木村氏の記事では、ロシアの極超音速ミサイルもパトリオットで撃ち落とせたと。これが事実であれば、日本の持っているパトリオットで、中共・北朝鮮・ロシアのミサイルも撃ち落とせるのでは。なんせ似非平和主義者に騙されて、シェルターもない国ですから。
2/27日経<トマホーク購入400発予定、首相が提示 米国製ミサイル>
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2745K0X20C23A2000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1677493426
琉球朝日放送<迎撃ミサイル「PAC3」与那国・石垣・宮古島に配備進む>
https://www.qab.co.jp/news/20230424172338.html
記事
G7広島サミットに出席するため、5月20日、広島空港に到着したウクライナのゼレンスキー大統領(提供:Ukrainian Presidential Press Service/ロイター/アフロ)
(国際ジャーナリスト・木村正人)
バイデン氏、F-16のパイロット訓練認める
[ウクライナ中部クリヴィー・リフ発]日本時間の5月19日金曜日の正午過ぎ、英フィナンシャル・タイムズは、「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が今週末のG7サミットに対面で出席する」「ゼレンスキーは、日曜日に広島で行われる議論に参加する見込み」と報じた。
その一報があった翌20日土曜日の午後3時30分、ゼレンスキー大統領は専用機で広島空港に降り立った。
19日のG7で、ジョー・バイデン米大統領はF-16を含む第4世代戦闘機でウクライナのパイロットを訓練する計画への支援を表明した。バイデン氏は今年初め「ウクライナがF-16を必要とするとは思わない」と否定的な見方を示していた。そこから一転、米国が欧州諸国によるウクライナへのF-16供与に初めてゴーサインを出した格好だ。
ロシアを刺激しないよう少しずつ武器供与の既成事実を積み重ねる「サラミ戦術」がこれまでは功を奏している。
対ロシア制裁について曖昧な態度を取り続けているインドのナレンドラ・モディ首相やブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領もG7に招待されている。ゼレンスキー氏の直接出席は、G7にとって西側と中露に対し等距離外交を続ける“第三勢力”の巨頭モディ、ルラ両氏への圧力を増し、味方に引きつける絶好の機会となる。
ゼレンスキー氏は最近、イタリア、ドイツ、フランス、英国を訪問し、武器弾薬供与の約束を取り付けた。19日にはサウジアラビアで開催されたアラブ連盟の首脳会議にサプライズ出席、「私たちの国土での戦争に異なる見解を持つ人々がいても、ロシアの刑務所の檻から人々を救うという点では一致団結できると確信している」と訴え、外交にも力を入れている。
ロシア軍はミサイル、ドローン攻撃でウクライナ軍の反攻計画を妨害
英国における戦略研究の第一人者である英キングス・カレッジ・ロンドンのローレンス・フリードマン名誉教授は最新の有料ブログで「ウクライナの反攻は電撃戦による短期決戦ではなく、長期の攻撃を準備している」と分析した上で「ウクライナの防空はミサイルや無人航空機(ドローン)攻撃を含むロシアの航空戦力に対処できるのか」と問いかけている。
米紙ニューヨーク・タイムズは米当局者や漏洩した米国防総省の機密文書をもとに、ウクライナの防空網は1年以上にわたって西側の兵器で強化されてきたものの、大量の弾薬を供給しなければ、最短で4月中旬までにロシア軍のミサイルやドローンの度重なる砲撃で脆弱になった防空網が崩壊に追い込まれる恐れがあると伝えていた。
ロシアのプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)
だが現在までの戦況を見ると、ウクライナにとって最悪の事態は免れている。
ウクライナ空軍司令部によると、5月に入ってロシア軍によるミサイル、ドローン攻撃は激化しているのだが、ウクライナ国防情報部のヴァディム・スキビツキー代表は「ロシア軍はこれらの攻撃でわれわれのエネルギーシステムの破壊を試みたが、失敗した。今はわれわれの春、夏の反攻計画と準備を妨害することを最優先にしている」と分析している。
「ロシア軍は現在、指揮統制センター、弾薬や装備の供給ルートや集中地点、燃料貯蔵所、兵員集中地帯に対してミサイルを使用。われわれの防空システムが配備されている地域に特別な関心を持つようになった。ロシア軍の航空戦術は毎日約20〜25発の精密誘導弾KAB-500を前線と前線地域で使用している」とスキビツキー代表は言う。
実際、ウクライナ軍はロシアのミサイルやドローンを含む航空戦力を相手に、よく凌いでいる。
ロシア軍の極超音速空対地ミサイルKh-47M2キンジャールを撃墜
ウクライナ空軍の発表から5月に入ってからのロシア軍のミサイル、ドローン攻撃を見ておこう。
【5月1日】ロシア北西部ムルマンスクから9機の戦略爆撃機Tu-95、カスピ海地域から2機の可変翼超音速戦略爆撃機Tu-160を使って空対地巡航ミサイルKh-101/Kh-555を18発発射。うち15発はウクライナ軍によって破壊される。
【5月3日】ウクライナに近いロシアのブリャンスクと、アゾフ海の南東岸から最大26機のイラン製神風ドローン「シャヘド136/131」を使用。うち21機がウクライナ軍によって破壊される。ウクライナ南部ミコライフとヘルソンでロシアのドローン4機が破壊される。
【5月4日】ブリャンスクとアゾフ海東岸から最大24機のシャヘド136/131を使用。ウクライナ軍によってうち18機が破壊される。またキーウ上空でウクライナ軍のトルコ製バイラクタルTB2が制御を失ったため同軍が撃墜。
ロシア領の戦闘機MiG-31Kから発射された極超音速空対地ミサイル「Kh-47M2キンジャール」が、キーウ上空でウクライナ軍の広域防空用の「地対空パトリオット」によって破壊される(5月6日に発表)。
広域防空用の地対空パトリオット(ウクライナ空軍発表)
【5月5日】南東方向から2機のシャヘド136/131で攻撃するもウクライナ軍によって破壊される。
【5月6日】アゾフ海東岸から8機のシャヘド136/131で攻撃するも破壊される。さらにロシアのドローン5機が破壊される。
【5月8日】ブリャンスクの空港から35機のシャヘド136/131が攻撃をしかけるも、ウクライナ軍によって破壊。ヘルソンでもロシアのドローン3機が破壊される。クリミアの中距離爆撃機Tu-22Mからミサイル8発を発射し、ウクライナ南部オデーサを攻撃。黒海の空母から巡航ミサイル「クラブ」を8発発射するが、ウクライナ軍により破壊される。
【5月9日】カスピ海の戦略爆撃機Tu-95から17発の「Kh-101/Kh-555」を発射。ウクライナ軍によりうち15発が破壊される。25発の巡航ミサイル、クラブとKh-101/Kh-555を発射、ウクライナ軍によりうち23発が破壊される。3機のシャヘド136/131も破壊される。
【5月12日】ロシアのドローン4機が破壊される。
【5月13日】21機のシャヘド136/131のうち17機とロシアのドローン1機が破壊される。
【5月14日】4機のシャヘド136/131とロシアのドローン「オルラン10」が撃墜される。ヘルソンでロシアのドローン3機が撃墜される。夜間攻撃では18機のシャヘド136/131、ロシアのドローン7機、黒海の艦船からクラブ、Tu-95からKh-101/Kh-555 /Kh-55が使用されるが、うちドローン25機、巡航ミサイル3発が破壊される。
【5月16日】6機のMiG-31からキンジャール6発、クラブ9発、黒海の艦船から3発の短距離弾道ミサイル、9K720イスカンデルを発射するが、すべて破壊される。6機のシャヘド136/131、3機のドローンも撃墜される。
「キンジャール」を搭載したMiG-31K戦闘機(kremlin.ru, CC BY 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で)
【5月17日】2機のTu-160と8機のTu-95から22発のKh-101/Kh-555、黒海の艦船から6発、地上からイスカンデル2発が発射するも29発が破壊される。2機のシャヘド136/131と2機のドローンが撃墜される。
【5月19日】22機のシャヘド136/131と、黒海の艦船から6発のクラブでウクライナを攻撃したが、16機のシャヘド136/131と3発のクラブが撃墜される。2機のシャヘド136/131とロシアのドローンが撃墜される。
【5月20日】キーウに向かった18機のシャヘド136/131が破壊される。
「ウクライナの反攻作戦の能力を短期的に低下させるのが目的」
米シンクタンク、戦争研究所(ISW)は「ロシア軍のドローンやミサイルによる定期的な攻撃はウクライナの反攻作戦の能力を短期的に低下させることを目的とした新たな航空作戦の一部である可能性が高くなっている」と分析。2022年秋から23年冬にかけての重要インフラ攻撃と比べ、高精度ミサイルの使用は大幅に減少した。
「ロシア軍は精密ミサイルのかなりの割合を使い果たしている可能性が高く、現在限られた在庫を節約するためこれらのミサイルの使用数を大幅に減らしている可能性がある。ロシア軍の新たな航空作戦はキーウと後方地域のウクライナ軍の産業と物流施設に焦点を当てているようだが、ウクライナ軍全体の能力が大きく抑制されているとは考えにくい」という。
前出のフリードマン氏は「ゼレンスキー氏が武器を増やすために最優先にしたのは防空システムと最新の戦闘機だ」と指摘する。「最終的にはF-16がウクライナに届くだろう。米国は現在、同盟国(オランダの可能性が高い)がF-16を提供することに反対していないように見える」。実際、バイデン政権は欧州の同盟国に対してF-16のウクライナへの供与を認める意向を示し始めている。
ただ都市部が常に攻撃を受けていることへのウクライナ側の懸念は非常に強い。
「ミサイルやドローンを使ってウクライナ全土を攻撃してもウクライナの戦略的立場を根本的に変えるほどの一貫性と有効性を持ってはいないが、実害、痛み、ストレスを与えているのは間違いない。電力供給を中断させることを目的とした当初の作戦は失敗。ウクライナの反攻が迫っているため物資の供給妨害や指導者の注意をそらすことに優先順位をシフトした」
強化されたウクライナの防空システム
今年3月、ウクライナの10都市を狙った80発以上のミサイル攻撃でインフラが破壊された「困難な夜」(ゼレンスキー氏)を受け、ドイツの地上防衛用地対空ミサイルIRIS-T、米国とノルウェーが開発した中高度防空ミサイルシステムNASAMS、米国とドイツからそれぞれパトリオットが供与された。
これにより、ウクライナの防空能力は格段に向上した。
核弾頭も搭載できる極超音速空対地ミサイル「キンジャール」は速度、不規則な飛行軌道、高い操縦性の組み合わせにより迎撃困難と考えられてきた。しかし5月4日、ウクライナはパトリオットを使ってキーウ上空でキンジャールを撃墜。5月16日にもキーウの防空力を圧倒するため複雑な攻撃があったが、6発のキンジャール、9発のクラブ、3発のイスカンデルはすべて破壊された。
「ミサイルが撃墜されたとしても、ウクライナ側はそのために貴重な防空資源を使い果たし、前線部隊を支援できなくなる恐れがある。しかし、その目的はやはり、傷つけ、罰することであり、運が良ければウクライナの攻撃計画を妨害することだ」とフリードマン氏は指摘する。ゼレンスキー氏は最近の欧州歴訪で防空システム強化の約束も取り付けた。
5月15日には、ウクライナとの国境から50キロメートル近く離れたロシアのブリャンスクで2~3機のロシア製ヘリコプターと戦闘爆撃機Su-34、多用途戦闘機Su-35が撃墜された。ロシアの防空網の致命的な欠陥なのか、それともウクライナ軍が車両搭載システムを用いて国境付近を攻撃しているのか、さまざまな憶測を呼んだ。
「ウクライナの、ミサイルを無力化する能力の高さには目を見張る」
オスロ大学研究員でミサイル技術の専門家ファビアン・ホフマン氏は英紙デーリー・テレグラフへの2回にわたる寄稿で「英国はウクライナに英仏が共同開発した空中発射巡航ミサイル、ストーム・シャドウを送り、クリミア大橋などこれまで届かなかった標的を攻撃できるようにする。送られたバージョンの射程は250キロメートルと思われる」と解説する。
低空飛行でステルス性の高いストーム・シャドウは迎撃するのが難しい。ウクライナ軍は国内のほぼ全域を標的に、要塞化された構造物や埋もれた構造物も破壊できるようになる。「しかしロシア軍の電子戦部隊はGPS(衛星測位システム)誘導を妨害することで、ストーム・シャドウの成功を妨げる恐れがある」(ホフマン氏)との懸念もあったが、すでに戦果を収めている。
「ウクライナのミサイル撃墜率は、ウラジーミル・プーチン露大統領の最大の脅威が無力化されたかどうかを問うものだ。ウクライナひいては米欧がミサイルを無力化する能力の高さには目を見張るものがある。おそらく、すべてではないにせよ、ほとんどのミサイルが無力化され、ロシアのミサイルの威力は大きく損なわれた」(同)
核弾頭も搭載できるキンジャールは戦術核の基礎をなす。「ロシアの短距離弾道ミサイルや巡航ミサイルに対するウクライナのミサイル防衛が明らかに有効であることを考えると、ロシアが戦術核をうまく配備する能力に疑問符が付くだろう。ロシアの意思決定者は戦術核で目標を攻撃できるかどうか、疑問を持ち始めるかもしれない」とホフマン氏は指摘する。
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