『「中国軍はヘリで尖閣を急襲する」と米研究機関 東シナ海制覇を目論む中国の野望』(7/6JBプレス 古森義久)、『東シナ海、中国戦闘機の「攻撃動作」はあったか 日本の第一のリスクは「危機感の乖離」にあり』(7/6日経ビジネスオンライン 福島香織)について

福島氏記事にあります、6/28織田邦男氏のJBプレス記事は抜粋ですが下記の通り。

<東シナ海での中国軍戦闘機による米軍や自衛隊の偵察機への危険飛行は、これまでにもしばしば生起している。他方、中国軍戦闘機は空自のスクランブル機に対しては、一定の抑制された行動を取ってきたのも事実である。

武装した戦闘機同士がミサイル射程圏内でまみえると、一触即発の事態になりかねない。そういうことに配慮してだろう、中国軍戦闘機は空自戦闘機とは一定の距離を保ち、比較的抑制された行動を取ってきた。

これまで中国軍戦闘機は東シナ海の一定ラインから南下しようとはせず、空自のスクランブル機に対しても、敵対行動を取ったことは一度もなかった。

だが今回、状況は一変した。中国海軍艦艇の挑戦的な行動に呼応するかのように、これまでのラインをやすやすと越えて南下し、空自スクランブル機に対し攻撃動作を仕かけてきたという。

攻撃動作を仕かけられた空自戦闘機は、いったんは防御機動でこれを回避したが、このままではドッグファイト(格闘戦)に巻き込まれ、不測の状態が生起しかねないと判断し、自己防御装置を使用しながら中国軍機によるミサイル攻撃を回避しつつ戦域から離脱したという。

筆者は戦闘機操縦者だったので、その深刻さはよく分かる。まさに間一髪だったと言えよう。冷戦期にもなかった対象国戦闘機による攻撃行動であり、空自創設以来初めての、実戦によるドッグファイトであった。

日中共に戦闘機はミサイルを搭載し、機関砲を装備している。武装した戦闘機同士がミサイル射程圏内で遭遇するわけである。戦闘機同士がいったん格闘戦に陥ると、空中衝突やミサイル発射に至る可能性は十分にある。

規律の厳格な空自戦闘機操縦者が先にミサイル発射することはまずあり得ない。だが中国空軍の戦闘機パイロットは経験も浅く、何をするか分からない。>(以上)

本ブログトップページ告知欄にありますように、7/16(土)14:00~アカデミー茗台(東京都文京区春日2-9-5)にて織田邦男先生による講演会が「士気の集い」主催でありますので是非参加ください。

中国機が自衛隊機にロックオンしたことをすり替え、中国は「空自機がレーダー照射」とか逆のことを言ってきています。嘘つき中国人のやりそうなこと。これに対し萩生田光一官房副長官が反論しましたが遅いでしょう。今は中国と情報戦の最中にあるという事を官邸はもっとしっかり意識すべきです。中国が言う前に世界に発信する癖をつけておかないといつまでも後手後手に回るだけです。証拠がないというのであれば、中国だって証拠はないでしょう。規律正しい自衛隊員と「騙す方が賢く騙される方が馬鹿」の国の軍隊の言い分のどちらを信じますか。聞くまでもありません。中国は嘘でも言ったもの勝ちと思って言っているのです。言わばダメモトです。裁判でなく外交と言う戦争を戦っているのですから、証拠が何て言っていると負けてしまいます。官邸は織田氏への機密漏洩の犯人探しをしているとのこと。方向が逆ではないのか。戦うべきは中国でしょう。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160705/frn1607051205006-n1.htm

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20160705/plt1607051917010-n1.htm

日本人もダッカ事件のようにテロに遭うようになりました。その前にはチュニジア、アルジェリアでも日本人殺害事件がありました。国民一人ひとりが「我が身を守る」ことを学んでいかなければなりません。今の所テロ事件は海外だけですが、日本国内で起きないとも限りません。入国の水際で止めるのも大事ですが、鎮圧するのを国民が支援するようにしないと。警察だけではダメな場合があるかも知れません。そうなれば自衛隊の治安出動です。「人殺し予算」とか自衛隊予算を呼んだ日本共産党は治安出動に反対するのでしょう。その間にも国民の命が失われていく可能性があります。阪神大震災、東北大震災の時の左翼政権の取った行動を見ていれば分かります。優先すべきは「国民の命を守る」事です。

中国が攻めて来たら機敏・果断に反撃しないと。国民は自衛隊を支援しましょう。自衛隊の出動にとやかく言うのは中国のスパイと思ってよいでしょう。今度の参院選も反日民進党だけでなく、日本共産党も落とすようにしなければ。

古森記事

heli of PLAN

中国海軍のヘリコプター「Z-8」(資料写真、出所:Wikimedia Commons)

 中国軍が尖閣諸島など日本の領海や領空への侵犯を重ねる中、中国の軍事動向を調査する米国の研究機関が「中国軍部はヘリコプター急襲や洋上基地の利用によって尖閣諸島を奪取する戦略を着実に進めている」とする分析を明らかにした。

 同研究機関は、中国は長期的には東シナ海での覇権を確立するとともに、沖縄を含む琉球諸島全体の制覇を目論んでいると明言している。

尖閣制覇の目的は?

 ワシントンで中国の軍事動向を研究する民間機関「国際評価戦略研究センター」の主任研究員リチャード・フィッシャー氏は、中国人民解放軍の東シナ海戦略についての調査結果を報告書にまとめ、このほど公表した。

 同報告書は、まず中国が南シナ海で人工島建設による軍事化を推進し、同時に東シナ海でも、2013年11月の防空識別圏(ADIZ)の一方的な設置宣言に象徴されるように、軍事能力を高めていることを指摘する。特に、尖閣を含む琉球諸島の南部を重点的な対象とした(1)レーダー網や電子諜報システムの近代化、(2)J-10やJ-11など第4世代戦闘機の配備、(3)新型の早期警戒管制機(AWACS)や電子諜報(ELINT)の配備や強化、(4)以上のような戦力の演習の頻度増加――などが最近、顕著にみられるという。

 また同報告書は、中国は尖閣諸島の軍事奪取のための能力を特に強化しているとし、尖閣の制覇には二重の目的があると分析する。つまり、“台湾攻略のための戦略拠点を確保する”、および“2020年頃までに東シナ海全域で中国の戦略核潜水艦活動の自由を確保する”という目的である。

着々と進んでいる尖閣奪取の準備

 同報告書はそのうえで、尖閣諸島の軍事奪取に向けた中国人民解放軍の最近の動きとして、以下の諸点を列記していた。

・浙江省の南麂列島で、ヘリコプター発着を主な目的とする新軍事基地の建設を始めた。この基地は尖閣諸島から約300キロの地域にある。中国軍ヘリのZ-8やZ-18は約900キロの飛行距離能力があり、尖閣急襲用の新基地と目される。

・2015年6月以降に、浙江省の温州市で、日本の海上保安庁にあたる「海警」の新しい基地の建設を始めることが明らかになった。温州市は尖閣諸島から約320キロの地点にある。温州市の海警基地はまず尖閣諸島方面での任務につくとみられる。

・中国海軍は新型のホバークラフトをすでに東シナ海に配備した。さらに新鋭の重量級ヘリの開発にも着手し、尖閣諸島や宮古列島、八重山列島への敏速な軍事作戦の実施能力を高めている。

・中国海軍はウクライナ・ロシア製の時速50ノット、運搬量500トンの大型ホバークラフト2~4隻を購入し、同様の国産艦も製造中である。その結果、中国軍は、ヘリコプターの急襲部隊を後方から敏速に支援することが可能になる。 

・中国軍は、搭載量15トン、飛行距離400キロの新型ヘリコプターも独自に開発している。完成して配備されれば、尖閣諸島の占拠にきわめて効果的な手段となる。

・中国は、2015年7月に公開した巨大な「洋上基地」の東シナ海への配備を実際に進め、尖閣攻略の有力な武器にしようとしている。この洋上基地は軍用航空機と軍艦の洋上の拠点として機能するため、中国が占拠した尖閣諸島に曳航すれば、即時に新軍事基地となる。

沖縄や先島諸島も狙われている

 さらにフィッシャー氏は同報告書で、尖閣諸島だけでなく沖縄や先島諸島(宮古列島と八重山列島)をも日本から奪取しようとする中国の長期戦略の存在を指摘した。

 同報告書によると、中国人民解放軍の羅援少将(軍事科学研究院所属)らは、中国共産党機関紙「人民日報」などに2013年半ば以降一貫して「沖縄を含む琉球諸島は本来は中国の主権に帰属する」という主張を発表してきた。中国と沖縄や先島諸島との歴史的な関わりを強調するその主張は、中国政府の意向の反映とみられるという。フィッシャー氏は、中国の尖閣諸島への攻勢は、沖縄などを含む日本領諸島へのより広範な長期戦略の一環であるとしている。

 米国で明らかにされた、こうした中国の尖閣諸島、沖縄その他の琉球諸島、さらには東シナ海全体への軍事的野望の実態は、当然ながら日本でも深刻に受けとめなければならない動きである。

福島記事

中国軍仕様のスホイ30。2000年撮影(写真=ロイター/アフロ)

 バングラデシュ・ダッカのレストランでおきたIS襲撃事件はあまりに痛ましい。犠牲者の方々に深い哀悼を捧げたい。テロリストへの怒り、事件の浅薄な政治利用、メディアの報道の在り方に対する疑問など、頭によぎることはたくさんある。だが、一番懸念することは日本人と日本政府の危機感の薄さである。

 武装勢力が一方的に自分たちの正義を振りかざし、攻撃対象国の無辜(むこ)の国民を狙う、いわゆる“非対称性戦争”は、世界各地ですでに始まっている。ただ日本が事件の現場になっておらず、比較的日本人の被害がこれまで少なかったから多くの日本人はこれまであまり、硝煙の満ちた“あっちの世界”の方を見ないできたのだ。

 今回、日本人犠牲者が多かったので、日本でも衝撃的に報じられているが、しばらくすると、また自分と無関係なような気になってしまうかもしれない。死者44人を出したトルコの空港での自爆テロも、日本人ジャーナリストがシリアで拘束されて一年以上たつことも、一時的に意識に上るが、しばらくすればまた忘れる。日本人はいつも、まるで危機がそこにあると認識すること自体が、危険なことのように、すぐ忘れたり、事態の重さを現実よりも軽く見ようとしたりする。

 ISのテロだけではない。南シナ海で起きている事態も、東シナ海で起きている事態も、日本人一人ひとりにとって他人事でない危機ではないだろうか。ここで中国の軍事的挑発の問題を出すと、話をこじつけすぎといわれそうだが、こうした世界の現象はどこかでつながっている気がする。今回は日本人の危機感共有の重要性について、先日起きた東シナ海上空の自衛隊機と中国機の一触即発事態を例に、少し考えたい。

一触即発のドッグチェイス

 6月17日に、東シナ海上空では、自衛隊機と中国戦闘機が異常接近した。“ドッグファイト”に近い状態、いや厳密にいえば、反撃を許されない自衛隊機は逃げに回る一方だったので、“ドッグチェイス”かもしれないが、いずれにしろ一触即発の危機的状況であったようだ。

 あったようだ、と曖昧にするのは、これは公式の発表ではないからだ。戦闘機乗りであった織田邦男・元空将がJBプレスの寄稿記事で28日に明らかにしたことが最初の報道で、産経新聞、毎日新聞が自衛隊幹部や政府関係者の話を聞いたうえで、29日に後追いで報じた。織田記事では、「(中国軍機から)攻撃動作を仕かけられた空自戦闘機は、いったんは防御機動でこれを回避したが、このままではドッグファイト(格闘戦)に巻き込まれ、不測の状態が生じかねないと判断し、自己防御装置を使用しながら中国軍機によるミサイル攻撃を回避しつつ戦域から離脱したという」とある。素直に読めば、中国軍機がミサイル攻撃体制(ロックオン)をとったので、フレア(赤外線センサーを欺瞞するデコイ装置)を発射してこれを回避し離脱した、と受け取れる。

 これを受けて、萩生田光一官房副長官が29日の記者会見で「近距離でのやりとりは当然あったのだと思う」としながらも「攻撃動作をかけられたという事実はない」と言明した。さらに30日、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長は会見で「中国軍機が尖閣諸島方面に南下したが、特異な行動だとは判断していない。攻撃動作を取ったという事実はない」と語った。

 私は会見には出ていないのだが、会見の詳細を知る元航空自衛官の評論家、潮匡人氏によれば、「ロックオンはあったのか」という記者の質問には「なかった」と答え、「フレア発射はあったのか」という質問に対しては、特定秘密であることを理由に、答えなかったらしい。私が、ロックオンされなくてもフレア発射することはあるのか、と潮氏に聞くと「それはその場になってみないとわかりません。ないとはいえない。通常はない」とのことだった。ちなみに中国国防部は「2機のスホイ30が東シナ海上空の防空識別圏内をパトロール中、日本のF15戦闘機2機が接近して火器管制レーダーを照射(ロックオン)した。中国側は戦術機動などの措置をとったところ、日本機はフレアを発射して退避した」と発表。日本側の方が攻撃動作を先に仕掛けたので応戦体制をとった、としている。

「彼らが言いたくても言えないことを」

 政府発表を素直に信じる人たちは、萩生田会見、河野会見を聞いて、「なーんだ、織田記事はガセだったのか」と、ほっとしたかもしれない。中国側の発表を素直に信じる人は「自衛隊機は攻撃動作を先に仕掛けたうえ、中国に反撃されて逃げたのか」と思ったかもしれない。一部の人たちは、織田はデマを流してけしからん、と言ったコメントをツイッターなどで流していた。では、この記事は織田氏の妄想で、ねつ造であったのだろうか。

 私は織田氏とは面識があり、この記事については発表と同時にメールで「読んでください」とリンクもいただいていた。そのメールには「現役諸君の深刻な危機意識は必ずしも、政治の世界と共有されておりません。彼らが言いたくても言えないことを、書いてみました。これを読んで、心ある政治家が少しでも動いてくれればいいのですが…」と書き添えてあった。織田氏とはときどき情報交換の会食の場でご一緒することもあり、その都度、東シナ海における中国機飛来の急増に伴うスクランブルの急増、そしてパイロットたちにかかる責任と期待の重圧についてお話をうかがっている。そのストレスを想像するだけで自分まで胃がおかしくなるような気持ちになったものだ。

文章が得手であり、コラムニストとしてJBプレスに連載枠を持っているものの、けれん味のない人柄で、専門の安全保障や自衛隊がらみのこと以外はあまり論評しない。まじめで常識的な人物という印象の物腰で、とても署名原稿で大胆な捏造をしたり、デマを吹聴するような人物には思えない。「現役諸君が言いたくても言えないこと」とあえてメールに書き添えた、その心情を推察すれば、彼は戦闘機乗りOBとして、現役の後輩たちの「心の内」を忖度し、政府・官邸の無理解に黙っていられない、という気持ちに駆られたのではないか。

中国機のスクランブルは1.7倍に

 一般に、自衛隊のスクランブル中に起きた事象は、国家安全にかかわる情報であり、特定秘密である。少なくとも現役自衛官からそうした情報が洩れることはあってはならない。それどころか、自衛官は上官命令には絶対服従であり不満を外に漏らすことすら許されない。逆にいえば上官は常に前線にいる自衛官の気持ちを推し量り、積極的に迷いなく命がけの任務を遂行できる環境を整えることが最も重要な仕事だ。自衛隊の最高指揮監督権を有するのはいうまでも首相であるから、首相は最前線の自衛官が、不満や迷いを持つことなく任務に専念できる環境を整えることが責務だといえる。だが、現役自衛官たちは上官命令に絶対服従が原則なので、その責務が果たされているかどうかを今の首相に直接言える立場の人は現役には、ほとんどいない。組織を離れたOBが「忖度」して代弁するしかない、と思ったのかもしれない。

 河野統幕長が30日の会見でも言及していたが、4~6月の中国機のスクランブルは前年同期比1.7倍で急増している。現役のパイロットの数は限られており、私が仄聞したところでは、予備パイロットまでアラート待機を命じられているという。習近平政権の軍事的挑発は、今年前半までは南シナ海で、6月以降は東シナ海で急激にエスカレートしている。もともとはサラミ戦術(サラミを薄く切るように小さな行動を積み重ね、時間の経過と共に有利な戦略的環境を整えていく)を好んだ中国だが、最近の軍事挑発は“厚切りハム”ぐらいの大胆さでエスカレートしていて、いつ偶発的衝突、偶発的戦闘が起きてもおかしくない状況だ。実際、東シナ海では尖閣接続海域での軍艦侵入、日本領海への軍艦“無害通航”、上空では、スクランブル発進した自衛隊機と中国戦闘機の”ドッグファイト”もどきが起きている。

 「攻撃動作」はあったのか、なかったのか。何をもって「攻撃動作」というのか。真相は「藪の中」である。日本政府も中国政府も自国の安全を守るために、公然と嘘をつくことはある。私個人の推察を言えば、「ロックオン」自体はなかったかもしれないが、それをもって「攻撃動作」がなかったとは言えない。スクランブルで自衛隊機が空に駆け上がったとき、これまでの中国機は一定の距離をとり、接近してくることはなかった。それが、機首をこちらに向けて近づいて、射程圏内に入り、後ろにつかれて追いかけられたならば、パイロットからすれば「攻撃動作」として脅威を感じたことだろう。

 フレアを発射したかどうかは不明だが、「ロックオンもされていないのにフレア発射するのはパイロットとして恥ずかしい」というような批判は、そういう状況に直面したことがない人間が軽々しく言うべきではないだろう。少なくとも戦闘機乗りとしてスクランブル出動を数えきれないほど経験している織田氏は、パイロットの恐怖を理解して、この原稿を書いたということだろう。こうしたパイロットの心情を官邸が理解せず、むしろ中国の事情をおもんぱかって、「攻撃動作はなかった」「特異な行動と判断していない」ということで片づけてしまえば、現場と官邸で危機感が共有できていない、という国防上、ゆゆしき問題を残すことになる。

 しかも、一層懸念されることには、萩生田会見で、情報漏えい問題について言及された。仄聞するところでは、官邸は織田氏に情報を漏らした自衛隊内の“犯人探し”を始めているという。現役自衛官から任務中の情報が外に漏れたということは国防上の重大事件であり、そういう統制が取れていない状況がリスクである、というのが官邸の認識らしい。

本当の危機を回避するために

 それは違うと思う。今一番のリスクは、官邸と現場の危機感が乖離していることである。そしてそういう状況で現役自衛官が言いたくても言えない気持ちを代弁するために自衛官OBが、特定秘密である任務遂行中の詳細を秘密漏えいのそしりを受ける覚悟で公表したにも関わらず、官邸サイド、統幕長も「攻撃動作はなかった」と一蹴してしまったことである。

 本来ならすぐさま公表して、中国側に戦闘機の異常接近を抗議し、再発を防ぐ努力を行うべきではなかったか。たとえ外交的政治的に公表を避ける判断を下したとしても、水面下で外交的対応がなされるべきであり、また自衛隊の現場に不満やわだかまりが残らないようにケアすることが自衛隊の最高指揮監督権を持つ首相官邸の仕事ではないだろうか。それができなかったことの方がリスクであろう。

 問題の責任は織田氏に情報を漏らした側にあるのではなく、むしろ、公表すべき情報を公表しなかった官邸側、あるいは適切な対応がとれなかった官邸側にあるのではないか。特定秘密保護法で守られるべき秘密が漏えいしたのか、公表されるべき情報が権力の都合によって隠蔽されたのか、それを世に問うのがジャーナリズムであり、それを決めるのは世論だとしたら、私は織田記事はジャーナリズムであり、世論の一部としての私個人の感想は、この情報が公表されなかったより、された方が、危機の所在がどこなのかわかってよかったと思う。

 そもそも、本当の危機の原因は中国側にある。年内に南シナ海の実効支配を固め、スカボロー礁の軍事拠点を完成させ、年明けには南シナ海上空に防空識別圏を設定することは、習近平が解放軍に直接指示している“決定事項”だというのが、香港あたりから流れてくる“軍事筋”情報である。その計画を確実に遂行するためには、偶発的局地的軍事的衝突も辞さない覚悟、とも言われている。6月以降、東シナ海での軍事挑発が目立ち始めている目的についてはまだ、はっきりわからないが、習近平政権が極めて軍事的冒険主義の傾向が強いことは、今までの行動を見ていても明らかだ。

危機は今、ここにある

 想像してみるといい。中国では2001年4月、南シナ海上空で中国戦闘機の挑発的危険飛行の末、米軍電子偵察機と接触、中国人パイロットが死亡(脱出したのち行方不明)して、米軍機が中国側に回収されたうえ乗員が長期間拘束された事件が実際にあった。このとき、私も現場の海南島に取材に入ったが、一つ間違えば米中間で戦争状態が生じたかもしれない事件だった。中国側はパイロットの命を失ったものの、米軍電子偵察機の機体を回収して隅々まで調査し、貴重なデータを奪えたこと、当時の江沢民政権が基本的に親米であったことなどもあり、双方が戦争回避の努力をして、最悪の事態を避けることはできた。だが、もし、同じことが今、日中の間で、東シナ海上空で起きたら、どうなるだろうか。

 私は、習近平政権は、こういう事態に対応する外交的忍耐力は江沢民政権より低いと思っている。

 あす、東シナ海上空で日中の戦闘機が接触して墜落するかもしれない。あす、自分がISのテロに巻き込まれるかもしれない。世界の動きをみて、危機の所在を確かめていたら、そんなことは絶対ありえない、とは決していえないこともわかるだろう。そして、ISのテロに遭うかもしれない、と思えば、コーランの一部ぐらいは暗誦できるようにしておくかもしれないし、日中間で偶発的戦闘状態が起きるかもしれないと思えば、中国旅行や中国駐在に赴くときの心構えが違うだろう。

 危機は隠蔽しても、見ないふりをしても、確かにそこに存在する。猛スピードで突進してくるトラックも、しっかり見ていれば、避けられるように、危機を認識して、情報とその危機感を共有することが最悪の事態を避けるために一番必要なことではないだろうか。

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『英国のギリシャ悲劇 二大政党制の終わりの始まりか』(7/5JBプレス Financial Times)について

本記事を読みますと英国の政党政治の行き詰まりがEU離脱を齎したのではと感じました。確かにキャメロン首相辞任、保守党内での首相選でボリス・ジョンソンの辞退、UKIPのファラージ党首の辞任を見ますと、「何と無責任な」と思います。あれだけ離脱を煽ったのだから、英国をその路線で偉大な国にする責任があります。離脱後のロードマップもなく、EUへの国民の反感を利用しただけでしょう。今後の国の舵取りの重さに耐えかねて辞任したとしか思えません。でもそういう政治家を選んだのも英国民です。政治家を選ぶ時にはしっかり考えて選ばないとしっぺ返しを喰らうということになります。今度の日本の参院選もよく考えて投票に行かないと。「気を付けよう甘い言葉と民進党。民進党には、もれなく共産党がついてくる」です。

小選挙区制度は二大政党以外の政党への参入障壁になっているとの記事ですが、日本の場合は二大政党にはなっていません。やはりものの考え方の違いにあるのでは。西洋は二元論で、日本は多元論だからという気がします。小沢が入れた小選挙区制度も日本の風土にはなじまなかったという所でしょう。ただどぶ板選挙に陥り、市会議員選挙と同じレベルになって、真剣に国政を考える政治家が少なくなった気がします。日本の面積で言うなら国政は大選挙区か全国区にすべき。県議会もなくして大選挙区毎の広域行政と市町村行政に転換した方が良いのでは。地方自治はマスメデイアのチエックを受けることが殆どないので、政治家により市民の知らない所で利権漁りされています。今般の東京都知事選で自民党都議団が増田を推薦したのはその最たるものでしょう。増田は今まで親韓政策を採ってきました。小沢の子分だったから岩手県知事になれたのでしょう。舛添の後も親韓政治家にしたら韓国人学校の問題はそのままになります。如何に地方自治体の自民党政治家は腐っているかという事です。

英国がギリシャのように小政党乱立で意思決定に時間がかかると言うことにはならないでしょう。システムの問題ではなく、政治家の資質の問題ですからリーダーシップを持った政治家が出てくれば心配することはないと思います。

記事

(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年7月1日付)

statue of Churchill

英ロンドンの国会議事堂前の広場「パーラメント・スクエア」で、ウィンストン・チャーチル元首相の像にくくりつけられたEUの風船(2016年7月2日撮影)(c)AFP/Niklas HALLE’N〔AFPBB News

 英国の政治がギリシャと同じ道をたどっている。ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)の経済的なリスクは繰り返し語られていた。政治が直面する危機は無視された。投票で示された離脱という決断は議会の過半数の意思に逆らう結果だ。この結果が残すレガシーは、指導者不在の保守党政権と内紛に陥った野党・労働党、そして次に何をすればいいのか分からない、途方に暮れた政治家だ。これは、世界で最も安定した民主主義国の1つだという看板を下ろしつつある国だ。

 アイルランドの詩人W・B・イェーツはかつて、中心が持ちこたえられないと心配した。英国では、中道は置き去りにされた。下院議員の約3分の2は、跳ね橋を上げることに反対した。彼らはこの先、英国を栄光なき孤立に引きずり込まなければならない。

 デビッド・キャメロン氏が首相辞任を表明してから、割れた保守党はイングランドのナショナリズムにとらわれている。スコットランドは独立について再び考えをめぐらせている。そして労働党の党首ジェレミー・コービン氏は、ウゴ・チャベス氏のベネズエラは社会主義者の成功物語だという本人の確信によって完璧に描写される指導者だ。英国の二大政党制はしばらく前からきしんでいた。今や、ついに裂け目が入ってしまった。

 ボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、キャメロン氏の後任の最有力候補と見なされてきた。しかし、同じ離脱派のマイケル・ゴーブ氏と袂を分かち、積極的ではなかったものの残留派についていたテレサ・メイ内相に流れが傾いたことから、撤退を決めた。

 昔ながらの政治的誠実さというものにあまり通じていないことがジョンソン氏の強み(と呼べるのであればの話だが)だったようだ。5人の候補者で争われる党首選では、選挙の行方を最終的に決定づける党内の活動家らに最も手堅い候補としてアピールしそうなメイ氏が、本命に浮上している。

 左派の状況も保守党とどっこいどっこいだ。労働党ではコービン党首の不信任動議が出され、同党所属の下院議員の4分の3がこれを支持したが、極左の活動家と労働組合のボスを後ろ盾に持つ同氏は辞任を拒んでいる。この結果、これらの下院議員と党全体との間に取り返しのつかない亀裂が入る恐れがある。

さらに悪いことには、スコットランドがEUから引きはがされて「リトル・イングランド」に束縛される危険性に直面していることから、連合王国も危うい状況に陥っている。

 経済にも心強い材料はない。それどころか、金融市場の短期的な乱高下を除いて考えても、英国は急激な景気減速に向かっており、恐らく景気後退に陥ることになる。政治のリスクを考えれば、ブリグジット後に何がどうなるかはっきりするまでは誰も投資などしないだろう。

 ロンドンを本拠地とするルウェリン・コンサルティングが指摘しているように、金融サービス業界の見通しは「真っ暗」で、予算の規模が大きく経常収支も赤字の英国は資本逃避に弱い。中期的には、痛みを伴う歳出削減と増税が実施されることになりそうだ。そう、ジョージ・オズボーン財務相はキャンペーン中にウソをついていなかったのだ。

 こうしたことから、総選挙を実施してからでなければ、EU本部との真剣な交渉など始められないことは明らかだ。有権者は国民投票でEUから離脱したいという意志を表明したが、離脱してからどうすべきかについては何も語っていない。とはいえ、総選挙を経ずに次の首相になる人物は、メイ氏も含め、ほかのEU加盟国27カ国と交渉する政治的正統性を持たないことになってしまう。

 ドイツのアンゲラ・メルケルが語ったように、英国は単一市場への全面的なアクセスか、移民に関する自主性かのどちらかを選ばなければならない。どちらか一方しか手に入れることができない。

 前者の選択肢、つまり欧州経済地域(EEA)加盟国であることから想定されるいわゆるノルウェー・オプションの選択肢を取る場合、離脱派はほかのEU諸国出身の労働者を締め出すという公約をあきらめなければならない。後者の選択肢を取る場合には、雇用の減少と生活水準の低下についてオズボーン氏が語ったことは正しかったと離脱派は認めざるを得なくなる。

 それでも、英国がかなりの幸運に恵まれ、かつそれ以上にほかのEU諸国が親切に対応してくれたら、英国はがれきの中から何かを拾い上げられるかもしれない。

 国民投票の結果を取り消すわけにはいかないが、英国が戦略的な目標に据えるべきなのは、単一市場にとどまることができる連合協定を、そして安全保障や防衛、犯罪対策において重要な協力を続けることによって英国が欧州の国であり続けることを認めてくれる連合協定を結ぶことだ。これを「ノルウェー・プラス」の選択肢と呼んでもいいだろう。

 ただ、そのような協定を結ぶのであれば、その是非を総選挙で問わなければならない。新首相には、最低でも新たな負託を国民が授ける必要がある。

 もちろん、選挙では何も解決しない可能性もある。政治勢力の分裂により、二大政党は最も調子が良いときでも単独で過半数を得るのに苦労している。今は調子が最も悪いときだ。総選挙前の政治の停滞の後には、そう、総選挙後の停滞が続くかもしれない。

 普段は慎重な政治家も、こんなときには過激に考えるべきだろう。今回の国民投票は、議会の多数派である中道・国際主義の議員をないがしろにした。離脱派の言葉を借りるなら、こうした穏健派は「支配権を取り戻す」計画を練るべきだ。

 多くの中道の保守党員にとって共通点が多いのは、イングランドのナショナリストの離脱派ではなく中道の労働党員の方だ。同様に、中道の労働党員にとって共通点が多いのは、コービン氏が掲げる1970年代的な国家社会主義の支持者ではなく、親欧州の保守党員の方だ。

 英国では、政界再編があまり起こらない。1つの選挙区で最も得票数の多い者しか議員になれない小選挙区制が、二大政党以外の政党の前に残酷なほど大きく立ちはだかっていることがその主な理由だ。

 しかし、ナショナリズムや極左の社会主義とは違う、経済面では自由を尊び社会面では思いやりを大事にする親欧州の新勢力が台頭する余地も出てくるかもしれない。もちろん、それを待つ時間は、英国のこれまでのパートナーたちにとって極めて腹立たしいことだ。欧州には、不確実な時間を過ごす余裕は1年たりともない。しかし少なくとも、ドイツやフランス、そしてそのほかの国々はギリシャと渡り合った経験がある。

By Philip Stephens

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『怒りが生んだ英EU離脱 自由主義再構築へ結束を』(7/5日経 The Economist)について

世界が分断されてしまったように見えるのは、自由主義の行き過ぎが齎した結果なのでは。自由は大切な理念ではありますが、徳を持たない人達が勝手に自由を主張すれば放縦になります。「営業の自由」で言えば、弱肉強食・強欲そのものとなります。それでは健全な競争環境ができなくなります。「格差」も契約自由の原則から派生します。経営者が利益の極大化を目指し、自己の能力の過大評価があれば「格差」は広がっていきます。『代表的日本人』(内村鑑三著)の中で、上杉鷹山について次のように書いています。米沢藩主になった時に、守護神である春日神社に誓約文を送りました。「1.学問と武術の修練を怠らないこと。2.民の父母となることを第一とすること。3.日夜、次の言葉を忘れないこと。贅沢なければ危険なし。施して浪費する勿れ。4.言行不一致、不正、不実、不作法をしないように注意すること。」。関ケ原後の移封により、領地を減らされ、行財政改革待ったなしとなりました。まず自分の俸給を減らし、藩財政を倹約して借金返済に充て、適材適所の人事や、平時に侍も農民として働かせ、漆植林、養蚕、鰻の養殖、灌漑設備構築、社会改革としての伍什組合設立等、単なるリストラだけでなく、新規産業を興隆させたところに素晴らしさがあると思います。封建時代は悪い時代と左翼は見ますが、歴史の発展段階の一つです。でも封建時代があったのは欧州と日本だけとも言われていますが。上杉鷹山はケネデイの就任演説に影響を与えたほどの名君です。日本の新自由主義者と言われる竹中平蔵との違いは歴然です。

歴史は離合集散の繰り返しでは。今までは統合に向かっていましたが、これからは分散の方向にいくのではないのでしょうか。英国のEU離脱がその嚆矢となるような気がします。大きく捉えればナショナリズムとグローバリズム(国際金融資本の目標とする考え)の争いと見ることもできます。国民国家が出来たのはナポレオン戦争後と言われていますが、国家に対する愛着はそれぞれの国民が持っています。台湾人は、昔は中国人と考える人も多かったですが、今や外省人も2世、3世の時代となり、「台湾就是台湾」と考える人が多くなりました。分散の方向という観点で言えば、チベット、ウイグル、内蒙古は独立させるべきでしょう。

英国のEU離脱はグレイトブリテンの崩壊、EU崩壊の始まりとなるのでは。これが左翼に乗っ取られている国連にどう影響していくのか。それと安全保障の面でどう影響するかです。安全保障は統合・結束する形となるような気がします。NATOは米国主導なので結束は変わらないと思いますが、トランプが大統領になれば負担金アップを他国に要求するだけでしょう。アジアでも各国の独立は保証しながら、米国を中心に中国包囲網を形成し、準同盟国の形になると思います。

本記事にあります、移民については反対です。情報・金・物の移動は利便性向上の観点から言って賛成しますが、人には感情があります。育った環境・文化・伝統の違いがあります。自国で平和的・豊かに暮らす道を考えさせることを優先すべきです。多文化共生と言う言葉も胡散臭く如何わしいと感じます。在日の問題も、日本人に同化しないのであれば祖国に帰るべきと思っています。

記事

英国の欧州連合(EU)からの離脱を唱えた人々は楽観論に基づいた運動を展開し、EUの外に出て世界へ自由に門戸を開こうと訴えた。だが、離脱派に勝利をもたらしたのは人々の怒りだった。

 怒りは衰退が進む英国の街で離脱派を勝利に導いた。世論調査によれば、移民、グローバル化、社会自由主義、さらには男女同権論に対する怒りまでもが、EUを拒絶する投票行動につながった。あたかも勝利で憎悪を広めてもいいというお墨付きが与えられたかのように、英国ではその後、外国人への差別的暴言など憎悪犯罪が増えている。

■ソ連崩壊開始が危機の始まり

Soviet & West German

ゴルバチョフ氏(中央)がまだソ連を率いていた1989年に自由主義の危機が始まった=ロイター

 米国では大統領選の共和党候補のトランプ氏が、フランスでは極右政党「国民戦線」のルペン党首がそれぞれ支持を集めるなど、西側諸国では至るところで多くの人々の激しい怒りが渦巻いている。怒れる市民は主流派の中に代弁者がいなければ、新興勢力を通じ自分たちの声を届けようとする。彼らが世界秩序は自分たちのためになると考えない限り、英国のEU離脱はグローバル化とそれがもたらした繁栄が崩壊する第一歩となるかもしれない。

 自由主義、特に市場経済を重視する英国人が意味する自由主義の危機は、ソ連が崩壊に向かい出した1989年に始まった。当時、米政治学者のフランシス・フクヤマ氏は、もはや社会を組織する手段としての民主主義や市場経済、グローバルな協力関係に対抗するイデオロギーがなくなったという意味で「歴史の終わり」を宣言した。これは自由主義が大勝利を収めた瞬間だった。だが、同時にエリートが支配する官僚政治を生み出した。それから四半世紀、大半の人は豊かになったが、その波に乗れず取り残されたと感じる有権者も多い。

 彼らの怒りはもっともだ。本誌エコノミストを含むグローバル化の支持者らは、官僚が間違いを犯し、市民がそのツケを払ったことを認めなければならない。欠陥を抱えた欧州単一通貨の導入は、典型的なエリート官僚によるプロジェクトで、経済の停滞と失業、EU加盟国間の分裂を招いた。複雑に作られた金融商品は規制の抜け穴を突き、世界金融危機の引き金を引いた。それは経済を混乱させ、税金による銀行救済とその後の緊縮財政につながった。

 グローバル化が極めて有益だったときでさえ、政策立案者は敗者を助けるために十分な手を打ってこなかった。中国との貿易は何億人もの人々を貧困から救い出し、西側諸国の消費者に莫大な利益をもたらした。しかし中国の台頭で仕事を失った先進国の工場労働者の多くは、適正な報酬を得られる再就職先を見つけられていない。

 政治家はグローバル化の恩恵を広く配分する代わりに、他のことに関心を向けてしまった。左派は人種や環境、人権、性を巡る様々な権利の確立といった問題に力を入れた。右派は実力主義に基づき自ら道を切り開くよう説いたが、その機会を全員には与えられなかった。そのため、産業城下町を支えてきた家族や国への帰属意識が強かった人々は次第に疎外感を味わい、町の衰退に苦しんだ。政治家の根拠のない主張をあおるだけのメディアを見て、人々は裏切られたという思いを一層強めた。

これほど顕著ではないが、自由主義の知的基盤もないがしろにされている。トランプ氏は6月28日、「国の支配権を取り戻そう」と英離脱派の言葉をそのまま使い、米国民に保護主義への同調を呼びかけた。貿易自由化とは代償や譲歩を求めることではなく、豊かさを後押しするものだと声を大にして主張する政治家がほとんどいないことが、同氏の主張に勢いを与えている。

■社会の流動性高め、賃金上昇につなげよ

 自由主義は進歩を信じることで成り立つが、多くの有権者は自分は進歩とは無縁だと思っている。米国の1人当たり国内総生産(GDP)は2001~15年に14%増えたが、賃金の中央値は2%しか上昇していない。自由主義者たちは公共の利益のために主権を共有することは良いことだと信じている。だが、英国の離脱決定が示すように、人々は自分の人生を自分で決められないとか、グローバル化の果実にあずかっていないと感じたとき、思わぬ攻勢に出る。EUは彼らには遠い存在で、高圧的に様々な規制を押し付けてくると映り、格好の標的になった。

 歴史の復讐(ふくしゅう)が始まった今、自由主義はまた一から基礎を築いていかなければならない。まず、信念に基づき見識ある議論を展開し、ルペン氏やトランプ氏のような人物に挑む必要がある。モノや考え方、資本、人の流れは繁栄にとって欠かせない。威圧的で弱者に厳しく、差別的な政策をとる国では、国民は幸せになれない。人々が可能性を十分に発揮するには寛容と協調が必要だ。

 同様に、豊かさを確実に広める政策も求められる。貧困層に手を差し伸べるべきだという議論は力を持つ。だが、それだけでは彼らは自分の生活に誇りを持てない。社会の流動性を再び高め、経済成長が賃金上昇に必ず結び付くようにしていくことが求められる。そのためには既得権益集団と戦い、大企業を競争にさらし、競争を阻むような規制を打ち破る必要がある。そして何より、生い立ちや年齢を問わず、すべての人に有益な教育を提供できる制度の構築が欠かせない。

■移民流入抑制より、学校や住宅に投資を

 自由主義が直面する最も困難な戦いは移民問題だ。大半の国では政府が自国で働き暮らす人を管理しており、人の移動が完全に自由なEU域内は異例といえる。国際貿易の規則で、国がモノの流入急増に対抗措置をとれるのと同じように、人の流入急増に対処する規則を設けるべきだという議論もある。しかし、移民を我慢して受け入れるというのは、自由主義の考え方にも自国の利益にも反する。

 移民の流入を抑えるより、各国はまず学校や病院、住宅に投資すべきだ。英国ではEU諸国からの移住者は、国から支援を受ける以上に税金を払い、国家財政に大きな貢献をしている。彼らがいなければ介護や建設などの産業では労働力が不足する。彼らの発想と活力がなければ、英国はずっと貧しくなるだろう。

 自由主義は過去にも挑戦を受けてきた。19世紀の末期には、自由主義者は人間の基本的欲求を満たせないのであれば、政治的、経済的な自由が減ることに気付き、国家がより大きな役割を担うことを受け入れた。1970年代には国家の規制が行き過ぎると経済成長を阻むと見て、関心が再び市場へ向かった。

 ソ連崩壊のただ中、英国では当時のサッチャー首相の側近が、歴史に関するフクヤマ氏の論文を首相の書類に紛れ込ませた。翌朝、彼女は全く感銘を受けなかったと言った。そして、民主主義が勝ったと思い込んではいけないし、だからもう何もしなくてもいいと考えてはならないと続けた。自由主義者たちは今、一致団結して戦いに挑まなければならない。

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『標的は日本。英EU離脱で加速する中国共産党の「軍事的冒険主義」』(MONEY VOICE 黄文雄)について

本記事にありますように、オズボーンのパンダハガーぶりは尋常ではありません。エリザベス女王より、暗に非難されるくらいですから。いくら母親が親中派で本人も中国のバックパッカーだとしても。中国旅行中にでもハニトラにかかったのではと小生は疑っていますが。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5637?page=3

7/1レコードチャイナの記事<最も「中国に好感を持てない国」は日本、多くの国で中国にマイナスイメージを持つ人が過半数超え―米調査

2016年6月29日、米ピュー研究所が発表した世論調査で、世界で中国に対しマイナスイメージを持つ傾向が強いと分かった。環球時報が伝えた。

調査は日本や中国、インドのアジア諸国と米国、カナダ、オーストラリア、ドイツなどの欧米諸国16カ国を対象に行われた。それによると、中国人に好感を持つと答えた人が過半数だったのはギリシャとオーストラリアで、多くの国で過半数の人が中国に対しマイナスイメージを持っていると答えた。中国に好感を持つと答えた日本人は11%で前年の9%よりわずかに増加したものの、16カ国中最も低い数字だった。

同調査に関して中国人民大学外交学科の李慶四(リー・チンスー)副主任は、「調査対象国の多くは米国の盟友であり気にする必要はない。中国の影響力はますます拡大し、海外で存在感を増している。多くの国が中国の台頭に適応できておらず、米中の競争が激化する中で、一部の欧米機関は中国のマイナスイメージを作り上げ目的を果たそうとしている。ただ、中国が外交面でさらに努力する必要があるのは事実だ」と語っている。(翻訳・編集/内山)>(以上)

とありました。それはそうでしょう。世界で無法を働く国が他の国に好かれる筈がありません。習近平は裸の王様なのか、理解しても権力闘争の為、戦術転換できないのか分かりませんが。日本にとっては中国包囲網を敷く准同盟国が増えて良いことです。また国内の左翼に染め上げられた脳の持主にとっても中国の行動に対して「これはおかしい」と少しずつ気づき始めています。戦後のGHQの呪縛を解き、日本人としての覚醒を図るのに中国は良い機会を提供してくれています。下記URLは北野幸伯氏の記事です。中国の暴走は第二次大戦の日本と同じ歩みを辿っているというもの。

http://diamond.jp/articles/-/94064

ダッカのテロ事件の被害者は本当にお気の毒ですが、このような事件は今後も起こりえます。BBCのラジオ(BBC World Service Global News Podcast)を聞いていたら、6/12(日)報道分で「バングラデシュ内でイスラム兵士にキリスト教徒、仏教徒、ヒンズー教徒が殺されてきて6/10警察が2000人を逮捕、調査している」と言っていました。6/5 BBCニュースにもありました。

http://www.bbc.com/news/world-asia-36456710

 

カントリーリスクとして現地を良く調査していれば防げたかもしれません。憲法9条や念仏、善意で戦争やテロが防げるはずがありません。北岡伸一JICA理事長は責任を取って辞任すべきです。国民も左翼&偏向メデイア&曲学阿世の学者を信じると大変なことになります。国防にもっと理解を、自衛隊、警察、海保を応援するようにして戴きたい。

記事

Cameron & Xi

世界中に衝撃を与えた英国民の「EU離脱」という選択。これら一連の流れは中国にとってかなりの痛手になると、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で評論家の黄文雄さんは分析します。さらに、この離脱劇を境に中国の軍事行動が頻発するとも。一体なぜ?そこには世界の経済状況にいともたやすく振り回される「中国の体質」があるようです。

英国EU離脱と前後して活発化する中国の軍事行動、その理由とは?

崩壊する「英中関係の黄金時代」

6月23日、イギリスのEU離脱を問う国民投票において、賛成票が多数となりました。投票日の世論調査では残留がほぼ確実視されていただけに、離脱が決定されたことによるショックが世界を駆け巡りました。 ※中国、キャメロン首相辞任は痛手か 元安阻止で介入観測 市場混乱を警戒

キャメロン首相は当日に首相辞任を表明しましたが、これは中国にとっても大きな痛手となるでしょう。キャメロン首相は昨年の10月に習近平が訪英した際、「英中関係は黄金時代を迎えた」と自画自賛していました。

【関連】英国EU離脱でも中国でもない、ジョージ・ソロスが怯える「第3の危機」

もちろんキャメロン首相も、欲しかったのは中国のカネであり、別に中国と本当に親密になりたかったわけではないでしょうが、しかしこのキャメロン政権の親中姿勢に対しては、イギリス国内でもいろいろと批判もありました。

チベットにおける人権問題で批判的なチャールズ皇太子は習近平への晩餐会を欠席しましたし、今年の5月にはエリザベス女王が「習近平の訪英団一行はとても失礼だった」と発言したことが、世界的なニュースとなりました。

これまで旧英国領だった香港にしても、中国政府によるデモへの弾圧や、習近平批判本を販売していた書店関係者が中国当局によって拉致・拘束されるといった人権弾圧が繰り返されています。

一応、イギリス外務省も、香港返還の際に「一国二制度を50年間は堅持する」と決めた英中共同声明に違反するということで抗議はしていますが、キャメロン政権の親中姿勢が、こうした中国の香港への強権姿勢を助長してしまった面も否定できないでしょう。 ※英国外務省が「共同声明違反」と指摘 「本人の意思に反して中国本土に移送された」

それゆえ先の国民投票では、EU離脱派のみならず、中国に急接近するキャメロン政権への批判票も多数あったと目されています。先のエリザベス女王の発言も、政権批判の材料として使われていました。

中国に肩入れしていた「次期英首相候補」の消滅でAIIBにも黄信号

いずれにせよ次期首相が焦点となりますが、これまでポスト・キャメロンの最有力候補と目されていた財務大臣で残留派のジョージ・オズボーンの可能性はかなり小さくなったと見ていいでしょう。 (編注:オズボーン氏は6月28日、キャメロン首相辞任に伴う保守党党首選への不出馬を表明した)

しかもオズボーンは英中接近を裏で演出した立役者と言われています。習近平の訪英1カ月前の昨年9月末、オズボーンはキャメロン首相の名代として中国を訪れ、習近平に招待状を渡しました。しかも中国当局による弾圧が続いている新疆ウイグル自治区を訪れるなど、中国の人権問題を黙認・容認する態度だったのです。

このようなイギリス政府の対中接近の姿勢に対して、英誌エコノミストは「オズボーン主義」と呼びました。また、ダライ・ラマ法王は「金、金、金。道徳はどこにいったのでしょう?」と痛烈に皮肉っています。 ※習近平訪問に沸き立つ英国、人権を棚上げしチャイナマネー獲得に躍起―英国

イギリスがAIIBへの参加をいち早く決定した背景にも、このオズボーンの後押しがあったとされており、また昨年夏にキャメロン首相が東アジアを訪問した際、シンガポール政府は南シナ海や東シナ海での安全保障に関する発言を期待していたものの、中国に配慮してまったく何の発言もなかったことも、オズボーンによる制止があったと言われています。 ※親中への転換に大きく傾く英国

そこまで中国に肩入れしていた「次期首相候補」の目がなくなるということは、中国にとって非常に痛いはずです。

北京五輪でロンドン副市長がかかったハニートラップ、募る中国への不信感

オズボーンに代わって次期首相の最有力候補となっているのが、離脱派の先頭を走っていたボリス・ジョンソン前ロンドン市長です。歯に衣着せぬもの言いで、「イギリスのトランプ」とも評されていますが、彼の対中姿勢についてはいまひとつ明確ではありません。 (※編注:ジョンソン前ロンドン市長は6月30日、英次期首相レースへの不出馬を表明した)

2013年に中国を訪問した際には、イギリスの子どもたちに対して「中国を勉強することが将来に役立つ」と呼びかけたり、「私は中国が大好きだ。ここは特別な場所。中国文化に対する理解が深まるにつれ、それに対する称賛も増えるはず」と発言するなど、やや中国寄りな姿勢が目立ちましたが、2005年には「英国の子どもたちに中国語など習わせる必要はない。中国が世界を統治するはずがない」とも発言しています。

また、ボリス・ジョンソン氏は2008年の北京オリンピックの際に、次期オリンピック(ロンドン・オリンピック)の市長ということで閉会式に出席しましたが、このとき、スーツのボタンを閉めていなかったことで中国のネットユーザーから「無礼だ」と批判されました。これに対してジョンソン氏は、五輪開催に際して中国を批判した人権活動家たちの言葉を引き合いに、「開放性、透明性、個人の自由という方針に従いたかっただけだ」と皮肉交じりに答えています。

しかもこの北京五輪には、ロンドン副市長もスポンサー集めのために訪中したのですが、バーで出会った美女によるハニートラップに引っかかって重要資料を盗まれたことが明らかになっています。 ※北京五輪で訪中のロンドン副市長、美人スパイの色仕掛けでめろめろに!重要資料盗まれる―英紙

ジョンソン氏はこのときの上司ですから、中国のやり方についてもよくわかっていると思います。また、オズボーンが極端な対中接近で女王陛下からも暗に批判されただけに、同じ轍は踏まないようにするでしょう。

頓挫する新シルクロード構想。中国企業保有のユーロ債券は紙くずに?

とはいえ、経済的混乱に加えて、スコットランドや北アイルランドの独立問題の再燃などによってイギリスの弱体化が進めば、再び札びら外交を展開してくる中国になびく可能性もあります。

一方、中国はイギリスの影響でEUから離脱する国が増えれば、EUまで中国主導の経済圏を広げようという「新シルクロード構想」は完全に瓦解してしまいます。また、脱人民元を進めている中国企業はユーロ債券を大量に購入していますが、ユーロが暴落すれば、これらの債券は紙くずとなり、中国経済に深刻な影響を与えるでしょう。 ※欧州版QEを背景に、中国企業がユーロ債券市場に殺到

今回のイギリスの国民投票の結果は、迫り来るEU激変の序の口にすぎません。フランス、オランダをはじめEU主要国の内部でも意見の対立があります。しかもドイツ、フランス、オランダは2017年に選挙があり、EU離脱派、懐疑派も年々その勢力を拡大しています。

EUはひとつのほうがいいか、多くのヨーロッパ国のほうがいいかということが問われることになると思いますが、19世紀から20世紀にかけても、世界では一時的に合邦国家という国のかたちが流行りました。

イギリスなどの連合王国のみならず、日本もグレートブリテンをモデルに、琉球や台湾、朝鮮を糾合して大日本帝国をつくりました。また、ユーゴやソ連もそうした合邦国家の代表格でした。

しかし時代とともに、多くの国に分離独立することが理想となったり、大きな集合国家になることが理想となったり、揺れ動いてきたというのがここ200年の世界の動向でした。その意味でも、イギリスのEU離脱は21世紀における歴史的な「事始め」となるでしょう。

英EU離脱はアメリカ大統領選にも大きな影響

もちろん英EU離脱はアメリカの大統領選挙にも大きな影響を与えます。トランプが大統領に選ばれる可能性がますます現実味を帯びてきます。こうして各国で保守の流れが強くなると21世紀の国際関係はどうなっていくのか。20世紀はコミュニズムをはじめコスモポリタン的な主義や思想が一世を風靡しました。

しかし私は、21世紀は文化と文明が対立する時代になると予想しています。というのも、国の文化とはその国独自のものです。一方で文明とは普遍的であり、いかなる国にも受け入れられるものです。つまり、ユニークな考えとコスモポリタン的な考えの対立が起こるということです。それが反グローバリズムの最大のテーマとして顕在化してくるでしょう。

伊勢志摩サミットの際、安倍首相はすでに「世界経済はリーマン・ショックの前後と近い状況にある」と予見し、消費税先送りの理由としていました。キャメロン首相は「リーマン・ショックに近いなどというのは大げさだ」と同調しなかったようですが、そのキャメロン首相が英国発の大混乱の責任をとって、サミットから1カ月もたたずに辞任せざるをえなくなったのは皮肉なことです。

中国軍機が自衛隊機をロックオン。食い詰め国家・中国の暴走

そしていま、世界経済の最大のリスクは、このEU問題中国問題です。ある意味で、ユーロも中国も、かなり際どい経済状況をお互いになんとかごまかしていた部分があります。イギリスのEU離脱によって、ついにそのごまかしもきかなくなり、大破局へと進む可能性があります。中国は欧州や中近東に対して兆円単位の経済協力を持ちかけていますが、それもほとんどが口だけで計画倒れに終わりそうです。

同時に、こうした危機感からか、中国の南シナ海や東シナ海での挑発がエスカレートしてきています。先日は、スクランブル発進した日本の空自機に対して、中国軍機が攻撃行動を行ったといった報道もされています。極めて危険で深刻な事態です。 ※中国機「空自機に攻撃動作」 元空将、ネットで公表

世界情勢の急速な変化で中国経済も厳しさの度合いを増しています。通商国家は相手国の経済状況に振り回されることは避けられません。貿易依存度が高い韓国や中国はもはや通商国家として生きる道しかなく、世界経済の影響をもろに受けてしまいます。

それだけに、このような状況下では、とくに中国の軍事的冒険主義が頻発してくる可能性が高まります。資源・領土獲得への志向が強まるとともに、国内のガス抜き、さらに権力闘争の激化が他国への軍事行動につながりやすいからです。中越戦争も鄧小平の権力闘争が一因でした。

経済と国防は安全保障問題でもあります。貿易依存度が低い日本にとっては、今回の英EU離脱の混乱は、強靭な生命力の国造りをいま一度考えるための契機とすべきでしょう。

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『中国が東シナ海で日本を威嚇する本当の理由 緊張レベル高まる南シナ海情勢、窮地に陥る中国』(7/1JBプレス 阿部純一)について

7/2ZAKZAKの記事には<不穏な中国軍 参院選投票日狙い尖閣上陸の可能性 ネットに訓練写真を掲載

PLAN maneuver

中国軍の上陸訓練を伝える中国中央テレビの映像。沖縄県・尖閣諸島を狙っているのか(AP)

東シナ海をめぐり、看過できない動きが明らかになった。中国軍による戦闘機や艦船による挑発的行動が続くなか、中国のインターネットメディアに6月末、大型揚陸艦による「上陸作戦」の訓練写真が多数掲載されたのだ。日本が参院選(7月10日投開票)で忙殺されるなか、中国軍は沖縄県・尖閣諸島などへの上陸を狙っているのか。日本は「領土を守る」という覚悟を示し、厳重に警戒する必要がありそうだ。  中国に関するニュースを報じるインターネットサイト「世界論壇網」(=原表記は簡体)に、中国人民解放軍海軍の071型揚陸艦「長白山」をはじめとする15枚の写真が掲載されたのは6月27日のこと。うち9枚には国営メディアのクレジットが入り、複数の水陸両用車などが陸(島?)に向かう様子が映し出されていた。  071型揚陸艦は、基準排水量が約1万2300トンとされ、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」(同排水量約1万3950トン)に匹敵する。輸送ヘリコプター2機や、艦尾ドックから発進するエアクッション型揚陸艇4隻などを収容。兵員も500~800人程度は輸送可能とみられる。  中国問題に詳しい元警視庁通訳捜査官で作家の坂東忠信氏は「写真はタイとの合同演習時の際に撮影されたもので、今年5月21日、国営メディアで公開された。尖閣諸島と直接関係するわけではないが、人民解放軍が上陸作戦訓練を行っていることを中国政府が認めたことになる」と語る。  気になるのは、すでに国営メディアで報じられた上陸作戦の写真が、なぜ、6月27日に「世界論壇網」に再掲載されたかだ。この時期、中国軍は東シナ海での行動をエスカレートさせていた。

中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦が6月9日、尖閣周辺の接続水域に侵入した。中国の軍艦として初めてだった。さらに、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦が同月15日、鹿児島県・口永良部島(くちのえらぶじま)の西方海域の日本領海を侵犯した。  海だけではない。  自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は同月30日の記者会見で、今年4~6月に日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)の回数が、昨年の同時期に比べて80回以上増え、過去最多の約200回となったことを明らかにした。  河野氏は「海上においても空においても中国軍の活動範囲が拡大し、活発化している。エスカレーションの傾向にある」と強い危機感を示した。  一方、元空自航空支援集団司令官の織田(おりた)邦男元空将が同月28日、「東シナ海上空で、中国機が空自機に対して攻撃動作を仕掛け、空自機が離脱した」とする記事をインターネット上で発表したことについて、河野氏は「(中国機が)攻撃動作をとった事実はない」と否定した。  ただ、空自機が離脱する際に「自己防御装置を使用した」と織田氏が指摘した点については、「使ったか使っていないかは言及しない」と明言を避けた。  織田氏の指摘が事実なら、中国機の行為は軍事衝突に発展しかねない危険極まる行為といえる。  日本が現在、参院選のまっただ中というタイミングも気になる。

前出の坂東氏は「これまでは、日本の選挙期間中に軍事行動を活発化させれば、保守政党が支持を伸ばし、親中派のリベラル政党のマイナスになるため、中国軍は目立った行動はしなかった。今回は違う。軍事行動のレベルを上げ、メディアでもアピールしている。『いまなら東シナ海の覇権を握れる』と踏んで行動しているのではないか」と分析し、続けた。

 「参院選の最中に、尖閣諸島の魚釣島や、周囲の岩礁に上陸する可能性もあるのではないか。やるとすれば、日本政府が対応を取るのが難しい投開票当日が危ない。上陸後は危険を避けるため、すぐに立ち去るだろうが、石碑などを残していき『自分たちの主権がこの島まで及んだ』と国際的にアピールするかもしれない。中国は、韓国が不法占拠している島根県・竹島を念頭に置いているようだ」

 中国軍の尖閣上陸は、軍事的に可能なのか。

 軍事ジャーナリストの竹内修氏は「上陸自体は、物理的には十分可能だ。まずは小型艇で特殊部隊を送り込むことが考えられる。もし、この部隊と自衛隊が交戦状態になったなら、中国は『わが国の領土、軍隊を攻撃した』と主張し、揚陸艇など大規模な部隊を送り込み実効支配に移る。中国が考えるのはこうしたシナリオだろう」と指摘する。

 自衛隊は現在でも、24時間、365日、日本の領土・領海・領空を守り、国民の生命と財産を守っている。常識が通用しない中国軍をこれ以上増長させないためにも、さらなる警戒が必要だ。>(以上)

中国は経済崩壊、内乱の危機にあり、為に国内の目を逸らすため軍事冒険主義に走る可能性はあります。参院選で尖閣を攻撃するかどうかは分かりませんが、備えは充分にしておかないと。バングラでテロに遭ったように、国でも個人でもいつ襲われるか分からないのがグローバル化した現代です。憲法9条や平和の理念だけで安全が確保できるという論理は既に破綻しています。左翼は、日本が普通の国になると日本も共産化できなくなるので、現実を見ない不毛の議論しかしません。愚かな人達です。でも国民も騙されないように。朝日や毎日、東京新聞を読んで刷り込まれている人は呪縛を解くようにしませんと。特にデジタルデバイドの高齢者です。子々孫々が自由や人権が保証される独立国に暮らせるようにしなくては。

ルトワックは「核への反撃、日本本土を守ることに対して米国は保証できるが、小さな島の為に米軍が先に動くことはない。尖閣が奪われたら日本が奪回しないといけない」と自著「中国(チャイナ)4.0」で述べています。ルトワックは安倍首相とも面談していますから、意は充分伝わっていると思います。

中国が先に手を出せば、日本の自衛隊に完膚なきまでに叩きのめされ、中国共産党の統治の正統性を失い、崩壊を早めるだけでしょう。その方が中国人民の為にもなるかも知れませんが。中国の二重基準が日本国内だけでなく、世界的にバレバレになってきました。日本でも話していると嫌中派が増えて来たような感じがします。一昨日は会社のOB同士で飲みましたが、昔は左程中国に関心がなかった人が中国を非難したりしました。2005年に小生が中国から帰国時、中国の実態を話したら「国粋主義者」とか「人種差別主義者」と言われたことを思い出すと隔世の感があります。それだけ中国が平和的台頭から世界覇権への野心を顕わにしてきたのでしょう。庶民レベルでも中国の危険性に気付くようになっているのに日本共産党、反日民進党、翁長、偏向メデイアは何事もない報道しかしません。やがて一般国民が信用しなくなる時代がくるでしょう。

米大統領選でトランプは共和党内を纏めきれていないのと、資金不足でヒラリーにやられそうな情勢です。ヒラリーはFBIの聴聞を受けましたが、逃げ切るのでは。オバマもベンガジ事件に絡んでいるようですし。ヒラリーが大統領になる確率が高いと思っています。そうであれば、チャイナマネーの鼻薬が効いているヒラリーを動かせばよく、戦争を仕掛けるのは無益と思うでしょう。大統領選の帰趨を見ることになるのでは。

クリントン氏から事情聴取=近く立件可否判断か―米FBI 時事通信 7月3日(日)1時39分配信

 【ワシントン時事】米大統領選で民主党の指名獲得を確実にしたヒラリー・クリントン前国務長官(68)が、長官在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていた問題で、連邦捜査局(FBI)は2日、クリントン氏本人から事情を聴いた。

 クリントン氏の陣営が明らかにした。

 米メディアによると、FBIは既にクリントン氏の側近らの聴取を終えており、7月25日に始まる民主党大会の前にも立件の可否を判断するとみられる。仮にクリントン氏や側近が訴追される事態になれば、大統領選の行方に大きな影響を与えそうだ。 >(以上)

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airplain of US navy in Philippine

米海軍がフィリピン・ルソン島中部のクラーク空軍基地に配備した電子戦機EA18グラウラー。中国による南シナ海の軍事拠点化の動きをけん制する狙いがあると見られる。米海軍提供(2016年6月5日撮影、16日公開)。(c)AFP/US NAVY/BOBBY J. SIENS〔AFPBB News

 世界は今、英国のEU離脱問題で揺れている。いずれこの問題が、「レファレンダム」(住民投票)という政治的意思決定の手段と意義に関わる形で、香港や台湾に影響が及ぶこともありうるだろう。

 それは、広義において、法治社会のあり方をめぐる問題につながる。香港や台湾で住民の意思が問われることになれば、中国の対応が改めて注目されることになるのは明らかだ。

 英国政府はレファレンダムの結果を厳粛に受け止めたが、政治民主化を否定する中国政府あるいは共産党指導体制が「民意を問う」こと自体ありえない。とはいえ、例えば台湾のように共産党の統治が及んでいない場所で、かつて陳水扁政権が試みようとして実現しなかった住民投票が本当に実施されて中国に不利な結果が出た場合、中国はどう受け止めるのか。それを無視するのは勝手だが、国際社会の厳しい目を覚悟しなければならない。

いよいよ常設仲裁裁判所が裁決

 そしてまさに今、同様なことが問われようとしている。中国が主張する南シナ海の主権をめぐって、2013年にフィリピンがオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に提訴した。いよいよその裁決が7月上旬に出される時期を迎え、俄然南シナ海をめぐる情勢が緊迫してきたからだ。

習近平政権は国内で盛んに「法治」を強調してきたが、国際社会における行動準則たる国際法にどう対応するのか。

 中国は、例えば国連海洋法条約の「排他的経済水域」の設定基準の曖昧さを突いて、東シナ海の「排他的経済水域」の設定で「中間線」でなく「大陸棚延長論」を主張し、自分に都合のいい部分だけ「つまみ食い」しようとしてきた。だが、南シナ海の事例でそれは通用しそうもない。

 常設仲裁裁判所から中国にとって不利な裁決が出されることは広く予想されている。それに対して中国は一切を無視する姿勢を崩していない。常設仲裁裁判所の裁決は強制執行する手立てがない以上、評決そのものに拘束力があるわけではない。

 しかし、中国に裁決無視の対応を許せば、南シナ海は「無法地帯」になりかねないことも事実である。

中国に明白な警告を発したカーター米国防長官

 6月18日から20日にかけ、米海軍が南シナ海に隣接するフィリピン東側海域で、「ジョン・ステニス」と「ロナルド・レーガン」の2隻の原子力空母を中核とした海軍戦力を集結させ、中国に米軍の戦闘力を誇示する形で軍事演習を行った。先週は、同じ西太平洋海域で、「ジョン・ステニス」も参加した米・日・印の3カ国演習「マラバール」を行ったばかりであった。

 6月18日付けの「ニューヨーク・タイムズ」の記事によれば、空母2隻による演習は予定を前倒しして行われたという。前倒しの理由は何なのか。

 6月3日から5日にかけて、シンガポールでアジア安全保障会議、通称「シャングリラ・ダイアローグ」が行われ、アシュトン・カーター米国防長官が6月4日にスピーチを行った。カーター米国防長官はスピーチの中で、南シナ海で人工島建設など拡張主義的行動を取り続ける中国に対し、「不幸にも中国がこうした行動をとり続ければ、自らを孤立させる万里の長城を築いてしまうことになるだろう」と牽制した。また、質疑応答で、中国がスカボロー礁の埋め立てを開始した場合の対応を問われ、「そうならないことを願うが、もしそうなったら米国と地域の諸国がともに行動を起こす結果になり、それは地域の緊張を高めるのみならず、中国を孤立させることになるだろう」と答えた。米国による中国に対する明白な警告である。

これに対し、翌5日に中国代表の孫建国副参謀長(海軍上将)は、米国海軍の「航行の自由作戦(FONOP)」は明白な軍事的挑発であると非難し、フィリピンの常設仲裁裁判所への提訴の不当性を訴え、「我々がトラブルを起こすつもりはないが、トラブルを恐れるものでもない」という強気の発言を繰り出した。

 しかし、中国がいくら強弁しようと、南シナ海における人工島建設など、一方的な現状変更を強行し、かつ国際法などの裏付けのない「九段線」をあたかも「海上国境」のごとく主張し続けることで、中国は外交的に「孤立感」を強めてきたことは間違いない。

 カーター米国防長官の発言は正鵠を射たものであった。さらに今度は空母2隻を中国の近海で展開するという米海軍の露骨とも言える軍事力の誇示に中国は晒されたわけだ。

 中国はオバマ政権の対中慎重姿勢をいいことに、人工島建設に代表される「一方的な現状変更」を継続的に行ってきた。これに対し、米国はそれを阻止するための具体的行動を取りあぐねてきたことも事実である。しかし、常設仲裁裁判所の裁決を機会に、中国の南シナ海における行動に懸念を深める国々を糾合し、国際的な圧力で中国を抑えこもうという米国の意思は証明されたと言っていいだろう。

中国の南シナ海問題への対処法、ポイントは3つ

 ここで問題を整理しておきたい。中国にとって南シナ海問題への対処は、 (1)域外国、特に米国、日本等の干渉排除、 (2)関係国、特にASEAN諸国の分断、 (3)域外国と関係国との連携による中国包囲網の形成阻止、 が重要となる。

 (1)については、昨年来、米国による「航行の自由作戦」が展開されると中国はこれに強く抗議し、対抗策として西沙諸島に対空ミサイルを配備するなど、南シナ海の軍事化に拍車をかけつつ、「海軍艦船を南シナ海に入れた米軍への対抗措置だ」として自己正当化を図っている。中国にとって許容できないのは、米軍と連動して日本の海上自衛隊が南シナ海で哨戒活動をすることであろう。

(2)については、中国の“息のかかった”国を味方につけることである。南シナ海で中国と領有権を争っているのはフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイだ。中国としては領有権争いに加わっていない国々、とりわけ中国の経済援助に依存するラオスやカンボジアを味方につけ、分断を図りつつ、領土問題については中国が優位に立てる二国間交渉に持ち込むことが基本的な戦略となる。カンボジアやラオスなどが中国の主張を支持すれば、「コンセンサス」を重視するASEANとして、中国に厳しい統一見解を出すことは難しくなる。

 (3)は、中国にとって最悪のシナリオを回避することであり、これは(2)を成功裏に進めることによって可能となるように見える。しかし、米国とベトナムの関係改善による武器供与の解禁や、米国とフィリピンとの軍事協力の進展、さらには日本とフィリピンやベトナムとの海上警察行動における協力などによって、事実上の「対中包囲網」が形成されつつあると言える。ただし、フィリピンの次期大統領に就任予定のドゥテルテ氏は嫌米親中とされており、今後のフィリピンの「立ち位置」が問われることとなる。

東シナ海での領海侵犯は南シナ海から注意をそらせるため

 こうした状況のもとで、6月14日、中国雲南省玉渓で中国の主催によるASEAN・中国特別外相会議が開催された。

 南シナ海における領有権問題をめぐる常設仲裁裁判所の判断が近く示される見通しの中での開催である。この会議が注目されたのはいわば当然のことであった。

 しかし、会議の結末は唖然とさせるものだった。ASEAN側の複数の外相が中国に対し「深刻な懸念」を訴えた(バラクリシュナン・シンガポール外相)ものの、結局ASEAN側の共同声明は取り下げられ、中国・ASEANの共同記者会見もキャンセルされたのだ。

 この結末から垣間見えるのは、ASEAN側が「対中懸念」で結束しそうなところを中国が圧力をかけて反故にした構図である。領土問題では当事者ではないシンガポールやインドネシアなどのASEANのメンバーにしても、中国の「仲裁裁判そのものが無効」という姿勢に対して議論が紛糾したことが窺える。

現状から言えることは、中国は、(1)の域外国による南シナ海への関与を有効に封じ込めることに失敗し、(2)についてのASEAN諸国間の分断も、現状では「かろうじて」凌いでいるレベルであろう。

 そうなれば、(3)の対中包囲網をいかに防ぐかが中国にとって課題となる。中国海軍戦闘艦の尖閣諸島の接続水域への侵入や、中国海軍情報収集艦のトカラ海峡での領海侵犯事例は、今後の海上自衛隊艦艇の南シナ海での哨戒活動を阻止すべく、東シナ海、南西諸島など日本周辺海域に注意を集めさせる(踏みとどまらせる)ための「陽動作戦」と解釈することもできよう。

 尖閣諸島海域に中国海軍の戦闘艦が侵入した事案は、もちろんこれまでの緊張レベルが一段上がったことを意味するわけで、今後は海上保安庁と海上自衛隊とのより一層の緊密な連携をもって対処せねばならないだろう。ただし、中国が海軍情報収集艦の領海侵犯について「無害航行」を主張し、「航行の自由」に言及したことは、今後、海上自衛隊が南シナ海を航行するときにも同じことを言えることになる(中国は排他的経済水域での他国海軍艦船の航行については事前の承認を求めている。すなわちダブルスタンダードである)。また、米海軍同様に「航行の自由」を標榜することによって日中の対等をアピールすることもできる。問われるのは、日本政府の「中国を刺激したくない」という消極姿勢であろう。

 中国は南シナ海問題で、はっきり言えば「窮地」に陥っている。尖閣諸島など東シナ海に手を出したのは、関心をそらせるためである。フィリピン次期大統領という不確定要素はあるものの、中国包囲網の形成は着実に進展していると言ってよいだろう。窮地に陥った中国が今後どのような手を打つのか、予断を許さない。

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『草の根民主」勝ち取った烏坎村に、再びの乱 村長逮捕に村民が抗議デモ。政争か、新たな胎動か』(6/29日経ビジネスオンライン 福島香織 )について

無法国家中国の面目躍如といったところでしょうか。国際的・国内でもトラブル尽くしの感があります。住民自治のテストケースである烏坎村を弾圧すると言うことは、権力闘争の面だけでなく、中国共産党は「民主主義は絶対に認めない」固い決意の表れと思います。香港の民主主義も危ういでしょう。台湾も良く見ておかないと。今回の烏坎村の村長の拉致も香港の銅鑼湾書店の拉致も同じです。しかも、孫を人質にしたり、香港では愛人を楯に取ったりしました。弱い部分を責めるのが中国人のやり方です。卑怯と言えば卑怯、日本の政治家や要人でハニートラップや賄賂を与えて弱みを握るのは彼らの常套手段です。何せ「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄ですから。

藤野日共政策委員長が自衛隊の予算を「人殺し予算」と呼んで辞任させられました。彼の発言は本音でしょう。モデルとして考えているのはソ連なき後は中共でしょうから、政権を取れば(ありないと思っていますが)自衛隊(=国家の軍隊)から日共軍(人民解放軍と同じ党の軍隊)に変える積りなのでしょう。人民解放軍と同じく日共軍は天安門事件のような内乱鎮圧の名目で国民に刃を向けるでしょう。共産主義とは人権抑圧する自己中の人類を不幸にするシステムのことです。中国駐在8年間の経験から言ってそう断言できます。

今度の参院選で、共産党が伸びるような報道がされていますが、彼らの仮面の下には恐ろしい野心が隠されていることに国民は早く気付くべきです。反日民進党の岡田党首は日共との野合で「庇を貸して母屋を取られる」状況となりました。愚かなリーダーを戴くと組織は弱体化する良い例です。東大→官僚出身はアカにシンパシーを持つ人が多いので要注意です。ネットで不断の言動に注意を払っておかないと。マスメデイアは「報道しない自由」を行使するときが多いので。

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Wukan cun

広東省・烏坎村の村長逮捕に村民が抗議デモ。子供たちも参加した(写真:ロイター/アフロ)

 広東省汕尾市の烏坎村で今月17日、異変が起きた。村民直接選挙で選ばれた村長(村民委員会主任)・林祖恋(銮)が“汚職容疑”で突如拘束されたのだ。だが、この“汚職容疑”を村民が信じることはなく、村長釈放を求めて村では村民3000~4000人が連日抗議デモを展開中だ。当初は外国メディア、香港メディアも村で現場取材を行ったが、現在はメディアは締め出されている模様。これは、中国の農村でありがちな単なる“群衆事件”の一つにすぎないのか。

 だが、この烏坎村は、ただの農村ではない。2011年から12年にかけて“烏坎の乱”と呼ばれた村民のデモによって自治を勝ち取り、旧共産党支部書記を追い出した。その後、林祖恋は党支部書記を兼任してはいるが、村の重要政策は村民大会という民主的な方法で決める、村内民主を実現。中国唯一といってよい“草の根民主の村”として、“烏坎モデル”と呼ばれるようになった。そんな村で、今何が起きているのか、それが何を意味するのか、考えてみたい。

道路を封鎖し、汚職容疑で逮捕

 今回の事件の経緯を振りかえってみよう。

 6月17日深夜、烏坎村に突然、大量の警察官がやってきて、道路を封鎖しはじめた。そして18日未明、村長の林祖恋を“汚職容疑”で拘束した。香港紙明報に、林祖恋の妻が語ったところによると、17日夜は林祖恋の友人の前東海鎮長が林家を訪れていたのだが、その親友が帰宅した直後を見計らって警官隊が家になだれ込んだ。親友に「携帯電話を忘れた」と言わせて、林家の玄関を開けさせると、着替える猶予も与えずに、ランニングシャツ一枚の恰好のまま彼を連行していったという。このとき警官たちは連行の理由も言わなかった。林祖恋は19日に村民大会を開き、21日に2011年の“烏坎事件”の原因ともなった土地強制収容問題の解決を求めて、上層部門に陳情にいくことを決定するつもりであったという。この陳情行動のため、林祖恋は自分が捕まったときに妻や子供たちに累が及ばないように離婚の書類にもサインしていたという。

 その翌日の新聞で、地元の地方検察院が林祖恋を汚職・収賄罪で立件したことが発表された。また地元公安当局は、現在、彼を取り調べ中であり、村民全員が捜査に協力するようにと呼びかけたうえ、「不穏分子が、この事件を利用して過激な行動をとらないように。暴力沙汰が起これば、法に基づいて鎮圧する」と警告を発した。

 その警告どおり、村のいたるところに、重装備の警察の暴動鎮圧部隊が配置され厳戒態勢が敷かれた。これに驚いた村民は19日、村長の冤罪を信じて抗議デモを行った。

 このデモは3000人規模に膨らみ、「われらの土地を返せ! 村長を返せ!」と叫びながら、重装備の警官隊と対峙した。この様子はビデオに撮影され、ネットにアップされたものだから、香港、海外メディアも続々と現地入りして取材するようになった。警官隊は記者たちを追い出そうとしたが、村民は記者たちを保護し、取材させた。5年前にこの村が自治を勝ち取ったのと同じ戦略で、村長不在のまま村民の抵抗運動が始まった。デモは連日、繰り返された。村民たちは、訪れる記者たちに口々に「村長は我々が選んだよい村長だ。汚職などするわけがない」と冤罪を主張した。

自白ビデオは孫を人質に強要

 だが、21日に汕尾市政府は、林祖恋の取り調べ中に自分の罪を認めているビデオを公開。

 ビデオの中では警察の尋問に対し、林祖恋自身が「法律知識が浅いために、建設プロジェクトの管理職務にあることを利用して、民生建設プロジェクトの発注の便宜を図るために巨額のキックバックを受け取ってしまいました。この件について検察機関に自首し、素直に処分を待つものです」と述べていた。汕尾市政府の発表によれば、村の学校の運動場工事にかかわる汚職ということだった。だが、この自白は孫を当局に人質に取られて仕方なく行ったものであるということが後に判明した。

 汕尾市政府はこの件について「国内外メディアはこの事件を法に従って客観的公正に取材し報じるように。しかし、蘋果日報(香港紙)、端傳媒(香港ネット総合メディア)など、個別の境外メディアは村内で扇動、画策、指導を行っており、我々は法に基づいて措置をとる」とコメントし、メディアをけん制した。

 村の副書記である張水金は「市政府は、土地問題については処理チームを立ち上げたので、もう村民大会は開く必要ない。この問題に対し村民委員会は何の権力もない」と村民に説明した。

 このことが村民たちの怒りにさらに油を注いだ。林祖恋の自白によって無事釈放された実孫によれば「村民の99%は爺さんを支持している」と祖父を擁護した。汚職容疑についても、“巨額”というだけで具体的な汚職額も出ておらず、また裁判も開かれないうちに、林祖恋の自白ビデオを公開して罪を確定するような印象操作のやり方からも、村民のほとんどは冤罪であると考えているようだった。

 中国の農村で、村民が土地の強制収容問題などで当局サイドと対立して抗議デモを行う、あるいは官民衝突に発展するという事件は実は中国全土で毎日、何百件という頻度で起きている。だが、なぜこの村の事件が、海外メディアまでに、ここまで注目されるのか。

 それは間違いなく、この村が烏坎村だからだ。

烏坎モデルは汪洋の遺産

 2011年9月21日から翌年3月にかけて、通称“烏坎事件”と呼ばれる、村民デモと地元警察の衝突、そして村民自らが立ち上げた自治組織による村政の奪還を実現する一連の事件が起きた。きっかけは当時の村の書記兼村長らが農地を勝手に不動産企業に7億元で譲渡したこと。村民には一人500元というわずかな補償金(全村で約400万元)を渡しただけで、残りを書記ら一部役員で着服していた。村の青年たちはこの土地汚職の真相究明を求めデモを繰り返していたが、9月21日、3000人規模に膨れ上がった抗議デモは地元警官隊と衝突、10人以上の負傷者と4人の逮捕者を出した。村民たちは自ら投票で選出した村民代表による自治組織、臨時村民代表理事会を結成して、旧来の党支部書記ら村民委員会の役員たちを追い出した。

 土地収用汚職事件については上級市である陸豊市が調査班を送りこんで調査することになったが、村民が選挙によって自ら選んだ臨時村民代表理事会は違法組織ということになり、副会長として土地収用汚職事件の追及を中心となって行っていた薛錦波が12月9日に不当に逮捕された。だが、12月11日に薛錦波は警察の拷問により死亡。村民の抗議活動はこれでますます激化した。村民暴動を恐れた当局は武装警察を派遣して村の電気水道などライフラインを断ち、兵糧攻め作戦を展開し、報道規制も行うのだが、出稼ぎにいっていた村の若者たちがインターネットやSNSを駆使して、世界にこの事件を発信。当局の報道規制の網をかいくぐって外国メディア記者たちを村内に手引きし、外国メディアにも報道させた。この時点で、すでに事件のテーマは土地汚職問題解明ではなく、村民の自治組織を違法組織とするか中国当局として村民の委託を受けた正式の組織と認めるかという“民主化”の容認問題となった。

 結局、事態の拡大を恐れた当時の広東省党委書記の汪洋は、当時の広東省副書記の朱明国を現地に派遣し、村民自治組織の正当性を認めるべきだとする朱の報告を受けて、翌年1月、旧党支部を解散、臨時村民代表理事会顧問の林祖恋を新たに党支部書記に任命し、2月に村民委員会選挙を行い、新しい村長、村民委員を選出しなおした。このとき選出された村長は、自分は一村民委員に立候補したのであって、村長の任は荷が重いと辞退。3月に再度選挙を行い、林祖恋が村長も兼任することになった。

 広東省党委員会が村民の自治組織の正当性を認め、村の旧党組織を解散させたということは、“草の根民主”の勝利だと当時は外国メディアも盛んに報道した。広東省書記であった汪洋の決断が大きかったので“汪洋の遺産”という人もあった。また“烏坎モデル”が周辺の農村にも広がり、広東省で草の根民主が広がるのではないかという期待も出てきた。

 私は2012年秋に烏坎村を訪れ、事件当時、ネットの微博で事件の実況をアップして、海外メディアに事件を報じさせることで勝利を導いた若者グループの代表格である呉吉金青年を取材したことがある。彼は事件当時15歳であったが、18歳になったら村民委員に立候補して村の自治のために尽くしたい、という夢を熱く語っていた。彼らは中国共産党中央に対して深い反感はなく、党の指導を受けつつ村内民主を進めていきたいとしており、必ずしも党中央の脅威となるような思想はなかったと思う。

 だが、状況は朱明国の失脚によって変化してくる。2014年11月に広東省政治協商委員会主席の朱明国は1.4億元以上の賄賂を受け取ったとして汚職で失脚。朱明国は長らく汪洋の側近でもあったので、この事件は元政治局員の汪洋につながりかねないと噂された。

 その前のことになるが、2014年3月の村民委員選挙を前に、副主任(副村長)らが次々と汚職容疑で逮捕され実刑判決を受けた事件もあった。家族らはこれを冤罪と主張し、村民も不当逮捕であるとして昨年秋ごろから、抗議集会が行われていた。

習近平が仕掛けたのか、仕掛けられたのか

 こういった状況から推測すると、林祖恋逮捕事件は、単に烏坎村の“草の根民主”を共産党体制の脅威としてつぶそうという狙いだけでなく、来年の党大会を控えた党中央人事をめぐる権力闘争の材料ではないか、という気がする。少なくとも、林祖恋の汚職など、習近平政権の反腐敗キャンペーン“虎も蠅もたたく”においては“蠅の汚職”であり、彼を捕まえるまえに捕まえなければならない巨額汚職者が党中央にもたくさんいるわけだ。それでも、あえてその“蠅”をたたくのは、この小さな蠅が、その背後の虎の致命傷になる、と考えたからではないだろうか。

 では、この事件は誰が仕掛けて、どの“虎”をたたくつもりであったのか。二つ説がある。

 一つは、林祖恋逮捕事件が、習近平の外遊中であったことから、習近平不在の間に、習近平を困らせるために、反習近平派勢力、たとえば政治局常務委員の劉雲山らが仕掛けたのではないか、という見方である。これは大紀元などのネットメディアが報じている。

 もう一つは、前広東省書記であり政治局員の汪洋の足元をすくうために、習近平派が仕掛けた事件という見方である。烏坎村の問題を暴発させずに丸く収めた対応は、汪洋の功績として評価されていたが、その後の村の“草の根民主”が汚職と腐敗にまみれていたとなれば、その評価も地に落ちる。さらに、村民がこれに抵抗して抗議デモを繰り返えすことになれば、現広東省党委書記である胡春華が大きな政治リスクに直面することになる。汪洋も胡春華も共産主義青年団派(団派=胡錦濤派)に属する。つまり、来年の党大会を前に、ポスト習近平と噂される胡春華をつぶし、次期政治局常務委員の座が通常ならば確実視される汪洋を失脚させようとする策略ではないか、という。烏坎村の村長汚職が事実であってもなくても、村民抗議を拡大させても、武力で鎮圧しても、汪洋や胡春華はなにがしかの打撃をこうむることになるだろう。

 こうした権力闘争と結び付けた見方以外に、広東省では多くの人たちが思っている以上に、草の根民主の素地が広がっているのではないかという予測もある。以前、農村の出稼ぎ労働者問題に詳しい中国の研究者に非公式な場で質問したことがある。中国で政治改革、民主化が行われるとすれば、党中央の指導者の英断によって進められる可能性と、草の根民主による底辺からの圧力によって進められる可能性と、どちらが大きいか、と。

底辺からの圧力は高まっている

 その時の彼の答えは、迷いなく底辺からの圧力だ、というものだった。特に、若い世代の出稼ぎ農民、俗に新生代農民工とよばれる若者たちの間に急激に政治権利を求める要求が高まっている、とのことであった。

 中国のメディアコントロールが以前にもまして厳しくなっているため、南部の地方都市の工場地帯などで起こっているストライキ、労働争議の実態はほとんど報道されなくなっているが、昨年暮れから広東省の四つの労働NGO幹部が次々と拘束された背景には、労働争議が、共産党と無関係な労働者自身による労働組合の設立要求など、徐々に政治運動化しつつある実態があったという。

 その学者は、数年後には、農民や労働者の若者の間で、政治権利要求運動が目に見える形で台頭してくるのではないか、という予測を持っていた。

 そう考えると、何かの拍子で、自治を求める抗議運動などに火が付くような状況は、広東省の地方都市、農村では予想以上にくすぶっているのかもしれない。

 そういう視点でみると、烏坎村の乱の再燃は、単なる汚職摘発事件でも一過性の農村集団事件でもなく、もっと長期的な視野で考える必要があるといえそうだ。

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『金融街シティでは失業者10万人超えも EU離脱が示唆する3つの懸念』(6/29日経ビジネスオンライン  倉都康行)、『「英国EU離脱はロシアを利する」は本当か? プーチン政権、対EU政策の舵取りに伴う大きなリスク』(6/30日経ビジネスオンライン 池田元博 )について

7/1日経によればボリス・ジョンソンは次期首相選に出ないとのこと。離脱派のゴーブが名乗りを上げたからと言っても、あれだけ離脱を煽って無責任の感じがしますが。

7/1宮崎正弘氏のメルマガには「英国に進出している日本の自動車メーカーは、EUの自動車関税10%がかかっても、£安になりユーロ:£=1:1(今の£のレートは83ペンス。7/1日経)まで下がれば同じ効果が得られる」と解説していました。

7/1大前研一氏のメルマガには

<国民投票の結果を受けて、今後、どのような展開がありえるのか?

まず、大前提として国民投票には何ら「法的拘束力」はありません。今回、EUからの離脱が過半数を超えましたが、議会で否決されれば残留することになります。もちろん、その場合にはキャメロン首相は嘘つき呼ばわりされ、英国国内はぐちゃぐちゃになると思います。

すでに再投票を求める署名が200万、300万を超えたと報じられていますが、これも非常に難しいところです。もしこれで再投票をするとなったら、今後誰も英国を相手にしてくれない状況になるでしょう。

今後の展開は予測が非常に難しいですが、私は「グレートブリテン」の崩壊という危険性を感じます。

スコットランドが独立投票をしたとき、彼らの思惑は独立後に今のアイルランドのようにEUに加盟することでした。ところが、スコットランドの場合にはEUに属しているイングランドが反対すると加盟できないため、これが抑止力として働きました。

しかし今後、イングランドがEUに属さないとなると、スコットランドに対する同様の抑えは効かなくなります。スコットランドが再び独立に向けて動き出す可能性は高いと思います。

そうなれば、ウェールズ、北アイルランドでも独立運動が始まるかも知れません。ウェールズにしても征服された歴史を考えれば、独立したいと考えているでしょう。北アイルランドも、十数年前に和平交渉が成立して今では平和ですが、過去には長い間の争いと混乱がありました。ウェールズ同様に、独立の気運が高まる可能性は大いにあると思います。

また忘れてはいけないのが、「ロンドン」です。離脱派が多かったイングランドにおいて、ロンドンはEUへの残留を支持しました。EUから離脱するとなると、金融センターのポジションをフランクフルトに奪われることは間違いありません。何とかその立場を死守したいはずです。

EUには、ルクセンブルクといった小さい国もあります。今、加盟に向けて動いているクロアチアやコソボと比べても、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドは遜色ありません。

英国の状況変化だけでなく、EU内でもさらに動きがあるかも知れません。EU離脱をほのめかしているデンマークやハンガリーの動きを助長する可能性です。ハンガリーはともかく、経済的に豊かなデンマークの離脱はEUとしても無視できない影響があるでしょう。EU内におけるドイツの負担がさらに増すことは間違いありません。メルケル首相が怒り心頭になるのも頷けます。

各国の心理を考えると、可能性がありすぎてどこに落ち着くのか、予測不能です。

兎にも角にも現時点で言えば、英国は「やる必要もない国民投票」をやってしまったために、「進むも地獄、戻るも地獄」という非常に難しい立場にあります。

このままEUを離脱するにしても、議会でひっくり返すにしても、再投票するにしても、いばらの道しか残されていないと思います。>(以上)

とあり、今後の予測は難しいです。

しかし、メデイアは世の東西を問わず、反EU、反移民を掲げる政党を極右呼ばわりして印象操作しています。ナショナリズムVSグローバリズム(国際金融資本≒ユダヤ金融資本)の争いなだけです。メデイアも金の力に弱いというところでしょう。東京都知事選に在特会元会長の桜井誠氏が立候補します。自民党が成立させた在日朝鮮人のための「ヘイトスピーチ法」のおかしさや、パチンコ、生活保護受給資格などを訴えています。メデイアは無視を決め込むかもしれませんが、街頭演説で訴えることができます。供託金没収がないくらいの票が集まれば、彼の立候補も効果があったと判定できます。

これからは長くなりますので記事の紹介だけです。

6/30日経<Brexitの衝撃(3)「次は我々の番だ」 

 「英国、欧州連合(EU)から離脱へ」。24日早朝、英メディアが国民投票の大勢判明を速報すると、オランダの極右・自由党の党首ヘルト・ウィルダース(52)はすかさずツイッターに書き込んだ。「次はオランダの番だ」。ブリュッセルとロンドンのエリートだけが得をする欧州統合に英国民は「ノー」を突きつけた。そうウィルダースは解釈してみせる。「そんなEUに未来はない」

Donald Tusk & Jean Juncker

「反EU」機運の拡大がEUを揺さぶる(28日、トゥスクEU大統領(右)とユンケル欧州委員長)=AP

 翌25日、パリのエリゼ宮(大統領府)では、極右・国民戦線を率いるマリーヌ・ルペン(47)と仏大統領のフランソワ・オランド(61)が向き合っていた。

 「我々も国民にEUに残りたいかどうか問わねばならない」。与野党の緊急党首会談に臨んだルペンは、こう切り出した。背筋を伸ばし、硬い表情のオランドは首を縦にふらなかったが、ルペンの表情は余裕に満ちあふれていた。会談後、大統領府の中庭で上機嫌で記者団の取材に応じ、「議会でオランド氏の公約をしっかり検証してもらいたい」。鬱積する政府への不満で現政権の支持率は超低空飛行が続く。その裏返しでルペンらには追い風が吹いている。

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 2017年は3月にオランダ議会選、5月にはフランス大統領選が控える。世論調査では両国とも極右が支持を伸ばしている。ナショナリズムに訴え、反EUを掲げて支持を広げてきた極右。英国のEU離脱は、自らの主張が極論ではなく現実的な選択肢だと主張する格好の材料となる。

 欧米メディアや市場関係者の間では「ブレグジット(英国のEU離脱)」に続く「ネクジット(オランダ=ネザーランドの離脱)」や「フレクジット(フランスの離脱)」のドミノ連鎖がささやかれる。

 EUが抱える病は一国主義への回帰を唱える極右だけはない。金融危機後の緊縮財政への反動から生まれた急進左派勢力の台頭も、結束と安定を脅かす。

 総選挙から一夜明けた27日、スペイン首相のマリアーノ・ラホイ(61)はラジオ番組に出演し、こわばった声で「今度こそ、何としても過半数を持つ政権をつくらなければならない」と他党に妥協を訴えた。前夜、マドリード市内で支持者を前に華々しく勝利宣言した喜びは消えていた。

 スペインは昨年12月の総選挙で与党・国民党が過半数を割り、その後半年かけても連立交渉が実らず、政治空白が続いた。今回こそ政治危機に終止符を打つはずだったが、民意は安定を選ばず、国民党は再び過半数を取れなかった。

 既存政党への不満の受け皿として14年に結党した新興政党ポデモスは、わずか2年で長年の二大政党制を打ち破った。26日夜、党首のパブロ・イグレシアス(37)は「結果には満足していない」としながらも、「スペインの将来にはポデモスは必要だ」と大衆の支持の強さに自負をみせた。

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 英国のEU離脱決定直後の25日朝、ギリシャ首相のアレクシス・チプラス(41)は仏大統領のオランドと電話で話し込んでいた。「もっと社会福祉を充実した政策が必要だ」。両者はそんな内容で合意したという。

 反緊縮財政を掲げて首相に駆け上ったチプラスは1年前の7月、金融支援と引き換えに追加緊縮策をのまされた。ドイツを中心とする北部欧州に支配されたEUの横暴は、民衆の不満を高めるだけだ――。その思いは消えず、締め付けをはねのける機をうかがう。

 欧州解体論を振りかざして支持を広げようとする極右。過去の放漫財政のツケを直視せず、EUの財政規律や政策協調を脅かす急進左派。2つの対極にある政治思想が、EUをゆさぶる。

 28日、ブリュッセルで開かれたEU首脳会議。EU本部には、徹夜協議を繰り広げた1年前のギリシャ危機時のような切迫感はなかった。英国との離脱交渉入りを9月以降に先送りすることを承認し、協議は日付が変わる前にあっさり終わった。記者会見場に現れたEU大統領のドナルド・トゥスク(59)は「議場は落ち着いた雰囲気だった」と淡々と語った。

 交渉の遅れは先行き不透明感として政治や経済、金融市場の安定をむしばみ、「反EU」機運の拡大にもつながりかねない。だが、離脱交渉開始の権限を英国が握る以上、EUはそれを待つしかない。半世紀にわたる欧州統合の歴史上、最大の危機を迎えたEUは、未曽有の事態を前に立ちすくんでいる。(敬称略)>(以上)

6/30日経<英EU離脱交渉 膠着へ  新首相候補 時期や方針、不透明 与党党首選、受け付け開始へ 

 【ロンドン=黄田和宏】英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐる状況はしばらく膠着する見通しだ。EUは28日の首脳会議で、離脱交渉を9月以降に先送りすることを容認した。英政治は29日から与党・保守党の新しい党首(首相)を選ぶ選挙戦に入る。英国がいつどんな方針で交渉を始めるかは、9月9日までに選出される新党首に委ねられる。(1面参照)

summit of EU

 保守党は29日、キャメロン首相の後継者を選ぶ党首選の立候補を受け付け始め、30日に締め切る。キャメロン氏はEUとの離脱交渉を後任に委ねる考えを示している。

 党首選で本命視されるのは、離脱派リーダー格だったジョンソン前ロンドン市長と、残留派などの支持を集めるメイ内相による対決の構図だ。

 保守党員向けの情報サイト「コンサバティブ・ホーム」が28日公表した調査では、次期首相候補としてメイ氏が29%、ジョンソン氏が28%の支持を集め、接戦が予想されている。立候補者は3人以上になる見通し。党所属の下院議員330人による投票で候補を2人に絞り込んだうえで、保守党員の決選投票に進む。

 党首選で大きな争点になりそうなのが、EU離脱に賛成した民意をどう受け止めるかだ。両氏とも国民投票の結果が出てからは、公の場で発言を控えており、考えを表明していない。

 党内からは「単一市場へのアクセスを維持するのかが最大の焦点だ」(ジャビド民間企業・技術革新・技能相)との声も上がる。両氏ともEU離脱の対処方針を含めた公約を出馬時に表明するとみられている。

 英メディアによれば、ジョンソン氏はEU離脱を公約に掲げた総選挙には消極的とされる。だが、野党・労働党が内紛状態にあるだけに、総選挙でEUとの離脱交渉の是非を問う可能性も取り沙汰される。メイ氏は国民投票で争点となった移民問題では強硬派として知られ、移民の制限で厳しい姿勢を貫く可能性もある。移民の制限などでEUの譲歩を引き出せれば、国民投票を再び実施する選択肢も残る。

 英国とEUとの離脱交渉が始まるのは、早くても新党首が選出される9月上旬以降になる。ボールは新党首が握る。EUの基本条約であるリスボン条約50条によれば、英国が欧州理事会に離脱の意思を通告しなければ交渉は始まらない。

 EUは一部で浮上した事前交渉に応じない。9月に首脳会議を再び招集し、英国の出方を待つ。だが、それまでに英国がEUに通告する準備が整うかは見通せない。>(以上)

 

倉都記事

City in London

EU離脱でロンドンの金融街、シティに開く穴はどれほどになるなのか (写真=ロイター/アフロ)

 先週木曜日の国民投票で、英国はEUからの離脱を選択した。1973年のEC(当時)加盟から40年余り続いた政治経済構造の変化が意味するものは小さくない。為替市場や株式市場の大揺れは、まるで欧州史の大転換に対する弔いの鐘のようだ。

 だが、恐らくそれは欧州にとどまらず、日本を含めた現代世界史の断層を示すものとして、後世に語り継がれることになるだろう。この事件はそれほどの重みをもつものである。英国が意識したかどうかは知らないが、彼らは21世紀のパンドラの箱を開けてしまったのだ。

 もともと英国が、ブラッセルの役人に箸の上げ下ろしを命じられることに強い反感を抱いてきたことはよく知られている。ユーロにも参加せず、EU内の政治経済面ではしばしばドイツやフランスなどと対立を繰り返してきた。

 だがその一方で、共同体の一員であることの利点も熟知し、過去半世紀近くの間、その枠組みの中で巧みに特異な地位を維持してきたのが英国であった。だが先週、移民問題への苛立ちが充満する中で、ユートピアニズムと官僚主義に陥った現状のEUに深く失望した英国は、なんとEUからの離脱を決めてしまった。

 今後英国は、スコットランド独立や北アイルランド分離への動き、EUとの刺々しい離脱交渉、外国企業の英国離れ、経済成長率の急低下、資本コストの急上昇といった様々な逆風に見舞われることになるだろう。世界各国の市場不安も簡単には収まらないと思われる。

 こうした点に関しては既に多くの評論がメディアに溢れているので、屋上屋を架すことは避けよう。やや重なるところはあるかもしれないが、今回は金融面を中心にして①シティの将来像、②ユーロの脆弱性、そして③2008年金融危機からの連続性、といった三点に絞って論点を整理しておきたい。

免れ得ないシティの存在感低下

 今後英国がEUとどのような離脱交渉を行うのかは不明だが、長らく国際金融センターとして機能してきたロンドンに変化が生じることは不可避だろう。筆者が約9年間勤務してきた金融街シティを擁するロンドンは、言うまでもなくニューヨークと肩を並べる存在であり、為替や国際的債券、派生商品などの金融取引規模では世界一の市場と言ってもよい。そうした機能がいきなり消滅することは有り得ないが、それでも存在感の低下は免れ得ない。

 英国金融の調査機関である「TheCityUK」の資料に拠れば、現在ロンドンに進出している外国銀行の数は約250行で、彼らのビジネスを支える外国系法律事務所は約200社を数える。2014年時点で金利スワップなどデリバティブズ業務の全世界に占めるシェアは約50%、外国為替取引は約40%、海上保険は約30%、国際的な銀行融資とヘッジファンド運用の残高がともに約18%という、巨大な金融センターである。

 金融関連の雇用者数は、会計士や弁護士などを含めると約220万人の規模であり、金融ビジネスの経済的貢献度はGDP比12%と見積もられている。そこから納められる税金は、歳入の約11%を占める、という。

 こうしたビジネスの一部が大陸諸国に奪われ、失業者が発生することは避けられない。PwCは失職者の数を最大10万人程度と推測しているが、それはやや甘い計算かもしれない。海外の大手金融機関が欧州本拠地を大陸に移す動きが顕著になれば、予想を超える数の職が、パリやフランクフルトに流れる可能性がある。

「単一パスポート」消失と大手金融機関の移転

 交渉次第ではあるが、EEA(欧州経済領域)に参加してEUとの一定の接点を維持するノルウェーのような方式を採らない限り、ロンドンの金融界が活用してきたEUの「単一パスポート」は消失する可能性が高い。EU加盟国どこでも支店などを持たないで営業が可能になるこの便利な通行手形を失えば、英国に金融拠点を持つ意味は薄れてしまう。

 2014年に改訂されたEUの「金融商品市場指令(MiFID Ⅱ)では、第三国の規制・監督体制が欧州委員会によって「EUと同等」と認めれば、加盟国内に支店を設けなくても営業ができるとされたので、英国は引き続き従前同様のビジネスが可能と期待する声もある。だが、同指令では「同等性評価決定の3年後にサービス提供が可能」としており、一度EUを離脱すれば相当期間のブランクが発生することは避けられない。

 また銀行融資の面では、これまで「資本要求指令(CRD)」に基づくパスポートで預金や貸出、リースなど、国境を跨いだ取引が可能であったが、これもEU加盟国に新たに現地法人を設立しなければ業務が遂行できなくなる可能性が高い。

 さらにビジネス流出確率の高いのが、ユーロ建て証券やユーロ建てデリバティブズ取引の清算(クリアリング)および決済(セトルメント)業務である。英国のLCHクリアネットはデリバティブズ清算業務で圧倒的なシェアを誇っており、ロンドンで取引され、ロンドンで決済される、という一連の業務の流れを囲い込んでいる。

 ECBは、ユーロ建て取引はユーロ圏内で行われるべきと主張して欧州裁判所に提訴したが、この訴えは昨年棄却され、英国でのビジネスが維持された。だが今後はストーリーが変わるかもしれない。

 「単一パスポート」の消失で大手金融機関におけるユーロ建て債券、クレジット商品、スワップなどデリバティブズのトレーディングおよびセールス、そしてその決済を担う部門がこぞって英国を去ることになり、清算や決済も英国を離れるとなれば、シティの業務に大きな穴が開くことになる。そして大規模なオフィスを構える法律事務所も、金融機関の異動とともに英国を去ることになるだろう。

 既にJPモルガンやHSBCなど大手金融機関は、投資銀行の主要スタッフを英国から大陸に異動させる考えを示しており、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、そして大和証券などもロンドンの一部の機能を欧州大陸へ移転する検討を始めている、と報じられている。

 英国は必死に利権を守ろうとするだろうが、ロンドンが独占してきた金融ビジネスを何とか奪い取りたいドイツやフランスが、交渉過程において勝手にEUを出ていく英国に対して甘い顔を見せることはないだろう。

ポンド急落より影響大きいユーロ崩壊

 通貨の面で言えば、懸念されるのは「ブレグジット・ショック」で大揺れして30年ぶりの安値に沈んだポンドよりも、制度疲労が表面化しつつあるユーロである。市場では英国のEU離脱は「EUの終わりの始まり」か、と危惧されているが、それよりも「ユーロ崩壊の終わりの始まり」の方が現在の市場経済には脅威であろう。

 ユーロは、ギリシアを発端とする危機的状況を2012年のドラギ総裁の「何でもやる」発言で乗り切ったが、通貨誕生時点で胚胎していた病巣は残ったままである。つまり、手術はしてみたものの再発の可能性を残した中途半端なオペに終わった、というのが実情だ。

 PEW Research CenterがEU加盟国10カ国を対象に行った調査に拠れば、英国のEU離脱に関しては、英国以外の9加盟国の70%が「良くないことだ」と回答しているが、それは彼らがEUを高く評価していることを意味していない。

 EUを好意的に見ている国はポーランドやハンガリーなど少数であり、10加盟国全体では51%に過ぎない。昨年以降、好意的な回答が顕著に減少しているのが英独仏そしてスペインなどの大国やギリシアである。難民問題の深刻化が影響していることは想像に難くない。

 また英国と同様に、自国に一定の権限を取り戻したいと願う回答は6カ国で過半数を超えている。経済的な思惑から市場の一体化は望むものの、政治的な一体化即ち「欧州合衆国」の理念は受け容れられない、というのが多くの人々の思いであろう。それがEUの抱える本質的な脆弱性でもあり、その行政組織が硬直化している主因でもある。

 英国のEU離脱を契機に、既にオランダやスウェーデン、デンマークなどで同様の国民投票を求める運動が始まっている。中軸国でも反EU運動が結束を固めるようになれば、ユーロの安定性を大きく揺るがすことになりかねない。それがイタリアから勃発するのか、スペインが火種になるのか、フランスが中核になるのか、或いは渋々ユーロを受け容れたドイツが主軸となるのか、解らない。

 確実なのは、ユーロの脆弱性が世界に与える影響はポンドの急落どころの話ではない、ということである。それは、2012年以降たびたび世界の市場を襲ったユーロ危機を思い出せば十分だろう。

 欧州では来年5月にはフランス大統領選挙が、来秋にはドイツの総選挙が予定されている。前者ではFN(国民戦線)のルペン党首が決選投票に残る確率が高く、後者では反EUの新興保守勢力であるAfD(ドイツのための選択肢)が議席数を増やすことが確実視されている。どちらもEUの存続性を脅かしかねない要因である。

 こうした状況で、EUが英国の離脱を契機として共同体を維持することが一段と難しくなると見透かされ、投機筋に欧州狙い撃ちの機会を再び提供することになれば、市場不安が再燃してしまう。確かに現時点ではユーロへの危機感は下火になっているが、ユーロ圏が本当に通貨体制を維持出来るのかどうか、EUに対する不安感の延長線上に、再び疑念が沸いてくる可能性はある。

 ユーロ圏の課題の一つが、通貨同盟に不可欠な統一預金保険制度への取り組みの頓挫である。ユーロ圏財務相会議では本件に関する議論の進展が見られず、先送り状態が続いている。最近、南欧国債の利回りがじりじりと上昇し、低下傾向を強めるドイツなどの国債利回りとの格差が拡大しているのは不気味な兆候だ。

 スペインやポルトガルの政権は不安定なままであり、ギリシアの財政再建も楽観できない。英国なきあとのEUの耐性をテストするような、投機筋による南欧国債売りはいつ起きてもおかしくない。

 英国の離脱によってEUにおけるユーロ圏の経済シェアが70%から85%に拡大することから、ユーロ危機はEU危機に直結しやすくなる、との見方もある。唯一の軸となるドイツに、果たして多大な自己犠牲を払ってまで共同体を死守する強い意志や覚悟はあるのだろうか。

源流は2008年の金融危機

 そして日本にとって最も重要な視点は、2008年の金融危機との連続性である。今回の英国の判断は、唐突に起きたものではない。争点となった移民問題の源泉を辿れば、EUの夢想的な拡大主義に行き当たるが、その先には欧州各国における経済的疲弊という底流に行き着く。その主流をなすのはギリシアの債務危機であり、源流は2008年の金融危機なのである。

 EU加盟国の移民がこぞって英国に流入したのは、同国の経済が比較的安定しており給与水準が高いことや、移民に対する社会保障が寛容であること、英語で仕事や生活ができることなど、幾つかの点が挙げられる。

 これを逆に辿って見れば、金融危機以降の欧州大陸諸国における経済の低迷が、英国のEU離脱の引き金を引いたのだ、とも言えよう。EUによる財政支援やECBによる超金融緩和策にもかかわらず、南欧諸国における高い失業率や成長率の低迷が克服されたとは言い難い。

 2008年のグローバルな金融危機は世界の資本市場を震撼させたが、今回の「ブレグジット・ショック」の市場破壊力も凄まじいものであった。前者は米国経済構造の歪みを起点とするものであり、後者は欧州における政治経済的構造の行き詰まりを反映したもので、必ずしも同質の危機とは言えないが、全く無縁のものでもない。

 金融危機以降、なかなか完治できない経済的疲弊が今回の投票結果を生む契機になったと考えられるならば、今回の市場の大混乱は、2008年の「第一次ショック」に次ぐ「第二次ショック」と位置付けてもいいかもしれない。

 また、国民投票を前に「EUから離脱すれば経済が急縮小して生活水準が低下する」と警告した政財界の声や、オバマ大統領、メルケル首相ら海外首脳からの残留支持の発言が、さほど効果をもたらさなかったことは、英国の大多数の人々のエスタブリッシュメントに対する不信感を象徴している。

それは米国に吹き荒れるトランプ旋風や日本におけるアベノミクスへの失望感にも通じるものがある。従って今回の「第二次ショック」は、欧州という枠を超えて、先進国の既存政治の限界が露呈したものであった、と読むこともできよう。日本社会も、この大きな流れの中の一コマなのである。

密接に結びつく金融政策の限界とEU離脱

 2008年以降、先進国は主に金融政策を活用し、非伝統的な手段を繰り出して経済を活性化しようとしてきたが、所期の目的を達せぬまま限界論が広がっている。一足先に、見切り発車的に「金利正常化」を演出してみせた米国も、事実上の利上げ先送り状態に追い込まれている。金融政策の限界と英国のEU離脱は全く別問題のように見えるが、実は視界の奥で密接に結びついているのだ。

 いま、欧米の悲観的な機関投資家やエコノミストは、英国EU離脱の延長線上に世界経済の暗黒時代到来シナリオを描き始めている。その想定下では、2008年の「第一次ショック」と2016年の「第二次ショック」だけでは終わらないだろう。「第三次ショック」が発生する候補地は、不良債権が積み上がった中国の金融システムかもしれないし、日銀が大量に抱え込んだ日本国債かもしれない。そんな危機意識を、参院選の討論の中に見出すことはできるだろうか。

池田記事

「英国のEU離脱はロシアを利する」。多くのメディアで目にする解釈だ。しかし、ロシアが置かれた厳しい状況を踏まえれば、そう単純な話ではない。プーチン政権にとっても、対EU政策の舵取りには大きなリスクが伴う。

Putin in Oʻzbekiston

ウズベキスタンで開かれた上海協力機構の首脳会議に参加したロシアのプーチン大統領。この場で初めて、英国のEU離脱に関してコメントした。(写真:Russian Presidental Press and Information Office/Abaca/アフロ)

 「英国が欧州連合(EU)から離脱したら誰が喜ぶだろうか。プーチンは喜ぶだろうし、バグダディもそうだろう」

 英国のキャメロン首相はEU離脱を問う国民投票に先立ち、過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者であるバグダディ容疑者とともにロシアのプーチン大統領の名を挙げて、EUへの残留を国民に訴えた。キャメロン首相だけではない。「ロシアを利するだけだ」という文言は、残留派が離脱の危険性を唱える中でしばしば利用されていた。

ロシアをネタにした英キャメロン首相への皮肉

 英国民投票の格好のネタにされたわけだが、プーチン大統領自身はどう反応したのか。投票前は「私なりの意見はあるが、それを明らかにするのは得策ではない」と思わせぶりに語り、離脱に賛成するか反対するかを一切、明らかにしなかった。「これはEUと英国の問題だ」と距離を置いてきたわけだ。

 そのプーチン大統領は24日、英国民投票でEU離脱の選択が明らかになった当日にようやく自らの見解を明らかにした。上海協力機構の首脳会議が開かれたウズベキスタンの首都タシケントで、記者団の質問に答えたものだ。

 「我々は(投票に)一切介入しなかったし、決して自らの立場を明らかにしなかった。これは正しい選択だった」。こう前置きした大統領が真っ先に口にしたのは、ほかならぬキャメロン首相への苦言だった。

 「キャメロン英首相は国民投票に先立つ声明でロシアの立場について話していたが、これは根も葉もなく、全く根拠がないものだ」

 そもそも国内世論に影響を与えようと、ロシアをネタにしたこと自体が間違った試みであり、しかも結果的に失敗した――。英首相への皮肉をたっぷりと交えた大統領は、「ましてや投票後に、ロシアの立場を代弁する権利は誰にもないし、それは政治文化の低俗さを示すものだ」と語気を強めた。

ロシアが立つ、期待と懸念の狭間

 では、肝心のロシアに与える影響はどうなのか。

 プーチン大統領は「我が国にも当然、影響を与える」とし、「動向を注意深く分析し、我が国の経済に与える負の影響を最小化するよう努めていく」と述べた。ウクライナ危機をめぐるEUの対ロシア経済制裁の緩和に結びつくのではないかとの観測については「そうは思えない」と断じた。ただし、国内経済の低迷が深刻なこともあり、EU側がいつの日か制裁問題で建設的な対話をしてくることを「切に望む」と期待もにじませている。

 政治経験が豊富な大統領だけに、無難な受け答えに終始したといえるだろう。 とはいえ、ロシア国内では制裁を続けるEUへの不信感も根強く、“EUの分裂”につながりかねない英国の離脱選択を歓迎する向きは多い。現にロシア議会で民族派の代表格ともいえるロシア自由民主党のジリノフスキー党首は「英国は正しい選択をした」と豪語したという。

 議会上院のコサチョフ外交委員長は、ロシアの対外貿易の5割近くがEUだけに「EU内部の衝撃は貿易・経済関係に否定的な影響を及ぼしかねない」と指摘。その一方で長期的には、「適切な改革の結果、EUがより非政治化され、ロシアを含む外部のパートナーとより柔軟で開かれた協力関係を築く可能性がある」と、前向きに受けとめるコメントをロシア紙に出している。

「ロシアを利する」論の根拠

 こうした中、内外で話題を呼んでいる論文がある。

「Brexit(英国のEU離脱)はなぜ、プーチンの勝利なのか」

 米国のマクフォール前駐ロシア大使が投票結果の判明直後、ワシントン・ポスト紙に掲載したものだ。前大使は「プーチン大統領はもちろん、英国の投票に影響を及ぼしていないが、彼と彼の外交路線にとって得るものは非常に大きい」と言明。とくに、ロシアの欧州での侵攻行為に最も批判的で、米国の代弁者だった英国がEUから離脱する影響の大きさを挙げた。

 また、ルペン党首率いるフランス極右政党の国民戦線には「クレムリンに近いロシアの銀行」が資金支援しており、こうした勢力による親プーチン、反EU運動が欧州内で強まる懸念も強調した。さらに、ウクライナで親欧米派がEU加盟を求める根拠が希薄になる恐れや、ロシアが旧ソ連圏で主導する「ユーラシア経済同盟」という経済圏づくりが短期的に勢いを増す可能性などにも触れ、英国のEU離脱が「ロシアを利する」理由を列挙している。

 確かに、ロシアと欧米の関係悪化を決定づけたウクライナ危機は、EU接近か、ロシア接近かというウクライナ世論を二分した国内対立が発端だった。当時のヤヌコビッチ政権が結局、EUとの連合協定調印を延期して親ロ寄りに路線修正したことで親欧米派の市民らが決起し、同政権が倒された経緯がある。

 ロシアはこの過程で、ヤヌコビッチ政権に相当な圧力をかけたとされるが、その狙いのひとつが「ユーラシア経済同盟」にウクライナを加盟させるためだったとされる。

 結局、ウクライナでは親欧米派が政権を握り、ロシアの思惑通りにはいかなかった。それでも英国のEU離脱の衝撃により、ウクライナのEU接近に多少なりとも歯止めがかかるとみているのは確かだろう。

ロシアにとっての「対EU」政策の難しさ

 EUの対ロシア制裁との関連については、先でも触れたように、プーチン大統領は大きな期待はしていないようだ。ロシアの銀行の資金調達、石油企業への技術支援などを制限したEUによる最も厳しい制裁措置は7月末に期限を迎えるが、そのまま来年1月末まで延長される見通しだ。

 とはいえ、プーチン大統領は5月にはギリシャを訪問した。6月にはサンクトペテルブルクで開いた国際経済フォーラムに欧州委員会のユンケル委員長、イタリアのレンツィ首相、フランスのサルコジ前大統領らを招き、関係改善の必要性を訴えたばかりだ。

 ロシアとEUの間では制裁問題に限らず、例えばロシア産の天然ガスを欧州南部にパイプラインで供給する「サウスストリーム」計画が中止に追い込まれるなど、関係が大きく冷え込んでいる。ただ、EU諸国でもイタリア、ギリシャなどのように、主に経済的な利害からロシアとの早期の関係改善を求める国々は少なくない。

 英国の離脱騒動をきっかけにEU内の足並みが乱れるようなら、プーチン政権は対ロシア政策での結束を揺さぶる好機と捕らえ、早期の制裁緩和や経済協力の強化を実現すべく切り崩しに動くとみるべきだろう。今後の情勢次第では「ロシアを利する」可能性は十分にあるわけだ。

 もっともロシアの専門家の間では、英国のEU離脱がもたらす負の影響を懸念する声も根強い。国際問題の専門家フョードル・ルキヤノフ氏は「欧州の手綱を締めるため、北大西洋条約機構(NATO)の役割が高まる恐れがある」と警戒する。英国のEU離脱が逆に刺激となってNATOが一層強化され、ひいては米国の影響力が強まるというシナリオだ。米国が加わっているNATOの軍事力強化はプーチン政権が最も嫌う構図である。

 吉と出るのか、凶と出るのか――。プーチン政権にとって英国の選択を受けた対EU政策のかじ取りは、もろ刃の剣なのかもしれない。

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『ペリリュー島慰霊の旅 フォトムービー編』について

表題についてムービーメーカーで作成し、youtubeにアップしました。BGMは『鎮魂頌』、作詞:折口信夫、作曲:信時潔です。所要時間は4分19秒です。

https://youtu.be/SdtgRSnPN6Y

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居酒屋JIVE他

国立博物館。中に入らず、お土産だけ買いました。

national museum

国立博物館の外の建物。

パラオでの最後の夕食。隣は中国・山東人家族でした。英語・中国語で会話しました。

menu of Jive

JIVEの看板メニュー。裏は英語で。

Rooster beer in Jive

地元のルースタービール

sashimi in Jive

パラオ名産のシャコ貝の刺身あり。美味しいです。

Plau Airport

早朝のパラオ空港。デルタ便は搭乗率5割程度か?