『反中に傾く世界、ジョージ・ソロスが「習近平は最も危険な敵!」と断言』(2/27ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『ファーウェイは米中協議の隠れた主役』(2/27日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

2/26希望之声<无国界记者将发表权威报告 列举中共染红海外传媒的完整名单=国境なき記者団は権威のある報告を発表 中共が赤く染めている海外メデイアのリストを列挙>華為の副総裁の孟晩舟の逮捕は世界規模で華為を封じ込め、中共の国際的な浸透を阻止させた。25日、国境なき記者団は台北で記者会見を開き、3月には“中国の新世界通信秩序”を発表すると。外部は、中共がこの10年世界のメデイアに如何に浸透してきたかが分かっている。フェイクニュースを利用し、中共のイメージを誇大に宣伝して来た。下のリストは2007年に開催された「世界中華文化メデイア論壇」に出席したリストである。この数百に及ぶメデイアは5大陸全部含まれている。ネチズンは揶揄って、「全部フェイクメデイアでは。紅旗は全世界に翻った!」と。

親中中国語フェイクニュースメデイアの一部

https://www.soundofhope.org/gb/2019/02/26/n2679691.html

2/27阿波羅新聞網<纽时:习近平党内受批评 有人拍桌反对现政策=NYT:習近平は党内で批判を受ける ある人は机を叩きながら現政策に反対したと>貿易戦が中国経済を困難な状況に陥らせ、中共リーダーの党内の権威は弱くなっている。NYTのコラムは加藤嘉一が書いたもの。彼は前国家主席の親戚から匿名を条件として聞いた話として、去年12月の中共中央経済会議の前の政治局会議で、机を叩き乍ら現行経済政策を批判した人がいると。“党はリーダーが一切を取り仕切る。一切の問題をも”と強調したと。市場原理とロジックを軽んじ、経済が分かる高級幹部を蔑ろにしたとも。また、今は経済が悪くなっているので李克強の力が強くなっていると現経済担当の指導者の親戚から聞いたと。

加藤嘉一はインタビュー記事として、「胡錦濤が北京大学で私に会った」、「中日両国の高級幹部が自分を支持激励している」と発表したが、真実性について指摘を受けたことがある。彼は東大卒の経歴は事実でないと大陸の読者に謝ったことがあるし、鉄道大臣の劉志軍が落馬した時には、不合理にもFTで劉を“中国高速鉄道の父”と持ち上げた。

この記事では、加藤氏の描いたものの真実性には疑問があると言いたそうです。まあ、いろんなところで詐欺師紛いの記事を書いていますね。国家主席が簡単に外国人に会うはずもないし、日本の高級幹部が平の一民間人に会うはずもない。常識で考えれば分かること。彼は嘘つき中国人になり切っているのでしょう。でもNYTもFTも良く彼を使いますね。フェイクニュースの発信メデイアだからでしょうか?

https://www.aboluowang.com/2019/0227/1252174.html

2/27阿波羅新聞網<千人计划 华裔科学家张以恒5罪名成立 华人怎么看=1000人計画 華人科学者の張以恒は5つの罪(陰謀で連邦政府を騙した罪、偽証罪、司法妨害罪等)が成立 華人はどう見ているか>情報によれば、47歳の張以恒は中国の武漢出身で、ダートマス大学でポスドクになった。2005年からバージニア理工大学の生物学系の教授となり、2011年に米国に帰化した。張以恒は糖の水素結合、セルロースと澱粉、生物燃料電池等多くの先進的な研究をしてきた。それで大学は彼にテニュアを与えたが2017年に逮捕された。

華人の彼を見る眼は人それぞれ。一部を紹介。“米国は中国から来た忘恩の徒を良く育ててくれている。今後は米国華人に対して風当たりが強くなり、厳しい時代が来るだろう”“毛沢東や周恩来の時代には東南アジアに革命と貧困を輸出して、中国人の虐殺(大躍進の餓死)を招いた。現在は腐敗や窃盗を輸出するように変わった。いずれにせよ海外の華人を苦しめることになる。よって海外の華人は自己防衛するしかない。願わくは天が海外華人を守らんことを”

逮捕された張以恒

https://www.aboluowang.com/2019/0227/1252469.html

2/27ZAKZAK<米中対立で日本企業にも負の影響… 中国は「脱米国」の流れに突入か>

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190227/soc1902270008-n2.html

米国の中国離れを引き留めようという論調です。流石中共の手先、富坂聰氏のことだけあります。自由主義国は中共を封じ込めなければなりませんのに。

北野氏記事は、ユダヤ・グローバリストも統一政府を目指すので親和性があった共産主義と離れると言う記事です。所詮金の切れ目が縁の切れ目、アブラハムの子孫でない連中が世界を牛耳ったらデラシネのユダヤ人は真っ先に虐殺の対象となる事にやっと気が付いたのでしょう。中国人は主義主張でなく、優秀な知識人を真っ先に殺しますから。昨日の本ブログで国民党が起こした228事件もそうでした。中国相手に金を儲けようなんて思うのは不正に手を貸すのと同義語です。賄賂社会なので。

細川氏の記事を読むと、トランプの行動も中共に読まれているとのこと。確かに来年の大統領選には勝たねばならず、経済を冷え込ますわけには行きません。しかし、関税合戦では中国の方がダメージが大きくなる事は確かです。「肉を切らせて骨を断つ」覚悟で関税を賦課してほしいと思っていますが、どうも中途半端な妥協で終わりそうです。来年の大統領選終了後、snapbackで高関税賦課のストーリーを考えているのかも。

北野氏、細川氏両氏が共通して言っているのは日本政府の対応です。軍事同盟を結んでいる米国から離れた行動をすれば、自由主義諸国から追放される危険性があるという事です。負けると分かっていて戦争に突き進んだ愚を繰り返してはなりません。日本企業の経営者は世界の動きが見えていない人が殆どですし、平和教育で育ってきたせいか軍事知識もゼロ、信頼とか誠実を売り物にしてきた人達ですから。悪と戦ったことのない純粋培養の人です。阿漕な中国人と戦えるわけがない。政府は法律を作って、厳しく締め付けないと。

北野記事

習近平が独裁化を進めたことが、親中だったソロスを変えた 写真:新華社/アフロ

世界3大投資家の1人、ジョージ・ソロスが最近、習近平を「最も危険な敵」呼ばわりして、話題となっている。筋金入りの「民主主義者」であるにもかかわらず、長年、共産党独裁の中国だけは例外的に支持するほど、中国に入れ上げていた彼に一体、何が起きたのだろうか?(国際関係アナリスト 北野幸伯)

世界の民主化を進める男 ジョージ・ソロス

ウォーレン・バフェット、ジム・ロジャーズと共に、「世界3大投資家」と呼ばれているジョージ・ソロス。彼は、「民主化の闘士」という「もう1つの顔」を持っている。

ソロスは1993年、「オープン・ソサエティ財団」を設立した。この財団は、37ヵ国に支部を持ち、それらの国の「民主化」を支援している。

「民主化支援」といえば聞こえはいいが、その国を統治する独裁者にとっては、「革命支援勢力」ともいえる。そのために、独裁者たちはソロスを嫌い、また恐れてもいる。

ちなみに、ジョージア(旧グルジア)で2003年に革命が起こった時、失脚したシェワルナゼ大統領は、「ソロスにやられた」と公言していた。時事通信2003年12月1日付を見てみよう。(太線筆者、以下同じ)

<グルジア政変の陰にソロス氏?=シェワルナゼ前大統領が主張
 【モスクワ1日時事】グルジアのシェワルナゼ前大統領は、一一月三〇日放映のロシア公共テレビの討論番組に参加し、グルジアの政変が米国の著名な投資家、ジョージ・ソロス氏によって仕組まれたと名指しで非難した。
ソロス氏は、旧ソ連諸国各地に民主化支援の財団を設置、シェワルナゼ前政権に対しても批判を繰り返していた。>

「ネオコン」嫌いのソロスはブッシュ(子)にも楯突いた

「独裁者」「独裁政権」が嫌いなソロス。もし、米国に「独裁的政権」が誕生しても、彼は怯むことなく立ち向かっていく男である。

ソロスは、ブッシュ(子)の「ネオコン政権」が大嫌いだった。そして、ブッシュがはじめたイラク戦争に大反対していた。ソロス2004年の著書「ブッシュへの宣戦布告」(ダイヤモンド社)を見てみよう。

<先制軍事行動を唱えるブッシュ・ドクトリンを私は有害だと思っている。>(1p)

<アメリカの単独覇権というブッシュの夢は、達成不可能であるばかりか、アメリカがその伝統として唱えてきた理念と矛盾するものである。>(同上2p)

<アメリカは今日の世界で、他のどの国家も、またどの国家連合も、当分は対抗できそうもない支配的な地位を占めている。
アメリカがその地位を失うとすれば、それは唯一、自らの誤りによってだろう。
ところが、アメリカは今まさに、そうした誤りを犯してるのである。>(同上)

要するに、ソロスは「イラク戦争は間違いだ。これが原因で米国は覇権国家の地位を失う」と書いていたのだ。

実際、2008年「100年に1度の大不況」が起こり、米国は没落した。世界は、ソ連が崩壊した1991年末から、「米国一極時代」がつづいていた。しかし、2008年の危機でこの時代は終焉し、2009年から「米中二極時代」に移行している。

長年中国政府を絶賛し親中だったソロス

ここまで読まれた皆さんは、「ソロスは、一貫して民主主義を支持するすばらしい理想主義者だ」と確信されたかもしれない。しかし、そうではない。というのも、「民主主義者」であるはずのソロスは、なんと一党独裁国家・中国を支持していたのだ。

ソロス2006年の書著、「世界秩序の崩壊~「自分さえよければ社会」への警鐘」を見てみよう。

<ところが、ここに、皮肉にも愚かな事態が起きた。
近隣の大国・中国が基本的に多極主義を受け入れ始めた矢先、アメリカ合衆国が正反対な方向へと動き、国際的な諸制度への疑念を強め、最近の国家安全保障面での難題に対して大幅に一極主義的な治療策を遂行したのである。
日本は、この両国の板挟みになった。
かたや最大のパトロンかつ保護国ながら、昨今益々世界の多くの国々との折り合いが悪くなってきたアメリカ。
かたやその経済的繁栄を持続させ確保すべく国際的システムにおいて安定と現状維持を志向しつつある中国。>(9p)

ソロスによると2006年当時の米国は、「昨今益々世界の多くの国々との折り合いが悪くなってきた」国だった。一方、中国は「経済的繁栄を持続させ確保すべく国際的システムにおいて安定と現状維持を志向しつつある」国であるとの認識だ。

この時点でソロスの「米中観」は、はっきりしている。つまり「米国=悪」「中国=善」ということだ。

この評価は、2010年時点でも変わっていない。彼は2010年11月16日の「フォーリン・ポリシー」で、こう語っている。

<米国から中国への、パワーと影響力の本当に驚くべき、急速な遷移があり、それはちょうど第二次世界大戦後の英国の衰退と米国への覇権の移行に喩えられる>

<今日、中国は活発な経済のみならず、実際に、米国よりもより機能的な政府を持っている」という議論を呼ぶであろう>

彼は当時、「英国から米国に覇権が移ったように、今は、米国から中国に覇権が移動しつつある」と考えていた。さらに、中国は「米国よりも機能的な政府を持っている」と。

ソロスの言うことを聞かない習近平

「民主化の闘士」であるはずのソロスは、中国を完全に「例外扱い」していた。そして、「一党独裁」の政治体制を「機能的だ」と大絶賛している。

なぜ?考えられる1つ目の理由は、彼が中国投資で儲けていたということだろう。自分に儲けさせてくれている国の悪口は言いにくい。もう1つの理由は、おそらく中国政府がソロスら「国際金融資本」の言うことを素直に聞いていたのだろう。つまり、ソロスは「中国を操れる」と考えていた。

しかし、そんなソロスの「中国観」も変わってきた。

理由は2012年、「中国の夢」実現を目指す習近平が政権について独裁化を進め、ソロスたちの言うことを聞かなくなったことだろう。

2016年1月、ソロスは中国に関する爆弾発言で、世界を仰天させた。

<ソロス氏:中国のハードランディングは不可避、株投資は時期尚早(2)
2016年1月22日(金)9時54分配信
 (ブルームバーグ):著名投資家ジョージ・ソロス氏は21日、中国経済がハードランディングに直面しており、こうした状況は世界的なデフレ圧力の一因になるだろうと述べた。
同氏はまた、中国情勢を考慮して、自分は米株の下落を見込んだ取引をしていると説明した。
ソロス氏はスイス・ダボスでのブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ハードランディングは事実上不可避だ」と指摘。
「私は予想しているのではなく、実際に目にしている」と語った。>

そして2019年1月、ソロスは、またもや世界を驚かせた。BUSSINESS INSIDER JAPAN 1月28日を見てみよう。

<世界経済フォーラムの年次会合(ダボス会議)で、ビリオネアの投資家、ジョージ・ソロス氏がスピーチを行った。
1月24日の夜(現地時間)に行われたこのスピーチは、ソロス氏が中国に対して間違いなく批判的であることを示した。
「今夜、わたしはこの時間を、開かれた社会の存続を脅かすこれまでにない危険について、世界に警告するために使いたいと思う」 >

「中国を狙い撃て」 反中になったソロスの提言

さらにソロスは続けた。

<「中国は、世界で唯一の独裁政権ではない。
だが間違いなく、最も経済的に豊かで、最も強く、機械学習や人工知能が最も発展した国だ。
これが開かれた社会というコンセプトを信じる人々にとって、習近平を最も危険な敵にしている」>(同上)

ソロスは、「習近平は最も危険な敵」と宣言した。そして、ソロスは「米国が中国に勝つための戦略」についても語った。

<まず第一に、ソロス氏は目下の貿易戦争を対中国のみにしぼるべきだと言う。
今はいろいろな国を公平にターゲットとしているように見えるが、ソロス氏は、トランプ大統領は他の国については全て忘れるべきだと主張する。>(同上)

「貿易戦争を対中国にしぼるべき」と彼は主張する。つまり、「日本や欧州との貿易問題を、今は忘れろ」と。これはもちろん、どこに行っても軋轢を引き起こす、トランプを念頭に発言しているのだ。とても戦略的で、日本にもお得な提案である。

<第二に、知的財産の盗用などで最近非難を浴びている中国企業のZTEやファーウェイには、アメリカは断固とした対応を取るべきだとソロス氏は言う。
同氏はアメリカ政府に、これらの企業を厳しく取り締まってほしいと考えている。>(同上)

では、ソロスは、トランプの対中外交について、どう考えているのだろうか?

<アメリカのトランプ大統領が中国との貿易戦争に乗り出したとき、ソロス氏は満足していた。
 手遅れになる前に中国には戦いを挑まれる必要があり、トランプ大統領は正しい方向に一歩進んだと受け止めたからだ。
しかし、ソロス氏は大統領のその後の行動に失望したという。
もっと強硬な姿勢を取るべきだったのに、自身の政治的な欲望がトランプ大統領を譲歩により応じやすくしたと同氏は述べた。>(同上)

メルケル、トルコ政府も… 世界中に広がる「反中」の波


これは、「驚くべき発言」といえるのではないだろうか。日本人の多くは、米中戦争をはじめたトランプについて、「過激すぎる」と考えている。しかし、ソロスは、トランプについて「もっと強硬な姿勢をとるべきだった」と主張しているのだ。

こからわかることは、国際金融資本の代表的人物であるソロスは、「打倒中国」を決意しているということだ。

米国では、トランプのような「ナショナリスト」も、ソロスのような「グローバリスト」も、「反中」の方向性でまとまってきている。

そして、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランドなどは、「ファーウェイ排除」の方向で動いている。親中だったドイツ・メルケル首相は、日本に接近している。トルコ政府は2月9日、中国によるウイグル人弾圧について「人類の恥」と声明を出した。

このように、「反中」は「世界的トレンド」になりつつある。

一方、日本政府は、トレンドに逆行し、日中関係改善を進めている。日本は、これをいますぐ止めるべきだ。中国を挑発する必要はないが、米国から「裏切り者」と思われるほど接近するのはよくない。

日本は、かつてナチスドイツを同盟国に選び、負けた。今度は、中国側について、また敗戦するのだろうか?安倍内閣が歴史の教訓から学び、同じ過ちを繰り返さないことを心から願う。

細川記事

(写真:ユニフォトプレス)

ヤマ場の米中貿易協議は閣僚会議も終え、追加関税の引き上げの期限を延長して、首脳会談での決着を目指すことになった。ただ、これも2020年の大統領再選まで続くドラマ仕立ての展開の中での“小休止”だろう。

「大きな進展があった」との発言を繰り返すことによって、米中協議の妥結を期待して安心感が広がり、株式市場も既にそれを織り込んでいる。来年の大統領再選を目指すトランプ大統領が重視する株価を見ると、一応、目的を達成している。関税引き上げの経済へのマイナス影響が顕在化しつつある中で、株価急落を恐れるトランプ大統領にとって米中協議が妥結しないという選択肢はない。

あとは成果を誇示するための“見栄え”だ。そこで習近平主席とフロリダの別荘での首脳会談で決着する、という見栄えのするイベント・ショーを設定しようとしている。だが、タイミングとして、今週予定の米朝首脳会談と重なるとかすんでしまうことから先に延ばしただけだ。

何とも分かりやすい大統領で、当然中国もそれを見透かしている。

“見せかけの構造改革”でしのぐ中国

まず大豆の大量買い付けなど、米国中西部の農家にアピールできる成果を用意する。国家が貿易を管理できる中国にとって、輸入数量の数値目標をコミットすることは容易なことだ。市場経済で管理貿易に踏み込めない日本とは根本的違う。そういう意味で、皮肉なことに管理貿易志向のトランプ政権と中国は相性が合う。

知的財産権や国有企業への補助金など、共産党政権の根幹にかかわる「構造問題」では“見せかけの構造改革”でしのぐ。強制的な技術移転の要求の禁止の法律制定を3月の全人代(全国人民代表大会)で用意しているといっても実効性は疑問視されている。知的財産権の強化といっても、3倍賠償制度の導入など罰則の強化は、本来の要求からはズレた回答だ。むしろその矢は外国企業に向けられる恐れさえある。

構造問題に拘るライトハイザー米通商代表が強硬に是正要求しても、見栄え重視のトランプ大統領の関心事項ではなく、どこまで理解しているかも定かでない。むしろ米国議会がそれを懸念してくぎを刺している有様だ。

中国もそれを見透かして、トランプ大統領との直接取引を持ち込んで、議会対策になるよう“見せかけの構造改革”でお茶を濁して継続協議にし、制裁関税を免れようとしている。

この構図は「トランプ大統領との直接取引」と「見せかけの非核化」でしのいで継続協議にし、「経済制裁の解除」を得ようとしている北朝鮮と二重写しになる。基本的にトランプ政権対策では、中国と北朝鮮は軌を一にしている。

米国・商務次官補の来日が意味するもの

こうした米中協議の表に現れた部分とは別に、隠れた主役が中国通信大手ファーウェイだ。

米中協議の最中、ペンス副大統領やポンペオ国務長官が東欧を訪問してファーウェイ排除の包囲網を目指す動きが伝えられている。米国は今後、行政機関の調達だけでなく、米国企業による使用を禁ずる大統領令を検討しているとの報道もある。いずれもメディアの目は、ファーウェイ製品の「調達からの排除」を巡る綱引きにばかり目が行っている。

しかし同時に、ファーウェイについては、これから先のもっと深刻な動きの準備が水面下で着々と進められているようだ。メディアの目はまだそこには向いていない。

25日、米国商務省の輸出管理担当の次官補が来日して、日本企業など200人が参加するセミナーが開催された。表向き、最近の中国に対する米国の輸出管理の動きを説明するもので、日本企業への警鐘を鳴らす目的でもある。

しかし狙いはセミナー自体にはない。米国の商務省次官補がそれだけの目的で来日するわけがないからだ。私もかつて経産省でこのポストのカウンターパートであった経験から容易に推測できるが、当然日本政府との協議が本来の目的だろう。

これは前稿「米国は中国ファーウェイのサプライチェーン途絶に動く」で、先月の司法省によるファーウェイに対する起訴についての記者会見から読み解いたメッセージに符合する。

前稿で指摘したように、米国は明らかにファーウェイに対して、「調達から排除する」という段階から「部材の供給を遮断する」の段階に行く準備をしている。「買わない」「使わない」から「売らない」「作らせない」へ、である。そこで商務省管轄の輸出管理の出番となる。

具体的には、輸出管理の「懸念顧客リスト」(いわゆるブラックリスト)の対象にする。その結果、ファーウェイに対して、米国は原則禁輸の運用になるのだ。昨年の中国通信機器メーカー・ZTEや中国半導体メーカー・JHICCに対する措置と同じだ。これらは前哨戦で、ファーウェイが本丸なのだ。

その際、米国にとって大事なのは、日本、欧州といった同盟国の協力だ。部材の供給能力のある日本、欧州による対中国の輸出管理の運用に関心が向いて当然である。

他方、ファーウェイも明らかに司法省会見に見られる米国の意図を読み取って、危機感を持って米国以外からの部材の調達先の確保に奔走しているようだ。ファーウェイは日本の部材メーカーにとっても重要顧客であるだけに、難しい対応を迫られることになる。少なくとも米国から「漁夫の利」を得ようとしたと見られることのないよう慎重さが必要になっている。

そうしたファーウェイを巡る米中のせめぎ合いも当然、米中貿易協議に絡んでくる。トランプ大統領はファーウェイ問題を取引材料に使いたいだろう。案の定、早速ツイッターでもそれを匂わせている。前稿で「かく乱要因はトランプ大統領だ」と指摘した通りの展開だ。

トランプ大統領にとっては、昨年ZTEが米国の懸念顧客リストに載せられて、半導体の入手ができなくなったことから習近平主席に泣きつかれたことが成功体験になっている。これで味をしめたのだ。ZTEの比でないファーウェイ問題は、習近平主席を首脳会談に誘い出す格好の材料と見ていてもおかしくない。習近平主席にとっても、ファーウェイに恩を売って今後の影響力を高めるいいチャンスだろう。

ファーウェイを巡る激しい情報戦

今、ファーウェイを巡っては、激しい情報戦が繰り広げられている。そういう中で、バランス良く受け止めることがますます難しくなっていることも事実だ。そこで、最後にいくつかの点を付言しておきたい。

英国の情報機関の一つである国家サイバーセキュリティセンターが「リスクは管理可能」との判断を固めたと報じられた。しかしこれをもって「英国が米国主導の包囲網から一定の距離を置く結論を出した」とするのは早計だ。英国政権内では未だ見解が割れている。

「国家が方針として特定の民間企業の製品を排除する決断を下すには、証拠に基づかなければならない」という指摘も基本的にはその通りだが、情報の抜き取りを検証することは不可能に近い。むしろ米国が問題にする本質はそこではない。

米国が警戒感を露わにしているのは、ファーウェイも共産党政権の統治の“くびき”から逃れられないという事実だろう。いくらファーウェイのCEO(最高経営責任者)が「顧客の利益を損なうような情報提供は行わない」と公言しても、あらゆる組織、個人は国家からの要請で情報を提供する義務が規定されている国家情報法に反することはできない。これが米国の懸念の背景にあることは忘れてはならない。

また「なぜファーウェイだけなのか」についても、疑問を呈する向きもある。しかしファーウェイは安全保障に直結する通信インフラを支える機器を国内、海外に供給する欧米大手を追い抜く。習近平政権にとって、ハイテク技術の軍民融合を目指す国家戦略「中国製造2025」は共産党政権を支える生命線で、ファーウェイは民営企業であっても、今やその象徴的存在になっている、と米国は見ている(この点は、共産党政権の意図が当初からそうであったかは定かではない)。国有企業であるZTEなど他の中国メーカーとは比較にならない突出した存在だ。

こうした表面的な貿易協議のドラマ仕立ての展開とファーウェイを巡るさまざまな情報戦にばかり目を奪われていてはいけない。私が常々指摘してきている「トランプ以外のオールアメリカ」の世界では、水面下で着実に事態は動いていることを見逃してはならない。日本企業も経営リスクとしてそれへの備えが急務になっている。

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