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『日本の不動産「爆買い」から撤退する中国人 富裕層は五輪を前にタワーマンションを早くも売却』(9/20JBプレス 姫田小夏)について
9/22日経<中国の民間債務急増に警鐘 BISなど、金融危機のリスク
【北京=原田逸策】中国の民間債務の急激な増加に国際機関が相次いで警鐘を鳴らしている。国際決済銀行(BIS)は18日付の四半期報告書で、中国などを念頭に「債務の伸びが国内総生産(GDP)の成長率より異様に高い」と指摘。国際通貨基金(IMF)も8月の年次審査報告書で「早急に企業債務の問題に取り組むべきだ」と促した。中国政府も債務の削減に乗り出したが、実効性は上がっていない。
BISは企業と家計を合わせた民間債務のGDP比率が、これまでの傾向とどれだけ乖離(かいり)しているかを示す指標を公表している。債務が過去を上回るペースで膨らめばプラスとなる。
報告書によると、2016年3月末で中国は30.1%。調査対象の43の国・地域で他を引き離して最も高い。15年12月末より1.7ポイント高く、直近の底だった11年12月末から23.4ポイント上昇した。
BISは「プラス幅が10%を超えると、3分の2の国で3年以内に金融危機が起きた」と説明する。バブル経済が崩壊した1990年に日本は23.7%、サブプライム危機が起きた07年に米国は12.4%といずれも過去最高を記録。アジア通貨危機が起きた97年のタイは35.7%で中国はこの水準に迫りつつある。外貨準備高の水準などが異なるため他国の例と単純比較はできないものの、中国はBISが指摘する警戒ラインを大きく上回っている状態だ。
IMFも8月の報告で中国の企業債務問題に「早急に包括的な対応が必要」と指摘した。具体的には国有企業への政府支援の制限、過剰債務を抱えた「ゾンビ企業」の再編、失業者の支援――などを挙げた。「(中国経済は)脆弱性が増し、ショックへの抵抗力が弱まりつつある」(リプトン筆頭副専務理事)
BISによると、中国の家計・企業を合わせた民間債務のGDP比率は16年3月末で209.8%。08年9月末には115.7%だったが、リーマン・ショック直後に打ち出した「4兆元対策」(当時の為替レートで約57兆円)とその後の中国経済の成長鈍化で急激に上昇した。
習近平指導部も昨年12月に「供給側(サプライサイド)改革」を打ち出し、過剰債務の削減を目標の一つに掲げた。5月には年5000億元規模の企業減税を始めた。企業の税負担を軽くし、稼いだ金を借金返済に回してもらう狙いだ。
ただ、足元も民間債務は減っていない。企業や家計の資金調達額は1~8月に11兆7500億元と前年同期より1兆1千億元多い。個人の住宅ローンが急増する一方、民間企業主体の中華全国工商業連合会の譚林経済部長は「銀行はすでに融資した先にまた貸すのに慎重な態度だ」と話す。
大手商社の幹部は「銀行による『貸し剥がし』でつぶれる中小企業が出始めた」と話す。中国人民銀行(中央銀行)が引き締めに動けば、まず中小企業融資が絞られる可能性が高く、慎重に進めざるを得ない。過剰債務を抱えた国有企業の淘汰も、失業増加を恐れる地方政府の反対で進んでおらず、民間債務圧縮の道筋は不透明だ。>(以上)
日中間で戦争になる前に中国経済が崩壊することを望むものです。ただ、何千万も自国民を殺した毛沢東に指導された中共が牛耳るキチガイ国家ですから逆に戦争に出るかも知れません。でも、日本の経営者の危機感の無さは何でしょう。230人も訪中団を組成し、敵国経済を助けようとしているのですから。中国に投資してもそんなに簡単に儲けさせてくれないというのをお偉方は分かっていないようです。真のエリートが会社のトップにいないから、大局を読み間違うのです。
http://www.sankei.com/economy/news/160921/ecn1609210010-n1.html
日本の不動産の売却では日本での譲渡所得税の支払い義務が生じます。勿論、売却額-(取得額+必要経費)にかかる税金ですが。売り逃げを防ぐには、中国へ「税金未納通知」をすることです。どうせ賄賂等ダーテイマネーで買った物件で、表には出せない金でしょう。マネロンの可能性もあります。ただ、本人を追跡できるかどうかが問題ですが。偽身分証や偽パスポートなどザラですから。下のURLは上海の偽護照(パスポート)と偽籤証(VISA)の会社が堂々と広告しています。中国とはこういう国です。
中国は「上に政策あれば下に対策あり」で、規制を強化しても抜け道を見つけるはずです。そもそもで言えば50万$などは合法的に稼げる人は少ないでしょう。賄賂が圧倒的と思います。外貨で賄賂を取り、キャッシュで日本の不動産を買えば問題はありません。ただ日中or日米VS 中で戦争が始まれば相手国の資産凍結・資産没収が行われるでしょう。
9/17産経ニュースで古森義久氏はランド研究所の報告として「2025年までに「米中戦争」が起きると警告した報告書の危険な中身とは? 引き金は尖閣での日中衝突」が起きるとの記事を書いています。平和ボケしている日本人はもっと危機感を持った方が良いでしょう。2025年と言えば、後10年以内に戦争が起きるという事です。憲法改正できていなくとも自衛権の発動で戦わざるを得ません。そのときになって初めて大多数の国民は国防について真剣に考えるのでしょうか?それとも人権抑圧国家・中国に隷従する道を選ぶのでしょうか?チベット、ウイグル、モンゴルを良く見てほしいものです。日本の平和愛好者と言うのは隷従する道を歩ませようとしているとしか思えません。100%の日本人は戦争反対でしょう。そうであるなら抑止力としての武力を持たなければなりません。中国が歴史を改竄・捏造して尖閣はおろか沖縄、日本へと侵略の触手を伸ばしてきていますので。正しい情報を得るためには、偏向メデイア(朝日、毎日、東京)の購読を中止にし、別の媒体に変える必要があります。
http://www.sankei.com/column/news/160917/clm1609170008-n1.html
記事

レインボーブリッジからの東京・晴海地区の遠景(出所:Wikipedia)
ここ数年、中国人富裕層がこぞって日本の不動産に投資していることが、たびたびメディアに報じられてきた。
中国人富裕層は、数年前から中国の不動産に対してこれ以上値上がりしないだろうと見切りをつけるようになった。一方、日本の首都圏の不動産は中国沿海部の大都市に比べて割安感があり、五輪効果で値上がりが期待できる。
中でも中国人富裕層が目を付けたのは、東京・晴海地区を含む湾岸エリアのタワーマンションだ。晴海地区のタワーマンションは、2020年に開催される東京五輪の選手村を階下に見渡せるという話題性もあり、首都圏のマンションの中でも人気が高い。価格もここ数年でじりじりと上昇している。そのタワーマンションを、中国人富裕層が群がるように買い求めた。
今や、物件によっては総戸数の1~2割が中国人オーナーというところもある。
「私が住むマンションも中国人が多いですね」と語るのは、湾岸エリア北側の豊洲地区のマンションを購入した三井真由美さん(仮名)。三井さんは「ここは総戸数が1000戸を超える大規模マンションですが、そのうち100世帯は中国籍の方ではないでしょうか」という。
中国人のマナーが問題になっていないかと尋ねると「それはあまり気になりません」とのこと。それよりも、同じマンションの居住者たちが大きな関心を寄せていることがあるという。「中国人オーナーが、いつ物件を売りに出すのか」ということだ。
中国人富裕層がタワーマンションを売却
ここ数年、首都圏の不動産市況は好況が続いたが、湾岸エリアなどでは高級物件を中心に腰折れ感が出始めた。
東京カンテイ市場調査部の高橋雅之氏によれば、「中華圏の富裕層が購入したタワーマンションでは、売却も増えています」という。
湾岸エリアの不動産仲介業者も、中国人投資家の割合が高い物件が集中する「晴海地区での売却が出始めています」と明かす。「2年前、新規分譲のある物件を青田売り(竣工前販売)しました。2年経ってようやく入居が始まったのですが、早くも売りに出す中国人投資家がいます」(同)
2年前に比べると、晴海のタワーマンションの価格は10~15%上昇している。2年前に6000万円をつけたマンションなら、現在の価格はおよそ7000万円である。中国人投資家の一部は、市場がピークを打って一斉に値下げに転じる前に「高値売り抜け」に出ようという算段らしい。
日本の不動産への関心はなくなっていないが・・・
昨年まで見られた中国人による「炊飯器やオムツの爆買い」は、ほとんど姿を消したようだ。実は「不動産の爆買い」も、急減している。首都圏に店舗網を持つ大手不動産販売の管理職は、「以前に比べて中国のお客様からの問い合わせは半減しました」と語る。
中国人投資家は、首都圏の不動産市場をどう見ているのか。値上がりが見込めない日本の不動産は見向きもされなくなるのだろうか。
中国人投資家を日本の不動産業者に紹介する、ある中国人仲介役から、たまたまこんな話を聞くことができた。
「中国人投資家は、依然として日本の首都圏の不動産に強い関心を抱いています。目的はさまざまですが、特に目立つのが『安定がほしい』『やすらぎがほしい』という需要です。私の中国人のお客さんの中には、日本風の古民家を購入した人もいます。中国経済の先行きが不透明な中で、日本に資産を移転させたいという動きも衰えていません」
国家権力を以てしても個人の所有権を奪えないという、日本の登記の効力も魅力なのだという。
強化された送金規制
その一方で、中国人からの日本の不動産への「問い合わせが半減」していることの理由について、この中国人はこう語った。
「中国で送金規制がさらに強化されたのです。中国人投資家は誰もがこの送金の問題に頭を痛めています」
中国では国家外貨管理局が「1人当たり年間5万ドルまでしか持ち出せない」と規定しているため、中国人富裕層はあの手この手で資産を海外に持ち出してきた。その手口の1つが、「蟻の引っ越し」(蚂蚁搬家)だ。協力者を何人も集めて、それぞれに上限の5万ドルを海外に持ち出させるのだ。仮に10人集めれば、50万ドルの送金ができる。中国人富裕層は、こうした人海戦術によって海外で高額な不動産を購入してきた。
ところが、そのやり方が突如できなくなった。加速する資産流出、歯止めがかからない外貨準備高の減少に、国家外貨管理局が業を煮やし、規制強化に乗り出したのだ。今年1月から、割り当てられた枠を他人のために使う行為は厳しく取り締まられるようになった。「同一の海外口座に5人以上が送金を行った場合、名義貸しを行った人は当局のブラックリストに載せられてしまいます」とこの中国人は首をすくめる。
円高に加えて中国側の政策変更により風向きは変わった。湾岸エリアでは東京五輪を待たずして、早くも「爆買い手じまい」となりそうな空気が漂っている。
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『平成28年版防衛白書を読み解く 何を伝え、何を伝えていないのか』(9/20JBプレス 矢野義昭)について
与那国だけでなく奄美や宮古、石垣等南西諸島に陸自の配備予定とのこと。予算・人員・装備をしっかり配分しなければ中国への抑止力になりません。
http://matome.naver.jp/odai/2140088706815504401
http://www.sankei.com/politics/news/160530/plt1605300006-n1.html
本記事は、長いのでコメントは短めにします。自衛隊員の生命を守るためには、法律をポジテイブリストからネガテイブリストに変える必要があります。国民にキチンと脅威と危機について説明しなければ防衛予算増額も覚束なくなります。政治配慮は必要ありません。「人殺し予算」とか抜かした日本共産党はバッシングを受けました。裏で誰が操っているかすぐ分かるでしょう。南スーダンは中国が利権を持っていますので、彼らに任せ、尖閣の防衛or南シナ海に戦力を回した方が良いでしょう。米軍との共同作戦を展開しなくては。防衛白書が、奥歯に物が挟まった言い方なのは、背広組が自主規制しているのでは。
政府は危機感が足りない気がします。メデイアの横暴を止められないのであれば、新規参入しやすくしたり、課税強化したりすれば良いでしょう。パチンコも営業禁止にできなければ売上税を課すようにしたらどうか。敵の弱体化を図らないと。
記事

静岡県御殿場市にある東富士演習場で実施された陸上自衛隊「富士総合火力演習」の予行で、ヘリコプター「UH-60ブラックホーク」から懸垂下降する隊員(2016年8月25日撮影)〔AFPBB News〕
今年も例年通り、『平成28年版日本の防衛 防衛白書(以下28年版『防衛白書』と略称)』が公刊された。他方では、中国の漁船200隻以上が公船などとともに尖閣諸島周辺に押し寄せ、北朝鮮は今年に入り、核実験、各種ミサイルの発射試験のテンポを上げている。
日本を取り巻く安全保障環境は、これまでになく厳しさを増している。
『防衛白書』には、国民世論に対して防衛政策への理解を深めてもらうという目的がある。現在の日本の危機的な情勢の実相と、その中で日本として採るべき対応策について、今年の白書は、何を伝えようとしているのだろうか。
また、現在の緊迫した情勢のもとで真に国民に伝えるべきことが伝えられているのだろうか。このような観点から、昨年27年阪の『防衛白書』と比較しつつ、検証する。
1 目次構成
昨年同様の全3部構成である。
第Ⅰ部「我が国を取り巻く安全保障環境」の目次は変わっていない。
第Ⅱ部「わが国の安全保障・防衛政策と日米関係」では、「平和安保法制などの整備」が節から第3章に独立し、経緯と概要が詳述されている。
昨年は第Ⅱ部第2章にあった「防衛装備移転三原則」は、今年は第Ⅲ部の第3章「防衛装備・技術に関する諸施策」にまとめられた。
昨年は第Ⅱ部第4章にあった「防衛省改革」は、第Ⅲ部「国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組」第1章第1節「防衛省・自衛隊の組織」に簡略に記述されている。
第Ⅲ部第2章「安全保障協力の積極的な推進」について、昨年は第2節「国際社会の課題への取組」としまとめて記述されていた、「海洋安全保障の確保」、「国際平和協力活動の取組」、「軍備管理・軍縮・不拡散への取組」は、今年は第2節、第3節、第4節に独立して詳述されている。
第Ⅲ部第3章「防衛装備・技術に関する諸施策」には、「研究開発に関する取組」、「民生技術の積極的な活用」、「ライフサイクルを通じたプロジェクト管理」などの項目が新設され、「防衛装備移転三原則」が含まれるなど、防衛装備・技術に関する事項がまとめて記述されている。
以上からは、28年版では、昨年可決成立した「平和安保法制」と、それに基づき進められている国際的な「安全保障協力の積極的な推進」、「防衛装備・技術に関する諸施策」の推進の実態について、詳述しようとする意図が伺われる。
2 「巻頭特集」
28年版で新たに設けられた「巻頭特集 日本の防衛この一年」では、以下の項目が列挙されている。
①平和安全法制の成立・施行 ②防衛装備庁の新設 ③北朝鮮による核実験、弾道ミサイルの発射 ④各地で発生した自然災害 ⑤海外で活躍する自衛隊 ⑥自衛隊観艦式『海を守り、明日を繋ぐ』
これらの項目は、平和安保法制の成立を軸に、脅威認識、防衛省改革、安全保障協力活動、国民との一体化をテーマとしており、巻頭言や目次構成の狙い、重点事項と符合している。
3 第Ⅰ部「我が国を取り巻く安全保障環境」
(1)概説
・昨年は「わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している」としていたが、今年は「わが国周辺を含むアジア太平洋地域における安全保障上の課題や不安定要因は、より深刻化している」と要約している。
・「概説」の中で、北朝鮮と中国の脅威を特に列挙し、北朝鮮による「核兵器・弾道ミサイルのさらなる進展を「重大かつ差し迫った脅威」、中国の現状変更の試みは「わが国を含む地域・国際社会の安全保障上の懸念」と指摘、中朝の脅威増大に警戒感を高めている。
・グローバルな安全保障環境の中では特に、ロシアのウクライナで行った現状変更の結果は「固定化の様相を呈し」、中国の南シナ海での献上変更の「既成事実化がより一層進展する中、国際社会の対応に課題を残している」としている。中国のみならずロシアが新たな脅威として認識されている。
・グレーゾーンの事態の増加・長期化、テロの世界的拡散、サイバー空間へのリスク、領土問題の指摘は昨年と同じである。
・「関連事象」の図の中では、北朝鮮の「度重なる挑発的言動」、中国の「透明性の欠如」、東シナ海での「現状変更の試み」、南シナ海での「現状変更とその既成事実化」、太平洋進出の「高い頻度での維持」も指摘している。特に中国の活動活発化が重点的に採り上げられている。
(2)米国
・今年は、①中国の軍事的台頭をはじめとする、グローバルなバランス・オブ・パワーの変化、②ウクライナや南シナ海を巡る力を背景とした現状変更の試み、③ISILなど国際テロ組織による活動の活発化などの「新たな安全保障環境」のもと、米国の世界へのかかわり方が「大きく変化しつつある」としている。昨年の白書では単に「変化しつつある」とされていた。
2013年5月、バラク・オバマ大統領は大統領として初めて、米国が「世界の警察官」の地位を降りたことを表明したが、その後の世界では、中露朝など秩序挑戦国の台頭により世界的な情勢不安定が進んでいる。
今年の白書はそのことに対する率直な懸念を示している。特に、ドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補となってから、その懸念は強まっていると言えよう。
・米国は、「短期的には過激派組織、中長期的には既存の国際秩序や米国及び同盟国の利益を脅かすことを試みる国家」を脅威と認識していると述べている。対応策として、同盟国との関係強化とリバランシングが継続されるとみている。
昨年は中東およびウクライナを巡る情勢が与える影響に注目が必要と指摘していたが、今年はそのような指摘はない。オバマ政権はリバランシングの維持を追求しているが、2015年7月に統合参謀本部議長から公表された『国家軍事戦略』では、ロシアを第一の脅威とみとおり、新大統領のもとリバランシングが維持されるかは微妙になっている。
・米国の軍事的優位性が徐々に浸食されているとの認識の下、米軍の優位性の維持・拡大のため、新たな分野の軍事技術の開発を企図して「第3のオフセット(相殺)戦略」を推進しているとしている。
「第3のオフセット戦略」については、「大国に対する通常戦力による抑止を強化するため、技術・組織・運用面において優位性を維持することを狙いとしており、人間と機械の協働及び戦闘チームへの投資を重視するとしている」と明確に狙いと重点について述べている。
この戦略は今後の米軍の基本戦略として、装備、訓練、運用などの教義の基本となるとみられ、同盟国に対してもこの戦略に基づき、共同の計画、運用、訓練、研究開発などでの協力要請を投げかけてくるものと思われる。
日米共同においても、人間と機械との協働、特に自律分散型の人工知能を搭載したロボットシステムの開発と運用がキーになると思われる。
・米軍の最近の動向として、新たに、日本へのイージス艦の追加配備と配備予定、比への巡視船、調査船各1隻の供与とA-10の配備、シンガポールへの沿海域戦闘艦の4隻配備、P-5のローテーション配備および米星防衛協力強化協定の署名などが追加された。リバランシングの具体的進展を強調している。
(2)北朝鮮
・脅威度について、昨年の「重大な不安定要因」との表現から「重大かつ差し迫った脅威」と、より強い表現になっている。
・大量破壊兵器・ミサイルの開発については、4回目の核実験について触れ、「一般的な水爆実験を行ったとは考えにくい」との評価をしている。半面、「既に核兵器の小型化・弾頭化に至っている可能性も考えられる」とみており、「技術的な信頼性は前進」したとみている。
このように、試験を重ねるごとに北朝鮮の核とミサイルの能力が向上していることを認め、警戒感を強めている。
・SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の開発、KN14の登場など、新たな動きにも触れている。なお、軍事挑発の可能性、奇襲攻撃能力の向上については昨年同様に強調している。
・ムスダンが一定の機能を持つことが示され、固体燃料エンジンの燃焼試験など、新たな中・長距離弾道ミサイルの実用化に向けた技術の獲得とその高度化を追求する姿勢を示しており、さらなる技術の向上の兆候があるとしている。
このような多様な核ミサイルの配備が今後進めば、北朝鮮の核戦力は、米本土を攻撃する能力を持つだけではなく、米側の先制攻撃や報復攻撃から残存して、日韓などの米同盟国やグアムを報復攻撃する能力も持つようになり、対米最小限抑止段階に近づくことになるであろう。
・内政面では、金正恩の独裁が強化され、第7回党大会を2016年5月に開催、「核保有国」と自称し、並進路線を継続し、核とミサイルの開発を続けることを表明したことを指摘している。粛清が相次ぐなか、挑発や不確実性の増大に警戒感を示している。
・南北関係は地雷爆発を契機に「極度に緊張」した。半面、北朝鮮が4度目の核実験を強行したことにより中朝関係が冷却化している可能性があるとしている。
ただし、中朝関係は、その後、韓国へのTHAAD配備などを契機に米中関係、中韓関係が冷却化したのに伴い、関係が改善している可能性もある。
(3)中国
・「全般」の冒頭の表現は昨年とほぼ同じで、中国が「より協調的な形で積極的な役割を果たす」ことへの期待と、中国の「高圧的ともいえる対応」や「危険な行為」などへの懸念を示している。
昨年同様に反腐敗闘争の継続、A2/AD能力の強化も指摘している。「全般」の記述は抑制的であり、「中国」の記述順序も下げられており、対中配慮がにじみ出ている。
ただし昨年は単に「懸念を抱かせる」としていたものが、今年は「強い懸念を抱かせる」と、より警戒感を高めた表現になっている。
・「軍事」や「活動状況」では、昨年よりも具体的かつ詳細に中国の軍事力増強、軍改革や活動活発化の実態について述べており、説得力に富んだ内容となっている。中でも周辺海域での活動は詳細に図示されている。
特に「軍事」では、軍事費の28年間で44倍への急増、軍改革、空母建造を公式に認めたこと、次世代戦闘機の開発について記述された。
「活動状況」では、「外洋への展開能力の向上を図っている」とし、2016年のフリゲート艦、情報収集艦の活動など、活動範囲を「一層拡大するなど、わが国周辺海域の行動を一方的にエスカレートさせており、強く懸念される」としている。
さらに中国公船の領海侵入のルーチン化、公船への機関砲とみられる武器の搭載、中国機に対する緊急発進数の急激な増加、中国軍用機の南下、海洋プラットホームの増設などの事例を列挙して、強い警戒感を示している。
・「南シナ海及び「遠海」における活動の状況」についても、南沙諸島の埋め立て、西沙諸島の軍事基地化などの事例を挙げ、「自らの海上戦力を「近海防御・遠海護衛」型へとシフト」させ、「インド洋などのより遠方の海域での作戦を実行する能力を着々と向上させている」としている。
この「近海防御・遠海護衛」へのシフトは、昨年公表された中国の『国防白書』にも明記された新たな海洋戦略の方向であり、今後より具体化してくるとみられる。尖閣周辺での活動もますます活発化すると予想され、わが国としても不測の事態への備えが欠かせない。
(4)ロシア
・昨年版に続き、厳しい経済状況の中、軍の活動領域が拡大していると指摘している。今年は、シリアへの軍事介入と北方領土での活動に触れている。
・ウクライナ情勢について、「現状変更の結果は固定化の様相を示しており、特に欧米を中心にロシアに対する脅威認識が増大している」とし、欧米は中国よりもロシアを脅威視していることを指摘している。リバランシング戦略が継続されるか否かへの影響が注目される。
・改定されたロシアの『国家安全保障戦略』の内容について、「多極化する世界の中でロシアの役割がますます増大」し、「軍事力の果たす役割を重視し、十分な水準の核抑止力やロシア軍等により戦略抑止と軍事紛争の阻止を実施する」とまとめている。
米国の力が相対的に弱まり多極化する中、ロシアの軍事力、特に核抑止力が重要とのロシアの姿勢を明示している。
(5)東南アジア、国際テロなど
・東南アジアでは、中国による「一方的な現状変更及びその既成事実化に対する国際社会による深刻な懸念が急速に広まりつつある」とし、改めて中国への懸念の拡大を強調している。比中仲裁手続きなど「国際法に基づく問題解決に向けた努力」やスビ礁の埋め立ての実態なども紹介している。
・テロについては、「ホーム・グロウン型」・「ローン・ウルフ型」のテロ活動の事例が増大しており、わが国自身の問題として捉えるべきとしている。東京オリンピックを控え、日本でもテロ対策に本腰を入れるべき時点に来ているが、特に国際テロ組織と北朝鮮などの特殊部隊との連携には注意を要する。
(6)海洋、宇宙、サイバー
・海洋では米国の「航行の自由作戦」、中国のアデン湾ジブチでの施設建設、インド洋諸国での港湾建設、ロシア、中国などの北極海での活動について紹介している。特に中国の「遠洋」での活動拡大を裏づける内容になっている。
・宇宙での主要国の活動の指摘は昨年と同様であるが、中国と並びロシアの宇宙での対衛星兵器の開発、デブリの飛散がもたらす脅威を強調している。
・サイバーについては、直接攻撃よりも「より容易」との認識が広まり、昨年同様に、「中国、ロシア、北朝鮮などの政府機関などの関与」が指摘されている。国家意思を背景とするサイバー空間での脅威が、今後さらに深刻化することは明らかである。
・新たに「軍事科学技術と防衛生産・技術基盤」の項目が設けられ、「第3のオフセット戦略」について紹介されている。また、米国防省関連機関によるファンディングや欧米諸国での防衛産業の統合、装備技術協力推進の実態を記述している。
日本国内での同様の施策推進の必要性を説得するためとみられるが、軍事科学技術の優位性維持が日本にとっても重要な課題となっている。
4 第Ⅱ部「わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟」
(1)「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」「平成28年度の防衛力整備」、「防衛関係費」
・昨年とほぼ同様の内容に経年変化を加えたものが記述されている。すでに一般に公表されている内容であり目新しいものはない。
中期防の「別表」で整備規模を示し、期間内の予測しがたい国内外情勢の急変に関わりなく、中期的な予算の総枠と整備目標を事前に決めつけるという、柔軟性を欠いた不合理な整備計画策定手法という問題点は残されたままである。
・平成28年度は、「防衛大綱及び中期防に基づき、その3年目として、統合機動防衛力構築に向け、防衛力整備を着実に実施する」としている。防衛関係費は4兆8607億円、前年度比386億円、0.8%増であった。
現中期防の整備目標、わが国の防衛関係費の増額ぶりは、中露朝のみならず韓国、米国、東南アジア諸国、豪州、インドなどと比べても不十分である。
アジア太平洋を含む世界的なバランス・オブ・パワーが日本にとり不利な方向に傾いているなか、この程度の防衛予算増額では、バランスの悪化は食い止められず、同盟国、友好国などの信頼も得られないのではないかと危惧される。
統合機動防衛力構想も、情報の適時の入手、残存性、戦略機動の可能性、戦力の維持、予備力の確保などに問題点を抱えており、人と予算を大幅に増大させ、基盤を与えなければ、絵に描いた餅になりかねない。
予算の増額幅は、これまでの年率数パーセントという漸進的なものでは不十分になっている。予算を倍増する程度の本格的増額をしなければ、バランスの維持は困難であろう。
なぜなら、第Ⅰ部でも述べられているように、中国は「1988年から28年間で約44倍」に急増させている。習近平政権は「強軍」を重視しており、今後低成長になっても、経済成長以上の速度で軍事費を増額させるとみられる。
他方の米国は、連邦予算の赤字削減のため、2018年度以降大幅な国防費減額を余儀なくされるとみられている。このままでは、2020年代前半に米中の軍事費は逆転する可能性もある。
このような米中の中長期の国防予算の趨勢の下で、日米と中国のバランス・オブ・パワーを維持するには、日本も防衛予算を大幅に増額する必要がある。韓国も2000年以降国防費を17年連続で増加させており、2011年度以降は、毎年年率5パーセント前後で増額している。
(2)「防衛力を支える人的基盤」
・女性自衛官への職域開放について付言されている。女性労働力の活用という、全般政策の一環として推進されている。世界的にも兵員確保のため、女性職域の拡大が行われている。
しかし本来は、その特性上、男性隊員の増加が望ましい点も多い。正面から男性隊員確保の施策を取る努力を回避し、安易に女性隊員増員に依存すれば、その問題は現場にしわ寄せが来ることになる。
(3)「平和安全法制」
・法案は可決成立し2016年3月から施行されたため、改正法案の概要が列記されている。その意義として、「抑止力の向上と国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献することを通じて、わが国の平和と安全を一層確かなものにする、歴史的重要性を持つものであり、世界の多くの国や機関から高く評価・支持されている」としている。
「戦争法」とする国内の一部野党の非難をかわす狙いもあり、「平和と安全を確かなものとする」法制であり、国際社会からも広く支持されていることを強調している。
・半面、「歯止め」がかけられていることも強調している。「自衛隊法、重要影響事態安全確保法、国際平和協力法、事態対処法制、国家安全保障会議設置法の改正、国際平和支援法の制定」について概要を列記する際、「他国の武力行使との一体化回避」および「国会承認」の必要性を、各法を通じ明記している。
「主要事項の関係」の図でも、昨年はなかった、「他国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められない」ことをバツ印で強調している。
・しかし平和安保法制には、まだ以下のような問題点も残されている。
①存立危機事態、武力攻撃事態での「他に適当な手段がない」ことの閣議での理由説明など「対処基本方針」了承の必要性 ②国際平和協力法の「国際連携平和安全活動」の安全確保業務、および国際平和支援法の「国際平和共同対処事態」における国会の事前承認の必要性
③領域警備法などグレーゾーン事態対処の根拠法の未整備 ④戦闘地域と「現に戦闘が行われていない現場」の区分、武力行使と武器使用の区分のあいまいさなど、「武力行使との一体化論」の制約 ⑤PKO参加五原則の制約
「歯止め」を強調するよりも、防衛法制のあるべき姿を目指すならば、むしろ、残された問題点についての言及があるべきであろう。
(4)「日米安全保障体制」、「新ガイドラインの概要」
・「日米安全保障体制」については、従来通り、「わが国自身の努力とあいまってわが国の安全保障の基軸」であることを冒頭に明示している。その他の記述は昨年と大きく変わりはなく、日米同盟強化の重要性を強調している。
・「新ガイドラインの概要」の列挙項目に変化はない。日米安保体制強化のため最も重要な施策と言える「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」等について、本文中に詳述されている。
(5)「同盟強化の基盤となる取組」
・2016年6月の日米防衛首脳会談での以下の確認事項について、強調されている。
①日米地位協定の見直し ②東シナ海、南シナ海における現状変更の試みに反対 ③北朝鮮の動向を踏まえ、緊密に連携 ④新ガイドラインの実効性確保 ⑤日米装備・技術協力を更に深化 ⑥沖縄の負担軽減に努力。
昨年の日米防衛相会談に比べ、今年は①と⑥が新たに確認された。特に、⑥の確認は、「第3のオフセット戦略」を実効あるものにするうえで、欠かせない要素である。これを受けて、今年の『防衛白書』では、「防衛装備・技術に関する諸施策」が、極めて重視されている。
・「同盟強化の主な取組」では、「同盟調整メカニズム」、「共同計画策定メカニズム」の設置が、同盟強化策の要点であることから、「概要」に付言された。
・中国の力を背景とする現状変更の試みや北朝鮮の核・ミサイル開発などの脅威の高まりに対し、日米間で同盟を再度強化して抑止するとの意向が強く反映された内容になっている。
(6)「在日米軍の駐留」
・「在日米軍駐留の意義」、「在日米軍駐留経費負担」、「在日米軍の再編」の狙いと実態が強調されている。
日米同盟が抑止力として十分に機能するためには、「在日米軍のプレゼンスの確保や、緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる態勢の確保などが必要」との認識に立ち、在日米軍は、「日米安保体制の中核的要素となっている」としている。
・「在日米軍駐留費負担」では「わが国の厳しい財政事情にも配慮しつつ」との文言が入った。米国と同様に日本側の財政事象も厳しいことを、米側に理解してもらいたいとの意向が表れている。
・「在日米軍の再編」では、「地元の理解と協力を得る努力を続けつつ、米軍再編事業などを進めていく」と、米軍再編事業推進に重点を置いた表現になっている。地元の理解を得ることの限界と周辺情勢の変化により米軍再編事業の早急な実現が必要になっているという判断があると思われる。
・「沖縄における在日米軍の駐留」では、普天飛行場の移設は、沖縄の負担軽減のみならず、その発展にも資する点を強調している。
また、牧港補給地区の一部早期返還の合意、北部訓練場の返還、嘉手納飛行場以南の土地の返還、沖縄所在兵力の削減、グアム移転、オスプレイの訓練移転など、沖縄の負担軽減に取り組んでいる実績も強調している。
これらは、在沖縄駐留米軍のローテーション配備への移行と符合した動きであり、中国のミサイル網などA2/AD戦略の脅威のもとに置かれた在沖縄米軍をより安全なグアムなどへ後退配備するという戦略的狙いもある。
他方で、沖縄のみならず南西諸島全般の安全保障という観点から、在沖縄米軍が後退配備されたことによる抑止力の低下をどう補完するかが、日本自らの責任となる。
・現中期防で採られている南西諸島防衛強化のための施策は、「島嶼防衛」に列挙されている。南西諸島正面の抑止力を維持するためには、計画された日本側の南西諸島防衛態勢強化策を実行に移し、在沖縄米軍後退で生じた抑止力の低下を補完しなければならない。
しかし、沖縄では反基地闘争が活発化している。反基地闘争には、日米の防衛態勢転換を阻害することを狙いとした意図的な政治戦、心理戦の面もあり、対応を誤れば抑止力の低下を招きかねない。
沖縄県民にも、日米防衛態勢の転換、特に日本政府の南西諸島防衛態勢強化への努力に協力しなければ、自らの安全が保てなくなる恐れがあることを説得すべきであろう。
5 第Ⅲ部「国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組」
(1)「防衛力を担う組織」
・部隊運用関連業務の統合幕僚監部への一元化、防衛装備庁の新設、内部部局の改編などについて、概要を示している。昨年より地味な扱いだが、運用と装備関連業務それぞれの一元化という、画期的な防衛省改革事業が実現された。
(2)「周辺海空域における安全確保」
・中国公船の領海侵犯、南西地域の通過を伴う中国海軍艦艇の活動の活発化、ロシア空軍機の根室半島周辺での領空侵犯など、具体的な事例を挙げて、周辺海空域の安全が危機にさらされている実態を明示している。
・空自機による中国軍機に対するスクランブルが571回(昨年は464回)と過去最多となったことを強調している。中国のわが国周辺での活動の急増が顕著で、力を背景とする現状変更の試みが日本の領域にも向けられていることは明らかである。これも中国のA2/AD戦略、遠洋への進出意図の表れと言える。
(3)「島嶼防衛」
・「安全保障環境に即して部隊などを配置する」との文言が冒頭に入った。状況が悪化し、尖閣上陸が切迫していると判断されるような場合は、先手を打ち部隊を上陸させることがあることを示しており、対応がより積極的になった。
・平素からの情報収集・警戒監視の重要性と、事前に兆候が得られた場合は、「統合運用により部隊を機動的に展開・集中し、敵の侵攻を阻止・排除する」としている点は昨年と同じである。ISRと統合運用の重視は一貫している。
・ただし、今年は、兆候が察知された場合は、海上・航空優勢の獲得・維持が重要とする文言が入り、展開・集中地域は「侵攻が予想される地域」であることが示されている。
海空優勢の獲得・維持は、それができなければ島嶼侵攻は補給が続かず困難になることから、抑止策としても重要である。「侵攻予想地域」への展開・集中をいかに早く行うかも島嶼作戦成功の要件である。
・昨年は、「事前に兆候が得られず万一島嶼を占領された場合」に発動するとされていた、対地射撃による制圧後の陸自部隊の着上陸が、「島嶼への侵攻があった場合」に発動することにされている。
今回の修正は、事前の兆候把握ができていても侵攻阻止ができない場合もあることを考慮した、より現実的な表現になっている。また、島嶼の「占領」よりも「侵攻」の幅は広く、陸自の着上陸侵攻など島嶼奪回作戦の発動が、兆候把握の可否や占領の有無とは別に、主動的に行われることを示唆している。
・那覇基地の第9航空団の新編、与那国沿岸監視隊の配備に続き、警備部隊の配置、水陸機動団(仮称)の新編、哨戒機の取得など、南西地域の防衛態勢強化のための具体的な施策が、中期防に基づき列記されている。
・全般に「島嶼防衛」の内容は、より積極主動的になり、戦理的にも合理的になっていると評価できる。裏づけとなる南西諸島防衛態勢の強化が急がれる。
(4)「弾道ミサイル防衛」「ゲリラや特殊部隊などによる攻撃への対応」「海洋安全保障の確保に向けた取組」「宇宙空間における対応」「サイバー空間における対応」「大規模災害などへの対応」
・これら項目の説明内容については、経年変化以外はほぼ昨年と同様である。
・2016年の新規事項として、16年2月の北朝鮮の弾道ミサイル発射への破壊措置命令による対応、「開かれ安定した海洋」の秩序維持と中国との海空連絡メカニズム再開についての協議、熊本地震での活動などが付言された。
・「サイバー空間における対応」では、自衛隊指揮通信システム隊の監視、侵入防止、システム・規則・基盤の整備、情報共有、技術研究などの活動内容について、具体的に言及している。
・いずれの項目も、実行動に直結した内容であり、着上陸侵攻に連携して取られうる行動でもある。宇宙、特殊作戦、サイバー戦は非対称戦の重点分野とも言え、今後ますます重要になるが、自衛隊独力では限界があり、国際協力と国内の関係機関、民間との協力が欠かせない。
「宇宙基本計画」では、宇宙安全保障の確保が謳われている。サイバーの分野では、「内閣官房情報セキュリティセンター」「日米サイバー防衛政策ワーキンググループ」などが活動しており、これらとの連携が重視されている。
(5)「在外邦人等の輸送への対応」
・統合訓練の実施、コブラ・ゴールドへの参加などについて言及している。
・「平和安保法制」では「駆け付け警護」が可能になった。ただし、「現に戦闘が行われている現場」での活動はできない。また「安全確保業務」での人に危害を与える武器使用は、正当防衛、緊急避難に該当する場合のみとされており、過激派に拉致監禁された邦人を直接自衛隊が救出することはできない。
(6)「安全保障協力の積極的な推進」
・「軍事力の担う役割の多様化」「わが国やアジア太平洋地域、国際社会全体の平和と安定、繁栄に積極的に寄与」するという表現が入り、自衛隊がアジア太平洋地域において多様な役割を果たすことへの責任を明示している。
・「戦略的な国際防衛協力に向けて」という項目が起こされ、多国間と各国との防衛協力の枠組み、対話について、2016年の内容を中心に紹介されている。
「多国間安全保障枠組み」では、拡大ASEAN(東南アジア諸国連合)国防相会議が採り上げられている。
「各国との防衛協力・交流」では、昨年あったロシアとフランスが抜け、カナダが加わった。昨年は東南アジア諸国としてまとめて記述されていたが、今年はインドネシアとフィリピンが挙げられている。
防衛相会談が韓国と4年9か月ぶり、中国とは4年5か月ぶりに再開された。両国との関係は悪化していたが、対話は再開された。豪、インド、英とは着実に防衛協力が進んでいる。インドネシア、カナダとは初の外務・防衛閣僚会合が開かれた。比とは防衛装備品・技術移転協定が署名された。
ロシアとの対話はウクライナ問題で進展せず、フランスとは対露武器輸出の問題があり対話が進まなかったのかもしれない。全般に、アジア太平洋諸国、英語圏を中心に防衛協力と対話が進んでいる。
・「海洋安全保障の確保」では、ソマリア・アデン湾沖でのCTF151参加などの海賊対処、シーレーン沿岸国の能力構築支援について言及されている。
・「国際平和協力活動への取組」では、国連スーダン共和国ミッション(UNMISS)での活動とPKOでの人材育成面の協力について言及されている。教官の派遣、国連との共催で教官養成訓練が実施された。
・「軍備管理・軍縮・不拡散への取組」では、わが国が「拡散に関する安全保障構想(PSI)」に参加するなど積極的役割を果たしていることを強調している。
しかし「核兵器なき世界」を目指すオバマ大統領の主張がそのまま実現されれば、現『防衛大綱』でも「米国の拡大抑止は不可欠」とし、米国の拡大核抑止(核の傘)に核抑止力を全面的に依存しているわが国の安全保障の根幹が揺らぐことになる。単なる核軍縮推進ではこの問題は解決しないが、この点についての問題の指摘はない。
(7)「防衛装備・技術に関する諸施策」
・「技術的優位確保のための研究開発の推進」では、研究開発に先進技術及びデュアル・ユース技術を取り込んでいること、その成果として先進技術実証機(X-2)の初飛行を挙げている。
また、民生技術の積極的な活用のため、防衛省独自のファンディング制度を昨年度から開始し、109件の中から9件の研究課題を採択したことを紹介している。一部の大学等には、「平和利用」へのこだわりから防衛省のファンディング利用に抵抗があるとみられる。
・「プロジェクト管理などへの取組」のため、防衛装備庁にプロジェクト管理部を設置し、プロジェクト管理の重点対象装備品を選定するとともに、長期契約を可能にし、効率化、まとめ買いによりコスト削減と安定的調達を図っているとしている。
・「防衛装備・技術協力」では、防衛装備移転三原則に基づき、2016年に挙がった成果を列挙している。
①米国とは、日米共通装備品の整備基盤を確保するため、F-35Aの国内企業の製造参加、整備拠点設置、木更津でのオスプレイ整備などの取組を実施。
②豪とは、将来潜水艦プログラムの検討成果を豪政府に提出したが、採用には至らなかった。
③インドとは移転協定に署名し、救難飛行艇(U-2)を含むブロジェクトを探求、④比とは、移転協定に署名し、海自練習機の移転で合意した。
・「防衛生産・技術基盤戦略」については、厳しい財政事情、欧米企業の再編、国際共同開発の進展などを踏まえ、14年に防衛生産・技術基盤戦略を策定し、防衛生産・技術基盤の維持・強化のための諸施策、各防衛装備品分野の現状と今後の方向性が示された。
・米軍の基本戦略である「第3のオフセット戦略」の1つの狙いとして、同盟国の防衛生産・技術基盤の活用という面がある。特にアジア太平洋地域で随一の民生技術力と潜在的な防衛生産力、技術力を有するわが国への欧米、豪、インド、東南アジア諸国などの期待は大きい。
近年、中国の武器輸出は2006年から2010年の間に輸出額が88%増と、急拡大しており世界第3位になり、兵器生産基盤も拡大している。ロシア、南北朝鮮も同様に武器輸出に力を入れている。バランス・オブ・パワーの変化の1つの要因が、このような各国における武器の生産基盤と輸出拡大がある。
アジア太平洋域内のバランス・オブ・パワーの維持・回復のためには、米国および域内の友好国に対するわが国の装備移転の推進と、それに応じうる日本国内の生産基盤の拡大が必要である。
その意味で、防衛装備庁の一元的な管理体制のもと、現在推進されている防衛装備・技術に関する諸施策が、確実に実行されねばならない。
(8)「地域社会・国民との関わり」
・自衛隊は、不発弾処理、駐屯地開放、緊急患者輸送などの民生支援活動を通じて、地域コミュニティーの維持・活性化に貢献している。
また防衛施設と周辺地域の調和を図るため行っている、騒音対策、騒音以外の障害防止、生活・事業上の障害緩和、周辺地域への影響緩和などの施策を紹介している。
・自衛隊記念日記念行事などに関連し、様々の広報活動を行うとともに、情報発信や情報公開にも努めていることを紹介している。
・防衛省、自衛隊は、従来から地域社会や国民の理解を得るために重点的に施策を行ってきている。
他方では、沖縄を中心に、今でも激しい基地反対闘争が展開されている。政治性の強い基地反対闘争は、従来のような対策では終息しないとみられる。在来型の基地反対運動と区別し、対情報・保全の観点からも対策をとる必要があるであろう。
全般要約
『28年版防衛白書』は、「防衛大綱」に沿い、全編を通じて、バランス・オブ・パワーを維持・回復し紛争を抑止するための、一貫した基本戦略を描き出している。すなわち、第Ⅰ部の国際情勢認識では、中露の非対称脅威の高まりと、その対抗戦略としての米国の技術を重視した「第3のオフセット戦略」に言及している。
それに呼応し、第Ⅱ・Ⅲ部では、わが国の「統合機動防衛力の構築」、「防衛装備・技術に関する諸施策」等の対応策を紹介している。米国の戦略と整合した日本の防衛政策の具体的な方向と重点施策については、一貫して説明されている。
しかし、統合機動防衛力の限界、「平和安保法制」の残された課題、政治戦としての沖縄の反基地闘争への対応、米国の拡大核抑止力の信頼性など、政治的には記述困難だが、より本質的な問題点への回答は記述されていない。
政治的制約があることは、白書としての性格上止むを得ないであろう。しかし、現在の厳しい安全保障環境の中、国民に真に訴えるべき点をもっと明確に強く打ち出すべきであろう。
尖閣への中国の領域侵犯も北朝鮮の核ミサイルの脅威も、国家の主権、国民の生命、国土の統一という安全保障の根幹にかかわる問題である。それがいま脅かされようとしているにもかかわらず、これまで通りの政治的配慮が先に立った、生ぬるい表現で国民にいま抱える政策課題や問題点が伝わるのであろうか。
むしろ、予算や人員、法的権限といった基盤も欠けているのに、あたかもこれで防衛は万全なような幻想が、国民の間に拡散するおそれがある。
「戦争法」などという根拠のない、国際情勢を無視した政治的プロパガンダに怯えるよりも、心ある国民に真実を訴え、真に必要な国を挙げた防衛努力への協力を訴えねばならない。『防衛白書』はそのための貴重な媒体である。
日本は厳しい財政事情を抱えているとはいえ、国際標準から見て、あまりにも防衛に投入する国家資源が少なすぎる。このことは、防衛費の対GDP比率、国民人口に対する兵員比率などでも明らかである。
予備の人員、弾薬・装備品の備蓄なども無きに等しい(なお、今年の『防衛白書』の資料3では、州兵、民兵、準軍隊などが計上されておらず、総兵員数の全体像は分からない)。
このままでは米国の国力が相対的に弱まり、中朝の軍事的脅威が増大する中、日本周辺のバランス・オブ・パワーを維持することはできない。
力のバランスが崩れれば紛争が誘発される。そうなれば、日本の国土国民に直接危害が及ぶことになる。このような事態を未然に防ぐために、せめて世界標準並みに、いま少しの我慢と協力を国民に求めるという、責任ある政治を反映した『防衛白書』の公刊を期待したい。
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『激怒するゴジラと中国人の奇妙な沈黙 農民の中国礼賛を支える危うい楽観主義』(9/15日経ビジネスオンライン 山田泰司)について
中国の人権無視の制度としては、「一人っ子政策」(現在は緩和措置されている)、「農村戸籍」と「都市戸籍」の区別(毛沢東の「農村から都市を包囲する」の継続革命思想の影響か?)、「档案」(共産党が過去三代の家系の中で反共行動を起こしたかどうかを記述した内申書)、「一人っ子政策」以外は解決していません。「農村戸籍」と「都市戸籍」の区別こそが経済格差・教育格差・医療格差となって現れます。「档案」は当然人民抑圧の手段として機能していますので、共産党統治が打倒されない限り止めないでしょう。「一人っ子政策」も教育費高騰で2人産む人は少ないと言われていますが、これ以上中国人が地球上で増えるのは悪を栄えさせることになります。彼らは人口のパワーを世界侵略の武器として使いますので。長野朗の『支那三十年』にもそう書かれています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%A3%E6%A1%88
中国の農村では、小学校中退が多いとのことです。小生の父もそうでした。新潟の貧農で9人も子供がいて、早くから丁稚奉公に出されました。軍に召集され、入隊後料理兵としてミャンマー戦線へ送られました。敗戦後、帰国して常磐炭鉱で働きました。炭鉱も斜陽産業となり、大学入学時、授業料免除の申請をした時に、学生課の職員は源泉徴収票を見て「これでは生活できない。嘘でしょう」と言ったのを覚えています。でも田舎でしたら豊かではありませんが、充分暮らせたのですが。
TVの影響は日本でも同じで、情報弱者は垂れ流しの情報を迂闊にも信じてしまいます。中国は中共が、日本は反日TV局が歪曲した報道を続けているのに気づきませんと。
小生が中国在勤時代(97~05年)、不条理に結構抵抗する人は見ました。家の追い出しを受けて、ダンプの下に寝そべり、「さあ、引いて見ろ」と言わんばかりの人もいました。何せ主張しないと命まで奪われる歴史を持った国ですから。それでもおとなしくなったというのは反政府行動をしなくなったという事かと思いましたが、今でも北京に陳情に行っている人は多いと思います。
http://www.epochtimes.jp/jp/2014/10/html/d65985.html
中国は社会的に格差が広がる仕組みになっています。大きなのは賄賂です。社会の上から下に至るまで取るから、誰も非難できません。中国人の列の横入りと同じです。これは白人とか日本人とかが注意するだけでした。権銭交易でポストが金を生む仕組みを中共は考え出し、「清官三代」と言われるほど中国の歴史は汚濁に満ちたものですが、その歴史の中でも程度が甚だしいものになりました。一部の特権階級が富を簒奪するのはノーメンクラツラーがいたソ連と同様です。ただ、中国は自由主義諸国との貿易で富を拡大することができました。ソ連を敵視する余りに中国に飴を与え過ぎたキッシンジャーの見通しの悪さです。白人は中国人の極悪さを理解できていないのでしょう。怪物を日米で作り上げ、その後始末で、日中戦争が囁かれているのですから何をか況やです。戦前同様、中国人を知らなさ過ぎです。中国に支援してきた政治家・経営者は「責任を取れ」と言いたい。
記事
日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

(©2016 TOHO CO.,LTD.)
「シン・ゴジラ」は日本滞在時の仕事場を借りているみなとみらいの横浜港のほとりに建つシネコンで観た。ゴジラが最初に姿を見せたのは東京湾の羽田沖だが、海中からゴジラが天空に吹き上げた高い水蒸気を目視できるのではないかという距離感にあるシネコンである。上陸したゴジラがレーザービームや巨大な尻尾でタワーマンションをなぎ倒す武蔵小杉も、日本滞在中は毎日のように通過する。よく知る生活圏が舞台ということも相まって、映画としては単純に面白かった。
怒るゴジラ、怒らない人間
面白かったのだが、身近な生活圏が舞台だからこそ、腑に落ちない点が1つだけあった。それは、劇中、怒っているのはゴジラだけで、町を木端微塵にされているというのに、人間側は誰も怒っていないという点である。
シン・ゴジラが暗喩するものについては、原発事故だ、いや戦争だと、様々な解釈があるが、いずれにせよ、人間がしでかしたことに起因するものだがら、ゴジラに対して怒るのはお門違い、でも、このまま放置するわけにもいかないので、粛々と受け止め対処するしかないという諦念で、人間を怒らせなかったのだろうか。だとしたら、それはあまりに優等生的だ。
なぜって、武蔵小杉のタワーマンションは安くないのだ。私はみなとみらいに仕事の拠点を置くに当たり、武蔵小杉に住めれば便利だな、家賃も安くないし、どうせなら家賃分をローンに充てて、等と考えて調べてみたら、7000万円から1億円が相場だと知り、早々に購入は諦めた。聞くと、武蔵小杉のタワーマンションを購入するのは世帯年収1000万円以上の層だとのことだが、町で見かける住人たちは、学齢期まっただ中の子供を抱えた若い夫婦の家族が多い。長期の住宅ローンと学費で可処分所得は年収から想像するほどには多くないはずで、マンションをぶっ壊されたら「チクショウ、ゴジラお前、いい加減にしろよ!」と感情を爆発させて怒鳴りつける人が1人ぐらい出てくる方が、リアルだと思うのだが。
不公平・理不尽も「仕方ない」ですませる中国人
怒らないと言えば、現代の中国人も奇妙なほどに怒らないという印象を私は持っている。
私は日々、上海のどこかで中国人に対して怒りを爆発させている。青信号で横断歩道を渡っている私に向かって直進し歩行者を蹴散らす白バイに。家賃を3割も上げるとしゃあしゃあと言いながら、「契約書を作るのは面倒くさいからイヤだ」と言い放つ、バブルの恩恵でカネを得ることについて舐めきった態度の上海人の大家夫婦に。ところが、中国人だって同じような目に遭っているはずなのに、怒っているのはどうやら私だけ。中国全土で、というと風呂敷を広げ過ぎだが、上海で一番怒っているのはダントツで私だ。
しかしまあ、契約書を作りたくないだの白バイだの、言ってみれば他愛のないことであればまだいい。中国には不公平や理不尽な目に遭っている人が大勢いる。伝聞にまで話を広げると際限がなくなるで、私の友人の話だけを1つ2つ紹介する。
中国ではシングルマザーで子供を産むと違法とみなされ、女性の方だけが罰金を取られる。しかも罰金に決まった額はなく、地元の役人が自宅にやって来て家具調度などをなめ回すように眺めて値踏みをし、払えそうなギリギリの額を算出するという。私の友人はそれで、自分や家族が貯金していたのとほぼ同額の6万元(約96万円)を罰金として徴収された。
不公平や理不尽で不利益を被る比率は都会生まれよりも農村生まれが圧倒的に多い。私は1965年生まれの今年51歳だが、私と同世代や40代の中国の農村の人たちには、小学校も出ていないという人が驚くほど多い。小学校には半年ずつ通算6年通ったが、結局15歳になって、小学校3年生を終えたところで通わなくなってしまった、等という話が珍しくないのだ。中国で小学校6年、中学校3年の義務教育が実施されたのは1986年のことなので致し方のない部分はあるのだが、それでも、都会生まれの同世代で小学校中退という人に、少なくとも私は会ったことがない。
不公平に起因する教育機会の差が就職にも影響するのは言うまでもない。1990年代から人件費の高騰が顕著になる2010年ごろまで、中国は「世界の工場」と呼ばれてきたが、ひとくちに中国と言っても最前線のライン工として長時間の単純労働に耐え、8人、10人同居のタコ部屋のような宿舎や、倉庫を改造したようなボロアパートに住んで低賃金で世界の製造業を支えてきた人の多くは比較的教育程度の低い農村出身者だ。2008年の北京五輪、2010年の上海万博に伴う都市建設を、肉体労働で支えたのも都会人ではなく農村からの出稼ぎ労働者である。こうした都市部での労働は、肉体的には苛酷で、賃金も同年代の都会のサラリーマンに比べると総体的に低い。ただそれでも、農村や内陸の地方都市で働くことを考えればはるかに現金収入を稼げる都市部での労働は、相対的に学歴が低い彼らにとっては、稼ぐための貴重な場でもあった。


2006年の上海。万博前の都市開発に沸いていた当時の上海には、シン・ゴジラが破壊した東京の町を彷彿させるような光景が町のあちこちで見られた。明日の成長を信じて疑わなかったこのころ、中国の労働者たちが怒りを露わにすることはなかった
都会からポイ捨てに遭う農民たち
ところがである。昨秋あたりから、上海ではこうした農村出身の単純労働者が多く住んでいる郊外の家賃が急騰し始めた。一方で彼らの給料はと言うと、中国経済の減速を背景に良くて頭打ち、スマートフォンやパソコン市場の世界的な飽和から、これらを造る中国の工場では残業が極端に減り、ライン工の給料は物価上昇を差し引くと、ピーク時だった一昨年あたりに比べ実質半分程度に落ち込んでいるケースも少なくない。そして、耐えきれなくなった彼らが職探しをするために故郷に帰るという現象が昨年末から今年の年頭にかけて続出した。いわば都会が用済みになった農村出身の単純労働者らをポイ捨てにかかったというわけである。
出自でその後の人生が決まってしまう公算が極めて高い農村の人たちの人生を見聞きする度、私はなんたる理不尽とやるせない思いが込み上げ、なんという不公平と怒りがこみ上げてくる。当の本人たちもさぞかし悔しかろうと思うのだが、案に反して「没辨法」(仕方ない)の一言で済ませてしまう。景気に陰りが見え始めた一昨年あたりから、彼らが「経営者ばかり豊かになって不公平だよなあ」とこぼすことが以前に比べて多くなったとは感じていた。ただ、これはあくまで愚痴の類であって、怒りの域にまで発展することはないのである。
白バイが歩行者に向かって突っ込んでくるとか、契約書を作るのを面倒くさがるというような類いのことは、中国人同士では気にならないのだろうと察しがつく。ただ、都市と農村、子の出生にまつわる男女間の不公平に起因する理不尽についても怒りを見せないことについては、本当に解せなかった。
そう思っていた矢先のこと。シン・ゴジラを観て程なく戻った上海で、1年ぶりに再会した農村出身の友人が、中国の人たちが怒りを見せない理由を解くヒントをくれたのである。
上海を食い詰め新天地へ
この友人は劉さんという。河南省南部の農村出身の42歳で1男1女の父。中学を卒業後、最初に就いた職業は牛の屠殺だった。その後、18年前に上海に出て来てからは廃品回収をして生計を立てていた。ところがPM2.5で上海も深刻な大気汚染に見舞われると、汚染の元凶として劉さんが回収の主力にしているペットボトルや古紙がやり玉に上がった。これらを原材料として稼働していた上海郊外や近隣省市の中小零細工場が環境基準を満たさないと言うことで相次ぎ閉鎖に追い込まれたのだ。これでペットボトルや古紙の価格が暴落、劉さんの収入は目に見えて減った。
これに追い討ちをかけたのが家賃の高騰だ。それまで住んでいたバラックが再開発で取り壊しになり、一気に3倍の家賃負担を余儀なくされた彼の生活はたちまち困窮、それでもなんとか持ちこたえたが、新居に移って1年後、ついに路上生活者に転落してしまった。時を同じくして、18歳の長女が湖北省武漢に友人と開いたエステティックサロンに貯蓄から10万元(約160万円)を出資するなどそれなりの蓄えはあったのだが、物価の高騰が続き、単純労働が減りつつある上海では先の展望がなさそうだということで、劉さんは昨年6月、娘が商売をする武漢で再起を図ることにし、上海を離れたのだった。
武漢での暮らし向きはどうか気になったが、劉さんが携帯電話の番号を変えてしまったことで、我々の連絡は途絶えてしまった。それが今月、「上海でまたやることにしたよ。8月からもう上海にいるんだ」と劉さんから電話がかかってきたのだった。
上海ではもう暮らしていけないからと離れる決断をしたのに、わずか1年で戻ってきたということは、武漢での暮らしが理想にほど遠いものだったのだろうということは容易に想像がつく。会うのが少し怖かったが、連絡してきてくれたことが嬉しくて、早速食事に誘った。
最後に会った時から1歳としを取った劉さんは、想像よりも若々しかった。むしろ、上海で廃品回収をしていたころよりも若返ったような気もする。この様子だと、こちらが心配するより苦労はしなかったのかなと少し安堵したが、食事をしながらこの1年にあったことを聞くにつれ、苦労をしなかったのではなく、実質何もしなかった、いや出来なかったのだということが分かった。想像よりも老け込んでいなかったのは、精神的にはともかく、肉体を酷使しなかったのが大きいのだろう。
新天地でも食えなかった
夫婦で武漢に行った劉さんは、新興住宅地に貸店舗を見つけて果物屋を始めた。ひと月目はそこそこ売れたものの、2カ月目に近所に果物屋が2軒、3カ月目にさらに3軒開店、わずか100メートル四方に6軒もの果物屋がひしめいたことで、劉さんの店の売上は減った。他の果物屋もそれは同じで、等しく貧しい状態になってしまったという。状況は、劉さんが出資した娘のエステティックサロンも同じだった。近所に競合店がひしめき、どの店もたいして儲からず、家賃を払うのがやっと、自宅の家賃を払えば赤字という状態だったという。
どうして同じ店ばかり近所に開くのかと思うだろうが、中国で果物屋は、資金が少ない人が始める定番の商売。言い方を変えれば、あえて果物屋を開くのではなく、他にアイデアも経験もなければ、果物屋しか開けないのが現実なのだ。エステティックサロンにしても、流行りだから儲かるだろうぐらいの認識で始める人が多い商売である。
このままでは店を開いているだけ赤字が増えるだけだと思った劉さんは、わずか3カ月で果物屋を畳んだばかりでなく、武漢に見切りをつけ、田舎の自宅に引き揚げてしまった。就職も考えたが、中卒で40代の劉さんが就ける仕事はビルやマンションの警備員か清掃員ぐらいで、給料は上海の3分の2から半分程度。「武漢は物価も安いし稼げると言われて行ったんだ。確かに家賃は上海に比べれば安いが、その他の物価は上海とそれほど変わらないから、手元には残らない。それなら、給料が高い上海で働くほうが、気分がいいじゃないか」と劉さんは言う
娘さんのエステティックサロンはどうなのと尋ねると、「結婚して妊娠して、いま田舎の自宅にいる」との答え。恐らく、店がうまくいかず、10万元の出資はフイになってしまったのだろう。幼なじみだという娘の結婚相手も、いまは定職がなく、自動車教習所に通っているのだと言う。さらに去年までは大学にやると話していた長男は今年の夏、中学を卒業したが、高校にも進まなかった。「本人が行きたくないと言うから仕方ないよ。上海に呼んでとりあえず働かせる。社会に出るための鍛練を積ませるんだ」という。
展望なき上海帰還
しかし、劉さんが上海を離れたのはそもそも、物価の高騰と就職難で生活して行けなくなったためだったはず。その状況は1年後の今も何も変わらないのだが、私の周囲では今、劉さんのように、上海で食い詰めて昨年から今年の春節(旧正月)あたりに職を求めて故郷に帰ったり地方都市に行ったりしたものの、当てが外れて上海に舞い戻ってきた友人、知人がこの1~2カ月でちらほら出始めている。ただ繰り返すが、彼らが上海を離れざるを得なかった状況は、何も変わっていない。行き場をなくした農村出身の人々が、さまよい始めたのである。
廃品回収の仕事が立ち行かなくなってきた当時、それまで愚痴をこぼすのを聞いたことがなかった劉さんも、「儲かるのは金持ちばかりだ」と漏らすようになっていた。あれから2年。初孫が誕生するのはおめでたいことではあるが、この1年の話から客観的に見て、劉さん一家の状況は、去年よりも苦しいものになっている。国の都合で右往左往させられ、八方ふさがりのように見える劉さんはさぞ、国や社会に対する不満、やり場のない怒りがたまっているのではないかと思った。
無職なのに中国礼賛のワケ
ところが、この1年の状況をひとしきり話し終えた劉さんは、私が何も尋ねていないのに、おもむろに、「中国は世界に冠たる強国、大国になったんだよ。確実に良くなっているんだ」と言った。え? なんでいきなりそんな話になるの? と急な展開に戸惑う私をよそに、そこからは、中国礼賛のオンパレードになった。曰く、「一帯一路って知ってるだろ? 中国と中央アジア、欧州、アフリカを結ぶ経済圏さ。あれが可能なのもね、中国製品の品質が良くなって、中国のモノを欲しい国が増えたからなんだよ」。曰く、「国防のためにおれたちの負担が重くなるのは仕方ない。強い国になるために、軍の強化が不可欠なんだ」。曰く、「去年株が下がっただろ? 中国経済は確かにいま良くない。でも、成長ばかりを求めて突き進めば、環境破壊が取り返しのつかないことになる。いまが我慢のしどころなんだ」。
最後の経済と環境の話など、お説ごもっともではある。ただ、その環境保護の名のもとに詰め腹を切らされたのは、中小零細企業や劉さんなど弱い個人で、そのために劉さんは長年親しみ最も経験もあって愛着もある職業を追われることになったはず。その劉さんが、それを言うのは少しきれい事すぎやしないか?
彼にそう言いかけたのだが、思いとどまった。なぜなら、以前は誰かの批判や愚痴をほとんど言わない代わりに国のことについて語ることもなかった彼の口から「強国」「大国」「環境保護」などという単語を語らせる出所が、容易に想像がついたからである。そして私は、きれい事すぎやしないかと言う代わりに、「劉さん、この1年、仕事が比較的ヒマだったから、テレビをよく観たんだね」と言った。彼は、あれ、バレたか、というように照れ笑いを浮かべ、そうだ、とうなずいた。でもすぐに真顔になって、「中国は昔より確実に良くなっているし、明日はもっと良くなるし、将来はさらに良くなって、もっと強い国になる。本当にそう思うよ」と言った。
職を失って憤懣や怒りを爆発させるどころか、愛国主義者になった劉さんを目の当たりにし、テレビの影響力はまだまだ捨てたものじゃないと思ったし、中国当局もさすがによく考えているんだなと感心した。そして、劉さんたちが怒らないでいられるのは、少なくとも今はまだ「次に良くなるのは自分の番だ」と信じられているからなのだということも。
「でもね劉さん」、と私は言った。「日本もそうだったけど、成長はいつかは止まるんだ。例外はないみたいだよ。だから、ひょっとして、成長はもうおしまいなのかもしれないな、ぐらいの気持ちでいろいろ考えた方が、いいかもしれないよ」。劉さんの目に一瞬、不安の影がよぎり、続いて怒りが宿ったのを見た。「オレの番はまだなのに、そんなこと許さないぞ」と言っているかのように見えた劉さんの目の中の光が、激怒して武蔵小杉のタワーマンションをぶっ壊すゴジラの赤い目とダブって見えた。
暗喩するものが原発であれ戦争であれ、シン・ゴジラに登場する日本のゴジラが、制御不能なもの、愚かしいものを作り出してしまったことに対する怒りの化身として描かれたのは間違いない。もし中国にゴジラが登場するのであれば、化身するのは劉さんのような人たちの怒りなのだろうか。
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『米国は「日韓スワップ」を許すか 「通貨の戦い」を真田幸光教授と読む(1)』『またも、スワップで日中を天秤にかける韓国 「通貨の戦い」を真田幸光教授と読む(2)』(9/15・16日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について
真田幸光氏は信州・真田一族の末裔です。
http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20151206000999_comm.jpg
両氏の議論を聞いていますと「何と韓国に優しいことか」と思わざるを得ません。韓国は捏造従軍慰安婦を世界に広めた張本人です。裏に北や中国が居たとしても。やはり韓国に住んで言葉が分かるせいで、感情移入しているのが大きいのでしょうか。小生は中国に居ればいるほど嫌いになりました。まあ、言葉もそれ程できませんでしたが。
中国・朝鮮半島人に誠意を求めるのは「八百屋に魚を求める」のと同義語です。況してや朝鮮人は事大主義です。助けることによって却って朝鮮人の増長を招き(自分が力があるから日本は助けると勘違いする)、日本は侮蔑される対象になります。外交はもっと日本人の名誉を守るべく、国益をしっかり考えてなされるべきです。韓国には厳しい躾が必要でしょう。基本的態度は『非韓三原則』ですが。
もし、無条件に通貨スワップが為されたら自民党は次の選挙で手痛いしっぺ返しを受けるでしょう。保守派は「こころ」や「日本第一」に流れると思います。いくら米国が結べと言っても、条件は付けるべきでしょう。呑むか呑まないかは相手国に任せれば良いだけです。思い切りハードルを高くすべきです。「ここぞ」という場面ではないですか。前にも言いましたが、慰安婦像一体撤去で〇〇$、増やしたらその分〇〇$減額、政治家の竹島上陸をしたら〇〇$減額とか。基本は韓国経済を崩壊させ、100%外資に財閥を乗っ取らせればよいと考えています。欧米人の下で働かせれば変な自信もなくなるでしょう。中国の1000年属国だったのが、白人支配に代わるだけです。
韓進財閥だけではなく、三星もギャラクシー7のバッテリー爆発事故で屋台骨が揺らいでいます。2日で株の時価総額が2.25兆円も下がったとのこと。韓国経済は三星の一本足打法と言われていますので、韓国の断末魔の声が聞こえそうです。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-12/ODDXVU6TTDS201
日本の政治状況として、臨時国会は9/26~11/30まで開会予定です。12/15山口での安倍・プーチン会談の余勢を駆って、明年1月解散が有力との見方でしたが、どうもロシアとの話の進展はなさそうとの様です。そうであるならば、11/30の臨時国会終幕時に解散して、蓮舫の二重国籍問題を取り上げ、反日民進党を壊滅に追い込んだ方が良いのでは。野田幹事長で小沢の生活の党とかは連携しにくいでしょうし、蓮舫は共産党との共闘を継承すると言っていますが、もし共闘するのであれば野田は保守政治家でなかったことになります。まあ、反日民進党は中共や朝鮮半島に結びついている議員が多いですから。前回の衆院選は14年11月ですから、もう2年になります。安倍首相の信任を高め、3選を目指すには良い理由になるでしょう。選挙に5連勝となる訳ですから。
http://blog.goo.ne.jp/kzunoguchi/e/800f199f2651668b822293175b20b8eb
記事

2012年、副主席だった習近平が訪米した際、国務長官だったヒラリーと会談した。ヒラリーが大統領になれば、アジア問題は「米中直接交渉」で対処する場面が増えるかもしれない(写真:AP/アフロ)
(前々回から読む)
突然、日本に通貨スワップを求めてきた韓国――。真田幸光・愛知淑徳大学教授と朝鮮半島を巡る「通貨の戦い」を読んだ。
妄想外交のツケ払う韓国
鈴置:「日本に頭を下げてまで外貨を借りるつもりはない」と突っ張っていた韓国。予想外のスワップ要請に驚いた人も多いと思います。

真田 幸光(さなだ・ゆきみつ) 愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授(研究科長)/1957年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。81年、東京銀行入行。韓国・延世大学留学を経てソウル、香港に勤務。97年にドレスナー銀行、98年に愛知淑徳大学に移った。97年のアジア通貨危機当時はソウルと東京で活躍。2008年の韓国の通貨危機の際には、97年危機の経験と欧米金融界に豊富な人脈を生かし「米国のスワップだけでウォン売りは止まらない」といち早く見切った。
真田:韓国はとても焦っています。米国だけではなく、頼みの綱だった中国からも距離を置かれることが確実になったからです。
日本へのスワップ要請はその象徴です。せめて金融面での孤立を回避しておかないとまずい、との判断でしょう。
鈴置さんが「『中国の通貨スワップ』を信じられなくなった韓国」で書いたように中国との関係が悪化し、いざという時にスワップを発動してもらえるか自信がなくなったのです。
鈴置:韓国の新聞を読むと、毎日のように「四面楚歌」「孤立無援」といった単語に出くわします。(「二股外交の失敗が加速する『韓国の核』」参照)。
韓国人の孤独感は日本人の想像以上のものがあります。彼らは根拠もなく「キャスティングボードを握った我が国は、米中双方からラブコールを受けている」と信じ込んでいた。
そしてある日、中国から脅され辺りを見回して、周辺国すべてから相手にされていないことにようやく気づいた。
もちろん、米中は韓国には操られません。日本や北朝鮮も韓国は無視しました。米中を手玉に取り、両大国の力を背景に日本と北朝鮮を叩く――という朴槿恵(パク・クンヘ)外交が空振りに終わったのです。韓国人は誇大妄想のツケを支払う羽目に陥りました。
トランプでもヒラリーでも
真田:朴槿恵外交の稚拙さに加え、周辺大国の変化も韓国を苦境に追い込みます。次の大統領がヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)になろうとトランプ(Donald Trump)になろうと、米国の新政権は韓国をこれまで以上に軽く扱うでしょう。
トランプはご覧の通り、韓国や朝鮮半島に関心はありません。韓国を含む同盟国に「米国に対しもっと防衛分担費を払え。それが嫌なら核を持ってもいいから、自分で自分を守れ」と言い放っています。
ヒラリーは韓国にとって、もっと「怖い」大統領になる可能性があります。トランプとは正反対に彼女は世界をよく知っている。ことに中国とは水面下で深くつながっている。
朝鮮半島で何かをなす際、韓国をつなぎとめるために甘い顔をせずとも、中国と直談判すればいいのです。ヒラリーにはそれをやれる自信がある。韓国は米国に今以上に冷たくされることになります。
鈴置:ヒラリー・クリントンは米国に対する「韓国の裏切り」をよく知っていて、公開の席で非難したこともあります。
真田:中国も韓国の「裏切り」に怒っています。THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の容認でメンツを潰されたからです。
今も「THAADに反対しろ」と韓国を脅し続けています(「『THAAD』を逆手に取る中国、韓国を金縛りに」参照)。
そして中国もまた、朝鮮半島問題はヒラリーと直接交渉すればいいと考えるでしょう。韓国を取り込んで対米カードに育てる必要性は薄れたのです。
米中が運命を決める
鈴置:中国も米国も「韓国が絶対に欲しい」わけではない。韓国人や朝鮮人に面倒を起こしてほしくないだけです。緊急の課題は5回目の核実験を実施し、核兵器の実戦配備に動く北朝鮮です。
米中は韓国を外し、何らかの妥協を探ると思います。北の核実験停止と米韓合同軍事演習の中断、あるいは米朝平和協定の締結を交換する構想が、米中の間ですでに話し合われている模様です(「韓国を無視して『パンドラの箱』を開ける米国」参照)。
米朝平和協定は北朝鮮がかねてから望んでいたものです。在韓米軍撤収や米韓同盟破棄のテコにするつもりです。韓国は当然反対するでしょうが、無視される可能性が高い。
「米中双方からのラブコールを利用し両大国を手玉に取る韓国」どころか、下手すると「国の運命を米中によって勝手に決められる韓国」になってしまいます。
真田:韓国の当局者もそれはよく分かっていると思います。この閉塞状況を打開するため、ロシアを新たな外交カードにしようと韓国は考え始めました。
燃え上がる「ロシア愛」
鈴置:韓国紙ではロシアへの期待が盛り上がっています。典型的な記事が、中央日報の李夏慶(イ・ハギョン)論説主幹が書いた「プーチンのラブコール」(8月10日、韓国語版)です。要点は以下です。
- ロシアが手をつなぎたいのは韓国だ。巨大な人口を持つ中国はロシアにとって警戒の対象だ。日本はロシアとの間に領土問題がある。
- 軍事的な脅威がなく、高度の技術を持つ製造業大国の韓国だけがロシアの経済的パートナーとなる。
- 中国が飛躍的な経済成長を遂げた決定的な要因が、韓国との協力にあったこともロシアは知っている。
- 韓国もロシアとの関係を深めることで、中国一辺倒の経済構造から脱することができる。
韓国人の異様に高い自己評価にも驚きますが、その「ロシア愛」もかなりのものです。李夏慶・論説主幹は、20日後の8月30日にも「『島国脱出』の方程式は沿海州にある」(韓国語版)を載せました。
この記事の書き出しは「20世紀初頭に大韓帝国の救助要請を無視した帝政ロシアの冷笑が、韓国への切実な求愛に変わった」でした。「ロシアこそが孤立からの脱出口」と韓国人が思いつめていることがよく分かります。
「四面」から「五面楚歌」へ
真田:韓国にとって誠に残念なことですが、ロシアは日本との関係改善に動いています。この進展により「日本カード」を使えるようになると、ロシアにとって韓国の貴重さは一気に落ちます。
つまり、韓国はこれまでほどにはロシアから大事にされなくなって「ロシアカード」も使いにくくなる可能性が大です。
鈴置:ロシアは中国ほどではありませんが、THAAD配備に反対しています。韓国は下手をすると「四面楚歌」ならぬ「五面楚歌」に陥ります。誰からも相手をしてもらえないという現実を、ますます思い知ることになるわけです。
真田:だから日本とのスワップを早くやりたいと韓国は焦っているのです。一方、日本は別段やらなくてもいい。
そこで韓国は頭を下げざるを得なかった。この辺りは鈴置さんが「『中国の通貨スワップ』を信じられなくなった韓国」で書いた通りです。
スワップ再開は米国の圧力?
鈴置:日本が「スワップの再開協議に応じた」のは米国から圧力を受けたため、と見る人もいます。
「スワップを与えると直ちに掌を返し、日本に害をなす韓国」には日本人も怒っていて、常識で考えればとても応じる雰囲気はなかったからです。
2011年10月、日韓は570億ドル相当の円ウォンスワップを新たに結びました。その途端、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領は「慰安婦に補償しろ」と言い出しました。
翌年には竹島を訪問したうえ「日王(天皇)は謝罪しろ」と叫んだのです(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。
結局、この「食い逃げ」を契機に、日本は韓国とのスワップをやめました。韓国側も「不要だ」と言い返しました。中国とのスワップがあるから日本ごときにもう頭を下げなくていい、と考えたのです。
真田:韓国が2国間で結ぶスワップのうち、70%を占める中韓スワップです(「韓国のスワップ」参照)。
韓国の通貨スワップ(2016年9月14日現在)
| 相手国 | 規模 | 締結・延長日 | 満期日 |
| 中国 | 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) | 2014年 10月11日 | 2017年 10月10日 |
| UAE | 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) | 2013年 10月13日 | 2016年 10月12日 |
| マレーシア | 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) | 2013年 10月20日 | 2016年 10月19日 |
| 豪州 | 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) | 2014年 2月23日 | 2017年 2月22日 |
| インドネシア | 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) | 2014年 3月6日 | 2017年 3月5日 |
| CMI<注> | 384億ドル | 2014年 7月17日 |
<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)
THAAD容認で怒った中国が肝心な時に発動するか怪しくなった。そもそも国際化していない人民元を貰って、いざという時に間に合うかとの疑問もあります。
鈴置:2011年のこの因縁の日韓スワップも、米国の要請によるものだったとの見方があります。これを結ぶ直前に訪米した李明博大統領が、オバマ(Barack Obama)大統領にスワップ締結を要請しました。これが拒否されたことまでは確認されています。
米国は断ったものの「日本に頼め。話は付けておく」と言ったフシがあります(「日韓、スワップの切れ目が縁の切れ目」参照)。
軍事も金融も「従中」一直線
真田:今回のスワップ交渉開始の合意は「米国の圧力の結果」と見る人がいます。しかし、米国が2008年、2011年と同様、今度も日韓スワップを認めるかは分かりません。韓国の対中接近に不信感を強めているからです。
鈴置:朴槿恵大統領は2015年9月、北京・天安門での軍事パレードを参観しました。「西側」トップとしてほぼ唯一でした。南シナ海の問題でもオバマ大統領の要請を無視し、中国批判に加わりませんでした。
真田:金融面の対中接近も露骨です。米国が加盟するなと言ったAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加した。その無格付けの債券も引き受けました。
韓国政府は人民元建ての国債も発行しました。いずれも人民元の国際化への援護射撃です。米国の金融関係者は「韓国の裏切り」をちゃんと覚えています(「『トランプからの請求書』は日本に回せ」参照)。
鈴置:米国は韓国の態度を見定めてから日本の対韓援助に許可を出してきました。1997年の危機の際、日銀が韓銀の要請に応えスワップを付けようとした。でも、米国はそれを止めました。
真田:米銀がとっくに逃げ出した後、邦銀は最後まで韓国にドルを供給していました。それも米国はやめさせました。
「危機に陥った韓国は国際通貨基金(IMF)の手で手術する」と米国が決めたからです。日韓スワップは「米韓」の問題でもあるのです(「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」参照)。
イラン原油は人民元で決済
鈴置:1992年、当時の金泳三(キム・ヨンサム)政権は中国と国交を樹立。それだけなら良かったのですが、軍事的にも中国と急接近しました。
1995年前後には「米国や日本の軍事機密が韓国経由で中国に渡っている。『韓国には気を付けろ』と米国が日本に注意喚起してきた」との情報が永田町や市ヶ谷で流れました。
そして1997年、韓国が通貨危機に陥った際、米国は予想外のことに「韓国を助けるな。IMFに行かせろ」と日本に命じたのです。
真田:韓国の軍事的な離反を米国は決して許しません。だから今回の日韓スワップを米国がすんなり認めるか、私には疑問なのです。
鈴置:米韓関係は1997年当時の状況と似ています。
真田:ただ、世界における人民元の影響力が危険水域に入ったと米国が判断すれば、話は変わってきます。ドルの影響力を維持するため米国は「日韓」を含むドルスワップを積極的に認めるかもしれません。
イランが中国向け原油輸出で人民元を決済通貨に使う方向です。中国がイランに対し「原油を買ってやる。代わりに人民元を使え」と要求したためです。この点にも大いに注目すべきです。米国はドル支配を揺るがす国とは徹底的に戦います。
(次回に続く)=9月16日掲載予定

スワップ再開の「日韓合意」は、前に進むのか(写真:ロイター/アフロ)
(前回から読む)
通貨スワップで日本と中国を天秤にかける韓国。でも、今度はそんなに上手くいくのか――。愛知淑徳大学の真田幸光教授と検討した。
「反日条項」は効果的
真田:「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」という記事を読みました。そこで鈴置さんが、日韓スワップの契約期間を短くする――韓国に頻繁にロールオーバー(乗り換え)を強いるというアイデアを語りました。

真田 幸光(さなだ・ゆきみつ) 愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授(研究科長)/1957年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。81年、東京銀行入行。韓国・延世大学留学を経てソウル、香港に勤務。97年にドレスナー銀行、98年に愛知淑徳大学に移った。97年のアジア通貨危機当時はソウルと東京で活躍。2008年の韓国の通貨危機の際には、97年危機の経験と欧米金融界に豊富な人脈を生かし「米国のスワップだけでウォン売りは止まらない」といち早く見切った。
「期間を3カ月とか半年に限っておき、天皇陛下を侮辱するなど卑日・反日をしたらスワップは延長しない」というこの手法は極めて効果的だと思います。スワップの契約に「反日したら中断する」との停止条項を謳っておくのも大いに意味があります。
韓国が日本に寄ってきたのも「中国を怒らせたのでスワップが消滅する」との恐怖からです。これを見ても「短期契約」「反日条項」の効果が十二分にあることが分かります。
鈴置:日韓スワップはこれまで、自国通貨を貸し合う「円ウォンスワップ」が基本でした。しかし今回、韓国はドルを貸し合う「ドルスワップ」を結んでもらおうと必死になっているようです。なぜでしょうか。
「不平等だった」と不満
真田:韓国は今、とにかくドルが欲しい。日本円でもいいのだけれど、交換せずにそのまま使えるドルスワップの方がよりいい。
通貨危機が再燃するかもしれないのに、2国間のスワップは人民元含めローカルカレンシーばかり、という奇妙な構造だからです(「韓国のスワップ」参照)。
韓国の通貨スワップ(2016年9月15日現在)
| 相手国 | 規模 | 締結・延長日 | 満期日 |
| 中国 | 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) | 2014年 10月11日 | 2017年 10月10日 |
| UAE | 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) | 2013年 10月13日 | 2016年 10月12日 |
| マレーシア | 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) | 2013年 10月20日 | 2016年 10月19日 |
| 豪州 | 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) | 2014年 2月23日 | 2017年 2月22日 |
| インドネシア | 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) | 2014年 3月6日 | 2017年 3月5日 |
| CMI<注> | 384億ドル | 2014年 7月17日 |
<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)
そこで韓国は「対等な形の新たな通貨協定」という名分を掲げ、ドルスワップを日本に要求しだしたのです。
でも、この言い方は日本の金融関係者を不快にさせました。従来の日韓スワップこそ、日本にとって不平等なものだったからです。
日本が通貨危機に陥る可能性はまあ、ないでしょう。が、仮にそうなった際、韓国から世界で使えないウォンを貰っても何の意味もない。
従来の円ウォンスワップは、日本から韓国への一方的な恩恵でした。それを「不均衡」つまり「不平等」と言い募るとは、不愉快千万。これだけははっきり言っておきたい。
日経に反撃した?朝鮮日報
鈴置:韓国政府は「頭を下げてまで日本にスワップは頼まない」と胸を張っていた。しかし、ついに頭を下げる羽目に陥ったので、メディアの批判を何とか避けなくてはならない。
そこで「これまでの不平等を是正するためにスワップを結ぶ」との言い訳を考え出したのでしょう。
「不愉快千万」と言えば、朝鮮日報の社説「韓・日通貨スワップ再開、危機への防波堤は高く積み上げるほどよい」(8月29日、韓国語版)に不快感を覚えた日本人もいました。
「今回の合意に対し、日本国内で『韓国がメンツを捨て実利を取った』との声が出るのは望ましくない」と日本を説教したのです。
この社説は日経の記事「韓国、メンツ捨て打診」(8月28日)を意識して書かれたと思われます。「韓国がメンツを捨てた」のは事実ですから、朝鮮日報から「望ましくない」と叱られても困ってしまいます。
真田:朝鮮日報の日本語版にもその社説は載りました。金融関係者を含め多くの日本人が読んだと思います。本当にがっくりしたというか、呆れたという感じです。あれはどういう神経なのですかねえ。
鈴置:ご存知のように韓国人はメンツを失った時、頭をかくのではなく肩をそびやかします。そのノリでしょう。「俺をなめるなよ」というわけです。
ことに朝鮮日報は「日韓スワップ不要論」を主導してきました。日韓の2国間のスワップが全て終了した時の社説の見出しが「韓日通貨スワップ、恋々とせずに米・EUチャネルを開け」(2015年2月18日、韓国語版)でした。
それだけに「なあんだ。結局、日本のスワップに恋々としているじゃないか」と日本人に笑われると恐れたのでしょう。
日中を競わせる
真田:2015年3月の対談「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」でも、鈴置さんは「恋々とするな」社説に触れていましたね。
鈴置:「日本は無視して米国やEUとスワップを結べばいい」というのがこの社説の主張でした。
当時の対談で真田先生は「米欧からスワップを取り付けるのは、口で言うほど簡単ではない」と指摘されました。先生の予想通り、韓国は米国やEUから相手にされなかったわけです。
もう1つ質問です。今年8月27日に日韓スワップが合意された時、韓国政府は「詳細は年末までに決める」と言いました。悠長な話です。
やはり、中韓スワップをにらんでの発言と見ていいでしょうか。これは2017年10月10日に終了します。残りの期限が1年を切りかけたので、韓国は延長交渉に入りたいのでしょうが。
真田:そうだと思います。韓国はいざという時にスワップを中国が発動してくれないうえ、延長にも応じてくれないのではないか、と気を揉んでいます。
そこで、中国に対し「スワップを延長してくれなければ、あるいは悪い条件を持ち出すなら、日本だけと結んでしまう」と言える態勢を整えたのだと思います。
でも、日本とあまり早くスワップ再開を決めると「日本カード」の効果が薄れます。ものすごくいい条件で結んでもらえるならともかく。中国から「日本にスワップを結んでもらったのなら、ウチのスワップはもう、要らないだろう」と突き放されたら、まずいからです。
一方、日本に対しても「変な条件を付けるならスワップは要らない。中国に助けてもらうから」と言うつもりでしょう。韓国は同時並行的に日本、中国とスワップ交渉を進め、両国を操る作戦と思われます。
属国に舐められたら……
鈴置:韓国人は「スワップも二股が有効だ」と信じていますからね。2008年10月、韓国は米国から300億ドルのスワップを付けてもらいました。でもウォンの急落は止まらず、日本と中国に助けを求めました。
当時、東京特派員だった朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員が「中国支配論、日本支配論」(2008年12月7日、新聞は翌8日付、韓国語版)を書いています。主張は以下です。
- 中国が韓国を支配するのを日本人は恐れている。通貨危機にあたってもそれを利用し日中の間で賢く動けば、韓国はより多くの国益を引き出せる。
要は、日本に頭を下げなくとも「中国から人民元を借りるぞ」と脅せば、日本はスワップに応じると説いたのです。
2008年の通貨危機も2011年の危機も、日中を競わせ双方からスワップを得ることに成功した、と韓国人は自信を持っています。「2016年もまた同じ手口で」と考えているのは間違いありません。
真田:でも、中国を日本との天秤にかける韓国のこの態度こそが、中国の逆鱗に触れるのです。
鈴置:中国は韓国を明らかに朝貢国扱いするようになっています。属国から天秤にかけられたら、宗主国のメンツは丸つぶれです。この点が2011年までとは異なります。
「誠実な友」より「怖いボス」
真田:スワップに限らず、韓国は「コウモリ」外交をやり過ぎました。皆から嫌われる国になったのです。その結果「好きに1人で遊んでいろ」と無視されるようになってしまいました。
私は韓国の友人に言っています。「韓国の周りの国で、どこが一番誠実な対応をする国か考えるべきだ。それは日本ではないか」と。しかし、こうした声に耳を貸す人はまずいません。
韓国に国際金融の専門家は極めて少ない。もちろん、ごく少数の専門家は日本の重要性を理解しています。でも、彼らの意見は政権に入れられない。
鈴置:韓国人が求めているのは「誠実な友人」ではなく「力のあるボス」だと思います。怖い国だろうが自分を保護してくれればいい。核兵器も持たず経済の比較優位も衰える日本とは、いくら誠実だろうと組む気はしないのでしょうね。
韓国紙に「今回の日韓スワップにより中国を怒らせないか」との懸念を訴える記事が散見されます(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。
THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)でおかしくなった中国との関係を何とか修復し、中韓スワップを恒常的な装置にすることがベスト、と考えている韓国人が多い証拠です。彼らにとって日本とのスワップは、そこへ至るまでの「つなぎ」に過ぎません。
真田:その意味でも、スワップ交渉で日本の出す条件を韓国がのむかどうかが、リトマス試験紙になります。世界のどこに位置したいのか、韓国の本音が分かります。韓国も、日本がどんな条件を出してくるか、見守っていることでしょう。
北リスクは「実戦配備」次第
鈴置:しかし韓国は「日韓スワップは年末までに決める」などと、のんきなことを言っていていいのでしょうか。先週末(9月9日)からマーケットが動揺しています。株とウォンが売られました。


9月9日の北朝鮮の5回目の核実験。韓進海運破綻の世界的な悪影響の広がり。サムスン電子のスマホの相次ぐ発火事件……。
米利上げと対中関係の悪化というこれまでの悪材料に加え、8月末から新たな不安要因が国内外で噴出しています。
真田:まず、北朝鮮問題。韓国の企画財政部が5回目の実験直後に「国内外の金融市場および実体経済に与える影響は大きくない」との認識を示しました。
国際金融市場で、韓国への貸し渋りなどの動揺は顕在化していません。今のところは「実体経済に与える影響は限定的」と見てよいと思います。
しかし、北朝鮮は核開発の進展と同時にミサイル発射能力の向上も具現化しています。北朝鮮の潜在的な脅威が増していることを見落としてはなりません。
鈴置:これまで、北朝鮮リスクが韓国の金融市場に及ぼす影響は短期的だった。でも、北の核武装が明確になったら話は異なる――ということですね。
ロシアを北包囲網に取り込め
真田:その通りです。留意すべきは、ミサイルや潜水艦などで北朝鮮の軍事力強化を技術面で支えているロシアです。
地政学的リスクの顕在化を阻むうえからも「日米中露と韓国」が連携した「平和を求める北朝鮮包囲網の構築」が不可欠です。とりわけ「米中連携」は重要です。
その米中連携を基に「ロシアの北朝鮮に対する関与」をしっかりと牽制しないと「北朝鮮の軍事力を含めた潜在的なリスクの上昇」は食い止められません。
米中が本当の「大国の威信」を示し、覇権主義ではなく大局的な視点からの国際連携を進化させることができればいいのですが……。
鈴置:もう1つ、韓国を揺らすのが8月31日に韓国の海運最大手、韓進海運が破綻したことです。債権団の傘下で経営再建を模索していた会社が「法廷管理」を申請――つまり見捨てられた以上、再建が容易に進むとは考えにくい。
韓進海運の庸船は世界の所有者によって続々と差し押さえられています。外国の海運関連企業への借金も抱えていて、自社船だろうと世界の港に入るのが難しくなった。荷揚げもできません。
荷主から莫大な賠償金を請求される可能性がある。そのうえ、韓国の輸出入にボディーブローのように悪い影響が及ぶと見られています。
唖然とした「韓進」処理
真田:韓国政府による韓進海運の破綻処理は、国際金融市場への余波を全く考えていないものでした。ハシゴを外すような破綻処理は、とうてい理解できません。
いったい何を考えているのか、首をひねったのは私だけではないでしょう。政権と韓進グループの間で何かトラブルがあったのではないかとの穿った見方すらあります。
鈴置:この破綻が、通貨危機の伏線になりませんか。
真田:もちろん、これに端を発する韓国リスクの顕在化の可能性は否定できません。国際金融市場は政府、韓進グループ、金融界の出方をもう少し見極めてから、評価を固めるでしょう。
鈴置:ある韓国の識者から「だんだん1997年に似てきた」と不安を打ち明けられました。国際通貨基金(IMF)に救済されるに至った激しい通貨危機にまた、襲われるとの恐怖です。
真田:1997年当時と比べ、韓国の国家全体の「外貨繰り」は相対的にいい状況にあります。だから「今回は大丈夫」と安心する韓国人が多いのも事実です。
欠如する指導力
鈴置:確かに、そこが1997年や2008年とは異なります。韓国の通貨危機は経常収支や貿易収支が赤字か、黒字であってもそれが急速に減る時に起きました。でも2012年頃から、経常・貿易収支の黒字体質が定着しました。
ただ、韓国人が1997年を思い出すのも無理ありません。当時の通貨危機は「内憂外患」の結果でした。中堅財閥の相次ぐ破綻で金融システムが不安視されたところに、国際的な投機資本がウォン売りを仕掛けました。
今も、海運・造船などゾンビ企業の延命措置が限界に達した。韓進海運の破綻はその象徴です。「内憂」はそれだけではありません。家計の不良債権も膨れ上がっている。景気てこ入れのため、不動産活性化策ばかり行った結果です。
労働人口がピークアウトするなど、韓国経済はこれから少子高齢化の下り坂に差し掛かります。昔とは異なり、不動産価格をつり上げることで景気は良くならず、むしろ危機のタネをまく形になっています。
最も1997年に似ているのは政権の無責任さです。韓進海運を破綻させれば、あちこちで問題が噴出することは明らかでした。でも、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は指導力を全く発揮せず、破局に突っ込みました。
この政権はスタート当初から、青瓦台(大統領府)と官庁の間の意思疎通が極めて悪いと批判されてきました。2018年2月の任期終了が迫るほどに、それがますますひどくなった感じです。
国際金融に疎い朴政権
真田:1997年秋も同じでした。1998年2月に退任することが決まっていた金泳三(キム・ヨンサム)政権は、東南アジアで吹き荒れる通貨危機の暴風が韓国に迫るというのに、有効な通貨防衛策をとりませんでした。
鈴置:当時を知る人によると「国が危機にある」との情報を金泳三大統領に上げる人がいなかったのだそうです。二股外交や韓進海運など各方面の相次ぐ「破綻劇」を見るに、現在も「不快な情報」が大統領に上がっているとはとても思えません。
真田:まさにご指摘の通りです。国際金融市場でのドロドロとした駆け引きをきちんと理解したうえで、厳しいアドバイスができるプロが韓国政府に必要です。
先ほど申し上げたように、韓国にも国際金融のプロが少数ですがいる。今こそこうした人材を重用し鳥瞰的、複眼的に戦略を立てるべきと思います。
しかし、彼らを大事にする雰囲気が、韓国政府中枢には薄いように思われます。これから際どい局面に突入するというのに、そんな気配もないのです。
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『「両方イヤ」の米大統領選、健康不安爆弾の衝撃 “嫌われ者”ヒラリーに最大の試練』(9/14日経ビジネスオンライン 篠原匡)、『トランプ氏をトーンダウンさせた女性』(9/15日経FT)、『米医師の71%がクロ判定。なぜ「ヒラリー重病説」は報じられないのか?』(9/11MONEY VOICE)、『ヒラリー余命1年説~匿名を条件に「専門家」が投稿した動画の中身とは』(9/15MONEY VOICE)について
9/17に柴山昌彦首相補佐官を招き、講演会を開きました。政治家になった経緯等、とても面白かったです。

さて、ヒラリーの健康問題ですが、余命1年だとすれば、大統領選に勝利したとしても、使い物にならなくなります。直ぐに副大統領が大統領になるでしょう。その前にこんな健康の人が選ばれるかどうかですが。嘘つきヒラリーとも言われる彼女ですが、日本の反日民進党の党首も嘘つき蓮舫と呼ばれ、党首生命も長くはないとの見立てを八幡和郎氏はしています。日米ともに人物に問題のある女性が選ばれるとしたら衆愚政治の典型です。
トランプが9月26日、10月9日、同19日の討論会で遣り込めることができるかですが。健康問題と外交問題がそれぞれの弱点です。しかし、コンウエー氏の指示通り、敵を作らないようにすれば勝てると思います。
篠原記事

ヒラリー・クリントン氏は、9月11日に開かれた同時テロ式典で途中退席。健康不安説が再燃した。(AP/アフロ)
米大統領選まで2カ月を切る中で、ワシントンを震撼させる爆弾が投下された。民主党の大統領候補、ヒラリー・クリントン氏の健康不安である。
9月11日、米同時多発テロの追悼式に参加した際に体調を崩し、途中退席した。映像を見ると、車に乗り込む際にふらついている姿が確認できる。診察した医師によれば、クリントン氏は9日に肺炎の診断を受けており、追悼式の最中に脱水症状を起こしたという。
その後、しばらくして回復していたようだが、今年69歳になるクリントン氏の健康不安説が改めてクローズアップされた格好だ。「今回の肺炎で、片隅にしかなかったクリントン氏の健康問題が大統領選の中心に移った」と、政治リスク専門のコンサルティング会社、ユーラシア・グループのジョン・リーバー米国ディレクターは指摘する。
「泣きっ面に蜂」のクリントン氏
このタイミングで健康不安説が浮上したのは、選挙戦における逆風を感じていたクリントン陣営にとっては痛恨だ。
民主党と共和党が党大会を終えた8月上旬、米兵遺族を攻撃したトランプ氏の自滅もあり、クリントン氏は8%ポイント近いリードをつけていた(米政治情報サイト、リアル・クリア・ポリティクス=RCP=の集計値)。そのまま快走を続けると思われたが、両者の差は徐々に縮小、9月12日時点で3%まで接近している。大統領選に出馬している「リバタリアン党」のゲーリー・ジョンソン氏、「緑の党」のジル・スタイン氏も含めれば、その差はさらに縮まる。
クリントン氏の有利が指摘されていた州での苦戦も目立ち始めた。
NBCテレビ、ウォールストリート・ジャーナル、世論調査機関マリスト・ポールによる最新の世論調査によれば、民主党が強いネバダ州やニューハンプシャー州でクリントン氏とトランプ氏の差は1%ポイントまで縮小した。激戦州として知られるフロリダ州も、RCPの集計値では0.1%とわずかだがトランプ氏にリードを許している。もちろん、オハイオ州やコロラド州などの重要州ではリードを保っているが、徐々に接戦傾向は強まっている。
「ヒラリー嫌い」「トランプ嫌い」ともに6割の“大接戦”
クリントン氏が勢いを落としている理由の一つは、いまだに尾を引く国務長官時代の私用メールサーバー問題だ。
米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コーミー長官が司法省に刑事訴追は勧告しないと述べたこともあり、私用メール問題ではクリントン氏の不起訴が確定している。だが、長官が会見で「極めて不適切」と指弾するなど、リーダーとしての姿勢や彼女の秘密主義に疑義を呈する向きは多い。今後、クリントン氏が削除し、FBIが復元した約1万5000通の電子メールがさらに公開される可能性もある。そうなれば一層の打撃が予想される。
また、クリントン財団を巡る寄付金疑惑もクリントン氏の選挙戦に影を落としている。
クリントン元大統領夫妻が財団を通じて外国政府や企業から巨額の資金を集めたとされる疑惑で、国務長官1年目のクリントン氏と面会した外部関係者の半数以上が財団への献金者だったと報じられている。海外の外交当局者など公務での面会が含まれていないため誇張されているという指摘もあるが、国務長官という立場を利用して献金を求めていた事実が明らかになれば、大統領選どころの騒ぎではない。
実際、クリントン氏に対する有権者の評価は落ちる一方だ。
8月下旬に実施されたワシントン・ポストとABCテレビの世論調査によれば、クリントン氏を「好き」と答えた有権者が39%だったのに対して「嫌い」は59%に達した。一方でトランプ氏は「好き」が37%で「嫌い」は60%だった。
トランプ氏の方が嫌われているが、クリントン氏もほとんど変わらない。「どちらにも投票したくない」という声が上がるように、今回の大統領選はいわば嫌われ者同氏の戦い。トランプ氏が失言や放言でミスを重ねているのにいまだ接戦というところに、クリントン氏の不人気ぶりが見て取れる。
クリントン氏の体調悪化を受けて、トランプ氏は「『イスラム国』と戦うには精神的にも体力的にもスタミナ不足」と攻撃した。クリントン陣営は健康状態について詳細を開示すると述べており、その結果次第だが、トランプ氏が指摘するように米大統領があらゆる面でタフな仕事なのは確か。大統領選の最終コーナーを目前にして浮上したクリントン氏の健康問題――。本命候補は最大の試練に直面している。
FT記事
ヒラリー・クリントン氏は11日に倒れかけた後、速やかな回復を願うメッセージをたくさん受け取った。一つは思いも寄らぬ人からだった。何カ月も前からクリントン氏のスタミナに疑問を投げかけてきた対抗馬のドナルド・トランプ氏だ。

共和党候補のトランプ氏(中央)の選挙対策本部長を務めるコンウェー氏(左)=AP
トランプ氏はフォックス・ニュースで「すぐに良くなることを願っている」と語った。その数分後には、トランプ陣営の選挙対策本部長を務めるケリーアン・コンウェー氏(49歳)がMSNBCテレビで「具合が良くなることを願うというトランプ氏の言葉を私も繰り返したい」と述べた。
だが、コンウェー氏がトランプ氏の言葉を繰り返す以上に、トランプ氏のほうが彼女の言葉を繰り返していた。トランプ氏が最近、「ブライトバート・ニュース」の会長で扇動的なスティーブン・バノン氏を起用して選対本部を刷新したとき、多くの人はトランプ氏が世論を二分する発言を続けるつもりだと考えた。しかしながら、女性向けに政治家のメッセージを調整する世論調査専門家のコンウェー氏が強力な代弁者として頭角を現した。トランプ氏を多少おとなしくさせた唯一の人物といえる存在になっている。
■後悔の弁を言わせた手腕に評価
「彼女はある程度、トランプを制御した」。共和党の世論調査担当者、フランク・ランツ氏はこう話す。「ドナルド・トランプが自らを最大の敵にさせないようにすることは何でもプラス材料だ。それが成功の尺度であれば、彼女はA評価に値するだろう」
コンウェー氏はさまざまなレベルで成功を収めた。集会では台本から逸脱しないようトランプ氏を説得し、原稿を映し出すプロンプターを使わせた。コンウェー氏はトランプ氏に、アフリカ系米国人とヒスパニックを支援することについて語るよう促した。たとえ批判的な向きが、このことがトランプ氏の言葉遣いに嫌悪感を抱く共和党員を取り込もうとしていると見られても、である。コンウェー氏はこれまでより争点に集中し、侮辱を減らすよう働きかけた。何より驚いたことに、トランプ氏を説き伏せ、かなり物議を醸す発言の一部について、彼らしからぬ「後悔」の弁を述べさせた。
コンウェー氏を支援者の一人に数えたテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)の元報道官、リック・タイラー氏は、コンウェー氏は「一分のすきもないプロフェッショナル」で歯にきぬ着せぬ人物だと言う。「トランプは恐らく、周囲の誰よりも彼女の意見を聞く。全体的に、トランプは以前より方針に沿っているように見える。脱線して不必要なニュースを作り出したりしない」
元弁護士で、大統領選挙で共和党選対本部を率いる初の女性であるコンウェー氏は、辛辣な選対本部長だったコリー・ルワンドウスキ氏や、庶民感覚がない前選対会長のポール・マナフォート氏と異なる影を投げかける。感じの良い態度と前任者たちほど攻撃的ではないスタイルで、トランプ氏を売り込むテレビ出演での姿が称賛を浴びてきた。
だが、世論調査の専門家としての実績はまちまちだ。これまで、ニュート・ギングリッチ元下院議長や俳優の故フレッド・トンプソン氏など、敗北した大統領候補数人のために働いた。2016年の予備選挙では、指名争いから撤退するまでクルーズ氏を支援する資金潤沢な政治団体を率いた。物議を醸した役割の一つは、ミズーリ州の上院議員候補、トッド・エイキン氏と協力したことだ。エイキン氏は、「合法的レイプ」の被害に遭った女性は、暴行の後に生殖過程が停止するために妊娠できないと主張した人物だ。
コンウェー氏は民主党を支持する家庭で育ち、シングルマザーの母親に育てられた。ロースクールを出た後、ロナルド・レーガン元大統領の世論調査責任者の下で仕事を得てキャリアをスタートさせ、1995年に「ポーリングカンパニー/ウーマントレンド」という自分の会社を立ち上げた。2005年には、民主党の世論調査担当者との共著で「女性が本当に求めているもの」と題した本を出版している。
■「余裕はあまりない」、冷静に分析
コンウェー氏は称賛されてきたが、選対本部長としては初めての試練にある。共和党の世論調査担当者、ウイット・エアーズ氏は、大統領選挙の選対本部長を務めた最後の世論調査専門家は、1992年に再選を目指して敗北したジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の選対本部を率いたロバート・ティーター氏だと言う。
「コンウェー氏は少なくとも選挙運動の仕事をしたことがあり、その点ではすべての(トランプ)チルドレンやバノンとは異なる。だが、私は常々、人は自分が得意とすること、以前やったことがあることをやり続けるべきだと考えている」。エアーズ氏はこう話す。「彼女はテッド・クルーズのような反エスタブリッシュメント(支配階級)色が強い候補者のためにおおむね働いてきたが、それ以外は際立つ専門知識があるのかどうか分からない。ただし、トランプをうまく操る方法を見いだせたら別だ。それは独特なスキルだ」
コンウェー氏はトランプ氏の魅力を広める助けになるかもしれない一方、自分の課題に冷静だ。同氏は選対本部長の座に就いた後、当選するために必要な選挙人の票270票の獲得に向け、トランプ氏はぎりぎりの道を歩むことになると述べた。「284票(得られる勝算)はある。270票超はある」。コンウェー氏はMSNBCでこう述べた。「余裕はあまりない」
選対本部に加わる前は、もっと厳しい評価をしていた。今年3月には、クリントン氏は男性有権者(に弱い)という問題を抱えており、争う相手がトランプ氏でない限り、その問題のせいでホワイトハウスへの道を閉ざされると述べた。白人男性の間でのトランプ人気は、女性の間の不人気によって帳消しになるわけだ。
2012年のワシントン・ポスト紙への寄稿では、コンウェー氏は「女性は感じが良く、前向きな候補に引き寄せられる」と述べている。これはトランプ氏にとって重要なアドバイスだ。というのも、2012年には有権者の53%を女性が占め、最近のワシントン・ポスト紙とABCテレビの調査では、女性の間ではクリントン氏が52%対37%でリードしていることが分かったからだ。
最近、テキサス州オースティンで開かれたトランプ陣営の集会では、24年ぶりにそうした集会に参加した男性弁護士が、コンウェー氏について「すごく気に入った」と話していた。「トランプ氏の一部の行動を穏やかにする彼女の方策はいいと思う。私は(以前は)なかなか同調できなかった」
By Demetri Sevastopulo in Washington
(2016年9月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
9/11MONEY VOICE記事
ヒラリー・クリントン米大統領候補はパーキンソン病を患い、病状がかなり進行しているのではないか?という憶測が出回っています。これは眉唾物だ!噂に過ぎない!政治的陰謀だ!という声も聞こえてきます。しかし、実はこれは根も葉もない話ではありません。専門家たちの意見も交えてご紹介しましょう。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2016年9月10,11日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
「彼女は米大統領としての資格を有していない」71%の医師が回答
ヒラリー・クリントン米大統領候補に重病説
結論から言いますと、多くの医学専門家が「ヒラリー候補はパーキンソン病ではないか?」と指摘しています。
私の知人にも、パーキンソン病になって、現在は歩行困難な人がいますが、この病気は原因が不明で、治療困難な難病指定となっており、病状は悪化するばかりです。
ヒラリー候補側が、この件に関して何も反論していないのも不思議な話です。
これまでもヒラリー・クリントン候補は、多くの疑惑を指摘、糾弾されてきました。
Eメール流出問題やGSでの講演内容の公開拒否、そして外国政府要人からの寄付(これは違法行為です)などなど――クリントン財団に高額の寄付をしなければ、国務長官(当時)に面会できなかった、というような多くのリークが出ています。
しかし、中でも一番気になるのは、今回ご紹介するヒラリー候補の病気に関することです。この動画は、これまでの「病状」を上手にまとめています。事態は文章だけでは分からない、百聞は一見にしかずです。以下、動画を解説します。
側近中の側近はボディーガードではなく医療スタッフ
動画の導入は、ウィキリークス等から出てきた「ヒラリー候補のパーキンソン病」に関する内部情報等です。
そして、いろいろな状況証拠が紹介されます。階段を上ったりする場面では、必ず側近が介護・援助します。この写真でも、必ず傍には黒人男性がいます。この側近中の側近は、ボディガードではなく、医療担当スタッフのチーフだそうです。

どの様な場面でも、彼は傍らにいます。自動車から降りて、ドアを開けたり、建物に入る場合でも、彼は傍にいます。
ヒラリーだけでなく、この男性が登場する場面では、彼の行動を注視して下さい。時には、手の中に何かを持っている場合もあります。それが薬なのか、注射なのか、何なのかまでは良く分かりませんが――。
「震える手」を必死に誤魔化す
彼女の演説の「特徴」を示す場面も出てきます。左手は必ずマイクを握り、震えを抑えます。右手は、胸に押し付けて震えを抑えます。

手を宙に置くと震えが見えてしまうので、こうすることで誤魔化していると言われています。
異常な頭の動き
次は異常な頭の動きです。最近の動画で一番はっきりと分かるのは、記者団に囲まれて取材を受けている場面で、突然、大きく頭を前後に揺らす光景です。これは専門家曰く、典型的な発作症状の1つとのことです。また、虚ろな瞳になっています。



大きく見開かれた目
さらに、夫の元クリントン大統領と2人で演壇に登る場面がありますが、ここでは突然発作症状が起こり、大きく目を見開いています。



他のシーンでも出てきますが、瞳孔が開いて非常に大きな目となり、虚ろになっています。ここでも、頭が大きく揺らいでいます。
「心配しないで。問題ない。続けて」
ヒラリー候補が演壇上で、自分が何をしているのか分からなくなる場面。ここで右側から男性が駆け寄ります。繰り返しになりますが、この人物はボディガードではなく、医療チームのリーダーだそうです。

彼はヒラリー候補に駆け寄って「心配しないで。問題ない。続けて」と囁いたのですが、正気に戻った彼女は、なんとそれと全く同じ言葉を発してしまいます。「心配しないで。問題ない。続けて」と聴衆に語りかけたのです。
止まらない咳
また、ヒラリー候補は、演説中やテレビ出演中に咳が止まらなくなることがしばしばあります。このとき放送していたTV局は、得意とする突然の遮断で中継を切ってしまいました。

これも専門家曰く、典型的な発作で、食事後の嚥下が上手くいかず気管支に入ったのではないかと解説しています。
必死でパーキンソン病治療薬を調査するヒラリー候補の側近たち
ヒラリーの側近がパーキンソン病治療薬を調査している電子メールが、ウィキリークスで公開されています。
この写真は、最近撮影されたヒラリーの移動用車です。特別なもので、介護用補助装置が満載され、車椅子、車椅子乗降リフト完備です。パジャマを着た後姿の女性はヒラリー候補自身で、9月の献金集めパーティの際のものとのこと。病院内で着るようなパジャマ姿で、出席者を驚かせたようです。

大手TVメディアを中心に、薬の副作用だとする解説もありますが、このような副作用が出るほど大量の薬を服用しているとすると、ヒラリー候補は一体どのような疾病問題を抱えているのだろうか?という疑問はさらに湧きあがります。
しかし、よほどのことがない限り、「ヒラリー大統領」は実現するでしょう。ウォール街のなりふり構わぬ支援があるからです。GS等は、トランプを応援した社員は首切りになるとの話です。
私は個人的には、ドナルド・トランプもヒラリー・クリントンも「金の亡者」だと考えていて、大嫌いです。どちらが米国の大統領になっても、米国社会は各層毎に分解すると思います。オバマが引き裂いてきた亀裂をさらに大きく広げ、社会は分断されるでしょう。
北朝鮮の核実験や、経済制裁にも原油価格下落にも無傷なロシアの台頭とプーチンの強気、さらに中国の太平洋制覇の野望を考えると、米国の国家としての存在は脆弱なものになっています。米国にとっては、もっとも不運で不幸な大統領選挙です。
米国内科医・外科医協会による医師250人アンケートの見解は「クロ」
これは眉唾物だ!噂に過ぎない!政治的陰謀だ!という声も聞こえてきます。しかし、これは根も葉もない話ではありません。専門家たちの意見をご紹介しましょう。
ヒラリー大統領候補の健康問題に関して、米国内科医・外科医協会(Association of American Physicians and Surgeons)がアンケート調査を実施し、その結果を発表しました。
調査結果のポイント
アンケート対象者は250人の医師。そのうち71%が、ヒラリー・クリントン候補の健康状態について「深刻で、米国の大統領としての資格を有していない」と回答した。
そして20%が「誇張されているかもしれないので、医療記録の完全公開が必要である」と回答し、わずか2.7%のみが「これは政治的攻撃であり、彼女の担当医からの書簡を信じており、心配する必要はない」と回答した。
81%以上が「彼女の脳震盪の病歴」を知っており、59%が「脳静脈洞血栓症の病歴」を知っていた。深刻な静脈血栓塞栓症の病歴を知っていたのは52%であった。
78%が「彼女の健康問題に関してメディアは充分に取り上げていない」と回答しており、それと反対に「余りにも強調されすぎている」と回答したのは2.7%だけであった。
ヒラリー候補の健康状況に関して懸念を持っているグループの3分の2近くの医師は、現状を一般大衆に知らせるべきであると回答した。
コメントを寄せた医師は88人。コメントの例としては、「大統領候補の場合、候補自身のプライバシーよりも公共の利益が常に優先されるべきだ」「候補は常に自身の健康問題に関しては、国民に正直であるべきだ」「脳震盪の病歴が問題であり、これは頭脳の思考プロセスに影響があるということに目を向ける必要がある」などがあった。
選挙人に対する別のアンケート調査
Gravis Marketing社が実施した、無作為抽出した833人の選挙人に対するアンケート調査の結果では、49%が「彼女の健康問題に関する充分に裏付けのある文書」の存在を知らなかった。また74%が、夫であるクリントン元大統領の「妻は酷い脳震盪を起こし、それを克服するのに非常に深刻な治療を6ヶ月間必要とした」という公式発言を知らなかった。
米国内科医・外科医協会(Association of American Physicians and Surgeons)のJane M. Orient会長は、「医師も選挙人も、大統領選挙では健康問題を考慮に入れるべきだと考えているものの、実際には内科医、外科医の回答者の4割以上が、彼女の脳静脈洞血栓症の病歴を知らず、選挙人の大多数は彼女の頭脳の認識能力に関して、これから起こり得る長期的なリスクを認識していない」と語った。
それでもヒラリー・クリントン氏は米大統領になるのか?
米国内科医・外科医協会(Association of American Physicians and Surgeons)のアンケート調査結果がこちらです。
なお、夫であるクリントン元大統領による「妻は酷い脳震盪を起こし、それを克服するのに非常に深刻な治療を6ヶ月間必要とした」という公式発言はこちらです。
この2014年5月付の記事では、実際に転倒事故が起きた日時がどうもハッキリしません。
転倒事故が起きたのは2012年12月上旬だったようです。そして退院したのは2013年1月2日だったのですが、このときヒラリー候補は、コンタクトレンズをやめて牛乳瓶の底のような分厚い特殊な眼鏡を掛けていました。
これは脳震盪の後遺症で必要になったとの説明がされていました。この眼鏡が消えたのは2月上旬頃とのことでした。
さて、これからの見ものは、このような状況を米国大手メディアが大きく報道するかどうか?ということですが――多分、よほどのことがない限り、それはないでしょう。
9/15MONEY VOICE記事
ヒラリー・クリントン米大統領候補はパーキンソン病か?老人性認知症か?と言われてきましたが、新たに、脳梗塞・脳疾患からくる血管性痴呆症(血管型認知症)であるとの説が出てきました。これが正しいのかどうか、数ヶ月後には分かるでしょう。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2016年9月13日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
ヒラリー候補、真の病名は?「医学部教授」がYouTubeに投稿
脳血管性痴呆症で余命1年!?

source: “Hillary Clinton has 1 Year to Live,” says Medical School Professor – YouTube
【関連】米医師の71%がクロ判定。なぜ「ヒラリー重病説」は報じられないのか?
ヒラリー・クリントン候補「病状解説動画」の概要
私(注:動画の語り手)は医学部教授です。これまで、3つの教育機関で教鞭を取ってきました。しかし今回は匿名で動画を投稿します。その理由は、クリントンを批判した多くの人々が殺されてきたからです。
また殺されてはいないものの、破滅に追い込まれた人々の例として、Drew Pinsky(注:ドリュー・ピンスキー=テレビ・ラジオで活躍する米国で最も有名な内科医だったが、ヒラリーの病気に関する暴露で放送業界から抹殺され、多くの脅迫により身を隠す)や、David Seaman(注:デビット・シーマン=米ハフィントンポスト元記者、ヒラリーの病状を暴露して解雇)がいます。彼らは、今は隠れて暮らしています――
これまでリークされてきたヒラリーの治療記録を読んだ限りでは、彼女は脳梗塞・脳疾患からくる血管性痴呆症(血管型認知症)で余命1年程度です。
多くの映像が紹介される中で、誰も分かっていないことがあります。それは彼女の病状の重さです。時間がないのです。この病気は進行性で、発症からの余命が3年ないし5年なのです。
彼女の痰(たん)が伴わない咳(空咳、乾性咳)は、この病気の症状の1つです。脳幹が、人間の原始的な機能、行動――例えば呼吸、心拍、血圧等――を支配しています。この脳幹で虚血状態が起こると、呼吸が困難になります。大抵の人は、咳は数回で済みますが、彼女の咳は非常にしつこいのです。
彼女は、咳をアレルギーのせいだと言っていますが、治療記録を見ると、血管性痴呆症だと思えるのです。もし脳幹への血流が少なく弱ければ、急速に衰弱します。もし彼女が血管性痴呆症であれば、今後数ヶ月のうちに、もっと悪化した症状が出てくるでしょう。
また、治療記録には「複合的な部分的発作」との表現が出てきますが、この代表的症状の代表例には「頷き」「舌打ち」があります――
外部からの有害な刺激が、発作を引き起こすことがあります。彼女も報道陣の前で発作を起こしていますが、これは別に驚くことではなく、ジアゼパム誘導体の自己皮下注射器で発作を止めようとしているのが動画から分かります。これは命に関わる緊急事態を抑えるために、ジアゼパムやアドレナリンのような緊急治療用の薬を打つための器具です。
もし発作が起きれば脳内は酸素不足になり、さらに血管性痴呆症が進むからです。発作に対して、この皮下注射器は必要不可欠です――
多くの医者は、彼女の健康状態について公には発言をしていませんが、心の中で、きっと同じようなことを考えているはずです。もしあなたが神経外科医、神経科医、神経血管専門医であれば、彼女が重大な状態にあると考えているはずです。
彼女は階段を上れないし、長時間立つこともできず、サイドレールに掴まり立ちをせねばなりません。(注:これは複数の動画で確認可能)
現在のところ、スクリーンに映し出された原稿を読んで演説できているのは、まだある程度は機能が働いている証拠です。しかし今後、急速に病状は悪化するでしょう。平均余命は4年前後ですが、彼女の症状からすると、最後の1年に入っていると思えます。
2013年に、彼女は血管性痴呆症と診断されているからです。
まるで「テレビ映画」?
前掲動画の6分20秒ごろを見て下さい。テレビで報道される映像では、たくさんの聴衆が存在するかのように処理されていますが、このように、ほとんど聴衆は存在しません。いるのは多くの報道カメラマンだけです。
一般大衆が彼女の姿を見ることはできません。選ばれた人だけが見れるのです。つまり我々にとっては、ほとんど映画の世界です。我々一般人は、上手に撮影され、編集されているテレビ映画を見ているのです。
側近が握りしめる「黒い棒状の物体」の正体
以下の画像を見て下さい。

(ア)ヒラリーの最重要側近である黒人男性。身分証明書にはメディカル・医療担当と記載されており、左手には謎の黒い棒状の物体を握りしめています。
(イ)謎の黒い物体の拡大画像です。これはジアゼパムの使い捨の自己皮下注射器であることが分かりました。
(ウ)が製造メーカーによるスペックで1回に10mgを注射します。この注射器の灰色の胴体部分にジアゼパム(Diazepam)と明記されています。大きさは全部伸ばした状態で長さ14cm、最大直径2.4cm、弾丸と呼ばれる注射針付きのアンプルの長さ4.5mmと記載されていました。
(エ)眼球運動障害の例です。
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