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『「米韓同盟破棄」を青瓦台高官が語り始めた 米朝戦争への「巻き込まれ」を恐れ「局外中立」を模索する韓国』(10/6日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について
10/7TV朝日「週刊ニュースリーダー」で「トランプ大統領が11月アジア歴訪時、北朝鮮を電撃訪問か?」とかやっていました。北と日本の左翼の「あらまほしき」姿が窺えます。しかしトランプは絶対そんなことはしないでしょう。裏で事務局が交渉して道筋がついてからトップ会談をするのは会社でも同じです。テイラーソン国務長官の言う「北との交渉は米国人の人質解放の件」とサンダース報道官が言っていますし、トランプがツイッターでテイラーソンに「北との交渉は時間のムダ」、「クリントン、ブッシュ、オバマのように失敗はしない」と言っていますので。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017100300277&g=use
ノーベル平和賞に「I CAN」が選ばれました。核兵器が地球上から無くなることは一番望ましいでしょうが、プロメテウスの火と同じで人類が既に発見・発明したものを無くすことはできないでしょう。もっと言えば戦争を無くすことが理想です。でも現実には世界各地で争いが起きています。個人レベルで考えて見ても喧嘩は起きますので、スケールを大きくした国と国、宗教対宗教、部族対部族の争いが起きるのは当然です。戦争が抑えられない限り、核兵器は残るでしょう。米国が銃規制できないのと同じです。麗澤大学のJ Morgan先生の英語の授業では、ラスベガスの銃乱射事件に触れ、「何故米国人は銃を持とうとするのか?」と言う質問に、小生から「米国人は自衛の為銃を持つ権利があると考えている」と話したら、先生より「それも半分あるが、米国人の6割は連邦政府を敵と考えている。自分を守るためには武装せざるを得ないと考えている」とのことでした。日本人のお上への信頼度と全然違うという事です。マックスフォンシュラー氏が「今米国は右翼と左翼がぶつかり合い内乱が起きるかもしれない」と言うのがこれでやっと分かりました。右翼は政府側、左翼はリベラルを標榜する人間と思われます。
ただ、「I CAN」の受賞で米軍がB61-11(バンカーバスター型小型水爆)を使って北の地下兵器廠を攻撃するのは難しくなりました。迂闊に通常兵器で攻撃をかければ日本に北の核ミサイルが飛んで来るかも知れず、ハッキングや電磁パルスで核のミサイルを無力化できるかどうかです。
日本は反日国家との付き合い方が分かっていないのでは。政府だけでなく企業経営者も。相手が理不尽なことを言って来たら、その都度反論すべきです。目先の利益にかまけ、大人ぶって「言い分を聞いてやる」と言った姿勢は見苦しいし、勇気がないことを隠す醜さそのものです。尚武の心を忘れ、「揉み手をしながら相手に取り入る」商人そのものです。日本人としてのプライドはないのかと言いたい。韓国とは「非韓6原則=助けない、教えない、関わらない、観ない、行かない、買わない」で行きませんと。これに「盗まれない」「来させない」も入れた方が良いと思います。中国や朝鮮半島人は平気で嘘をつく民族ですから、誠実を旨とする日本人と合うはずがありません。無理して付き合うことはありません。韓国との「通貨スワップ」などもっての他です。
鈴置氏の記事で、米国は「イラン」問題があるので、北との妥協は難しくなったとの事。やはりオバマのイラン核合意のツケが回っているという事でしょう。イランからイスラム過激派・テロリストに核兵器が渡る可能性もあり、(それを言えばパキスタンからだってある訳ですが)危険性は除去しなければ。トランプはイランとの核合意を見直すとしています。欧州諸国の反発を和らげようとしていますが。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017100600360&g=use
北が核放棄することはありませんから、北への米軍の攻撃は必定です。本来日本がすべきことを米軍が替わって日本への脅威を取り除いてくれるわけですから、日本に何が起ころうと覚悟を決めておかなければなりません。左翼メデイアは日米政府の対応を非難するでしょうが、挑発行為を繰り返してきたのは北朝鮮です。罰を受けて然るべき。今まで左翼メデイアは北を非難してきたかと言いたい。日本国民もいい加減左翼メデイアに騙されないようにしないと。
韓国は「洞ヶ峠」を決め込むことにしたようです。朴槿恵同様蝙蝠外交は朝鮮半島のDNAです。日本人からすれば卑怯者のすること。まあ、在韓米軍を使わず、在日米軍や他の手段で北を攻撃すると思いますが。ソウルが火の海になっても、米国人の安全が守られれば、米国としては構わないと思うようになるのでは。
記事

9月28日、 文在寅大統領は宋永武国防長官と並んでオープンカーで閲兵。「北朝鮮に断固たる姿勢を示すため」と説明されたが、その心中やいかに。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(前回から読む)
ついに、青瓦台(韓国大統領府)の高官が米韓同盟の破棄に言及した。第2次朝鮮戦争への懸念が高まる中「戦争に巻き込まれるのなら、米国との同盟は不要」と言い切ったのだ。
大統領を動かす最側近
鈴置:発言したのは左派で北朝鮮と近い、統一外交安保特別補佐官の文正仁(ムン・ジョンイン)延世大学特任名誉教授です。
9月27日にソウルの国会憲政記念館で開かれた討論会で、トランプ(Donald Trump)大統領が北朝鮮への軍事行動の可能性に言及したことに関連、以下のように語りました。
多くの人が「韓米同盟を破棄しても、戦争は(したら)いけない」と言う。同盟の目的は戦争をしないことであって、同盟が戦争をする仕組みになるのなら、賛成する人はそれほどいない。
北朝鮮が非核化しないなら対話しない、というのは現実的でない。条件なしに北朝鮮と対話せねばならない。
朝鮮日報の「文正仁『韓米同盟壊れても戦争はダメ……北を核保有国として認めよ』」(9月28日、韓国版)や、中央日報の「韓国大統領の特別補佐官『韓米同盟壊れても戦争はならないとの話が多い』」(9月28日、日本語版)で発言を読めます。
文正仁氏は単なる大統領のアドバイザーではありません。9月に金正恩(キム・ジョンウン)委員長の暗殺に関し、宋永武(ソン・ヨンム)国防長官とメディアを通じ、言い争いになったことがありました。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は文正仁氏の肩を持ち、国防長官は青瓦台から厳重注意処分を受けました(「北朝鮮に『最後通牒』を発したトランプ」参照)。韓国人は文正仁氏が大統領を動かす最側近だと見なしました。
同盟破棄は「虻蜂取らず」
そして「同盟破棄」発言は思い付きでも失言でもありませんでした。朝鮮日報の「文正仁『大統領が言えないろうそくの民心を伝えるのが私の任務』」(9月29日、韓国語版)によると翌日、発言について真意を聞かれた文正仁氏は「大統領と政府が言えないろうそくの民心(左派の心情)を伝えるのが私の役目」と答えました。
「同盟破棄」は大統領を初めとする左派の真意であり、それを代弁しただけだと言い放ったのです。
保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が直ちに批判しました。趙甲済ドットコムの「『韓米同盟解体論』を口にし始めた大統領特補」(9月27日、韓国語)から引用します。
文正仁氏はどんな戦争でも反対する無条件平和主義者の立場から、米国が北朝鮮を懲らしめるために戦争を始める場合はこれを防ぐため、韓米同盟を解体せねばならないと考えているようだ。
韓国がそう出れば、米国は在韓米軍を撤収し韓米同盟の終了を宣言した後、朝鮮半島の外にある戦略資産を使って北朝鮮を攻撃するかもしれない。
韓国は戦争を防げないのはもちろんのこと、北朝鮮の核攻撃を阻止する能力を喪失し、滅びるか人質になるだろう。
「虻蜂取らず」になるとの警告です。同盟を破棄しても米国は在韓米軍を使わずに北を攻撃できるから、戦争は阻止できない。一方、韓国は北の核に対し丸腰になり、結局は北朝鮮に滅ぼされる――悲惨な結果を予測したのです。
なお、この記事のサブタイトルは「無条件平和主義者は第五列と同じだ(李承晩=イ・スンマン)」です。
祖国はどこか
米韓同盟を重視する保守系紙も一斉に社説で非難しました。東亜日報は社説「文正仁・大統領特補の話、これ以上聞くに堪えない」(9月29日、日本語版)で以下のように書きました。
同盟によって望まない戦争に巻き込まれることがあってはならないという当然の話に聞こえるが(中略)同盟の前提から誤っている。同盟は単に戦争を防ぐためのものではなく、未来の戦争から自国を守るためだ。同盟を神聖視してもいけないが罪悪視することは非常に危険だ。
北朝鮮を事実上、核保有国と認め、米朝の国交正常化と平和協定の締結、在韓米軍の撤収となれば、韓国は頼る同盟もなく北朝鮮の核の人質にとらえられてしまう。
朝鮮日報の「『北の核保有は容認』する一方、『韓国の戦術核には反対』するのか」(9月29日、韓国語版)、中央日報の「超党派的共助を望むなら、外交安保チームから正すべき=韓国」(9月29日、日本語版)など、他の保守系紙も社説で同じ趣旨――「米韓同盟を廃棄すれば、韓国は北朝鮮の言いなりになるしかない。それでいいのか」と訴えました。
韓国の保守派は「左派の一部は北朝鮮の操り人形」と見なしています。北朝鮮も韓国に対し「米韓同盟を破棄せよ」と呼びかけ始めたからです。
野党第1党、自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表は9月29日の会見で、文正仁発言を厳しく批判しました。その一部を訳します。
言葉は正しく発せねばなりません。(今、起きかけているのは)戦争ではなく、北朝鮮の挑発であり(トランプ大統領の発言が意味するのは)挑発に対する懲らしめです。
挑発への懲らしめを戦争と誇張し、国民を不安に陥れて韓米同盟を弱体化しようとする、戦争威嚇勢力の典型的な姿です。このような主張をする人の祖国がどこなのか、本当に聞きたいものです。
最後のくだりを保守的な韓国人が聞けば「そうだ!やっぱり文正仁は北のスパイだ!」と和すと思います。
平和のために戦争を準備せよ
—韓国は「文正仁批判」一色になったのですか?
鈴置:そうはなりませんでした。「韓米同盟を維持するために戦争に巻き込まれてもいいのか」との左派の主張に対し「戦争を覚悟しよう」と言い切れる人は少ないからです。
「戦争を準備することが戦争を防ぐことだ」と理屈を説明されても、感情的に受け入れられない人がいます。ことに韓国では「情緒」が物事を決めるのです。
その点を考慮してでしょう、洪準杓代表も「(これから起きそうなのは)戦争ではなく北朝鮮への懲らしめだ」と逃げを打っています。
でも、米国が先制攻撃したら北朝鮮が韓国に対しても反撃する可能性が高い。そうなったら、全面戦争です。普通の韓国人もそれは分かっていますから、頭を抱えるのです。「北朝鮮の言いなりになって生きるのが嫌」な人も。
—「戦争の覚悟」を訴える人は韓国にいないのですか?
鈴置:ごく少数ですがいます。趙甲済氏もそうです。政治家では1人の保守系議員――野党第3党の「正しい政党」の河泰慶(ハ・テギョン)最高委員が9月28日「戦争の覚悟」を訴えました。
中央日報の「河泰慶議員『米に軍事オプションの排除を要請?……戦争の覚悟を』」(9月28日、日本語版)から、要約しつつ発言を拾います。
米国の北朝鮮への圧力を我々が制止すれば、むしろ戦争の危険性が高まる。韓米同盟に亀裂が生じるためだ。我々に戦争の覚悟がなければ、状況を打開できない。
「平和を望むなら、戦争を準備せよ」という言葉がある。平和を実現するために戦争を恐れてはならない。北朝鮮の狙いは我々が戦争を恐れることだ。そのために深刻な挑発も辞さないのだ。
「自衛権の発動」で北朝鮮を攻撃
—米国の対北圧力を韓国が止めたら、なぜ戦争の可能性が高まるのでしょうか。
鈴置:日米韓のスクラムが崩れて対北圧力が弱まれば北朝鮮は図に乗って、ますます核武装に走る。すると米国は軍事力で阻止するしかなくなる――との判断です。
—日米両国政府はまさにそう考え、動いています。
鈴置:しかし、韓国の左派は「日米韓のスクラムを崩せば、米国は軍事的な解決策をあきらめざるをえなくなり、対話解決の道が開ける」と考えるのです。
文在寅大統領は8月15日「朝鮮半島での軍事活動は大韓民国だけが決めることができ、誰も大韓民国の同意なくして軍事活動はできません」と演説しました(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。米国の対北軍事行動に足かせをはめる狙いでした。
—韓国が反対すれば、米国は北朝鮮への攻撃をあきらめるのですか?
鈴置:北朝鮮が米国まで届く核ミサイルを持った以上、米国は戦争を躊躇しないでしょう。米国は対北攻撃の必要があると判断した時は、韓国が何と言おうと攻撃を実施するというのが専門家の常識です。
文在寅大統領の演説の直後、米軍の元幹部がVOA(アメリカの声)を通じ「韓国の意向に関係なく、やる時はやる」と声を揃えました(「韓国の無神経な『中立宣言』に米軍が怒った」参照)。
第2次朝鮮戦争は「米国VS北朝鮮」あるいは「米日VS北」の戦いなのです。「第1次」が「南北朝鮮の戦い」から始まったのとは完全に異なります。今回は「韓国はわき役」なのです。
米国が北朝鮮を攻撃する際「自衛権の発動」を掲げると見られています。休戦中の朝鮮戦争を再開する形をとると、国連の決議も必要となりますし、戦争に反対する文在寅政権と相談する必要が出るからです。
局外中立の伏線
—ではなぜ、意味のなさそうな「同盟破棄」を韓国の左派は唱えるのでしょうか。
鈴置:戦争の際に「局外中立」の立場を確保するのが狙いと思います。8月15日の文在寅演説には「局外中立宣言」の含意もありました(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。
「韓国の同意なしで米国は戦争できない」と言っておけば、米国が戦争を始めた時、それは拒否済みとの名分を掲げることで、米国への軍事的な協力はしないで済む、と計算したのでしょう。
—韓国は「局外中立」を保てるのですか?
鈴置:北朝鮮の出方次第ですが、韓国人の多くはそうあって欲しいと念じています。9月27日、自由韓国党を除く4つの政党の代表が大統領と懇談し「朝鮮半島での戦争は許さない。平和的に解決すべきだ」と合意しました。
保守政党の「正しい政党」もそれに加わっています。保守とはいえ、政党として「戦争を覚悟しよう」とは言いにくいのです。
最近、韓国でまかれる親北左派のビラには、北海道と米領グアムが核攻撃の対象と示す図が描かれるようになりました。核攻撃するぞと韓国人を脅したうえ「北朝鮮の言うことを聞けば、韓国は攻撃を免除される」との空気を醸す作戦です。
朝鮮日報の「南南葛藤を煽っていた北のビラ、今や核の恐怖を助長」(9月30日、韓国語版)が報じています。
韓国には「いくら北朝鮮でも同族には核は使わない」と信じる人が多い。北朝鮮はそうした希望的観測を育てようとしているのです。
洞が峠の大統領
—しかし、米国が戦争を始めてしまったら、韓国は巻き込まれませんか?
鈴置:確かに、戦争が始まってから「局外中立」を宣言しても間に合わないでしょう。北朝鮮は直ちに在韓米軍基地やソウルを標的に反撃しますから。
ただ、米国が北朝鮮への攻撃を決意したら、開戦1週間前には韓国から非戦闘員を待避させると見られます。米国人の脱出が始まった段階で「中立宣言」を発すれば間に合うかもしれません。もちろんそれは事実上の「米韓同盟破棄宣言」となります。
大統領特別補佐官の「同盟破棄論」は米国に対する牽制が本当の目的なのかもしれません。「戦争を始めようとしたら中立を宣言する。米国は戦争の名分を失うぞ」との脅しです。
—文在寅大統領はどう考えているのですか。
鈴置:「同盟破棄論」が念頭にあるのは間違いないと思います。文正仁特別補佐官の「危険な発言」を放置しているのです。
特別補佐官はこれまでも、米国を激怒させる「反米親北」発言を繰り返してきたというのに、です(「『米韓合同演習』を北に差し出した韓国」参照)。
そもそも、同盟よりも民族が重要と考える左派の支持を受けて当選した人です。ご本人の愛読書が「米帝国主義を批判する本」。韓国民がこぞって読むべきとも推薦しています(「『米帝と戦え』と文在寅を焚き付けた習近平」参照)。
しかし、展開が読めない現時点では、反米色を露骨に出せない。「反米国家」の韓国にはろくに相談せず、米国が北朝鮮の核保有を限定的に認めたうえ、平和協定を結んでしまうかもしれないからです。
米朝協議に絡んでおかないと、韓国は米国に見捨てられたあげく、米国と関係を改善した北朝鮮からも相手にされなくなるでしょう。
そこでトランプ大統領に対しては「北朝鮮への制裁に力を尽くす」と約束する一方、裏で対北援助に動く(「金正恩をコーナーに追い詰めたトランプ」参照)。文在寅政権は洞が峠を決め込んでいるのです。
軍の反抗を恐れて閲兵式
—トランプ政権が北朝鮮と妥協する、との読みですか。
鈴置:韓国ではまだ、そうした心配をする人が多い。もちろんその可能性も残っていますが、米国では「イラン問題」が浮上し、北朝鮮に核を持たせたままでの妥協は難しくなっています(「金正恩の耳元でつぶやくトランプ」参照)。
しかし、韓国で「イラン要因」に関する議論は表面化していません。韓国紙はいまだ「米朝談合」を警戒する社説を折に触れ、載せています。
文在寅政権の懸念は韓国の保守、ことに軍の「反発」にもあると思います。9月28日、韓国は突然、閲兵式を敢行しました。
毎年行われていた軍事パレードは非軍人の大統領が就任した1993年以来、5年に1回に減らされていました。予定にもなかった閲兵式の開催に韓国人は驚きました。
文在寅大統領は宋永武国防長官と並んでオープンカーに乗り、陸海空軍兵士を検閲しました。突然の開催は「北朝鮮に断固たる姿勢を示すため」と公式には説明されました。が本当は、不満をためる軍をなだめるのが目的だったと見る識者が多いのです。
(次回に続く)
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『「右翼台頭」「対中傾斜」の4選メルケルは何処へいく』(10/5JBプレス 新潮社フォーサイト)について
Kazuo Ishiguro(石黒一雄)氏がノーベル文学賞を受賞しました。読んだことがないので論評できませんが、10/6朝のNHKニュースで「私はイギリスで育ったが、私の両親は日本人であり、世界を見る、私の芸術的なアプローチの大部分は、日本的なものだ」、「自分をイギリスの作家や日本の作家と意識したことはありません。作家は一人孤独に作品に向き合うものだからです。もちろん私は日本からもイギリスからも影響を受けてきましたから、自分自身を国際的な作家と考えたいです」、「日本の読者の皆さん、とりわけ日本の社会にはありがとうと伝えたいです。私がどのように書いて世界をどう見るかは、日本の文化の影響を受けていると思うからです。日本と日本人に非常に感謝しています」、「川端康成さんや大江健三郎さんに続く作家になれることを喜ばしく思います。ノーベル賞といえば村上春樹さんの名前が浮かび、申し訳ない気持ちになります」と話していました。村上春樹は、ノーベル賞は取れないと思います。彼はパレスチナを攻撃するイスラエルを公然と非難していました。政治的に偏る人間の作品は、選考委員は嫌うのでは。三島もそれが為にとれなかったのではと小生は考えています。ドナルド・キーンは「日本には年功序列があるので、三島を先に受賞させると文壇が揉める」との思いもあったようです。村上は『騎士団長殺し』でありもしなかった南京虐殺で40万人も殺したと書いたとのこと。中国のプロパガンダ以上の数字を挙げて中国に擦り寄り、読者数でノーベル賞獲得を狙ったとしか思えません。GHQの洗脳を受けた敗戦後利得者の一人です。
http://www.asahi.com/special/09001/TKY200902160022.html
10/6日経朝刊<ドイツ議会選後のEU(上) 板橋拓己 成蹊大学教授 政権弱体化、独仏連携に影
ポイント ○AfDの躍進は既存政党への不満を映す ○ドイツの「自覚なき覇権国」改善は期待薄 ○首相は受け身の姿勢を改め大胆さ発揮を
「退屈」と形容された選挙戦だった。無理もない。自国ドイツの経済は好調で、メルケル首相の4選も確実。直近の米仏の大統領選と比べれば「退屈」だっただろう。
だが蓋を開けてみれば、結果は深刻だった。今回の選挙はドイツ政治史上のひとつの「区切り」となった。そしてそれが今後のドイツ政治、ならびに欧州連合(EU)の将来に与える影響は大きい。

結果の確認から始めよう。まず大連立政権の与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)とドイツ社会民主党(SPD)の二大政党が支持を落とした。とりわけ中道左派のSPDは戦後最低の得票率(20.5%)を記録した。またメルケル首相率いる中道右派のCDU・CSUも投票日直前で失速し、32.9%の得票にとどまった。
年頭にシュルツ党首がSPDの首相候補に決定した際の同党支持率の急浮上とその後の急降下を考えると、中道二大政党の支持基盤の「あてにならなさ」があらわになった。
一方で、右翼ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が12.6%を得票し第3党に躍り出た。前回選挙で5%阻止条項により議席を失った自由民主党(FDP)も、リントナー党首の指導のもと復活を果たした(10.7%)。極左の左翼党(9.2%)、環境重視の緑の党(8.9%)を含め、ドイツ政治は「6党体制」の時代に本格的に突入した(図参照)。
◇ ◇
AfDの躍進は重要だ。もともとAfDは新自由主義的な経済学者を中心に、ユーロ危機のさなかに脱ユーロを掲げて結成された政党だった。しかし内部闘争を経て右翼グループが権力を握ると、反ユーロ政党の色は薄れ、右翼政党に転じた。さらに2015年の難民危機を背景に反移民・難民、反イスラム、治安重視といったテーマに傾斜し、より排斥的かつポピュリスト的性格を帯びて現在に至る。
ただしAfDの躍進をもってドイツ社会の「右傾化」あるいは「ナチの復活」と断じるのは早計だ。確かに党エリートの中に極右的な人物は多い。けれどもAfDに票を投じた有権者の中で同党の主張に「納得」している者は31%にすぎず、実に60%の人が「他党への失望」から票を投じている。さらに55%が、同党が「極右から十分に距離をとれていない」と考えている(いずれも世論調査機関インフラテスト・ディマップによる)。
AfD投票者の多くは必ずしも同党の過激主義に共鳴したわけではない。むしろ既成政党への不満、そして「自らの生活が変わってしまうことへの不安」から票を投じた。
いうなればAfDは、長期にわたるメルケル政治が生んだ「鬼子」である。その原因として3点を指摘したい。
第1にメルケル首相は、自らが保守でありながら、12年にわたりリベラルな政策を推進してきた。メルケル首相のもとでCDUはいわば「社会民主主義化」し、ドイツ政治全体の「中道化」が進んだ。そこで右側にできた隙間にAfDが滑り込んだのである。
第2に右記とも関連するがメルケル首相の政治スタイルに関わる問題だ。メルケル首相は、決して自ら主義主張を唱えたり立場を固定したりすることはせず、世論の動向を注視しながら、可能なら他党の政策も取り込むことをいとわない。脱原発への決断や最低賃金制度の導入が好例だ。
こうしたメルケル首相の政治スタイルは、既成政党間の対立軸を著しく曖昧なものにした。これが冒頭の「退屈」の一因でもある。そうした中でAfDが良くも悪くも明確な対立軸を打ち出し、有権者に刺激を与えた面がある。
第3にメルケル首相の寛容な難民政策だ。15年夏以来、ドイツは100万人超の難民を受け入れた。そうした大きな変化への不安がAfD票となった。実のところAfDは移民・難民の少ない旧東独地域で大きな支持を集めた。これは欧州各国に共通した傾向だが、移民の少ない地域でこそ、自らのコミュニティーが脅かされることへの不安がかき立てられるからだ。
ともあれナチの歴史を抱えたドイツでAfDが議席を得た意味は大きい。ワイマール共和国およびナチ政権の反省から、連邦共和国(冷戦期は西ドイツ)には、5%阻止条項の導入や憲法敵対的政党の禁止など、安定した政党政治を志向する制度が備えられている。しかしこうしたハードルを越える「洗練された極右」政党がドイツに登場した。
◇ ◇
ではAfDは今後ドイツ政治に根づくのだろうか。まだ確定的なことは言えない。ただドイツの従来の極右政党は一定の成果を上げても、党内対立から自滅するのが常だった。AfDも他党との連立といった「現実路線」を掲げた指導者ペトリ氏が選挙戦直前に党内闘争に敗れ、選挙後に党からの離脱を表明した。つまり連邦議会進出により、様々な特権を手にするものの、AfDは常に分裂含みだ。

いたばし・たくみ 78年生まれ。北海道大法卒、同大博士(法学)。専門は国際政治史、欧州政治史
いずれにせよAfDは、目下の焦点である連立政権の構成に直接的な影響を及ぼさない。SPDが下野を決意したため、現在のところ連立の有力な選択肢は、CDU・CSUとFDPと緑の党から成る「ジャマイカ連立(3党のシンボル色と同国国旗の連想)」だ。ただしこの連立は、企業重視・市場重視のFDPと環境政策重視の緑の党を抱え、一体性に欠ける。EUの将来も極めて厳しいものとなる。
そもそも今回の選挙戦で国際的に注目されたのは、ドイツのEU政策の行方だった。最大の論点は、マクロン仏大統領が提示したユーロ圏改革構想(ユーロ圏の共通予算や財務相の創設)にどう応じるかだ。しかし欧州議会議長を務めてきたシュルツ氏率いるSPDが敗北し、反ユーロのAfDを議会に抱え、自国の資金を他国のために用いることを嫌うFDPを連立相手に選ぶとなると、新政権が大胆なEU政策に踏み出す可能性は一段と低くなった。
このことは「親EU」を正面から打ち出し、極右の国民戦線(FN)のルペン党首に勝利したマクロン大統領の挑戦を挫折させることになりかねない。そしてそれは、次期仏大統領に極右を召喚することにつながる恐れすらある。
しかしこの点は選挙戦で論じられなかった。ドイツは今やEU諸国の内政も左右する存在となったが、自らはその権力性に無自覚だ。パワーの大きさに比して、それに応分の働きをしない「自覚なき覇権国」といえる。そしてメルケル政権の基盤が弱体化した現在、こうした面が改善される可能性は低い。当面注目すべきは、財政規律の権化であり、他国に構造改革を迫ってきたショイブレ氏が退任した後の財務相ポストの行方だ。
◇ ◇
一方でドイツ経済は依然好調を保っている。世界最大の経常黒字国となり、失業率も低く、国家財政は健全だ。しかしその陰で実は国内問題も山積している。財政均衡に固執するあまり公共インフラ投資は不足している。社会の高齢化・人口減少は深刻だ。また低賃金労働が所得格差を広げている。そして難民・移民をいかにして社会に統合していくのか。これらはいずれも放置すれば不満が爆発しかねないが、これまでのメルケル政権のような受け身の姿勢では抜本的改善は見込めない。
後世から「メルケル時代」はどう評価されるか。それはこの4期目にどれだけメルケル首相が、EU政策にせよ国内政策にせよ、大胆さを発揮できるかにかかっている。>(以上)
メデイアは「難民」や「移民」の受入に反対する人や政党を極右呼ばわりして貶めようとしますが、それは国民の自然な感情では。異質なものが入ってくれば免疫反応を超すのは当然です。閾値を超えてしまえば国民の拒否反応は当然です。キリスト教徒とイスラム教徒の両一神教では猶更です。世俗国家と言っても、相手のイスラム教徒は原理主義者かも知れませんし。
「移民」の受入と言う意味ではイスラエルの入植はどうなのでしょう?形を変えた「移民」にも見えますが。勿論相手国への侵略の一方法でしょう。中国のブータンへの入植はどうなのでしょうか?イスラエルは非難され、中国は黙認されています。二重基準と思うのですが。
「移民」拡大を許せば、中国の人口侵略は止められません。共産国は国民に自由を与えない代わりに、自由主義諸国の自由を逆手に取って、自国有利の政策を享受します。日本は「移民」の受入を今以上に制限し、帰化条件を厳しくすべきです。反日国家の中国と韓国のビザ免除も止めるべきです。
EUの今後ですが、グローバリズムはナショナリズムの力によって勢いが削がれるのでは。今度のAfDの議席獲得がそれを表しています。トランプ大統領の誕生もそうでした。ポピュリズムと言ってメデイアは非難しますが、国民の選択を上から目線で非難することはできません。それこそ「ドイツ国民の選択肢」でもありましたので。
9/26宮崎正弘氏メルマガ<ドイツ常識派「ドイツのための選択肢」、いきなり第三党に躍進 ゼロから94議席、メルケル与党は65席も激減の敗北>
http://melma.com/backnumber_45206_6588070/#calendar
10/2宮崎正弘氏メルマガ<どこまで間抜けで、莫迦なドイツなのか 腐敗する中国からの投資を歓迎し、人権批判は口だけという醜態>
http://melma.com/backnumber_45206_6590550/
今度のAfDの議席獲得は、反移民だけでなく反EUの動きに繋がる一歩かも知れません。
記事

ドイツのウォルフガング・ショイブレ財務相の75歳の誕生会に出席したアンゲラ・メルケル首相(2017年9月18日撮影)。(c)AFP/THOMAS KIENZLE〔AFPBB News〕
(文:中村登志哉)
【ベルリン発】 9月24日投開票のドイツ連邦議会選挙(法定定数598)は、与党第1党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党の座を維持し、アンゲラ・メルケル首相の4選が事実上確定した。ドイツ戦後史上、最長のヘルムート・コール首相の在任16年と並ぶ長期政権を視野に入れる。
衝撃的だったのは、社会民主党(SPD)との大連立与党は、得票率が前回比13.8ポイントの大幅減(選挙管理委員会暫定最終結果)となったため、メルケル首相にとっては、手放しで喜ぶことのできない「ほろ苦い勝利」だったことである。
次期政権の枠組みは今後の協議次第だが、第2党のSPDが早速、大連立の継続を拒否する姿勢を見せたため、当面はリベラル派の自由民主党(FDP)と、環境保護政党「90年連合・緑の党」との3党連立を軸に進むとみられる。だが、政策調整は容易ではなく、連立協議は難航する可能性がある。
特筆すべきは、結党からわずか4年の右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が初めて国政進出を果たし、いきなり第3党に躍り出たことである。今回の選挙結果がドイツ、あるいは国際社会、欧州にとって意味するものとは何だろうか。AfDを中心に、現時点の材料を基に考えてみたい。
右派ポピュリスト政党の議会初進出
メルケル首相の続投は、ユーロ危機や難民問題などはあったものの、財政黒字やほぼ完全雇用に近い失業率3.7%(今年7月)に象徴される、好調なドイツ経済、第2党のSPDとの安定した政権運営が一定評価されたとは言える。しかし、CDU・CSUの得票率33%は、前回比で大幅減というのはもちろん、1949年(31%)以来の低い水準の得票率で、勝者というよりは敗者の位置づけだ。
メルケル首相は9月25日の記者会見で、国内外のメディアを前に「(第1党に選ばれたことは)有権者からの負託を受けたということであり、その責任を果たしていく」と語ったが、勝利とは程遠い、硬い表情が目立ったのは無理からぬことだった。
この敗因の1つは、間違いなくメルケル首相の難民政策だ。中東から大量の難民が押し寄せ、その数はピークの2015年に約100万人に達した。これほど多数の難民受け入れに対し、財政負担や治安への不安から、与党内からも難民受け入れの規制を求める声が上がったが、メルケル首相は基本法(憲法に相当)が規定する難民に対する庇護権を理由に、難民を歓迎する姿勢を変えなかった。その結果、昨年8月下旬に実施された世論調査機関「エムニド(Emnid)」による調査では、メルケル首相を首相候補とすることに50%が反対するほど人気は一時低迷した。
ところが、欧州連合(EU)とトルコとの協定により難民流入が落ち着くと、メルケル首相の人気は徐々に回復したのである。
メルケル首相の難民政策に対する批判を追い風に受け皿として急伸したのが、今回の選挙で連邦議会への初進出を果たしたAfDである。連立与党が失った分にほぼ匹敵する12.6%の得票率を記録した。
一枚岩ではない「AfD」の内情
2013年に結党されたばかりの同党は当初、経済学者のベルント・ルッケらが反ユーロを旗印に設立したが、難民問題を背景に、フラウケ・ペトリら党内右派が次第に実権を握り、反難民、反イスラムの主張を掲げるようになった。結党からわずか4年の間に、全16州のうち既に13州の州議会にも進出を果たし、着実に政界に足場を築いて、ついには国政における発言権を確保した。
結党以来、担当記者として同党を観察してきた時事週刊誌『シュピーゲル』のメラニー・アマン氏は、今年刊行した著書『ドイツにとっての不安』で、共和党やドイツ国家民主党(NPD)などの極右政党が浮かんでは消え、結局、連邦議会進出までには至らなかったことと対比し、AfDがなぜ州議会に根を張り、連邦議会進出を窺うまでになったかを論じている。
すなわち、創設者の1人であるルッケは、ハンブルク大学教授で経済学者という社会的地位の高い人物で、これまでの極右政党とは一線を画し、十分なカリスマがあったと評価する。しかしそれだけではAfDの躍進を説明することは困難で、同党を大きく飛躍させたのは難民の大量流入だった、とも指摘する。
ユーロ危機以来、経済不振に苦しむ南欧諸国の肩代わりをさせられるのではないかというドイツ市民の懸念に加え、大量流入する難民、特にドイツに同化する姿勢がみられないイスラム諸国からの難民に対する潜在的な不安感は既に広がっており、それが今般の難民問題で一気に噴出したというのである。
ドイツにおいては、ナチスへの反省から、排外主義的言論が許容されてこなかったが、いまやそれを受け入れる土壌が整えられていたというのが同氏の見方だ。『Angst für Deutschland』という同書の原題の頭文字をとるとAfDであり、右派ポピュリスト政党AfDがドイツにとっての不安になっている、ということを示唆している。
事実、投票日当日の9月24日夜には、AfDの選挙パーティーが開かれていた旧東ベルリンのアレクサンダー広場に数百人から1000人の若者らが集まって抗議デモを展開。「ナチスは出ていけ」「人種差別主義は選択肢にならない」などとシュプレヒコールを上げ、排外主義を掲げるAfDが連邦議会に初めて進出することへの強い反発や不安を裏付けた。抗議デモはハンブルクやフランクフルトなどドイツ各地で行われた。
ただし、急速に膨張した同党も一枚岩とは言い難い。同党幹部らとともに選挙結果に関する25日の記者会見に臨んだペトリ党首は冒頭、多数の記者団を前に、「私はAfDの院内会派に所属するつもりはない」と言い放って途中退席し、その後、離党の意向を表明、同党が分裂含みであることを強く印象付けた。
なるほど大政党は同党を連立協議の対象とはしていないので、同党の政策が政府の政策に直ちに影響を与えることはない。しかし、第3党となった同党からの批判圧力にさらされ続けることにはなる。副党首のアレクサンダー・ガウランドのように、過去にCDUに在籍していた者もおり、同党やその分派がいずれCDUなどと連立を組む可能性はあり得ると、アマン氏は指摘する。
いずれにしても、同党の国政進出はドイツの政党地図を大きく塗り替えた。
「対中傾斜」の可能性
大量の難民受け入れがピークに達した2015年、メルケル首相は米誌『タイム』で「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、自由世界のリーダーに擬せられたことがある。西側世界の重要なリーダーの1人であることは疑う余地がなく、今後も国際舞台で欧州のリーダーとして君臨するだろう。
しかし、メルケル首相を取り巻く国際環境は変化した。今年5月26、27両日にイタリア南部シチリア島タオルミーナで開催された主要国首脳会議(G7)から帰国したばかりのメルケル首相は、ミュンヘンでの選挙集会で、「われわれ欧州人の運命を他国に委ねる時代はある程度終わった」と述べ、その真意を巡って国際的波紋を広げた。「他国」に、トランプ大統領率いる米国が念頭にあることは明らかだった。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国に国内総生産(GDP)2%相当の防衛支出を求める米国に対し、ドイツは1.2%と大きな溝がある。加えて、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明した米国には批判的だ。さらには、シリアなどからの難民受け入れを拒否し、ドイツに対して対米貿易黒字の改善を求めるなど保護主義的立場のトランプ大統領に対し、大量の難民を受け入れ、自由貿易体制の重要性を訴えるメルケル首相の立場は対照的だ。
他方で、ドイツはシュレーダー政権以降、中国との関係を深め、特に経済関係の深化は目を見張るものがある。連邦統計庁が発表した2016年の貿易統計では、中国は輸出国として第5位、輸入国としては第1位で、ドイツの最大の貿易相手国はいまや、前年首位だった米国を抜いて中国である。
メルケル首相は毎年のように、企業経営者らを引き連れ、訪中を繰り返してきた。ドイツ企業による対中投資や輸出がドイツの現在の好調な経済に大きく貢献していることは疑いの余地がない。
中国側も、ドイツ企業の買収やドイツ進出を積極的に進め、経済の相互依存は大きく進んだ。一方的に貿易収支の改善を求める米国との間でますます溝が広がるようであれば、ドイツが経済的にも一層の対中傾斜に動く可能性が懸念される。
中国への警戒感
しかしながら、ここへきて、ドイツやEU側は中国に対して警戒感を強めている。中国側が、とりわけ安全保障上必要な技術を持つ企業を狙って買収を進めている可能性が疑われるからである。欧州委員会は9月14日、中国など域外企業による欧州企業買収に対する審査強化案を発表した。情報技術、軍事、宇宙分野など戦略的に重要な企業やその技術が外国、特に政府系企業の手に渡ることを防ぐことを目的としている。
背景には、中国企業が昨年、ドイツの産業用ロボット大手メーカーの買収を発表するなど、安全保障に影響を与える企業買収に対する懸念の声がドイツ国内に出てきたことがある。ドイツはこうした事実を踏まえ、EUに対して買収規制の強化を求めていた。
また、ガブリエル外相は8月30日、訪問先のパリでの講演で、「もし私たちが、たとえば統一された対中戦略の構築に成功しなければ、中国は欧州の分断に成功するだろう」と述べ、中国に対する警戒感を示した。
近年では中国の欧州における主要な投資先になっているギリシャが、中国の人権状況を批判する国連人権理事会におけるEUの声明発表を阻止したほか、南シナ海における領土紛争に関する常設仲裁裁判所の判決を拒否した中国に対し、一部のEU加盟国が厳しい姿勢を取ることに反対したことを挙げ、中国側が経済力を利用する形で欧州の分断を試みることへの警戒感を示したのである。
中国への行き過ぎた傾斜は、南シナ海や東シナ海における中国の帝国主義的行動への批判を控え、黙認する姿勢に陥りかねない可能性がある。事実、メルケル首相は2005年の就任当初は、シュレーダー前首相とは違って、中国における人権の尊重や言論の自由について言及していた。にもかかわらず、近年は発言を控えるようになり、ドイツ国内からも批判が出ている。
こうした外交姿勢は、米国や日本、豪州やインド、東南アジア諸国などからも疑念を招く可能性がある。メルケル首相が経済一辺倒ではなく、国際秩序安定の観点から、よりバランスの取れた対中関係が求められていることを認識するかがカギと思われる。
ちなみに、中国における経済進出という面では、日本はドイツと競合関係にあるが、G7などの場を通して、北朝鮮の核・ミサイル問題で緊張が高まるアジアの秩序安定の意味からも、日本はドイツ側との意思疎通を深め、相互理解を図ることが今ほど重要なことはない。
ユーロ改革「独仏協議」難航か
欧州レベルでは、フランスのマクロン大統領との独仏協調を軸に、欧州統合の進展を目指すことになる。最大の課題は、ユーロ危機の再来を防ぐべく、ユーロ改革にどう取り組むかである。しかしながら、今般の選挙戦を通して、EUあるいはユーロなどの欧州レベルの課題が議論されたとは言い難く、関心も高いとは言えなかった。
ユーロ改革に関しては、マクロン大統領が経済相在任中の2015年、ドイツのガブリエル副首相(当時)と独仏共同案として、ユーロ圏予算の立ち上げとユーロ圏財務相の新設を提案したことがあり、財政移転を含むユーロ圏の統合深化の方向を初めて示した。
しかしながら、ドイツはギリシャ危機の際にそうであったように、ギリシャに対し厳しい財政緊縮を求め、財政移転には極めて慎重な姿勢を取ったことで知られる。ドイツは好調な経済もあって財政黒字だが、それでもドイツの血税を経済不振の南欧諸国に振り向ける財政移転には抵抗が極めて強い。メルケル首相もこれまでは財政移転に否定的なため、マクロン大統領との調整には曲折が予想される。
さらに今回の選挙結果を受け、ショイブレ財務相が留任するのか交代するのか、あるいは連立パートナーから後任を出すのかなどによっても変わる可能性がある。特にFDPのリントナー党首は、経済的に厳しい加盟国にはユーロ圏からの退出をしやすくすべきだという、ユーロ圏の財政統合深化とは逆の方向性を打ち出しており、もしFDPを含む連立政権になった場合には、独仏両国の政策調整はより難航する可能性がある。
英国離脱後のEUでの役割
トランプ大統領が「EUはドイツの乗り物」と発言したように、欧州における1人勝ちといわれる経済と、メルケル首相に象徴される政治力とにより、欧州におけるドイツの覇権論が議論されるようになった。
長らくフランスの政治力、ドイツの経済力が両輪となって欧州を率いてきたが、英国の歴史家ティモシー・ガートンアッシュによれば、かつてフランスのミッテラン大統領は、東西ドイツ統一を支持する見返りに、ドイツの強さの象徴だったドイツ・マルクを捨てさせ、ユーロの導入を求めた。ところが、ユーロ導入によって利益を得たのは図らずもドイツであり、ヨーロッパの運転席に座ったため、フランスは最前席から放り出された、という見立てである。
ナチスの過去を持つドイツは、これまで前面に出る形で、EUにおいて政治的なリーダーシップをとることに慎重だった。だが、英国もEUを離脱し、EU内のパワーバランスが変わっていく中で、果たして英国離脱後のEUでどんな役割を果たしていくことになるのか、世界が注視している。

中村登志哉 名古屋大学大学院情報学研究科教授、附属グローバルメディア研究センター長。1960年生まれ。メルボルン大学(豪州)政治学研究科博士課程修了、Ph.D.(政治学)。共同通信社外信部記者・ウィーン支局長、長崎県立大学教授、名古屋大学大学院国際言語文化研究科教授を経て、2017年4月より現職。著書に『ドイツの安全保障政策―平和主義と武力行使』(一藝社)、編著に『戦後70年を越えて―ドイツの選択・日本の関与』(一藝社)、共著に『Power Transition an International Order in Asia: Issues and Challenges』(Routledge, 2013)、『Strukturen globaler Akteure: Eine Analyse ausgewählter Staaten, Regionen und der EU』(Nomos Verlag, 2010)、訳書に『ドイツ統一過程の研究』(ゲルトヨアヒム・グレースナー著、青木書店)などがある。
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『トランプ大統領、中国に失望して本来の対決姿勢へ 北朝鮮を制裁しない中国に堪忍袋の緒が切れた』(10/4JBプレス 古森義久)、『米海軍・太平洋艦隊司令官の退役を笑って喜ぶ中国 北朝鮮情勢を機に中国が一人勝ち』(10/5JBプレス 北村淳)について
10/2NHKニュース政党支持率世論調査

<希望の党の政党支持率が民進党より低い結果にwww 共同通信「希望4% 民進12%」 朝日新聞「希望3% 民進6%」~ネットの反応「もうない政党に入れてるのは一体……」>

http://anonymous-post.com/archives/13310
10/5ダイヤモンドオンライン北野幸伯氏記事<希望の党政権誕生ならその実態は「元民進党内閣」になる>。北野氏は希望の党が第一党になることもケースとして想定していますが、上記の世論調査を見る限り難しいのでは。一番問題なのは、希望の党に移った元民進党議員が選挙後にまた民進党に戻るかもしれないとの話があります。比例復活であっても今次選挙で「民進党」の名前を出さなければ、戻るのは可能と渡邉哲也氏はfacebookで述べていました。これは「党名ロンダリング」です。「民主党」から「民進党」へ名前替えしたのも、民主党政権時代の悪政のイメージを払拭しようとしたためでした。今度もその手を使うつもりでしょう。希望の党の入党誓約書なんて移れば関係なくなるし、希望の党で元民進党議員が増えてくれば数の力でなかったことにするでしょう。最悪です。いい加減国民も騙されないように。
http://diamond.jp/articles/-/144675
また小池は石破と手を組む可能性もあるようです。週刊文春の中吊りには<自民単独過半数割れで小池政権 石破大連立の現実味>。ただ今の所の支持率、「都知事を辞めるのは無責任」との声を聞くと、自民党の過半数割れはないのでは。しかし石破の裏切りの可能性が取りざたされるということは、「火のない所に」でしょう。1度裏切った人間は何度でも裏切ります。選挙前にこんな記事が出るようでは、利敵行為で除名すべきです。本来北朝鮮危機に政党を挙げて対処すべき時に、自分の野心の為に動こうとしている連中です。希望の党を含め、間違ってもこういう連中に投票しないでほしいです。

古森氏記事を読みますと、台湾の頼清徳行政院長が国民党議員から質問を受け、「個人的立場であるが台湾独立派だ」と言って今バッシングを受けていることと関係している気がします。中共と国民党が連携して民進党独立派を封じ込めようとしている構図です。トランプガ中国にキツクなり、台湾独立に手を貸す前に台湾内の独立派を委縮させようと言うもの。台独≒親日派なので、やがて尖閣で踏み絵を踏ませようとするでしょう。頼院長はトランプを信じ、中国と米国が対峙するときまで辛抱強く待った方が良いと思います。台湾単独では中国と戦争しても勝てないので。勿論、日本も継戦能力に限りがありますので、海上封鎖しない限り勝てません。(核戦力は除外)
http://www.sankei.com/world/news/170927/wor1709270013-n1.html
北村氏の記事ではスウィフト司令官の退任は残念です。人事の巡り合わせで、不運としか言いようがありません。艦艇の事故が多すぎました。水兵に疲れが溜っていたのではと言う記事を以前に見ましたが、上司ですから責任は追及されるでしょう。裏に中国の影があっても今のトランプ大統領は古森氏記事のように言うことを聞かないでしょう。イバンカ・クシュナーが中国に取り込まれないことを祈ります。
古森記事

ドイツ・ハンブルクで開催されたG20首脳会議に合わせて会談を行った米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席(2017年7月8日撮影、資料写真)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News〕
米国と中国の関係が新たな様相をみせ始めた。
トランプ政権下の米国が、中国に対して、オバマ政権時代とは対照的に守勢から攻勢に転じる構えを鮮明にしてきたのだ。中国の軍事面や経済面の行動を横暴と断じて、正面からの対決も辞さない姿勢である。米中関係の構造的な変換ともいえるだろう。
南シナ海で軍事演習も
この変化の実例としては、9月冒頭に米国防総省が明らかにした南シナ海での「航行の自由」作戦(FONOP)の新方針が分かりやすい。
中国は南シナ海のスプラトリー(南沙)、パラセル(西沙)両諸島周辺を勝手に「領海」と宣言し、造成島を建設した。米国はその海域への米海軍艦艇の航行を「今後、数カ月で2~3回実施する」と明示したのである。しかもその際、米艦の上空に同時に軍用機を飛ばして演習も行うという積極果敢な作戦活動の予告だった。
オバマ政権も、2015年10月から翌年10月までに計4回、「航行の自由」作戦を実施している。だがいずれも事前に方針は明らかにせず、内容も軍艦1隻だけの静かな航行だった。その軍艦も航行中は兵器使用を可能にするレーダーを切っていたという。
一方、トランプ政権は、今年5月から8月までに合計3回の「航行の自由」作戦を実施した。しかも中国側の「領海」内での軍事演習も含めての進入だった。そのうえに今後も定期的に続けるという宣言をしたのである。当然ながら中国政府はこのトランプ政権の動きに激しい反発を表明した。
従来の中国非難を一気に実行に
また、「経済戦争」とも呼べる、経済面での猛烈なせめぎ合いも始まる気配が強くなってきた。その最初の主戦場は、日本にも関係の深い知的所有権の分野となりそうである。
トランプ大統領は8月中旬、米通商代表部(USTR)に、中国による米側の知的所有権の侵害や窃取の実態を本格的に調査するよう命じた(この動きについては2017年8月21日付の本コラム「中国の『パクリ』征伐に乗り出したトランプ政権」でも詳しく報じた)。
トランプ大統領はこの調査命令を出す際に以下のような声明を出した。
「中国によるアメリカの知的財産の侵害は、毎年、米側に数百万人の雇用と数百億ドルもの資金の損失をもたらしている。だがこれまでアメリカ政府は長い年月、なんの対策もとらなかった。私はもう黙視しない。この防止策は私の選挙公約でもあるのだ」
トランプ氏は大統領選挙中に中国に非難を浴びせていた。当初は中国の巨大な対米貿易黒字や米国企業を不当に扱う不公正貿易慣行、そして知的所有権の侵害など、経済分野での非難だった。その非難は、中国の南シナ海での無法な領有権の主張に対しても広がっていった。中国が米国に対して浴びせるサイバー攻撃についてもトランプ氏は糾弾していた。
トランプ氏は、こうした従来の中国非難を、大統領就任後8カ月以上が過ぎたいま一気に強め、実際の行動に移し始めたのである。
「中国には失望した」とトランプ大統領
では、なぜいまになって中国と対決する姿勢を強めているのか。
その理由は単純だ。トランプ大統領は北朝鮮の核兵器開発を阻止するにあたって、中国の協力が必要だった。そのため、対中批判を当面、差し控え、ミニ蜜月を演出していた。
トランプ大統領は今年4月の習近平国家主席との会談で、北朝鮮への石油輸出の停止などを要請した。北朝鮮は国内で必要な石油の9割以上を中国から輸入している。北朝鮮にとって、中国の石油輸出停止は致命的ともなりかねない。
トランプ大統領は、中国が対北制裁を実現するまでの期間として100日間という期限を設けた。だが中国はその期間が過ぎても、アメリカの要求をまったく聞かなかった。その結果、トランプ政権は中国にすり寄ることを止めて、従来の対決路線へと戻ることになったのである。
その背景には、北朝鮮が7月にICBM(大陸間弾道ミサイル)と豪語する長距離ミサイルの実験発射を2回も断行した事実があった。トランプ大統領は「中国には失望した。アメリカの政治指導者たちはこれまで中国の対米貿易黒字の巨額な膨張を許容して、中国側に利益を与えてきた。それなのに、中国はアメリカの要請を受けても北朝鮮に圧力をかけもしない。この状態を続けることはできない」と激しい中国非難を打ち上げた。
トランプ大統領の対中非難に呼応するようにCIA(中央情報局)のマイク・ポンペオ長官もアメリカの一部メディアとのインタビューで、「アメリカにとって中期的、長期的に最も深刻な脅威は中国だ」と語った。
ポンぺオ長官はさらに「経済面でも軍事面でも、アメリカにチャレンジする最大の能力を持つ国は中国だ。南シナ海でも東シナ海でも、中国はアメリカやその同盟国側の利益を侵し続けている」とも述べた。トランプ政権の対中観の本音を映し出すような発言だった。
中国側でも国営新華社通信がこのポンぺオ長官の発言を詳しく取り上げ、「アメリカは自分たちの責任で生まれた危機を中国のせいにしている」と激しく反発した。
「一つの中国」原則も対中政策のテコに
トランプ政権は中国側が最も嫌がる台湾への武器売却にも踏み切った。7月はじめ、同政権としては初めて、台湾向けに総額14億ドルほどの早期警戒レーダーやミサイル部品などの輸出の手続きを開始したのだ。
国防総省の報道官は、この武器売却が「一つの中国」路線の変更を意味するわけではないと説明した。だがトランプ氏には、就任前に台湾の蔡英文総統と電話会談し、「一つの中国」への疑問を呈した軌跡がある。
トランプ政権のこうした動きについて、長年、国務省やCIAで対中政策を担当したロバート・サター・ジョージワシントン大学教授は次のように論評した。
「オバマ政権はとにかく中国との摩擦や衝突を避け、中国側の無法で攻勢的な行動にも正面から抗議しなかった。だが、現在のトランプ政権は強く押し返して、中国を守勢に立たせ始めた。しかも『一つの中国』の大原則までを対中政策のテコに使おうとする姿勢は歴代政権でも前例がない」
サター氏はトランプ政権の対中政策の特徴として、「中国が南シナ海で不当な領土拡大をすれば、台湾など他の領域で武器売却などの報復措置をとり、中国に代償を払わせるというリンケージ(連結)策をとっている。オバマ政権では、まず絶対になかったことだ」とも述べた。
米中関係のこうした険悪化は、結果的に日米同盟の強化にもつながることとなる。アメリカは中国への抑止のために、在日米軍の基盤となる日本との同盟関係をより重視するようになるからだ。
北村記事

中国・北京の人民大会堂で会談するレックス・ティラーソン米国務長官(左)と中国の習近平国家主席。ティラーソン長官は「独自のチャンネル」を通して北朝鮮と直接対話していると述べた。しかし北朝鮮側は核兵器放棄に向けた対話への関心を示していないという。(2017年9月30日撮影)。(c)AFP/Lintao Zhang〔AFPBB News〕
トランプ大統領は北朝鮮に対して軍事的オプションをちらつかせての恫喝的“口撃”を繰り返している。だが、先週の本コラムでも指摘したように、現実にはアメリカからの先制攻撃はそう簡単には実行できない。
トランプ政権は北朝鮮との直接交渉も模索しているものの、結局のところ、北朝鮮の核・ICBM開発を制御するには中国に影響力を行使してもらうことを期待するしか手はない状態が続いている。
アメリカにとっての不運、中国にとっての幸運
習近平主席が訪米したときから、トランプ政権はすでに北朝鮮問題で中国の協力を当てにするようになっていた。だが、アメリカ側の期待に反して、中国の対北朝鮮圧力が目に見える形で功を奏することはなかった。そのため、トランプ政権はさらなる中国側の対北朝鮮圧力を引き出すために、中国の南シナ海侵出を軍事的に牽制するポーズをとる必要性に迫られた。
そこで、アメリカ海軍太平洋艦隊に南シナ海でのFONOP(航行自由原則維持のための作戦)をはじめとするパトロールの強化を命じた。というよりは、太平洋艦隊の方がこうした軍事的圧力の実施の許可を強力に求めていたので、ホワイトハウスが太平洋艦隊に「命じた」というよりは、「許可した」と言うほうが正しい。
いずれにせよ、アメリカ海軍は南シナ海でのパトロールを強化するとともに、5月下旬にはFONOPを再開し、7月、8月と、オバマ政権下ではなかった毎月1回という早いペースでFONOPを繰り返すかに見えた。
ところが8月のFONOPを実施した米海軍駆逐艦ジョンS.マッケインがシンガポール沖でタンカーと衝突し大破、10人もの乗組員を失う事故を起こしてしまった。この事故の2カ月前には、米海軍駆逐艦フィッツジェラルドが伊豆沖でコンテナ船と衝突し大破、7名の乗組員を失ったばかりであった。そのため、ようやく太平洋艦隊が望んでいた中国の海洋侵出に断固たる態度で臨む機運が生じた矢先に、艦艇の行動が制約されてしまう事態に陥ってしまったのだ。
太平洋艦隊所属艦艇の事故は、合わせて17名もの犠牲者を出したジョンS.マッケインとフィッツジェラルドの衝突事故以外にも、巡洋艦レーク・シャンプレインが韓国漁船と衝突した事故、巡洋艦アンティータムが母港横須賀港沖で座礁した事故と、今年に入ってから4件にものぼっている。
このことが、太平洋艦隊にとってさらなる不運、そして反対に、南シナ海や東シナ海への軍事的侵出を強力に推進している中国にとっては幸運、をもたらした。
突然の退任勧告を受けたスウィフト司令官
かねてより対中強硬派の米軍関係者たちは、ハリー・ハリス太平洋軍司令官の後任にスコット・スウィフト太平洋艦隊司令官が就任すれば、今後の太平洋艦隊そしてアメリカ海軍は鬼に金棒となるものと期待していた。
ハリス太平洋軍司令官は、太平洋艦隊司令官そして太平洋軍司令官と歴任し、中国に対して強硬な態度をとり続けてきた。そして、スウィフト太平洋艦隊司令官も、やはり中国に対し断固たる態度をとるべきであると主張し続けてきた。

スコット・スウィフト太平洋艦隊司令官。パールハーバーにて(2017年9月11日、U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Daniel Hinton/Released)
多くの太平洋軍司令部関係者や太平洋艦隊司令部関係者たちは、スウィフト太平洋艦隊司令官が次期太平洋軍司令官に就任するものと考えていた。なぜならば、スウィフト司令官は理論家的な学者肌の側面と断固とした決断をなす軍事リーダーの側面を併せ持つ人物であり、多くの米海軍や米海兵隊幹部たちから人望を得ている理想的な太平洋艦隊司令官であったためである。
筆者自身が9月12日にスウィフト司令官と面会した際にも、提督が語った日本をはじめとする東アジア情勢の話の節々から、次期太平洋軍司令官としての意気込みが感じられた。
このように、9月24日までは、誰もがハリス太平洋軍司令官の後任にはスウィフト太平洋艦隊司令官が就任するものと考えていた。
しかしながら、9月25日、突然海軍作戦部長(米海軍最高位の軍人)リチャードソン大将がスウィフト司令官に対して、「次期太平洋軍司令官に貴官を推薦することはない」と直接言い渡したのである。これは実質的な退任勧告とみなすことができる。
自他ともに疑っていなかった太平洋軍司令官へのステップが突然絶たれたスウィフト司令官は、太平洋艦隊司令官の職責を全うし次第、退役する旨を申し出た。スウィフト司令官の退役の時期は「6週間後になるか、6カ月後になるか」定かではない。いずれにしてもスウィフト提督が太平洋艦隊司令官の職をもって海軍から去ることになり、対中強硬の期待は潰えたのである。
中国が何らかの形で影響力を行使?
リチャードソン海軍作戦部長がスウィフト司令官に事実上の退役を促したのは、「2017年に入ってから太平洋艦隊所属軍艦の重大事故を4件も起こしており、合わせて17名もの将兵を失ってしまっている」ことが表向きの理由と考えられている。つまり、「事故を起こした艦艇や第7艦隊司令部関係の幹部6名がすでに処分を受けているのだから、総責任者である太平洋艦隊司令官も引責せざるを得ない状況である」というわけだ。
しかしながら、対中強硬派の海軍関係者や海兵隊関係者たちの間では、「中国が何らかの形での影響力を行使したのではないか?」あるいは「ホワイトハウスやペンタゴンにはびこっている政治的配慮が、ハリス司令官以上に対中強硬派の重鎮とみなされているスウィフト司令官の人事決定の背後に横たわる理由ではないか?」と考えているものも少なくない。
これまで中国の南シナ海や東シナ海での軍事的冒険主義に対して“最後の牽制”を加えてきたスウィフト司令官が、太平洋艦隊司令官(海軍だけの司令官)から太平洋軍司令官(海軍・海兵隊・空軍・陸軍・特殊作戦群など全ての司令官)へと昇格したならば、中国にとっては極めて好ましくない状況となるわけである。実際に中国は、対中強硬派の頭目とみなしていたハリス太平洋軍司令官を罷免するようにワシントンDC筋に圧力をかけたこともある。そのため、スウィフト司令官の昇格の妨害もしかねないと対中強硬派の人々は危惧していた矢先であった。
このような状況下で、スウィフト司令官に対する実質的退役勧告がなされたのだ。そのため、「このままスウィフト司令官が太平洋軍司令官に就任せずに退役してしまった場合、得をするのは中国だけだ」といきり立っている人々も少なくない。
中国に吹く追い風
もちろん、リチャードソン海軍作戦部長がスウィフト司令官の昇格を却下する過程で「中国に対する政治的配慮」が少しでもなされたのかどうかは分からない。しかしながら、そのような影響力とは全く無関係に人事が決定されたものであったとしても、対中強硬派の人々の間で人望の高いスウィフト海軍大将が太平洋軍司令官のポストを得られなかったという、中国人民解放軍が望んでいた筋書きが実現したことは事実である。
太平洋艦隊が事故を連発してしまったために、FONOPをはじめとする南シナ海での対中牽制活動は勢いを失ってしまい、“最後の切り札”と期待されていたスウィフト太平洋軍司令官の誕生も露と消えた。まさに、南シナ海を巡る米中攻防戦では、中国側に強運の女神が微笑んでいるということができる。
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『党代表選挙の異変は「中国大統領選」への布石か 習近平、主席から“皇帝”への野望に必要な要件は』(10/4日経ビジネスオンライン 福島香織)について
10/3中国観察<習近平找人替代金正恩? 三胖遭重大挫折 ——川普叫蒂勒森別對朝談判了=習近平は金正恩の代わりを探している?三代目の豚は重大な挫折に遭う。トランプはテイラーソンに「北とは交渉するな」と言う。>この記事によると①英国のシンクタンクRUSI (Royal United Services Institute)のMalcolm Chalmers教授は「金正恩を中国が暗殺する計画がある」②それに対し米国のメデイアの一員は「それは誇張し過ぎ。中国は金漢率(金正男長男)への庇護を拒絶したではないか」③北の潜水艦からのSLBM発射実験失敗で技術者が傷亡、正恩には痛手 と。
陳破空氏の『米中激突 戦争か取引か』の中で、金正男暗殺での中国の採った態度の可能性は3つ挙げられています。(P.186~187)「可能性その一。中国政府の保護能力のなさが金正男暗殺を招いた。もしそうであれば大国として無能さを曝け出したに等しい。習近平は、陰に陽に繰り広げてきた金正恩との戦いで連戦連敗を喫している。ニ〇一三年に、中国と密かに通じていた親中派の張成沢(金正恩の叔母の夫)が金正恩によって処刑され、そして今また、中国が長期にわたって保護してきた金正男が毒殺された。中国政府、情報機関、国家安全部の面子は、丸潰れである。
可能性そのニ。中国共産党内部の問題に起因する。習近平の反腐敗運動による粛正に不満を抱く者が、金正恩側に情報を漏らし、金正男のスケジュールが把握され暗殺された可能性だ。かつてニ〇一〇年一〇月、当時、政治局常務委員だった周永康が平壌を訪問した際、周が、金正日・正恩父子に、中国政府が張成沢を北朝鮮の統治者に担ぎ上げようとしている極秘の計画をばらした、という内部情報がある。そのため金父子は警戒するようになり、金正日の死後、後を継いだ金正恩は、突如、汚職の罪で張成沢を逮捕し、処刑した。 こうして張成沢を北朝鮮の「鄧小平」にしようとの中国の夢は断たれた。周永康は、失脚 した直後に習近平に逮捕され投獄された。周永康に対する起訴状の三つの罪名の一つが、「国家機密を故意に漏洩した罪」である。これは、すなわち金正日・正恩父子に機密を漏 洩したことを指すと考えられる。
もし中国共産党内部の人間が北朝鮮側に情報を漏らしたために金正男が殺されたのだとすれば、中国共産党内部の権力闘争が一段と激しさを増し、分裂•混乱状態に陥っていることを示す。食うか食われるかの残酷な派閥争いでは、敵の戻にはめられることに誰もが恐怖を感じ、不安にかられている。金正男は、不運にも中国共産党内部の派閥抗争の犠牲となったのかもしれない。
_可能性その三。アメリカに対抗するため、金正恩との冷めた関係の改善を急いだ習近平が金正男を見殺しにした。金正恩の要求を受けて金正男に対する保護を取りやめたために暗殺された、というものだ。もしそうであれば、習近平は、大馬鹿者の誹りを免れない。 なぜなら大国の指導者ともあろう人問が、なぜいとも簡単にこんな重要な切り札を捨ててしまえるのか。将来、北朝鮮の現政権が崩壊した際、金王朝ニ代目の長男(金正男)は、非常に7重要な役割を担ったはずである。中国は、ただその日が来るまで待てばよかった。」と。
10/2Newsweek 遠藤誉<中国が北朝鮮を攻撃する可能性が再び—-米中の「北攻撃」すみ分けか>10/18中国共産党大会に北が大きな花火を打ち上げれば中国の北攻撃の可能性は大きくなるでしょう。3度目の正直です。米中で下打合せができているのでは。でも11月のトランプ訪亜が終わってからになると思います。環球時報やEast Asia Forumに意見を載せて様子見してきましたから。確かにこの方法は日本にとって被害が少ないと思いますが、金三胖が怒って中南海に核ミサイルを落とす可能性もあります。それを考えると中国が動くのは米軍の空爆後、北のミサイルを無力化してからでしょう。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/—–10.php
10/4宮崎正弘氏メルマガ<西太平洋の親日島嶼国家パラオもテニアンもサイパンも いつの間にか中国資本が日本に替わって資本を投下している>。相変わらず中国は抜け目なく軍事拡張しようとしています。日米ともに中国を放置し過ぎでしょう。北を解決したら中国と対峙です。
http://melma.com/backnumber_45206_6591555/
福島氏記事にありますような「中国に西洋型選挙による議会制民主主義」にはならないと思います。習近平自体が一人独裁を望み、共産党を統治の手段として活用しようとしていますから。政敵は強権の下、弾圧すれば良いので。そもそもジニ係数が0.73(北京大学2014年調べ)では、選挙をすれば共産党が政権を担うことはできないでしょう。北朝鮮と同じく記名式選挙で銃剣を突き付けてやらせる選挙しかできないはずです。まあ、世界の笑いものになるだけです。黒子や文盲、買収の問題も明らかになるでしょう。
http://n-seikei.jp/2014/07/post-23313.html
記事

習近平主席の野望はどこまで続くのか(写真:AP/アフロ)
党大会に参加する党代表名簿が最終決定した。2300人の定員のはずが、発表された名簿は2287人。13人の名前が消えている。これは一体どういうわけか、と香港あたりのメディアがいろいろ分析している。折しも、中国中央メディアでは党代表がいかに民主的なシステムで選ばれているかを白々しいまでに説明している。この党代表の選抜自体になにか政治的メッセージがあるような。
重慶市、孫政才一派を排除
党代表は昨年11月9日に選抜工作に関する通達が出され、定員2300人、全国で40におよぶ選挙単位(省・自治区・直轄市、軍部などの組織)によって選出されることが決定された。だが党大会直前になって27人の資格が急きょ取り消された。14人は補選によって再選出されたが、13人は間に合わず、第19回党大会の代表は2287人になったという。
で、誰が資格を取り消されたのか。まず重慶市の代表が少なくとも14人、資格を取り消された。その中には党籍剥奪という厳しい処分が明らかになった孫政才のほか、重慶市の党常務委員会メンバーである曽慶紅(江沢民の側近の大物政治家とは同姓同名だが無関係、女性、元重慶組織部長)、王顕剛(市委秘書長)、劉強(政法委書記)、陳緑平(常務副市長)、陶長海(統戦部長)、盧建輝(大渡口区委書記)、劉文海(重慶市委副秘書長)、李洪義(涪陵区委書記)、何平(武隆区委書記)といった名前が出ている。
このうち陳緑平、劉強、陶長海は孫政才の引きで出世した腹心だ。つまり、孫政才を失脚させるだけでは安心できず、重慶の孫政才周りの主要官僚を軒並み連座させた、ということである。5月下旬の段階で選出された重慶市の党代表は本来43人なので、実に3分の1近い代表が資格をはく奪されたということになる。4人が補選で補われたものの、重慶市の党代表団は33人に減ったわけだ。これは、たとえば日本の国会で、同じ党派の議員がいきなり10人議員資格をはく奪されたようなイメージで考えてもらうと、インパクトが理解できるのではないか。
軍部、企業系、四大直轄市も
重慶市以外に資格剥奪が目立ったのは軍部だ。中央軍事委員会後勤保証部政治委員の張書国、国防科技大学前政治委員の王建偉、武装警察副政治委員の張瑞浄らの名前が名簿から消えている。いずれも中将だ。
ほかに資格が取り消されたのは、中央規律検査委員会駐財政部規律検査組の元組長であった莫建成、公安部政治部主任で江沢民と関係が深いといわれた夏崇源、中国聯通(チャイナ・ユニコム)董事長の王暁初。ともに今年6月に党大会代表に早々に選抜されていたはずだった。莫は8月下旬、重大な規律違反容疑で失脚。夏もどうやら“不測の事態”に遭遇した、と伝えられている。王暁初の代表資格取り消しの原因は不明ながら、江沢民派の利権企業であった中国聯通はいわゆる国有企業改革で、いろいろ揉めており、その責任を問われた可能性がある。企業系の資格取り消しは他にも、河鋼集団董事長の于勇、山東威高集団董事長の陳学利がいる。
さらに吉林省政治協商会議主席の黄燕明、黒竜江省委統一戦線部副部長の林寛海。このあたりは習近平の嫌う北朝鮮利権閥のからみもあるかもしれない。他に安徽省馬鞍市委書記の魏尭、甘粛省甘南州長の趙凌雲。
このほか、天津市、北京市、上海市も多くの市委常務委員が代表落ちしており、四大直轄市が若干格下げになった印象だ。以上、香港紙明報や香港新興メディアの香港01がまとめていたので参考にした。
いったん選出された党代表が、党大会直前に代表資格を取り消されるという異様な状況を言い訳するように、新華社はじめ中央メディアが、「党代表はどのように選抜されたのか」というテーマの記事を一斉に発信した。そこで強調されているのが、党代表は“厳格に党規約と中央の代表選挙工作の要求に従い”段階的な選挙による方法で選出された、ということだ。つまり、選挙というシステムで、民主的に選ばれたのだ、ということを強調している。
ちなみに党代表選出の選挙システムとは、まず組織の上層部が候補者をリストアップし、組織での考察を経て、代表候補名簿を確定したのち予備選挙を行い、会議選挙を行うという五段階を経て代表が選出される。しかも、その投票は信任・不信任を投票するのであって、複数の候補者から選抜するものでもないので、まったくもって民主的な選挙とは別物だ。しかしながら、重慶市は重慶市で、軍部は軍部で、そうやって組織として選んだ代表を送り込んでくるという意味においては、それなりの党内民主というものがあった。今回の党代表選挙は、そうした共産党の従来の党内民主というものを無視し、習近平の仕掛けた権力闘争に相当かき回されたようにみえる。
選出場所の不文律も打破
ちなみに今回の党代表選挙では、党中央指導者たちの選出場所が、祖籍地や勤務地という従来の不文律も打破された。
例えば習近平は第18回党大会は上海で党代表に選ばれた。それは習近平が上海市の書記だったからだ。胡錦涛は江蘇省で選ばれた。胡錦涛の出生地が江蘇省だからだ。温家宝も出生地の天津で選出された。だが今回、習近平は貴州省で選出されている。李克強は広西チワン族自治区、張徳江は内モンゴル、兪正声は新疆、劉雲山は雲南、王岐山は湖南、張高麗は陝西…。政治局常務委員全員が、祖籍や勤務地とまったく関係ないところで選出されており、これは異例といえる。
指導部を地縁政治から切り離そうとする習近平の意見ではないか、という見方がある。もちろん、習近平が貴州を選んだのは、代表選出時、自分がかわいがる子分の陳敏爾が書記を務めおり、必ず全票当選できる環境があるからではあるが、他の政治局常務委員たちには、あえてゆかりのないところで選出させ、全票当選させないようにしたのかもしれない。また、政治局常務委員たちの選出場所がいずれも貧困地・辺境と呼ばれる地域で、習近平の掲げる“一帯一路”戦略にかかわりのある土地にしたことに、政治的メッセージがあるという意見もある。
その建前はともかく、習近平が今回の党大会に参加する党代表選出のやり方において、従来のルールを変えてなにかしらの主導権と影響力を発揮しようとしていることはうかがえる。
こうした動きが、習近平は将来的に選挙というものに非常に関心を持っているのではないか 将来的には国家指導者選びも選挙制を導入するつもりではないか、という憶測のもとになっているわけだ。
選挙制導入の“噂”
これは昨年あたりからさんざん流れている“噂”ではあるが、習近平が長期独裁政権を打ち立てる正統性を得るためには選挙制度を導入するつもりらしい、という。
ラジオ・フリーアジアの評論家・高新や明鏡新聞創始者の何頻らが、しばしば指摘しているのだが、習近平が独裁者のそしりを避けつつ、国家指導者として長期君臨し続けるためには、2022年の第20回党大会で、党の統治システムを根本的に変える必要がある。たとえば政治局常務委員制度を廃止するか権限を制限して、党主席制度を導入する、あるいは国家主席権限を強化する。そして強権を持つようになる国家主席は選挙で選出する。あるいは、国家主席職を廃止して大統領制を導入するしかない。
そのためには、第19期の六中全会(2021年秋)あたりに、民間に習近平神格化世論を盛り上げて、民間からの習近平続投要望の公開書簡を出させるなどの世論誘導を行う。そのとき選挙制度を提案すれば、中国の民間には選挙に対するあこがれはもともと強くあるので、すんなり受け入れられる。たとえば反腐敗キャンペーンの成果や、南シナ海の島々の実行支配ほか、何かしらのわかりやすい成果で国民の熱狂的支持を得ることができれば、習近平は選挙で選ばれて、国民に選ばれた指導者として強権をふるうことができるわけだ。
もともと習近平は共産主義の元老・元勲が持つ威厳と資質に欠けている。毛沢東のように共産党の核心として長期君臨し続けるには無理がある。となると、選挙で選ばれて、党の核心ではなく万民の核心として指導者の地位を確立させるしかない。
もっとも大統領制を導入したら民主主義なのか、というと、基本共産党の一党独裁が変わらなければ、その本質は宮廷政治。大統領ではなくて皇帝に近いイメージだろう。袁世凱やチャウシェスクみたいな感じだ。だが、それでも、党中央委員会が絞った複数の候補から国民が一人選ぶとなれば、その指導者の正統性は説得力をもつ。
習近平にとっての問題は、大統領選挙を行って、果たして勝てるか、ということである。
社会主義を放棄できるか
何頻などは、今の方向性のままでは難しいと見ている。最大の原因は経済政策の失敗である。鄧小平路線を逆走する共産党による経済コントロールの強化では、中国経済は回復できない。そのつけは、中産階級だけでなく低所得層にもいくのだ。
また、エリート、中産階級、知識人たちを弾圧してきた習近平に対するイメージは相当ネガティブで、知識層、中産階級層が主流のインターネットユーザーの間では習近平の評判は低い。農村、労働者などは、習近平の反腐敗キャンペーンや核心キャンペーンに洗脳される人も多そうだが、若者に関していえば、今や出稼ぎ労働者もスマホでSNSのやり取りに参加する時代であり、実はそんなに簡単にプロパガンダに乗せられるほど“情弱”でもないのだ。
なので、習近平が大統領になることを望むのであれば、その路線は毛沢東回帰ではなく、改革開放であり、自由化であり、特に政治改革、司法の独立や法治の徹底に踏み込まなければならない。
次の5年で、習近平にそれができるかどうか。それができれば、毛沢東も鄧小平も胡耀邦も趙紫陽も得られなかったチャンスを習近平はつかむことになる、というわけである。
中国が党大会でざわついている間に、日本でも総選挙を迎える。昨日まで護憲を主張して安保法制に体を張って反対していた人が選挙に勝つためなら改憲派に変わるのを情けない、という人もいるだろうが、有権者の求めるように国や社会を変えていくのが政治家の務めなら、有権者に合わせて信念やイデオロギーが変わるのも、また民主主義の特性ともいえる。
というわけで、習近平にも、ぜひ日本の政治家のような、身軽な信条変更、路線変更を見習ってほしいところだ。民主主義という名の大衆迎合主義のほうが、実はイデオロギーよりも、長期独裁政権確立への近道であるかもしれないのだから。
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『ハーバード大が授業で新渡戸稲造の「武士道」を教える理由 アンドルー・ゴードン教授に聞く(上)』、『日本が目指すべき品格ある国家とは?ハーバード大教授が提言 アンドルー・ゴードン教授に聞く(下)』(10/2・3ダイヤモンドオンライン 佐藤智恵)について
反日民進党が分裂して、リベラルを結集、立憲民主党を作るとのことです。保守VS リベラルの構図としてメデイアは報道していますが、リベラルではなく左翼と考えた方がよいでしょう。保守VS リベラルと言うと違いが分かりません。愛国VS売国、親日VS反日と言う構図で捉えれば分かり易くなります。売国・反日政党は勿論日本共産党、社民党、自由党、立憲民主党、民進党です。
「アメリカはなぜ日本を見下すのか?」を著した “Jason Morgan”先生の ”International Relationships Overviews”の英語の授業を9/22より麗澤大学で受講しています。先生によれば“Liberalism”の考えは1648年の「ウエストファリアの平和」から出たとのこと。「人は平等で王は要らない」という事でした。その定義で行けばリベラルでも間違いはないのでしょうが、革命政党であることは論を俟たずです。
立憲と付けた政党は立憲改進党と立憲政友会とがありましたが、憲法制定や立憲君主制を目指す政党でした。左翼が立憲を使うのは違和感があります。単なる護憲(頑迷固陋な守旧派、その実日本を外国に売り渡そうとする手先)政党でしょう。
ゴードン教授は「品格ある国家とは、自らの過ちを認め、それを改めることでさらに強くなっていく国家のことです。」と言っていますが、米国歴史学会はFDRの誤りを認めず、それに異論を唱えると「歴史修正主義」のレッテルを貼って、米国の正しさを強調しているではないですか。本記事を読むとゴードン教授に言いたい。先ずは自らの誤りを認めてから、他人に要求しなさいと。彼はcourt historianでJason Morgan先生はtrue historianでしょう。
ハフィントンポスト<世界の日本研究者ら187名による「日本の歴史家を支持する声明」の背景と狙い>の記事にもゴードン教授の名前が出てきます。
http://www.huffingtonpost.jp/emi-koyama/historical-revisionism_b_7253936.html
この記事は、マスメデイアは洋の東西を問わず、異論を許さない、特に米国が日本を戦争に導いたことなどは触れようともしません。
レコードチャイナ<安倍政権が焦って推進する新安保法制は憲法違反=歴史修正主義指摘の研究者への「反日」レッテル貼りもやめよ!―米ハーバード大教授が記者会見>
http://www.recordchina.co.jp/b112159-s136-c10.html
にも登場しますので、筋金入りのcourt historianでしょう。ダデン教授同様、チャイナや韓国の手先と思ってよいのでは。
流石NHK出身の佐藤智恵氏だけあって、中立を装いながら、かつハーバードの名前を使い、日本の歴史を貶めようとしているように見えます。引っかからないように。
渡辺惣樹氏の本を読めば分かります。
(上)記事
「日本の200年――徳川時代から現代まで」の著者として世界的に有名なアンドルー・ゴードン教授。本書は、世界各国の大学で「日本の近現代史の教科書」として活用されている。ハーバード大学の日本史の授業では、「世界との関わりの中で日本史を見る」ことを徹底的に教える。ゴードン教授が授業で「新渡戸稲造」「岡倉天心」「ラビンドラナート・タゴール」を取り上げているのはなぜなのだろうか。(2017年4月18日、ハーバード大学にてインタビュー)
日本が世界に与えた影響
佐藤 日本史の授業「アジアの中の日本、世界の中の日本」では、長い歴史の中で日本が世界に与えてきた影響についても教えています。

アンドルー・ゴードン教授
ゴードン 19世紀ごろまでは、日本は世界にそれほど大きな影響を与えていなかったと思います。奈良時代から日本は中国や韓国と貿易していましたし、使節も送っていましたが、それらはもっぱら両国から様々な制度や文化を取り入れることを目的としていました。日本が両国に与えた影響は限定的だったと思います。
ところが19世紀の明治維新以降、様相は一変します。ヨーロッパの人たちが日本の文化や芸術に価値を見出しはじめるからです。
授業では、1920年代の「モダンガール」を調査した研究についても教えていますが、それを見ると、欧米とアジアがお互いに影響し合っているのがよくわかります。つまりファッションは、欧米からアジアへと一方的に入ってきただけではなく、日本や中国のファッションもまた欧米に影響を与えていたのです。文化の伝播は一方的ではなく、複数の方向性を持つことを物語る資料です。
佐藤 19世紀から20世紀にかけて、日本の文化が世界を席巻したということですね。
ゴードン 日本文化は、西洋の知識人の好奇心を刺激しました。政治、経済よりも、日本は芸術、文化、思想で海外に影響を与えてきた国なのです。
思想でいえば、新渡戸稲造の「武士道」についても教えています。1900年にアメリカで出版された「武士道」は、セオドア・ルーズベルト(1858~1919)に感銘を与えました。ルーズベルトは、「日本人の男性に脈々と受け継がれている精神を理解することはとても重要だ」と考え、「武士道」を自ら何冊も購入し、「これを読めば日本がよくわかる」と言って、友人などに配ったと言われています。ルーズベルトにはハーバード大学卒の日本人の友人もいましたし、ホワイトハウスに相撲の力士を招待したこともありましたから、日本のファンだったのは間違いありません。
そのほかにも、エドワード・モース、ウィリアム・ビゲロー、アーネスト・フェノロサなど、日本文化に多大な影響を受けて、日本文化の素晴らしさを母国に伝えた人たちがいました。
佐藤 授業では、日本の近代化について学ぶ回で岡倉天心(1863~1913)をとりあげています。岡倉天心といえば東京美術学校(現・東京芸術大学)の設立に寄与し、ボストン美術館の東洋部長として日本美術の振興に尽力したことで有名ですが、授業ではどのようなことを教えているのですか。
ゴードン 岡倉天心については、「東洋の理想」「茶の本」など英語の本を出版したこと、アメリカに長く住んでいたのでネイティブスピーカー並の英語力の持ち主だったことなど基本的な情報を伝えた上で、こんな面白いエピソードも授業で披露しています。
岡倉には、「アメリカでは日本の着物を着て、日本では洋服を着る」というこだわりがあり、アメリカの街を歩くときも常に着物を着ていたそうです。1900年代初頭、岡倉と弟子たちが羽織・袴という装いでボストンの街を闊歩していると、地元のアメリカ人から「お前たちは何ニーズ?チャイニーズ?ジャパニーズ?ジャワニーズ?」(中国人?日本人?ジャワ人?)とからかわれました。すると岡倉は「私たちは日本の紳士です。あなたこそ何キーでしょうか? ヤンキー? ドンキー? モンキー?」(アメリカ人?ロバ?猿?)と流暢な英語で言い返した、という話です。
この話が興味深いのは、当時のアメリカには人種差別主義的な考えを持っていた人がいたこと、岡倉が西洋化の波の中にあっても日本人としての誇りを失っていなかったことを同時に象徴しているからです。また、冷やかしを英語のジョークで返した岡倉の英語力と機転の良さには感心するばかりです。
佐藤 岡倉天心とともに、インドの思想家、ラビンドラナート・タゴール(1861~1941)についても教えているのはなぜでしょうか。
ゴードン 岡倉天心とタゴールは近しい間柄にあり、お互いに影響を与え合いました。彼らはともに「西洋の文明は高い理想を掲げているが、その本質は権力、金銭、物質をひたすら追い求めることだ」と批判しました。
タゴールについて教えているのは、日本が他のアジア諸国に与えた精神的な影響について学生に知ってもらいたいからです。帝国主義のもと、アジア諸国が次々にヨーロッパの植民地になっていく中で日本は独立を保っていた数少ない国の一つでした。
授業では、まずインド独立運動の指導者ネルーが、日露戦争で日本が勝ったことにどれほど勇気づけられたか、について話します。ネルーはのちに「日本の勝利は『アジアを元気づける刺激剤』であり、自分の民族意識を呼び覚まし、インド独立のために戦おうと決意した契機になった出来事だった」と述べています。
タゴールもまたネルーと同じように日本に刺激を受けた指導者でした。日本は、彼らに西洋の帝国主義国に対して立ち向かう勇気を与え、インドという国に非常に大きなインパクトを残しました。

日本の200年[新版] 上―― 徳川時代から現代まで アンドルー・ゴードン
佐藤 日清戦争、日露戦争を経て、インドだけではなく、アジア各国で日本から学ぼうという機運が高まり、多くの留学生が来日したそうですね。
ゴードン 1900年から1910年末まで、日本で教育を受けたいという若者たちが、中国、台湾、朝鮮、ベトナム、インド、フィリピン、ビルマなどから殺到しました。中国からは数千人規模の留学生がやってきました。
ところが、残念ながら、希望を持って来日した留学生たちは、「結局のところ、日本は西洋の帝国主義国と変わらないじゃないか」と失望することとなります。日本政府が表では「世界の侵略からアジアを守る」と言いながらも、裏では欧米諸国と密約を交わし、アジア人を排斥することにしたからです。たとえば、1907年、日本はフランスと「相互の植民地を侵さない」という協約を結び、日本に住むベトナム人留学生を国外退去処分にしました。
1930年代から第二次世界大戦にかけて、引き続き日本は「アジア人のためにアジアを解放する」という名目のもと、植民地支配を拡大しました。しかしながらそれを本気で信じたのはインドだけでした。なぜならインドは日本から地理的に遠かったため、日本軍から直接攻撃されなかったからです。インドネシア、ベトナム、フィリピンなど東南アジアの国々の多くの人々は日本の帝国主義に落胆し、「日本は自分たちの独立のために戦っている」とは思っていませんでした。
佐藤 日本はインドの独立にプラスとなる精神的な影響を与えたけれども、日本の行為は東南アジアの人々に不信感を抱かせる結果となったということですね。
ゴードン 確かに、第二次世界大戦は西洋の帝国主義を終焉させる契機となりました。戦後、アジア諸国は次々に独立し、植民地支配から解放されていきましたが、日本が戦時中、現地住民の民族運動を支援したことが、独立への原動力の一つになったことも事実です。しかしながら、日本の軍事行動が、アジア諸国に負の遺産を残したこともまた、紛れもない事実なのです。
岡倉が「東洋の思想」の冒頭で記した「アジアは一つ」という言葉は曲解され、岡倉が描いた「東洋の理想」は実現しませんでした。岡倉天心、タゴール、ネルーについて教えているのは、こうした歴史の二面性を伝えたいからなのです。
>>続編『日本が目指すべき品格ある国家とは?ハーバード大教授が提言』は10月3日(火)公開予定です。
アンドルー・ゴードン (Andrew Gordon) ハーバード大学教授。専門は日本史(近現代史)。アメリカにおける日本史研究の第一人者。ハーバード大学では学部生を対象に日本史の授業「アジアの中の日本、世界の中の日本」を教える。特に日本の近現代の労使関係史、社会史、政治史を中心に研究。元エドウィン・O・ライシャワー日本研究所所長。2014年旭日中綬章受章。「ミシンと日本の近代―消費者の創出」(みすず書房)、「日本の200年―徳川時代から現代まで」(みすず書房)、「日本人が知らない松坂メジャー革命」(朝日新書)など著書多数。 佐藤智恵(さとう・ちえ) 1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。報道番組や音楽番組のディレクターとして7年間勤務した後、2000年退局。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。コロンビア大学経営大学院入学面接官、TBSテレビ番組審議会委員、日本ユニシス株式会社社外取締役。主な著者に『世界のエリートの「失敗力」』(PHPビジネス新書)、『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、最新刊は『ハーバード日本史教室』。佐藤智恵オフィシャルサイトはこちら
(下)記事
トランプ大統領の誕生した今年ほど、「国家の品格」「リーダーの品格」が問われた年はないだろう。アンドルー・ゴードン教授は、日本とアメリカの両国で「実体のない品格」(empty dignity)をもった国民が増えつつあることに警鐘を鳴らす。真に品格ある国家とはどのような国家だろうか。前回に続き、ゴードン教授に聞いた。(2017年4月18日、ハーバード大学にてインタビュー)
日本が持つ強さと課題
佐藤 日本が現在抱えている課題は何でしょうか。
ゴードン 日本は、少子高齢化、人口減少、経済停滞などの問題に世界で最初に直面する国です。アメリカ、西ヨーロッパ、韓国、中国などもいずれ、日本と同じような問題に直面することでしょう。
日本は、「大きな社会的な動乱を起こさずに、課題を解決していく方法はある」ということを示す世界のモデル国となれると思います。日本では、アメリカや中国ほど、貧富の格差が広がっていません。もちろん格差は広がりつつありますし、非正規雇用者の数も増えてきていますが、他国ほど貧困の問題は深刻化していません。そのため、革命や動乱がおきることもなく、人口問題や経済問題に集中して取り組むことができるのです。
佐藤 経済停滞の問題を解決するにはどうしたらよいと思いますか。
ゴードン 一つめは現実的に考えることです。私は歴史家なので未来は予測すべきではないですが、ただ確実に言えるのは、歴史的に見ても、経済成熟国が再び3~4%の経済成長率を達成した例はないことです。トランプ大統領や安倍首相は、高い経済成長率を目標に掲げていますが、それでは国民に過度な期待を抱かせるだけで、課題解決へとつながりません。
二つめが、政治的リーダーが嘘の公約をしないことです。ご存じのとおり、アメリカの大統領は選挙中、多くのでまかせを言って当選しましたが、これはとても危険な兆候です。
三つめが、もっと国全体を開国することです。島国である日本には、物理的な壁だけではなく、文化的な壁もあります。アメリカは日本よりも多様性があり、それがアメリカ経済の強みとなっています。
日本人にとって、日本はとても快適な国です。言語も行動様式も同じ人たちといれば、快適に暮らせるのは当たり前です。人種や民族の違う人々とともに生きれば、不快な思いもします。お互いのことを理解できずに対立することもあるでしょう。しかしながら、こうした議論や対立こそがイノベーションの源泉であり、新たなビジネスや文化的風習を生み出すのです。
日本と世界との間にさらに多くの人々が行き来すれば、日本にとっては大きなプラスとなるでしょう。日本の大学は留学生の受け入れを積極的に進めていますが、それだけでもよい効果が出てきていると思います。
佐藤 なぜ日本は、「鎖国」とまでは言わないまでも、内向的な国家になってしまったのでしょうか。
ゴードン 20世紀の前半の大日本帝国の時代は内向きではありませんでした。残念ながら岡倉天心が掲げた「アジアは1つ」という理想は、多民族国家を形成することにはつながりませんでしたが、少なくとも、この時代、日本は積極的に海外へ進出しようとしていました。
第二次世界大戦後、「単一民族国家としての日本」という考え方が広まりましたが、これは、島国国家の特徴でもあると同時に、「大日本帝国が失敗した」ことへの反動でもあると思います。海外に出ていくと我々は失敗してしまう。だから、同じ文化を共有する民族が住んでいるところのまわりに境界線を引いてしまえ、という考え方です。
佐藤 ゴードン教授は「日本は品格ある国家をめざすべきだ」と提唱されていますが、それはどのような国家でしょうか。
ゴードン 私が言う「品格ある国家」とは、日本の皆さんが考えるイメージとは異なるかもしれません。国民が「我が国は特別でも完璧でもなく、我が国にも暗い歴史はあるのだ」と認めた上で、自国を誇りに思う――これこそ品格ある国家の姿です。
若い人には、自国の良いところばかりを教えて、愛国教育を施す。これでは、「偽りの誇り」と「実体のない品格」(empty dignity)をもった国民ばかりになってしまいます。品格ある国家とは、自らの過ちを認め、それを改めることでさらに強くなっていく国家のことです。「我が国には恥ずべき歴史など何もない」と考えることは、虚構の中に生きることになります。それでは品格も尊厳も身につけられません。
私は、自国の暗い歴史を知らずして、世界の人々と本当に理解しあえることはできないと思います。なぜなら「自分の国は他の国よりも優れている」と刷り込まれていれば、謙虚さを失ってしまうからです。「尊厳」と「謙虚」は表裏一体のものなのです。
佐藤 アメリカは品格ある国家でしょうか。
ゴードン 私はアメリカ人ですが、今のアメリカは品格ある国家とはいえません。品格なきリーダーがトップになってしまったからです。トランプ大統領やその周りの人々に「品格」があるとはとても言えません。トランプ大統領の支持者はなぜ彼に投票したのか。それもまた「実体のない品格」からです。
私が危惧しているのは、世界中に「実体のない品格」を求める人たちが増えてきていることです。「自分の国は他国よりも優れている」「自分の国には良い歴史しかない」と若者に教えて、愛国的な国民をつくろうとする。こうした動きが日本、アメリカだけではなく、ヨーロッパ、中国、韓国などにも広がってきています。これは非常に危険な兆候です。
佐藤 なぜ私たちは、自国の負の歴史を認められないのでしょうか。
ゴードン 自国の過去の非を認めるのには、とても大きな勇気が必要だからです。たとえばアメリカには、長く「奴隷制」を続けてきた暗い歴史があります。アメリカにはいまだ奴隷制に端を発する負の遺産がたくさん残っています。有色人種に対する差別は根強く残っており、アメリカがこの差別問題を克服したとは思えません。そもそもアメリカという国は高い理想を掲げていますが、奴隷制を前提として建国された国家なのです。多くのアメリカ人は品格ある国民であり、奴隷制は間違っていたことを認めているのに、国のリーダーが歴史の負の遺産を否定するような言動をしている。なぜなら現大統領にはそれを認める勇気がないからです。
日本についても同じようなことがいえます。戦争で多くの日本人が犠牲となり、国は壊滅状態となりました。しかしながら、戦争の被害を受けたのは日本だけではありません。現代の日本は、日本国民だけではなく、隣国の国民の犠牲のもとに成り立っているのです。「彼らだって過去の過ちを認めていないじゃないか。なぜ我が国だけが反省する必要があるのか」と考えるのは、品格ある国民ではありません。
過去の失敗を認めるよりも、否定するほうがずっと簡単です。しかし、アメリカも日本も自国の負の歴史に向き合う勇気をもってほしいと願います。
佐藤 日本が本当の意味で品格ある国家となれば、さらに世界に貢献できるということですね。
ゴードン そうです。そのような行動は、他国に勇気を与え、「日本のような国になろう」と追随する国が出てくるはずです。実体なき品格を誇示する国家に対しては「恥を知れ」という態度で臨めばよいのです。
世界の中では、ドイツがお手本になるでしょう。唯一、自らの負の歴史を認めている国だと思います。アメリカ、韓国、中国はいまだに国家主義的な傾向が強いです。たとえば中国は大躍進政策(1958~1961)と文化大革命(1966~1976)の過ちを認めていません。現在の中国は、そんな歴史があったことさえも否定しているように思えます。それではいくら経済大国になっても、品格ある国家にはなれません。
日本にはイノベーション、テクノロジー、環境政策などの強みがありますし、高齢化社会の問題をどのように解決していくのかという意味でも世界から注目されています。日本がリーダーシップをとれる分野はたくさんあると思います。そのためにも、世界からさらに尊敬される国になってほしいと願っています。
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