ブログ

サイト管理人のブログです。

ブログ一覧

9/25日経ビジネスオンライン 石黒千賀子『第3回 中国の国家資本主義の考案者は世界銀行 経済力、軍事力を増す中国の戦略を『China 2049』のピルズベリーが明かす』10/2 石黒千賀子『第4回習近平vsオバマ会談は中国の圧勝だった 中国の大国への野望を明らかにした『China 2049』のピルズベリー氏に聞く』について

見逃していました記事です。ピルズベリーは日米のメデイアと違い、米中首脳会談を冷静に見ています。米国が習を冷遇したのは間違いないですけれども、習は譲歩しなかったと評価しています。それはそうでしょう。譲歩したら剛腕の習と雖も主席の座は保てないでしょう。「政権は銃口から生まれる」国ですので。解放軍の中には習を快く思っていないのはたくさんいます。況してや、毛・鄧のように軍の経験がなければなおさらです。

米軍も中国の質問で自軍の弱点を教えるというのは余りにナイーブ、脇が甘すぎです。油断があったのでしょうけど。第二次大戦時に黄色人種が飛行機を操縦できないという思い込みがあったのと同じ人種差別の見方が根底にあったのでしょう。空母同士で実際戦ったことがあるのは日米だけですが。米国人にすれば中国は第二次大戦の連合国側との思い込みがあったにせよ、ソ連の扱いとは違います。騙すことについては天才的かつ賄賂やハニートラップを得意とする民族ですので、米国の中国に対する甘さが、世界に混乱を招くことになりかねません。中国は遅れて来た帝国主義国です。

世銀が如何に中国を応援してきたかは、世銀の前総裁はパンダハガーのゼーリックでしたし、現総裁は韓国系米国人のキム博士と言うことを考えれば、分かり易いでしょう。まあ、米国には日本を戦後支援して民主化に成功したという思い込みがあったのでは。日本は開国を迫られて、議会制民主主義の道を歩んできたのを米国は忘れているのでは。中国と日本では国の進歩の仕方が違うというのが全然分かっていません。でも世銀の指導で国営企業に力を与えた結果、TPPには参加できませんが。

日高義樹氏の『中国敗れたり』によれば、ピルズリーの主張同様、中国軍の装備は政治的プロパガンダで張り子の虎とのこと。過大評価しないことが大切です。A2/ADも空母迎撃用ミサイルの速度が遅くて簡単に撃ち落せるとのこと。それより中国沿岸に、衛星から指示を受けない魚雷入り自動浮上する機雷を敷設すれば、海上封鎖の効果を齎します。中国は海路が使えなくなりますので、陸路で貿易することになります。コストが上がるようになります。況してやアメリカに逆らって中国と貿易することはアメリカと貿易できなくなる可能性もあります。TPPで中国を経済的に封じ込め、ロシアと米国が和解を進め、軍事的にも日米印豪+露で封じ込めるのが世界平和にとって有益です。韓国は臍をかむことになるでしょうが、自業自得です。日本国民は中国の手先になって世界に慰安婦の嘘を撒き散らした韓国民を許すことはないでしょう。

ピルズリーの言うように、一党独裁は続くと思います。軍区のどこかが独立しないと連邦制にはいかない=民主制に移行することはないと考えています。チャイナハンズが望むようにはいかないでしょう。日本とは違う国柄ですので。

9/25記事

—中国が『自分たちを常に実力より低く見せて、注意深く動く』ことで、「米国に追いつけ、追い越せ」の戦略が最も成功したのが経済分野だと本で指摘されました。中国の経済戦略についてあらためてお聞かせください。

ピルズベリー:中国が米国に接近し始めた1969年時点で、中国の経済規模は米国の10分の1に過ぎませんでした。その中国が、今や経済規模では米国とほぼ肩を並べるまでに成長したというのは、ある意味奇跡とも言えるでしょう。

 では、中国はどうやって、ここまで成長できる経済システムを生み出したのでしょうか――。この点については、実は世界銀行が大いなる力を発揮しました。私は多くの世銀の極秘資料を持っており、中国がいかに世銀をうまく活用したかが、その資料を読むとよく分かります。

—世銀が指南役となった?

ピルズベリー:そうです。1972年2月のリチャード・ニクソン大統領による訪中後、75年のジェラルド・フォード大統領の訪中、77年のジミー・カーター大統領の訪中などを経て、78年12月、中国はついに米国との国交正常化にこぎ着けます。そして、この国交正常化とほぼ同時期に最高指導者*1に上り詰めた鄧小平は、82年、83年と様々な改革に着手したものの、改革のスピードが十分でないことに危機感を強めていたようです。そこで彼が目をつけたのが世銀でした。

*1 1976年9月毛沢東死去

1983年、当時、世銀の総裁だった米国人のA・W・クラウセンは中国を訪れ、鄧小平に会いました。先ほどの世銀の資料に書いてありますが、この時、鄧小平は「私たちは米国を超えたい。どうしたら実現できるか教えてほしい」「私たちを助けていただけますか」と発言しています。これに対し、クラウセンは「世銀のエコノミストチームが、20年先を見据えて中国の経済について研究し、どうすれば中国が米国に追いつけるか助言しましょう」と密かに約束しました。

 その時、世銀のスタッフは、「低い経済水準から先進国に追いつき、追い越した国が過去に一カ国だけある。その国は、国民一人当たりの所得が毎年5.5%成長した。だから中国も毎年5.5%成長する必要がある。でなければ、1000年経っても先進国に追いつくことはできない」と指摘しました。

 中国側は「その国はどこですか」と聞いた。どこの国か分かりますよね…。

—日本…

ピルズベリー:米国でもドイツでもなく、日本です。以来、中国は日本がどう経済成長を達成していったのかについても大いに研究しました。一方、世銀は中国に対して、複数のレポートでこんなことを指摘しています。

 「世銀は、基本的に自由市場経済重視の原則で動いている。しかし、中国の経済を民間企業や市場に任せていたのでは、最高のスピードで経済成長を達成することはできない。中国が先進国に追いつくには、5.5%よりももっと高い伸び率で毎年、経済成長することが必要だ。実は、それだけ早く成長する方法があるかもしれない」

1990年には世銀の北京事務所は世界最大規模に

—どういう意味でしょうか。

ピルズベリー:世銀は、中国の各産業分野においてトップクラスの企業を国有のまま育成すればいいと助言しました。それらの企業に対して優先的に補助金を与え、低利で融資を行い、海外から投資させればいい、と。

 また、1985年から20年の間に輸出の構成を変え、特にハイテク製品分野の育成に力を入れること、外国から過剰な借金をしないこと、外国による直接投資は先進技術と経営近代化の手法だけに限ること、貿易会社の関与を段階的に減らして、国有企業が独自に外国と貿易するようにすること、といった提言も出しました。

—つまり、民間に任せていたら、産業の育成に時間がかかりすぎるので、国有企業を育成して政府が直接、資金を提供すればいい、と…

ピルズベリー:そうです。1990年には北京にある世銀のオフィスは世界最大規模となっていました。それほど大人数のスタッフを世銀は北京に送り込んだということです。つまり、世銀が中国のために、全く新しい経済モデルを考え出したのです。

 これは後で知ったことですが、ソ連崩壊後の数年間、実は中国のエコノミストたちの間では経済成長戦略を巡って、世銀の進める戦略で行くのか、市場経済に向けて動き出したロシアや東欧の例に倣うのかを巡って、かなり議論をしたと聞きます。ロシアや東欧では国有企業がすぐ民営化され、価格の自由化も図られました。当時、中国の改革志向派の政治家の中には、ロシアや東欧の民営化・市場化の動きに倣おうとする人々もいたのです。つまり、自由市場と私有財産を認める方向に向かって進むべきか、あるいは政府がコントロールできる国有企業を沢山作って、米国などの先進国から技術支援を受け、もらえないものは盗み取ってでも習得し、とにかく米国に追いつくべきではないかという重要な議論でした。

 結局、周小川氏などの強硬派が勝利を収め、中国のマラソン戦略を支援する世銀と組む方針を維持することになった。周小川はご存じの通り、2003年以降、現在も中国人民銀行(中央銀行)総裁を務めている人物です。

 周氏は、民営化や政治改革を拒み、代わりに協力的な世銀のエコノミストらと共に、中国共産党による支配のもと、国有企業の収益性を向上させる戦略を推進しました。周氏と世銀中国支部長だったピーター・ハロルド氏は、非効率で、組織構造も経営状態もお粗末だった中国の国有企業を変えるべく独自の戦略を描きました。当時、国有企業はどこも赤字で、国営銀行からの借入金で赤字を埋めていました。こうした時代遅れの国有企業を世界に誇れるチャンピオン企業に変えるという大胆な挑戦でした。その支援には、ゴールドマン・サックスといった米国の大手投資銀行なども大いに手を貸したようです。

今や米フォーチュンの世界上位500社の95社が中国企業

 1990年代初め、欧米人が知っている中国企業と言えば「青島ビール」くらいでした。米誌「フォーチュン」は毎年、時価総額で世界上位500社を紹介しています。当然、中国企業は当時、1社も入っていませんでした。「世界上位500社に入る企業を育成したければ、世銀の助言に従えばいい」と聞いた中国は、世銀の助言をすべて実践しました。その結果、ゼロからスタートして、20社、30社と増えていき、今や世界最大の石油化学会社である中国石油化工集団(シノペック、2014年は3位)を筆頭に、中国石油天然気(同4位)、国家電網(同7位)、中国工商銀行(同25位)など2014年には中国企業が実に95社もランクインしています。

—国(共産党)が戦略的国有企業と位置づければ、集中的にその企業に資金を投入でき、効率よく成長させられる…

ピルズベリー:資金だけではありません。上位100社の国有企業の経営者は共産党の中央委員会が決めます。多くは国の諜報機関か軍の出身者で、そのつながりは経営者に就任した以降も生きるわけです。だから一部のCEO(経営最高責任者)を務める者たちは、いろいろな意味で閣僚よりも重要な存在です。

—まさに中国が国家資本主義と言われるゆえんですね

ピルズベリー:そうです。中国は半分だけが市場経済です。規模の小さな企業については、ある意味、市場原理で動いているが、規模の大きい国有企業は政府の方針が優先されるということです。

 ここまで経済分野の説明をしましたが、私がより深刻な問題だと捉えているのは軍事面における中国の動きです。

「米国の弱点を突く」形で軍事力も増強

—年々、軍事力を増強しており、脅威に感じているのは日米だけではありません。

ピルズベリー:中国は「どうしたら米国を怒らせないで、中国を守る軍事力をつけられるか」について様々な検討を重ねてきました。その中で彼らがかねて考えてきたのは「米国の弱点をまず探し出すべきだ。そしてその弱点を突く形で軍事力を増強すればいい」と。その中国が米国の弱点を理解するに至ったのは、1990年代になってからでした。なぜか。それは、米国が自ら大きな過ちを犯し始めたのです。

—どういうことでしょうか。

ピルズベリー:米軍が自分たちのことについて論文を書くようになったのです。まず1991年のイラク戦争後のことです。こんな論文が出てしまった。「米軍がなぜイラクであのような攻撃をできたかというと、米軍は、ターゲットを定めて攻撃するタイプの武器も、通信手段、機密情報のやりとりなども含め、攻撃の90%をわずか数個の衛星を経由して行っている」と。

 中国側はこれらの論文を読んで、「空母を11隻も抱え、何千発ものミサイルを抱えている大国である米国の実力は、数個の衛星にすべてかかっている」という事実を把握してしまいました。以来、米国の軍事力の研究を深めた中国側がある日、私にこう聞いてきました。

 「米ソはどうして互いに相手の衛星を撃ち落とそうとしなかったのか」と。

 米ソ間では、相手の衛星を撃ち落とさないという約束をしていたからだと答えました。そんなことをすれば二国とも大混乱に陥り、自爆行為に等しいと理解していたからです。だから衛星だけは守る必要があるということで合意していたのです。

 ところが2007年1月、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は中国が秘密裏に自分たちの気象衛星を撃ち落として、通信を遮断する実験を行ったと報じました(Flexing Muscle, China Destroys Satellite in Test)。多くの米国の軍事関係者はその10年前には、軍事雑誌などに「中国に衛星を撃ち落とすことなどできない」と書いてあなどっていた。しかし、撃ち落とした実績があるということは、米国の衛星も撃ち落とそうと思えばできるということです。

米軍は自国の空母の弱点を中国に明かしていた

—中国が「秘密裏に行った」というのがなおさら気になります。

ピルズベリー:秘密裏に、というのは各国に事前通告もしなければ、撃ち落とした意図についても一切説明をしていない、ということです。この気象衛星を撃ち落としたことについては話したいことがありますが、その前に米軍の由々しき事態をもう一つお話しましょう。

 中国軍の人たちが、米海軍との交流の一環で米空母を訪問した時のことです。その時、米軍側は「米国の空母はどれも4つの原子炉で動いていて、時速30ノッチと非常に速いスピードで進む。100機の飛行機を搭載できるので、どこへでも行けて、爆撃しようと思えばいかなる国、場所に対しても攻撃することができる」と説明しました。

 すると、空母内を案内されていた中国軍の将校が「素晴らしいですね。私たち中国軍には決してこんなものを造ることはできないでしょう」と言ったうえで、「ただ、もしこの空母にあえて弱点があるとすれば、何でしょうか」と聞いてきた。

 これに対し、米軍将校は「問題はあります。空母の側面は非常に厚みがあるので、いかなる攻撃にも耐えられるが、底が薄い。私たちの空母は、爆弾をすべて底に保管しています。空母には5000人近くの乗員がいるため、そのスタッフから少しでも距離を置くためです」と回答したというのです。

 その後、中国はロシアが「船跡追尾魚雷」という特殊な魚雷を造っていること突き止めたといいます。これは発射されると、空母が通った跡の波である船跡を感知して、その空母の下に入ってから上に向きを変え、攻撃するという魚雷です。

—今の話が何年前のことだったのか分かりませんが、中国は旧ソ連製の空母を購入し、これを改修して2012年に「遼寧」と名付けて配備しただけでなく、同年、上海の造船所で国産空母の建造にも着手し、2020年までに就役させる計画といいます。軍事的脅威は高まるばかりです。

ピルズベリー:確かに米国でも中国軍に対する認識は変わりつつあります。特に今年、中国からの数度にわたる大規模なサイバー攻撃により一般米国民の間でも、警戒感が出てきています。

ハリウッド映画にまで影響を与え始めた中国

—6月と7月の米人事管理局(OPM)へのサイバー攻撃では、計2500万人の連邦政府職員(退職した職員も含む)の社会保障番号などの個人情報が盗まれたと報道されました。

ピルズベリー:私の情報も流出したということです。さて、先ほど中国が気象衛星を撃ち落とした件について話しておきたいことがあります。

 あの実験により、3000片を超える破片が発生し、それが今後何十年も低い軌道上を周回する、と言われています。2013年に公開された映画『ゼロ・グラビティ』をご覧になりましたか。あの映画では、ロシアが用済みになった衛星をミサイルで爆破し、そのために生じた大量の破片がジョージ・クルーニーらが演じる宇宙飛行士の乗ったスペースシャトルにぶつかったという設定になっています。おまけに、最後、サンドラ・ブロックが演じる女性宇宙飛行士は中国の無人宇宙ステーションに保管されていた補助燃料タンクを借りてなんとか地球に帰還するというストーリーになっていて、ロシアが「悪者」、中国が「英雄扱い」されています。

 しかし、ロシアが自国の衛星にミサイルを撃ち込んだことは過去、一度もありません。あの映画の脚本家たちは、宇宙で起きたことと起こり得ることをあえて歪めた、ということです。なぜか。世界一の人口を有する中国では、莫大な数の人が映画を観て、それがハリウッドの映画会社に巨利をもたらす。ビジネスならば当然なのかもしれませんが、こういうケースが蓄積していくことに懸念を覚えます。

—米国のビジネス界では中国の市場の大きさゆえに、中国にマイナスになることを控える自主規制が働いているということでしょうか。しかし、こういう話が増える、あるいは今回のピルズベリーさんの本を多くの人が読めば、たとえそれがピルズベリーさんの意図ではないにせよ、反中の思いを深める人や反中国に転じる人はますます増えることになります。それは決して何かの解決に結びつくとは思えません。どうすればいいのでしょうか。

ピルズベリー:本に米国が取るべき12の方針を書きました。その多くは日本にも参考になります。それについては次回、お話しましょう。(第4回に続く)

10/2記事

–先週の金曜日、9月25日にワシントンで習近平国家主席とオバマ大統領の首脳会談が行われました。どうご覧になりましたか。

ピルズベリー:中国にとっては成功、米国が得たものはゼロだった。中国は首脳会談前から指摘されていた南シナ海や東シナ海の問題、あるいはサイバー攻撃問題などについて、何かを確約するということをうまく逃れた。

 ビジネス面を見ても、米中2国間投資協定の締結には至らなかった。首脳会談で最終合意できるようこの数カ月、両国間で相当な努力がなされていた。だが、この投資協定は中国政府が中国国有企業を優遇することを禁じている。首脳会談でどんな話があったのかは明かされないので理由は分からないが、中国は投資協定においても譲歩しなかったということだ。

—しかし、サイバー攻撃の問題については、今後、閣僚級の協議を新たに設置することで合意したと報道されています。

ピルズベリー:いつかね。

—いや、年内にも初会合が開かれる、という報道を目にしました。

ピルズベリー:いつ開始するかといった具体的な時期は決まっていない。今回の首脳会談の特徴は、文書での合意は何もないということだ。首脳会談後、ワシントンで随分沢山の記者と話したが、メディアも今週になって、その事実に気づき始めた。

 通常、2つの大国の首脳が会談すれば、複数の事項について何らかの最終合意にこぎ着け、両者が合意文書に署名し、それが会談後に発表されるものだ。だから記者たちは週が明けた今週の月曜日、ホワイトハウスに連絡して、サイバー攻撃の問題を扱う閣僚級協議新設など一連の合意事項に関する合意文書のコピーを欲しいと要請したが、ホワイトハウスは「渡せるような文書になったものは何もない」と回答している。それは、ホワイトハウスのウェブサイトを見てみれば明白だ。そこにはオバマ大統領と習近平国家主席の共同記者会見での発言しか上がっていない。

—合意文書が全くない?

ピルズベリー:そう、全くない。習近平氏はオバマ大統領と並んで共同記者会見を開くことさえ嫌がっていたと聞いている。だが、共同会見は中国側が譲歩して実現した。

 確かに、共同会見で彼らは「米中はサイバーセキュリティーについては協力していく」と語り、メディアの報道ではpromise(約束)とかpledge(誓約)という言葉が使われた。だが、それは飛躍というものだ。合意して署名に至った文書は一枚たりとも存在していない。

安全保障に関わるテーマはすべてはねつけた

 今回の首脳会談で何より顕著だったのは、中国側が次の5つの点について、徹底して自らの主張と立場を押し通した点だ。第1は、「両国はサイバー犯罪がこれ以上起きないように協力して戦うという重要な合意に達した」と習近平氏は会見でこそ述べたが、米国が昨年、米企業へのサイバー攻撃に関与したとして起訴した中国人民解放軍(PLA)の当局者5人の米国への引き渡しを拒否した。

 第2は、中国は過去に自国の人工衛星を撃ち落とすことに成功し、他国には脅威になっているが、宇宙における中国の衛星攻撃を禁じる話や中国が宇宙スペースで進めている軍事増強に関する議論について議論することも拒否した。

 第3に、米国が求めた軍事交流の拡大も、限られたものしか受け入れないとの姿勢を貫いた。

 第4に、台湾向けミサイル配備に関する議論も拒否した。中国は過去10年間で、台湾向けに1000発以上のミサイルを配備してきたが、直近でも毎年200発以上増強している。この話題についても議論を拒否した。

 第5に、冒頭でも話したが、南シナ海における埋め立て工事については、他国から一切の制約、制限は受けないと主張した。共同会見でも習主席は「南シナ海における島々は古来、中国の領土だった」と発言。これに対してオバマ大統領は、何のコメントも反応もしなかった。

実は、首脳会談前に私は、かねてつきあいのある中国の軍部の将校から、中国がこうした反応をするであろうということを聞いていた。情報源は国防大学などで教えている将校クラスの学者たちだ。人民解放軍には、あまり知られていないがGeneral Political Department(総合政策部)と呼ばれるチームがある。タカ派の彼らは通常、どちらかというハト派の外交部の方針と衝突するものの、政策決定に強い影響力があり、今回の習近平氏の訪米を巡る中国側の方針を決める上でも重要な役割を果たしたと考えられる。

 彼らが出した方針とは、安全保障に関わるテーマは徹底してはねつける、というものだったという。

「新興国は時の覇権国を刺激してはいけない」という方針を今回も徹底

—外交面においても人民解放軍のGeneral Political Departmentが力を持っているということですか。

ピルズベリー:今回、習近平氏や中国代表団とオバマ大統領が一緒に撮影した記念写真には、将校は一人も写っていない。しかし、彼らこそが今回の訪米における外交方針を決めるのに重要な役割を果たしている。

 軍部は習近平氏に、私が著書『China 2049』でも書いた「100年マラソン戦略」に基づいた助言をし、習近平氏はその通り行動した。この連載の第2回でも触れたが、100年マラソンで最も重要なのは、「新興国は時の覇権国を刺激してはいけない」ということだ。だから中国は、衝突することが確実な安全保障に関する問題の議論はことごとく避け、とにかく「危険な国の指導者だ」との印象を与えないよう腐心したわけだ。

 習近平氏は最初に訪問したシアトルでのスピーチで、米国式の心温まる言葉を並べ、「私は、若かった頃には、アレキサンダー・ハミルトン*1の『ザ・フェデラリスト』*2やトーマス・ペインの『コモン・センス』を読みました」などと語った。こんな話を聞けば米国人は、少なからず習近平氏に好感を抱くだろう。

*1 政治家であり、憲法思想家であり、アメリカ合衆国の建国の父の1人とされる。

*2 アメリカ合衆国憲法の批准を推進するために書かれた85編からなる論文で、「比類のなき憲法の解説で、米国人によって書かれた政治学の古典」とされ、ハミルトンはこの論文の3分の2を書いたとされる

—中国や習近平氏にとって今回の訪米は、大成功だった…

ピルズベリー:中国では大成功と受け止められているようだ。北京に送られた今回の習近平氏訪米に関する報道をいくつか見たが、どれも彼を強い指導者であると書いていた。中国では今回の訪米で、米国から大きな圧力をかけられ、様々な譲歩を迫られるのではないかとの懸念もあったようだ。それだけに、習近平氏が一歩も譲歩しなかったことが高く評価されている。ホワイトハウスで米国の指導者と一歩も引かず対等にわたりあった強い指導者である、と。

—すると、習近平氏は反腐敗運動を追求しすぎて政敵が増え、権力基盤が盤石ではないのではないかといった見方が一部で浮上していますが、そんなことはない?

ピルズベリー:中国における彼の人気は高い。今回の訪米成功で、その人気と、指導者としての評価はさらに高まっているように思う。私は彼の権力基盤は盤石だと見ている。

中国の成長率を見るときは西側諸国とまず比較すべき

—しかし、中国は6月以降、株の暴落に見舞われています。8月の元の切り下げ以降はさらなる株価暴落に直面し、政府による必死のてこ入れ策も効果が出ない。経済の減速も深刻です。一部に、この経済のつまずきで、中国は弱体化が進むのではないかとの見方も浮上しています。

ピルズベリー:経済成長率が7%に鈍化した、あるいは7%の達成も危ういといって多くの人が騒ぐが、昨年の米国のGDP(国内総生産)は2.4%、日本に至っては1%にも満たない。世界第2位の経済大国である中国の成長率が仮に6%にとどまっても日本の6倍のスピードで成長している。

 中国自身も、かつての2ケタ成長から、1ケタの持続的な成長を目指す「新状態(ニューノーマル)」の時代を迎えたと言っている。彼らは間違いから学習することを知っており、政策運営でも着実に力をつけてきている。先進国は何かというと中国の問題を深刻に捉えようとしたがるが、まず自分たちの国の成長率と比べてどうなのか、という点にもっと目を向けるべきだ。

 私は、西側諸国の関心が中国経済ばかりに集中し、中国が軍事支出を拡大し続けていることへの注意がそれで削がれてしまうことの方が問題だと思う。

中国を過大評価することが最も危険

—今回の習近平の訪米でも、米国企業はIT(情報技術)系を中心に、中国に熱い秋波を送っていました。経済的な存在感のみならず、軍事的にも脅威を増す中国と、日本はどのように向き合っていけばいいのでしょうか。

ピルズベリー:詳しくは本を読んでほしいが、日本を含め私たちがなすべきことをここでは3つ紹介したい。

 まず最もやってはいけないのは、中国を「過大評価する」こと。米国防次官補で、国際政治学者として知られるハーバード大学のジョセフ・ナイ氏も「我々の最大の危険は、中国を過大評価し、中国に自ら過大評価させ、うぬぼれさせることだ」と指摘している。

 私はさらにナポレオン・ボナパルトの有名な言葉を忘れてはいけないと考えている。「敵が間違いを犯している時は、邪魔するな」だ。長い目で見れば、中国が傲慢で攻撃的な態度で近隣諸国を挑発し、同様のスタンスの国々と連携していることは国際社会に多くの敵をつくることになり、私から言わせれば、結果的に米国を手助けしていることになる。尖閣諸島の領海侵犯を何度も犯せば、それだけ日本を怒らせることになる。それは決して中国のためにはならないからだ。

安倍政権はもっと中国語で生の情報を読み込べきだ

 第2は、日本も私のように「中国語の生の資料を読んでいる」という人材を早急にもっと増やすべきだ。特に安倍晋三首相の補佐官たちに強調したいのは、中国で書かれた中国語の生の資料をもっと入手し、それらを読み込むべきだ、ということ。生の資料とは、本連載の第2回で触れた中国でベストセラーになった『中国の夢』や『戦略学(2013年版)』や『Study of US Strategies』といった中国政府の内部資料のことだ。

 『中国の夢』は英訳されているが、全体の一部にすぎず、原書を中国語で読まないと真意はつかめない。『Study of US Strategies』はそのタイトルが示す通り、内容は中国による米国の軍事戦略の分析で、幸いなことに英語で書かれている。中国は同様に日本の軍事戦略も研究し、日本版もつくっているので、日本政府は読むべきだろう。

—まず彼らの考えていることを知ることが大事だということですね。

ピルズベリー:その通りだ。

 第3のポイントは、中国国内の改革派を支援していくことだ。ただし、タカ派かハト派を見分けることは極めて難しいことを覚悟しなければならない。

 天安門事件後、中国共産党の改革派の指導者だった趙紫陽が終生の自宅軟禁に置かれた。その20年後、コロンビア大学の政治学者アンドリュー・ネイサン氏が、秘密裏に趙氏の回想録を入手し、出版した。その回想録には、当時私たちが知らなかった圧倒的な不利な状況の中で、彼がいかに強硬派に立ち向かい、真の改革を実現しようと苦闘したかが書かれている。

 当時、私を含め当時の政権の多くの中国関係者は、趙紫陽の軟禁は改革の一時的な後退にすぎないと楽観的に見過ぎていた。今も強く悔やまれる出来事だ。同じ過ちを繰り返してはならない。

—最後に中国共産党による一党独裁は今後も続くとみていらっしゃるか、その点をお聞かせください。

ピルズベリー:よく聞かれる質問だ。私は以前も話したが、中国共産党には間違いを犯したら「学ぶ」力がある。だから私は、中国共産党には持続性があると思うし、今後も一党独裁が続くとみている。

9/29日経『習近平の闘い(1) 消された江氏の揮毫』9/30日経『トップ視察と大爆発の謎』10/1日経『習近平の闘い-3 2年後へ「龍虎」にらみ合い』10/2日経『消しきれなかった反日 習近平の闘い(ルポ迫真) (4)』10/3日経『米国揺るがす「狐狩り」 習近平の闘い(ルポ迫真) (5)』について

習は反日を止む無くやっているような書き方ですが実態は習がやらせていると思います。ユネスコへの記憶遺産として「南京虐殺」と「慰安婦」申請を命じているのは習そのものでしょう。10/7本日結果が出るそうで、「慰安婦」は却下、「南京」は認可との説があるとFacebookで読みました。日本の外務省は幣原以降本当に劣化した人たちの集団です。日本人の名誉を守るために何もしない無能の集まりです。ユネスコへの拠出金が実質最大の国が何もせずやられ放しはないでしょう。これが逆に中国だったら金にものを言わせるに決まっているのに。

習は毛沢東に似ています。権力者としての権力を、相手に恐怖を与えて行使します。反右派闘争、大躍進、文革で中国人を何千万と殺しました。毛は平気で人を殺せる非情さを持っていました。それでNo.2の周は毛の言いなり、逆らうことができませんでした。教養を持った人間は弱い。習も清華大出身と言いますが、下放されていた時代が長いので裏口でないと入れなかったでしょう。二人に共通するのは殺人も厭わぬ強さです。戦国時代のそれですが。

中国の権力闘争はまだまだ続いていると思います。今までうまい汁を吸ってきた連中が手を拱いているとは思えません。国慶節前の爆弾騒ぎもウイグル族かどうか分かりません。反習近平グループがウイグル族に名を借りて習に恥をかかせようとやったのかもしれません。

TPPについて反対する保守派もいますが、中国を経済的に封じ込める手段として使うのであれば良いと考えます。ベトナム、マレーシアは国営企業やプミプトラ政策(マレー人優遇)の問題を解決していかなければなりません。中国は利権構造にドップリ浸かっているので国営企業の民営化は難しいでしょう。難民問題で尻に火が付いている欧州諸国も、AIIB参加どころでなくなり、また中国の経済が危ういことに気が付いて脱退するようになるかも知れません。EUの盟主であるドイツはさらにVWの問題も抱えています。デイーゼル車だけでなく、ガソリン車にもデータ改竄があるかもしれません。中国の欧州輸出もダメになり、軍事膨張に歯止めがかかることを願っています。

9/29記事

Xi&Jian@tiananmen

communist party's tower

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日の軍事パレードで習氏(左)は       上海の軍教育施設では

江氏と談笑してみせた        江氏の揮毫を自分のものに差し替えた

「中国の反腐敗闘争は権力闘争ではない。米テレビドラマ『ハウス・オブ・カード』(の世界)も存在しない」

 訪米した国家主席、習近平(62)は22日、シアトルでの演説で、米大統領・議会周辺の陰謀渦巻く権力闘争を描く人気政界劇に触れ、笑いを誘った。中国の権力闘争に注目する世界の視線を意識した演出だった。

□   □

 中国の密室での闘いは激しい。習はトップ就任後、2年半余りで石油閥を仕切る最高指導部経験者、周永康(72)、軍制服組トップの徐才厚(3月死去)と郭伯雄(73)を断罪した。皆、元国家主席、江沢民(89)派の重鎮だった。

 前国家主席、胡錦濤(72)の側近、令計画(58)も失脚に追い込む。汚職が理由だ。権力固めへ政敵を次々捕らえる手法は毛沢東に倣う第二の文化大革命ともいわれる。

 3日、軍事パレード前の北京。青空の下、天安門楼上に江沢民が顔を見せた。1年ぶりの公式の場への登場だけに観衆から驚きの声が上がった。

 習はにこやかに隣の江に話しかけた。江も笑顔で応じる。暗闘の主役2人の会話には見えない。それは共産党の一枚岩を内外に示す芝居にすぎない。習の苛烈な「院政つぶし」は続いていた。

 江が率いる「上海閥」の本拠地、上海。ここに南京軍区の由緒ある教育施設、南京政治学院上海分院がある。最近、訪れた関係者は仰天した。門から丸見えの校舎の壁一面に掲げられていた江の揮毫(きごう)がはぎ取られていた。替わりに登場したのが習の文字だ。

 「まさか自分の文字に差し替えるとは。露骨な老江(江沢民)いじめだ。習大大(習おじさんの意)はやり手だ」。報道統制下でも上海では暗闘が公になりつつある。胡錦濤も江の院政に悩んだが、蛮勇は振るえなかった。習は違った。真新しい習の揮毫が面白い。

 「(共産)党の指揮に従い、勝てる、清廉な人民の軍隊に。習近平」

 これまでは党の指揮に背き、弱い、腐敗した軍だった、と言わんばかりだ。江の揮毫の消去は、問題の所在が江にあった、との暗示でもある。

□   □

 習は昨年末、江の影響力が残る南京軍区の司令部を視察した。江の人脈をつぶし、首都防衛を担う北京軍区や治安維持の要、武装警察の司令官に南京軍区から「お友達」を抜てきした。福建省、浙江省で長く過ごした習は南京軍区に人脈を持つ。「お友達」は軒並み最高位の上将に昇進した。軍は江の色から、習の色に塗り替えられた。

 習は軍事パレードで軍掌握を誇示した。司会役は首相の李克強(60)だった。過去は北京市トップが司会を務めた。格上げと言えば聞こえは良い。だが首相が司会に成り下がったのは習への権力集中を象徴する。

 習は軍の30万人削減も発表した。「削減を名目に反抗的な軍人の首を切ることができる」。軍政に通じる関係者の説明だ。徐才厚や郭伯雄、その子分を切れば軍はなびく。習はそう読んだ。

 習は党組織でも江の影響力の排除を形で見せた。北京郊外の世界遺産、頤和園近くに幹部養成機関、中央党校がある。前の道路脇には江が揮毫した「中共中央党校」の文字を金色に彫り込んだ巨石が横たわっていた。

 巨石は観光客の記念撮影の場だった。8月下旬、それが突然消えた。跡地はブルドーザーでならされた。巨石はぐっと後退し、目立たない門の内側に“幽閉”された。

 「江沢民の力の後退だ。指導部人事で影響力をそぐサインだろう」。党員らは風向きの変化を感じた。直前には党機関紙、人民日報に院政の弊害を糾弾する文章が掲載された。党員は皆、江の院政批判と受け止めた。

 上海と北京、軍と党組織とも習への権力集中が進む。習は「反腐敗」を武器に毛沢東や鄧小平に並ぶ地位を確立し、歴史に名を残そうとしゃにむに走る。それは茨(いばら)の道でもある。内部の抵抗はなお強い。長老らも黙ってはいない。

 3日、天安門には存命の長老15人が顔をそろえた。牢(ろう)の中の周永康だけがいない。最高齢は98歳の宋平だった。めったに顔を見せない宋平は過去の数代のトップ選びで大きな発言権を持っていた。習にとっては、なお怖い長老らである。

 習近平がトップに就き千日余り。2年後の最高指導部人事を見据えて激化する権力を巡る暗闘の現場を追う。(敬称略)

9/30記事

「今日、8月12日で習近平(62)が共産党トップに就いて1000日。6月11日には天津の裁判所が周永康(72)に無期懲役を下し、聖域なき反腐敗への決意を示した」。中国メディアが最高指導部経験者の断罪をたたえる評論を出したのは8月12日の昼前。その夜、周が裁かれた天津で空前の大爆発が起きた。165人が犠牲となる大惨事だ。

 劇物保管の事実を知らない消防隊の放水が爆発の原因とされるが、密封したコンテナになぜ火が付いたのかは謎だ。「製造工程にない薬品は簡単に火が付かない。自然発火は困難。意図を持った着火なら別だが」。化学品の扱いに詳しい専門家の声だ。全ての爆発物質の特定もできていない。政権中枢でも「故意説」は根強く残る。

 爆心地に直径100メートルの穴が出現した天津の浜海新区には、新たな「中国(天津)自由貿易試験区」のビル群が立ち並ぶ。習は北京、天津、河北省の「一体開発」構想を主導している。長老らを交えて河北省の保養地で意見を交わす8月前半の「北戴河会議」でも「一体開発」を含む次期5カ年計画が議論された。

 天津では北戴河会議を終えた習による自由貿易区視察への期待があった。8月11~13日の中国の人民元切り下げは、中国経済への不安を誘発した。習が自由貿易推進、経済安定へのメッセージを内外に発する地に天津を選べば「一体開発」にも役立つ。しかも天津トップは習の秘蔵っ子、黄興国(60)だ。

 「主席の天津視察は当初、8月13日の予定だった。爆発で飛んだ」。関係筋が語る。本当に視察計画があった場合、12日深夜から続いた大爆発は習への露骨な威嚇との解釈さえできる。

 習は警察、武装警察を仕切った周永康や、軍制服組トップ2人を軒並み捕らえ、部下らも排除した。当然、恨みを買った。皮肉にも習の視察予定は、警備担当の警察、そして軍が把握している。警察、軍の主要幹部は習の「お友達」に差し替えたが、全ての残党排除は難しい。

 「真相はやぶの中。それでも内部犯行という最悪のケースも念頭に軍事パレードでは厳戒態勢を敷いた」。関係者によると、9月3日の北京での軍事パレードは疑心暗鬼の中で進んだ。

 危険物が詰まるガソリンスタンドは封鎖。戦闘機の編隊飛行では後部座席に銃を構えた兵士を配した。万一、パイロットが天安門上空で奇妙な動きをすれば制止する特殊な役割を担ったとの見方がある。(敬称略)

10/1記事

 9月21日、天津市トップの黄興国(60)は、大爆発があった浜海新区内にある天津自由貿易試験区を視察した。

前日、開業した北京から天津駅を経て浜海新区に至る高速鉄道に乗り、新駅に降り立った。

「事故後の混乱で厳しい視線にさらされた黄の復活を狙う演出だ」。

中国政治研究者が指摘する。

 そもそも石油閥、司法・警察系統を仕切った最高指導部経験者、周永康(72)の裁判はなぜ天津で開かれたのか。

周派残党の不穏な動きを封じるには、北京以外の地方都市が望ましい。

しかも天津には、習近平(62)の肝煎りでトップに引き上げたばかりの黄が控えていた。

 習は浙江省時代に同省出身の黄と関係を深めた。

浙江省や福建省での縁で抜擢された子飼い人材は習の「新軍」と呼ばれる。

「誰も信用できない」という習は「お友達」で周囲を固めたい。黄は重要な駒だ。

 大爆発から1カ月後の9月12日。現場付近はなお封鎖され顔をすべて覆うガスマスク姿の武装警察が要所に立っていた。

何とも言えぬ焦げ臭さが立ち込めている。

一度、国営メディアが公式報道した「神経ガス」の発生は一転して否定されたが、現場は物々しい。

黄が事故処理の不手際を政敵に批判されれば、習の痛手になる。

だが、習は逆に攻勢に出ようとしている。

 習は「お友達」抜擢へ様々な布石を打った。

「共産党ではすでにトップ独裁に道を開く幹部任用制度の改正が進む。 皆、気付かないだけ」。

党制度を熟知する人物の指摘だ。

簡単にいえば前国家主席、胡錦濤(72)時代に客観基準を設けた任用制度の否定である。

柔軟な盗用と言えば聞こえが良いが、トップの意のままの抜擢が可能になる。

 もっとも重要な変化は「年齢を重視しない」ことだ。

今の内規では共産党大会時、67歳以下なら最高指導部に入れるが、68歳以上は引退する。

現最高指導部7人中、2年後も続投できるのは習と李克強(60)だけだ。

年齢制限が有名無実化すれば、習の盟友で反腐敗の司令塔、王岐山(67)が残る奇策もあり得る。

 「ポスト習」の有力候補は、共産党の人材育成組織、共産主義青年団が押す広東省トップ、胡春華(52)だ。

”老人”続投なら次世代の席は減る。焦る胡や孫は、習にこびを売らざるを得ない。

10/2記事

この夏、元国家主席の江沢民(89)ら中国共産党の長老に数枚つづりの文書が何回か渡された。国家主席、習近平(62)による根回しだった。締めくくりの文言は「正義必勝 平和必勝 人民必勝」。北京の天安門に立った習が、抗日戦勝70年記念の軍事パレードを前に読み上げた演説文だった。

 2回出てくる「日本」の文字の後ろには必ず「軍国主義」が付く。戦前の日本の軍国主義を責める一方、一般の日本人や現日本政府とは区別するという姿勢だ。「一時は強い日本批判が含まれていたが、複雑な調整の結果、削った」。作成の過程を知る党関係者が明かす。それは習自身の判断だった。

 8月14日の安倍晋三(61)の首相談話への反応も同じだった。中国メディアが「直接の謝罪を避けた」と責め立てるなか、中国外務省は直接的な評価を避けた。日中関係の改善・維持を目指す習の意向を反映したおとなしい反応に、「すわ安倍訪中か」との期待さえ広がった。

 実態は違う。不満を表に出さないだけで党中枢に近いほど談話への不満は強い。根強い対日強硬論の抑え込みにはリスクがあった。習は軍事パレードによる権力固めを優先し、安倍訪中の準備を指示しなかった。8月中旬、中国政府は首脳が参加する可能性がある国の大使館員を集め、式典の警備体制を説明した。日本は呼ばれなかった。

 9月3日夜、駐中国大使の木寺昌人(62)はテレビにくぎ付けになった。戦勝記念行事を締めくくる「文芸の夕べ」の舞台だ。各国首脳を前に血まみれの多数の女性が恨みを込めた表情で立ち上がる。「南京大虐殺」を再現した演出で、背後には「300000」と中国が主張する犠牲者数が浮かび上がった。

 舞台内容は各国代表団に伏せられていた。訪中実現なら安倍も見る可能性があったが、予想外の構成だ。「首相が来ないで正解だった」。日本大使館ではため息交じりの声が漏れた。

 権力基盤を固めつつある習も反日を消しきれない。一定の配慮までが限界だ。中国は歴史認識や領土を巡るカードを手放さない。関係改善に向かっても尖閣諸島の領海への侵入は続く。中国でのスパイ容疑による日本人拘束事件も対日圧力に映る。

 米ニューヨークの国連総会に出席した安倍と習は結局、首脳会談はおろか、立ち話もせず米国を離れた。緊張の中で協力を探る関係は、中国内の闘いと絡みながら続く。(敬称略)

10/3記事

9月中旬、米国に14年も潜伏した汚職絡みの中国人容疑者がチャーター機で中国に降り立った。米側が引き渡しに応じたのだ。1週間後、米中首脳会談を終えた国家主席、習近平(62)は「厳格な共産党の統治を進める」と自らの反腐敗運動を宣伝した。公安当局も高飛びした犯人を連れ戻す「狐(キツネ)狩り」作戦に没頭する。中国の内政が米国に持ち込まれた形だ。

 米中間には犯罪人引き渡し条約はない。協力度合いは米のさじ加減で決まる。焦点は米国に逃げた令完成の扱いだ。兄は汚職理由で失脚した令計画(59)。前トップ、胡錦濤(72)の側近だった。新華社の記者経験がある令完成が持ち出したとされる指導者絡みの機密情報が暴露されれば習の痛手になる。

 令完成引き渡しを狙う習指導部は、中国外務省の若手エース、劉建超(51)を引き抜き、国家腐敗予防局と中央規律検査委員会の国際協力の責任者に据えた。「中国の反腐敗はますます国際社会の支持を得ている」。重圧を受ける劉は、米国から容疑者が着いた空港で米中協調を演出してみせた。

 日本も他人ごとではない。中国メディアは京都に「令氏の豪邸」があると報じた。中国系企業が令計画の家族への贈り物として巨額で購入したとの示唆だ。中国人観光客の間では有名で、記念撮影の場にもなった。

 今回、ニューヨークで習が泊まったのは名門ホテル、ウォルドルフ・アストリア。歴代米大統領が国連総会の定宿とし、各国首脳と会う重要な外交の場だったが、急成長した中国の保険会社、安邦保険集団に買収されたばかりだ。当然、米大統領のオバマ(54)や首相の安倍晋三(61)は宿泊を断念した。中国のサイバースパイを問題視する中、リスクは冒せなかった。

 安邦保険を巡っては、果敢な報道で知られる広東省の有力紙、南方週末が1月、高級幹部の子弟「太子党」人脈との関わりを詳報し、物議を醸した。元帥だった陳毅、鄧小平の一族の利権を暗示していた。南方週末は反腐敗に聖域はないとする習のスローガンを逆手にとった。だが結局、謝罪に追い込まれた。

 習の基盤である太子党は一枚岩ではなく、習との距離も様々だ。それでも太子党には勢いがある。安邦保険など米に浸透する中国マネーは国連外交の様相さえ変えた。(敬称略)

 中沢克二、大越匡洋、中村裕、阿部哲也、永井央紀、原島大介、柏原敬樹が担当しました。

10/2ダイヤモンドオンライン 北野幸伯『国連総会でプーチンが見事復活!シリア・IS問題で形勢大逆転』について

アメリカは「アラブの春」で中東に混乱を齎した張本人なのに、オバマにはその自覚がないようです。フセインやカダフィだって独裁政治と言われながら、女性の教育についてはしっかりやっていたとのことです。パキスタンではイスラム原理主義者が蔓延ったため、マララはタリバンから銃撃を受ける羽目になりました。

シリアやイラクからの難民問題も言って見れば、アメリカが「独裁政治打倒」を旗印に反体制側に武器と資金援助をしたために起きた問題です。援助を受けた側はやがて反米になり、アルカイダやISとなりました。アメリカが起こしたトラブルで欧州が迷惑を蒙る構図です。確かに欧州にとってはウクライナ問題よりは難民問題が大きくなってきているでしょう。独・ニーハイム市では市営住宅に入っていた市民が難民のため住宅を追い出されるケースも出てきました。これは逆差別では。納税者の市民が難民の生活保護の犠牲になるのではたまりません。どこまで忍耐できるかです。

米ロが関係を修復することは日本にとっても都合の良いことです。世界制覇の野心を隠さずに着々と手を打ってきている中国の封じ込めにプラスになりますし、ロシアとの領土問題解決、平和条約締結への足がかりになります。安倍・プーチン対談もやりやすくなります。プーチンも心の底で中国を信用している訳ではありません。中国との国境問題が解決しても、広く国境を接し、シベリアに大量の中国人が入ってきていることを考慮するとプーチンはシベリアに日本人が投資することを願っていると思います。大清帝国の初期には、満州族は満州に漢民族を入れないようにしていたのに、時代を経る毎にそれが緩み、満州事変後は日本統治の治安の良さで漢民族が入植してきて居ついてしまった歴史があります。東北三省はチベット、新疆ウイグル同様、漢民族のものではありません。プーチンはそれを踏まえていると思います。

記事

「クリミア併合」で「世界の孤児」になったはずのプーチンが復活している。一方、AIIB事件以来、米国と対立を深めてきた習近平の訪米は大失敗。今回は、米中を軸に大きく動き始めた国際政治を解説する。

ローマ法王とインド首相に“完敗” 米国に冷たくあしらわれた習近平

 9月28日からニューヨークで開催された国連総会。オバマ大統領はもちろん、安倍総理や習近平、プーチン大統領など、世界の有力トップが集結し、首脳会談も行われた。世界の首脳たちの言動から、現在の国際政治の流れを読み解くことができる。

 まずは中国。習近平の訪米は、「失敗だった」といえる。米国メディアは、同時期に訪米したフランシスコ・ローマ法王をトップで報道し、習近平は「主役」になれなかった。ホワイトハウス前では、「習訪米反対」の大規模デモが行われ、チベット人などが、中国の「人権問題」を訴えた。(太線筆者、以下同じ)

<一方、目立ったのは、米国内の習氏への冷ややかな反応だ。

 米テレビは、22日から米国を訪問しているローマ法王フランシスコの話題で持ちきりとなっており、習氏のニュースはかすんでいる。

 中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「習氏にとって一番の期待外れは、全く歓迎されなかったことだろう」といい、続けた。

「ローマ法王はもちろん、米国を訪問中のインドのモディ首相に対する熱烈歓迎はすごい。習主席は23日にIT企業と会談したが、モディ首相もシリコンバレーを訪れ、7万人規模の集会を行う。米国に冷たくあしらわれた習氏の失望感は強いだろう。中国の国際社会での四面楚歌(そか)ぶりが顕著になった」>(夕刊フジ 9月28日)

 オバマ・習首脳会談の成果は、「サイバー攻撃をやめること」「米中軍の間で不測の事態が起こるのを回避するために対話窓口をつくること」だという。

<今回の合意では、海軍艦船の艦長らに対し、迅速な意思疎通を図りその意図を明確にすることを求めたほか、国家安全保障上の対立に発展しかねない衝突を回避するため、安全な距離を保ち「無礼な言葉づかい」や「非友好的なそぶり」を避けることも定めている。>(CNN.co.jp 9月26日)

 この合意は、両国関係がいかに悪化しているかを示している。つまり、「合意がなければ、軍の『無礼な言葉づかい』『非友好的なそぶり』が原因で、『武力衝突』が起こる可能性がある」のだ。

 同じく米国と仲が悪いはずのロシアはどうだろう?プーチンは9月28日、国連総会で演説。「対イスラム国」で、「国際法に基づいた、本物の幅広い反テロ連合を形成する必要がある!」と熱弁した。

 同日、プーチンは「対ロシア制裁」を主導するオバマ大統領と首脳会談を行った。(安倍総理とも会談した)。約90分続いた会談のテーマは、「シリア、イスラム国問題」と「ウクライナ問題」。「シリア、イスラム国問題」で、米ロの溝は埋まらなかった。プーチンは、シリアのアサド政権を強化することでイスラム国と戦いたい。しかし、オバマは、アサドを政権から追放したいのだ。

 とはいえ、2人の大統領が「会って90分話した」という事実だけでも、米ロ関係は改善していることがわかる。一体、何が米ロ関係を変えたのだろうか?

「イスラム国」の台頭で  ウクライナの停戦が実現した

 米ロ関係が改善した背景には、実は幾つもの“ラッキー”があった。「クリミア併合」は、わずか1年半前に起こった。しかしその後、山ほど事件が起こったので、復習しておこう。

 2014年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が崩壊した。同年3月、ロシアは、ウクライナ領「クリミア共和国」と「セヴァストボリ市」を併合し、世界を驚愕させた。米国は、日本や欧州を巻き込んで、ロシアへの「経済制裁」を発動。4月、ロシア系住民の多いウクライナ東部ルガンスク州、ドネツク州が「独立宣言」。親欧米ウクライナ新政府は、これを許さず軍隊を派遣、内戦が勃発した。

 5月、ウクライナで大統領選挙が実施され、ポロシェンコが当選。7月、「親ロシア派」が支配するドネツク州上空で、マレーシア航空NH17便が墜落し、298人が死亡。米国は即座に、「親ロシア派が撃墜した」と断定。親ロシア派を支援するプーチンも、厳しい批判にさらされた。

 ところが、プーチンは、「意外な存在」に救われる。「イスラム国」だ。米国は14年8月8日、「イスラム国」への空爆を開始した。イスラム国は8月20日、米国人ジャーナリスト、ジェームス・フォーリー氏の殺害映像をYoutubeに投稿。これで、米国世論は沸騰し、「敵ナンバー1」はプーチンからイスラム国に移った。

 14年9月、ウクライナ政府と親ロシア派は、1回目の「停戦合意書」に署名した。理由は、米国の目がイスラム国に移った隙に、プーチンが親ロシア派支援を強化したこと。親ロシア派は快進撃をつづけ、ウクライナ軍は敗北寸前になっていた。ポロシェンコは、「停戦」するしか選択肢がなかったのだ。

 これで一息つけたプーチンだったが、「経済面」はかなり厳しかった。制裁の影響も、もちろん大きい。それ以上に、「原油価格とルーブルの暴落」は、ロシア経済に大打撃を与えた。原油価格は、14年夏時点で1バレル115ドル(北海ブレント)だったのが、同年末には50ドルを割った。

 ルーブルは、夏時点で1ドル35ルーブルだったのが、年末には60ルーブルまで下げた。14年の国内総生産(GDP)成長率は0.62%で、かろうじてプラスだった。しかし、今年は、09年以来はじめてのマイナス成長になることが確実視されている。

 さて、15年2月、2度目の「停戦合意」がなされた(つまり、14年9月の合意は破られていた)。今回は、ロシアのプーチン、ウクライナ・ポロシェンコ、ドイツ・メルケル首相、フランス・オランド大統領が直接協議して、合意に至った。この停戦は、一応現在もつづいている。

 ロシアとウクライナが停戦したい気持ちはわかる。しかし、なぜドイツとフランスは、停戦に動いたのか?答えは、以下の記事である。

<〈ウクライナ〉政府軍に武器供与検討 米大統領、独首相に

【ワシントン和田浩明】オバマ米大統領は9日、ホワイトハウスでドイツのメルケル首相と会談した後に共同記者会見し、ウクライナ東部で支配地域を広げる親ロシア派武装勢力に対する政府軍の防衛力強化を支援するため、殺傷能力のある武器の供与を検討中だと明言した。>(毎日新聞 2月10日(火)11時37分配信)

「AIIB」事件で米国の敵No.1は  ロシアから中国へシフト

「米国は、ウクライナ軍に武器を大々的に供与することで、戦争を激化させようとしている」――メルケルとオランドは、そう疑ったのだ。戦争が拡大、激化すれば、戦場になるのは(米国ではなく)欧州である。独仏は、あわてて停戦に動いた。

 米国は当初、この合意をぶち壊したかったようだが、ある「大事件」が起こり、方針を転換する。「ある大事件」とは、「AIIB事件」のことである。英国は3月12日、米国の制止を無視し、中国主導の「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)のへの参加を表明する。他に、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、オーストラリア、イスラエル、韓国など、米国と緊密な関係にあるはずの国々も、相次いで参加を決めた。

「親米国家群が、米国の不参加要請を振り切り、AIIBに参加する」

 このことは、米国の支配層に大きな衝撃を与えた。「誰もいうことを聞かない国」(この場合米国)のことを、「覇権国家」と呼ぶことができるのだろうか?米国の「リベラル派」は長年、「中国は米国が作った世界秩序内で影響力を拡大したいだけだ。それ以上の野心はない」と主張してきた。しかし、「AIIB事件」で、その「神話」は崩壊した。

 なぜなら、中国は、「米国の体制の『外』」に「新たな国際金融機関(AIIB)をつくる」のだから。これで、中国は、米国の「仮想敵ナンバー1」に浮上した。

 同盟国、親米国家群が軒並み米国を裏切る中、「AIIB不参加」を表明したのが、わが国日本だった。安倍総理は4月29日、米議会で「希望の同盟演説」を行い、大成功を収める。GDP世界3位の日本の力強い支持を得て、米国は「中国バッシング」を開始した。それが、いわゆる「南シナ海埋め立て問題」である。

 中国は埋め立てを13年からはじめていたが、米国は突如これを問題視しはじめたのだ(日本にとってはよいことだが)。米中関係は、急速に悪化し、「米中軍事衝突」を懸念する声まで出始めた。

<米中激突なら1週間で米軍が制圧 中国艦隊は魚雷の餌食 緊迫の南シナ海

 南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺の領有権をめぐり、米中両国間で緊張が走っている。

 軍事力を背景に覇権拡大を進める習近平国家主席率いる中国を牽制するべく、米国のオバマ政権が同海域への米軍派遣を示唆したが、中国側は対抗措置も辞さない構えで偶発的な軍事衝突も排除できない状況だ。>(夕刊フジ 5月28日(木)16時56分配信)

 その後、両国の対立はおさまったように見えるが、「米中対立そのもの」は、「長期化する」と見ていい。

 米国が、「南シナ海問題」をネタに「中国バッシング」を開始しはじめたころ、ケリー国務長官は、モスクワを訪問している。要するに、「中国叩き」をはじめたので、「ロシアとの和解」に動き始めたのだ(中ロと同時に戦うのは愚策なので、ロシアと和解して、中国と戦う)。

<露訪問の米国務長官、ウクライナ停戦履行なら「制裁解除あり得る」

【AFP=時事】米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は12日、ロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相とそれぞれ4時間、合わせて8時間に及ぶ会談を行った。

 その後ケリー氏は、ウクライナの不安定な停戦合意が完全に履行されるならばその時点で、欧米がロシアに科している制裁を解除することもあり得るという見解を示した。>(AFP=時事 5月13日(水)7時13分配信)

ロシアとの和解に動く米国  中ロの結束が崩れるのも時間の問題か

「制裁を解除することもあり得る」という言葉がケリーから出たことは、多くのロシア人を驚かせた。

 両国は、まず「利害が一致する問題」から協力を開始する。それが、「イラン核問題」だった。米ロは協力して、長年の課題だった「イラン核問題」を解決した。

<〈イラン核交渉〉最終合意 ウラン濃縮制限、経済制裁を解除

【ウィーン和田浩明、田中龍士、坂口裕彦】イラン核問題の包括的解決を目指し、ウィーンで交渉を続けてきた6カ国(米英仏露中独)とイランは14日、「包括的共同行動計画」で最終合意した。

 イランのウラン濃縮能力を大幅に制限し、厳しい監視下に置くことで核武装への道を閉ざす一方、対イラン制裁を解除する。>(毎日新聞 7月14日(火)22時1分配信)

 次に米ロ共通の課題になったのが、「イスラム国」である。米国もロシアも、「イスラム国は大問題」であることで合意している。しかし、オバマは、シリアのアサド政権を支持できない。 

 なんといっても彼は13年8月、「化学兵器を使用したこと」を理由に、「シリア(アサド政権)を攻撃する」と宣言した過去がある(後に戦争をドタキャンして、世界を驚かせた)。

 一方、プーチンは、「アサド政権を支援し強化することで、イスラム国と戦わせる」戦略をとる。プーチンは、「イスラム国と戦うために、シリア(アサド政権)、イランを含む『幅広い反テロ連合』をつくろう」と提案している。米国は反対しているが、プーチンは、たとえ単独でも「アサドを助けてイスラム国と戦う」決意を示した。

 そして、ロシアは9月30日、シリア空爆を開始した。

 彼の目的は、ウクライナの親ロシア・ヤヌコビッチ政権を守りたかったのと同じである。つまり、親ロシアのアサドを守りたいのだ。このまま放置しておけば、アサドは必ずイスラム国にやられてしまう。問題は欧米がどう出るかだ。筆者は、大きな反対は出ないと思う。

   まず米国。米国には、3つの大きな敵がいる。中国、ロシア、イスラム国だ。「AIIB事件」後、米国にとって、中国が最大の敵になった。それでロシアと和解に動いているのだが、それでも「敵は敵」である。そして、イスラム国も敵だ。

 米国の敵であるロシアとイスラム国が戦う。表向きはどうあれ、米国にとってこんなおいしい状況はない(しかし、表面的にはイザコザも予想される。米国は、ロシアが「『イスラム国』ではなく『反アサド派』を空爆している」と批判している。ロシアから見ると、「イスラム国」も「反アサド派」も、両方「反アサド」という意味で「同じ穴のムジナ」である。そして、米国が、支援している「反アサド派」への空爆でロシアを批判するのも、また当然だ)。

 では、欧州はどうだろうか?欧州からも強い反対は出ないだろう。なぜなら、欧州は今、シリアからの大量難民問題で苦しんでいる。難民問題を根本的に解決するためには、イスラム国を退治し、シリアを安定化させるしかない。

 しかし、それを自分でやると大金がかかる。プーチンは、「俺がやる」と手を挙げてくれた。だから、表向きは批判しても、「プーチンにやってもらおう」と思っていることだろう。

   いずれにしても、世界は今、「米中対立」を軸に回りはじめている。米ロが和解に向かえば、中ロの結束も自然と崩れていくだろう。こういう構図は、「尖閣・沖縄」を「自国領」と主張する中国と対峙する日本にとっては、極めて都合がいい。

10/1日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「中国の尻馬」にしがみつく韓国 「もう、中国がアジアの盟主だ」』について

韓国の世界を視るセンスのなさは歴史的な物です。中国の属国が長かったからでしょう。そういう自覚すらない可哀想な民族です。日本が第二次大戦中、「ドイツが世界を牛耳る」と思ったに似て判断が間違っているでしょうと思わざるを得ません。中国がスパイ容疑で邦人2人を逮捕したというのですから、普通に考えますと反日教育している国は危ないと思わないと。北と南が戦争になった時に日本は韓国の同意がない限り、在韓邦人の救出はできないようです。まあ、犠牲が出ても仕方がないということでしょう。日本人はこういう韓国人の態度が許されますか?韓国人が都合のいいときだけ「助けてくれ」というのは止めてほしい。企業は在留韓国の日本人は早く日本に帰すべき。在中日本人も。

中国でのスパイ容疑で捕まった2人は公安調査庁から依頼されたとのこと。こんなトウシロを使ってスパイ活動ができる訳もなし。中国の対応は過剰でしょうけど。でも日本のインテリジェンス部門のレベルの低さにはあきれ返ります。小生が以前に北京在勤時代、関西の警察から「中国の実態が聞きたい」と電話があり、余りの脇の甘さに唖然としてお断りしたことがありました。当然でしょう。中国は盗聴が当たり前なのに、その自覚もなく、電話で協力を要請するなんて情報機関としてはあるまじき話です。日本が弱体化していると思いました。

日韓通貨スワップがなくなったのは勿怪の幸い。絶対日本に言い寄って来ないのを祈ります。でも慰安婦に代表されるように恥を知らない民族ですから言ってくる可能性はあります。言って来たら「世界に従軍慰安婦は間違いでした。日本の朝日新聞を信じたのが間違いでした」と韓国が言わない限り、国民の税金を使わせるのは許すまじです。

中国は「胸が厚い」だけではありません。少なくとも韓国人と比べればずる賢さでは上を行くでしょう。小生中国在勤時代、煙台出張時、ホテルでデポジットを要求されました。今までなかったことなので、「何故?」と聞いてみると「韓国人が不況で家賃も払わず夜逃げしたので、日本人と雖も保証がないと」との返事でした。何を偉そうに「ウリジナル」なんて言っているのかと言う気がします。中国人だって韓国人は全然信じていないと思います。「手先」で使うに充分と思っているだけでしょう。本当に愚かな民族と付き合うことはしない方が良いと思います。

記事

(前回から読む)

 「中国がアジア金融の盟主になる」と主張する記事が韓国主要紙に載った。中国発の金融危機までが懸念されているというのに。

次の救世主は中国

—前回は、韓国はなぜ、あれほど中国に突っ込んでしまうのか、との質問で終わりました。中国経済は大きく揺れています。

鈴置:それに関連、興味深い記事が中央日報に載りました。これを読んだ日本の金融専門家は一斉に「韓国はいったい何を考えているのだろう」と驚きました。

 「米国が利上げすれば、中国がアジアを掌握?」(9月15日、日本語版)です。この記事は無署名ですが、原文の韓国語版(9月13日、中央SUNDAY 第444号)を見ると、書いたのは中国経済金融研究所長の肩書を持つ、チョン・ビョンソという韓国人エコノミストです。

  「今、世界が直面する金融危機により、米国のドルによる支配は終焉する」と主張した記事で、結論部分を要約すると以下です。

  • (前回、金融危機の発生した)1998年と2015年のアジアの状況は異なる。今後、米国の利上げによってアジアからドルが流出し金融危機が発生すれば、救世主は米国と国際通貨基金(IMF)ではなく、中国だ。
  • 中国が、その3兆5000億ドルの外貨準備を使って貸し出し枠を作ればアジアを支配できる。これまでアジア諸国は代案がないため、しぶしぶ米国のドルを受け入れてきた。が今回、アジアは米国を捨てて中国に走る可能性がある。アジアの金融の盟主が代わるのだ。

張子の虎の中国経済

—ユニークな見方ですね。

鈴置:世界の基軸通貨としてのドルに対し、不信感が高まっているのは事実です。2008年の世界同時不況の際も「ドルに代わる世界通貨が必要だ」との意見が出ました。

 でも、年内にも予想される米利上げを機に、直ちに中国が米国に代わってアジアの金融を支配する――というのは相当に大胆な意見です。

 「盟主になる」中国経済こそが大きく揺れています。7月以降、株価は暴落しましたし、人民元も売られています。そもそも、「アジアに貸し出す3兆5000億ドルの外貨準備」なるものに疑問符が付いているのです。

 日本経済新聞の滝田洋一編集委員は「中国3.6兆ドルの外準マネーは張子の虎か」(9月2日、日経電子版)で、中国の外貨準備に関し、以下のように指摘しています。

  • 「外準のうち、運用先の見当がつかない分が、少なく見積もっても1兆ドル程度はある」と、ベテランの市場エコノミストはいう。
  • 市場関係者が気をもむのは、ソブリン・ウエルス・ファンド(政府系ファンド)などに、外準マネーが流れていることだ。直近ではシルクロード基金(SRF)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)の元手ともなっている。
  • 中国はアフリカや中南米で資源開発投資のアクセルを踏んできた。外貨準備がこうした開発投資に振り向けられているとしたら、どうだろう。開発・採掘コストの高いこれらの案件は、最近の国際商品相場の崩落で火を噴いているはずだ。投入した資金も、相当額が焦げ付いていると思われる。
  • 中国の外貨準備や人民銀行の外貨資産も、水増しされた張り子の虎ということになる。中国の外貨準備の中身をめぐる疑惑が、新たな金融危機の火種になりはすまいか。

7%成長は本当か

—1兆ドルも怪しげな投資に使ったとすると「真水」――いざという時に使えるまともな外準は2.5兆ドルということですね。

鈴置:しかも8月末時点の外準は3兆5573億ドルと、8月の1カ月間で939億ドル――1000億ドル近くも減ったのです。韓国の外準の4分の1に相当する額です。ピークの2014年6月末の3兆9932億ドルと比べると、14カ月で4359億ドルも減っています。中国人が母国を見限り、人民元を売っているのです。

—日本経済研究センターが「中国の本当の成長率は政府発表よりも相当に低い」と言っています。9月29日の日経新聞で読みました。

鈴置:中国政府は2015年第2四半期に年率で7.0%成長したと発表したけれど、鉄道貨物輸送量や銀行貸し出しの伸びから見て、実際は4.8%から6.5%の間に留まった――と日経センターは推計しました。

 また、2013年夏頃から中国の公式発表が日経センターの推計値を大きく上回るようになった、とも分析しています。世界のエコノミストの間でも「中国の粉飾」が常識化しています。今や、公式発表数値を信じる人はほとんどいないでしょう。

韓国は属国に戻るつもりですか

—世界同時株安の震源地にもなったというのに、なぜそれほど中国経済を賛美する記事が韓国の新聞には載るのでしょうか。

鈴置:自分が買った商品の問題点から目をそらす消費者と似ています。判断の誤りを認めたくはないのでしょう。

 韓国人は「落ち目の米国、浮上する中国」と信じ、国の存続を中国に賭けました。「中国がまずいことになっている」などという情報は耳に入れたくないのです。

 例えば、8月に外準が1000億ドル近くも減ったニュース。発表翌日の9月8日に日経は2面で、フィナンシャル・タイムズ(FT)は3面で報じました。が、韓国のメディア――経済紙も含め、ほとんど報じませんでした。

 そして、その1週間後に日本の金融専門家らは中央日報の日本語版で「中国がアジアを支配する」との記事を読んで、腰を抜かすほど驚くことになったのです。

 その中には「日本の一部メディアは中国経済を悲観的に報じ過ぎる」と語る人もいます。そんな人でさえも韓国紙の中国絶賛には首を傾げたのです。ある金融専門家からは「韓国は中国の属国に戻るつもりか」と聞かれました。

目下の日本からドルは借りない

—属国回帰ですか?

鈴置:この記事は最後のくだりで、アジアの国がドル不足に陥ったら今度は米国ではなく中国から借りる――と書いています。筆者がどう考えているかは分かりませんが、実際には「アジアの国」とは韓国だけを指すことになるでしょう。

 なぜなら、東南アジア諸国連合(ASEAN)や南アジアの国々は日本と通貨スワップを結んでいますから「中国を頼る」必要性は薄い。

 「『目下の日本』からはドルを借りない」で書いたように、韓国だけが「日本からは借りない」と大見えを切って、中国との人民元スワップに頼ることにしたのです(表「韓国の通貨スワップ」参照)。

韓国の通貨スワップ(2015年9月30日現在)

Korea's swap

 

 

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)はIMF融資とリンクしない場合は30%まで。

資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

新しい兄貴がいる

—この記事は韓国という特殊ケースを「アジアの国」と拡大している点がまず、怪しいのですね。

鈴置:そのうえで、米国が金利を下げ、韓国が通貨危機に陥りそうになっても「日本はもちろん米国にも頭を下げないぞ。俺にはもう、もっと頼りになる新しい兄貴、中国があるからな」と筆者は肩をそびやかしたのです。

 だから日本のある専門家が「韓国は中国がこんな状況にあっても金融で中国一点張りを決めた――属国に戻ることを決めたのか?」と聞いてきたのです。

—本当にそう考えているのでしょうか。

鈴置:書いているのは1人のエコノミストに過ぎず、韓国政府の意思とは言い切れません。しかし韓国には「中国に賭ける」空気が未だに濃いのです。

 米国の強い反対を押し切って、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は北京での抗日式典に参加しました。「中国ブロック」に鞍替えしたと世界から認定されるのも覚悟の上でしょう(「韓国は『帰らざる橋』を渡る」参照)。

人民元スワップは頼りになるか

—「新しい兄貴」は頼りになるのでしょうか。

鈴置:いざという時に中国が貸してくれるのは人民元。韓国の外国に対する負債の相当部分はドル建てですから、返済するには人民元をドルに替える必要があります。切羽詰まった状況で、ドルへの転換が間に合うか、疑問視する人が多いのです。

 一部の専門家は「人民元が売られる中、中国が韓国へのスワップ発動を嫌がるのではないか」と見ています。なぜなら、韓国が中国から借りた人民元をドルに転じれば、巨額の人民元売りが発生するわけです。

 ただでさえ人民元売りに苦しみ、外準のドルを使って防戦している時です。韓国からのスワップ発動要請は中国にとって、はなはだ迷惑なのです。

 もちろん「約束通り中国は韓国に人民元を貸してやるだろう。減ったと言っても外準の『真水』は2.5兆ドルあるのだし、何よりも大国の面子がかかっているのだから」と言う人もいます。

 ただ、スワップを発動するにしろ、中国は何か条件を付けるかもしれません。例えば最近、韓国に要求し始めた「米韓合同軍事演習の中止」とか。これを実行させれば、米韓同盟に相当大きなヒビを入れられますからね。

人口オーナスは今年から

—やはり、韓国の現実認識は甘いのですね。

鈴置:ええ、現実から相当にずれていると思います。もちろん、冒頭で紹介した金融面での「離米従中」を宣言した記事は極端な例です。中国株が下がった後は、韓国紙も「中国経済変調」と報じ始めました。

 ただ、記事のほとんどが短期的な失速と捉えています。構造的な問題であり、対策が困難な「少子高齢化」の症状が中国経済にも出始めた、といった視点の記事はほとんど見当たりません。

 日本総研の大泉啓一郎・上席主任研究員が作成した「日中韓の高齢化率の比率」(グラフ1)をご覧下さい。中国も急ピッチで高齢化が進んでいます。

グラフ1:日中韓の高齢化率の比較

Chaina working peaple-1

注:65歳以上の高齢者が7%以上を「高齢化社会」、14%以上を「高齢社会」といい、高齢化の進み具合を示す目安になっている

出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

 

 

 

 

グラフ2「日中韓の従属人口比率の推移」は中国が2015年から「人口オーナス」の時期に突入することを示しています。つまり少なくとも計算上は今年から、少子高齢化によるマイナス面が顕在化するのです。

グラフ2:日中韓の従属人口比率の推移(中位推計)

china working peaple-2

注:従属人口比率は0~14歳と65歳以上の人口の比率

出所:国連「World Population Prospects:The 2010 Revision」から大泉啓一郎氏作成

 中国経済はこれから基礎体力が衰えていく可能性が高い。というのに国威発揚を狙って人民元のレートを高めに設定してしまい、景気が悪くなった。

 内需も伸びないので、巨額の建設投資によりアクセルを一気に踏んだ。しかし、すぐに限界に直面した。そこで株高を演出し、景気に点火しようとして失敗した。

 この危うい構造に気がついた国民は、手持ちの人民元をどんどんドルに替えている――というのが中国の現状でしょう。

 これが世界の普通の見方です。でも韓国紙は、こうした分析をほとんど書きません。「中国の懐に入ることで経済成長を実現する」という国家戦略が足元から崩れてしまうからです。

胸の筋肉だけ厚い中国

—中国経済の長期停滞論は一切、言及されないのですか?

鈴置:ごくまれに語られます。朝鮮日報の宋煕永・主筆が「G2の中国、本当にNo.2なのか」(9月5日、朝鮮語版)を書きました。結論部分を訳します。

  • 先月の人民元暴落を通じて、政府が為替を強引に調整しているとの事実が満天下に公開された。「やはり中国の(先進国への道のりは)遠い」との評価と同時に「胸の筋肉は厚いが頭は足りない」「自動車免許でジャンボジェットを操縦する国」との印象を植え付けた。一部の研究所からは「中国の溶解」(China Meltdown)との厳しい分析も出た。
  • さらに深刻なのは内部の不満だ。階層間の二極化、都市・農村間の貧富の格差の中で、株価と不動産価格が暴落した。政府の対策が信認を受けたとは言い難く、国民の不満は膨れるしかない。成長率は低下している。企業も地方政府も債務の山に埋もれている。一人っ子政策の影響で、世界で最も急速に高齢化が進んでいる。
  • この中、朴槿恵大統領が天安門から史上最大の人民軍パレードを見学した。米国との同盟を思い浮かべ眉をひそめる人もいる。しかしそれよりも、我々は中国経済の先行きをまず考えなければならない。株式会社大韓民国の貸借対照表では、多くの項目が中国の未来に従い変化するからである。
  • 苦労が今後2-3年間で終わるか、10―20年間の長期の低迷に陥るかは、今後の中国次第だ。ただし、党主導の統制経済がもはや限界点に到達したことだけは明らかになった。中国が米国になるのにはまだ時間がかかる。

高齢化と金融危機

 しかし、宋煕永・主筆のように「20年もの長期停滞に陥る可能性」を指摘する人は韓国ではまれです。普通、こうした新しい視点には提灯が付いて、誰かが似たような記事で追い掛けるものです。

 でも、1カ月近く経っても宋煕永論文は孤立したままです。こうした見方はなかなか主流になりません。

 実は宋煕永・主筆は、少子高齢化による韓国の長期停滞を真っ先に指摘した人でもあります。4年半前の「不動産政策にあぐらをかく政治」(2011年3月26日、韓国語)で、激しく警鐘を鳴らしました。非常に興味深い記事なので要約します。

  • ハーバード(Harvard)大のマンキュー(N.Gregory Mankiw)教授は、生産年齢人口(15~64歳)の減少が住宅価格の下落に大きな影響を与えると予測した。ただその後に米国の住宅価格が上がったため、彼は嘲笑された。
  • しかし2008年、ベビーブーム世代の引退とともに米国は金融危機を経験した。これにより長い目で見れば、人口構造の変化が住宅価格に及ぼす影響が少なくないことが知られるようになった。
  • 韓国がその時期にさしかかっていることを認識すべきである。ベビーブーム世代の710万人の引退が本格化している。生産人口は今後4~5年後に頂点を付けた後、下り坂に転じる。
  • 青瓦台(大統領府)や与党のハンナラ党、建設業界は「不動産はいつかは上がる」との信仰に陥っている。日本のように20年間以上にわたって低迷し得るとの現実を信じない。
  • 日本でも生産人口の減少が始まる1995年の4~5年前から不動産価格が暴落した。政治家たちは、不動産活性化策で選挙に勝とうとの妄想を捨てるべきだ。

老化は直視したくない

—4年半前に「韓国の今」を言い当てた記事ですね。

鈴置:でも、この不都合な警告に誰も耳を貸さなかった。最近になって、専門家の間でようやく少子高齢化問題が議論されるようになりました。しかし韓国政府が現実を直視しているとは言い難い。

 相変わらず景気対策というと住宅市場の活性化策頼みです。少子高齢化に対応した社会の仕組みを、本腰を入れて作ろうとするわけでもない。

—なぜでしょうか。

鈴置:日本もそうでしたが、成長するのが当然だと長い間考えてきた人々が、衰退を想像するのは極めて難しい。50歳になって体力が衰えても、それを老化とは認めたくない心情と似ています。

日本に勝った!

—でも韓国には日本とは異なって、隣に悪しき先行例があります。それを見れば……。

鈴置:私もそれが不思議で韓国人に聞いてみたのです。面白い答えが返って来ました。「韓国では『日本に追いついた、勝った』と皆が万歳をしている。そんな時に『日本みたいになるぞ』という話は聞きたくないのだ」そうです。

 中国の長期停滞への認識もそれに似ています。韓国人はいち早く「落ち目の米国、浮上する中国」と見切って「離米従中」した。「情勢判断が遅く、中国と関係を悪化させた」日本人に対しては「俺の後ろには中国がいるぞ。どうだ、怖いか」などとそっくり返っていた。

 それを今さら「中国の成長は限界に達したかも知れない」とは言い出しにくいのです。ここでも「日本に勝った!」と快哉を叫んでいたのですから。

ウェイト・アンド・シー

—韓国人が日本に強烈なライバル心を持つのは分かります。でも、世界観までも「勝った、負けた」の対象にするというのは信じられません。

鈴置:19世紀に「西洋の衝撃」に直面した時、日本人はいち早く適応し、開国し西欧文明を導入してアジアで先頭に立った。しかるに我々は世界の変化を読み誤り、旧弊にしがみついて植民地に転落した――と韓国人は信じています。だから「今度は勝った」のです。

 前回、保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が「ヒトラーと心中した日本」になぞらえて現在の韓国を憂えていることを紹介しました。

 1940年4月、ドイツはデンマークとノルウェーを急襲し占領しました。5月にはフランスも席巻しました。この快進撃を見て日本では「勝ち馬のドイツに乗ろう」との意見が大勢を占めるに至ったのです。

 同年9月には日独伊3国同盟を締結。しかしまだ、この時点では対米戦争を避け得る余地がありました。

 趙甲済氏も記事で引用した、大本営・陸軍参謀の瀬島龍三氏の『幾山河』によれば、無傷の連合艦隊を維持しながら、欧州での戦争の帰結を見守る「ウェイト・アンド・シー」を説く高級参謀もいました(文庫版では114ページ)。

大日本帝国の失敗

 しかし大日本帝国の陸海軍ともに「軍事情報の収集に重点を置き、政治、経済を含む総合的な国力の判断をおろそかにした」結果、対米戦争に踏み切ってしまった、と瀬島氏が回顧していることは前回に紹介した通りです。

 趙甲済氏は親米保守であり、勝った方に付こうと考える「米中二股派」ではありません。しかし「仮に二股をかけるにしろ、もう少し腰を据えて状況を見極めろ」と言いたいのでしょう。

 大日本帝国の「無傷の連合艦隊」は現在の韓国にとって「米韓同盟」に相当します。朴槿恵政権はそれを危険にさらしているのですから。

—要は韓国も、冷静な判断をおろそかにして「中国が米国をしのぐ」と決めつけて動いた、ということですね。

鈴置:ええ。それに、ものごとには「勢い」というものがあって、「ウェイト・アンド・シー」でいかねば、と理屈では分かっていても、そんな地味な道を選ぶのは難しいのでしょう。

平和を願う中国共産党

—韓国は今からでも米国側に引き返せませんか?

鈴置:難しいと思います。隣の超大国、中国はとても強い引力を持ちます。米中間で等距離を保つのも、国民1人1人がよほどの覚悟を持って中国に立ち向かう決意を固めて、初めて可能です。

 口先で「等距離」とか「二股」なんて言っている限り、中国にどんどん引き寄せられて行きます。

 9月3日の抗日式典に参加した潘基文(バン・キムン)国連事務総長が習近平主席と会いました。韓国の外相も務めた外交官僚出身で、2017年12月の次期大統領選挙への出馬が噂される人です。世論調査で「次期大統領にふさわしい人」を聞くと、1位に選ばれることもしばしばです。

 人民網の「習近平主席が潘基文国連事務総長と会談」(9月4日、日本語版)によると、潘基文氏は習近平主席に対し、以下のように語っています。

  • 本日午前に行われた中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利70周年記念大会は大変素晴らしかった。中国の人々は反ファシズム戦争の勝利に大きな犠牲を払い、重大な貢献をした。
  • この行事によって、平和を守るという中国の人々の願いが存分に示された。中国は長年にわたって国際平和・開発事業に積極的に尽力してきた。

—「平和を守るという中国の願い」ですか。なるほど、韓国が引き返せるとは、とても思えませんね。

鈴置:韓国は「中国の尻馬」にしがみつくしかなくなったのです。

9/30日経ビジネスオンライン 福島香織『習近平訪米、成果喧伝の裏側で…冷淡さ際立つ米国は中国との「取引」に乗るのか』について

中国は日本のファシズムを打倒したと獅子吼しますが、中国の今の共産党統治はファシズムよりもっとひどいのでは。一党独裁(多数政党を認めず、あったとしても傀儡)、議会制民主主義の欠如(選挙制度無し、あったとしても形だけ)、軍事優先(GDPに占める軍事費の膨張、表の数字にでないものあり、軍事拡張主義)、格差増大(富の平等を目指す共産主義が甚だしい格差を生じる矛盾。経済的自由は認めても政治的自由を認めない為、賄賂が横行、市民の監視が行き届かず)、監視社会(档案による党の監視、密告社会)等。それで中国では次に生まれ変わるなら中国以外の国にというのが64%(2006年「網易」調べ)も出る訳です。日本人は自虐教育のせいで自信を失ってきましたがこんなことはありません。昨年10月の産経新聞記事によれば83%が日本人のままを希望です。http://www.sankei.com/life/news/141031/lif1410310002-n1.html

世界も中国が歴史の改竄・捏造をして日本を貶めているのは知っていますが、日本に対するジェラシーと日本が強くなっては自国が相対的に弱くなるので見て見ぬ振りをしてきました。ここに来て「韜光養晦」から「有所作為」にギアチエンジした中国の傍若無人ぶりが目立つようになり、世界は矛先を中国にむけるようになりました。中国の報道はいつも日本が歴史を改竄・捏造しているという論調ですがこれで彼らはいつも嘘を言っているというのが分かるでしょう。日本人も中国人は平気で嘘がつける民族と言うのを理解しておいた方が良いです。日本人の左翼・リベラルな学者は中国からの金に転んでいるか、マスコミの下請けで金を得ているので、彼らに媚びるため不誠実な論理を展開する人たちが多いという事も踏まえておいた方が良いと思います。

令完成と郭文貴をアメリカが手放すことはないと思います。あのオバマでさえ。彼らだって命は惜しいからアメリカに全部の情報を与えず小出しにしているのでは。殺されたら全部アメリカ政府に情報が行くような仕組みにしているのでは。アメリカも中国のキツネ狩りには相応の防御態勢を敷いていると思います。アメリカは「スノーデンの仇は令完成と郭文貴」と考えているのでは。2700件もの情報を令完成は持っているとのこと。習の取り巻きのセックス映像が流れたらどうなるでしょう。習本人であれば世界に衝撃が走るでしょう。アメリカはこれで習体制の中国を脅すことができます。使う意思があればの話ですが。

記事

 習近平の訪米が終わった。どのような成果があったかをまとめてみたい。

 当たり前ではあるが、これは中国で報道されているのと、中国の外で報道されているのとではかなり温度差がある。米国の報道をみれば、実に低調で、CNN報道など、わざとかと思うくらい、習近平訪米ニュースを無視していた気がする。建前上、国賓待遇のもてなしであったが、政治的外交的成果は?というと、サイバー攻撃問題に関する合意にしても、軍事衝突の回避に関する合意にしても、気候変動協力に関する共同声明にしても、えーっと、だから?というぐらい、さらっとしか報じられていない。劇的に米中関係が改善されたとか、米国の中国に対する疑念が薄まったとか、信頼が深まったとか、ポジティブな評価がほとんどない。

ローマ法王大歓迎、習近平は「恥知らず」

 27日、中国の共同主催で国連で開かれたジェンダーの平等と女性の地位向上をテーマにしたサミットでは、UNウィメンに1000万ドルを寄付したり、女性の権利尊重を中国指導部として打ち出したりと、いいこと言っているのに、ヒラリー・クリントンから「フェミニスト活動家を迫害しておきながら、国連で女性の権利に関する会議を主催だと? 恥知らずな」とツイッターで突っ込まれるなど、冷ややかな反応しか見えてこなかった。実際、習政権は公共交通機関におけるセクハラ撲滅を訴えるフェミニスト活動家を「挑発罪」で不当逮捕して長らく拘束するなど、とても女性の権利重視の政権とはいえない。いいことを口でいっても行動がともなっていないのだから、この反応は仕方あるまい。

 習近平訪米に対する米国のメディアや世論の冷淡さは、ほぼ同じ時期に初訪米したローマ法王フランシスコ猊下関連報道の盛り上がりと対比すると、さらに際立つ。法王は習近平のかなわなかった米議会での演説を果たし、会場は満員御礼。テレビチャンネルのどこを開けても法王ニュース。一方、習近平の国連演説は閑古鳥が鳴いていた様子で、中国共産党に対して意地の悪い香港の蘋果日報がわざわざフランシスコ演説の写真と並べて報じていた。習近平サイドは、法王に話題を持っていかれるのが嫌で訪米日程をずらしてくれ、と内々に頼んだらしいが、オバマサイドは、時間の都合がつかない、ということでその要求を一蹴したとか。ひょっとしてオバマ政権の習近平政権に対する嫌がらせか、と思うほどの格差待遇であった。むしろ、日本メディアの方が、よほど好意的に報じていた気がする。

習近平訪米が米国内であまり話題にならなかったのは、そもそもこの訪米自体が習近平の内政向けメンツのためのもので、米国にとっては、いわゆる大きな外交成果、利益が期待されるようなものではなかったことがある。中国側にとってもオバマ政権はすでにロスタイムに入っていると、あからさまに舐めていたところがあろう。なので、中国にとっての今回の訪米成果は、中国国内でどう報じられたか、その政治宣伝によって、習近平の権力掌握や権力闘争にどういう影響があるかに、本当の意味がある。

「歴史を書き換える成果」続々

 では中国国内ではどう報じられているか。今回の訪米は「歴史を書き換える成果」があったと大宣伝されている。

 まず「米中は新型大国関係を発展させることを再確認し、習近平オバマ会談以降、それは新しい高みに登っていく」(新華社)という。いつの間に、米中の間でそんな確認が行われたんだ、と慌てて会見録をみるも、公式の記者発表では、オバマから一言も新型大国関係という言葉は出ていない。こんな報道をすれば、日本ならば、捏造報道か?あるいは非公開の裏会談があったのか?とメディアに追及されるところだが、中国においては、報道は政治宣伝であるから問題ない。

 中国としては、今回の訪米の最大の目的は、中国の大国ぶりをオバマに見せつけ、中国が米国と対等に付き合える大国である、ということを米国に認めさせ、米国との対等なパートナーシップを国内の政敵に見せつけて権力闘争を有利に運び、「大国米国と対等に渡り合える力強い指導者・習近平」のイメージを大衆に刷り込むためのパフォーマンスである。

 そもそも、「『カイロ宣言』の陰の立役者は毛沢東、ルーズベルトは毛沢東を絶賛」という映画を作り、「中国が米国とともに、反ファシスト戦争を戦い戦後秩序を構築した」といった戦勝国自称など、これまでも好き放題、歴史を書き換えてきたのだから、今さら「歴史を書き換える成果」の一つや二つは珍しいことではない。

新華社の報道によれば、今回の訪米の成果は「政治、経済貿易、人文、気候変動、科学技術、執法、国防、航空、基礎インフラなどの領域49項目においての重要な共通認識を確認。その第一項目が新型大国関係を発展させることの再確認だ」という。

 そして「2013年6月の初会談から双方が新型大国関係の構築に対し重要な共通認識をもち、努力を続けてきた。…2014年11月のオバマ訪中期間に、新型軍事関係に進展があった。…中米新型大国関係は“中国脅威論”に対する有力な反撃力である。…中米新型大国関係は両国民の根本利益にかなう。…」と論評している。

裏テーマは令完成の引き渡し

 次に、大きな成果として喧伝されているのが「人民元の国際化がさらに進んだ」「人民元のSDR加入に対する米国の態度は軟化」である。確かに訪米の目的の一つは、人民元のSDR構成通貨入りへの“お願い”であるが、これは好感触があったということなのだろうか。しかしこれまでの中国の唐突で中途半端な切り下げや、市場ルールより行政指導でコントロールされる金融業界体質をみるに、この調子の人民元が国際通貨になった暁には、国際金融市場はものすごく不安定化してしまうのではないか。それでも米国は中国に花を持たせるのだろうか。

 またオバマが「台湾独立、チベット独立、新疆独立を支持せず、香港事務に介入しない」と確認したことも成果として報じられている。これは米国側の発表には触れられていない。

 ところで公式報道にはないが、この訪米の裏テーマとして注目されていた件がある。米国に逃亡中の実業家・令完成および郭文貴の引き渡し問題である。

 令完成とは、胡錦濤の側近で、権力闘争の犠牲として失脚した元統一戦線部長の令計画の弟である。彼は、令計画から預かった習近平政権の命取りになる国家機密をもったまま米国に逃亡し、8月にはニューヨークタイムズが政治亡命を申請中と、その米国在留の事実を報じている。郭文貴は曾慶紅と親密な実業家で、王岐山のスキャンダルを握ったまま米国に逃亡中とされている。

習近平訪米前に、この二人を含む、“汚職の逃亡犯”の引き渡し要求交渉が水面下で行われていたという。そして、9月21日の訪米直前に東方日報など一部香港メディアで、令完成の中国への引き渡しに米国が応じるとの密約が交わされていると報じられた。日本メディアもこのニュースを転電した。真偽不明とわざわざただし書きするほど、にわかに信じがたい情報だが、確認がとれなくても思わず転電してしまうほど、ショッキングなニュースでもある。

 香港で流れている情報を整理すると、習近平訪米を控えて、重大腐敗事件に関する処理について米中双方で話し合いが行われており、訪米後には、米国への中国人逃亡犯と不法移民の強制送還が実現される見通しという。今年3月の段階で、中国側は米国に返還要求リストを提出。中国側がリストアップしている逃亡汚職犯100人余りのうち約40人が米国に居住し、9月18日、および24日にすでに二人が強制送還されているそうだ。このリストの中に二人の名前ははいっていないが、彼らについては別の窓口で慎重に交渉が続けられていたようだ。

「中国版スノーデン事件」の行方は

 令完成に関しては、中国側は引き渡してくれるなら二つの条件を飲む、と提案したという。一つは令完成が米国に所有する6億ドル相当の資産の返還を求めないということ。二つ目には米国にいる2万5000人の不法移民の引き取りに応じるということ。中央政法委書記の孟建柱が習近平の特使として派遣され、この交渉をまとめた、というのだ。

 このネタ元は、「令完成事件」調査に参与する北京サイドの人物、つまり習近平サイドのリークなので、多分に令計画や胡錦濤サイドら政敵の動揺を誘うフェイク報道の可能性もある。実際、かつて“令完成逮捕”というフェイク情報を香港メディアを通じて流し、抵抗していた令計画一族を追い詰めたこともある。

 令完成が持ち逃げした「国家機密」は、兄の令計画が中央弁公庁主任時代から集めていた政治、軍事、経済、外交、文化など2700件の機密文書、という膨大なもので、「中国版スノーデン事件」とまで呼ばれている。

その中で米国サイドが特に注目しているのは、サイバー攻撃の幹部名簿、米国に潜入している中国側諜報員リスト、対米外交戦略の内幕などだと言われている。習近平サイドが心配しているのは、習近平や王岐山ファミリーの不正蓄財情報、セックススキャンダルのほか、権力闘争の内幕だとか。

 東方日報は、令完成はそれらの機密の一部をすでに米国政府に提供しており、最近出されたランド研究所の「米中軍事スコアカード」リポートには、令完成がもたらした情報も反映されているのではないか、という憶測も報じている。

問われる米国の良心と威厳

 元CIA局員のエドワード・スノーデンは香港に逃亡後、2013年6月の習近平初訪米の際に、インターネット監視システムを使った米国NSAによる個人情報収集手口(プリズム計画)を暴露し、米国の信用と評価を落とし、結果的に中国の対米強硬外交に加担することになった。そのスノーデンを中国当局はロシアに逃がしたのに、米国が令完成を中国に引き渡したとしたら、米国の“良心”が問われることにもなる。中国では、国家機密漏洩は最高死刑判決もありうる重大犯罪であり人道的な問題もあるが、それ以上に、2017年の党大会を控えて激化している習近平と胡錦濤派、共産主義青年団派との権力闘争の行方に重大な影響を及ぼし、おそらくは習近平政権の独裁路線強化に加担する結果となる。

 まさか、そんなことがあるわけがない、というのが大勢の見方なのだが、一部では、(根が親中派の)オバマ政権ならやりかねない、という不信感や動揺が広がっていることも確かだ。

 そんな不信感や疑念が流れてしまうほど米国の国力と威厳がかすんでいることを露呈したのが、中国にとって最大の訪米成果かもしれない。