11/19産経ニュース 石平『中国の目先の利益に乗るな』について

石平氏が「合従連衡」の故事を引いて、ASEANの団結を訴えています。南シナ海を中国の内海にしないためにはASEANの合従策が大切で、中国の各個撃破策である連衡策には乗るなという事です。中国は経済支援をすることにより、各国が「目先の利益」に走ることを狙っています。将来を見渡せば、中国の属国・隷従の道となるのが見えてくるでしょう。今の利益で、将来は搾取・人権弾圧・民族浄化が行われることは、今の中国人民、チベット・ウイグル・モンゴルを見れば分かることです。

ASEANでは中国の情報が少ないのかもしれません。日本が正しい情報を与えて、各国が正しい判断をするようにすれば良いと思います。ベトナムやフィリピンだけでなく、他の国も中国の侵略・膨張主義に反対していかないと。東南アジアが中国の最初の橋頭保にならないことが、明るい世界が築けるかどうかの分岐点となります。どの企業でも営業拠点を一個・一個作っていこうとするでしょう。国も同じで自分の陣地を一個・一個作っていこうとします。日本も他国のことと思っていると、中国がここを制圧したら、次に東シナ海に出て来ることは必定です。一国平和主義というのは中国を有利にさせるだけです。如何に日本のメデイア・大学・民主・共産は腐っているかです。同盟・準同盟で中国の拡張主義を抑止しないと。日米・豪・印・露+ASEANで中国包囲網を完成しなければ。

記事

今月に入って中国は、アジア太平洋地域において一連の慌ただしい近隣外交を展開してきた。

1日、韓国のソウルで李克強首相は3年半ぶりの日中韓首脳会談に参加し、日本の安倍晋三首相との初の公式首脳会談を行った。5日には、今度は習近平国家主席が就任後初めてベトナムを訪問し「関係の改善」を図った。

10日、王毅外相はマニラを訪れてフィリピンの大統領、外相と相次いで会談した。

この一連の外交活動の対象となった3カ国が抱えている共通問題といえば、やはり南シナ海だ。

同海での中国の拡張戦略に対し、当事者として激しく反発しているのはベトナムとフィリピンの両国である。一方の日本もまた、自国のシーレーンとなる南シナ海の「航海の自由」を守るべく、中国の戦略に強く反対する立場を取っている。

こうした中で中国がこの3カ国に急接近してきた意図がはっきりと見えてくる。

10月末の米海軍による南シナ海哨戒活動の展開によって米中対立が一気に高まった中、中国政府は南シナ海問題の当事者諸国との緊張を緩和させることによって、中国批判を強める米国を牽制(けんせい)するつもりであろう。当事者同士が話し合いで問題解決に向かうのなら「部外者」のアメリカは口出しが難しくなる計算である。

さらにAPECの前に、関係諸国を取り込んだ上でアメリカの攻勢を封じ込めておくのが一連の中国外交の狙いだったろう。

要するに、アメリカを中心とした「有志連合」が中国の拡張戦略に立ち向かおうとするとき、「有志連合」の参加国と個別に関係改善を図ることによって「連合」の無力化を図る策略なのだ。

それは中国で古来使われてきた伝統的得意技である。

中国では紀元前8世紀から同3世紀まで戦国という時代があった。秦国をはじめとする「戦国七雄」の7カ国が国の存亡をかけて戦った時代だったが、7カ国の中で一番問題となったのが軍事強国で侵略国家の秦であった。

いかにして秦国の拡張戦略を食い止めるかは当然他の6カ国の共通した関心事であったが、その際、対策として採用されたのが、6カ国が連合して「秦国包囲網」を作るという「合従策」である。

6カ国が一致団結して「合従」を固めておけば、秦国の勢いが大きくそがれることになるが、一方の秦国が6カ国の「合従」を破るために進めたのが「連衡策」である。6カ国の一部の国々と個別的に良い関係をつくることによって「合従連衡」を離反させ、各個撃破する戦略だ。

この策で秦国は敵対する国々を次から次へと滅ぼしていったが、最終的には当然、秦国との「連衡」に応じたはずの「友好国」をも容赦なく滅ぼしてしまった。秦国の連衡策は完全な勝利を収めたわけである。

それから二千数百年がたった今、アジア太平洋地域もまさに「戦国時代」さながらの様相を呈している。中国の拡張戦略を封じ込めるために米国や日本を中心にした現代版の「合従連衡」が出来上がりつつある一方、それに対し、中国の方はかつての秦国の「連衡策」に学ぶべく、「対中国合従連衡」の諸参加国を個別的に取り込もうとする戦略に打って出たのである。

その際、日本もベトナムもフィリピンも、目先の「経済利益」に惑わされて中国の策に簡単に乗ってしまってはダメだ。あるいは、中国と良い関係さえ作っておけば自分たちの国だけが安泰であるとの幻想を抱いてもいけない。

秦国によって滅ぼされた戦国6カ国の悲惨な運命は、まさにアジア諸国にとっての「前車の轍(てつ)」となるのではないか

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