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『米軍と共同FONOPに乗り出しても時すでに遅し 南沙諸島の中国基地群の存在を前提とした戦略が必要』(10/6JBプレス 北村淳)について
北村淳氏は「穏当なFONOPは手遅れだから、日本も米軍と南シナ海で共同作戦を取ることは意味がない」と考えているようですが、そんなことはないでしょう。尖閣防衛には大きな意味があります。一緒に行動すれば、尖閣防衛の共同作戦も展開でき、大きな抑止力となると思います。自分の都合だけ考えて行動するだけでは信用されません。
況してや「穏当なFONOP」であれば、無害通航権の行使だけで中国にとっては痛くもかゆくもないとのこと。しかしよく考えますと「穏当なFONOP」というのは南シナ海を公海ではなく中国の海に認めたようなものではありませんか。公海であれば準軍事行動を取っても(ヘリの発艦等)おかしくありません。オバマはそれでもなかなか認めないというのはおかしい。足元を見られているし、腹違いの兄弟が中国でビジネスしている影響があるのかもしれませんが。民主党は中国の金塗れで腐っているのでは。
http://ameblo.jp/chanu01/entry-12012480407.html
無害通航を言うので、頻繁に中国軍艦が日本領海内を通過するようになりました。日本政府は国際法上認められていると言って傍観しないで、敵が無害航行を主張するのであれば、今の黄海での米韓合同演習に参加すべきでは(これは公海上ですが)。まあ、韓国が嫌がるでしょうけど。相手は法の抜け穴を利用したり、都合の良い所をつまみ食いしたり、こズルイ行動を取ります。孫子以来の伝統です。国際仲裁裁判所の判決を「紙屑」と言う国です。都合が悪い部分はそう言って無視するでしょう。中国人の本性です。日本はもっと相手の嫌がることをせねば、やられ放しになります。石垣島にTHHADを配備したらどうでしょうか。
http://www.sankei.com/politics/news/160615/plt1606150068-n1.html
記事

南シナ海スプラトリー諸島のミスチーフ礁(2015年5月11日撮影、資料写真)。(c)AFP/RITCHIE B. TONGO〔AFPBB News〕
9月中旬に訪米した稲田朋美防衛大臣が、中国による覇権主義的な南シナ海進出に関して、「アメリカが南シナ海で実施している『公海航行自由原則維持のための作戦(FONOP)』を支持する」旨を明言した。そのためアメリカ軍関係者などの間では、日本がアメリカとともにFONOPを実施するものと理解されている。一国の大臣が明言した以上、アメリカ側の反応は当然であろう。
これを受けて中国側は、日本がアメリカに追従して南シナ海での中国の活動に介入することに対して不快感を露わにしている。先週も中国国防当局は、「日本がアメリカと共同パトロールや共同訓練などを中国の管理する海域で実施するということは、まさに火遊びに手を出すようなものだ。中国軍が座視することはあり得ない」と強い口調で日本に“警告”を発した。
オバマ政権が渋々認めた中途半端なFONOP
だが、当のオバマ政権は中国に対して腰が引けた状態が続いており、FONOPの実施すらもなかなか認めようとはしていない。
アメリカ軍関係者の中でも対中強硬派の戦略家たちは、数年前から南シナ海でのFONOPを実施すべき旨を主張していた。2014年春には、南沙諸島のいくつかの環礁(ジョンソンサウス礁、ガベン礁、クアテロン礁)で中国が埋め立て工事を開始したことがフィリピン政府などによって確認されたため、中国側をある程度威嚇する程度のFONOPを実施すべきであるとの声が上がった。しかし、オバマ政権に対しては暖簾に腕押しであった。
そして、2014年6月になると、ファイアリークロス礁で、埋め立てというよりは人工島が建設される計画が進められていることが明らかになった(本コラム、2014年6月26日「着々と進む人工島の建設、いよいよ南シナ海を手に入れる中国」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41041)。当然、アメリカ国防当局や連邦議会などの対中強硬派の人々から、軍事的色彩の強い強硬なFONOPの早期実施の声は強まった。だが、オバマ政権によるゴーサインはなかなか発せらず、ファイアリークロス礁、ジョンソンサウス礁、ガベン礁、そしてクアテロン礁で人工島の建設が進められていった。
2015年の3月には、それらの4つの環礁に加えてヒューズ礁とミスチーフ礁でも人工島建設が進められていることが確認された。そして、埋め立て拡張工事の規模の大きさから、本コラムなどでも人工島には3000メートル級滑走路が建設されるに違いないと予測した(2015年3月12日「人工島建設で南シナ海は中国の庭に」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43161)。
当然のことながら、アメリカ軍当局の対中強硬派の人々による“強硬なFONOP”実施の要求はますます強まった。それでもアメリカ政府は軍事力を使った対中牽制を許可しようとはしなかった。
そして2015年夏には、上記の6つの環礁にスービ礁を加えた7つの環礁での人工島建設が急ピッチで進んでいることが確認された。それだけではなく、ファイアリークロス礁、スービ礁、ミスチーフ礁には3000メートル級滑走路の建設が始められていることも明らかになった(本コラム、2015年9月24日「人工島に軍用滑走路出現、南シナ海が中国の手中に」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44833)。滑走路だけでなく、7つの人工島にはそれぞれ港湾施設が整備されつつある状況も航空写真に映し出された。

南沙諸島の軍事バランス この段階に至って、7つの人工島が3つの本格的滑走路を備えた海洋基地群となりつつあることが、誰の目にも明らかになった。さすがに対中牽制に極度に慎重であったオバマ政権といえども、しぶしぶ米海軍太平洋艦隊に南シナ海でのFONOPを許可せざるをえなくなった。
だがオバマ政権がアメリカ海軍に許可したFONOPは、かねてより対中強硬派が希求していた“強硬なFONOP”ではなく、ごくごく穏健な形式的FONOPであった。
すなわち「米海軍駆逐艦と米海軍哨戒機が中国が中国領と主張している島嶼や人工島の周辺12海里内領域を速やかに、かつ直線的に通航する」ことによって、「国際法で認められた『公海航行自由原則』を中国は尊重すべきである」ことを暗に要求する作戦である。
この“穏当なFONOP”は、2015年10月(人工島の1つ、スービ礁沿岸12海里内海域)、2016年1月(西沙諸島のトリトン島沿岸12海里内海域)、2016年5月(人工島の1つ、ファイアリークロス礁沿岸12海里内海域)の3回実施された。そして5月以降、4カ月以上たっても第4回目のFONOPは実施されていない。
(関連記事) ・本コラム2015年11月5日「遅すぎた米国『FON作戦』がもたらした副作用」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45163 ・本コラム2016年2月4日「それでも日本はアメリカべったりなのか?」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45947 ・本コラム2016年5月19日「米軍の南シナ海航行で中国がますます優位になる理由」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46862
メッセージにすらなっていない米国のFONOP
アメリカ側の考えでは、人工島やトリトン島などは中国が軍事的に実効支配をしているものの領有権紛争中の島々であり領有権が確定していない以上、その周辺海域は中国の領海ではなく公海である。したがって、公海をアメリカ軍艦が航行すること(その上空をアメリカ軍機が飛行すること)に対して、中国が異を唱えることは許されない。このような論理に基づいて、オバマ政権は、太平洋艦隊に軍艦と軍用機による“穏当なFONOP”を認めたのである。
しかしながら“穏当なFONOP”では、それらの島々に対して強固な実効支配体制を固めている中国にとっては、なんらの影響を与えることにはならなかった。なぜなら、トリトン島や人工島が中国の主張通り中国領だとしても、中国の領海内を軍艦が両国に対して軍事的脅威を与えない状態で通航することは、「無害通航権の行使」として国際法的に認められているからである。
オバマ政権が許可した“穏当なFONOP”は、まさに「無害通航権の行使の範囲内での軍艦による通過」そのもののため、FONOP実施海域が公海であろうが中国領海であろうが、いかなる軍艦にとっても合法な行為なのだ。
もしアメリカ側が「FONOP実施海域は公海である」ということを示したかったならば、“強硬なFONOP”を実施するしかなかった。つまり、12海里内海域で何らかの軍事的行動(たとえば艦載ヘリコプターを発進させる)を実施することによりアメリカの強い姿勢を見せつけなければ、中国に対する牽制には全くならないのである。このような行為は、公海上ならば問題はないが、他国領海内では無害通航権から逸脱した軍事行動そのものだからだ。
しかしながら、国際法的には「無害通航権の行使」にすぎない“穏当なFONOP”に対して、中国側は軍事的脅威を受けたとの姿勢を打ち出して、それを口実に、ますます南沙人工島や西沙諸島の“防衛措置”を強固にしつつある。
抜本的な戦略転換が必要
要するに、アメリカ側が実施したきわめて中途半端な形の“穏当なFONOP”は、単に「アメリカは中国に抗議している」というだけであり、“何もしないよりは少しはマシ”程度の状態なのである。そのような穏当なFONOPに日本が参加しても、南シナ海情勢を(日本にとって)好転させることにはなり得ない。
もっとも、日米共同でFONOPを実施することを契機として、かねてより対中強硬派が唱えている“強硬なFONOP”に切り替えれば、これまでとは違って強い対中姿勢を示すことになることは間違いない。
しかし、すでに7つの人工島がほぼ完成し、3つの3000メートル級滑走路も誕生した現在、いくら“強硬なFONOP”を実施したところで、中国が人工島を更地に戻す可能性は(中国が戦争により軍事的に撃破される以外は)ゼロと考えねばなるまい。
もちろん、アメリカも日本も、フィリピンなど南シナ海沿岸諸国も、中国との戦争などを望む国は存在しない。ということは、「アメリカに追随して共同FONOPを実施する」などという段階はもはや過ぎ去っており、中国の人工島軍事基地群の存在を大前提として南シナ海戦略を構築しなければならない段階に突入してしまっているということを認識しなければならない。
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『風前のTPP、米衰退映す』(10/9日経 FT)、『対中戦略で重要なTPPに反対』(10/8週刊ダイヤモンド 櫻井よしこ)について
日本の保守層はTPPに反対している人が多いですが、中国への経済的封じ込め政策と言うのが分かれば賛成に転じるのでは思います。しかし、オバマの政策をヒラリーが覆すとは、流石何でもありの政治家です。野心の為には節を折ることも厭はない、或は元々節なんて始めからなかったのかも。
Andy Chang氏の記事によると「米司法部が武器商人の訴訟を放棄
Fox NewsのCatherine Herridge とPamela Browne両記者が発表した10月5日の記事によると4日火曜日、米司法部は武器商人Marc Turi氏に対する告訴を放棄したと発表した。
この告訴は2012年に起きたベンガジ事件、スティーブンス大使ほか3名がリビアのベンガジ市においてアル・カイーダの攻撃にあって殺害された事件との関連で、オバマ大統領とヒラリー国務長官が深く関わっていた事件である。あと34日で11月8日の総選挙投票があり、この告訴がヒラリーとトランプの得票に大きな影響を及ぼすため告訴を取り下げたのである。
スティーブンス大使は2012年9月、リビアのトリポリ市からベンガジに赴いたが、この際に護衛を一人しかつけていなかった。ベンガジでテロ攻撃に逢った彼らに対しオバマとヒラリーはホワイトハウスで刻々と変わる状況を聞きながら救援を派遣しなかった。このため4名が死亡した事件である。
オバマとヒラリーはこの事件を反イスラムのビデオのせいで暴動が起きたとウソの発表をしたが、ヒラリーは事件直後に彼女の娘に事件がアルカイーダのテロ攻撃だったとメールしていた。オバマは事件後二週間たっても反イスラムビデオのために起きた暴動とウソを言いまくっていた。
その後の国会喚問でもヒラリーはスティーブンス大使を派遣した理由を述べず、重要人物を派遣してなぜ護衛を付けなかったのかという質問に答えていない。
オバマとヒラリーの嘘に拘らず今ではベンガジ事件はアルカイーダの攻撃だったとわかっている。しかもアルカイーダはアメリカの武器を使っていたのだ。アメリカは中東の独裁政権の反乱分子に極秘で武器を提供したが、この武器の大半が反米テロの手に入っていたのだ。オバマ政権、つまりオバマやヒラリーはこの失敗をMarc Turi氏の武器商人の責任として起訴したのである。
アラブの春と呼ばれる、2010年のチュニジア革命から中東各地に広がった暴動、革命運動などがリビア、エジプトの独裁者を打倒し、動乱がカタールやアラブ酋長国、イラクや現在のシリア革命などに及んだ6年来の中東動乱でアメリカは革命分子に極秘で武器を提供していたという。アメリカは数多い武器商人の名前を使って武器提供をしたが、実は国務院とCIAが影の主体であったという。
Turi氏によると、オバマは2011年に秘密の武器提供計画を許可し、カタールとアラブ酋長国がこれに加わった。つまりアメリカは革命軍に武器を提供するため、多くの武器商人の名を使って武器を「カタールに販売した形で」リビアに搬入したという。
Turi氏によると彼は実際に武器を扱っていない。それらは国務院に直属した政治と軍事局(Bureau of Political and Military Affairs)が 主体で、責任者はクリントン長官の直属部下Andrew Shapiroだったという。
だがTuri氏は、国務院のオペレーションが恐ろしく杜撰でリビアに到達した武器は「半分はあちら側、半分は向こう側に行ってしまった」と言う。
- ベンガジ事件
Turi氏と彼のアドバイサー、Robert Strykによると、国務省はクリントンの失策を隠蔽するため彼を起訴したのであるという。クリントンの失策が2012年9月11日のベンガジ事件を引き起こし、スティーブンス大使など4名が殺害されたのだ。
事件が起きたのが2012年9月11日であるが、オバマは11月の総選挙でロムニーと争っていたので、ベンガジの大使殺害事件を反アラブのビデオのせいにしたが、すぐに嘘がばれて、攻撃はAl QaedaとAnsar al-Shariaの過激分子だったことが判明した。
Turi氏は2014年に武器輸出制限法違反と国務院の要員に虚偽の報告をした廉で起訴された。検察官はTuri氏が武器をカタールとアラブ酋長国に輸出すると虚の申告をしたという。だがTuri氏の弁護士によると武器輸出は政府が認可したリビアの反乱軍を援助するためだったという。
- 秘密の武器輸出はオバマの政策だった
National Defense University のCelina Realuyo教授によれば、外部の武器商人を使って反乱分子に武器を提供することはオバマの政策の一部だったという。このためヒラリー国務長官時代には武器商人のライセンス許可が急激に増大した。Fox Newsの記事によると2011年に武器商人ライセンスの取得者が86000人で、武器輸出は前年の100億ドルから443億ドルに上がったという。
Fox Newsの記事によると2011年4月11日のヒラリーのメモにはFYI. The idea of using private security experts to arm the opposition should be considered,(参考までに;プライベートな専門家を使って反乱軍に武器を提供する事を考慮に入れるべきである)”と書いてあったという。
Turi氏は2011年5月に武器をカタールに輸出する許可を得た。ところが同年7月になったら武装した連邦警察がアリゾナの彼の住宅を急襲したという。つまり彼はベンガジ事件の生け贄にされたのだと言う。実際に起訴されたのは三年後の2014年であった。
ベンガジ事件が起きた後、2013年1月の国会喚問でPaul Ryan議員からベンガジの武器の行方について質問されたヒラリーは、「私は質問に関した情報は持っていませんが、どんな情報があるか探してみます」と答えたそうである。反乱軍に武器を提供するには外部の武器商人を使えとメモを書いた張本人のヒラリーが国会喚問で情報を持っていないとウソをついたのである。
オバマが反乱分子に武器を提供する許可を出した。ヒラリーは武器商人の名を借りて武器を輸出した。実際には国務省とCIAが関わっていた。計画が失敗して武器商人の責任にしたのであった。」(以上)
とありました。報道したのはやはり保守派のFOXだけと思われます。日本以上に左翼メデイアが多いと言われている米国ですから。「戦争嫌い」で有名なオバマが裏で戦争の種を撒いていたという事です。嘘つきヒラリーだけでなく、嘘つきオバマということで。日本の反日民進党の党首も嘘つきですが、やはり米国の二人と比べると「頭が悪い」印象は否めません。ヒラリーもオバマも弁護士上りで、三百代言ですから、嘘をつくことを何とも思っていないのかも。FOX記事がトランプ支持に回るようになれば良いのですが。
日本もRCEPなどに加盟するのでは「中国の経済的封じ込め」ができなくなります。日本が中心となり、シンガポールや他の参加国と協定を批准していって米国を急き立てるようにすれば良いでしょう。10/10日経朝刊に「パリ協定批准「見誤った」 官邸主導の盲点」という記事が載りましたが、官邸でなく外務省の無能が災いしたと思います。パリ協定は、参院では与野党とも賛成なので、今月下旬には衆院より先に通過、ただ衆院ではTPP法案に野党は反対するのでパリ協定は審議入りが遅れる可能性があるとのこと。パリ協定は外務省の失態でしょうが、批准は時間の問題です。それ程大きな問題ではありませんが、日経の書き方だと官邸が悪と思わせる内容です。メデイアに刷り込まれないようにしませんと。
http://www3.nhk.or.jp/news/imasaratpp/article15.html
FT記事
今後、米国の国力が衰退していく様子について歴史が書かれるとき、環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る大失敗はどう描かれるだろうか。丸1章を割くには値しないかもしれないが、間違いなく脚注よりは大きな紙幅を占めることになるだろう。
■大衆民主主義、危うさを示す

ラストベルトではTPP反対の声が強い(写真はペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた7月の民主党全国大会)=米紙ワシントンポスト提供・ゲッティ共同 TPPは太平洋地域12カ国が大筋合意した貿易協定で、参加国の合計人口は約8億人と、欧州連合(EU)単一市場の人口(約5億人)より6割多く、国際貿易に占めるシェアは40%に上る。また、TPPはアジアや世界における米国の指導力を示す最も重要な試金石の一つにもなった。
だが、残念ながら米大統領選挙の主要候補2人はどちらの方がTPPにより強く反対しているか競い合っており、オバマ大統領もTPP発効に必要な承認を議会から得られる見通しが全く立っていないため、TPPが米国によって批准される可能性は急速に薄れている。もし批准されなければ、中国がアジア地域の覇権国として米国に取って代わろうと積極的に動いている時だけに、米国の失態による影響はアジア全域におよぶだろう。
中国は太平洋国家にして世界最大の財の貿易国であるにもかかわらず、TPPからはあからさまに外された。そのため中国政府からすれば、TPPが今にも崩壊しそうなことは不思議に思えるかもしれないが、喜ばしいに違いない。
TPPが頓挫しかねない状況に陥っている事実は、大衆民主主義の危うさを表す最新の事例ともいえる。つまり、国家は国益にからむ問題を、無関心で内容を十分に知ろうとしない大衆の手に決して委ねてはならないことを立証している。最近でいえば、英国が国民投票でEU離脱を決めたこともその一例だ。
鉄鋼や石炭、自動車などの主要産業が衰退してしまった「ラストベルト」と呼ばれる激戦州(編集注、米国の中西部から北東部のミシガン州、オハイオ州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州などを指す)の少数の有権者がこれほど明白な形で国益を害するのを許す米国とは一体どんな超大国なのか――。中国の指導者たちは間違いなくこう首をかしげているだろう。
■オバマ政権が矛盾した説明
問題の一端は、オバマ政権が発する矛盾したメッセージにある。TPPは非公式には「中国以外ならどの国でも歓迎されるクラブ」「経済版の北大西洋条約機構(NATO)」と説明されてきた。しかし、公の場では米国は、TPPが中国を封じ込める策の一環であることを必死に否定している。このためオバマ政権は国内では、TPPを単なる自由貿易協定の一つとして売り込まざるを得なくなった。多くの国民が自由貿易協定への疑念を高めている時に、だ。
オバマ氏がTPPの背景にある本当の狙いを明かしかけたのは、2015年1月だった。それはまさにTPPについて米国民を説得できたかもしれない瞬間だった。「中国は世界で最も成長の速い地域のルールを作りたがっている」とオバマ氏は語った。「そうなれば米国の労働者と企業が不利な立場に立たされることになる。そんなことを我々は許せるだろうか。そうしたルールは我々が作るべきだ」と。

来年1月の任期切れが近づくなか、オバマ大統領はTPPの議会承認をとりつけるのが厳しくなっている=ロイター
カーター国防長官は昨年4月にさらに踏み込んだ発言をした。「TPPを可決させることは、私にとって空母をもう1隻増やすのと同じくらい重要だ」と述べた。カーター氏は恐らく空母というものの価値を過大評価したと思われるが、2人の言葉はいずれも真実だ。TPPを巡り米議会から承認を得られなければ、米国は事実上、世界最速で成長する地域の貿易と経済のルールを定める権利を事実上、譲り渡すことになる。日本のある外務省高官の言葉を借りれば、「中国の指揮下でアジアの貿易制度を確立する絶好のチャンス」を中国に与えることになる、ということだ。
■多大な影響力、譲り渡す危機
アジアでの影響力拡大を狙う中国の台頭を最大の脅威ととらえる日本でさえ、米国がTPPを批准できない場合は、中国が支持する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に参加することを検討している。この交渉には東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のほかオーストラリア、ニュージーランド、中国、インド、日本、韓国が参加する。RCEPは米国が加わらないだけでなく、知的財産やインターネットの自由、労働者の権利、野生生物と環境などに対する保護施策がTPPより不十分だ。
こうした分野に関しては、しかも米企業にとっては、TPPはクリントン氏がオバマ政権の一員だったときに評したように「ゴールドスタンダード(究極の協定)」だ。
中国がネットの自由や人権、環境保護を軽視するだけでなく、海外で事業展開する際も地元の違法行為を黙認するのを慣行としていることを考えれば、彼らはどんな貿易協定でもTPPほど高い基準を実現しようとは思わないに違いない。
米国やアジアでは、クリントン氏が大統領に選ばれたら、違う名称を付けてTPPを事実上復活させるのではないかという楽観的な観測も広がる。しかし、それには長い時間がかかるし、その頃には協定は恐らく意味をなさなくなっているだろう。その間も、中国は米国を参加させないような協定の締結を強く推進するはずだ。
米国がアジアでの影響力や地位を失わないようにするには、11月の選挙が終わってから来年1月に新大統領が就任するまでの「レームダック議会」で、オバマ氏が議会からTPPの承認を得るのが最も妥当なシナリオだ。
もしこれが実現しなければ米国はいわば墓穴を掘ることになる。つまり、中国に多大な影響力を譲り渡すこととなり、その結果、今後中国を中心に結ばれる貿易協定は企業や労働者、世界にとって、今より確実に悲惨なものになるということだ。
By Jamil Anderlini
(2016年10月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
櫻井記事
対中戦略で重要なTPPに反対 クリントン氏にも期待できない現実
9月26日(日本時間27日)の米国大統領候補によるテレビ討論はあらためて、大変化に備えよという世界各国への警告になったのではないか。
討論の勝者は誰か。直後の世論調査ではクリントン氏の勝利とみた人が 62%、トランプ氏は27%だった。
一方、米国の保守派の論客、チャールズ・クラウトハマー氏は、「内容に関しては、どちらも相手を徹底的に追い詰められなかったという点で引き分け。その場合、挑戦者であるトランプ氏の勝利だ」と分析した。
現時点でクリントン氏がやや有利だが、最終的にどちらが勝利するかは、依然として分からない。しばらく前まで、私はどちらが次期大統領になるのか、非常に気になっていた。外交も安全保障も理解しているとは思えないトランプ氏よりも、親中派だが、経験を積み、中国の実態を冷静に見詰め、戦略的に思考できるクリントン氏の方が日本にとってふさわしいと考えていた。
しかし、今はそうは思わない。外交や安全保障でクリントン氏にも期待できないと感ずる。理由は環太平洋経済連携協定(TPP)についての彼女の変遷である。彼女は、第1期オバマ政権の国務長官としてTPPの戦略 性を認識し、支持したはずだ。TPPに込められた戦略とは、経済や価値 観を軸にして、中国と対峙する枠組みをつくるということだ。
対中関係で軍事と並んで重要なのが経済である。中国はアジアインフラ投 資銀行(AIIB)などを創設して中国主導の不透明な経済・金融の枠組みをつくった。だが、中国的価値観に主導される世界に、私たちは屈服するわけにはいかない。経済活動を支える透明性や法令順守などの価値観を重視したTPPは、21世紀の中華大帝国とでも呼ぶべき枠組みに対処する重要な役割を担っていくはずだ。
無論、TPPはそのような対中戦略の理念だけで成り立つものではない。 日本企業や農家の舞台を国内1億2700万人の市場から8億人のそれへと拡大 し、必ず、繁栄をもたらすはずだ。
こうした中で厳しい交渉を経て、TPPは12カ国間で合意された。それをクリントン氏は選挙キャンペーンの最中の8月11日、「今も反対だし、大統領選後も反対する。大統領としても反対だ」と言い切った。さらに、今 回の討論で、「あなたはTPPを貿易における黄金の切り札(gold standard)と言ったではないか」と詰め寄られて、彼女はこう切り返した。
「それは事実とは異なる。私はTPPが良い取引(deal)になることを願っていると言ったにすぎない。しかし、いざ交渉が始まると、ちなみに私はその交渉に何の責任もないが、全く期待に沿わない内容だった」
ここには、TPPを対中戦略の枠組みと捉える視点が全くない。何ということか。対中戦略の重要性など、彼女の念頭には全くないのである。であれば戦略的とは到底思えないののしり言葉で支持を広げるトランプ氏と、信念も戦略もないという点で、クリントン氏はどう違うのか。
日米同盟に関して、トランプ氏は「日本はカネを払っていない。他方で 100万台規模の車を米国に輸出し続けている」と強い不満を表明した。こ のような考え方は日米同盟の実質的変革につながる。クリントン氏は日米同盟重視だと語るが、TPPを認めない氏に期待するのも難しいだろう。
両氏の討論から、日本の唯一の同盟国が、頼れる相手でなくなりつつあることがより明確に見えてくる。安倍晋三首相は臨時国会の所信表明で、 TPPの早期成立と憲法改正に言及した。日本の地力を強化し、それを もってアジア・太平洋地域に貢献するのにTPPも憲法改正も必須の条件だ。国際社会の速い変化の前で、日本も急がなければならない。
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『「人民元、SDR入り」で何が変わるのか 「ドルに取って代わる」中国の野望の行く先は』(10/5日経ビジネスオンライン 福島香織)について
産経新聞が人民元について特集記事を配信しています。
http://www.sankei.com/world/news/161001/wor1610010007-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/161002/wor1610020011-n1.html
http://www.sankei.com/premium/news/161003/prm1610030007-n1.html
http://www.sankei.com/premium/news/161004/prm1610040006-n1.html
http://www.sankei.com/column/news/161005/clm1610050002-n1.html
「日本円や米ドルで投資した中国でのプロジェクトで人民元ベースの収益を上げても、その資金を自由には持ち出せないため、「収益の大半は中国内で内部留保するか再投資に回すしかない」(同)のが実情だ。 さらに、SDR本来の目的であるIMFからの緊急融資の際、外貨不足に陥った国がSDRをIMFから受け取っても、中国当局の為替管理の壁で自由な交換ができなければ、人民元の構成比率10・9%分は使えないとの問題が生じる。」とあります。
市場経済認定国のせめぎ合い、欧州はドイツ経済を破綻させない限り、中国に大甘の政策が採られかねません。南シナ海での国際仲裁裁判所の判決を臆面もなく「紙屑」と言ってのける国なのに。
「「中国の不良債権規模は12・5兆元(約190兆円)と公式統計の10倍」。 今夏、大手シンクタンクの日本総合研究所が、中国経済が隠し持つ、金融危機を招きかねない“爆弾”の潜在規模をはじき出した。」とありますが、企業の持つ債務は2600兆円×156÷249=1628兆円で、隠れ不良債権はもっと多いのでは。不良在庫が多く、投げ売りしないといけない状況ですので、損切りすれば金融機関の持つ不良債権はもっと大きいと感じます。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160903/frn1609031530002-n1.htm
「だが、企業が撤退しようとしても、当局の規制が足かせとなる。日中経済協会など財界トップらで組織する訪中団は9月、商務省との会合で撤退ルールの整備などを求める要望書を手渡した。外資企業が進出する際は、一元化した窓口で迅速に手続きできる。だが、撤退時は行政府の複数の部署での認可が必要となり、長期にわたって撤退できないケースもあるという。」
後からゆうのは福助頭の典型でしょう。日本企業の横並び体質と経団連や日経があれだけ中国進出を煽り、「バスに乗り遅れる」感を持たせた罪は大きい。中国駐在員に聞けば一発でこんなことは分かるのに。騙されやすいのです。何時も言っています中国人の基本的価値観の「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」から言えば、日本人は典型的な馬鹿、カモです。
次は、10/7石平メルマガを見て見ましょう。
<李首相の「外交復権」は「団派」の巻き返しだ 激化が予想される中国共産党の権力闘争」
先月21日、中国の李克強首相は国連総会で演説を行い、その前日にはオバマ米大統領との会談をこなした。中国首相には普通の外交活動のように見えるが、李首相自身にとって、それは記念すべき出来事となったのではないか。
2013年3月に首相に就任して以来、彼が国連の会議に出席したのもアメリカの土を踏んだのも、
それが初めてだからである。中国の首相として最重要の外交相手国、アメリカを公式に訪問したことは一度もない。今回も国連総会出席のためにニューヨークを訪れただけである。
一方の習近平国家主席はすでに2回にわたって訪米した。2015年9月の訪米は国賓としての訪問であり、その時は国連総会でも大演説をぶった。国家主席と首相との格差があるとはいえ、李首相の外交活動はかなり制限されていたことが分かる。
実は習主席は就任以来、首脳外交を自分の「専権事項」にして、国際舞台で「大国の強い指導者」
を演じてみせることで自らの権威上昇を図った。権力闘争の中で共産主義青年団派(団派)の現役リーダーである李首相とは対立し、本来なら首相の活躍分野である経済と外交の両方において
李氏の権限と活動をできるだけ抑え付けようとした。
その結果、今年の上半期、習主席自身は7カ国を訪問して核安全保障サミットや上海協力機構などの重要国際会議に出席したが、同じ時期、李首相は何と、一度も外国を訪問できなかった。状況が大きく変わったのは、今年9月に入ってからである。
同7日から、李首相はラオスを訪れ、中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)(10+1)首脳会議、
東アジアサミットなどの一連の国際会議に出席した。その中で李首相は、合従連衡の外交術を駆使し、中国のアキレス腱(けん)である「南シナ海問題」が焦点として浮上するのを封じ込めるのに成功した。
その直後から、中国国内では、新華社通信と中国政府の公式サイトを中心にして、李首相の「外交成果」に対する絶賛の声が上がってきた。「李首相は東アジアサミットをリード、中国は重大勝利を獲得」「首相外遊全回顧、外交的合従連衡の勝利」など、李首相の帰国を英雄の凱旋(がいせん)として迎えるかのような賛美一色の論調となった。
今まで、外交上の「成果」や「勝利」が賛美されるのは習主席だけの「特権」となっていたが、今夏までの数年間、首相としての外交活動すら自由にならなかった李氏がこのような待遇を受けるとはまさに隔世の感がある。
その間に一体何が起きたのか。
1つの可能性として推測されるのは、今年8月に開かれた恒例の「北戴河会議」において、
習主席の内政・外交政策が各方面からの批判にさらされ、習氏の勢いがかなり削(そ)がれたことではないか。
だからこそ、9月になると、習主席の腹心である天津市の黄興国党委員会書記代理が突如失脚させられ、同じ時期に李首相の外交的活躍がクローズアップされた。
そして9月21日から人民日報は、李首相の後ろ盾である共産党元総書記、胡錦濤氏の「文選」の刊行を記念して、胡氏を褒めたたえる文章を連続3日間、1面で掲載した。つまり、李首相の「外交復権」の背後には、今まで習主席との権力闘争においてやや劣勢に立たされた共産主義青年団派の勢力が、例の「北戴河会議」をへて再び勢いを巻き返してきたことがあったのではないか。
そうなると、来年開催予定の第19回党大会に向け、次期最高指導部の人事をめぐる権力闘争は
ますます激しさを増してくるだろう。この「最後の決戦」の行く末によって、中国の政治と外交の方向性は大きく変わっていくに違いない。>(以上)
習近平の力が「北戴河会議」によって削がれたという見立てでしょう。権力争いが益々激しくなるのでは。軍を巻き込んでの展開になれば暴発、あるいは功名争いで戦闘を仕掛けるかも知れず、要注意です。しかし、日本人の危機感のなさは絶望的です。危機に備えて準備しておかなければ、何も対応できないのは明らかなのに。
国慶節で無料のバイキングで食い散らかした映像がありましたので紹介します。自己中、民度が低いとしか言いようがありません。こういう民族が尖閣侵略を狙っているのを肝に銘ぜねば。何でもしゃぶりつくすという事です。
http://www.wenxuecity.com/news/2016/10/06/5659547.html
福島氏の記事はそのまま読んで戴ければと思います。
記事
中国の人民元がSDR(特別引出権)入りを無事に果たした。人民元のSDR入りは、為替市場の自由化、透明化など改革推進が交換条件だったはずだったが、実際のところその条件はまだ満たしていない。それでも加入させるとは、IMF(国際通貨基金)は中国に対しよほど寛容であるということなのか。それとも、その方が国際金融にとって“お得”なのか。
人民元SDR入りで、いったい何が変わるのかは気になる。中国内外で報じられている分析を少し整理してみたい。
「世界金融支配」への第一歩
IMFの加盟国に対し、出資額に比して配られ、通貨危機に陥った際には外貨に交換できる仮想通貨「SDR」。従来は米ドル、ユーロ、円、英ポンドが構成通貨であったが、ここに5番目の通貨として人民元が加わることになった。構成比率はドル、ユーロに続く10.92%で日本の8.33%を上回る。現実にはSDR入りしたからといって、各国中央銀行がすぐ外貨準備高として人民元保有を増やすようになるとか、人民元に対する信用が一気に上昇するというわけではないだろう。なぜなら、人民元は今なお、制限なく自由に外貨と兌換できる通貨ではないし、その相場は市場原理ではなく政府の介入によってなんとか安定しているからだ。
米国はこれまでも、たびたび、中国を為替操作国と批判してきた。大統領選共和党候補のトランプ氏は、当選の暁には中国を為替操作国認定する、と言明している。SDR通貨は5年に一度見直され、その時、もし資格がないと判断されれば、SDRから外される可能性もある。今後5年の間で、人民元が市場化されるのか。本当に自由化されるのかによっても、影響力は変わってくる。
一方、自由化市場についてあまり肯定的な姿勢ではない習近平政権にとっては、政治的な意味が大きい。人民元の国際通貨の仲間入りを政権として実現させた。ちなみに中国が長年、人民元のSDR入りに拘り続けてきたのは、米ドル基軸体制を切り崩し、人民元こそが国際基軸通貨として世界金融を支配するという遠大な野望の第一歩という位置づけだからだ。
米国が今、世界を牛耳る権力を握っているのは、ドル基軸体制を確立し、ドルを刷り、その強弱を使ってグローバル資本市場の盛衰を主導できるだけでなく、他国の内部の富の分配から政権の交代までに影響力を持てるからだ、と中国は考えている。
かつて金本位制だった時代は金の保有量が国家の対外購買実力、経済力を示す指標だったが、ドル基軸体制ではドルの保有量がそれとなる。一国の購買実力、経済実力はドルを通じて米国に支配されている。だからこそ、米国に世界の技術と人材が集まる。この米ドル貨幣覇権に立ち向かうものこそ、世界最大の(潜在的)市場を誇る中国の人民元であるべきだ、米ドルから貨幣覇権を奪うのは人民元だ、というのが中国の遠大すぎる野望である。
「資格に欠ける」「1兆ドル流入」「開放次第」…
中国の野望はひとまず置いておくとして、人民元SDR入りについて、各国の論評はけっこう差がある。米財務長官ジャック・ルーは「本当の意味での国際準備通貨の地位には程遠い。中国は引き続き人民元をさらに国際水準に近づける改革が必要だ」と話した。日本財務相の麻生太郎は「すぐ通貨の価格管理などをやることになると、SDRを維持する資格に欠ける」と牽制した。
ドイツフランクフルター・アルゲマイネ紙は「人民元がグローバル貿易、金融取引において大量に使われるようになり、今後5年以内に1兆ドルが中国市場に流入するだろう」と論評。スイス連邦銀行集団は「もし人民元が準備通貨としての潜在能力をさらに発揮するとなれば、全世界の外貨準備高の5%を占めるようになるだろう。つまり外国の中央銀行が保有する人民元資産は4250億ドル相当になる」と、各国で人民元資産を外貨準備高として保有するようになっていくという予想を示した。
逆に仏パリ銀行は「将来、国際投資家たちが人民元資産を持つようになるのかどうか、結局中国経済がどうなるかによる。SDRに入ったかどうかではなく、中国資本取引の開放がある程度進み、米MSCI指数などに、中国A株が組み入れられるかどうかの方が重要なのだ」と論評した。
新華社など中国公式メディアの反応はもちろん「人民元がついに国際通貨の天井を破った」「中国が世界経済の舞台の中心に近づいた」「これは中国と世界のウィンウィンだ」と大喜びだ。しかし中国人民銀行側はSDR入り後も引き続き人民元を管理していくべきだという姿勢を強調しているので、人民元が、自由な取引や市場原理で相場が動く透明性を備えた国際通貨にすぐなるわけではない。
人民日報の「人民元SDR入りがどのような影響を与えるか」という論評を見てみると、「人民元は対米ドルに対し下落速度が加速し、米ドルが今後利上げの方向に行けば、中国の相当の資金が米国に流れ込む」(中国欧州陸家嘴国際金融研究院院長・曹遠征)というのが喫緊の影響として、予想されているようだ。
投機筋と政府の攻防で不安定化
SDR入りすれば、やはり多少は人民元介入を減らしていこうと考えているのだろうか。そうなると、それまで実質の中国経済に比して人民元高に誘導されていた分、人民元安は急速に進む。だが、こうした人民元の下落によって、中国経済が強烈な影響を受けるとまでは言えない、という。
「論理上は、人民元がSDR入りしたことで、国際通貨としてのお墨付きを得たのだから、各国中央銀行が人民元を外貨準備として保有することができるようになる。そのことで人民元の信用が上がり、中国は人民元による対外貿易決済、対外投資を行えるようになっていく。そうなれば中国企業にとっては為替損益を減少させ、対外経済の効率改善を図る上でプラスの影響がある」(中欧国際工商学院金融学教授・張逸民)という見方もある。この期待どおりになれば中長期的には人民元は上がっていくことになる。
中国にとって予想されるリスクはなにか。政府の介入が減っていく一方で、外国投資家が投資できるような人民元商品が増える。外国の投機筋も人民元市場に参入していく。そうすると、人民元価格が下落するにしろ、上昇するにしろ、中国経済・金融実力に応じた水準に安定するまで、外国の投機筋とそれに対する政府の対策の攻防の間で不安定化する。外国のヘッジファンドにとっては、久しくなかった大博打場となる。これまで安定した人民元にしか慣れていない中国企業は阿鼻叫喚の目にあうかもしれない。
株式市場や不動産市場にはどういう影響があるだろうか。
資金を引き上げるのが難しい
「日本円がSDR入りした時、日本の株式市場は大高騰し、日経指数で7倍に膨れ上がった。ならば中国A株市場は? 今週の上海総合指数でいえば、0.96%の下落だ。牛市(全面高)とはいえない。当時の日本の市場にはいろいろからくりがあり、指数が低く処理されていた一方で、プラザ合意で円高が引き起こされた。30年前の日本のようにはいかない。世界経済の成長が減速し、米ドルの利上げ予測が人民元の下げ圧を増強しているので、いったんは中国からの資本流失現象が起きて、A株市場は悪化すると予想される」
「不動産市場は、人民元の兌換が開放されていくに従い、国内投資家たちは手持ちの不動産を投げ売りして、海外の不動産を購入するようになる。外国の不動産の中には、永久の所有権を保障されているところもあるからだ(中国は所有権に期限がある)」(南方財富)
いわゆる資金流出の加速によって、株式、不動産とも大幅な下げ圧にさらされる。特に不動産市場はバブルがこれでもかというほど膨れ上がっているので、SDR入りがバブル崩壊のきかっけをつくるかもしれない。長期的にみれば、外国の投資家が中国の不動産購入に参入できるという期待もあるようだが。
債券市場についていえば、「3、4年後には外国投資家が保持する中国国債は新興国政府債券よりも多くなっているはず。2020年までに累計投資は4兆元になる」(チャータード銀行)という予想もある。外国投資家が所持するオフショア人民元建て債券総額は今年3月から6月までに1000億元増加しており、この傾向が加速するというのだ。だが、中国の債券市場は外国投資家が投資するのは簡単だが、金を引き上げるのは難しい。この予測通り順調に増えるとは、私には思えないのだが。
中国の経済政策、とくにシーノミクス(習近平経済学)の柱であった一帯一路戦略(陸のシルクロードと海のシルクロード経済一体化構想)と、それを支える目的もかねて創設されたAIIBは、これを機に息を吹き返すのだろうか。
一帯一路戦略とは、中国と中央アジア、ヨーロッパを結ぶ地域、また東南アジアから海を通ってインド、アフリカにいたる海岸線に、中国の主導する投資と企業力によって交通インフラや産業パークなどを建設、そこでは人民元決済を中心にして、人民元経済圏を確立するという構想である。中国国内の生産過剰な建設資材を消費でき、中国企業の対外進出の足掛かりとなる。将来の夢である米ドルに対抗できる人民元基軸体制の経済圏を打ち立てる中国の壮大な野望に向けての実験みたいなものでもある。
覚悟なしで好転なし
人民元のSDR入りで、人民元の国際認知度と信用が高まり、人民元決済がやりやすくなれば当然、一帯一路戦略に弾みがつくし、中国産業と国際企業の協力や中国企業の対外進出もやりやすくなる。AIIBも人民元建て債券をどんどん発行して、うまく回る…のか? 一帯一路構想が事実上、停滞しているのは、資金ショートに陥っていること、どだい経済的利益度外視のプロジェクトを政治的目的優先で行っているので、現場でサボタージュも起きているという話だ。
人民元がSDR入りすれば、どんどん人民元を刷って、人民元で支払うので資金不足は解消、といいたいところだが、人民元を好きなだけ刷れば大暴落、信用も落ちてハイパーインフレ、国内が大変なことになってしまうだろう。リターンの見込めないプロジェクトそのものに無理があるのだから、人民元がSDRに入ろうがは入るまいが、あまり関係ないかもしれない。
人民元がSDR入りするほど成熟していないのに、SDR入りしたら成熟するんじゃないか、という期待が先行してSDRに入れてもらったが、実力不足の選手がメジャーリーグに入れば、強くなるというものではない。ちょうど国慶節連休に入ってからの発表で、マーケットの反応があまりないので、休みが明けてからの市場を見ないと何ともいえないのだが、意外に、あっさりと期待も懸念も流れてしまうのではないだろうか。SDR入りがどうのというより、習近平政権が、どのような痛みを伴っても人民元改革を進めるのだというような覚悟を、今のところこれっぽっちも見せていない以上、中国経済の何かが好転するという期待は持ちにくい。
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『北方領土「2島先行返還」は日本にとって損か得か?』(10/3ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)について
10/4Facebook 吉田康一郎氏投稿は産経新聞の記事を引き合いに出してコメントしています。<露極東管区の人口は630万人。満洲東三省の人口は約1億人。人口が減少する露極東は、中国に呑み込まれる惧れ。中国は、清から露西亜に割譲された外満洲を「奪われた」と見做すが、満洲人の領土であり、漢人の領土ではない。
私はかつて日ロ関係のシンポジウムで、ロシア側有識者と対話し、「極東を全て中国に呑み込まれて失うくらいなら、千島・樺太を全て日本に返還して日本と同盟を結び、極東開発を進めてはどうか」と提案し、意外にもロシア側と大いに盛り上がりました。
《「奪われた領土」極東ロシアに流れ込む中国人…“スーツケースで侵略”は危険な火ダネ》2016.10.04 産経新聞
人口が希薄なロシア極東に中国人が流入し、ロシア人を心理的に圧迫している。ロシアの調査機関は今世紀半ばを待たず、中国人がロシア人を抜いて極東地域で最大の民族になると予測する。中国人には19世紀の不平等条約でウラジオストクなど極東の一部を奪われたとの思いがあり、ロシア人には不気味だ。欧米に対抗して蜜月ぶりを演出する両国首脳の足元で、紛争の火だねが広がっている。 (坂本英彰)
■ 中国人150万人が違法流入
「中国人がロシアを侵略する-戦車ではなくスーツケースで」
米ABCニュースは7月、ロシア専門家による分析記事を電子版に掲載した。露メディアによると、国境管理を担当する政府高官の話として、過去1年半で150万人の中国人が極東に違法流入したという。数字は誇張ぎみだとしつつも、「国境を越える大きな流れがあることは確かだ」と記す。
カーネギー財団モスクワ・センターによると在ロシアの中国人は1977年には25万人にすぎなかったが、いまでは巨大都市に匹敵する200万人に増加した。移民担当の政府機関は、極東では20~30年で中国人がロシア人を抜いて最大の民族グループになるとしている。
インドの2倍近い広さがある極東連邦管区の人口は、兵庫県を少し上回る630万人ほど。これに対し、国境の南側に接する中国東北部の遼寧、吉林、黒竜江省はあわせて約1億人を抱える。
国境を流れるアムール川(黒竜江)をはさんだブラゴベシチェンスクと黒竜江省黒河は、両地域の発展の差を象徴するような光景だ。人口約20万人の地方都市の対岸には、近代的な高層ビルが立ち並ぶ人口約200万人の大都市が向き合う。
ABCの記事は「メキシコが過剰な人口を米国にはき出すように、ロシア極東は中国の人口安全弁のようになってきている」と指摘した。ただし流入を防ぐために「壁」を築くと米大統領選の候補が宣言するような米・メキシコ関係と中露関係は逆だ。中露間では人を送り出す中国の方が、ロシアに対して優位に立つ。
■ 20年後の知事は中国人!?
ソ連崩壊後に過疎化が進行した極東で、労働力不足は深刻だ。耕作放棄地が増え、地元住民だけでは到底、維持しきれない。
米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿したロヨラ大シカゴ校のコダルコフスキー教授によると、過去10年で日本の面積の2倍超の約80万平方キロの農地が中国人に安価にリースされた。そこでは大豆やトウモロコシ、養豚など大規模な農業ビジネスが展開されている。
中国と接する極東のザバイカル地方は今年、東京都の半分にあたる1150平方キロの土地を中国企業に49年間長期リースすることで基本合意した。1ヘクタールあたり年500円余という格安だ。これに対しては「20年後には知事が中国人になりかねない」などと、ロシア国内で猛反発も起きた。
ロシア政府はロシア人の移住や定着を促すため土地を無償貸与する法律を制定したが、ソ連崩壊後の二の舞になる可能性も指摘されている。1990年代、分配された国有企業の株は瞬く間に買収され、政府とつながる一部特権層が私腹を肥やす結果となった。
極東は中国なしでは立ちゆかず、結果として中国人の流入を招く。コダルコフスキー教授は「中国はアムール川沿いのロシア領を事実上の植民地にしてしまった」と指摘した。
■ 「未回復の領土」
中国人が大量流入する状況で「領土回復運動」に火がつくと、ロシアにとっては取り返しのつかない結果となりかねない。
欧米列強のひとつだったロシア帝国は1858年と1860年、弱体著しい清帝国との間で愛琿条約、北京条約をそれぞれ締結し極東地域を獲得した。沿海州などを含む日本の数倍に匹敵する広大な領域で、これにより清帝国は北東部で海への開口部を失った。アヘン戦争後に英国領になった香港同様、清にとって屈辱的な不平等条約だ。
中国と旧ソ連は1960年代の国境紛争で武力衝突まで起こしたが、冷戦終結後に国境画定交渉を加速し、2008年に最終確定した。現在、公式には両国に領土問題は存在しない。
にもかかわらず中国のインターネット上には「ロシアに奪われた未回復の領土」といったコメントが頻出する。
ニューヨーク・タイムズは7月、近年、中国人観光客が急増しているウラジオストクをリポートした。海辺の荒れ地を極東の拠点として開発し、「東方を支配する」と命名した欧風の町だ。吉林省から来た男性は「ここは明らかにわれわれの領土だった。急いで取り戻そうと思っているわけではないが」と話す。同市にある歴史研究機関の幹部は「学者や官僚がウラジオストクの領有権について持ち出すことはないが、不平等条約について教えられてきた多くの一般中国人はいつか取り返すべきだと信じている」と話した。
■ アイスで“蜜月”演出も
台湾やチベット、尖閣諸島や南シナ海などをめぐって歴代政権があおってきた領土ナショナリズムは、政権の思惑を超えロシアにも矛先が向かう。極東も「奪われた領土」だとの認識を多くの中国人が共有する。
9月に中国・杭州で行われた首脳会談でプーチン大統領は、習近平国家主席が好物というロシア製アイスクリームを贈ってまさに蜜月を演出した。中露はそれぞれクリミア半島や南シナ海などをめぐって欧米と対立し、対抗軸として連携を強める。
しかし極東の領土問題というパンドラの箱は何とか封印されている状況だ。ナショナリズムに火がつけば、アイスクリームなどいとも簡単に溶かしてしまうだろう。
http://www.sankei.com/west/news/161004/wst1610040001-n1.html>(以上)
吉田氏のコメントにありますように、旧満州(現東北3省)は満州族の土地であって、漢族の土地ではありません。英語でもManchuria(満州)、 Manchu (満州人)となっています。ソ連のフルシチョフもこのことは良く分かっていました。「古来中国の国境は、万里の長城を越えたことがない。もし神話を持ってきて理不尽な主張をするならば、それは宣戦布告である。」と言ったそうです。
http://blog.goo.ne.jp/minsuto2008/e/f24e6410325160389d6df922b9158207
デンゼルワシントン、メリルストリープの映画に“Manchurian Candidate”(日本名:クライシスオブ・アメリカ)というのがありましたが、「洗脳された人」という意味があるそうです。大清帝国を治めていた満州族は、当時の白人から見ると、簡単に洗脳されたのかも。
中国のマンパワーを利用した侵略は長野朗が力説しています。西尾幹二著『GHQ焚書図書開封7-戦前の日本人が見抜いた中国の本質-』のアマゾン書評欄のスワン氏記事に「アメリカの侵略は資本を押し立てて行われる「資本による侵略」であり、ロシアの侵略は「武力による領土侵略」であり、シナの展開は「民族移住的な侵略」である》(228ページ)」とあります。
また、英語のChinese Mandarin (中国語の標準語の意)は 満大人”man da ren”から来たという説もあります。
北野氏記事にありますように「ロシア人の発想は、領土は戦争によって変わるもの」というのは正しいでしょう。勿論、他には金で買うしかありませんが。日本人だけでしょう、余りに平和ボケしていて、要求すれば土地を返還してもらえると考えているのは。領土返還は、戦争か金かしかありません。勿論、香港返還の例もありますが、あれは租借契約を履行しただけのことです。
ルトワックのいう「北方領土」を脇に置きというのは出来ないでしょうが、戦略的に中国封じ込めが優先事項であることは言を俟ちません。やはり、二島返還+継続交渉ができれば良いかと。安倍首相は1月解散するとの新聞記事が賑わっていますが、ロシアと一気に平和条約までは行かないでしょう。ただ民進・蓮舫の二重国籍問題がありますから叩き潰すには早く解散した方が良いと思います。
記事
プーチンが12月に訪日することが決まり、日ロ関係が動いている。日本政府もロシア政府も、訪日時に成果を出すべく、活発に交渉していることだろう。日本側最大のテーマは「北方領土」だ。一方、経済危機まっただ中のロシアは、「経済協力」の大きな進展を期待する。今回は、北方領土問題の展望と、日ロ関係の現状と未来について考えてみよう。
「2島先行返還」か、「4島一括返還」か 悩ましい北方領土問題
9月23日付読売新聞に、「北方領土、2島返還が最低限…対露交渉で条件」と題した、とても興味深い記事が載った。引用してみよう(太線筆者、以下同じ)。
<政府は、ロシアとの北方領土問題の交渉で、歯舞群島、色丹島の2島引き渡しを最低条件とする方針を固めた。 平和条約締結の際、択捉、国後両島を含めた「4島の帰属」問題の解決を前提としない方向で検討している。安倍首相は11月にペルー、12月には地元・山口県でロシアのプーチン大統領と会談する。こうした方針でトップ交渉に臨み、領土問題を含む平和条約締結に道筋をつけたい考えだ。 複数の政府関係者が明らかにした。択捉、国後については日本に帰属するとの立場を堅持する。その上で、平和条約締結後の継続協議とし、自由訪問や共同経済活動などを行いながら、最終的な返還につなげる案などが浮上している。>
整理してみると、
1.歯舞群島、色丹島を引き渡してもらう。 2.平和条約を締結する。 3.択捉、国後については平和条約締結後に継続協議し、最終的返還を目指す。

「2島先行返還論」が浮上するなど、動きが出てきた北方領土問題。北方領土問題が日本にとって非常に重要な課題であることは間違いない。しかし、安倍総理は領土問題以上に、対中戦略に重きを置いた舵取りをすべきだ Photo:Kremlin/Sputnik/Reuters/AFLO
つまり、「まず歯舞、色丹を返してもらい、平和条約を締結」(あるいは、平和条約を締結し、歯舞、色丹を返してもらう)、「択捉、国後については、継続協議」。これは、鈴木宗男氏が主張している、「2島先行返還論」と同じだろう。
ちなみに菅官房長官は、この記事について「そうした事実はまったくない」と明確に否定している。しかし、読売新聞が、「複数の政府関係者が明らかにした」と書いているように、「日本が大きく譲歩する可能性がある」という話は、いろいろな方面から流れてきている。総理も「今までとは違うアプローチで解決を目指す」と言っている。「今まで」とは、「4島一括返還論」のことだろうから、「違うアプローチ」が、「2島先行返還論」だったとしても不思議ではない。
ところで、「4島一括返還」は、なぜ実現が難しいのだろうか?これを知るために、ロシア側が北方領土問題をどう捉えているか考えてみよう。
日本外務省のホームページには、以下のように説明されている。
・ソ連は、日ソ中立条約を破って対日参戦した。 ・ポツダム宣言受諾後の、1945年8月28日から9月5日までに、北方4島を占領した。
それで、日本側は「不法占拠だ!」と捉えているのだが、ロシア側の意識は、日本とまったく異なっている。ロシア人と話していて感じるのは、彼らには、「固有の領土」という言葉の意味がわからないということだ。
ロシア人が「北方領土は自国の土地」と単純に信じているのはなぜか?
なぜだろうか?ロシア人は、「領土というのは、戦争のたびに変わるもの」という意識なのだ。これは、おそらくロシアの歴史と深く関わっている。ロシアの起源は、882年頃に成立したキエフ大公国だ。首都はキエフだったが、現在はウクライナの首都になっている。ロシアの起源である都市が、外国にあることに注目だ。
キエフ大公国は1240年、モンゴルによって滅ぼされた。その後、モスクワ大公国(1263年~1547年)→ロシア・ツァーリ国(1547年~1721年)→ロシア帝国(1721年~1917年)と発展した。このように、ロシアは東西南北を征服して領土をひろげ、ついに極東にまで到達した。
つまり、ロシア領のほとんどは、歴史的に繰り返された領土争いによって獲得した「征服した土地」で、いわゆる「固有の領土」は、比率的にとても小さい。
こういう歴史を持つロシアに、「固有の領土だから返してくれ!」と言っても、「固有の領土とは何ですか?」と逆に質問されてしまう。だから、北方領土について、「ロシア(ソ連)は日本に戦争で勝った。結果、北方4島はロシア(ソ連)の領土になった」という意識なのだ。
インテリになると、もっと論理が緻密になる。
「1875年、樺太・千島交換条約で、樺太はロシア領、千島は日本領と決められた。ところが日ロ戦争の後、勝った日本は南樺太を奪った。ロシアが、南樺太を返してくれと言い続けていたら、日本は返還してくれただろうか?」と質問をされることがある。
筆者は、「返さなかっただろう」と正直に答える。
さらに、「日本は、日清戦争で勝って台湾を奪ったが、清が返せと主張し続けたら、返しただろうか?」と続ける。筆者は、「返さなかっただろう」とまた答える。
すると、ロシアのインテリは「日本は戦争に勝って奪った領土を、話し合いでは返さない。しかし、自分が負けた時は、『固有の領土だから返せ!』という。フェアじゃないよね」と言う。
日ソ中立条約を破った件や、ポツダム宣言受諾後に北方4島を占領した件については、「1945年2月のヤルタ会談で決められたこと。米英も承認している」とかわされる。つまり、ロシアは「米英がソ連の参戦を要求した。その見返りとして、南樺太、千島はソ連領になることを認めた」ということで、まったく「悪いことをした」という意識がないのだ(ちなみに日本は、北方4島は千島ではないという立場を取っている)。
「2島返還」実現のハードルは低いがその後の方向性が難問に
こういう歴史的国民意識がある中で、いくら親日プーチンでも、「4島一括返還」は厳しいといわざるを得ない。
しかもロシアは現在、「経済制裁」「原油価格暴落」「ルーブル暴落」の三重苦で苦しんでいる。プーチンの支持率は、依然として高い。与党「統一ロシア」は、9月18日の下院選挙で大勝した。しかし、経済危機が長期になれば、プーチンも安心していられない。このような状況下で、「4島返還」を発表すれば、プーチン人気が急落し、政権の安定が崩れるかもしれない。
政治的にも4島返還は、簡単ではないのだ。
では、「2島先行返還論」は、実現可能なのだろうか?実をいうと、「2島返還」は、「法的基盤」があるので、両首脳が決断すれば実現は可能だ。
「法的基盤」とはなんだろうか?1956年の「日ソ共同宣言」のことだ。
日ソ共同宣言の内容を簡単に書くと、「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」である。この宣言は、日ソ両国の国会で批准されており、「法的拘束力」をもっている。そして、日ソ共同宣言については、ロシアでも広く知られている。
つまり、プーチンがこれを根拠に2島を返還しても、大きな反対運動は起こらない。しかし、「2島返還」には、問題もある。2島返還後のことだ。
日本は、返還対象外の残り2島について、「継続協議」としている。これが、「先行返還」(=先に2島を返してもらい、後で残りの2島を返してもらう)の意味だ。ところが、ロシアは、「2島返還」で「画定」したい。つまり、歯舞、色丹は日本領、択捉、国後はロシア領で最終決着し、後々話を蒸し返さないつもりだ。
ロシア側は、ここ数十年間「北方領土の話しかしない」日本に正直うんざりしている。4島返すにしても2島返すにしても、現状からすると、ロシアに「大損」だからだ。
日本の主張する「2島先行返還論」を認めると、これからも永遠に、「択捉、国後をいつ返してくれますか?と言われ続ける」と考えている。ところが、日本側は2島で終わりにすることができない。
ロシアとの平和条約締結は、「歴史的」だが、それが善か悪かは、わからない。
「2島先行返還」なら、2島取り戻したことで、安倍総理は「歴史的偉業」を成し遂げたと賞賛される可能性がある。しかし、2島返還で「終わり」であれば、残り2島を切り捨てたことで、逆に、「国賊」と批判されるリスクもある。この辺をどう調整するのだろうか?
ロシアは国民に、「最終決着しました」と説明し、日本政府は国民に、「2島は取り戻しました。残り2島は継続協議です」と言うのだろうか?
このように2島返還は、「日ソ共同宣言」という「法的根拠」があるので、実現は可能だ。しかし、大きな問題を残したままとなる手法なのだ。
日本がロシアと和解する最大の理由は「対中国」であることを忘れるな
これまで何度も書いてきたが、日本がロシアと和解しなければならないのは、「安全保障上の理由」があるからである。「安全保障上の理由」とは、はっきりいえば、「対中国」だ。
筆者は、2008年から「尖閣諸島から対立が起こり、日中が戦争になる可能性がある」と書いてきた。日中関係はその後、「尖閣中国漁船衝突事件」(10年9月)、「尖閣国有化」(12年9月)などで「戦後最悪」になってしまった。
12年11月、中国はモスクワで、「反日統一共同戦線」戦略を、ロシアと韓国に提案した。いつも書いているが、戦略の骨子は、
1.中国、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくる。 2.中ロ韓で、日本の領土要求を断念させる。日本には、尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない。 3.米国を「反日統一共同戦線」に引き入れる。 (詳細はこちらの記事を参照)
中国は以後、全世界で大々的に反日プロパガンダを続けている(それで、安倍総理が13年12月に靖国参拝した際、中韓だけでなく、米欧ロ豪、台湾、までがこれを非難した)。さらに軍事的挑発を徐々にエスカレートさせ、領海、領空侵犯を常態化させている。今年8月、中国公船15隻と漁船400隻が尖閣周辺の海域に集結したことは、日本国民に衝撃を与えた。
筆者が08年に「日中戦争」の可能性を書いたとき、「妄想」だと言われたが、今では普通に「あるかもしれないですね」と言われる。そして、日本の領土をあからさまに狙う中国は、すでにGDPで日本の2.5倍、軍事費で8倍の大国である(世界銀行のデータによると、日本の防衛費は15年470億ドル、中国は3858億ドル)。
つまり、日本一国で中国に勝つのは、非常に難しい。では、同盟国の米国はどうなのか?トランプは、「日本がもっと金を出さなければ、米軍を日本から撤退させる」と宣言している。ヒラリーは、長年中国から金をもらっていたことが明らかになっている(詳細はこちら)。 一方、ロシアは「クリミア併合」時、「唯一味方になってくれた」ということで、中国とは事実上の同盟関係になっている。
北方領土問題の最善策は「棚上げ」である理由
つまり、現状は以下のように整理される。
1.中国は、はっきりと尖閣・沖縄を狙っている。 2.米国は、トランプ、ヒラリーどちらも親日ではない。 3.ロシアは、中国と事実上の同盟関係にある。
このような状況がさらに悪化すれば、日本vs中国・ロシアの戦争に発展しかねない。その場合、米国は中ロを非難する声明を出すが、事実上は不干渉を貫くかもしれない。そうなれば尖閣は中国領になり、沖縄も危険な状態になってくる。
こういう緊迫した現状で、北方領土問題の解決は、(重要ではあるが)「最優先課題」ではありえない。
では何が「最優先課題」なのか?まず第1に、米国との関係をますます強固にすることだ。これは、ヒラリー、トランプ、どちらが大統領になってもやらなければならない。
第2に、ロシアとの関係を強化し、結果的に中ロを分裂させることだ。そのためには、ロシアの望むもの(=経済協力)を与えなければならない。しかし、ロシアに対し「慈善事業をしろ」といっているわけではない。「長期的に良好な関係を築こう」とすれば、「WIN-WIN」になれる案件を発展させる必要がある。
ちなみに世界一の戦略家エドワード・ルトワックは、北方領土問題について、著書「自滅する中国」の中で、こう書いている。
<日本政府が戦略的に必要な事態を本気で受け入れるつもりがあるならば、北方領土問題を脇に置き、無益な抗議を行わず、ロシア極東地域での日本の活動をこれ以上制限するのをやめるべきだ。 このこと自体が、同地域での中国人の活動を防ぐことになるし、ロシアが反中同盟に参加するための強力なインセンティブにもなるからだ。>(192p)
このように、ルトワックは、北方領土問題の「棚上げ」を勧めている。
もちろん、「2島先行返還論」をロシアが受け入れれば、それでもよいだろう。しかしロシア側が妥協するしないにかかわらず、ロシアが望む経済協力は推進していくべきだ。総理は、「日ロ関係深化は、対中国」という「大戦略観」を常に忘れないでいただきたい。
「北方領土返還実現」は確かに「歴史的」だが、「戦わずして、中国の戦略を無効化させる」ことは、真の意味で「歴史的」である。
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『極右政党党首が初の女性仏大統領になる確率は?「反欧州」「反移民」を掲げるマリーヌ・ルペン』(10/3JBプレス 山口昌子)について
「士気の集い」主催の山口氏の講演を昨年1月に聞きました。マリーヌ・ルペンをもはっきり人種差別主義者だと言っていました。父親と違い、党を華麗なる変身させたけれども、中身は変わっていないという思いだったのでしょうか。でもヨーロッパで極右政党と呼ばれているのは「反移民・反EU」なだけなのではと感じています。メデイアの人間が偏っていて、上から目線で国民を領導すると思っているだけなのでは。国民感情から遊離しています。
要はグローバリズムとナショナリズムの戦いでしょう。確かに国民国家ができた歴史は長くはありませんが、近年世界を覆ってきたグローバリズムの限界が見えてきたと思います。カネ・モノ・情報の自由な移動は国際分業の観点から言っても、奨励されるところでしょうけど、ヒトは感情があり、言語や環境によって違った受け止め方をすると気があります。同じ日本人同士でもそうなんですから、外国人であれば猶更です。
トランプの大統領選での躍進、英国のEUの離脱、独国の地方選でのAfDの第二党躍進、ハンガリーの国民投票で投票率50%以上の規定に及びませんでしたが98%も難民受入反対という結果になりました。多文化共生といって宗教や言語、発想法の違う人々を安易に受け入れれば必ずや摩擦は起きます。敵はそれを狙って来る訳です。チャインタウンやコリアタウンなどは治外法権になってしまいます。世界の潮流はグローバリズムでなく、「国民自決主義」と言えるのでは。
日本も在日問題を抱え、かつ中国人が日本にドンドン入り込んできています。中国韓国とも日本の敵国です。世界遺産に南京虐殺やら従軍慰安婦を登録しようとしている国です。丹東の歴史博物館には「北朝鮮に攻め込んだのは南鮮と米国」と嘘のプロパガンダを臆面もなく飾れる国です。日本の役人の馬鹿な所は、農業にも外国人を受け入れしようとしている所です。来るのは敵国の中韓人になるでしょう。スパイや工作員も当然紛れ込むでしょう。今でも大学等で反日活動に勤しんでいる中韓人がいるというのに。農業法人を積極的に認めていけば良いだけのこと。農民を守るのでなく、農業を守ればよいだけでしょう。今や有事を前提に政策を考えて行かなければならないのに、この緊張感のなさは何でしょう。
記事

国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首(2015年12月13日撮影)。(c)AFP/DENIS CHARLET 〔AFPBB News〕
米国の大統領選は最終コーナーを回って最後の直線コースに入り、米国初の女性大統領が誕生する可能性が高まってきた。では、2017年春のフランスの大統領選で女性大統領が誕生する可能性はあるだろうか。
最新の各種世論調査によると、極右政党「国民戦線」(FN)の女性党首、マリーヌ・ルペン氏が決戦投票に進出する可能性が高い。大統領の椅子は決戦投票に進出した上位2人によって争われる。
右派政党「共和党」(LR)では、11月20日、27日に予備選を実施して、7人の大統領選立候補者の中から公認候補を選出する。各種世論調査によるとアラン・ジュペ元首相が目下のところ優勢だが、LRの党員だけを対象にした調査では党首のニコラ・サルコジ前大統領が優勢である。
複数の世論調査では、ルペン氏、ジュペ氏、サルコジ氏の中で今のところジュペ氏の支持率が最も高い。次いでルペン氏、サルコジ氏と続く。ルペン氏は決戦投票の相手として、サルコジ氏が相手なら「十分に勝ち目がある」(FN幹部)と見ている。
党の本質は相変わらず排外主義的
FNは、マリーヌ・ルペン氏の父親であるジャンマリ・ルペン氏が1972年に立ち上げた政党である。ジャンマリ氏が党首だった時代は、ナチスによるユダヤ人大虐殺を「歴史の些細な事件」と言い放つなど、徹底的な反ユダヤ主義、外人排斥、人種差別を標榜していた。
ところが、三女のマリーヌ氏が2011年に党首に就任してから、FNは路線を変更する。テロや難民の増大を背景に、「シェンゲン協定」(ヨーロッパの国家間を国境検査なしで行き来することを許可する協定)や単一通貨「ユーロ」圏からの脱退を主張するなど、「反欧州」や「反移民」を全面的に打ち出すことで、人種差別的な“危険な政党”“悪魔の政党”のイメージから脱却した。
ただし、排外主義的な党の本質は変わっていない。
FNはバカンス明けの8月半ばに南仏フレジュス市で党のセミナー(一種の親睦大会)を開催した。ルペン氏は約5000人の支持者を前に、大統領選に向けての実質的なキャンペーン第一声を発した。
その演説の中でルペン氏は、「フランス人」とは「フランス国への愛、フランス語やフランス文化への愛着によって一致団結している何百万もの男女」であると定義。フランス国民でありながらフランス語の習得を嫌い、イスラム教徒の風俗習慣に固執するイスラム(アラブ)系フランス人を暗に非難した。
ちなみに、このセミナーでルペン氏は、大統領選の選挙キャンペーン隊長に弱冠28歳のダヴィット・ラクリーヌ氏を任命している。
ラクリーヌ氏の祖父は、ウクライナからのユダヤ系移民である。だがルペン氏はラクリーヌ氏を「若くて働き者で、才覚があり、忠実」と絶賛し、信頼を寄せている。
ラクリーヌ氏は15歳の時にFNに入党し、2014年に26歳の若さでフレジュス市長に選出された。第5共和制下で史上最年少の市長である。次いで、南仏ヴァル地方選出の上院議員にも当選した(フランスは公職を2つまで兼任できる)。
この夏、ラクリーヌ氏はフレジュス市長としてイスラム教徒の女性の水着「ブルキニ」の着用を真っ先に禁止し、フランス中の注目を浴びた。禁止を無効とする裁判所の決定が出たが、他の3人の市長とともに、現在係争中である。
決選投票でルペン氏が勝つ見込みは?
FNが大統領選の決戦投票に進出するのは、今回が初めてではない。2002年の大統領選では父親のジャンマリ氏が大方の予想を裏切って、1回目の投票で社会党のリオネル・ジョスパン首相(当時)を破り、シラク大統領(当時)とともに2回投票に進出した。
治安悪化、高失業率を背景に「諸悪の根源は移民や移民2世、3世にある」と強調し、当時の政権の寛容な政策を糾弾したのが勝因だった(ただし、決戦投票では、「自由、平等、博愛」を謳うフランス共和国の旗の下、社会党から共産党、緑の党
までがシラク氏に投票。約82%の投票率でシラク氏が圧勝した)。
今回、ルペン氏が決戦投票に進出した場合、勝利の見込みはあるのか。
各種世論調査の結果では、LRのジュペ氏が勝利するだろうとの予測が出ている。また、サルコジ氏が予備選で選出された場合はサルコジ氏が微差で勝利するとの予測が多い。だが、サルコジ氏は大統領時代の係争事件などのマイナス要素を抱えているため、予断を許さない。
来年、アメリカとフランスの大統領が2人とも女性になることはあり得るのか。世界の注目が集まっている。
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