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『米との関係修復、ロシアが恐れる最悪のシナリオ 行方を左右する二つの国と米国との緊張』(2/10日経ビジネスオンライン 池田元博)について

2/12日経に米ロ中韓シンガポールの記者を集めて、座談会を開いた記事が掲載されていました。北方領土絡みの部分を抜粋します。

2/12日経朝刊〈外交〉北方領土問題、遠い解決/アジア太平洋、不安定に

――安倍首相の外交政策をどう評価するか。

ゲイル氏 安倍首相は外向的だ。トランプ氏やプーチン氏と並んでも、物おじせず落ち着いている。野田佳彦前首相など他の政治家には無理だろう。安全保障政策に関して日本は日米同盟の代替案を持ち合わせていない。慎重にやるべきだ。

トランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)の離脱を決め、2国間交渉を求める。彼が国益として主張しやすい成果物を与え、うまく操ることが肝心だ。

ゴロブニン氏 安倍首相とプーチン氏は16回も会談したが、あくまで仕事上の関係だ。率直に言うと、この2人で北方領土問題の解決はできない。安倍首相が2島返還などの妥協策をのむ可能性はあるが、プーチン氏は1島も返さない。ロシア国民はプーチン氏に領土拡大や強い国を期待しており、返還とは全く逆の考えだからだ。

蘇氏 2国間における首脳の個人関係を否定はしないが、そもそもの根幹はやはり国家利益だ。国家を代表してどう相互利益を図り、信頼を構築するか。テーブルの上で握手しても、下で足を蹴り合っていては意味がない。

ローリー氏 日中関係はうまくいっていない。尖閣諸島をめぐり大きな溝を抱えている。トランプ政権の誕生がこれに拍車をかけ、アジア太平洋地域の安全保障環境はさらなる緊張状態に陥るだろう。悲観的にとらえている。

金氏 韓国と日本は歴史的にも特別な関係を築いてきた。朴槿恵(パク・クネ)政権が事実上機能していない今、重要なのは次の大統領だ。直近の世論調査では野党候補の文在寅(ムン・ジェイン)氏が勝つ可能性が非常に高い。韓国のリベラル政権と安倍政権がどう向き合うか。北朝鮮やトランプ氏も不安要素の一つだ。

慰安婦問題も簡単ではない。貧しい家庭の若い女性の悲劇として人々の関心を集めてしまう。普通は10年もたてば忘れるが、慰安婦問題はそうではない。

疑問なのは、なぜ安倍首相はロシアを非難しないのか。昨年の日ロ首脳会談でロシアのミサイル配備に全く触れなかったのは驚いた。

ゴロブニン氏 答えは簡単だ。安倍首相の対ロシア外交の目的は北方領土問題と、ロシアと中国の異常な接近を阻止することだ。だからロシアのミサイル配備には何も言わない。尖閣周辺に中国船が入ったときは大きく非難するけれども。>(以上)

さすがに、左翼リベラルの集まりの感じがあります。その中でロシア人記者のゴロブニンの発言はプーチンを牽制する意味があるのかも。KGBと繋がっている可能性もあります。北方領土の最大の問題は、4島に米軍基地を置かないように日本が約束できるかどうかです。知恵を出せば、可能になるかも。でもゴロブニンの発言は日本の足元を見ている嫌味な奴と思わせます。

本記事の結論は「米ロ関係が順調に改善すると断じるのは早計だろう」とのことですが、その通りと思います。イランと中国に関して米国の思惑通り、ロシアが動くとは思えませんし、米議会がロシアの経済制裁解除に協力するかどうかは分かりません。

宮崎正弘氏も2/13メルマガで行政府内の意見の不一致があり、ロシアに対して一直線に関係改善には行かないという事です。大局的に見れば、中国封じ込めにロシアの協力は必要ですが、日本の足元を見るようであれば、日本もロシアへの協力は控えた方が良いでしょう。

2/13宮崎正弘氏メルマガ< ラインス・プリーバス首席大統領補佐官を更迭?  はやくもトランプ政権の中枢で人事内紛が勃発

11日夜、フロリダ州の別荘で安倍首相と夕食をともにしたトランプ大統領は、安部夫妻を見送ったあと、親友のひとりと30分の密談を交わした。  ワシントンポストに拠れば、「ラインス・プリーバス首席補佐官は不的確で、連邦政府の行政の仕組みをよく知らないばかりか不適切な処置を目立つ」として更迭を促したという。  直前にも議会民主党からはマイケル・フリン安全保障担当補佐官が、その個人的コネクションとして、ロシアとの距離が親しすぎるとして適材適所にあらずと不信任の声があがっている。 フリンはトランプ就任前から在ワシントンのロシア大使館高官等と接触を繰り返したうえ、軍を退任後も二回、露西亜を訪問し、夕食会ではプーチン大統領のとなりに座っていた写真がばらまかれた。 そのこと自体に問題はないが、議会派ロシアを敵視しており、制裁の解除ではなく、強化を訴える反ロシア派勢力のほうが強い。 ティラーソン国務長官の指名でも民主党の多くが、ロシアに寄りすぎるとして反対票を投じた。  トランプ大統領はフリンを信頼しており、またラインス・プリーバス首席補佐官の更迭に関しては、ひとことも発言していない。  このごたごたの暗闘の最中、北朝鮮がミサイル実験を強行し、ふたたびトランプ大統領と安倍首相は記者団の前に現れて北用船を非難した。あのときのトランプ大統領の不機嫌な表情、大事な記者会見の最中にも、ほかのことを考えていたに違いない。>(以上)

記事

「米国第一主義」を掲げるトランプ政権が始動した。世界が懸念を強めるなか、トランプ氏の就任を心待ちにしていたのがロシアだ。ロシアとの良好な関係づくりを公言する米新政権の下で、米ロ関係は本当に改善するのだろうか。

国務長官には、「ロシア通」として知られる米石油大手エクソンモービルの前CEO、レックス・ティラーソン氏が就任した(写真:The New York Times/アフロ)

米ロ関係の先行きを占う材料として注目されたのが、先月28日に実施されたトランプ大統領とプーチン大統領の電話協議だ。

トランプ大統領の就任後、初めてとなった電話協議は約45分に及んだ。

ロシア大統領府によると、両首脳は米ロ関係の発展に向け、建設的かつ対等、相互利益の原則に基づいて共同作業を活発に進めることで合意した。ビジネス交流を通じて両国の貿易・経済協力を復活させる重要性も確認したという。

国際情勢をめぐってはとくに、国際テロリズムが世界の主たる脅威となっているとし、過激派組織「イスラム国」(IS)やシリアの他のテロ組織の撲滅に向け、米ロが共同歩調をとるべく調整していく必要性で一致した。

電話協議では、両国関係改善への最大の障害となっているウクライナ情勢も話し合った。ペスコフ大統領報道官によると、米国による対ロ経済制裁の緩和問題は議題に上らなかったという。

それでもプーチン大統領は協議のなかで、「ロシアは200年以上にわたって米国を支持してきたし、過去の2度にわたる世界大戦でも米国の同盟国だった」と強調。現在も米国は国際テロとの戦いで最重要のパートナーだと持ち上げ、関係修復への期待を強くにじませた。

一方、米ホワイトハウスも声明で「前向きな電話協議は、修復が必要な米ロ関係進展への重要なスタートとなった」と表明。「トランプ、プーチン両大統領はともに本日の電話協議後、テロとの戦いや互いに関心を持つ他の重要課題に速やかに取り組めると期待している」と指摘している。

政権だけなく、ロシア社会全体に広がる「トランプ期待」

ちなみにトランプ大統領はこの日、日本の安倍晋三首相、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領、オーストラリアのターンブル首相とも相次ぎ電話協議している。ロシア以外はすべて米国の同盟国で、トランプ氏がいかにロシアとの関係を重視しているかを示したともいえる。

しかも米メディアの報道によると、ターンブル豪首相との電話協議は難民問題で対立。トランプ大統領がわずか25分で一方的に電話を切ってしまい、「これまでの電話協議で最悪」と述べたという。

トランプ氏自身はツイッターで「フェイク(偽)ニュースのウソ」と断じているが、少なくとも同盟国首脳との電話協議より、プーチン大統領との会話のほうが雰囲気は良かった可能性は否定できない。

周知のように、トランプ氏は選挙期間中からプーチン大統領を「彼は非常に賢い」「強い指導者だ」と高く評価。オバマ前政権下で大きく冷え込んだ米ロ関係の改善に強い意欲を示してきた。

ロシアが米大統領選時、トランプ氏を支援すべく大規模なサイバー攻撃を仕掛けたのかどうかはともかく、プーチン政権が同氏の当選を切に望んでいたのは事実だろう。

ロシアの「トランプ期待」は政権だけなく、社会全体に広がっている。政府系の全ロシア世論調査センターが先月実施した調査によると、オバマ前大統領については回答者の81%が「否定的」評価を下した。一方でトランプ新大統領に対しては「良い」が40%と、「悪い」の4%を大きく上回った。

独立系の世論調査会社レバダ・センターが「米国との関係をどうみるか」と聞いた今年1月の調査でも、「良い」が37%、「悪い」が49%だった。米ロ関係を否定的にみる回答が依然として上回ってはいるが、2年前の2015年1月時点では「悪い」が実に81%に達していた。

ウクライナの戦闘激化は“瀬踏み”?

そんなロシアがトランプ新政権に最も期待しているのは、オバマ前政権がウクライナ危機を受けて発動した厳しい対ロ経済制裁の緩和や撤回だろう。

オバマ氏はとくに、ウクライナ東部で政府軍と泥沼の戦闘を続ける親ロシア派武装勢力にプーチン政権が軍事支援していると激しく非難。ウクライナ東部紛争の政治解決をめざした和平合意(ミンスク合意)が完全に履行されない限り、対ロ制裁は緩和しないとしてロシアに強硬な対応をとってきた。

ところがトランプ氏は、就任前のインタビューでロシアが核兵器削減の「取引」に合意すれば対ロ制裁を解除する可能性に言及するなど、必ずしもウクライナ東部の和平合意履行と絡ませない考えを示唆している。

トランプ大統領は今月4日、ウクライナのポロシェンコ大統領とも電話協議し「和平への協力」を約束した。しかし、直後に放映された米テレビとのインタビューで改めて「プーチン大統領を尊敬する」と述べるなど、ウクライナを全面的に支援してきたオバマ前大統領の姿勢とは明らかに異なる。

ロシアにとってさらに追い風なのは、トランプ政権の最重要閣僚とされる国務長官に、「ロシア通」として知られる米石油大手エクソンモービルの前最高経営責任者(CEO)、レックス・ティラーソン氏が就任したことだろう。

同氏はエクソンモービルのCEO時代、ロシア国営石油最大手ロスネフチとの間で油田・ガス田開発事業を進めた。2013年にはプーチン大統領が「友好勲章」を授与したこともある。対ロ制裁にはもともと反対の立場を表明してきた経緯もあり、ロシアにとっては願ってもない布陣といえる。

当のウクライナ東部ではトランプ、プーチン両大統領が電話協議した先月28日以降、ウクライナ政府軍と親ロ派武装勢力による戦闘が再び激化している。ロシア、ウクライナはいずれも相手側が仕掛けたと非難合戦を繰り広げているが、プーチン政権がトランプ政権のウクライナ問題に対する「関心」の度合いを瀬踏みしている可能性は完全に否定できない。

ロシアでは実際、「トランプ氏は誰が敵かを良く覚えている。ウクライナのポロシェンコ政権が米大統領選でヒラリー・クリントン候補を熱心に支持してきたことを決して忘れていないはずだ」(外交専門家)との見方が根強い。

関係修復の障害になりかねない米のイラン敵視政策

いずれにせよ、プーチン政権がトランプ政権の発足を好機ととらえ、関係修復と対ロ制裁解除へのシナリオを模索しているのは間違いない。とくに外交専門家の間では、まずは国際テロリズムとの戦いを前面に押し出し、米ロ協調を演出していく道筋がとりざたされている。

ロシアは現在、シリア和平を実現すべく、アサド政権と組んで外交攻勢を活発化させている。先月にはカザフスタンの首都アスタナで開いた和平会議も仲介した。この会議には米側から結果的に駐カザフ大使がオブザーバー参加しただけだが、ロシアはトランプ政権にも積極的に参加を呼びかけていた。

シリアはトランプ氏が「掃討」をめざすISの拠点だ。ロシアが「ISとの戦い」と称して米国に共闘を求めつつ、米国の協力も得ながら、アサド政権を存続する形でシリア和平実現の構想を描いていることは十分予想される。

ただし、こうした構想の障害となる暗雲が早くも漂い始めている。トランプ大統領がイランに対する敵視政策を強め始めていることだ。

イランが先月末、弾道ミサイルの発射実験を実施したのに対し、トランプ政権はさっそく追加制裁を科すと発表した。オバマ前政権時代、イランと米欧などはイランが核開発を制限する見返りに経済制裁を解除する「歴史的合意」を達成したが、トランプ氏はこの核合意を「最悪」と非難している。米国とイランの関係は早晩、大きく冷え込みかねない状況だ。

一方、ロシアは地対空ミサイルシステム「S300」を供給するなどイランとは密接な関係にある。シリアの停戦や和平協議もトルコとともに、イランの協力を得て進めた。米国とイランの関係が悪化すれば、IS掃討とシリア和平への協力を通じて米ロの関係改善をめざす道筋自体が頓挫しかねない。

ロシアが最も恐れる、対中国の強硬姿勢の余波

イラン問題だけではない。ロシアが最も恐れているのは、トランプ氏の中国に対する強硬姿勢の波及だ。まだ表面化していないが、米政権が米ロ関係を改善する見返りとして、中国と距離を置くようロシアに要求するシナリオが想定されるからだ。

ロシアにとって中国は最大の貿易相手国だ。ウクライナ危機で国際的な孤立を強めるなか、ロシアは対中依存をさらに強めた経緯もあり、中ロ関係を台無しにしてまで米国にすり寄るとは考えにくい。

自信過剰で起伏が激しいとされるトランプ大統領だけに、その外交路線も予見しにくい。ロシアの思惑通りに、米ロ関係が順調に改善すると断じるのは早計だろう。

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『「北の核」潰しの決意を日韓に質したマティス 「米国と共に戦うか、さもなくば……」』『「第2次朝鮮戦争」から目をそらす韓国人 「狂犬」のお達しも空振りに』(2/9・10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

安倍首相がアーリントン墓地に行きましたので、今年のトランプ大統領の訪日時に靖国参拝するかどうか期待して見守りたいと思います。それにより、中国との対決度も分かり、嘘つき韓国の外交カードの無効化と朝日が策動して始めた事件の無効化が図られます。天皇参拝にも道を拓くことになります。今の自衛隊員の殉職者が靖国に祀られるようにしませんと。

本記事にありますように日本も敵基地先制攻撃能力を持たないと。似非平和主義者or平和ボケは「とんでもない」と思うのかもしれませんが、目の前の危機に何も対処しないのであれば、多くの国民が犠牲になります。何より安全優先です。トランプの考えと一緒です。“ostrich policy” こそが深刻な危機を齎すことを自覚しませんと。

米国は北に先制攻撃を仕掛けるときは、韓国に事前通知はしないでしょう。中国に漏れる可能性もあるし、北に内通者が出るかもしれませんので。日本には当然その前に、米軍の家族の沖縄基地への避難がありますので分かるでしょう。以前やったように、訓練に仮装して。

http://www.cnn.co.jp/world/35094531.html

北のミサイルはTHAADがなくても、日米のミサイル防衛で防げると思っています。問題は国内の治安でしょう。朝鮮総連も日本国内にありますし、民潭も機に乗じてテロを起こすかもしれません。水道に毒を流すとか、厳しく監視しなければ。日本は日本人の物です。外国の危険分子の物ではありません。

朝日新聞を筆頭に左翼リベラル勢力は国民の安全を蔑ろにした論調を展開すると思います。現実に対応できない空理空論というのが国民にもやっと理解できるようになるのでは。それでは気づくのが遅すぎますけど。

本来、国が音頭を取って避難訓練と自警団の組成(今の防犯パトロールを大きくしたものでも良い)を図らなければ。市に下ろして、予算措置して実現するようにできれば良いですが、メデイアの反対で潰されるでしょう。本当に困った存在です。

記事

訪韓したマティス米国防長官は黄教安大統領代行をどう“値踏み”したのか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

前回から読む)

米国のマティス(James Mattis)国防長官が韓国と日本を訪れた。「北朝鮮の核」と戦う覚悟があるか、見定めるためだ。

トランプの暴言封じ

鈴置:マティス国防長官が2月2、3の両日に韓国を訪れ、黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行や韓民求(ハン・ミング)国防長官と会談しました。

マティス長官のメッセージは明快でした。聯合ニュースの「米国防長官『韓米同盟強化など、米国の安保公約不変』」(2月2日、韓国語版)によると、以下のように言明しました。

  • 米韓同盟の強化と拡大抑止など、米国の安全保障への公約は不変であるという事実をもう一度明確にする。

—2月3日に日本で安倍晋三首相に述べたのと同じ文言ですね。

鈴置:ええ、全く同じです。日本の外務省の「マティス国防長官による安倍総理大臣表敬」(2月3日)を見ると分かります。

トランプ(Donald Trump)大統領は選挙期間中、韓国や日本を「安保ただ乗り」と批判。「自分は自分で守れ」などと同盟を軽視する姿勢も見せました(「トランプとオバマの間で惑う朴槿恵」参照)。

マティス長官の日韓訪問はその修正、つまり「同盟の確約」が目的の1つでした。日経の吉野直也ワシントン支局長が「『狂犬』が狙ったトランプ氏の暴言封じ 日韓訪問」(2月4日)で指摘しています。

共に戦う決意はあるか

当然のことですが、「同盟の確約」には無言のうちに条件が付いています。敵――現時点では核武装間近の北朝鮮と、共に戦う決意があるのなら、です。それを見極めるのがマティス国防長官の旅の最大の目的だったのでしょう。

彼は「狂犬」(Mad Dog)のあだ名を持ちます。韓国へ向かう際、核戦争用の空中指揮機――別名「最後の審判の日の飛行機」(Doomsday Plane)の中で以下のように語りました。国防総省の「Mattis Describes Overseas Trip as Opportunity to Listen to Allies’ Concerns」で読めます。

  • together we confront the North Korean situation.
  • I want to listen to them, engage with their political leaders, listen to some of their briefs, [and] get an understanding of their view of the situation.

「我々(米日韓)は北朝鮮の状況に共に立ち向かう」と述べた後、「(日韓の)政治指導者の説明を聞き、現状をどう見ているのか理解したいのだ」と、訪韓・訪日の目的を説明しました。

「説明を聞きたい」とへりくだった言い方をしましたが、要は「米国と肩を並べて戦う決意はあるのか」と問い質しに日韓に行くと言ったのです。

北への先制攻撃論

—日本では「日米安保を尖閣諸島にも適用する」との発言が大きく報じられましたが……。

鈴置:中国がトランプ政権の最大の仮想敵であることは間違いありません。しかし米国にとって――日本にとってもそうですが、緊急の課題は北朝鮮です。

「目前に迫った北朝鮮の核武装をいかに阻止するか」が課題なのです。先ほど引用した国防総省の発表資料を見ても、マティス長官の発言は「北朝鮮の核」一色です。

2016年9月以降、米国では北朝鮮の核・ミサイル施設への攻撃論が声高に語られるようになりました(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。

表「米国の『先制攻撃論』」を見れば分かる通り、2016年9月5日の北朝鮮の長距離弾道弾の試験と、9月9日の5回目の核実験の後、米軍高官らが矢継ぎ早に語りました。

5日 北朝鮮、高速道路から3発の弾道ミサイル連射、1000キロ飛び日本のEEZに落下
9日 北朝鮮が5回目の核実験を実施し「戦略ミサイルの核弾頭の生産が可能になった」
   
10日 稲田朋美防衛相、韓民求国防相に電話会談で、GSOMIA締結を呼び掛ける
12日 韓国国防相報道官「日本とのGSOMIAは必要な雰囲気。ただ、国民の理解必要」
16日 マレン元米統合参謀本部議長「北の核の能力が米国を脅かすものなら先制攻撃しうる」
19日 カーター国防長官、在韓米軍のスローガン「fight tonight」を引用「その準備はできた」
20日 北朝鮮「推力重量80トンの静止衛星運搬用ロケットの新型エンジン燃焼試験に成功」
20日 ハイテン米戦略軍次期司令官「北朝鮮はいずれICBMを持つ。すぐに備えるべきだ」
22日 米大統領報道官、対北攻撃を聞かれ「一般に先制的軍事行動に関し事前に論議しない」
24日 ヴィクター・チャ教授、中央日報に「北朝鮮のICBMの破壊も検討」と寄稿
26日 米韓海軍、日本海で合同訓練。韓国軍「北朝鮮の核・ミサイル施設や平壌が攻撃目標」
米国の「先制攻撃論」(2016年9月)

オバマ(Barack Obama)政権が北朝鮮の核開発を放置した結果、米国まで射程に収める核武装が間近に迫った、との危機感からです。

激しい大統領選挙戦もあって一時期はメディアの関心もそこから外れていました。が、トランプ政権発足の直後から再び、米議会などで「北への先制攻撃」が語られ始めました。

日本も敵基地攻撃能力を

—選挙戦の最中、トランプ氏は「金正恩(キム・ジョンウン)と話し合う」と言っていませんでしたか?

鈴置:そう語りました。米国が初めから対話を拒否するとは限らない。でも、話し合いで金正恩が核を放棄するとはまず考えられない。そして対話に時間を費やせば、その間に核を実戦配備されてしまう。

日本政府がミサイル防衛網を3段構えに強化しようと動いているのもそのためです。現在は地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)と、海上配備型のSM3の2段構え。

これにTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)か、SM3の地上配備型を加えて3段にする計画です。

ただ、ミサイル防衛網をいくら強化しても完璧ではない。北朝鮮が一度に大量のミサイルを撃ってきたら「撃ち漏らし」が出ます。

そこで、日米の安保専門家の間では「北の核・ミサイル施設を先制攻撃すべきだ」との意見が密やかにですが、急速に高まっています。

だから安倍首相もマティス訪日直前の1月26日に、衆院予算委員会で北の核・ミサイル開発を念頭に「敵基地攻撃能力の整備を検討すべきだ」と答弁したのでしょう。以下です。

1年あれば日本も可能に

  • (敵基地攻撃に関して)政府は従来、他に手段がないと認められるものに限り憲法が認める自衛の範囲に入り、可能であると考えている。
  • 一方、わが国は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、保有する計画もない。
  • 国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から、常にさまざまな検討は行っていくべきものと考えている。

米軍が先制攻撃する際、第1波の攻撃に日本は加わらないでしょう。しかし当然、北朝鮮は米軍基地のある日本に対しミサイルで反撃してくる。

その北朝鮮のミサイル基地を叩くのを米軍任せにしていいものか、との議論が起きると思われます。米軍だけでは「手が足りない」可能性があるからです。

ある専門家は「死に物狂いで整備すれば、日本も1年間で北朝鮮への攻撃能力を整備できる。ただし、敵基地の所在に関する情報などは米国に依存することになる」と解説しています。

逡巡するロッテ

—韓国軍に敵基地攻撃能力はあるのですか。

鈴置:もちろんあります。韓国空軍の使命の半分以上が北朝鮮の基地攻撃にあるとされます。ただ、やはり情報は米軍頼みです(「朴槿恵は『北爆』を決意できるのか」参照)。

韓国の問題は「能力」ではなく「意図」です。北朝鮮は日本に対しても反撃するでしょうが、主な目標は韓国となります。韓国人がそれに耐えられるかどうか――。

ソウルを含む韓国の北半分は、長距離砲と300ミリロケット砲の射程に入る。北朝鮮はミサイルなどという高価な武器を使わずとも、簡単に韓国を「火の海」にし得るのです。

韓国人が恐れるのは「火の海」だけではありません。中国も怖いのです。米国は北朝鮮のミサイルから在韓米軍基地と、韓国の南半分を防衛するため、THAADの在韓米軍基地への配備を計画しました。

ところが、中国に脅された韓国が配備を承諾しませんでした。米国が「在韓米軍を引いてもいいのか」と脅したため、ようやく昨年7月に認めました。

ただ、これがすんなり進むか分かりません。配備場所はロッテ・グループが所有するゴルフ場ですが、中国政府から圧力を受けたロッテが引き渡しに逡巡し始めました。

米韓離間のチャンス

大統領選で先頭を走るのが「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表。「大統領に当選したら当然、米国より先に北朝鮮に行く」と語る親北左派です。

THAAD配備に関しても「次期政権で決めるべきだ」と反対しています。もちろん中国の顔色も見てのことです(「中国が操る韓国大統領レース」参照)。

マティス国防長官が今回の訪韓で「予定通りの配備」を確認したうえ中国を暗に批判したのも、次の政権では配備は困難と見られるからです。

—中国批判とは?

鈴置:先に引用した聯合ニュースの記事から引用します。

  • どこの誰も、米韓両国を離間することはできない。米国はいつも韓国とともにいる。

わざわざ「米韓を引き離そうとするどこかの誰かさん」つまり中国と、韓国内の従中・従北勢力に言及し、牽制したのです。

中国などにすれば、THAADは米韓同盟の空洞化の絶好のテコです。韓国にTHAAD配備を拒否させれば、米国は在韓米軍を撤収する可能性が高い。ことに今は米国が対北先制攻撃を検討するなど、状況が煮詰まっているからです。

「狂犬」よりも中国が怖い

—でも「狂犬」に脅されたら、左派も配備に同意しませんか?

鈴置:中国が怖くて、なかなかそうはいきません。国会で最大会派の「共に民主党」はマティス長官が韓国を離れた2月4日、「THAAD配備、弾劾政権でこれ以上論議するな」(韓国語)とのコメントを発表しました。理由には「中国との外交摩擦と経済面での報復」を挙げました。

日本ではあまり報じられませんでしたが、「共に民主党」の7人の国会議員が1月4日「中国政府とTHAAD問題を論議するため」に訪中しました。

彼らは王毅外相から「THAADの配備は一時中断せよ」との韓国政府への伝言を貰って帰りました。中国は、配備を遅らせておけば「文在寅大統領」が誕生し、配備は雲散霧消すると計算しているのでしょう。

韓国では7人の議員を「朝貢使」と批判する向きもありました。が、同党の支持率が落ちたわけでもなかった。

米国の言うことを聞かなくても無茶はされないと韓国人は思っている。半面、中国に逆らうとどんな報復をされるか分からない(「中国が韓国を『投げ売り』する日」参照)。

意識調査の結果を見ても韓国人にとって、もう「米国よりも中国が大事」なのです(グラフ「韓国にとって重要な国は?」参照)。

これもあって、日米の安保専門家の多くが「米国は先制攻撃の際、韓国には事前通告しないだろう」と見るのです。教えたら、たちどころに中国に御注進するでしょうから。

(次回に続く)=2月10日掲載予定

2月3日、マティス米国防長官と韓民求国防部長官が会談した国防部前ではTHAAD配備反対集会が(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

前回から読む)

米国が「北朝鮮の核武装」阻止に動く。だが、韓国の腰は定まらない。

マティスに反旗の左派系紙

鈴置:「狂犬」(Mad Dog)のあだ名を持つマティス(James Mattis)米国防長官が2月上旬、韓国と日本を訪問しました。

—韓国紙はマティス訪韓をどう評したのですか?

鈴置:在韓米軍へのTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)配備に焦点を当てました。韓国がそれを受け入れるかが米韓同盟の試金石となっているからです(「『北の核』潰しの覚悟を日韓に質したマティス」参照)。

メディアにより、意見は割れました。左派系紙のハンギョレはTHAAD配備の危うさを指摘しました。社説「新ミサイル体制のために訪韓したような米国防長官」(2月3日、日本語版)で以下のように主張しました。

  • マティス長官は24時間ほどの短い訪韓中にTHAADの配備を押し切ると何度も表明した。訪韓の最大の目的が「THAAD配備固め」のようにすら感じられる。
  • このような動きは中国やロシアを刺激して朝鮮半島と北東アジアの安保情勢を悪化させ、核問題解決策の議論の障害物になりかねない。
  • マティス長官の今回の歴訪は北朝鮮だけでなく中国にも警告メッセージを送る意味がある。トランプ大統領が公言してきた対中国圧迫を本格化させるのに先立って、韓米日の協力体制を固めようとしているのだ。
  • 我が国は今後韓米日の軍事安保協力強化の求めによって具体化していくこのような動きに対して、バランス感覚を持って対処する必要がある。

ハンギョレは「日米韓」の軍事協力強化に反対してきました。北朝鮮との融和も唱えています。こうした書きっぷりになるのも当然です。

「ずるい」中央日報

配備には賛成するけれど、さりげなく留保条件も付ける「ずるい」社説を書いたのが中央日報です。「THAAD配備と拡大抑止の強化に漏れがあってはならぬ」(2月3日、韓国語版)です。

見出しだけ見ると、親中色が強くTHAAD配備に慎重だった中央日報が「狂犬」の訪韓を受け、宗旨替えしたかと思います。

本文中でも「THAADは北朝鮮の核・ミサイルから国民と財産、米軍の兵力の保護と生存に必須の防御兵器だ」と主張しました。でも、それに続いてこんなくだりがあるのです。

  • 配備に反対する国民をもう一度説得し、中国とロシアにも誠意を持って説明することを政府に望む。

韓国民はともかく、中国とロシアは韓国政府がいくら説得しても応じるはずがありません。米国に対しては「私は配備に賛成しました」とゴマをすり、中ロには「御意向を尊重するよう政府に要求しました」と弁解する、子供だましの筆法です。

相変わらず「二股」の朝鮮日報

—最大手の朝鮮日報は?

鈴置:やはり米中双方にいい顔をする「二股社説」を載せました。2月4日の社説「トランプ時代にも米韓は利益ではなく『価値の同盟』でなければ」(韓国語版)から引用します。

  • マティス長官の言葉通り「THAADはひとえに北朝鮮のミサイルの脅威に対する防衛的な武器」であり「韓国国民と我々(米国)兵力を保護するための措置」だ。
  • 中国がTHAADに憂慮することには留意せねばならぬが、我々を手なずけようとか、韓米同盟を離間する機会にしようとするのは決して容認しない。

まず、マティス長官の言葉を引用することで中国の怒りを米国にそらそうとしました。「配備は米国の意向です。文句を言うなら米国に言って下さい」というわけです。

そのうえ「中国の憂慮に留意せねばならぬ」と書いて「あなたに逆らうつもりはありませんから」と、もみ手したのです。

こんな舌先三寸の社説を書いて、もし中国から「だったらお前の言う通り、俺にもちゃんと留意して配備を拒否しろ」と言われたら、朝鮮日報はどうするのでしょうか。

マティスもげっそり?

—韓国各紙の社説をマティス長官が読んだら、さぞかしげっそりするでしょうね。

鈴置:げっそりしたと思います。韓国は北朝鮮との緊張が高まるたびに米国に「次の米韓合同軍事演習では、B52爆撃機など戦略兵器を持ち込んで北を脅してくれ」「いっそのこと戦略兵器を韓国に配備してくれ」と要求する。

今回も中央日報が社説「韓米国防会談、米国の戦略資産を韓半島に常時循環配備せよ」(2月3日、日本語版)でそれを主張しました。

でも、韓国は米国にそう要求する一方で、中国に秋波を送る。「米国と協力して北の核を根絶しよう」と国民に戦争の覚悟を訴えるわけでもない。韓国の言うことを聞いて戦略兵器を韓国に送ってきた米国からすれば「食い逃げ」されっぱなしです。

「覚悟」を訴えた東亜日報

—1紙ぐらいは「覚悟」を呼びかけてもよさそうなものですが。

鈴置:私が見た中では唯一、高まる「第2次朝鮮戦争」の可能性を指摘し、国民に心構えを説いた社説がありました。東亜日報の「ただならぬトランプの対北圧迫に準備はあるか」(2月4日、韓国語版)です。

  • 最近、トランプ政権や米議会では対北先制打撃はもちろん、北朝鮮政権の交代や金正恩(キム・ジョンウン)の暗殺まで議論されている。
  • 1994年に北の寧辺(ヨンビョン)核施設への空襲の一歩手前まで行ったが、全面戦争勃発と韓国の被る莫大な被害への憂慮のため、取り止めたことがある。今回も、タカ派一色のトランプ政権の動きがただならない。
  • 金正恩の予告通りに北朝鮮が大陸間弾道弾(ICBM)の試射を断行した場合、米国が要撃などの強硬措置に出れば、朝鮮半島情勢がすぐさま、激浪に飲み込まれることもあり得る。
  • 国が百尺竿頭の危機にあるというのに、政界は大統領選ごっこに血道をあげる。野党には、THAAD配備など敏感な懸案でトランプ政権の対北政策と反対の方向に旋回する動きも見える。一般の国民の安保意識もこれまでと変わらない。

どうせ大国が決める

—なぜ、韓国人は「百尺竿頭の危機」を直視しないのでしょうか。

鈴置:「直視してもしょうがない」と思っているからでしょう。仮に「北朝鮮の核施設を先制攻撃してほしい」と韓国人が頼んでも、米国がすんなり応じてくれるわけでもない。反対に「やめてくれ」と頼んでも、自分に必要なら米国は実行する。

1994年の寧辺への攻撃も韓国と相談もなく計画され、韓国の意向とは関係なく取り止めになりました。当時の金泳三(キム・ヨンサム)大統領は後になって「自分が中止させた」と言い張っていましたが、それを本気で信じる韓国人は少ない。

この問題に限らず、韓国人には「自分の運命は周辺大国が決めるものだ」との諦念のようなものがあります。歴史的に「常に大国に決められてきた」からです。

元寇や明治維新のように外敵を追い払った経験を持ち「団結すれば運命は切り拓ける」と考える日本人とは完全に異なるのです。

「自らの意思で自分の運命を決められない」以上、韓国メディアが厳しい現状の分析よりも、読者の耳に心地よい話を報じるのは当然です。

マティス訪韓に関しても多くの新聞が「日本に勝った」「やはり韓国は米国に愛されている」といった情緒的な分析を載せました。

日本に勝った!

—なぜ「日本に勝った」のでしょうか。

鈴置:マティス長官が日本よりも先に韓国を訪問したからです。韓国を「愛する」からというより、韓国が米中間で「揺れている」ので、米国はまずその姿勢を確かめたかったのだ、と私は想像しますけれど。

国会開催中だった日本が「木・金」ではなく「金・土」の日程を希望したこともある、と説明する関係者もいます。

今、韓国人は孤独感にさいなまれています。それも「日本に勝った」式の報道を加速していると思います。

中国からはTHAADで苛められ、日本からは「慰安婦像」で見捨てられた。その結果、実害も出ています。

資金流出が始まりそうというのに韓国は、大口の通貨スワップを失う可能性が大きくなったのです(「中国が韓国を『投げ売り』する日」参照)。

朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の北京の軍事パレード参観で、米国から白い目で見られていることに、韓国人はようやく気づきました(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」参照)。

ことに米国に自国の利益を徹底的に追求するトランプ(Donald Trump)大統領が登場しました。韓国人はどんなに苛められるかと冷や冷やしていた。

そんな中、米国の国防長官が日本よりも先に韓国を訪問してくれたのです。そこで韓国各紙は「まだ、捨てられていなかった」「完全に孤立したわけではない」と小躍りしたわけです。

苦笑する中国

韓国経済新聞の2月5日の社説「堅固な韓米同盟を確認したマティス訪韓」(韓国語版)から引用します。

  • 主要国の大統領や官僚、さらには有名な芸能人、スポーツ選手もアジアに来る時は日本から訪問し、次に韓国を訪れるのが通例だ。しかし、マティス国防長官は異なった。トランプ政権が東アジアでどれほどに韓国を重視しているかを示す象徴的な例だった。
  • 国内政治が混乱する中、中国や日本との関係も疎遠になり東アジアで外交的な孤立に陥った韓国に配慮し、力づけようとしているのではないかと思えるほどだ。

米国にとって「北朝鮮の核」が最も緊急の課題ではありますが、それと「韓国を重視する」こととは異なります。もし、韓国が対北先制攻撃のお荷物になるのなら、トランプ大統領は韓国を見捨てると思います。

—韓国人はプラス思考ですね。

鈴置:こんな韓国人を笑いながら見ている国があります。中国です。中国共産党の対外威嚇用メディア「環球時報」が2月3日の社説「韓国は米国から重視されたというけれど、幸せにはなれない」(中国語)で、以下のようにマティス訪韓を評しました。

  • 韓国はマティス長官が自分たちの国に最初に来たと、興奮している。北朝鮮の核の脅威に驚くあまり、韓国は米国を救世主だと見なし、外交の独立性を失った。韓国は独立国として思考する能力をますますなくした。

米国に頭を撫でられたと大喜びする韓国――。中国は苦笑しています。この分ならもう少し脅せばまた、こっちの言うことを聞くだろうと考えていると思います。

不透明な米国

—では、中国は韓国イジメを強化するのでしょうか。

鈴置:それもするでしょうが、中国にとって韓国はあくまで外交ゲームの「駒」に過ぎません(「米国から『ピエロ役』を押し付けられた朴槿恵」参照)。

中国は小さな「駒」を動かすことよりも、ゲームの相手である米国の出方を研究する必要に迫られています。

トランプ大統領はいったい何をするのか分からない指導者です。突然の入国制限だけではありません。中国に対しては「1つの中国」という米中の基本的な合意を破る姿勢をちらつかせながら「北の核」の解決を迫り始めました。

環球時報の英語版「Global Times」が2月3日、マティス長官の訪韓・訪日に関する2人の中国人学者の意見を載せました。

Korean Peninsula tensions top the agenda of Mattis Asian tour」です。2人とも「トランプの不透明さ」を前提に議論を進めています。

朝鮮半島問題の専門家であるCui Zhiying氏は、北朝鮮への米国の先制攻撃の可能性に言及しました。以下です。

  • North Korea should stop developing its nuclear power before a possible rise in tension in the Korean Peninsula, as well as Trump’s preemptive countermeasures.
  • China should continue to deter Pyongyang’s nuclear programs while the Trump administration should seek to carry out the US-North Korea dialogues in the near future.

米国が先制攻撃的な手法をとって緊張が高まる前に、北朝鮮は核開発を止めよ。中国は北朝鮮を抑え込むから、米国は北との話し合いを早急に始めてくれ、との悲鳴に近い提案です。

判断の早いトランプ

—米国は先制攻撃するのか、それとも話し合いに入るのでしょうか。

鈴置:分かりません。今、米国はまさに分岐点に立っています。言えるのは、どちらの道を選ぶにせよ、トランプ政権は判断に時間をかけないと思われることです。

ここがオバマ(Barack Obama)前政権と完全に異なる点です。理由は2つ。トランプ大統領の性急な性格と、北の核武装が目前に迫ったという冷厳な事実からです。

(次回に続く)

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『トランプ流排外主義で米EUの亀裂深刻に 欧州極右と連鎖の危険』(2/8日経ビジネスオンライン 岡部直明)について

2/10變態辣椒氏のfacebookより

<如果川普總統是這樣的態度,向習近平承認“一個中國”的中美外交政策,我對他保持觀望的唯一理由也不存在了,我不會再支持他,我的漫畫衹支持反共者,你既然要和包子合污,我的畫筆也不會客氣了,再見川普,再見MAGA

もしトランプが習近平に向かって「一つの中国」の外交政策を認めるような態度であれば, 私は成り行きを見守る理由はないし、彼を支持することはできない。私の漫画を支持するのは反共主義者のみで、あなたが饅頭(台湾のこと?)を汚す以上は、私の筆は遠慮しない。さようならトランプ。さよならMAGA(=Make America Great Again)。

2/9米国務省のリリースは“and President Trump agreed, at the request of President Xi, to honor our “one China ”policy ”.(=トランプ大統領は、習近平総書記の要求している「一つの中国」政策に対して尊重することに同意した。)とあります。中華人民共和国は中国で一つしかありません。台湾就是台湾です。中国とは元々別なのでトランプの思いが変わったと言う訳ではないでしょう。これから具体的にいろんな意味で中国と交渉していくための通過儀礼と思います。

国務省に隠然たる影響力を持つキッシンジャ-が蠢いてトランプに「一つの中国」政策を認めさせたと思いますが、これからが米中対決の本番です。習が軍事膨張主義を止めれば米国も引くでしょうけど、習は止められないでしょう。それこそ軍から暗殺されます。やはり経済から中国を封じ込めて行かねば。ただ、トランプ大統領と安倍首相の共同会見時、両者とも『航行の自由作戦』に言及しましたから、日本も何らかの協力を求められるかもしれません。

岡部氏はトランプを極右扱いしたいようですが、もともと右翼の語源はフランス革命後の王党派支持を指していました。王もいない、共和党出身の大統領を右翼と呼ぶのはどうかと思います。彼自身が左翼リベラルだから、彼らにありがちなレッテル貼りをしてイメージを下げることを狙っているのでしょう。国民の想いからは遊離した意見だと思います。

岡部氏が、ヨーロッパでの極右と呼んでいますウイルダースやルペンも反移民・反EUなだけです。極右ポピュリズムと言って腐すのもどうかと思います。良識派として自己を規定し、上から目線で、大衆の想いに寄り添うことが無いのです。そんなに偉いのかと言いたい。新聞情報では、ルペンは第二回決選投票で負けると予想していますが、隠れトランプ支持同様、隠れルペン支持が多くいるかもしれません。期待して見守りたいと思います。

記事

トランプ流排外主義が猛威を振るうなかで、トランプ米政権と欧州連合(EU)の亀裂が深刻化している。「英国に続いて、EUを離脱する国が出る」と公言するトランプ大統領に、穏健派のトゥスクEU大統領もトランプ政権を「外的脅威」と決めつけた。EU首脳がトランプ流に危機感をつのらせているのは、選挙の年に台頭する欧州極右とトランプ政権の排外主義が連鎖しかねないと懸念しているからだ。共通の価値観に基づいて世界をリードしてきた米EUの亀裂は、国際秩序に大きな影響を及ぼす恐れがある。

欧州連合(EU)のトゥスク大統領は2月3日、EUの首脳会合を前に加盟国首脳に送った書簡で、米国のトランプ政権を「外的脅威」だと名指しして批判した。(写真:NurPhoto/Getty Images)

「右翼」に牛耳られるトランプ政権

メキシコ国境に壁建設、イスラム7か国からの入国制限、難民受け入れ停止など大統領令に基づいて排外主義を連発するトランプ政権には、米国内のみならず世界中に抗議活動が広がっている。覇権国の狭量なナショナリズムが世界を揺るがしている。

なぜ、こんな異常事態になったのか。トランプ政権の本質はどこにあるか。少なくともトランプ政権は大統領就任演説に表れていたように従来型の共和党の保守政権ではない。脱ワシントンをめざすトランプ政治は大統領選を通じて2大政党制を崩壊させたようにもみえる。

トランプ政権はどう控えめにみても、「右翼」と保守の連立政権と言わざるをえない。突き詰めていえば、「右翼」に牛耳られた政権ということになる。

戦後の主要民主主義国で、政権の中枢に「右翼」が座るのはこれが初めてといっていい。欧州に極右ポピュリズムが台頭したとはいっても、政権に直接参加しているわけではない。それがなんと覇権国・米国で起きてしまったのである。

白人至上主義者が中枢に

トランプ政権の中枢に座るのは、スティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問である。「オルトライト(ネット右翼)」を掲げるウェブサイト「ブライトバート・ニュース」を会長として仕切ってきた。「米国第一」どころか白人至上主義者で、イスラム圏からの入国制限の旗を振ったとされる。女性差別、人種差別主義者としても知られる。中国との戦争を予言するなど対中強硬論者でもある。主要メディアに対しては「抵抗勢力だ。黙っていろ」とあからさまに威嚇している。

そんな「右翼」と目される人物が、トランプ大統領の最側近として、各国首脳との電話会談に立ち会っているのである。それどころか、安全保障の最高意思決定機関である国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーに加わった。国家情報長官や統合参謀本部議長を非常任に降格させての起用だった。

事実上の首相にあたる首席補佐官のラインス・プリーバス氏と同格とされるが、その影響力はプリーバス氏をしのぐかもしれない。米議会で閣僚の承認が大幅遅れになるなかで、バノン氏の突出ぶりが目立っている。各省庁抜きでの大統領令はこうして連発された。

これが移行期間の一時なごたごたなのか、それともトランプ政治の方向性を示すものなのか注視する必要があるが、「右翼・保守連立政権」がいつの間にか「右翼政権」になってしまうのが最も危険なシナリオだ。

欧州極右ポピュリストと連動の危険

こうしたトランプ流排外主義に、最も警戒感を強めているのは、EU各国の首脳である。マルタの首都バレッタで開いたEU首脳会議では、EU分裂を歓迎するかのようなトランプ大統領の言動に批判が相次いだ。オランド仏大統領は「欧州をどう築くかは我々の問題で、外から干渉されるものではない」と反発した。ドイツのメルケル首相は「テロ対策のために特定の信条や出身の人々に疑いをかけることは正当化されない」とイスラム圏からの入国制限に警告した。議長国マルタのムスカット首相は「欧州は米国に沈黙しない」と強調した。

EU首脳がトランプ流を警戒するのは、EUの行方を決める重要な選挙が待ち受けているからだ。3月にはオランダの総選挙、4、5月にはフランスの大統領選挙、9月にはドイツの総選挙が予定されている。これらEUの原加盟国で実施される選挙では、極右ポピュリストが勢いを増す可能性がある。トランプ大統領の誕生で「今度は欧州の番だ」と勢いづき、しかも連携を強めている。

オランダ自由党のヘルト・ウィルダース党首は反EUだけでなく、反イスラムの姿勢をみせる。フランス国民戦線のマリーヌ・ルペン党首はEU離脱を国民投票にかけ、ユーロからも離脱すると訴える。「ドイツのための選択肢」のフラウケ・ペトリ党首は反難民を掲げている。

カギを握るのは、ドイツとともにEUの行方を決めるフランスの大統領選である。最有力とみられてきた共和党のフランソワ・フィヨン元首相が妻の給与をめぐる疑惑から支持率が低下し、ルペン氏を相対的に浮上させる結果になっている。ルペン氏は大統領選に向けて、トランプ大統領の「米国第一」にならって「フランス第一」を掲げた。

トランプ大統領は、こうした欧州の極右ポピュリストとの具体的な連携は避けている。自らに「右翼」というレッテルを張られることは警戒しているからだろう。しかし、英国に続いてEU離脱をする国が出るという予言は、事実上の欧州極右へのエールと受け止められる。移民排斥、難民受け入れ規制などその排外主義は極めて似通っている。

ドイツ照準にユーロ安批判を展開

トランプ政権はEUの核にあるユーロをも批判の対象にし始めた。保護主義と通貨介入をかみ合わせる戦略である。トランプ大統領が中国と日本に対して「通貨安誘導」と警告する一方で、国家通商会議トップのピーター・ナバロ氏は「暗黙のドイツ通貨・マルク安が貿易交渉の障害になっている」とユーロ安をけん制した。ユーロをあえて現存しないマルクを呼ぶのは、ユーロがドイツのための通貨であることを強調するためだろう。とくにユーロ危機のおかげでユーロ安が続きドイツの国際競争力が高まったことへの批判である。

トランプ政権は対米貿易黒字の上位3カ国である中国、ドイツ、日本を照準に、貿易戦争・通貨戦争を展開する構えである。日中だけでなく、ドイツを加えたのは、ドイツに圧力をかけることでEU全体を揺さぶろうという作戦なのだろう。

トランプ大統領は大統領就任直後、英紙『タイムズ』とドイツの大衆紙『ビルト』との共同インタビューで、「EU(欧州連合)は貿易面で米国に害を与えるために創設された」などとEUを批判。トランプ政権で国家通商会議トップを務めるピーター・ナバロ氏もユーロ安を批判し、米国とEUの間の亀裂は深刻に。(写真:Chip Somodevilla/Getty Images)

揺らぐ米欧同盟

危険なのは、トランプ政権の反EU姿勢が鮮明になるにつれ、第2次大戦後の国際秩序の基本になってきた米欧同盟が揺らいでいることだ。英国のメイ首相はトランプ大統領との首脳会談で、「時代遅れ」としてきた北大西洋条約機構(NATO)の重要性を100%確認したとしているが、防衛負担をめぐってトランプ政権の批判が和らぐわけではない。

EUを離脱する英国のメイ首相がトランプ政権とEU諸国の橋渡しをしようとすることに対しては、「橋渡しはいらない。米国とはツィッターでコミュニケーションできる」といった皮肉も聞かれる。

米EU関係の冷却化は、主役なき世界をさらに混乱させるだろう。とくにトランプ米政権と欧州極右がともにロシアとの関係修復をめざしているだけに、混迷は一層深まることになる。

排外主義の連鎖をどう防ぐか

米国とEUという主要な先進地域に広がる排外主義の連鎖をどう防ぐか。世界各国に広がる排外主義批判の抗議行動は、自由で開かれた民主主義に対する危機感の表れだろう。

第1に、トランプ政権下で米国が民主主義の基本である三権分立を機能させられるかである。「右翼」支配を防ぐうえで、米議会の役割は決定的に重要だ。民主党の抵抗だけでなく共和党の良識派の発信力が問われる。司法の役割も重い。米連邦地裁はイスラム圏7カ国からの入国を制限する大統領令を差し止めたが、大統領権限に抗して司法が機能を発揮できるかが試される。

米企業も役割を果たすときだ。入国制限にアップルやスターバックスは反対の声をあげたが、移民の国の企業が一斉に声をあげなければ、米国の活力は失われるだろう。トランプ政権からの攻撃にさらされる米メディアは正念場である。ヘイトスピーチを面白がって取り上げ、トランプ大統領の誕生を許したメディアの責任は重い。主要メディアは社運をかけて言論の自由を実証する責務がある。

第2に、EUの結束である。ローマ条約60年の今年、EUは再結束に踏み出すときである。2度の世界大戦を受けて創設されたこの平和の組織をこれ以上、危機にさらすべきではない。英国のEU離脱、トランプ政権の誕生で勢いづく極右ポピュリズム勢力と戦うには、再結束に向けてEUの将来ビジョンを打ち出すしかない。EU市民意識が根付いている若者の知恵と行動力を生かすことも肝心だ。

第3に、自由貿易の恩恵を最も受けてきた日本の役割である。日米同盟は重要だが、それだけではすまない。トランプ政権のイスラム圏7カ国への入国制限に、安倍晋三首相は「ノーコメント」を繰り返したが、それでは責任ある民主国家の首脳とはいえない。排外主義に反対することを鮮明にしたうえで、自由貿易論を展開することだ。

環太平洋経済連携協定(TPP)はトランプ大統領による離脱で風前の灯だが、このTPPと東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を結合すれば、アジア太平洋に自由貿易地帯が築ける。そうして米国の復帰を待つしかない。EUとの経済連携協定の締結は、一層重みを増す。トランプ政権が打ち出す保護貿易、管理貿易を食い止めるには、日本とEUが連携するしかない。

トランプ流排外主義に、日本も傍観者ではいられない。

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『「アパホテル問題」はスルーするに限る 中国の「公共外交」に踊らず、日本の魅力を示せ』(2/8日経ビジネスオンライン 福島香織 )について

「「アパホテル問題」はスルー」しないでこれを奇貨として、国民にアピールするチャンスとした方が良いのでは。今までの左翼メデイアの刷り込みで「南京虐殺」や「従軍慰安婦」があったと国民は思いこまされて来ました。「ない」と主張する人間を「右翼」とか「歴史修正主義者」と呼んでレッテル貼りをして主張が広がらないようにしてきました。国民もそれに乗せられ、無関心と言うか見て見ぬ振りをして来ました。自分がレッテル貼りされるのが嫌だからです。未だ黙っている方は可愛いもので、調べもしないのに、「ない」と主張する者を非難したりしてきました。ところが、2014年朝日新聞が「従軍慰安婦」の誤報を認めました。それでもまだ、朝日新聞を購読している人がいるのですから、何をか況やです。朝日新聞は昔から共産主義国の手先です。信念を持った共産主義者でなければ、無自覚のまま或は高級紙と勘違いして購読して経営を助けることは止めて戴きたい。

国民的議論を起こさないと中国の嘘の宣伝が世界的、歴史的に定着してしまいます。歴代自民党政権が、教科書にも載せてきたくらいですから、これをヒックリ返すのは膨大なエネルギーが要ります。民主主義を機能させるには、正しい情報を国民に提示して、国民に判断して貰い、我々の代表として選良を選んで、政治を委託するシステムです。前提となる正しい情報が提供されなければ誤った判断をしてしまいます。ネットで、自分で情報が取れる時代になったとはいえ、高齢者はまだまだ既存のメデイアからの情報入手が主流です。今や一億総白痴ならぬ一億総保身となり果てています。理想は一億総保守となってほしいのですが。マザー・テレサは「愛の反対は憎しみではなく無関心」と言っています。それだけ無関心と言うのは罪深いものです。日本は自由主義国ですから、多様な意見を尊重します。小生と反対の意見であっても尊重します。ただ、長幼の序と表現の仕方には配慮が必要ですが。汚い言葉で罵るのは駄目です。ただ、在日中国人と在日朝鮮半島人には国民の安全の為、帰国願いたいと思っています。

中国は一党独裁国家ですから、動くのが早いし、捏造・改竄何でもありです。それは政治体制の構造的問題ですが、更に民族的特質として「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というのがあります。ですから平気で嘘がつける訳です。ルーツが中国人と言われる朝鮮半島も同じですが。

それに、日本国民が対抗するには、国民が一丸となってプロパガンダに対抗しなければなりません。言論人がアパホテルだけに問題を矮小化することなく、外国人の政治デモを認めるのか活発な議論を展開して、国民にその議論を通して、判断材料を提供してほしいと思っています。自国に報道の自由がない国にはプロパガンダとして利用されるのですから、相互主義の原則として認めなくても良いのではと小生は思っていますが。

記事

(写真:ロイター/アフロ)

アパホテルの客室内に、アパホテルグループの元谷外志雄代表の書いた歴史本が常備されていて、しかもその内容が「南京大虐殺や慰安婦問題はねつ造」といったものが含まれていたことが、中国さまの怒りをたいそう買って、“管制”不買運動に発展したことは、すでにいろんなメディアが報じている。

先週日曜には、ついに在日中国人らによる抗議デモが新宿で行われて、それに対して在特会元会長らがカウンターデモを行ったという。ライブでのネット放送や、知人が現場で取材した様子を見るに、口汚い言葉を発するのはカウンターデモ側で、むしろ中国人サイドは「日中友好」や「JAPAN好き」みたいな垂れ幕を掲げて行進するサイレントデモだった。当初300人などと言われていたデモ参加者も100人以下、正味の中国人参加は数十人レベルで、むしろカウンターデモが騒ぎを起こさねば、ほとんどニュースバリューもない話だった。

結果的には、中国やアンチアパホテル側にとっていい感じの映像や記事が山のように出来上がった。ちなみに、私は現場にはいかなかった。目の前の片付けなければいけない仕事が山積みであったのと、実際あんまり興味がわかなかったことも、目と鼻の先の現場にいかない怠け者のいいわけである。

だが、はっきり言って、これはニュースとして取り上げれば取り上げるほど、中国にとって有利な情報拡散になるプロパガンダという気がして、かかわりたくないのだ。もちろん、そう言い切ってしまうほどの確たる裏はとれない。そういう場合は、報道しない自由を行使する。だが、ちょっと目に余る現象がいろいろと起きているので、現状を整理してみることにする。

実質主義の人たち

そもそもアパホテルの経営者の歴史認識がどういうものであるかなど、例の田母神論文問題である程度新聞を読んでいる日本人ならば知っているし、在日中国人でも日本語のニュースを日々読んだり聞いたりしている人ならば、おおむね察しのつく話だ。

それでも多くの中国人がこれまでアパホテルに泊まっていたということは、普通の民間人にとってホテル経営者の歴史認識、思想・信条などは気にするほどのものではなくて、ホテルとしてよいサービスやリーズナブルな価格の方を重視するのだ。反日活動家だってカメラはパナソニックを愛用しているし、播磨屋のおかきやDHCのサプリや化粧品を土産にもっていっても、普通の中国人はその会社の思想信条などに関心はなくて、日本の安全、安心、おいしい商品に夢中になる。そこらへんは実質主義の人たちである。

それよりも、南京事件80周年の今年の春節前に、中国の動画サイトや微博で中国人向け投稿を頻繁にしているKat&Sidという米国人女性と中国人男性の二人組が、アパホテルの歴史本の存在を今更のように投稿して、批判し、中国のネットで炎上気味に拡散して、中国政府が旅行代理店や国民にはっきりと、アパホテルを使用するなと通達した一連の流れに、なにかしらの偶然とはいいがたいものを感じる。

もちろん、Kat&Sidが、中国共産党の手先だというつもりは毛頭ない。しかしながら、中国がこれまでとってきた、パブリックディプロマシー(公共外交)や歴史戦、国際世論戦の手法を思い返すと、最初のきっかけが偶然だとしても、中国当局はすぐさま戦略的に有効な展開を考えるものだ。そして、また日本のメディアも活動家も面白いようにそれに呼応してくれる。

反安倍の「公共外交」、およそ100編

中国の近年のパブリックディプロマシー成果については、「中国公共外交発展報告(2015)」によくまとめられている。

パブリックディプロマシー、公共外交とは「外国の一般市民に直接情報を供給したり、国際的に鍵となる人々を関与させたりして影響を与え、(自国にとって有利な)国際世論の形成を図ること」と定義されるが、そのコツについては、外国メディアに発信させ、外国人に発言させることだとしている。たとえば、2014年の対日国際世論戦である。

この一年、中国の対日公共外交のポイントは安倍晋三の軍国主義復活を喧伝し、日米を離反させ、国際社会で日本を孤立させることだった。

具体的に何をやったかというと、2013年12月30日に駐日本大使の程永華が毎日新聞に「“不戦の誓い”は場所が違う」とする署名記事を寄稿、続いて12月31日に、外交部国際局長の呉海龍が新欧州ウェブサイトに「ドイツと日本、歴史に対する態度がことなる」を寄稿、英国大使の劉暁明がデイリーテレブラフに「侵略戦争の歴史への反省を拒む日本は必ず世界の平和に対して深刻な脅威となる」を寄稿、日本の軍国主義を「ハリーポッター」に出てくる闇の帝王・ヴォルデモートだと比喩した。こうした中国外交官の文書が2014年4月まで、外国のメーンストリームメディアを中心に次々と発表された。その数、およそ100編。

日本の外交官もこれに反撃したが、数からいえば中国が圧倒した。あと英語による文章、発言の洗練さが、中国外交官の方に軍配があがったといわれている。

発展報告は、こうした外交官たちが外国メディア上で対日世論戦をしかけたことについて、「我が国の外国メディアを利用した公共外交工作の戦端を開いた」と評価している。

ただ、こうした流暢な英語を駆使した中国外交官による外国メディアの利用は、国際世論誘導戦において完全に勝利をおさめたかというと、そうでもなかった。

これは日本の外交官が頑張ったというわけではなく、中国側のオウンゴールで失敗した。日本の安倍が右傾化していると宣伝し、国際社会で孤立させるつもりだったが、中国の南シナ海覇権戦略の展開が予想以上に早く大胆であったため、あるかなきかの日本の軍国主義復活より、はっきり目に見える中国の覇権主義の方が、国際社会にとっての脅威と認識されるようになった。

同時に、日本の右傾化より、米国や欧州、他国の右傾化の方がより激しく目立つようになった。親中派だった英国のキャメロン政権がブレグジット問題を機に中国と距離をおくメイ政権に転換し、トランプだけでなく、堂々とナショナリズムを主張し、時に排他的なことも言う政治家が世界で目立つようになると、安倍政権のささやかなナショナリズムなど、かすんでしまった。

トランプ現象のおかげで、米メーンストリームメディアもそれに追随してきた日本大手メディアがいまいち、信じてもらえなくなったことも、中国の対日公共外交の効果を低くした。

「SNS外交」にシフト、官製発信5億件

中国の対日世論工作のやり方は、日本や欧米のメーンストリームメディアに世論として日本批判を報道させることだったが、日本では朝日新聞の慰安婦報道の誤報に始まり、大手メディアの信頼を損なう事件が次々と起こり、またこれまで世論をリードしてきたリベラル派の学者や評論家、コメンテーターの人気も急激に落ちてきた。日本の大衆は無条件に米大手メディアを信じ込む傾向があったが、トランプの当選を予想できなかったことで、米大手メディアの報道も政治的に偏向している事実を認識するようになった。

ただ、世論形成の主戦場が大手メディアから、SNSなどのインターネット上に変化してきたことは、中国にとっては歓迎すべきことかもしれない。中国語でいうところの微博外交、SNS外交は、かねてから力がいれられてきた。既存メディアを使わずにツイッターで直接大衆に発信するトランプがSNS外交の典型のよういわれているが、中国のSNS外交は政治家や外交官やアカウントから発信されるものだけでなく、人気ブロガーやタレント、俳優、スポーツマン、新聞記者も動員できる。

さらに中国の場合、普通のユーザーを装った、雇われオンラインコメンテーターのアカウントによる政治的発言、世論誘導発言もある。こうした“管制”オンラインコメンテーターのネット上の書き込みは年間5億件にものぼるという。

さて2017年の中国の公共外交の方針であるが、同済大学中国戦略研究院長の門洪華教授がこんな指摘をしていた。

①今年は中国の国際的地位が歴史的に転換する重要な一年であるとして、まず特に戦略的忍耐が必要だ。 ②対日公共外交に関しては、日本の民衆と右翼分子を分けて対応し、日本の世論を戦略的に誘導していくこと、そのためにインターネットを十分活用する。 ③日本においては専門家、学者が政府よりも発信力や信頼性が高いので、学術交流など、政治的背景を明らかにせず、積極的に利用していく。

彼の提言がどの程度まで当局の耳に届くかはわからないが、年初の中国の国際世論戦を見てみると、確かに忍耐が効いているような気がする。

「戦略的忍耐」には慎重対応を

例えば、トランプ政権はさかんに中国を恫喝しているが、それに対する中国サイドの反応は比較的抑制が効いて、ダボス会議などではまるで、中国が世界のリーダーとして待望されているような世論形成に成功している。トランプが暴言を吐き、無茶な大統領令を次々と出しているおかげで、相対的に中国のこれまでの傲慢な印象が薄まり、信じられないことだが、トランプの米国よりも、習近平の中国の方に期待したいような意見が欧米メディアにも出てくるに至った。このまま沈黙していれば、トランプ政権が強引な政策を推し進めて、自滅してくれるんじゃないかと、中国サイドは静かに見守っているところではないか。

そして、今回のアパホテル問題も、門洪華の提言どおりの、中国式世論誘導が展開されている気がする。まず、インターネットを十分に活用して、日本の“右翼分子”に批判を集中させる。アパホテル抗議デモも、非常に抑制・忍耐が効いていて、日本を愛する故の抗議活動である、というスタイルをとっている。環球時報も、日本の警察や民間人が、右翼の攻撃から、中国人たちの抗議デモを守ってくれた、との参加者のコメントを載せていた。

たとえば、このあと、日本の左派学者らとの学術交流による中国の主張の補強といった展開になれば、なるほど、と思う。

こういう風に今年、中国が戦略的忍耐でもって、慎重に国際世論戦を展開してくるというなら、日本も慎重に迎え撃つしかない。右翼活動家の罵詈雑言による短絡的なカウンターデモは、はっきり言って、こうした公共外交、国際世論戦にとって日本の足を引っ張る以外の何者でもなかった。

日本の公共外交は、実のところ中国が歯噛みするほどの底力がある。

まず、観光。すり・ひったくりにおびえる必要もなく、交通事故に遭う可能性も比較的低い安全性。恐ろしい風土病も感染症もほとんどない衛生面。物価は意外に安く、気候は過ごしやすく、空気も水もきれいだ。

次にアニメ・漫画・映画サブカルチャー。この二つが合わさる場合もある。“聖地巡礼”、アニメや映画に関する博物館、展示、コミケ。サブカルチャーに影響されて日本旅行に来た外国人が、SNSで写真やコメントを発信する。

日本の場合、政府がオンラインコメンテーターを雇わなくても、本当に好きで日本発信をしてくれるのだからありがたいことである。政府が主導する公共外交というよりは、むしろ日本という国や日本人がもともと持っていた創造力や資質が普通に発揮された、というべきかもしれない。

罵声よりも、胸を張れ

日本に来た外国人を、中国人も含めてきっちり親日派に“洗脳”することほど、強力な公共外交はない。そういう意味では、ホテルに特定の外国人が不愉快になるような思想・信条の本を置くのが、国際世論戦において有効かどうか、同じ歴史戦を仕掛けるにしても、もうちょっとうまいやり方があるのではないか、と議論されてもいいかもしれない。

ただアパホテルが歴史本を客室に常備するのは本来、経営者の思想信条の自由に類することで、日本や外国の政府が干渉する話ではない。南京事件があったかなかったなど、専門家たちが何年も論争を続けているのに決着がつかないのだから永遠につかないも同じだ。なかったことを証明する方法はなく、これまであったという証拠としてきた史料に説得力がないというなら、わからないというしかないではないか。それをあった、なかったと断言するのは、もはや個人の信念、信条、宗教みたいなもので、自由であるが、人に押し付けるようなものでもない。アパの歴史本は欧米のホテルに常備されている聖書とそう変わりなく、抵抗感がある人は、消費者として別のホテルを選択すればよいだけのことなのだ。

個人的にはあの時代の戦争で無辜の民間人を一人も殺害せず、捕虜を一人も処刑しなかったというのは無理があるが、30万人の虐殺というのも無茶な話だと思っている。民間人に便衣兵や少年少女兵も混じっていただろうし、捕虜の中にも最後まで反撃の機会を狙っていた者もいただろう。

一つ言えることは、あの時代、それに続く国共内戦の期間も含めて、国民党軍も共産党軍も数十万単位の民間人虐殺(兵糧攻めによる餓死者も含む)を行っていた。戦争が終わって新中国が建国されて以降も、毛沢東は8000万人以上の中国人を虐殺あるいは不正常死に追い込んだ(餓死者も含む)。中国人を一番殺してきたのは中国人である。そしてそれは比較的最近まで続いていたので、中国人自身がよく知っている。

アパホテルの歴史本に抗議の声を上げる在日中国人たちだって、わかっているはずだ。祖国では恐ろしくて口にできないことも、外国では声高に叫ぶことができる。「JAPAN好きだ」のスローガンはたぶん、彼らの本音だ。でも、天安門広場で「JAPAN好きだ」の垂れ幕を広げる勇気はあるまい。そういう彼らには、出ていけと罵声を浴びせるのではなく、民主主義っていいもんだろう、と胸を張って見せるのが、公共外交、国際世論戦においては有効だと思う。

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『日米首脳会談の隠れたアジェンダは「中国」 要警戒!「米中戦争」を予見する腹心バノンの囁き』(2/9日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

一党独裁で三権分立してない(司法は行政機構の一部)、且つ賄賂を取るのが当たり前の中国の最高人民法院の判事が吠えていますが笑劇としか思えません。中国に詳しくない人は、自国のシステムと同じと思う効果を狙ってのことと思います。習近平のダボス会議でのスピーチと同じく、人を批判する前に自国でやることが沢山あるだろうと言いたい。

2/7AFPBB Newsトランプ氏は「法の支配の敵」、中国最高裁判事が非難

【AFP=時事】中国の最高人民法院(Supreme People’s Court、最高裁に相当)の判事が5日、メッセージアプリに投稿したメッセージでドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領を「弱い者いじめ」にたとえ、米国の司法制度を破壊する「法の支配の敵」だと激しく非難した。  トランプ氏は先週自らが発令したイスラム圏7か国出身者の入国を禁止する大統領令に対し、差し止めを命じたシアトル(Seattle)連邦地裁のジェームズ・ロバート(James Robart)判事を「いわゆる判事」とあざけりながら激しく攻撃した。  これを受けて中国最高人民法院の何帆(He Fan)判事はメッセージアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」に、「判事を批判する大統領や判事を殺害する暴徒は、すべて法の支配の敵である」と投稿した。  さらに何判事は「最も民主的で、また法治の精神を最も重んじていると主張する国家において、大統領が先頭に立って判事を攻撃している」と皮肉り、トランプ氏は「品のない弱い者いじめと変わらない」と批判した。  先月のトランプ氏の米大統領就任以降、中国共産党のスポークスマンとしても知られる何判事は、欧米の民主主義が「全体的な危機」に直面しているなどと非難を繰り広げながら、中国の一党独裁体制を称賛している。【翻訳編集】AFPBB News>(以上)

中国の外貨準備高が3兆$を切りました。中国の外貨準備高は借金も入っていますので、2.8兆$が一つの山、2兆$が貿易可能かどうかの分岐点となります。人民元は基軸通貨でもなく、SDR入りしたとはいえ、国際決済での使用比率は1.67%で日本円より低いです。人民元が暴落する恐れもあり、$と交換するときには減価しますので、持ちたがらないためと思われます。中国と二国間貿易の決済で$を噛ませない人民元建ての時は、相手国は人民元が下がれば支払いに有利になりますが。

いよいよ中国経済崩壊が現実味を帯びてきたという事です。日本は間違っても敵国・中国に通貨スワップで助けないように。

http://thutmose.blog.jp/archives/62224159.html

2/8NHKニュース<中国の外貨準備高 3兆ドルの大台を割り込む

中国の外貨準備高は、海外への資金の流出を背景にした通貨・人民元のドルに対する急激な値下がりを食い止めるため、当局が引き続き市場介入を行ったと見られることなどから、先月末の時点で5年11か月ぶりに3兆ドルの大台を割り込みました。

外貨準備高は、各国が為替介入や外貨建ての借金の返済に備えて保有する資産のことで、中国は世界一の規模ですが、このところ残高が急速に減少しています。 こうした中、中国の中央銀行、中国人民銀行は7日、外貨準備高が先月末の時点で2兆9982億ドルになったと発表しました。 これは、前の月と比べ123億ドル減って7か月連続の減少となり、5年11か月ぶりに3兆ドルの大台を割り込みました。 中国では、景気の減速懸念やアメリカ経済への期待を背景に、企業や個人が、海外に資産を求めようと人民元を売ってドルを買う需要が高まっていて、人民元の相場はドルに対して値下がりしやすい状況が続いています。 このため市場では、今回の外貨準備高の減少について、中国当局が元のドルに対する急激な値下がりを食い止めるためドル売り・元買いの介入を引き続き行ったと見られることなどが要因だという見方が広がっています。 海外への資金流出の勢いが収まっていない実態が改めて印象づけられた形で、元安につながる海外への資金の流れの管理を今後さらに厳しくするのかどうか、中国当局の対応が焦点となっています。>(以上)

本日夜から安倍首相は訪米します。高濱氏はトランプが「航行の自由作戦」への参加を求めて来た時に、“yes”と言えば「日中関係は一気に険悪となる」と思っていますが、とっくになっているでしょう。原因は中国側にあって、日本側にある訳ではありません。論理の倒錯でしょう。軍事拡張を続ける中国に時間の利益を与えることは出来ません。高濱氏の言うように本会議の隠れたアジェンダ(隠れているとも思いませんが)は中国です。経済と軍事面で、如何に中国封じ込めで協力できるかが話し合われると思います。航行の自由作戦にも参加すれば良いと思います。相手が尖閣を守ると言っているのに何もしなければ、自分勝手な奴と思われるだけでしょう。

トランプがターンブルとの電話会談で早めに打ち切ったのは、オバマ時代の難民受入の話だけでなく、ダーウイン港を中国に99(=久久と発音は同じ、永遠の意味です。阿片戦争後、英国に香港割譲(1942年の南京条約、1860年の北京条約、1898年の展拓香港界址専条での期限))年租借させたことも怒りの原因だったのでは。ダーウイン港は戦略的要地で近くに海兵隊が駐留しています。ターンブルは中国語もできるし、大英連邦の一員だから99年租借のことも知っていたでしょうに。中国の英国への復讐ですよ。彼の息子は、中国政府のアドバイザーとして活躍していた中国共産党党員の娘と結婚しています。親中派と言うより、完全な敵国・中国の味方でしょう。米中対決を目論むトランプが信用しないのは当り前です。日本はそうなってはなりません。

記事


 

米ニューヨークでは、大統領令を支持する集会が開かれた(写真:ロイター/アフロ)

高濱:トランプ大統領は律儀なほど選挙公約を守り、着実に実行に移しています。これまで署名した大統領令、大統領覚書は、就任後直ちに実行すると公約した「100日間行動計画」に盛り込まれたものばかりです。

この計画に盛り込まれていて、まだ署名していないのは、中国の為替操作国認定、国連気候変動プログラムへの資金拠出停止、法人税・所得税の減税、インフラ投資などです。

米国民が大統領令に賛成する理由

—注目すべきは大統領令に対する米国民の反応です。世論調査では、大統領令に賛成する人が49%もいました。反対は47%。つまり米国民の半分は支持、半分は反対しているのですね。

(“Exclusive: A third of Americans think Trump’s travel ban will make them safter,” Chris Kahn, Reuters, 2/1/2017)

高濱:そうなのです。米国民がいかにテロを恐れているかがよくわかります。トランプ大統領がこの大統領令を出した真の意図は「イスラム教徒締め出し」と見られています。

大統領令に反対している人のホンネは「トランプ氏が嫌いだ」ということでしょう。タテマエとしては「米国が掲げる自由」「宗教の自由に反する」を挙げていますが。つまりトランプ氏のやること、なすことのすべてに反対しているのです。

問題は、大統領令によってテロが減り、より安全になるかどうかです。同じ世論調査で、大統領令が発令される前より「安全になった」と答えた人は31%、「危険になった」と答えた人は26%。ここでも国論は二分しています。

ロサンゼルス近郊のアルハンブラでガソリンスタンドを経営するトム・ストーン氏(48)は、その「庶民感覚」について私にこう述べています。「ここ1、2年の間に米国内で起こったテロはイスラム教国から侵入したテロリストの仕業じゃない。米国に定住しているイスラム系移民の子供や孫が、インターネットなどを通じてイスラム過激派の思想に染まってテロに走っている」。

「大統領令に怒ったイスラム系移民の中に『それならテロをやってやろうじゃないか』と考える者が出てくるかもしれない。そちらを警戒する必要が生じている」

では、どうしたらいいのか。米国民にも正直言ってわからない。でも、何もしないよりも大統領令を出したほうがよいのではないか。これが大統領令 を支持する半分の人たちの「庶民感覚」なんだと思います。

マティスもティラーソンも蚊帳の外

—トランプ大統領自身、ホームグローン・テロの危険があることを百も承知で決定に踏み切ったのではないでしょうか。

高濱:今回の決定が準備不足だったことは否めないと思います。外交が絡むにもかかわらず、トランプ大統領は、国務、国防、司法、国土安全保障の各閣僚予定者と一切相談していなかったそうです。

決定をニュースで知ったレックス・ティラーソン国務長官は、自分が蚊帳の外だったことを知り、ホワイトハウス高官に『唖然とした』と漏らしています。トランプ大統領はホワイトハウスにいる一部の超側近とだけ協議して決めたのです。

(“Trumponomics Daily,” Tory Newmyer, Fortune, 1/31/2017)

—超側近とは誰ですか。以前、高濱さんが指摘していたホワイトハウスの「四天王」ですか。スティーブ・バノン首席戦略官・大統領上級顧問、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問(トランプ大統領の娘婿)、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問、マイケル・フリン国家安全保障担当大統領補佐官の4人ですね。

ユダヤ教徒のクシュナー夫妻は金・土曜は働かず

高濱:「四天王」の全員と相談したのでもなかった、という説もあります。「イスラム教徒入国禁止をできるだけ早く打ち出したほうがいい」と督促し、その草案を書いたのはバノン氏でした。

クシュナー夫妻は伝統的ユダヤ教徒です。毎週金曜日の日没から土曜日の日没まで飲食はもとより電気もガスも一切使いません。クルマにも乗りませんし、インターネットはおろか携帯電話も使いません。今回の決定がなされた27、28日は、トランプ大統領とは一切接触なしです。ですから同夫妻は一切相談を受けていない可能性があります。

コンウェイ顧問やフリン補佐官に連絡をとったかもしれませんが、米情報機関関係者の一人は「フリンは会議で発言はするが、バノンのお陰で完全に影が薄くなっている」と漏らしています。

(“Steve Bannon Is Making Sure There’s No White House Paper Trail, Says Intel Source,” Kate Brannen, Foreign Policy, 1/30/2017)

(“Can Jared and Ivanka Outrun Donald Trump’s Scandal?” Emily Jane Fox, Vanity Fair, 1/30/2017

バノン氏は「ホワイトハウスのラスプーチン」

—そのバノン氏が、軍事外交政策の最高決定機関である国家安全保障会議(NSC)の「幹部会議」(Principals Committee)のメンバーに抜擢されましたね。

高濱:トランプ大統領は、大統領令への署名に先立つ1月28日、NSCの組織改正を断行しました。

同会議の「幹部会議」*のメンバーから統合参謀本部議長と国家情報長官(DNI)を外し、その代わりにバノン氏を加えたのです。バノン氏は国家安全保障問題ではずぶの素人です。おそらくトランプ大統領は自分の腹心を、他のメンバーを牽制するお目付け役として加えたのだと思います。

*:NSC「幹部会議」には正副大統領、国務、国防、司法、国土安全、エネルギー各長官、国連大使、行政管理予算局長、大統領首席補佐官に加え、統合参謀本部議長と国家情報長官が「軍事」と「情報」のアドバイザーとして常時出席してきた。国家安全保障担当大統領補佐官が議事進行役を務める。

(“Organization of the National Security Council System,” Presidential Policy Directive, The White House, 2/13/2009)

トランプ大統領から絶対的信頼を得ているバノン氏が一人で、上級顧問、首席戦略官、そしてNSC幹部会議メンバーという三役をこなす。「バノンはホワイトハウスのラスプーチン*的存在になってきた」(主要紙ホワイトハウス詰め記者)という指摘も出てきています。

*:帝政ロシア末期、ロシア皇帝ニコライ2世に重用され、権力を欲しいままにした祈祷僧グリゴリー・ラスプーチン。ロシア帝国が滅びる遠因となった。

ニューヨーク・タイムズは1月30日付の社説で、バノン氏の重用について警戒心を露わにしています。「万一、南シナ海で中国と軍事衝突が起きたり、ウクライナでロシアと軍事対決する事態になった時、トランプ大統領はこの扇動者(バノン氏のこと)に助言を求めるのか。あるいは、分別もあり国際感覚のあるマティス国防長官やティラーソン国務長官の意見を聞くのか。想像しただけで背筋が寒くなる」

(“Organization of the National Security Council System.” Presidential Policy Directive, The White House, 2/13/2009)

極右団体の旗艦「ブライトバート・ニュース」

—スティーブ・バノン氏とはどんな人物ですか。

高濱:先の選挙ではトランプ陣営の首席戦略担当者として陣頭指揮をとりました。陣営に参加するまでは、超保守系オンラインニュースサービス「ブライトバート・ニュース」*の最高経営責任者をしていました。

*:ブライトバート・ニュースは超保守派のアンドルー・ブライトバート氏が創設したメディア。白人至上主義を唱える極右政治団体「アルト・ライト」の旗艦的存在。ブライトバート氏は2012年に45歳の若さで他界。この後をバノン氏が受け継いだ。保守系メディアでは最高のアクセス数を誇っている。

バノン氏は「これまでやらなかった職業はない」と自分で言うほど様々なことをしてきました。バージニア州立工芸大学を中途退学して海軍に入隊。7年の間に、駆逐艦乗組員や米海軍作戦部長付き副官などを務めました。

除隊後、大手投資銀行の米ゴールドマン・サックスで投資担当を経験。その後ジョージタウン大学大学院、ハーバード大学経営大学院で修士号を取得。ゴールドマン・サックス当時の同僚とメディア関連の投資会社を興し、90年代にはハリウッドに進出して映画制作を手掛ける一方、地球温暖化や大気汚染防止について研究するプロジェクトにまで手を広げました。

トランプ氏とは、保守的な政治哲学で意気投合。同氏が2016年6月、大統領選に立候補した時にはせ参じて、選挙戦略参謀に就任しました。「トランプの不用意な発言や過激な主義主張に肉付けし、理論構成したのはバノン」(トランプ氏の選挙活動を取材した米テレビ局記者)と言われています。主要メディアからの攻撃に一人で立ち向かい、トランプ氏を守ってきたのはバノン氏でした。

(“A Guide to Steve Bannon, the Trump advisor who spent years main streaming white nationalism,” Zach Beauchamp, Vox, 11/15/2016)

ニューヨーク・タイムズを目の敵

—これだけの学歴と経験がありながら、どうして極右運動にのめり込んだのでしょう。

高濱:学歴と政治思想とはあまり関係ないのではないでしょうか(笑い)。バノン氏は、東部の最高学府で学び、大企業で働いたにもかかわらず、東部エスタブリッシュメントの水には馴染まなかったようです。とくにリベラル・エリートには反感を持っていたようです。海軍の町、バージニア州ノーフォークで働くブルーカラーの息子だったことと無縁ではないかもしれません。

バノン氏は、ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、「この国のメディアは反対勢力だ」と激しい口調で攻撃しています。「君たちは大統領選挙の見通しを見誤った。歴史に残る屈辱的敗北だ。これを恥じて、しばらく黙っていたらどうか」

(“Trump Strategist Steve Bannon Says Media Should ‘Keep Its Mouth Shut,‘” Michael Grynbaum, New York Times, 1/26/2017)

中国には厳しい態度

—ところで、2月10日にはワシントンで安倍首相がトランプ大統領と会談します。今や、トランプ大統領の内政外交を陰で操るバノン氏はトランプ大統領にどんな知恵を授けるでしょうか。

高濱:バノン氏は、中国が南シナ海で軍事施設を建設するのに厳しい目を向けてきました。2016年3月にはラジオ番組で、米中が軍事対決する可能性についてこう述べています。「我々は今後5~10年の間に南シナ海で中国と戦争を始めることになるだろう。疑問の余地なしだ。なぜか、中国は南シナ海のど真ん中の岩礁に事実上の『固定空母』を構築し、そこにミサイルを配備している。そして我々に対し『あの海域は大昔から中国の領海だ』と主張している。面と向かってだぞ。我々にも面子がある。面子は我々にとって非常に重要だ」。

(“White House’s Steve Bannon thinks war with China is imminent: ‘There’s no doubt about that,‘” International Business Times, 2/2/2017)

南シナ海における中国の動向については、ティラーソン国務長官も1月11日、上院外交委公聴会で「人工島建設の中止、人工島へのアクセス阻止が米国政府の意向だという明確なシグナルを送るべきだ」と証言しています。

また東シナ海における中国の動きに関しては、訪日したマティス国防長官が2月3日、安倍首相と稲田朋美防衛相に対し、尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象であると明言しています。2月6日にはティラーソン国務長官も岸田文雄外相との電話会談で尖閣諸島について同様の発言をしています。

トランプ大統領は、「一つの中国」にこだわらないと発言したり、中国を「為替操作国」に認定すると発言したりしてきました。外交・経済の両面で中国に対し厳しく対応する姿勢を打ち出しています。こうした対中認識を持って安倍首相との会談に臨むはずです。

かって民主、共和両政権で東アジア政策を担当した米政府の元高官は私にこう指摘しました。「10日の日米首脳会談の陰のアジェンダは中国だ。トランプが対中政策について何を言い出すかに注目すべき。就任早々でまだ国務、国防両省のサブキャビネット(次官、次官補クラス)のポストは完全には埋まっていない。このため、新政権は対日戦略をまだまとめ上げていない。だから日本としてはやりづらいはず。予測不可能なトランプが安倍に面と向かって何を言い出すか、誰にもわからない」。

例えばトランプ大統領が安倍首相に対して、こう切り出したどうなるでしょう。「中国は南シナ海でやりたい放題だ。日米で阻止しなければならない。日本は東南アジア諸国との防衛協力の強化や、海上警備能力の構築支援において役割を拡大すると公約している。『航行自由作戦』(FONOP)*の最中に米中が軍事衝突したら自衛隊の支援を頼む」。

*:米国は「国連海洋法条約」を締結していないが、「他国が公海上で第三国の航行に制限を課す試みを容認しない」ことを示すため、中国のほかインド、イランなど10数か国に対して同作戦を展開している

米海軍は2015年10月以降、駆逐艦などを南シナ海に出動させて、国際規範の順守を訴える「航行自由作戦」を展開しています。

マティス国防長官は稲田防衛相に「現時点では軍事的な行動をとる必要は全くない」と述べていますし、稲田防衛相は「自衛隊が『航行自由作戦』ですぐ出て行くことはない」と自衛隊の参加を否定しています。

安倍首相はトランプ大統領に何と答えるのでしょう。仮定の話とは言え、安倍首相の発言次第で、日中関係は一気に険悪となります。

マティス国防長官は、日本による在日米軍駐留経費の負担を「他のホストネーションのモデル」と評価し、日本政府はひとまず安堵しています。しかし、「敵は本能寺にあり」。日米首脳会談の陰のアジェンダは「中国」です。

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