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12/16日経ビジネスオンライン 福島香織『盗みは人のためならず 中国庶民的泥棒「予防心得」十箇条』について
一昨日のNHKの7時のニュースで明年1月の台湾総統選についての報道があり、直近の世論調査によれば台湾人意識を持つ人は6割、中国人と思う人は3%という事でした。残りの人についての言及がなかったので、「中国人&台湾人」、「中国人でも台湾人でもない」「分からない」という選択肢があったのかどうか?でも純粋に中国人と思っている人が3%とすると、馬総統のように中国に擦り寄る政策は採れないでしょう。国民党の衰退の始まりです。もし、後々国民党が政権をとったら台湾も米国同様、総統弾劾制度を活用すれば良いと思います。
しかしNHKを始めとする日本のメデイアは狂っています。南三陸町病院の再建で台湾が総工費の4割近くを寄付して下さったのに何も触れないとは。多数の日本国民は知らないでしょうね。
日経夕刊に宮本雄二元中国大使の記事が載っていますが、彼は福島氏のような実態を知らず、綺麗ごとだけ書いているとしか思えません。読者をミスリードするのでは。エリートと言われる人間の弱さでしょう。一番大きく騙されているタイプです。12/15記事を下記に記しますので、福島氏の記事と比べて見て下さい。騙される方が馬鹿の典型と思えます。「中国の友人が崇拝してやまない西郷隆盛の言葉も「敬天愛人」である。」と書いて中国人の多数がそうと思わせる刷り込みをしている気がします。勿論友人という限定詞ではありますが。ただ友人と言えば相手もそれなりのエリートでしょう。中国で上へ行くには血脈と人脈と詐術が必要です。その友人はこの記事を読んでほくそ笑んでいるかもしれません。
「性善説と性悪説 元駐中国大使 宮本雄二
小林陽太郎氏が亡くなられた。氏の人となりにかねがね敬意をいだいていた私は、その評伝に付された「『性善説』の経営者」というサブタイトルに納得した。人に対する信頼と期待を持ち続けた方だと感じていたからだ。最近、岡崎嘉平太氏のことを少し学ぶ機会があった。氏の言説には、公平なまなざしと相手に対する深い思いやりを感じた。その評伝のサブタイトルも「信はたていと 愛はよこ糸」であった。中国の友人が崇拝してやまない西郷隆盛の言葉も「敬天愛人」である。やはり人に対する慈しみに貫かれている性善説の世界なのだ。人間社会の現実は、醜くて汚い。しかし、それにもかかわらず人に対する信頼を持ち続けた、こういう先達たちの存在は、一服の清涼剤であり、希望を与えてくれる。
だが性悪説が古くから多くの人たちに支持されてきたのも事実である。確かに人間はそういう側面を持つ。だから会計法規や安全保障の考え方は、人は悪いことをするという前提に立ち、それを予防するというものになる。ところが、人間に対する悲観的な見方ばかりが跋扈(ばっこ)したのでは、人類の未来は暗い。人間の悪い面を抑えこむことには成功するかもしれないが、良い面を引き出すことはできないからだ。つまり楽観的な未来を思い描くことは不可能となり、進歩への憧憬も消えてしまう。これでは困る。
考えて見ればこの世に絶対的な悪人も絶対的な善人も普通はいない。一人の人間が両面を持ち合わせている。結局、人間社会をどう見るかの問題となる。先達にとり性善説かどうかは、つまるところ自分の生きざまの問題だったのではないだろうか。私自身迷いながら、そう思う、昨今である。」
何時も言ってますように、中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される人が賢い」というのを福島氏の記事は裏付けます。愚かな日本人は人種差別とか言って騒ぎますが、実態を見ないで判断することこそ危険です。自分の目で確かめもせず、理念だけで偉そうに他人を批判する資格はありません。少なくとも今の時代、大手メデイアだけでなくネットで玉石混交ですがいろんな情報が取れますので。福島氏と宮本氏の記事を比較して読めばどちらが真実に近いかは一目瞭然でしょう。
記事
師走、北京に来てみると、ずいぶん治安が悪くなっていた。私の周辺で、かっぱらいやコソ泥に遭った人が続出している。昔から中国は小偸(コソ泥)が多かったが、それでも首都の北京は比較的安心して夜道を歩くことができた。だが、最近は北京も安心ではない、という。経済状況が9月ごろから肌身に感じるように悪化し、年末が近くなったからだ。
「歩きiPhone」「地下鉄X線検査」は要注意
毎年、年末や春節前になると泥棒、強盗、空き巣、かっぱらいは増えるのだが、今年は本当に景気が悪いものだから、特に増えているとも聞く。iPhone6を耳に当てながら歩くなど、もってのほか。車道を走る車の窓から手を伸ばして、iPhoneをひったくられた、という知人もいた。
あと気を付けるべきは、地下鉄のX線検査だという。北京市の地下鉄では、テロ予防を理由に、地下鉄での持ち物検査が厳しい。またPM2.5がひどいので、自動車のナンバープレート制限や高速道路封鎖などの影響もあって、地下鉄が混雑しやすい。X線検査のベルトコンベヤーに荷物を置いて、出口に回って取り上げようとすると、荷物が出てこない。後ろに並んでいた男がその荷物をかっさらって、混雑に紛れて逃げてしまっていた、といった被害に遭った人もいた。
ちなみに、泥棒被害は、警察もあまり相手にしない。例えばかっぱらいに遭って、地元の派出所の警察官に、「カバンの中に1万元入っていた」と被害を訴えても、たぶん取り合ってくれない。その1万元はどこから来たのか、何か証明ができるものがないと、被害届すら受け付けてくれない。それどころか、なぜおまえのような貧乏人が1万元も持っている、と逆訊問にあって、面倒なことになることもあるとか。だから、代わりに民間の”探偵”や”調査事務所”、”セキュリティ会社”のようなものに頼むのだが、こういう人たちはむしろマフィアとつるんでいたりするので、やることがなかなか暴力的であったりする。
では、そういう中国で泥棒犯罪を予防するにはどうすればよいか。そう問われたとき、私は『盗みは人のためならず』という小説を読むといいと勧めている。赤川次郎のミステリ本のことではない。中国当代きってのユーモア小説家・劉震雲の人気小説「我叫劉躍進」(俺は劉躍進)の邦訳が最近、友人の水野衛子さんの訳で彩流社から刊行され、その邦題が『盗みは人のためならず』なのである。この本を読めば、中国人の泥棒の生態、人を騙すときの情理が分かる。今回の当欄は、ちょっと書評風となる。
劉躍進とは、主人公の名前だが、毛沢東の「大躍進」があった1950年末から60年代初めに生まれた中国人に非常にありふれた名前であり、中国庶民を代表する名前と言っていい。日本風にいえば団塊の世代か。作者の劉震雲は1958年生まれ、まさしく大躍進時代生まれのこの世代を代表する作家で、実際、親族に同じ名前の人物がいるという。
こずるいようで、どこか抜けている庶民の情理
原作は2007年に中国で出版され瞬く間にベストセラーとなりドラマ化、映画化された。なぜ大ヒットしたかというと、この小説こそ、中国人と中国社会というものが描けていると読者が思ったからだろう。
簡単にあらすじをいえば、中国人の典型である、こずるいようで、どこか抜けている善良な河南省出身の工事現場のコック、庶民・劉躍進がうっかり大金と大事な借用書が入ったウェストポーチを小偸・楊志に盗まれる。楊志はそのあと、甘粛省の美人局グループに騙されて、劉躍進のウェストポーチを奪われる。楊志は奪った美人局グループの行方を負うのだが、訳あって、その過程で汚職高官の賄賂受け渡しと性接待の証拠画像が入っているUSBの入ったカバンを盗んでしまう。だが逃亡途中でそれを捨て、劉躍進が偶然拾う。このUSBを高官や賄賂を贈った実業家たちが取り戻そうと、泥棒組織、民間の調査員、警察を巻き込んでドタバタ喜劇が展開される。
登場人物たちはほぼ全員、嘘つきで、自分勝手で、浅はかで、あるいは泥棒で、あるいは汚職官僚や悪徳実業家だ。借金は踏み倒すのが普通だし、厳しい取り立てに遭えば、嘘をつくし、経費をちょろまかす。だが彼らが悪人かというとそうではない。プロの泥棒たちにとっては、泥棒は立派な職業であり、縄張りがあり、秩序がある。嘘をつくのは悪意ではなく、見栄や調子に乗ってうっかりついてしまったり、つかざるを得ない事情がある。中国の低層社会をそれなりに知っていると、これこそ普通の中国人、と思うだろう。
日本人が「中国人は嘘つきだ」「中国人は泥棒だ」というと「ヘイト表現」と批判されるかもしれないが、中国人自身が、中国の低層社会において、嘘つきであることも、泥棒であることも、それなりの理屈があり、それなりの正当性を持つ行為であり、一種の生態であることを理解している。数千元の金のために嘘をつき、泥棒をし、時に暴力を振るう下層社会のプロ泥棒たちも庶民も、そう悪く見えないのは、巨額の賄賂をやり取りし、それをもみ消すために、交通事故を装って殺人を犯す高級官僚の世界が平行してあるからだ。だが、コックの主人公が食材費をちょろまかして小銭を貯める行為も、高級官僚がその地位を利用して行う汚職も実は同じ情理で行われていることも、この小説は描き出している。
冒頭のテーマに戻るが、中国に来て、泥棒など小さな犯罪トラブルに巻き込まれないようにするための心得事として、低層社会の中国人の生態をよく理解しておくことが重要だろう。この小説の中からいくつかくみ取ってみよう。
劉震雲作品に学ぶ中国防犯十箇条
①路上で出会う「清純そうな女性」の売春はたいてい組織的美人局(強盗)である。本当に清純な女性は売春しない。
②泥棒には出身地別の集団や縄張り、特性がある。泥棒に盗まれたものは警察に届けても返ってくる可能性はほぼゼロだが、泥棒の行方や住処などは、その地域の集団の人脈を熟知している地元の調査会社ならば、たどり着くことがある。
③借金はよほどうまく取り立てないと返してもらえない。強引に取り立てると、逆切れされることもある。だが、催促しないと決して返ってこない。
④夫婦の間でも親子の間でも騙し合いやスパイ行為、裏切り行為がある。愛や信頼は金銭によって維持される。
⑤民間の調査会社調査員の中に警官が混じっていることがある。潜入捜査は普通にある。
⑥中国では人脈が大事だが、その人脈の維持には金と暴力が必要なことも多い。
⑦物事を順序立てて説明するのが苦手な人は、激高したり、その果てに失神したりすることが割とある。
⑧泥棒でも不倫でも被害者は同情されるより馬鹿にされる。騙される方が悪い。
⑨従業員の経費などの”中抜き”は、ずるいのではなく要領がいいということであり役得である。同じ理屈で官僚になると賄賂を受け取る。
⑩どんな善良な人間も、相手にスキがあったりチャンスに恵まれると、泥棒になることもあるし、ゆすりたかりを行うこともある。そして嘘をつくことは悪いことでもなんでもない。
以上のことは私自身が北京駐在時代にいろいろ経験したことと合致している。例えば、信頼していたビジネスパートナーから、出張中に会社を奪われた実業家が、泥棒・マフィアネットワークを使って相手を見つけ出し、警察ではらちが明かないと、部下に拉致監禁暴行させて盗まれた会社を取り返そうとしたところ、相手側の政治的なバックがより強大だったため、結局、拉致監禁傷害罪で刑務所に入ったケースを取材したことがある。
本人に言わせれば、泥棒という犯罪者は相手で、自分は冤罪逮捕起訴された善良な市民だ。だが、彼はやはり、盗まれたものを取り返すために、その解決を警察に頼らず、暴力と金に頼ったのだ。日本なら彼は立派な犯罪者だが、中国ではそんなことはありがちであり、彼こそ普通の中国人であり、彼の逮捕は”災難”だ。
「本当に悪い奴ら」はもっと「上の方」に
小説の結末は、タイトル通り、盗みは人のためならず、己のためにやるのだが、その報いもまた自分に返ってくる。だが、盗みをやらざるを得ない庶民の事情がある。フェアな司法ではなく、金と権力を持つ者が支配する社会で庶民はなけなしの知恵と人脈を使ってこずるく生き抜こうとした結果として、嘘をついたり、泥棒をしたり、ゆすりや詐欺を働いたりする。それがなぜ悪いのか。中国では嘘つきも泥棒もむしろ善良な市民の部類に入る。本当に悪い奴らはもっと、上の方にいて、小説の結末とは違って、なかなか成敗されないのだ。
日本人がもし、中国に旅行や仕事に来るならば、まず、中国の低層社会で嘘や泥棒はさほど悪ではなく、被害に遭う方が脇が甘いと馬鹿にされるのだということは知っておくべきだろう。かばんの蓋をあけて財布やスマートフォンが見える状況で電車やバスに乗らないとか、見知らぬ美人が親し気に話しかけてきたら警戒するとか、そういう基本的な点は当然押さえてほしい。で、もし親しいと思っていた中国人に騙されたり嘘をつかれたら、中国社会のいびつさを思い描いて、なるほどこんな社会で生き抜くには、少々人も悪くなければ難しいだろう、と考えることだ。世界で、性善説で人と付き合うのは日本人ぐらいなのだ。
12/9JBプレス 古森義久『少しずつよい方向へ動き出した慰安婦問題 日本にとって事態が好転、その5つの根拠とは』について
「慰安婦問題で日韓局長会議を続けているが、朴大統領の要求した年内決着は無理」と言うのが12/16日経に載っていました。当たり前です。強制連行何て事実とも異なり、日韓基本条約で解決済の問題をグダグダ討議する方が余程おかしいです。日本の外交も椅子を蹴って退席してくるくらいの交渉をしなければダメでしょう。いつまでも甘やかすからつけあがるのです。ましてや相手が幻想・妄想で生きている民族となれば猶更でしょう。現実を見さしてやらねば。スマホ部材の輸出を止めれば韓国は一発で干上がります。日本の外務省は武器なし(というか戦う材料も探さない無能集団)で戦っているようなものでしょう。加藤産経ソウル支局長の裁判、靖国爆破事件の出国時検査の甘さ等突っ込みどころは一杯あるでしょう。テロ支援国家と国際世論に訴えるのが良いでしょうが、鼠男が国連事務総長をやっていて、ネポテイズムの塊の男なので期待できません。返す返すも日本の政治家はバカが多く残念という気がします。事務総長選の時に日本も推薦したのですから。翻ってそういう政治家を選んだ国民が悪いことになります。
古森氏の言われるように慰安婦問題について政府が褌を締めてかからないと、軍艦島の強制徴用の問題のように足元を掬われます。無能の外務省がネゴするのでとてつもなく心配です。今回の件も結局、政府が米国を動かしたというよりは民間が動かしたという事です。小生も目良浩一氏の訴訟にいくばくかの寄付をしております。本来、官房機密費はこういう時のために使うものでしょう。いくつかのフィルターを通して出所が分からないようにすれば良い。世界ではどこでもやっているでしょう。こういう所に役人の地頭(じあたま)の良さが問われるのに。
記事
慰安婦問題はいまどうなっているのか――。
11月の日韓首脳会談で「日韓関係改善の最大の障害物」とされた慰安婦問題はその後、どうなったのか。この問題の背後で重要な役割を果たしてきた米国はどのように認識しているのか。私がふだん駐在する米国の首都ワシントンから見る限り、きわめて少しずつではあるが、慰安婦問題は日本側にとって有利な方向へ動き出している。
以下では、事態が好転していることの根拠を5点ほど報告したい。
歴史学者たちの抗議声明に反論
第1は、米国歴史学会(AHA)の機関誌『歴史展望』(Perspective on History)12月号に日本側の学者50人の反論が掲載されたことである。
『歴史展望』は今年3月号に、米国の歴史学者20人による「日本の歴史家に連帯して」と題する日本外務省への抗議声明を掲載していた。その抗議声明に対する反論である。
米国側の歴史学者を主導したのは、慰安婦問題で長年日本を糾弾してきたことで知られるコネティカット大学のアレクシス・ダデン教授だった。ダデン教授らは、米マグロウヒル社の高校教科書の慰安婦記述の間違いを正そうとした日本外務省を非難していた。
その教科書には、慰安婦について「日本軍が強制連行」とか「20万人の性的奴隷」「天皇からの贈り物」などという根拠のない記述があった。日本外務省は当然のことながら、マグロウヒル社に訂正を求めた。だが、ダデン教授らは「米国の教科書の内容への日本政府の不当な干渉であり、検閲だ」と抗議したのである。
それに対して日本側では、大阪市立大学の山下英次名誉教授や東京大学の小堀桂一郎名誉教授ら50人の学者がダデン教授らの主張を正面から否定する声明を『歴史展望』に送り、掲載を求めていた。『歴史展望』には当初その掲載を渋る様子もあった。だが、12月3日発行の最新号にようやく掲載した。反論の内容は「米国の歴史家は日本政府に対する抗議声明を出すよりも、米国の歴史教科書の内容の妥当性について、全面的な検討作業を開始するよう米国内で働きかけ、自分たちもその方向で行動すべきだ」という骨子だった。
日本側の歴史学者たちが慰安婦問題について連名で反論を投稿し、米国の紙誌に堂々と掲載されたことはこれまで前例がない。米側の歴史学者全般にその反論が幅広く行き届くことが期待される。
韓国人学者の起訴に日米の学者が抗議
第2は、韓国当局が慰安婦問題の書『帝国の慰安婦』の著者、世宗大学・朴裕河教授を名誉毀損罪で起訴したことに対して、米国や日本の学者54人が抗議声明を発表したことである。
11月26日に公表されたこの抗議声明には、日本の大江健三郎氏、上野千鶴子氏らのほか慰安婦問題に関する日本政府の主張に反対してきたハーバード大学のアンドリュー・ゴードン教授やジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキ教授も名を連ねた。
『帝国の慰安婦』は慰安婦問題に関して日本政府を非難しながらも、「日本軍と慰安婦たちは同志的な関係にあった」などと書き、日本軍の強制連行も朝鮮半島においてはなかったという立場を示していた。韓国政府は、その内容が韓国側の当事者らの名誉を傷つけたなどとして刑事訴追の措置をとった。
年来の日本糾弾の急先鋒のダデン教授らは、韓国政府を非難する声明には加わっていない。だが、「日本軍による集団連行はなかった」という立場をとる韓国人学者を擁護する声明が米国で出てきたことは、慰安問題についての米国側の事実認識にヒビが入ってきたことを意味するといえる。
日本糾弾の主張から消えた「強制連行」という言葉
第3は、朝日新聞の大誤報訂正に象徴される慰安婦問題の虚構部分が、米国の専門家たちにボディブローのように伝わり始めたことである。
米国の“左翼系”歴史学者たちは長年「日本軍が組織的に約20万人の女性を強制連行し、性的奴隷にしたことが慰安婦問題の核心だ」と主張してきた。「慰安婦」というのは、日本の軍隊が政策として一般女性を強制的に徴募して自国将兵たちのための売春行為を強要した国家的犯罪だと断じていたのだ。
だが、その「国家犯罪」部分の主張が、朝日新聞の記事撤回や、秦郁彦氏ら日本の歴史学者たちの事実提示により虚構だと証明された。「日本軍による強制連行」も「20万人」も「性的奴隷」も証拠がないことが明らかになった。
そのように事実が明らかになることで、米国の学者たちは主張を変えていかざるをえなくなった。長年、日本叩きの先頭に立ってきた前述のダデン教授でさえも、最近では「強制連行」などの虚構キーワードを使わなくなった。その代わりに「女性の人権弾圧」「女性たち本人の意思に反した」「日本軍の関与」といった表現を使うようになった。日本叩きの主張が後退しているのである。
ダデン教授が音頭をとって米国、欧州、日本などの学者、活動家の総計500人ほどの署名を集めた安倍政権への圧力文書にも、「強制連行」という言葉は出てこなかった。
米国の裁判や国連で日本側が正面から反論
第4は、米国や国連の第一線で慰安婦の真実を知らせる日本側の努力が少しずつ米国の国民や国際社会へ伝わり始めたことである。
全米で最初に慰安婦像が建てられたカリフォルニア州のグレンデール市では、地元在住の日本人、目良浩一氏らにより同市に対する抗議の訴訟が起こされた。訴訟は昨年から今年にかけて連邦裁判所と州裁判所に相次いで出された。いずれも原告側に不利な裁決が出たものの、日本側の主張は米国のメディアでも報じられ幅広く知られることとなった。米国ではそれまで、公式の場で日本側が慰安婦問題について正面から反論することはまったくなかったのだ。
2015年7月には、国連の女子差別撤廃委員会の準備会合で、慰安婦問題の虚構を正す日本女性の団体「なでしこアクション」の山本優美子代表らが「慰安婦問題は強制連行の事実はなく、反日の政治宣伝に使われている」と報告した。国連の場で日本側がこれほど明確に事実を報告した前例はない。同撤廃委員会の委員長らは「慰安婦問題で異なった主張があることを初めて知った」と述べていたという。
また、日本国内で2015年10月から口頭弁論が初めて開かれた朝日新聞に対する集団訴訟では、従来の「日本軍による強制連行20万人」という虚構を打破するために在米の日本人100人近くが原告に加わっている。
オバマ政権が韓国に日本との関係改善を要望
第5は、日本糾弾を執拗に繰り返す韓国にオバマ政権が批判的な姿勢を示し始めたことである。
これまで朴大統領は安倍首相との日韓首脳会談開催の前提として「日本がまず慰安婦問題で誠意ある措置をとる」という条件を突きつけていた。そのことに対して今年春頃から、オバマ政権のウェンディ・シャーマン国務次官らが「日韓両国間の安全保障協力を優先すべきだ」という意向を伝え始めた。
オバマ政権はそれ以前は、慰安婦問題などの歴史認識について日本よりも韓国側の主張に同調する傾向が見られた。だが、それが少しずつ変わってきた。
その背景には、中国の南シナ海などでの軍事攻勢や理不尽な行動がある。穏健な対中国政策を続けてきたオバマ政権も、ついに対中姿勢を硬化させるようになった。そうなると、東アジアの同盟国である日本および韓国との安全保障面での協力強化が必要となる。日韓両国があまりに距離を置いたままという状況では困るのだ。
このため、今年に入ってオバマ政権は韓国政府に対して、慰安婦問題などの歴史案件にこだわることなく日本との関係改善に着手することを促すようになった。その新政策を朴大統領に通知する最初の使者がシャーマン次官だったというわけだ。
オバマ政権のこの優先順位の修正に対して、韓国のメディアは激しく反発した。明らかに韓国政府の意向を受けての抗議である。だが韓国政府にとって、自国の安全を保障する米国の意向は大きい。結果的に朴大統領は年来の前提条件を引っ込めて、安倍首相との会談に臨むことになった。この点も、慰安婦問題を好転させる大きな潮流の変化だといえよう。
事態を逆戻りさせてはいけない
以上のように、慰安婦問題に関して日本にとって有利に見える要因が拡大しているが、米国ではその後も各地で慰安婦の像や碑を建てる動きが続いている。慰安婦像の設置や日本の「残虐行為」を示す博物館などの開設には、韓国系だけでなく、むしろ中国系の「世界抗日戦争史実維護連合会」がより大きな役割を果たすようになった。中国政府と直結した在米中国系組織である。
米国の歴史学者たちの多くも、朝日新聞の誤報訂正や秦郁彦氏らの指摘を無視するような態度は変えていない。国連でも、虚偽の「クマラスワミ報告」が修正されたり撤回されるという気配はまだない。
しかし、それでも、米国の学者や中韓両国政府からの「日本軍による強制連行20万人」という虚構の糾弾になんの反論もしなかった数年前までの状況が大きく変化してきたことは間違いない。
前述したように、今や「強制連行20万」という非難を正面から叫ぶ声はほぼ皆無となった。その代わりに論点をシフトさせた日本非難が述べられるようになった。日本糾弾のこうした質的変質の意味は決して小さくない。攻守が入れ替わったといっても過言ではない。だからこそ今後も日本の官民が一体となって、強制連行などなかったことを主張し続けることが重要である。
その点で危険なのは、今後の日本政府の韓国に対する対応だろう。慰安婦問題の核心部分について、これまでの外務省のように相手の虚構を決して突かず、「慰安婦問題は解決済み」との主張だけで事態収拾を図ろうとすれば、事態は逆戻りしかねない。そんな危険な陥穽が大きな口を開けているのである。
【訂正】米国『歴史展望』誌に反論を掲載した日本側の学者の名前に一部誤りがあり修正しました。(2015年12月9日)
12/10日経ビジネスオンライン 鈴置高史『核武装して“奴隷根性”を捨てよう 親米派も「今度こそ、米国の脅しは聞かない」』について
朝鮮半島人は被害妄想と誇大妄想とを併せ持った民族でしょう。まあ、ウリジナルを主張しない北の方が南よりマシかも知れません。「事大主義」もそこから出て来るのでしょう。魯迅の阿Qみたいなものでしょう。すぐに他人を羨みますが、自分の心の中でそれらを侮蔑することによってしか心の安寧を得られないタイプです。哀れと言えば哀れですが、韓国は中国同様「息を吐くように嘘をつく」民族だから、世界に悪を為している国と思った方が良い。
「核武装は韓国人の奴隷根性と事大主義を克服する」とか言っていますが、彼らにそんな技術があるのかどうか?自前で衛星を打ち上げられず、原発部品は偽物仕様、兵器はすぐ壊れる等、枚挙に暇はありません。開発中に爆発でも起こしたら、放射能が偏西風に乗って日本にやって来ます。
極悪な連中に取り囲まれている日本こそが核武装しなければならないと思っています。「国と国とにあるのは友情ではなくて、国益のみ」です(英首相パーマストンの『わが英国にとって、永遠の同盟もなければ永遠の敵もない。あるのはただ一つ、永遠の英国の国益のみ』より)。米国との同盟でも、日英同盟が破綻したように、破綻することもありうるからです。サウジがイザとなったらパキスタンから核爆弾を入手できるようにしていると言われていますが、それと同じように日本もインドから入手できるようにしておけばよいと思います。新幹線の1兆4000億円の借款はそれでチャラにしても安全が買えるなら、それで良しとすべきでは。また一方では、米国の関与を深めるためにも「ニュークリアシエアリング」の話を進めて行くべきです。
記事
(前回から読む)
奴隷根性を捨てるためにも核兵器を持とう――。韓国の核武装派は主張する。
北東アジアに恐怖の均衡
—前回と前々回は、朝鮮日報という韓国の最大手紙が核武装を呼び掛けているとの話でした。
鈴置:この新聞の核武装論には年季が入っています。2013年2月12日に北朝鮮が3回目の核実験をしました。
その直前に、保守論壇の大御所である金大中(キム・デジュン)朝鮮日報顧問が「北の核実験、見学するだけなのか」(2013年2月5日、韓国語版)を書いています。ポイントは以下です。
- 北朝鮮が核兵器を放棄することはあり得なくなった。世界も北の核を既成事実として認める方向に向かっている。
- 可能な対応策は3つしかない。まず、米国など西側が北朝鮮との関係を正常化して国際社会に引き出すことだ。ただ、これは不確かな方法だ。
- それが難しい場合、一定の国際ルールの下で韓国が核保有することにより、北朝鮮の核の効果と意味を相殺する方法がある。北東アジアを「核の恐怖の均衡地帯」にするということだ。
- 最終的には「北の核」ではなく「北の体制」を変える発想に立って根源的に解決する道がある。金氏体制の崩壊と統一がそれである。
米日中ロに通告
—北の核武装に対抗するための案は3つあるけれど、1番目と3番目は実現が難しい、ということですね。
鈴置:ええ。従って、直ちにとり得る道は2番目の「韓国も核武装すること」だと金大中顧問は主張しているのです。
その20日後になりますが、朝鮮日報は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が就任した2013年2月25日の社説「北の核を超える新たな国家戦略が必須だ」(韓国語版)でも、以下のように主張したのです。
- 北朝鮮から「最終的な破壊」と核兵器で脅迫されている韓国としては、国際協力とは別次元の軍事的・政治的な対処方法を独自に模索するしかない。
- 国家と国民の保護という厳粛な課題を大統領が実践しようとするなら米日中ロに対し、我々の切迫した必要を満たしてくれない場合には我々自らが解決策をとるしかないということをはっきりと伝えなければならない。
核武装に向け国民大会
—「核武装しよう」と露骨に書いてはいませんね。
鈴置:社説ではっきりと核武装を主張すれば、世界から韓国も北朝鮮と同じ存在と見られ、北に対する核放棄圧力が弱まりかねない。そこで「核武装」との単語は使わなかったのでしょう。
でも、韓国人が読めば「核武装の勧め」であることはすぐに分かります(「今度こそ本気の韓国の『核武装論』」参照)。社説はともかく、少し前に大物記者が署名記事でそう書いているのですし。
在野の保守運動指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏も同じ時期に――北朝鮮の3回目の核実験の日に「韓国も核を持とう」と自分のサイトを通じ国民に呼びかけています。
その記事は日本語にも訳されました。統一日報のサイトで読むことができます。「国家生存の次元で自衛のための核武装を決断せよ!」(2013年2月12日)です。
趙甲済氏は国民の強い意思を世界に見せつければ、核は持てると強調しています。その部分を要約します。
核武装すれば国際社会から経済制裁をされると憂慮する人もいる。だが、安保のためには経済的損害を甘受する必要がある。ただ、合理的な論理と法理で世界を説得すれば、制裁は受けない。
北が核を廃棄すれば我々も廃棄することを明確にしたうえ、米国と中国の圧迫に対応できる外交力を強化していくことが奴隷根性や事大主義を克服する道だ。
自衛のための核武装運動は韓国人の奴隷根性と事大主義を克服する絶好の機会だ。我々の生存は我々が決定するとの姿勢で固く団結すれば、韓国社会の弊害のかなりの部分を解決できる。
ソウル市の中心部で数十万人が集まる「核武装要求国民大会」を持続的に開くべきだ。
韓国の核コンプレックス
—核武装と奴隷根性や事大主義が関係するのですか?
鈴置:1970年代に朴正煕(パク・チョンヒ)政権が秘密裏に核開発に動きました。しかし、米国の圧力に屈し計画を放棄させられました。
今度こそは、大国の命じたままに動く「奴隷根性や事大主義」から脱し、核武装を実現しようということでしょう。
逆に、核武装さえすれば大国の言いなりになる「奴隷根性や事大主義」を捨て去ることができる、との主張でもあります。
韓国には日本のような「核アレルギー」は存在しません。被爆国ではないからです。しかし、核を持とうとしてもどうせ大国に脅されるから持てるはずはない、という別の意味の「核コンプレックス」があります。
約40年前に脅された実体験があるからです。「朴正煕大統領が暗殺されたのは核開発に動いたからだ」との俗説さえ韓国にはあるのです。
もう、米国の言いなりにはならない
朝鮮日報の金大中顧問も先に引用した「北の核実験、見学するだけなのか」で、以下のように「大国の横暴」を批判しています。
- 強大国の優越意識丸出しの思考に異議を唱えたい。弱小国や途上国が核を持とうとすると、強大国は「危険性」とともに「核の効率的管理の不在」を指摘した。自分たちは管理できるが私たちには難しいとの理屈だ。
金大中顧問も趙甲済氏も韓国では親米保守の代表的人物とみなされてきました。金大中顧問は2013年に「二股外交」というコラムを書くなど、一時は米中等距離論を打ち出しました(「保守派も『米中二股外交』を唱え始めた韓国」参照)。が、今では再び、米国との関係が最も大事だと説いています。
趙甲済氏は「自由と民主主義の理念を共有する米国と手を組むほかない」との主張で一貫しています。
しかし2人とも、北朝鮮が核武装するというのに韓国には許さないというのなら「今度こそは米国の言いなりにはならないぞ」と宣言したのです。
中国への過剰な期待
—では、2013年の北の3回目の核実験の後に、韓国で核武装要求運動は起きたのですか?
鈴置:いいえ、そんな運動は起きませんでした。韓国では常に大事件が起きていまして、北の核実験もすぐに忘れ去られてしまった感があります。
趙甲済氏は別の説明――中国説を唱えています。これも当たっていると思います。日本語に翻訳された彼の著書『韓国の自衛的核武装論』の19ページを要約しつつ引用します。
- 2013年初めから韓国で本格化した自衛的核武装論を米国と中国は真剣に受け止め、韓国政府もこれをカードとした。
- ところが中国の北韓(北朝鮮)への態度が変わりつつあるとの希望的観測が韓国メディアを通じて広まると、同年夏からは(韓国内の)核武装論への関心が弱まった。
—中国が助けてくれると韓国人は本当に思ったのですか?
鈴置:韓国人は中国に過剰な期待感を抱きます。米国と同盟関係にある韓国の苦境を、中国がタダで救ってくれるわけもないのに。
中国とすれば、核を失った北朝鮮を米韓が圧迫し崩壊させるリスクも考えねばなりません。下手すれば米軍が軍事境界線を越えて北上し、中国との国境まで来かねないのです。
またしても事大主義
—なぜ韓国人は、そんな過剰な期待を中国に抱くのでしょうか。
鈴置:それに関し、趙甲済氏は続けて以下のように記しています。
- 長年の事大主義の影響が残って親中的な韓国のメディアと政界は、北の核問題の解決を中国に頼んで解決しようとした。
—またしても事大主義ですか。
鈴置:今度は中国への「事大」ですけれどね。韓国、ことにその外交を分析する時にはこの「事大主義」や、その背景にある冊封体制の歴史を考慮に入れないと、大きく読み違えます。
例えば、韓国がなぜこれほどまでに中国にすり寄るのか、理解できない米国の外交関係者が多い。彼らは国際政治や外交史を学んではいますが西洋中心で、東洋の国際政治――冊封体制に関する知識は乏しいのです。
話を戻すと、もちろん中国は「事大主義」に裏打ちされた韓国の過剰な期待に応えてくれませんでした。
2013年の、朴槿恵政権にとって初の中韓首脳会談でもそうでしたが、中国はことあるごとに「朝鮮半島の非核化」を唱えます。文言が「北朝鮮の非核化」ではないことに注目下さい。
中国は「北朝鮮の核はなくすべきだ」と言いつつ「北が核を放棄した時には南も核の傘から出るべきだ」つまり、米韓同盟の破棄を暗に要求し続けているのです。
逆に言えば、韓国が米韓同盟を打ち切る姿勢を見せない限り、本気で北朝鮮の核問題の解決には乗り出さないぞ、ということなのです。
核開発に向け着々
—朝鮮日報が核武装の旗を振っているのはよく分かりました。肝心の韓国軍はどう考えているのでしょうか。
鈴置:軍はこれに関し一切、発言していません。しかし、世界の軍人や安保専門家の間では「韓国の国軍が核武装を検討しない方がおかしい」と言う人が多い。敵国である北朝鮮が露骨に核武装に乗り出しているのですから(「米国も今度は許す?韓国の核武装」参照)。
ある日本の専門家も「歴代の政権の意思とは関係なく、韓国軍は核武装の夢を捨てていないだろう」と言います。
1980年代に韓国の国立研究所が国際原子力機関(IAEA)の規約に違反し、申告せずにウラン濃縮の前工程である「ウラン転換」と、核燃料からのプルトニウム精製・抽出をしたことが判明しています。
2000年にはこれまた未申告で、ウラン濃縮も実施しました。量は微量だったとされていますが、核兵器に使えるほどの濃度だったと報じられました。
いずれも2004年に明らかになり、日本でも大騒ぎになりました。しかし、IAEAの規約違反に関する国連安保理での論議は避けられ、韓国に対する処分は見送られました。
当時の国際社会は北朝鮮の核開発阻止に全力を挙げており、それへの悪影響が懸念されたためと見られます。
一方、核ミサイルを発射できる垂直発射管を備えた大型潜水艦の建造計画が、2013年ごろから韓国で報じられるようになりました。
例えば、聯合ニュースの「韓国海軍 3千トン級潜水艦9隻を戦力化へ」(2013年8月4日、日本語版)です。なお、韓国の安保専門家の間では少なくとも2000年代から、この計画が語られていたそうです。
歴史への罪
—本当に、核開発に向け着々、という感じですね。
鈴置:米韓原子力協定の改定交渉に関連、やはり韓国は核武装するつもりだな、と専門家から見なされました。ウラン濃縮と使用済み核燃料の再処理の権利獲得に異様にこだわったからです。いずれも核兵器の製造に必須の工程です。
この協定は1974年に結ばれ、2014年に期限が切れました。2013年になっても韓国の執拗な要求により、改定交渉が進みませんでした。
そこで2年間、協定の期間を延長して交渉を続け、2015年4月22日に新しい協定の仮署名に漕ぎつけました。そして11月25日に発効しました。
交渉途中の2014年10月16日に突然、違和感を覚えるコラムが朝鮮日報に載りました。書いたのは楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹です。
楊相勲主幹は政治部長、編集局長を歴任したエース記者で、常に冷静な記事を書くことで定評があります。金大中顧問が保守論壇の大御所なら、そのプリンスといったところです。
日本は許されたのに
彼のコラム「韓米原子力協定、歴史に罪を犯すな」(韓国語版)のポイントは以下です。
- 現在、交渉が最終段階にある韓米原子力協定は、このままでは子孫に足かせをはめることになる。使用済み核燃料の安全な再処理と保管、原子力発電所の輸出に対する規制に加え、原発燃料の安全な確保(ウラン低濃縮)までも新たに規制するというのが米国の立場だ。
- 米国は日本とは濃縮・再処理のすべてを許す協定を結んでいる。一方、韓国に対してはIAEAが保障した濃縮・再処理の権限まで封鎖しようというのだ。過去、核爆弾を作ろうとしたからと言うが、40年も前の話だ。
- 我々は米国の政治・経済・軍事の力に対し過度に委縮している。この陥穽から抜け出る意思もなく、米国に道理を説く時間もないのなら協定に署名すべきではない。急ぐ理由はない。歴史に罪を残すな。
無理筋で強引な交渉
—この記事も「米国に委縮するな」と訴えているのですね。
鈴置:楊相勲主幹も親米保守ですが、国の生存がかかった問題だけに絶対に米国と妥協するな、と国民に呼び掛けたのでしょう。
それにしても楊相勲主幹らしからぬ強引な論理です。米国が日本に濃縮・再処理を認めたのは、協定の締結前から日本がその能力を持っていたからです。
韓国がIAEA規約に違反しウラン濃縮したのは、この記事が書かれた2014年から見て14年前のことです。40年前ではありません。
韓国政府はメディアに「我が国は差別されている」と書かせて反米感情を煽り、交渉圧力に活用しようとしました。が、韓国の専門家の中にも「無理筋の交渉テクニック」と評する声がありました。
というのに楊相勲主幹は「子孫に罪を犯す」との情緒的な表現まで使って、交渉に警鐘を鳴らしたのです。濃縮・再処理の権利をここで得ておかないと、国益を大きく毀損するとの危機感があったに違いありません。
「一歩踏み出した韓国の核武装論」でも引用したようにこの後、楊相勲主幹は「金正恩も恐れさせてこそ平和を守る」(2015年5月21日、韓国語版)で核武装の必要性を説きました。11月5日には「釜山沖で考えた生存の一撃」(韓国語版)を書いて、原子力潜水艦の保有を訴えました。
軍と保守勢力がタッグ
—何だか、軍と朝鮮日報がタッグを組んでいるみたいですね。
鈴置:証拠は一切ありませんが、心証ではそうです。軍の意向を受けた保守勢力の一部が、核武装に向けコンセンサス作りに乗り出したかに見えます。メディアでは朝鮮日報だけでなく、趙甲済氏ら保守指導者が彼らのサイトで核武装を呼び掛けています。
—結局、新たな米韓原子力協定は楊相勲主幹の願い通りに結ばれたのですか?
鈴置:楊相勲主幹が満足したかは分かりませんが、2015年に結び直した新協定では、韓国は制限付きながら、濃縮と再処理を認められました。
ウラン濃縮は「条件が整えば」との前提で20%まで可能になりました。案件ごとに米国の同意が必要だった使用済み核燃料の再処理は、一部の工程だけですが既存の研究所で実施するなら同意が不要になりました。
「新協定で核兵器開発が直ちに可能になるわけではない。しかし、核武装への道を開いたことは確かだ」というのが原子力専門家の一致した見方です。
—今後、韓国の核武装論者はどうやってそれを実現するつもりでしょうか? 米国は認めるのですか? 国民の核コンプレックスは乗り越えられるのですか?
鈴置:それは次回に詳しく分析します。
12/11ZAKZAK 田村秀男『中国が抱える“巨大債務爆弾” たった1年で600兆円も膨れ上がっていた』について、12/9日経ビジネスオンライン 福島香織『人民元「悲願のSDR加入」後のシナリオ 「暴落回避」のための道が、中国を変えるか』について
12/9日経ビジネスオンライン 熊谷亮丸『中国の「バブル」崩壊に備えよ 「メルトダウンシナリオ」の衝撃度は?』の中で、中国は後1~2年は持つとありましたが、そこまで持つかです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/120400169/
1年間に日本のGDP以上の債務が増えるのは財務の脆弱性を物語っています。企業債務が2000兆円もあると言うのは国際金融資本の謀略の気がします。どう考えても、キャピタルフライトを起こし、元安、中国の債務を増やして、企業を乗っ取るor中国の不動産を取得(共産党が認めるかどうかですが)可能性が高いのでは。ただ中国の会社法には「董事全員一致条項」がありますので、これを変えさせる必要があります。
福島氏の言う「人民元も毛沢東もない元に」というのは共産党統治がなくなるという風に解せますが、それはそんなに早く来ないでしょう。ただ債務が膨大になった時(今でも膨大ですが)、いつデフォルトになって、どのように決着させるかです。戦争になるのか、人民解放軍の資産接収をするのか全く分かりません。
田村記事
米連邦準備制度理事会(FRB)が今月16、17日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の利上げを決定する。昨年秋の量的緩和打ち止めに続き、2008年9月のリーマン・ショック後から7年間続けてきた事実上のゼロ金利政策を終了する。その対外的衝撃はどうか。 日本の株式市場は「織り込み済み」との見方が強いが、新興国市場のほうでは不安がくすぶっている。特に、あおりを大きく受けそうなのが中国である。 中国の株式市場は6月下旬の大暴落以降、当局による強権によって相場の底抜けを何とか食い止めてきた。FRBは9月にも利上げする予定だったが、中国など新興国市場の動揺を考慮して決定を先送りしたが、米景気の堅調ぶりからみてゼロ金利を続けるわけにいかなくなった。 中国のほうは、習近平国家主席が執念を燃やしてきた人民元の国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)構成通貨入りが実現した。その条件は元の変動幅拡大や株式など金融市場の自由化だが、外国為替制度は当面、元をドルに連動させる管理変動相場制を続ける。これだと米利上げとともに試練に直面する。 米利上げでドル高に向かう。ドル高はすなわち元高となり、中国にはデフレ圧力が加わる。それを避けるためには、元を切り下げる必要があるが、するとワシントンから制裁を受ける恐れが高まる。 共和党の大統領有力候補、ドナルド・トランプ氏は「中国は為替操作国」だとすでに非難しているし、大統領選と同時に行われる議会総選挙を控え、議員の多くが反発しよう。
北京のほうも、元切り下げをためらわざるをえない事情を抱えている。元安となると、巨額の資本逃避が起きる恐れがあるからだ。現に、8月に中国人民銀行が人民元切り下げに踏み切ると、大量の資金が流出した。
グラフは、中国企業(金融機関を除く)の債務と、企業向け平均貸し出し金利から製品出荷価格の増減率を差し引いた実質金利負担の対比である。最近では、名目の貸し出し金利は4%台半ばで、1年前の6%に比べて下がったものの、製品値下がりのために実質的な金利負担は急上昇してきた。今の平均実質金利は11~12%にも及ぶ。鉄鉱、家電、自動車、建設関連など中国の過剰生産能力はすさまじく、製品価格は12年4月以降、前年比マイナスが続き、しかも減少幅は拡大する一途である。
支払いが困難になっている企業は、金融機関に債務返済を繰り延べてもらうほか、追加融資を受けている。さらに社債など債務証券を発行して資金調達している。
この結果、債務は雪だるま式に膨れ上がっている。日本円換算でみると、14年3月に約1500兆円だった債務残高は15年3月には600兆円以上増えた。外貨建て借り入れも増えており、元を切り下げると、その分債務負担がかさむ。
まさに巨大な債務爆弾である。「国際通貨元」は中身ぼろぼろの「悪貨」なのである。 (産経新聞特別記者・田村秀男)
福島記事
いよいよ人民元がIMFのSDR(特別引出権)構成通貨に入ることになった。SDRとは世界の主要通貨が構成する仮想の準備通貨であり、IMF加盟国が経済危機に直面した際、加盟国に配分されたこの準備通貨と引き換えにSDRを構成する通貨を融通してもらうことができる。このSDRの価値を決めるのが通貨バスケットだが、2016年10月から人民元は構成比率において米ドル、ユーロに続いて三番目に通貨バスケットに組み入れられることになった。SDR構成通貨は5年ごとに見直されてきた。2010年の段階では、人民元はSDR入りの二つの条件のうちの一つである「輸出額の大きさ」は十分満たしていたが、もう一つの「通貨が自由に取引できる」という条件は満たしていないと判断され、見送りになっていた。2015年の今回、ようやくその悲願が達成されたわけだ。今なお、人民元が自由に取引できるようになったとは到底言い難い状況であるにも関わらず、SDR入りを果たした人民元。これによって、中国経済、そして世界経済はどのような影響を受けるのだろうか。
主に、中国のエコノミストたちが、どのように考えているかを中心に、考えてみたい。
覇権通貨への道か、ハゲタカの餌食か
一般に日本メディアでは、人民元SDR加入後のシナリオは二通りが報じられている。一つは人民元が円を超える国際通貨となり、人民元決済や元建て債権が急速に広がり、不安視されていたAIIBの資金調達も順調となり、人民元は世界に拡大。中国は各国への投資を人民元で行い、人民元経済圏が急速に拡大、中国政府は人民元を刷りまくり、その流通量はドルをもしのぎ、やがて米国のドル基軸に挑戦する覇権通貨となる、という予想。
もう一つは、人民元の変動為替相場制への移行の圧力となり、中国の金融市場の完全なる自由化時代が到来する。ドルにペッグされ、実際の経済実力に比して元高に誘導されていた人民元は自由化が進むにつれて下落し、人民元資産の流出が加速し、中国経済の空洞化が進む。中国政府は、さらに大量の人民元を刷るだろうが、それがさらに元安を誘発し、人民元の価値は地に落ち、ドル建てや香港建ての債務を抱えている中国企業はいよいよ追い込まれ、欧米ハゲタカ金融に骨の髄までしゃぶられる。
いずれのシナリオであっても、隣国日本の経済にとっては相当の衝撃がありそうだが、では中国のエコノミストたちは、どのように見ているのだろうか。主なものを要約してみた。
まず肯定派の意見から。
「金融大国から金融強国へ新たなスタート」
「中長期的には、人民元はSDR入りすることで国際化が進むという象徴的意義は非常に大きい。中国は2010年ですでに世界第二位の経済体であり、人民元のSDR入りで、SDR自身が一層のグローバル性と公正性を備えることになる。またSDRに五番目の通貨が加わることは、SDRの安定性にも寄与する。さらに加盟国にとっては外貨準備資産の選択性を増やし、多様な要求を満足させることになるだろう。世界ですでに50以上の中央銀行が人民元を外貨準備に持っている。加えて、SDRの魅力が増せば、人民元も国際通貨発行特権の収益分配にあずかれるかもしれない。 人民元のSDR加入は、それが終点ではなく、中国が金融大国から金融強国になるための新たなスタートラインである。さらに中国自身が金融システム改革と金融市場の効率化を後押しする効果もある。将来、中国は人民元SDR加入を契機に、積極的に外貨準備高の資産バランスを調整し、“一帯一路(中国の陸と海のシルクロード周辺国一体化政策)”と“走出去(対外投資戦略)”のプラットフォームとして、有効かつグローバルな人民元投資貿易決算システム、信用評価システムと金融安全保障システムを打ち立て、中国の国際金融における発言権とグローバル金融に対する影響力を全面的に高めていくことになるだろう」(中国国際経済交流センター 張茉楠副研究員)
「SDR加入は人民元国際化プロセスの一つの重要な標識である。人民元の為替変動は安定し、リスクも低い。かつ、IMFを満足させるだけの”自由化条件”が進み、世界各国の豊富な外貨準備高を人民元が構成するようになれば、世界の金融リスク軽減に積極的な貢献ができるだろう」 「中国について言えば、対外貿易輸出企業が人民元決済できることによって、為替変動による損失をさけることができるし、また個人の出国時の利便性も向上する。つまり中国は貨幣金融領域において対外開放の突破口を開くことができ、世界の主要経済体に認められるようになるのだ」(中国社会科学院財経戦略研究院 楊志勇研究員)
人民元下落の可能性については楽観的な意見が多い。
「大幅な元安を心配する必要はない」
「人民元はSDR加入後も、大幅な元安を心配する必要はない。中国の中高速成長は今後も維持されるし、SDRに入った後も、基本、為替制度は変更されない。我が国は比較的貿易黒字であり、外貨準備高も十分であり、人民元が下落し続ける要因はない」 「中国は貨幣政策についてさらに配慮し、規律を厳しくして執行するだろう。つまり人民元はさらに安定し、世界の信用をさらに得る。結果、我々の財布の金が(元安で)目減りするという圧力は減少するだろう。むしろ将来、個人が世界各地を旅行したり、留学したりするうえで、人民元での買い物はさらに便利になるだろう。企業にとっても人民元による対外投資が便利になる」 「短期的には影響はあまりないが、時間が経過すると、人民元のSDR入りの深い意義をさらに感じるようになり、庶民の生活にプラスになることもわかってくるだろう。中国庶民にとってだけでなく、世界の人々にとっても、利点は大きい。東南アジアなど”一帯一路”沿線国家の人々にとっては、人民元の使用がより便利になり、人民元が安定することで貿易にしろ、投資にしろ、皆にさらに多くの経済利益をもたらすことになる」(国家外為管理局長 易網)
「中国のこれからの為替政策の重点は人民元を相対的に安定させることに置かれるのでSDRに入ったからといってすぐさま、資本の大幅流入が起こり人民元が上昇することもないが、すぐさま大幅に下落することもない」 「株式投資に関しては、短期的には人民元の大幅下落の可能性は大きくないが、一部の中国企業および市民にはパニック性の人民元売りのリスクがあるので、それが株式市場に悪影響を与える可能性もある。今後3-6カ月はネガティブな影響はあるかもしれないが、長期的にはポジティブにとらえられる」 「債権市場については、米国の利上げのタイミングにより、投資家の間では人民元に対し、一層、人民元暴落の懸念があるだろう。国内の違約事件などもあって、海外の投資家の中国市場に対する投資機会は妨害されてきたが、長期的に見れば、中国の債権市場の開放が進むにつれて、海外投資家の人民元建て債券への期待は高まっていくだろう。中国債権市場はグローバルな投資機関の資金流入増加の恩恵を受ける。中国の政治が相対的に安定しているとの予測の下、人民元の国際化プロセスにおいてその長期的価値は高まり、人民元建て資産への投資の吸引力となるだろう」(瑞銀証券中国チーフエコノミスト 汪濤)
つまり、人民元下落に対する楽観論は、人民銀行(中央銀行)の介入・コントロール能力への自信に裏付けられているようである。
一方、ネガティブな意見には、こういうものがある。
「自宅のプールで浮き輪で泳ぐのとは訳が違う」
「人民元のSDRは諸刃の剣のようなものだ。人民元が国際化すれば、国際市場ルールに従わざるを得ない。人民元の底値が一体どのくらいになるのか、私には予想がつかない。人民元は長らく国際市場から隔離され、その価値は深刻なまでに捻じ曲げられている。SDR入り後、人民元が再び暴落する可能性は排除できず、また国際投資銀行などが集団で人民元の空売りを行えば、半年で米ドル・人民元は6.80ドル(12月7日現在、6.36)くらいになるだろう。来年一年のうちに中米の貨幣政策の”巨大分化”の圧力を人民元は受けるようになる。年明けには1元6.40-6.50ドルに推移し、2016年には6.60ドル、2017年-2019年には6.80ドルと落ちていくのではないか。 さらに人民元SDR加入後は、悪意の攻撃を受けるだろう。SDR入りは、大海原に飛び込んで泳いでいくのに似たようなもので、自宅のプールで、浮き輪で泳ぐのとわけが違う。左右から波風が押し寄せるだけでなく、資本の大鰐の悪意の攻撃にも立ち向かわねばならない。もし人民元が安定しなければ、国内経済は巨大な損害を被る。もちろん我々には戦う気力もある。すなわち3兆元の外貨準備高がある。一方、アキレス腱もある。それは、金融人材が空洞化していることだ。中国は力技で戦える金融人材を欠いており、しかも先の中国株価乱高下の”株災”で、信頼を全く失った状態である。為替と株は全く同じではない。株は株を持っている人にしか影響しないが、為替の損失は中国人全体の問題となる。 SDRが吉となるか凶となるか、一口では答えられない。成功の結果ばかりが喧伝される裏で、何か都合の悪いことを隠しているということも排除できない。やはり自らに対し厳しくしなければならない。閉鎖的に保護された人民元が国際競争に飛び込むには、基本的な生存技術を学ばねばならない。人民元の背後にあるものは、国内経済の低空飛行、銀行の不良債権、企業の過剰生産、深刻な不動産バブル。引火しやすい爆発物はたくさんある。むかしのミッドウェー海戦のようなもので、日本の戦闘機が爆弾を搭載したまま空母の甲板にあるところに、米国の戦闘機が飛んでくる…といった状況も想定される」(銀庫金融副総裁 斉俊傑)
このほかにも論評は多く出ているのだが、代表的な論調はこんな感じだろうか。
個人的には、南シナ海で中国との対立案件を抱え、AIIBの成立にあれほど鼻白んだ米国が、なぜ人民元のSDR入りを断固拒否しなかったのか、その本音が知りたいところだ。やはり人民元を国際通貨戦争の渦中に引きずりこみ、よいカモにすることが狙いなのだろうか。うまく離陸すれば、人民元も国際金融市場で戦える通貨になり、やがてはドル基軸に挑戦する通貨となるかもしれないが、その離陸をすんなりさせるつもりはないということか。
「人民」も「毛沢東」もない「元」に?
なので、目下、人民元資産をしこたま持っている友人たちは、結構悲壮だ。人民元暴落シナリオを予想して、懸命に人民元を海外通貨に換えて国外に持ち出そうにも、中国もキャピタルフライト阻止のために兌換制限をいよいよ厳しくしている。
もっとも、私はそこまで人民元に対して悲観していない。為替は下がった後は上がるものである。この通貨戦争を人民元が生き延びることができたとしたら、国際通貨の戦場で鍛え上げられた強い人民元が台頭するシナリオにも期待したい。
もっとも、そのときの中国の通貨の呼び名は”人民元”ではなくて、ただの”元”になっていて、ひょっとすると毛沢東も印刷されていないかもしれない。どう考えたって金融市場の自由化に社会主義国家の看板はそぐわない。国際社会が期待するシナリオの本当の結末は、そのあたりにあるかもしれない。
12/13日経 『中国 対テロに乗じる民族政策 新疆の炭鉱殺害「容疑者を射殺」 パリ事件翌日ネットに』について
12/13日経 半歩遅れの読書術 渡辺利夫『陸奥宗光のリアリズム 危機下の指導者の苦悩』についての記事が掲載されていました。
「日清戦争外交の全局を指導した外務大臣•陸奥宗光の凜たる漢語調の回顧録が『新訂蹇蹇録』(岩波文庫)である。「日清戦争外交秘録」というサブタイトルをもつ本書ほど、危機における指導者の行動をあからさまに描いた著作を私は他に知らない。
日清戦争とは、日本が清国と戦った近代初の対外戦争である。「定遠」「鎮遠」など世界最強の装甲艦を擁する清国に比して日本の劣勢は明らかだった。にもかかわらず、清国を宗主国、自らを属領とする「清韓宗属関係」を切断して朝鮮を「独立自主」の国としなけれぱ日本の「自衛の道」はないと陸奥は判断した。
李朝末期の朝鮮は政争と内乱を繰り返し、その度に清兵が半島に派される状況を目の当たりにして陸奥は危機感を募らせた。気が付けば世界最大の陸軍国家ロシアも朝鮮をうかがっているではないか。
日本が清国に挑んでこれに勝利する術は「機略」以外にはない。この時期、日本が外務大臣に陸奥を戴いたのは天の采配のごとくであった。戦う以上は勝たねばならないが、勝利してなお列強の反発は避けられない。自らを「被動者」、清国を「主動者」とし余儀なく戦わざるをえない戦争だと装うことに陸奥は努めた。
清国がのむとも考えにくい朝鮮内政の共同改革案を提示し、清国がこれを拒否したことをもって開戦の大義とした。弱者が強者に挑んで勝利するには敵の機先を制するより他ない。戦局のことごとくで日本軍はこの戦法に徹し勝利を手にした。そして日本は日清講和条約において清国に「朝鮮国ノ完全無欠ナル独立自主ノ国タルコト」を確認させるに至った。
しかし、条約蹄結の直後にロシアが独仏を誘って「三国干渉」の圧力を加え、 日本は重要な「戦利品」たる遼東半島を清国に還付せざるをえなかった。『蹇蹇録』の最後にこうある。「畢竟我にありてはその進むを得べき地に進みその止まらざるを得ざる所に止まりたるものなり。余は当時何人を以てこの局に当らしむるもまた決して他策なかりしを信ぜんと欲す」
言い訳ではない。「兵力の後援なき外交は如何なる正理に根拠するも、その終極に至りて失敗を免れざることあり」と記す。「臥薪嘗胆」の10年を経て日露戦争勝利に日本を導いたのも、陸奥の三国干渉受諾の決断だったといっても過言ではない。時代背景を論じた著作に岡崎久彦著『陸奥 宗光とその時代』(PHP文 庫)がある。 外務省庁舎のゲートを入って右手に進み、突き当たりを左へ少し歩いたところに陸奥の銅像が立つ。長いこと酸性雨に当てられたからだろう、数条の緑色の筋が顔に流れて陸奥の凄みを際立たせている。(経済学者)」
明治時代の外務省は国の命運を賭けて戦いましたが、大正デモクラシーの時代を経て劣化していき、昭和、平成とダメになりました。昭和には重光葵のような気骨のある外交官もいましたが、幣原のような意志薄弱な外交官もいました。平成に至っては平和ボケばかり。前述赤字の陸奥の言葉を拳拳服膺すべきでは。中国と言う「今そこにある危機」を回避するには、中国包囲網を友好国と築かなければなりません。それが中韓と言う敵国の「南京」「慰安婦」でやられ放し。少しは武器なき戦いで勝利するところを見せてはどうか。
日経もやっと「テロに名を借りた中国のウイグル族に対する弾圧」を記事にするようになりました。世界的にはとっくに報道されていましたし、ネットの世界では有名な話です。チベットも南モンゴルも同じように弾圧されていますが。チベットにはダライ・ラマがいますが、ラビア・カーデイル女史は日本ではまだ有名ではないような気がします。このように中国の暴虐を大手メデイアがどんどん報道するようにしないと。ネットを読んでいる人はとっくに中国の悪について理解していますが、メデイアの「ネットは悪」の宣伝を鵜呑みにしてネットから情報を取ろうとしない人がまだまだ沢山います。デジタル・デバイド(情報格差)が広がるというのが自覚されていません。
新聞がリベラルの立場を主張するのであれば、中国の人権弾圧にもっと声を上げねば、「ご都合主義」、「二重基準」の謗りを免れません。日本は世界の中でも人権が良く守られていると思います。それを中韓の尻馬に乗って、日本政府を非難することだけではおかしいでしょう。米大統領候補でレイシストのトランプが今でも人気が落ちないのは、米・白人の心の裡を表していると見て良いのでは。
欧州の移民受け入れは植民地を持った宗主国の道義的義務があるからですが、受け入れが失敗だったのはホームグロウンテロで明らかです。勿論人口は経済的にプラスと考えてのことでしょうが。日本は台湾、朝鮮半島、満州を統治しましたが、植民地(colony)ではなく、併合(annexation)ですので道義的責任は負いません。日経が主張している経済面のみを考えた安易な移民受け入れは失敗します。安全保障の方が大事です。靖国の爆弾事件はテロです。韓国はテロ支援国家と国際的に非難しなければ。外務省は何をしているのかと言いたい。フランスの地域選挙の第一回投票ではマリーヌ・ル・ペン率いる国民戦線(FN)が13地域中、6地域で第一党と勝利し、安全を願う国民が増えているという事です。マリーヌ・ル・ペンはレイシストとも言われていますが、それでこんなにも勝利するのでしょうか?やはり安易な難民受け入れはしたくないという国民の気持ちが働いたのでしょう。
記事
「56日におよぶ追跡のすえ、テロリストの射殺に成功した」。中国公安省がネットにこんな書き込みをしたのは11月14日、パリ同時テロの翌日だったという。詳細は明らかにされず、書き込みもやがて削除されたそうだ。それでも、中国情勢に関心を持つ向きには十分に意味のある情報だった。
中国の王毅外相は最近、新疆の過激派対策は世界規模の「テロとの戦い」の重要な一環だ、と表明した=ロイター
記者会見する「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル主席(10月、東京・有楽町の日本外国特派員協会)
キーワードは「56日」だ。9月18日に新疆ウイグル自治区アクス地区の炭鉱で50人が殺害されたとされる事件の、容疑者たちを掃討したのだろう――。そう推測するのは自然だった。
炭鉱の事件について中国の当局やメディアは当時「公式発表」を一切していなかったが、米国の自由アジア放送(RFA)というメディアなどが早くに伝えていたからだ。
思わせぶりな公安省の書き込みについて、またもRFAが詳しく報じたのは、3日後のこと。4人の女性と3人の子どもを含む17人の容疑者が隠れていた洞窟を当局が爆破し、全員を殺害した凄惨な出来事だった、と。
米報道を後追い
これを受けて、というべきか。RFAの報道から3日後、新疆の共産党委員会の機関紙である「新疆日報」が9月18日の事件も含めた「公式発表」を掲載した。
それによると、炭鉱の事件での犠牲者は16人。2カ月近い追跡のすえ最終的に「テロリスト」たちを掃討したのは11月12日で、射殺した「テロリスト」は28人だった。ただ、女性や子どもが含まれていたかどうかには触れなかった。「テロリスト」たちは「海外の過激派組織の指揮」を受けていた、とも新疆日報は指摘した。
さらに3日後には、人民解放軍の機関紙である「解放軍報」が11月12日の掃討作戦を紹介した。火炎放射器を使って容疑者たちを洞窟からあぶり出し、刀を手にして向かってくるのをすべて射殺した、と。
一連の経緯からは、RFAの報道が迅速で、かなり正確でもあることがわかる。
たとえば、9月18日の炭鉱の事件について真っ先に報じた。あるいは、最後の「テロリスト」掃討作戦は洞窟が舞台だったと伝えた。いずれも後になって「公式発表」が認めている。すると当然、「公式発表」が触れない部分やRFAと食い違う部分には疑問が浮かぶ。
当局が射殺した「テロリスト」のなかに女性や子どもは含まれていたのか。洞窟を爆破したのか、それとも火炎放射器を用いたのか。9月18日の炭鉱の事件の背景は何なのか。本当に「海外の過激派組織の指揮」を受けていたのか。こうした疑問点の解明を国際的な人権団体などが訴えているのは、当然だろう。
共産党内に異論
実は共産党政権は足元で、新疆の民族政策や対テロ政策をめぐって党内の異論の封じ込めに追われている。たとえば11月はじめ、新疆日報の元編集長だった趙新尉氏を「民族政策などで異論を公言した」といった理由で党から除名した。「異論」の詳細は不明だが、高圧的な民族政策に対する不信が共産党の内側でも広がっている可能性がうかがえる。
同月下旬には、党の規律問題に関わる部門の機関紙が「テロを支持したりテロに加わっている幹部がいる」とまで指摘して、思想統制の強化を訴える論文を掲載した。深刻なのは「海外の過激派」よりも党内の動揺の方ではないか、という疑念さえ浮かぶ。
かりに「公式発表」が真実だとしても、「刀を手に」向かってきた容疑者たちをすべて射殺するという対処は適切だったのか、議論の余地があろう。足などを撃って動けなくするだけで十分だったのではないか、と。火炎放射器の使用も同様だ。
中国当局は「反テロ」の名の下に暴力をエスカレートさせている――。海外に亡命したウイグル人たちの集まりである世界ウイグル会議(WUC)がこんな懸念を表明しているのは、理解できる。
WUCは、共産党政権が「パリ同時テロ」に乗じて新疆のウイグル人への弾圧を強めている、とも非難している。実際、公安省が「テロリストの射殺に成功」と書き込んだのがパリ同時テロの翌日というタイミングだったのは、不気味だ。
王毅外相は最近、国際会議に出席するために外遊した先で、新疆の過激派対策は世界規模の「テロとの戦い」の重要な一環だ、と表明している。
「(米同時)テロは米国にとって悲劇だったが、中国の発展にはとても有益だった」。こんな言葉をこのコラムで紹介したのは、4年あまり前だ。語ったのは国際関係論の専門家として知られる金燦栄・中国人民大学教授だが、共産党政権の本音に近いだろう、と指摘した。パリ同時テロについても彼らは同じように受け止めているのではないか。そんな疑念を禁じ得ない。(編集委員 飯野克彦)




