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11/19money voice 高島康司『米・中に踊らされる日本。複数のシンクタンクが見抜いたAIIBの真実』について
普通に考えて、今米国が持っている既得権である世界覇権をそんなに簡単に他国に渡すものでしょうか?覇権を奪うには、長い時間と戦争での人命の犠牲が必要です。ロシアですら地域覇権しか持てない状況です。それを踏まえないで書かれています本記事は日米の離間工作、デイスインフォメーションの気がしてなりません。ま、中国の賄賂・ハニートラップで汚染されている要人は日米ともに多数いる気はしますが。下のZAKZAKの記事にもありますように、外形上も米中の関係がうまく行ってるようには見えませんが。米国は中国の保持する債権(=借金)は返さなくても良いと思っていると聞いたことがあります。そのときは「それでは米中で戦争になるのでは」と思いましたが。米国はいざとなれば中国の借金を踏み倒す気でいるのでしょう。逆に南シナ海の件で戦闘になれば、踏み倒しの名目が立つのかも知れません。国際政治は複雑怪奇ですから何が起きても不思議ではないのですが。
確かに軍同士の訓練はあるでしょうが、相手に自軍の凄さを見せて、戦争の抑止とすることは良くやっていること。観戦武官受入もそうでしょう。
中国は南シナ海の人工島建設は止めないし、軍事基地化も進めて行くでしょう。東アジア首脳会議で「軍事基地化はしない」という各国の要請を李克強は追認したと11/23日経記事はありましたが、更に「域外の国はこの地域の緊張を引き起こすな」とも言っています。表では国際法に従うフリ(人工島を作るのが国際法遵守とも思えませんが)をして、裏では二国間交渉で既成事実を作ろうとしています。アメ(経済支援)とムチ(軍事力)で恫喝していると思います。アメリカが宥和政策に陥らないことがキーとなります。
11/20ZAKZAKでは「『世界銀行の中国人幹部退任へ 習政権との近すぎる関係に米不満 主要ポスト失う』
アジア太平洋経済協力会議(APEC)でも自国主導の経済圏構想を打ち出した中国に大逆風の事態だ。途上国向けに投融資や開発支援を行う世界銀行で中国人幹部の退任が決まり、中国は主要ポストを失うことになる。幹部と習近平政権との近すぎる関係に、米国など加盟国から不満がくすぶっていたとの報道もある。
世界銀行は国際通貨基金(IMF)とともに1945年に設立、途上国に幅広い援助を行っている。日本も戦後、東海道新幹線、東名高速道路などのインフラ建設で世銀の融資を受けた。国際復興開発銀行(IBRD)や国際開発協会(IDA)など複数の機関で構成され、いずれも米国が出資比率トップで、日本が2位となっている。
退任人事が話題になったのは、世銀グループで民間向けの投融資を行う国際金融公社(IFC)の長官を務める蔡金勇氏。中国籍の蔡氏は、ゴールドマン・サックスなどを経て2012年10月に現職に就いたが、IFCは今月11日、世銀前元総裁でフランス出身のフィリップ・ウエルー氏が次期長官に就任すると正式発表した。
蔡氏が4年間の任期を1年近く残して退任する背景について、英フィナンシャル・タイムズ紙は、「北京(中国政府)との距離が近すぎ、あまりに多くの中国企業とのプロジェクトを推進したことで、加盟国から不満が出ていた」と報じた。
同紙によると、6月に中国国営の中国郵政儲蓄(ちょちく)銀行への3億ドル(約370億円)の出資を決めた際には、25人の理事のうち9人が抗議の意味を込めて棄権した。米国は最近のIFCによる中国企業向け投融資の案件では常に評決を棄権することで不快感を示しているという。
中国との関連では、世銀の最高財務責任者(CFO)でフランス出身のベルトランド・バドレ氏も来年3月に退任すると報じられた。米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、中国が国際的な存在感を高めるためにIDAに10億ドル(約1230億円)の融資と1億7900万ドル(約220億円)の助成金を出したことをめぐり、世銀の内部調査を受けていた。
この案件でバドレ氏は蔡氏と一緒に働いており、AFP通信は、2人は韓国系米国人のジム・ヨン・キム総裁の側近だったとしている。
米国や日本主導の世銀でも、中国案件が組織を揺さぶる事態となったが、この先、中国主導で発足を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)はどうなるのか。
週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「中国政府の意向を強く受け、採算度外視の融資を行ったあげく、焦げ付きが発生する危険性が常に付きまとう」と警鐘を鳴らしている。」とありました。
記事
今回は中国の主導する「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」に関して、日本ではまったく報道されていない内容を書く。「米中は対立関係になく、そもそもAIIB設立を中国に持ちかけたのは米国である」というシンクタンクの分析だ。
これが真実だとすれば、中国の南シナ海への進出が問題となる中で、日本の安倍政権の現状認識は根本から間違っていることになる。(未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ・高島康司)
「米中に対立関係なし。AIIB設立を持ちかけたのは米国」最新分析
従来、AIIBはどのように受け止められていたか
中国が中央アジアを鉄道網で結び、貿易のための海路を整備する「一帯一路」とともに、そのための資金確保のための「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」の設立を発表したことは記憶に新しい。
当初は「AIIB」には参加しないようにとのアメリカからの圧力があったにもかかわらず、イギリスをはじめ57カ国が参加を表明して世界を驚かせた。欧米にかわる、中国主導の本格的な経済秩序の構築が始まったと考えられた。
一方日本は、中国からの参加要請にもかかわらずアメリカとともに参加を辞退した。この方針の妥当性を巡って国内で大きな議論にもなっていた。
アメリカは世銀を通じて中国を監視すると見られていたが
他方、これに対して一時は強い不快感を表明していたアメリカだったが、「世界銀行」が「AIIB」と積極的に協力することを表明した。中国主導の経済秩序にアメリカは参加はしないものの、「AIIB」が中国の国益を最優先して暴走しないように監視役を買って出たのではないかとも言われていた。
このような状況だったが、中国が「AIIB」の参加を締め切った6月末からは、「AIIB」に関しても、また中国がこれを設立する背景になった「一帯一路」構想についてもほとんど報道されることはなくなった。
直近の報道では、10月22日にアメリカが主導する「世界銀行」のジム・ヨン・キム総裁が次のように発言し、「AIIB」と「世界銀行」との協力関係がさらに強化されていることを明らかにしたくらいだ。
「AIIBと世界銀行、アジア開発銀行などは互いに競い合う関係ではない。AIIB発足の重要な要因は既存の多国間開発機関がアジア諸国のインフラ整備の需要を満たせていないからだ。現在、AIIBと世界銀行やアジア開発銀行との協力は非常に順調である。AIIBはこれらの金融機関が現在行っている自身の改革が進むよう期待している」
次第に明らかになりつつある「AIIB」の真実
このような状況なので、一時はあれほど騒がれた「AIIB」だったが、いまはあまり注目していない読者も多いに違いない。筆者もそうであった。
しかしながら、CIA系シンクタンク『ストラトフォー』の有料レポート、またトロント大学のシンクタンク『グローバルリサーチ』や、ロシアの政府系シンクタンク『ストラテジックリサーチ研究所』など多くの研究機関が配信する記事から、「AIIB」や「一帯一路」構想の真実と実態が、いまになって次第に明らかになってきたのである。
「AIIB」の設立を持ちかけたのはアメリカ
これらの複数のレポートや記事が暗示しているのは、実は「AIIB」も「一帯一路」構想も中国に持ちかけたのはアメリカのオバマ政権であったという事実だ。
オバマ政権は、「AIIB」のような国際機関を立ち上げ、これを運営するためのノウハウの提供を中国に約束し、「AIIB」を設立するように迫ったというのが実態だとしている。
さらにオバマ政権は、アメリカは表向きには参加しないものの、ロンドンのシティを通して設立に必要な資金を中国に提供し、「AIIB」の設立に資金面から現実的に関わったとしている。
いまではアメリカ政府のこうした直接的な支援ではなく、「世界銀行」が窓口となり「AIIB」を資金面からバックアップしているという。
中国とアメリカは対立関係にはまったくない
日本では、政府をはじめ国民も、「AIIB」や「一帯一路」構想、そして南シナ海の進出など、中国が主導している活動をアメリカは押さえ込み、中国をアメリカ主導の既存の国際秩序の枠組みに埋め込むことを目標にしていると強く信じられている。
この方針に積極的に協力し、日本、アメリカ、オーストラリア、インドなどの同盟国が連帯し中国を封じ込める「安全保障のダイアモンド構想」を機軸にしているのが現在の安倍政権だ。
これはまさに、アメリカと中国が覇権を巡って鋭く対立しているとする見方である。
このような対立の図式が深く信じられている日本では、「AIIB」や「一帯一路」構想がむしろアメリカからの提案にしたがって出てきたものであるという事実は、おそらく安倍政権の外交政策を揺さぶるくらいの衝撃となるに違いない。南シナ海における米中の対立の状況を見ると、これは信じられないとの拒否反応を抱く人もいるのではないだろうか?
しかし、こうした複数の専門的な研究所やシンクタンクの記事やレポートが明確に述べていることは、アメリカと中国は敵対関係にあるどころか、いち早くアメリカは中国との覇権を分け合う決定をしており、政治的・経済的覇権の棲み分けによる協力関係の形成を水面下で加速させているという事実だ。
協調関係を公にできないアメリカ
またこうした記事では、中国との覇権を分け合う決定をし、すでに中国とは協調関係にあることをアメリカは公にすることは到底できないとしている。
その理由は、中国との深刻な対立を抱える同盟国が存在するからだ。中国との対立は、日本、フィリピン、マレーシアなどのアジアの同盟国がアメリカとの関係を強化するための前提条件として機能している。
そのようなとき、もしアメリカがアジアにおける中国の一部覇権を容認するような姿勢を明確にしてしまうと、こうした同盟国はアメリカから離反し、それがアメリカの国益を損ねる可能性が出てくる。
したがってアメリカはいまのところ、「中国の一部覇権容認」を公にすることはできないというわけだ。
日本の手前、中国との“対立関係”を演出しているアメリカ
アメリカのこの原則がもっともよく当てはまる国は日本だとされている。
特に現在の安倍政権は、中国を仮想敵国と想定し、中国脅威論を煽ることで国内のナショナリズムを鼓舞している。この愛国主義的な雰囲気をうまく利用して支持率を上げ、憲法改正で可能になる戦前型の国家体制を実現させようとしているのがいまの安倍政権だ。
この方向性を追求するためには、アメリカとの同盟関係を強化して中国を封じ込めるという対立図式は不可欠になる。
これは、アメリカにとっても間違いなく好都合な図式だ。安倍政権が中国との対立を喧伝し、アメリカとの同盟関係を強化する方向にあるとき、安倍政権はアメリカの希望のほとんどを丸呑みし、実現してくれる。
明らかに主権国家の権限に制限を加えるTPPの加盟や、ジャパンハンドラーのジョセフ・ナイとリチャード・アーミテージが2012年の報告書で要求していた「秘密保護法」や「集団的自衛権」の可決は、中国脅威論が存在し、アメリカとの同盟関係の強化が図られていたからこそ可能になった。
これらの処置を通して、日本の自衛隊は後方支援部隊としてアメリカ軍に組み込まれ、世界の紛争地域への展開が可能な体制が構築されている。予算削減のため展開できる兵力の縮小を余儀無くされているアメリカにとって、これは大変なメリットである。
したがってもし、アメリカが中国の覇権容認を公にしてしまうと、中国の脅威に対抗するためにアメリカとの同盟関係に依存するという図式は成り立たなくなり、日本はアメリカから自立した独自の外交政策を追求せざるを得なくなる。おそらく日本は、中国とのバランスを取るためにロシアとの関係強化を模索する可能性が高い。
これは、ロシアの進出を本格的な脅威として認識しているアメリカにとってはあってはならないことだ。
このような状況のため、アメリカは特に日本の手前、中国との敵対関係を演出せざるを得ない状況にある。
緊張感のまったくない南シナ海の状況
アメリカが中国と実際には敵対していないことは、いま大きな問題になっている南シナ海の状況を見るとよく分かる。
周知のように、10月27日、アメリカはイージス艦の「ラッセン」を派遣し、中国が領有権を主張している人工島の12カイリ内を航行させた。日本ではこれは、アメリカが中国の領有権の主張をくじき、公海における自由航行権の違反は許されないことを中国にはっきりと主張した明白な行動だと報道されている。
だがアメリカによる「ラッセン」の派遣は、中国による人工島の施設建設が完成が近づいてから実施された遅きに失した行動であり、なおかつベトナムとマレーシアが領有権を主張する島々の12カイリをも通過して、こうした国々にも注意を促すというかなり穏健なものであった。
もしアメリカが、南シナ海における中国の海洋進出を本気で阻止するのであれば、攻撃力のない「イージス艦」ではなく、攻撃能力のある空母部隊を派遣していたことであろう。少なくとも多くのシンクタンク系の記事はそのように指摘している。
しかし実際にはアメリカは、中国と対立関係になる意志がまったくないことを示す事実のほうが多い。11月7日には、アメリカと中国の海軍は、米フロリダ州沖の大西洋で合同演習を実施している。この演習には、アメリカを友好訪問した中国海軍のサイル駆逐艦や補給艦などが参加した。アメリカ海軍では、ミサイル駆逐艦や巡洋艦が参加している。合同演習の目的は、海上での通信、編隊航行、救難などの訓練の実施であった。
さらに、中国軍部は、各国の国防相や軍高官を招いた多国間の安全保障対話「香山フォーラム」を北京で行っている。中国の常万全国防相は、このフォーラムに参加するベトナムやフィリピンなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の国防相らと非公式会談を開き、2016年に南シナ海で衝突回避の訓練と海難救助の合同演習を提案した。
アメリカ、イギリス、ドイツ、日本など14カ国の政府関係者ら計約500人が参加している。アメリカも参加していることから、このフォーラムはアメリカ政府の容認で開催されていることは間違いない。
これは明らかに中国情勢を巡る緊張が緩和されていることを表している。さらにこの動きには、オーストラリアも関与している。オーストラリア政府は、オーストラリア海軍のフリゲート艦2隻を中国広東省湛江の基地に派遣し、中国海軍との合同演習に参加させている。
「AIIB」設立の見返りとしての南シナ海
このように見ると、アメリカと中国をはじめ多くの関係国は、緊張緩和に向けた動きを加速させ、むしろ中国との協調関係の形成に向かっているようだ。中国との対立と緊張が高まる方向ではない。
ところで、欧米でも報じられない事実の報道で定評のあるのがロシアのシンクタンクである。特にロシアの政府系シンクタンク『ロシア戦略研究所』のような機関からは、驚くような内容の情報が手に入る。今回、そのような政府系シンクタンクの記事として、南シナ海の動きと「AIIB」の設立が実はリンクしていることを示唆したものが複数ある。
これらの記事によると、オバマ政権は中国に「AIIB」の設立を提案し、中国がそれを引き受ける見返りとして、南シナ海における中国の行動の自由を保証した可能性が高いというのだ。
これはアメリカが、南シナ海におけるシーレーンを中国のコントロール下におくことを容認したということだ。
もちろん、日本のようなアメリカの同盟国が中国脅威論を採用し、中国と緊張関係にあることがアメリカの国益になる状況が存在する限り、オバマ政権がこの事実を公表することは絶対にない。
アメリカは中国の同意を得た上で、南シナ海における見かけ上の緊張関係を演出することだろう。
現実性のない構想~安倍政権は嵌められたのか
さて、もしこのような状況が事実だとするなら、日本の安倍政権の現状認識は根本から間違っていることになる。
何度も書いたように、安倍政権の基本的な外交政策になっているのは、仮想敵国である中国の脅威論、ならびにこの脅威に対処するために、中国を日本とアメリカ、オーストラリア、インドなどの同盟国で封じ込める「安全保障のダイアモンド」構想である。
だが、もしアメリカが中国の一部覇権を容認し、南シナ海の南沙諸島の管理権を中国に本当に委ねたとしたのなら、この構想はまったく現実性のないものになることは間違いない。反対に、こうした新しい情勢に適応するためには、中国脅威論とそれに基づく中国封じ込め構想をいち早く破棄し、中国との協調関係の構築へとシフトすることが迫られるはずだ。
中国との合同演習を実施しているアメリカやオーストラリア、そして南沙諸島の中国の進出に対して抑制的に対応したASEAN諸国などを見ると、すでにこの新しい現実を受け入れているかのような印象を抱かせる。
だが、安倍政権下の日本は、このような現実的な対応をすることはできないと見た方がよい。なぜなら安倍政権は、中国の脅威を最大限に煽ることで国内のナショナリズムを鼓舞し、それを支持の基盤にしている政権だからだ。
このナショナリズムの高まりを利用して憲法を改正し、戦後の平和国家の枠組みを破棄して戦前型の天皇制国家を復権させることが安倍政権の最終的な狙いである。
そのような安倍政権なので、新しい状況に適応するために、中国脅威論を引っ込めることはまずできないはずだ。それは、政権の支持を固め、戦前型国家の復興という目標を実現するためのツールであるナショナリズムを実質的に放棄することになる。
ということは、情勢がどのように変化しようとも、安倍政権は中国脅威論を強く主張し、そうしたイメージを国内で広く喧伝し続けるはずだ。
幻想に閉じこもる安倍政権と日本国民
もし安倍政権がこうしたイメージを自ら信じ込み、これに基づき政策の判断を行うようになると、大変に危険な状態になる。これは戦前と同じようなメンタリティーではないだろうか?
1941年12月、アメリカのGDPが日本の20倍であるにもかかわらず、日本は真珠湾攻撃を行った。これは、アメリカに大きな一撃を与えるとアメリカが戦意をなくすので、きっと有利な終戦の講和に持ち込めるはずだという、何の根拠もない希望的な観測に基づいていたことはよく知られている。
実際はこのまったく反対であった。真珠湾攻撃は、「日本をたたきつぶす!」というアメリカ国民の強い戦意を刺激した結果になった。
これは、とてつもない判断ミスである。このようなミスが犯された原因は、判断が客観的な現状認識ではなく、希望的な観測といういわば自らが作り出した幻想に基づいていたことにある。
自分が信じ込みたい都合のよい現実を最優先し、これに合わない客観的な事実をあえて無視するというメンタリティーだ。
いま憲法改正や秘密保護法など安倍政権の戦前回帰的な方向性が問題にされているが、実はもっとも危険なのは、都合のよい現実に閉じこもり、客観的な事実を無視するというメンタリティーではないだろうか。
そして安倍政権は、彼らにとって都合のよい現実認識を国民が共有するようにマスメディアに介入し、事実とは異なった報道をするように誘導している。
これは大変に危険な方向だ。将来、とてつもないミスを犯す危険性があると言わねばならない。これがどういうことなのか、次回にはさらに突っ込んで書くことにする。
高島 康司(たかしま・やすし)北海道札幌市生まれ。早稲田大学卒業後、大手語学学校で教材、コース開発、講師研修、企業研修等を担当。現在は独立し、企業の語学研修、IT関連研修、企業関連セミナー、コンサルティング等をおこなっている。主な著作は、『1週間で実践 論理的会話トレーニング』、『知的論理トレーニング』『英文社内メール すぐに使える例文集』(以上ベレ出版)、『きちんと伝える英語』(DHC)ほか多数。
11/19産経ニュース 石平『中国の目先の利益に乗るな』について
石平氏が「合従連衡」の故事を引いて、ASEANの団結を訴えています。南シナ海を中国の内海にしないためにはASEANの合従策が大切で、中国の各個撃破策である連衡策には乗るなという事です。中国は経済支援をすることにより、各国が「目先の利益」に走ることを狙っています。将来を見渡せば、中国の属国・隷従の道となるのが見えてくるでしょう。今の利益で、将来は搾取・人権弾圧・民族浄化が行われることは、今の中国人民、チベット・ウイグル・モンゴルを見れば分かることです。
ASEANでは中国の情報が少ないのかもしれません。日本が正しい情報を与えて、各国が正しい判断をするようにすれば良いと思います。ベトナムやフィリピンだけでなく、他の国も中国の侵略・膨張主義に反対していかないと。東南アジアが中国の最初の橋頭保にならないことが、明るい世界が築けるかどうかの分岐点となります。どの企業でも営業拠点を一個・一個作っていこうとするでしょう。国も同じで自分の陣地を一個・一個作っていこうとします。日本も他国のことと思っていると、中国がここを制圧したら、次に東シナ海に出て来ることは必定です。一国平和主義というのは中国を有利にさせるだけです。如何に日本のメデイア・大学・民主・共産は腐っているかです。同盟・準同盟で中国の拡張主義を抑止しないと。日米・豪・印・露+ASEANで中国包囲網を完成しなければ。
記事
今月に入って中国は、アジア太平洋地域において一連の慌ただしい近隣外交を展開してきた。
1日、韓国のソウルで李克強首相は3年半ぶりの日中韓首脳会談に参加し、日本の安倍晋三首相との初の公式首脳会談を行った。5日には、今度は習近平国家主席が就任後初めてベトナムを訪問し「関係の改善」を図った。
10日、王毅外相はマニラを訪れてフィリピンの大統領、外相と相次いで会談した。
この一連の外交活動の対象となった3カ国が抱えている共通問題といえば、やはり南シナ海だ。
同海での中国の拡張戦略に対し、当事者として激しく反発しているのはベトナムとフィリピンの両国である。一方の日本もまた、自国のシーレーンとなる南シナ海の「航海の自由」を守るべく、中国の戦略に強く反対する立場を取っている。
こうした中で中国がこの3カ国に急接近してきた意図がはっきりと見えてくる。
10月末の米海軍による南シナ海哨戒活動の展開によって米中対立が一気に高まった中、中国政府は南シナ海問題の当事者諸国との緊張を緩和させることによって、中国批判を強める米国を牽制(けんせい)するつもりであろう。当事者同士が話し合いで問題解決に向かうのなら「部外者」のアメリカは口出しが難しくなる計算である。
さらにAPECの前に、関係諸国を取り込んだ上でアメリカの攻勢を封じ込めておくのが一連の中国外交の狙いだったろう。
要するに、アメリカを中心とした「有志連合」が中国の拡張戦略に立ち向かおうとするとき、「有志連合」の参加国と個別に関係改善を図ることによって「連合」の無力化を図る策略なのだ。
それは中国で古来使われてきた伝統的得意技である。
中国では紀元前8世紀から同3世紀まで戦国という時代があった。秦国をはじめとする「戦国七雄」の7カ国が国の存亡をかけて戦った時代だったが、7カ国の中で一番問題となったのが軍事強国で侵略国家の秦であった。
いかにして秦国の拡張戦略を食い止めるかは当然他の6カ国の共通した関心事であったが、その際、対策として採用されたのが、6カ国が連合して「秦国包囲網」を作るという「合従策」である。
6カ国が一致団結して「合従」を固めておけば、秦国の勢いが大きくそがれることになるが、一方の秦国が6カ国の「合従」を破るために進めたのが「連衡策」である。6カ国の一部の国々と個別的に良い関係をつくることによって「合従連衡」を離反させ、各個撃破する戦略だ。
この策で秦国は敵対する国々を次から次へと滅ぼしていったが、最終的には当然、秦国との「連衡」に応じたはずの「友好国」をも容赦なく滅ぼしてしまった。秦国の連衡策は完全な勝利を収めたわけである。
それから二千数百年がたった今、アジア太平洋地域もまさに「戦国時代」さながらの様相を呈している。中国の拡張戦略を封じ込めるために米国や日本を中心にした現代版の「合従連衡」が出来上がりつつある一方、それに対し、中国の方はかつての秦国の「連衡策」に学ぶべく、「対中国合従連衡」の諸参加国を個別的に取り込もうとする戦略に打って出たのである。
その際、日本もベトナムもフィリピンも、目先の「経済利益」に惑わされて中国の策に簡単に乗ってしまってはダメだ。あるいは、中国と良い関係さえ作っておけば自分たちの国だけが安泰であるとの幻想を抱いてもいけない。
秦国によって滅ぼされた戦国6カ国の悲惨な運命は、まさにアジア諸国にとっての「前車の轍(てつ)」となるのではないか。
11/18産経ニュース 古田博司『韓国が企てる統一への反日戦略』、11/21日経『「戦わずに勝つ」朴氏の戦略 慰安婦問題、日本との攻防ヤマ場 首脳会談の笑顔「妥結」呼ぶか』について
日経記者も、外務省か官邸の話に乗せられて、韓国が望むような決着を図ろうと世論を誘導しようとしていると見えます。愚かです。中韓は暴力団国家です。暴力団が「金ずる」を手放すと思いますか?払うまでは嫌がらせを続けることは間違いありません。3億円で解決することはありません。ムービングゴールポストになることは間違いありません。日韓基本条約、アジア女性基金等何度やっても蒸し返してきた歴史があるではないですか。大統領が変わればまた別な要求をしてくるのは必定です。そもそも中韓は世界に「日本は道徳的に劣った民族」の烙印を押したいがために、日本政府の謝罪と賠償金(=国が関与した責任を認めた形)が必要と思っています。悪巧みに長けた民族です。エリートと言われるキャリア官僚もそんなことが読めないのでは学力が高いだけで無能としか言いようがありません。下の「正義の味方」のブログの青山繁晴氏の発言をお読みください。安倍首相の強いリーダーシップで国益が守られていることが分かります。民主や共産、マスメデイアが反安倍を唱え、早く下ろして中韓に有利になる政治を望んでいるのが分かります。売国奴です。国民は左翼新聞・TVを読まない・見ない・買わない(3ない)ことです。
また古田氏の記事では、朝鮮半島は歴史的に事大・搪塞・遷延をやって来たという事です。米国も韓国は信頼に足る国ではないと思いだしていますから、韓国離れしていくでしょうし、中国も本記事によれば「中国は韓国と北朝鮮を手玉に取っているわけではない。できるだけ深く関わらないようにし、絶えず微調整しているのである。南北問わず朝鮮民族の「卑劣」に付き合うのは、日本も中国もロシアも苦手である。」とあります。世界の問題児です。こういう国とまともに付き合うのは馬鹿でしょう。韓国の日本大使館前の慰安婦像はウイーン条約違反だから国際司法裁判所に提訴、TPPにも日本が反対すれば韓国は入れませんのでそうすべきです。日本の名誉を貶めようとする国には報いを与えなければなりません。朝鮮半島の統一も見据え、日本は米国とのニュークリア・シエアリング、核保有を視野に入れていかねば。
11/20ブログ「正義の味方」より
「安倍総理、日韓首脳会談で慰安婦像の撤去を求めていた。
今月2日ソウルで行われた日韓首脳会談で安倍総理がソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去を 要求していたことが、日本政府関係者によって明らかになりました。
また安倍総理は米国にある慰安婦像についても撤去を要求したとのことです。
これが、今になってリークされるというのは…
青山繁晴氏
「これ、言う予定じゃなかったんだけど、全部は言わないけど、恐るべき事実を一部ですけど、お話します。 ネット上で、安倍総理は本当は韓国側に3億円払って慰安婦問題を解決するつもりじゃないかという書き込みが 山のように流れているのを知っていますか?飯田こうちゃんは知らない?
僕の読者、視聴者の方からたくさんメールもいただいているのですが、 まずこれは韓国側の要求なんですよ。安倍さん、蹴りました。
慰安婦問題についてパククネさんが、懇願するかのように、安倍さんにいろいろお願いしてきた事実があって、 日韓首脳会談の1時間20分、言い合いになったのも事実なんですね。
その中に慰安婦像の問題もあるけれど、慰安婦像ももちろん深刻な大きな問題ですけれど、 もっと大きなのは、アジア女性基金です。あれを思い出していただくと、アジア女性基金を私達国民の税金で拠出していたら、 それは韓国が一方的に言ってきた、事実とは反する強制連行したという事実を認めたことになる。
私は、韓国の男性にずっと言ってきたのだけれど、それは韓国の男性の名誉を貶めていますよと。
おねえちゃんや妹や恋人や奥さんが強制連行されたら、家族を大事にする韓国男性が黙っているとは思えない。
家族の女性を連れて行かれるときに、黙って見ていたとしたら、韓国男性が一切抵抗しなかったことになるから。
強制連行については、そのような例は一度も無かった。なのに強制連行されたというのは韓国男性は黙って見ていたんですか。
本当に朝鮮民族の名誉にかかわりますよ。と言いいい続けてきたのです。
この村山政権が作ってしまったアジア女性基金に国の税金を使ったら、 韓国側の事実とは反する主張を認めたことになるから、民間からの寄付とした。
韓国側はアジア女性基金を復活させて、そこに政府のお金を少しだけ出してくれというのです。
金額はちょっとでいいんです。たった3億円ですよ。日本の予算規模から比べたら小さな額でしょ。
ちょっとでいいから、出してくださいと。実はここに日本の外務省も乗っかってて、全部とは言わないけど一部が乗っかってて、 もっとショックなのは、官邸の中で同調した高官がいるのです。官邸の中に。
第一次安倍政権と今の安倍が違うのは、官邸のチームワークが素晴らしいところにあるのです。
しかし、ここにも韓国が食い込んできたのです。韓国の工作が。
もう一度言います。外務省の一部ですよ。一部だけど乗っかった者がいて、たった3億円政府から拠出するだけで、 このややこしい問題が解決すると主張して、安倍さんをそこに招きいれようとしたのが、 韓国だけではなくて、外務省の一部と官邸の中にもいて、安倍さんをそこに持っていこうとしたのが、ずっとあって、 さあ、これでもういけそうだという時に、安倍さんが自分の判断で蹴った。
これが安倍下ろしにつながっている。さっきの消費増税の問題ともからめて、安倍は困ったもんだろうという話になっている。
一切表に出ていない。なぜ出ていないかというと、メディアが把握出来ていない。大テレビも大新聞も事実把握できていません。
この3億円の話を韓国側は新聞等を使って一生懸命流している。
飯田「しかし、そんなものを飲んだら、日本政府が関与を認めたというふうにやるに決まっている。」
青山繁晴「おしまいです。おしまい。安倍さんの判断は尊いのですけれど、孤立無援じゃないですよ。 官邸のチームワークは素晴らしいし、外務省にも良心派は山のようにいる。これは皆さん分かってくださいね。
これは安倍さんが好きとか嫌いとかではなくて、安倍さんがということではなくて、これは私達の名誉の問題であり、 私達の子供達、子々孫々の名誉にかかわることですから、日本民族の根源にかかわることだから、
今までの利害の立場を乗り越えるべきだと僕は思いますよ。安倍政権の内部でこういうことが起きているのですよ。
【青山繁晴】ザ・ボイス そこまで言うか!H27/11/19 47分30秒頃から~」
古田博司記事
今から25年前、盧泰愚大統領時に韓国の歴史教育の過度に反日的な側面を批判したところ、学者たちはこう答えた。「韓国は負けてばかりの歴史です。今は少しだけ勇気を出せという歴史教育をしている。その過程で反日的な側面が出てくるのです。分かってください」と。その低姿勢に同情
し、われわれは矛を収めたものである。
ところがその後、金泳三大統領の「歴史の立て直し」政策が始まり、自尊史観と反日の暴走が始まった。韓国は「歴史に学ぼう」と唱えるだけあって、李朝の「搪塞(とうそく)」(ごまかし・逃げ口上)の歴史を民族の行動パターンとして濃厚に引き継いでいる。
≪同情は次の攻勢の準備段階≫
満洲族の清が馬をよこせといえば、分割払いにしてもらい、総頭数をごまかしたり、婚姻するから良家の子女を送れといわれれば、こっそり酒場女を集めて送ったりした。シナにやられてばかりの歴史ではないのだ。
李朝は国内では民族差別の朱子学で理論武装し、満州族の清を「禽獣(きんじゅう)以下の夷狄(いてき)」(獣以下の野蛮人)だと徹底侮蔑する教育をし、清からの文明流入を悉(ことごと)く防遏(ぼうあつ)した。同情を買うのは次の攻勢の準備段階である。
最近の報道によれば、日韓の国際会議で日本側が韓国の中国傾斜を指摘すると「事実ではないのでその言葉は使わないでほしい」といい、中国に苦汁をなめさせられた歴史からくる警戒や恐怖心を日本人に喚起するという。
また、外務省の元高官が「韓国人には中国から家畜のようにひどい扱いをされた屈辱感がある」と話すそうである。当然心優しい市民派新聞の記者たちは同情し、韓国の中国傾斜論はよそうという記事を書く。
だが、これを放置すればやがて、「韓国を中国に追いやったのは日本のせいだ」という論に成長することは、当然予測されるところである。これを欧米中に広める。朝鮮民族は日本人が考えるような甘い民族ではない。
≪否定できない中国傾斜論≫
朝鮮はシナの子分で、シナが朝鮮を操る歴史だと思っている人が多いがそうではない。ごまかしや逃げ口上でいつの間にか攻勢に出てくるので、どう扱ってよいのかよく分からないというのが中国の本音なのだ。
今の中国は韓国と北朝鮮を手玉に取っているわけではない。できるだけ深く関わらないようにし、絶えず微調整しているのである。南北問わず朝鮮民族の「卑劣」に付き合うのは、日本も中国もロシアも苦手である。
韓国の中国傾斜論は、今日否定しようのない事実である。アメリカの促す高高度防衛ミサイル(THAAD)の設置を引き延ばす。これを李朝時代では「遷延(せんえん)」策といった。大国が難題を持ちかけるたびに臣下たちは「王様、遷延でよろしく」と願い出たものである。引き延ばして状況
が変わり、相手が諦めるのを待つのである。
中国の南シナ海進出への批判も巧妙に避けている。韓民求国防相に東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大国防相会議で航行の自由の保障を明言させたが、政府は何も言っていない。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に積極参加し、朴槿恵大統領は中国の抗日記念行事に出席し、軍事パレードの雛(ひな)壇で席次2位だったことを朝貢国のように喜んだ。
アメリカよりも中国の影響下の方が、南北で取引ができ統一がしやすいという思惑があるのだ。ただそれを日本に追いやられたからという形に持っていき、アメリカの非難を自国に向けないようにしたいのである。実はこのような面倒なことをしなくとも、南北には統一の機が熟している。
≪2度と朝鮮戦争は起きない≫
哨戒(しょうかい)艦「天安」沈没事件(2010年3月)のときも、延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件(同年11月)のときも、緊張が高まると必ず韓国が折れる。北朝鮮が謝罪したような折衷案を作ってくれと、韓国が非公開会議において金銭で懇請したと、11年6月1日には北朝鮮の国防委員会に
暴露されたこともあった。
今年8月に韓国と北朝鮮の軍事境界線で起きた地雷爆発事件では、北朝鮮が「準戦時状態」を宣言し、南北高官による会談が開かれたが、韓国側の代表2人は北朝鮮シンパだった。加えて協議の映像が青瓦台に中継された。
国家安保戦略研究院の劉性玉院長は朝鮮日報8月24日付で、事件のたびにケーブルテレビによるボス交渉が行われていたことを暴露し、10月には盧武鉉時代の国家情報院の院長だった金万福氏が北との直通電話があったと発言した。
すなわち北朝鮮の核保有と歩調を合わせるように、韓国側が譲歩を重ねていったことが分かるのである。結論として、2度と朝鮮戦争は起きないであろう。
ならば、なぜすぐに南北統一へと向かわないのか。理由は、弱者の方の韓国が統一を主導したいからである。第2に、急に動けばアメリカ軍が撤退の速度を早め、韓国の主導が崩れるからである。第3に、今の生活を手放したくないという、気概のない民族性が統一の意志を妨げているからである。
11/21日経記事
安倍晋三首相と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が就任以来、初めて2人で向き合った2日の日韓首脳会談。笑顔を絶やさず安倍首相を迎え入れる朴氏の姿が目を引いた。歴史認識をめぐり約2年9カ月繰り広げられた「朴氏の兵法」と安倍流外交の攻防はクライマックスに向かう。
朴氏には教訓がある。2005年11月、韓国・釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での日韓首脳会談だ。当時の小泉純一郎首相と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は小泉氏の靖国神社参拝などをめぐり激しく感情をぶつけ合い、会談は30分足らずで打ち切られた。対立が決定的となり「首脳会談に失敗なし」の例外として語り草になっている。
「戦わずして勝つ」。朴氏は孫子の兵法こそが外交の力だと自著に記す。13年2月の大統領就任後、安倍政権の歴史認識を米国や中国の力も利用して外圧でただそうとした。にもかかわらず、中国が日本との修復に動き、米国からは逆に日韓和解への努力を迫られる。訪韓した日本の要人を通じた訴えも首相官邸に響かないまま、安倍首相をソウルに迎えた。
1日訪韓した安倍首相の宿泊ホテルに、花器に豪華に生けられたピンク色のバラが届いた。朴大統領名のカードが添えられていた。会談で朴氏は旧日本軍による従軍慰安婦問題への自らの思いを粛々と伝え、最後に「緊密に首脳会談をしあえるような雰囲気づくりを心がけましょう」と告げた。
15日、トルコでの20カ国・地域(G20)首脳会議で再会した。安倍首相は昼食会で隣に座った朴氏に「日本国内の雰囲気もだいぶ良くなってきています」と声をかけた。首脳会談での言葉を覚えていたのだろう。朴氏は「そのような話が聞けてうれしい」と応じた。
韓国側は安倍首相のサプライズに期待する。06年に最初の政権に就くなり、小泉前政権で関係が傷ついた中韓を最初の外遊先に選んだ。今年6月の国交正常化50年記念式典への出席は土壇場で決めた。韓国内を悲観論が覆っていた今回の首脳会談も終わってみれば「一歩前進」と評価を得た。
朴氏自身、決裂した「釜山会談」から間もない06年3月に当時の安倍官房長官らと日本で会談し、「歴史問題さえ除けば、経済、外交、韓日交流など各分野での考えを一致させられた」という。
両首脳が合意した早期の「妥結」には「利害関係で対立している者が折れ合って話をまとめる」(大辞林)との意味がある。「両首脳は国内を説得しなければならない。問題は韓国側だ」と青瓦台(大統領府)に近い専門家は話す。
ソウル中心部の日本大使館前には慰安婦を象徴する少女像が置かれている。日本は外交関係に関するウィーン条約違反だと撤去を求めている。さらに交渉妥結後に問題を蒸し返さないと韓国政府が保証する措置でも朴氏の指導力が欠かせない。
大幅譲歩難しく
外交だけに専念できる余裕はない。6日、朴氏は赤いジャケット姿で青瓦台の会議に現れた。安倍首相や与野党代表との会談には緑色で臨んだ。赤色は経済活性化のイメージだ。輸出低迷や雇用難を克服するため、技術革新を妨げる規制改革を関係閣僚に指示した。
韓国政界は年明けから春に向けて総選挙一色に染まる。与党内でも「親朴派」と「非朴派」の主導権争いが激しさを増す。朴氏にとって決断のハードルは高くなる。首脳会談後も韓国政府が年内の決着を求める背景だ。
信頼を寄せる李丙琪(イ・ビョンギ)青瓦台秘書室長を今後の対日交渉や世論対策のキーマンに据えるとみられる。朴氏の外交・安保政策のブレーンを務め、13~14年に駐日大使を務めた知日派。安倍首相が8月に発表した戦後70年談話に、韓国政府が抑制した反応を示した背後にも李氏の意向があったとされる。
青瓦台関係者は「大統領が決断すればそれが最終決定だ。反対論は抑えられる」と朴氏の覚悟を説き、安倍首相の決断を促す。原理原則を重んじる朴氏の下で「日本側に変化がなければ交渉に見切りをつけ『日本が悪い』と世界中に広める」とのシナリオも韓国政権内から漏れてくる。日韓の未来がかかる大一番だ。(ソウル支局長 峯岸博)
11/18日経電子版 『中台会談、80秒握手の深謀 習氏の任期延長への布石 編集委員 中沢克二』について
11/18日経夕刊には「日台、租税協定を締結へ 二重課税防ぎ投資促す」とありました。
「【台北=山下和成】日本と台湾が二重課税などを防止し、ヒトの往来や投資を促進するための租税協定を結ぶことが18日分かった。現地子会社からの配当の送金に対する税の減免や、出張者への二重課税の解消などが柱となる。台湾としてはこの協定を契機に、将来は日本との実質的な自由貿易協定(FTA)の締結など包括的な経済連携につなげたい考えだ。
日本と台湾は正式な外交関係がないため、租税協定は双方の交流窓口機関が締結する。25~26日に東京で開く「日台貿易経済会議」でトップ同士が覚書を交わし、早期に発効する見通しだ。
台湾は英国やインドなど29カ国・地域と租税協定を結んでいる。今年8月には中国との協定締結も実現した。
租税協定を結んでいない場合、本来は減免される税金などが発生し、企業・個人の負担となる。例えば現在、日本企業の台湾子会社が配当を日本の親会社に送金する際、金額の20%を源泉徴収されているが、協定があればこれが減免される。台湾企業の日本子会社にも同じ仕組みが適用され、子会社の事業拡大がしやすくなる。
また、日本企業の社員が台湾に出張した場合、91日以上滞在すると課税対象になって二重課税が生じる。租税協定があれば182日までなら課税対象とみなされず長期出張などがしやすくなる。
台湾の経済部(経済省)によると、日本の2014年の対台湾投資額は前年比34%増の5億5千万ドル(約680億円)。ピークの06年は15億9千万ドルだったが製造業の進出減少で最近は低迷気味だ。台湾は主力のIT(情報技術)産業などが韓国や中国との競争にさらされている。租税協定で日本の先端産業などを誘致し、産業構造の高度化につなげる。
一方、台湾の14年の対日投資は前年比4倍の6億8千万ドル。12年の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープの旧・堺工場への出資などで近年は伸びが著しい。
台湾の馬英九総統は08年の就任以降、対中融和政策を進める一方、日本との経済関係も重視してきた。11年には投資協定や航空自由化(オープンスカイ)協定も結んだ。」とありました。
台湾で発表された明年1月の総統選の直近の世論調査によると、各候補者の支持率は、
蔡英文(民進党) 46・2%
朱立倫(国民党) 20・4
宋楚諭(親民党) 10・4
態度未定 13・3
棄権する 9・7
(11/18宮崎正弘メルマガより)
でした。蔡英文の優位は揺るがないでしょう。問題は立法議員選挙で民進党が勝てるかどうかです。10/6キャピタルホテル東急で蔡英文は日本と「産業同盟」を結びたいと言っています。馬英久時代に中国と経済的に近づきすぎたのを軌道修正しようとするものです。上述の日経記事もその流れの一つでしょう。10/8安倍・蔡会談では「軍事サポート」についても話し合われた可能性もあります。米国の台湾関係法発動時に日米同盟の中での日本の役割についてです。
中沢氏の記事で言う習近平の任期延長はないと思います。習は国内の権力闘争を勝ち抜くために、無理をし過ぎて、外国に敵を作りすぎました。金で総てが解決できると思ったら大間違いです。「金」の恩恵は受けたとしても「隷従」の道を歩もうと思う国は、韓国以外はないでしょう。ロシアもISのテロを受けて、欧米との協調に転じました。それが中国包囲網になっていくことを望んでいます。
国内でも、経済がダメになっていけば上海派と団派の反撃を受けると思います。また、イージス艦ラッセンの南シナ海航行でネット民は政府・軍が何もできないことに不満を述べています。「米国に核爆弾を落とせ」とか過激な意見も出ています。共産党統治で自由な意見が許されない中で、こういう意見が出て来るのはガス抜きか習に対する軍の面当てなのかは分かりませんが。閉ざされた情報空間に生きる国民の意思をコントロールしていくのは益々難しくなると思います。
また台湾への武力侵攻は日本の集団安保法成立、米国の11/18「米中経済安保委員会が警告的な報告書を議会に提出」記事(11/20宮崎正弘メルマガ)等見ると、中国に味方する国は出てきません。台・米・日を相手に軍事的には絶対勝てません。
日本は蔡時代に入れば、馬の敷いた反日路線、抗日記念館の別転用等お願いしていくべきです。
記事
笑顔の中国国家主席、習近平が台湾総統の馬英九に先に右手を差し出す。1949年の中台分断後、初のトップ同士の握手は80秒間続いた。11月7日のこの瞬間、習は胸中で何を思っていたのか。
「あの国共合作(国民党と共産党の協力)をにおわせる長い握手は、習(共産党)総書記の任期延長への布石になるかもしれない」
「習大大(習おじさんの意味)が公約した『中華民族の偉大な復興』に台湾統一は不可欠だ。その実現を名目にすれば、党トップ3選さえあり得る」
中国の内政に通じる関係者らの声に、ハッとした。これは2年後に迫る2017年共産党大会の最高指導部人事の話ではない。7年後の22年党大会でのトップ交代の有無を左右する一大事件だという。
国を代表する国家主席の任期は1期5年で、続投は1回のみ。憲法は3選を禁じる。つまり最長で2期10年だ。13年に国家主席に就いた習は、憲法を修正しない限り23年には退く。だが共産党を代表する総書記には続投回数の制限規定がない。最近は総書記が国家主席を兼ねるため、双方とも最長10年で退く慣例があるだけだ。
習が絶対的な権力を握ったなら、名目さえあれば10年を超す続投は可能だ。その際、台湾統一は極めて良い口実になりうる。これを念頭に先の中台首脳会談を思い返すと面白い事実に気付く。
■対等ではなかったトップ会談
「中国共産党と習にとっては大きな得点だが、台湾側は与党・国民党、野党・民進党、一般民衆とも明確な利益がない。『対等な会談』は名目だけ。実際は習が台湾を威圧した。唯一、馬だけは元国民党主席の連戦に代わる中国とのパイプとして政治生命を保てる。得をした」
中台双方と一定の距離を置く外国籍の華人学者の分析である。対等ではないのは、まず会談場所となったシンガポール入りまでの動きだ。習は5日からベトナムとシンガポールを国事訪問。シンガポールでは首相のリー・シェンロンとの会談のほか国立大学での演説もこなした。
習が2つの国事訪問の合間に少しだけ時間をつくり、「台湾当局」トップに会ってやった、という形になった。会談当日の中国国営中央テレビのニュースでも中台会談はトップではなく、習のシンガポール国事訪問の関連ニュースの後、ようやく登場した。
一方、台湾の馬は、習に会うためだけに7日、シンガポール入りし、すぐに台湾に戻った。“拝謁”に見える。その象徴が、習と馬の握手の構図だ。一般に外交儀典上のホストを意味する向かって右に陣取ったのが習。左が馬。習は馬を客として迎えた形になった。
本番の会談でも先に発言したのは習だった。ここでも事実上のホストの立場が確認できる。中国語で「先生」は、日本語の「さん」の意味だ。2人は互いを「馬先生」「習先生」と呼び合ったが、この場面は、中国側のニュース映像、報道からカットされた。そればかりか馬の発言自体も音声付きでは放映されなかった。習の格上感を演出する共産党宣伝部による報道統制である。
習は、1920、30年代の2度にわたる国共合作に次ぐ、第3の合作によって台湾統一に道筋を付けたい。これを成し遂げれば、鄧小平はおろか、毛沢東にも迫る大指導者として歴史に名を残せる。
習が総書記に就いた2012年の第18回党大会では「『二つの百年』の奮闘目標」が打ち出された。中国共産党創立百年の2021年と、新中国成立100年の2049年に向けて「中華民族の偉大な復興」という夢を実現する時間表を意味している。
表向きは、全国民が一定の生活水準に達するという経済的目標が強調されている。だが、政治的な意味は、軍事、経済両面で米国を抜き去り、世界ナンバー1の中国を実現することだ。
共産党がうたう「中国の夢」は当然、台湾統一を含む。「21年と49年は台湾統一への時間表、工程表でもある」。党幹部が語る。
■抗日記念館も台湾シフト
台湾統一をにらむ7日の中台首脳会談への布石は、既に中国国内で打たれていた。会談のわずか2週間前、首都・北京の郊外で大規模な展示会が始まった。場所は日中戦争の端緒となった盧溝橋にある抗日戦争記念館だ。
中台首脳会談の直前に大々的に始まった「台湾の抗日」の展示(北京・盧溝橋の抗日戦争記念館で)
10月23日に幕を開けた「台湾同胞抗日史実」と銘打った展示は、日本支配下の台湾での抗日活動を大々的に宣伝していた。館内の大きなスペースを割いており、共産党の力の入れようが見て取れる。その脇では、7月に一新された反ファシズム、抗日戦争勝利70年を記念する展示が続く。
外国人がここを参観すれば違和感を感じさるをえない。70年前、第2次世界大戦で日本に勝利したのは、後に台湾に移った蒋介石の国民党政権であって、共産党政権ではない。共産党軍を抗日戦争の立役者として描く展示には誇張がある。当然、台湾側は共産党の宣伝に抗議してきた。
中国側はここに来て軟化している。大陸各地の抗日戦争の展示に、従来はタブーだった蒋介石の大きな写真を登場させ、国営書店にも蒋介石の功績も扱った本が並ぶ。台湾の国民党への秋波である。
さらに今、盧溝橋の記念館で「抗日戦争勝利70年」と「台湾の抗日」を合わせて展示することで、中台会談を契機にした新たな国共合作を狙う。抗日戦争記念館は台湾を標的にした「統一戦線工作」の道具でもある。共産党の提示する「歴史」は常に時の政権の政治目標を踏まえている。
中台首脳会談の提起に当たり、習は「馬は、任期切れを前に策がない。必ず誘いに乗る」と読んだ。果たして馬は応じた。会談の際の馬のネクタイの色は青。国民党の青天白日旗の青だ。習の方は、共産党の紅旗の紅。交錯した青と紅のネクタイは国共合作を象徴していた。
実際、習は会談でも「抗日歴史書」の共同執筆を持ちかけた。馬は「民間で」としつつも前向きな意向を示した。「抗日戦争は中華民国が主導した」との台湾の主張に関して馬は触れていない。
台湾も領有権を主張する尖閣諸島についても話題に出た。習の思惑通りである。世界が注目した中台会談は、南シナ海問題で苦しい習にとって大きな援軍になった。
■馬が習3選の援軍に
総統を退いた後の馬の役割も興味深い。中国とのパイプ役になるなら、台湾問題を利用して権力を固め、総書記3選まで視野に入れる習を完全に助けることになる。
とはいえ、台湾が既に民主化している以上、共産党の独裁政権による統一は極めて難しい。だが、習にとっては難しいほうが都合がよい。
「難題を解決できるのは、台湾問題に精通する習総書記だけだ。是非、続けてほしい」。22年の党大会前に共産党内でこんな声を盛り上げればよいのだ。前年の21年は共産党創立百年。一定の生活水準の達成という第1目標をクリアした余勢を駆って、49年に向けて走り出す年でもある。
2年後の17年党大会の最高指導部人事では、7人の内、習と首相の李克強以外の5人が年齢問題で入れ替わるはずだ。もし習に3選の野心があるなら若手の抜てきの際、自分の後継者を特定されないような人事にする選択肢もある。
習は、高級幹部の子弟らを指す「太子党」「紅二代」を代表する。ライバルである共産主義青年団の人脈に属する人物は「いくら習総書記でも3選は無理だ。鄧小平が敷いた路線は覆せない」と顔をしかめる。しかし「反腐敗」で力を付けた習は、既に過去の慣習を次々、破っている。
来年1月の台湾総統選では、独立志向が強い民進党の蔡英文が有利とされる。習と馬の会談を経た今も情勢はあまり変わらない。今後の台湾問題と、17年、22年の共産党最高指導部人事を注視したい。(敬称略)
11/18日経ビジネスオンライン 福島香織『政治利用され続ける中国“元慰安婦”たち 誰も救われない現状をいかに越えるか』について
福島氏も中国滞在が長かったので、中国の人権状況は分かっていると思いますが、ストレートに書くとバッシングを受けるので、柔らかく書いているのだと思います。70年以上も前の「慰安婦」について中国が日本を糾弾するのであるなら、庶民相手の床屋での売春についてはどう考えるのか聞いてみたい。床屋の前を通ると必ず呼び込みがあります。また人民解放軍基地は警察の治外法権となっており、売春は当然行われています。
中国でも韓国同様銃剣を突き付けてレイプしたというのは考えにくい。綱紀厳正な日本軍と平気で嘘をつく中国人のどちらを信用するかです。金になると思えば嘘をついてでも主張するし、証拠も捏造します。これは中国駐在の8年間で4回裁判等経験したことからの判断です。況してや強権・共産党の命令であれば、逆らうことは考えられません。命を奪われますので。
戦後米軍も青木富貴子著『GHQと戦った女 沢田美喜』を読みますと、米兵士が如何に日本女性と楽しんだ後、混血児をそのままにして帰国、孤児を三菱・岩崎家の娘だった沢田が引き取って育てたという話です。韓国軍もベトナムのライダイハンや、自国での米軍相手の基地村の問題があって他国を非難できる立場にはありません。戦後の政治家や外務省が反論してこなかったからです。
何時も言っていますように、中国は「日本を道徳的に劣った民族」と世界に烙印を押し、日本に味方する国を少なくして、乗っ取ろうと言うのが彼らの狙いです。世界制覇の野望を持っているのに、太平洋に出るのに邪魔になるのが台湾と日本です。中国側から地図を見れば明らかです。日本人一人ひとりが彼らの野望を認識し、中韓の味方をする政治家を選挙で落とさないといけません。また、中韓に味方する役人・学者の類も政治家を動かして活動を封じ込めないと。
記事
11月12日、山西省陽泉市盂県の西煙村で一人の老女が亡くなった。中国メディアはこれを一斉に手厚く報じた。彼女の名前は張先兎。山西省の”元慰安婦”として90年代後半から2007年にかけて日本の東京地裁、最高裁で行われた中国戦時性暴力被害対日損害賠償訴訟原告の16人の”元慰安婦”の一人であり、最後の生存者だったからだ。折しも、その数日前、東京大学駒場キャンパスで上映された中国人”元慰安婦”たちの証言と人生を記録したドキュメンタリー映画「太陽がほしい」(班忠義監督)を見たばかりなので、なおさらこのニュースが心に刺さった。先の日中韓首脳会談で、中韓が日本を牽制する切り札として持ち出した”慰安婦問題”について改めて考えてみたい。
中国元慰安婦対日損害賠償訴訟原告、最後の一人
中央ラジオなどによれば、11月12日午前9時15分ごろ、張先兎は西煙村の自宅で亡くなった。長らく病の床にあった。享年89歳。彼女は90年代から2000年代に東京で三度にわたって行われた中国元慰安婦対日損害賠償訴訟の原告16人の一人でもあった。
彼女が日本軍に連行されたのは1942年の旧正月二日で当時16歳。新婚4日目で、夫は13歳だった。その朝、銃剣を持った日本兵がやってきて彼女を連行したという。夫が日本兵の腕にすがって、連れていかないでくれ、と訴えると、日本兵は夫を銃剣で刺さそうとした。彼女も顔を何度もビンタされた。そして山の上のトーチカにつれていかれ、約20日にわたって監禁され何度も強姦されたという。
20日後、夫が金を用意して彼女を”買い戻した”。まだ少年ともいえる夫は、この時の恐怖でPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったようで、一生、腕や顔の震えが止まらず、仕事も勉強もままならなかったという。彼女も心と体に傷を負い、ほぼ一生貧しい山村から外に出ることもなかった。
だが、1992年、中国で最初に旧日本軍から受けた性暴力被害を公に証言した元共産党少女幹部、万愛花が山西省盂県の小学校教師・張双兵や日本の人権派、リベラリストらの支援を受けて活動を開始、彼女も1995年、山西省の他の”元慰安婦”たち15人とともに日中民間の支援を受けて日本政府に謝罪賠償を請求する訴訟を起こすことを決意した。1998年に提訴、2007年の最高裁の判決は請求棄却であったが、彼女らが戦時性暴力の被害者である事実は認められた。
この16人の山西省の”元慰安婦”たちはこれですべてこの世から去った。張先兎は亡くなる40日ほど前から病が重篤化。最後の瞬間まで、日本政府に謝罪と賠償を求め続けていたが、ついに、彼女の求めていた一言は聞けなかった、と多くの中国メディアは結んでいる。
中国には、張先兎のような農村女性は数多くいた。そうした”元慰安婦”ら約80人の生活や証言を記録してきたドキュメンタリストの班忠義は、この夏、その記録フィルムを一本のドキュメンタリー映画に仕上げた。「太陽がほしい」というタイトルは、その中に出てくる”元慰安婦”の一人、劉面換が、真っ暗なヤオトンに監禁され強姦される日々を回想し、「外に出たかった、太陽の光がほしかった」と訴えた言葉から引いている。
山西省の”慰安婦”の存在について、班忠義はドキュメンタリー映画「ガイサンシー(蓋山西=山西一の美人)とその姉妹たち」(2007年)を発表しているが、その最初の取材が始まった1995年から2015年まで何度も現地に足を運び、日本で寄付金を募り、その資金で貧困や性暴力の後遺症に苦しむ”元慰安婦”たちを病院に連れていくなどの支援活動の傍ら、記録を撮り続けていた。
劉面換は2012年4月12日に病で亡くなった。最初に日本軍による性暴力を告発した万愛花も2013年9月5日に83歳で死亡。彼女は山西省盂県羊泉村に童養媳(農村の幼嫁)として売られ、11歳で共産党に入党、抗日戦線に身を投じ15歳で少女幹部になった革命少女だった。1943年に三回日本軍に捕まり、強姦と拷問を経験したという。班忠義が取材した80人の”元慰安婦”たちは、10人ほどを残して、もうほとんどこの世にいない。
戦争、日本軍、中国政府、中国人
厳密にいえば、張先兎、万愛花、劉面換らを”慰安婦”というのは違う。山西省から国民党軍が撤退したのち、日本軍が村々に駐屯すると、兵士たちは女性を”現地調達”した。それは軍令違反であるが、混乱の戦時下、誰がそれを気に留めよう。比較的裕福な家の娘が狙われたという。トーチカがしばしば”強姦所”となった。村人も村の一時的平和とわが身の安全を守るために、彼女らの監禁に手を貸した。
中国人慰安婦もいた。「太陽がほしい」には、元慰安婦・遠竹林が登場している。15歳で結婚し出産するも、夫は日中戦争の混乱期に失踪。幼子と老父の生活のために「旅館の雑務の仕事」を引き受けるが、行ってみると慰安所であった。彼女を騙したのは同じ中国人女性である。彼女は監禁状態で、まさこという”日本名”で体を売らされ、その間に幼い娘と老父は餓死してしまう。望まぬ妊娠をし、堕胎薬の副作用で一生子供の産めない体にもなった。
その後、とある戦場から逃亡した日本人兵士と相愛になり、慰安所を脱出することに成功するが、終戦とともに兵士は帰国し、彼女は「敵と寝た女」というレッテルを張られて戦後、差別と迫害に苦しめられ続けた。映画の中で、彼女は中国政府への恨みを何度も口にしていた。彼女の人生を狂わせたのは戦争であり、日本軍だが、戦後になっても彼女を苦しめ続けたのは中国政府であり同胞であるはずの中国人であった。袁竹林は、PTSDに苦しめ続けられながら、2006年に脳溢血で亡くなった。
こうした”慰安婦”たちに旧日本軍や日本政府が公式に関与していたかというと、これは異論がある人もあるだろうし、実際に慰安所を運営していたのは傀儡政権下の中国人商人であろう。だが、そこに旧日本軍に道義的な責任がなかったわけではない。そう考えると、”慰安婦”ら戦時性暴力被害者に日本人として無関心ではいられはしない。
ただそれは個人としての、人間としての心情であり、外交問題となるとまた様相が変わって来る。外交上は、日本の”戦争犯罪”は国際軍事法廷で裁かれ、その責任を負った戦犯約1000人が死刑判決(後日の減刑を含む)を受けた。戦後賠償問題も各国との間で交わされた条約・協定で国際法規上、決着している。中国への戦時賠償は日中共同声明で、中国側から放棄すると言明している。
タブーから、煙のない戦争のカードへ
それを今なお、歴史認識問題として蒸し返され、謝罪要求が繰り返されているのは、この歴史が外交カードとして利用されているからに他ならない。戦争は外交の一種の手法(禁じ手ではあるが)だが、外交もまた煙のない戦争だ。いずれも戦いであり、負ければ国益を損ない、国民が貧困や社会不安に陥る。相手国が明らかに政治として慰安婦問題を持ち出してくるのならば、こちらも政治として対処するほかない。
そもそも、中国において慰安婦問題は90年代、タブーであった。
「太陽がほしい」の中で中国民間対日賠償請求連合会会長の童増がそう語っている。「92年、二つのタブーがあった。慰安婦問題と三峡ダム問題だ」。
戦後、中国は”元慰安婦”の存在を無視し、彼女たちも、同じ中国人からの差別と迫害の対象になることに耐えられず、ひっそりと息を潜めていた。そういう時勢の中で、山西省の農村小学校教師の張双兵は1982年に蓋山西と呼ばれる伝説的元慰安婦・侯冬娥と知り合い、元慰安婦支援活動と調査を開始した。92年に万愛花に日本政府へ損害賠償請求訴訟を行うよう勧め、支援したのも彼だ。山西の農村の一介の教師であった張双兵は、地元紙で対日戦時損害賠償請求を訴える童増の署名記事を見て、連絡を取り、”元慰安婦”の対日賠償訴訟が実現に向かうのだった。
だが、この時、中国政府はこの民間の動きを弾圧した。天安門事件の学生鎮圧で国際社会が中国の敵となったとき、経済制裁をいち早く解除し苦境にあった中国に手を差し伸べてくれた日本との関係を損なってはならないという政治的理由からである。”元慰安婦”支援活動に関わったことで童増も張双兵も公職を失った。この中国政府が抑え込もうとした”元慰安婦”の賠償訴訟を支援したのは、日本の民間人だった。日本の人権派弁護士、研究者、フェミニストらが現地に赴き、戦時性暴力被害の聞き取り調査を行い、提訴に必要なだけの資料・証言を揃え、民間からの寄付によって彼女らを東京に招いて証言させた。
最終的に敗訴で終わったが、日本の最高裁で、彼女らが受けた性暴力の実態は事実と認められたことは、長らくその存在すら抹殺され、その苦しみを口にすることすら許されなかった彼女らの環境を大きく変えた。
今の中国は”慰安婦問題”を韓国と共闘で日本を牽制する外交カードとして積極的に利用するようになっている。日本が良心の呵責も感じないでいる非道な国家だというイメージを国際的に喧伝し、日本の発言力、影響力を削ごうということだ。
中国政府にとってのパンドラの箱
”元慰安婦”たちに、日本政府は謝罪をしていない、謝罪が欲しい、と訴えさせているが、日本は村山富市内閣の時、日本国民から集めた「償い金」と首相の「おわびの手紙」を世界の元慰安婦に届けた。中国の”元慰安婦”たちに、この金と手紙が届けられなかったのは、中国政府が「元慰安婦」の存在を認定せず、断ったからだ。
なぜか。班忠義は「金さえ出せばよいという日本政府の上から目線が気に入らなかった」と説明するが、私が日中関係者から私的雑談の場で聞いた話では、「そんなものを受け取るとパンドラの箱を開けることになる」という趣旨の言葉を聞いた。
戦時性暴力の加害者は旧日本軍だけではない。国民党軍も慰安所は利用しており、兵士が村々で暴力的に軍糧や女性を調達した。共産党軍内にも性暴力はあり、誰も公言は出来ないが、党のため、革命のためという理由で、性をささげることを強要された女性同志も少なくなかった。それは一見、女性たちの自発的奉仕に見えて、その実、性搾取である。旧日本軍から性暴力を受けた女性だけに償い金があると、収拾がつかなくなると考えたのかもしれない。いずれにしろ、それは中国の政治判断であった。
日中共同宣言で中国は戦時賠償を放棄したが、その暗黙の代償として日本は巨額の対中ODAを続けて来た。それが中国の経済発展に貢献したのなら、それで豊かになった中国は、国家として自国の戦時性暴力被害者を救済すべきであった。中国が政治判断で彼女らへの賠償金ではなく、日本からの開発援助を選んだのなら、中国にも彼女らの救済の義務が生じるだろう。だが、中国はそれをしない。
傷つけられた女性たちの心に寄り添う
班忠義は言う。「中国政府と民間は断絶している。この映画も、中国ではこのまま上映できない。元慰安婦支援の活動も今は政府が認めても、大きな市民運動になれば圧力をかけてくるだろう。…日本人と協力して日本政府に賠償と謝罪を要求する方が(結果を)期待できる」
戦争という外交に痛めつけられ、外交と言う戦争に翻弄され続けている女性たちの苦しみを思うと胸が張り裂けそうになる。もし、彼女らを前にして、その心を少しでも慰めることができるのなら100万回でも「対不起(私が悪かった)」と言いたい。それは一国の首相でも私人としての感情ならば同じだろう。だが、そうしても、おそらく外交として、政治としてこの問題が利用されている限り、誰も救われはしない。謝罪すれば、口先だけだといわれ、さらなる要求が重ねられる。政治である以上、駆け引きであり、下手な妥協はできないのだ。だから、政治と無縁の個人として、張先兎はじめ亡くなった女性たちとその家族に哀悼をささげ、”慰安婦問題”を振り返りたい。
8月の安倍内閣が発表した歴史談話の中の一節「私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい」という思いは、政治家であれ民間人であれ、ほとんどの日本人の嘘偽りのない本心であることを繰り返したい。


