“一帯一路”関係のニュースを集めて見ました。
先ずは5/18宮崎正弘氏のメルマガ<インドは欠席した。じつはプーチンも「一帯一路サミット」に不快感 ユーラシア横断鉄道はロシア通過部分があまりにも少なすぎないか>。プーチンも甘いとしか思えません。利に敏い中国人は、中国人が困ってロシアに助けを求める場面でしか、ロシアに分け前を与えることはないでしょう。況してやシベリアは大清帝国の土地だったのをロシア帝国に奪われた訳ですので。満州族の土地でしたが、強欲な漢族は自分達の土地と思って取り返したいと思っている筈です。
http://melma.com/backnumber_45206_6530005/
ネルチンスク条約締結後(1689年) キャフタ条約、アイグン条約、北京条約締結後(1860年)
次に、5/18自由時報<印度日本合推「自由走廊」 抵制一帶一路=インドと日本は「自由回廊」を協力推進 一帯一路はボイコット>。アフリカ、イラン、東南アジアに両国が協力して、投資をするとのこと。中国に転びそうなスリランカにも手を差し伸べるそうで、払込資本も少ない虚業の銀行であるAIIBではなく、しっかりした審査能力のあるADBと日本の民間金融機関の協調融資で堅実な発展を促していけば良いでしょう。何時も言っていますように中国の一帯一路の重要目的は「すべての道はローマに通ず」で軍用です。余剰生産物の処分の意味だけではありません。簡単に中国の侵略を許すことになります。
http://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/2069424
5/17産経ニュース<「一帯一路」貿易文書、英仏独など署名拒否>。流石に欧米は良く見ているという事でしょう。ただAIIBに参加したり、IMFのSDR入りを認めたりと、自分達もお零れ頂戴を狙ったのでしょうが、中国人を知らなさ過ぎです。
http://www.sankei.com/world/news/170517/wor1705170003-n1.html
5/17 新唐人電視台<朝鮮出席一帶一路刻意低調 不料與美代表撞臉=北の一帯一路会議参加につき工夫を凝らして目立たないようにしたにもかかわらず、何と米国の代表団と鉢合わせ>
欧米は北朝鮮が会議に参加することには、反対していたようです。でも習近平は世界に向けて面子を失いました。でも加治俊樹氏に依れば北のミサイルは中国製なので打ち上げ時に暗証番号を教えて貰わないと駄目とのこと。瀋陽軍がミサイルを与えている?
http://melma.com/backnumber_190875_6510430/
米国はポッティンガーを送り込んでも、トランプの足元が揺らいでいる状態では、中国に対しいろんな仕掛けは出来ないでしょう。米国の国益を損ねることをしているということがメデイアは分かっていません。日本もそうですが。知的頽廃が起きているのが今の時代でしょう。
記事
米国代表団を率いたのはマット・ポッティンガー国家安全保障会議アジア上級部長。ウォールストリートジャーナルの元中国特派員で“中国の天敵”だ(写真:新華社/アフロ)
習近平政権の今年最大の国際政治イベント・一帯一路(シルクロード経済圏構想)国際協力サミットが5月14日、15日に行われた。陸のシルクロードと海のシルクロード沿線国約60カ国を中国主導で一つの経済圏とするという大風呂敷の構想の実現に向けた初の国際会議だ。開幕日に北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行うという嫌がらせに遭遇するも北朝鮮も代表団は派遣しているし、本来利害が対立するはずのロシアの大統領プーチンも参加している。なにより、オバマ政権時代は徹底無視であった米国が代表団を派遣したことが、世界を驚かせたことだろう。資金ショートの問題などがあり、暗礁に乗り上げかけているかに見えた一帯一路だが、トランプ政権の方向転換、親北親中派の韓国新大統領の登場もあって、国際社会の風向きは中国に有利なように変化しているようにもみえる。一帯一路の行く先を今回のサミットから占ってみたい。
習近平への“朝貢”を喧伝
今回の“一帯一路サミット”の目的は、一帯一路の推進以前に、習近平が党大会前に、国際社会の自分への肯定感をアピールして国内権力闘争を有利にもっていきたいという狙いが大きい。こういう国際イベントを盛大に開き、あたかも中国が国際社会の中心であるというイメージを中国人民および党員たちに印象づける。習近平の下にあたかも朝貢国のような国々の元首が集うという構図をCCTVなどを通じて国内に喧伝することは、習近平個人のメンツを満足させるだけでなく、今後の権力闘争の追い風にもなるのだ。
国家元首が参加するのは29カ国・組織でG7の中では、今年のG7サミットの議長国・イタリアのジェンティローニ首相だけ。だがこれをもって一帯一路に先進国が関心を寄せていない、といえるかというとそうでもなく、およそ130カ国・組織が今回のサミットに代表団を送り込み、しかも、当然無視すると思われていた米国や北朝鮮まで代表団を派遣したことは、国際社会の予想を上回った規模になったということだろう。
日本は自民党幹事長・二階俊博らに首相親書を託して派遣した。二階は事前に香港フェニックステレビの単独インタビューを受け、AIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加する選択肢にも言及。これは二階の個人プレー的発言というよりは、政権としての発信ではないかと私は感じている。日本がAIIBに加盟しない方針は、オバマ政権からの強い要請もあった。今、日本の態度に変化が生じているということは、米国のAIIBや一帯一路に対する態度の変化を受けてのことではないだろうか。
AIIBと一帯一路構想の関係についてはかつてこのコラム欄の「中国主導のアジアインフラ投資銀行の行方」で取り上げたので、参考にしていただきたい。実際のところAIIB、シルクロード基金、一帯一路構想は全部つながっており、全体で「中国版マーシャルプラン」といったとらえ方もされている。担当省庁が違うから、関係ない、別物という見方をしている専門家もおられるようだが、中国の場合は、担当省庁が違う複数のプロジェクトが、国家的戦略的プロジェクトとしてリンクしながら進められることは非常によくあることである。
「日本のたくらみ」に警戒も
一帯一路構想が成功するか否かの鍵はAIIBやシルクロード基金が機能するか否かにあり、そしてAIIBが機能するか否かは日本や米国が参与するか否かにかかっている。そういう意味で、二階の言葉は中国で大々的に歓迎的に報道される一方で、ほんとなのか?どんなたくらみがあるのか?という懐疑的な声もあがるわけである。
中国から懐疑的な声があがるのは、本質的には一帯一路構想の戦略的意味は、米国に対抗する目的で練られた面もあるからだ。例えば米国主導のTPPが環太平洋というシーパワー国のチームだとすると、一帯一路はユーラシア大陸を中心としたランドパワー国チームという構造で、世界の経済秩序を二分して、対抗しようという発想がある。TPPに中国包囲網的意味があったように、一帯一路にも、それに対抗する地政学的戦略的意味があった。それがわかっていたから、米オバマ政権はこれをドル基軸の米国一極集中型経済秩序に対する中国の野心的な挑戦ととらえて、日本や韓国に加盟しないことを強く求めたのである。
韓国はともかく、日本は典型的な海洋国家、シーパワー国家であり、中国を中心とするランドパワー国家勢が勢力を拡大し、海のシルクロード(南シナ海、インド洋、ペルシャ湾から地中海世界への海上ルート)まで支配されてしまうのは、大変まずい。だから、日本がポジティブな意味でAIIBに加盟したり、一帯一路に参与してくることはあり得ないのではないか、というのが中国専門家たちの疑いである。中国の報道の中に「日本は何か戦略的な目的をもっているのではないか」という見方が出てくるのも当然だ。
しかし、一帯一路サミットにおいて、やはり最大のサプライズは米国が代表団を派遣したことだろう。開催二日前の突然の参加発表だ。これは、日本の態度変化の原因は、米国の態度変化であろう、という中国メディアの予想の根拠の一つともなる。米国は本当に態度を変化してきたのだろうか。
米国はインフラ建設に興味
中国青年報オンラインによれば、米国企業はすでに一帯一路プロジェクトに参加する用意はできているのだと在北京米大使館は宣言している。4月のマールアラゴでの米中首脳会談の場で、習近平がトランプに米国の一帯一路への参加を熱心に誘い、米中は5月11日に十項目にわたる貿易協定に合意。米国が一帯一路サミットに代表団を派遣すること、および、中国が6月の米国投資サミットに参加することにも合意した。
ただ興味深いのは米国代表団を率いるのは、マット・ポッティンガーであることだ。現在は国家安全保障会議のアジア上級部長だが、中国屋にはおなじみのウォールストリートジャーナルの元中国特派員だ。中国の闇の部分、負の部分も知り尽くす元敏腕記者。彼は特派員時代にはさんざん中国当局に拘束されたり暴行されたりしながら、中国の暗部取材を果敢に行ってきた。記者を辞めてからは米海軍に入り、アフガニスタンなどで従軍経験を持つ真の愛国者。つまり中国にとっては天敵みたいな人物なのだ。
この中国の手口も裏も知り尽くす知中派の曲者をこのポジションに据えて送り込んできたのだから、中国も米国が単に一帯一路でビジネスチャンスだけを模索しにきたとは考えていないだろう。
14日、このサミットの分化討論会上で、ポッティンガーはこんなことを言っている。「この一帯一路プロジェクトのライフサイクル全体において、米国企業は必要とされる価値を持つ最もよいサービスと商品を提供するだろう」「米国企業はグローバルなインフラ建設領域において、長期の良好なデータを持っている。すでに米国は一帯一路プロジェクトに参与する準備はできている」「米大使館は一帯一路工作チームをつくり、中国と協調して一帯一路プロジェクトの協力的なプラットフォームを作りたい」…
ポッティンガーによれば、米国が興味を持っているのはインフラ建設の分野なようだ。
彼は、プロジェクトは投資方と受け入れ国の需要と供給にマッチすることが大切で、そのために四つの目標を提示している。
まず、高いレベルのアセスメント、融資および建設と維持を心掛け、プロジェクト実施国の債務負担が重くなりすぎないようにする。入札のプロセスの透明化と私営企業の公平な競争入札を約束し、投資と収益の偏りを避け、より多くの企業の入札を可能とすること。三つ目に、実施国の建設能力を助け、相互利益の発展を心掛け、対外投資を増やすことを支持する。四つ目に、プロジェクトを開放し、私営企業の広い参与を求め、予算オーバーや工期の延期などのリスクを避ける。
主導権狙いか、ビジネス模索か
この発言をみるに、やはり一帯一路を中国の思惑通りにやらせてなるものか、というニュアンスも感じられる。そもそも中国を知り尽くす安全保障の専門家、中国の天敵のようなポッティンガーを送り込んできたこと自体が、単純に経済協力の文脈だけと思えない。
オバマ政権時代はTPPでもって中国包囲網を形成するつもりだったが、トランプ政権になってTPPを放棄した代わりに、一帯一路の内部に入り込み、その主導権を中国と争う、ということだろうか。一帯一路の鉄道インフラ建設は港湾建設とともに、もともと中国には軍事建設的意味合いがあり中国企業が全面的に請け負うつもりがあったようだが、もし米企業がコミットすれば、お得意のマルウェアを仕込んだり、いざというときのための仕掛けができるかもしれない、と考えているのだろうか。
もちろん、そうではなくて、トランプの本質が商人であり、一帯一路構想の“ケーキ”の相伴にあずかりたいだけ、純粋にビジネスチャンスの模索だ、という見方もある。新浪ニュースセンターの報道によれば、中国グローバル化シンクタンク(CCG)主任の王輝耀は「このサミットをきっかけに米国が“一帯一路”で具体的に協力するなら、これは巨大なチャンスになる。…現在の国際的枠組み、例えば国連、世銀、国際通貨基金などほとんどが米国主導だ。米国の経済、軍事、科学技術力がより多くの協力のプラットフォームを提供することになる」と言う。
つまり、トランプ政権のディール式外交路線によって、価値観やイデオロギーに影響されない実質的な経済利益を追求する「一帯一路枠組み」というものが米中の前方に広がっているのではないか、という期待を寄せている。
いずれにしろ、米国の態度、戦略はオバマ政権とは180度変化してきている。日本もその変化に応じて、自国の利益や立ち位置を考えながら新しい戦略を考えなければならないだろう。
もう一つのサプライズは北朝鮮が代表団を送り込んだことである。これに米国代表団がかなり強く反発し、しかも開幕日に北朝鮮が弾道ミサイル実験まで行ったものだから、北朝鮮代表団は非常におとなしく、ほとんど注意をひかないようにふるまっていた。どうやら、金正恩政権はとことん中国の言うことを聞くのが嫌なようである。中国としては北朝鮮に招待状を送ったのは、金正恩政権を見捨てない、というサインのつもりであったろうが、そういう中国のサインを結局、金正恩はミサイル実験という嫌がらせで拒否したことになる。
こんなことをするならば、なぜ北朝鮮は代表団を送り込んだのか。金正恩の判断自体が揺れているのかもしれない。中国としてはそれでも、韓国代表団と北朝鮮代表団の会談をセッティングし、北朝鮮のコントロール維持に努力を続けるつもりのようではあるが。
プーチンがこのサミットに出席したことも驚きである。一帯一路構想は、ある意味ロシアとは微妙に利益対立する部分がある。米国の動きもみて、ロシアも一帯一路の主導権を取りにくる可能性もある。
日本はまず、TPPから足場を
それぞれの参加国の、本当のところの思惑はまだよくわからない。しかし「一帯一路」構想自体が、単なる自由貿易や経済協力を目的としたものでないことは、このコラム欄でも以前に紹介した通りである。これは非常に軍事的意味も持ち、世界秩序・ルールの再編成につながる機能もある。つまり一帯一路の最終的な目的が、中国主導でユーラシア大陸チームが一つの経済・軍事戦略圏を形成するというところにあり、それがEU・NATOやロシアとどのような関係になるのか、本来、利害が対立すると考えられる日本や米国ら環太平洋の海洋国家チームが、どのようにかかわっていくかによって、中国の赤い帝国主義国家化を助長することにもなれば、中国の野望を抑え込むことにもなるだろう。
ちなみに私の個人的な考えをいえば、依然この一帯一路構想に日本が深くかかわるのはあまり良いとは思えない。AIIB加盟も急ぐ必要はないだろう。そもそもトランプ政権が何を考えているのか、まだはっきりしないし、トランプ政権自体がきちんと任期を全うできるかもわからない。かかわるならば、中国の野望を打ち砕くつもりでかからねば、こちらが餌食になりそうだが、日本にそこまでの絵は描けていまい。日本は、日本の戦略をもって、まずは米中がかかわっていない、日本主導のTPP早期発効という地味なところから足場を固めてほしいところである。
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