『トランプ氏が蒸し返す「在韓米軍撤退」の思惑、“親北”の李在明氏が次期大統領になればやぶ蛇になる可能性も』(12/30JBプレス 深川 孝行)について

12/30Rasmussen Reports<Most Voters Doubt They’ll Live to See a Balanced Budget=有権者の大半は均衡予算が実現するまで生きられないと疑っている>

議会が赤字支出の習慣を続ける中、有権者は圧倒的に均衡のとれた連邦予算を望んでいるが、大半の有権者はそれが自分たちの生きている間に実現するという希望を失っている。

ラスムセン・リポートの最新の全国電話・オンライン調査によると、米国の有権者の67%が連邦予算が均衡すれば経済に良い影響を与えると考えている。むしろ経済に悪いと答えたのはわずか9%で、均衡予算は影響がないと答えたのは12%だった。さらに12%はわからないと答えた。これらの調査結果は 2021年からほとんど変わっていない。

https://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/biden_administration/most_voters_doubt_they_ll_live_to_see_a_balanced_budget?utm_campaign=RR12302024DN&utm_source=criticalimpact&utm_medium=email

https://x.com/i/status/1873731038939075070

12/31阿波羅新聞網<美财政部遭中共黑客入侵 致信国会直指“重大事件”= 米財務省が中共にハッキングされ、議会への書簡で「重大事件」を指摘する>米財務省は30日に議会へ書簡を送った。今月8日、中国のハッカーがサードパーティのソフトウェアサービスプロバイダーであるBeyondTrustに侵入し、クラウドサービスを保護するための鍵を入手し、財務省の複数のワークステーションに侵入して非機密文書を窃盗したが、「重大な事件」と呼んでいると。

米国財務省の書簡は、「既存の指標に基づくと、この事件は中国国家支援の高度な持続的脅威(APT)攻撃者によって実行された」と述べ、中共を直接非難した。

高度な持続的脅威とは、侵入者が長期間検出されずにターゲットへの不正アクセスでき、且つ維持できる、一種のネットワーク攻撃を指す。

日本も良く調べてみたら。米国の力を借りないとダメ?

https://www.aboluowang.com/2024/1231/2153053.html

12/31阿波羅新聞網<中共降息救经济?反效果来了=中共は経済を救うために利下げ?逆効果がやってくる>中国経済の低迷に直面し、市場は一般的に中共が経済を救うために金利引き下げと預金準備率引き下げを正式に実施すると予想しているが、モルガン・スタンレーのチーフ中国金融アナリスト、徐然は香港メディア信報との独占インタビューで、中共の公定金利は何度も引き下げられたが、結局は逆効果になったようだ、と述べた。また、国民の収入に損害を与え、中国の生産能力における勝者と敗者の優勝劣敗のプロセスも緩やかになり、リスクの消化には役立たないとも。

徐然は、モルガン・スタンレーは、金利が引き下げられると同時に、中国の家計収入は実際には減少していると推定していると述べた。中国では家計資産に占める固定収益の割合がローンよりはるかに高いため、低金利環境下では金利引き下げが家計収入の減少につながり、収入期待の低下が国民の貯蓄を増加させ、実際には消費に悪影響を及ぼす。

報道はモルガン・スタンレーの報告を引用しており、中国の貯蓄率は新型コロナウイルス感染症流行時も含め、過去数年間約30%にとどまっているが、数回の預金金利引き下げの後、中国の家計は貯蓄率を引き上げる傾向が強まったとしている。今年の最初の 9か月間で貯蓄額は増加し、貯蓄率はさらに 37% まで上昇した。株式市場の影響を除いたとしても、今年最初の9カ月で貯蓄率は昨年の30%から34%に上昇した。

徐然は、中国で利下げが逆効果となっている理由について、現在の研究の多くは米国の経済主体の考えに基づいているが、実際には米国と中国の家計資産の分布は異なると述べた。米国の家計は消費のためにお金を借りる傾向があり、金利引き下げは米国の消費と資産価格の上昇を刺激する可能性がある。しかし、中国の家計は主に預金、債券投資、銀行設計の金融商品などの固定収益型貯蓄に依存しており、その割合は中国の家計負債の3~4倍に上る。

徐然はまた、実際のところ、中国にはもはや金利引き下げの余地はあまりなく、過去数年中国人民銀行の指導のもと、中国のローン金利は実際には国債金利や準備金利率よりも早く低下していると述べた。中国の全体的な金利は米国のゼロ金利よりも低く、特に企業向け融資の場合はさらに低い可能性がある。したがって、現在の金利環境では、金利引き下げはもはや良い選択肢ではない。

徐然は、やはり市場がより大きな役割を果たせるようにし、弱者を淘汰し強者を維持するよう、資源を効果的に配分し、企業利益を増加させ、より効果的な研究開発と投資を行って、長期的な生産力と国民の収入を増加させると提案した。

まあ、何をやっても焼け石に水でしょう。

https://www.aboluowang.com/2024/1231/2153054.html

12/31阿波羅新聞網<习近平衰到家,川普握有一手好牌=習近平の権力が衰退する中、トランプは手に有利なカードが>米国の学者エスワル・プラサドは最近論文を書き、米国経済が好調なため、トランプ大統領の任期中は関税合戦による米国の打撃は少なくなるだろうと指摘した。トランプ大統領の1期目に比べ、中国の現在の経済状況はより厳しく、輸出への依存度が高く、欧州も日本も中国製品のダンピングの地になることを望んでいない。

米メディアNYTのオピニオン面は27日、コーネル大学の通商政策分野の教授でブルッキングス研究所の上級研究員であるプラサドの記事を掲載した。

プラサドは、トランプ大統領の自信は「良いカードを持っている」からかもしれないと述べた。現在の米国の好調な経済と多くの国の景気低迷により、米国は有利な位置にあり、関税政策によって米国の消費者に悪影響を与えるよりも他国に悪影響を与える可能性が大きい。

同氏は、トランプが政策の成功を測る上で米国株式市場の動向が最も重要な指標となっているようで、米国株式市場はほとんどの国の株式市場をはるかに上回って非常に好調に推移していると指摘した。

プラサドは、一部の人々は輸入関税の引き上げや厳格な移民政策が米国のインフレの回復につながる可能性があると懸念していると述べた。しかし、米国の生産性は力強く伸びている一方で、他国の生産性はかなり低迷している。この状況が続けば、広範なインフレが抑制され、米国の消費者や企業にとって関税の負担が軽減される可能性がある。

さらに、関税引き上げはドル高と米国の輸出品の価格上昇を意味する可能性があり、貿易赤字削減というトランプ大統領の目標を損なうだけでなく、世界の他地域からの投資も呼び込むことになると述べた。

中国を見てください。トランプ大統領の最初の任期当初、中国の経済成長率はまだ7%程度だったが、今年と来年は5%の成長率を達成できない可能性がある。中国の状況は、不動産市場危機の激化、危機的な地方財政、労働力の減少、脆弱な消費者心理によってさらに悪化している。家計支出が他国に比べて低く、つまり消費が不足していることから、中国は輸出への依存度を高めようとしているとプラサドは考えている。

日本が中国製品のDumping=ゴミ捨て場にならないよう。

https://www.aboluowang.com/2024/1231/2153023.html

12/31阿波羅新聞網<世卫突然插刀北京 赶在川普就职前自保?—COVID-19爆发5周年 世卫突然插刀北京=WHOは突然北京に介入する トランプ大統領就任前に保身のため? —新型コロナウイルス感染症発生5周年、WHOが突然北京に介入>新型コロナウイルス感染症(2019年新型コロナウイルス感染症)の発生から5年が経ったが、世界保健機関(WHO)は本日、感染症がどのように発生したのかを理解するために、感染症の発生源に関する情報を共有するよう中国に求め続けていると発表した。

フランス通信は、新型コロナウイルス感染症の流行により、世界中で数百万人が死亡し、各国の経済に深刻なダメージを与え、公衆衛生システムを麻痺させたと報じた。

世界保健機関は声明で、「新型コロナウイルス感染症の起源を理解するのは倫理と科学の義務である」ので、情報を共有するよう中国に引き続き求めていると述べた。

声明には「各国間の透明性、共有、協力がなければ、世界は将来の感染症やパンデミックの蔓延を適切に予防し、備えることができないだろう」と書かれている。

何を今更。2020年の時に言え!トランプ就任初日にWHO脱退宣言するのと、テドロスがイエメンでイスラエル機の空爆に遭ったのが効いているのでは。WHOでなく、CHOと言われているので、日本も脱退したほうが良い。

https://www.aboluowang.com/2024/1231/2152980.html

何清漣 @HeQinglian 2時間

歴史家であり、優れた現代チベット史家である李江琳女史が、2024年のクリスマスイブに癌のため亡くなった。

私と暁農、ワシントンから来た鄭義・北明夫妻、張菁女史、そして他の親しい友人たちは、江琳を見送るために何千マイルも旅をし、ジョージア州から戻って来るところだ。親しい友人が亡くなったときの悲しみは名状しがたいものがある。

聡明な人は逝ってしまったが、芳香は永遠に残る。

深川氏の記事では、歴史的に見て日本は朝鮮半島に関わって良いことは何一つなかった。今もそう。在韓米軍撤退も日本とは関係ないと思いたいが、軍事的緩衝地帯がなくなるのは日本には良くない。どういう結果になろうとも、日本は防衛力を充実させるのが必須。政府はもっと国民に世界の環境変化について説明して、国民の国防意識を高めてほしい。

記事

023年8月、韓国・坡州で行われた米韓軍事演習(写真:共同通信社)

韓国の政治的空白で出ばなをくじかれるトランプ氏

2025年1月20日(現地時間)、第2次トランプ政権がアメリカで本格始動するが、第1次政権時(2017~2021年)に物議を醸した「在韓米軍撤退」が早くも蒸し返されそうな雲行きだ。

交渉相手の韓国は今、1987年の民主化以来、最大規模となる政治的混乱の真っただ中にある。今年(2024年)12月3日に、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突如戒厳令を発令。数時間後にあっけなく解除されたが、最大野党の「共に民主党」などは内乱罪だとして尹氏を指弾。憲法裁判所は尹氏の弾劾裁判を開始し、判決次第で尹氏は失職しかねない。

「非常戒厳」の宣布を巡り内乱などの容疑で出頭要請が出ている韓国の尹錫悦大統領(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)

尹氏の早期退陣を叫び、俄然鼻息が荒いのが、共に民主党代表の李在明(イ・ジェミョン)氏で、大統領選への出馬に意欲も見せる。「親日・反北」の尹氏とは対照的に、李氏は「反日・親北」で国民からの支持も高く、現時点で総選挙に出れば、次期韓国大統領間違いなしだ。

とはいえ、そんな李氏も訴訟を多数抱えているため予断を許さない。特に今年11月に判決を受けた、選挙法違反による執行猶予付き懲役刑は深刻だ。韓国では3カ月以内に控訴審の結論を出さなければならず、ここで罪が確定すれば、今後10年間は大統領選を筆頭に、公職選挙への出馬はできなくなる。

次期大統領候補と目される韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表だが…(写真:共同通信社)

2025年2月の控訴審判決の期限まで、なりふり構わず大統領選を先延ばししようとする尹氏と、尹氏の失職と総選挙の早期実現を目指す李氏との「仁義なき戦い」が展開されている。

このように足元がおぼつかない中、韓国側としてはトランプ氏の政権移行チームと「在韓米軍撤退」に関して内々に話し合う余裕もなく、それ以前に、韓国側の政権がガラリと変わるかもしれないため、窓口さえはっきりしないというのが実態だ。

半世紀前から繰り返されてきた「在韓米軍撤退論」

在韓米軍は1953年締結の軍事条約「米韓相互防衛条約」に基づき、韓国国内に駐留する。1950~1953年の朝鮮戦争で戦火を交えた北朝鮮や、背後にいる中国、旧ソ連など共産主義陣営の軍事的脅威から、自由主義陣営の韓国を守る「抑止力」として存在する。

朝鮮戦争で渡河する米第2歩兵師団のM4シャーマン戦車の一群。朝鮮戦争参戦からずっと韓国に駐留(写真:米陸軍第2師団「X」より)

英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)が発行する『ミリタリーバランス(2024年版)』などによれば、在韓米軍の兵力は約2万8500人で、在外駐留米軍の中では、日本(約5万5600人)、ドイツ(約3万9000人)に次ぐ規模である。

陸軍約2万人と空軍約8000人が主軸で、陸軍はM-1戦車の最新版を多数装備する第2歩兵師団(戦車部隊は他師団の部隊をローテーションで借り受け)がメイン。空軍はF-16戦闘機やA-10攻撃機を装備し、対地攻撃(空爆)を得意とする。

米第2歩兵師団が装備するストライカー装甲車(写真:米陸軍第2師団「X」より)

条約では、平時は米韓両軍がそれぞれ独自の指揮権を持つが、有事の際には両軍は米韓連合司令部の下に置くと決められ、在韓米軍司令官が事実上指揮権(戦時作戦統制権)を握る。つまり韓国が北朝鮮と戦争状態に入ると、韓国軍全軍は自動的に米軍の号令一下で戦うこととなる。

米韓両軍は親密に連携している(写真:米陸軍第2師団「X」より)

在韓米軍撤退の話は、半世紀以上前から繰り返されてきた。1960年代、アメリカはベトナム戦争に大軍を投入し、アジアでの共産主義ドミノ(ドミノ倒しのようにアジア諸国が次々に共産化すること)を阻止するため、韓国を自由主義陣営の最前線として重視。陸軍を中心に最盛期には6万人超の兵力を置いた。

だが、ベトナム戦争で苦戦し、膨れ上がる戦費でアメリカの財政は疲弊。当時のニクソン大統領は世界中に配置する米軍の統廃合を決意し、軍事費の大幅削減に乗り出した。同盟国には米軍依存をやめ、自国の防衛力強化に努めるよう訴えた。在韓米軍も例外ではなく、1971年に2個あった歩兵師団を1個に縮小した。いわゆる「ニクソン・ドクトリン」である。

その後1977年に発足したカーター政権は、当時の韓国の軍事独裁政権を嫌い、在韓米軍の全面撤退を計画した。だが国防総省や共和党議員から、極東アジアの安全保障の重大危機だと猛反発され、計画は撤回された。

現在は韓国軍の通常戦力は世界屈指で、北朝鮮軍の戦力をはるかに凌駕する実力を備えるまでに成長した。純軍事的に見た場合、米陸軍第2歩兵師団がまるまる1個半島に駐留しなければならない必然性は、以前と比べて相当低下している。仮に同師団が韓国から離れたとしても、実質的な軍事力バランスが大きく崩れるとは考えにくい。

韓国の通常戦力は北朝鮮軍をはるかに凌ぎ近代的(国産のK1A1戦車とK200装甲兵員輸送車、写真:米陸軍第2師団「X」より)

むしろ米軍地上部隊の存在自体が、北朝鮮に対する心理的な抑止力となっている。万が一北朝鮮が韓国を奇襲攻撃し、米軍地上部隊に多数の死傷者が出た場合、完膚なきまでの報復に出るのがアメリカの流儀であり、それは北朝鮮側も十分に承知しているはず。

最近は朝鮮半島に駐屯するという地の利を生かし、第2歩兵師団配下の部隊を、インド太平洋地域に派遣するためのコア部隊としても活用している。だが、何が何でも朝鮮半島に駐留していなければ韓国の安全保障が保てない、という現状ではないだろう。

韓国版思いやり予算「10倍払わせる」と大見得を切るトランプ氏

「アメリカ・ファースト」(アメリカ第一主義)を掲げるトランプ氏にとって、現在NATO(北大西洋条約機構)など数多くの同盟国・友好国に駐留する米軍の“リストラ”は重要課題の1つと言える。

事実、同盟国とはいえ、自国の防衛は自国で賄うのが筋で、米軍におんぶに抱っこで国防費を出し渋るのは、「フリーライダー(タダ乗り)だ」と発言するなど手厳しい。トランプ氏は在韓米軍をその典型と考えているらしく、ワシントン・ポスト紙によれば、第1次政権時の2018年に行われた非公開の資金集め集会で、「アメリカは韓国に対し巨額の貿易赤字を抱えながら、韓国を防衛している」と不条理を指摘したという。

続けて「北朝鮮と韓国の間に3万2000人(当時)の米軍がいるが、今後どうなるか見ものだ」と「撤退」をチラつかせ、韓国版「思いやり予算(駐留負担金)」を、現行の約6倍、50億ドルに引き上げろと韓国側に迫った。

結局、トランプ氏の試みは大統領選でバイデン氏に敗れたため雲散霧消するが、今回の米大統領選でも、終盤に入った今年10月、トランプ氏は遊説先で「在韓米軍撤退」論を持ち出し、「韓国は豊かな国でマネーマシン。大統領に再選したら、在韓米軍経費として年間100億ドル(約1兆5500億円。現行の10倍)を払わせる」と大見得を切っている。

トランプ次期大統領(2024年12月26日、写真:ロイター=共同通信社)

年明け1月20日に大統領の椅子に再び座ったトランプ氏が、リベンジとばかりに「在韓米軍撤退」に本腰を入れるのは自明だろう。「先進国となり金持ちの韓国を守ってあげているのに、1000億円規模の負担金では話にならない」との理屈で、韓国にディールを迫ることが十分予想される。

もちろん10倍という値は非現実的で、駆け引き用の“ハッタリ”と見るべきだろう。トランプ氏としては、現行の2~3倍に持ち込めれば上等くらいの腹積もりではないだろうか。

ちなみに日本の思いやり予算(同盟強靱化予算)は、2022~26年の5年間で約1兆550億円、年間約2110億円。在日米軍は約5万5600人なので、単純計算で1人当たり約380万円の負担だ。

一方の韓国は、2024年11月に「防衛費分担特別協定」(SMA)を妥結。2026年の在韓米軍駐留費世の韓国側負担額、いわゆる「韓国版思いやり予算」は約1672億円で決着した。これを兵力約2万8500人で割ると1人当たり平均約587万円となり、韓国の方が負担額は多いとも言える。

在韓米軍司令官と握手を交わす韓国の尹錫悦大統領(2023年7月、写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)

李在明氏が次期大統領就任なら在韓米軍撤退も大歓迎?

仮に「反日・親北」の李氏が韓国の次期大統領に就任すれば、トランプ氏との間で繰り広げられる在韓米軍の駐留負担金交渉は相当もつれ込むことが予想される。

なぜなら「親北」を自負する革新・左派系の李氏にとって、国内に根強い駐留米軍への反発感情や、北朝鮮との融和を考えれば、在韓米軍は早期撤退が望ましい。撤退を畳みかけるトランプ氏に対し、お笑い芸人のネタではないが「どうぞ、どうぞ」と李氏が返したらどうなるだろうか。

もっとも「在韓米軍撤退」を叫ぶトランプ氏も、多少の兵力縮小は想定するものの、完全撤退までは考えておらず、駐留コストの軽減が本心だと見られる。

なぜなら、中国を「最大の競争相手」と見なし、アジア太平洋地域における軍事的優位性を確立し、中国軍の膨張を封じることが、自らが唱えるMAGA(Make America Great Again/アメリカを再び偉大な国に)の“一丁目一番地”だと考えているからだ。

アメリカの同盟国である韓国や日本、フィリピンは、中国軍封じ込めのキーストーンで、中でも在韓米軍は、ユーラシア大陸の極東アジア地域の一角、朝鮮半島の橋頭保に布陣する尖兵としても重要だろう。

北朝鮮に対する抑止力はもちろん、中国に対して軍事的なにらみを利かす意味でも韓国は不可欠な存在だろう。中国にとっても北朝鮮という緩衝国があるものの、陸続きで“宿敵”の米陸軍が師団規模で駐屯する存在感は、かなりのプレッシャーに違いない。

こうした軍事戦略上の大切さもさることながら、例えば在韓米軍全部の撤退ではなく、主力の第2師団約2万人の本土撤収となった場合、今後同師団にかかるランニングコストは全部アメリカが負担しなければならず、この工面に頭を悩ますことになる。

前述のように、在韓米軍の韓国側負担額、年間約1672億円を考えると、第2師団を本土に帰還させた場合、年間の維持費は少なくとも2000億円はかかるだろう。

もちろん全額米国民の納税で賄わなければならず、基地・駐屯地のそばにつきものの米軍専用ゴルフ場のキャディの給与や芝の手入れ代、莫大な水道光熱費、宿舎のトイレットペーパーや新しい運動器具に至るまで、これまではこの大半を韓国政府持ちだったが、本土撤収となれば、すべてアメリカの自腹となるのだ。

多くの同盟国が負担する駐留米軍の“思いやり予算”は、そろばんを弾くとアメリカにとって非常に魅力的なシステムだ。特に負担額が大きい在日米軍の場合は、「米兵はパンツ1枚と銃1丁、弾薬1箱だけ携えて来日すれば、後は全部日本政府にお任せ」と揶揄されるほどの厚遇ぶりである。

トランプ氏は目先の数字ばかりを追いかけるのは得意なようだが、中長期的に考えると実においしい仕掛けを理解していないようにも思える。しかも、李氏が次期韓国大統領になれば、「在韓米軍は全面撤退しても構わない」とたんかを切りかねず、その結果とんだやぶ蛇となる可能性もある。

それでもトランプ氏は奥の手を繰り出し、貿易赤字の報復として韓国を高関税の血祭りに上げ、「アメリカが要求する駐留米軍の経費負担増に応じなければ、さらに高関税をかけるぞ」と脅す可能性があり、最終的には韓国政府も在韓米軍の駐留経費の大幅アップに応じざるを得ないだろう。

トランプ・金正恩の直接会談で在韓米軍「第2師団撤退」シナリオも

大手メディアによれば、トランプ氏の政権移行チームは早速、北朝鮮の金正恩総書記との直接会談を検討しているようだが、トランプ氏は韓国大統領との交渉を差し置いて、正恩氏との間で在韓米軍撤退の約束を交わす可能性すら否定できない。

北朝鮮の核兵器・ミサイル開発、特に北米大陸に到達可能なICBM(大陸間弾道弾)に関して、何らかの約束を取り付け、その交換条件として在韓米軍、特に第2歩兵師団の全面撤退を差し出す、というディールを持ち出すことも考えられるだろう。

この場合、あくまでも韓国側が負担額の大幅アップを認めない場合の“嫌がらせ”の意味も込められているが、仮に李氏が韓国の次期大統領に就任した場合、同氏が率いる共に民主党など左派勢力は、第2師団の撤退自体は大いに歓迎するはずだ。

一方、韓国国内の保守勢力、特に尹氏率いる「国民の力」支持層や、北朝鮮への性急な接近をよしとしない中道派の国民は一斉に李氏に反発するはずだ。

しかもトランプ、正恩両氏が韓国大統領を無視し、頭ごなしに韓国の安全保障に関わる事案を決めたとなれば、李氏の指導力や政治手腕は地に落ち、今後の政治運営もおぼつかなくなるだろう。

韓国の政治的空白が長期化しそうな状況で本格始動する第2次トランプ政権。日本の安全保障にも関連する「在韓米軍撤退」の行方は注視していく必要がある。

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