慰安婦合意も米国の圧力からだったと思われます。でも、韓国政府が挺対協(親北団体、左翼)と前面に向かう責任を負いました。うまく行かなければ韓国政府の責任ですし、「日本が慰安婦問題解決に向き合わないから」とアメリカに言い逃れができなくなりました。韓国が約束を果たさないときに、はっきり「強制連行はなかった」ことを世界に向けて発信すべき。
来年の米大統領選で民主党のヒラリーが候補として選ばれるのは間違いないでしょう。こんな、嘘つき(ベンガジ事件)・強欲(ビルとのホワイトウオーター事件)・腐敗(中国人よりの違法献金事件)した人間が「世界の警察官」のトップになるのは見たくありません。民主党はどの国でもダメな政党です。
共和党はGOP”Grand Old Party”と呼ばれる偉大な政党ですが、ブッシュの中東介入以降パッとしません。白人の構成比率が下がっていることもあると思います。ヒスパニック人口が増えていますので、こちらを取り込んでいかないと今後ますますGOPから大統領を出すのは難しくなっていくでしょう。それと、中国系米国人の動向にも注意していかないと。中国は戦争するより、こちらの方が簡単に世界を征服できると思っていますので。
トランプの支持が下がっていかないのは、オバマの無能が米国人の心にイライラを生じさせているためです。フランスでは国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペンが次の大統領選の足がかりを先般の地方選で掴みましたし(オランドとサルコジがFNの大統領を阻止するでしょうけど)、ドイツでも難民を無条件に受け入れることはなくなりました(ガウク大統領)。リベラルなメデイアの言うことを聞いていたら、国民の安全が守れないという事に国民が気付き始めました。トランプもそういった米国民の気持ちをうまく捉えているのでしょう。でも人種差別主義者です。行きつくところはムスリムの強制収容所送りです。移民の国・アメリカの理念が揺らぎます。テッド・クルーズは茶会の支持を受けていて、これも極端主義者のように思われます。やはり、高濱氏の言うマルコ・ルビオが一番良いかと。対中強硬派ですし。ただ、トランプがペローのように独自で出馬すれば民主党を利することになります。でもトランプは金持ちなので共和党候補にならなければ、単独で出馬するでしょう。自由の国・アメリカですので仕方がないですが。
記事
—注目を集める米共和党の次期大統領候補選び。11月末から12月中旬までの各種世論調査を見ると、全米レベルでは依然として、不動産王のドナルド・トランプ氏が支持率で独走していますね。2位の候補に5~27%の差をつけています。トランプ旋風はまだまだ続きますか。
共和党の討論会で並ぶドナルド・トランプ氏(左)とテッド・クルーズ氏(写真:ロイター/アフロ)
高濱:トランプの支持率は、物議をかもしている「イスラム教徒入国禁止」発言をして以降も下がっていません。カリフォルニア州サンバナデーノで起こったイスラム教徒による殺戮に対する米国民の怒りがまだ冷めないためです。
ただ来年2月に全米で最初に党員集会が行われるアイオワ州の世論調査では、7つのうち4つで1位の座から滑り落ちています。黄色信号です。専門家の中には「トランプ・バブルが弾けるのは時間の問題」と分析する人もいます。 (”Iowa Republican Presidential Caucus,” Real Clear Politics)
息子ブッシュの子飼いのクルーズ
—アイオワ州でトランプ氏を抜いたのは上院議員のテッド・クルーズ氏ですね。この人はどんな人ですか。かなりタカ派のようですが…。
高濱:そうです。テキサス州選出の当選1回の上院議員です。44歳。キューバ移民の父とデラウエア出身の母との間にカナダで生まれました。元大統領、息子ブッシュ子飼いのタカ派です。
プリンストン大学を卒業した後、ハーバード大法科大学院に進学。卒業後は連邦控訴裁判所や最高裁判所長官付の調査官、政治家の顧問やアドバイザーをしていました。2000年の大統領選では息子ブッシュの国内政策担当アドバイザーを務めています。2001年には息子ブッシュの任命によって司法省の副次官に就任。2013年の上院議員選では「ティーパーティ」(茶会)の公認候補として出馬して、当選しました。
2016年の大統領選に向けて真っ先に出馬表明しました。3月23日のことです。立候補声明は宗教保守、いわゆるエバンジェリカルズ(キリスト教原理主義)系の本山、リバティ大学で行いました。
21時間のフィリバスターで一躍有名に
全米に名を馳せたのは、2013年9月の予算審議でオバマケア(医療保険制度改革)に反対するために行ったフィリバスター(議事妨害)です。本会議場でなんと21時間以上にわたって演説し、連邦政府機関を閉鎖させる立役者になりました。
共和党は中間選挙で上下両院の過半数を握り、政権担当能力のある野党であることを国民に示したい時でした。予算成立を阻止しようとするクルーズの単独行動に共和党幹部たちは苦虫を噛みつぶしたようでした。
とくに共和党エスタブリッシュメント(保守本流)からは嫌われています。しかしそのことが逆にエバンジェリカルズや茶会の人たちから喝さいを浴びることにつながりました。 (”Ted Cruz,” Right Web, 9/14/2015)
トランプらに流れていた宗教保守の票を奪取
—クルーズ氏はなぜここにきて、支持率を急伸させているのですか。
高濱:宗教保守への働きかけが功を奏し出したのでしょう。
エバンジェリカルズとは、「Born Again Christian」(ボーン・アゲイン・クリスチャン=神と出会って生まれ変わったとするキリスト教徒)ともいわれている人たちで、聖書に書かれていることを一字一句、忠実に信じるキリスト教徒です。とくに南部、中西部に多く住んでいます。この票田は、茶会とも重なり合っています。
アイオワ州の有権者の25%はエバンジェリカルズです。アイオワ州共和党員の57%がエバンジェリカルズだとするデータもあります。 (”Evangelicals again poised to play key role in Iowa GOP Caucus,” Michael Patrick Leahy, Breitbart, 8/21/2015)
—宗教保守の票田を狙っているのは、クルーズ氏だけではありせんね。
高濱:その通りです。快進撃のトランプ、黒人の元神経外科医ベン・カーソン、元宣教師のマイク・ハッカビー元アーカンソー州知事が狙っています。カーソンは11月頃から自らの経歴に関する疑惑や安全保障に関する知識不足などが露呈して宗教保守層における支持率が激減、その票がクルーズに流れ込んだと言えそうです。ハッカビーの支持率は2%前後で低迷しています。
それとクルーズの若さと雄弁さは、12月15日に行われた共和党候補者によるテレビ公開討論でも遺憾なく発揮されました。同じタカ派でもトランプにはどこか危うさが付きまといます。暴言も多いし、具体的なことには言及していません。イスラム教徒入国拒否にしても本当に実現すると思っている人は少ないでしょう。
共和党の「草の根」の根底に「ポピュリズム」
それともう一つ、「トランプ旋風」の本質は、いわゆる「ポピュリズム」(大衆迎合主義)です。アメリカの衰退に対する米国民の苛立ちをストレートに吐き出している。トランプの言っていることに共鳴している人たちは、総じて教育レベルの低い、しかも落ち目の産業で働くブルーカラーや零細農民が多いという分析結果が出ています。 (”Here’s The Lowdown On Who Supports Donald Trump,” Emily Ekins, The Federalist, 8/5/2015)
そしてもう一つは東部、西部のエスタブリッシュメントを形成するウォール・ストリートやリベラル派メディア、学者たちに対する反発です。にじみ出ているのは東部エリートや名門校出身者への反発です。そこには学歴に対する劣等感を痛いほど感じます。
名門ペンシルバニア大学を出たトランプやプリンストン、ハーバードを出たクルーズがエバンジェリカルズや茶会の側に立っているのは、一見矛盾するようですが、実はそこがトランプやクルーズの強みです。知性でも学歴でも東部エリートに立ち向かうことができるポピュリストというわけです。
もう1人のキューバ系候補者も反共のタカ派
—もう1人、キューバ系のマルコ・ルビオ上院議員も「第一走者グループ」につかず離れず、走っていますね。この人はどんな人ですか。
マルコ・ルビオ氏(写真:AP/アフロ)
高濱:ルビオはキューバ系移民2世です。カストロ政権の抑圧政策から米国に逃げた両親の長男としてフロリダ州マイアミで生まれました。フロリダ大学、マイアミ大学法科大学院を卒業して、弁護士を開業。2000~2009年までフロリダ州下院議員を務め、一時は下院議長になっています。2010年に上院議員選挙に出馬して見事当選しました。
2012年の大統領選挙の際にはミット・ロムニー共和党大統領候補の副大統領候補の一人に名が挙がりました。上院では商業委員会と外交委員会に属し、後者では東アジア太平洋小委員会の筆頭理事として日本にも訪問しています。安倍首相とも会っています。
—ルビオ氏の政治スタンスや政策はどんなものものですか。
高濱:キューバ系保守派という点ではクルーズと同じですが、ルビオのほうは「自制心のある、思慮深いタカ派」といったイメージがあるようです。
キューバ系移民の大半は反カストロ、つまり反共産主義者です。その2世ということでカストロ政権には厳しい対応をとっており、オバマ政権によるキューバとの国交樹立には激しく反発しています。
ルビオに政治資金を提供する人の中にはフロリダ州に住むユダヤ系億万長者もいるため、中東政策は親イスラエル。イランとの核合意にはむろん猛反対しています。
政策面はビル・クリストル(「ウィークリー・スタンダード」編集主幹)やロバート・ケーガンらが支えているようです。クリストルは、息子ブッシュ政権を陰で操ったとされるネオコンの大御所です。特に、個々の具体的な政策では、息子ブッシュ政権で国家安全保障会議(NSC)核拡散防止担当部長をしていたジェイミー・フライが国家安全政策顧問としてアドバイスしています。
今回の大統領選挙で面白いのは息子ブッシュが3人の候補者それぞれに、その陰を落としていることです。まず弟のジェブ・ブッシュ。この兄弟は性格も違い、そりが合わないのですが、やはり「ブッシュ」という同姓。イラク戦争という兄の「負の遺産」を背負ってジェブは苦戦しています。
次に子飼いのクルーズ。息子ブッシュの時に内政外交で政策を立案していたネオコンの一部が選挙対策チームに入り込んでいます。別のネオコンの一部はルビオ陣営に参画しています。 (”Marco Rubio,” Right Web, 12/10/2015)
ルビオは中国の海洋権益拡大に猛反発
ルビオ氏の話に戻りましょう。外交委東アジア太平洋小委員会の筆頭理事ということもあって、候補者の中では誰よりも対中政策に言及しています。
8月に「ウォール・ストリート・ジャーナル」に寄稿した論文でこう指摘しています。「自分が大統領になったら中国に対して優柔不断で軟弱な宥和政策ではなく、力を基盤にした政策を推進していく。中国が南シナ海やその他の地域で軍事力を行使して不法に領海領土を主張するならば、これに対抗する行動をとることも躊躇しない。ただ米国は中国のパワーに対抗するすべての責任を一人で背負うことは無理だし、その必要もない。私は我々の同盟国との協力を推進していく」。
こうした見解の下敷きを書いたのは、ランヒー・チェンという中国系の政治学者だと言われています。現在スタンフォード大学フーバー研究所の上級研究員で、ルビオ陣営における政策立案の中心人物とされています。 (”How My Presidency Would Deal With China,” Marco Rubio, The Wall Street Journal, 8/27/2015)
ヒスパニック系の大半はキューバ系候補に投票せず?
—クルーズ氏、ルビオ氏ともにキューバ系、すなわちヒスパニック系ということになりますね。2人のどちらかが共和党大統領候補になると、本選挙でヒスパニック系の票はキューバ系候補に流れるのでしょうか。
高濱:ヒスパニック系の人口は5400万人(2014年)。全米人口の約17%です。内訳はメキシコ系が64%と断トツです。次いでプエルトリコ系が9.4%、キューバ系は3.7%です。 (”Hispanic or Latino Population,” Minority Health, Centers for Disease Control and Prevention[CDC])
ヒスパニック系といっても政治スタンスはみな異なり、十羽一絡げというわけにはいきません。メキシコ系はどちらかというとリベラルです。一方キューバ系は保守的で徹底した反共です。プエルトリコ系など中南米系は概してメキシコ系に賛同する傾向があります。従って本選挙の際にはメキシコ系などヒスパニック系の多数はキューバ系候補には投票しないでしょう。
クルーズが突出すれば共和党本流はルビオに肩入れ?
—予備選が進む中でクルーズ氏とルビオ氏との一騎打ちになったらどちらが勝つでしょう。
高濱:「ブルムバーグ・ビュー」のジョナソン・バーンスタインというベテラン・ジャーナリストは、「ルビオは予備選のどの段階からスパートをかけるだろうか」と自問自答しています。つまりどのような展開になろうとも、最終的にはルビオが共和党大統領候補に指名されるだろうと大胆な予想しているのです。
バーンスタインは「ルビオがアイオワ州で10%以上の票をとれれば、他の40州はとれる」とまで言っています。万一、超保守のクルーズが独走しそうになった場合は、共和党エスタブリッシュメントが必ず妨害して、流れをルビオのほうに引き寄せてしまうというのが、その理由のようです。 (”How Rubio Wins Anyway,” Jonathan Bernstein, Bloomberg View, 12/3/2015)