『韓国国会、朴槿恵弾劾案を可決 混乱はこれからだ』(12/9日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『「美し過ぎた自画像」が呼んだ朴槿恵弾劾 韓国人は「一流国ではありえない事件」に怒った』(12/10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

そもそも事後法当たり前の法治国家でない国が、一流国家と思う所に驕りが透けて見えるというもの。片腹痛い。自分を客観的に見えない、「恨」という情緒に左右される民族です。“It is not my fault”としか考えない人達です。基本的に韓国との間合いは古田博司教授の言う『非韓三原則=助けない、教えない、関わらない』で行くべきです。朴槿恵大統領は憲法裁判所で弾劾が否決されても任期は18年2月で終わりです。次期大統領に誰がなろうとも反日を貫くことは間違いありません。日本もしっかりと反韓を貫くべきです。相互主義の原則です。幸い米国もトランプが大統領になり、上・下院とも共和党が多数を占めました。日本が韓国のしてきたことをキチンと説明すれば、日本が助けないことも理解してもらえるでしょう。どうせ昨年末の慰安婦合意は破棄するでしょうから。手切れ金ですし、約束を破った以上、韓国は「嘘つき」という事で「従軍ではない」ということも世界にアピールできるのでは。ついでに「朝日新聞が虚報を流したのが原因」と世界に主張していけばよいでしょう。事実ですから「言論弾圧」には当たりません。廃刊させないと。でもまだ朝日を読んでいる人の気が知れませんが。外務省よ、しっかり仕事をしろと言いたいです。

米国で弾劾・罷免された大統領はいません。この前9月にはブラジルのルセフ大統領が弾劾・罷免され、後任にテメル副大統領が昇格しました。ルセフは左翼ゲリラ出身です。ブラジルはGDPで世界9位、韓国は世界11位の民主主義国家(選挙があるという意味で)です。弾劾は民主主義の成熟度を表すのかどうか?一党独裁で指導者を下野させる仕組みを持たない共産主義国家よりはましとは言えますが。そもそも権力を利用して金儲けをする人間をリーダーとして選んだのは、成熟した国とは言えないでしょう。偏向マスコミのバッシングにあっているトランプは「利益相反」になるので、事業経営から身を引くという事です。身ぎれいにしないと。朴大統領が崔の財団から金を回して貰っていたのかどうか不明です。検察は共謀があったとしていますが、今の所、推定無罪です。憲法裁判所が罷免させるべきかどうか検討する中で、事実が明らかになるのでは。まあ、職務停止して大騒ぎしていて貰った方が、日本におねだりに来れないので非常に良いですが。世界に日本を貶める活動をしていながら、日本を強請ろうというのですから乞食国家、暴力団国家としか言えないでしょう。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2016/12/09/0900000000AJP20161209001000882.HTML

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朴槿恵大統領の弾劾を求める群衆が国会議事堂前に押し寄せる中、弾劾訴追案が可決された(写真:ロイター/アフロ)

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12月9日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の弾劾訴追案が国会で可決された。韓国の混乱はこれから始まる。

与党から62人が賛成

与党セヌリ党からも128人中、半数近い62人が賛成に回った模様。賛成総数は234票で反対は56票、棄権が2票、無効が7票。セヌリ党の重鎮議員1人が投票しなかった。在籍議員300人の3分の2を超えたので弾劾訴追案は国会を通った。国会議事堂に「弾劾可決」を要求する群衆が押し寄せる中での可決だった。

朴大統領への弾劾の事由は大きく分けて2つ(「弾劾の主な理由」参照)。40年来の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏の国政壟断を助けたこと。もう1つは2014年4月の旅客船「セウォル号」の沈没の際に大統領として適切に対応しなかったことだ。

  • 韓国国会が掲げた弾劾の主な理由
  • 崔順実氏を国政に介入させ、憲法の国民主権、代議制民主主義、閣議に関する規定、大統領の護憲義務などに背いた
  • 崔氏が主導して設立した「ミル財団」と「Kスポーツ財団」の資金集めに関与したことは贈収賄罪に当たる
  • 両財団に大企業が寄付金を拠出したことに関連、職権乱用・強要罪が成立する
  • 青瓦台の機密文書が外部に流出したことは「文書流出および公務上の機密漏えい罪」に当たる
  • 旅客船セウォル号沈没事故への対応の不備は生存権を保障する憲法に違反する

弾劾訴追案の可決により朴大統領は職務停止処分となり、黄教安(ファン・ギョアン)首相が大統領の権限を直ちに代行する。

同日午後7時過ぎ、黄首相は大統領権限代行として初めて閣議を主宰。「北朝鮮が核・ミサイル以外にも挑発してくる可能性があるので備えるように」と指示した。

今後、180日以内に憲法裁判所がこの弾劾訴追案が合憲か否かを審理する。合憲判断が出て弾劾が成立すれば、直ちに朴大統領は退陣。60日以内に選挙を実施し、任期5年の新たな大統領を選ぶ。違憲なら朴大統領は大統領職に復帰する。

朴大統領は12月9日午後5時から国務委員懇談会を開き「「私の不徳により国家的混乱を招いたことをお詫びする。国会と国民の声を厳粛に受け止める」と述べた。さらに「憲法と法律の定めた手続きに従い、憲法裁判所の弾劾審判と特別検事の捜査に淡々と応じたい」と語った。

与党の党舎に卵

「違憲→続投」の場合、韓国全土でこれまで以上に激しいデモが巻き起こるのは間違いない。メディアが連日「朴槿恵の悪行」を報じた結果、約80%の国民が弾劾に賛成しているからだ。週末恒例となった「退陣デモ」の参加者数は増える一方である。

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デモが過激化すれば、政権は厳しく対応するしか手がなくなる。戒厳令の発動まで検討するかもしれない(「朴槿恵の下野か、戒厳令か」参照)。その際、韓国政治は1987年までの「権威主義体制による抑圧」の時代に逆戻りする。

ただ、憲法裁判所が判断を下す前に、次の大統領選をにらんで政界が動き出す可能性が大きい。それが泥仕合に陥れば、やはりデモが国会を包囲するだろう。

12月3日には、弾劾に反対する与党「セヌリ党」に憤った群衆が同党党舎に押しかけ、卵を投げつける事件も起きている。

大統領代行は超タカ派

野党第1党の「共に民主党」は、少しでも早い大統領選挙の実施を望む。早ければ早いほど、自分に有利だからだ。

憲法裁判所が最長の180日かけて審理すれば、仮に合憲と判断しても選挙は2017年8月にずれ込む。国民がその時まで朴大統領の母体となった「保守」候補への怒りを維持しているかは疑問だ。

そのうえ、保守・中道政党から出馬する可能性の高い潘基文(バン・キムン)国連事務総長が選挙戦への体制を整えてしまう。潘氏の事務総長としての任期は2016年12月末で、それまでは動けない。

さらに、大統領権限を代行する黄首相は検事出身の超タカ派だ。2014年に朴政権が左派の「統合進歩党」を北朝鮮と内通する危険な団体として解散させた際、法務長官として中心的な役割を担った。左派は大統領選挙も控え「何をするか分からない」超タカ派の大統領代行に警戒せざるを得ない。

そもそも、憲法裁判所が弾劾訴追を合憲と認めるかも未知数だ。それには裁判官9人のうち6人が合憲と判断する必要があり、ハードルはかなり高いと見る専門家が多い。

このため、朴大統領を引きずり降ろすのに時間もかかるうえ、不確実な「弾劾」には、共に民主党から出馬すると見られる文在寅(ムン・ジェイン)議員は当初は消極的で「即刻下野」を訴えてきた(「『21世紀最大のデモ』で朴槿恵退陣に現実味」参照)。

その野党が弾劾に動かざるを得なくなったのは「時間稼ぎ」を狙う朴大統領側が、野党を弾劾に誘導する「捨て身の作戦」を採ったからだ(「『弾劾訴追』は朴槿恵の『真田丸だ』」)参照。

「ふてぶてしい」

結局、「共に民主党」は表「4つの『朴大統領処遇案』」のうち、④「弾劾」を選択しながら②「即刻下野」も求めることになろう。12月5日、文在寅議員は「弾劾が議決されれば(朴大統領は)即刻辞任すべきだ」と演説している。

  • 4つの「朴大統領処遇案」
①権限の削減 外交・安保だけは任せる仏型と、象徴大統領の2案
②即時下野 60日以内に選挙。その間、現首相が大統領権限代行に
③秩序ある退陣 2017年4月の大統領選挙を想定。改憲を絡める案も浮上
④弾劾 国会で弾劾訴追を決議、180日以内に憲法裁判所が可否判断

11月30日に「大統領の疑惑」を調べる特別検察官が任命された。12月中旬から105人体制で捜査する予定だ。

国会の特別調査委員会も設立された。しかし、12月7日の聴聞会に呼ばれた崔順実氏らは出席を拒否。国民は「ふてぶてしい」とますます怒った。

12月6日、ハンギョレは、旅客船「セウォル号」が沈んだ2014年4月16日に朴大統領が美容師を青瓦台(大統領官邸)に呼んで1時間半かけて髪をセットしたと報じた。

朴大統領、セウォル号沈没時、ヘアセットのために90分を費やす」(12月7日、日本語版)がそれだ。朴大統領は事故発生後の7時間の間、誰の前にも姿を現さず、未だに何をしていたのか明らかにしていない。ハンギョレの報道は国民の憤怒をさらにかき立てた。

同党はこうした怒りも名分に「即時下野」の声を上げることになりそうだ。もちろん膨れ上がるであろう「退陣デモ」も活用するに違いない。

一方、与党「セヌリ党」は③「秩序ある退陣」――党論として決めた「4月退陣・6月選挙」を主張し続けるだろう。もし憲法裁判所が早い段階で合憲との判断を下せば、態勢を整える前に大統領選挙を迎えてしまう。

非朴派から62人の「弾劾」賛成議員を出したものの、彼らとて「国民の怒り」に押されて賛成に回った側面が強く、早期の選挙を避けたいのは同じだ。

中道を自称する野党第2党「国民の党」は「ワイルドカード」になりそうだ。大統領を狙う安哲秀(アン・チョルス)議員が設立した党だが、本人の人気が今ひとつ伸びない。セヌリ党の非朴派との合併案や、潘基文氏を大統領候補に担ぐ案が取りざたされている。

麻生財務相「スワップに動けない」

弾劾訴追案は可決されたが、不透明感は増す一方だ。国会が次期大統領選の駆け引きの舞台となるからだ。国民のイライラは募るだろう。いつまで平和的なデモが続くかは分からない。

韓国人が政争に明け暮れる間、世界は急速に変化する。米利上げを見込んで、ホットマネーが途上国から米国に戻り始めた。

韓国メディアは「第2の通貨危機が来る」と警鐘を鳴らすが、政争の余波で日本との通貨スワップ締結は進まない。12月2日、麻生太郎財務相は「(韓国の)誰が話を進めるのか全然分からないので、交渉のしようがない」と述べた。

北朝鮮は着々と核開発を進め、核武装は目前だ。「トランプの米国」は中国との対決姿勢を強める気配だ。韓国は米中どちら側の国なのか、踏み絵を迫られるだろうが、それを決める人はもういないのだ。

次回に続く=12月10日公開予定)

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写真は2013年2月、朴槿恵大統領の就任式。国民の期待に応えることを誓ったが…(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

韓国人はなぜ、唐突に大統領を弾劾するに至ったのだろうか。

怒りに油を注ぎ続けた大統領

鈴置:12月9日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が国会で弾劾訴追されました。韓国は当分の間、混乱すると思われます(前回を参照)。

—なぜ、弾劾という激しい事態に至ったのか、今ひとつ理解できません。

鈴置:国民の怒りです。大統領に対する怒りが爆発したのです。12月3日の退陣要求デモにはソウルに32万人、全国で43万人が参加しました。警察発表の数字です。主催者側発表では170万と232万でした。

いずれにしても過去最高です。11月20日に検察が崔順実(チェ・スンシル)氏らを起訴した際に「朴大統領も共謀した」と発表したことで怒りがますます燃え上がりました。

さらに11月29日、大統領が3回目の国民談話を発表したことも参加者を増やしました。道義的な責任は認めても「犯罪」は認めなかったからです。

「任期短縮を含め自らの進退は国会に任せる」と下野を示唆する発言もしましたが、意見を集約できない与野党に責任を押し付けて延命する作戦との疑いを呼びました。

在野勢力や野党など左派は、これに対抗するためにも「即時辞任」を求める大型デモを繰り広げたのです。

「いつものこと」では?

—権力者と周辺が思いのままに振る舞う――。韓国では「よくあること」ではないのですか。

鈴置:確かに、韓国では歴代大統領の親戚が必ずと言ってよいほど不正に関与しました。そして、それが理由で弾劾された大統領はいません。だから日本人は「なぜ、朴大統領だけが指弾されるのか」と首を傾げるのでしょう。

  • 韓国歴代大統領の末路
①李承晩(1948年7月―1960年4月) 不正選挙を批判され下野、ハワイに亡命。退陣要求のデモには警察が発砲、全国で183人死亡
②尹潽善(1960年8月―1962年3月) 軍部のクーデターによる政権掌握に抗議して下野。議院内閣制の大統領で実権はなかった
③朴正煕(1963年12月―1979年10月) 腹心のKCIA部長により暗殺。1974年には在日韓国人に短銃で撃たれ、夫人の陸英修氏が殺される
④崔圭夏(1979年12月―1980年8月) 朴大統領暗殺に伴い、首相から大統領権限代行を経て大統領に。軍の実権掌握で辞任
⑤全斗煥(1980年9月―1988年2月) 退任後に親戚の不正を追及され隠遁生活。遡及立法で光州事件の責任など問われ死刑判決(後に恩赦)
⑥盧泰愚(1988年2月―1993年2月) 退任後、全斗煥氏とともに遡及立法により光州事件の責任など問われ、懲役刑判決(後に恩赦)
⑦金泳三(1993年2月―1998年2月) 1997年に次男が逮捕、懲役2年判決。罪状は通貨危機を呼んだ韓宝グループへの不正融資関与
⑧金大中(1998年2月―2003年2月) 任期末期に3人の子息全員が斡旋収賄で逮捕
⑨盧武鉉(2003年2月―2008年2月) 退任後、実兄が収賄罪で逮捕。自身も2009年4月に収賄容疑で検察から聴取。同年5月に自殺
⑩李明博(2008年2月―2013年2月) 2012年7月、実兄で韓日議員連盟会長も務めた李相得氏が斡旋収賄などで逮捕、懲役2年
⑪朴槿恵(2013年2月―) 2016年12月、国会から弾劾訴追される

2004年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も弾劾訴追されましたが、理由は選挙の際に中立を保たなかったことでした。

国会が弾劾訴追した後、憲法裁判所は弾劾するほどの罪ではないと棄却したので盧大統領は職に戻りました。なお、この時に訴追の先頭に立ったのは当時、野党の指導者だった朴槿恵氏でした。

後進国を超えたはずだ

—ではなぜ今回、韓国人はそんなに怒ったのでしょうか。

鈴置:韓国人は「今度こそ、そんな不正は起きない」との期待を抱いていた。それを朴大統領によって裏切られたからです。

「朴大統領はすべての近親と絶縁しているから不正は起きようがない」と信じていたのです。結局は親戚の代わりに40年来の友人が不正の温床になったのですけれど。

注目すべきは「期待の源泉」が朴大統領だけではなかったことです。2010年頃から韓国人は「大韓民国は世界に冠たる立派な国になった」との強烈な自信を持つようになった。その自信が大いに裏切られたのです。

デモに参加した人は口々に「これでも国か」と叫んでいます。10年前だったら「我が国はこの程度の水準だ」と自虐的に眺めた事件でも「一流国家」になった以上、許せないのです。

朝鮮日報の朴正薫(パク・ジョンフン)論説委員――東京特派員の経験もある記者が、象徴的なコラムを書いています。「すべてが大統領だけのせいなのだ」(11月25日、韓国語版)です。記事のポイントを訳します。

  • 私たちは先進国のとば口まで来たと思っていた。経済力はもちろん、国家の風格も文化水準も開発途上国を超えたと信じていた。それが崩れた。
  • 影の権力者の暗躍、政権の恐喝、特権層のやりたい放題……。すべてが後進国の病だ。この惨憺たる実相を前にしても先進国をうんぬんするのなら、厚かましいことこの上もない。
  • 先進国にも不正と非理はある。しかし、腐敗が片隅にでも生まれれば、誰かがホイッスルを吹く。我々の場合、崔氏一党がひっかき回している最中、誰も警戒音を鳴らさなかった。

異様な高揚期に

—なるほど。韓国人は「先進国になった!」と信じていたのですね。

鈴置:今回の騒ぎを理解するには、まずそれを知る必要があります。2008年の世界同時不況を韓国はうまく切り抜けた。1997年に通貨危機に陥り、IMF(国際通貨基金)に救済された時とは様変わりでした。

GDPも世界で10位近くの規模に膨らみ「統一すれば世界で5位の経済力を持つ」との見方が広がりました。1人当たりGDPでも日本に追いつきそうになりました。

国際政治の場でも「日本を超えた」と韓国人は確信しました。民主党時代の日本は米国とも中国とも関係を悪化させた。反対に韓国人は、自分は米中双方と極めて良好な関係を築いたと信じたのです。

李明博(イ・ミョンバク)政権時代の話ですが、G20と核セキュリティ・サミットを2010年と2012年に、いずれも日本よりも先に主催しました。

2010年頃から韓国メディアには「一流国家韓国」「世界で尊敬され称賛される韓国」「日本を超えた韓国」との言説が溢れ返るようになりました。

韓国は精神の高揚期に入ったのです。史上初のことでしょう。朴槿恵政権が「米中を後ろ盾に日本と北朝鮮を叩く」外交を展開したのも、こうした背景があったからです。

韓国の主な「卑日」

「従軍慰安婦」像設置
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、韓国政府主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。
大統領の竹島上陸
2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。
天皇謝罪要求
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。
対馬の仏像窃盗
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。2015年7月18日に1体だけ日本に返還。
中国人放火犯の本国送還
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、日本に引き渡さない決定を下した。日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。
朴大統領の「告げ口外交」
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。
産経元支局長起訴
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。報道の元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。同年12月17日に無罪判決、同月に確定。
安倍首相の米議会演説阻止
2015年2月に聯合ニュースが「在米韓国人、演説阻止へ」と報道以降、韓国は大統領、外相、国会議長、学者らが世界の要人を対象に、同年4月の安倍首相の米議会演説を阻止する運動を展開した。阻止できないと判明後は、演説に慰安婦への謝罪を盛り込ませるよう米国に要求した。メディアも連日、阻止キャペーンを張った。韓国の国を挙げての筋違いで執拗な要求に、米政界では「韓国疲れ」という言葉が使われた。

「日本は下」を訴える聖戦

—なぜ、日本を叩いたのでしょうか。

鈴置:「日本よりも韓国が上である」ことを自ら実感し、世界にも示すには「日本を叩く」ことが必要だったのです。韓国では強い者が弱い者を徹底的に叩きます。その姿を周囲に見せてこそ、本当に強い存在となれるのです。

だから大統領が世界の指導者と会うたびに、若者は留学先の大学で外国人と話すたびに日本の悪口を言うようになったのです。朴正薫・論説委員のコラムに以下のくだりがあります。

  • 我々は自らを過大評価してきた。日本と肩を並べたと気炎を吐いた。「地球上で日本を見下す国は韓国だけ」と外国人が驚いた。どれだけ空しい誇大妄想だったのか分かる。

2010年頃から韓国紙やSNS(交流サイト)で「地球上で日本を見下す国は韓国だけ」という言説が目立つようになりました。

「外国人が驚いた」という部分――。朴正薫・論説委員は「韓国人の傲慢さに外国人が驚いた」との意味で引用しています。

人によっては「韓国は日本の上の存在である。しかるにそれを初めて知って驚く外国人もいる。韓国が上になったことを世界に知らしめねばならぬ」との文脈の中で使います(「これが『卑日』だったのか――」参照)。

その頃から始まったジハード(聖戦)とも言うべき「卑日」運動には、そんな願いが込められているのです。

価値観を共有しない国

—「世界に冠たる韓国」という自画像を「他画像」に昇格したいのですね。

鈴置:その美しい自画像をぶち壊したのが朴大統領でした。「先進国ではあり得ない事件」が起きたと考えた韓国人は恥じ入ったのです。

各紙のシニア記者が「外国で朴大統領のために見下された体験」を一斉に書きました。と言っても「大変ですね」と言われたぐらいの話なのですが。メディアには、怒りを煽って大統領を退陣に追い込もうとの計算もあったと思います。

—韓国は「世界の笑い者になった」のでしょうか。

鈴置:自意識過剰だと思います。怪しい政治指導者なら世界中にごまんといます。米国では暴言を吐きまくる人が大統領に選ばれたばかりです。日本だって、意味不明の発言を続ける「宇宙人」を首相にしてしまいました。

そもそも今の韓国を「政権末期のいつもの泥仕合をまた、やっているな」くらいに見ている日本人が多いと思います。韓国を成熟した民主国家――法治国家と見なす人は少ないですしね。

2014年に産経新聞の支局長が朝鮮日報の記事を引用して記事を書いたら起訴され、出国停止処分になりました。韓国の保守系紙は政府のちょうちんを持って「けしからん日本の記者は起訴されて当然」と合唱しました。

「米国との関係が悪化する」と懸念した新聞はありました。しかし無罪判決が出るまでの間、法の恣意的な適用の観点から起訴を批判した韓国紙は私の見た限り、「ハンギョレ」だけでした。「法を尊重する」意識が日本や西欧と全く異なるのです。

この起訴以降、日本政府は韓国に関する公式見解から「基本的な価値観を共有する」との文言を落としました。

米国務省も「韓国の言論弾圧への懸念」を表明しました(「北朝鮮にどんどん似てきた韓国」参照)。だから今さら「世界の笑い者になる」心配はないのです。

—高揚感から突然の自信喪失。韓国は大丈夫でしょうか。

鈴置:大丈夫ではないと思います。

(次回に続く=12月11日掲載予定)

「国政壟断事件」の動き(2016年)

7月
26日 TV朝鮮「財界の文化財団『ミル』への486億ウォンの募金に青瓦台幹部が関与」
10月
24日 JTBC、大統領演説の草稿など機密資料が崔順実氏に漏えいと報道
25日 朴大統領が資料提供を認めて国民に謝罪
   
26日 検察が崔氏自宅など家宅捜索。外交資料なども漏洩とメディアが報道
28日 朴大統領は首席秘書官全員に辞表を出させる。秘書室長が辞表提出
28日 韓国ギャラップ「朴大統領の支持率が6週連続で落ち、過去最低の17%に」と発表
29日 青瓦台、検察の家宅捜索を拒否。ソウルで1万人強の退陣要求デモ
30日 青瓦台、検察に資料提供。朴大統領は一部首席秘書官らを辞任させる
30日 与党、挙国一致内閣を提案するも野党は真相究明が先と拒否
30日 崔順実氏帰国、31日に検察に出頭、逮捕状なしで緊急逮捕
31日 リアルメーター「潘基文氏の支持率が前週比1.3ポイント低い20.9%に」
11月
2日 朴大統領、首相を更迭し、後任に盧武鉉時代に要職を歴任した金秉準氏を指名
2日 野党各党、新首相の就任に必要な国会聴聞会を拒否することで一致
2日 検察、安鍾範・政策調整首席秘書官を緊急逮捕
3日 検察、崔順実氏を逮捕。容疑は「安鍾範氏と共に財閥に寄付を強要した」職権乱用など
4日 韓国ギャラップ「朴大統領の支持率は過去最低の5%、不支持率は89%」と発表
4日 朴大統領「検察の捜査受ける」と国民向け談話。野党は「退陣要求運動を展開する」
5日 ソウルで4万5000強人の退陣要求デモ。釜山など他都市にも拡散
6日 禹柄宇・前民情首席秘書官が検察に出頭
7日 与党・セヌリ党の金武星議員、大統領に脱党を要求
7日 朴大統領、与野党代表との会談を提案するも3野党に拒否される
8日 ソウルで4万5000強人の退陣要求デモ。釜山など他都市にも拡散
8日 検察、崔順実氏に関連するとしサムスン電子本社や大韓乗馬協会を家宅捜索
8日 朴大統領、丁世均・国会議長を訪ね「国会が推薦する総理を受け入れ、内閣を任せる」
9日 野党3党、朴大統領の国会推薦総理案を「一考の価値なし。大統領は2線に引け」と拒否
9日 米次期大統領にトランプ氏決定
11日 韓国ギャラップ「11月第2週の大統領支持率は前週と同じ5%。不支持率は最高の90%」
12日 全国で朴大統領の退陣求める集会。ソウルでは26万人参加
13日 検察、「国政壟断事件」でサムスン電子の李在鎔・副会長ら財閥トップを参考人として聴取
13日 青瓦台「昨日、大統領は国民の声を重く受け止めた。国政正常化のため苦心している」
13日 検察、国政壟断事件に関連し朴大統領に15日か16日の参考人事情聴取を要請
13日 金武星・前セヌリ党代表「唯一の収拾策は大統領弾劾」
14日 与野党、国政壟断事件に関する特別検察官の任命で合意
14日 共に民主党、大統領に対する要求を「2線への後退」から「即時退陣」にと強化
14日 秋美愛「共に民主党」代表、早朝に大統領との会談を受諾したものの同日夜に拒否
14日 日韓、東京でGSOMIAに仮署名
15日 文在寅「共に民主党」元代表「条件なき退陣求め在野団体と『非常時局機構』作る」
16日 韓国軍「2017年初めまでにTHAAD工事着工」と発表
16日 朴大統領、釜山の大型不動産開発事業「エルシティ」を巡る疑惑の徹底調査を指示
17日 崔順実氏の国政介入疑惑に関し、特別検察官任命法案と国政調査実施を可決
18日 韓国ギャラップ「11月第3週の朴大統領の支持率は5%、不支持率は90%」
18日 秋美愛「共に民主党」代表「大統領は支持者による衝突と戒厳令を準備している」
18日 青瓦台「東京での韓中日首脳会談の日程が決まれば朴大統領は参加する」
19日 退陣デモ。全国で24万人、うちソウルは17万人(警察発表)。支持デモに1万1000人(同)
20日 検察、崔順実氏らを職権乱用共犯などで起訴。「大統領も共謀と判断、捜査続ける」と発表
20日 朴大統領の弁護士「検察は想像と推測で捜査、対面調査には応じない」
20日 青瓦台「検察の発表は遺憾。特別検察官の捜査で無実を証明する」
20日 野党の大統領選立候補予定者ら8人「国民的退陣運動と平行し弾劾推進論議で合意」
21日 青瓦台スポークスマン、退陣を前提とした野党の首相推薦は拒否
21日 第1野党「共に民主党」と第2野党「国民の党」がそれぞれ弾劾推進を決定
22日 朴元淳・ソウル市長、閣議で閣僚辞任要求と日韓GSOMIAへの反対を表明
22日 崔順実疑惑を解明するための特別検察官任命法案を閣議決定
23日 ソウルで日韓GSOMIA署名・締結。写真撮影禁止に韓国写真記者が一斉抗議
24日 野党3党、朴大統領弾劾で合意
25日 韓国ギャラップ、11月第4週の朴大統領の支持率は4%、不支持率は93%
26日 5回目の退陣要求デモ。参加者はソウル27万人、全国32万人
28日 朴大統領の弁護士「求められた29日までの検察の対面調査は困難」
28日 政界元老集団と与党の「親朴」重鎮議員らがそれぞれ秩序ある退陣を朴大統領に要請
28日 教育部、国定歴史教科書の内容を開示
29日 朴大統領、3回目の国民談話を発表「任期短縮を含め進退は国会にすべて任せる」
30日 野党3党「無条件退陣の要求」と「弾劾推進」で合意
30日 朴大統領、国政壟断事件の特別検察官に元ソウル高検検事長の朴英洙氏を任命
12月
1日 セヌリ党、「4月退陣」を党論に決定
1日 朴正煕元大統領の生家に放火。犯人は「大統領が退陣しないので火を付けた」
2日 韓国ギャロップ、12月第1週の朴大統領の支持率は4%、不支持率は91%
2日 セヌリ党非朴派「12月7日午後6時までに退陣時期明言なければ弾劾に賛成」
3日 野党3党、朴大統領の弾劾訴追案を提出
3日 6回目の退陣要求デモ。参加者はソウル32万人、全国で43万人
4日 セヌリ党非朴派「4月退陣案への大統領の姿勢とは関係なく弾劾訴追案に賛成する」
5日 青瓦台「『4月退陣・6月大統領選』案を朴大統領はセヌリ党員として受け入れる」
6日 国会で「国政壟断」に関する聴聞会。財閥オーナー9人が証人として出席
6日 朴大統領「4月退陣受け入れる。弾劾可決時には憲法裁判所の審理を見守る覚悟」
6日 セヌリ党、弾劾訴追案は自由投票と決定
7日 国会で「国政壟断」に関する聴聞会。証人喚問された崔順実、禹柄宇氏らは欠席
8日 弾劾訴追案、国会本会議に報告。「セウォル号沈没当時の大統領の行為」は削除せず
9日 国会、朴大統領の弾劾訴追案可決。賛成は234票でセヌリ党から62人が賛成

※注 デモの参加者数は警察発表

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