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『北朝鮮のミサイル発射が増幅する米韓の不協和音 北の「先手」に操られる文在寅政権』(5/14日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について
韓国は2月に慰安婦合意見直しを国連条約組織に、黄大統領代行時代に申請したとのことです。北の影響を受けたNGOが裏で蠢いたのでしょうが、韓国政府の知らない所では動けないはずです。合意も守れないで日本を一方的に非難するのは許せません。キチンとその都度反論していかないと。経済的・軍事的にも助けることをしないように、国民がもっと怒りませんと。
http://www.sankei.com/politics/news/170514/plt1705140006-n1.html
http://www.sankei.com/politics/news/170514/plt1705140049-n1.html
国連拷問禁止委員会はスイスのジュネーブにあります。川口マーン惠美氏の『世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン』によれば、スイスは自国民の人権を弾圧してきた歴史があります。そんな国が日本を批判するのに手を貸すことはできないでしょう。勿論、韓国が裏で金を出していることは間違いないと考えます。
「P.86~91
一九七〇年まで続いた奴隸市場
二〇一六年四月ニ七日、スイスの下院は、かつて国家が強制労働をさせた子供たちに対して補償金を支払うことを決めた。
この強制労働は、戦時下に外国人の子供をこき使ったという話ではない。被害者はれっきとしたスイス国民で、スイスは一八〇〇年から一九七〇年ごろまで、なんと一六〇年以上も貧困家庭や離婚家庭の子供たちを教育という名目で強制的に「保護」し、孤児院に入れたり、「里子」として斡旋したりしていた。
これはもっと侮蔑的な「Verdingkind =子供召し使い(?)」という言葉で呼ばれていたのだが、この差別的雰囲気をうまく日本語に訳せないので、ここでは「里子」としておく。 「里子」の引き取り手は、主に安い労働力を欲していた農家などだったが、ときに炭鉱で働かされたり、薬物実験に回されたりする子供もいたという。
いくつかの州においては、「里子」を取引する市場が定期的に開かれた。そこで子供たちは家畜のように吟味されたというから、まさに奴隷市場だった。
ただし、本当の奴隸市場とは違い、引き取り手はお金を支払うのではなく、「里親」として国から養育費をもらった。競売とはちょうど反対で、養育費を少なく要求した人から順に、子供をもらえたのだという。そして子供の人権は一切剥奪され、実質的には、「里親」 となった人間に生殺与奪の権利が与えられた。
こうなると、子供たちの運命は「里親」によって決まる。多くの子供たちは四、五歳ぐらいから、賃金も小遣いももらえないまま、ただ、働かされた。戦後は、最低限の義務教育は受けさせてもらったが、それより以前は学校などとは縁がなかった。
虐待は日常茶飯事で、さらに運の悪い子供たちは、飢えや寒さや性的虐待にも見舞われた。妊娠すれば堕胎させられ、断種や強制避妊も行われた。しかし、虐待がわかっても、警察や行政はほとんど介入することはなかった。
要するに、子供たちは社会のクズのような扱いを受け、お金がないのでいつまでたっても自立できず、農奴の状態を抜け出せぬまま一生を終えることも稀ではなかった。
一九一〇年には、スイス全土で一四歳未満の子供たちの四%もが、「里子」に出されていた。歴史家マルコ・ロイエンベルガーによれば、児童労働は国家の政策として、組織的に行われていたという。
首都のあるべルン州ではとくに多く、「里子」の割合は子供の約一〇%に上ったそうだ。 一九六〇〜七〇年代には、数万人いたと見られており、もちろんその多くはまだ生きている。
子供の強制収容が中止された年は
驚くべきことに、この「里親」制度が正式に中止されたのは一九八一年である。この年ようやくスイスは、これまで行ってきた子供の強制的な収容や「里親」への引き渡し、 手術や堕胎、強制的な養子縁組などを停止した。
そのあとニ〇〇五年には、法務省の指示で過去の「里親」制度にメスが入れられ、下院が法改正を提案したが、いつの間にかうやむやになり、六年後には立ち消えになってしまった。
それ以後、政府の動きはなかったが、そのうち被害者を支援する市民グループが立ち上り、国民イニシアティブの署名を集め始めた。それを見て、知らぬ存ぜぬでいられないと知った政府はニ〇一三年、法務大臣の名で公式に謝罪。いまではかつての「里子」は被害者という名前に変わっている。
翌二〇一四年には、民間の組織が補償基金を設立し、四〇〇人の被害者に一人約八〇〇〇スイスフランの補償を支払っている。そして同年、十一万の署名を集め終えた前述の市民グループが、被害者のための新たな五億スイスフラン規模の補償基金の設立を国民イニシアテイブとして発議した。
それに対して政府は、この発議が国民投票に持ち込まれるのを防ごうと、慌てて対案を下院に提出した。そして、補償規模が三億スイスフラン程度に切り下げられたこの対案が、この章の冒頭に書いたように二〇一六年四月、下院で可決されたわけである。
これを市民グループ側が了承すれば、国民投票なしで一件落着である。その場合、補償を受ける被害者の数はおよそ六五〇人で、一人当たり二万から二.五万スイスフランの額になるという。
スイスで根絶されるべき人種とは
スイスのやり方は、ロマに対しても徹底的に過酷だった。ロマとはいわゆるジプシー(差別語)で、東欧やパルカン半島に多く住んでいる。それらの国では、ロマはいまでも激しい差別を受けているが、その対応の仕方は、基本的に「無視」である。早い話、ロマはいないものとして社会が構成されている。
社会が受け入れないから、ロマたちはもちろん、ちゃんとした職にも就けない。多くの町のあちこちで物乞いをしたり、ゴミを漁ったりしているが、普通の人の目には、その姿さえ見えないも同然なのだ。
アルバニアでもブルガリアでも、現地ではそれを如実に感じた。「ロマがいるから、ハンドバッグに気をつけて」と注意してくれる人の目には、ロマは煩わしい害虫と変わりがなかった。なるべく遠くの集落に住み、なるべく社会に害を与えずにいてくれればそれでよいのだ。ロマの人権はもとより、状況の改善などを本気で考える人は、政治家にもほとんどいないというのが、私の印象だった。
ところがスイスは違った。ロマは根絶されるべき人種だというのがこの国のエリートの考えであったようだ。それゆえ、無視はせず、赤ん坊が誘拐のように連れ去られ、施設に閉じ込められたり、「里子」に出されて強制労働に従事させられたりした。収容施設では寒くて薄暗い独房に閉じ込められ、親に会わせてもらうことも一切なし・・・そんなロマの子供たちがたくさんいたという。
また子供だけでなく、大人も多くが強制的に施設に収容され、断種が積極的に行われた。スイスのロマは、生まれてから死ぬまで犯罪者のように扱われたのだ。
ロマの子供の「保護」は、一九一二年に設立された「青少年のために」という公共団体の主導のもとに行われ、とくに一九二六年からは浮浪児援助の部局が設けられ、ロマ対策に当たり、スイス政府も一九三〇年ごろから積極的に協力し始めたという。
ここら辺の事情は、福原直樹氏の著書『黒いスイス』に詳しい。同書から少し引用させていただく。
<スイスでは司法当局が詳細な「誘拐計画」を作成し、内務省が団体(筆者註:「青少年のために」)に助成金を出し始めた。同年(筆者註:一九三〇年)の団体への政府助成金は一万五〇〇〇スイスフラン。この政府の助成は一九六七年まで続き、団体の誘拐部局の経費の七〜ニ五%が、政府の助成で賄われていたという。ちなみにこの年に助成金が打ち切られたのは、問題への反省からではなく、当時の財政引締め策の一環だった>
同氏によれば、「青少年のために」は現在も、チューリヒで活動を続けているということだ。
P.146~148
日本の核シエルター普及率の衝撃
スイスではいまも「有事」という言葉が現実味を伴っている。国民は有事には蜂起する覚悟らしい。
彼らの国防意識は、危機感の高さにも表れている。第二次世界大戦ごろから、アルプスの深い山中には岩山をくりぬいて頑丈な要塞:が築かれ、軍事基地が隠されていた。数年前までは機密だった要塞だ。
冷戦後、少しずつ解体されていったが、もちろんすべてを放棄したわけではない。いまなお機密のものもあるだろう。国境を越える橋やトンネルには、有事の際、速やかに国境を封鎖する準備が整っている。
また、つい最近までは、スイスの家は必ず地下に核シェルターを備えなければならないという法律もあった。ドイツではどこの家にも地下室があるので、そのようなものを少し強化した防空壕かと思ったら、そうではなく、本当にコンクリートと金属でできた頑丈な核シエルターが各戸に設置されていた。
しかも、非常食、衛生設備、酸素ボンベなどを完備し、ニ週間は暮らせるものでなくてはならないなどと決められている。自治体の担当の部署から、抜かりはないか見回りに来ることもある、という話だった。
そこまで設置を徹底していた核シエル夕—だったが、ニ〇一二年、ついに法律が改正され、自治体に一五〇〇スイスフランを払って、最寄りの公共シエルターに家族分のスペ―スを確保すれば、自宅には設けなくても済むことになった。一九六〇年より続いてきた国防対策の一つが、ようやく緩和されたのである。
公共シエルターは、全国に五〇〇〇基あまり。病院や学校といった公共の建物の地下にあるシエルタ—と合わせると、その数は三〇万基にも上るという。全人ロの114%の収容が可能だ。
ところで世界での核シェル夕―の普及率は、イスラエルが100%、ノルウェーが98%、アメリカが82%、ロシアが78%、イギリスが67%、シンガボールが54%、そして日本は0.01%だそうだ。
もっとも、広島の原爆投下時の状況について様々な知識のある日本人にしてみれば、核シエルタ—と聞いてもあまりピンと来ない。いつ駆け込むのか、いつ出るのかなど、様々な疑問が湧いてくる。しかし、それはさておくとして、やはりいちばん衝撃的なのは、日本人は危機感が完全に欠落しているという事実に気づかされることではないか。」(以上)
渡邉哲也氏は開城工業区を再開すれば、米国は韓国にも金融制裁する可能性があるとのこと。米国も躊躇することなく、制裁を課し、経済的に韓国を崩壊させればよいでしょう。裏切りを常とする民族ですので。
韓国は北が核を持てば、半島統一後、自前で核を持ち、日本に落とせると考えているようです。日本もそうであれば核を持つべきです。米国かインドから買えば良いでしょう。その後、電磁レールガンやレーザーの研究をするのは勿論、敵基地攻撃できるミサイルを持つようにしませんと。
でも、その前に、北に核とICBMを持たせるわけには行きません。ソウルが火の海になろうと、米軍は北を是非攻撃してほしいです。秋まで待つ必要もないでしょう。ロシアのプーチンも北の核保有に反対とのことですし。
http://melma.com/backnumber_45206_6528935/
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記事

北朝鮮のミサイルが発足直後の文在寅政権を揺さぶる(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)
米韓の間で不協和音が生じた。北朝鮮との対話に動く文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、トランプ(Donald Trump)大統領が「待った」をかけたのだ。状況を見切った北朝鮮は5月14日、弾道ミサイルを発射、韓国を揺さぶり始めた。
「焦るな」とトランプ
鈴置:トランプ大統領は5月12日、米NBCのインタビューに答え「文在寅大統領は(南北)対話に前向きだ。対話には反対しないが、条件が整ってからすべきだ」と語りました。
米議会が設立した自由アジア放送(RFA)の記事「トランプ『南北対話は適切な条件下でのみ可能』」(5月12日、韓国語版、韓国語と英語の音声付き)はトランプ大統領の発言を原語でも報じています。以下です。
- He’s more open to discussion. I don’t mind discussion. But it’s under certain circumstances.
RFAは「北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄する意思を見せる前に南北対話をすべきではない」との米国のメッセージだと解説しています。
要は「北朝鮮との対話を焦るな。焦るといい結果は出ない」と、文在寅大統領を諭したのです。トランプ大統領は「1、2カ月待てばもっといい答が得られる。様子を見よう」とも文在寅大統領に呼び掛けました。
- I could probably give you a much better answer to that in a month or two months. We’re going to see what happens.
米国が軍事的な圧力を、中国が経済的圧力をかけているのでいずれ北朝鮮は譲歩するだろう、と見通したのです。
カネを北に送りかねない韓国
—わざわざ文在寅大統領にクギを刺したのは?
鈴置:韓国の新政権は米国でも「反米親北」と見なされています。放っておくと「南北対話」と称して北朝鮮にカネを送りかねない。せっかく世界に呼び掛け、実行している圧力が無になると懸念したのです。
文在寅大統領は「当選したら米国よりも先に北朝鮮に行く」と宣言していました。国連の対北経済制裁に応じて閉鎖・中止した開城工業団地と金剛山観光事業に関しても「再開する」と公約していました。
在韓米軍基地に配備されたTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)も「政権をとったら見直す」と約束していました。
選挙期間中に発言の一部は軌道修正して見せましたが、韓国世論は「偽装転向」と疑っています(「文在寅が大統領になったら移民する」参照)。
本性をあらわした文政権
実際、5月10日に文在寅政権がスタートすると、すぐにその「本性」があらわれました。
翌5月11日、韓国の統一部は開城(ケソン)工業団地の再開は国連制裁に違反するか」との記者団の質問に対し「検討する必要がある」と答えました。
聯合ニュースの「開城団地再開は国連制裁に違反か 韓国統一部『検討が必要』」(5月11日、日本語版)などが一斉に報じました。
文在寅政権発足前、統一部ははっきりと「違反である」と記者に答えていました。RFAの「統一部『開城工業団地の再開は、国連制裁に違反』」(2月7日、韓国版)が報じています。
自由アジア放送も対韓牽制
それが突然、後退したのです。もちろん、統一部の姿勢が変わったのは文在寅大統領への「忖度」からです。
新大統領は再開を公約し、それは国連制裁違反には当たらないと明言していました。役人ごときが逆らうわけにはいきません。
朝鮮日報の「文『開城工団は国連の対北制裁にない・・・大量の現金は国際制裁と歩調を合わせればよい』」(韓国語版)は、文在寅氏が4月28日に「開城工団は対北経済制裁に含まれていない」と述べていたと報じています。
米国のRFAは執拗にこの問題をウォッチし、韓国語版で報じ続けています。「韓国の新政権がどうするか、米国は見ているよ」ということでしょう。
5月11日にも「『開城工団再開』が安保理制裁違反かどうかに注目」(韓国語と英語の音声付き)で「統一部の変節」を報じました。
さらに米国の専門家の「文在寅大統領が米国だけでなく国連の制裁と調整せずに再稼働すれば、今後の大きな悩みの種(troublesome)となる」との意見を紹介しました。
THAADで軍事主権放棄
—米国が韓国を疑いの目で見るのも当然ですね。
鈴置:THAADの問題でも文在寅大統領は米国を裏切って中国側に行くのではないかと疑われています。5月11日、習近平主席と電話会談しましたが、そこにも微妙なくだりがありました。
朝鮮日報の社説「四面楚歌という安保の現実を示した米中日トップとの通話」(5月12日、韓国語版)は以下のように書きました。
- 習近平主席は異例にも当選を祝う電話をかけてきて「(THAADに関わる)中国の重大な憂慮事項を(韓国が)重視し、実質的な行動をとるよう期待する」と語った。
- 文大統領はこれに対し「北朝鮮の追加の挑発がなければTHAAD問題の解決は容易になる」と答えた。両国の発表を見れば、北朝鮮が追加の挑発さえしなければ、中国の希望通り、THAADを撤去するかのように聞こえる。
- もし実際にそうなったなら、北の核・ミサイルに対する軍事的な備えを放棄したことになり、外国が我が国の軍事主権に介入する道を開く先例となる。
中国に安保代表団
こんな批判に文在寅大統領は馬耳東風。習近平主席との電話会談を受け、直ちに中国にTHAADと北朝鮮の核を議論する代表団を送ることを決めました。
左派系紙のハンギョレは当然のことながら、前向きに報じました。「韓中関係復元に向け『THAAD外交』始動」(5月12日、日本語版)から要約しつつ、引用します。
- 文在寅大統領が11日、習近平国家主席との電話会談で「THAADおよび北朝鮮核問題を議論する代表団」を中国に派遣する計画を明らかにするなど、THAAD外交を始動させた。
- 前日の就任演説でTHAAD問題について「米国、中国と真剣に交渉する」と明らかにしたことから一歩踏み込み、中国との対話準備に本格的に乗り出した。
- 文大統領は、国内的に国会批准同意の過程を通じて公論化過程を経るものと見られる。外交的には公論化過程で確認された国民世論をもとに、米国、中国などとの協議に乗り出すものと予想される。
国会でTHAAD配備に確実に賛成するのは第2党の自由韓国党(107議席)と第4党の「正しい政党」(20議席)。全議席は300ですから「配備賛成法案」が可決する可能性は低い。
仮に第3党の「国民の党」(40議席)が賛成に回っても国会を通りません。韓国には与野対決法案は5分の3の180票の賛成がないと採決に回せないという奇妙な法律があるからです。なお、与党の「共に民主党」は第1党で120議席です。
国会がTHAAD配備を認めなければ、これを「国論」として米国には撤去させる一方、その実績をテコに中国には北朝鮮の核などで韓国に有利に動いてくれと言うつもりでしょう。
米韓は信頼の危機
—韓国の保守は?
鈴置:悲鳴をあげています。北朝鮮専門家の李東馥(イ・トンボク)氏が趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに「文在寅政権の出帆と目に見えるようになった韓米間の『信頼の危機』」(5月12日、韓国語)を書きました。
- 米国務省のアダムス(Katina Adams)報道官が「韓国の新政権と変わらない協力を期待している」「THAADの配備は同盟国間の合意」と強調した。
- 「期待する」との発言の底には「現実にはそうはならない可能性がある」との不安感がある。「同盟国の合意」の強調には「合意したことは履行すべきだ」との警告が含まれている。
- 文在寅政権が韓米間の信頼の危機の原因を提供しているのなら、国民的な次元で必要な措置を考えねばならない。
韓国の新政権に対するアダムス報道官の発言は聯合ニュースの質問に答えたもので「State Department: U.S. looks forward to continuing close cooperation with S. Korea’s next president 」(5月9日、英語版)で読めます。
—トランプ政権も「警告」していたのですね。
鈴置:もちろんです。文在寅氏の「反米親北」は公知の事実でしたから。ホワイトハウスも当選を祝うメッセージ(5月9日)の中で「両国の同盟を引き続き強化したい」と表明し「同盟をないがしろにするなよ」とクギを刺していたのです。
「非核化の機会」逃す文政権
—でも、文在寅大統領は米韓同盟をないがしろにし始めた。
鈴置:それだけではありません。北朝鮮の核武装を事実上、認める方向に動く可能性があるのです。
韓国の元外交官の千英宇(チョン・ヨンウ)韓半島未来フォーラム理事長が東亜日報に「文大統領は平和的な非核化の機会を逃してはならない」(5月11日、韓国語版)を書きました。要約します。
- 即興的な言動で多くの国で嘲笑されるトランプ大統領。だが、韓国にとっては転がり込んできた宝物になりうる。これほどに北朝鮮の核問題を熱心に解決しようとする米国の大統領はいなかったし、今後も出そうにない。
- 米国と協力し、北朝鮮が核を放棄せざるをえないほどに圧迫の強度を高めてこそ北は非核化交渉に出てくるし、南北対話の条件も熟す。
- 軍事的オプションに反対することを、戦争の危機から国を救う選択と間違いやすい。先制攻撃に対する信頼性を失わせる言動は、北が制裁に決然と対抗するよう煽るだけだ。
- 南北対話の再開に焦るあまり、窮地に追い込まれた北に息をつかせれば、千金のような非核化の機会を逃す。米国と中国でさえ難しい非核化を、南北首脳会談を通じて実現しようなどという幻想を捨てるべきだ。
日本が恐れるべき「中途半端な解決」
—南北首脳会談は対北制裁の輪を壊す、ということですね。
鈴置:仮に韓国により制裁の輪が壊されても、米国が黙って引き下がるとは思えません。ただその際、完全な核問題の解決には至らず、中途半端に終わってしまう危険性を千英宇氏は訴えています。
- トランプ大統領が非核化を事実上放棄し、核・ミサイル実験の中断と凍結を目指して北朝鮮との交渉にはいってしまうかもしれない。それは北の核武装の正当化を意味しかねない。
こうなったら日本も非常に困るのです。北朝鮮が米国に届く核ミサイルは放棄するものの、日本に届く分に関しては保持してよい、ということになるからです。
韓国に保守政権が誕生していれば日韓で力を合わせ、米国が「中途半端な結末」に走らないよう防ぐことができたかもしれません。
—保守政権ならできましたか?
鈴置:確かに難しかったかもしれません。そもそも韓国には米国と軍事的にも協力し、北朝鮮の核を完全に解決しようとの空気が乏しいからです(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。米国と完全なスクラムを組もうという李東馥氏や千英宇氏はいまや少数派です。
そして韓国では「米国から軍事攻撃を教えられたら北に相談する」という文在寅政権が誕生してしまったのです(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。
対話したければカネを出せ
—北朝鮮の弾道ミサイル発射に対し、文在寅大統領も非難しました。韓国も軌道修正して米国側に戻りませんか?
鈴置:大統領の「非難」に惑わされてはなりません。政権発足後初の北朝鮮のミサイル発射を受け、5月14日朝、青瓦台(大統領府)は国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開きました。
そこでの文在寅大統領の発言のうち「対話」関連部分を聯合ニュース「文大統領 北の挑発に断固対応=『態度変化あってこそ対話可能』」(5月14日、日本語版)から拾います。
- 北との対話の可能性を開いてはいるが北が判断を誤らないよう、挑発に対しては断固たる対応をとるべきだ。対話可能性を探るからといって誤判するな。
- (北朝鮮との対話については)北側の態度に変化があったときに可能になるということを示すべきだ。
要は(1)対話路線は変えない(2)弾道ミサイル発射を中断するなど、北朝鮮が穏健路線に転じれば対話――つまりは開城工業団地などを通じた対北送金の再開に踏み切ってもよいということです。
韓国の大統領がこう表明したため、北朝鮮は今後「弾道ミサイルを撃つぞ」と脅すことで、韓国から様々の譲歩を引き出せるようになったのです。北は韓国に以下のように言えばよいからです。
- 「ミサイルを撃ったら対話しない」などと偉そうなことを言っていいのか。我々が対話にこだわっているのではない。対話ができなければ困るのはお前ではないか。対話など意味がないと言っていた保守派から大笑いされるからな。「対話」を不可能にするミサイル発射が嫌なら、俺が要求するモノをさっさと持ってこい。
主導権を北に握られた韓国
初めから「対話」を掲げてはいけないのです。足元を見られてしまいます。主導権を北朝鮮に握られた韓国は、どんどん振り回されていくでしょう。そんな韓国をトランプ大統領は「やれやれ」といった顔で見ていると思います。
(次回に続く)
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『西洋格闘技に20秒で惨敗した中国伝統武術の現実 「伝統武術はどれも詐欺だ」…勝者の挑発、真の意味は』(5/12日経ビジネスオンライン 北村豊)について
小生が太極拳に持つイメージは健康体操で、少林拳のような武術とは違っていると感じていました。太極拳はゆっくりした動きがベースとなり、相手に対する受けも攻めも間に合いません。Wikiで調べますと“快架”と呼ばれる速い動きのものもあるそうですが。
ボクシングと太極拳では戦わずして結果は見えていたのでは。ボクシングVS少林拳でやるべきでしょう。下の映像は当日の闘いの映像です。徐暁冬はグローブを嵌めていないのが分かります。本記事中、「“李連傑(ジェット・リー)”は、太極拳が徐暁冬の挑戦を受けて再戦することを支持すると表明した。」とありますが、李連傑は少林寺出身なので、少林寺の精鋭を出して試合させた方が良いのでは。ただ、異種格闘技はアリ・猪木戦のようにルールも違うので、プロレスのようにショー化しやすいでしょう。プロレスを本気でやれば死人が出ますので。木村・力道山の試合も後味が悪い結果となりました。まあ、興業としてやればどうしてもショー化します。金儲けの手段になりますので、武道の真髄を極めるやり方からは遠くなると思います。勿論、生活がありますので、道場を開き、教えることで対価を得ることは賛成です。
中国はなんでも「金」「金」の世界です。強欲なのはグローバリズムを世界に展開して、富を収奪しようとするユダヤ人と一緒です。宗教であっても、金の世界から逃れられません。習近平は「一帯一路」を使って世界制覇を企てていると見て良いでしょう。習の言う「中華民族の偉大な復興の夢」というのはそう言うことです。スリランカを見ていればよく分かるでしょう。
http://melma.com/backnumber_45206_6528385/
http://dwellerinkashiwa.net/?p=6097
日本は、強欲な世界から引いて生きて行った方が良いと考えます。日本には昔から三方良し、「売り手良し」「買い手よし」「世間良し」の考えがありました。米国のやり方が良いとは思えません。日本企業も「三方良し」を現代風にアレンジした公益資本主義の生き方を目指した方が良いと思います。原丈人氏の『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』を読了しましたので、参考になる部分を紹介します。
「P.20~21
グローバル化による格差とテロの拡大
「グローバリズム」とは、決して美しいものではありません。米国などの大国が、自分の文化、言語、ビジネス慣習などを他国に押しつけるための口実にすぎません。
ですから、「グローバル化の波に乗り遅れてはならない」「日本の企業も、英米型の経営を見習うべし」といった掛け声を耳にする度に、「ちょっと待って欲しい」と違和感を覚えます。「グローバリズム」という美名の下で、世界や日本で起きていることを直視できていないと感じるからです。
アメリカの主要企業のCEOの年間報酬は、1936年から80年代初頭まで、 100万ドル(約1億1000万円)で推移していました。ところが80年代半ばから急激に増え始め、2008年のリーマン•ショックの直前には、1400万ドル(約15億 4000万円)にまで達していました。その一方で、あまり知られていないのは、アメリカの30代男性の年収の中央値が、 74年から04年までの間に12%も下がっていることです。平均値は上がっているのに、中央値が下がっている。その意味するところは、格差の拡大です。GDPが増えて国の経済が成長し、富裕層への富の集中が加速する陰で、中間層から下に位置する人たちの収入は減り続けているのです。
CEOの報酬はうなぎ上りなのに一般従業員の給料は下がり、雇用も失われていく。 これが、英米発のグローバル化と金融の自田化がもたらした現実です。 格差の拡大は、アメリカだけの問題ではありません。
2017年1月、オックスファムというNGOの組織が、「世界で最も裕福な8人と、 世界人ロのうち経済的に惠まれていない半分に当たる36億7500万人の資産額がほぼ同じだ」とする報告書を発表しました。8人の資産の合計が4260億ドル(約48兆7000億円)にも達し、世界人口73億5000万人の半分の合計額に相当するというのです。また、1988年から2011年にかけて、下位10%の収人は年平均3ドルも增えていないのに対し、上位1%の収入は182倍になったとも指摘しています。
格差は不満を生み、不満は紛争の種となり、世界を不安定にします。日本でも格差が広がり、子供の貧困も大きな問題になっています。
P.236~241
あとがき
経済は文化をつくり、技術は政治をつくる。しかし人間の本質は変わらず。
今後世界の人口は、途上国を中心にさらに30億人程度増加すると予想されているが、地球上のすべての人々が、平和で豊かに暮らせる世界を望んでいるはずである。
こうした世界を実現するには、経済の新しい仕組みが必要となる。資本主義自体も、 いずれ新しい仕組みにとって代わられるだろう。
しかし当面の間は、資本主義が続くことも間違いない。ならば理想論にとどまらず、まず現実的に世の中を変えることが重要だ。その原動力となり得るのが、本書で論じてきた「公益資本主義」だ。そう私は確信している。 「公益資本主義」の理念を実際の経営で実現するには、次の3つがポイントとなる。 第1に企業が持続的に発展し、社会に貢献するために、亊業を中長期的に捉える経営をしなければならない。
第2に、企業が持続的に発展するには、果敢にリスクを取って、新しい事業に挑戦しなければならない。
同じ事業を繰り返すだけでは、企業は存続できない。企業には、「創業者魂」とか「企業家精神」などと称されるチャレンジング・スピリットが常に求められるのである。会社規模が大きくなり、その歴史が長くなっても、その点は決して変わらない。
第3に、利益は、会社の成功に貢献した「社中」(注:ステークホルダーのこと)のすべてに公正に分配しなければならない。
自由闊達に新しい事業を創造し、大いに利益を上げて社員を豊かにし、社会に貢献することが、会社の重要な使命だ。そして会社の発展には、未来への投資のために内部留保を適正に蓄えることも肝要となる。内部留保を嫌う株主もいるが、内部留保からなされる未来への投資こそ、次なる事業の基盤となり、やがて利益を生みだし、結果的に株主も潤うのである。
「会社は株主のものだ」と思い込んで、株主が白己利益を最大化しようとして会社を動かす米国式の時代は終わりつつある。まもなく大きなパラダイムシフトが起き、「会社は社会の公器である」という考え方が、「今世紀の常識」となるはずだ。
世界中の「国家」と「企業」を区別せずに、経済規模を比較すると、いまや上位の半数近くが民間企業だ。国連加盟国は196力国あるが、50力国強しか上位100にランクインしていない。この傾向は加速する一方で、国家より経済力のある民間企業の数は、今後 ますます増えるだろう。こうした状況で、株主だけを優遇すれば、貧富の格差はさらに拡大する。
「会社は株主のものだ」と信じる投資家は、同額の利益なら、できるだけ短期間で実現するよう求める。こうして事業サイクルは、ますます短期志向となり、長い期間を要する研究開発事業よりも、米国の金融ファンドのような投機的事業がもてはやされることになる。 そして短期成果を狙う事業再生ファンドのようなアクティピストが、実体経済を支える企業が時問をかけて蓄積してきた富を収奪する。これほど「効率の良い」ビジネスモデルはない。しかも「合法的」だ。しかし、こうしたビジネスモデルには、多くの人が理不尽さを感じているはずである。
かつての奴隷商人も同じであった。
英国の奴隸商人は、「合法的」に「素晴らしいヒジネスモデル」を生みだし、莫大な利益を得た。英国からガラス玉や武器をアフリカへ持ち込み、アフリカから黒人をアメリカへ輸出し、アメリカから穀物や綿を英国に持ち込むという「三角貿易」は、当時の「最先端の高収益ビジネスモデル」であった。
現在は人身売買は、「非合法」で、いくら利益率が高くとも、「みずから誇れるビジネス」として成立しないが、往時はそうではなかった。彼らがどれほどみずからのビジネスを誇らしく思っていたかは、奴隸貿易商の本拠地であったリバプールに行けば一目瞭然だ。鎖をつけられた黒人奴隸のレリーフが、いまだ往時を象徴する建物のファサードに飾られているのである。
極端なアクティビストや莫大な規模で投機的金融を操る者たちは、今は「合法的」でも、 いずれ奴隸商人と同じ運命を辿ることになろう。歴史に汚点を残さないためにも、根本的な事業理念を見直すベきだ。
証券金融市場で投機的取引が大半を占めるようになれば、市場は過熱化し、バブルが生まれ、金融がゼロサムゲーム化し、富の.二極分化が進む。バブルは必ず破裂するが、その時、中間層は貧困層に落ち、富裕層はますます富み、スーパー・スーパー富裕層が生まれるのだ。
莫大な規模で投機を仕掛ける米英へッジファンドと彼らに資金を提供する超富裕層は、 途上国通貨を空売りし、暴落させ、その国民を貧困のどん底に落とすことによって巨万の富を得る。そして、その莫大な利益のごく一部のみ国際機関や大学やNPOに寄付することで、栄誉ある賞や資格を得る。
これは超富裕層による完全なマッチポンプの茶番劇だ。世界中の一般層は、こうした状況に辟易し、「人類の平等を目的とする民主主義はもはや機能しない」と諦めかけている。
1990年代初頭から始まった金融規制の自由化の下で、一国の経済規模をも上回るような莫大な資金を動かす投機家が、ICTテクノロジー(情報通信技術)の力を利用しながら、瞬時に国境を越えて跋扈するようになった。その結果、先進国で中間層が激減したのである。
民主主義が機能するには、中間層が不可欠だ。その中間層が没落することによって、今日、民主主義は、機能不全を起こしているのである。
「民主主義国家」の代名詞とも言える英米でさえ、かつての中間層が貧困化している。そこで有権者は、「将来のこと」よりも「今日明日のこと」、「建設的な前向きの意見」よりも「現状の不満」を基準に投票するようになってしまった。英国EU離脱の国民投票も、 米国大統領選挙も、こうした市民の不満や怒りの表われだ。
おそらく、皆さんが本書を手に取ってくださる頃には、我が国政府が、「四半期決算短信における業績予想の様式」を削除する方針を決定し、発表しているであろう。
2005年に財務省参与に、その後、内閣府参与に就任して以来、「企業経営における短期主義の是正」をー貫して主張してきたが、その実現に向けて、ようやく第一歩を踏み出せそうだ。
約3500社ある日本の上場会社のすべてが、四半期ごとに要求される業績予想義務から解放されることには、極めて大きなメリットが期待できる。四半期決算のための费用と時間を節約できるだけでなく、経営者や中間管理職の経営観を短期主義の呪縛から解き放つからだ。」
記事

(Barcroft Media/Getty Images)
4月27日に四川省“成都市”のある“武館(武術道場)”で“格闘狂人”こと“徐暁冬”と“太極大師”こと“雷雷”の“約架(決闘)”試合が公開で行われた。38歳の徐暁冬は中国伝統の格闘技“散打(さんだ)”出身で、自称「中国総合格闘技(MMA:Mixed Marshal Art)の第一人者」。これに対して雷雷は、公称42歳、本名は“魏雷”、“陳家太極拳”と共に太極拳の双璧をなす“楊氏太極拳”の継承者であると自称し、自ら興した流派“雷公太極拳”の創始者である。2人の対決は、太極拳を含む中国伝統武術と西洋格闘技の雌雄を決する一大イベントとして注目を集めた。
成都市は雷雷の居住地で、北京市を本拠とする徐暁冬は飛行機で成都入りした。半ズボンにサンダル履きで試合会場入りした徐暁冬は、黒色で両肩に赤色を配した半袖シャツと黒色の半ズボンに着替え、赤色の運動靴を履いて入場した。一方の雷雷は、白色の“太極拳服”に黒色の“太極褲(パンツ)”を履き、伝統的な格式を備えている風情を漂わせ、右手の掌で2個の胡桃(くるみ)を擦り合わせながら威風堂々と入場した。入場した雷雷は用意した“功夫茶(中国茶道)”のお茶を決まり通りの小さな茶碗で飲み、自分が太極拳の達人であるということを所作で示そうと懸命の演出を試みていた。
2人が入場すると、司会者が両者の名前を呼び上げて2人を観客たちに紹介し、それに続いてレフリーが紹介された。レフリーは2人を呼んでルールを説明し、それが終わると2人は握手を交わした後に離れて対峙し、レフリーの試合開始の合図を待った。会場には格闘技の試合で使われる常設のロープを張ったリングはあったが、太極拳に敬意を表した徐暁冬が譲歩してリングを使わず、リング横に格子柄のマットを敷いた床が試合場となった。
最初のジャブから血まみれKOまで、わずか10秒
レフリーが試合開始を宣言すると、徐暁冬は両拳をボクシングスタイルに構え、雷雷は両手の5本の指を軽く開き、右手を下段、左手を上段に構えて相対した。観衆が固唾を呑んで見守る中、両者はにらみ合いながら試合場を左回りに一周した後、徐暁冬が先制の左ジャブを打ち込み、雷雷がこれを避けようとした刹那、徐暁冬の右フックが雷雷の左顔面に炸裂した。雷雷はパンチを食らって茫然自失となり、この機を捉えた徐暁冬が一気呵成にパンチを浴びせて攻め込むと、雷雷は横向きに倒れ込んだ。徐暁冬は倒れた雷雷の頭部にパンチを連打し、雷雷は身動きできず、レフリーが試合の中断を宣言した。試合開始から試合中断までわずか20秒、徐暁冬の圧勝であり、雷雷は完膚なきまでに打ち負かされた。
試合中断により立ち上がった雷雷は血まみれの顔面をタオルで拭いながら、苦痛に顔をしかめて立ちすくんでいた。その後、レフリーから試合を再開するかと問われた雷雷は再開を断念する旨を表明し、徐暁冬の勝利が確定した。レフリーを真ん中に右に徐暁冬、左に雷雷が並び、レフリーは徐暁冬の右手を挙げて徐暁冬の勝利を宣言した。徐暁冬が最初のジャブを放ってから、レフリーが試合の中断を宣告するまではわずか10秒だった。それが中国伝統武術と西洋格闘技の雌雄を決する一大イベントの結果であった。「大山鳴動して鼠一匹」とはこのことか、実に呆気ない幕切れだった。
さて、上記の試合はインターネットの“視頻(動画)”サイトを通じて全国に配信された。徐暁冬は従前から「太極拳を始めとする伝統武術はどれも詐欺だ」と公然と言い募り、“武術打假(武術の偽物を撲滅する)”と述べて、中国の伝統武術に対し宣戦布告を行っていた。これは伝統武術を飯の種としている武術の道場主や師範たちにとって、生活を脅かす由々しき問題である。危機感を覚えた武術家たちはネット上で徐暁冬と論戦を繰り広げたが、確固たる信念を持って発言する徐暁冬と激論を戦わせてもらちが明く話ではない。そうこうするうちに、徐暁冬に戦いを挑む者が現れた。これは徐暁冬にとって「飛んで火にいる夏の虫」であり、望む所であった。挑戦者として名乗りを上げたのが、成都市で雷公太極拳の道場を営む太極大師こと雷雷であった。雷雷が徐暁冬の挑戦者として名乗りを上げ、4月27日に成都市で“約架(決闘)”試合が行われることはネットを通じて全国に広く知れ渡っていたのだった。
西瓜を果肉を破壊、鳩を飛べなくする秘技
「伝統武術はどれも詐欺だ」と断言した徐暁冬が、決闘試合では雷雷をわずか20秒でKOした。徐暁冬は試合前に「“太極拳不堪一撃(太極拳はひとたまりもない)”」と豪語していたから、言葉通りの結果になった。徐暁冬が雷雷を挑戦者に選んだのには理由があった。それは2015年11月24日に国営テレビ局“中央電視台(中央テレビ)”のチャンネル4「体育在線」の特別番組「“体験真功夫(本当のカンフー体験)”」の楊氏太極拳特集に成都市在住の武術家として雷雷がゲスト出演したことに起因する。
同番組の中で、雷雷は中国の十大武術師範の1人と位置付けられ、「雷雷は北京出身で、タイの格闘技“泰拳(ムエタイ)”と朝鮮の“跆拳道(テコンドー)”を学んだ後に楊氏太極拳に転向した。ムエタイとテコンドーの段位は低かったものの、実戦に長けていたため、その経験を活かして太極拳で格段の進歩を遂げ、今では楊氏太極拳の創始者“楊露禅”の継承者になった」と紹介された。番組では雷雷の道場の練習風景を紹介した後に、雷雷が中国武道の“形意拳”を学んだ外国人エリックと練習試合を行い、雷雷がエリックを圧倒して勝利した。次に雷雷が丹田に集めた気を西瓜に向けて吐き出しながら軽く西瓜の表面を押さえると、表面には何ら変化がないのに、中身の果肉は破壊されていた。その次に雷雷は“雀不飛”という秘伝の技に挑戦する。これはハトが飛ぼうとして脚を踏ん張る瞬間に、その力を消失させて飛ばせなくするという秘技で、雷雷はいとも容易にハトが飛翔するのを抑制してみせた。
「体験真功夫」が中国の十大武道師範の1人と報じた雷雷が、決闘試合で徐暁冬にわずか20秒でKOされたことに中国国民は大きな衝撃を受けた。決闘試合の後で、メディアのインタビューに答えた徐暁冬は、雷雷が出演した「体験真功夫」の楊氏太極拳特集について次のように述べた。
【1】試合の後で、私が「体験真功夫」に出演していた記者に連絡を入れたところ、記者は泣きながら次のように述べた。すなわち、西瓜は布団をかぶせて上からたたいで果肉を破壊しておいたものだし、ハトは脚を透明のプラスチック紐で手にくくり付けて飛べなくしたもので、いずれも脚色したインチキな映像だった。
【2】そこで、私があんたたち中央テレビはこともあろうにインチキをやるのかと言うと、記者は「中央テレビを侮辱することは許さない。我々は中央テレビと契約を結んでいる外部組織で、中央テレビではない」と答えた。これに対して私が、「それならあんたたちは中央テレビの4チャンネルで馬鹿な番組を放送しているということか」と返すと、記者は放送するしないの権限は我々にあるわけではなく、中央テレビのトップが決めることだと答え、「放送した番組中で視聴者は誰もハトの脚をプラスチック紐で結んでいたことには気付かなかったじゃないか」と述べた。
中国武術の各流派へ公開挑戦状
「体験真功夫」という真の中国武道を紹介する番組がインチキな内容を放送していた事実は、徐暁冬が主張する「伝統武術はどれも詐欺だ」を裏付けるものであり、その思いをますます募らせるものとなった。試合後に判明したところによれば、雷雷は自身の“微博(マイクロブログ)”に20年のフィットネス経験を持ち、40歳で100kgのベンチプレスを挙げることに成功したと自慢気に書き、自身が持つ“高級保健按摩師”の証明書を掲載していた。
証明書は2008年3月4日付と2013年1月29日付の2通で、そこには出生:1978年6月8日<注1>、“文化程度(学歴)”:“大専(高等専門学校)”とあり、職業欄には“保健按摩師(等級:技師)”とあった。武術師範だけでは食べて行けないからか、雷雷の本業はマッサージ師であったのである。
<注1>公称は42歳だが、実年齢は38歳であった。
決闘試合で徐暁冬が雷雷をわずか20秒でKOしたことにいきり立ったのは、伝統武術を詐欺呼ばわりされた上に、雷雷の敗北で面子を失った全国の伝統武術家たちであった。一方の徐暁冬は“武術打假(武術の偽物を撲滅する)”の旗印の下、ネットを通じて3人の武術家を指名すると同時に武術の各流派に対して公開の挑戦状を送り付けた。その3人とは、 “李天金”(アリババ集団会長“馬雲(ジャック・マー)”の護衛)、“王占軍”(陳式太極拳第12代継承者、太極拳世界大会優勝者)、“一龍”(少林寺第一武僧と名乗る武闘家)であった。また、各流派とは、少林寺、崑崙(こんろん)派、峨眉(がび)派、青城派、崆峒(こうどう)派、武闘派、陳家溝太極拳などであった。彼らはそれぞれ徐暁冬の挑戦を受諾する方向で検討を始め、先行して陳式太極拳の王占軍が挑戦を受ける旨を表明した。
各流派が徐暁冬の挑戦を受けようとする風潮に慌てたのは国家認定の非営利組織“中国武術協会”だった。中国武術協会は中国武術の発展、普及、技術向上を目的とする全国的な社会団体である。5月3日、中国武術協会は徐暁冬と雷雷の“約架(決闘)”事件に関し、「中国武術協会は“約架”などの法律・規則違反の行為に断固反対する」旨の声明を発表した。その概要は以下の通り。
(1)徐暁冬と雷雷の“約架”事件はメディアや社会の注目を集めているが、中国武術協会はこの種の“約架”行為が“武徳(武術のモラル)”に背(そむ)くものであり、違法の可能性があることから断固反対する。
(2)武術は中華民族の伝統体育項目であり、民族の優秀な伝統文化であり、体を強くし、自分の身を守り、修行を積む功能を備えている。伝統武術は武術の根源であり、伝統武術の継承と発展には武術界各位の努力が必要である。各省、区、市の武術協会および関連組織は類似の“約架”事件が再発しないよう有効な措置を採っていただきたい。
「決闘」を禁止する協会の役員は…
ここで問題となるのは、中国武術協会の役員構成である。協会役員は、主席3人《“栗勝夫”(中国武術9段)、“李成銀”(中国武術9段)、“朱天才”(太極大師)》、秘書長1人《耿軍(中国武術7段、少林武術9段)》、副秘書長3人《“張東武”(中国武術7段)、“白安有”(中国武術6段)、“楊暁明”(不詳)》の合計7人で構成されている。これら7人の中の李成銀と楊暁明の2人を除く5人は、河南省“焦作市”の管轄下にある“温県陳家溝”を源流とする陳氏太極拳および河南省“登封市”にある少林寺の関係者である。突き詰めて言えば、彼ら5人は、少林寺“方丈(住職)”の“釈永信”と親密な関係にあるということができる。釈永信は少林寺住職であるだけでなく、“中国仏教協会”副会長、“河南省仏教協会”会長であると同時に、中国の国会議員に当たる“全国人民代表大会代表”でもある。 釈永信は少林寺をカネ儲けの手段として利用し、多数の企業を設立して商業化を図り、稼いだカネをばらまくことで権力者と密接な関係を築き、現在の地位を得たとされる。今や絶大な権力を有する釈永信は、職権濫用、派手な女性関係などから破戒坊主として少林寺関係者から度々告発されているが、巧妙に危機を乗り越えて今なお地位を保っている<注2>。
<注2>釈永信については、2015年8月7日付の本リポート『ネットで告発「少林寺住職は生臭坊主」』参照。また、少林寺の商業化については、2008年10月31日付の本リポート『お金はいりません「大悲寺」 商魂たくましい「少林寺」』参照。
少林寺は北魏太和19年(495年)創建の古刹で、“少林武僧(少林寺の僧兵)”が研究発展させた“少林功夫(少林カンフー)”で名高く、『“天下功夫出少林, 少林功夫甲天下(天下のカンフーは少林カンフーを起源とし、少林カンフーは天下第一)”』と言われている。その少林寺の関係者が中国武術協会を牛耳っているのが現実だが、果たして役員の肩書にある中国武術や少林武術の高段位は本物なのか、一体誰が彼らの高段位を認定したのか。この疑問は中国武術の各流派にも共通するのかもしれないが、徐暁冬にとって最終的な標的は中国武術協会を牛耳る役員たちではないのか。
偽物の撲滅か、道場の宣伝か
それが徐暁冬が主張する「伝統武術はどれも詐欺だ」の真の意味であるように思える。徐暁冬はメディアのインタビューを受けた際に、「自分は決して中国伝統武術を否定するものではなく、中国武術界にはびこる偽物を、“太極大師”などと名乗る輩(やから)を含めて撲滅したい」と述べている。
中国武術の歴史は“商”(紀元前1600年~紀元前1046年)、“周”(紀元前1046年~紀元前249年)に遡ると言われ、数千年にわたって伝承されて来た。武術は攻撃するための技である反面、精神面の修養を重視し、安易に人を傷付けたり、名利を求めて演技することは固く戒められていた。ところが、1949年に中国共産党が政権を執り、中華人民共和国が成立すると、真の中国武術は根こそぎ消滅を余儀なくされ、一部の武術家は反動的であるとして銃殺された。その後、“国家体育委員会(後の“国家体育総局”)”の管轄下に置かれた中国武術は伝統武術が持っていた“内涵(内面の修養)”を失い、見せ掛けだけの武術に変質し、偽物の武術家が大手を振るって闊歩するようになったのである。
徐暁冬がこうした中国武術の変質に不満を感じ、改革の狼煙を上げたのかどうかは定かではない。徐暁冬は、自身が運営する武術道場を宣伝する目的で、雷雷との一戦の勝利を活かして“炒作(メディアを通じての宣伝)”を行っているに過ぎないとの説も一部では囁かれている。徐暁冬の挑戦を受けた中国伝統武術の各流派は今後どのように対応するのか。中国の庶民は“約架(決闘)”試合の実現を楽しみにしているが、各流派は中国武術協会からの通達を無視して“約架(決闘)”を行うことができるのだろうか。果たして、その結果はいかに。
2013年8月7日付の全国紙「中国青年報」によれば、中国には健康のための武術愛好家が7000万人以上存在し、段位取得目的の武術学習者は100万人を超え、有段者はすでに25万人以上に達しているという。また、中国武術は69の国と地区に普及し、外国人の有段者は3409人に上っているという。
中国武術大会で1975年から1979年まで5年連続の優勝という快挙を成し遂げ、1982年に映画「少林寺」で主役を演じてカンフー俳優としてデビューした“李連傑(ジェット・リー)”は、太極拳が徐暁冬の挑戦を受けて再戦することを支持すると表明した。
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靖国神社
『プーチン大統領が「シンゾー」と言わないワケ プーチン・安倍会談に垣間見えたすれ違い』(5/12日経ビジネスオンライン 池田元博)について
北朝鮮がまたもや弾道ミサイルを発射しました。高度2000Kmを越え、30分飛翔後、日本海に落下とのこと。2/14TV「新報道2001」に出演していた香田洋二元司令官は「ICBMではないか」とのことです。トランプがどう出るかです。中国は結局北を抑えることはできないと思っているのでは。南も大統領府秘書室長には逮捕歴のあるガリガリの左翼の任鍾晳を選びました。機密は間違いなく、北へ漏れるでしょう。米軍の北への攻撃は、韓国軍無しで米軍と後方支援の自衛隊で行われる可能性が高まりました。勿論、北が南を攻撃して来れば韓国軍は、応戦するでしょうけど。戦時作戦統制権は米軍にありますので、国内での戦闘行為だけで、北への攻撃は認めないというか、韓国軍そのものが進撃する意欲もないのでは。韓国の国民情緒だけで物事がうまく行くと思うのは妄想に過ぎません。まあ、日本も憲法9条があれば戦争にはならないと思っている似非平和主義者がゴマンといますので、他国を笑えませんが。
北が何故この時期にミサイルを撃ち、しかも30分後に落下させたかです。ノルウエーで非公式ながら外交交渉もしているというのに。やはり、金正恩の面子の問題とクーデターを抑える狙いがあったのでは。また一帯一路の会議初日にぶつけたことで、習近平の面子も潰せました。飛行距離を伸ばせば、米国からICBMと思われるので、瀬戸際でわざと自爆させたと思っています。米軍の攻撃の大義名分を逸らす形です。
さて、本記事ですが、プーチンも相当国内の圧力が強くなっている感じがします。次の大統領選が来年の3月にはあります。メドヴェージェフの腐敗の問題が暴露され、「上はうまいことやっている」と国民に思わせたのは失点です。大統領選までは自分の失点に繋がることは避けるでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=_eAkoZPVSQw
トランプも議会やメデイアの牽制で、ロシアと近づき、中国と対峙することがしにくい状況です。ユダヤ・グローバリストの力が相当強いという事でしょう。金に汚いという意味で中国人と一緒です。クシュナーがいてもあれだけトランプの粗探しに狂奔するのですから。ヒラリー民主党程悪いのはいないのに頬かむりし続けます。その中で、西側でプーチンと話ができ、トランプにも繋げることができるのは安倍首相だけです。この利点を生かし、来年の大統領選挙後を見据えて、ロシアと交渉して貰えば良いのでは。
記事
モスクワで4月27日に開かれた日ロ首脳会談。プーチン大統領と安倍晋三首相による会談後の共同記者発表は、質問を一切受け付けない形式だった。それでも互いの思惑の違いを垣間見させるものがあった。

4月27日、モスクワで開かれたプーチン大統領・安倍首相の会談ではすれ違いが垣間見えた(写真:ロイター/アフロ)
「尊敬する皆さん!尊敬する首相! 日本の首相である安倍晋三氏との会談は建設的な雰囲気で行われました」――。
ホスト側として最初に発言したプーチン大統領はまず、昨年12月の大統訪日以降の日ロ協力の現状に言及。今年になって両国間の貿易額が増え、2015年は13億ドルだった日本の対ロ投資額も昨年は17億ドルに増加したと、具体的数字も示しながら成果を強調した。
今回の会談結果に関しても、エネルギーや原子力協力、文化交流など経済・人道分野の話を延々と続けた後、ようやく北方領土での共同経済活動や元住民の墓参などに触れ、続いて緊迫する北朝鮮情勢に言及した。
こうした話の順序もさることながら、プーチン大統領の記者発表を聞いていて、気になったことがある。「安倍さん」「安倍首相」「首相さん」と、安倍首相について終始、敬称で通したことだ。結局、大統領の口からは「シンゾー」というファーストネームは聞かれなかった。
対する安倍首相の記者発表はどうか。最初は「プーチン大統領」と呼んでいたが、途中から「ウラジーミル」とファーストネームを連呼するようになった。
特に日ロの平和条約問題に触れたくだりでは熱が入った。「双方の努力の向こうに、私とウラジーミルがめざす平和条約がある」「ウラジーミルと手を携えて、平和条約締結への道を2人で進んでいきたい」といった具合だ。
安倍首相とプーチン大統領の会談は、第1次安倍内閣の時代も含めると通算で17回目。首相からすれば個人的な関係づくりも進み、互いにファーストネームで呼び合える深い仲になったと強調したかったのだろう。だが、プーチン大統領の冷静な対応ぶりをみると、両首脳の温度差はやはり否めない。
「北方領土は渡したくない」というプーチン大統領の本音
プーチン大統領も確かに、平和条約問題に一切触れなかったわけではない。「日本はロシアにとって重要で有望なパートナーだ」とし、「両国間の最も難しい問題」も解決する用意があると述べた。
さらに平和条約問題の解決策は日ロの「戦略的な利益に合致し、両国民に受け入れられる」ものでなければならないと指摘。この脈絡で北方領土での共同経済活動について話し合ったとし、共同経済活動や元島民らの墓参などの往来簡素化を進めることが「両国間の信頼と相互理解を醸成する」と強調した。

出所:日本外務省
プーチン氏は2000年の大統領就任以来、日ロの北方領土交渉を進めるための基軸として、1956年の日ソ共同宣言を掲げてきた。この宣言は北方4島のうち、歯舞、色丹両島を平和条約締結後に日本に引き渡すと規定している。大統領は「どのような条件で引き渡すかは明記されていない」としつつも、共同宣言そのものは両国議会が批准しており、「法的に有効だ」としていた。
ところが、今回のモスクワ会談後の共同記者発表では、プーチン大統領から日ソ共同宣言に関する言及は一切なかった。これまで持論としてきた共同宣言を封印し、北方領土での日ロ共同経済活動の成否で平和条約締結の有無を判断しようという思惑が明らかにうかがえる。
いくら国内で強大な権力を持つとはいえ、国民の批判が集まる領土の割譲はたとえ1ミリであってもしたくないというのがプーチン氏の本音だろう。
共同経済活動が失敗すれば北方領土交渉の継続は困難
大統領にとって幸いなことに、昨年12月の日本での首脳会談合意を受け、北方領土での共同経済活動をめぐる交渉が平和条約締結交渉とほぼ同義語になった。仮に共同経済活動がうまくいかなければ、「日本は北方領土に関心がない」とみなし、領土問題を含めた平和条約交渉を打ち切ることもできるわけだ。
実は、日ロは過去にも共同経済活動を議論した経緯がある。1998年11月、当時の小渕恵三首相がモスクワを訪問し、エリツィン大統領(当時)と会談した際に、北方領土での共同経済活動に関する委員会の設置で合意。それに基づいて実務レベルの日ロ協議が重ねられたが、結局は実現しないまま立ち消えとなった。
ただ、当時の小渕・エリツィン会談の合意には、共同経済活動委員会とともに国境画定に関する委員会の設置も盛り込んでいた。仮に共同経済活動が実現できなくても、領土交渉を継続できるように“保険”をかけていた。
昨年末の合意にはこうした“保険”がない。日本としては北方領土に関する日ロの「法的立場を害さない」という厳しい条件下で、共同経済活動を是が非でも実現せざるを得ない状況に追い込まれたともいえる。
こうした危機感もあってか、日本側が提案している事業案は北方4島周辺のクルーズ船観光など、法制度の問題を比較的クリアしやすいものを中心に並べている。まずはひとつでも何とか事業案を具体化し、平和条約締結交渉の追い風としたい考えだ。
ところがロシア側は、現地のインフラ整備に利用しようという思惑もあってか、島民の住宅改修、ホテル建設、発電所の設置など、「法的立場」の問題で難航しかねない事業案を数多く掲げる。もともと「(4島が)ロシアに帰属しているのだから、ロシアの法律で実施するのは当然だ」(ウシャコフ大統領補佐官)との意見が根強いことも背景にある。
日本側は5月中にも官民調査団を現地に派遣。日ロ双方はその上で共同事業案を固め、個別プロジェクトごとに法制度を含めて実現に向けた協議を進めていく予定だ。実際に具体化できれば人的交流や相互理解も進み、平和条約締結に向けた環境整備に寄与するだろうが、実現に向けた道のりは険しそうだ。
ロシアは安倍首相を「他の西側諸国の首脳とは違う」と評価
今回の安倍首相の訪ロは、日ロ関係とともに国際情勢をめぐる協議も焦点となった。特にシリアと北朝鮮情勢だ。
シリア情勢をめぐっては、ロシアが後ろ盾となっているアサド政権による化学兵器使用疑惑が浮上。米国のトランプ政権がアサド政権軍への巡航ミサイル攻撃に踏み切った。ロシアはこれに反発し、ただでさえ冷え込んでいる米ロ関係に大きな亀裂が走った。
核やミサイルの挑発を繰り返す北朝鮮に対しても、米トランプ政権は原子力空母「カール・ビンソン」を朝鮮半島付近に派遣するなど軍事的圧力を強めた。米国は中国にも北朝鮮への圧力を求め、中国は北朝鮮が核実験を強行すれば制裁を強めると警告したとされる。こうしたなか、貨客船「万景峰号」によるロ朝間の新定期航路の新設を決めるなど、国際社会の結束を乱すような動きをみせたのがロシアだ。
安倍政権はトランプ政権によるシリアや北朝鮮への対応を、いずれも積極的に支持した。逆にロシアとの立場の違いが浮き彫りになる中での訪ロだっただけに、注目されたわけだ。
今回の首脳会談の会談時間は合計で約3時間10分。このうち国際情勢は約90分間に及んだ最初の少人数会合で協議し、続く約50分間の通訳だけを交えた首脳間のサシの会談は、主に日ロの平和条約問題を話し合ったという。
安倍首相は会談後の共同記者発表で「北朝鮮に対して国連安全保障理事会決議を完全に順守し、さらなる挑発行為を自制するよう働きかけていくことで一致した」と表明した。ただ、「万景峰号」の問題には触れなかった。シリア情勢に関しても「ロシアの建設的な役割」への期待を示しただけだ。
安倍首相の訪ロ後、トランプ大統領とプーチン大統領による電話会談があり、首相が仲介したとの説もあるが定かではない。むしろ日本では国際情勢をめぐる日ロの立場の相違、とりわけ日本の米国寄りの姿勢が日ロの平和条約交渉の先行きをより一層暗くするとの観測が大勢だった。
ところが、これについてはロシア側の見方は異なる。ロシアの政権与党「統一ロシア」の幹部の一人は「安倍首相は他の西側の多くの首脳と違い、独自の外交政策をみせている」と指摘。米ロ関係が冷え込むなかで、あえて訪ロした首相の姿勢を評価した。
カーネギー財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長も「たとえ米ロ関係が対立したとしても、日本との関係はより良くなる」と強調。ウクライナ危機を受けた米欧の対ロ経済制裁が続く見通しのなか、日本との投資・技術協力をロシア経済の再生にいかすべきだと主張する。
たとえ各回の成果が乏しくても、安倍首相がプーチン大統領と頻繁に会談を重ねていくことは、日ロ関係の将来に寄与する可能性があることも留意しておくべきなのだろう。
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『鄧小平一族の企業「安邦」、急ブレーキの意味 習近平政権の干渉は、金融自由化とは異なる方向へ』(5/10日経ビジネスオンライン 福島香織)について
5/12新唐人電視台の『台媒:朝鮮握中共太多把柄 金正恩才是最危險爆料人=台湾メデイア:朝鮮は中共の多くの弱みを握っている。金正恩は秘密を暴露するには最も危険な人物である。』の中に、「台灣《自由時報》5月10日發表署名評論文章表示,當前中共顯然還不想與朝鮮〝決裂〞,是因為中共還有許多把柄在朝鮮當局手裡,〝一旦被爆出,也是一場核爆,可能比朝鮮的核爆還厲害。〞
文章分析指稱,早在三、四十年以前,在中共的默許下,澳門成為了朝鮮間諜實施跨國謀殺、綁票等惡行的基地。震驚世界的朝鮮間諜綁架韓國藝人案、仰光爆炸案、中東韓國客機爆炸案、印製假美鈔以及洗黑錢等等案件,中共都是直接或間接的〝幫凶〞甚至炸韓國客機的金賢姬就是在中國培訓的。
此外,在近十幾年間的所謂〝六方會談〞期間,中共和朝鮮當局暗中勾結,〝耍弄美國〞。
文章指,上述內幕都是握在朝鮮當局手中的〝把柄〞,一旦被金正恩抖出來,中共的〝恐怖份子面目〞就將〝無處藏身〞。
5/10台湾の「自由時報」は署名記事を発表、中共は当面朝鮮と決裂したいと思っていないのは明らかとした。これは朝鮮当局に多くの弱みを握られているためで、“暴露されれば、核爆弾のようになる。恐らく朝鮮の持つ本物の核爆弾より威力がある”と。
その文章曰く「3,40年前に中共の黙認の下で、マカオを朝鮮のスパイ基地として、外国での謀殺や拉致を実施してきた。世界を驚かせた韓国の映画監督や女優を拉致、ラングーン爆破事件、中東での大韓航空機爆破事件、偽$印刷とマネロン等の事件について中共は直接・間接的に支援し、あまつさえ大韓航空機爆破事件の金賢姫は中国で訓練を受けた。
この他に、この10数年間の6者会談で、中共と朝鮮当局は手を結び、「米国を弄んでやろう」としてきた。此の内幕は、朝鮮当局に弱みを握られているため、金正恩が一旦ばらせば、中共の「テロリスト」の姿は隠すところがなくなる。」と。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2017/05/12/a1324364.html
北を動かして世界に悪いことをしてきたのが、中共という所でしょう。マッチポンプでマッチを北が、ポンプを中国が果たしてきたという所です。まあ、同じ悪辣な共産主義体制ですから。米国もグローバリストが世界的に「民主主義」を広めることを大義名分として、政権転覆の策動をして来ました。トランプはそれに乗らないために、メデイアからバッシングされる訳です。当初トランプが考えていた米ロの関係改善が、メデイア・議会(特に野党・民主党)・法執行機関の反発により、うまく行きません。それに引き換え、米中間は貿易で中国に点数を稼がせています。グローバリストの思惑通りになっている気がします。「一帯一路」は経済面の中国の影響力拡大もさることながら、軍事的な意味合いも大きいと考えます。海上封鎖されても、石油を陸上から運べるようにとか、兵士の大量派遣とか、金やモノを支援して、諸外国に言う事を聞かせるようにすることが狙いです。早く中国のバブルがはじけることを願っています。
本記事は、中共の権力闘争の一コマです。習派VS江派で、秋の党大会までに安邦の呉小暉は解任・逮捕されるのでは。習は鄧小平越えを狙っているとの福島氏の見立てです。鄧は社会主義市場経済を導入し、経済強国にしたものの、貧富の格差が米国以上に拡大しました。結果の平等を保証するシステムなのに、おかしいでしょう。政治的には三権分立がない、民族的にはバクチ好き、長い腐敗の伝統からこうなることは予測できたはずです。でも習が高潔であるはずがありません。中国人である限り、必ず賄賂は付いて回ります。大躍進・文革で自国民を大虐殺した毛沢東(ヒットラー、スターリン以上に殺戮)に憧れているようですから、彼が力を持てばそのような独裁者になることは見えています。米国、特にグローバリストに反対のトランプが良く中国を見て、対応することを望んでいます。
記事

急成長してきた安邦保険集団。習近平政権が急ブレーキをかける意図とは(写真:AP/アフロ)
中国の代表的“紅色企業”安邦保険集団が揺れている。
紅色企業とは、革命に参加した主要ファミリーが経営や資本にかかわっている企業を指すが、この企業のCEOは鄧小平の孫娘・鄧卓芮の婿・呉小暉。つまり、鄧小平一族の企業という、中国最強と見られる免罪符を持っていた。しかも、中国建国十大元帥のひとり陳毅の息子・陳小魯も董事を務めている。鄧小平と陳毅という最強の革命ファミリーの名前を背景に、呉小暉は“中国のバフェット”と呼ばれる手腕で一民間企業・安邦集団を巨大化し、中国2位の保険収入を誇るまでに成長させた。
だが、この安邦の躍進に習近平がブレーキをかけている。その意図はどこにあるのだろうか。
保監会が処罰、財新が暗部報道
5月5日午後、中国保険監督管理委員会(保監会)は安邦保険集団傘下の安邦人寿保険株式会社に対して、三カ月の新規製品の発売禁止処分を決定した。これは安邦人寿の発売する安享5号というハイリスクユニバーサルライフ保険が、規制・監督を逃れて市場秩序を乱しているなど、二種類の保険商品に違反が見られたことに対する処罰ということになっている。
その前の4月、安邦による米保険会社のフィデリティ・ギャランティ生命買収などに保監会がストップをかけた。香港紙蘋果日報によれば、安邦の海外資産比率が高すぎるのが理由という。キャピタルフライトを食い止めるために、中国当局が海外投資を抑制しているにもかかわらず、安邦が言うことを聞かないので、本格的に圧力をかけ始めた、と見られている。
一方、この動きに呼応するように中国の国際経済情報紙・財新週刊が安邦保険の暗部に関するキャンペーン報道を張ったが、呉小暉はこの報道が事実無根、名誉棄損として財新傳媒集団の主筆で著名女性ジャーナリスト、胡舒立に対して訴訟を起こすと言い始めている。
安邦といえば、2014年、名門・ウォールドーフ・アストリア・ニューヨークホテルを19.5億ドルで爆買いしたことで、世界の注目を浴びるようになった。たしか、2016年も、米プライベートエクィティファンドのブラックストーンの所有するストラジック・ホテルズ・アンド・リゾーツ株の買収に合意している。
そのほかにもスターウッドホテルズ・アンド・リゾーツワールドワイドをめぐるマリオットとの買収合戦(頓挫)や、ブラックストーンが所有する日本不動産の買収交渉(決裂)や、米大統領トランプの娘婿クシュナーのファミリー企業とのマンハッタンオフィスタワー「666フィフス・アベニュー」の再開発計画(中止)など、“海外の爆買い”のニュースが話題となった。その勢いは、向かうところ敵なし、安邦を誰も止められない、といわんばかりのものだったが、今年春になって急ブレーキがかかった。
3回の結婚で駆け上がる
安邦とはどんな会社なのか。
設立は2004年。保険金融業界においては“新兵”と呼ばれた安邦保険が設立わずか13年で総資産1.9兆元の帝国となった最大の理由は、設立者メンバーでCEOの呉小暉が、2003年、鄧小平次女・鄧楠の娘、鄧卓芮のハートを射止めたことが大きいといわれている。
ちなみに彼女は三番目の妻で、すでに離婚している。その前の妻は、浙江省副省長、杭州市長の娘。その前の最初の妻は地元官僚の娘。1966年生まれ、浙江省の農民出身の呉小暉が、こうした紅色ファミリーの仲間入りができたのは、彼が有能であったことと同時に、相当の色男で、婚姻のチャンスをフルに出世に利用してきたからだといえる。
県の工商局で働いたのち、時の下海ブーム(公務員から民営企業家になる改革開放時のブーム)に乗って、自動車セールスの仕事を開始。浙江省で上海汽車の自動車のセールスで業績を上げ、上海汽車最大の代理店に成長させた。また陳毅の息子、陳小魯が運営する上海のインフラ建設投資会社で働いていた縁で、鄧卓芮を紹介され彼女と結婚、その翌年に陳ファミリー、鄧ファミリーの後押しを受けて安邦保険を設立したわけだ。一部では朱鎔基の息子の朱雲来も、江沢民の息子の江綿恒も、董事の席に名を連ねていたという。
そういう“訳あり”の企業だから、これまでも強引な手法でビジネスを展開しても、許されてきた。
たとえば、2015年暮れに明らかになった、広東省の不動産最大手・万科集団に対する広東省のコングロマリット・宝能投資集団による敵対的買収、俗にいう「万宝の戦」のとき、ホワイトナイトとして万科株を買ったのが安邦だった。だが、この買収後の安邦の帳簿上の赤字は20億元以上と囁かれた。つまり、帳簿上、明らかに無理のあるような買収も、意に介さぬ企業ということだ。そういう無茶ができるのも鄧小平ファミリー企業という看板のおかげとも言える。
そもそも安邦の扱う保険は、短い期間で高利回りを提供するハイリスク商品が主流。一方、資産運用は流動性の低い長期株式投資が中心で、もし、信用不安などにより保険払い戻しラッシュが起きたら、すぐに資金ショートするリスクが潜在している、とは言われていた。安邦の信用は、鄧小平と陳毅のファミリーがかかわっている、という看板だけに担保されているとも言える。
大掃除の狼煙も意に介さず
習近平政権が4月9日、保監会トップの項俊波を重大な規律違反で取調べ中と発表したことは、いよいよ、最大の利権の温床となっている金融・保険業界の大掃除に取り掛かるぞという狼煙とも受け取られている。
だが金融・保険業界の最大の問題は、太子党、紅二代と呼ばれる、革命英雄一族の利権が絡んでいることだ。習近平の反腐敗キャンペーンはなんのかんの言っても太子党仲間を避けてきた。習近平自身が習仲勲の息子、堂々たる紅二代であり、姉をはじめ彼のファミリーも、ごく最近までこうした利権の恩恵に思いっきり預かってきたのだ。
しかし、多くの紅二代ファミリーは、習近平の反腐敗キャンペーンがいつか紅二代、太子党にも向くやも知れぬと感じて、徐々に株を譲渡したり、撤退を始めている。また、習近平政権が必死でキャピタルフライトを制御しようとしているのを受けて、多少とも海外買収を自粛しようという動きになってきた。太子党たちの海外への資金移動や資金洗浄を請け負ってきた香港の大富豪が謎の失踪を遂げた影響も大きい。
ところが、一部企業は、習近平の指導など意に介しない。そのひとつが安邦であった。
この安邦をターゲットにする裏の意味として、可能性は二つあると思われる。
鄧小平越え、上海利権塗り替えの野望
一つは、鄧小平や陳毅がなんぼのもんじゃい、といわんばかりの習近平の強気を示した、ということ。呉小暉は2015年の段階で鄧卓芮と夫婦関係を解消しているので、鄧家とは無関係となっているとはいえ、ごく最近まで安邦の信用の担保は鄧ファミリーだったのだ。鄧小平ファミリー企業ですら、習近平はヤルときはヤルぞ、という姿勢を見せれば、いまだ資産の逃亡をあの手この手で講じている他の太子党および紅色企業への威嚇は十分すぎるほどだろう。
なにより、習近平は密かに自分が鄧小平を超えるということを目標にしているフシがある。自分を“核心”と呼ばせるキャンペーンを仕掛けたことも、鄧小平が作り上げた共産党秩序を破壊しようとしている点も、毛沢東リスペクトを過剰に行うことも、香港一国二制度に対する暴力的な揺さぶりも、どこか鄧小平への対抗意識を感じさせる、というのは気のせいだろうか。
もう一つは、権力闘争の文脈で見る安邦叩きというセンである。
安邦の設立には、江沢民の利権企業であった上海汽車とのかかわりがあった。そのことからもわかるように、上海閥とのつながりはもともと深い。その関係で、曾慶紅とも深い関係があると言われている。2015年の財新や南方週末の記事によれば、2010年に安邦が成都農商銀行へ56億元を出資した背景に、当時の成都市書記・李春城が絡んでいることをほのめかしている。李春城は周永康の腹心であり、すでに失脚しているが、曾慶紅を頂点とする四川閥に含まれている。
そもそも金融・保険業界は上海閥勢力が幅を利かせている。90年代から金融都市として発展を遂げてきた上海出身の官僚がなんのかんの言っても経験値もあって優秀である。大卒エリート共産党官僚の集団である共青団もその優秀さゆえ、この業界では幅を利かせている。こうした上海閥系、共青団系の利権を習近平派に塗り替えていこうという動きはかねてからあるのだが、こうした大掃除を速やかにするためには、彼らのバックとなっている太子党、紅二代の有力者には速やかに退いてもらわなくてはならない。
思い出すのが、2015年に民生銀行の若き頭取、共青団のホープの毛暁峰が失脚した事件。これを機に安邦は民生銀行の株を20%近く手に入れた。じつは、このとき、安邦の内幕暴露バッシング報道が、南方週末などによってかなり力を入れて展開された。だが、この時点では、呉小暉をつぶすことはできなかった。勘ぐれば、このとき安邦の整理もするつもりだったが、当時はまだ鄧小平ファミリーによる庇護の力が強かったので、呉小暉は生き残った。
王岐山の指示? さらに混沌
だが、やがて安邦も粛清の対象になるという警告は十分に出されていた。鄧小平や陳希、朱鎔基の一族らは、急いで安邦の持ち株を整理し、あるいは離婚をし、沈む予定の船から降りた。習近平は一応身内的な紅二代たちが、船を下りたのを見届けて、安邦叩きを始めたとも言える。
在米亡命中国人政治評論家の陳破空は、財新の執拗なまでの安邦叩き報道の背景には、王岐山との権力闘争も絡んでいるとの見方をラジオフリーアジアで語っている。
財新の胡舒立は王岐山との関係が深いといわれる。郭文貴事件報道でも言えるのだが、財新のバッシング記事は往々にして王岐山の代理権力闘争的な面も見られる。
今回、安邦集団(呉小暉)が財新(胡舒立)に宛てた抗議の手紙にはこうある。
「我々はすでにあなたと財新に対し訴訟を起こすことを決定した。胡舒立女士は、利益集団のために事実を捏造し世論を間違って誘導することをやめるべきだ。あなた方がさらに、“人を探して圧力をかけてくる”ようなことをしないように願う」
人を探して圧力をかける、の人とは王岐山を指していることは、誰もが考えることである。
暗にこの報道が王岐山の指示であることをほのめかせているのだ、と呉小暉は訴えているのである。
ならば、王岐山と安邦にどういった利害対立があるのか。王岐山は郭文貴の告発によって、まさに海南航空集団との癒着疑惑が表面化しつつある。そこから、国内外の目をそらすために安邦を攻撃しているのか。あるいはもっと、深い理由があるのか。
いずれにしても、習近平政権の安邦叩きの目的が、腐敗を厳罰に処すとか、金融・保険業界の権力との癒着を断つとか、金融引き締めでバブル退治とか、そういう単純な話ではないと思う。そして、この金融・保険業界における反腐敗キャンペーン強化によって、業界の濁りが消えて、外国の投資も増えて、金融改革が進み、活性化するのか、と言うと当然、そうもならないだろう。
要するに共産党の指導という名の、習近平政権の干渉がきつくなり、本来向かうべき金融の自由化と真逆の方向へ舵を切っているのだから。
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