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『トランプに票を入れる衆愚たちのデモクラシー 米若手学者の衝撃の一冊、「賢人統治主義の勧め」』(10/3JBプレス 高濱賛)、『今まで全勝の米大統領選予測、今回は異変が・・・
デモクラシーの胡散臭さは常々感じていました。本記事にありますように、民主主義は衆愚政治に陥りやすいという事です。日本もGHQの洗脳から未だに解放されずにいる人が大半を占めています。でなければ朝日新聞などはとっくに潰れていて当り前です。それでもじわりじわり販売部数を落としてきました。ピーク時には800万部を超えていました販売部数は昨年末で662万部とのこと。押紙があるので8割が実売部数とすれば、500万部が相当でしょう。図書館等で取るのも止めた方が良いでしょう。しんぶん赤旗も販売部数低迷で日曜刊以外は休止するかもしれないとのこと。慶賀の至りです。いい加減呪縛から解き放されてほしいと思っています。近隣諸国は裏金を使い、日本の名誉を貶め、世界で日本を孤立させ、日本を乗っ取ろうとしています。それが見えない人は空めくらでしょう。
http://diamond.jp/articles/-/85459
http://www.dailyshincho.jp/article/2016/10040557/?all=1
米国の若手学者は、エピストクラシーが良いとのことですが、誰が選ぶのでしょうか?君主制、共和制(独裁官を含む)であっても統治の正統性が問題になります。蓮舫の二重国籍問題の他に、自民党の小野田紀美もそうとのこと。統治の正統性から言って両者とも議員辞職に値すると思います。でも日本維新の会の足立康史氏によれば小野田は昨年10月に国籍選択して(参議院議員になる前)、指摘を受けて直ぐに戸籍謄本を開示したとのことで、こちらは免罪すべきでしょう。
話を戻しますが、賢者の定義は難しいでしょう。神ならぬ身なので。謀略が跋扈する世界になるかもしれません。元々近代資本主義は人間の欲望の極大化を認めて発展してきました。資本家・経営者にとって選挙は邪魔なものであっても、資本主義は一党独裁の共産主義よりは民主主義の方が遙かに親和性を持ちます。賢者の政治はモーセの時代ならともかく、独裁に道を繋げるのを危惧します。今でも学者等は顧問と言う形で、どの国でも政権にアドバイスしているでしょう。それでもうまく行かないのは、政権に学者の意見を聞く気がないからか、学者が間違っているかです。イタリアの学者首相のマリオ・モンテイもうまく行きませんでした。
結局は衆愚になるかもしれませんが、民主主義を選ばざるを得ません。国家はその国民に合った政府しか持てないという事でしょう。ドウテルテ暴言大統領を選んだのはフィリピン国民です。米国無しでどうやって中国と対峙するのでしょうか。
堀田氏の記事は11/8以降に再読したいです。やはり、ヒラリー有利とするのが多いという事ですが。
高濱記事

米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏〔AFPBB News〕
「歴史の終わり」以後、激動し始めた世界と米国
フランシス・フクヤマ博士の「歴史の終わり」(The End of History and the Last Man)が世に出てから24年、その仮説は完全に突き崩された。同博士はこう予言していた。
「国際社会においてリベラル・デモクラシー(Liberal Democracy)が他のすべての政治形態を打ち破り、最終的勝利を収め、社会制度の発展は終わりを告げる。そして世界は平和と自由と安定を未来永劫、享受できる。リベラル・デモクラシーという政治形態を破壊するような戦争やクーデターはもはや生じない、まさに『歴史の終わり』だ」
ところがあれから24年、世界はどうなったか。イスラム教過激派集団IS(イスラム国)はリビア、イラクの既成体制を脅かし、過激派思想の影響を受けた「ホームグローン・テロリスト」は欧米社会で顕在化している。
内政面でもリベラル・デモクラシーは破綻し始めている。
なまじ国家の一大事をレフォレンダム(国民投票)に託したために欧州連合(EU)から離脱せざるを得なくなった英国。党エリートが手をこまぬいていたために「ナルシスト的アジテーター」(独シュピーゲル誌)に党を乗っ取られてしまった米共和党。
「一般大衆の声を尊重しすぎ、地方自治体が外交安保問題に至るまで中央政府と対等関係にあるかのような錯覚を起こした日本の某県知事」(米主要シンクタンクの日米防衛問題研究者)・・・。まさに大衆迎合主義万々歳である。
「デモクラシーが生んだトランプ現象」

Against Democracy(反デモクラシー論) By Jason Brennan Princeton University Press, 2016
米国内を吹き荒れた不動産王のドナルド・トランプ氏は、自らの選挙運動についてこう叫んでいる。
「俺の選挙は単なるキャンペーンではない。これはムーブメント(運動)なのだ」
トランプ現象を「デモクラティック・トランパリズム」(Democratic Trumpalism=トランプ的愚民主義)と命名した新進気鋭の米若手政治学者がいる。
今回紹介する本の著者、ジョージタウン大学ビジネススクールのジェイソン・F・ブレナン准教授(政治哲学、政治倫理、公共政策=37)だ。
「Against Democracy」(反デモクラシー論)の著者である。
同氏は、ニューハンプシャー大学を卒業、アリゾナ大学で博士号を取得し、ブラウン大学助教を経て現在ジョージワシントン大学准教授。2011年に著した「投票の倫理」(The Ethics of Voting)で脚光を浴びた。
社会正義と経済的自由・市民的自由を結合させる政治哲学、「Bleeding Heart Libertarian」(熱狂的なリベタリアン)という概念を打ち立てている。
ワシントン・ポストの著名なコラムニスト、イリヤ・ソミン氏はブレナン准教授を「投票動向の分析では世界をリードする学者の1人」と高く評価している。
Democracyの訳語は「民主主義」、それとも「衆愚主義」?
政治学概論的に言えば、デモクラシーとは「人民が権力を所有し、それを行使するという政治原理」「国家の権力者・指導者がその国家を構成するすべての人民の合意を得て行う政体」である。
日本語では「民主主義」という訳語が定着している。
が、評者が本文で「民主主義」とはせず、あえてカタカナで「デモクラシー」と書いてきたのにはわけがある。
英語のDemocracyを「民主主義」と素直に和訳すると、ブレナン氏が本書で論じている論考の基軸と相いれない可能性があるからだ。
平たく言えば、同氏は「Democracy」を日本語の「民主主義」のニュアンスではとらえていない。
日本人にとって、「民主主義」という単語には特別な響き、概念がある。米大学で教鞭をとる日本人政治学者の1人は、匿名でこう指摘している。
「戦後、GHQ(連合軍総司令部)によって行われた『洗脳』によって日本人のマインドに沁み込んだ『デモクラシー=民主主義』という概念は、『絶対的な正当性』があるとの認識だった。『民主主義』には神聖にして侵すことのできない、これ以外にはすべての国民にとって正しい政治形態はないと信じ込まされてしまった面がある」
ところがブレナン氏の「Democracy」に対する概念は、日本人(少なくとも評者)が日本語で見聞きする「民主主義」という概念とは程遠い。むしろ日本語に訳せば「衆愚主義」に近いのだ。
Democracy(デモクラシー)の語源は、古代ギリシャ語の「デーモクラティア―」である。「デーモ」とは「人民・民衆」。「クラッティア―」は「権力・支配」の意味だ。「民主主義」という訳語が定着する以前には「衆愚政治」「民衆支配」といった訳語もあったようだ。
野口忠彦・拓殖大学元教授は、「Democracy」の訳語に言及した「『民主主義』は適訳か」と題する論文(政治・経済・法律研究、拓殖大学論集)を著している。学界にも論議があったことを示す証左だ。
「国家の構成員全員が政治参加する必要はない」
ブレナン氏によれば、米国の衆愚が「トランプ」に熱狂しているのは、次の3点について「そう思い込んだ」からだと分析している。
(A)衆愚がトランプ現象で「デモクラシーとは、国家の構成員すべてが政治的パワーを平等かつ根源的に分かちあえる基本的権利を享受できる政治形態だ」と思い込んだこと。
(B)衆愚がトランプ現象で「デモクラシーとは、国家の構成員すべてが政治参加することこそ善(Good)であり、人民にはその権限が授けられている」と思い込んだこと。
(C)衆愚がトランプ現象で「デモクラシーとは、人民が欲するものをすべて享受でき、それによって人民はより善良な市民になれる素晴らしい政治形態だ」と思い込んだこと。
だが、ブレナン氏はこう反論する。
「デモクラシーとは、少なくとも最初の2つ、AとBを享受できる政治原理ではない。最後の1つ、Cすら受け入れるに足るものとは言えない。
理由はこうだ。
第1に、政治参加はほとんどの構成員にとっては価値あるものではない。構成員のほとんどは政治的決定にはあまり役に立たないどころか、政治への参加は多くの構成員を卑劣で粗野にさせてしまうからだ。
さらに言えば、国家の構成員であるすべてのものに選挙権、被選挙権が基本的権利として与えられているわけではない。
選挙権とは、個々の構成員に与えられる『言論・表現の自由』のような権利とは異なる。選挙権とは立候補している第三者に自らの権限を貸与することを意味する。
デモクラシーとは、それ自体が目的ではない。それは、ちょうどハンマーの価値に似ている。ハンマーは釘を打つから価値がある。それ自体には何ら価値はない。
デモクラシーとは、公正かつ効率的な政策を作り出すための有効なインスツルメンツ(道具、手段)にすぎない。もしデモクラシーより性能のいいハンマーを見つけたらそれを使うべきだ。デモクラシーよりも優れたハンマーはエピストクラシー(Epistocracy=賢者統治主義)*1かもしれない。
自由共和的賢者統治主義(Liberal Republican Epistocracy)の方が自由共和的愚民主義(Liberal Republican Democracy)よりも勝っているかもしれない。それを試してみてどちらがいいかを探り当てる時期に来ている」
*1=新語だけにまだ定訳はない。中国語では「由智者統治」と訳されている。
「デモクラシー=民主主義」の呪縛からの解放
デモクラシーからエピストクラシーへの転換を訴える学者はブレナン氏だけではない。ジョージメイソン大学のギャレット・ジョーンズ准教授もその1人だ。ジョーンズ氏はエピストクラシーのメリットについてこう述べている。
「デモクラシーの下で選ばれた政治家は、国家のために良しとする長期戦略を立てても選挙民の目先の要求に応じることを優先せざるを得ない」
「選挙の洗礼を受けずに、つまり一般大衆の声よりも国家の利益を優先して考えることができる政治家による政策立案、立法化には大きなメリットがある。むろんそうした政治家には抜きん出た知性と徹底したモラルが必須であることは言うまでもない」
注意すべきは、ジョーンズ氏が指摘している「エピストクラシー」における政治家の質の問題だ。いくら賢人であろうとも社会正義感覚やモラル感覚に欠けているものは最初からご遠慮願うことは言うまでもない。
卑近な例で言えば、いくら東京都政に精通した地方政治家だろうとも金銭感覚とモラル感覚に欠けている実力者らが暗躍すると、豊洲市場移転をめぐるスキャンダルめいたことが起こる。
もっともこうした輩を選んだのはデモクラシーの名のもとに行われた選挙となると、これは政治形態の問題ではなくなってくるが・・・。
「デモクラティック・トランパリズム」が吹き荒れる中で、トランプ氏が大統領になるにしろ、ならないにしろ、大衆迎合主義に危機感を抱く米国の若手学者は黙ってはいない。
彼らによる「衆愚主義」に代わる選択肢の模索は今後、強まることはあっても弱まることはなさそうだ。
堀田記事

米大統領選の第1回テレビ討論会を終えて握手する民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官(右)と共和党候補ドナルド・トランプ氏(2016年9月26日撮影)〔AFPBB News〕
米大統領選の投開票日(11月8日)まで1か月あまり。民主党ヒラリー・クリントン候補(以下ヒラリー)と共和党ドナルド・トランプ候補(以下トランプ)のいったいどちらが勝つのか。
第1回テレビ討論会が終わり、両候補はいまレース最後の直線に入ったところだ。毎日のように発表される世論調査結果を眺めると、両候補の数字は拮抗している。ヒラリーが数ポイント差でトランプをリードしている調査結果もあれば、逆の結果もある。
勝者を予測することは危険であるが、米国では当選予測モデルがいくつもあり、大統領選の専門家が予測を公表している。
当欄では単なる「直感的な予想」ではなく、少しマニアックであるが「学究的な予測」を中心に、数字とともに示していきたい。
米大学の政治学者が公表する9つのモデル
米国で最初の当選予測モデルが紹介されたのは1912年のことである。当時は、近年のような学究的なアプローチを駆使したものではなく、予備選の結果を考慮したモデルだった。
政治学者が学会の場で予測モデルを公表したのは1996年のことだ。全米政治学会(APSA)で勝者を分析する予測モデル(Forecasting Models)が発表されている。
1996年というのは、ビル・クリントン元大統領と共和党ボブ・ドール候補が戦った年で、同年の予測だけでなく、過去をさかのぼって大統領選の勝者を割り出すモデルが紹介された。
近年になると、主な予測モデルだけで9つも登場している。すべて米大学に在籍する政治学者が公表しているものだ。いくつか紹介したい。
ニューヨーク州立大学バッファロー校のジェームズ・キャンベル教授のモデルは、過去にさかのぼっても「ハズレ」のない予測を出している。
今年の予測は「ヒラリー勝利」である。同教授が使う指標は、民主・共和両党の全国大会前後の支持率の推移、第2四半期のGDP(国内総生産)実質成長率、政権を担う政党が何年継続しているかを測っている。
8月26日時点でのヒラリーとトランプの勝率は51.2%対48.6%。ヒラリーに軍配が上がっている。同教授の予測モデルだけでなく、他のモデルも数式化されて小数点まで割り出されている。
ジョージア州にあるエモリー大学のアラン・アブラモウィッツ教授のモデルも「勝率」は100%。なにしろ1948年からデータを取り始めて、これまで1度も外していない。
今年の同教授の予測はなんと「トランプ勝利」である。筆者は10年以上前から両教授の予測を見ているが、これまでは予測が一致していた。だが今年初めて予測が割れている。
同教授が使う指標は、現職大統領の6月末時点でのギャラップ調査の支持率、第2四半期GDPの実質成長率、現職大統領が1期目か2期目かの3点である。前出のキャンベル教授との差異は、現職大統領の支持率か候補の支持率かの違いだけだ。
入手可能な情報をすべて使うアームストロング教授
ブラモウィッツ教授の予測数値は51.4%対 48.6%で、キャンベル教授と真逆の結果である。ただ前出の2教授が使う指標が3点だけということが多少、気になる。
予測モデルの発案者の1人として忘れるべきではないのが、ペニンシルバニア大学ウォートンスクールのJ・スコット・アームストロング教授である。
同教授は政治学者ではなくマーケティングの研究者で、ビジネススクールの教授らしく入手可能なあらゆる情報を使い、数値化してエラーが生じない予測を試みている。しかも1日1回のペースで数値を更新している。
支持率や経済指標だけでなく、民間の予測やアイオワ電子市場の勝率予測まで考慮する点に特徴がある。
アームストロング教授の最新の数字(9月29日)は、ヒラリーの52.3%に対しトランプが47.7%。今年の選挙は「ヒラリー勝利」と予測している。この数字は今年2月1日にアイオワ州で党員集会が始まった時からほとんどぶれていない。
当欄では3教授の予測結果を紹介したが、前述した主要9教授(3教授含む)の予測モデルでは7教授が「ヒラリー勝利」を、アブラモウィッツ教授を含む2教授だけが「トランプ勝利」と予測している。
ただ投票日までは1カ月以上ある。多くの方はあと2回残っている討論会での両候補のパフォーマンスや、不測の事態によって予測が外れる可能性があると考えるかもしれない。
けれども過去10年以上、インターネットによる情報量の増加などにより、約9割の有権者は現段階でどちらの候補に一票を投じるか決めている。
最新のウォールストリート・ジャーナルとNBCテレビの共同世論調査によると、討論会を観て心が動かされ、支持候補を替える可能性のある有権者は11%に過ぎなかった。
つまり、討論会は自身の支持する候補がどういった討論をするのかを確認する場になっているのだ。1960年のジョン・F・ケネディ対リチャード・ニクソンのテレビ討論の時代とは討論会の意味合いが違う。
堀田モデルの内容と結果
筆者は一応、大統領選をライフワークと公言しており、1992年の予備選からずっと取材を続けている。そうした経験も踏まえ、おこがましいが「堀田モデル」を作っている。
指標にしているのは以下の6つである。
(1)過去1年の世論調査5社(ロイター、ニューヨーク・タイムズ、ギャラップ、キニアピッグ、エコノミスト)の支持率の中央値 (2)集金額 (3)選挙対策本部の組織力 (4)候補の資質 (5)経済指標(最新の1人あたりの経済成長率、失業率、インフレ率) (6)ガソリン価格
以上の指標を元に一般投票の獲得率を計算している。
自身のブログでは今年6月にヒラリー勝利を予測し、得票率を51%とした。ただ第3政党の候補として、リバタリアン党のギャリー・ジョンソン候補と緑の党のジル・ステイン候補が出馬している。
ジョンソンは全米50州で、ステインは最低45州で投票用紙に名前が刻まれる。米大統領の歴史の中で第3政党の候補が勝ったことはなく、今年も両者が勝つ可能性はほとんどゼロに等しい。
ここまで紹介した政治学者の予測モデルには両候補が加味されておらず、紹介した数値はヒラリー・トランプ両候補がとり分ける値が示されている。しかしジョンソン・ステイン両候補はほぼ間違いなく計1000万票超を獲得するので、ヒラリーとトランプの票数は自ずと減る。
いずれにしても、実際に4人が票をとり分けることになり、「堀田モデル」ではヒラリーが47%、トランプが43%、ジョンソンが7%、ステインが3%で、「ヒラリー勝利」と予測する。
もちろん予測に過ぎないが、かなり近いものになると考えている。
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『G20開催礼賛で読み解くゴジラのいない中国 中国映画の黄金時代は規制とのせめぎ合いで生まれた』(9/29日経ビジネスオンライン 山田泰司)、『差別、格差、汚職生む「中国戸籍」…改革なるか 身元隠しから汚職に走った官僚の半生が映す、課題山積』(9/30日経ビジネスオンライン 北村豊)について
中国は気が狂ったとしか思えません。今度はインドに侵攻しました。米国ですら二方面が難しく、アジアピボット政策に転換したというのに。オバマのことですから口先だけというのはばれていますが。中国には三方面(東シナ海、南シナ海、インド)でバトルはできないし、敵国を多く作り、結束を強めるだけとしか思えませんが。軍部が習近平に嫌がらせしている可能性もあります。日本にとっては味方が増えるし、軍事力を他にも分散して貰えて有難いことです。日本のマスコミに洗脳された人はこういう現実を見てもまだ中国は平和愛好国家と思うのでしょうか?単なるゴロツキ国家でしょう。
http://news.livedoor.com/article/detail/12072087/
山田氏の記事について、天安門事件の見直しは毛沢東の額が天安門に飾られている間は難しいし、紙幣に毛沢東の顔が刷られている間は難しいという事です。毛沢東統治時代は毛だけが良い思いをし、残りは皆、恐怖政治の真っただ中にいました。No.2の周恩来もそう、国家主席だった劉少奇、党副主席だった林彪、朝鮮戦争の英雄だった彭徳懐など皆、毛の犠牲者です。
政府・社会・道徳・宗教を批判できる自由が無ければ良い作品はできませんし、科学技術の発展もあり得ません。今はノーベル賞の発表時期ですが、日本の20年後を危ぶむ人もいますけれど、自由でない国を恐れる必要はありません。ただ、盗まれないように細心の注意を払わないと駄目です。中韓は苦労するより、人がやったことを横取りする方が賢いと思っている民族ですから。中国人は拝金教ですので自由は二の次です。金が儲かればどんなことをしても許されるというのが彼らの発想です。今の中国人に体制批判を期待しても無理。それより、体制とくっついて金儲けした方が良いと思っている人が大半です。
北村氏の記事について、何時も言っていますように中国では賄賂は上から下に至るまで行っており、社会にビルトインされているという事です。「清官三代」の言葉どおりです。北村氏も認めているように、「張緒鵬」が農業戸籍でなかったら汚職に手を染めなかったかというと、全くそんなことはなかったでしょう。周りが汚職に励んでいるのに超然としていたら仲間はずれにされます。
興味がありますのは、どうして腐敗が発覚したかです。多分、敵の不動産会社がもっと上に取り入り、司法部門を動かしたのでしょう。勿論、そのためには金が必要です。いつも言っていますように賄賂が発覚するのは①(政)敵を倒すためか②配分先を間違えたか配分量を間違えたかのいずれかです。習近平がやっているのは正しく①です。中国人だったら皆分かっています。
農村戸籍と非農村戸籍の区別がなくなることは基本的人権の擁護の面で好ましいことです。今までがおかしかったわけです。結果の平等を目指す共産主義が現実面で大いに矛盾していたということですが、権力を監視する術を持たないシステムでは期待する方が野暮でしょう。まあ、一歩前進という所でしょうか。でももっと大きな問題があります。「档案」です。3代前の家族に遡り、共産党に反対したか、不満分子でないか等、素行の内申書で、地方の共産党幹部が書いて本人も見れないようになっていると聞きました。人権蹂躙も甚だしいですが、共産党が続く限り止めることはないでしょう。本当に共産党と言うのはどこの国でも腐っています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%A3%E6%A1%88
山田記事

中国・杭州で開催されたG20首脳会議(写真:ロイター/アフロ)
原発事故や戦争を暗喩したと言われる「シン・ゴジラ」を観て、現代の中国で化身としてゴジラに成るとしたら何だろうか、ということについては前回書いた。同時にもう1つ頭に浮かんだことがある。それは、中国の映画人がもしいま、何かを暗喩して映画を撮るとすれば何だろうかということ。
文化大革命(文革)、官僚の腐敗、人権問題、政権批判などいくつも頭に浮かぶ。ただこれをもし、「何かを暗喩して撮る」ではなく、「暗喩でしか描けないものを撮る」と言い換えると、対象はぐっと絞られてくる。習近平国家主席に対する批判もできなさそうではあるが、政権が交代すれば可能性はなくはない。そこで、指導者が替わっても当面難しそうなテーマということで考えれば、私はその筆頭はダントツで1989年6月4日の天安門事件だと思う。
最大のタブーと暗黙の了解
民主化に理解のあった胡耀邦元総書記の死去に端を発した学生の民主化要求運動を当局が最終的に武力で弾圧した、というのが天安門事件についての日本や欧米での一般的な認識だ。ただ、中国政府は確か、「政治的波風に端を発した反革命暴乱」という具合に、いわゆる西側諸国とは異なる見解を示している。
ここで、「確か」「している」と曖昧に書いたのは、天安門事件は中国において検索のNGワードになっているため、中国でこれを書いている私は確かめることができないし、あえて調べようともしていないためだ。ともあれ、事件から27年が経過した今日に至るまで、死者の数などを含めいまだに真相は分からないし、中国ではいまだに最大のタブーだと言っていい。
事件当時、私は中国に留学していて、その秋から入る予定だった北京大学で入学の最終手続きをするため、事件前日の6月3日には北京にいた。手続きを終え、在籍していた山西省の大学に戻るため予定通り3日の夜行列車に乗り、翌4日の朝、山西省の太原に着き大学に戻ってみると、中国人の先生から「よく無事で戻ってきた」と迎えられた。ネットもない時代で情報は限られていたが、事件当日の4日朝の時点で、北京で起きたことのあらましを知らない中国人は誰ひとりいなかった。先に、天安門事件は中国にとって最大のタブーだと言ったが、最大の暗黙の了解でもある。もっとも、事件後に生まれた20代以下の若者の中には、事件の存在自体知らない人も大勢いるというのが現状である。
中国映画の黄金時代
さて、情報の統制が厳しく、映画に対する検閲もあり、表現に対する制約も多いとの印象がある中国だが、中国のタブーという話が出ると天安門事件と並んでよく名前の挙がる文革については、意外なほど批判的に扱ってる映画は多い。陳凱歌(チェン・カイコー)監督の「さらば、わが愛~覇王別姫」(1993年)はその代表で、日中戦争や文革など時代に翻弄された当時の京劇役者たちの人生を描いたこの作品は、同年のカンヌ映画祭でグランプリに当たるパルムドールを受賞している。
2008年北京オリンピックの開会式と閉会式の総合演出を手がけた張芸謀(チャン・イーモウ)監督が、その存在を世界に知らしめることになった代表作「紅いコーリャン」(1987年)は、人権問題を陰のテーマにしている。中国の農民が日本軍に虐殺されるシーンが有名なこともあり、抗日映画の印象がどうしても強くなりがちだ。ただ、監督の張芸謀は文革で農村に下放され農民として3年間労働、2012年にノーベル文学賞を受賞する原作者の莫言は農村出身という背景を持つこの2人が、人間扱いされているとは言いがたかった当時の中国の農民の苦しさ、言い換えればこの映画が撮られた当時もなお続いていた中国における人権の扱いに対する批判を込めて創った作品でもある。
ただ、例えば文革を映画のテーマとして取りあげることは許されても、制約が全くないわけではなかった。世の中を文革に至らしめた中国共産党を名指しで批判することは、当時も今もできないのだ。そこで、陳監督は文革、張監督は人権問題を、抗日戦争というテーマと1本の映画のなかに同時に盛り込むことで、当局の許可を得やすいようバランスを取る。もっとも、日本の侵略に対する怒りがあったのはもちろんのことである。
制約・規制に抗うことで生まれた表現
ただそれでも、直接的な当局への批判はできない。そこでわが愛~覇王別姫で陳監督は「音」、紅いコーリャンで張監督は「色」を、自らの思いや感情を表現すると同時に、見る者の想像力をかき立てる手段として効果的に使った。
例えばわが愛~覇王別姫のラスト。主人公の1人が自害するのだが、陳監督は直接、刃物を体に突き立てるようなシーンを描くことはしない。まず、盟友の死を目の当たりにしたもう1人の主人公が、相手の名前を絶叫する声。続けて、共に京劇役者である主人公2人を戯画的に描いた静止画に、京劇の舞台音楽としておなじみの「シャンシャンシャンシャン」という拍子木、シンバルを乱打し笛を吹き鳴らす音をかぶせた。悲しく重苦しい死の場面に続くにはおよそ似つかわしくない甲高く騒々しい音楽だが、観ている私たちに蝉時雨のように降り注いでくるその音は、戦争や文革という理不尽な時代に生きた京劇役者のやるせなさや、そのような時代を招いた政権を名指しで批判することはできない監督自身の憤りを私たちに体感させ、体と心を激しく揺さぶるには十分な効果を生んでいる。
「このような映画を撮れる国」として集めた敬意
一方、紅いコーリャンのラストシーンで陳監督は、大地一面に広がるコーリャン、その大地を踏みしめ仁王立ちする主人公と幼い息子、主人公の足下に転がる殺された妻、その3人を覆う空と、画面に映る何もかもを、夕日と血で燃えるような深紅に染め上げた。怒りと血を意味する赤で包み込むことで、農民がたどり着いた人生を表現してみせたのである。
この時代、中国映画はベネチア、カンヌ、ベルリンなど海外の映画祭で賞を総なめにした。紅いコーリャンも1988年、ベルリン国際映画祭で最優秀賞の金熊賞を受賞している。「竹のカーテン」で閉ざされた国という印象が強かった中国で、映画という表現が盛り上がり始めたことに世界が注目しだしたという時代的な背景もあったのは間違いない。
ただ、当時の中国で映画の撮影に制約がなく、言葉で名指しで批判するような単純な表現が多かったならば、言語も文化も違う他国でここまでの高い評価は得られなかったのではないか。表現が制限される中、人間の五感に訴える色と音で激情や思いを伝えようとした工夫が、国境を越えての共感につながった大きな理由であろう。そしてこの当時、いろいろ問題はあるようだが、でも、このような映画を撮れるのだからという理由で中国や中国人に敬意を抱いた人も、少なくなかったのである。
話題になるのは「カネ」と「市場」ばかりの現状
翻って現在。中国と映画ということで話題になることと言えば、巨大市場に成長した中国の観衆を意識して、舞台に中国が登場するハリウッドの大作が増えたということや、中国の不動産王、王達林氏率いる万達集団が、米国の映画館チェーンAMCエンターテインメントや、「ジュラシック・ワールド」の製作で知られる米レジェンダリー・エンターテインメントを買収した等々、市場やカネにまつわる話ばかり。これらの話題を凌ぐほど評判になる作品は、中国映画の中から久しく出ていない。
共に60代半ばになり申し分のない実績を誇る張芸謀、陳凱歌の両監督が映画界の大御所になったのは当然だとして、張氏は一人っ子政策に違反して億を超す罰金を科されたこと、一方の陳氏は昨年から上海電影学院のトップに就任したことなど、話題になるのは作品以外のことばかり。特に張監督は、五輪の演出をして悦に入っている姿を見ると、体制の側に行ってしまったという感が否めない。
ただ一方で、中国の映画界がいまもなお、何でも自由に描け、批判できるという状況にないことは、陳、張両監督の全盛期であり、中国映画の黄金時代と呼ばれた1980~90年代前半のころと変わるところがない。規制の中でのギリギリのせめぎ合いで表現を工夫しタブーに迫ったからからこそ、陳、張監督の時代の中国映画が強烈なインパクトを残すことに成功したのだということを肯定するならば、タブーや社会問題を暗喩することで名作が生まれる環境面での条件はいまも揃っていることになる。
「G20で締め出し」を市民は本当に怒ったのか
ではなぜ、印象に残るような中国映画が生まれなくなっているのか。9月上旬、日本でシン・ゴジラを観た私はそんなことに思いを巡らせたのだが、ちょうど同時期に中国浙江省杭州で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議と、それに対する友人・知人らの反応に、インパクトのある中国映画が出なくなった一因を垣間見た気がした。
G20の開催に合わせ、開催地の杭州では9月1~7日まで、企業や学校が休みになった。大きな通りに面した商店も多くはシャッターが閉じられ、市民を閉め出した町はまるでゴーストタウンのようだったという。首脳らの安全確保に加え、各国のリーダーやメディアが集結する中、中国政府に不満を持つ市民が杭州で陳情などを強行するのを防ぐ目的があったと言われる。
このことについて、日本のメディアが報じているのをいくつか読んだが、おしなべて、閉め出された市民らが当局の強引な措置に不満を漏らしていた、という一点張りで伝えていたように思う。
もちろん、不満を覚える杭州市民も少なくなかったことだろう。ただ、杭州でG20を開催したことを喜び、誇りに思い、強制的な休業や排除を受け入れている市民が、不満を漏らす市民と同じか、私の印象ではそれ以上いたという事実については、伝えておく必要があると思う。
「安定・豊かさ」優先で「批判・評価」は先送り
私がこのことを知ったのは、中国最大のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「WeChat」でのこと。「朋友圏」すなわち友達・知り合いとして登録している人たちに向かってつぶやきや写真を載せる「モーメンツ」というスペースがあるのだが、ここに、G20用にライトアップされたビルなど町の様子の写真を多数載せ「世界の杭州!」「国際化を象徴するようなライトアップだ!」「世界に届け!HANG ZHOU(杭州)の誉!」「私の誇り、杭州!」と、読んでいるこちらが気恥ずかしくなるような文言と共に掲載している知人・友人が、1人や2人ではなかったのである。
中国ではこのWeChatでも検閲が行われていて、友人・知人らがこのモーメンツの欄に自分で書き込んだり、転載したりしている記事が、後になって「不適切なので削除しました」の通知と共に削除されていることもままある。こうした状況なので、中国人が、WeChatのモーメンツでつぶやいていることが、本音ばかりであるというわけでは当然ない。ただ、検閲しているといっても、庶民が中国当局を礼賛する書き込みをしたからといって、それを当局が目ざとく見つけ、「お、こいつは体制の支持派か。留意しておこう」などとなり、それを機に当局の覚えがめでたくなる、というほどでもない。
杭州のG20を礼賛していた友人・知人らの中には1度しか会ったことがない人もいるが、それでも直接会ったことがある人ばかりだ。だから、多少なりとも彼らの人となりは分かる。それから判断する限り、強制的な休業など不便、不利益を被ったことを差し引いても、杭州でのG20開催を心から誇りに思っている人が相当数に上るというのが実態ではないかと、私は思っている。つまり、世界に誇りたくなるような杭州を作り上げた中国当局を、少なくとも大筋では支持している人が、日本の報道、特にネットで流れている報道から受ける印象とは裏腹に、多数派だということである。
名作映画を連発してはいたものの、豊かさという点では今よりも劣っていた80年代。それから30年かけてG20が開催できるまでに築き上げたいまの世の豊かさを、崩したくないという思いも意識的、無意識的にかかわらず、中国人の中には働いているだろう。こうした状況で、安定を危うくする危険をはらむ、社会問題や歴史的事件を暗喩する映画は生まれにくいに違いない。規制という環境は1980~90年代と同じでありながら、いまの中国に強烈な印象を残す映画が出てこないのは、規制に抗ってまで主張したいことが少ない、あるいはあっても評価は先送りにしておきたいという、いまの中国人の意思の現れでもある。
北村記事
9月19日、北京市は正式に『戸籍制度改革をさらに推進する実施意見』を公表し、北京地区の“農業戸口(農業戸籍)”と“非農業戸口(非農業戸籍)”の区分を取り消し、登録する戸籍を“居民戸口(住民戸籍)”に統一すると宣言した。北京市の統計によれば、2012年末における北京市の常住人口は2069.3万人、そのうち農村人口は285.6万人で、2010年末の275.5万人に比べて10万人増加していた。
「差別の温床」戸籍制度の改革計画を公布
これは2014年7月24日付で中国政府“国務院”が公布した『戸籍制度改革をさらに推進することに関する意見』で提起された「“城(都市)”と“郷(農村)”の戸籍登録制度の統一による農業戸籍と非農業戸籍の区別の取り消し」に基づく措置である。9月20日の時点で、北京市を含む30の一級行政区(省・自治区・直轄市)<注1>が農業戸籍と非農業戸籍を取り消すことにより、これまで差別や偏見をもたらしてきた戸籍制度の改革計画が公布されている。
<注1>中国の一級行政区は31か所あり、30か所に含まれていないのはチベット自治区の1か所のみ。
中国では、1958年1月9日に公布された最初の戸籍法規である『中華人民共和国戸籍登録条例』によって、常住、暫住、出生、死亡、転出、転入、変更の7項目の登録制度を含む厳格な戸籍管理制度が確立され、全ての個人は農業戸籍と非農業戸籍に分類された。農業戸籍と非農業戸籍という分類は、計画経済下で“商品糧(商品化食糧)”を基準として区分けしたもので、農業戸籍とは「自分が生産した食糧に頼って生活する農村の農業従事者の戸籍」を指し、非農業戸籍とは「国家が分配する食糧に頼って生活する都市居住者の戸籍」を指す。
当初は農村部に居住する農業戸籍者には宅地と農地が保証されていたから、都市部に住む非農業戸籍者に比べて優遇されているように思われたが、工業が発展するに従い都市部と農村部の収入格差は拡大の一途をたどり、都市部の非農業戸籍者と農村部の農業戸籍者の間には収入、生活、文化、教育などのあらゆる面で大きな格差が厳然と存在するようになった。また、農民の都市部への移動は厳しく制限されたこともあり、都市部の住民は総体的に自分たちより貧しい農村部の住民を一段低い存在と位置づけた。それが、貧しい、汚い、礼儀知らず、無教養などといった農業戸籍者に対する差別と偏見に発展し、今日に至っている。
今まで農業戸籍者が非農業戸籍に転換して都市部住民になるには、非農業戸籍者との結婚や養子縁組、大学卒業、優秀人材、突出した貢献などの厳しい条件と審査があり、承認される人数には大きな制約があった。しかし、一級行政区の各地方政府が戸籍制度の統一に本腰を入れると宣言したことにより、今後数年以内に中国の戸籍は住民戸籍に一本化されるものと思われる。
さて、9月22日付の日刊紙「検察日報」<注2>は、安徽省“寿県”の元“県党委員会書記”(以下「元書記」)が生をうけてから汚職で摘発されて失脚するまでの経緯を詳細に報じた。元書記が汚職に手を染める引き金となったのは、貧しい農民である実家を援助するためであり、実家が貧しい農民であることで妻に見下されたくなかったからだという。本来の農業戸籍から非農業戸籍へ転換していた元書記は、貧しい農民出身であることを妻に隠し通すために汚職に走ったのだった。その概要は以下の通り。
<注2>「検察日報」は“最高人民検察院”の機関紙。最高検察院は日本の最高検察庁に相当する。
「戸籍」から始まった汚職への道
【1】1963年2月18日、“張緒鵬”は安徽省の省都“合肥市”の西隣に位置する“六安市”の管轄下にある“霍山(かくざん)県”の貧困な山村に居住する張家の三男として生まれた。しかし、貧しい張家には彼の出生を喜ぶ者は誰もおらず、家族は彼をどう養って行くのかと眉をひそめるばかりで、最終的に張緒鵬は他家へ養子に出された。養父母の家には2人の姉がいたが、男の子は張緒鵬だけであったことから、幸いにも張緒鵬は教育を受ける機会に恵まれた。1979年、張緒鵬は安徽省東南部の“宣城市”にある“皖南(かんなん)農学院”に16歳で合格して大学生となり、辺鄙な山里から抜け出るチャンスを得た。貧しい山村の学生が都会の大学で学ぶのは非常に困難な事であり、中国の常として、張緒鵬も一族の人々から経済的支援を受けたことは想像に難くない。
【2】1983年に皖南農学院の農学部を卒業した張緒鵬は、生まれ故郷の霍山県にある「符橋農業技術センター」に配属され、技術員、副センター長、センター長と順調に出世の階段を上って行った。2008年、張緒鵬は六安市の北部に位置する“寿県”へ転任となり、“寿県共産党委員会”副書記兼“寿県人民政府”副県長に任命された。寿県着任後の張緒鵬は地元の発展への貢献に目覚ましいものがあり、その実務能力が高いことは広く人々に認められた。
【3】結婚後の張緒鵬は家計管理の実権を妻に委ね、毎月の給与を全て妻に手渡していた。張緒鵬自身は家の中で唯一貧困な山村から抜け出て来た人間であり、生みの親と育ての親の兄弟姉妹は全員が農業に携わっていて貧しかったから、少しでも経済的な援助を提供したかった。しかし、親族が山村で貧困な生活をしていることで妻に見下されることを恐れた張緒鵬は、経済的援助の提供を妻に言い出せず、自分の学生時代に経済的に支援してくれた親族に対して強い負い目を感じていた。それが張緒鵬を腐敗の道に走らせることになった。
【4】2008年5月に張緒鵬が寿県に着任した後、従弟の“張緒剛”が寿県へやって来た。張緒鵬と張緒剛の2人は対外的に兄弟だと言っていたので、人々は2人が実の兄弟だと思っていた。張緒剛が寿県に来て間もなく、張緒鵬は隣接する“淮南市”で「生コンプラント」を経営する“李孟”を張緒剛に紹介した。張緒剛は寿県における生コンの販売で李孟に協力して仲良くなり、李孟を通じて“中景潤置業集団”(以下「中景潤」)<注3>の経営者である“陳中”と知り合った。
<注3>“置業”は「不動産購入」の意味。
5】2010年、張緒剛は寿県“寿蔡路”の南側で都市改造計画があることを知って、張緒鵬に自分が参入することはできないかと尋ねた。張緒鵬が実力のある会社でないと受注できないと答えると、張緒剛はそれならと中景潤を推薦した。早速、張緒鵬は中景潤の陳中と面談したところ、陳中は自社の規模や経営状況を紹介すると同時に、張緒剛は有能だとお世辞を言った。これに対して張緒鵬は、「あいつはそこそこの教育程度だが、事業をやるには経験が乏しく、経済的にも難しいから、できる限りあんたが面倒を見て欲しい」と述べ、別れ際に陳中と李孟で協力して中景潤の関係資料を準備して改めて打ち合わせようと言った。
賄賂攻勢から癒着の泥沼へ
【6】陳中は李孟経由で張緒剛に、都市改造計画が受注できたら、利益の10%を与えると伝えた。当該計画は大型の建設事業で、利益は数億元(約50億~60億円)に上るから10%は数千万元(約5億~6億円)となる。その後、張緒剛は幾度も張緒鵬に分け前が10%になると提起したところ、これに動かされた張緒鵬は具体的な金額はいくらになるかと聞いた。これに対して張緒剛が、少なくとも3000万元(約4.5億円)になると答えると、張緒鵬はその場で態度を表明し、「俺が必ず上手く行くようにするから、彼らに遠慮せずに県政府と話をさせ、何か問題があったら言って来い」と胸を叩いた。その後、中継潤と県政府の商談は急速に進展し、その後の難関である土地の競売、住民の立ち退きや建物の取り壊しも極めて順調に推移した。これは張緒鵬が自ら全てを取り仕切ったことによるものだった。2012年に張緒鵬が合肥市にある“安徽省立医院”で手術を受けた際には、陳中と李孟の2人から5万元(約75万円)の見舞金を受け取った。
【7】2007年、不動産開発企業である“安徽永順房地産開発集団”の経営者である“銭慶”は宴会の席で、将来寿県の県長になると噂されていた張緒鵬と知り合った。2008年に張緒鵬が寿県の県長に就任した後、同集団は寿県の一大開発事業である“泰州時代広場”建設計画を受注し、銭慶は張緒鵬と何回か面談した。2009年の“春節(旧正月)”期間中に、銭慶は張緒鵬へ連絡を入れて、高級酒“五糧液”を2箱(6瓶/箱)、高級たばこ“熊猫煙(パンダたばこ)”4カートン(10箱/カートン)と商品券1万元(約15万円)を張緒鵬に贈った。
【8】2009年10月、銭慶は張緒鵬が“安徽省党校(党学校)”で研修を受けているのを知った。研修期間の終了後は張緒鵬が寿県のNo1である“県党委員会書記”に就任することは明らかだった。抜け目のない銭慶は、すぐに研修中の張緒鵬に電話を入れてスーツを作ろうと誘い、党学校の宿舎の部屋に張緒鵬を訪ねた。銭慶は張緒鵬に気付かれないように20万元(約300万円)の札束を入れた袋を寝台の上に置いて掛布団で隠してから、張緒鵬を連れて紳士服店へ行き、オーダーメイドでスーツ1着とワイシャツ3枚を注文して、1.8万元(約27万円)を支払った。「自分が20万元を贈った後は、張緒鵬の自分に対する呼称が明らかに変わった」と銭慶は後に語った。銭慶の予想通り、2009年12月に張緒鵬は寿県の党委員会書記に昇進し、銭慶は張緒鵬という後ろ盾を得て、寿県で多数の建設案件を受注した。
【9】上述したのは、張緒鵬が行った汚職の代表的な例に過ぎない。「奢れるものは久しからず」の言葉通り、寿県の行政を意のままに動かし、我が物顔で寿県の財政を食い物にしていた寿県党委員会書記の張緒鵬は、2014年5月に“淮北市検察院”によって収賄の容疑で立件され取り調べを受けた。2014年7月21日、“安徽省検察院”の指示を受けた淮北市検察院は、張緒鵬を立件して取り調べ、張緒鵬とその従弟の張緒剛が“兄弟斉心, 共同撈金(兄弟心を一つにして、共同でカネを手に入れる)”という形で犯罪を行った事実を確認した。8月11日、検察機関は初歩的調査の結果として、張緒鵬が寿県党委員会書記ならびに寿県県長の在職期間中に、職務を利用して他人のために土地開発や建設工事の便宜を図り、見返りとして不法に他人の財物を受け取ったが、その額は巨大であり、収賄の嫌疑がかかっていると発表した。
行きつく先は一家全員の腐敗
【10】それから2年後の2016年7月19日、“淮北市中級法院(地方裁判所)”は同事件に対し以下のような一審判決を下した。
張緒鵬は職務を利用して他人の金品・物品を総額645万元(約9675万円)<内訳:単独収賄145万元、共同収賄500万元>受け取ったことにより、収賄罪で懲役11年および罰金210万元(約3150万円)、職権濫用罪で懲役3年とし、最終的に懲役12年、罰金210万元に処す。張緒剛は他人の金品・物品を500万元(約7500万円)受け取ったことにより、収賄罪で懲役10年および罰金175万元(約2625万円)に処す。
【11】7月29日、張緒剛は一審判決を不服として控訴し、二審を待つ状況にある。この事件について「検察日報」記者からコメントを求められた淮北市検察院“反貪局(汚職取締局)”副局長の“余権”は次のように語った。
事件の審議を取り進める中で、多くの人々が張緒鵬を業務能力が高いだけでなく、論理の水準も高く、非常に優れた人材であると評価していた。但し、この人材は「才」に溺れる形で、最終的には汚職の道に迷い込んでしまった。張緒鵬は自らほしいままに賄賂を受け取っただけでなく、その兄弟、娘、姪、妻などの親族までが彼の影響力を利用して“権銭交易(権力とカネの癒着)”を繰り広げ、“不義之財(道義に反して作ったカネ)”で大儲けした。張緒鵬は、“全家福(一家全員の幸福)”を求めて、最後には“全家腐(一家全員の腐敗)”に陥った。
上述したように、張緒鵬が汚職の道に足を踏み入れたのは、自分が出世する糸口を作ってくれた実家の人々に恩返しの援助をしたいという人の道としてまっとうな気持ちからだった。地方官僚として十分な俸給を受けているなら、その中から援助金を捻出すれば済む話だが、俸給全てを妻に上納していた張緒鵬は、貧しい農民である実家を援助すると言えば、妻に実家が見下されるばかりか、自分までもが出自が卑しいと軽蔑されると考えたのだった。
厳然とした格差、克服への道は…
地方官僚とはいえ、寿県党委員会書記は寿県の最高指導者であり、県民約140万人の頂点立つ役職である。その地位にまで上ってもなお、自身の出自が貧しい山村の農民であり、実家の人々は依然として貧しい農民であることは、張緒鵬にとっては一生背負って行かねばならない重荷だったに違いない。張緒鵬が都市に生まれた非農業戸籍者であったなら、汚職を行わなかったかと問われれば、汚職をしないという保証はなく、中国の役人の常として恐らく汚職をしただろう。しかし、張緒鵬の場合は農業戸籍であった出自を恥じる気持ちが汚職に手を染める契機となったことは否定できない事実である。
中国全土が早期に戸籍の統一作業を完了させ、戸籍による身分差別が払拭される日が近いことを祈りたい。但し、戸籍が住民戸籍に一本化されたとしても、都市と農村の格差が縮小される訳ではなく、所得、社会福祉、教育、医療など多岐にわたる格差は厳然として存在する。それでも、戸籍の統一は格差縮小の一歩と言えよう。
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『「死刑判決」を受けたドイツ銀行。1.4兆円では済まない絶望の訴訟リスト』(9/27MONEY VOICE)、『ドイツ銀に報酬返上圧力 不正行為の穴埋め 信頼回復に不可欠』(10/2日経朝刊 FT)、『ドイツ発金融不安に「日本化」の亡霊』(10/2日経電子版滝田洋一)について
リーマン以上の欧州金融危機について、9/23に開放されたリアルインサイトの藤井厳喜氏の解説VIDEOが一番分かり易いでしょう。そのときのパネルを掲示します。













堅いと思われていたドイツの産業資本と金融資本の両方が不正に手を染めていたのですから。コンプライアンスが全然できていないという事でしょう。日本も三菱自動車とかありましたが、世界にインパクトを与えることはありませんでした。VWの排ガス数値捏造は米国の一般原告団、および44の州との間で、約150億ドルの賠償に合意しました。VWは世界売上の1/3を中国で稼いでいます(上海のサンタナが有名)。中国は実質マイナス成長と言われていますので、泣き面に蜂の状況です。またVWの大株主は当然ドイツ銀行です。ドイツ銀行は、その他にも、米国でのサブプライム層に対する不動産担保証券の汚い売り方や、LIBORの出鱈目な数字の報告とか、いい加減さが半端でありません。監査役会が機能していなかったという事でしょう。またドイツ政府は民間企業救済する前に、既存株主や債権者に痛みを感じて貰う必要があるとのこと、理論上は確かにその通りなのですが、システミックリスクを全然考慮に入れていません。日本のバブルも宮澤蔵相が銀行等への税金投入による救済を唱えた所、日共・マスコミの反対に遭い、実現できず、バブル崩壊後の経済低迷を齎し、長い期間と多くの金を投入することになりました、日本の例を研究すれば、税金投入しかないというのが分かりますが、今のメルケルは難民問題でミソを付けているので、ここで税金投入の話をすれば確実に次の選挙では勝てないでしょう。結局、経済崩壊するまで手が打てないのでは。
http://jp.techcrunch.com/2016/07/01/20160630how-the-vw-diesel-settlement-breaks-down-in-dollars/
英国のEU離脱は賢明だったのかもしれません。ただメイ首相は明年3月までに離脱通知をするとのことで、それまでにドイツ経済が破綻したら、連鎖して痛手を蒙る所が沢山出るのでは。勿論、日本もです。ドイツと多く取引している会社の株価は軒並み下がり、円高が進むでしょうし、ユーロの価値は暴落、$の信認が上がり、滝田記事にあるように$の調達が難しくなるかもしれません。中国経済も悪いことから、お互いに足の引っ張り合いが循環して、奈落へと突き進むような気がします。中国は人民元を増刷して逃れようとするでしょうが、実体経済が悪すぎます。電力消費量、銀行融資、鉄道貨物輸送量、純輸出、マイナスかマイナス付近です。2015年通年から貿易量以外のデータ公表はなくなりました。発表数字がGDPの数字と大幅に乖離するためです。貿易量は相手国があるため発表しています。本年7月の輸出は前年同月比4.4%減少、輸入は12.5%減少と両方ともにマイナスです。
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20160301/Searchina_20160301113.html
http://jp.reuters.com/article/china-july-tradedata-idJPKCN10J0FP?sp=true
頼りになるのは米国と日本だけになりかねません。後は日本の支援が期待できるロシアくらいかと。
MONEY VOICE記事

米司法省がドイツ銀行に対して14B$(1.4兆円)の和解金支払いを要求。これに対しドイツ銀行は絶対に飲めないと拒否していますが、いよいよ、本当に危険水域のようです。現在ドイツ銀行が抱える訴訟や調査は、数え切れないほどの件数に膨れあがっているのです。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2016年9月27日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
集団訴訟、巨額デリバティブ…ドイツ銀行が抱える爆弾の中身
まずはUSA TODAYの報道から、ポイントを見てみましょう。
報道のポイント
消息筋によると、2008年の金融危機の際、ドイツ銀行がサブプライムローン市場で人為的に金融過熱を煽ったという理由で、米国司法省は14B$(1.4兆円)の罰金支払いを要求していることが分かった。
同行が、不透明で分かり難い金融商品であるMBS(不動産担保証券)を、投資家に売りまくったからである。
米司法省の要求する罰金が14B$にのぼると発表された時点で、NY市場のドイツ銀行の株価は8.4%急落し13.50ドルまで下落した。
【関連】ヒラリー余命1年説~匿名を条件に「専門家」が投稿した動画の中身とは
ドイツ銀行側は、この巨額の和解金支払い要求に対して絶対拒否の姿勢を見せており、「我々にとって、この規模の和解金は巨額すぎる。この数字のレベルでは応じる意志は全くない。現在、調停は始まったばかりだ。もっと少ない金額で妥結した類似の銀行と同様の扱いを期待している」と回答した。
今回の米司法省の和解金支払い要求は、ドイツ銀行が2005~2007年にかけて販売したサブプライム層に対する不動産担保証券のあざといやり口に対するものである。
ドイツのMagazin誌は、米司法省が、ドイツ銀行の違法行為、それを行った従業員氏名、罰金支払い要求額等を記載した100ページにわたる文書を、同行宛に9月中旬に送付したと報道していた。
現在進行中の集団訴訟
2016年第2四半期決算書のデータから、ポイントだけ抜き書きします。114~124ページにかけて、現在進行している集団訴訟や金融監視当局との調停の詳細が記述されています。項目だけでも非常に多いことに驚きます。
数え切れない訴訟を抱えるドイツ銀行
合計でいったい何件の集団訴訟や調査が入っているのか分からないほど、非常に多い状況です。これは長期負債を抱えているのと同じです。
- Esch Funds Litigation
- FX Investigations(外貨不正取引訴訟。米国だけでなくカナダ等多数の集団訴訟)
- High Frequency Trading/Dark Pool Trading(超高速・高頻度取引での不正行為訴訟)
- Interbank Offered Rates Matter(インターバンクレート不正訴訟。米国、欧州各国だけでなくアジア等の金融監視当局による調査、この分野だけで47件の民間訴訟)
- 米ドルLIBOR 不正操作に関する複数の訴訟
- 日本円LIBOR ユーロ円TIBOR不正操作
- SIBOR及びSOR
- 韓国株価KOSPI(指数操作疑惑で複数の訴訟)
- サブプライム住宅ローン、不動産担保証券の不正発行
- Trustee Civil Litigation(8件の集団訴訟)
- 貴金属不正操作疑惑(金価格不正操作で早々に妥協、他行の手口を教えることで和解金額を下げた例の訴訟)
- Referral Hiring 不正疑惑
- ロシア・英国株式不正取引疑惑
- 国債、機関債不正疑惑
- 米国禁輸関連疑惑(スーダン、北朝鮮、キューバ、シリアの銀行との取引疑惑)
- 米国債不正疑惑
長期負債なら金額が分かりますが、この訴訟や不正行為調査では、和解金額がどれほどになるのか分かりません。非常に恐ろしい事態です。
資金はまったく足りず
これらの集団訴訟や金融監視当局との争いに備えて、ドイツ銀行は予備の資金を準備していますが――


(ア)黒枠が集団訴訟の和解準備金です。2016年6月30日時点で1.488Bユーロを準備しています。赤枠が金融監視当局の罰金準備金4.050Bユーロ。合計しても準備できたのは5.5Bユーロ(6.158B$)だけです。
今回、これに対して14B$の罰金を要求されているのです。思い出して下さい。先に示した訴訟や調査の長いリストを。
(イ)和解準備金の四半期の変化です。
これは「ドイツ銀行 対 米国金融当局」の問題から、「ドイツ政府 対 米国政府」の外交問題になるでしょう。もちろん、水面下での交渉となるでしょうが。
巨額デリバティブというアキレス腱
イタリアのマッテオ・レンツィ首相が、ドイツ連邦銀行(中央銀行)総裁に対し、ドイツの銀行問題を解決するべきだと発言。こちらは2016年9月19日のロイター電です。
報道のポイント
ドイツ連邦銀行のイェンス・ヴァイトマン総裁が、イタリアの巨額公的債務問題を取り上げ、債務を減らすべきだと述べたことに対し、イタリアのマッテオ・レンツィ首相は、「ドイツは自らの足元、ドイツの複数の銀行の問題を片付けるのに集中すべきだろう」と応酬した。
イタリアの首相はニューヨークでの記者会見で、ドイツの銀行は「100Bユーロの数万倍ものデリバティブを抱えているではないか。他国のことをとやかく言う前に、まず自分の身の回りを片付けるべきだ」と述べた。
イタリアはこの秋に国民投票を行うが、それに彼の政治生命は掛かっており、ここ数日間はEU首脳陣が経済問題や移民問題に不適切な対応をしていると批判している。
危険水域
イタリアのトップが、ドイツ銀行こそがドイツにとって一番痛いアキレス腱だと、すなわち破産の崖っぷちだと認識していることを吐露したのです。ドイツ銀行は、本当に危険水域のようです。誰も言いませんが。
昨年から言い続けていますが、EU圏は分裂せざるを得ません。経済統一ができても、それは利益を得ている間だけです。落ちこぼれ国家をどうするか?について、政治統一ができていなければ、総論賛成の各論反対で結局は分裂します。
EUの理想を語る政治家は、もういません。もしいても、その政治家は一般大衆多数派の支持を得られないでしょう。
FT記事
不正が発覚した場合、過去に払った報酬を返上させる――。金融業界における「クローバック」というこの概念は、これまで規制当局者の頭の中か、政治家が怒って発する言葉にしか存在しないかに思えた。だが、もはやそうではない。

不正営業問題に関し9月29日、米議会で証言するウェルズ・ファーゴのスタンフCEO=AP
■米銀のCEO、41億円を返上
米大手銀行ウェルズ・ファーゴは9月、顧客に無断で200万件もの口座を不正に開設したと認め、金融界に衝撃が走った。これは驚くべきことだが、同じくらい注目すべきは、取締役会がジョン・スタンフ最高経営責任者(CEO)に支給された4100万ドル(約41億4000万円)の株式報酬の返上を決めたことだ。リテール銀行部門のトップだったキャリー・トルステッド氏にも、年金と合わせ、権利未確定の株式報酬1900万ドルを返上させる。
見方によってはこの対応は不十分だし、タイミングも遅すぎるように思える。取締役会がこの措置を決めたのは、米民主党の上院議員5人が同行に不正を問題視する書簡を送った後のことであり、スタンフ氏は米議会ではあきれた内容の証言をした。取締役会が圧力の高まる前に自ら動いていたなら、もっと称賛されていただろう。
■株主からの要求増える可能性
だが、対応が遅すぎたとしても、この措置は後に歴史の大きな転換点になるかもしれない。スタンフ氏は極めて裕福なので、報酬を返上しても、それほどひどい痛手にはならないだろう。ただ、いかに米国の金持ちの基準が度肝を抜くものであるとはいえ、4100万ドルは決して少額などではない。しかも、企業の取締役会がこれほど多額の報酬返上を、しかもCEOに対して求めるのは初めてだ。
今回の措置は重要な意味を持つ。不正を働いた銀行員やその幹部が報酬を返上するというのは新しい考え方ではない。だが、2008年の金融危機以前は、取締役会がこの措置を実行するための法的な規定はほとんど存在しなかった。彼らの懐を突く唯一の方法は、一時金を削減する(あるいは解雇する)だけだった。
08年以降、大半の大手銀行は、報酬を3年分遡って返上することを要求できるクローバック条項を導入した。まだ広く適用されていないが、規制当局は圧力を強めている。米証券取引委員会(SEC)は15年、「誤って支給された成果連動型報酬の返還を経営幹部に義務付ける規定を導入する」ことを上場企業に求めた。この改革は2~3年内に実行に移されることになっており、7年分の報酬が対象になる。これとは別に、英国の規制当局は、10年分の報酬の返上が可能になるよう銀行に求めている。
このため、今やほかの銀行も不祥事に見舞われた場合には、ウェルズ・ファーゴの対策をまねる可能性が高い。実際、株主が次第にこの種の措置を要求するようになるだろう。
だが実に興味深く、今、最も注目すべきは欧州、特にドイツで何が起きるかだ。ドイツ銀行は金融危機発生前に、米国内で住宅ローン担保証券(MBS)を不正に販売していた件で、米司法省から140億ドルの罰金支払いを求められていることが9月15日に明らかになった。これを受け、同行の株価は9月下旬、30年ぶりの安値に落ち込んだ。ドイツ銀の経営幹部は、最終的な支払額を30億ドル近くに圧縮してもらおうと当局と交渉中だ。だが、たとえ交渉に成功したとしても、同行のバランスシートには穴が開くことになる。ドイツ銀の株式時価総額は160億ドルしかないからだ。
ドイツ銀は株式を使ったり資産を売却したりして、この穴を埋めることができるが、もう一つ、この穴を小さくできる選択肢がある。それは過去に与えた報酬の没収だ。

金融商品を不正販売したことに対して米司法省から巨額の罰金を要求されているドイツ銀行=ロイター
■1700億円以上没収可能か
例えば、調査会社オートノマス・リサーチのアナリスト、スチュアート・グレアム氏は、社員や幹部にすでに与えると約束した報酬のうち現時点でまだ権利が行使されていない株式に連動した報酬分を取り消し、さらに16年のボーナスも払わないことにすれば、15億ユーロ(約1700億円)ほど調達できると試算する。
元従業員の間には、ドイツ銀が徹底して強気に出れば、はるかに大きな金額を回収できるとみる向きもある。同行は06年と07年に総額40億ユーロ、08年に同20億ユーロに上るボーナスを従業員に払ったと彼らは言う。
驚くまでもなく、こうした話はドイツ銀の幹部らを内心、震え上がらせている。もちろん欧州の他の銀行の幹部も同じ気持ちだろう。欧州では銀行業界はすでに「投資に値しない」とのレッテルが貼られているだけに、彼らは過去の報酬をこれほど大規模に返上させるクローバックは、ますます人材の引き留めを難しくし、銀行業というビジネスモデルと、その価値をさらに損ねることになると主張する。極めて厳しい報酬没収については法廷闘争に持ち込まれることになるだろう。というのも、ドイツ銀には確かにクローバック条項が存在するものの、それは主に権利未確定の株式に連動した報酬を対象にしたものだからだ。
しかし、ウェルズ・ファーゴの取締役会の今回の動きと、ドイツで高まる金融機関への政治的な怒りから、ドイツ銀が行動を迫られる可能性は高まっている。当然だ。銀行員が高額報酬を含め、自分たちの稼ぐ手腕をあくまでも正当化するのであれば、彼らは株主や納税者とリスクをどう分けるかを真剣に考える必要がある。
金融機関やそこで働く人々が本当に再び信頼を勝ち取るには、そうした対策が不可欠だ。これらの改革が効力を発揮するのに、これほど時間がかかったのは極めて残念なことだ。報酬返上という取り決めが10年前に整備されていたら、ドイツ銀やウェルズ・ファーゴなどの不祥事はそもそも発生していなかったかもしれない。クローバックには、文字通り、クロー(かぎ爪)が必要だ。
By Gillian Tett
(2016年9月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
滝田記事
ドイツ発の金融不安が世界を駆け巡っている。ドイツ銀行やコメルツ銀行など大手行の経営問題が、金融・株式市場で警戒感を増幅させている。バブル崩壊後の日本を想起させる出来事。悩ましいのは当時よりもグローバルな連鎖の度合いが格段に大きいことだ。

ドイツ銀行の株価が急落するなど欧州銀行部門の財務健全性への懸念が高まっている=ロイター
「経営再建は順調に進んでおり、経営不安説には根拠がない」。9月7日、都内でインタビューした際、ドイツ銀のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)は、そう語っていた。
英国の金融界出身のクライアン氏は、ドイツ銀の再建を託されて2015年7月にCEOに就任した。過去のしがらみを断ち切って「複雑すぎる業務内容の簡素化」を掲げるクライアン氏が、隠し立てをしているとは思えなかった。
だが、悪いときには悪いことが重なる。今度は米国で05~07年に販売した住宅ローン担保証券(RMBS)の不正販売を巡って、米司法省から巨額の和解金を吹っかけられる。
その金額は最大140億ドルで、円換算すると1.4兆円である。和解金の要求規模が明らかになる前のドイツ銀の時価総額が180億ドルだったから、いくら何でも払いきれない。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが「金融システムをリスクにさらす米当局」という社説を掲げたのもうなずける。
和解金問題については、54億ドルに減額されるという関係者の話を、AFPが伝えた。この金額だとドイツ銀は何とか対処できようが、増資をしてもなお自己資本が不足するようなら公的資金(税金)を投入するほかあるまい。ところが欧州連合(EU)の決まりでは、その前に銀行の債券保有者などが身銭を切ることを求められる。

そもそもリーマン・ショック後の欧州で、公的資金投入を強く批判してきたのはメルケル首相の率いるドイツだった。地方選挙で敗北を重ねるメルケル政権は、この問題をとても切り出せない。ドイツ銀の経営陣も自力再建を繰り返す。
潜在的な自己資本不足というソルベンシー(支払い能力)の問題は、経営破綻した際の保険であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保険料にはね返る。加えてヘッジファンドの一部が、保有する上場デリバティブの一部を引き揚げ始めた。
カウンターパーティーリスク(取引相手としての危険性)が強く意識されだしたのだ。こうした動きが資金取引にも広がるようだと、銀行経営の命綱であるリクイディティー(流動性)が枯渇しかねない。
問題はドイツ銀だけにとどまらない。コメルツ銀も従業員の5分の1に当たる大規模なリストラと配当停止を打ち出さざるを得なくなった。日本でも大手行が軒並み崖っ縁に追い詰められた、1990年代末から2000年代初をほうふつとさせる事態だ。
当時の日本と違いドイツ経済は欧州主要国では最も好調で、ドイツ企業の国際競争力も高い。財政も健全である。経常黒字が国内総生産(GDP)の8%にのぼることもあって、いざ金融危機が起きても国内の資金だけで対処できる。
ただし日本と同様に、ドイツは銀行融資を主体とした間接金融が優位の経済である。大手行の屋台骨が揺らぐと借り手である企業の打撃は大きい。欧州経済の覇者であるドイツに依存する、ユーロ圏諸国の景気にも下押し圧力がかかる。

さらに悩ましいのは、かつての邦銀と異なり、ドイツ銀が国際的な金融システムの中心に位置することだ。国際通貨基金(IMF)が6月に発表した、ドイツに対する金融安定審査報告でも、このシステミックリスクを重視した。
グローバルな金融システムに及ぼす影響の度合いは、世界の主要金融機関のなかで、ドイツ銀が最も大きい。その銀行に万が一のことがあれば、火の粉は思わぬ所に飛んでくる。
日本にとってさしずめ懸念されるのは円の急騰だ。海外での投融資を積み増してきた邦銀もドル資金調達に火が付きかねない。米当局には法外な和解金を自制し、ドイツ当局には金融危機を未然に防止するという、当たり前の対応を望むばかりである。
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『冷戦の再来、欧州で高まるロシアとNATOの緊張 プーチン訪日の真の狙いは?』(9/29日経ビジネスオンライン 熊谷徹)、『平和友好条約の勧め 日ロの領土交渉促すには』(10/2日経朝刊 池田元博)について
熊谷徹氏は元NHK出身だけあって、池上彰と同じ匂いがします。欧米の主張するのが正しい、日本もそれに沿った行動をせよと。左翼・リベラルにシンパシーを感じているのも同じでしょう。ロシア側から見た主張は余りされませんし、侵略を強める中国に強いことは言いません。
日本も遠く離れたヨーロッパ内のNATO VS ロシアの構図に関心がないのは、ヨーロッパ諸国が南シナ海や東シナ海に関心が薄いのと同じです。熊谷氏の関心は日本の安全より、ヨーロッパ諸国の安全に危惧を覚えている感じがします。メデイア人に多いデラシネでしょう。ドイツに帰化した方が良いのではと感じます。
日本は中国の尖閣侵略はおろか、沖縄、日本まで狙われています。中国は日本の左翼に金を出して、沖縄・高江のヘリパッド建設の邪魔をしています。そもそもで言えば、暴力革命を否定しない日本共産党が議席を獲得できるのがおかしい訳で、反自民というだけで共産党に投票するのは愚かとしか言いようがありません。中共の例を見るまでもなく、一党独裁・司法権の独立無し・人権抑圧国家を目指そうという政党です。反日民進党も選挙協力を続けるようですから、蓮舫の二重国籍問題もあって、次期衆院選では壊滅状態になるのでは。連合もこんな泥舟を未だ支援しようとしているのですから、危機感が足りないとしか言えません。化学総連が連合を脱退したように民間産別は今後も脱退が続き、官公労中心となるのでは。
http://www.sankei.com/region/news/160615/rgn1606150058-n1.html
ロシアとの領土・平和条約交渉は厳しいものとなります。当たり前で、失われた領土は「戦争」か「金」で解決するしかありません。平和愛好の人々が多い日本で「戦争」という方法は取れるはずがありません。尖閣を取りに来ている中国に国民レベルで怒りの表現すら発露できない民族に成り下がっていますので。ロシアとは「金」で解決することになります。それが政府の「8項目協力プラン」です。ロシア側からすれば、日ソ中立条約違反で奪った島とは言え、実効支配を続けてきました。それを無償で返還することはできないでしょう。池田氏の言うようにロシア国内で領土返還に否定的な見方が多い中での信頼醸成が大事と言うことになります。日本は中国包囲網の形成という大きな枠組みの中で考える必要があります。
熊谷氏はロシア人の入植を言いますが、中国だって同じことをやっています。日本に関心がないとしか思えません。そもそもで言えば、東西ドイツの統合時に欧米はNATOの東方進出はしないとロシアと密約しました。米国の裏切りでドンドン約束が破られて言ったわけですが、各国にはそのままロシア系住民が残っていて、多くなるのもむべなるかなです。況してやスラブ民族の兄弟国と思っていたウクライナ、ベラルーシの内、ウクライナが裏切ったと思ったことは間違いありません。ヨーロッパはロシアに経済制裁していますが、国際法を守らない中国に経済制裁を課す動きがありません。ヘタレ・オバマのアメリカが弱腰だからです。中国が日本に攻めて来た時にヨーロッパは助けてくれるのかです。そんなことも考えず、ヨーロッパの為に日本がロシアと交渉するのは考えた方が良いという論調は本末転倒でしょう。
熊谷記事

NATOの演習に参加するヘリコプター「アパッチ」(写真:ロイター/アフロ)
日本のメディアは今、ちょっとした「ロシア・ブーム」に沸いている。ロシア大統領のプーチンが日本の首相、安倍の招きで、今年12月に日本を訪れることが決まったからだ。日本側の目的は、経済協力をテコに北方領土の返還を引き出すことにある。安倍首相が北方領土の返還を切望する気持ちは、よくわかる。
ヨーロッパで高まる緊張
だが日本では、ロシアと欧米諸国との間で軍事的な緊張が高まりつつあることがほとんど知られていない。プーチン訪日を報じる日本のメディアも、ヨーロッパの緊張についてはほとんど触れない。ドイツに住んでいる筆者には、日本のメディアの沈黙が奇異に感じられる。
ヨーロッパでは、「東西冷戦」が再燃している。市民の間でも、「新たな戦争の時代が近づいているのか」という漠たる不安感が強まっている。
クリミア併合が引き金
そのきっかけは、2014年3月にロシアがクリミア半島に戦闘部隊を送って制圧し、ロシアに併合したことだ。同年2月にウクライナで起きた政変で、親ロシア派のヤヌコヴィッチ大統領が失脚し、親EU政権が誕生。新しいウクライナ政府は、EUやNATO(北大西洋条約機構)との協力関係の強化を希望した。
EUとNATOはベルリンの壁崩壊とソ連解体以降、かつてソ連の影響下にあった中欧・東欧諸国を次々と加盟させて「東方拡大」を続けてきた。かつての東側の盟主、ロシアの勢力圏は小さくなる一方だった。この際にEUとNATOは、シベリア出兵や第二次世界大戦中のナチスによる侵略など過去の経験から「外国勢力の介入」に強いアレルギーを抱くロシアの感情に、十分配慮しなかった。西欧諸国はかつてソ連の一部だった国・ウクライナと協力関係を深めたことで、虎の尾を踏んだ。
プーチンは、「ウクライナの新政権が、同国に住むロシア系住民にロシア語の使用を禁止するなど、その権益を脅かしている。我々はロシア系住民を守らなくてはならない」として、2014年2月末に、戦闘部隊をクリミア半島に派遣して軍事施設や交通の要衝を制圧。3月に同半島を併合した。
その後ロシア系住民の比率が多いウクライナ東部では、分離派とウクライナ政府軍との間で内戦が勃発。ロシア政府は分離派に兵器を供与するなどして、内戦に介入している。ウクライナ東部ではロシア軍の兵士が捕虜になっており、同国がウクライナ内戦に関与していることは確実だ。
EUとNATOは、ロシアの「奇襲作戦」によって、完全に虚を突かれた。21世紀に入って以来、ロシアに対するNATOの警戒感は緩んでいた。
たとえばロシアが2008年の南オセチア紛争で隣国グルジアに侵攻した時、NATOは強く反応しなかった。EUも本格的な経済制裁に踏み切らなかった。さらに、2014年2月にロシア軍はウクライナ国境付近で大規模な軍事演習を行ったが、NATOは反応しなかった。欧米諸国は、ロシアがウクライナの領土に戦闘部隊を送り、併合に踏み切るとは予想していなかったのだ。
欧米はクリミア併合に対し軍事的な手段で対抗せず、「冷戦終結後、最も重大な国際法違反」として非難し経済制裁措置を取るにとどめた。プーチンの「電撃作戦」は功を奏したのだ。ロシアがクリミアを併合した直後、プーチンに対するロシア国民の支持率は、一時約80%にまで上昇した。
焦点はスバルキ・ギャップ
プーチンの強硬な態度に驚いた欧米諸国は、2014年9月にウェールズで開いたNATO首脳会議で、緊急介入部隊の創設を決めた。NATOは、これにより欧州のどの地域にも数日以内に3000~5000人規模の戦闘部隊を投入できる体制を整えた。この措置は、「東欧のNATO加盟国にロシアが侵攻することは許さない」という欧米の意思表示だった。
NATO関係者は「東西対立がエスカレートした場合に、ロシアが次に併合しようとするのはバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)だ」という見方を強めている。その中で焦点となっているのが、ポーランド北東部にある、スバルキという町だ。日本ではほとんど知られていないが、欧米の安全保障、軍事関係者の間では「スバルキ・ギャップ」という言葉が頻繁に使われている。
ロシアは、バルト海に面したカリーニングラード(旧ケーニヒスベルク)周辺に飛び地を持っている。この町には、ロシア海軍にとって重要な軍港があるからだ。カリーニングラードの飛び地の北にはリトアニア、南にはポーランドがある。さらにこの飛び地の南東には、ロシアの友好国ベラルーシがある。

ロシア領土の飛び地とベラルーシの間の距離は、わずか100キロメートル。この地峡部がスバルキ・ギャップだ。NATOは、東西間の対立が高まった場合、ロシア軍の戦車部隊がカリーニングラードの飛び地からスバルキ・ギャップに突入し、友好国ベラルーシへ向かうと推測している。そうすることでロシアは、バルト3国をそれ以外のNATO加盟国から切り離すことができる。NATOは、バルト3国に向けて地上から応援部隊を送ることができなくなる。ちょうどソ連が1948~1949年にかけてベルリンを封鎖したように、ロシアはバルト3国を袋小路に追い込むことができるのだ。
米国のランド研究所が最近作成した研究報告書も、バルト危機が勃発する場合、ロシアのスバルキ・ギャップ突破で始まる可能性が強いという見方を打ち出している。この報告書の作成には、NATOの最高司令官を務めたウエズリー・クラークも加わっている。
東西冷戦の時代、NATOはワルシャワ条約機構軍の戦車部隊が、西ドイツのフルダ付近で東西ドイツ国境を突破し、2日間でフランクフルトを占領するシナリオを想定していた。この付近には険しい山脈や森林地帯が多いが、フルダの前面だけは幅の狭い平原になっており、戦車部隊の移動に適していた。このため西側の軍事関係者は、ワルシャワ条約機構軍がこの「回廊」を通って西側に侵攻する可能性が最も高いと見て、「フルダ・ギャップ」という言葉をしばしば使った。その現代版が、スバルキ・ギャップなのである。
ロシア系住民の比率が高いバルト3国
リトアニア、ラトビア、エストニアは第二次世界大戦の初期にソ連、次いでナチス・ドイツ軍に占領された。戦後はソ連の一部に編入されたが、1990~1991年にソ連から独立。21世紀に入ってEUとNATOに加盟している。だが最大の問題は、ロシア系住民の比率だ。ラトビアのロシア系住民の比率は25.8%。エストニアでは25.1%、リトアニアでは4.8%がロシア系だ。これはソ連が第二次世界大戦後に多くのロシア系住民を移住させたためである。
ウクライナもロシア系住民の比率が17%と比較的高い。ロシアが併合したクリミア半島では、住民の約60%がロシア系だった。現在内戦が続いているウクライナ東部でも、ロシア系住民の比率が高い。
つまり「ロシア系住民の権益を守る」というプーチンの大義名分は、バルト3国についても使われる可能性があるのだ。
ロシアは2013年に、カリーニングラード周辺に7万人の兵士を動員し、「SAPAD2013」という大規模な軍事演習を行っている。またロシアは、カリーニングラード周辺にSA400型対空ミサイルを配置した。ロシアはこのミサイルを使うことで、NATOがリトアニア上空の制空権を確保するのを阻むことができる。さらにロシアは、戦術核弾頭を搭載できる短距離ミサイルをカリーニングラードに配備することも検討している。
2016年夏に大規模な軍事演習
このため、NATOは対ロシア戦略の重点をポーランドとバルト3国の防衛に置いている。
そのための具体策として、NATO加盟国は、今年7月8日にポーランドの首都ワルシャワで開いた首脳会議で、ポーランドとバルト3国にそれぞれ1000人規模の戦闘部隊を駐屯させることを決めた。1997年にロシアとNATOが調印した基本合意書によると、NATOは東欧地域に同じ戦闘部隊を常駐させてはならないことになっている。このためポーランドとバルト3国にいる合計4000人のNATO部隊は定期的に交替する。しかし、今年からNATOがこの地域の軍事的プレゼンスを強化したことに変わりはない。
NATOは今年6月にポーランドで、3万1000人の兵士を動員した軍事演習「アナコンダ」を実施した。この演習は、敵国がバルト海からポーランドに侵攻し、東の隣国からも戦闘部隊が侵入するというシナリオの下に行われた。
「アナコンダ」を終えた数日後には、演習「セーバー・ストライク」を実施した。これはエストニア領内の、ロシア国境から約150キロの地域で行なわれたもの。NATO加盟国から約1万人の部隊が参加した。これらの演習は、ロシアがスバルキ・ギャップを突破する誘惑にかられないように、牽制するためのものだ。
筆者は米軍のエイブラムス戦車や装甲兵員輸送車が大量に投入され、迷彩服に身を固めた兵士たちが榴弾砲を発射する訓練風景を見て、東西冷戦がたけなわだった頃のヨーロッパを思い出した。それは筆者にとって一種のデジャヴュ(Déjà-vu=既視感)だった。
筆者は、1980年に初めて西ドイツを訪れた。当時は、列車に乗るたびに車窓からNATOの戦車部隊の訓練を目撃したものだ。サンダーボルト・A10型地上攻撃機が激しい轟音とともに低空飛行し、ワルシャワ条約機構軍の戦車が西ドイツに侵攻する事態を想定した訓練を繰り返していた。もちろん東西ドイツを隔てる壁の向こう側でも、ワルシャワ条約機構軍がしばしば演習を行っていた。
1989年にベルリンの壁が崩壊して以降、ヨーロッパには雪解けムードが広がり、長い間このような演習は行われなくなっていた。だがロシアがクリミアを併合して以降、NATOは軍事演習を再開し、ヨーロッパの緊張感は確実に高まっている。欧米諸国は、「クリミアの二の舞は許さない」というメッセージをプーチンに送っているのだ。
NATOの盟主である米国は、ロシアとの緊張の高まりを背景に、防衛予算を少なくとも国内総生産(GDP)の2%まで引き上げるよう加盟国に求めている。2015年の時点で防衛予算がこの値を超えていた国は、米国を除くとギリシャ、英国、エストニア、ポーランドの4ヶ国だけだ。
ドイツの防衛予算もGDPの1.19%であり、目標にほど遠い。だが今年5月にドイツ連邦国防大臣のフォン・デア・ライエンは、「防衛予算を、2020年までに現在よりも約14%増やして、392億ユーロ(約4兆5080億円にする」と発表。またドイツ連邦軍の兵士の数も2023年までに1万4300人増やす。ロシア軍が得意とするサイバー攻撃に対応するための専門部隊も、大幅に増強する。
ドイツが将兵の数を増やすのは、東西ドイツ統一後初めてのこと。徴兵制を廃止したドイツ連邦軍の将兵の数は、1990年の58万5000人から17万7000人へと激減していた。こうした動きにも、東西冷戦の再燃が浮き彫りになっている。
他地域で盟友を求めるプーチン
筆者は今年8月、講演を行うために3週間日本に滞在した。ヨーロッパで緊張が高まっている現状がほとんど報じられておらず、「プーチン訪日」のニュースだけが盛んに伝えられていることに奇異な印象を抱いた。
ヨーロッパで欧米諸国との対決姿勢を強めているプーチンは、他の地域では新しい「盟友」を見つけようとするだろう。したがってロシアは、日本への接近を試みるに違いない。ロシアが、EUによる経済制裁の効果を減じるために、中国との間で天然ガスの長期販売契約に調印したのはその表れだ。
またプーチンは、トルコとの関係改善もめざしており、今年8月初めに同国の大統領、エルドアンと会談した。トルコが去年11月に、ロシア軍の戦闘機をシリア国境付近で撃墜して以来、両国の関係は悪化していた。
エルドアンは、クーデター未遂事件後に多くの軍人や市民を逮捕したために、EUから強く批判されている。EUに加盟するというトルコの悲願も、遠のきつつある。エルドアンと欧州諸国の間の関係は、極めて険悪化している。もしトルコをNATOから脱退させることができれば、プーチンはヨーロッパ南部での混乱、特に難民危機をさらに深刻化させることに成功するだろう。
さらにロシアは、フランスの右派ポピュリスト政党「国民戦線(フロン・ナショナール=FN)」に資金を援助している。FNは、英国と同様に、EU離脱に関する国民投票を実施するよう要求している。プーチンにとって、EUの足並みを乱す政党は味方なのである。またユーロ圏からの脱退を求めているドイツの右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」も、ロシアに友好的な態度を持っていることで知られている。
ちなみに日本では、ドイツ首相のメルケルとプーチンは仲が良いと多くの人が信じている。これは誤解である。むしろ、この2人は仲が悪い。メルケルは東ドイツで育った。多くの東ドイツ人は「占領国」であるソ連に反感を抱いていた。
メルケルはモスクワを訪問した際に、ロシア政府に批判的な人権団体のメンバーを訪ねたことがある。これはプーチンに対する面当てである。一方、プーチンはメルケルを別荘に招待した時に、メルケルが犬嫌いであることを知っていながら、会談をした部屋に犬を連れ込んだ。このためメルケルは顔面蒼白になった。明らかな嫌がらせである。
メルケルがロシア語、プーチンがドイツ語を流暢に話すことは事実だが、それは両者が親しいということを意味しない。プーチンの刎頸の友は、メルケルの前任者だったシュレーダーである。
プーチンがヨーロッパで、国外にいるロシア系住民の権益を守るという目標を前面に打ち出している中、彼は極東で、ロシア人が住む島を日本に返還するだろうか。我が国は、プーチンと北方領土の返還について交渉する際に、彼がヨーロッパでNATOと対峙し、軍事的な緊張が高まっている事実を念頭に置く必要があると思う。地政学的な変化が急速に起きつつある時代には、極東だけではなく、世界の他の地域にも目配りをする、複眼的思考が重要になる。(敬称略)
池田記事
ロシアのテレビ局「TVツェントル」で人気のトークショー「プラバ・ゴロサ(発言権)」が9月中旬、日ロ関係をテーマに取り上げた。
「日本式のリセット」と題し、各界の専門家らが議論を戦わせた。総じて日本への期待よりも、日本の経済停滞や日ロの貿易額が少ない現実などが指摘され、北方領土問題でも後ろ向きの発言がめだった。とはいえ、日ロの関係改善の動きがロシアでも、国民の関心事になってきた証しとはいえるだろう。
番組の題名でも明らかなように、最近の日ロ外交を主導しているのは日本側だ。安倍晋三首相は5月のソチ訪問に続き、9月には極東のウラジオストクで開いた東方経済フォーラムに出席し、プーチン大統領と長時間の会談を重ねた。ロシアとの経済協力を深めるための「8項目の協力プラン」も打ち出している。
「私たちの世代が勇気を持って、責任を果たしていこうではありませんか」。首相がフォーラムの演説で熱弁したように、その主な狙いが北方領土問題の解決と平和条約の締結にあることは、ロシア側も承知している。それでもプーチン大統領が8項目プランを「政治問題を解決する条件づくりにも重要だ」と評するなど、日本のイニシアチブを歓迎しているのは確かだ。
しかも、評価している点は経済だけではない。外交評論家のフョードル・ルキヤノフ氏は「安倍首相は明らかに米国が支持しない対ロ路線を打ち出した。かなりリスクの伴う行動だが、現代世界では多様性と柔軟性がカギを握る。ロシアの有識者や政権関係者は、日本が米国追随型の国家という先入観を修正しようとしている」と語る。ウクライナ危機で冷え込む米ロ関係を意識した発言といえる。
日ロ関係を進展させる動機はロシア側にもある。カーネギー財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長は極東開発を含めた経済的な利益に加え、「アジアで中国一辺倒の関係を変えようとする地政学的な意図がある。外交のバランスという意味で、日本は特別で大きな位置を占める」と指摘する。
米国や中国との関係といった地政学的な思惑も絡みながら進む日ロの接近だが、12月にプーチン氏が大統領として11年ぶりに来日し、首相の地元・山口県で首脳会談を開くことは決まった。領土問題を含めた条約交渉を進展させる道筋は描けるのだろうか。
プーチン大統領はかねて、1956年の日ソ共同宣言の有効性は認めている。「両国議会が批准したことが非常に重要だ」と最近の記者会見でも強調したばかりだ。同宣言は平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を日本に引き渡すと明記している。ただし大統領は「どのような条件で返すかは書いていない」とし、問題解決には「非常に高いレベルの信頼が必要だ」と予防線を張っているのが現実だ。
ルキヤノフ氏は「プーチン大統領が国民の支持を得ているのは、大衆の気持ちを敏感に察して対応するリーダーだからだ。一般の人々が正しいと納得できるなら、彼は行動する」という。ちなみにロシアの世論調査会社レバダ・センターが5月末に実施した調査では、歯舞、色丹の2島だけを日本に引き渡す妥協案でも71%が反対し、賛成は13%だった。世論は厳しい。
では、打開策はあるのか。モスクワ国際関係大学のドミトリー・ストレリツォフ教授は「平和条約という交渉の名称を変えるべきだ」と提唱する。同教授によれば、平和条約は日本では北方領土問題の別名だが、ロシアの世論では第2次世界大戦の結果としての戦勝国と敗戦国の関係の固定化を意味するという。
「平和条約はロシアでは戦争の結果でしかない。一般市民はなぜ戦勝国が敗戦国に領土で妥協しなければならないのかと思ってしまう」。そこで条約を平等で未来に向けた位置づけにするため、例えば「平和友好条約」と命名して政治や国際連携、経済協力などのロードマップも盛り込んだ多面的な条約にすることが望ましいと強調する。
トレーニン所長も「いずれにせよ領土割譲につながる日本との条約締結は、プーチン大統領にとって歴史的功績にはならない。それだけに日本が信頼できるパートナーとなる確信が得られるかが交渉のカギを握る」と予測する。
今後の交渉で基軸になるであろう日ソ共同宣言は、今月で調印から60年を迎える。この間に両国関係も世界情勢も大きく変化した。日ロが真に条約締結をめざすのなら、文字通り「新たなアプローチ」が不可欠になっている。
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『討論されなかったヒラリー健康問題の深刻度 浮上する“ケーン大統領”の可能性』(9/29日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『ヒラリーもトランプも消える、アメリカ大統領選「第3のシナリオ」とは』(9/27MONEY VOICE)、『ヒラリー対トランプ、勝者なき論戦 嫌われ者同士の戦いは第2戦に!』(9/30日経ビジネスオンライン 篠原匡)について
米国のマスメデイアも偏向していて、殆どが民主党支持です。でも、トランプを支持する層が半分近くいて、かつ民主党候補戦で敗れたサンダースのことを考えますと、米国民は大衆レベルで変化を望んでいる気がします。民主党は特別代議員の数が多いため、サンダースにとっては不利で、エスタブリッシュにとってはこの制度があることが有難いといえます。
健康不安を囁かれるヒラリーですが、余命1年説も流布されている状況で、メデイアの報道がなされないのもおかしいです。日本の蓮舫の二重国籍問題でアゴラが公開質問状を出し蓮舫に説明を求めているにも拘わらず、大手メデイアは無視しているのに似た構図です。
副大統領候補が重要になるという事でしょう。MONEY記事にありますように、核のボタンを押させることができないのはトランプではなく、ヒラリーです。また、中国の金塗れになっているヒラリーでは中国に強いことは言えないと思います。まあ、米国の要人は皆中国から金を貰っていると思います。中国社会は賄賂社会ですから。スマートに賄賂を贈ります。
10/1「士気の集い」で里見脩先生によりプロパガンダについて講演戴きましたが、その中で「中国は9000億円も対外広報に使っている。安倍首相は500億円まで増やしたと自慢げであるが、外務省主導であるため、3都市にジャパンハウスを作って、日本のスシやアニメの紹介をするだけ。戦略が無い。金の問題より、それをどのように使うかである。中国は170か国にTV放送機材を実質タダで送り、現地技術者も北京で研修、コンテンツも中国の放送を使えば中国から金が貰える仕組みを作り上げ、かつ多言語放送している(確かに小生が中国駐在時代(97~05年、中国中央TV局は多言語で放送していました。英仏独露の他、アラビア語までありました。日本のODAが中国の外交に使われていて日本人は何て愚かかとその時は思いました)。尖閣諸島も中国側表記の釣魚島で報道されるのが多くなってきた。プロパガンダが悪い訳ではない。どの国でもやっている。騙される方が悪いのである 」とのことでした。如何に日本の外務省は役に立たない存在か。幣原・吉田以降腐ってしまったのでしょう。陸奥宗光・小村寿太郎時代の栄光はありません。
デレクテイブ51何てのがあるのは知りませんでした。でもそれが簡単に発動できるとは思えません。いくらエスタブリッシュ・国際金融資本(≒ユダヤ資本)が動かそうとしても。大衆の反乱に遭うのでは。ただ、その混乱に乗じて共産主義者が米国を乗っ取るという話は恐ろしすぎです。米国はFDR政権時代そうなりました。FDRはスターリンにいいように操られ、日本を戦争に巻き込むよう誘導しました。でも騙された日本も悪いのです。明治の英傑の臥薪嘗胆の気持ちを当時のエリート達は持ち合わせていなかったからです。共産主義の蔓延を恐れてマッカーシ-旋風が起きて、米国は赤化するのを防ぎました。当時はソ連、今回は中共と相手が変わりますが。共産主義は人類を不幸にする仕組みです。ユダヤ人は頭の良い民族でいろんな発見・発明がなされましたが、それが人類の幸福の為に使われるかどうかは別問題です。
高濱記事

第1回目の討論会に臨むトランプ氏(左)とクリントン氏(写真:ロイター/アフロ)
—ヒラリー・クリントン民主党大統領候補(68)とドナルド・トランプ共和党大統領候補(70)が初のテレビ討論会に臨みました。
高濱 討論会に対する関心はいやがうえにも高まりました。直前に、大きな事件がいくつも起きたからです。クリントン氏の健康問題が浮上。9月18日には、ニューヨークのど真ん中で爆発事件が起きました。さらに、ノースカロライナ州シャーロットでは20日に暴動事件が発生しています。
討論会を視聴した人の数は全世界で約1億人に達したようです。米国では投票登録を済ませている有権者の75%、約950万人が討論会の実況中継を見たと推定されています。 “Trump-Clinton debate expected to shatter records,”Joe Concha, The Hill, 9/20/2016
ところが、クリントン氏の健康問題は一切議論されませんでした。この理由については後で触れたいと思います。
もう一つ、この討論会が注目されたのは、支持率競争での異変です。クリントン氏に大きく水をあけられていたトランプ氏が討論会直前にクリントン氏を2%上回ったのです。 “RealClear Politics, Latest Polls,”realclearpolitics.com., 9/26/2016
支持率の変化と相まって、異色の候補者トランプ氏と女性初の大統領候補クリントン氏とが初めての直接対決でどんなやりとりをするのか、まさに「史上最高のショー」(テレビのあるコメンテーター)となりました。
「勝ったのはヒラリー氏」、いや「勝者はトランプ氏」
—採点すると、どちらに軍配が上がったのでしょうか。
高濱 米国の主要メディアは、クリントン氏の勝ちと見ています。討論会をテレビでみた米国民はどうか。CNNが討論会直後に行った世論調査では、クリントン氏が勝ったと答えた人が62%、トランプ氏が勝ったと答えた人が27%でした。
私の印象はこうです。トランプ氏は「大統領らしさ」を意識してか、普段の暴言を抑制しました。これに対してクリントン氏は、トランプ氏の失言を引き出そうとかなり攻撃的な発言に終始しました。トランプ氏は、経済問題でも人種問題でも、さらに日本や北大西洋条約機構(NATO)など同盟国との関係でも、理路整然と話す「才女」に歯が立たなかった。これは想定内のことでした。 “Clinton puts Trump on defese at first debate,”Stephen Collinson, CNN, 9/27/2016
ところが驚いたことに、CNNとは逆の世論調査も出ています。ニュージャージー州のデジタル・メディア「nj.com」が討論会直後にインターネット上で行った世論調査(対象者11万777人)です。トランプ氏が勝ったと答えた人は54.2%(6万15人)、クリントン氏が勝ったと答えた人は41.2%(4万5594人)でした。 “Poll: Who won the presidential debate (9/26/16)? How did Clinton, Trump do in the first debate?” Susan K. Livio, NJ Advance Media for N.J.com, 9/26/2016
この結果について、ニュージャージー州に住むフリーランス・ジャーナリストは筆者にこう語っています。「トランプ氏はCNNをはじめとする主要メディアを目の敵にしている。支持者の中にも主要メディアが大嫌いな者がいる。この人たちはCNNなど見ていない」。
「nj.comはニュージャージー州最大のデジタル・メディアでローカル紙12紙を傘下に収めている。あまりにも完璧だったヒラリーのパフォーマンスに反発する庶民の声をピックアップしたのだろう。『ヒラリー嫌い』がどれほどいるかが分かるというものだ」
ヒラリーの「健康問題」はなぜ論じられなかったのか
—ところでクリントン氏の「健康問題」はなぜ討論されなかったのでしょう。
高濱 私にも不思議でなりません。一つ言えることは、司会者のレスリー・ホルト氏が事前に、この討論会のテーマを「繁栄の達成」「米国の先行き」「米国の安全」の三つに絞ったからでしょう。
第2回目の討論会は10月9日にミズーリ州で、第3回は同19日にネバダ州で行われます。その時にはクリントン氏の健康問題が議題に上るでしょう。70歳になったトランプ氏の健康問題も当然俎上に上るに違いありません。気づいたのですが、トランプ氏は討論会の最中、ひっきりなしにコップの水を飲んでいました。
ところで、討論会が開かれる前日の25日、筆者は大統領選をフォローしてきた主要紙の政治記者からこんな話を聞きました。「選挙の専門家たちが、第1回のテレビ討論会で一番関心を持っているのは、クリントン氏の健康状態だ。ヒラリー氏の皮膚の色つや、目、耳、口、喋り方、相手の発言に対する反応などだ。つまり、クリントン氏が大統領としての職務を全うできる健康状態に本当にあるのかを見極めようというわけだ」。
ところが健康問題は一切出ず。討論会の後、CNNをはじめとするテレビ局が数人の政治評論家を集めて、二人のパフォーマンスについてあれこれ論ずる番組でも、クリントン氏の健康問題を誰一人として取り上げなかったのです。
脱水症状は初めてではない
—クリントン氏の健康問題が急浮上したのは9月11日。ニューヨークで開かれた、9.11同時多発テロの追悼式に参列した際に体調を崩し、途中で退席したのが発端でした。
高濱 主治医は当初、「脱水症状を起こしたため」とコメントしました。ところがテレビの映像に、クリントン氏が式典会場を離れ、クルマに乗り込む際にふらつき、スタッフに支えられる姿が映りました。これをメディアが大きく報じたのです。
その後、主治医は「クリントン氏が肺炎にかかっていると9日に診断していた」ことを明らかにしたのです。
クリントン氏は国務長官在任中の2012年12月、自宅で静養中に脱水症状に見舞われて失神し、脳震盪を起こしたことがあります。この時、主治医が頭部に血栓を見つけ、急きょ入院することになりました。これは当時、トップシークレットでした。その後メディアが憶測として報道。つまりクリントン氏が脳震盪を起こしたのは今回が初めてではないのです。
病名は「右脳横静脈洞血栓症」
エドワード・クラインというジャーナリストがクリントン氏の健康問題について詳しく書いています。元ニューヨーク・タイムズ・マガジン(日曜日版付録)編集主幹で、辞めたあと何冊ものベストセラーを著している人です。クリントン氏の周辺や医師たちから情報を聞き出しています。
それによると、クリントン氏が2012年に倒れた際の病名は「右脳横静脈洞血栓症」(a right transverse venous thrombosis)でした。症状が悪化するのを防ぐためにクリントン氏は抗凝結剤(anticoagulant)を服用しているそうです。
クリントン氏は当時から手の震えを感じており、神経科医による検診を定期的に受けています、不眠症にも悩まされおり、アンビエン(Ambien)やルネスタ(Lunesta)といった睡眠薬を飲んでいるそうです。
こうしたことから医師たちは、大統領選キャンペーン中は専門医を常時同行させるよう進言しているそうです。
クリントン氏の健康問題を一番心配しているのはビル・クリントン氏。20年来の知人であるダン・オーニッシュ博士(予防医療研究所所長)に常に助言を求めているそうです。ヒラリー・クリントン氏が大統領に就任すれば、オーニッシュ博士が大統領主治医になるのは確実と言われています。
いずれにしてもクリントン氏の健康問題はそこまで深刻なようです。 “Unlikeable: The Problem with Hillary,”Edward Klein, Regnery Publishing, 2015
病状の深刻さをあえて報道しない米メディア
—だとすれば、クリントン氏が11月8日の大統領選投票日前に候補を降りる可能性もあるわけですか。
高濱 当然ありますよ。でもおかしなことにそれを指摘する米メディアはありません。大統領選の真っただ中にそういうことを言うのは「一種のタブー」になっているのか。その点について米国人のジャーナリストに質したのですが、満足な返答は得られませんでした。
ところが英国のメディアにはそういう自己検閲はありません。英語は共通語、情報は100%米メディアと共有しています。米国の政治情勢について、時として米メディアより深い読みをしています。英語が母国語でない私には英メディアによる米国政治の分析は客観的で非常に参考になります。
その英国の保守系雑誌「スペクテーター」*が9月11日、オンラインで、「ティム・ケーン副大統領が次期米大統領になる可能性はあるか」と大胆な見出しをつけて報じています。
*「スペクテーター」は英保守党の機関誌的存在で、英国屈指の保守系雑誌。1828年に創刊。発行部数は5万4000部。同誌の歴代編集幹部は保守党の要職に就いている。
筆者は同誌副編集長のフレディ・グレイ氏です。要旨は次の通り。
「ヒラリー・クリントンが大統領候補を降りたらどうなるだろう? ニューヨーク・タイムズをはじめとする米主要メディアはそう質問するのを躊躇し続けてきた。しかし9・11事件追悼式典で倒れたことで、同氏の健康問題が最大の関心事なってしまった。同氏が大統領になったとして3軍の最高司令官として4年間もつのか。いや、それどころか、大統領選挙の投票日前に倒れでもしたら、有権者の多くが渋々であれ、あのドナルド・トランプ氏に投票してしまうのか」
「トランプ氏の場合、主治医は『史上最も健康な大統領候補』と太鼓判を押しているが、それが事実でないことは皆知っている。同氏の肉体的能力に関していくつかの合理的な疑問がある。だがクリントン氏の場合はトランプ氏の健康状態とはレベルが違う。クリントン氏の咳は今や彼女の選挙運動のトレードマークにすらなっているからだ」
「だが、米国にとって、そして世界にとっての救いなのは、クリントン氏に万一のことがあっても、ティム・ケーン副大統領がピンチヒッターとしてベンチに控えていることだ」
大統領選の投票日までにクリントン氏が撤退することになれば、民主党は党規約第3条第1項により、代議員による後任選びをしなければなりません。この場合、副大統領候補のケーン氏が最有力ですが、予備選でクリントン氏を苦しめたバーニー・サンダース上院議員や「安全パイ」のジョー・バイデン副大統領も候補に挙がるかもしれません。さらにはリベラル派の実力者、エリザベス・ウォーレン上院議員も出てくるかもしれません。 “After Hillary Clinton’s collapse, is it time to consider the possibility of President Tim Kaine,”Feddy Gray, The Spectator, 9/11/2016
大統領就任後にもありうる「健康問題による辞任」
—クリントン氏の健康が投票日までなんとかもったとしても、大統領に就任した後、健康が悪化して大統領を辞める可能性があるのではないですか。
高濱 その通りです。むしろその可能性のほうが大きいかもしれません。
「ケーン大統領」説について何人かの政治専門家に意見を聞いてみました。大方は「クリントン氏の健康は来年1月20日の就任式まではもつ」というものの、「4年の任期を全うできるかどうか」と聞くと、全員が憂慮しているんですよ。
その場合は、副大統領が継承順位第1位ですからケーン氏が直ちに大統領に昇格します。その場合、副大統領を新たに選ばねばなりません。 “The Charter & the Bylaws of the Democratice Party of the United States,”The Democratic National Committee, 8/28/2015 “Who Would Replace Hillary Clinton If she had to drop out,” Stephanie Dube Dwilson, heavy.com., 9/11/2016
ヒラリーよりも大統領に適した「好感度抜群」のケーン
—ケーン氏とはどんな人物ですか。日本ではあまり馴染みがありません。
高濱 民主党内ではリベラル中道派。弁護士出身、バージニア州リッチモンド市長を経て、州副知事、知事を歴任し、その後、民主党全国委員長を経て上院議員を1期務めています。上院では外交委員会や軍事委員会のメンバーで外交、安保に精通しています。
ハーバード法科大学院在学中、イエズズ会の教徒として奉仕活動のためホンジュラスに滞在したことがあります。スペイン語が堪能で2013年には上院本会議で移民法改正法案を支持する演説を13分間すべてスペイン語で行いました。今年7月にはカリフォルニア州で開かれたクリントン応援集会で、支持を訴える演説をスペイン語でしています。 ” 5 Things To Know About Tim Kaine,” Meg Anderson, NPR, 7/22/2016
人工中絶には条件付き反対、TPP(環太平洋経済提携協定)には賛成の立場をとってきました。温厚な性格で好感度は抜群というのが玄人筋の評価です。奥さんはハーバード法科大学院の同窓。奥さんの父は共和党員でバージニア州知事でした。
ビル・クリントン元大統領やバラク・オバマ大統領らもケーン氏の政治手腕を高く評価しています。副大統領候補としてケーン氏をヒラリー氏に強く推したのはビル氏と言われています。「好感度」で問題のあるクリントン氏の弱点を埋めるに最適のランニング・メイトとみたのでしょう。
そのケーン氏と共和党副大統領候補のマイク・ペンス氏(インディアナ州知事)とのテレビ討論会は10月4日に行われます。「ケーン大統領」説があるだけにこの討論会も注目すべきでしょう。
MONEY VOICE記事

なぜヒラリーやオバマの背後に控える世界支配層は、こうした事態に至ることを重々知りながら、あえてヒラリーを推したのでしょうか。特にヒラリーを援助するソロスなどは…。(『カレイドスコープのメルマガ』)
※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2016年8月20日第169号パート1の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。割愛した全文もすぐ読めます。
ヒラリーもトランプも大統領にならない「プランC」がある
致命的なリーク
ここにきて、ヒラリー陣営にとって致命的な情報がリークされました。
フランスのセメント会社「ラファージュ」が、ISISに資金援助を行っていたという決定的な情報は、ウィキリークスのジュリアン・アサンジによってタイムリーにもたらされました。
ラファージュは、クリントン財団のスポンサーであり、ヒラリーはラファージュの取締役会に入っていることが分かったのです。
つまり、ヒラリーは、ISISに破壊の限りを尽くさせ、復興景気を演出することによって、このセメント会社への利益誘導を図ろうとしたのです。
それだけでなく、クリントン財団は、9.11の首謀者の一つと目されているサウジアラビアとも密接な関係を築いています。
米国製の最新鋭の武器の最大の輸出先は、あいかわらずサウジアラビアです。このサウジアラビアから、米国製の武器が、いわゆるアルカイダ系イスラム過激派に流れてきたのです。
【関連】「死刑判決」を受けたドイツ銀行。1.4兆円では済まない絶望の訴訟リスト
9.11の真相?
ドナルド・トランプが、「9.11の真相を暴露するぞ」「クリントンとサウジの並々ならぬ関係をぶちまけるぞ」と、ブッシュやクリントン夫婦、オバマを恫喝していますが、その意味は、ベンガジ事件から連綿と続いているネオコンの戦争屋ネットワークと、その背後で暗躍している、カザール・ユダヤ(似非ユダヤ)と言われる国際金融マフィアが、いかにして、ヒラリーのような政治家の衣を来た凶悪犯罪者を操りながら米国を破壊してきたかを有権者に暴露する、と言っているのです。
トランプは、やがて、ヒラリーの発作が止まらなくなることを知っていたのです。
ヒラリーが、脳血管にできた血栓のために長期入院した2012年からのことです。それ以前に、ヒラリーは演説中に咳き込んで、聴衆の面前でトローチをコップの水で流し込む場面が何度となく報道のテレビカメラに映し出されているのです。
なぜ、ヒラリーやオバマの背後に控えている世界支配層は、こうした事態に至ることを重々知りながら、あえてヒラリーを推したのでしょうか。特に、ヒラリーの選挙活動資金を援助していることを隠さないジョージ・ソロスなどは……
ここに「プランC」の存在を考えなければならない必要性が出てくるのです。
核のボタンは持たせられない
副大統領のバイデンが、8月15日、ペンシルべニア州でヒラリーの応援演説に立ったとき、「トランプは、日本などに核兵器の開発を促すなど、大統領になる資格はない」と公然と発言したことも異例中の異例ですが、それにとどまらず、バラク・オバマも、「トランプは大統領として務めるのは無理である」そして、「彼は嘆かわしいほどに大統領職の仕事に向かうための準備ができていない」と公的に述べました。
米国の有権者にとって、現職の大統領が一候補者に対して、あたかも人間失格者のように批難するのを見るのは初めてでしょう。歴代の大統領の一人として、ここまでの個人攻撃を行ったことはありませんでした。
それだけでなく、「トランプは興奮しやすい気性で、世界でもっとも強力な力を持ちうる米国の大統領の地位に就くだけの判断力、理解力を持っていない」とプレスに向けて、こきおろしたのです。お上品なオバマが、いったいどうしたことでしょう。
以下は、ホワイトハウスの公式サイトに8月2日付でアップロードされた、ドナルド・トランプを批難するオバマの発言記録からの抜粋です。
いったい、ホワイトハウス内部で何が起っているのか、じっくり考えてみましょう。
「……しかし、私が賛同しかねる共和党の大統領は(過去に)いたことはいたものの、彼らに大統領としての職務を果たす能力が欠けていたというようなことは断じてなかった。
……ミット・ロムニーとジョン・マケインは、政策に関しては間違っていた。 しかし、彼らに対しても同様に、大統領の職務を果たす能力がないなとど私は決して思っていない。
もし、過去の大統領選で彼らが勝っていれば、私は失望したことだろう。
しかし、私はすべてのアメリカ人に言いたい。「彼らは、それでもわれわれの大統領であり、必要な行動規範、ルール、常識によって忍耐強くことに当たる能力を有しており、経済政策、外交政策、憲法の伝統、その他の政府が従事する法の支配に関して十分な知識を有している人たちである」と。
……しかし、トランプが台頭している今の状況はそうではない。これは私だけの意見ではない。つまり多くの著名な共和党員の意見なのである。
米国の有権者のみなさんは、今こそ声を上げざるを得ない節目に差しかかっているのである。」
副大統領のバイデンなどは、「狂人トランプに核弾頭ミサイルの発射ボタンの暗号コードを教えたら、いったい世界はどうなることやら」とまで言っています。
しかし、ヒラリーの発作的で瞬間的な不随意運動の繰り返しを見てください。もはや、彼女は、自分で自分の所作が制御できなくなっています。
この反応を見た専門家たちは「ミオクローヌス(Myoclonus)」を強く疑っています。あるいは、モハメド・アリが生涯苦しめられたパーキンソン病であるという専門筋もいます。
この動画は、クリントン夫妻の上方で何かしらのサプライズが起こったのでしょう。ヒラリーに続いてビル・クリントンも、ゆっくりと視線を上に向けています。
ヒラリーの奇矯さが目立つのは、まさにこのようなケースです。
こうした誰も驚かない程度のささやかな刺激にも過敏に反応し、それが制御できない不随意的な身体的反応となって表れてしまう場面が多すぎるということなのです。
私には、そうした専門家の見立てなどはるかに及ばない重篤な事態が想像できるのです。 彼女は、確実に「狂人」となった……投薬によって……。
主治医によって投与されている劇薬の副作用もあるでしょう。しかし、彼女がつながっているイエズス会のバチカンを今でも信じているクリスチャンにさえ、「彼女にはエクソシストが必要だ」と言わしめるほどの奇怪な行動の数々。
核の暗号コードを絶対に教えてならないのは、トランプではなく、むしろヒラリーのほうであることは誰の目にも明らかです。
オバマの「プランC」
さて、バイデンとオバマは、本当にヒラリーを大統領にしたいと考えているのでしょうか?
まったく違います。オバマがヒラリーを擁護してきたのは、前述したようにベンガジ事件の真相を闇に葬るため、知りすぎたヒラリーが口を開かないように陰でサポートする必要があったからなのです。
しかし、オバマがFBI長官にジェイムズ・コーミーを任命したことによって、それは完全に封印されたといってもいいでしょう。
これから自制が効かなくなったヒラリーが何を言おうが、米国のメディアが「精神異常者のたわごと」と片づけてしまえば、誰もヒラリーの舌禍を取り上げようとしないでしょう。 「彼ら」は、これで完全にヒラリーをコントロールすることができるのです。
これが「プランB」であることは、前号パート1で説明しました。
有力なウェブサイト「WND」の主力コラムニスト、ジョセフ・ファラー(Joseph Farah)は、米国の良識派の心情を代弁しています。
「……他の誰もこの問題について尋ねないならば、私が質問したい。
「大統領閣下、トランプが選挙に勝って次期合衆国大統領になった場合、あなたは快く、そして平和裏にホワイトハウスを去り、ホワイトハウスの前任者すべてがそうしてきたように、同じような方法で権限の委譲を行うことを約束できますか?」」
この質問に答えるのは非常に簡単だ。これは、先週以来のオバマの言動に対する扇動的レトリックである。
そう、オバマ陣営と彼のシャドウ・キャビネットにとっての最大の問題はトランプなのです。
それでも、ドナルド・トランプが11月8日に勝利したとき、オバマは紳士的にすんなり辞任して、すべての権限をトランプに移譲するのでしょうか?
「トランプは狂人そのものである」と言い続けてきたオバマやバイデンが、世界中の人々が見ている前で、トランプにホワイトハウスのキーを手渡すのでしょうか?
それこそ、オバマは国家的反逆者ということになってしまうはずです。オバマとバイデンは、その矛盾に対する弁明を今のうちに考えておいた方がいいのかも知れません。
国家的非常事態
しかし、そうしなくても済むケースがひとつだけあります。それは、11月8日の大統領選挙が行われなくなるような国家的非常事態が起こった場合です
米国では、6月1日からハリケーン・シーズンに入ることから、毎年その直前にテレビ各局が国民に注意を呼びかけることは恒例となっています。
オバマも5月31日、「気候変動によって年々、ハリケーンが強力になっている」と国民に向けてスピーチを行い、その内容がホワイトハウスの公式サイトに掲載されました。
ハリケーンが大型化していることは確かなことですが、そもそもオバマが、それを公式に警告することは、この数年なかったことです。
ホワイトハウスの公式ページに目を通した人であれば誰でも大いなる違和感を感じることでしょう。
その内容は、ハリケーンに対する注意喚起というよりは、むしろ最寄りのFEMA避難所(造りは収容所に見えるが)への行き方を道案内する「FEMAアプリ」を、携帯電話にインストールするよう促す内容になっているからです。
「FEMAアプリ」は、米国民にハリケーンのような気象災害だけでなく地震などの天変地異、太陽フレアなどの宇宙的異変、大規模火災などの自然災害、また、経済災害による暴動、テロなど20種以上の危険に対して安全を確保するための情報を提供することができる、というものです。 (※メルマガ第160号「経済崩壊と世界規模の気候大変動と日本版FEMAの創設」にて詳述)
ある種の甚大な国家危機が、今から来年の1月の間に起これば、バラク・オバマは、過去数十年の間、大統領執務室において密かに受け継がれてきた並外れた強大な権力のいくつかを行使することができるでしょう。
仮にトランプが11月8日に行われる一般投票で大統領に選出されたとしても、正式に大統領に任命されるのは翌年1月です。それまでは、米国にどんな悲劇が起こってもトランプには対処する権限が与えられないのです。
されに、その間、米国内でカタストロフィーが起こればトランプは大統領に任命されません。
なぜなら、トランプを熱烈に支援している「99%」の米国の有権者でさえも、カオス状態になった米国の非常事態をトランプが収拾できるとは考えないからです。
オバマが、ホワイトハウスの公式ページにトランプに対する批判を堂々と載せて、その最後を「米国の有権者のみなさんは、今こそ声を上げざるを得ない節目に差しか掛かっているのである」と結んだのは、次のような含意があるのです。
「もうすぐ米国はカオス状態に入る。そのとき、一刻も早く事態を収拾しなければならない。大統領としての能力の一つもないトランプの言うことに惑わされてはならない。われわれこそが、みなさんを守ることができるのだから」と。
「オバマには反対だが、米国が本当の意味で破滅的事態に至る前に平静を取り戻すとのできるのはやはりオバマだ」と、米国の人々は思うようになるでしょう。
「99%」の人々は、あっさりとトランプ大統領の夢を反故にしてオバマ政権の延長をしぶしぶ認めるようになるのです。
オバマに無制限の権限を与える大統領令第51号
米国が非常事態に至った場合に行使できる大統領が保持している権限のすべてを含む、ただひとつの法規、ただひとつの政令、ただひとつの行政命令、あるいは大統領令はありません。
これらの権限は、プレジデンシー(presidency)の上に階層化されており、一本化されているというわけではありません。
国家非常事態を収束するためには、異なる法律、ルール、行政命令といくつかの大統領令の組み合わせによって初めて、その可能性が出て来るのです。
しかし、大統領に無制限の権限を与える最上位の大統領令がすでに用意されていることを、ほとんどの米国民は知りません。
それは、ブッシュ政権の間、密かに制定された「国家安全保障大統領令第51号(National Security and Homeland Security Presidential Directive)」、通称「Directive51」です。 これこそが、安倍政権でも頭をもたげてきた「国家連続性政策(National Continuity Policy)」の要です。
それは、米国の人口、インフラ、環境、経済、政府機能に影響を及ぼすような崩壊・分裂・混乱を生じるような異常レベルの重大事件や、付随的事件をも含めた「破滅的な非常事態」が起こったときに発動されることになっています。
グローバル・エリートの「シナリオ」では、複合的イベントによって米国のカオスを引き起こし、大統領に無制限の力を与える「Drective51」を発動させて事態の収拾を図るも、それが終わった後では、米国はまったく別の国になってしまうのです。<中略>
ヒラリー、トランプのどちらかが一般投票によって大統領に選出された後、「Drective51」を発動できるような非常事態を演出することです。彼らのどちらが大統領になっても、「プランC」は成功します。
また、彼らのどちらも大統領にならなくでも「プランC」は成功するのです。
それによって米国民は、資本主義の象徴であるワールド・トレード・センタービルが爆破されたとき以上に絶望の淵に追い込まれることでしょう。その後に現れるのが共産主義の独裁者です。
7月1日、なぜオバマが、米国を征服することを目的とした国連の平和維持軍を本土に持ってくる権限を与える大統領令に署名したのか、再度、考えてみましょう。
篠原記事
守勢に回る時間が多かったことを考えれば、負け惜しみの一つでも言いたくなる気持ちは分からないでもない。
9月26日、米ニューヨークで開催された米大統領選のテレビ討論会。大統領の座を争う2人による初の直接対決は、過去に例がないほどの高い注目を集めた。米ニールセンによれば、テレビで討論会を視聴した米国人は少なくとも8400万人と過去最高。ネットでの視聴も含めれば、それ以上の人が2人のバトルに釘付けになった。

討論会の冒頭で握手するトランプ氏(左)とクリントン氏(右)(写真:ロイター/アフロ)
大統領候補らしさが裏目
1960年のケネディ氏とニクソン氏、1980年のレーガン氏とカーター氏の時のように、討論会のパフォーマンスが勝敗の帰趨を決めたケースは過去にはあるが、最近は討論会そのものが選挙結果に決定的な影響を与えることは減っている。それでも、今回の討論会が注目を集めたのは両候補ともに好感度が低く、判断をしかねている有権者の有力な材料になるとみなされたためだ。
政治家としての経験や判断力は評価できるが、嘘つきで不誠実だいう印象のクリントン氏と、アウトサイダーとして閉塞感の漂う現状を打破するという期待がある半面、知識や言動、振る舞いなどあらゆる面で大統領の気質に欠けると思われているトランプ氏。いわば究極の消去法を迫られている米国民にとって、90分の真剣勝負はどちらがマシなのかを見極める重要な機会である。
それでは初戦はどちらが勝ったのか。既に様々なところで指摘されているように、メディアの評価や調査会社の数字を見ると、クリントン氏が優勢だったという見方が強い。
米ハーバード大学ケネディスクール政治研究所によれば、リアルタイムで開催していたバーチャルタウンホールミーティングに参加していたミレニアル世代(1981~98年生まれの世代)の63%がクリントン氏を勝者とみなした。また、様々な予想を提供しているPredictWiseのオッズを見ても、討論会の前に69%だった民主党候補の勝利確率は討論会後に73%まで上昇した。
市場を見ても、ダウ工業株30種平均は27日に上昇、トランプ氏の保護主義的な言動に最も影響を受けると思われるメキシコペソも反発した。“トランプ大統領”の誕生に伴う不確実性を嫌忌している市場も、クリントン氏に軍配を上げた格好だ。
挨拶代わりのジャブに激情
実際、討論会ではトランプ対策を入念に練ったクリントン氏と準備不足だったトランプ氏の差が明白だった。
ツイッターなどでよく使う「いかさまヒラリー」ではなく「クリントン長官」と敬称で呼ぶなど冒頭こそ大統領候補らしい雰囲気を醸し出していた。だが、冒頭にクリントン氏が「彼は父親から1400万ドルを借りてビジネスを始めた」と軽くジャブを放つと、早速、頭に血が上ったトランプ氏は「借りたのは小さな金額だ」と反論、その説明に貴重な時間を空費した。その後もオバマ大統領の出生地を巡る過去の発言、いまだ公開していない納税申告書、イラク戦争を過去に支持したかどうか――など過去に取った自身の行動の釈明に追われた。
その間、クリントン氏は「深い威厳を持った人間だ」とオバマ大統領を持ち上げつつ、自身を支持していないオバマ支持層にアピール。私用メールサーバー問題など自身のスキャンダルについては「間違いを犯した。それについては責任を負う」というひと言で難なく切り抜けた。討論会の前に浮上した健康不安についても、昨年11月に米下院で実施された公聴会を引き合いに出し、「11時間に及ぶ公聴会の証言を経験してから言ってほしい」と鋭いカウンターを放っている(クリントン氏が国務長官だった2012年9月に起きたリビア・ベンガジ米領事館襲撃事件に関する公聴会。この事件では駐リビア大使など4人が死亡した)。
クリントン氏は「トランプ氏を苛立たせて大統領に向かないという印象を与える」という作戦を遂行しつつ、的確にジャブを放ってポイントを獲得した印象だ。「トランプ氏を苛立たせるというクリントン氏の戦略の前に、トランプ氏は大半で守勢だった。第2戦ではもっとアグレッシブに出ようとするかもしれない。どれだけ効果があるかは分からないが…」。ワシントンのシンクタンク、センター・フォー・ア・ニュー・アメリカン・セキュリティのリチャード・フォンテーヌ会長は振り返る。
討論会の後、トランプ氏はFOXニュースで「誰も傷つけたくなかったので手加減した」と釈明。CNNのインタビューでも、ビル・クリントン元大統領の不適切な関係について問いただそうと思ったが、(クリントン夫妻の)娘のチェルシーが聴衆にいたのでやめたという趣旨のことを話している。実際、トランプ氏に対する司会者の質問がクリントン氏の追い風になっていたのは間違いないが、リビア・ベンガジ事件やクリントン財団の寄付金問題など、クリントン氏のアキレス腱を攻められなかった点を考えれば完敗といわれても仕方がない。
黒人支持率の不気味な下落
もっとも、大統領選の流れが決まったと考えられるほどの結果か、と問われればそこまでの差はないだろう。挑発に乗りやすく、政策に具体性がないトランプ氏の弱点が改めて浮き彫りになった一方で、クリントン氏自身が抱えている問題が解消されたわけではないからだ。
今回の結果を受けて、トランプ氏は次の討論会で私用メールサーバー問題やリビア・ベンガジ事件、クリントン財団などクリントン氏を巡るスキャンダルを容赦なく叩くに違いない(2回目をボイコットしなければ)。クリントン氏とトランプ氏は同様に嫌われているが、「不誠実」「嘘つき」「エスタブリッシュメントの代弁者」といった不信感は、クリントン氏の長年にわたる政治活動の中で培われているだけに、残り6週間で消えるようなものではない。
また、クリントン氏は民主党サポーターの支持を得ているが、オバマ大統領が2008年と2012年に得た支持率にはおよばない。既存の支持基盤のクリントン離れも進んでおり、女性やヒスパニック、黒人の支持率が夏場以降、低下している。若者層における不人気も深刻で、コロラド州やニューハンプシャー州では、サンダース氏を支持した若い有権者がクリントン氏ではなく、リバタリアン党のゲーリー・ジョンソン氏のような第3極に投票する可能性も指摘されている。少なくとも、オバマ大統領を支えた黒人や若者の熱狂は存在しない。
「クリントン氏は『私に対して話していない』という意識が有権者にはある。そこが彼女の試練だろう」。政治分析に定評のあるクック・ポリティカルレポートのナショナル・エディターを務めるエイミー・ウォルター氏はこう語る。
クリントン氏は職業政治家として高い能力を持っているが、理性的、理知的でありすぎるがゆえに、コンサルタントのような印象を国民に与えている。米国人が直面しているイシューに心の底から対峙しているのか、彼女自身がどういう人間で、何に心を振るわせるのか。そういう生身の姿が見えないために、有権者の共感を得られていない、という指摘である。
トランプ大統領のナローパス
もちろん、選挙人の過半数、すなわち270人を獲得すれば勝利という大統領選のルールを考えれば、クリントン氏の有利は変わらない。
クック・ポリティカルレポートによれば、トランプ氏が勝つ唯一の道は2012年の大統領選で共和党の候補だったミット・ロムニー氏が勝利した州のすべてを獲得した上で(激戦のノースカロライナを含め)、激戦州の多くを押さえる必要がある。
現時点でトランプ氏に勝機がある激戦州はフロリダ、オハイオ、アイオワ、ネバダといった州だが、これらをすべて取ったとしても過半数にわずかに届かない。残りをペンシルベニアかニューハンプシャーで補う必要があるが、今のところクリントン氏がリードしている。フロリダかペンシルベニアを押さえれば勝利に近づくクリントン氏に比べれば、かなりのナローパスだ(関連情報)。
嫌われ者同士の戦いと冒頭で書いたが、比較論で言えばトランプ氏の方が有権者に嫌われている。健康不安が取りざたされたが、それでも多くの専門家はクリントン氏が勝つとみている。ただ、ブレグジット(英国によるEU離脱)の例を引くまでもなく、直接選挙は直前まで何が起きるか分からない。そして、実のところクリントン氏がどれだけのマージンを持っているのか、確証を持って語れる専門家も恐らくいない。
今回の大統領選は究極の消去法だが、一方で現状維持か変化かという二択でもある。クリントン氏が大統領になれば米国は大きくは変わらない。トランプ氏がなれば、何が出てくるかは分からないが、何かが変わる可能性があるかもしれない。同盟国を含め各国は基本的に米国が変わらないことを望んでいるが、変化を望む国民が多ければ、そういった期待が裏切られる可能性は十分にある。個人的にはトランプ氏が大統領になる可能性は低いと思っているが、「プランB」は準備しておいた方がいい。
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