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『「北に先制核攻撃も辞さず」と言明した米国務省 「対話の時ではない。核放棄に向け北朝鮮を全力で圧迫」』(12/7日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/6facebook記事。<【厉害了,你的国】这是今天的吉林日报,信息量真是相当的大!第一,在日报上整版登防核,意味着什么?第二,核弹的危胁来自哪里?第三,这整版报纸是不是表达这个意思?“乡亲们别慌,我们先坐下来学习学习如何战胜原子弹!”第四,高层是不是早就知道金三和原子弹都失控了?而且早就知道朝鲜的第一目标一直就是中国? ——我可以说不吗? 2017.12.6

[素晴らしい, あなたの国]これは今日の吉林日報の記事です。情報量は非常に大きいです! 第一に日報の全段打ち抜きで核被害の防御の記事を載せているのは、どういう意味ですか? 第二に核爆弾からの脅威はどこから来るのでしょうか? 第三にこの新聞は、「みんな, パニックにならないように, 私たちは先ず座って原子爆弾に打ち勝つ方法を学びましょう」という意思を表明しているのでしょうか?第四は、トップ達はとっくに三代目の豚と原子爆弾を制御できなくなることを知っていたのでは? 彼らは北朝鮮の攻撃の第一目標がずっと中国だったことをとっくに知っていた? -ノーと言えるかどうか?2017.12.6>

12/6ZAKZAK<中国紙、核爆発対処法掲載「2秒以内に建物の陰に」 北朝鮮有事想定か>「記事掲載について、中国紙記者は「朝鮮半島有事が発生した場合の被害を減らす目的ではないか」と指摘。一方、吉林日報関係者は中国メディアに対し「通常の国防教育」の一環だと強調している。(共同)」とありますが、当然米軍の北への戦略核攻撃への備えでしょう。地理的に近いこともありますし。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171206/soc1712060027-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsList

12/6宮崎正弘氏メルマガ<中国吉林省の『吉林日報』、住民に「核戦争に如何に備えるか」の特集号 やっぱり、金正恩の核ミサイルは中国にも照準>金三胖がもし中国を核攻撃するとしたら、吉林省ではなく北京でしょう。旧満洲は朝鮮と江派の牙城ですから。中国のミサイル防衛の精度は低いので要人は中南海の地下に逃げられるでしょうけど、大衆が犠牲になります。その前に、米軍は北の核・生物・化学兵器を無力化しなければ。

http://melma.com/backnumber_45206_6618797/

12/7中国観察<戰雲籠罩:金正恩離開平壤 吉林傳開設難民安置點 希望之聲電台=戦雲が立ち込める:金正恩は平壤を離れた 吉林に難民保護所を開設と伝えられる 希望の声TV>中共は吉林省・長白県に5ケ所、難民保護所設置を決めたと。豐溪里の核基地からはわずか76Km。韓国の中央日報は、金正恩は米軍の攻撃を恐れ、平壤を離れて中朝国境近くにいる。ただ軍需工場がある所なので、新たな挑発行為の準備をしているのではと。

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/12/07/382841.htm%E6%88%B0%E9%9B%B2%E7%B1%A0%E7%BD%A9%EF%BC%9A%E9%87%91%E6%AD%A3%E6%81%A9%E9%9B%A2%E9%96%8B%E5%B9%B3%E5%A3%A4-%E5%90%89%E6%9E%97%E5%82%B3%E9%96%8B%E8%A8%AD%E9%9B%A3%E6%B0%91%E5%AE%89%E7%BD%AE%E9%BB%9E.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

12/7ZAKZAK<米国人20万人が韓国脱出決行か トランプ氏決断の兆候、半島有事緊迫 在日米軍基地も避難先に>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171207/soc1712070007-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsList

本記事にありますように、国務省も北への攻撃に核使用に言及したことは大きいです。リベラルの巣窟と言われ、左翼にシンパシーを持つ役人が多いイメージでしたから。多分バンカーバスターで地下兵器の攻撃に使うのでは。ここまでの流れを見れば、米軍の北への攻撃は間違いないでしょう。クリスマス休暇で在韓米軍の家族が帰国し、在韓邦人が帰国した年末から年明け早々が一番危ないのでは。安倍・トランプ会談で安倍首相は「日本人の帰国が終わってから」と頼んでいると思います。拉致被害者の奪還はどういう手順でするのか検討しておかないと。

トランプのイスラエル大使館のエルサレム移転は今まで惰性で認めて来たことを変える強い意志の表れでは。ですから「北の暴発も認めない」として「核攻撃も辞さず」の露払いの意味もあったのでは。であれば、中国との関係も見直し、パクスシニカにならないよう手を打たないと。北の問題が解決した後は台湾を明確に国家として承認してほしい。日米台の同盟が結ばれるように。

記事

韓国で過去最大規模の空軍演習を実施。“準備”は着々と進む(写真:ZUMA Press/アフロ)

前回から読む)

米国務省が「北朝鮮への核攻撃も辞さない」と言い切った。「対話の時ではない」と北朝鮮の平和攻勢を拒否する姿勢も打ち出した。

米国と日韓を守るために

鈴置:国務省のアダムス(Katina Adams)報道官(東アジア太平洋担当)が12月5日、以下のように語りました。

トランプ(Donald Trump)大統領が優先順位の最上位に置くのは米国の本土と準州、そして同盟国を北朝鮮の攻撃から守ることだ。

米国は通常兵器と核兵器のありとあらゆる能力を動員し、同盟国である韓国と日本を防衛するとの約束を完全に履行する。

米政府が運営するVOAの質問に答えました。「国務省、北朝鮮の脅威には『核兵器を含むすべての能力を総動員……対話の時ではない』」(12月6日、韓国語版・一部は英語)で読めます。報道官の発言(英語)は次の通りです。

The President’s top priority remains protecting the homeland, U.S. territories, and our allies against North Korean aggression. We remain fully committed to the defense of our allies, the Republic of Korea and Japan, using the full range of our conventional and nuclear capabilities.

VOAの「北朝鮮による米本土を攻撃する能力を阻止(deny)するために、最終的な手段として先制攻撃する可能性はあるか」との質問に「通常兵器も核もすべて動員する」と答えたのです。

米政府が「核も使って先制攻撃する」と言明したのは初めてです。9月19日の国連演説でトランプ大統領が「totally destroy」(完全に破壊する)と核の使用を示唆したことはありました(「北朝鮮に『最後通牒』を発したトランプ」参照)。

が、「核」という言葉を使って北朝鮮を脅したことは、私の知る限りありません。

平壌を核攻撃できるか

—ついに、来るところまで来ましたね。

鈴置:北朝鮮の核施設を米国が攻撃する際、まず核ミサイル基地を叩く必要があります。そうしないと米国や日本、韓国が核で反撃されるからです。

しかし核ミサイル基地の多くは地下に隠されていて、米軍が位置を狭い範囲に特定できないこともある。その際、米軍は通常型の爆弾と比べ、広範囲の地域を破壊できる戦術核を使います。

そもそも北朝鮮が国連決議違反の核武装に乗り出したうえ、米国や日本、韓国を先制核攻撃すると脅してきたのです(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。

北が先制核攻撃されても文句は言えません。脅迫されている国にすれば、そんな危ない国を放置するわけにはいかないのです。

—使うのは通常兵器と戦術核ということですか。

鈴置:戦略核も使う可能性が出てきました。北朝鮮は平壌(ピョンヤン)近郊から移動式発射台を使ってICBM(大陸間弾道弾)を撃ってみせます(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。8月29日と9月15日に続き、11月29日のICBMもそうでした。

金正恩(キム・ジョンウン)委員長はトランプ大統領に「平壌市内を動き回る移動式発射台から撃つぞ。これらを攻撃するには、戦術核以上に広い範囲を破壊する戦略核を使う必要がある。すると非戦闘員に多数の死傷者が出る。その覚悟があるのか」と挑発したのです。

米国は覚悟を固めたと見られます。平壌など都市部への攻撃をしない限り、核で反撃されるからです。トランプ大統領の「totally destroy」(完全に破壊する)も、それを意味すると思われます。

北の時間稼ぎは許さない

—なぜ今、国務省が「核攻撃」を表明したのでしょうか。

鈴置:VOAの記事を読んだ日本のある専門家は「11月29日のICBM発射が米国に開戦の決心を固めさせたようだ」と語りました。

米本土に届く核を北朝鮮が持ったか、あるいは近く持つことが確実になったからです(「じり貧の北朝鮮、『核武装の総仕上げ』急ぐ」参照)。

アダムス報道官は「今は明らかに対話の時ではない。北朝鮮が大量破壊兵器の開発を進めるのに支払う代価を引き上げることに我々は注力すべきだ」とも語りました。原文は次です。

now is clearly not the time for talks. We must remain focused on increasing the costs for Pyongyang to continue to advance its WMD programs.

北朝鮮は突然「平和愛好国家」を自称し始めました。「世界の平和と安定のためあらゆる努力をする」とも言い出しました(「高笑いする金正恩、挙動不審の文在寅」参照)。12月5日には国連事務次長も呼び付けるなど「対話攻勢」に転じました。

米国の攻撃を阻止して時を稼ぎ、核保有国の地位を既得権化する作戦です。日本語のネット空間に「北朝鮮は放置しておけばいい。それが平和への道だ」といった主張が流れるのも、その一環でしょう。

アダムス報道官は――米政府は、北朝鮮の平和攻勢に騙されて対話などしない、と突っぱねたのです。

3カ月後に戦争

—国はいつ、戦争を始めるつもりでしょうか。

鈴置:英紙「ガーディアン」(the guardian)が「Have we got just three months to avert a US attack on North Korea?」(12月4日)で「米国は北朝鮮を来年3月までに先制攻撃するだろう」と報じました。

根拠は米国の元国連大使、ボルトン(John Bolton)氏の発言です。同氏は11月の最終週に英下院を訪れ「CIA長官がトランプ大統領に対し『あと3カ月で、ワシントンを含む米国の全都市を核で攻撃できる能力を北朝鮮が持つ』と報告した」と語りました。引用します。

Last week John Bolton the former US ambassador to the UN and a notable hawk from the George W Bush era, visited London and the House of Commons. His mission, whether official or not: to relay that CIA chiefs have told Donald Trump that he has a “three-month window” in which to act to halt the North’s ICBM programme, after which the North Koreans will have the capability to hit US cities, including Washington, with a nuclear payload.

ガーディアンは「3月がデッドラインになるが、先制攻撃が検討されているに違いない」(This apparent March deadline, for what can only be considered a pre-emptive strike, )と結論付けました。

「3月デッドライン説」を補強するために「米国の司令官が数日前に板門店(パンムンジョン)を訪れた元欧州議員にもそう、話していた」(was also mentioned to a former European parliamentarian by a senior US commander a few days ago at Panmunjom on Korea’s demilitarised zone, )と指摘しました。

韓国から家族を戻せ

—トランプ大統領に近い米上院議員が「米軍の家族を韓国から戻せ」と主張したそうですね。

鈴置:グラム(Lindsey Graham)議員が12月3日、CBSのインタビューに答え、そう語りました。「Sen. Graham says new N. Korea tech advances make pre-emptive war “more likely”」の見出し通り、まず「北朝鮮の核開発進展が先制攻撃の可能性を高めた」と述べました。

そして「北朝鮮の挑発にさらされる韓国に、軍人の配偶者や子供を送るなんてとんでもないことだ。今、家族を韓国から呼び戻さねばならない」と語ったのです。次です。

It’s crazy to send spouses and children to South Korea, given the provocation of North Korea. So I want them to stop sending dependents. And I think it’s now time to start moving American dependents out of South Korea,

米国の脅しは口だけではありません。韓国空軍と合同で12月4日から8日まで大規模な演習「ビジラント・エース 18」(VIGILANT ACE 18)を朝鮮半島周辺で実施中です。F22やF35など最新鋭ステルス戦闘機を含む230機が参加しています。

11月下旬には、第7艦隊の艦艇が横須賀に集結しました。有事に備え、弾薬や水・食糧などを一斉に補給していると専門家は見ています。空母も異例なことに、同時に5隻が太平洋に展開中です。

中韓が連携し米国を抑える

—「気分はもう戦争」ですね。

鈴置:「核を放棄しろ」との金正恩委員長への脅しです。北の幹部らに対する「死にたくなかったら親分を倒せ」との呼び掛けでもあるのでしょう。

—北朝鮮はどう対抗するのでしょうか。

鈴置:「対話を求める北朝鮮は平和勢力だ。米国こそが戦争を起こす危険な国だ」と世界に訴え始めました(「高笑いする金正恩、挙動不審の文在寅」参照)。

ただ、それを自分で言っても効果がないので「反米親北」の文在寅(ムン・ジェイン)政権を使って、突破口を開く作戦でしょう。

文在寅大統領は12月13日に訪中、習近平主席と会談します。ここで「米国の暴発を抑える役目」を中国に頼むつもりかと思われます。

中国は「もう、知らない!」

—中国は応じるでしょうか。

鈴置:中国も戦争はして欲しくありません。が、かといって米国と北朝鮮を抑える力はない。困惑の体です。

人民日報の姉妹紙「環球時報」の英語版「Global Times」の社説「US, NK should not make China scapegoat」(12月1日)を読むと、本音がよく分かります。ポイントを拾います。

China will face difficult choices, but at least we can say China has tried its best.

The possibility of a war on the Korean Peninsula is rising and it is not decided by China.

China will face whatever comes next. Beijing is fully prepared to use its prowess to defend its national interest.

「中国はやるべきことはやってきた」「戦争になりそうだ。でも、中国のせいじゃないからね」「こうなったら中国は、何としても自分の国益を守る」と叫んだのです。

飛んで火に入る文在寅

—やけくその叫びに聞こえます。

鈴置:「戦争になりそうだ」という部分はそうです。でも、中国はしたたかです。転んでもただでは起きません。第2次朝鮮戦争をいかに国益に生かすか、術策を練っていると思います。

まず「この戦争に中国の責任はない」と言っておく。そして「戦後処理」の段階で、在韓米軍の撤収や米韓同盟の廃棄を主張できるよう「戦争の形」を整えていくのではないかと思います。

金正恩政権の崩壊後に生まれる「跡地」でも最低限、日本海側の港とそこへの通路を確保する作戦と思われます。本物かは分かりませんが、中国が構想する「4カ国分割統治地図」なんてものも出回っています(「米中ロがうごめく『金正恩後の北朝鮮』分割案」参照)。

そんな時、北京にのこのことやって来る文在寅大統領。まさに「飛んで火に入る夏の虫」です。

(次回に続く)

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『高笑いする金正恩、挙動不審の文在寅 韓国は「同盟よりも民族」を選ぶ』(12/5日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/5ダイヤモンドオンライン<韓国メディアが態度一変、海上封鎖強化で「偶発的米朝衝突」の恐怖【元駐韓大使・武藤正敏】>

http://diamond.jp/articles/-/151844?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

12/6ZAKZAK<米国が目指す対北有志連合の形成 ティラーソン氏、各国に「海上臨検」の実施呼びかけ >

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171206/soc1712060011-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsList

中国が北の石油を止めないから、次のステップで海上封鎖に入るように見えます。12/6ロイターでは<日中、尖閣衝突回避策で大筋合意>の記事が流れました。Facebookの意見を読みますと米中日で北と戦争の間は、中国は尖閣を攻めないとの密約かもというのがありました。中国が狙っているのは軍ではなく民兵の上陸でしょう。北のボロ舟が松前小島まで来れるのですから、中国船もいくら尖閣の波が荒くても数撃ちゃ当たるになるでしょう。人命なぞ尊重しない国ですから。日本人は中国人を本当に理解できているのでしょうか?まあ、話を戻しますと、北との開戦は近づいているのでは?小坪慎也氏がブログで何度も書いていますように米軍の北への艦隊派遣はコストがかかっている訳で、このまま何もしないという事はないという見立てです。多分これは当たっていると思います。

https://jp.reuters.com/article/idJP2017120601001118

本記事で、韓国の保守派が戦争になりそうで焦っているとのこと、手遅れでしょう。北から距離的に近いソウルを首都に定め、人口密集させたことに対して抜本対策をしてこなかった咎めです。日本の普天間も基地の周りにドンドン住宅やら学校を建てて米軍を追い出そうとしているのと似ている構図です。左翼の好きな「人間の盾」を利用して、自分の都合良い方向に誘導するものです。でも、韓国の保守派と言っても反日であることは変わりはないし、李明博や朴槿恵の日本への非礼を見ていますと従北派と同じでしょう。保守と言う仮面を被って日本を世界に貶める活動してきた訳ですから余計に始末が悪い。1000年経っても和解できる民族の質ではありません。福沢諭吉のように、日本人は中韓とは付き合わない覚悟を持たないと。

韓国ばかり責めていられません。日本も同じか、もっと悪く赤化が進んでいます。12/6日経朝刊には有力大学の学長(理事長)アンケートが載っていて、軍事向け研究を「既に認めている」か「今後は認める」大学は計2%強(4校)で42%が「今後も認めない」、検討中の理由で51%は「未定」と。日本学術会議同様、「象牙の塔」に立て籠もり、真に国民の役に立つ学問をしていません。北朝鮮問題が喧しい中、超然として生きられるのですから、彼らはガラパゴスに棲む生き物でしょう。適者生存の原理では、日本人は生き延びられないです。愚かな老人が支配する学界では、未来の日本人が生存できる確率は低くなります。若者はもっと怒った方が良い。保身のみの身勝手な老人たちを。

国民が心を一つにして敵と戦う気持ちが無ければ、やがて奴隷になるだけです。後世から見て日本人は第二次大戦後勇気を失った民族として歴史に名を留めることになるでしょう。憲法9条が平和を守ってくれる訳もなく、抑止力こそが平和を守ることを自覚しなければ。

記事

トランプ大統領の訪韓時、異例の“緩い規制”の下で反米デモが展開された(写真:AFP/アフロ)

前回から読む)

韓国は米国との同盟を続けるのか、核を持った北朝鮮と手を組むのか――。

米本土を核攻撃できる

鈴置:北朝鮮は11月29日未明、新型ICBM(大陸間弾道弾)の「火星15」型を試射しました(「じり貧の北朝鮮、『核武装の総仕上げ』急ぐ」参照)。

朝鮮通信(東京)が「大陸間弾道ロケット(ミサイル)『火星15』型試験発射成功――朝鮮政府声明」(11月29日、韓国語版)で以下のように伝えました。

金正恩(キム・ジョンウン)同志は新型の大陸間弾道ロケット「火星15」型の成功的な発射を見守りながら、ついに国家核武力(戦力)完成の歴史的大業、ロケット強国の偉業が実現したと誇り高らかに宣布された。

—核保有国になったぞ、と肩をそびやかしたのですね。

鈴置:その通りです。11月29日は高角度で打ち上げるロフテッド軌道で発射しました。高度は4000キロメートル以上に達し、水平距離では約950キロ飛びました。これから推計すると「火星15」は1万3000キロの射程を持ち、米全土をカバーできます。

ただ、今回の試射で弾頭部は空(から)だったか、実戦に使用する核弾頭よりも軽かった可能性があります。そうなら北朝鮮が米本土を核の射程に入れたとは言い切れません。大気圏に再突入した際の熱に耐えられる核弾頭の開発に成功したかも不明です。

米国の北朝鮮研究機関「38North」は「North Korea’s Third ICBM Launch」(11月29日)で「米国の西海岸まで届く実用可能なミサイルを北朝鮮が開発するには後、1年はかかる」と評価しました。

ところが1日後の「The New Hwasong-15 ICBM: A significant Improvement That May be ready as early as 2018」(11月30日)では「低信頼度のミサイルでいいのなら、今後4-6カ月の間に2-3回の発射試験をすることで、金正恩は『火星15』を実戦配備できる」と修正しました。米国の評価も揺れているのです。

臨検に動く米国

—米国はどう対応するのですか?

鈴置:北朝鮮への圧迫をさらに強めています。今回のICBMの評価はどうであれ、北朝鮮が核ミサイル開発に邁進し、それが着実に進展しているのは確かだからです。

11月29日、国連安保理で米国のヘイリー(Nikki Haley)大使は「昨日起きたこと(ICBM発射)のような攻撃的な姿勢を北朝鮮が続けるなら戦争になる」「戦争になれば北朝鮮は完全に破壊される」と警告しました。原文は以下です。

If war does come, it will be because of continued acts of aggression like we witnessed yesterday. And if war comes, make no mistake, the North Korean regime will be utterly destroyed.

自由アジア放送(RFA)が「米、安保理緊急協議で中国には原油供給中断を要求……戦争になれば北朝鮮を完全に破壊」(11月29日、韓国語版・一部は英語)で伝えました。

ヘイリー大使はトランプ大統領が習近平主席に電話し、北朝鮮への石油禁輸を求めたことも明かしました。しかし、中国は安保理でこれを拒否しました。

それに先立ち、ICBM発射直後にティラーソン(Rex Tillerson)国務長官は北朝鮮を行き来する船舶への臨検実施を示唆しました。国務省の発表によると以下です。

In addition to implementing all existing UN sanctions, the international community must take additional measures to enhance maritime security, including the right to interdict maritime traffic transporting goods to and from the D.P.R.K.

文在寅は「米の先制攻撃を防げ」

—韓国は?

鈴置:その韓国の態度が怪しくなってきました。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11月29日午前、NSC(国家安全保障会議)を開催しましたが、席上「米国の先制攻撃を防げ」と語ったのです。

聯合ニュースの「文大統領『北朝鮮の状況を誤解しての核威嚇・米国の先制攻撃を念頭に状況を防がねばならぬ』」(11月29日、韓国語版)から、大統領の発言を引用します。

大陸を越える北朝鮮の弾道弾が完成したなら、状況が手に負えないほどに悪化する可能性がある。

北朝鮮が状況を誤って判断し我々を核で脅したり、米国が先制攻撃を念頭に置く状況にならぬよう防がねばならない。

金正恩(キム・ジョンウン)委員長は核武装をあきらめない。米国はそれを認めるつもりはない。となると現在、最も平和的な解決策はクーデターか暗殺による金正恩体制の打倒です(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。

ただそのクーデターも、米国が先制攻撃してくるとの恐怖感が北朝鮮内部にあってこそ、可能性が増すのです。その恐怖感を打ち消すようなことを、この切羽詰まった時に韓国の大統領が言い出したのです。

「やりたい放題」になる北朝鮮

韓国では大統領の真意を疑う声が上がりました。保守系紙、朝鮮日報は社説「『核武力完成』を宣言した北、米国の先制攻撃を防ぐという韓国」(11月30日、韓国語版)で厳しく批判しました。以下です。

現実的には北の挑発を防げないことから、(大統領の発言は)米国の先制攻撃を防がねばならぬ、との意味になるしかない。そうなれば北は心おきなく挑発することができるようになる。大統領は北の脅威は公開的に糾弾しても、米国の対応に関しては非公開で論議すべきだ。

中央日報の社説「レッドラインを踏んだ北のICBM発射、政府はさらに強く対応せよ」(11月30日、韓国語版)も「この発言を聞いた北朝鮮はやりたい放題やることになる」と指摘しました。ポイントを翻訳します。

米国が先制攻撃を検討するのを防がねばならない、との文大統領の言及は誤解を呼び得る。北朝鮮に対する最大の圧迫と制裁を語りながら、軍事的選択をそこから引き抜いてしまえば、北朝鮮が耳を傾けるだろうか。

「平和愛好国家」を自称する金正恩

—文在寅大統領はなぜ、そんな発言をしたのでしょうか。

鈴置:北朝鮮は「自分を核保有国として認めよ」と言い出しました。先ほど引用した朝鮮通信の「大陸間弾道ロケット『火星15』型試験発射成功――朝鮮政府声明」も、最後の結論部分でそう主張しました。翻訳します。

我が国家の利益を侵害しない限り、どんな国であろうと地域であろうと脅威にはならないことをいま一度、厳粛に声明するものである。

朝鮮民主主義人民共和国は責任ある核強国であり、平和愛好国家として世界の平和と安定を守護するための崇高な目的の実現のために、自らのあらゆる努力を傾けることであろう。

—平和愛好国家、ですか!

鈴置:爆笑モノです。北朝鮮はテロを繰り返し、日米韓を先制核攻撃すると脅しています(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。

そんな国が「平和愛好国家」として「世界の平和を守るために努力する」と言いだしたのですから。犯罪集団による「平和攻勢」です。

トランプこそが平和の敵だ

—トランプ(Donald Trump)大統領も韓国国会で、テロ、誘拐など北朝鮮の国家犯罪を列挙したばかりです。

鈴置:あの演説には北朝鮮は相当に困惑したと思います。すべて真実で、反論しようにもできないのですから(「トランプ大統領の韓国国会演説のポイント(1)」参照)。

■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)

北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え

10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ

反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている

金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた

外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた

神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている

外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた

北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示

米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)

米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)

米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)

韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)

韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)

米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)

「金正恩カルト体制」への批判

北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある

しかし北は、どんなに笑われようと「平和愛好国家」と言い張るしかない。「ならず者」として米国に処刑される可能性がどんどん高まっているからです。

確かに、北朝鮮にとって都合のいい声も出ています。米国は冷戦中にソ連や中国と「核の均衡」をとった。同様に北朝鮮の核も認めよ、との意見です。

日本でもそう言い出す人が出ています。しかし、世界中が「ならず者」の烙印を押したら、そんな声はしぼみます。

前々回にも説明したように「ならず者」とは「核の均衡」、専門用語で言えば「相互確証破壊」(MAD=Mutual Assured Destruction)が成立しないのです。そこが北朝鮮とソ連・中国とが決定的に異なる点です。

—北朝鮮がいくら「平和愛好国家」を自称しても、信じる人は世界にいないのでは?

鈴置:そこで韓国の出番となるのです。もし、当事者である韓国が米国を「戦争愛好国家」と決めつけたうえ「米国が先制攻撃しそうだから韓国・平昌(ピョンチャン)での冬季五輪が開けない」などと言い出したら、どうなるでしょうか?

「金正恩も危ない奴だが、トランプも同じだ」と考える人が出るでしょう。すでに中国とロシアはその視点で語っています。ケンカ両成敗式に「戦争はやめろ」「米国は先制攻撃するな」との国際世論が盛り上がるかもしれません。

文在寅大統領の発言はこれを狙っている、と韓国の保守は見ているのです。そうなったら北朝鮮の思うつぼです。

北朝鮮側に立つ韓国

—でもその際、韓国は米国ではなく北朝鮮側に立つことになります。韓国がそんな道を選ぶのでしょうか。

鈴置:十分にあり得ます。というか、左派の文在寅政権はその方向に進んでいるのです(「文在寅大統領の『反米・親北』の言動」参照)。

  • 文在寅大統領の「反米・親北」の言動(2017年)
4月13日 大統領選挙の討論会で「(米国が先制攻撃を準備する場合)北朝鮮にホットラインを通じて直ちに連絡し、挑発を中断するよう要請する」と発言
5月10日以降 「手続きが不透明」としてTHAADの追加配備を認めず。6回目の核実験(9月3日)後の9月5日になって配備容認を決定
8月15日 「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国の同意なくして誰もできない」と米国の先制攻撃に反対
9月21日 「時期は未定」としつつ、800万ドルの対北人道支援を発表
9月28日 「戦時作戦統制権を早期に米国から韓国に移す」と国軍の日の記念式典で演説
11月29日 北朝鮮のICBM発射直後に「米国が先制攻撃を念頭に置く状況にならぬよう防がねばならない」と発言、米国を牽制
 

だからこそ韓国の保守は、金正恩と文在寅の連携プレーに見える動きに神経を尖らすのです。朝鮮日報は冒頭に引いた社説で、以下のように指摘しました。要約しながら引用します。

北朝鮮が「世界の平和を守るため、あらゆる努力を傾ける」と言い出した。核保有国になったうえ、対話局面への転換に乗り出すとの予告だ。

トランプ大統領の考えが変われば局面は大きく変わる。北朝鮮が核実験やICBM発射を中断するとの条件に対し、制裁解除や在韓米軍の撤収が持ち出されるだろう。

金正恩委員長の「核を持ったうえでの平和攻勢」は韓国の左派勢力と連携し、深刻な国内分裂をもたらすかもしれない。

文在寅大統領の「米国の先制攻撃を防げ」との発言を北朝鮮の「平和攻勢」に応じる伏線と見なしたうえで、「平和攻勢」を左派政権が支持したら国論が分裂し収拾がつかなくなると警告したのです。さらに朝鮮日報は米韓同盟も解体されると訴えました。

北が目標とする「決定的時期」はますます近づいている。たぶん何カ月も残っていないだろう。最も重要なことは、最悪の状況下でも揺れない韓米同盟を再確認することだ。米国が保障する核の傘のほか戦術核再配置や核共有戦略も真剣に検討しなければならない。

死に物狂いの親米保守派

—「決定的時期」とは?

鈴置:緊張の激化や北の平和攻勢により、韓国が米国との同盟をとるか、同族との連帯をとるか、立場を迫られる時との意味です。

もちろん保守系紙として朝鮮日報は同盟が大事だ、と主張したのです。先に引用した中央日報の社説も、同じ結論を掲げました。翻訳します。

今や韓米同盟を基盤に北朝鮮をさらに強く圧迫せねばならない。どんな困難があろうと、自由民主主義の大韓民国を守る覚悟が必要な時だ。

—保守は必死ですね。

鈴置:朝鮮日報は翌12月1日の社説「文大統領、習主席に『対北原油中断』を直接要求せよ」(韓国語版)でも、文在寅政権の「同盟より民族」路線に歯止めをかけようとしました。

見出しを読めば分かりますが、大統領は12月中旬に予定される中韓首脳会談で北朝鮮への原油輸出を完全に止めてくれと中国に頼め、との主張です。

原油の輸出中断は米国が何度も要求し拒否されています。韓国の頼みを中国が受け入れるわけがない。朝鮮日報もそれは分かっている。ただ、そうしたパフォーマンスをすることで「米国側に残る」姿勢を世界に示せ、と親北政権に要求したのです。

トランプの車が逆走

—保守派は同盟を守れるでしょうか?

鈴置:分かりません。左派が「トランプこそが戦争勢力」と訴える宣伝戦に乗り出しているからです。11月8日のトランプ大統領の国会演説の際、議場で左派の複数の議員が立ち上がって「NO WAR」のプラカードをかざしました。

その前日、11月7日には左派がソウル市内で「戦争反対」「トランプは帰れ」と叫ぶ大規模なデモを実施しました。

青瓦台(韓国大統領府)から宿舎のホテルに戻るトランプ大統領の車列には物が投げつけられ、大統領の車はコースの変更を余儀なくされました。道路の反対車線を走って、あやうく難を逃れたほどです。

大統領の車に物が投げつけることができるほど、今回の反米デモへの規制は弱かった。誰もが米国の大統領に危害が及ぶ激しいデモになると予想していたというのに、韓国政府はトランプ大統領の動線上のデモを許可したのです。

文在寅大統領はトランプ大統領の前では同盟を謳い上げて見せる。しかし裏では反米運動を助け、米国こそが危険な存在と世界に訴えているのです。

米韓首脳会談の直後、WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)が社説「South Korea’s Bow to Beijing」(11月7日、電子版)で「文在寅大統領は信用できない(unreliable)友人だ」と書きました(「トランプとの合意を1日で破り、変造した文在寅」参照)。それは当然の話なのです。

(次回に続く)

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『チャラチャラ感が加速する中国は崩壊目前 作家・星野博美氏に聞く中国(1)、中国全体で格差を真剣に議論する時が来た 作家・星野博美氏に聞く中国(2)』(12/4・5日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

12/4ダイヤモンドオンライン ロイター<中国の債務は引き続き拡大、見えない政府の抑制効果>

http://diamond.jp/articles/-/151836?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

12/6宮崎正弘氏メルマガ<中国全土50の都市に地下鉄を掘っているが、工事中断が始まった 債務の膨張をこのまま放置しては深刻な事態が惹起されるだろう>

http://melma.com/backnumber_45206_6618314/

経済に疎い習近平がGDPの数字の誤魔化し是正や債務の削減を実行しようとしているように見えますが、地雷を踏むことになるでしょう。緊縮財政は当然失業に繋がります。また賄賂や供応もできなくなり、地方の権力者の不満が蓄積されます。クーデターか習の暗殺が起きるかもしれません。今の中国人に北の「苦難の行軍」や毛の「長征」をする覚悟はないでしょう。米国が経済で中国を締め上げればバブル崩壊、ハゲタカの餌食になるのでは。これが世界平和の為に良いのでは。

12/6日経朝刊中国、ネット統制正当化 新興国に拡散の恐れ 「世界大会」が閉幕

【上海=小高航】中国政府がインターネット空間への統制を強める方針を内外に示した。5日閉幕した政府主催の世界インターネット大会で、ネットに対する管理・統制を「国家主権の問題」として正当化した。今後も最新技術を使い、情報統制を強める。大会は東南アジアやアフリカ諸国の高官らが参加。中国発のデジタル保護主義が新興国など世界に拡散する恐れが強まってきた。

中国政府は3~5日、浙江省烏鎮で4回目となる大会を開催した。習近平(シー・ジンピン)国家主席は大会に寄せた祝辞で「IT(情報技術)を核に新たな産業革命が芽生えつつある」と技術革新を歓迎する姿勢をみせた。その一方で「ネットの発展は各国の主権や安全にとって新たな挑戦だ」と警戒感を示した。 習氏はネットを情報統制の主戦場と位置付け、締め付けを強めている。中国では以前から「グレート・ファイアウオール」(ネットの長城)とも呼ばれる仕組みで、海外のニュースやフェイスブックなど「不都合な情報」が流れ込むサイトを遮断してきた。

さらに2017年6月には統制を強化する「インターネット安全法」を施行している。同法は中国で集めた顧客データの国内保存や、海外に持ち出す際に当局の審査を義務付ける内容。日本の経団連を含む世界の54団体は5月に「世界経済に大きな影響を与える」と延期を求めたが、中国側は聞く耳を持たない。逆に新浪などネット大手を「違法情報」を流したとして処分し、デジタル保護主義への傾注を強める。

浙江省烏鎮で開かれた大会は世界大会をうたうが、欧米や日本など先進国の政府高官の姿はほとんど見当たらない。中国国内ですら「閉ざされたネット空間しかない中国が『世界大会』を名乗るのはおかしい」との批判も根強い。それでも、東南アジアやアフリカ、中東の新興諸国が副首相級らの高官を送り込んだ。

参加した新興国の多くは、中国が広域経済圏構想「一帯一路」で経済支援する国々と重なる。経済支援の見返りに、政治面だけでなくネット空間の統制手法でも「仲間作り」を進めたい中国側の思惑がのぞく。

世界インターネット大会の開幕式で、演説する王滬寧・共産党政治局常務委員=3日、中国浙江省烏鎮(共同)

大会では「一帯一路・デジタル経済国際協力」と題した提言も発表。ラオスやタイ、トルコ、サウジアラビアなど一帯一路の沿線国が共同で、デジタル化の促進やネット空間の「秩序」を高める方策を探るとした。ネット統制の流れが新興諸国に広がる可能性がある。

新興国は必ずしも経済支援の見返りだけで参加しているとは限らない。中国と同じく、政権安定へ向け言論統制や国民監視にネット活用をもくろむ国は少なくない。顔認証などの最新技術とネットを組み合わせ威力を増す中国の監視技術の「輸入」を望む国もあるとみられる。

自由や中立性を前面に米国発で発展してきたインターネット。一方で中国発のネットの保護主義が新興国を覆いつつある。今後、ネットという現代社会の利器の使い方を巡り、世界の溝が深まる可能性がある。

デジタル化の流れを取り込み発展した米国の大手企業は、中国のネット規制への対応に苦慮している。中国は中間所得層が厚みを増し、消費市場として重要性を増す。大会には米グーグルやアップルの首脳も参加したが、中国のネット政策への批判は封印した。>(以上)

本記事で山田氏や星野氏が言っています「国民監視の目」は益々激しくなっているというのが上記の日経の記事でしょう。日本の左翼野党と偏向メデイアはこの中国のやり方を批判しません。日本政府が事務の効率化を目指してマイナンバー等入れるときには「国民監視」とか文句を付けていました。彼らはいつも二重基準です。でも騙される国民が悪いのですが。

本記事の中で、日本人で中国人が嫌いな人が増えたとありますが、それはそうでしょう。中国人の実態を目の当たりに見ればそうなります。小生が8年の駐在を終えて日本に帰ってきたときに、会社で中国人の実態を話したら「人種差別主義者」とか「国粋主義者」の烙印を押されました。今だったら深く頷いて貰えたでしょう。

山田氏も星野氏も農民工に同情していますが、共産党を打倒しない限り展望は開けません。戸籍の問題も档案の問題も共産党支配が続く限り、解決は望めません。

それと政治システム以外に中国人の長い歴史の中で培われた民族的質特質があります。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という基本的価値観です。信用を重んじる日本人と全く違います。ですから平気で嘘がつける訳です。南京も慰安婦も北京発の謀略でしょう。朝日はそれに乗っかって世界に嘘を広めたフェイクニュース社です。こんなプロパガンダ新聞を権威として未だ読んでいる人の眼力を疑ってしまいます。また賄賂とハニーの得意な国です。人間の欲に直接訴えかけるやり方で、これもまた仕掛けられる方が悪いのですが、人類の進歩に反し、21世紀には相応しくありません。

また、中国は世界を征服しようといろいろ画策しています。南シナ海や東シナ海だけでなく、一帯一路、世界各地に軍港建設や駐留基地を置いてパクスアメリカーナに対抗しようとしています。自由のないパクスシニカには絶対反対です。

記事

今回から2回に渡って、作家の星野博美さんをお招きして対談を行った様子を紹介する。星野さんは、『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫、第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞)で香港在住時の体験をつづったり、『謝々!チャイニーズ』(文春文庫)、『愚か者、中国をゆく』(光文社新書)で中国旅行の話を紹介したりなど、中華圏に関する多くの著書を持つ。

実は、星野さんと筆者は約20年近くの付き合いになる。私が、香港在住時に勤めていた邦字紙に、やはり当時は香港に在住していた星野さんに連載を依頼していた。またその後も、中国情報を日本に伝える月刊誌の編集長を務めていた際に、連載を始めてもらうなど、とてもお世話になった方だ。

今回、『3億人の中国農民工 食いつめものブルース』を上梓したのを機に、ノンフィクション作家の大先輩にあたる星野さんとの対談を企画。星野さんに今の中国に思うことや日中関係に対して感じることなどについて聞いた。

星野 博美(ほしの・ひろみ) 1966年東京都生まれ。作家、写真家。『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫)で第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『コンニャク屋漂流記』(文春文庫)で第2回いける本屋大賞、第63回読売文学賞「随筆・紀行賞」受賞。その他の著書に『謝々!チャイニーズ』(文春文庫)、『銭湯の女神』(文藝春秋)、『のりたまと煙突』(文藝春秋)、『島へ免許を取りに行く』(集英社)、『戸越銀座でつかまえて』(朝日新聞出版)、『みんな彗星を見ていた』(文藝春秋)、写真集に『華南体感』(情報センター出版局)、『ホンコンフラワー』(情報センター出版局)などがある。最新書は『今日はヒョウ柄を着る日』(岩波書店)。(写真=深澤明、以下同)

山田:今日はよろしくお願いいたします。

星野さんの著書は、星野さんにもらったり、また自分で買ったりして読んでいました。ようやく私の方からも送ることができる1冊ができてホッとしています。読んでいただけましたか。

星野:拝読しました。中国も、私が知っている時代とちょっと変わってきたなというのは感じました。都市では、農民工をもう受け入れませんと書かれていましたね。都市では飽和状態になっているんでしょうか?

山田:そうですね。非常にそれが顕著になってきました。

私は1997年に星野さんと香港で知り合いましたが、そもそも星野さんが中華圏に関わり始めたのは、もっと前ですよね。

星野:私は、もともと子供のころから中国が好きでした。ちょうど6歳のときに日中の国交が正常化しました。その後、中国残留孤児の初めての来日があった。そういうのに感動していました。

そのあと文化大革命が終わって、四人組裁判が始まり、中国が外国人に少しずつ開放され始めました。NHKでシルクロードの番組をやったのですが、それを見て中国にあこがれちゃったんですね。漠然としたあこがれだったのですが、それで大学に入ってすぐに初めて中国に行って、「やっぱり中国は素晴らしい」と思ったんです。

山田:それはいつですか?

    

転がる香港に苔は生えない』、星野博美著(文春文庫) 3億人の中国農民工 食いつめものブルース』、山田泰司著(日経BP)

星野:1984年です。当時は日本から個人旅行ができなかったので、ツアーで行きました。上海から入って、蘇州、杭州、北京を回るというとても一般的なルートでした。

できれば中国にもっと長く行きたいと思っていたところ、私の通っていた大学で香港と交換留学のシステムがあるということが分かり、じゃあ、香港でいいかなみたいな感じで、1986年に香港に留学したんですね。そのときは1年弱香港にいました。

日本に帰ってきてからは、大学を卒業して一般の企業に勤めました。ただ、香港が中国へ返還するのを見たくて、その10年後に再び、香港に渡って、2年間を香港で過ごしました。

ベトナム難民キャンプがぼこぼこあった香港

山田 泰司

山田:そうですか。では、私たちが知り合ったのは、星野さんが初めて香港に渡ってから、10年後だったんですね。

星野:そうなんです。だから私の香港観の基本というのは返還時じゃないんです。80年代の香港。だから山田さんとはちょっとずれがあるんです。私の中では80年代の香港が最高の香港だと思っています。まだ香港にベトナム難民のキャンプがぼこぼこあったんです。

山田:ぼこぼこですか。

星野:そうです。文革のときには、私の留学先の大学があった近くの道路を、中国から逃れてきた人たちがぞろぞろと歩いていて、大学の学生寮にその人たちを収容したという話が、ついこの間のことみたいな感じで語られていたんですよね。香港の友達が九龍城(注1)生まれとか、文革でいとこが逃げてきたけど国境で捕まって身代金を要求されているとか、そういう話が生きていたころです。

(注1) 香港の九龍にあったスラム街。英国・中国どちらの主権も及ばない場所だったが、香港の返還が決まると1994年に取り壊された。

だから返還の際に訪れたときは、私のイメージする香港はすでに変わっていたんです。私が求める香港はすでになくなっていた。

山田:求めているというのは?

星野:混沌とした80年代の香港がもうなかったんです。ベトナム難民キャンプもないし、バラックも相当なくなっていたし。

私は、中国大陸には旅行者としてしか行っていません。80年代の中国に住まなかったのは一生の後悔ですけど、まだ諦めてはいない。

山田:旅行とかでは行かれてました?

星野:90年代は頻繁に行っていたんですけど、最後に行ったのは2005年。その時点でもう中国に疲れました。

山田:その疲れるというのが面白いですね。

星野:私はやっぱり社会主義国家中国が好きなので、資本主義国家中国は疲れるんです。

山田:何に疲れたんですか。

星野:「改革開放」政策が提唱されて、鄧小平が1992年には南方講話(注2)を行った。それで、特に南中国から先に自由化されましたが、その時代に私はちょうど南中国を旅していました。そのとき、社会主義しか知らない人たちが資本主義になるときの何でもありな欲望みたいなものを目の当たりにしたんですね、旅をしている最中に。それは本当に、生まれて初めて資本主義というものをゼロから学ぶ人たちのパワーと面白さ。そして、全員スタートラインについて一斉に走りだすみたいな、平等な感じがあったんですよ。土地が高騰して誰かが濡れ手で粟で大金を手に入れるということではなくて。

(注2) 鄧小平が改革開放の加速を主張した一連の講話。1989年の天安門事件以降、保守派が握っていた主導権を取り戻した。

山田:確かにそうですね。

面器の水で商売をする才覚

星野:大金を得た人はほとんど密航者とその家族。それなりに命を懸けた人しか大金は得られないみたいな、すごくフェアな競争だった。その、海賊みたいなアウトローさには好感を持ったんですね。この資本主義だったら私は容認できるという感じ。

前に『愚か者、中国をゆく』に書いたことがあるんですけど、あるとき人民が大勢いる駅でへとへとに疲れて座っていたら、隣にぼろぼろの服を着たおじさんが水を入れた洗面器を置いたんです。そこには1角(0.1元)とか2角といった値段が書いてあって、これで顔を洗っていいぞという商売を始めたんです。それを見たとき感動して。駅に入って洗面所へ行って手を洗えばいいんだけど、人民がいっぱいいるからそこに到達するのがものすごく大変。そうすると洗面器に公共の水一杯だけでも商売になるんだと。

山田:アイデアと才覚でお金儲けができる。

星野:そうです。それで少しお金がたまったら、今度はリンゴを売ったりすればいいという。本当に資本主義の原始形態を見たんですよ、そのときに。

山田:日本にいたら決して見られないですね。

星野:そうなんです。私はバブルを経験した、ものすごいチャラチャラした世代だったので、これはもう日本は負ける、とそのとき思ったんです。

ただ、常に私は言っているんですけど、日本は戦後、40年ぐらいかけてやっとチャラチャラしたのが、中国はもっとスピードが速いんですよね。だから退廃も堕落も崩壊もすぐ来ると思うんです。

山田:そういう意味では、中国経済がすごくなって、強国になって、そして2大国と言うけど、私はそこまでじゃないだろうと思うんです。今はちょっとチャラチャラしているじゃないですか。

星野:この中国の繁栄というのが、農民工の人たちまで豊かになっていたものだったら、本当の強国だけど、絶対そうはならないですよね。

山田:そうですね。

星野:中国人は根本的に、平等が嫌いだから。平等が嫌いだから、無理に革命を起こさなきゃいけなかったので。

山田:中国人が平等が嫌いと感じるようになったのは、何がきっかけですか。

都会人も農民も中国人は平等が大嫌い

星野:何というんですかね。どちらというと私は社会主義は、日本人に合うシステムだと思っています。中国は広すぎるし、多様すぎる。すべての人に平等な教育をとか、すべての人が食えるようにとか、そういった感覚がない。自分の才覚や一族の才覚で食えない人も面倒を見るというシステムで4000年やってきているから。

山田:農民工の人たちって、農村で生まれたか、都会で生まれたかだけの違いで、貧乏な暮らしをしている。だから中国は不平等な国だよなというふうに言うと、「それ仕方ないじゃない」、みたいな反応なんです、農民工自身が。何でそう思えるのかなというと、平等嫌いみたいなところに通じるのかもしれないですね。

ただ、それは仕方がないけど、でもいつまでも俺たちはそうじゃないよと思っているわけですね、そこは。

星野:それは、何というんでしょうか、中国の強国イメージに洗脳されている感じ。強国イメージで、自分もこの国の一部だということで惑わされている。

山田:そうなんです。取り込もうとしている。

この本でも書いたんですけど、この表紙の彼。1年ぐらい上海を離れて、武漢に行っていた。ただ、武漢でやっぱり仕事がうまくいかなくて、ほとんど故郷でぶらぶらしていたらしい。ぶらぶらしているとテレビに洗脳されちゃって、久々に会ったら……。

星野:中国すごいと。

山田:そう、すごく愛国主義者になっちゃったんです(笑)。

星野:つまりいつもは一生懸命働いているから、あまりテレビを見てないんですよね。

山田:こうやって話をすると思い出しますが、何でこの不平等をこの人たちは我慢しているんだろうと思うけど、改めて考えてみると、道の渡り方ひとつとってみても、信号の色が何色であれ、隙あらば他人より1センチでも1ミリでも先に進もうとする人たちですものね。

星野:香港人も平等が大嫌い。いや、嫌いというより、平等をはなから諦めているところがある。一族の中でも頭のいい子だけよりすぐって、その子だけ学校に行かせて、あとはみんな働かせるとか。動物の子育てと似ている。生き残れる子をとにかく強く生き残らせる。それだけ、これまでが過酷だったという証拠だと思いますが。

山田:全員にはとてもじゃないけど行き渡らせられないから、一族の資源をそこに集中するということですね。

星野:それを4000年ぐらいやって、やっぱり革命が起きた。だから、今のこの加速の感じだと、私が死ぬまでにもう1回革命が起きるんじゃないかなと思っています。

山田:それでこそ中国というところですね。

星野:私は昔から革命が好きだって公言しているので。

山田:でも認めかかっていたわけですよね。最初の資本主義のとば口のときは。

星野:そうなんです、あのときは。1992~1993年ぐらいのときは、この混乱、何というか、どうしようもない混乱の中の自由な感じ。これで面白いことになるなと思っていたんですが、やっぱり日本と同じで、不動産の価値が中国人をだめにしている。山田さんの本にも書いてありましたが、親とかおじいさんが勤め先からもらった住宅が、すごい値が上がって億万長者になったりした。

山田:錬金術ですよね。

星野:日本のバブルのころも、実態のないお金を得ちゃった人が堕落して、若者がダメになったのと同じことが、もっとメタなレベルで中国で起きている。人数が半端なく多いから、堕落の度合いもたぶんすごくなると思う。

山田:本当そうですね。だから一番最後に、星野さんが中国に行った2005年、疲れちゃったんですね。

星野:物欲が渦巻いていることに耐えられないんですよね。日本でも、渋谷や新宿に行けば物欲が宙に飛び交っているけど、自分はほとんど行かない。日常の中で、今何がはやっているとか、そういうふうに生きていないので、何か宙を飛び交っている物欲とかにダメージを受けちゃうんですよね。うまく説明できないんですけど。香港に行ってもやっぱりダメージを受けますね。

中国が嫌いすぎる香港人

山田:香港には最近ではいつ行ったのですか。

星野:雨傘革命(注3)のデモが起きた3週間後ぐらいと、一昨年に行きました。

(注3) 2014年に香港で起きた若者主体の民主化要求デモ。

山田:どうでしたか。

星野:雨傘革命で若い人たちが立ち上がったというのは素晴らしいし、その純粋さには敬意を覚えます。ただ、私が危惧しているのは、香港人がとにかく中国が嫌いで嫌いで仕方がないこと。

山田:そうですね。

星野:ほとんどヘイトの塊みたいな行動を平気でやっている。中国相手だったら、何をやってもいいと思っている。

山田:いいというのがあるんですよね、歴史的に。

星野:みんな中国を知らなさ過ぎるし、今の香港人の精神状態は相当病んでいる。

山田:そうですか。

星野さんの最新著書『今日はヒョウ柄を着る日』(岩波書店)

星野:雨傘革命で占拠していた子、ピュアですごい繊細な子たちなんです。彼らと話していたときに、ちょうど小笠原諸島の周辺海域で大量の中国漁船がサンゴ密猟で見つかったというニュースが流れたんです。そのときに「チェッ」みたいに言うんです。そのうえ「日本は中国と戦争をして、やっつけてくれ」とか言われて。中国嫌いがここまで来ちゃったかのかと戦慄を覚えました。

かつて香港にいた時、尖閣列島問題のときには、すごい嫌な思いもしたんです。日本はまだ侵略者だとか言われた。そのときは、中国人と香港人ってこういうところで急に連携するのかと思っていました。それがたかだか20年間で、いまや日本は中国をやっつけてくれとか言う。これって、すごくやばいんじゃないのかなと感じました。

山田:日本より中国が嫌いってことですよね。

星野:今の若い人はだいぶ日本の文化に慣れていて、日本が好きな人は多いし、それはありがたいこと。一方で、あまりに中国から多大なプレッシャーを与えられ続けているがゆえに、中国が「巨神兵」みたいに感じられている。

(以下、明日公開の2回目に続く)

3億人の中国農民工 食いつめものブルース』を上梓したのを機に実現した、ノンフィクション作家の大先輩・星野博美さんとの対談の2回目。星野さんは、相変わらず貧富の激しい状況が改善しない中国に疑問を呈するとともに、嫌中派の人には、もっと中国を知ってもらいたいと訴える。

(前回の記事「チャラチャラ感が加速する中国は崩壊目前」から読む)

星野 博美(ほしの・ひろみ) 1966年東京都生まれ。作家、写真家。『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫)で第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『コンニャク屋漂流記』(文春文庫)で第2回いける本屋大賞、第63回読売文学賞「随筆・紀行賞」受賞。その他の著書に『謝々!チャイニーズ』(文春文庫)、『銭湯の女神』(文藝春秋)、『のりたまと煙突』(文藝春秋)、『島へ免許を取りに行く』(集英社)、『戸越銀座でつかまえて』(朝日新聞出版)、『みんな彗星を見ていた』(文藝春秋)、写真集に『華南体感』(情報センター出版局)、『ホンコンフラワー』(情報センター出版局)などがある。最新書は『今日はヒョウ柄を着る日』(岩波書店)。(写真=深澤明、以下同)

山田:香港を見ていると、やっぱり大人たちがもうちょっと何とかしないと、というところですよね。

星野:そうなんです。大人に絶望しちゃったんです、香港の若者たちは。大人たちが中国と手を組んで俺たちを切り捨てたというふうに感じているんですよ。だから世代断絶もすごく深刻。

山田:大人から子供までピュアという感じでしょうか。若い子たちはピュアでやらせてもいいけど、それを後ろでもうちょっと大人たちが交渉するなり、根回しするなりすべきだと思う。地ならししてやらなきゃしょうがないだろうと思いますね。

星野:もちろん40~50代で精神的に支えている人もいたし、私の友達なんかもデモに行ったりしていたけど、そういう人ってやっぱり少数派ですね。

あと香港人って50歳になったらもう引退モードに入るじゃないですか。人生のスピードがすごく速い。そうすると、老後を考えると、あまり動乱を大きくしたくないとなりますね。

山田:返還のときもそうなのですが、香港の場合は民主派がとにかく頭でっかちというか、きれいごと過ぎるというところがとてもある。

星野:香港の古い民主派は超インテリです。まったく庶民からかけ離れている。市場でかんかんがくがくやるような人たちじゃない。そういう人たちが交渉などで中国共産党とはやりあえるわけがない。

山田:やれるわけがないですね。

星野:香港はいまも中国から1日150人の移民を受け入れていますが、計算だとあと20年も経つと香港人より中国人の方が多くなります。そうなると、中身が入れ替わっちゃう。香港という箱はそのままで「一国両制」といいながら、中身を入れ替えちゃうんです。私の想像ですが、それこそ中国が香港に対して目論んでいることでしょう。

山田:入れ替えちゃえばという発想ですか、すごい。多分、星野さんの指摘通りでしょう。

星野:どんどん、どんどん中国人を送り込めばもう香港人は嫌になっちゃうでしょう。選択できる人は香港人なら外に出ていきます、何もしなくても。中国にとっては、弾圧なんかしなくても、毎日150人送り込めば、自然に出ていってくれる。カナダとかオーストラリアとか。

山田:でも一方で行き場のない人たちもいるでしょう。

星野:だから香港の底辺にいる人たちは、濃いスープの一番下のどろどろとしたようなところに永遠にずっといることになってしまう。

私はこういう人たちにすごいシンパシーがあるから、山田さんの本を読んで、面白かったと言うのもあるけど、中国の底辺層の人たちの話を読むと、何か怒りを覚えますね、やっぱり。

山田:そうですね。

星野:だって努力とかは関係ない。本当に農村戸籍と都市戸籍だけで差別されているわけでしょう。共産党、マジでどうにかした方がいいのでは?

山田:共産党もそうだけど、やっぱり都市の住民がもうちょっと関心を寄せる時期に来ている。星野さんが中国に頻繁に行っていたときには、そういう農民戸籍とか都市戸籍というのは意識されてましたか。

やっぱり夢が見られない農民工

星野:聞いていましたし、農村から出稼ぎする人たちの群れを都会で見ていました。一般の人は、農村から大勢が移動する様を見て「盲流(モウリュウ)」と呼んでいたときです。社会現象として出現したころですよね。

それは1990年代の前半。だから、四半世紀たった現実がここにあるわけです。その盲流と言われた人は、四半世紀たって、やっぱり夢は見られないという現実にだんだん気付いてきてしまったわけですね。

山田 泰司

山田:気付いてしまった。そればかりか今度は都会に生まれていても、底辺の人たちは、「もう夢が見られないかも」というところに今、来ている。

星野:農民工の人たちが夢を見られなくなって来たというのは、都会に建てるものが飽和状態になったということが関係しますか?

山田:それもそうですね。あとは農民工の人が大勢働いていた雇用先の製造工場、例えばiPhoneを作ったりする工場では、人件費をもう上げられない。

人件費が上がった、上がったと日本のメディアなどは報道していますが、それでも1万円から始まったのが5倍の5万円になった程度。でも共産党はとにかく福利厚生などを全部企業にやらせるから、正規に雇うとすると、お給料が5万円でも、福利厚生費を併せると10万円ぐらい掛かってしまう。そうなってくると、企業とすれば、ベトナムで作ろう、ミャンマーで作ろうと。

星野:どんどんそうなってしまいますね。

山田:それとともに中国の経済成長というのが鈍化してきた。中国の場合は成長率が10%ぐらいあって、ようやく農民工も恩恵にありつけるというぐらいの感じです。今の6%とかの成長時代になってきちゃうと、彼らを満足させるだけの余力が都会にも企業にもなくなってきてしまっている。

だからこの本『食いつめものブルース』の表紙の彼なんかも、子供が中学生だったときには、「やつを大学に行かせるためにやっているんだ」と言っていたんだけど、だんだんあきらめてきている。「田舎の子供はみんなこんな感じだから」といって。

星野:もう少しで切れちゃいますよね。これまでゴムを引っ張るように酷使されてきて、それで夢がないと分かってしまたら、パチンと切れてしまう。

私が中国を訪れていた当時は、みんな目がきらきらしていましたよね。全然まだ挫折はしてないし、格差が付いていない。やっぱり人間を絶望させるのって格差なんですね。

私は政治のことはあまりよく分かりませんが、世界のトップを目指す前に、中国はやることがあるだろうと言いたいですよね。思いませんか。

山田:思いますね。

星野:日本と比べても仕方がないんだけど、大きさも違うし、多様さが違うから。もちろん中国の性質として自分たちが一番を取るんだという気持ちはよく分かるけれども、このままでは済まない気がします。人民がそのカラクリに気づいて声を上げるのを恐れて、監視とかしているんでしょうけど。

山田:実際監視は非常に強まっていると思います。

星野:ですよね。だけど、やっぱりそう遠くないうちに矛盾が噴出すると思いますよね。

山田:ただ、中国でも都会に住んでいる人はそこまでの切迫感がないんです。何か相変わらず他人事。

星野:実際、農村の暮らしも知らないでしょうし。

山田:本当に知らない。

頑張って生きている人をみんなが知るべき

星野:国内に行くとしたら観光地しか行かないでしょうから。

また香港の人たちだって、日本人もそうだけど、中国の農民がどれだけ大変かというのを全然知らない。みんなが中国のどぎつい経済成長とかばっかり見て、底辺であえぐ人たちが見えなくなっちゃっている。

逆にこの人たちを見たら、中国を好きだとか嫌いだとか絶対言えないと思います。今、中国を嫌いな日本人がすごく多いけど、この人たちを見たら絶対嫌いになれない。だから、ぜひ知ってほしい、こんなに頑張って生きている人たちがいるということを。

山田:星野さんがいま言ったように考えるのが、私は普通の感覚だと思うのだけど、一方で、日本の中にはヘイトとか、そういうのがあるじゃないですか。だから農民工の生き様を知っても、なおかつ悪く言う人は多くいるような気がします。

星野:日本の競争力がなくなり、日本人が自信を失うごとに、中国脅威論が加速していく。中国は体のいいスケープゴートなのだと思います。

山田:そうですね。

星野:私たちが10代とか20代のころは、中国が好きだと言うと、完全に変わり者扱い。何か貧しくてかわいそうな国よねという感じでした。もちろん全然脅威じゃなかった。

しかも、日本はイケイケだったから、誰も関心がないし、何の感情もわかなかったと思うんです。だけど、ギョーザとラーメンは好きで食べてるみたいな(笑)。中国人もそんなに来なかったし、いるとしても中華料理屋で片言しゃべって、一生懸命働いている人ぐらいしかいなかった。

でも北京オリンピックのあたりから、急に中国がわーっと来て、あれ? ちょっとやばくない? みたいに。全然中国に興味がなかった人たちにとっては、霧の向こうからいきなり姿を現した怪物みたいに感じられるのでしょう。しかも、あの広さと人民の多さと物量。

あのプレッシャーというのは、韓国も同じように感じていると思うんですが、小さい国にとってはものすごい脅威。本能的にやられるという感覚が強くなると思う。

山田:今、星野さんが言ったみたいに、関心なかった人が最近の中国を見て脅威に思って、理解不能で、何だ何だと怖がるというのはとてもよく分かるんです。ただ、そんなことを思う必要はまったくなくて、例えば一帯一路とか21世紀のシルクロードを築くとか言ってますが、あれは国の中だけで支えていけなくなったから、外に広がって稼ぐところを求めているだけ。

星野:活路を求めてるんですよね。それを中国が違うふうにパッケージして宣伝していて、みんなだまされちゃっている。

山田:本当にそうなんですよ。日本のマスコミもその通りに伝える。

星野:誰も中国を理解なんかしようとしていないんです。

山田:そういうことですかね。なぜあれを脅威に思うのかというのは。

日本人は名誉白人の勘違い

星野:それと、例えば韓流ドラマとか韓国の映画とかを見ていても思うのですが、韓国と中国と香港の芸能界って、みんなアジアで頑張ろうといった感じで、すごく活気がある。資本も行き来して、韓国の俳優もすごく中国で人気があったりして。そこに日本だけいないんです。自分たちはそこに入るようなレベルじゃないと考えているみたいに。自分たちはカンヌやベネチアとか行くので、アジアはけっこうです、みたいな。自分たちは名誉白人、アジアではトップという感覚が、どうやっても壊せない。

山田:何かそう言われてみると、北野武のオフィス北野が中国の監督ジャ・ジャンクーの作品に協力したり、宮崎駿がアニメを描きたいと中国から来た人を、やってみろと事務所で働かせたりとか、この2人は違う気がします。

星野:彼らは世界を知っているからでしょうね。実際、マーケットの大きさを考えたら、賢い選択だと思います。

山田:本当ですね。あとはやっぱり中華料理はおいしいじゃないですか。そういうことに対する、リスペクトも中国に対してはちょっとなさすぎる。

星野:ギョーザとかラーメンが好きで、どうして中国を知ろうとしないのか。本当に理解に苦しむ。

山田:ある程度、好き嫌いで単純化しちゃうのは仕方ないとは思うけど。ただそればっかり過ぎる。そう思います。

星野:それと最近は急激に日本人が自信をなくしているように思います。転げ落ち方がすごく急だから、内にこもっている感じ。

山田:テレビ番組でも、「日本人、ここがすごい」みたいな番組が4~5年前から増えている。ようやくここに来て、少しそういう番組が多すぎるんじゃないかみたいな声が少し出てきたけど。

星野:観光客が今、急に増えてきていて、「やっぱりみんな日本が好きなんだ!」とか言うじゃないですか。実態は単に安いからだと思うんですよね。どうしてそこがそっちの発想になっちゃうのかなと憐れに思います。

ただ、中国の人も日本のことをやっぱりゆがんで知っているでしょう。だから、いいところも見てほしいし、すごく嫌な思いもするだろうけど、そういう経験を重ねて、日本を彼らの側からも理解してもらいたいなと思っています。

山田:口幅ったいことを言うと、ここ15年ほど、中国のこと嫌いという人が圧倒的に多くなってきた。ただ、そういう好きとか嫌いとかはいいから、いったん置いておいて、この人間の生き様を見てくれよというところで、今回の本も書いたつもりなんです。

星野:中国って、行くとその人たちを好きになりませんか?

山田:僕はなります。星野さんが中国人が好きっていうのは、どんなところですか?

星野:私は小さいころから、10代ぐらいから日本に対する違和感が強かったので、なぜ日本がこうなんだというのが不満だった。中国に行って、中国人の価値観を知ったことで、日本の息苦しさについて考えるようになったんです。

時代的なものもあるかもしれないですけど、日本は必死に生きているのがかっこ悪いみたいな感じでしたよね。学歴とか、どこの家の出身とか、親がどれだけお金を持っているとか、何かそういうことで威張っている子がいっぱいいた。だから、自分の才覚でどんなみっともない生き方をしても、お金を持ったやつが勝ちという香港人や中国人の価値観が自由に思えたんです。

山田:日本の自由とは違いますね。

星野:彼らの自由は、また一人ぼっちじゃだめ、寂しくて。家族のためとか、そういうのが絶対にある。孤独があんまり好きじゃない。

山田:でも最近の中国の物欲がぎらぎらしているのは苦手なんですよね。

星野:そうなんです。要はお金を持っている人たちが、買えるから買いたい、という欲望が、宙に渦巻いているのが好きじゃない。農民工の人たちが必死に働いてお金が欲しいとか、それとはまったく別物の欲望。農民工の人たちが持っているのは、欲望じゃなくて夢ですね。

山田:昔の中国は何が魅力的だったかというと、社会主義で全体的に貧しかったけれども、そういう中でお金儲けにむき出しの人がいたからということですよね。懸命とか必死とか。生身の人間が感じられるというのかな、

星野:自分たち日本人だって、戦後の焼け野原ではそうだったと思うんです。それはもう遠い昔になってしまって、私たちの時代は何か生存に一生懸命というのがあり得ないみたいな、しらけ方をしていたので。それを中国の人は教えてくれる、「生存というのはこうやるんだよ」と。そんなことは、日本では誰も教えてくれませんでした。

ウイグルにはもう一度行きたい

山田:最後にノンフィクション作家の星野さんに質問を。もし今、中国でネタを探しに行くとしたら、どんなことを取材しに行きたいですか。

星野:考えたことないですね(笑)。でも、ウイグルは行きたい。ウイグルって私のイメージする楽園だったので。

山田:どうしてですか?

星野:ウイグルには長い時間をかけた東西交渉の歴史があって、東と西の血が混じっていて、いろいろな顔をしていた。そして乾いた土地にブドウとメロンがたくさんなっていて、冷たい水のせせらぎがちょろちょろとあって、道行く子供たちがみんな、こうやって手を振ってくれて、牛乳とヨーグルトがおいしかった、本当にその通りだったんですね。

それがいまや、中国に弾圧されている。中国が本来持っている多様性をないがしろにしたら、いつかは墓穴を掘ることになる。私は1987年以来、ウイグルに行っていないので、今どうなっているのか見てみたい。

山田:本でも紹介しているけど、農村出身で今はウイグルで笛を勉強している青年がいるので、その際にはぜひ訪ねてください。

今日はありがとうございました。

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『既に始まっている「日中戦争」に勝つための処方箋』(12/4ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)について

12/3中国観察<中共突變臉 核基地被踢爆和朝鮮相同 美三步摧毀金三胖 阿波羅網=中共の突然の変心 (重慶の)核基地は朝鮮と同じと暴露 米国は3段階(石油供給停止、海上封鎖(テイラーソンの提案)、軍事行動)で三代目の豚をやっつける アポロネット>中国は北朝鮮政権が倒れることは望んでいない。中国は韓国にTHAADの撤廃を要求、これは米日韓の実質的脅威をなくし、北が持ち札であるのを減殺してしまうため。重慶の未使用の核基地を一般公開したのも、北と唇歯の関係を表すもの。また北京の幼稚園の虐待問題の目を逸らすため軍部がTHAADや北のミサイル問題を利用している。米国が中国を「市場経済国」と認定しなかった経済カードの報復として、中国は北を使い政治カードを切ろうとしている。

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/trend/2017/12/02/382229.htm%E4%B8%AD%E5%85%B1%E7%AA%81%E8%AE%8A%E8%87%89-%E6%A0%B8%E5%9F%BA%E5%9C%B0%E8%A2%AB%E8%B8%A2%E7%88%86%E5%92%8C%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E7%9B%B8%E5%90%8C-%E7%BE%8E%E4%B8%89%E6%AD%A5%E6%91%A7%E6%AF%80%E9%87%91.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

12/5ダイヤモンドオンライン<習近平は本気で「中国基準」の世界浸透を目論んでいる【加藤嘉一】>習は「中国共産党は中国人民のために幸福を追求する党であり、人類の進歩のために奮闘する党である。我々はまずは自分自身のことにしっかりと取り組まなければならない。それこそが人類が運命共同体を構築する上での貢献になるからである。我々は中国の発展を推し進めることを通じて世界により多くのチャンスを創造しなければならない。われわれは外国のモデルを“輸入”しないし、中国のモデルを“輸出”することもしない。他国に中国のやり方を“複製”することを要求することもないだろう」と言ったとのこと。流石、平気で嘘がつける中国人の代表と言ったところでしょう。外国からのモデルの輸入は人権に煩い西洋社会を念頭に置いたものと思われます。当初、西洋のものを毛嫌いしていた西太后・慈禧のようです。「他国に中国のやり方を“複製”することを要求することもない」というのも本心を隠した発言と思われます。中国を信じると、スリランカのようにサラ金銀行に苦しめられ、やがて乗っ取られるような運命を辿る国が多発すると思います。「チャイニーズ・スタンダードをグローバル・スタンダード」にとはならないでしょう。それは人類の不幸です。歴史が証明しています。共産主義は三権分立がなく、為政者が簡単に人権弾圧でき、自国民を大虐殺してきた歴史があることを忘れることはできません。

http://cl.diamond.jp/c/acnrawbrfgafuFai

12/2櫻井よしこ氏コラム『週刊ダイヤモンド』 <「 731部隊を巡る中国の対日歴史復讐戦 事実の歪曲・捏造阻止へ全容の解明を 」>北野氏もコメントしていますように歴史戦を中国は上手に戦っています。国連組織(殆ど左傾化した腐敗組織です)や米国のリベラルを金の力で買収し、日本の悪魔化、道徳的に劣った民族の烙印を押し、世界で日本の味方をする国がなくなるよう工作しているという事です。日米離間も図っています。プロパガンダに過ぎませんが、強力です。日本は事実に基づいた反証を世界に向けて発信していかなければ。外務省も学会も自分のことと思っていないのが痛いです。子々孫々が悪魔扱いされようとしているのに。

https://yoshiko-sakurai.jp/2017/12/02/7167

記事

ここのところ改善されてきた日中関係。しかし、安心できる状況にはほど遠い。それどころか、すでに広義の意味での日中戦争は始まっていると考えるべきなのだ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

広義の「日中戦争」はもう始まっている!

具体的な戦闘こそ起きていないが、「情報戦」は展開しており、日中戦争は実質的には始まったと考えるべき。今や米国に次ぐ軍事費大国になった中国と戦闘をせずに勝つために、日本は何をすべきなのだろうか? 写真:新華社/アフロ

日中関係が、改善されてきている。安倍総理は11月11日、ベトナムで習近平と会談した。雰囲気は、きわめて友好的で、両首脳は関係改善への意欲をはっきり示した。

日中関係が改善されるのは、もちろんいいことである。しかし、決して油断することはできない。中国は5年前、尖閣、沖縄を奪取するための戦略を策定した。「広義」での「日中戦争」は、もう始まっているのだ。

「日中戦争が始まった」――筆者がその事実を目の当たりにし、大きな衝撃を受けたのは2012年11月15日のことだった。

私はこの日、「ロシアの声」に掲載された「反日統一共同戦線を呼びかける中国」という記事を読んだ(記事はこちら)。いままで連載では何度も触れたが、この記事には衝撃的な内容が記されていた。

・中国は、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線」の創設を提案した。  ・「反日統一共同戦線」の目的は、日本の領土要求を断念させることである。  ・日本に断念させるべき領土とは、北方4島、竹島、尖閣および沖縄である。  ・日本に沖縄の領有権はない。  ・「反日統一共同戦線」には、米国も引き入れなければならない。

これを読み、私は「日中戦争が始まった」ことを確信したのだ。

しかし、普通の人がこれを読んでも「確かに衝撃的な内容だが、『戦争が始まった』というのは、大げさだ」と思うだろう。そう、日本人は「戦争」というと、バンバン撃ち合う「戦闘行為」を思い浮かべる。いや、それしか思い浮かべることができない。

実をいうと、「戦争」は「戦闘」に限定されない。むしろ「戦闘」は、広い意味での「戦争」の「最終段階」で起こる。そして実際は、戦闘が起こった段階で、勝敗は決している場合がほとんどなのだ。

「平和ボケ」左派のあり得ない思考回路

普通の国が「反日統一共同戦線」のような情報を得れば、即座に対応策を考え始めるだろう。つまり、対抗するための「戦略」を練るのだ。しかし、日本はそうならない。

日本では、「平和ボケ病」に冒された左派寄りの人たちと、「自主防衛主義」、さらには「核武装論」を主張する右派寄りの人たちが議論を戦わせている。しかし、いずれも日中戦争に勝つ結果にはつながらない発想だ。   平和論者の人たちは、「世界は第2次大戦後、平和になった」と主張する。しかし、新世紀に入って以降も、世界では以下のような戦闘が起きている。 2001年 アフガニスタン戦争が始まった。 2003年 イラク戦争が始まった。 2008年 ロシアージョージア(旧グルジア)戦争が起こった。 2011年 リビア戦争があり、カダフィが殺された。 2014年3月 ロシアがクリミアを併合。続いて、ウクライナ内戦が勃発した。  2014年9月 米国を中心とする「有志連合」がIS空爆を開始した。 2017年4月 米国は、シリアをミサイル攻撃した。 そして現在、世界は「朝鮮戦争は起こるのだろうか?」と恐怖している。

事実を見れば、「今の時代」は決して「平和な時代」ではなく、逆に「戦国時代」であることがわかるだろう。

「平和憲法があれば、戦争は起こらない」「平和主義を守れば、日本は安全」という神話もある。「平和主義なら日本は安全」というのなら、なぜ中国は、虫も殺さぬ平和主義のチベットを侵略し、100万人を虐殺したのか?

このように「平和ボケ病」は、「戦略的思考」を停止させる。彼らによると、「何もしなければ戦争は起こらない」。だから、「戦争に勝つ方法」(=戦略)を考える必要は、まったくないという結論になってしまう。

右派の「完全自主防衛主義」は日本を崩壊させる

一方、右派寄りの人たちは、自国防衛の強化を主張する。しかし、もはや日本が多少がんばったくらいでは到底かなわないくらい、中国との間の格差は開いている。

16年の中国の軍事費は2150億ドルで、米国に次いで世界2位だった。日本の防衛費は461億ドルで世界8位。中国の軍事費は、なんと日本の4.6倍である。さらに中国は、米国、ロシアに次ぐ「核兵器大国」でもある。

今から中国に追いつくべく、大金を投じて軍拡するというのは、現実的ではない。「いや、そんなにたくさんの金はいらない。なぜなら核武装すればいいからだ」という意見もある。確かに、最貧国の北朝鮮が保有していることからもわかるように、核兵器は「もっとも安上りな方法」だろう。

しかし、ここでも話は簡単ではない。核兵器の拡散を防ぐ「核拡散防止条約」(NPT)がある。NPTは、米国、英国、フランス、ロシア、中国以外の国の核保有を禁ずる、極めて「不平等」な条約だ。それでも、現在190ヵ国が加盟し、世界の安定を守る秩序として、機能している。

世界には、「NPT未加盟」で「核保有国」になった国もある。すなわち、インド、パキスタン、イスラエルだ。NPTに加盟していたが、脱退して核保有国になった国も、一国だけある。そう、北朝鮮だ。

日本が核武装を決意すれば、NPTを脱退せざるを得ない。つまり、核武装論者は、「日本は、北朝鮮と同じ道を行け!」と主張しているのだ。そんな道を行けば、国連安保理で過酷な制裁を課されることは、想像に難くない。   日本の核武装論者は、「日本の立場は特殊だ」と主張するが、「アグレッシブな核保有国が近くにいる」のは日本だけではない。

たとえば、核大国ロシアと戦争したジョージアは、自衛の為に核を持つべきだろうか?ロシアにクリミアを奪われたウクライナは、核を持つべきか?核大国・中国の脅威に怯えるフィリピンやベトナムは、核を保有すべきか?

「すべての国は平等」という原則に従えば、「持つべきだ」となるだろう。あるいは、「すべての国が核を廃棄すべきだ」と。しかし、これらは、いずれも「非現実的な議論」に過ぎない。

結局、「自分の国を自分で守れる体制を今すぐ作ろう」という主張は、とても現実的とはいえない。では、中国に屈伏するしか道はないのだろうか?

一国で勝てなければ仲間を集めろ!

実をいうと、柔軟に考えることができれば、「中国に勝つ方法」を考え出すのは難しくない。   日本には、世界一の軍事力を誇る米国という同盟国がいる。この事実について、「米軍に守ってもらうなんて日本は属国に等しい。恥ずべきだ」という意見がある。しかし、冷静に考えて、これは「恥ずかしいこと」なのか?

たとえば、欧州には、北大西洋条約機構(NATO)がある。これは、29ヵ国からなる「対ロシア軍事同盟」である。そして、内実を見れば、「NATO加盟国28ヵ国は、米国に守ってもらっている」状態だ。NATOの中には、英国、フランス、ドイツのような大国もいる。彼らですら、核超大国ロシアの脅威に対抗するため、米国に頼っている。   ただ、日本とNATO加盟国の違いもある。NATO加盟国は、どんな小国でも「NATOに貢献しよう」という意志を持ち、実際に行動している。

日本の場合、「米国が日本を守るのは当然だが、日本が米国を守ることはできない。なぜなら日本は平和主義国だからだ」というロジックを持っており、長らく、まったく貢献する意志を見せなかった(小泉総理時代から、少しずつ変わってきてはいるが)。

これは、日本人に言わせれば「平和主義」である。しかし、米国からは、そう見えない。

「米国兵が日本のために何万人死んでも、それは当然だ。しかし、日本兵が米国のために死ぬことは、1人たりとも許さない」という大変狡猾なロジックだからだ。

日米安保は今でもきちんと機能している

それで、安倍総理は「安保法」を成立させ、「集団自衛権行使」が可能になった。日本は米国を守れるようになったので、もはや「属国だ」と卑屈になる必要はないのだ。

また、「いざという時、米国は日本を守りませんよ」と断言する「専門家」も多い。そうかもしれないが、実際、日米安保は機能している。

たとえば10年の「尖閣中国漁船衝突事件」、12年の「尖閣国有化」。これらの事件の直後、日中関係は大いに悪化し、人民解放軍は尖閣に侵攻する意志を見せていた。しかし、どちらのケースでも、米国政府高官が「尖閣は、日米安保の適用範囲」と宣言したことで、中国はおとなしくなった。

そう、日米安保には、いまだに「中国の侵略を抑止する効果」が十分あるのだ。

とはいえ、米国の衰退は著しい。引き続き、米国と良好な関係を維持するのはもちろんだが、日本は未来に備える必要がある。その「未来の同盟国」とは、将来中国に並ぶ大国になることが確実なインドだ。

安倍総理は今、「インド太平洋戦略」を提唱し、トランプ大統領も乗り気になっている。これは、日本、米国、インド、オーストラリアで、中国を牽制するのが目的だ。

とにかく日本が中国に勝つには、一貫した誠実さと努力によって、強い国々を味方につけていく必要がある。具体的には、最重要国家として、米国、インド。次に、EU、ロシア。そして、東南アジア諸国、オーストラリア。これらの国々との関係をますます強固にすることで、日本は守られる。

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『寒空の北京、路頭に迷う10万人の出稼ぎ者たち 火災を発端に「低級人口」駆逐、新都市計画推進へ』(12/1日経ビジネスオンライン 北村豊)について

12/3日経朝刊にも農民工追い出しの記事が載りました。

北京、人口流入抑制へ強権 住宅撤去で立ち退き迫る

【北京=原田逸策】中国の首都、北京市の当局が農村から流れ込む人口を抑制しようとなりふり構わぬ手立てを講じている。環境改善や交通渋滞の解消が狙いだが、労働者の住居を違法建築を理由に有無を言わせず撤去するなど、当局が強制的に住民を追い出す例が目立つ。その強権ぶりには中国国内でも批判が出ており、格差への不満に拍車がかかる恐れもある。

 北京市中心部から南西に約15キロの同市大興区西紅門鎮。近隣の繊維工場の労働者らが住むアパートで火災が起きたのは11月18日夜。子供8人を含む19人が亡くなった。

 火災の1週間後、現場を訪れるとブルドーザーが行き交っていた。アパート、店舗などすべてが壊され、歩道はがれきの山。寒空の中、住民に即座に立ち退くよう命じる通知があった。トラックに家財道具を積む家族は「知り合いを頼って河北省に行く」と語った。

 火災現場は再開発地域に指定されている。11月初めに始まった立ち退き作業が火災後、一気に加速した。北京市トップの蔡奇同市党委員会書記が今年末までに違法な住宅や工場、店舗を一掃する大号令をかけたためだ。火災が起きたアパートも「違法建築」とされた。

 違法建築は窓がないなど住環境は劣悪だが家賃は格安で、北京以外から流れ込んだ低所得の労働者らが住む。市内各地で進む立ち退きを巡り、一部の学者や弁護士らは「出稼ぎ労働者の追い出しが目的」と批判。「すぐに立ち退きを迫るのは違法」との指摘もある。

 北京市は火災の前から違法建築を理由に、出稼ぎ労働者や外国人が開いた飲食店、小売店を相次いで閉鎖してきた。2017年1~6月の営業停止や閉店は計2万店という。衣類などの卸売市場も郊外に移した。「仕事を奪い、出稼ぎ労働者を追い出す狙いだ」との不満が高まっている。

 背景には市外からの流入人口を抑える政策がある。北京市の常住人口は16年末に2173万人。前年比の増加幅はわずか2万人で、出稼ぎ労働者ら北京戸籍がない外来人口は15万人減った。毎年の増加幅を圧縮して20年の人口を2300万人以下に抑え、その後も増やさない目標を掲げる。

 北京だけでなく、上海でも常住人口は16年末で2420万人と4万人の増加にとどまった。20年に2500万人、40年も「2500万人前後」を目標とする。すでに出稼ぎ労働者は学歴、技能などの理由で「居住証」が取得しづらくなった。

 生活環境の悪化や交通渋滞に歯止めをかける狙いだ。北京市トップの蔡氏は「郊外に都市機能を分散するしかない」と断言。蔡氏は習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近だ。その習指導部は17年4月、北京から南西に約100キロ離れた河北省に新都市「雄安新区」を建設し、大学などを移す方針を決めている。

 日本では東京、神奈川、埼玉、千葉の「東京圏」1.3万平方キロメートルに約3600万人が暮らす。一方、北京は1.6万平方キロメートルに約2200万人。計算上、北京の人口密度は東京圏の約半分だ。だが都心と郊外を結ぶ鉄道など公共交通インフラの整備が遅れ、先に自家用車が普及して深刻な道路渋滞が慢性化した。

 都市計画が追いつかない人口の膨張は生活環境の悪化などを招くが、都市への人口集積は技術革新を後押しし、労働生産性を高めるとの指摘が多い。むやみに人口を抑制するだけでは、将来の成長余地を狭めかねない。>(以上)

12/4facebookより<逼遷=強制取り壊し>多分北京の大興区ではないかと思われます。

https://www.facebook.com/100010739386824/videos/511835102517798/

人権が守られないのは共産国の共通した課題でしょう。中国人は家に人がいたとしてもブルドーザーを使い壊します。生きようが死んでしまおうが関係ありません。このような国が世界をリードするなんて、寝言をぬかすなと思います。

そもそも人間を「低端=low end」とスーパーやコンビニエンスストアの棚に並ぶ商品のように扱う事自体許されないでしょう。追い出しを喰らった10万人は実家に帰るしかありません。地方に職があればわざわざ都会に出て来て働くことはしないでしょうから、帰ったら失業することは目に見えています。社会保障が充実していない中国では「大躍進」時代ではないですが、餓死する危険性もあります。農業する土地も町や村に買い上げられ残っていないのでは。北村氏の言うように生活手段を考えてやってから、取り壊すべきと思うのですが、共産主義者にとって聞く耳はないでしょう。北京市書記の蔡奇は習に破格の昇進を受け、雄安新区を早く成功させようとの思いで邪魔になる農民工の住まいを取り壊したのでは。自分の出世の為には庶民が苦しもうとも関係ないというスタンスです。共産主義者だからなのか中国人だからなのか、小生はその両方と思っています。

中国は、その内に農民工を棄民として日本に送り込んでくる可能性もあります。今でも日本の健康保険を悪用している、踏み倒して帰ってしまうという事例があります。今の所、日本に来るのは富裕層でしょうけど。日本は中国の人口侵略に、土地の買い占め問題と共に真剣に対応策を考えていかないと。高級官僚はキチンと仕事をしなければ。

http://www.sankei.com/west/news/170508/wst1705080038-n1.html

記事

北京市は火災をきっかけに「工場アパート」の撤去に乗り出し、多くの出稼ぎ労働者が住む場所を失くすことに(写真:ロイター/アフロ)

 11月18日18時頃、北京市南部の“五環路(環状5号道路)”と“六環路(環状6号道路)”の間に位置する“大興区”の“西紅門鎮新建村新康東路8号”にある“聚福縁公寓(聚福縁アパート)”で火災が発生した。11月19日の“新華網(ネット)”はこの火災について次のように報じた。

工場アパートの閉鎖、違法経営の摘発を

(1)18時頃、北京市大興区西紅門鎮新建村で火災が発生した。“北京市119指揮中心(北市消防指揮センター)”<注>は18時15分に火災発生の通報を受け、消防部門は直ちに14の中隊と34台の消防車を現場へ急行させ消火活動を展開した。21時頃に火災は鎮火した。この火災による死者は19人、負傷者は8人であった。負傷者は現在治療を受けている。

<注>正式名称は“北京市公安局消防局119消防指揮中心”。北京市の消防局は本来の名称を“北京市公安消防総隊”または“中国武装警察部隊北京市消防総隊”と言い、“北京市公安局”と“中国公安部消防局”の二重の管轄下にある。消防局の隊員は武装警察官で構成されている。

(2)火災発生後、“北京市党委員会”書記の“蔡奇”と副書記で北京市長代理の“陳吉寧”は、即座に現場へ赴き緊急救助活動を陣頭指揮した。蔡奇は全力を挙げて現場における被災者の捜索と負傷者の治療を行い、後始末を十分に行い、市が先頭に立って調査チームを発足させ、事故原因を究明し、厳しく責任を追及するように要求した。また、「“挙一反三(一つの事から類推して多くの事を知る)”が必要であり、直ちに全市でローラー作戦を展開し、個々の村や居住区域をしらみつぶしに調査し、いかなる隠れた危険も見逃してはならない。さらに村・鎮に所在する“工業大院(工場アパート)”の閉鎖、違法経営の摘発をさらに進めねばならない。全ての区の全ての組織に主体的な責任を負わせ、安全生産と公共安全を確保しなければならない」と述べた。なお、今回の火災の原因は調査中であり、容疑者はすでに強制措置が採られている。

 火元となった聚福縁公寓は“新建一村”の十字路の片側にあり、周辺にはアパートや商店が立ち並んでいた。聚副縁公寓は長さ80m、幅76mの古びた3階建てのビルで、白かったはずの外壁は黒ずみ、電線が乱雑に掛かっていた。表から見れば3階建ての聚福縁公寓は実質4階建てで、地上3階、地下1階からなり、地上の1階部分はレストランや銭湯、加工工場、倉庫など、2階と3階の一部は貸室、地下1階は冷凍倉庫および工場となっていた。2階と3階の一部にある貸室は合計305室あり、全部で400人以上の人々が暮らしていた。

 上述した“工業大院(工場アパート)”とは零細企業に工場の場所を有料で提供する賃貸ビルを指し、土地を持つ地元の農民がカネ儲けのために安普請で建設したもので、工場を誘致したい村・鎮政府の意向と合致して各地で工場アパートが次々と建設された。そうなると工場で働く労働者の宿舎も必要になり、工場アパートに並行して居住用のアパートも続々と建設された。アパートの貸室には主として外地から働きに来た出稼ぎ者が住んだ。

聚福縁公寓は工場アパートとして建てられたビルだったが、5~6年前に地上2階と3階の一部を改造して10数m2程の部屋を305室作って貸室としたのだった。聚福縁公寓の正面には貸室の客を呼び込むための赤色の広告が掲げられていたが、そこには「聚福縁公寓」と大書した下に「室内設備:独立トイレ、熱水器、キッチン、暖房、ベッド、洋服ダンス、LANケーブルなど」と記され、「電話:15901222098、18911416568」と連絡先が表示されていた。なお、火災後にメディアがこの番号に電話を入れたが、1つは電源が切られていたし、もう一つは誰も出なかったという。

 さて、貸室の家賃は占有面積により異なるが、月400元(約6800円)~700元(約1万2000円)と安く、住民のほとんどは外地から来た出稼ぎ者だった。彼らの多くは1室に3~4人で住み、共同生活を送っていた。居住者の1人はメディアのインタビューに答えて、「1人で月600元(約1万200円)の部屋に住んでいるが、来月から月200元(約3400円)の暖房費を取って集中スチーム暖房が始まるはずだった。地下には倉庫や工場があるようで、しばらく前までは常にガタンガタンという音が聞こえ、変圧器のブレーカーがしばしば落ちた」と述べている。

有毒ガス発生、金網で逃げられず

 その後の調査により出火元は地下1階の冷凍倉庫であると判明した。倉庫内に貼られていたポリウレタンフォームが燃えたことにより毒性ガスが発生し、この毒性ガスが隣接する小さなアパレル縫製工場に流入したため多数の労働者が死亡した。また、2階には長さ60mの狭い廊下が2本しかなく、しかも薄暗い電灯が点いているだけだった。各部屋の窓には泥棒除けの金網が貼られていたため、煙の流入で火災発生を知った2階の住民たちは必死で金網を外そうとしたが、金網はびくともしなかった。そこで廊下に出た人々は煙が充満する中を手探りで1階の出口へ向かったが、同公寓には出入口が大門と小門の2カ所しかなく、大門は閉鎖されていたため、人々は小門からしか逃げられなかった。公寓から命からがら逃げ出した人々は誰もが全身煤まみれで、一部の人々は路上で吐いたし、子供の中には意識を失った者もいた。

 後に公表された火災による死亡者名簿の内容は以下の通り。彼らの死因は全て一酸化炭素中毒だった。

【1】山東省“郯城県”出身の男性(60歳)、その妻(58歳)、孫(男6歳)、孫(女1歳)

【2】河南省“拓城県”出身の女性(50歳)、孫(男1歳)、孫(女4歳)

【3】河北省“曲周県”出身の女性(31歳)、息子(1歳)

【4】陝西省“周至県”出身の女性(24歳)、息子(3歳)

【5】北京市大興区の子供(男11歳)、その弟(3歳)

【6】その他:河北省“深州市”出身の女性(27歳)、河北省“威県”出身の男性(30歳)、河南省“固始県”出身の男性(21歳)、黒龍省“五常市”出身の女性(42歳)、新疆ウイグル自治区“葉城県”出身の男性(26歳、ウイグル族)、吉林省“楡樹市”出身の男性(47歳)

 上記の通り【5】の2人を除く17人は全て外地の出身者であり、“県”出身者が大部分であることから農村からの出稼ぎ者およびその家族であることは明白である。彼らは故郷から北京市へ出稼ぎに来て、家賃の安い聚福縁公寓でつつましく暮らしていたが、不幸にも火災により命を落としたのだった。名簿からはアパレル縫製工場の労働者が何人死亡したのかは分からないが、死亡者19人中の8人が子供であったことは悲しい事実である。

出稼ぎ労働者を放逐、新都市計画を推進

 ところで、北京市党委員会書記の蔡奇は、どうして聚福縁公寓の火災現場において全市でローラー作戦を展開して隠れた危険をあぶり出すと同時に、村・鎮に存在する工業アパートの閉鎖と違法経営の摘発を行えと命じたのか。それは北京市の“城郷結合部(都市部と農村部の隣接地域)”にある出稼ぎ者主体の貧困者向けアパートや零細企業向け工場アパートを取り壊して新たな都市計画を推進するためである。貧困者向けアパートと工場アパートを兼ね備えた聚福縁公寓で火災が発生し多数の死亡者が出たことは、都市計画推進の理由付けとしては十分であり、この機を捉えて都市改造を進めると同時に外地から来た出稼ぎ者を駆逐するというのが本音と思われる。

 多数の新建村住民がメディアに語ったところでは、聚福縁公寓が所在する新建一村には違法建築が比較的多く、村の住人の多くが外地から来た出稼ぎ者であることから、新建一村は今年12月15日より前に建物の取り壊しと住民の移転を終わらせることを計画している。但し、現在までのところ住民の移転は進んでおらず、当該計画の進行は遅滞している。新建一村の掲示板に張り出されていた『通知書』には、「西紅門鎮は北京市の“城郷結合部”改造のモデル鎮として、都市部と農村部の様相を徹底的に改善し、都市部・農村部一体化の進行を加速させるべく、西紅門鎮の新建一村、“新建二村”、“新建三村”、“新建四村”と“北京市五連環投資有限公司”による“工業大院(工場アパート)”の明け渡し・取り壊し作業を2017年11月2日にから開始する」と記されていた。こうして見ると、聚福縁公寓の火災は遅々として進んでいなかった建物取り壊しと住民移転を促進させる作用をもたらした。

 この動きに呼応するかのように、11月21日には大興区の北部に位置する“旧宮鎮”の地元政府が次のような緊急通知を布告したことがネットに掲載されて話題になった。

《緊急通知》

 “大興区政府”および“旧宮鎮政府”の通知に応じ、北京市政府の関係文章の要求に基づき、本地区にある全ての“公寓(アパート)”および“出租房屋(貸室)”は5日間を期限として大至急清算し、返却することを要求する。11月26日には水、電気、ガスを強制的に停止する。全ての居住者はこの期限前に完全に退去することを要求する。この期限を過ぎても退去しない者は本公司および政府が強制的な措置を採るが、その結果は自己責任である。

2017年11月21日

 要するに、11月18日夜に聚福縁公寓の火災現場で北京市党委員会書記の蔡奇がローラー作戦を展開しろと命じたことを契機として、北京市は全市を上げて“城郷結合部”の改造に着手したのである。上述したように聚福縁公寓が所在する新建一村では11月2日から工場アパートの明け渡し・取り壊しが始まり、聚福縁公寓もその例外ではなく、一部の住民はすでに退去していたが、大多数の行き場のない人々は依然としてアパートの貸室に留まっていたし、地下のアパレル縫製工場も残留して稼働していた。そんな最中に火災は発生したのだった。本来11月18日には地下にある冷凍倉庫や工場に対する法執行が行われる予定だったが、週末を理由に2日間延期された。法執行が2日間延期されなければ、火災は発生しなかったに違いない。

零下の寒空に橋脚の下で寝泊まり

 聚福縁公寓の周辺では翌19日から住民の強制立ち退きが開始され、アパートや工場アパートの取り壊しが始まり、ホテルやレストランを始めとする各種商店は移転を余儀なくされた。この動きは上述した大興区内の西紅門鎮や旧宮鎮のみならず、全市の“城郷結合部”に拡大し、非公式な統計によれば、北京市全体で11月19日中に1万人以上の外地から来た出稼ぎ者が従来の住居から強制退去させられたし、11月24日までには1000棟近いアパートと工場アパートが違法建築や違法経営などの各種名目で取り壊され、強制退去させられた出稼ぎ者の数は10万人を超えたという。

 外地から来た出稼ぎ者たちは、その多くが上述の大興区西紅門鎮新建村のほか、“通州区馬駒橋鎮”、“豊台区盧溝橋郷張儀村”などの“城郷結合部”に居住して、縫製、飲食、物流、建築などの産業に従事していた。ところが、彼らが住居から強制退去させられて通常通りに働けなくなったことで、彼らを雇用していた業界は大きな影響を受けている。その最たるものは物流業界であり、彼らを配達員として大量に雇っていた“快逓公司(宅配便会社)”の一部では配達員不足により北京市内の宅配業務を停止さざるを得ない状況に陥った。

 北京市の天気は聚福縁公寓火災が発生した11月18日が晴れで、気温は最高5℃、最低零下6℃であった。翌19日は曇りで、最高7℃、最低零下5℃であった。乾燥している北京市の寒さは、室内から外へ出てすぐは気温が零下でもさほど寒いとは感じないが、しばらくすると底冷えして凍り付くような痛みを感じるようになる。そんな気候の中を10万人以上もの人々が住み慣れた住居から強制退去を命じられたのである。メディアによれば、零下5℃の寒空の中で立体交差橋の橋脚の下で寝泊まりする人々の姿が目撃されたという。

 強制退去させられた人々が向かう先は“城郷結合部”からさらに奥に位置する環状6号道路の外側にある辺ぴな地域しかないが、そこに10万人以上の人々を受け入れる貸室があるとは思えない。しかし、所得の少ない彼らに支払える家賃には限界があり、住める地域は限られる。どうしても貸室が見付からなければ、故郷へ戻るしかないのだ。

“低端人口”を整理・抑制

 実は2011年4月25日にも大興区旧宮鎮で300m2を焼失する火災が発生し、死亡者17人、負傷者25人(含女児2人)を出したことがあった。火災が起きた建物は2010年に建てられた違法建築で、4階建てで38室の貸室あり、80人前後の人々が住んでいたが、消防安全措置は全く取られていなかった。死亡者17人中の13人は建物1階にあった零細なアパレル縫製工場の労働者で、外地から来た出稼ぎ者であった。この旧宮鎮の火災と聚福縁公寓の火災は6年の年月を隔てながら共通点を持っている。それは現場が工場アパートであることと、犠牲者の多くが労働集約型産業のアパレル縫製工場で働く出稼ぎ者であったことである。火災発生場所が旧宮鎮の現場から聚福縁公寓の現場まで7km南下しただけで、出稼ぎ者が犠牲となる構図は何も変わっていない。

 ところで、上述した北京市の“城郷結合部”改造計画に関連して、市内の“石景山区”、“海淀区”などの区政府が発行する公文書に、「“低端人口”を整理する」、「“低端人口”の流入を厳しく調整する」、「“低端人口”を抑制する」といった記述のあることが発見され論議を呼んでいる。“低端人口”とは「低級人口」の意味で、最下層に位置づけられる外地から流入した出稼ぎ者を指す。公文書の中であからさまに「低級人口を整理する」、「低級人口を抑制する」と記載する真意は、最下層の出稼ぎ者を北京市内から駆逐することにある。これは大都市への人口集中を抑制する政策の一環であり、北京市だけの問題ではないと思うが、出稼ぎ者を低級扱いするとは言語道断と言わざるを得ない。

 それにしても、10万人以上の人々を従来の住居から強制退去させるなら、予め然るべき受け皿となる居住場所を準備するのが為政者としての務めだと思うのだが、彼らを路頭に迷わせて泰然としている所はさすがと言うしかない。しかし、彼らは低賃金で働く最下層の出稼ぎ者が北京市にどれだけ大きな貢献を果たしているかを理解していないようだ。

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