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『大卒青年たちを死に追いやる中国マルチ商法の闇 各地で頻発、背景に就職難、大学は出たけれど…』(9/8日経ビジネスオンライン 北村豊)、『習政権、中国伝統医術を政治利用』(9/11日経ビジネス The Economist)について

9/11小坪慎也ブログ<拡散】朝鮮大学、在校生に総決起を指示。「日米を壊滅できる力整える」金正恩氏に手紙【敵国だと思ったらシェア】> 北への制裁決議が国連安保理で、全会一致で通りました。中露を巻き込めば妥協せざるを得ません。中露とも米国の一強支配を終わらせようと裏で北を助けているのですから、茶番と言えば茶番です。でも10/18の中国共産党大会が終われば、軍事オプションを発動するかもしれません。単なる休戦ですから。宣戦布告も当然ないでしょう。或はもっと厳しい経済制裁、他国を巻き込んだ金融制裁をするかも知れませんが。朝鮮総連、朝鮮学校はテロリストの巣窟と見て良いのでは。生物兵器や化学兵器が隠匿されている可能性もあります。警察・外事は何をしているのでしょうか?

https://samurai20.jp/2017/09/shukai/

9/11NHK安倍内閣支持率

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170911/k10011135251000.html

http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

9/10NNN安倍内閣支持率

http://www.news24.jp/articles/2017/09/10/04372134.html

安倍内閣の支持率が回復したとのニュース、それでも2月のように不支持率が20%台までは行きません。如何に国民がメデイアの嘘放送に弱いかという事を表しているかと思います。このままのペースではメデイアの狙い通り、憲法改正は出来なくなったと思っています。それなら、山尾の不倫問題、日本ファーストの態勢が整わない内に衆院解散に踏み切るかもしれません。

9/12加藤嘉一氏記事<中国は党大会を目前に控え「米朝戦争」を最も警戒している>

http://diamond.jp/articles/-/141835

加藤嘉一氏は中国を「法治国家」と書いていますが、中国に長く住んでいてその認識しか持てないのであれば「めくら」であり、知っていて言っているとすれば中国共産党の代弁者=プロパガンダ広報官でしょう。小生は後者と思っています。こういう駄文というか害のある文章(中国の北への参戦条項、殆ど死に体)を掲載するのを見るとダイヤモンド社も見識がないとしか思えません。まあ、表現の自由は守らないといけませんが。

宮崎正弘・石平・ 福島香織共著『日本は再びアジアの盟主になる トランプvs.習近平!米中激突で漁夫の利を得る日本』の中で宮崎氏は「中国政府発表の数字は眉唾ものばかり

中国の「ジニ係数」は、2014年には0.73に達している。この数字は北京大学の独自調査で、産経新聞によれば、「中国の国内個人資産の3分の1を上位1%の富裕家庭が握り」 「極端な富の偏在が進行している」(同紙、2016年12月25日)。

ジニ係数とは、所得格差を測る指数で、1に近いほど不平等さが高いことを示す。数年前まで中国のジニ係数は0.62あたりが最悪値といわれていた。この数字は西安のある大学の独自な調査に基づいたもので、アメリカの華字紙などが盛んに報じていたが、中国の公式発表はなかった。なにしろ国家統計局の公式の数字ですら0.462である。通常、0.4を 超えると、社会が擾乱状態に陥るとされ、0.5を超えると内乱になるケースがある。

2016年1月19日、国家統計局長の王保安は「2015年の中国の経済成長率は6.9%」と発表したが、そのわずか1週間後に「重大な規律違反」で失脚してしまった。ようするに誰も国家統計局の数字など信用していないということだ。したがって中国国家統計局が2016年のGDP成長が6.5 と言っているのも、まったくの眉唾である。

中国は富裕層の外貨持ち出しを急激に警戒し、多様な規制をかけてきたが、海外企業買収の上限枠設定、外貨持ち出しの両替制限から、ATMの利用制限、ついには銀聯カードの新規発行停止を決定した。それでも巧妙な手口でせっせと外貨は海外へ持ち出されている。外貨準備高は急激に落ち込んでいる。1つは地下銀行、もう1つはぺ—パー化させた有価証券の持ち出しで、いずれもマフィアが牛耳る世界である」(P.60~61)と紹介しています。

北村氏の記事のように、中国人の大多数は貧しいという事が宮崎氏のジニ係数の話で分かると思います。如何に富の分配がうまく行っていないかです。「結果の平等」を標榜する共産国がこれですから。本記事の学生について、ポンジスキームに騙される方が悪いといえば悪いですが、一番悪いのは多分公安です。会社から賄賂を取って見逃していると思います。中国ではよくあること。賄賂文化を元から断たないと駄目ですが、中国数千年の歴史の重みがありますので望むべくもありません。

エコノミスト記事にありますTCMとは伝統中国医学 (Traditional Chinese Medicine)のことです。また「死んだいも虫に寄生する菌類」というのは冬虫夏草のことです。でもwikiでは芋虫ではなく、オオコウモリガとのこと。中国は冬虫夏草を捕るためブータンの国土を侵略したとも言われています。また国際条約で禁止されている象牙も習近平の専用機で密輸した事件もありました。こういう行為のどこが加藤氏の言う「法治国家」なのでしょうか?民主主義の手続きに依らず、立法化したものを国民に強制するだけの国、対外的な約束は守らなくても良いというのが加藤氏の言う「法治国家」なのでしょう。中国で学ぶと、北京大学出の先輩の富坂聰氏同様考えがおかしくなるようです。

TCMの基本は医食同源にあると思います。医食同源の考えは、体の不調な部分を補うために、動物のその部位と同じ器官を食す、人間に近ければ近いほど良い(ですからカニバリズムが起きる訳です)と言うものです。そう言う説明をTVで見た記憶があります。エコノミスト記事にありますように、これでは欲望最大の中国人のことですから、動物虐待や種の絶滅に繋がりかねず、危険です。どうせ習近平が国威発揚を狙ったプロパガンダでしょう。毛沢東ですらその効果を疑っていたというのですから。

悪の帝国・中共(現在中国大陸を統治しているという意味です)は滅ぼさないとなりません。今回の朝鮮半島問題がその引き金になり、分裂するのが良いと思うのですが。またネットでは北の核とICBMは南進の為で、米国の参戦を防ぐためだという意見もありました。

<2017-07-03中共の崩壊はどう起きるか>

http://kaiunmanzoku.hatenablog.com/entry/2017/07/03/101705

北村記事

7月14日の午後6時55分、天津市の“静海区公安局”(以下「区公安局」)に死体発見の通報が入った。現場は天津市の西南部に位置する“静海区”の郊外を走る国道G104の傍らにある濁った池で、死体は背中を上にして水に浮いていた。地元の消防隊が引き上げた遺体は男性で、服装は整っていた。上着のポケット内にあった身分証から、死者は山東省“徳州市”の管轄下にある“武城県郝王庄鎮仁徳庄村”出身の“李文星”(23歳)と判明した。

同夜、区公安局の警官が李文星の家族に連絡を取り、李文星が死体となって発見されたことを連絡して、速やかに天津市へ来て遺体の確認を行うよう依頼した。翌日、天津市入りした李文星の家族は遺体と対面して本人であることを確認した。7月20日、家族同意の下で監察医による李文星の遺体解剖が行われた結果、死因は溺死と判定されたが、不思議なことに、遺体の胃袋は空っぽの状態で、死亡当時の李文星は餓死寸前であったことが判明した。

資源探査を学んだが…

李文星とその妹の“李文月”は、1994年の1月に“龍鳳胎(男女の双子)”として仁徳庄村の貧しい農民家庭に生まれた。出生時、男の子は呼吸がなく、女の子は低体温であったが、医院の応急処置によって命を救われた。しかし、李文月は病弱で治療費の出費がかさみ、李家の生活は困窮していた。李文星は小さい頃から学業優秀で、“高考(全国大学統一入試)”で遼寧省“瀋陽市”にある一流大学“東北大学”に合格したが、家計を考えて入学手続きを逡巡して、父親に叱られた。東北大学生となった李文星は李一族で唯一の大学生であり、李一家の希望だった。李文星は昨年(2016年)6月に東北大学の“資源勘査工程専業(資源探査工程学科)”を卒業した。

将来に希望を抱いて東北大学の資源探査工程学科を卒業したものの、専攻した学問を活かせる良い就職先はなかなか見つからなかった。就職したら故郷の家族に仕送りをしたいと考えていた李文星は焦りを覚え、世間で人気の“JAVA程序員(JAVAプログラマー)”になろうと考えた。JAVAプログラマーなら給料も高いし、出張もない。彼の専攻はコンピューターとは無縁であったにもかかわらず、李文星は無謀にも夢をかなえようと北京市へ移り、コンピューター関連の専門学校へ入学した。大学時代に李文星と宿舎で同居していた友人は、今年の年初に別の仕事を李文星に紹介したが、李文星の決意は固く、即座に断られたという。

専門学校の授業を終了した李文星は、5月15日からインターネットの著名な求人サイト“BOSS直聘”を通じてJAVA関連企業の求人広告に応募を開始し、何社にも履歴書を送信した。しかし、どこからも返事はなく、焦りを覚え始めた5月19日に“北京科藍軟件系統公司(北京科藍ソフトウエアシステム)”(以下「北京科藍公司」)という名の企業からメールを受け取った。李文星は知らなかったが、このメールは北京科藍公司という実在する企業の社名を騙(かた)った“李鬼公司(インチキ会社)”から発信されたものであった。当該インチキ会社は“傳銷(マルチ商法)”集団が求職者をおびき寄せるための手段であったことにより、李文星は最終的に死を遂げることになったのだった。

北京科藍公司からのメールで連絡を受けた李文星が、そこに記載されていた番号へ電話を掛けて電話面接を受けた結果、ハンドルネーム“五殺楽隊”という人物から合格通知のメールを受け取った。そこには速やかに天津市の“静海火車站(静海鉄道駅)”(以下「静海駅」)へ来るよう指示があり、列車の時刻表を調べた李文星は翌20日の午後1時20分に静海駅へ到着する旨をメールで返信した。5月20日、李文星は北京駅から列車に乗り、午後1時20分過ぎに静海駅に降り立った。その後の李文星の足取りは不明だが、7月8日に故郷の母親へ電話を入れ、「誰かが電話でカネを要求して来ても、絶対に支払わないように」とだけ言って電話を切ったことが確認されていた。

騙されたことに気付いたはずだが…

ニュースサイト「“中国青年網(ネット)”」は8月6日付で李文星事件について以下のように報じた。

【1】“蝶貝蕾(ちょうばいらい)”は2005年に発足した“傳銷(マルチ商法)”集団で、全国各地にはびこり、多数の被害者を出し、度々大がかりな取り締まりを受けながらも、依然としてしぶとく生き残っている。求人サイト“BOSS直聘”に北京科藍公司の名前を騙って求職者を陥れる罠を仕掛けたのは、“蝶貝蕾”の天津支部に属する“陳〇”だった。李文星から5月20日午後の列車で静海駅に到着する旨の返信メールと受け取った陳〇は、上司である“張●”に報告し、張●はその上司である“胡△”に報告した。胡△は部下の“江▲”に静海駅で李文星を出迎えるよう指示した。

【2】静海駅で李文星を出迎えた江▲は、李文星を静海区の“静海鎮上三里村”にある仲間の“艾◇”が管理する部屋へ連れて行った。その後、李文星は同じ静海鎮の“楊李院村”にある胡△が管理する部屋へ移され、最後は楊李院村にある仲間の“李◆”が管理する部屋へ移された。恐らく李文星は“艾◇”が管理する部屋に連れていかれた時点で騙されたことに気付いたはずだが、狼たちが捕らえた獲物を逃がす訳がなく、常に厳しい監視の下に置かれ、身の危険を感じて逃げ出すことができなかったのだろう。

【3】8月6日早朝、静海区はマルチ商法撲滅行動を展開し、2000人余りの取締官を動員して“村・街・社区(村・通り・地域)”など418カ所でローラー作戦による捜査を行い、午前11時までにマルチ商法の拠点301カ所を摘発し、マルチ商法メンバー63人を捕捉した。拘束した“蝶貝蕾”メンバーの供述から、静海鎮で“蝶貝蕾”集団の監視下に置かれた李文星は強制的に入会金を支払わされて正式に集団メンバーになり、死亡する前の時点では監視を解かれて集団内で自由に活動することが許されていたことが判明した。但し、李文星が溺死した原因は解明されておらず、さらなる調査が行われている。

実は、8月3日に北京紙「新京報」の記者が李文星の死体が発見された池から100m程離れた下水溝でマルチ商法集団が捨てたと思われる“傳銷日記(マルチ商法日記)”などの物品を発見した。この周辺の住民によれば、この地域にはマルチ商法集団のメンバーが集まる拠点があり、1年中多くの人々が拠点に居住し、常に授業を受けていた。しかし、彼らは1週間前に突然姿を消したので、どうしたのかと思っていたら、彼らの拠点近くの下水溝に布団、衣類を含む大量のゴミが捨てられていたという。彼らは見た目には正常だったが、住民たちと話をすることはなく、衣服は汚れ、ズボンには泥が付いていた。また、記者が発見したマルチ商法日記には手書きで“蝶貝蕾”の内部構造や“蝶貝蕾”集団が取り扱う商品を販売する際に必要な騙しの話法などが書かれていて、その中には「当社のビジネスパートナーは“広州蝶貝蕾精細化工有限公司”である」といううたい文句のインチキな記述もあった。

2900元の化粧品購入を強要され…

この発見によって、李文星と“蝶貝蕾”集団との関係は明白なものとなったのだが、「新京報」は同じ記事の中で、“苦肉計(苦肉の策)”を用いて、“蝶貝蕾”の拠点から必死の思いで逃げ出した25歳の“李冬”の体験を報じている。その概要は以下の通り。

(1)北京市内の某理工系大学を卒業した李冬は、今年5月に求人サイト“BOSS直聘”で“北京泰和佳通”という名の企業が“軟体測試人員(ソフトウエアテスト員)”を募集しているのを見つけた。李冬はこの企業に応募したが、採用試験は電話面接だけで、李冬の就業経験などを聴取した2日後には合格の連絡があり、天津市の静海駅へ出向いて来社するようにと指示があった。静海駅で出迎えを受けて向かった先は1軒の農家で、そこには20人程の人数がいた。これを見て李冬は非合法組織だと悟って逃げ出そうとしたが、そのうちの1人に首を絞められた。窒息する寸前に許しを乞うて助かったが、死の恐怖に打ちのめされた。それからは李冬に3人の監視が付き、1人が李冬に話をし、他の2人は李冬の左右を取り囲んだ。

(2)それからの毎日は昼間にこの農家にいるのは短い時間だけで、警察を避けるために、組織のリーダーがメンバーたちを荒野や田畑へ連れて行き、1日中マルチ商法の講義を聴かされた。李冬と同様に合格通知を受け取って静海駅へ来た人の多くが、駅から農家の門前まで連れて来られた時点で騙されたと気付き、Uターンして逃げようとするが、組織の人数は多かったから、たちまち捕まって連れ戻されるのだった。

(3)この組織は“蝶貝蕾”という名のマルチ商法集団で、扱っていたのは化粧品であった。騙されて連れて来られた人は2900元(約4万6400円)で一組の化粧品を購入することを要求される。2900元を支払った人は下っ端から格上げされて“老板(店主)”と呼ばれるようになり、優秀な“老板”は副班長に相当する“懈(かい)”に格上げされる。その上は班長に相当する“大扛(だいこう)”、さらにその上は班主任に相当する“導”となる。“導”がメンバーたちにマルチ商法の授業を行い、記憶力の良い“老板”にメモを取らせて暗記させてから、新入りに対して授業を行わせる。

逃亡失敗で監禁され…

(4)そうこうするうちに、“大導”と呼ばれる上級幹部が現れてメンバーたちに授業と称する洗脳を行う。すなわち、4~5カ月で代理店になれる。代理店になれば収入が増えて裕福になれる。その前提は化粧品を十数組購入することだが、それには4~5万元(約64~80万円)が必要になるから、化粧品の販売を名目に親戚や友人を騙してカネを巻き上げろ。こうして、“大導”は“蝶貝蕾”の違法活動を正当化し、カネ持ちになれるとメンバーを煽り、徐々に肉親や親類、友人、さらには赤の他人を騙すことに罪悪感を覚えなくさせるのだった。なお、李冬によれば、化粧品というのは概念に過ぎないようで、彼は最初から最後まで化粧品の実物を見たことがなかったという。

(5)“蝶貝蕾”集団内のメンバーは全員が大学を卒業したばかり、あるいは卒業して1~2年の人たちで、中には就労経験を持つ者もいた。彼らの組織を発展させるには、末端のメンバーを増やすしかないので、現有メンバーの友人を引き込んだり、ネットの求人サイトで求職者を騙して招き入れるしかない。李冬は“蝶貝蕾”の拠点で約20日間を過ごしたが、その間に李文星を見かけた。当時、彼らは警察の目を避けて、基本的に人里離れた場所で毎日トランプ遊びに興じていた。李文星もトランプに参加したが、彼は言葉少ないタイプで、内向的に見えた。しかし、3~4日後に李文星は別の場所へ移されたのか、見かけなくなった。

(6)李文星がいなくなってから数日後に、李冬は“蝶貝蕾”の拠点から逃げ出すことを決意した。李冬が目まいで倒れた振りをすると、彼らは意識を取り戻させようと脚をライターの火であぶり、タバコの火を鼻の頭に押し付けた。脚も鼻も火傷を負ったが、何の治療もしてもらえなかったので、脚の火傷は悪化した。李冬は“導”に医者に行かせて欲しいと訴え続けたところ、下手をすれば厄介なことになると考えた“導”は、800元(約1万2800円)払えば解放してくれると約束した。李冬は友人にメールを入れて1000元を借り、“導”に800元を支払って自由の身となり、手元に残った200元で列車の乗車券を買って、姉の所へたどり着いたのだった。李冬はわざと彼らに身体を傷つけさせて、治療を理由に解放を求めて成功した。これこそ正に苦肉の策の脱出行であった。

李冬は“蝶貝蕾”からの脱出に成功したが、内向的な李文星は飢餓状態で溺死した。恐らく、李文星は逃亡を図って失敗し、食事を与えられぬまま監禁されていたのだろう。李文星は見張りの隙を見て逃げ出したが、走っている途中で誤って池に落ち、空腹で体力が衰えていたために溺死したのではなかろうか。無念の最後であった。

天津市では李文星の死体が発見されたのと同じ7月14日に、静海区に隣接する“西青区”でも若い男性の死体が発見された。調査によって死体は山東省“臨沂市郯城県”出身の“張超”(25歳)であることが判明した。検死の結果、遺体に外傷はなかった。張超は“内蒙古科技大学”の卒業生で、李文星と同様にマルチ商法集団に騙されて7月10日に静海区へ来たばかりだった。その後の調べで、張超は熱中症を発症したため、仲間によって車で天津駅へ運ばれる途中で病状が悪化したため、無慈悲にも置き去りにされたことが判明した。これ以外にもマルチ商法関連で若者が死亡する事件は全国各地で次々と発生している。

撲滅できるか

李文星事件はメディアによって大々的に報じられた。このため、上述したように、天津市静海区は8月6日にマルチ商法集団の一斉取り締まりを実施し、“蝶貝蕾”を含むマルチ商法集団の拠点を摘発し、多数のマルチ商法メンバーを捕捉したのだった。但し、それは静海区に限定した取締りであり、広大な中国のほんの一部分に過ぎない。

中国各地ではマルチ商法集団がはびこり、関連の犯罪が激増し、集団によってメンバー入りを強制された人およびその家族が破産したり、自殺するなどの悲劇が頻発している。今やマルチ商法集団は中国国民共通の怒りの対象であり、全国各地の公安局はマルチ商法集団の取り締まりを強化している。そうした最中に発生したのが李文星事件であり、この事件を契機としてマルチ商法集団撲滅の動きは全国的に活発化するものと思われる。

筆者は8月4日付の本リポート『幹部釈放を求め「ねずみ講」会員6万人が北京へ』で、「“善心滙(ぜんしんかい)”」という名のねずみ講に関する記事を報じたが、中国語の“傳銷”は「マルチ商法」とも、「ねずみ講」とも訳される。一般的に両者の違いは、前者には商品が介在するが、後者には商品の介在はなく、カネだけが動くとされる。上述した“蝶貝蕾”の場合は商品が存在しないようだから、実質的にはねずみ講と言ってよいのかもしれない。

いずれにせよ、“善心滙”を代表とするねずみ講と“蝶貝蕾”を代表とするマルチ商法は、中国政府にとって徹底的に取り締まって撲滅すべき標的の一つとなった。中国共産党総書記の習近平は、「党と国家の存亡の危機」を回避して、国民の信頼を取り戻すために「トラ退治とハエ駆除」を標榜して汚職官僚の摘発に全精力を傾注した。これと同様に、国民の怒りを解消して信頼を勝ち得るためには、ねずみ講とマルチ商法の撲滅は不可避なものとなっているのである。「トラ」と「ハエ」に新たに「ねずみ」が加えられたと言える。

The Economist 記事

中国政府は、中国の伝統医術を普及させるべく、法律まで作って後押ししている。「伝統文化の擁護者」とのイメージを習近平国家主席に持たせる狙いだ。毛沢東も同様の策を講じた。政治的な思惑の裏で、環境や絶滅危惧種への悪影響が懸念される。

TCMで使用する薬物を調合している。調合師はテストに合格する必要がある(写真=Imaginechina/アフロ)

「かつて十分な科学的根拠に欠けるとして疑問視されていた中国の伝統的な医術が、まさに世界を席巻しようとしている」。中国国営通信の新華社は2016年、ある記事の中でこう論じた。

むろん、これは戯れの誇張だ。たとえ中国共産党であっても、効果の定かでない古来の療法で近代医学に取って代わろうなどと計画しているわけではない。

だが同党はこうした治療法(一般にTCMとして知られる)を世界中に広めようと本腰を入れている。国内においても、TCMを施術する病院や診療所のネットワークを広げていく意向だ。

中国では近年、TCMが急速に成長している。これを施術する中国の病院は03年には約2500だったが、15年末には4000余りに増加した。中国国内で免許を持つTCMの施術師の数は、この6年の間に50%近く増加して45万人を超えた。

中国政府は「孔子学院」のネットワークを通じて、米国や英国など様々な国におけるTCM教育に助成金を出している。中国政府の意向を伝える英字紙「チャイナ・デイリー」は同紙のウェブサイト上で「世界はTCM時代に入りつつあるか」と問いかける記事を掲載した。答えがイエスなら中国政府は大喜びだろう。だが、人類や、TCMに材料を提供している自然界にとっては、必ずしもそうではなさそうだ。

毛沢東が支持獲得に利用

中国においてもTCMは、いつも今のようにもてはやされてきたわけではない。中国の最後の王朝である清朝が1911年に滅んで以降、中国の新たな指導者たちはTCMを迷信に基づく行為としてはねつけてきた。

TCMは煎じ詰めると、はり治療や、各種薬草や動物の様々な器官から取った成分を混ぜ合わせた調合薬による治療を少々超えたものにすぎない。

そこに神秘的な色合いが加わることもしばしばある。気と呼ばれる力が人体の健康に影響を与え得るとの考えだ。

中華人民共和国の設立時に最高指導者となった毛沢東はTCMを信頼していると公言する愛好者だった。農民の間でTCMの人気が高いことを知っていたからだ。農民こそが、毛沢東が取り組むゲリラ活動を支える原動力だった。

TCMは料金が安いことも利点の一つに挙げられる(毛沢東は裏では、お付きの医師の一人にこう打ち明けていた。「TCMの普及を促す必要があることを理解しているが、私個人としては効果を信じてはいない」)。

現在の中国を率いるリーダー、習近平国家主席は、毛沢東以上に強くTCMを支援している。習政権は2016年に「白書」を発表。その中で、TCMを推進していく計画を提示するとともに、「(TCMは)人類の文明化の進展に好影響を与える」と主張した。同白書は、TCM産業は中国経済の「新たな成長エンジン」になるとも記している。

 

TCM部門の設置を義務化

今年7月、すべての一般病院にTCM部門を開設するよう地方政府に義務づける法律が施行された。同法はまた、TCMと、中国が「西洋医学」と呼ぶものを同列に扱うよう求めている。

習氏の努力はある程度の恩恵をもたらす可能性がある。TCMが健康な食と生活の実現に一役買うなら、称賛されるべきだ。通常の医療にも造詣の深いTCMの施術師は、著しく立ち遅れている中国のプライマリーケア制度の穴を埋められるかもしれない。

西欧社会におけるTCMの受け入れは進まない(写真=Imaginechina/アフロ)

とはいえ危険もある。より多くの資源をTCMに配することで、科学に基づく医療に向けるお金が減ることになる可能性がある。これはTCM振興がもたらす落とし穴だ。TCMによる治療の大半はプラセボ効果がある程度で、悪くすると疾病治癒という本来の役割を果たせない。危険を伴うことすらあり得る。

中国の薬理学者、屠呦呦(ト・ユウユウ)氏が15年に、中国国内で取り組まれた研究成果を対象とするノーベル賞を初めて受賞した。同氏は、TCMにおいてマラリアに効果があるとされる物質から、有効な化学物質を抽出するのに成功した。

中国政府はこのことがTCM全体の有効性を実証していると主張する。だが、TCMは実際には、屠氏がノーベル賞を受賞するに至った研究に、インスピレーションを与えただけだ。ノーベル委員会もこの点を強調する。伝統的な医療の効果が認められるようになる場合は常に、その背後に確たる医療メカニズムが存在している。

TCMの推進は、環境に打撃を与え、絶滅危惧種の生存を危険にさらすリスクを増幅しかねない。チベット高原では、一獲千金を狙う者たちがTCMで珍重される死んだいも虫を探して草原を破壊している。このいも虫に寄生する菌類がTCMにおいて人気なのだ(公式には使用が認められていないものだが)。この菌類の価格は、同じ重さの金よりも高い。この薬剤が性欲を活性化させる証拠はない。

南アフリカの草原地帯(サバンナ)では角を切り取られたサイの死骸が横たわっている。サイの角は関節炎に効くとされており、粉末にして利用される。中国にあるTCMの闇市場では1kg当たり数千ドルが相場だ。こうした例は枚挙にいとまがない。

TCMの振興を図るよう習氏を突き動かしている動機の一部は政治的なものだ。熱烈な愛国者、かつ中国文化を擁護する者とみられることを願っている。だが、効果の定かでない治療法に助成金を支給するよりも、科学の進展を支援するほうが、中国にもたらすものは大きいだろう。

©2017 The Economist Newspaper Limited Sep. 2-8, 2017 All rights reserved.

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『党大会前の軍幹部粛清は、政敵排除か実戦準備か 後任に中越戦争経験者、火種は南シナ海かインドか北か』(9/6日経ビジネスオンライン 福島香織)について

トップページに外国人留学生に対し税金からの優遇措置を与えていることをアップしました。主に中国人対象です。尖閣を侵略しようとする国の学生に優遇措置を与えて知らん振りできる官僚の不甲斐なさ。税を使う以上、国益に資する国からの留学生に限定しなければ。数を追うのは間違いです。

8/16日本捜捜の記事阿里巴巴2018年推出“日本版支付宝”=アリババは2018年に日本版アリペイをスタート

讯(记者 尤锡川)8月16日,阿里巴巴公司宣布,将于2018年春季在日本推出手机支付服务。新服务的系统与机制和在中国国内普遍使用的网络结算方式“支付宝”完全一样,可看作“日本版支付宝”。有专门人士分析,此举或许会直接引爆在日本国内使用手机支付的潮流。 目前只有拥有中国银行账户的人才能使用“支付宝”,所以“日本版支付宝”将在日本用其他品牌名为拥有日本国内银行账户的人提供服务,阿里巴巴公司希望在3年以内赢得1千万日本用户。新业务将由蚂蚁金服日本分公司提供,利用店铺生成、或消费者的智能手机应用程序显示的二维码进行结算。 日本每年访问中国的人数大约在250万人次左右,得益于“日本版支付宝”的推出,日本人到中国出差或旅行时的便利性也将大幅提高。 “日本版支付宝”会以已经导入“支付宝”的罗森便利店、百货商店等为中心进行扩张,到2017年底,阿里巴巴计划将加盟店铺增加至约5万家。除此之外,其他生活相关功能,预订和购买电影票等也将逐步完善。 据野村综合研究所调查结果显示,日本国内2017年电子货币的结算市场仅为5.6万亿日元,而中国基于智能手机等移动终端的结算市场2017年有望达到15万亿人民币(约合250万亿日元)规模。因此该研究所分析称,日本国内手机支付市场还有巨大潜力可供挖掘。 中国是现在世界上手机结算业务最普及的国家。两大手机支付巨头,“支付宝”与腾迅控股的“微信支付”,几乎平分中国国内的手机结算市场。阿里巴巴之前认为,在以现金交易为主的日本社会,手机支付将有很大的上升空间。因此“支付宝”随着中国访日游客增加的大流而率先登陆日本市场。 “支付宝”最初是为了解决阿里巴巴公司旗下购物网站“淘宝网”的交易安全所设置的一个功能。该功能首先使用“第三方担保交易模式”。2004年年底“支付宝”从“淘宝网”脱离,成为一家独立公司。截止2012年12月的数据,“支付宝”注册用户突破8亿,日交易额峰值超过200亿人民币,日交易笔数峰值达到1亿零580万笔。在使用“支付宝”打款时,用户终端机与“支付宝”服务器之间的连接使用128位SSL加密通信,所以具有较高的安全保障。 (記者 尤锡川)アリババは8月16日、2018年春に日本でモバイル決済サービスを開始すると発表しました。 新しいサービスのシステムと機能は、中国で普通に使用されるネット決済 “アリペイ”とまったく同じで、”アリペイの日本版”と見ることができます。 専門家の分析によれば、これは日本にスマホでの支払いを爆発的に流行させる契機となるかもしれないと。

現在、中国の銀行口座を持つ人だけが”アリペイ”を使うことができるので、 “アリペイの日本版”は日本国内の銀行口座名義での商品購入のサービスを提供します。アリババは3年以内に1000万人の顧客を確保することを目指しています。新しいビジネスは、アント・フィナンシャルサービスグループ日本支店が提供し、店舗で買物した後、または消費者のスマホアプリのQRコードを使用して決済します。

日本から中国への年間訪問者数は約250万人で、 “アリペイの日本版”のスタートにより、日本人の中国への出張や旅行の利便性も大幅に改善されます。

“アリペイの日本版”は既にローソンで導入され、百貨店等を中心に拡張し、2017年末までにアリババは約50,000店舗まで数を増やす予定です。 これ以外にも、その他の生活関連や映画チケットの予約と購入等、徐々に手を広げる予定です。

野村総合研究所の調査結果によれば、2017年の国内の電子決済市場は5兆6000億円に過ぎず、中国の2017年のスマートフォンなどのモバイル決済市場規模は15兆元(約250兆日本円)になろうとしています。 このため、研究所の分析によれば、日本のモバイル決済市場は、掘り起しできる巨大な潜在力があるという事です。

中国は現在、世界でモバイル決済が最も普及した国です。 モバイル決済の両巨頭である “アリペイ”とテンセントの “WeChat決済”は、中国国内モバイル決済市場をほぼ二分します。アリババが進出する前には、日本では現金支払いが中心で、モバイル決済は成長の余地が非常に大きいです。 それ故 “アリペイ”は中国の訪日客の増加に伴い、日本市場に最初に進出を果たします。

“アリペイ”はもともとアリババのショッピングサイト “淘宝網”の取引の安全を確保するための子会社でした。このため、最初に「第三者保証による取引方式」を採用。 2004年末に、”アリペイ” “淘宝網”から独立しました。 2012年12月までのデータとして、 “アリペイ”の登録ユーザーは8億を超え、一日の売上高は200億元を超え、一日の売上件数は1億580万件に達しました。 “アリペイ”による支払い時に、ユーザーの端末と”アリペイ”サーバーの間で、128ビットのSSL暗号通信を使用、高いセキュリティを誇っています。

モバイル決済サービスは、米国で生まれ、中国へ導入されてより便利になりました。導入コストはもはや高くはありません。 今回は、中国外で正式に上陸した”アリペイ”にどのような変化が起こるか注目を集めています。>(以上)

https://japansoso.com/archives/634136

本件は、日経にも載っていましたが非常に危険と思われます。華為のスマホを使うよう誘導し、バックドアが仕込まれているため、個人情報が盗まれる恐れがあります。況してや銀行口座など使うとすれば、イザと言う時に、何をされてもおかしくないと思わないと。危機管理のイロハです。

9/11宮崎正弘氏メルマガには逆に中共はビッコイン市場を閉鎖する解説がありましたが。 <ビットコインが「第二の通貨」となると中央銀行は不要になる? 中国はなぜ仮想通貨の取引所を突然、閉鎖したのか

http://melma.com/backnumber_45206_6581722/

中国は人口の多さで外国人を引き付けようとしますが、道徳が最低な民族であることを忘れないようにしてほしいです。近頃は中国人旅行客のマナーの悪さを身近に見る機会が増えたので、理解されるようになったと思いますが。

黄文雄氏も『なぜ中国人・韓国人は「反日」を叫ぶのか』の中で、中国人とは「人口最多、資源最少、欲望最大、道徳最低」と書いています。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族です。中国駐在時代ですから、10年以上前になりますが、中国人は1元のものを買うのでも、使えるかどうか、動くかどうか調べてから買っていました。不信社会(偽物が多い、その場でチエックしなければ退貨(返品)して貰えないからです)の為せる業。信用をベースにした日本社会とは全然別でした。因みに小生の勤務していた会社ではキャッシュ&デリバリー方式を採って、取引先から入金確認後、出荷していました。そうしないと焦げ付くためです。人民元の流通する2割が偽札と言われ、以前に本ブログでも書きましたようにレンタル自転車も返さないでゴミの山になっているような国です。

GDPの数字も外貨準備の数字も上げ底と言われています。中国の国内債務は以前の数字で33兆$もあると言われています。何時バブルがはじけるかが問題です。アリペイは日本の銀行に負担を負わせる悪巧みがあるのかもしれません。中国人の底意は日本人には到底考え就きません。日本の銀行は広東国際信託投資公司で朱鎔基が行ったことを思い出す方が良いでしょう。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASGV05002_V00C14A2000000/

中国経済を外資が支えているのが見えていますので、外資がさっさと逃げれば良いと思うのですが、$の海外流出制限で難しくなっているのかも。こういう国には金融制裁を課すべきです。早く経済崩壊させ、民衆による共産党打倒を実現してほしい。屍の山になるでしょうけど。その前に北の問題を片づけなければ。

http://japanese.joins.com/article/559/226559.html

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170821/mcb1708210500014-n1.htm

http://www.thutmosev.com/archives/66048401.html

さて、福島氏の解放軍絡みの記事ですが、宮崎正弘氏メルマガにも関連記事がありましたので紹介します。

9/8<毛沢東の孫=毛新宇も、張震の子=張海陽もリストから外された 党大会参加者名簿から多数が「落馬」。とくに太子党の大物が五人。>

http://melma.com/backnumber_45206_6580203/#calendar

9/8<郭文貴が正式に政治亡命をアメリカに申請した 中国は郭を搾取など53億ドルの被害とNYで訴追>

http://melma.com/backnumber_45206_6580302/#calendar

これらの記事を読みますと、習近平は本気で戦争したがっているのではと思えます。米国と直接対決はないでしょうけど。福島氏の言うように瀋陽軍を北朝鮮懲罰で、相互に戦わせ、漁夫の利を得ようと言うもの。ただ、これは核ミサイルが北京に向けて発射される危険性があります。瀋陽軍+江沢民派+北朝鮮と言う構図が正しければ、瀋陽軍と北朝鮮が一体となって習近平に牙を向くでしょう。

日本は戦争に備えなければなりません。憲法改正も間に合いませんし、戦争勃発となれば、憲法・法律停止、戒厳令でしか国難は乗り切れません。その時初めて国民の多数は誰が味方で、誰が敵かハッキリ分かるはずです。自分が信じて来た権威やメデイアと言うものが外国の侵略の手助けをしてきたことを。愚民民主主義の咎めですが。

記事

「中越戦争」経験者登用の理由は…(写真:Bridgeman Images/アフロ)

いったい何が起きているのか。党大会前に党中央軍事委員会メンバー4人が一気に失脚、更迭された。王岐山が6月22日から8月23日まで動静が不明で、きっと誰か大物が失脚するのだろう、といわれていた。王岐山が“大虎”を失脚させる前は、必ず動静が不明になる、というのがこれまでの慣例であった。7月14日に孫政才が失脚したあとも、王岐山は姿を隠し続けていたので、次は誰か? ひょっとして江沢民か? みたいな噂が飛び交っていた、と思ったら、なんと解放軍の統合参謀本部参謀長(旧総参謀長)の房峰輝や、2017年1月に退任するまで10年以上海軍司令の地位にいた呉勝利を含むエース級の上将たちが、8月30日までに失脚していた。習近平が軍制改革に切り込んで以降、軍内には習近平に対する反感がくすぶっていたが、この反感の芽を党大会前に根こそぎ排除しようということだろうか。

誰が失脚したか。房峰輝、呉勝利、そして政治部主任の張陽。張陽の部下だった杜恆岩(退役上将)。また空軍司令の馬暁天もすでに更迭されている。いずれも上将、軍で一番高位であり200万兵士のなかで30人あまりしかいない実力者だ。しかも房、呉、張、馬の4人は党中央軍事委員会(11人)の現役メンバーである。

房峰輝、張陽は胡錦涛が特に信頼していた上将たちで、ひそやかに「国軍派=解放軍に国家の正規軍としての位置づけを望む派閥」であったと噂されるので、習近平の目指す解放軍掌握、党の私軍化にとっては邪魔な存在になりえた。しかし、習近平が全面的に支持していたとみられる海軍、空軍トップの呉勝利と馬暁天までが失脚、更迭されたというのはどういうことだろう。

まず軍内胡錦涛派を排除

RFI(フランス国際放送華字ニュース)によれば、房峰輝はすでに失脚した軍長老、郭伯雄と近しい仲であったことが理由とされたもようだ。房峰輝は一般に、2009年の建国60周年軍事パレードの総指揮を務め、中央軍事委主席・胡錦涛を補佐した胡錦涛派テクノクラート軍人として知られているが、90年代に蘭州軍区にいて、蘭州軍区指令員の郭伯雄の寵愛を受けていたといわれている。1998年には少将に昇進、蘭州軍区21集団軍軍長の重職に就き、その後、北京軍区指令に抜擢されるのだが、このときも郭伯雄の強い推薦があったとされる。香港明報紙の報道によれば、2014年に徐才厚が汚職容疑で取り調べを受けたのち、郭伯雄にも汚職の疑いが出てきたとき、房峰輝は北京民族飯店で郭伯雄の家族と一緒に食事をしながら、「誰が老首長(軍内で使われる上官への敬称)に手を出そうとも、私が守って見せますよ」というような発言をしていた、らしい。

張陽も、胡錦涛が気に入って広州軍区政治委員から総政治部主任に抜擢された胡錦涛派の上将とされる。長く軍の政治工作任務に就いてきたから、当然、徐才厚との関係はあったと思われる。

そう考えると、習近平としては徐才厚、郭伯雄らすでに排除した軍長老の残党狩りの名目で、胡錦涛派の軍内勢力の排除も開始したといえる。もっとも当時軍の出世コースにのっていた将校で、徐才厚、郭伯雄と無関係な人間などいなかっただろう。これは軍内胡錦涛派排除の動きとみてよいだろう。

呉勝利排除の理由は“空母ショック”?

では、呉勝利の排除はどのように背景があるのか。呉勝利はすでに72歳、黙っていても完全引退は間違いないのだが、あえて「双規」で拘束し、罪に問う、その意図はどこにあるのだろう。今年一月には海軍司令を引退、その後継に南海艦隊司令だった沈金龍が就任した。習近平が南シナ海の島々の軍事拠点化戦略において沈金龍の功績を高く評価したからだ。

呉勝利は胡錦涛が出世させたという意味では、胡錦涛派とも言えるが、もともとは前任の張定発とともに江沢民派と見られてきた。対日強硬姿勢やハワイあたりを中心線として太平洋を米中で二分して統治する太平洋二分割論など、過激な思想は、強軍化と海洋覇権を強く打ち出す習近平とも意気投合し、習近平たっての願いを聞いて2012年以降も海軍司令を続投することにした、といわれている。少なくとも2012年以降の南シナ海のスカボロー礁実効支配および軍事拠点化戦略は呉勝利の指揮のもと行われ、それを習近平が全面的に支持していたことは呉勝利自身が発言していた。その呉勝利が2017年1月突然解任され、後任は呉勝利がかわいがってきた孫建国の頭越しに、習近平が信頼する沈金龍を就けた。なので、この二人の関係にひびが入ったというのは、なんとなく察せられたが、その理由ははっきりとはしなかった。一説には、初の中国建造空母・遼寧の演習指揮があまりにもお粗末で、習近平が激怒したのが原因ともいわれた。

2017年1月、米トランプ大統領と台湾・蔡英文総統の直接電話会談に対して怒った習近平政権が、台湾に圧力をかけるために遼寧号に台湾海峡を通過させる演習があった。しかし、このとき、台湾側の軍機が遼寧号の上空を飛ぼうが、遼寧号は何の反応もできず、空母であるにもかかわらず、戦闘機の夜間発着機能がないなど、遼寧号の欠陥を国際社会に暴かれてしまった。習近平は台湾に牽制をかけたつもりが、むしろ恥をかかされる格好になり、この気まずさをすべて遼寧号の指揮をとった呉勝利の責任だとして、海軍司令を更迭した、という話である。4月26日の初の完全国産空母の進水式に習近平も呉勝利も出席しなかったという異常事態は、この“空母ショック”が原因ではなかったかと噂された。

真の理由は「張定発事件」か

だが、もしそれだけなら、汚職で完全失脚させるほどのものではなかろう。習近平が呉勝利の何かを恐れて排除したとしたら、確かに思い当たる理由はある。かつて中国を揺るがせた胡錦涛暗殺未遂事件こと「張定発事件」に、呉勝利はなんらかの関係があるかもしれない、ということだ。張定発事件とは、2006年5月1日、黄海での演習を胡錦涛がミサイル駆逐艦に乗船して視察中、両脇の駆逐艦が胡錦涛の乗艦にむかってミサイル誤射をした事件。胡錦涛は艦上ヘリで離脱し、一命を取り留めたが、5人の兵士が巻き添えになった。事件当時の海軍司令・張定発はその年の暮れ、謎の病で死亡。ミサイルを発射した兵士は胡錦涛を暗殺すれば昇進が約束されていたと取り調べで白状したらしいが、その命令がどこから来たのか真相は突き止められなかった。

そして事件後、呉勝利が正式に海軍司令に任命される。この事件は一般に、江沢民が胡錦涛を亡き者にしようと、江沢民派の海軍司令・張定発に命じて、事件をしくみ、張定発自身は病気を理由に現場におらず、無関係を装うとした、というストーリーが推測されている。呉勝利の出世は、胡錦涛は呉勝利が事件に直接かかわっていないと判断した結果とみられている。だが、冷静にみれば、この事件自体が迷宮入りになった以上、この事件で出世を遂げた呉勝利が完全にシロという確証もないのである。

何度も暗殺未遂を経験し、歴代総書記の中でもっとも暗殺を恐れているといわれる習近平にしてみれば、歴史に残る暗殺未遂事件にかかわっているかもしれない呉勝利のことは完全には信用できなかったのではないか。

また一説によれば、呉勝利が大連海軍艦艇学院院長だったころ、すでに失脚した薄熙来ときわめて親密な間柄であったことなどが、習近平の不信を呼んだともいわれている。

ちなみに呉勝利の汚職は2015年ごろからいろいろ噂に流れていた。郭伯雄の汚職に連座していたということが、劉暁江(退役上将、胡耀邦の女婿)によって2015年3月に内部告発されていた。具体的にいえば、呉勝利の妻が上海の天虹国際ホテルなどの不動産プロジェクトにおいて利益供与関係があるとか。元海軍中将の王登平の買官問題とか。

このときは、おそらく呉勝利は一度取調べを受けていた。だが、当時は習近平の信任を得ていたこともあり、また南シナ海戦略において重要な役割を担っていたこともあり、この件についてはいったん無罪で放免されたのだろう。あるいは習近平自身に、まだ海軍で強い影響力を持つ呉勝利の排除が可能なほど実力を持っていなかった。

馬暁天については、まだ汚職による失脚とは断定されていない。しかし、空軍司令を早々と解任され、その動静が途絶えていることから失脚説が流れ始めた。馬暁天はもともと胡錦涛派とみられていたが、習近平が軍事委主席になった後は、完全に習近平派とみられていた。徐才厚の電撃拘束も、習近平の密命を受けて、空軍主導で行われたといわれている。馬暁天の父は、馬載尭(大校=大佐に相当)元軍隊政治学院教育長、岳父が元党軍事委員会規律委員副書記の張少華(中将)という解放軍紅二代に属するサラブレット軍人。今年、定年年齢68歳なので単に年齢に伴う解任の可能性もまだ残るが、呉勝利、房峰輝、張陽の拘束情報が流れると、彼だけ無事なはずはあるまい、という気もする。

毛沢東以来の大粛清

習近平が江沢民派軍長老の徐才厚、郭伯雄を失脚させたのち、軍権掌握のために七大軍区を五大戦区に編成し直すなど、思い切った軍制改革を断行、それに伴い軍の少将以上60人以上を一期に徐・郭汚職に連座したとして失脚させたほか、追いつめられた少将15人以上が自殺(あるいは不審死)を遂げた。しかし、それでも習近平は軍権掌握に自信が持てず、2017年には、さらに中将および上将47人を更迭。そのうち現役上将は18人、現役中将は25人に上る。これに加えて今回、3上将の失脚、1上将の更迭。この穴を埋めに中央軍事委員会入りするのは、房峰輝の後任の李作成(前陸軍司令)、張陽の後任の苗華(海軍政治委員)、馬暁天の後任の丁来杭(前北部闘区指令)ら、習近平への忠誠を誓う子飼いの部下たちだ。

次の党大会では現在の党中央軍事委員会メンバーで主席の習近平をのぞく10人の上将全員が総入れ替えとなるという噂や、二人であった副主席を4人に増やし、制服組の権力を分散させるといった見方も流れている。いずれにしろ、毛沢東以来の軍内大粛清進行中だとみられている。

習近平はこれほどの軍の粛清を通じて、何を目指しているのか。単に軍権掌握だけが目的なのか。徐才厚・郭伯雄派残党一掃だけが目的なのか。だが、軍ハイレベルのこれほどの人事入れ替えを一気に行えば、当然軍内の不協和音は増大し、不安定化する。特に習近平に重用されていたように見えていた呉勝利や馬暁天の失脚、更迭はいかにも使い捨てといった印象で、むしろ最高司令官としての習近平への忠誠よりも、習近平に対する恐れや疑心を生む可能性があるのではないか。

中越戦争経験者を配し「実戦」準備か

フランス戦略研究基金会の研究員がRFIの取材に答えて、興味深い発言をしていた。「習近平の今の軍制改革および大粛清は、南シナ海、東シナ海および中印国境での戦闘準備を意識してのことだ」と。いわゆる年功序列ではなく、実戦向きの中越戦争経験者の抜擢などが目立ち、実際の戦争を意識している人事だという。

たとえば参謀長に抜擢された李作成などは中越戦争で実際の作戦経験がある。軍制改革によってつくられた五大戦区のうち、東部戦区、西部戦区、南部戦区の司令はいずれも中越戦争で前線にでている。もちろん、陸軍司令に大抜擢された韓衛国(上将)のように習近平となじみがある福建駐屯第31集団軍(通称アモイ軍)出身の“お友達人事”の側面も強いが、そうした人事で生じた不協和音は、“⼿ごろな戦争”をして、戦績をあげさせることで、なんとか解消しようということなのかもしれない。

RFIは南シナ海、東シナ海、中印国境の紛争懸念を具体的に上げたが、私はこれに加えて、徐才厚派が依然多い旧瀋陽軍区(北部戦区)の部隊を対北朝鮮作戦の前線に送り込む形で、北朝鮮懲罰戦争みたいなものをやらかす可能性なども、少し頭の片隅においている。徐才厚派残党の粛清と中国の手に負えなくなった北朝鮮への懲罰、そして強軍化アピール、内政問題に対する大衆や党内の不満の発散が同時に行え、しかも国際社会から評価されるやもしれない。これは決して日本にとって都合のよいシナリオだとは思えないので、そうならないように祈ってはいる。いずれにしろ、習近平政権が行っている党大会前の解放軍人事は、単なる内政問題、権力闘争を越えて、なにか国際社会も巻き込みそうな不気味なものを感じるのである。

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『トランプは満座の中で文在寅を叱った 「北朝鮮側に立つ韓国」に堪忍袋の緒を切った米国』(9/8日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

北朝鮮を巡る記事について紹介したいと思います。

Facebook記事から、9/7現代ビジネス<元経済ヤクザだからわかる、北朝鮮「過剰な挑発」の真意> http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52816

本記事を読みますと石油禁輸より金融制裁の方遙かに効く感じがします。米国は基軸通貨国としてのメリットを活かして北と取引のある銀行を欧米日の銀行との取引停止にすれば良いのに。それが分かっているから、習近平はサウジに人民元建て石油取引を持ち掛け、ロシア・ロフネフツの株主に名乗り出たのでは。

http://melma.com/backnumber_45206_6581184/

http://melma.com/backnumber_45206_6580948/

同じくFacebook記事から、某女史(本人に了解取っていませんので、匿名で)の記事<おお、私がしつこく、危険を顧みずに書いた甲斐があったのであろうか?(妄想かも?でも外務省もブログ読んでいるそうなので、本当かも!)

北朝鮮の漁業や貿易を支援していたのが太平洋島嶼国の便宜置籍船。今回のフォーラム総会で、このような登録を一切解除するとのこと。

”The communique also indicated the leader’s commitment to deregister any North Korean trade or fishing vessels currently flagged on Pacific nations’ shippng registries.”>

https://www.pacificnote.com/single-post/2017/09/09/Pacific-nations-condemn-North-Korea-threats-on-Guam

国際社会の多数が北の暴発を牽制すればするほど、米軍の攻撃を正当化できます。もっと増えれば良いと思っています。彼女の言うように、これが外務省の仕事だとしたらGJです。

9/7ZAKZAk 八幡和郎氏<「北の核」認めるな! 八幡和郎氏「金出せ、謝れ… 日本は理不尽な要求を突き付けられ続ける」> 昨日も書きましたが、朝鮮人も韓国人も同じ民族です。強請り・タカリの物乞い民族です。トランプの言ったことは正しかった。文政権はそれを報道したFNNに文句を付けるだけで、米国には文句言わないのでしょう。所詮事大主義、弱きを挫き、強きを助ける民族です。北有利のまま交渉が妥結すれば日本の悪夢の始まりです。偏向メデイアに騙され続けて来た国民の責任ですが。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170907/soc1709070015-n1.html?ownedref=articleindex_not%20set_newsList

https://japan-newsforest.com/international-news/korea-monogoi-hihan170908/

9/4ぼやきくっくりブログ「虎ノ門ニュース」より青山繁晴氏の米朝戦争のコメント<1箇所だけ攻撃しても、他の場所からいっぱい飛んでくるのは自明の理。 別に軍事に詳しくなくても分かる。

だからやるならば全面攻撃、飽和攻撃。 はっきり言うと、それしかない。

年内に戦争が始まるってことはさすがにない可能性の方がやや強いかな、ぐらいのニュアンスですけど言ってきたんですけど、これもう言えないです。

北朝鮮の反撃能力は相当高いと、米軍もいま分析してるから、基本的にサプライズじゃないといけないんですよ。 それと、たとえば韓国にいるアメリカ人の総員退去っていうのも事実上もうできないです。 それやってると、お知らせしてるのと同じになっちゃうから。

昨日の北朝鮮は電磁パルス攻撃については宣戦布告したのと同じです。>自衛隊OBや評論家が「NEO(non-combatant evacuation operation)が行われない内は、戦争はない」というのは、誤りです。小生も早くからそう主張してきました。敵に軍事行動を予見させるようなことはしないでしょう。やはり、B61-11(バンカーバスター水爆)を何発もお見舞いし地下兵器廠を壊滅、「あらゆる爆弾の母」を地上配備兵器に飽和攻撃をかけるのでは。米軍は軍事衛星で場所を把握していると思います。瀋陽軍+江沢民+北朝鮮の構図が正しければ、米軍攻撃を習近平は喜ぶはずです。(小生は中国が悪者にならないためのデイスインフォメーションと思っていますが。中国は北を使い、米国と代理戦争させ、実力をテストさせようとしているのでは)。ただ攻撃は10/18共産党大会以降になるでしょうから、それまでに米軍は準備すると思います。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2100.html#sequel

鈴置氏の記事を読みますと、韓国人のメンタリテイが良く分かります。困ると平気で嘘をつき、言い逃れしようとする。まあ、中国人も同じですから、民族的特質と言ってよいかと。また、面従腹背を自慢げに話していた前川喜平前文科事務次官と彼を持ち上げていた朝日を筆頭とする偏向メデイアと如何に近いかという事です。前川は朝鮮学校支援で有名です。左翼の本質は「欺騙」にあります。戦後日本社会も中国大陸・朝鮮半島の影響を受けて「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という価値観を持った人間の跋扈を許すようになりました。中国人の発想では、洗脳される人間が馬鹿という事ですが。国民にその自覚がないことがもどかしいです。

記事

韓国は7日、ようやくTHAADの追加配備に応じたが…(写真は7月、米国での迎撃実験。提供:Courtesy Leah Garton/Missile Defense Agency/ロイター/アフロ)

前回から読む)

トランプ(Donald Trump)大統領がツイッターで文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対北融和姿勢を批判した。北朝鮮との対決を控え米国は、韓国の裏切りを許すつもりはない。

融和策は無意味だ

鈴置:驚きました。トランプ大統領が9月3日、以下のようにツイートしたのです。同日、北朝鮮が6回目の核実験を実施し、世界が一気に緊張に包まれた直後のことです。

South Korea is finding, as I have told them, that their talk of appeasement with North Korea will not work, they only understand one thing!

「韓国はようやく分かってきた。私が言ってきたように、北朝鮮との対話などという融和策は意味がないことを。北朝鮮は1つのこと(核武装)しか頭にないのだ」

このツイートには世界のメディアも驚きました。北朝鮮との戦争を始めるかもしれない時に、米国の大統領が同盟国の韓国を公然と叱りつけたからです。

ロイターもNYTも

ロイター(Reuters)は「Trump rebukes South Korea after North Korean bomb test」(9月3日、英語版)との見出しで報じました。何と「rebuke」(叱責する)という単語を使ったのです。

普通の読者はなぜ、トランプ大統領が韓国を叱責するか分からないと考えたのでしょう。ロイターは「文在寅大統領は国際的な対北制裁に参加はするが、核開発計画を巡る北朝鮮との対話にいまだ執心している」と付け加えました。

South Korea’s new president, Moon Jae-in, has argued for continuing dialogue with its neighbor over its nuclear program, while also supporting international sanctions.

NYT(ニューヨーク・タイムズ)も「Why Trump, After North Korea’s Test, Aimed His Sharpest Fire at the South」(9月3日)で「トランプ大統領は大げさな非難の言葉を北朝鮮ではなく、韓国に向けた」と驚いて見せました。以下です。

President Trump aimed his most pointed rhetorical fire not at the renegade regime in Pyongyang, but at America’s closest partner in confronting the crisis: South Korea.

対話は解決策でない

—文在寅大統領はまだ「対話」と言っているのですか?

鈴置:言っています。ことに9月1日、青瓦台(大統領府)が「韓米首脳は北朝鮮を対話に引き出すことが重要だと再確認した」と発表したので、トランプ大統領が怒ったのでしょう。

同日の米韓首脳の電話協議の内容について、青瓦台は「ドナルド・トランプ米大統領との電話会談」(9月1日、韓国語)で公開しました。

聯合ニュースはそれを英語版でも「Moon, Trump agree to build up missile deterrence, bring N. Korea back to dialogue」(9月2日)で報じました。米国で注目されたのが次の部分です。

“President Moon and President Trump reaffirmed their view that it was important to have North Korea come out to the dialogue table to peacefully resolve the North Korean nuclear issue by applying maximum sanctions and pressure on the North,” Cheong Wa Dae spokesman Park Soo-hyun said in a press release.

9月1日のホワイトハウスの記者会見で、青瓦台発表の「韓米首脳は北朝鮮を対話に引き出すことが重要だと再確認した」部分に関し質問が出ました。トランプ大統領の8月30日のツイート「対話は解決策ではない」(Talking is not the answer)と対比してのものでした。

北朝鮮が日本を飛び越すミサイルを発射(8月29日)した直後のツイートです。もちろん強硬姿勢を見せることにより、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるのが狙いでした。

というのに韓国は「対話」にこだわる。そのうえ米国の大統領まで対話重視だと公式発表したのです。米国人が「韓国はどちら側の国なのか」と疑問を持つのは当然です。

南北ともにトランプの標的

ホワイトハウスでの会見ではそこまで踏み込んだ論議にはなりませんでした。が、米国では韓国を北朝鮮側の国と見なす認識が広がりました。

WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は「北朝鮮に厳しい姿勢を示さない韓国」が「北朝鮮とともにトランプ大統領の標的となった」と書きました。

6回目の核実験の後、大統領を初めとする米政府首脳部が軍事的手段も辞さない姿勢を打ち出したことを報じた記事「Mattis Warns North Korea: U.S. Has ‘Many Military Options’」(9月3日、英語版)がそれです。

He then targeted two countries he has been leaning on to pressure the Pyongyang regime, saying North Korea’s actions were an “embarrassment” to China and criticizing South Korea for not taking a firmer line with its northern neighbor.

光復節(8月15日)の演説で、文在寅大統領は「朝鮮半島での軍事活動は大韓民国だけが決めることができる」と語りました(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。

米国に対し「北朝鮮への先制攻撃は許さない」とクギを刺したのです。大統領はこの発言により「自分は軍事活動に加わらない」つまり「米国が戦争を始めたら、中立を保つ」ことも示唆したのです。

「中立発言」に対しては米国、ことに軍が直ちに反発しました。それでも大統領が北との対話を主張し続けたため、韓国は中立どころか北朝鮮側と見なされるに至ったのです。

「韓米は一致」

—韓国政府は米国の厳しい視線に反応しましたか?

鈴置:トランプ大統領の9月3日のツイート「対話に意味がないと韓国も分かってきた」に対し、直ちに青瓦台がコメントを発表しました。

韓国の保守系紙は、世界中の人が読むツイッターという「満座」の中で米国の大統領から叱責されたことを問題視しました。青瓦台も無視できなかったのでしょう。

この発表は青瓦台のサイトに見当たらないので、中央日報の「青瓦台、トランプのツイートに『戦争は繰り返せない……平和を通じた朝鮮半島の非核化を放棄しない』」(9月4日、韓国語版)から発表の文言を拾います。

我々は同盟国とともに、平和を通じた朝鮮半島の非核化を放棄せず、追求するであろう。

韓国は同族が相争う戦争を直接に体験した国家である。この地に2度と戦争の惨禍を繰り返すことはできない。

韓米両国は緊密な連携をもとに北朝鮮の引き続く挑発に対応し、国際社会とともに最大限の制裁と圧迫を加えることで一致し、確固たる立場を堅持している。

韓米両国はこうした制裁と圧迫を通じ、北朝鮮を対話の場に引き出すとの認識を同じくしており、6-7月の韓米首脳会談を初めとする多くの機会に確認してきている。

情緒に弱い韓国人

苦しい言い訳です。まず「朝鮮戦争を2度と起こしてはならない。そのためには対話しかない」と、韓国人の情緒に訴えました。

でも今、対話にこだわると逆効果です。米国や日本は、経済制裁と軍事的な圧迫により、何とか北朝鮮に核武装を放棄させようとしている。

その中、当事国の1つの韓国が「対話」を言い出せば、北朝鮮は「制裁や圧迫が弱まる」と期待し、さらに堂々と核武装に走ります。それは戦争につながる可能性が大きい(「『世界の敵』とスクラムを組む韓国」参照)。

ことに6回目の核実験により北朝鮮が核武装国の自信を持った以上、核をあきらめることになる「対話」に応じるわけがありません(「北朝鮮にはもう、対話など必要ない」参照)。

少し論理的に考えれば分かりそうなものですが、韓国では青瓦台の発表のような情緒的な言説が幅を利かせます。

独自制裁を避ける韓国

—この青瓦台の発表も「制裁と圧迫」に触れています。

鈴置:まやかしです。韓国は日本や米国と異なり、対北独自制裁を実施していません。北朝鮮への原油禁輸に関しても少なくとも6回目の核実験まで、韓国政府が公式の場で主張したことはありません。

8月下旬の米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」でも、北朝鮮を刺激しないよう米軍の行動に制限を付けていました。

宋永武(ソン・ヨンム)国防長官は9月4日、国会で追及されて「演習の最中に米爆撃機が軍事境界線付近に来ないように要求した」と告白しました。

朝鮮日報の「宋永武国防長官『米爆撃機、乙支訓練時にDMZに近接しないよう要求』」(9月4日、韓国語版)が報じています。

—青瓦台は「米国も対話に同意した」と主張しています。

鈴置:それもウソです。6月30日の米韓共同声明を見れば明らかです。「両国は北朝鮮との対話において緊密に協調する」――つまり米国が認める範囲内での対話を韓国に認めたに過ぎません。この状況下での対話呼びかけに、米国は極めて批判的です(「『戦闘モード』に韓国を引き込んだ米国」参照)。

国民の命を守る大統領?

—「文大統領は国民の生命と財産を守りたいだけなのだ」と口を尖らせる韓国人もいます。

鈴置:大統領が本気で国民の生命・財産を守るというなら、THAAD(サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の追加配備を邪魔しなかったはずです。

在韓米軍基地に置かれる発射台が2基から6基になればその分、韓国の被害を確実に減らせる。抑止効果――「ミサイルで先制攻撃しても撃ち落とされるうえ、反撃されるから攻撃しない方がいい」と北朝鮮に考えさせる効果も増します。

THAAD配備を妨害しながら「国民の生命と財産を守る大統領」と胸を張られても、納得する人がどれだけいるでしょうか。

韓国の保守には、THAAD配備を容易に認めなかったのは「反米をやっています」と金正恩(キム・ジョンウン)委員長にゴマをするため、と見る人が多い。

この政権はスタート以来、南北対話の実現に執念を燃やしてきました。そのためには北朝鮮の歓心を買うことが必須なのです「早くも空回り、文在寅の『民族ファースト』」参照)。

先ほど引用した中央日報の「青瓦台、トランプのツイートに『戦争は繰り返せない……平和を通じた朝鮮半島の非核化を放棄しない』」(9月4日、韓国語版)への読者の書き込みも、以下のような大統領批判ばかりでした。

平和を追求するとは結局、北の核を認めるということか。

対話は相手を見てせよ。戦争を準備し、脅迫して来ている相手なのだ。

(この青瓦台の発表は)トランプに電話しても出て貰えないので(仕方なく、ネットなどに)「書き込み」をしているようなものだ。恥ずかしい。

奇妙な聯合電

「トランプが電話に出ない」とは?

鈴置:韓国では「安倍晋三首相は年中トランプ大統領と電話している。しかし文大統領は回数が少ないし、しても安倍の後だ」と問題になっています。

今回も日米の電話協議に1日遅れ、9月4日に米韓首脳の電話協議が実現しました。6回目の核実験後初めての、そしてトランプ大統領が文在寅大統領をツイッターで批判した後、初めての会話となりました。

青瓦台は「韓米首脳間の電話協議の結果と朴洙賢(パク・スヒョン)報道官の書面ブリーフ」(9月4日)で内容を明かしました。

聯合ニュースは「文大統領とトランプ、ミサイル指針の弾頭重量制限の解除に電撃合意」(9月5日、韓国語版)という長い記事を送っています。

この記事はとても変な記事でした。見出しもそれを取っているのですが、韓国が保有できるミサイル弾頭の500キロの重量制限を撤廃してもらったことを延々と書き連ねています。

でも3日前の、9月1日の米韓首脳の電話協議を報じる記事で、「ミサイル指針」はすでに主見出しになっているのです。それを報じた聯合の見出しは「文大統領とトランプが通話……ミサイル指針は韓国の希望水準に改定で合意」(9月1日、韓国語版)でした。

THAADはどうなったのか

—なぜ、ニュースでもない「ミサイル指針」の話を長々と書いたのでしょうか。

鈴置:2つ理由があると思います。まず「米韓首脳の関係は本当はいいのだ」と強調したい青瓦台の意向を受けた。「文在寅の要求をトランプが受け入れた」話を、証拠に使ったのです。2度同じ話を読まされる読者はたまったものではありませんが。

記事の最後の方にも「この日の電話協議を契機に、対北朝鮮の政策基調を巡り韓米両国首脳の間に異常な気流があるのではないか、との一部の憂慮はきっぱりと払拭されたと見られる」とあって、青瓦台の意向が臭います。

もう1つは、首脳間で交わされた微妙な話を報じられたくなかったのだと思われます。9月4日の電話協議は40分間。通訳の時間を考えても正味20分あります。弾頭重量の話に20分間も費やしたとは思えない。

聯合の「文大統領とトランプ、ミサイル指針の弾頭重量制限の解除に電撃合意」(9月5日、韓国語版)をよく読むと、後ろの方にTHAADの話がチラリと出てきます。以下です。

トランプ大統領は文大統領に在韓米軍のTHAAD配備状況を尋ねた。これに対し、文大統領は「THAADの臨時配備を国内の手続きに従い、可能な限り迅速に完了する」と明かした。

面従腹背の文在寅

米朝対立が危険水域に入った今、中立どころか北朝鮮側に寝返り始めた文在寅政権をどやしつける必要にトランプ大統領は迫られています。こういう話は抽象的に語っても効果がない。韓国の立ち位置を問い質す具体的な例として、THAADを使ったと思います。

もちろん実質的にも、不完全なままのTHAADで北と戦えと言われれば、在韓米軍は大いに困ります(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。

トランプ大統領は「THAADの完全配備を認めないのなら在韓米軍を撤収する」くらいは言ったかもしれません。

韓国には「米軍出て行け」と叫ぶ左派もいますが、文在寅大統領は今の段階では、そのハラを固めていないと見られるからです。

そして9月7日朝、8000人の機動隊が出動して反対運動を制圧する中、米軍は慶尚北道・星州(ソンジュ)の基地に4基の発射台を搬入しました。文在寅政権がスタートし、4カ月経ってようやくTHAADは正規の6基体制になったのです。

—これを期に、文在寅の韓国は米国側に戻るのでしょうか?

鈴置:表面は米国に従うように見せて、裏では北朝鮮との対話を模索していくと思います。この政権の主な公約の1つが南北和解です。その糸口である対話を実現するには、北朝鮮に逆らうわけにはいかない。結局、米国には面従腹背で対するしかないのです。

(次回に続く)

■6回目の核実験前後の動き(2017年)

8月21日 米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」開始(8月31日まで)
8月22日 朝鮮中央通信「我々の警告を無視し軍事挑発を仕掛けた以上、無慈悲な報復と容赦ない懲罰を逃れない」と米韓演習を非難
8月22日 トランプ大統領、北朝鮮情勢に関し「何か前向きなことが起きるかも」「彼が我々を尊重し始めたことに敬意」
8月23日 朝鮮中央通信「国防化学研究所を訪問した金委員長が弾道弾の固体燃料エンジンと弾頭増産を指示」
8月25日 日韓首脳が電話協議
8月26日 北朝鮮、日本海に向け短距離弾道弾3発を発射
8月29日 北朝鮮、日本上空を通過して太平洋に着弾する弾道弾発射
8月29日 日米首脳が電話協議
8月29日 国連安保理、弾道弾を発射した北朝鮮を非難する議長声明採択
8月30日 安倍首相が文大統領、ターンブル首相と電話協議
8月30日 日米首脳が電話協議
9月1日 米韓首脳が電話協議
9月3日 日米首脳、電話協議
9月3日 北朝鮮、6回目の核実験。「ICBMに搭載する水爆の実験に成功」
9月3日 トランプ大統領、ツイッターで韓国の融和策を批判
9月3日 トランプ大統領、ツイッターで「北朝鮮と取引する全ての国との貿易停止を検討」
9月3日 日米首脳、この日2回目の電話協議
9月4日 文大統領、電話協議で安倍首相に「北朝鮮が対話に出るまで制裁を強化」
9月4日 文大統領、電話協議でプーチン大統領に「北朝鮮への原油禁輸などを検討すべきだ」
9月4日 国連安保理、北朝鮮の核実験を受け緊急会合
9月7日 米軍、星州の基地にTHAADの4砲台を追加配備

注)日付は現地時間、首脳会談は日本・韓国時間

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『米国の北朝鮮攻撃は中国の胸三寸 ミサイルが日本に着弾しても、トランプ大統領は動かない』(9/8日経ビジネスオンライン 森永輔)、『北朝鮮制裁、最後の手段「石油禁輸」が持つ意味 経済制裁・輸出管理に携わった筆者が解説』(9/8日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

9/9アンデイチャン氏メルマガ<トランプと不法入国者問題>

http://melma.com/backnumber_53999_6580747/

国の内外を問わず、左翼が跋扈すると社会がおかしくなるという事です。聖域都市(サンクチュアリ・シテイ)=法を守らないで済む→無法地帯になるという事ではないですか。こんなシステムは言ってみれば共産党支配の中国と同じと感じます。中国では立派な法律が沢山あるにも拘らず、その通り運用されません。賄賂と罰金が少ないためです。また党>法律なので、権力者が法律を恣意的に解釈することができます。遵法精神を忽せにすると社会は不安定になるし、人権弾圧への道にもなりかねません。人類が長い時間をかけて開発した法律と言う国民統治の手段を蔑ろにすることは人類の叡智に対する冒涜です。

川上氏の論考の中でポイントは①戦争勃発の可能性は50:50②米国が北の核保有を認めた場合、賠償金や慰安婦の問題が出て来る(日韓基本条約で朝鮮半島全体について解決済みであるが。何度も乞食のようにゴールポストを動かす民族と同一民族なので、言って来るでしょうが。核の恫喝というやつです。初動が肝心です。拉致被害者の帰国の問題は棚上げ?③反トランプ運動の目を逸らすため、トランプが戦争に打って出る可能性④反日国民の大量難民発生(済州島で留めねば)と言う所でしょうか。

細川氏記事は迂回取引について触れられています。儲かれば何でもするという国があるので、制裁は尻抜けになる可能性があります。衛星に依る監視と金融制裁強化しか手はないのかしら?

森記事

北朝鮮が9月3日、6回目の核実験を強行したのを受けて米国の姿勢が大きく変化した。 それまでは、トランプ大統領が軍事力の行使をほのめかす強硬な発言をすると、ティラーソン国務長官やマティス国防長官火消しに回り、対話に導こうとする動きが一般的だった。

だが、核実験を境に、マティス長官までが「(北朝鮮は)有効かつ圧倒的な大規模軍事反撃に見舞われるだろう」と発言するに至った。

米軍が軍事力を行使するとすれば、どのような条件が整った時か。どのような戦闘が行われるのか。そして、その時、日本はどのような環境に置かれるのか。米国の安全保障政策に詳しい、拓殖大学の川上高司教授に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

米国と北朝鮮軍が対峙する日は来るか(写真:ロイター/アフロ)

—今回の北朝鮮の核実験にはびっくりさせられました。兆候はかねて指摘されていましたが、てっきり、9月9日の建国記念日にぶつけてくると思っていました。

川上:本当にそうですね。びっくりしましたよ。

川上 高司(かわかみ・たかし)氏 拓殖大学教授 1955年熊本県生まれ。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。この間、ジョージタウン大学大学院留学。(写真:大槻純一)

—この核実験を機に、米国の対北朝鮮政策のフェーズが変わったとの印象を受けます。これまでは、ドナルド・トランプ大統領が、軍事力の行使をほのめかす強硬な言葉をツイートする。それを、「対話を希望する」とレックス・ティラーソン国務長官やジェームズ・マティス国防長官が発言することで、“火消し”する――というパターンを繰り返してきました。しかし、ついにマティス長官までが「有効かつ圧倒的な大規模軍事反撃に見舞われるだろう」と発言するまでになりました。

川上:私も同じ変化を感じています。この変化は、ホワイトハウス内の権力争いが軍人派の勝利に終わり、外交・安全保障政策に一貫性が出てきていることの表われだと思います。

ジョン・ケリー氏が大統領主席補佐官に就任し、スティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問を政権外に“追い出し”ました。これでホワイトハウスは秩序を取り戻した。大統領に面会するためには事前にアポイントメントを取る――という当たり前のことができるようになりました。

—娘のイバンカさんも、顧問としてトランプ大統領に会う場合にはアポが必要になったそうですね。

川上:米国の外交・安全保障政策は、ケリー大統領首席補佐官、マティス国防長官、H.R.マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)の3人が主導する形になりました。いずれも、将軍を務めた軍人出身です。

軍隊の行動は段取りが重要です。対北朝鮮政策も段取り通り進んでいる印象を受けます。例えば、ティラーソン国務長官とマティス国防長官が8月14日、米ウォール・ストリート・ジャーナルに、核・ミサイル問題をめぐって「北朝鮮と交渉する用意がある」と寄稿しました。この時点の米国は、対話を重視する姿勢を北朝鮮に対して強くアピールしていたわけです。時間を与えるから話し合いに路線を転換するように、との重要なシグナルでした。しかし、北朝鮮はこれを無視した。

さらに、8月29日に日本列島を飛び越えるように弾道ミサイルを発射し、9月3日、ついに6度目の核実験を強行した。明らかに一線を越える行為でした。これにより、米本土を射程に収める核ミサイルの実現まで、残るハードルは弾頭の大気圏突入実験だけになりました。7月には大陸間弾道弾(ICBM)を実験、核弾頭の小型化にも既に成功したとされますから。

米国は、北朝鮮がこの最後の一線を越えるのを2年後と見込んでいましたが、米国防情報局(DIA)の報告によれば来年の早い時期と修正しました。来年の早い時期というと春。米軍はこの時までに、先制攻撃の準備を万全にすると思います。

—軍事力の行使はどれくらいの規模が想定されるでしょう。

川上:北朝鮮が保有する戦力の10~20倍になるでしょう。航空母艦3~5隻程度を徐々に朝鮮半島周辺に移動させる。仮に3隻とすれば、1隻は朝鮮半島の東岸、もう1隻は西岸に配備。最後の1隻は、中国が台湾や尖閣諸島に手を出さないよう監視の役割を充てます。そして、日本列島が第4の空母の役割を果たす。ちなみに湾岸戦争の時に米軍は6隻を派遣しました。

ただし米国が実行するのはカウンターフォースの戦争です。核施設をはじめとする軍事施設だけが攻撃対象。ミサイルや爆撃機による攻撃、特殊部隊の投入にとどまると思います。地上部隊を投入することもないでしょう。ピョンヤンに特殊部隊を投入して北朝鮮の指導部を抹殺する斬首作戦を展開することはあると思います。でも、まして、ピョンヤンを攻めるようなことはしないと思います。

この準備として、人の移動を進めるでしょう。韓国には米国人が20万人いるとされます。これらの人々を徐々に移す。韓国人のVIP、各国の大使など外国人のVIPも国外に待避させる。ソウルには百数十カ国から大使が赴任しています。

—核施設の一部だけを破壊する外科手術的攻撃(surgical strike=精密誘導兵器を使って、目標をピンポイントで攻撃すること)をする可能性はありませんか。

川上:その可能性は低いと思います。残った戦力で報復されるのが確実ですから。その時には韓国はもちろん、日本やハワイ、グアムが対象になるでしょう。

米国が軍事力を行使するかどうかは、トランプ大統領の決断しだいです。私は、その確率を今のところ50対50とみています。

核・ミサイル実験の加速は話し合いのため

—まだ話し合いの余地は残っているのですよね。

川上:はい。米朝ともに戦争はしたくないでしょう。

—とすると、北朝鮮は話し合いをするために、核とミサイルの開発をギアアップしている。

川上:そうですね。北朝鮮としては、核保有国となり米国と対等の立場に立った上で話し合いに臨みたいわけですから。核保有国となり核抑止が完成すれば、金正恩・朝鮮労働党委員長が最も大事にしている、自身の命が守れると考えています。

加えて、中国が共産党の党大会を終えるまでは、核とミサイルの実験を繰り返しても米中が動くことはないと考えているのではないでしょうか。習近平政権は同大会が終わるまでは、米国の動きをなんとしても止めようとするでしょうから。

—これは何とも皮肉な状態ですね。米朝どちらも話し合いで解決したい。しかし、その話し合いのために北朝鮮は核・ミサイルの開発に巻きを入れる。それを脅威と感じる米国は軍事力行使の準備を進める。

川上:全くです。

—米国が、北朝鮮を核保有国と認めてしまうことはあり得るでしょうか。

川上:あり得ます。“普通の核保有国”になるならば認める、ということが考えられます。これ以上、核兵器を作らない。周囲の国を脅さない。核を拡散させない。テロリストに渡したり、輸出したりしないということです。

DIAの報告によれば北朝鮮は60発の核兵器を保有しているといわれています。この量に留まるならば、考えようによっては、米国にとって大きな脅威ではありません。懲罰的抑止が効く範囲だからです。

—仮に北朝鮮が60発の核兵器で米国を攻撃したら、それをはるかに上回る報復が待っている。北朝鮮としてはペイしないというわけですね。

川上:その通りです。中国も核保有国ですが、米国の懲罰的抑止が効いている状態です。

実は米国には昔から、北朝鮮の核保有を「認めてもかまわない」と考える勢力が存在します。オバマ政権時代に、大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたスーザン・ライス氏やクリントン大統領の時に国防長官を務めたウィリアム・ペリー氏はその一部です。

さらに、ある程度の核兵器を保有させた方が、地域の安定に役立つので、拡散させたほうがよいと主張する論者も居ます。ケネス・ウォルツ氏など核楽観主義者と呼ばれる人たちです。インドとパキスタンの間で均衡が保たれているのが一つの論拠です。いずれも核保有国である両国が隣り合っているわけですね。ウォルツは「北朝鮮に核を持たせるならば、日本と韓国にも持たせるべきだ」と論じています。

北朝鮮が核保有国となることは、日本にとっては戦後の大きな国難です。しかし、米国には日本ほどの危機感はありません。ロシアや中国と既に相対してきている。それに北朝鮮の問題は地球の反対側のアジアの話です。さらにトランプ政権になって、米国第一主義や白人至上主義に傾いている。

—仮に話し合いが実現したとして、北朝鮮は何を得ようとするのでしょう。朝鮮戦争を終わらせ、米国と平和条約を結ぶことが狙いとされています。

川上:加えて、平和条約締結に伴う国連軍の解体。在韓米軍の撤退でしょう。

—北朝鮮は2013年に「並進路線」を取ると宣言しました。核抑止を完成させ、国防費を増やす必要をなくしたうえで、経済の再生に注力する。今、挙げていただいた三つを実現し、経済の再生に専心したいわけですね。

川上:経済再生はもう少し先の話になるかもしれないですね。

このシナリオは日本にとっては必ずしも良いものではありません。朝鮮戦争が終結すれば、先の大戦に関わる賠償金を北朝鮮から求められるようになるでしょう。慰安婦問題も浮上します。

攻撃の引き金は中国の同意と米国の世論

—米国が軍事力行使を決断するとしたら、どのような条件がそろった時でしょう。

川上:大きく三つあると考えています。一つは中国が同意すること。中国がなんとしても北朝鮮を守ると言ったら、米国が動くのは難しい。まして、中国が核兵器の使用も辞さないという場合はなおさらです。

ただ、米国による軍事力行使をめぐる米中の話し合いが進んでいる気配を感じます。環球時報*を読んでいたら、こんな記事が載っていました。

米国が北朝鮮に対して先制攻撃をするならば、中国は中朝友好協力相互援助条約に基づいて北朝鮮を支援する。一方、北朝鮮が先に手を出した場合は中立を維持する。 *:人民日報系の国際情報誌

—米国が軍事力を行使するつもりならば、北朝鮮に先に手を出させればよい。中国は黙認するという意味ですね。

川上:そう取れると思います。

もう一つは米国内の世論が十分に高まることです。世論と議会が同意しない以上、トランプ大統領は動かないと思います。

仮に北朝鮮が発射したミサイルが日本に着弾しても通常弾頭であったら動かないかもしれません。その程度のことでは、かつて対日戦争に向けて米国の背中を押した真珠湾攻撃のようなインパクトはないと思います。湾岸戦争の時、イラクが放ったミサイルがイスラエルに着弾しました。イスラエルは報復しようとしましたが、米国は我慢させました。

三つ目は、同じく世論です。ただし、反トランプ世論の高まりです。米シャーロッツビルで白人至上主義者と市民が衝突しました。あの時のトランプ大統領の対応を契機に米国に住む白人の半分近くが不満を持ったとされます。彼らの声を代弁していたバノン氏を排除したことが、この動きに輪をかけた。一方、ロシアゲート疑惑への不信に端を発する反トランプ感情も高まっています。これらがある線を超えた場合、その目をそらすために北朝鮮を攻めるというケースが考えられます。

—内政における失敗を、海外に向けさせることで覆い隠すという、為政者の典型的な動きですね。国連が絡む要素はありますか。小川和久氏の著書『日米同盟のリアリズム』の中に以下の主旨の記述があります。国際法的には朝鮮戦争がまだ続いているので、国連軍が存在している。米国が北朝鮮を攻撃するには国連軍の同意が必要になる。もちろん「国連なんて関係ない。米国は単独でも実行する」という場合もあるでしょうが。

川上:おっしゃるとおりです。なので、米国は国連安全保障理事会の決議を取ろうとするでしょう。米国が軍事力を行使するのは中国と話がついた時なので、中国は安保理を欠席もしくは棄権するなどして決議案を通すのではないでしょうか。

—韓国は、米軍が北朝鮮を攻撃するときは韓国の許可が必要と言っています。

川上:それは意味がないと思います。韓国が何と言おうと、米国はやる時はやる。

—韓国としては、何の発言力もないまま、自国が戦場になる可能性があるわけですね。

川上:そういうことになりますね。ある自衛隊OBがこんな話をしていました。米軍による攻撃が北朝鮮の戦力の40%しか破壊できない場合、北朝鮮による報復は非常に大規模になる。その場合、米国は核兵器を使用する必要が生じるかもしれない。核を使えば、北朝鮮の残った兵力を一掃することができる。しかし、これは一大事です。なので、少なくとも90%程度を破壊できる作戦を立てて実行するのだと思います。

朝鮮半島に核のない親中政権

—米国が軍事力を行使した場合、朝鮮半島の戦後処理はどうなるでしょう。

川上:先ほど、米国の行動は空爆や特殊部隊の投入にとどまるとお話ししました。一つ考えられるシナリオは、地上での戦闘は中国軍が担当するというものです。そして核兵器を収容する。金正恩政権を継続させるか、別の政権を立てるかは、どちらもあり得ると考えます。いずれにせよ、核のない親中政権が誕生することになります。

—米国が軍事力を行使すると、朝鮮半島に対する影響力をすべて失うことになりかねないわけですね。しかし放っておけば、米本土が核の脅威にさらされる。ここにジレンマが生じる。 —中国が米国に同意するのはどういう時でしょう。

川上:米国による軍事力行使に中国が同意するのは、経済面における米国の要求が過大になった時かもしれないですね。中国が北朝鮮を抑えきれないことに米国は苛立っています。

—トランプ政権は、通商法301条に基づいて中国による知的財産権侵害の調査を始めました。トランプ大統領は「北朝鮮とビジネスをする全ての国との貿易停止を検討している」とのツイートもしています。中国を念頭に置いたつぶやきといわれています。

川上:中国は北朝鮮を米国に差し出すことで、経済的な圧力を緩和する「ディール」をするかもしれないですね。このディールは巧妙です。先ほどお話ししたように、米国が軍事力を行使した場合、朝鮮半島に親中政権が誕生させるチャンスが生じるわけですから。中国はしたたかな国なのです。

福島原発事故級が同時に多発

—仮に米国が軍事力を行使した場合、自衛隊は何をすることになりますか。

川上:まずは後方支援です。米軍基地を守る。後は輸送、医療です。米国は既にプランを立てているでしょう。さらに韓国にいる約6万人の邦人の救出です。

それから米艦防御が要請されるでしょう。イージス艦を派遣して米国の艦船を守る。弾薬の提供もあり得る。自衛隊は完全に米軍の傘下に入ります。一連の動きの基本部分は、東日本大震災の時にすべてシミュレーションできていると思います。

—安全保障法制が制定され、平時でも、自衛隊が米国の艦船を防護できるようになりました。

川上:影響を受けるのは自衛隊だけではありません。日本にも、核ミサイルが2~3発飛んでくることを覚悟する必要があるでしょう。北朝鮮の特殊部隊が日本の原発を攻撃する事態も考えられる。2011年に起きた福島第1原発のような事故が3正面、4正面で同時に起きる事態に直面しかねません。

さらに、自国の死傷者の手当てをしなければならない中で、朝鮮半島からたくさんの人々が逃げてきます。朝鮮戦争の時には200万人の人が海を渡ってきました。こうした人々に住居や医療を提供する必要が生じます。日本は聖徳太子の時代から、朝鮮半島で動乱が起こるたびにこうした事態を経験してきたのです。

いずれにせよ、日本にとっては良いことは全くありません。

細川記事

北朝鮮に対する制裁強化で、国連安全保障理事会の議論では「石油の禁輸」が焦点となっている。石油の禁輸は経済制裁の中でも「最後の究極の手段」とも言われている。国民生活など人道上の問題も生じかねないからだ。中国やロシアの反対も予想される中で、北朝鮮への制裁で重要なポイントは何か。かつて経済制裁・輸出管理に携わり、摘発した経験もある筆者が解説する。

国連安全保障理事会は、北朝鮮の核実験を受けて緊急会合を開催した(写真:AP/アフロ)

北朝鮮の挑発が、ミサイル発射、核実験と先鋭化する中、国連安全保障理事会では新たな追加制裁の決議案に焦点が当たっている。ポイントは「石油の禁輸」という強力な措置で、予想通り中国とロシアの反対で難航している。

石油の禁輸は経済制裁の中でも最後の究極の手段と言われている。国民生活など人道上の問題も生じかねないからだ。おそらく中露もそれを盾に反対するだろう。また人道上の供給は例外にして、抜け穴を作ろうとすることも予想される。

いずれにしても、中露とは今後の朝鮮半島への影響力を巡っての駆け引きが展開される。

これに関連して、先日あるテレビ番組で、「経済制裁も石油の禁輸ばかり議論されているが、核、ミサイルの部品などに焦点を当てて規制すべきだ」とのコメンテーターの発言があった。北朝鮮のミサイルにウクライナかロシアから流出したとみられるエンジンが使われていると報じられたからだろう。一見もっともらしい議論だが、どうも経済制裁のことを十分調べずに発言しているようで、そういう場面がメディアでしばしば見られることに驚かされる。

まず、これまでの大きな流れを見てみよう。

北朝鮮への経済制裁は2006年の第一回核実験に対する国連決議に始まった。実に10年以上の歴史がある。日本独自の措置はさらに1998年にまでさかのぼる。

国連決議では、まず北朝鮮のミサイル、核開発計画への関連物資の輸出の防止が決議された。その後、北朝鮮の相次ぐミサイル発射、核実験に伴って、経済制裁の内容を強化、拡大していった。対象をミサイル、核に限らず、すべての武器に広げ、着実に実施されるように貨物検査も行うことになった。

同時に、開発計画に関連する個人・団体の資産も凍結され、カネの流れやヒトの入国へと次第に対象を広げていった。そして近年では経済制裁の目的も拡大して、開発のための資金調達の道を断つべく、外貨獲得源になっている石炭の輸入停止という流れをたどっているのだ。

そうした流れをたどった上で、今回、最後の手段である石油の禁輸の議論が出てきている。

北朝鮮は日本が思うほど“孤立”していない

ミサイル・核の部品は当初から、当然制裁対象になっている。問題はそれが確実に実行されているかどうかだ。特に一般加盟国以上に、安保理決議を行った当事者の常任理事国である中露の責任は重いはずである。そこに問題がある。

かつて私は経産省時代に、北朝鮮の経済制裁、輸出管理に取り組んでいた。当時は中朝国境での物資の行き来は自由に行われ、東北部の人民解放軍に対する北京政府のコントロールも十分ではなかった。最近テレビ画像でもよく見られるミサイルの移動式発射台についても、これに改造するためのトラクターも中国から流入していたようだ。現在の状況は大きく変化しているであろうが、そういう土壌があることは常に注意しておくべきだろう。

また東南アジアの国々を巻き込んだ迂回輸入も要注意だ。

というのも、当時私は北朝鮮が日本から規制物資を迂回輸入しようとしたのを摘発した経験を持つからだ。神戸港を出港した貨物船に積まれていたのは、核開発に使う遠心分離機に組み込まれる周波数変換器であった。タイのバンコクの民間企業がエレベーターの電流コントロールに使うとの申告で、これをバンコクで北朝鮮の調達エージェントが入手して、北朝鮮に持ち込む予定であった。当時タイでは輸出管理が厳格に行われていないことを狙ったものだ。

この件ではバンコクに到着する前に、日本に積み戻させることができて事なきを得たが、米国からは驚きをもって受け止められた。

独自の諜報機関を持たず、情報を他国に依存することが多い日本が、こうした迂回輸出を見抜くには地道な国際的なネットワーク力しかない。また、北朝鮮は日本で考えられているほど国際的に孤立しているわけでもない。東南アジアの国々の中には北朝鮮との関係を維持している国も多い。この件もそういうことを利用したもので、氷山の一角かもしれない。

先のコメンテーターの発言に戻ろう。発言内容はおそらく誤解によるもので、ミサイル、核の関連部品は当然すでに制裁対象になっている。ただし、それが十分遵守されていないのも事実だ。

制裁対象を石油の禁輸などに拡大することは、もちろん大事だ。だが、それだけでなく、既に制裁対象になっているコアの部分の実効性を上げるために、中露、東南アジアなどに取り決めを遵守させる手立ても併せて打たなければ意味がない。そういう日本の外交力が問われているのだ。

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『金正恩暴走の影にロシアの支援あり、プーチンはなぜ北を守るのか』(9/4ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『世界を危機に陥れる北朝鮮の核保有「容認」論 米国で出てきた「北朝鮮の非核化はもう不可能」の声』(9/6JBプレス 古森義久)について

9/7JBプレス織田邦男氏記事<北朝鮮の核保有を認めざるを得ない米国 日本に求められるタブーなき冷静な核抑止議論>

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50995

織田氏は「米国は軍事力行使をしない、いやできないと考えている。」とのことですが、青山繁晴氏や山口敬之氏は違った見方をしています。可能性は少ないがあると思って備えて行った方が良いのでは。また古森氏記事にあるようにスーザン・ライスやクラッパーの言うように北の核保有を認める論調に与するのは如何かと。米国が日本も同調したと思いこむ危険性があります。米朝二国間交渉としても、同盟国の脅威に繋がる話なので、保有を認めるのであれば、日本として得るものをハッキリ書いてほしいです。米国にニュークリアシエアリング、核ミサイルの購入、自主開発と段階を経て実現できるような約束を結ぶのが条件とせねば。「日本は米国が武力で解決してくれるといった希望的他力本願ではなく、蓋然性が高く、しかも日本にとって最悪のシナリオを想定し、事前に腹案を固めておく必要がある。」というのは正しいでしょう。また「「核の傘」の補修、核保有、核のシェアリング、非核三原則の見直し、そして憲法改正」というのも正しく、ただ、米国の加勢が必要と思っています。

9/7FNNニューストランプ氏、韓国を批判「物乞いのようだ」

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領をめぐり、先日行われた日米電話首脳会談で、アメリカのトランプ大統領が厳しい言葉で不満をあらわにしている様子が、FNNの取材で明らかになった。 北朝鮮の中距離弾道ミサイルが日本の上空を通過した8月29日の日米電話会談で、トランプ大統領は、北朝鮮との対話にこだわる韓国について、「物乞いのようだ」と痛烈に批判した。 そのうえでトランプ大統領は、軍事的圧力の必要性について、「誰かが伝えなければならない」と語り、安倍首相は、いわば、その意を受けた形で日韓電話会談に臨み、その後に再び日米電話会談が行われている。 1日に2度と立て続けに行われた日米会談の裏に、軍事的圧力に及び腰の韓国と、それにいら立つアメリカの2国の間を、日本が取りもっていた内幕が垣間見える。 一方、9月3日、核実験のあとに行われた日米電話会談では、トランプ大統領が「自分は100%晋三とともにある」とした一方で、「もし、アメリカが攻撃されたら、日本は、われわれを助けなければいけない」と相互の同盟関係を求め、これに対し、安倍首相が「100%アメリカとともにある」と応じる一幕もあった。>

北野幸伯氏によればこの安倍首相の発言は米朝戦争になれば、日本も集団的自衛権を行使して戦争に参加する意味とのことです。当然といえば当然、同盟を結んでいるので当然の帰結です。片務的同盟などあり得ません。でなければ、何故米国が日本を助けるのですか?

9/8ロイター<トランプ氏、軍事行動は北朝鮮に「悲しむべき事態」招く>

http://jp.reuters.com/article/trump-kp-idJPKCN1BI2Z5?utm_campaign=trueAnthem%3A+Trending+Content&utm_content=59b1d0a204d3012e014fd2e4&utm_medium=trueAnthem&utm_source=facebook

下の北野氏の記事にありますように、プーチンも北を使って米国の一極支配に対し、一泡吹かせようと思っています。それは当然で自分が制裁を課している相手国の制裁に加担するのは馬鹿でしょう。国連安保理で拒否権までは使わなくとも棄権くらいはすると思われます。

9/8看中國<朝鮮全面挑戰中國(圖)=朝鮮は全面的に中国に挑戦>

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/09/08/370860.htm%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E5%85%A8%E9%9D%A2%E6%8C%91%E6%88%B0%E4%B8%AD%E5%9C%8B%E5%9C%96.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

この中に中国人のネットでの書き込みが書かれています。“為了避免日本和韓國部署核武器、導致戰爭,同時避免核輻射影響到我國,我們唯一的選擇就是全力執行聯合國安理會的制裁,切斷朝鮮的原油供應和貿易。=日本と韓国の核配備と戦争を避けるため、また核汚染の影響を避けるために、我々の唯一の選択肢は国連安保理の制裁に随い朝鮮への原油供給と貿易をストップするよう全力で取り組むことである。”、“中國不願嚴格制裁朝鮮的一大原因就是擔心這可能導致平壤政權垮台,並導致大量難民湧入中國東北。然而一些東北人同樣擔心的是核輻射和朝鮮的導彈=中国が朝鮮に対し厳しい制裁を望まないのは、北の政権が瓦解するのを恐れているのと、大量の難民が中国の東北部に押し寄せること、東北部の人達が核汚染と朝鮮のミサイル攻撃を恐れているためである。”これで分かるのは中国にとって日本の核武装程恐ろしいものはないと思っていることです。日本のメデイアは偏向しているので、そんな記事は出さないでしょうけど、政治家が勇気を持って発言すれば中国の対応も変わるでしょう。

9/8時事<北朝鮮大使を国外追放へ=核ミサイル「日韓に脅威」-メキシコ>

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017090800268&g=prk

これが各国に広がっていくことが望まれます。

北野記事

金正恩の暴走が止まらない。国連安保理で制裁は強化されているが、中国やロシアが支援を続けているため、状況は好転しないままだ。今回は、支援を強化しているとささやかれるロシアについて、考えてみよう。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

暴走する金正恩への支援を強化するプーチン

北朝鮮は8月29日早朝、弾道ミサイルを発射。北海道の上空を通過し、太平洋に落下した。日本政府はJアラートで、12道県民に「頑丈な建物や地下への避難」を呼びかけ、多くの人がパニック状態になった。さらに9月3日には、6回目の核実験に踏み切った。

韓国、中国の日本に対する憎しみよりは多少マシとはいえ、ロシアの米国に対する憎しみも相当なもの。ソ連崩壊後の経緯を見てみると、ロシアが北朝鮮を支援したくなる理由が良くわかる Photo:Reuters/AFLO

言うまでもなく、日本にとって深刻な脅威である北朝鮮。しかし、日本政府は事実上、効果のない抗議しかできない状況だ。確かに国連安全保障理事会で制裁は強化されているが、北朝鮮の貿易で90%を占める中国が支援を続けているため、北朝鮮の態度は変わらないままだ。

そして、最近は、プーチン・ロシアが「北朝鮮支援を強化している」という情報が多々出てきている。ロシアは、どのような支援を北朝鮮にしているのか?まずは、小さなところから紹介しよう。(太字筆者、以下同じ)

<北朝鮮、ロシアに公認旅行代理店=初開設、接近浮き彫り 時事通信 8/25(金) 6:33配信  
 【モスクワ時事】ロシアの旅行業界団体や在ロシア北朝鮮大使館の関係者は24日、共同で記者会見し、モスクワで北朝鮮政府の認可を受けた初の旅行代理店が開設されると発表した。 ロシアは核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に融和的姿勢を示しており、両国の接近ぶりが改めて浮き彫りになったと言えそうだ。>

モスクワに、北朝鮮政府公認の旅行代理店がオープンした。名前は、「NKOREAN」。北朝鮮大使館の関係者は、「わが国は、世界で最も安全な国の1つだ」と主張しているとか。北朝鮮が世界を騒がしている時期の「公認旅行代理店」開設は、極めて意味深だ。記事にもあるように、「ロシアと北朝鮮が接近している証拠」といえるだろう。

統計には出てこない支援量 中ロは結託して北朝鮮を支援

次は、もっと重要な分野について見てみよう。

<北ミサイル ロシア、北朝鮮への石油製品輸出を倍増 実態はさらに巨額か
 産経新聞 8/20(日) 12:25配信 【モスクワ=黒川信雄】ロシアが今年1~6月に、ガソリンやディーゼル燃料など石油製品の北朝鮮への輸出を前年比で倍増させていたことが露税関当局の資料から明らかになった。 北朝鮮の核・ミサイル開発への国際的な非難が高まるなか、同国を経済面で支えるロシアの姿勢が改めて鮮明になった。>

なんと、ロシアは今年1月~6月、北朝鮮への石油製品輸出を倍増させていた。ロシア税関局によると、この時期輸出された石油製品は4304トン、金額にすると約2億6000万円相当となる。増えてはいるが、「大した量ではないな」と思われるだろう。しかし、どうも実際は、もっと多いようなのだ。

<統計上の数字は「氷山の一角」に過ぎないとの指摘もある。 露極東連邦大のルキン准教授は産経新聞のインタビューに、ロシアが北朝鮮に主に輸出する石油製品はガソリンとディーゼル燃料で、それらの輸出量は年間20万~30万トンに達していると分析する。 ただ、多くは中国向けとして輸出され、最終的に北朝鮮に運びこまれるため、統計に反映されないのだという。>(同上)

ルキン氏は、2つの重要な指摘をしている。1つは、ロシアが北朝鮮に輸出している石油製品の量は、同国税関の記録よりも23~35倍多い。もう1つは、ロシアは、中国経由で石油製品を輸出している。つまり、「中国とロシアは、結託して北朝鮮を守っている」ことになる。

この件に関しては、公正であるために補足をしておこう。国連安保理は8月末時点で、北朝鮮への石油製品輸出を禁止していない。だから、ロシアも中国も「何も悪いことはしていない」と主張することが可能だ。

さらに、驚きの話が出てきている。

<北朝鮮、元KGBを軍事顧問に 暗殺作戦への対抗策
 朝日新聞 8/25(金) 5:05配信 北朝鮮が最近、ソ連崩壊で解体された国家保安委員会(KGB)の元要員らを軍事顧問として起用したと、北朝鮮関係筋が明らかにした。 米韓が検討しているとされる金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長を暗殺する「斬首作戦」への対抗策という。>

北朝鮮は、元KGB要員を軍事顧問として起用した。これが事実だとすれば、ロシア政府の許可なしで雇用されたとは考えにくい。ここまでで、「ロシアが北朝鮮への支援を強化している」ことを、ご理解いただけただろう。

「米国にボロボロにされた」 ソ連崩壊後に憎悪を募らせたロシア

次に、「なぜ、ロシアは北朝鮮への支援を増やしているのか」を考えてみよう。この答えを知ることは、まさに「ロシアそのものを理解すること」につながる。

ロシアでは、今からちょうど100年前、「ロシア革命」が起こった。そして、世界で初めて「共産主義」をベースとする国家、ソ連が誕生した。共産主義の産みの親カール・マルクスは、「人類歴史は、階級闘争の歴史」と断言する。階級闘争は、奴隷所有者vs奴隷、地主vs農奴、資本家vs労働者と続いていく。

マルクスの予言によれば、この戦いの帰結は、すでに決まってる。すなわち、労働者階級は資本家階級を打倒し、「労働者の天国」(共産世界)を建設する――。

こういう世界観の中で、ソ連は「労働者の国」、米国は「資本家の国」である。よって、「労働者の国」ソ連が、「資本家の国」米国を打倒するのは、「歴史的ミッション」なのだ。日本人には「はあ?」という感覚かもしれないが、ソ連では、これこそが「常識」であった。

実際、ソ連時代の子どもたちは、「米国は、打倒すべき敵」と教育されながら大人になった。だから、1952年生まれのプーチンも、もちろん「反米」である。しかも彼の場合、大学卒業後すぐにKGBに入ったので、「超反米」といえる。  さて、歴史は、マルクスの予言とは、まったく異なる方向にむかう。彼の歴史観によると、社会主義・共産主義国は、資本主義の次に来る段階であって、より進んでいるはずだったのだが、ソ連は米国に負け、1991年末に崩壊してしまった。

この時プーチンは、「共産主義教のインチキ」には気づいただろう。しかし、彼が親米に変わったわけではなかった。「米国は、悪の国」という思想を証明するような事態が、ソ連崩壊後に次々と起こったからだ。

新生ロシアの初代大統領エリツィンは、米国やIMF(国際通貨基金)などの勧告に従って経済改革を行ったのだが、これが大失敗だった。ロシアのGDPは、92~98年でなんと43%も減少してしまう。この悲惨な結果について、ロシアでは「米国がわざと間違った改革をさせ、経済を破壊した」と広く信じられている。

NATO拡大に恐怖するロシア 「われわれは米国に何度もだまされた」

さらに、安全保障面でも、ロシアは米国に失望した。90年、資本主義陣営の西ドイツと、共産陣営の東ドイツが統一された。これは、ソ連の許可なしでは実現しなかった。  米国はこの時、「NATO(北大西洋条約機構)を東に拡大することはない」と、ソ連に約束したのだ。しかし、後に米国は、これをあっさり破った。

99年、チェコ、ハンガリー、ポーランドがNATOに加盟。この東欧の3国は冷戦時代、「事実上ソ連の支配下にあった国々」である。2004年には、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニアが加わった。  特に、エストニア、ラトビア、リトアニアは重要だ。これらは、「旧ソ連国」であり、ロシアから見ると、「かつて自国の一部だった国々」だ。09年には、アルバニアとクロアチア、17年にはモンテネグロがNATOに入った。ソ連が崩壊してから、NATO加盟国はなんと13も増えている。

ロシアからは、「巨大反ロシア軍事ブロックが膨張し続けている」ように見える。しかも、米国は現在、これも旧ソ連のウクライナ、モルドバ、ジョージア(旧グルジア)をNATOに引き入れようと画策している。当然、プーチンの反米意識は、ますます強まっていく。  ここまでの話、「大げさな…」と思われる人も多いだろう。そこで、14年3月18日、ちょうどクリミア併合を決めた時のプーチン演説を引用してみよう。

< 我々は何度もだまされてきた。我々の見えないところで事が決められ、実行された。 例えばNATOの東方拡大やロシアの国境近くに軍事施設を設けることなどだ。彼らは同じことを繰り返してきた。
 「それはあなた方に向けたものではありません」
 信じられない。
 (欧州)ミサイル防衛システムの展開もそうだ。我々にとっては脅威にもかかわらず、施設や装置は設置されている。>

< 我々は根拠を持って次のように推察する。 すなわちロシアを抑制しようとする悪名高い政策は、18世紀、19世紀、20世紀にわたって続いてきた。そして今も続いている。
 我々は常に追い込まれている。>

ロシアから見た 北朝鮮の地政学的位置づけ

プーチンは、「ロシアを抑制しようとする政策は、今も続いている」と考えているのだ。もっと重要なことに、「ロシア国民も、そう信じている」。そして、ロシア国民は「クリミア併合以後、わが国は戦争状態に突入した」と認識している。

実際、テレビを見れば、毎日のように「ロシア軍の動向」が伝えられる。テレビ局では、毎日「政治討論番組」があり、白熱した議論が交わされている。しかも、そのほとんどは、「いかに米国は悪であるか」という内容である。  このように。ロシアから西を見ると、「29ヵ国からなる超巨大反ロシア軍事ブロック」NATOが迫っている。

東はどうだろう?こちらも油断できない。ロシアを崩壊させたい米国と、その同盟国日本・韓国が、「隙あらば侵略しよう」と狙っている(と、彼らは見ている)。

それで、日本のMD(ミサイル防衛)も、韓国の地上配備型ミサイル迎撃システム・THAADも、「対北朝鮮といいながら、実は対ロシアだ」と考えているのだ(ちなみに米国は、東欧MDについて、「対ロシアではなく、対イランだ」と苦しい説明をしていた。そんな経緯から、日本、韓国MDについて「対北朝鮮だ」といっても、ロシアは信じない)。

こういう緊張感の中で、ロシアにとって北朝鮮は、どのような国なのか?それは「米国の侵略を防いでくれる緩衝国家」である。

今の日本人は、「緩衝国家」の必要性を理解できないだろう。しかし、かつては日本も、朝鮮や満州国を「ロシア(後のソ連)の南下を阻止するための緩衝国家」と見ていた。その後、日本は米国の保護下に入ったため、誰も「緩衝国家が必要」とは言わなくなったが、ロシアはいまだに米国と戦っているので、「緩衝国家が必要」と考えるのだ。

効果がないように見えても 日米の現行の作戦が正しい理由

もちろん、プーチンも、北朝鮮が核兵器を持つことを望んではいなかっただろう。ロシアは、「核の寡占状態」を維持したいからだ。核拡散防止条約(NPT)は、米国、英国、フランス、ロシア、中国以外の国が核兵器を持つのを禁じているが、これはロシアにとって都合がいい。それに、北朝鮮を許せば、日本や韓国の核保有を止めることが難しくなる。

それでも、緩衝国家・北朝鮮が必要であることに変わりはない。北朝鮮が崩壊し、米国の同盟国・韓国が朝鮮半島を統一したとしよう。すると、米国は朝鮮半島のロシア、中国国境付近に基地を置き、ミサイルを配備するだろう。ロシアは、これを阻止したいのだ。

このように北朝鮮を必要としながらも、今までロシアは、北朝鮮をあまりサポートしていなかった。ではなぜ、ここにきて支援を増やしているのか?これは、米国の圧力によって、中国が対北支援を減らしているからだろう。中国が減らした分を、ロシアが増やすことで補っていると思われる。

ロシアは、これからも北朝鮮との「対話」を呼びかけ、国連安保理を通して「戦争回避」を主張し続けるだろう。金正恩を守るのが、現時点でロシアの国益なのだ。

そうはいっても、ロシアも、「全世界を敵に回してでも北朝鮮を守る」という感じではない。実際、国連安保理で「対北制裁」は徐々に強化されている。常任理事国であるロシアは拒否権を持っているので、制裁が強化されているというのは、ロシアもそれに同意してきたということだ。

北朝鮮が北海道上空を通過するミサイルを発射したことを受け、安保理は8月30日、同国を強く非難し、ミサイル発射の即時停止を求める議長声明を出した。ロシアは、これにも反対していない。

日米はこれまで、北朝鮮が何かアクション(核実験、ミサイル発射)を起こすたびに、同国を非難し、安保理を通して制裁を強化してきた。それでも北朝鮮が変わらないことから、無力感すら漂っている。  しかし、日米は、正しい道を進んでいるのだ。

最終的に戦争になるとしても、「日米は平和的解決のために、できる限りのことはした」と世界を納得させることが大事だ。朝鮮戦争が起こったとき、中ロがあからさまに北朝鮮を支援できないようにするためである。

もし中ロが北朝鮮側に立って参戦すれば、第三次世界大戦になる可能性も出てくる。「北朝鮮を助ければ、世界を敵に回して孤立する」と中ロに信じさせるためには、まどろっこしいように見えるだろうが、まずは「国連安保理」で行けるところまで行くことが必要なのだ。

古森記事

金属ケーシングを視察する金正恩朝鮮労働党委員長。国営朝鮮中央通信(KCNA)配信(撮影日不明、2017年9月3日配信)。(c)AFP/KCNA VIA KNS 〔AFPBB News

北朝鮮が9月3日に行った核兵器爆発実験は米国の官民を激しく揺さぶった。トランプ政権は北朝鮮への姿勢を一段と硬化させ、軍事攻撃の可能性を改めて示唆した。

ところがその米国の一部専門家の間に、このまま北朝鮮の核兵器保有を容認すべきだとする主張が出始めている。

この容認論は現段階ではごく少数派の意見だが、今後勢いを得ると、米国の安全保障だけでなく日米同盟や日本にとってもきわめて危険な要因を生むことになりそうである。

北朝鮮の非核化はもう不可能?

北朝鮮が「水爆実験に成功した」と宣言した6回目の核実験は、米国でも大ニュースとして報じられた。トランプ政権もこの核実験を、最近の北朝鮮の2回のICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験と合わせて、米国のみならず国際社会にとっての重大な脅威として重く受け止めている。

トランプ政権は「北朝鮮の核兵器開発は絶対に認めない」という歴代政権の政策を継承し、軍事的手段も選択肢の1つとしながら北への経済制裁をさらに厳しく強化する構えを明示した。その結果、米朝関係はこれまでにない緊張をみせ、軍事衝突の可能性も議論される状況となっている。

ところが米国内ではごく最近になって、北朝鮮を非核の状態へ戻すことはもう不可能だとして、その核兵器保有を認め、そのうえで北の核戦力を抑止、あるいは封じ込める策を考えるべきだという主張が出始めた。

まず目立ったのは、オバマ政権の国家安全保障担当大統領補佐官だったスーザン・ライス氏の容認論だった。同氏は8月中旬のニューヨーク・タイムズへの寄稿論文で「米国は実利的な戦略として北朝鮮の核武装を受け入れ、伝統的な抑止力でそれを抑え、米国自身の防衛力を強めるべきだ」と主張した。北朝鮮に強硬策で核放棄を迫っても、最後は軍事攻撃という手段しかなく、全面戦争につながる危険があるので、北の非核化はもう不可能だという趣旨だった。

また、オバマ政権で国家情報長官を務めたジェームズ・クラッパー氏も、この8月、CNNテレビのインタビューで、「北朝鮮の核武装は、それを受け入れたうえでコントロールの方法を考えるべきだ」と述べた。

かつてクリントン政権で北朝鮮の核開発の放棄を目指す米朝合意の交渉役となったロバート・ガルーチ元大使も、最近になって「北朝鮮の核兵器も抑止は可能だ」と述べ、北の核武装の容認を示唆した。

北朝鮮核兵器開発容認論の5つの危険性

しかし1990年代以降、米国の歴代政権は、共和、民主の党派を問わず、みな一致して北朝鮮の核開発は絶対に容認できないという立場をとってきた。この多数派の思考が揺らぐことはなく、トランプ政権も容認論には手厳しく反論を表明している。

北朝鮮核兵器開発容認論には、大きな危険性や欠陥が指摘されている。5つの危険性を挙げてみよう。

第1に、北朝鮮には従来の核抑止があてはまらない危険性である。

この点についてトランプ政権のH・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「ライス氏の主張は間違っている」と強く反論した。北朝鮮はそもそも一般の国家の理性や合理性に従わない「無法国家」なので、東西冷戦時代に米国とソ連との間に存在したような「伝統的な抑止」は適用できないという。つまり、相手国からの核による威嚇に対して、核で徹底的に反撃する姿勢を示すことで相手の攻撃や威嚇を止める「抑止」の機能は、こと北朝鮮に関しては効力がないという指摘である。

第2には、北朝鮮の核兵器が他の無法国家やテロ組織に拡散する危険性である。

そもそも北朝鮮は、これまでイランやイラク、さらに中東のテロ組織との軍事交流があり、とくに核開発ではイランとの技術相互供与があった。最近のブルッキングス研究所の調査報告書も、「北朝鮮は、米国に対して敵意を抱く他の諸国や組織に、核兵器関連の技術や部品を売ろうとする動きをすでに何回も見せている」と警告していた。

第3は、国際的な核兵器の管理体制「核拡散防止条約(NPT)」が崩壊する危険性である。

現在の国際社会は、米国、ロシア、中国、イギリス、フランスの5カ国を公式の核兵器保有国として認め、他の諸国の核武装は阻むというNPTのシステムで核拡散を防いできた。だが、北朝鮮はこのシステムを完全に無視してきた。その無法な行動を認めるとNPT全体の崩壊につながりかねない、とうわけだ。

米国には、「北朝鮮が公然たる核保有国となれば、韓国や日本も自衛のために核武装に走る」という予測も多い。もしそんな事態となれば、ここでもNPTは根底が揺らぎ、崩壊に至る。

第4は、北朝鮮が核兵器の威力を年来の野望に利用する危険性である。

北朝鮮はそもそも韓国を正当な国家と認めず、朝鮮半島を武力を使ってでも統一することを誓っている。その実現のために、米韓同盟を崩し、米軍を朝鮮半島や東アジアから追い払うことを目指す。また、日本を米国の追従勢力として敵視し、日米同盟および日本国内の米軍基地への攻撃的な態度を露わにする。こうした戦闘的な姿勢が、核武装によってますます尖鋭かつ攻撃的になる危険性が高い。

第5は、米国の日本に対する「核の傘」が弱くなる危険性である。

米国は、万が一、同盟国の日本が核による攻撃や威嚇を受けた場合、米国がその敵に対して核で報復をすることを誓約している。ところが北朝鮮が正規の核保有国となり、米国本土への核攻撃の能力も確実となると、米国が自国への核攻撃を覚悟してまで日本のために核を使うのはためらうようになることも予測される。つまり、米国と日本の「核抑止」に関しての絆が切り離される(decouple)危険が生まれる。

以上のように、北朝鮮を公式な核兵器保有国として認めてしまうことには数多くの危険が伴うというのである。とくに日本にとっては、北朝鮮の核の脅威の直接の増大や、米国の「核の傘」の揺らぎなど明らかに危険が大きいといえよう。

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