐山グループとの対立との兼ね合いだ。
薄熙来、周永康、徐才厚らと並ぶ「新四人組」の一人として汚職・規律違反で失脚した令計画は、実際のところ胡錦濤の腹心であり団派である。周永康との関係が失脚の原因と表向きは報道されるも、習近平の権力闘争の矛先が最終的には団派に向かっているということのシグナルだというのが一般の見方だ。
普通ならば、次の党大会で現在の7人の政治局常務委員のうち5人が引退し、現在の政治局委員の中から繰り上げ昇進となるのだが、現政治局委員の実力派メンバーは団派、李源潮(国家副主席)、汪洋(副首相)、胡春華(広東省党委書記)らである。中でも胡春華は次期総書記、国家主席にもっとも近いポジションにいるといっていい。習近平としては、自分の後に総書記となる人間は、自分の意をくんだ腹心をつけたいはずで、そのためには胡春華つぶし、胡春華を次期総書記の座につけようと画策する団派勢力を抑える必要がある。これは江沢民政権時代の陳希同事件、胡錦濤政権時代の陳良宇事件を振り返るまでもなく、何度も繰り返されてきた権力闘争のパターンと言える。令計画の失脚後、次のターゲットは李源潮だといわれ、実際、李源潮の腹心らが次々と失脚している。
著者不明の『誰が習近平を謀殺するのか』
習近平は解放軍内の江沢民派と長老排除を急速に進める一方で、次の党大会をにらんだ団派との権力闘争も激化させる、いわば二面作戦を展開している。いや、もっと言えばメディア・ネットの締め付け強化、ウイグル・チベットの少数民族弾圧強化なども進めている。習近平・王岐山の敵は国内だけでも数知れない。香港メディアによれば、2013年以降、習近平は6回以上、王岐山は十数回の暗殺未遂に遭っているとか。習近平の暗殺のうち2回は周永康が企てたものだとか。会議室に爆弾が仕掛けられたり、北京301病院に赴いたときに毒針をさされそうになったという。
今年2月ごろ、著者不明の電子書籍『誰が習近平を謀殺するのか』がネット上に話題になったのだが、それは習近平政権の容赦ない反腐敗キャンペーンが恨みを買ったり、反習近平勢力の結束を生んだりして、政変、軍事クーデター、暗殺を引き起こす可能性がある、そう考えている人が中国共産党内部に増えていると訴えている。
こういった言説を信じるべきか否かは、判断の難しいところだが、ただ表向きに喧伝されているように、習近平が順調に権力基盤を固め、軍の掌握を進めているというものではないだろう。むしろ、中国の政治も社会も天安門事件以来もっとも不安定な時代が到来しているといえそうだ。
4/28ダイヤモンドオンライン 北野幸伯 『リベンジ~AIIBで中国に追いつめられた米国の逆襲』記事を読んで
安倍首相の米議会での演説は読み通り、「侵略」と「お詫び」は盛り込まれませんでした。アメリカとしては第二次大戦の不都合な真実には目を瞑りというか、FDRが日本に参戦するように仕掛けた真実を知らない人が多いと思います。(参考:ハミルトン・フィッシュ『ルーズベルトの開戦責任』
http://melma.com/backnumber_45206_6087907/ ですから「侵略」、「お詫び」は天に唾するもの、先人たちを愚弄するものと思っています)。政治は妥協の産物ですから「反省」はしないと受け入れられなかったでしょう。
さて、昨日に続きAIIBについてです。中国はADBの融資(全体で532億$)の25.3%=135億$(1兆6200億円)の融資を受けています。
http://www.adb.org/sites/default/files/page/41282/adb-glance-ja.pdf
先ずこれを返済した上でAIIBに出資すべきでは。AIIBは取敢えず500億$の資本金と言われていますからADBの中国への融資額は1/4相当となります。中国のAIIBの出資率は4割、払込資本はもっと下がります。ADBの融資額が中国の出資額とイコールになるかもしれません。
http://genuinvest.net/?eid=2369
それでADBに敵対する組織を作ろうと発想するのは流石中国人と言うもの。AIIBに日本の参加を促すメデイアや政治家は、こういう数字を並べて議論をして戴きたい。
オバマが4/28スピーチしたように「中国の平和的台頭」は日本人でも歓迎します。でもやっていることは全然別です。経済の伸びに合わせというか、それ以上に軍事力の拡張をしています。勝手に南シナ海に九段線を敷き、南沙諸島を埋立、基地を造っています。A2/AD戦略を取り、自由な航海を制限しようとしています。また勝手に防空識別圏を作ったり、尖閣にチョッカイを出したりしています。「韜光養晦」から「有所作為」に戦略転換したのです。やはり中国の軍事膨張主義を阻止するには中国経済を崩壊させねばなりません。「肉を切らして骨を断つ」です。戦争を起こさないためです。声高に戦争反対する人たちは真剣に考えた方が良い。アメリカもソ連崩壊、日本のバブル崩壊させたのだから、中国にだってできないことはないはずです。
記事
アジアインフラ投資銀行(AIIB)事件が、世界に大きな衝撃を与えている。加盟国は57ヵ国。米国と緊密なはずの英国、イスラエル、オーストラリアなども参加国だ。米国は、いかに逆襲するのだろうか?
AIIB事件の本質とは? 「覇権国家」米国の凋落
習近平が2013年10月、APEC首脳会議で設立を提唱したAIIB。当初は、東アジア、東南アジア諸国が参加するだけの小規模なものになると見られていた。しかし、ふたを開けてみると、加盟国は57ヵ国。そして、参加国の中には、米国と緊密なはずの、英国、イスラエル、オーストラリアなどが、「米国の不参加要求」を「無視して」参加を決めた。
中国に面目を潰された覇権国家・米国はこれから、どんな逆襲に出るのだろうか? 世界的に孤立し、追いつめられた落ち目の覇権国家・米国は、いかに逆襲するのか?今回は、この重要問題を考えてみよう。
米国の「逆襲方法」の前に、「AIIB事件の本質」について触れておこう。この事件の本質は、「同盟国が米国の言うことを聞かなかったこと」である。これは、それほど重要なことだろうか?
米国は、「覇権国家」だ。少なくとも、今まではそうだった。ところで、「覇権」とはなんだろう?辞書を見ると、「覇者としての権力。力をもってする支配力」とある。要するに「支配している国」ということである。
しかし、覇権国家とはいえ、他国を直接統治しているわけではない。 国連には、加盟国が193ヵ国あり、それぞれの国が、「独立した政治を行っている」(という建前である)。
では、「覇権国家が覇権国家であること」は、なぜわかるのか?ポイントは、「覇権国家の言うことを他国が聞くかどうか?」である。なぜ日本は、「米国の属国」と言われるのか?日本政府が、米国の言うことを聞くからだ。政府が「国益」を最優先に考え、米国の言うことを聞いたり聞かなかったりすれば、日本は「属国」ではなく、「自立国家」と呼ばれるだろう。
では、覇権国家の影響下にある国々が、言うことを聞かなくなったらどうなるのだろう。答えは、「覇権国家は、覇権国家でなくなる」だ。
かつてのソ連に見る 覇権国家没落の例
ソ連はかつて、「共産主義陣営」の「覇権国家」だった。しかし、1980年代後半、ソ連経済は深刻な経済危機に陥った。そして、ゴルバチョフの「ソフト路線」もあり、支配下にあった東欧諸国は、もはやソ連を恐れなくなった。
その時、何が起こったのか?89年、東西ドイツを隔てていた「ベルリンの壁」が崩壊。続いて、東欧で「民主革命」がドミノ式に起こった。そして、ソ連は「覇権国家」としての地位を失った。そればかりでなく、15の国々に分裂してしまった。これは、他国が言うことを聞かなくなり、覇権国が没落した分かりやすい例である。
このことを踏まえて「AIIB事件」について考えてみよう。米国は、同盟国群に、「中国が主導するAIIBに参加しないよう」要請(命令)していた。ところが、英国は3月12日、G7諸国ではじめて参加を表明。これに、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、ルクセンブルグ、オーストラリア、韓国などが続いた。
これらの国々は、「米国の言うことを聞かなかった」。つまり、米国の覇権(支配)を拒否したのだ。これは、「米国が覇権を喪失した象徴的事件」として、歴史に記憶されるはずである。
そして、米国の要求を無視した国々は、逆に中国の言うことを聞いた。今回の一件だけで「中国が覇権国家になった」と考えるのは早計過ぎる。しかし、「覇権に一歩近づいた」とは言えるだろう。
では、同盟国たちは、なぜ米国を裏切ったのだろうか?理由は、二つ考えられる。一つは、「AIIBに入ったほうが儲かりそうだ」と判断した。二つ目は、「逆らっても、オバマ米国は何もできないだろう」と判断した。
特に理由二つ目は、「ソ連末期の状況に非常によく似ている」といえる。
では、「AIIB事件後」、中国は一直線で「覇権国家」になれるのだろうか?米国は、このまま衰退しつづけ、中国に覇権を「禅譲」するのだろうか?
もちろん、米国は、黙って覇権を譲ったりしないだろう。江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜、ソ連最初で最後の大統領ゴルバチョフのように、覇権を放り出した例も歴史にはある。しかし、米国は、まだそこまで落ちぶれてはいない。
米国は、どうやって中国に逆襲するのか?おそらく、「AIIB後」の戦略は、「現在検討中」だろう。たとえ、もう出来上がっていたとしても、公開されるとは考えにくい。
では、我々は米国が今後どう動くか知ることはできないのだろうか?そうでもない。米国の過去の行動を知ることで、ある程度未来の動きを予測できる。
反中プロパガンダ(情報戦)と民主化支援で 米国は中国に逆襲をする
「情報戦」は、米国がもっとも得意とする分野である。米国がその気になれば、安倍総理を「軍国主義者」にすることも、プーチンを「ヒトラーの再来」にすることもできる。
中国は、経済力(GDP)、軍事力(軍事費)で、世界1位の米国を猛追している。しかし、「情報力」(プロパガンダ力)は、今も米国が圧倒的強さを誇っている。そして、今後も中国が勝つのは難しそうだ。なぜかというと、中国は、共産党の一党独裁国家であり、普通選挙もなければ、言論・信教・結社の自由もない。世界の誰もが認める「人権侵害国家」でもある。
米国は、国益によって、中国の異質性を強調したり、しなかったりする。しかし、今後は、中国の「自由のなさ」「人権侵害」などを積極的にプロパガンダするようになるだろう。
もう一つ、米国は、「反米的な国」での「民主化運動」を支援している。これは、「陰謀論」に思えるが、事実である。たとえば、03年にクーデターで失脚したジョージア(旧名グルジア)のシェワルナゼ大統領(当時)は、以下のように断言している。(太字筆者、以下同)
(朝日新聞03年11月29日)
<「混乱の背景に外国情報機関」シェワルナゼ前大統領と会見 野党勢力の大規模デモで辞任に追い込まれたグルジアのシェワルナゼ前大統領は28日、首都トビリシ市内の私邸で朝日新聞記者らと会見した。大統領は混乱の背景に外国の情報機関がからんでいたとの見方を示し、グルジア情勢が不安定化を増すことに懸念を表明した。 前大統領は、議会選挙で政府側による不正があったとする野党の抗議行動や混乱がここまで拡大するとは「全く予測しなかった」と語った。抗議行動が3週間で全国規模に広がった理由として、「外国の情報機関が私の退陣を周到に画策し、野党勢力を支援したからだ」と述べた>
さらに05年のクーデターで失脚したキルギスのアカエフ大統領(当時)も、こう語っている。
<「政変では米国の機関が重要な役割を果たした。半年前から米国の主導で『チューリップ革命』が周到に準備されていた」>(時事通信05年4月7日)
<「彼らは野党勢力を訓練・支援し、旧ユーゴスラビア、グルジア、ウクライナに続く革命を画策した」>(同上)
ちなみに、14年2月にウクライナで起こった革命。これについても、オバマ自身が、米国の関与を認めている。
<昨年2月ウクライナの首都キエフで起きたクーデターの内幕について、オバマ大統領がついに真実を口にした。恐らく、もう恥じる事は何もないと考える時期が来たのだろう。CNNのインタビューの中で、オバマ大統領は「米国は、ウクライナにおける権力の移行をやり遂げた」と認めた。> (ロシアの声 2015年2月3日)
これらの事実から考えると、米国が中国における「民主化運動支援」を強化する可能性は強いと思われる。昨年秋、香港の「反政府デモ」が大きな話題になった。これからは、香港だけでなく、チベットやウイグルでも「反中国政府運動」が活発化していくだろう。
「中国経済崩壊論」の拡散で AIIBつぶしに乗り出すか
「中国経済崩壊論」の拡散も、米国が今後、取るであろう戦略だ。これは「経済戦」の一環である(情報戦でもある)。
米国は現在、日本と欧州を巻き込み、「対ロシア経済制裁」をしている。しかし、ロシアと違い、世界第2の経済大国・中国に経済制裁を課すことは、困難だろう。そもそも、「AIIBをつくったから制裁する」とはいえない。他の理由で中国を経済制裁しようにも、欧州が「制裁はイヤだ!」といえば、またもや米国の権威は失墜する。
では、どうするのか?「中国経済の崩壊は近いですよ」という噂を広めるのだ。
実をいうと、これは完全な「噂」でもない。実際、中国のGDP成長率は、年々下がっている。賃金水準が上がり、外国企業がどんどん東南アジアなどに逃げ出している。だから、米国が「中国経済の崩壊は近い」とプロパガンダしても、必ずしもウソとはいえない。
事実、最近「中国崩壊説」をよく見かけるようになった。たとえば、ゴールドマン・サックスの元共同経営者ロイ・スミス氏は3月2日、「中国経済の現状は1980年代の日本と似ている点が多い」「日本と同様、バブル崩壊に見舞われるだろう」と述べた。
さらに、かつては親中派だったデヴィッド・シャンボー(ジョージ・ワシントン大学教授)は3月6日、「ウォール・ストリート・ジャーナル」に、「終焉に向かいはじめた中国共産党」を寄稿して、中国政府を激怒させた。
「中国経済を破壊すること」。これは、米国の覇権を守る上で決定的に重要である。なぜなら、米国の同盟国たちが、AIIBに参加したのは「儲かる」と判断したからだ。しかし、中国経済が破綻したら、儲からなくなってAIIBは魅力を失うだろう。さらに、経済がダメになれば、共産党の正統性は失われる。
そもそも中国共産党は、選挙によって選ばれたわけではなく、なんの正統性もない。それで、毛沢東時代は、「恐怖」によって支配をしていた。鄧小平の時代からは、「共産党のおかげで経済成長ができる神話」を、一党独裁の正統性にした。
だから、経済成長がストップすれば、中国共産党政権の正統性は消え、ソ連のように体制が崩壊する可能性が強まる。そして、ソ連のようになった中国が米国の覇権に挑むのは、しばらく無理だろう。もちろん、中国経済の破綻は、世界経済へのダメージが大きく、米国も無傷ではいられない。しかし、「背に腹はかえられない」のだ。
最後の“切り札”はロシアとの和解!? 米国大物リアリストたちの主張
最後に、米国が中国に勝つために「ロシアと和解する可能性」について触れておこう。「そんなバカな!」「モスクワ在住筆者の妄想だ!」――。恐らくそんな反応が返ってくるだろう。しかし、歴史は、「米国は勝利するためなら敵とも組む」ことを教えている。
たとえば第2次大戦時、米国は、「資本主義打倒」「米帝打倒」を国是とするソ連と組み、ナチス・ドイツ、日本と戦った。そして、冷戦がはじまると、米国はかつて敵だった日本、ドイツ(西ドイツ)と組んだ。さらに、米国は70年代、ソ連に勝つために中国と和解している。こう見ると、米国が現在の敵・ロシアと組んでも、まったくおかしくはない。
ニクソンは、ソ連に勝つために、中国と組んだ。今度は、中国に勝つために、ロシアと組む。実をいうと、これを主張しているのは、筆者ではない。
日本ではあまり報じられていないが、大物リアリストたち、たとえばヘンリー・キッシンジャー、ジョン・ミアシャイマー(シカゴ大学)、スティーブン・ウォルト(ハーバード大学)などが、「米国はロシアと和解すべき」と主張している(親中派として知られたキッシンジャーやズビグニュー・ブレジンスキーは、中国の本性を知り、親中派を「卒業」したという)。
理由は簡単で、「米国とロシアが戦えば、得をするのは中国だから」だ。そして、「AIIB事件」で明らかになったように、中国は今、世界でもっとも(正確にいえば米国に次いで)「覇権」に近いところにいる。
米ロが戦って、「中国に覇権をプレゼントするのは愚かだ」というわけだ。
さらに、米国一の「戦略家」エドワード・ルトワックは、その著書「自滅する中国」の中で、「ロシアを中国包囲網に入れる重要性」を繰り返し説いている。また、ルトワックは、日本が独立を維持できるか、それとも中国の属国になるかどうかについて、以下のように述べている。
<もちろん日本自身の決意とアメリカからの支持が最も重要な要素になるのだが、ロシアがそこに参加してくれるのかどうかという点も極めて重要であり、むしろそれが決定的なものになる可能性がある。>(188p)
ルトワックが主張するように、ロシアを米国側に引き入れることができれば、米国の勝利は確実だろう。しかし、米政府が、「わが国は中ロを同時に敵にしても勝てる」と過信すれば見通しは暗い。
とはいえ、米国の動向にかかわらず、中国の経済的栄華は終わりつつあるので、中国が覇権国家になれるわけではない。結局、世界は、覇権国家不在の「多極化」「無極化」時代に向かっているように見える。
古森 義久・石 平『自壊する中国反撃する日本』を読んで
日本のGDPと通貨発行量(M2+CD)の比較(=マーシャルのK)を見てみます。バブル期の94年には1.07位でした。アベノミクスによって、1.8位まで増えて来ています。ネットで解説を読みますと「過剰貯蓄」になるとマーシャルのKは高くなりやすいとのこと。中国と同じくらいなのに、日本は騒がれずアベノミクスが評価されているのは、個人金融資産が豊富で政府負債を大幅に上回っているせいか。中国は国全体で2600兆円も負債があり、裏付けるべき資産を持たないため批判されるのでは。
中国はインフレ亢進、バブル崩壊と噂されて久しいです。それもこれも嘘でデッチ上げた数字が基になっているため、正しい判断ができないのかと。AIIBに入るのは溝に金を捨てるようなものと思います。
『三菱UFJモルガン・スタンレー証券 2015年4月3日 嶋中雄二の月例景気報告 No.60~私が日銀に早期追加緩和を要望する理由より「日本のマーシャルのK」を抜粋』
また下記の記事も見つけました。
http://chugokukaigun-junnbi.blogspot.jp/2013/02/201328-1116-http-www.html(2013年2月8日金曜日)より
レコードチャイナ 配信日時:2013年2月8日 11時16分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69224&type=0
中国は世界最大の「紙幣印刷機」、メディアの報道に専門家が反論―中国メディア
2013年2月7日、各国が相次いで新たな量的緩和策を発表する中、あるメディアが「中国の通貨過剰発行も深刻だ。 2012年、中国の通貨増加量は世界の約半分を占め、世界最大の紙幣印刷機になった」と報じた。
これについて専門家は、 「このような言い方はあまりにも常識外れで、一方的すぎる」との見方を示している。
中国の通貨発行量が本当に深刻なのかどうか、1つのデータに基づいて当て推量することはできない。 通貨が過剰発行状態かどうかを判断する指標の 1つとして物価の安定がある。金融政策の良し悪しを判断する上で重要なのは、経済の成長率・規模と歩調が合っているかどうかだ。
▽.中国の通貨過剰発行は誇張
中国の通貨過剰発行問題はここ数日、各方面で話題になっている。中国人民銀行(中央銀行)の統計データによると、 2012年末現在、中国のM2残高は「97兆4200億元(約1448兆8100億円)」に達し、世界一となった。 この額はすでに、世界のマネーサプライ総量の4分の1に近づいており、 米国の1.5倍だ。 さらに、M2の対GDP比は188%の過去最高に達した。ちなみに同期の米国の同比率は63%で、中国のわずか約3分の1だった。 一部メディアはこの差を根拠として中国を「世界最大の紙幣印刷機」と比喩し、多くの人が中国の通貨過剰発行が深刻であると考えるようになった。
しかし、専門家はこれについて 「表面的に見て、中米のデータを比較すればこの結論も一理あるように感じるが、理論的に分析、もしくはもっと広範囲で比較すれば、この判断が大雑把であることが分かる。 特にM2残高と対GDP比だけで中国が通貨過剰発行状態だと断定するのはあまりにも単純で一方的だ。 各国のマネーサプライの統計範囲の違い、融資構造の違い、経済発展段階の特徴などの要素を全く考慮していない」と指摘する。
中国人民大学財政金融学院の趙錫軍(ジャオ・シージュン)副院長は 「中国の通貨発行量は確かに多いが、中国経済の成長率を見ずに単純に過剰発行だと決め付けてはならない。合理的な通貨発行は、国の経済成長率・規模に応じたものであるべき。 例えば米国は経済成長が鈍化しているため、発行量を再度増やせば過度な発行になってしまう」とする。
▽.通貨発行量の増加には原因が
中国人民銀行の周小川(ジョウ・シャオチュワン)総裁は、「中国がこれまで統計してきた実体経済には形のあるものしか含まれず、サービス業が含まれない。このため、市場化が進み経済発展が加速するに伴い、マネーサプライは統計範囲内の『実体経済』の需要をすぐに上回り、いわゆる『過剰発行』の状態になった。しかし実際のところ、マネーサプライは実体経済だけでなく、サービス業や金融市場の需要も満たす必要がある」と指摘する。
興業銀行の魯政委(ルー・ジョンウェイ)チーフエコノミストは 「中国のM2対GDP比は前々から高かった。 この原因として、1つには中国のマネタイゼーションの進展が挙げられる。これまで市場で取引されてこなかった多くの製品が市場に流入し始め、自然とより多くの通貨が必要になった。
もう1つの原因は、中国の社会融資構造だ。社会融資の大部分は銀行によるものであるため、M2が必然的に高くなる」とする。
国家情報センター経済予測部世界経済研究室の張茉楠(ジャン・モーナン)副研究員は、「第1に、改革開放の深化と市場化の高まりに伴い、中国の通貨需要が絶えず高まり、マネーサプライの増加ペースが経済成長ペースを上回った。このためM2の対GDP比が高まった。
第2に、WTO加盟以降、中国の輸出の高成長および蓄積された外貨準備高は、貨幣創造のメカニズムと供給構造を大きく変化させた。最後に、投資に対する過度な依存度もまた、通貨の受動的な過剰発行の主因となっている。金融資源の国有経済に対する過度な依存、国有部門の予算に対する『ソフトな制約』は、金融資源の効率低下を招いている。経済の高度成長を維持するためには、さらなる信用貸付・貨幣供給に依存する必要がある」と語る。
▽.市場を資源配分の主体に
実際のところ、 「通貨の過剰発行」は表面的な現象であり、その裏には中国経済構造のアンバランスや金融体系発展の遅れといった問題が隠れている。 中国のマネタイゼーションの過程には、他国とまったく異なる構造的・制度的基礎が存在する。
その核心は、
1).政府が主導となったマネタイゼーション、
2).国際資本の循環を受けた「受動的な創造」、
3).金融資源配分の効率低下
だ。
張茉楠副研究員は、「通貨の中にいれば、通貨の仕組みを理解できないため、通貨の外に出て通貨を見直す必要がある。政府主導の資源配分モデルから脱却し、市場を資源配分の主体とし、投資への過度な依存をやめ、金融分野の全面的な改革を促進することで初めて、通貨の過剰発行を緩和することができる。
人民銀行による通貨発行抑制や信用貸付規模に頼っていてはこの局面を変えるのは難しい」と指摘する。
周小川総裁は、 「我々は2008年以降、世界的な金融危機に対応するために積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策をとってきた。政策自体は正しいが、副作用がもたらされることは確実だ。金融政策にはタイムラグが存在し、一部の効果や現象がやや遅れて現れることもある。 金融危機への対応の際は、マクロ経済調節に適度に力を入れる必要があるが、危機が過ぎた後は逆方向の調整が必要だ」と指摘する。
(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/内山)
「お札を刷れる」というのは国家にとっての絶対的誘惑である。 その誘惑に負けて刷り過ぎるのが通常の動き。 通常はお札は貿易による外貨準備高を睨んで刷る。 ときにGDPを睨んで刷ることもある。しかし後者は先進国にのみ通用する判断とみるのが妥当。 お札を刷り過ぎるとは、上の条件から導き出せる数字をはるかに上回って刷ることをいう。外貨準備高に見あって刷っていれば、間違いなく安全である。GDPに合わせると、財政投融資といった公共投資まで組み込まれてしまうため、いわゆる「花見酒の経済」におちいる。
さて、お札を刷りすぎると何が起こるか。こんなことはだれでも知っていることだが、確認しておく。
巷にお金がだぶついてくる。よって、モノよりカネが多くなり、物価が上がる。 物価が上がるということは、それに合わせて賃金が上がるということになる。これをインフレ傾向と呼ぶ。このインフレ傾向を使って、賃金をあげ経済を上向きに引っ張るのが時の政府の政策になる。高度成長経済とはこれを正当な経済的裏付けをもってやることをいう。つまり、貿易黒字の充分な大きさを確保しながらお札の量を増やしていくことだ。成長経済とは永遠に続くものではない。成長が鈍っているのにお札をするとどうなる。モノの量に比べてお金だけが巷に溜まっていく。これが「インフレ」。
貿易という場ではモノの価値は対外的に決まってくるので大きくは変わらない。モノの値段がある程度安定していると、今度はモノの量でお札を増やしていく。ものの量も限界がある。不必要には増えない。モノがたくさんあれば、それだけお金を巷に増やすことができる。しかし、それがピークに到達すると、刷り過ぎたお金は不動産に向かう。それがバブルとなる。経済破綻が待っている。
中国でお金をジャカジャカ刷っているということは、充分な外資がある限り大丈夫だ。外資が足りなくなると、不動産に回してGDPを操作しながら、お札を刷る。そうするとバブルは弾ける。おそらく、中国は貿易的にピークを過ぎている。よって、GDPに合わせお札を刷っている。公共投資、財政融資でGDPの額を維持しようとしている。いまの、ロー・ミドルエンドの産業構造、環境破壊、インフレ化による賃金の高騰、ゴーストタウンの建設、ランニングコストを考えないミエだけのきらびやか建造物の増加、貿易経済の鈍化、中国からの国際資本の逃亡、といったところをみると中国は早晩、経済的に苦境に追い込まれる。通常なら引き締めにはいるべきなのだが、それを昔の夢追って拡大で乗り切ろうとするとバブル崩壊の悪夢に突入することになる。
ちなみにデータをまとめると、
中国:GDPの「1.9倍」のお札を印刷
米国:GDPの「63%」のお札を印刷
ということは、中国はアメリカの3倍のお札を刷っているということになる。いくらもっともらしい理屈を並べてみても、刷りすぎはみえみえ。早晩、インフレ、バブル崩壊へ向かう。 中国元が下落する。いまがピークだろう。
内容
P.95~97
太子党が持つオーナー意識
古森:メイン夕―ゲットは政治局常務委員と政治局委員だが、先に石平さんが説明したように、反腐敗運動の対象範囲は国有企業幹部、地方政府の中堅幹部まで広げられた。
産経新聞中国総局の記者の話では、習近平時代になってから逮捕された大物官僚の数は今年(2014年)の六月現在で約一〇〇人だそうだ。閣僚級、局長級も含まれるが、これぞ反腐敗運動 が権力闘争の手段であるという証左は、習近平と同根の太子党出身者が一人もいないことだ。
石平:習近平が中華人民共和国を樹立した毛沢東に心酔しているのは、よく知られるところだ。一九七〇年代半ばまで中国国内で絶対的なカリスマであった毛沢東を礼賛し、毛沢東を真似ることで、自らの存在感を示そうとしている。
たとえば習近平のスローガンである「中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現」は、中華思想にとらわれていた毛沢東の焼き直しであるし、反腐敗運動で政敵を次々と葬 っていく手口も毛沢東そのものである。 習近平が行ってきたキャンペーンは、この「反腐敗運動」と「反贅沢運動」と「反官僚主義運動」と「反日運動」の四つだが、反日を除く三つは毛沢東が建国直後の一九五一年に提唱した「三反運動」とまったく同じものなのである。対外政策も毛沢東を意識した「遠交近攻」であるし、好んで乗る車も、毛沢東が命じてつくらせた初代国産車「紅旗」だ。なぜそこまで習近平は毛沢東にこだわるのか。その答えは彼の出自である太子党に収斂する。
習近平のみならず太子党の面々は、中国共産党政権はわれわれのものである。われわれは、この政権のオ—ナ—なのだという独特の「オ—ナー意識」を持っている。
太子党である彼らの父親の世代が開国の父だった毛沢東と共に戦い、現在の中華人民共和国を建国したからだ。
習近平を領袖とする太子党の面々は、「われわれこそがこの国の正当なる継承者であり、政権を受け継ぐ当然の権利と使命があるのだ」と骨の髄から思い込んでいるわけである。
習近平たちにすれば、上海閥にしても共青団派にしても、それらの人たちは単なる政権の「雇われ経営者」であり、天下のオーナーである自分たちにとっての「使用人」にすぎない。たとえば、前の最高指導者胡錦濤は逆立ちしてもオーナーにはなれない。
そういう意味では太子党にとり、毛沢東は自分たちの血統と立場を“保証”してくれる絶対的な存在なのである。まずそれが一つ。
もう一つには、もうそろそろ共産党の中で毛沢東の権威を取り戻したいということだ。毛沢東の権威を取り戻すことで、共産党政権の一貫性を主張できると太子党の面々は信じている。
使用人であるはずの共青団の連中がこれから本気で天下を取ろうとするのであれば、自分たち太子党こそが身を挺してそれを阻止しなければならない。太子党の天下を取り戻して、革命の血を受け継いだ自分たちの継承権を確立しなければならない。これが偽らざる本音であろう。
そうした意味では、同じく太子党出身で、毛沢東主義を掲げて重慶市民の心を摑んだ薄熙来は習近平と同じ発想の持ち主であった。ただ、太子党のなかに二人の毛沢東主義を掲げるリーダーはいらない。習近平は薄熙来を失脚させる必要に迫られた。 だからこそ、本来ならライバルでもある共青団の胡錦濤とパーシャル連合し、薄熙来を潰した。
P.152~156
人民元を刷リ続けることができた理由
要は、中国政府が莫大な公共投資をすれば、さまざまな産業が繁栄するという方程式。たとえば、鉄道を敷けば土木建設、鉄鋼、機械関連の産業はみな潤うといった具合である。
では、こうした投資資金の出所はどこか。
中央政府が人民元をじゃんじゃん刷った。そして、中国がニ〇年間も毎年二桁近い経済成長を続けてこられた最大の要因は、土地ビジネスの成功であった。
「世界の工場」になった中国は、工場誘致した外国企業から三○〜五〇年分の土地使用権料を一度に、しかも外貨で獲得できた。土地所有を認めない自国のシステムが、中国を助けたと言えよう。外資系企業の進出ラッシュが続いた一九九五〜ニ〇〇五年は、各地各階層の共産党幹部、彼らにつながる連中にとり、土地はまさしく打出の小槌となった。
中国政府は外資企業から獲得した外貨を根拠に人民元を大増刷でき、それがケインズ政策実行の元手となったわけである。
だが、中国は図に乗りすぎた。
ニ〇〇八年のリーマン.ショック後、世界同時不況になり、中国の輸出は大幅に落ち込んだ。先にも述べたように、国内消費の弱い中国は輸出と公共事業に頼ってきた。その一方の柱が傾いてきたのだ。
中国政府が打った政策は、一つは財政出動。四兆元、日本円にして六八兆円という巨大な財政出動を行い、一気に公共事業投資を増やした。
もう一つの政策は、空前の金融緩和であった。要は、銀行からお金を大量に市場に回した。リーマン・ショック直後の一年間、中国の各銀行からの貸出総額は実に九•六兆元に上った。この額は当時の中国のG D Pの約三割という途方もないものだった。
この二つの政策は見事に奏功し、ニ〇〇九年には中国の経済は早くも回復を見せ、世界経済の「救世主」として中国がもてはやされたのは記憶に新しい。
当時の経済運営を任されていたのは温家宝首相で、彼もまた人民元札の輪転機をフル稼動させた。
終わリを告げた中国の経済成長戦略モデル
石平:だが、温家宝は経済の大原則を忘れていた。そうした財政出動や金融緩和には、必ず副作用があるということを。“無料の昼飯”などないのだ。どこかで必ず反動が出る。
人民元をバンバン刷って市場に回すと、市場に流通する金が溢れすぎる。通貨の量が、正常な経済活動に必要なレべルを上回る状態。つまり、過剰流動性に陥った。しかも大幅な過剰流動性に。
昨年末に中国国内で流通していた人民元は一〇九兆元にも上った。この一〇九兆元がどういうレベルかというと、昨年の中国のGDPが五ニ兆元だから、その二倍強となる。ドルに換算すれば、アメリカ国内で流通しているドル総額の一•五倍になる。
大幅な過剰流動性になると何が起きるのか。当然、国内では人民元の価値が下落する。逆に言えば、モノの価値が上がる。物価上昇、インフレとなる。その契機となったのがリーマン•ショック直後の政府の経済対策だったということになる。
ニ〇〇九年に中国でインフレが始まり、とくに食料品の価格上昇が目立ってきた。中国政府としては、大衆が食べていけないほどの物価上昇だけは阻止しなければならない。だが大衆が一斉に食えなくなったら、社会的大混乱に陥り、かつての「黄巾の乱」のような事態になりかねない。そうなれば共産党政権が持たなくなる。
結果的に政府は、こうしたインフレを退治するために金融を引き締めた。だが、金融引き締めもまた、重大な副作用が伴う。
金融緩和とは逆に、銀行から金を借りられなくなる。あるいは限定的にしか借りられなくなる。先刻古森さんが指摘されたように、国有銀行は国有企業に優先的に金を貸すので、この金融引き締めで犠牲になったのは当然民間の中小企業だった。
日本でも同じだが、中小企業は銀行から金が回ってこなくなったら、まず倒産する。中国でも同様で、全国の中小企業は酷い目に遭わされ、ニ〇〇九年から「国進民退」という言葉が大流行し始めた。
また、金融引き締めは公共投資も減少させた。これだけの副作用をもたらした挙句、個人消費も冷え込んだままだ。 おまけにここにきて、中国経済をずっと牽引してきた輸出に急ブレーキがかかった。 二〇一〇年までの対外輸出の伸びは毎年ニ五%以上だったが、昨年は七•九%まで落. 込んだ。さらに衝撃が襲う。今年の第一•四半期はついにマイナス六•四%まで落ち込んだのである。
輸出が完全に止まった。国内投資も止まった。中小企業は壊減状態。国有企業は国有銀行頼みで、競争力がまったくない。国内の人件費の高騰で、外資企業の中国離れが加速している。中国の経済成長の戦略モデルは完全に終わったのである。

