『「トランプ批判」こそ真の「親米」だ 世界を混乱に巻き込んだ1年』(1/19日経ビジネスオンライン 岡部直明)、『トランプ政権1年、政治コンサルがつけた通信簿 「内政は及第点、でも外交は…」。ユーラシアグループの評価は?』(1/22日経ビジネスオンライン ジェフリー・ライト ジョシュア・ウォーカー)、『トランプ政権のアジア担当要職に反中のベテラン シュライバー氏の起用でトランプ政権は共和党保守本流路線へ』(1/21JBプレス 古森義久)について

岡部氏の記事はリベラルの代表のような記事です。何故欧米で「国民第一主義」が起きているのか分からないから選挙の予想をはずすのです。“shithole countries”も1/19本ブログで紹介しました堀田佳男氏によれば、誤訳していて「肥溜め」ではなく「汚い」と訳すべきとありました。況してやトランプが本当に言ったのかどうか真偽の程は分かりません。民主党の人間が「言った」と言っているだけです。ロシアゲートと同じく民主党がでっち上げている可能性もあります。

「地球の敵」はトランプのアメリカではなく、人民監視を強化する中国ではないですか。見方がおかしいとしか言いようがありません。1/22宮崎正弘氏メルマガ<「中国のビッグデータは国民を見張っている」と「デジタル・レーニン主義」の名付け親  「もはや中国の監視態勢は『オーエルの世界』を超えた」>とありました。リベラルと言うのはピンクで左翼の隠れ蓑になっています。日経は中国進出を煽っていますから身過ぎ世過ぎの為には中国に反対の論陣は晴れないのでしょうけど、不甲斐ないとしか言いようがありません。

http://melma.com/backnumber_45206_6636627/

ユーラシアグループの記事も自由の真の敵が中国と言う大局から眺めていませんのでコメントが皮相的です。まあ、岡部氏のコメントよりはましですが。

古森氏記事こそ多くの日本人に読んでほしい記事です。日本のメデイアは偏っていて中国に都合の悪い記事は発信しません。日中記者交換協定とかのせいがあるのかもしれませんが、朝日なぞは自ら中共の手先となって、慰安婦やら南京等を事件として捏造してきました。罪深い新聞ですが、何の疑問も持たずに未だ購読している人が一番悪いのです。自覚なく中共の日本侵略を許しているというのに気付いていませんので。

岡部記事

トランプ米大統領は、ハイチやエルサルバドル、アフリカ諸国からの移民を「肥溜めのような国から来た人たち」と侮辱。米国の分断を一層深めた (写真:AFP/アフロ)

ドナルド・トランプ米大統領は最初の1年で、ただでさえ不安定な「主役なき世界」をさらなる混乱に巻き込んだ。その排外主義は欧州に台頭した極右ポピュリズム(大衆迎合主義)と見まがうほどだ。環太平経済連携協定(TPP)離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)見直しなど保護主義・2国間主義を打ち出し、パリ協定からの離脱で「地球の敵」になった。エルサレム首都宣言やイランの核合意批判で、中東危機をあおっている。反イスラムの姿勢は「文明の衝突」を招く危険がある。英国やカナダという最友好国からも批判される有り様だ。そのトランプ大統領に100%の信を置くのは間違いだ。「トランプ批判」こそ真の「親米」なのである。

極右ポピュリズムに通じる排外主義

「米国第一主義」(アメリカ・ファースト)という名のトランプ流排外主義は、欧州に台頭する極右ポピュリズムと通じるものがある。極右のスティーブ・バノン氏は政権を去ったが、大統領本人が排外主義を身をもって実践している。トランプ大統領は欧州の極右ポピュリストと同列視されることを警戒するが、フランス国民戦線のルペン党首やオランダ自由党のウィルダース党首らの反国際主義・自国第一主義と共通項は多い。

むしろ、これら欧州の極右ポピュリストたちが主張を国民に受け入れやすくするよう極端な排外主義を棚上げするなどソフト路線を取っているのに対して、トランプ大統領の言動は、ますますあからさまな差別主義に傾斜している。ハイチやエルサルバドル、アフリカ諸国からの移民を「肥溜めのような国から来た人たち」と侮辱したのは、本音が出たととらえるべきだろう。

なぜ米国の大統領にこうした品格を欠く人物が選ばれたのか。大統領の支持率の低さは戦後最低ではあるが、何と非難されようとトランプ大統領を支持するという強力な基盤があることも事実である。トランプ候補に投票した人の実に82%がまたトランプ氏に投票すると答えた調査もある。中西部の中低所得白人層を中心に、トランプ支持はなお強固だとみておかなければならないだろう。

保護主義・2国間主義の代償

トランプ大統領が打ち出した保護主義・2国間主義の代償は極めて大きい。世界経済が成長テンポを速め、世界貿易も拡大しているだけに、いまのところその影響は見えにくいが、いずれ訪れる世界経済の成長鈍化とともに、深刻な打撃となって跳ね返ってくるはずだ。それは、トランプ大統領を支持してきた白人の中低所得層を直撃するだろう。

最も打撃が大きいのは、NAFTAの見直しである。トランプ大統領の強硬姿勢からみて、NAFTA離脱からNAFTA分解といった事態も想定しておかなければならない。最友好国であるカナダのトルドー政権は米国が相殺関税や反ダンピング関税など貿易制裁措置を乱用しているとして世界貿易機関(WTO)に提訴した。この異常事態は、NAFTA再交渉をめぐる情勢の緊迫化を物語っている。

トランプ大統領に「壁建設」を突きつけられているメキシコでは、7月の大統領選で新興左派勢力のロペスオブラドール氏が優勢になっている。NAFTA再交渉をやり直すと主張しており、米墨関係はさらに悪化する恐れがある。NAFTAの混迷は、自由な北米市場を前提に、メキシコに進出してきた日米欧などの多国籍企業やその関連企業のサプライチェーンを分断することになる。まさに北米版の「ハードBREXIT」(英国の欧州連合=EU=離脱)である。

TPPからの離脱も影響は大きい。米国を除く11カ国で存続することにした意味はたしかにあるが、存在感の低下は隠しようがない。とりわけ、米国と肩を並べようとする中国へのけん制効果は薄れる。この点で、トランプ大統領もTPP離脱が失策だったことを痛感しているはずだ。

TPPだけでなく、米EUの自由貿易協定交渉も宙に浮いたままだ。保護主義・2国間主義を打ち出すトランプ大統領と、「反トランプ」に傾くEUとの溝は深まるばかりである。

こうしたトランプ大統領による保護主義・2国間主義のなかで、唯一の救いは日本とEUとの間で経済連携協定の基本合意が成立したことである。これは保護主義を防止し、自由貿易を推進するうえで大きな防波堤になりうる。自由な世界貿易体制は、日本とEUの連携強化で「トランプ抜き」で動き出している。

「地球の敵」に「トランプ抜き」連合

地球温暖化防止のためのパリ協定からの離脱でトランプ大統領は「地球の敵」になった。パリ協定に加盟していないのは、戦乱が続くシリアなど数えるほどしかない。パリ協定を主導してきたフランスのマクロン大統領は米国の離脱を受けて、「トランプ抜き」の体制作りを構築しようとしている。事実、米国内にはカリフォルニア州などトランプ大統領のパリ協定離脱に反発する自治体は多く、州や市を中心に、温暖化防止に積極的に取り組もうとしているのは、皮肉な「トランプ効果」である。環境意識しだいで資金調達にも響いてくるだけに、米企業も「脱トランプ」の戦略を打ち出さざるをえない。

地球温暖化防止のカギを握るのは「脱石炭」である。トランプ大統領はこの潮流に逆行するように石炭産業への規制緩和を打ち出した。「環境より目先の雇用」を優先したのである。

国際社会からの非難の目は、トランプ大統領だけでなく、石炭火力に回帰する日本にも向けられている。たしかに日本の石炭火力は温暖化ガスの排出抑制につながる技術がほどこされているが、いくら効率がよくても石炭火力は石炭火力である。これでアジアに輸出攻勢をかけるという戦略は、地球温暖化防止の潮流に明らかに逆行する。

環境先進国だったはずの日本が「トランプ抜き」連合ではなく、トランプの側に立つようになれば、地球の将来を危うくしかねない。

中東危機を増幅、「文明の衝突」あおる

トランプ大統領がイスラエルの首都をエルサレムとし、大使館の移転を宣言したことで中東和平は遠のいた。それどころか米国の歴代政権がこれまで担ってきた中東和平の仲介者としての立場を喪失することになった。あえて乱を起こすトランプ流は、サウジアラビアなど中東の親米諸国まで困惑させている。

イランの核合意を批判するのは、米英仏ロ中の国連常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランとの合意形成に水をかけ、中東だけでなく国際政治の根幹を揺さぶるものといえる。国連安保理事会でも米国は孤立を深めている。トランプ大統領の登場で、米国は冷戦時代のソ連のように「ノーという国」になってしまったのだろうか。

深刻なのは、白人至上主義で反イスラム色をあらわにするトランプ大統領の登場で「文明の衝突」が深刻化しかねないことだ。「文明の融合」こそが求められる時代にあって、多様性を認めず、寛容さを欠くトランプ大統領の言動は、世界中にリスクを拡散している。

同盟国としてどう付き合うか

そんなトランプ大統領とどう付き合うべきか。11月の中間選挙で共和党はトランプ大統領による混乱で相当な苦戦を強いられるのは必至である。しかし、ロシア疑惑しだいだが、弾劾決議から大統領解任にいたる可能性はそう高くない。だとすれば、トランプ大統領を前提に、友情ある説得を続けるしかない。それが厳しい批判を伴っても当然である。

米国が日本にとって最も重要な同盟国であることは揺るぎようがない。とりわけ北朝鮮が核・ミサイル開発をエスカレートするなかでは、日米韓の連携は死活的に重要であり、中国、ロシアとの協調も欠かせない。この地域に戦争が起きれば、日本が最大の被害国になるのは目にみえている。そうならないように、経済制裁など圧力を最大限に高め、朝鮮半島の非核化をめざして北朝鮮を対話の場に引き出すしかない。

危険なのは、偶発的な紛争が起き、それがエスカレートすることだ。その引き金になりかねない挑発的な言動は慎まなければならない。安倍晋三首相は「圧力」を繰り返すだけでなく同盟国の友人として、この点はまずトランプ大統領に忠告すべきである。

そのうえで、保護主義・2国間主義の防止を強く求めることだ。まず北米市場での日本企業のサプライチェーン確保に直結するNAFTAの見直しに注文をつけることだ。相互依存を深めるグローバル経済の現実を考えるとき、域外の交渉であっても遠慮は無用である。この点でEUと連携することだ。

次に、TPPへの参加を求め続けることだ。先進的な自由貿易の枠組みをアジア太平洋で主導することこそ、米国の国益であることを説き続けるしかない。

地球環境問題では、パリ協定への「復帰」を求め続けることだろう。それには環境先進国として「脱石炭」でトランプ大統領との違いを立証するしかない。

カナダは米国をWTOに提訴し、英国はエルサレム宣言を受けてトランプ大統領の訪問を事実上、拒否した。同盟国、友好国だからこそのトランプ批判である。同じ同盟国、友好国として日本の姿勢が試されている。それを世界が見守っている。

Jライト他記事

2017年1月20日のドナルド・トランプ政権の誕生から1年。看板政策の頓挫や共和党議員との舌戦、税制改革の実現、腹心との絶縁など、トランプ政権はジェットコースターのように揺れ動いた。ツイッターでの奔放な発言を含めた一挙手一投足が話題となるが、この1年間の実績に米国の識者はどんな「通信簿」をつけるのか。今回は政治リスクコンサルティング会社、米ユーラシアグループのジェフリー・ライト米国担当アソシエイト、ジョシュア・ウォーカー・グローバル戦略事業部長の2人に連名で寄稿してもらった。

(写真:代表撮影/UPI/アフロ)

2016年の大統領選で予想外の勝利を果たして以降、トランプ大統領は米国政治のスタイルをひっくり返し、彼の行動に対する人々の意識も変えてきた。いくつかの選挙公約を実現したが、ワシントンに対する理解力不足もあり、頓挫しているものもある。この1年で”ニューノーマル(新常態)”が醸成されたが、選挙の結果がどうであろうと、以前の状況に戻ることはないと認識されている。以下、トランプ大統領が最初の1年で成し遂げたことと2018年の見通し、さらに日本企業に対する影響を見ていこう。

ユーラシアグループ ジョシュア・ウォーカー・グローバル戦略事業部長

ユーラシアグループ ジェフリー・ライト米国担当アソシエイト

国内政策は入り交じった評価

トランプ大統領の優先事項は、国内政策に関しては米医療保険制度改革法(オバマケア)の撤廃だった。共和党の指導部は最初に税制改革をやるべきだと進言したが、オバマケアの撤廃を選択したのだ。

その後、様々なことが起きた数カ月を経て、その努力は一人の上院議員の反対票によって水泡に帰してしまう。トランプ大統領をしばしば批判していたジョン・マケイン上院議員である。

上下両院の多数を共和党が占める状況、共和党には是が非でも政策を実現しなければならないというプレッシャーがかかっていた。オバマケアの頓挫によって、大統領と共和党指導部の不安定な関係は大きな試練に直面したと言える。

ところが、その切迫感が税制改革の原動力になった。

税制改革法案が年末に署名された結果、法人税の大幅な引き下げやレパトリ減税(企業が海外に持つ利益の本国還流にかかる税金の減税)が可能になった。同様に、大半の個人や非公開会社に対する減税、富裕層に対する不釣り合いな恩恵も与えている。

支持者や献金家、さらに大統領自身の圧力にさらされた共和党議員は政策の中身よりも、税制改正を実現させるという政治的な義務を優先させた。税制改革の成功によって、共和党は2018年の中間選挙に向けて大きな実績を手に入れたことは間違いないが、共和党を取り巻く厳しい政治的環境が改善する可能性は低そうだ。

それ以外の国内政策に関して言うと実績はまちまちだ。

1兆ドルのインフラ投資計画は共和党の反対によって法案になる可能性は極めて低い。トランプ大統領は米国に雇用をもたらすとツイッターで盛んに喧伝してきたが、彼が言及した数字は実現していない。

「メキシコ国境の壁」についても議会は予算案に建設コストを盛り込むことを拒否している。トランプ政権は不法移民の国外退去を増加させる一方、物議を醸した大統領令によってイスラム教徒が多数派を占める特定の国の移民をターゲットにしている。

議会を通して法案にする必要のない分野を見ると、トランプ大統領が挙げている成果は多い。オバマ政権の時に導入された規制は多くの業界に影響を与えたが、トランプ大統領は高官の任命を通して規制の緩和や撤廃を進めている。もっとも、その恩恵は金融セクターや石油・ガス、教育サービスなど特定の業界の企業に偏っている。

気まぐれなスタイルは米国の外交政策をひっくり返す

伝統的な共和党の政策を継続している国内政策とは異なり、トランプ大統領は伝統的な外交政策の多くと決別している。

オバマ前大統領は無条件の支援で同盟国を安心させたが、トランプ大統領は同盟国の負担が少なすぎるとして頻繁に批判している。第2次大戦後、米国は国際機関によるリベラルな国際秩序を重視してきたが、トランプ大統領が注力しているのは取引関係に基づく2国間関係だ。

さらに、トランプ大統領は人権の代弁者という伝統的な役割を放棄する一方、外国の指導者とのプライベートな交渉を好む。予算カットや外交官を過小評価することで国防総省に国務省以上の権限を与える半面、「北朝鮮との交渉は時間の無駄」だとティラーソン国務長官に対して警告している。

伝統の逸脱という点では北朝鮮政策を超えるものはないだろう。これまでの大統領は北朝鮮の“口撃”は同国に対処する一部であり、安定のために無視するということを理解していた。ところが、トランプ大統領は“fire and fury(炎と怒り)”と脅した後に、金正恩・朝鮮労働党委員長のことを「小さなロケット野郎」などとツイートしている。

大統領になってすぐ、トランプ氏は核実験やミサイル実験のペースを速める北朝鮮の問題に直面したが、その後のリアクションは北朝鮮との対立をかつてないレベルまでエスカレートさせた。適切な軍事オプションが欠如しているにもかかわらず、軍事行動の可能性をはばかることなくつぶやいている。戦争が起きる可能性は低いが、自分が助長している緊張関係をうまく管理できるかどうかは定かではない。

周辺を見ても、韓国の文在寅大統領との関係は悪化している。貿易に関して中国から譲歩を引き出そうとしているが、一方で北朝鮮での協力を求めており、その効果を減衰させている。

国連制裁を中国が支持したのは平壌に圧力をかけるという点でポジティブだが、それが北朝鮮の行動を変える可能性は低い。トランプ大統領は最終的に北朝鮮が核保有国になることを認めざるを得ないかもしれない。だが、その決定には彼がいまだ見せたことのない忍耐と戦略的思考が必要になる。

世界各国の首脳にとって、トランプ大統領の誕生によってある種の難題に直面している。不人気なトランプ大統領と近いと思われることなく、そういった国々に必須と言える米国との関係を維持できるのかどうか、という問題だ。

安倍首相はトランプ大統領と親しくなる道を選び、日本に招待する前にトランプタワーやワシントン、(トランプ氏の別荘である)マル・ア・ラゴに足を運んだ。中国に対する不信感や北朝鮮への懸念を共有したことで二人は絆を深めた。もっとも、貿易における米国と中国の緊張がエスカレートした場合、あるいは米国でトランプ大統領の人気が大きく下がれば、両国との貿易に依存している日本は試練に見舞われる可能性がある。

アジアの外に目を向けると、トランプ大統領はイランの核合意からの離脱を望んでいるが、米国企業や欧州の同盟国から異論が上がる中で、公約を実現するかどうか中途半端な状況に置かれている。

またトランプ大統領はエルサレムをイスラエルの首都と承認、公約だった大使館移転を実行に移すと発表した。この決定に実際のメリットはほとんどないが、反トランプのコミュニティを糾合させることには成功している。一方、選挙期間中は孤立主義的な傾向を見せていたが、アフガニスタンやイラクにおける米軍のプレゼンスを維持している。

恐らく、最も重要なのはトランプ大統領が多くの政治課題で米国のリーダーシップを放棄したことだ。気候変動に対する国際的な枠組み、パリ協定からは離脱を発表した。米国と世界にとって重要な外交ポストを埋めることも拒否している。

貿易関係の作り替え、その成否はまだら模様

貿易はトランプ大統領が自身と貿易を支持するエリートを分けるために活用されたテーマだった。NAFTA(北米自由貿易協定)や中国との貿易に疑念を持つ労働者との同盟関係を可能にしたのも貿易だ。

だが、「米国の貿易を作り替える」という公約は根本的な試練に直面している。大半の共和党議員や企業は自由貿易を支持しているためだ。貿易に関しては、トランプ大統領の「味方」が制約になっている。

就任式の直後に離脱したTPP(環太平洋経済連携協定)はトランプ大統領が一方的にできる簡単な決断だった。米国市場へのアクセスを期待していた日本や他のアジア諸国との関係は損なわれたが、トランプ大統領は米国で政治的代償をほとんど払っていない。

もう一つの公約、NAFTAの再交渉は状況がかなり複雑になっている。交渉は昨年9月に正式に始まったが、進展はかなりスローだ。今年7月にメキシコ大統領選があるため交渉を急ぐ必要があるが、メキシコとカナダが受け入れ不可能な提案を続けている。

2018年のリスクとして考えられるのは、トランプ大統領がNAFTA離脱の意思を発表することで再交渉のプロセスを大混乱に陥れる可能性だ。あくまでも交渉の駆け引きであり、実際にNAFTAから離脱するかどうかは疑っているが、離脱宣言は果断で劇的な決断という面でトランプ大統領の直感に訴えかけている。仮に離脱を宣言すれば企業や議員の抵抗は激しくなるだろう。

日本にとってとりわけ重要なのは、起こりうる米国と中国の貿易摩擦だ。

トランプ政権の1年目、両者の緊張関係は北朝鮮に対する交渉と協力によって抑えられていた。だが、中国の知的財産侵害に対する通商法301条の調査結果は遠からず出る見込みだ。その報告は中国企業に関税を課すトリガーになるかもしれず、そうなれば北京は米国のテック企業や農産物の輸出業者に報復措置を取る恐れがある。

両国の利害関係は十分にあるので純然たる貿易戦争は始まりそうもないが、トランプ大統領を抑制している穏健派のアドバイザーが政権を去る可能性もある。大統領の「反中国」という直感が2018年に首をもたげてくるかもしれない。

大統領に迫りくる2018年の脅威

2018年にトランプ大統領が立法面で何ができるかという点には曖昧なところが残っている。場合によっては共和党に相反するような動きもあるかもしれない。

トランプ大統領は2018年初めにインフラ投資に関する計画を進めると語っている。だが、共和党は大規模な支出につながる政策を承認することに関心はなさそうだ。また、オバマケアの撤廃に再挑戦することにも関心を示しているが、共和党の議会指導部は中間選挙前に党を割るようなテーマに気乗りではない。

ライアン下院議長は社会保障や医療制度の改革を長期的に推し進めようとしているが、トランプ大統領は選挙期間中、そういったプログラムのカットはしないと繰り返し述べている。

可能性が高いのは、立法面での活動がなくなることだ。移民と教育に関して小規模な動きはでるだろうが、大きなイニシアチブはほとんどなくなる。

2016年の大統領選におけるトランプ陣営とロシアとのつながりを調べているロバート・モラー特別検察官はホワイトハウスを脅かしている。選対の本部長だったポール・マナフォート氏は海外でのロビー活動に関して虚偽の説明をした疑いで10月後半に起訴された。彼は今後、新たな証言を迫られる可能性が高い。

また、前国家安全保障担当補佐官で大統領の友人だったマイケル・フリン氏が捜査に協力すると発表している。これはトランプ大統領にとって危険だ。フリン氏は大統領を失脚させる可能性がある2つの取り調べに直接関わっている。

近い将来という意味で言えばトランプ大統領は安全だ。ホワイトハウスにいる間に刑事責任を問われて起訴される可能性は低い。共和党は議会によるいかなる監視からも大統領を守る意思を持っているようだ。義理の息子のジャレッド・クシュナー氏など親族を含めて。

もっとも、FBIのコミー長官を解任したように、トランプ大統領の衝動的なリアクションが長期的にはダメージを与えるかもしれない。仮に、モラー特別検察官を解任すれば、トランプ大統領の状況は悪化するだけだろう。

トランプ大統領を弾劾するには議会が動く必要がある。政権の内幕を描きベストセラーになったマイケル・ウォルフ氏の『Fire and Fury』でも話題になっているように、様々な不安があるにもかかわらず、議会共和党は大統領を守り続けている。それはトランプ大統領が自分たちよりも支持者に人気があると分かっているからだ。

だが、共和党による議会のコントロールは2018年の中間選挙後に変わる可能性がある。仮に民主党が上下両院の多数派を占めれば、トランプ大統領の弾劾も可能になる。民主党が上下両院を支配するというのはまだ可能性の低いシナリオだが、トランプ大統領の不人気が可能性を高めている。民主党が下院の多数派を占めるのには25議席が必要だ。これは困難だが不可能ではない。一方で上院はより険しい道のりだ。昨年の大統領選でトランプ大統領が勝利した州のうち、民主党の上院議員が再選に臨む選挙区は10あるが、その中で民主党は2議席を取らなければならない。上下両院のねじれというのが最も可能性のあるシナリオだ。

2018年の新常態

全体として、2018年は2017年と同じような年になるだろう。ただ、トランプ大統領に対する期待感は変化し、ワシントンにおける“New Normal”が醸成されている。

トランプ大統領のスタイルは今ほどには報道価値がなくなるかもしれない。2018年は中間選挙モードで大半が費やされるだろうが、北朝鮮問題の進展やモラー特別検察官の調査が2018年のトランプ政権に劇的な影響を及ぼしうる。ワシントンを変えるという過剰な期待はもはや新常態ではない。企業経営者はその状況に対応しなければならない。

古森記事

中国・北京の天安門広場。ランディ・シュライバー氏は中国こそ歴史を捏造、悪用していると非難する

米国のトランプ政権が、国防総省のアジア担当の要職にランディ・シュライバー氏を任命した。シュライバー氏は歴代政権のアジア専門ポストで活躍してきたベテラン戦略家である。共和党保守本流と位置づけられる同氏の起用によって、トランプ政権の対アジア政策は保守、現実志向へと向かうことが予測される。

中国に対する抑止政策の必要性を主張

2017年12月、トランプ政権はランディ・シュライバー氏を国防総省のアジア太平洋問題担当の次官補に任命し、この1月、連邦議会に正式に通告した。議会では上院外交委員会が主体となって人事を審議し、そこで承認されれば最終的な就任が確定する。

現在、民間のアジア安全保障研究機関「プロジェクト2049研究所」の所長を務めるシュライバー氏は、ワシントンのアジア安全保障の関係者の間できわめて知名度が高い。

シュライバー氏はハーバード大学で中国研究の修士課程を終えて海軍士官となった後、民主党クリントン政権下の国防長官補佐官、国務省中国部員や国防総省中国部長、在北京米国大使館武官などを歴任した。その後、共和党のジョージ・W・ブッシュ政権では、政治任命の次官補代理(東アジア太平洋担当)や国防次官補代理(同)を務めている。

シュライバー氏は、ブッシュ政権で国務副長官を務めたリチャード・アーミテージ氏との絆が強く、両氏が共同で2005年に創設した民間のアジア関連コンサルタント機関、「アーミテージ・インターナショナル」の副代表も務める。

政治面では一貫して共和党支持を表明し、共和党議員のアジア政策への助言を続けてきた。自ら創設した「プロジェクト2049研究所」でも、中国の軍拡や領土拡張を主要な研究テーマとして、中国に対する厳しい抑止政策の必要性を主張してきた。同時に対日関係の重要性を強調し、日米同盟の強化を一貫して訴えてきた。また、台湾への支持も顕著だった。こうしたシュライバー氏の基本政策は、共和党保守本流の見解と一致する部分が多い。

それでもシュライバー氏を任命した大統領

ただし、シュライバー氏が親しいアーミテージ氏は、2016年の大統領選挙中に共和党員であるにもかかわらず、トランプ候補を支持せず民主党候補のヒラリー・クリントン氏に投票する意向を宣言していた。当時、共和党主流派の間ではトランプ氏に反対する動きが顕著だった。また、アーミテージ系の共和党の専門家や活動家の間には、トランプ氏の大統領就任後もトランプ政権への参加を拒む向きが少なくなかった。

そんな背景の中で、シュライバー氏は反トランプ宣言こそしなかったが、アーミテージ氏とのつながりからトランプ政権への起用が疑問視される時期があった。

それでもなお、トランプ大統領はシュライバー氏の任命に踏み切った。その背景としては、政権のアジア政策部門を充実する目的に加えて、昨年12月の「国家安全保障戦略」で打ち出した中国への強固な抑止政策の遂行にシュライバー氏のような専門家が必要だったことが挙げられるだろう。

いずれにせよ、この人事は、トランプ政権の対アジア政策、対中政策が保守本流の方向へ確実に舵を切る動きだといえそうだ。

「歴史を悪用しているのは中国」

シュライバー氏は、歴史問題を持ち出して日本を非難する中国に対して手厳しい批判を表明してきたことでも知られる。たとえば2015年10月に「プロジェクト2049研究所」がワシントンで開いた、中国の対外戦略についての討論会では、次のような諸点を指摘していた。

・中国の習近平政権は歴史を利用して日本を叩いて悪者とし、日米同盟を骨抜きにしようとしている。だが歴史に関しては中国こそが世界で最大の悪用者なのだ。中国ほど歴史を踏みにじる国はない。

・中国が歴史を利用する際は、1931年から45年までの出来事だけをきわめて選別的に提示し、その後の70年間の日本が関わる歴史はすべて抹殺する。日本の国際貢献、平和主義、対中友好などは見事に消し去るのだ。

・中国の歴史悪用は、戦争の悪のイメージを現在の日本にリンクさせ、国際社会や米国に向けて、日本は今も軍国主義志向がありパートナーとして頼りにならないと印象づけることを意図している。

・中国はそうした宣伝を、中国と親しく頻繁に訪中する一部の政治家らを巻き込んで日本の一般国民にも訴える。だがこの10年間、防衛費をほとんど増やしていない日本が軍国主義のはずはない。中国の訴えは虚偽なのだ。

・中国は日本に「歴史の直視」を求めるが、大躍進、文化大革命、天安門事件での自国政府の残虐行為の歴史は、教科書や博物館ですべて改竄し隠蔽している。朝鮮戦争など対外軍事行動の歴史も同様だ。

こうした見解を堂々と表明してきた人物が、トランプ政権の国防総省のアジア政策面での実務最高責任者のポストに就く。日本にとって大きな意義があることは明白といえよう。

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