『韓国文大統領の訪朝前向き対応は「米朝戦争」の可能性を高める』(2/14ダイヤモンドオンライン 武藤正敏)、『韓国経済は五輪後に待つ「3つの試練」に耐えられるか』(2/14ダイヤモンドオンライン 向山英彦)について

2/16産経ニュース<安倍晋三首相「北朝鮮に何度もだまされた経験を忘れるな」と韓国大統領に迫る 西村康稔官房副長官が語る日韓首脳会談の内幕>

http://www.sankei.com/politics/news/180216/plt1802160032-n1.html

2/16ZAKZAK<安倍首相とトランプ大統領75分の電話会談、韓国の「対北傾斜」警告 藤井氏「『日米vs南北朝鮮』構図高まる」>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180216/soc1802160013-p1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsPhoto

まあ、日米がいくら文大統領に言っても、元々北の工作員なので面従腹背するだけでしょう。「核を持った南北統一はあり得ない」と西村官房副長官は言っていますが、口先だけでは何の効果も挙げられません。結局は米国の攻撃頼みです。もし、米国が米国に届かない核ミサイル=日本には届く核ミサイルを容認したら日本はどうするつもりでしょう?日本もこういう危機だからこそ、米国に「北の核の除去ができないのであれば、少なくともニュークリアシエアリングを認め、北と中国、ロシアに標準を合わさせてほしい」くらいは言ってほしい。文にいくら言っても無駄です。

バッハIOC会長が五輪終了後訪朝する話は、北が米軍攻撃を避けるための必死の外交でしょう。金も出しているかもしれません。米国では「鼻血作戦何て聞いたことがない」との話も出てきました。

2/16newsweek<北朝鮮への「鼻血作戦」は存在せず=トランプ政権国務次官補>

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/02/post-9542.php

何か動きがおかしくなっています。韓国系米国人が裏で工作をしている可能性もあります。何せ一所懸命米国に慰安婦像を建てようと画策している連中ですから。

武藤氏の記事では、北の外交の必死さを書いていますが、それだけ国際的な制裁が効き出したのでしょう。況してや米軍が本気で北を攻撃するかもしれないと金正恩は思ったと思います。それでは必死になるというもの。武藤氏の言う通り、米韓合同演習がキチンと行われるかどうかが、米国が北と南の工作にやられていない証となると思います。

向山氏の記事は、五輪後の韓国経済はブレーキがかかるのではというもの。米国との通商摩擦もそうですが、文政権はアカに乗っ取られているので、生きた経済が分かっていません。最低賃金の引き上げの副作用について思いを致した形跡は見当たりませんし、ロッテやサムスンのトップを逮捕拘留するのですから一国の経済に無責任で、保守派に協力した財閥と言うだけで報復しているレベルです。こんな政権は長続きしないと思うのですが、韓国人の民度も同じようなものですから。まあ、日本人を貶める民族がどうなろうと知ったことではありませんが。経済界は韓国の若人を彼らの失業対策で雇うことは止めてほしい。反日国家を助けることは自分の首を絞めることになります。

武藤記事

韓国の文在寅大統領は2月10日、大統領府で金与正氏と会談、金正恩委員長からの親書を受け取った Photo:YONHAP NEWS/AFLO

幕開けした平昌オリンピックを 北朝鮮の偽装平和工作が“ハイジャック”

2月9日に幕を開けた平昌オリンピックは、平和なスポーツの祭典という本来の趣旨から外れ、北朝鮮の「偽装平和攻勢」と、これを無条件に歓迎する韓国の文在寅大統領の「政治ショー」に“ハイジャック”された観がある。

その極めつきが、金正恩・朝鮮労働党委員長が妹の金与正氏に託した、文大統領に対する北朝鮮訪問への招待だ。

訪朝への招待は「想定外だった」との指摘があるが、筆者は想定していた。現に、当日朝のテレビ出演の際、「午餐会で北朝鮮はどう出るか」と聞かれ、「金正恩委員長が文大統領氏を招待し、南北首脳会談をやろうと言い出すのではないか」と述べていた。

筆者がそう考えた理由は、今回のオリンピックを通じて、北朝鮮は生きるか死ぬかの外交をやっているからだ。北朝鮮にオリンピックに出てほしいとの思いで、全てのことに妥協する韓国とは根本的に違う。そこをまず理解する必要がある。

金与正氏派遣を、最初から考えていたかは定かではない。しかし文政権が、「核ミサイルは、韓国ではなく米国に向けられている」という金正恩委員長の発言に反論しないばかりか、軍事パレードの中止も求めなかったことから、北朝鮮側は「韓国は抱き込める」と判断し、金与正氏の訪韓や訪朝への招待を最終的に決めたのではないだろうか。

韓国における金与正氏の立ち振る舞いは、堂々としていて冗談も言うことができ、「この人となら対話できる」とのイメージを与えたが、そうした北朝鮮の“微笑外交”で南北統一を前面に出した姿は、北朝鮮の残忍さを忘れさせる雰囲気を作り出そうとしたものであった。

しかし、北朝鮮が目指すのは「赤化統一」であり、仮に連邦制の統一であっても北朝鮮ペースでの統一である。そのことを決して忘れてはならない。

寄り添い笑顔絶やさぬ文大統領 想定を上回る親北姿勢

むしろ想定外だったのは、文大統領の方だ。常に金与正氏と、同じく訪韓した最高人民会議常任委員長の金永南氏に寄り添って笑顔を絶やさないなど、到底、日米韓の連携による「最大限の圧力」を目指していた韓国の大統領とは思えない姿だった。

筆者が、拙著「韓国人に生まれなくてよかった」や、ダイヤモンド・オンラインの連載で述べてきたように、文大統領が北朝鮮に対して無防備だということは理解していたものの、金与正氏などに対し、まるで恋人や親友と接するかのように振る舞ったことに、強い違和感を覚えたのは筆者だけではないだろう。

だが、北朝鮮側の一連の行動は、常に計算されたものだった。

まず、オリンピックへの参加の意思を伝え、韓国の懐柔にかかる。その上で、モランボン管弦楽団の派遣を通じて、北朝鮮の魅力と柔らかいイメージを振りまいた。

文化行事は、政治宣伝色の強いモランボン楽団ではなく、三池淵管弦楽団を主体としていたが、その団長にモランボンの団長である玄松月氏を据え、モランボンの団員も潜り込ませるなど、“モランボン色”の強いものだった。そんな三池淵管弦楽団や美女応援団は、南北統一を前面に掲げ、北朝鮮が平和的な統一を求めているかのような幻想を与えていた。

ただ、その裏では「北朝鮮はオリンピックには出ない」などと言って脅しをかけ、あらゆることで韓国に譲歩求めていたし、三池淵管弦楽団の公演では入場料収入を得ていた。また、夜中に突然、万景峰92の派遣を伝え、韓国に受け入れを迫っていた。

五輪前日に強行した軍事パレードでも 韓国を取り込むことを忘れず

こうしたオリンピックに関わる動きとは別に、北朝鮮はオリンピック開会式前日、軍創建記念日の軍事パレードを強行した。

昨年まで軍創建記念日は、4月25日の朝鮮人民軍の正規軍創設の日だった。それを今年は、金日成が抗日遊撃隊を創設したとする2月8日に急遽変更した。軍創建記念日を変更してまで軍事パレードを行うことは、共にオリンピックを祝おうとする姿勢ではなく、「核ミサイル開発は放棄しない」「米国の軍事圧力には決して屈しない」というアピール以外のなにものでもない。

ただ、韓国を取り込もうとする意図も垣間見せた。前回のパレードは2時間50分続いたが、今回は半分の1時間半で終了。外国人特派員を締め出し、国内行事とした。また、初めて生中継せず、録画中継とした。パレードには、火星15と見られるICBMも登場したが、金正恩委員長は演説で核ミサイル開発には触れず、米国の脅威のみ強調した。

こうした姿勢の背景には、米国を悪者とする一方で、韓国は対話の相手だとする雰囲気を醸成しようとする意図が見える。そのため、この程度の規模が適当だと考えたのだろう。テレビ中継をやめたのは、暗殺を恐れて常に隠れて行動している金正恩委員長が、自分に対する攻撃を恐れたからだと見るのが適当だろう。

北朝鮮が韓国と対話を 求めるのは苦しい時

2月10日、金与正氏は、文大統領が開催した昼食会において、金正恩委員長の「特使」の資格で訪韓したと明らかにした上で親書を渡し、さらに口頭で、「文大統領と早い時期に会う用意がある。都合のいい時期に北を訪問するよう要請する」とのメッセージを伝達した。

これに対し文大統領は、「今後、環境を整えて訪朝を実現させよう」と前向きに回答をしたようだ。

文大統領の訪朝を要請した、北朝鮮の意図は何であろうか。

北朝鮮にとって、本来の対話の相手は米国である。しかし米国は、対話の前提として、北朝鮮に核ミサイル開発の放棄を求めており、実現の可能性は低い。そればかりか、米国の軍事的圧力や、国際社会の経済制裁は強まるばかりだ。

国内情勢も厳しさを増している。北朝鮮が核実験を急ぐのは、ミサイル発射の他、スキー場や遊園地などの放漫経営で、父である金正日氏から引き継いだ“秘密資金”が枯渇してきているからだと言われる。

このように、内外ともに北朝鮮は追い詰められた状態にある。そこで目を付けたのが、融和姿勢をかたくなに貫く文政権だったというわけだ。

90年代の中盤、当時の米クリントン政権が、北朝鮮攻撃を真剣に検討した時期があった。しかし、北朝鮮への攻撃は報復を招き、韓国に多大な犠牲が及ぶとの情勢分析があり、当時の金泳三大統領から、攻撃を思いとどまるよう強い要請があり、攻撃は中止された。

しかし、現在の状況は当時と違い、核が搭載されたミサイルが、米国まで到達するまでに開発が進んだことで、米国は“本気”になっている。また、米国の圧力を受けて、これまで北朝鮮を支援してきた中国も制裁を強化しており、米国側にまわりつつある。

こうした状況を一番深刻に考えているのが金正恩委員長であり、起死回生の策として、「韓国を使って米国と対抗していこう」「韓国を使って核ミサイル開発の時間を稼ごう」「韓国を通じて経済制裁をなし崩しにし、核ミサイル開発の資金を捻出しよう」と打ち出したのが、今回の訪朝要請だったというわけだ。

北朝鮮が韓国との対話に乗り出すのは、いつも米国の強硬姿勢で苦しい立場に追い込まれたとき。つまり、韓国は“盾”として利用されているのである。

今後を占う鍵となるのは 米韓合同軍事演習

では、米軍は北朝鮮を攻撃するのか、そしてそれはいつなのか。

北朝鮮にとって一番危険なのは、「米韓合同軍事演習」のタイミングだ。米国の原子力空母、原子力潜水艦、そして最新鋭の戦闘機が朝鮮半島周辺に集結し、北朝鮮を攻撃する態勢が整うからだ。

北朝鮮が、文大統領を招待して南北首脳会談を行おうとする最大の目的は、こうした米韓合同軍事演習を中止させることにある。オリンピックのための南北会談を行っている期間は、米韓合同軍事演習を延期するよう文大統領が要請し、米トランプ大統領も了解した。それを今度は、南北首脳会談を行うことを口実に、完全な中止に追い込もうと考えているのだ。

ただ、米韓合同軍事演習の中止は、米韓軍事同盟を反故にしかねないだけに、韓国としても慎重な対応が必要だ。にもかかわらず、安倍晋三首相が日韓首脳会談において、「オリンピック後が正念場だ。米韓合同軍事演習を延期する段階ではない。演習は予定通り進めることが重要だ」と述べたのに対し、文大統領は「これは韓国の主権の問題であり、内政に関する問題だ。首相がこの問題を直接取り上げるのは困る」と応じた。

こうした発言から見えるのは、文大統領にとって、金正恩委員長との首脳会談を実現させるためであれば、米韓合同軍事演習さえ見直しの対象にしているということだ。北朝鮮への「最大限の圧力」を継続するためには、米韓合同軍事演習は予定通り実施することが不可欠であるにもかかわらずだ。

そういう意味では、オリンピック・パラリンピック後に米韓合同軍事演習が行われるかどうかが、今後を占う鍵となる。

米国はこれまで、「演習は行う」と明言してきた。しかし、米韓合同軍事演習が行われれば、北朝鮮は再び態度を硬化させ、南北首脳会談を白紙に戻すだろう。そのため文大統領は、何としてでも演習を予定通り4月頃に行うことは避けようとするのではないか。その時、米国がどういう行動に出るかだ。

ペンス米副大統領は文大統領に強い警戒感

2月8日、米国のペンス副大統領は、文大統領と会談。このときペンス副大統領は、「米国は、北朝鮮が核兵器だけでなく、弾道ミサイル計画を放棄する日まで最大限の圧迫を続け、韓国と肩を並べ努力する」と述べ、北朝鮮の揺さぶりにひるむことなく、米国に同調するよう迫った。

これに対し、韓国の大統領府は、「最大限の制裁と圧迫を通じ、北朝鮮を非核化に導く原則を再確認」したと説明。しかし文大統領は、会談の冒頭、記者団に公開された部分で、「われわれはこの機会を最大限活用し、北朝鮮の非核化と、朝鮮半島の平和定着のため、(金正恩委員長を)引っ張り出すよう努力しよう」と述べ、圧力ではなく対話を重視する姿勢をにじませた。

そもそもペンス副大統領の訪韓は、文大統領が北朝鮮との関係に前のめりにならないよう、釘をさすことが目的だった。だから、開会式には、北朝鮮に拘禁され瀕死の状態で帰国した直後に死亡した、ワームビアさんの父親も招待された。

ペンス副大統領は訪韓中、平澤にある韓国海軍第2艦隊司令部も訪問し、脱北者と面会した。そこで、「北朝鮮は自国民を拘禁、拷問し、飢えさせる政権だ」「全世界が今夜、北朝鮮の“微笑外交“を目にする。真実が伝わるようにするのが重要だ」と語った。

そして、開会式のレセプションには遅れて姿を現し、着席していた数人に挨拶したものの、金永南氏ら北朝鮮関係者に一切接触せずに無視、食事もしないで会場を後にした。

当初は、集合写真撮影後に立ち去る予定だったが、文大統領から「友人に会うよう」に促されたため、少しだけ立ち寄った。しかし、集合写真には参加せず、北朝鮮とは一切対話する意思がないことを見せつけた。

だが、当の文大統領は、安倍首相の言葉に耳を貸さず、ペンス副大統領の無言の抗議にも応じなかった。

こうした中で今後、米国はどう出るか。最初の試金石が米韓合同軍事演習だろう。仮に、米韓合同軍事演習を中止する事態となった時、米国は韓国抜きで行動に出ることを覚悟するのか、それとも北朝鮮の核ミサイル放棄を諦め、管理する方式を模索するのか。その時、中国がどう出るのか。決断の時期が刻々と迫ってきている。

(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)

向山記事

Photo:AP/AFLO

中国からの観光客は戻るか建設投資は落ち込む見通し

南北友好が演出される中、平昌冬季五輪が開幕したが、今回の五輪は、今後の韓国のゆくえを占う上でも注目すべき点が多い。

何よりも、北朝鮮の参加を契機に南北の融和が進み、北朝鮮と国際社会との対話への道を開くのか、南北の融和が日米韓の連携に亀裂を生じさせないか。

また、女子アイスホッケーの南北合同チーム編成や万景峰号の入港容認などに批判が強まり、低下した文在寅大統領の支持率が回復するのかなども注目だが、韓国経済を待ち受ける「五輪後」の試練にうまく対応できるかは、文大統領にとって政権安定の試金石になる。

経済の面でも、五輪開催期間中で着目すべきことはある。

THAAD(終末高高度防衛ミサイル)の配備で悪化した中国との関係修復を目指すなかで、中国の春節と重なる五輪開催期間に、昨年急減した中国人観光客がどの程度戻ってくるか、もその一つだ。

さらに「五輪後」では、半導体の好況と建設投資を柱に堅調だった成長が続くのかどうかだ。だが舵取りは簡単ではない。

以下では、韓国経済の現状を概観した後、五輪後に待ち受ける試練について触れていく。

17年は3年ぶり3%成長 半導体活況や五輪プロジェク

2017年の韓国の実質GDP成長率は3.1%と、3年ぶりに3%台に乗った。

成長率が17年初の予想(韓国銀行は2.5%)を上回ったのは、半導体産業で輸出と設備投資が著しく伸びたことと、建設投資の高い伸びが続いたことによる(図表1)。

17年の半導体輸出額(通関ベース)は輸出全体の伸び(15.8%増)を大幅に上回る57.4%増となった。

7月に平澤工場(器興、華城につぐ第三工場)が稼働したサムスン電子では、半導体の売上げが急伸し、過去最高の営業利益を記録した。

また、建設投資が近年高い伸びを続けていることも、経済を支えるもう一つの要因だ。

建設投資が堅調な理由の一つは、住宅投資の増加だ。

朴槿恵政権時に景気対策の一環として住宅融資規制が緩和され、これが利下げ(14年から16年の間に5回)効果と相まって、住宅投資の増加につながった。

その半面、融資の増加に伴い家計債務が一段と増え、住宅価格も高騰したため、16年から投資の抑制が図られている(後述)。足元で増勢は鈍化しつつも、17年通年では高い伸びになった。

もう一つが、冬季五輪に関連したインフラプロジェクトの実施だった。

競技会場・関係施設の建設のほか、大規模なプロジェクトが実施された。

これらには、高速鉄道の新路線(ソウル・江陵間)・高速道路・仁川国際空港の第2旅客ターミナルの建設などが含まれる。

若者層の失業率は約10%の高率 公約の「雇用創出」は進まず

だが一方で、17年の青年(15~29歳)失業率は2000年以降で最も高い9.9%。「雇用創出」を最優先課題にしている文政権は厳しい現実をつきつけられた。

文政権の経済政策は、(1)所得主導型成長、(2)雇用創出につながる経済の建設、(3)公正な競争(含む財閥改革)、(4)イノベーションを通じた成長(革新成長)の4つの柱から構成されている。

革新成長に向けた取り組み昨年秋頃から始まったが、政権発足後に最も力を入れたのは、所得主導型成長に関連した政策だ。

公共部門を中心にした雇用創出、非正規職の正規職への転換、最低賃金の引上げなどを進め、国民の所得の増加を通じて成長を実現させる、いわば「底上げ型」の政策だが、これまでのところ若者の就職難の改善にはつながっていない。

「五輪後」に待ち受ける試練 米国から通商圧力強まる

では、五輪後の韓国経済にはどのような試練が待ち受けているのだろうか。

一つ目が、米国からの通商圧力だ。

好調だった輸出の先行きに関しては、半導体の需要動向、米国からの通商圧力、ウォン高などが懸念材料として指摘できるが、最も警戒すべきは米国からの通商圧力である。

トランプ大統領は韓米FTAの発効(12年3月15日)後に米国の対韓貿易赤字が急拡大したことに不満を持ち、その是正を迫っている。

17年に韓国製鉄鋼製品に対して、米国通商拡大法232条に基づきアンチダンピング関税を課したのに続き、18年1月には、米通商法201条にもとづくセーフガードを発動し、大型洗濯機や太陽光パネルに対する追加関税を賦課することを決定した。

大型洗濯機の場合、120万台までは20%、それを超える台数には50%の関税が課されることになった。

こうした保護主義の動きが広がる一方、米国からの求めで、今年1月に韓米FTAの再交渉が始まった。

米国が特に問題にしているのが自動車分野の不均衡だ(図表2)。自動車分野の赤字額が、ほぼ貿易赤字額に相当するからである。

米国は韓国に対して、非関税障壁の撤廃や米国製自動車部品の調達拡大などを求めているが、FTAで合意した関税譲許が見直される可能性もある。そうなれば、輸出に相当のダメージを与えることになる。

トランプ政権の発足以降、韓国企業は米国での現地生産を拡大しているが、通商摩擦と米国での法人税引下げを受けて、この動きが加速することが予想される。

これは、雇用創出を最優先課題に置く文政権にとって痛手となる。

五輪事業の反動減 格差是正で住宅投資抑制

二つ目が、建設投資の落ち込みだ。

五輪関連インフラプロジェクトの終了による反動と住宅投資抑制策の効果が表れることにより、今年の建設投資は昨年水準を下回ると予想される。

韓国銀行の見通しでは(18年1月時点)、18年の建設投資は前年比▲0.2%となるが、これよりも落ち込む可能性がある。

住宅投資抑制策は16年から始まり、16年2月に、新たな債務負担の尺度として、DSR((住宅担保ローン+その他の債務)/収入)が導入され、融資基準が厳格化された。

これに続き、11月には、投資過熱地域(ソウル市、京畿道、世宗市)を対象にしたアパート(日本のマンションに相当)分譲権の転売制限、頭金比率の引き上げ(5%から10%へ)などが盛り込まれた住宅取引規制策が発表された。

文政権では、住宅価格の高騰とそれによる住宅取得難を問題視し、格差是正の観点から住宅投資の抑制を本格化している。

投資過熱地域と複数住宅保有者に対する融資規制を強化したほか、税制面からの投資抑制も検討している。また、韓国銀行は17年11月、6年半ぶりに利上げを実施した(今年も1~2回予定)。

建設投資の減速が予想以上に進めば、景気の足を大きく引っ張る恐れがある。

底上げ政策の“副作用” 企業のコスト増、逆に雇用減少も

三つ目が、文政権が新たに打ち出した経済政策の副作用だ。

文政権の政策のなかで、マイナスの影響がすでに表れているのが最低賃金の大幅引上げだ。

選挙公約(20年までに1万ウォンへ引き上げ)にもとづき、昨年7月、18年の最低賃金を17年より16.4%引き上げて7530ウォンにすることが決定され、今年1月より適用されている(図表3)。

公約を実現させるためには、来年、再来年もほぼ同じ引き上げ幅にする必要がある。これはかなりのハイペースであり、企業にとっては大きな負担になる。

ほかにも企業には、正規職の非正規職への転換や労働時間の短縮などが求められ、大企業の場合には、今年から法人税率が22%から25%に引き上げられたため、負担増大の影響が懸念される。

生産性の上昇なしに最低賃金が大幅に引き上げられれば、機械化や海外への生産シフトが進む可能性がある。

実際、中小企業や零細企業では従業員を削減して、無人化を進める動きが広がり始めている。

最低賃金の引上げによって低所得の「弱者」の所得増を図る政策が、逆に彼らの雇用を減らすパラドックスが生じる恐れがある。

今後の焦点は若者の意識 雇用改善しないと文政権離れ加速

経済環境の変化が予想される中で、今後の韓国社会のゆくえを占う上で注意したいのが、若者の政治意識の変化だ。

政権発足当初、北朝鮮との融和路線を掲げた文大統領にとって、北朝鮮の五輪参加表明は「渡りに船」だったが、その後の動きを見ると、北朝鮮が五輪参加を政治的に利用している面があることは否定できない。

その結果、北朝鮮との融和を進める文大統領の動きを警戒するのは保守層だけではなく、若者たちの間にも広がり始めた。

融和を目的に、政府が女子アイスホッケーの合同チームの編成や開会式の南北合同入場行進(半島旗の掲揚)を決定したことに、反対する者は少なくない。

80年代に民主化運動に参加した文大統領らの世代には、南北融和は当然のことかもしれないが、若者たちにとっては無条件で受け入れられるものではない。

独裁、人権侵害、核開発、食糧難などの問題を抱える北朝鮮と融和を進める文大統領の姿勢が、若者の政権離れをさらに進める可能性がある。

この点と関連して、若者の就職問題が改善していくかどうかがポイントだ。改善が遅れれば、若者の文政権離れを加速させるからである。

若者の就職難の一因に、大企業の新卒採用者数減に示される「良質な雇用」の不足がある。

だが良質な雇用を創出するためには、経済の革新につながる投資を増加させ、付加価値の高い製品を作り雇用吸収力を持つ産業を成長させる必要がある。

これは、文政権の経済政策でいえば、革新成長に政策の重点をシフトさせることである。

そうなると、看板である所得主導型成長の旗を降ろすことになる。それができるのかどうか。

「五輪後」の文政権には多くの試練が待ち受けている。

(日本総研主任研究員 向山英彦)

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