『副大統領候補の討論会はトランプ再選に追い風か?終始冷静だったペンス副大統領と怒っていたハリス候補』(10/9JBプレス 酒井吉廣)について

10/10WHよりのメール「

FIVE STORIES PRESIDENT TRUMP DOESN’T WANT YOU TO MISS

Thousands of Health Experts Sign Declaration Calling for End to Lockdown, Warn of ‘Irreparable Damage’
-The Daily Wire
“Thousands of medical and public health experts have signed on to a declaration calling for an end to lockdown policies in favor of a more targeted approach to combatting the coronavirus pandemic,” Tim Pearce writes. “As infectious disease epidemiologists and public health scientists we have grave concerns about the damaging physical and mental health impacts of the prevailing COVID-19 policies,” the declaration states.

Return Respect to Nomination Process
Northwest Arkansas Democrat-Gazette
“We should not allow the toxic politics of recent Supreme Court nominations to turn this nomination into a partisan circus. Judge Barrett and our country deserve a fair and respectful hearing,” Arkansas Lt. Governor Tim Griffin writes. “In a less polarized time, a nominee as eminently qualified as Judge Barrett would receive a nearly unanimous vote for confirmation.”

Schools Aren’t Super-Spreaders
The Atlantic
Across the United States, “fear and bad press slowed down or canceled school reopenings,” Brown University economist Emily Oster writes. “It’s now October. We are starting to get an evidence-based picture of how school reopenings and remote learning are going . . . Schools do not, in fact, appear to be a major spreader of COVID-19.”

In Afghanistan, As We Enter Our 20th Year, It’s Time to Come Home
-Fox News
“As someone who volunteered for service, fought in Afghanistan, and watched good friends give their lives for the mission there, it’s difficult to accept that 19 years hasn’t been enough. As President Donald Trump signaled on Twitter on Wednesday American involvement in the Afghan conflict should end, our service members should come back to their families, and our country should move forward,” Nate Anderson writes.

National Association of Scholars Calls for Revoking the 1619 Project Pulitzer Prize
-The Federalist
“An impressive array of academics associated with the National Association of Scholars signed a letter to the Pulitzer Prize Board calling for it to revoke the prize it ceremoniously awarded to Nikole Hannah-Jones this year for her lead essay in The New York Times’ deeply troubled and historically challenged 1619 Project,” Glenn Stanton writes. “Hannah-Jones and the Times secretly deleted the most fundamental claim of her lead essay for the project: that slavery was the central reason for our nation’s founding.”    」(以上)

歴史を現在の価値観で断罪すれば、左翼リベラルが好んで使う進歩もなくなるのでは。今正しいと思ってしていることが将来歴史的な誤りと認定されるのであれば、誰も新しいことにチャレンジしなくなるでしょう。人類の歴史は発展段階に応じて進んできたのだから、トムコットン上院議員が「奴隷制は必要悪」として1619プロジェクトを批判したのは分かります。そもそも近代刑法では事後法(法の不遡及)は禁止しているではないですか。日本の歴史教育も同じ問題を抱えています。

10/10看中国<第2场总统辩论被取消 新民调有利川普(图)=2回目の大統領討論はキャンセルされ、新しい世論調査はトランプが有利(写真)>米国の選挙はカウントダウンで26日目に入り、当初10/15に予定されていた2回目の大統領討論は、オンラインか対面かの論争があり、討論委員会によってキャンセルされた。 3回目の討論の計画もまだはっきりしない。

トランプは、大統領討論委員会が2回目の討論の形式をオンラインに変更するのは受け入れないことを早くからに明らかにしていた。

トランプは木曜日のフォックスニュースとのインタビューで、「これに時間を無駄にするつもりはない。それは議論の目的ではない。コンピューターの後ろに座って議論するのはばかげているし、いつでも話の邪魔をする可能性がある」と語った

ギャラップの世論調査では、疫病流行期間に拘わらず、4年前と比べ生活が良くなったという人が56%もいる。信じられないことと。これでは選挙に負けるわけがない。

https://www.secretchina.com/news/gb/2020/10/10/948724.html

10/9阿波羅新聞網<竟然想将川普免职?佩洛西又要出狠手 ?=トランプをオフィスから追い出したい?ペロシは再び酷い手を出してきた?>トランプは先週疫病感染と診断され、バイデンのオンライン討論を受け入れることを望まなかったため、米国大統領の2回目の討論は10月15日から10月22日に延期された。現在、両当事者はこの決定に満足している。

つまり、今からまだ14日ある。また、トランプチームは3回目の討論が29日に延期されることを望んでいるが、バイデンチームはこれについてコメントしなかった。

トランプを辞めさせる

下院議長のナンシーペロシは、本日の週定例の記者会見で劇的な発言をした。彼女はトランプの診断後の健康状態に疑問を呈したため、「憲法第25条修正案」について討議し、トランプ大統領を免職させるつもりであると。

「憲法第25条修正案」は、大統領が「職務を遂行することができない」と判断された場合に、副大統領が大統領として職責を果たすことを認めている。

ペロシは直接疑いを口にした。「私は大統領の健康状態を理解する必要があると思う。問題は、彼が答えることを拒否するから・・・。つまり、彼が最後に陰性だったのはいつだったのか?」

ペロシは、ドナルド・トランプ大統領の精神的健康と大統領としての職務能力を評価するための委員会が設立されると述べた。

「明日、憲法第25条修正案について話し合う予定である」と彼女は付け加えた。

しかし、分析者は、ペロシが上院共和党員に同意するよう説得しなければならないと指摘した。

さらに、マイク・ペンス副大統領も声明に署名する必要があるが、これは起こりそうもないことである。

一方、トランプは木曜日の朝、フォックスビジネスマガジンとのインタビューで「気分が良い」と語った。

左翼リベラルのストーカーぶりが分かろうというもの。中共や朝鮮人同様、汚い手を使います。嫌がらせを延々と続けるつもりでしょう。

https://www.aboluowang.com/2020/1009/1510168.html

10/10希望之声<美国拟限制蚂蚁和腾讯打到中共痛处 华春莹再爆“粗口”= 米国のAntsとTencentへの制裁可能性は中共の痛い所を突く 華春瑩が「下品な罵り言葉」を再び爆発させる>ブルームバーグは情報筋を引用して、米国はAnt GroupとTencentのデジタル決済プラットフォームが国家の安全を脅かす懸念があるため、それらに対する制限の導入を検討していると報道した。このニュースを受けて、中共外交部報道官の華春瑩は、金曜日の定例記者会見で激しく反応し、「下品な罵り言葉」を爆発させた。ある分析では、華春瑩のこの表現は、米国が検討している制裁計画が中共の痛いところを突いていると考えている。

米国がAntとTencentの制裁を検討しているというニュースに応えて、中共外交部報道官は10/9の定例記者会見で、米国は現在Ant GroupとTencentをターゲットにしているのは、「現代の海賊」と同じと回答した。

メディアの報道によると、華春瑩はかつて「中国品行低劣ランキング」に選ばれ、しばしば「戦狼」の役割を果たした。 華春瑩の表現は外部から「すぐ悪口を言うあばずれ女」と呼ばれ、一部のメディアは彼女を「外交あばずれ」と定義した。

華春瑩の「海賊」の発言は、Phoenix.com、Sina.com、Sohu.com、Net ease、Yicai.com、澎拜Newsなど、中国の主要な各ニュースネットワークとローカルメディアに転載され、米国がAntとTencentに対して制限措置を取る可能性があることを示し、中国でかなりの騒ぎとなった。

海外の政治経済ウオッチャーの王剣は、AntとTencentへのモバイル決済に対する米国の制限が実現した場合、華為は一企業にすぎないが、モバイル決済は一業界であるため、その影響は華為に対する制裁の100倍を超えるとコメントした。モバイル決済に関しては、中国の普及度は非常に高く、中共が世界で「カーブでの追い越し」を達成したいと考えている領域である。制限されると、中共のチーズ(『チーズはどこへ消えた?』のチーズのように宝物)ではなく、中共の主食(普及品)になる。

王剣は、中国のデジタル決済を制限するのに、米国は適切な時期を選択したと考えている。金融は両刃の剣である。当事者が互いに密接に絡み合っている場合、当事者の一方が他方にぶつかることによって必然的に影響を受ける。中国のモバイル決済プラットフォームがまだ米国で環境形成していない場合には、制限が課されても、米国への害が軽減される。

ブルームバーグは、米国がAntとTencentに対して措置を講じる可能性があると報道し、米中関係の新たな悪化を示した。これはまた、トランプ政権が現在、中国企業が重大な脅威になる前に米国の金融システムに入って来るのを阻止しようとしていることを示している。

華春瑩に限らず、中国人全体が品行低劣だと思いますが。

https://www.soundofhope.org/post/430480

10/9希望之声<影星袁立评美国副总统辩论 这句话亮了!=映画スターの袁立(ユアン・リー)が米国副大統領の討論についてコメントした この話は分かりやすい!>米国東部時間で7日の夜、ソルトレイクシティのユタ大学で米国副大統領討論会が開催された。この討論では、米国の大統領選に関心を持っている華人大学生も、ペンス米国副大統領とハリス民主党副大統領候補の態度を垣間見た。二人は、米中貿易戦争、疫病流行、減税、環境、エネルギーなど、多くの問題でやりあい、議論の終わりに、ペンスの頭の上のハエが最もホットな話題の1つになった。ある人は、ハエはスパイを指し、情報を盗ろうとしていると説明した。中国人は「蠅=ying2」は「赢=勝利=ying2」の同音語で、トランプが選挙に勝つことを表していると考えている。一部の有名な学者、有名人、経済専門家もこの議論について意見を述べた。

中国の有名な映画スター、袁立の夫である粱太平は、袁立の中国のSNSの投稿をツイッターに再投稿した。袁立は、「議論を見終わって、パフォーマンスの観点からコメントしたい。男性は大学学部のレベル、女性は余暇訓練クラスのレベルである!」

討論会時、ペンスの頭に蠅が止まっていてもペンスは議論に集中し、蠅を追い払うことはなかったと。冷静さを保って議論したのに引き換え、ハリスは攻撃的だった。

https://twitter.com/i/status/1314262221426360322

中国人経済学者、何清漣はツイッターで次のようにコメントした。「米国のメディアは昨日のペンス副大統領とハリスとの間の議論の結果については何も言及していないが、ペンスの目の赤みについてのみ話した。これは、米国の有権者にハリスの失敗をなかったことにするのでは?メディアは、この数日ずっとハリスがどれほど強くて雄弁になるかを予測し、有権者との交流が得意だと主張してきた。メデイアは華やかなステージから降りることができず、赤い目と頭の上のハエしか説明できないようである。この種のメディアは、業界で模範を示す能力を失っている」

https://www.soundofhope.org/post/430378

酒井氏の記事は、民主党寄りの解説者が圧倒的に多い中で、中立にコメントしています。日本のTVの副大統領候補討論会の映像もハリスが優勢だったような作りで報道されていました。小生が翻訳して紹介している中国語記事を読みますと、圧倒的にトランプの選挙活動が目立ち、2016年時点よりも黒人、ヒスパニックのトランプ支持が増えています。あのアーミッシュまでがトランプのために選挙に行くくらいですから。左翼メデイアの世論調査は偏りがあり、信じられません。前回同様隠れトランプ支持者もいるので、トランプが再選されると思います。

記事

討論会に臨んだペンス副大統領とハリス副大統領候補(写真:AP/アフロ)

 10月7日にペンス副大統領と、民主党の副大統領候補であるハリス上院議員によるテレビ討論会が開催された。通常、副大統領と副大統領候補のテレビ討論会に注目が集まることはあまりない。ただ、トランプ大統領の新型コロナ陽性が判明した後の最初の討論会であることに加えて、トランプ大統領、バイデン候補ともに高齢であり、任期中に大統領の職務が継続できない場合は副大統領に大統領権限が委譲されるため、二人の候補の討論会はかつてないほどの注目を集めた。

 今回の討論会におけるそれぞれの候補の印象や選挙戦に与える影響などについて、米政治に精通した米国在住の酒井吉廣氏に聞いた。(聞き手は編集部)

討論会はペンス副大統領の勝ち

──ペンス副大統領とハリス副大統領候補の討論会について、全体としてどういう印象を持ちましたか。

酒井吉廣氏(以下、酒井):副大統領候補討論会という単体ではなく、先週の1回目の大統領候補討論会との関連で今回の討論会を見ていました。その意味で言うと、ペンス副大統領は先週の討論会における「トランプ劇場」とも言える状況を元に戻すために慎重に話しつつ、その延長でバイデン陣営の政策を詰めていました。結論から言うと、ペンス副大統領の勝ちだと思います。

誤解のないように付け加えますと、単独の討論会と考えれば、ハリス候補は自前のディベート力を活かして良いデビューを果たしたと思います。反トランプの立場を取る人々から見れば、彼女のイメージをうまく表に出せたということです。

ただ、今回の司会者であるスーザン・ペイジ氏が準備したグリーンニューディール政策への質問に関して、ペンス副大統領はバイデン候補がグリーンニューディールではなく「バイデン・プラン」があると言ったことに言及しましたが、ハリス氏はそれに反応せずにグリーンニューディールで何百万もの雇用が生まれると説明しました。彼女の説明はスムーズで、不都合なことを避けるのはディベートの定石ですが、前回から見ている視聴者は質問に答えていないと感じたでしょう。

──米CNNの調査では、ハリス氏59%、ペンス副大統領38%でハリス氏の勝利となっています。

酒井:今回の司会者は明確な質問を全部で12個、つまり前回の2倍しました。その回答に、それぞれの候補がどれだけ正直に答えているかどうかで勝敗はわかると思います。
また、先週の視聴者数は確か7300万人で、史上3番目の多さでした。CNNの調査は、以前の調査方法であれば1000人ほどの調査に過ぎません。しかも、CNNの視聴者は基本的にリベラルで民主党寄りです。これでハリス氏が勝利と言われても・・・というのが正直なところです。

思った以上に伸びていない郵便投票

──ハリス氏は郵便による投票が400万を超えたと言いました。郵便投票が増えているのは、民主党にとっては追い風でしょうか。

酒井:いや、むしろ民主党としてはつらいところでしょうね。前回(2016年)の投票総数が、1億3000万票でしたから、今回も同じだとするといまだ3%しか投票していないことになります。また、実際の郵便投票総数は510万と言われていますから、ハリス候補が400万超だと言ったのは、全体の2割でやり直しが必要とバイデン陣営が試算しているということです。本音は予想外だと思います。

──それは、選挙全体にどう影響するのですか。

酒井:実際の郵便投票が3%程度だとすると、まだ投票していない有権者が大半を占めるということになります。これはトランプ陣営の巻き返しのきっかけになるかもしれません。

首都ワシントン近郊のウォルター・リード陸軍病院を退院したトランプ大統領(写真:UPI/アフロ)

郵便投票が増えれば「もう投票は始まっている」と有権者に意識させ、「既に選挙中なのだから最高裁判事の指名は選挙後に」という民主党の主張を後押しするはずでした。ところが、予想以上に郵便投票が増えていないとすれば、民主党にとっては誤算です。

新型コロナの責任は連邦政府か州政府か

──討論会では、新型コロナへの政権の対応が焦点になりました。ハリス氏は「歴史上、最も恐ろしい政権の失敗」と批判。ペンス氏は「米国人の命を救った」と評価しました。

酒井:恐らく、普通の米国人が感じたのは、ハリス候補はただの批評家だということではないでしょうか。どうすればいいのかという具体論がない。彼女としてはトランプ政権をギャフンと言わせたかったのだと思いますが、米国民は新型コロナが中国発の問題だと思っています。それなのに、今さらなぜという感じもあるでしょう。

そもそも、4月まで民主党の大統領候補テレビ討論会がありましたが、その時は新型コロナについては何も語っていません。要するに、時間がたち、(著名ジャーナリストの)ボブ・ウッドワード氏のトランプ本が出てきたので、トランプ政権を攻撃する材料のトップに持ってきたということとしか思えません。

──トランプ政権に、新型コロナの責任はないということですか?

酒井:そうではありません。ただ、新型コロナ対策では連邦政府の動きとは別に、各州、各市がそれぞれに別の判断で行動しました。事実として、共和党は早めに経済活動の再開を、民主党は厳しく対応するというところから始まりました。この結果が、双方の州や都市の失業率の違いに表れています。

同時に、それぞれの州や市で新型コロナが再燃し始めた時の対応が異なったほか、(暴行死した)フロイド事件が起き、囚人の無条件解放など通常では信じがたいことをやった市もあります。黒人暴動の様子を見てもらうとわかりますが、マスクこそしていますが、ソーシャル・ディスタンスなど取っていません。ニューヨーク市が部分的にせよ再びロックダウンになったのは、こういった暴動の影響もあるように思います。

バイデン候補の経済政策は出たか?

──雇用創出など経済政策についての議論はいかがでしたか。

酒井:グリーンニューディールについては先ほど申し上げた通りです。バイデン陣営の混乱は大きいようです。来週の第2回討論会で話すかどうか、見ものですね。

また、ハリス候補はトランプ政権になって雇用を失ったと指摘しましたが、ペンス副大統領は事実として数字で反論していました。

なお、この討論会の前に、オバマ前大統領のツイッターアカウントから、トルーマン大統領以降、すなわち第2次世界大戦後、それぞれの大統領の時の雇用の増減に関するツイートが流れました。ただ、これは私の知る限り、データの誤りもあり、フェイクニュースでした。

──オバマ前大統領がフェイクニュースを流すメリットがあるとは思えません。

酒井:そこはわかりません。ただ、討論会直前に出たオバマ前大統領のツイッターアカウントについては、1カ月ほど前から彼以外がツイートしているという噂が水面下であります。その根拠として、オバマ前大統領が「自分の意見に賛成する人は自分の電話番号にメッセージを送ってくれ」とツイートしたのですが、その番号にかけてもつながらないという話があります。また、民主党サイドの話として、電話番号が違うという指摘もあります。

──第1回討論会で、バイデン候補は経済政策の財源確保として増税すると言いましたが、これについてハリス氏は否定しました。

酒井:バイデン陣営は、総合的な経済政策がまだできていないのだと感じました。バイデン候補はABCのインタビューでも、第1回討論会でも「増税する」と言いました。しかも、民主党大会当時のウェブサイトやバイデン候補のTVコマーシャルでは、年収5万ドル以下は減税、それ以上は増税で年収に応じて段階的上げていくと語っていました。

ところが、ハリス候補は、最初に増税はしないと否定した上で、「40万ドル以上に増税するだけで・・・」と反論しました。恐らく、ハリス氏の話は事実なのでしょう。ただ、それはバイデン陣営の増税政策がまだ揺れているということを意味します。

中国は敵か、競争相手か?

──中国との貿易戦争について、ハリス氏はトランプ大統領が負けたと言いました。

酒井:これは話が本質から離れていましたが、まず貿易戦争で米国が負けたかどうかはもう少ししないとわかりません。米国が有利だと思いますが、勝敗は決着していませんし、中国は利口ですから勝ち負けをつけようとはしないでしょう。

次に、司会者が「中国は競争相手か、倒したい敵か、破壊しなければならない敵かの3つのどれか」と質問した際に、ハリス氏はこれには答えず、競合先ではあるがともに戦わなければならない敵のいる相手だというような言い方をしました。これに対してペンス副大統領は、使う言葉こそ慎重でしたが、明確に戦うべき相手だと主張しました。

──中国については、ずっと以前からバイデン氏の息子が今も国営企業の顧問だという話が出ています。

酒井:これに触れられたくなかったのでしょう。また表向きだと思いますが、反中ではないということを示したかったようです。

今回の討論会の最後に、司会者が「民主党と共和党は喧嘩して、人と人は言い争っている」との感想を持った8年生(中学2年生)の女子生徒の話をしました。ハリス候補は、攻撃する時は「トランプ大統領が」「トランプ政権が」と個人的な批判ばかりです。この方が反トランプの人々には受けるし、リベラルメディアそのものが「トランプが」です。その点において、ペンス副大統領は個人批判ではない言い方をしていました。

またハリス候補は、「リンカーン大統領が1864年の大統領選挙の27日前に最高裁判事の候補者を上院に送らなかった」と笑いながらペンス大統領を諭すように言いました。トランプ大統領がおかしいと主張したかったのでしょう。しかし、これは間違いです。1864年の上院は10月から12月まで閉会だったので送れなかっただけです。ここまでして「トランプが」と批判したいことが、かえってマイナスになったと思います。

子供が見てもおかしなことをやっているのが今回の大統領選挙です。

──環境対策はどうでしたか。

酒井:ペンス副大統領は、科学者が言うことは様々で自分たちは正しい選択をしているという反応でした。一方のハリス氏は接戦州対策モードに入っていましたね。

──どういうことですか。

酒井:民主党は2019年6月から大々的に大統領候補によるテレビ討論会をやってきました。その中で、バイデン候補はガス田や油田、炭鉱の開発はしないと答えています。ハリス氏も開発しないのは当然だと言っています。

ところが、今日はゆっくりとテレビカメラを見ながら、二度、「バイデン候補は開発を禁止しない」と言いました。何を言おうが自由ですが、これだと、本当はどっちなんだと思ってしまいます。

トランプ陣営のポジティブ要素

──今回の討論会では、劣勢のトランプ陣営にとって最もポジティブな要素はありましたか。

酒井:どっちが冷静だったかというのが今回のポイントでしょう。討論会の途中、ペンス副大統領の頭にハエが止まりました。私も2分までは計りましたが、ビデオによると2分9秒止まっていたそうです。ハエが止まっても微動だにしない。つまり、ペンス副大統領は冷静だったということです。

一方、ハリス候補は怒りがあったのだと思います。「私が話している」とペンス副大統領を遮った言葉にも代表されるように、冷静に見せながらも、ペンス副大統領の、持ち時間を越えて話す態度、自分の話にも間違えていれば違うと指摘する態度に、心の中で怒っていたのでしょう。

公判で、笑顔で相手弁護士や証人を諫める際の検事のような言動には違和感を覚えたという有権者の声を耳にしました。

──それがトランプ陣営にどうプラスなのでしょうか。

酒井:バイデン陣営は世論調査で二桁のリードをしています。相手に付け込まれるようなことさえ避けていれば、楽勝かもしれません。ペロシ下院議長が討論会は不要だと言ったのは、そのためです。それは全米だけでなく世界中の人が感じていることです。

実際にグリーンニューディールとバイデン・プランのどちらが最終的にバイデン陣営のコアな経済政策になるのかはわかりませんが、化石燃料の採掘や火力発電などのエネルギー利用をバイデン陣営が否定しなかったというところを見るに、民主党左派が主張するような路線をバイデン陣営が正しいと思っていないということなのではないでしょうか。

──トランプ陣営はこれからどうするのでしょうか。

酒井:四面楚歌ですよね。資金洗浄(マネーロンダリング)に関する米政府の内部文書(フィンセン文書)にバイデン候補の息子が出ていても誰も話題にしない。ロシア疑惑で有力閣僚候補のライス元国連大使に召喚状が出ていても報道されない。これでは、トランプ陣営も普通の戦いでは手の打ちようがありません。

ただ、ハリス候補が化石燃料の利用を禁止しないと言ったら、超リベラルのオカシオ・コルテス下院議員は直ちに「それは駄目だ」とツイートしました。超リベラルがバイデン陣営に文句を言ったのです。

一方、ハリス候補は、先週のバイデン候補より明確にコミュニティ・カレッジを無料にすると言いました。コミュニティ・カレッジは日本で言えば短大のような2年生の学校で、全米のかなりの場所にあります。州民の高等教育を行き届かせるため、試験を受けずに入学できるのが基本です。すると、全高校生が大学進学をすることになるかもしれません。これは、民主党の中道派が受け入れないでしょう。このための増税かと。意外とバイデン陣営は脆いかもしれません。

──最後に、なぜ共和党陣営ばかりがコロナ陽性となるのでしょうか。やはりマスクをしない、ソーシャル・ディスタンスをしっかりとっていないということに尽きるのでしょうか。

酒井:いえ、これは知る人ぞ知るということかもしれませんが、民主党はあまりPCR検査をしていません。ペロシ下院議長はそれ自体を拒否していると有名です。従って、両方が等しく検査をすれば、意外と似た陽性確率ということではないでしょうか。

『NEW RULES 米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』(酒井吉廣著、ダイヤモンド社)

※本記事の著者である酒井吉廣氏が『NEW RULES 米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』(ダイヤモンド社)という新刊を出します。米中新冷戦に落としどころはあるのか? 米国の覇権は終焉に向かうのか? コロナ禍は米国経済にどんな影響を与えるのか? 韓国と北朝鮮は統一に向かうのか? 米国の政治経済を第一線で見続ける著者による新しい世界秩序の解説します。

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