中国は歴史の改竄の常習国です。中国駐在時代に行った丹東の抗美援朝記念館では「朝鮮戦争は南側の侵略により始まった」と臆面もなく、平気で嘘を書き連ねます。南京虐殺館も同じです。なかったことをさもあったように金をかけてアピールします。真実の歴史を叙述する訳でなく、政治的プロパガンダです。
流石に今の日本人は中国の異様さに気付いてきたのでしょう。NPO法人「言論NPO」の二〇一四年年七月~八月に実施した世論調査で日本人の93%(前年比2・9ポイント増)が中国に良くない印象を持っていると回答。南沙諸島で3本目の滑走路を造っているというニュースが米国から流されました。悪の帝国そのものです。
パレードに集まった元首級は専制国家の代表みたいな方が圧倒的に多いです。確かに「ファシストが反ファシスト戦争を祝う」と揶揄されてもおかしくないです。韓国と潘基文国連事務総長がこれに参加したことは、韓国は西側の一員に留まらないという事を宣言したようなものです。潘基文は次期韓国大統領の有力候補と言うのですから、完全に軍門に下ったと言えるでしょう。
中国にとって「海のシルクロード」を構築するよりは中央アジアを通る「一帯一路」の方が、今回のメンバーを見ているとやりやすいと思います。ただ金欠中国に他国にばらまく金が残っているかどうか。
記事
天安門の楼上で軍事パレードの観覧に臨む習国家主席(中央)、韓国の朴大統領(左端)、ロシアのプーチン大統領(左から2人目)ら(3日、北京)=写真 柏原敬樹
古来より国家的なイベントは政治ショーとして見どころが多い。わけても、権威主義的な体制が威信をかけた場合は見どころ満載といえる。中国共産党政権が9月3日に北京の中心部で実施した軍事パレードは最新の例だ。
「主役」である習近平国家主席の言動。初めて公開されたとされる兵器の数々。「ファシストの手法で反ファシスト戦争の勝利を祝う」と皮肉られた、厳戒態勢。「パレード・ブルー」とか「ファシスト・ブルー」などと、やはり皮肉まじりに呼ばれた、まれに見る青空。もちろん、天安門の楼上に並んだ中国の要人たちの顔ぶれとその表情、一挙手一投足は関心の的だった。注目点をあげるときりが無いが、その中で、天安門の楼上に並んだ外国の元首たちに焦点をあててみたい。
筆者が注目した記事
・9月5日 The Economist “Clueless and immoral”
・9月3日 YouTube「慶祝抗戦勝利70周年9.3閲兵完整版」
・8月25日 国務院新聞弁公室サイト「国新弁挙行抗日戦争勝利70周年紀年活動第六場専題発布会」
■外国元首は22人
8月25日に中国政府が開いた記者会見では「30人の外国指導者」が「9月3日を記念する活動」に参加する、との発表があった。そのうち国家元首は22人。中国中央テレビ(CCTV)の中継では、パレードに先だって習主席夫妻が外国の要人や国際機関の高官と握手する様子が伝えられ、発表通りの22人が天安門に出向いたことを確認できた。内訳を地域別にみると次のようになる。
北東アジアでは韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領とモンゴルのエルベグドルジ大統領の2人。東南アジアはベトナムのチュオン・タン・サン国家主席やミャンマーのテイン・セイン大統領ら5人。南アジアからはパキスタンのフセイン大統領だけだった。
目立ったのは旧ソ連圏の国々。ロシアのプーチン大統領のほか、中央アジアからカザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの大統領が参加した。ベラルーシのルカシェンコ大統領の姿もあった。アフリカからはエジプトのシシ大統領や南アフリカのズマ大統領ら4人。ほかに東欧の国のトップが3人と、南米からベネズエラのマドゥロ大統領がはるばる駆けつけた。
こう並べてみると、地政学的な考えが頭をもたげてくるのを禁じ得ない。たとえば、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国のうち元首が天安門に登ったのは、メコン川流域に位置し経済発展が比較的おくれている国々だ。ASEANを貫く亀裂、分断線のようなものが見えてくる気がする。南アジアからの出席がパキスタンだけにとどまったことは、中国にとりインド洋への進出が決して容易でないことをうかがわせる。
対照的に、中央アジアを経てロシア、ベラルーシ、東欧へとつながる道筋は結構くっきり浮かびあがる。海のシルクロードと陸のシルクロードを作ろうという「一帯一路」構想を習主席は打ち出しているが、少なくとも政治的には陸上の道づくりの方が進めやすいといえそうだ。
■自由や民主の理念は敵視
視野をさらに広げると、かつての冷戦時代のような地球規模の分断線さえも感じ取れる。岩礁の埋め立てなどで南シナ海の現状を一方的に変更しつつある中国の活動や、ウクライナに対するロシアの侵略的な行動に、表だっては反対しない国々のトップが天安門楼上に勢ぞろいした。そんな印象を受ける。
と同時に、自由や民主といった理念に必ずしも賛同しない政権や、むしろ敵視している政権のトップが目につく。振り返れば、天安門の前では1989年、学生たちの民主化要求を共産党政権が武力で弾圧した天安門事件が起きた。そんな場所で共産党政権が催した軍事パレードだ。天安門に登る先進国の元首がいなかったのは当然といえる。あえて登った元首たちが自由と民主をどう考えているのか、問いただしたい気分になる。
その意味で、9月5日付の英誌「エコノミスト」の記事は衝撃的だった。南アの与党であるアフリカ民族会議(ANC)が最近まとめた外交政策に関する文書の素案は、天安門事件について「米国が後押しした反革命だった」と決めつけているという。ウクライナ問題は「米国が導いた紛争」だそうだ。中国共産党政権やプーチン政権の歴史観を引き写したような内容だ。ANCが今は亡きマンデラ大統領の与党だったことを踏まえると、エコノミスト誌が「無知で非倫理的」と形容したのもうなずける。