12/17産経ニュース 石平 『習主席アジア外交は惨敗』、12/18日経電子版『東南ア、対中包囲網いまだならず  アジア総局編集委員 村山宏』について

中国外交についての2つの異なった見方を挙げました。小生としては石平氏の言うようであってほしいと思っていますが、村山氏の言う部分も合っていると思いました。特に、「カンボジアが中国陣営に留まる限り、ASEANが対中包囲網でまとまることはない」というのはその通りです。南シナ海の領土問題で中国と争っているASEANメンバーはフィリピンとベトナムですが、ベトナムとカンボジアは歴史的に仲が良くありません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%86%85%E6%88%A6

ただ、各国は強国に対抗するため、国益・歴史的経緯等を踏まえてでも纏まろうとします。カンボジアも中国の属国になるならいざしらず、独立を望むのであれば、日米寄りにスタンスを変えることもありかと。ミャンマーも中国寄りだったのが、中国の野心を感じ取ることにより、西側世界に近づきバランスを取るようになりました。日本も努力してASEAN諸国に中国の軍事膨張の危険性を説得しなければいけないと思います。

昨日(12/19)のTV「ウエークアップ!ぷらす」で熊谷亮丸が「中国は社会主義経済なので1~2年は持つが、3年後は200兆円の不良債権が出て、バブル崩壊する可能性がある。危ない。」、伊藤聡子も「中小企業で盛り上がっているのは、中国から如何に撤退するかという話題」と言っていました。TVでもドンドン中国経済の危険性についても述べられるようになってきました。ユニクロは将来中国に3000も店を出す(現在387店)と柳井社長が10月決算会見で述べたとのこと。(12/19日経)。売国奴の柳井氏がやる事ですから、自己責任でやればよい。困った時に政府に泣きつかないように。6000億円をCITICに投じた伊藤忠も同じです。ただ、駐在員が人質になる危険性があり、経営者の犠牲になるのは可哀想です。

石平記事

11月19日掲載の本欄で、南シナ海での中国の軍事拡張を封じ込めるために日米同盟を基軸とした「合従連衡」が形成される一方、中国はアジア諸国を個別に取り込む「連衡策」をもって対抗する、というアジア外交の構図を論じた。その前後の一連の動きを見れば、この「合従連衡」のゲームに敗れたのが中国の方であると分かる。

 11月5日から6日にかけての習近平主席のベトナム訪問はその一例である。5日にハノイに着いてから、習主席はベトナムの首脳たちと次から次へと会談をこなし、相手のことを「同志」とまで呼んで「関係の改善」を訴えた。

 しかし訪問中の6日、同じハノイにおいて、ベトナムのフン・クアン・タイン国防相は来訪中の日本の中谷元(げん)防衛相と会談し、南シナ海の要衝であるカムラン湾の海軍基地に海上自衛隊の艦船を寄港させることで合意した。

 習主席を貴賓として迎えている最中に、ベトナムは中国に対抗するための日越軍事連携を堂々と進めた。中国に対する「配慮」の気持ちはみじんもないやり方である。このベトナムに翻弄され、恥をかいて帰国の途に就いたのは習主席の方だった。

 そして11月21日からマレーシア首都のクアラルンプールで、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、アメリカ、中国などの18カ国の首脳が一堂に会した「東アジアサミット」が開催されたが、それもまた、中国にとってのアジア外交惨敗の場となった。

 まずは21日、米国とASEAN諸国との首脳会議が開かれた。会議後の共同声明には「南シナ海における航行の自由を保障することの重要性」が明記された。22日の東アジア首脳会議では、「親中派」といわれるカンボジアとミャンマーを除く、すべての国々が、南シナ海における中国の埋め立て・人工島造成の問題を提起して、中国批判の声を次から次へと上げた。

 そして24日、東アジアサミットは首脳会議の結果を受けて議長声明を発表した。中国による人工島造成で緊張が続く南シナ海情勢について、声明は「航行の自由」の重要性を再確認するとともに、「一部首脳が表明した深刻な懸念に留意した」と中国の動きを強く牽制した。

 その結果、少なくとも南シナ海問題に関しては、アジアにおける中国の孤立は決定的なものとなった。今月に入ってからも、習政権にとっての衝撃的な出来事がアジアで次から次へと起きた。

 まずは7日、カーター米国防長官とシンガポールのウン・エンヘン国防相が会談し、防衛協力の拡大で合意した。同時に、米軍のP8対潜哨戒機を3カ月に1回程度の割合でシンガポールに配備することを決めた。

 米軍哨戒機の配備は当然、南シナ海における中国の動きを監視する目的である。中国からすれば、それは要するに、伝統的な友好国であったシンガポールが「寝返り」、アメリカの中国包囲網に加わることであった。習主席自身が11月にシンガポールを訪問したばかりなのに、中国政府の挫折感はさぞかし大きかったのではないか。

 そして8日、南シナ海問題とは関係がないが、韓国海軍が中国船に警告射撃を行う事件も起きた。今、中国ともっとも親密な関係にあるはずの韓国までが、習政権のメンツを丸潰れにする、このような行動を取ったのだ。

 ここまで来たら、アジアにおける中国の立場はもはや四面楚歌に近い状況であろう。それは、習政権が進めてきた覇権主義的拡張戦略の必然的な結果だ。

 中国の古典には、「得道多助、失道寡助=道義にかなった者には助けが多く、道義を失った者には支持が少ない」という有名な言葉がある。習主席はそれを暗唱でもしながら自らの行いを反省してみるべきではないか。

日経電子版記事

 11月後半に開かれた東アジア首脳会議では中国と周辺国との対立が深まる南シナ海問題について「懸念」が示された。これをもってASEAN(東南アジア諸国連合)の外交スタンスが中国配慮から日米寄りに傾いているとの見方が広がった。東南アジアではミャンマーの中国離れが進むなど、対中包囲網が強まっているように映る。だが、東南アジア各国の政治状況を子細に見ていくと、逆に中国が攻勢に転じている局面が浮かび上がる。

 11月8日のミャンマー総選挙でアウン・サン・スー・チーさんの率いる野党・国民民主連盟が圧勝したが、これは対中包囲網論者にとって朗報だろう。ミャンマー政権は民主派への弾圧から欧米の経済制裁を長く受け、経済は中国に頼らざるを得なかった。一方で中国企業のミャンマーへの怒とうの進出は現地住民の反発を呼んでいた。欧米とのパイプの太いスー・チーさんらの民主派政権が来春に誕生すれば、中国離れが進むとみられる。

 世論を意識してか、テイン・セイン現政権ですら昨年、中国・昆明からミャンマーを通ってインド洋に達する鉄道敷設を中止したほどだ。中国の海洋進出を抑えようと、日米は東南アジア諸国を中国の影響下から切り離し、対中包囲網を形成しようとしてきた。この流れに沿って日本もミャンマー南部のダウェー経済特区の開発に協力している。ミャンマーが日米陣営に近づけば、陸からインド洋に向かう中国の海洋進出に待ったがかかる。

 しかし、東南アジアでは中国に不利な出来事だけが起こっているわけではない。

筆者が注目した記事
・11月25日 AFP「中国に接近するタイ、初の空軍合同演習」
・11月24日 日本経済新聞朝刊5面「火力発電関連会社、中国に売却」
・11月17日 日本経済新聞朝刊7面「カンボジア野党党首、議員剥奪」
・10月17日 じゃかるた新聞ウェブ版「メガ氏 習主席と会談 海洋分野 協力関係強化で一致」

■中国寄りの政権も

 タイは昨年5月のクーデターで民主政権から軍事政権となり、米国との関係がぎくしゃくし始めた。プラユット首相らタイ軍政は代わりに中国との関係を深めている。中国から逃れてきたウイグル族を7月に中国に送還、11月にも中国の反政府活動家2人を送還した。中国からの潜水艦の購入計画が一時浮上したほか、11月には中国との初の空軍合同演習に踏み切った。高速鉄道の敷設では日本だけでなく、別路線で中国もパートナーに選んでいる。

 インドネシアも昨年10月に発足したジョコ・ウィドド政権が中国との関係を深めている。インドネシアの高速鉄道敷設では中国が日本に逆転勝利した。中国接近はジョコ大統領を支える与党、闘争民主党が中国寄りのためとされる。党首は元大統領のメガワティ氏。スカルノ初代大統領の娘だ。中国に近かったスカルノ大統領は1966年に軍内の反共グループの台頭で失脚したが、娘のメガワティ氏は父親の中国人脈を受け継いだようだ。

現地邦字紙、じゃかるた新聞によると、10月に中国を訪問したメガワティ氏は習近平国家主席と会談し、海洋協力の強化で一致した。メガワティ氏はさらに中国・深圳で「スカルノの家」の起工式にも出席したという。闘争民主党は与党だが、議会では少数派にとどまる。ジョコ大統領自身は親中でも反中でもないとされるが、ただでさえ難しい議会運営を乗り切るためには、メガワティ氏ら中国寄りの与党政治家に配慮しなければならない。

 マレーシアの態度も微妙だ。中国は11月の東アジア首脳会議のさなかに、資金繰りの悪化したマレーシアの国営投資会社、1MDBを救済する案を同国に持ちかけた。すぐさま中国の原子力発電会社、中国広核集団が1MDB傘下の火力発電会社を98億リンギ(約2800億円)で買収することで合意した。1MDBはナジブ首相に巨額の資金を送った疑惑が浮上しており、窮地に陥ったナジブ首相に中国は手を差し伸べたのだ。マレーシアは南シナ海問題で日米になびくとの観測もあっただけに、中国はすかさず阻止に動いた格好だ。

■カギ握るカンボジア、首相の強硬策

 東南アジア全体の対中姿勢を占ううえでカギを握るのはカンボジアの動向だ。フン・セン首相は親中派の筆頭格とされ、ASEANの重要会議では中国に不利な案件をつぶす役割を担ってきた。ただ、カンボジア国民は30年以上続く現政権に飽いている面もあり、18年の総選挙では野党・救国党の勝利も取り沙汰されていた。救国党のサム・ランシー党首はフランスに亡命していた経緯があり、欧米寄りに外交も転換するとの期待もあった。

 こうした情勢を見越し、フン・セン首相は強硬策に打って出た。11月にカンボジア国民議会はサム・ランシー氏の議員資格と不逮捕特権を剥奪すると発表し、同氏の国内での活動を封じた。サム・ランシー氏の個人的人気に支えられた野党の勢いをくじき、選挙を有利に進めようという与党側のもくろみだ。カンボジアが中国側にとどまるかぎり、ASEANが対中包囲網でまとまることはない。

 日米と中国による東南アジア各国の取り込み合戦は一進一退を続けており、どちらが有利とは一言ではいえない。グローバル経済の時代に地政学的な陣取り合戦をする是非はひとまず置くと

しても、対中包囲網と言うにはほど遠いのが実情だ。情報分析では「自らに有利になるように情報を取捨選択をしてはならない」という鉄則があるが、日本は東南アジア情勢になると自らに都合のよい情報に引かれがちだ。ここに挙げた関連記事は日本では大きく取り上げられていないが、日米と中国との力関係を考えるうえでいずれも見過ごせないものばかりだ。

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