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『西太平洋に米空母、牽制の相手は北朝鮮だけではない 実は翳りが見えてきた空母の威圧力』(11/2JBプレス 北村淳)について
11/4中国観察<習近平火速削藩 港媒:第二中央欲逼宮 阿波羅網=習近平は(軍事委員会と国務院(事実上は中央政法委員会)の共管になっている)武警を中央軍事委員会の下に置くことを明確にした、香港メデイアは(江沢民が創った私家軍としての武警が)第二の中央権力となり習の退位を願っている。>薄熙来、王立軍、周永康が考えていたようなクーデターを未然に防ぐ狙いでしょう。孫政才もこれに加担したのかどうか分かりませんが、吉林省書記時代に武警を動かし、米国瀋陽領事館に逃げ込もうとし第二の王立軍になりそうだった劉培柱・省公安庁副庁長を逮捕したのが、出世の目を潰した可能性もあると。
11/2South China Morning Post<Taiwan should be wary of the poisoned chalice of military exchanges with the US
Zhou Bo says China can be expected to react strongly if military exchanges are approved in a US defence budget now being considered, undercutting Sino-US cooperation in other matters and putting Taiwan at risk of Beijing’s retaliation
台湾は米国との軍事交流の毒杯の危険性を心配すべき
周博(?)は、「もし米軍の軍事交流予算が上程され、認められれば、中国は強烈な反応を引き起こせる。他のことで米中協力をなくし、台湾を北京の報復に晒すことになるだろう」と言った。>サウスチャイナ・モーニング・ポストは香港紙でありますが、2015年にアリババに買収されましたので、当然中国政府の意向を踏まえた論調になります。中国に対して善意とか譲歩とかはあり得ません。朝鮮半島同様、つけあがらすだけです。サラミ・スライス戦略で少しずつ実績を作ってくるからです。尖閣を見ていれば分かるでしょう。中国が何を言おうとも、米国は怯まずに台湾への寄港を推し進めるべきです。
11/2AFP<米イージス艦の衝突事故、「回避可能」だった 報告書を公表>。「リーダーシップの欠如や、太平洋での頻繁な艦船の展開で乗組員らがストレス下に置かれていたことが原因」とのこと、やはり北朝鮮に振り回された形です。まあ、北村氏記事にありますように、強い米軍の姿を中国に見せつけなければいけないときに気が緩んでいるとしか言えませんが。
http://www.afpbb.com/articles/-/3149053?pid=19516813
北村氏記事を読みますと、やはり中国が力を付ける前に叩きのめすしかないのでは。金融制裁と海上封鎖が有効と思われます。
11/4中国観察<川普亞洲行 丹東銀行突傳被美剔除金融體系(圖) 看中国=トランプのアジア訪問で、丹東銀行は米国の金融システムから除外されると急に伝達>中国に弱い米国財務省が正式に丹東銀行を米国の金融システムから除外することを発表したとのことです。今度の
トランプ・習会談で「きちんと北を押さえつけなければ、第二弾、第三弾が待っているぞ」との取引材料にするつもりでしょう。
記事

米バージニア州のノーフォーク海軍基地で行われた次世代型新空母「ジェラルド・R・フォード」の就役式で演説するドナルド・トランプ大統領(左、2017年7月22日撮影、資料写真)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News〕
10月24日、アメリカ海軍原子力航空母艦「ロナルド・レーガン」(CVN-76)を旗艦とする第5空母打撃群と、原子力空母「セオドア・ルーズベルト」(CVN-71)を旗艦とする第9空母打撃群が西太平洋に姿を現した(第5空母打撃群は10月19日より米韓合同演習に参加し日本海に展開していた)。
そして、アラビア海での作戦が終了した原子力空母「ニミッツ」(CVN-68)を旗艦とする第11空母打撃群も、10月25日、インド洋の第7艦隊担当海域に入り朝鮮半島周辺海域を目指している。
トランプ大統領の日本・韓国・中国訪問とオーバーラップして、これら3セットの空母打撃群が参加しての海軍演習が実施される。
このように3セットの空母打撃群(空母3隻、巡洋艦3隻、駆逐艦10隻、おそらく攻撃原潜3隻)が日本周辺海域に同時に姿を見せるのは極めて珍しい。
ちなみに、3セットの空母打撃群が参加する演習は、2007年にグアム島周辺海域で実施された「Exercise Valiant Shield」以来である。そのため、「トランプ大統領の極東訪問後には、いよいよ米軍の北朝鮮に対する軍事攻撃が秒読み段階に入るのだろう。だから多数の空母を展開させて先制攻撃態勢を固めつつあるのだ」といった推測がなされている。

空母ロナルド・レーガン(写真:米海軍)

空母セオドア・ルーズベルトと空母打撃群戦闘艦(写真:米海軍)

空母ニミッツ(写真:米海軍)
空母打撃群の持つ強力な攻撃力
北朝鮮を巡る軍事情勢が緊迫化を深めているこの時期に、朝鮮半島に近接する海域に3隻もの空母とそれに随伴する巡洋艦や駆逐艦を多数展開させることは、北朝鮮に対する軍事的威嚇と考えられないわけではない。
それぞれの空母には36~48機(作戦によって変更される)の戦闘攻撃機を含む合わせて80機以上の航空機(電子戦機、早期警戒機、汎用ヘリコプター、救難ヘリコプターなど)が搭載されている。それらの艦載機の戦力は強大で、航空機だけの戦闘を想定するならば、3隻の空母に積載された航空戦力は北朝鮮空軍など全く歯が立たないレベルである。
また、空母打撃群を構成するそれぞれの巡洋艦や駆逐艦にも、北朝鮮領内を精密攻撃するトマホーク巡航ミサイルを装填することができる。それら10隻の軍艦から合わせて300発以上のトマホークミサイル攻撃が可能だ。
さらに、空母打撃群の周辺海域海中の攻撃原潜(トマホークミサイル装填可能)や巡航ミサイル原潜(1隻あたり154発のトマホークミサイルを搭載)からもトマホークミサイルによる攻撃が可能である。
北朝鮮に対する先制攻撃の要件とは
北朝鮮への米軍による先制攻撃の最大の軍事目的は、「第一波攻撃で北朝鮮の各種弾道ミサイル発射能力の大半を壊滅させること」である。この目的を達さないと、韓国や日本に対する報復攻撃として多数の弾道ミサイルが発射され、たとえそれらには核弾頭や化学弾頭それに生物兵器弾頭が搭載されていなくとも、韓国や日本は甚大な人的物的損害を被ることになる。
しかし、北朝鮮軍の弾道ミサイルのほとんどが、地上移動式発射装置(TEL)から発射される形式に近代化されてしまっている。そして、TELを発見して攻撃することは極めて困難であるうえ、北朝鮮軍のTEL(少なくとも200輛以上と考えられる)はミサイル発射の直前まで地下施設や洞窟式格納施設に潜んでいるため、配置場所を特定することは至難の業である。
もっとも、もしTELが潜んでいる洞窟施設や地下施設の移置を確定することができたとしても、通常の爆弾や対地攻撃用ミサイルでそれらの施設に潜んでいるTELを破壊することはできない。このような場合には、地中貫通爆弾(バンカーバスター:GBU-28)あるいはさらに強力な大型貫通爆弾(MOP:GBU-57)による攻撃が必要だ。
しかしながら、空母に艦載されている戦闘攻撃機(F/A-18ホーネット、F/A-18E/Fスーパーホーネット)にはこれらの地中貫通爆弾は搭載できない。そのため、空母航空戦力による先制攻撃で、北朝鮮軍の弾道ミサイル報復能力を壊滅させることはできない。

スーパーホーネット戦闘攻撃機(写真:Boeing社)
すなわち、たとえ3セットの空母打撃群が朝鮮半島周辺海域に接近していても、それだけでは先制攻撃は不可能である。
そこで、GBU-57やGBU-28を搭載したB-2ステルス爆撃機、B-52戦略爆撃機、それにF-15E戦闘攻撃機(いずれも地上航空基地から発進する)の準備・展開状況により攻撃態勢が差し迫っているか否かが判断されることになる。

B-52爆撃機から投下されたGBU-57(白い物体)(写真:国防総省)
狙いは中国への外交的メッセージ
とりあえずは先制攻撃の準備ではない(状況の変化に応じて、先制攻撃態勢へと移行する場合はありうる)とするならば、このように3セットもの空母打撃群を展開させる目的は何か。
それは、北朝鮮だけでなく中国に対しても「アメリカの強大な海軍力を再確認させる」という外交的メッセージということになろう。
アメリカ太平洋艦隊は2017年に入ってから立て続けに4件もの大きな事故を起こし、17名もの犠牲者を出してしまっている(本コラム2017年10月19日、8月31日)。それに対して、中国海軍関係者などからは「アメリカ海軍が極東海域をウロウロしているだけで周辺の船舶に迷惑をかけているのだから、とっとと消え失せろ」などといった声まで上がっている始末だ。そのうえ、習近平体制が強化され、南シナ海や東シナ海への中国海洋戦力の侵出がますます加速されることが確実となっている。
とはいえ、いくら“日の出の勢い”の中国海軍も、アメリカ海軍が誇る空母打撃群に相当する海軍投射戦力まではいまだに手にしてはいない。その強力な空母打撃群を3セットも極東海域に繰り出すことによって、「アメリカ太平洋艦隊は健在である」というメッセージを示し、外交的に威圧しておこうというのがアメリカ側の狙いである。
翳りが見えてきた空母の威圧力
ただし、過去半世紀にわたり、自他共に世界最強とみなされてきた米海軍空母打撃群(かつては空母戦闘群と呼んでいた)の地位も、決して安泰とはいえなくなってきている。
たしかにこれまでは、アメリカ軍が臨戦態勢を完成させ攻撃開始をする目安は空母の展開状況で判断されていた。たとえば、湾岸戦争には原子力空母1隻と通常動力空母5隻(いずれも大型空母)が出動し、イラク戦争には原子力空母4隻と通常動力空母2隻が出動した。しかしながら上記のように、北朝鮮に対する先制攻撃は空母打撃群だけでは判断することができなくなっている。
それ以上に米海軍にとって問題なのは、軍事強国の途を突き進んでいる中国は、米海軍空母打撃群をそれほど恐れなくなりつつあるという事実である。
中国にとっての「中米対決仮想戦域」は南シナ海と東シナ海である。対艦弾道ミサイルをも含んだ各種対艦ミサイルをずらりと揃えた中国人民解放軍は、その戦域に入り込んでくる米海軍空母打撃群を「叩きのめす」態勢を着々と整えつつあるのだ。アメリカ海軍関係者の中からも、中国の接近阻止戦略の進捗状況に鑑みると、少なくとも中国に対しては「空母打撃群による威圧」は過去のものとなりつつある、という声が上がっている。
米海軍はオバマ大統領の大幅な軍事予算削減のあおりで、艦艇のメンテナンス能力も低下しており、10隻の原子力空母のうち、現在作戦可能なのは、極東海域に出動中の3隻だけである。逼迫した予算の下で“かなり無理をしながら”展開させたそれら3隻の原子力空母が、北朝鮮や中国に対してアメリカ側が期待するような威圧効果を発揮できるかどうかは、微妙なところである。
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『習近平「独裁」への勝利と妥協…党人事を読む 「5年後」に向け、共青団派との闘争は激化必至』(11/1日経ビジネスオンライン 福島香織)について
中国の高級幹部は身長の高さと頭髪の黒くふさふさとしているのを大事にすると河添恵子氏は言っていました。当然、今のチャイナ7もそうです。増毛しているそうで。
11/1中国観察<七常委罕見赴上海參觀 釋強烈信號(圖) 看中国=チャイナ7全員で上海・嘉興を参観したのはめったに見られないこと。強力な合図を送ったと説明できる>習派の上海市書記・李強を助け、上海幇(江派)を無力化したのを見せつけるためのようです。1921年、コミンテルンの指導の下、上海の現在の新天地地区で中共第1回全国代表大会が開かれました。そこはフランス租界であった為、仏租界警察が踏み込む前に間一髪で逃れ、浙江省嘉興の南湖に会場を移し、そこで陳独秀が総書記に選ばれました。下のレリーフでどの顔が陳独秀かは分かりません。


王滬寧は江沢民・胡錦濤・習近平と三代に亘って仕えているスピーチライターとの触れ込みですが、河添恵子氏に依れば、彼は情報機関に属し、3回も政略結婚をしているとのこと。単なる学者ではないようです。福島氏は共青団のエリートを買っているようですが、お公家集団に軍のコントロールは出来ないのでは。却って危ない気がします。習も軍の経験がありませんけど、頭で考えるタイプではないですから、軍も共青団よりは習の言うことを聞きやすいと思います。北の問題を解決した後に日米豪印で中国を封じ込めれば、人民解放軍には暴発させないようにするのではないかと淡い期待を持っています。習の方が強面ですから日本人に防衛努力を気付かせてくれると思っています。
10/27新唐人TV<中国共産党大会後の米中朝関係の行方>国益センター国防研究主任ハリー・カジアニス氏:「アジアにおけるアメリカと中国の利益の多くは一致していません。協力しなければどうなるか、中国に圧力をかける方法はいくらでもあります。」と述べています。特亜3国は平気で嘘をつくし、騙す、裏切りは当り前と思った方が良いです。厳しくチエックしませんと、口実を作ってノラリクラリ引き延ばされます。中国に経済制裁・金融制裁をかけて、中共を崩壊させるのが世界平和の為です。
小林敏明著『夏目漱石と西田幾多郎』のP.168には漱石が「余は支那人や朝鮮人に生れなくって、まあ善かったと思った」と出てきます。『韓満所感』(1909年)という夏目漱石の随筆の中で述べられています。Wikiに依れば次の通り。漱石の生きた時代から特亜3国は憐れむべき存在だったという事です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E6%BA%80%E6%89%80%E6%84%9F
記事

第19回党大会で選ばれた中枢7人。習近平主席(中央)の独裁が確立されるのか。新たな5年闘争が始まった(写真:AP/アフロ)
第19回党大会が10月24日に終わり、25日の一中全会(第一回中央委員会全体会議)で人事と党規約の改正が承認された。翌日の中国各紙の一面は、判で押したように、習近平の撮影用メークアップを施したつややかなポートレートを一面に大きく掲載。その他の政治局委員とは格が違うのだよ、と視覚的に訴えた。
鄧小平の打ち立てた集団指導体制「書記は委員の一員であり上下関係はない。書記は党の委員会の中で平等な一員である」という1980年以来の規定を、習近平は時代は変わったのだ、と言わんばかりの態度で否定したわけだ。
だが、今回の党大会が習近平の思惑通りに進み、その長期独裁体制確立の基盤を整えた、と判断するには時期尚早のような気がする。もちろん、今回の党大会で習近平一強体制は大きく前進した。だが、そう見える背後に、かなり激しい闘争の痕跡と、そして今後の闘争の激しさを暗示する材料もある。今党大会における習近平の勝利と妥協を分析してみよう。
過半数を押さえ、後継者候補を置かず
勝利といえる点は、共産党中央委員のヒエラルキーの上部組織・政治局25人の顔ぶれの中に、明らかに習近平に従順、忠実な習近平派とみなせる人間が14人前後いることだ。つまり過半数が習近平派である。また中央委員会メンバー204人も引退年齢(68歳)に達していない共青団派メンバー、例えば李源潮や劉奇葆らが退任し、およそ6割が入れ替えられた。その多くが習近平におもねる政治家たちであった。これで、政治局会議、あるいは政治局拡大会議、中央委員会全体会議で習近平が、たとえば経済政策や外交などの失策で責任を問われて突然総書記職を解任される、といった可能性はなくなった。
実は習近平はそれを恐れていた。共産党の権力闘争史では、こうした会議の場での政敵による多数派工作で権力の座から引きずり降ろされる解任劇はよくあった。華国鋒も胡耀邦も、旧ソ連のフルシチョフもそれで失脚した。
さらに政治局常務委員会という共産党中央の最上部組織、最高指導部7人のメンバーには、習近平が最も恐れる男が入らなかった。広東省委書記であり政治局委員を5年務めた習近平より10歳若い共青団派のエース、胡春華である。
これにより、最高指導部が後継者候補2人を指名し、政治局常務委員会入りさせ、その2人を競わせる形で指導者として育成するという慣例が破られ、習近平政権は後継者未定のままで、2期目に入ったわけである。習近平としては、後継者がいないという口実によって、自分が3期目も総書記・国家主席を継続して、党政・国政の主導権を握り続け、長期独裁体制を確立できる可能性が広がった。胡春華が政治局常務委員会入りできなかったことは、習近平の第19回党大会までの権力闘争における一つの大きな成果であったといえる。
胡春華は胡錦涛政権時代に元重慶市委書記の孫政才とともに見いだされて、2人セットで後継者育成コースにのっていた。習近平は、この胡錦涛政権時代に選ばれた後継者候補をなんとか失脚させようと画策しており、その結果、孫政才は失脚。その代わりに、習近平自身の選んだ陳敏爾(重慶市委書記)を後継者候補に促成栽培しようとした。
私の仄聞したところでは、胡春華を政治局常務委員会に入れようとする共青団派に対して、習近平は陳敏爾も一緒に後継者として政治局常務委員会入りさせることを北戴河会議で内定させたという。
だが、習近平としては、陳敏爾を胡春華よりも序列上位につけることにこだわった。そうすれば、たとえ習近平の3期目任期継続の野望が阻まれたとしても、次善の策として、陳敏爾に総書記の座をゆずり、実力も経験も不足している陳敏爾を補佐するという形で、鄧小平のように院政を敷く道が開ける。だが、地方の行政経験も短く、政治局委員ですらない実力不足の陳敏爾を政治局常務委員会に入れ、なおかつ胡春華よりも序列上位につけることへの党中央の抵抗は強く、今の習近平の権力基盤ではこの抵抗を無視することはかなわなかった。
直接対決避けた胡春華、勝負は5年先
党大会直前の最後の人事の攻防の場であった七中全会(第18期中央委員会第七回全体会議)では陳敏爾の政治局常務委員会入りは見送られる公算になった。だが、陳敏爾が政治局常務委員会に入れず、胡春華だけが政治局常務委入りさせることも共青団派としてはリスクが高かった。
胡春華は外部ではあまり知名度はないが、党内では期待の星である。胡春華が政治局常務委入りすれば、おのずと習近平VS胡春華の直接対決構図がクローズアップされる。陳敏爾が一緒であれば、陳敏爾VS胡春華が牽制しあう形になるが、さすがに習近平との直接全面対決では、胡春華がつぶされる可能性が高い。用心深い胡春華は、体調不良などを理由に政治局常務委入りを辞退し、習近平との全面戦争を回避した、という。
だが、胡春華は失脚したわけでなく、実力を蓄えたまま政治局委員を2期続けることになる。5年後は59歳、まさしく習近平が総書記になった年齢。その時、引退年齢に達した習近平が、胡春華の台頭を抑えることができるかどうかは、今後の5年の闘争の結果による。後継問題は解決したわけではなく、少し先送りになっただけともいえる。その意味で、習近平の完全勝利ではない。
政治局常務委員会入りしたのは、習近平、李克強、栗戦書、汪洋、王滬寧、趙楽際、韓正。第18期に引き続いて残留したのは習近平、李克強で、張徳江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗の5人は定年68歳に達していたので引退した。
この5人のうち、王岐山は習近平政権1期目において、党中央規律検査委員会書記として反腐敗キャンペーンの陣頭指揮を執り、習近平政権を支えた最大功労者だ。習近平にとってみれば、数少ない実力をともなった“盟友”ということで、本人が引退を言い出したときに定年を無視して残留を望んだともいわれている。王岐山の残留は、習近平が第20回党大会時に定年を超えて3期目の総書記職を継続するための先例になるという期待があった。王岐山の実力は、これまでの不文律を無視できるほどの説得力があった。
だが、その王岐山は引退した。つまり定年制度は、どんなに実力があっても例外を認めず徹底される、ということが現段階でむしろ確認された格好だ。これは、習近平の思惑が外れた、というふうに見えるかもしれない。汚職疑惑が米国メディアらに取り上げられはじめている王岐山が留任すればしたで、習近平にとってはリスクになったかもしれないので、この妥協はむしろ習近平の慎重な選択ともいえる。
ただ胡春華の政治局常務委入りを阻止し、なおかつ定年制の例外を認めて王岐山が残留すれば、これは確実に習近平の定年を超えた任期継続の布石になっただろう。そうはできなかったという意味では、これも習近平が完全勝利でないといえる要因の一つだ。
残留したのは習近平と李克強の2人だけで、この2人は第19期も引き続き国家主席、首相を務めることになる。新しく入ったメンバーを見てみると、習近平派と呼べるのは習近平本人のほか、栗戦書、趙楽際の3人。共青団派と呼べるのは李克強、汪洋の2人。韓正は唯一の上海閥だが、アンチ習近平派という意味では、共青団と同じ立場だろう。王滬寧は無派閥ということになるが、今は習近平の指導思想を支えるスピーチライターだ。そう考えると、最高指導部内の権力バランスは若干の習近平有利と言えるが、圧倒的に有利というわけではなく、今後5年、依然として激しい権力闘争が継続する可能性を残したと考えたほうがよいだろう。
「反腐敗」は栗戦書ではなく趙楽際に
新たに政治局常務委入りしたメンバーで注目すべきは、栗戦書だ。習近平の側近であり、「習近平半径5メートルの男」と呼ばれるほど、いつも習近平に寄り添っている習近平派の中心人物。非常に有能だが習近平より3歳年上であり、習近平の後継者にはなりえない。また実は共青団派とも深い関係があり、権力闘争においては非情になり切れない人情家の面もある。
彼は本来、王岐山が退任すれば中央規律検査委員会書記を継いで、習近平路線の最大の推進力である反腐敗キャンペーン(という名の政敵排除)を担うことを期待されていたが結局、その任務を外された。それはひょっとすると、栗戦書の人情家の部分が、非情な習近平にそこまで信頼されていない、ということかもしれない。もっとも本人にとっては、この苛酷な任務から外されたことは幸いだろう。彼は全人代常務委員長(国会議長に相当)となり、国家主席任期を2期と決めている憲法を改正して、習近平政権の延長を画策する任務を負わされるかもしれない。
一方、中央規律検査委員会書記に新たに任命された趙楽際は“偉大なるイエスマン”、ごますりと出世と揶揄される官僚である。陝西省委書記時代、習近平の父親である習仲勲の巨大墓所「習仲勲陵園」整備計画を打ち出したことで、2012年秋、習近平政権のスタートとともに政治局委員に抜擢された。
趙楽際の祖父・趙寿山(建国後は青海省主席)が習仲勲と親友であり、習仲勲が毛沢東から反党的だとして攻撃されたとき、身を挺して毛沢東から習仲勲をかばったという逸話がある。以来、家族ぐるみの親交が続いている。だが、趙楽際自身は、開明派の祖父と違い、思想的には毛沢東の信望者であり、共青団系でありながら、改革派とは程遠い。習近平の下では中央組織部長として習近平人事を推し進めてきた。だた、さほど切れ者という評判もなく、王岐山でさえ27回も暗殺未遂にあったという身の危険をともなう中央規律検査委員会書記の職務を趙楽際が全うできるかどうか、習近平の権力闘争の中心である反腐敗キャンペーンを支え切れるかどうかは、未知数である。
序列四位に入った汪洋は胡錦涛の信頼を得ている共青団派の有能な政治家だ。国際派であり、その思想も本質的には改革派、開明派。イデオロギー、路線的には習近平と対立する。共青団派の同い年(1955年生まれ)というライバル関係上、李克強とは相性が悪いが共青団派としては忠実だ。李克強が仮に健康状態を理由に引退していれば、首相を務められるくらいの実力はもっている。結果的には、閑職・名誉職的な全国政治協商会議主席のポジションに就くようだ。
共青団派の集団指導体制に期待
汪洋は如才なく習近平とも付き合っているが、習近平としてはやはり、その有能さを警戒したのかもしれない。李克強とともに第20回党大会時に、引退年齢に達しておらず、留任可能な若さがある。5年後、定年制を打破できなかった習近平が69歳で引退を迫られたとき、67歳の李克強と汪洋が政治局常務委員会に留任、今度こそ新たに政治局常務委入りする胡春華を補佐する形で、共青団派主導の集団指導体制を確立するというシナリオもまったくなくはない。
私がひそかに期待するのは、この共青団派の集団指導体制である。共青団出身官僚政治家は、よくも悪くも官僚的で、国際派で、実務派で、リアリストで、権力闘争はどちらかというと関心が薄く、共産党史上初めて本格的な政治改革に取り組もうとした胡耀邦の薫陶を受けたエリート集団である。しかも60后(1960年代生まれ)はポスト文革時代、天安門事件前の中国社会の民主化希求の熱気の中で青年期を過ごした世代である。彼らが最高指導部で党政・国政の主導権を握ったときに、中国の方向性が変わるかもしれない、という期待は、中国の体制改革を望む人間に共通している。
王滬寧は、おそらく胡春華が政治局常務委員会落ちした代わりに、急きょ政治局常務委員会入りが決定したのだろう。一中総会のときの記者会見で、落ち着きなく居心地悪そうにしていたのは、本人がこの苛烈な権力闘争の鬼の巣のような政治局常務委員会に望んで入ったことではないことがうかがえる。
王滬寧は地方の行政経験がゼロの研究者肌のスピーチライターである。江沢民の「三つの代表」、胡錦涛の「科学的発展観」、そして第19回党大会で党規約に盛り込まれることになった「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」のいずれも王滬寧が中心となって理論構築している。「三つの代表」と「習近平新時代の~思想」は路線として真逆であり、このことは王滬寧自身が時の政権の御用理論家であることの証左でもある。地方の行政経験がないということは、部下もおらず独自の派閥もないということで、権力闘争的には「戦闘力ゼロ」。積極的に権力闘争にかかわらないようにしながら、その時の強き方に傾斜して生き抜くタイプであろう。
こうした点を総合すれば、第19回党大会における人事は習近平もかなり妥協し、絶対的な基盤を築くには今後の5年が勝負となる。
長い形容句と、続く権力闘争
人事面でかなり妥協した習近平だが、最もこだわったはずの党規約改正にも妥協がみられる。総綱に「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」という個人名と思想を入れた言葉を、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表、科学的発展観に並べたことは習近平にとって勝利だ。少なくとも、江沢民、胡錦涛よりも上位であることを党に承認させ、自分が毛沢東、鄧小平に並ぶ第三の強人政治家である、というアピールはできた。しかも「理論」ではなく「思想」なので(理論より、思想の方が格上)鄧小平理論すら、超えたといえなくもない。
習近平新時代とは、鄧小平時代が旧時代である、といいたいのだ。だが、改革開放40年の成果を習近平時代のわずか5年で越えようというのは、おこがましいにもほどがあると党内の多くが思っている。その不満が、習近平と思想の間にこれでもかと挟まれた長い形容句に表れている。なんとか、習近平という言葉が思想にかからないように、抵抗した跡のようにも思えるのだ。
そして習近平のもう一つのこだわり「党主席」制度復活は、見送られた。死ぬまで権力を掌握し続けた毛沢東と同じ党主席になろうという野望を今の時点で貫き通すほどの権力は習近平になかったということである。
第19回党大会の総括としては、習近平は鄧小平時代を過去のものとし、習近平時代ともいうべき習近平長期個人独裁政権の確立にむけて、その野望を隠さずに全面的に宣言したことが最大の意義である。だが、党がその野望のもとに団結できるのか、国際社会がその野望を容認するのかまではわからない。一つ言えるのは、習近平がその方向性を変えない限り、今後5年間の中国もやはり、波乱に満ちた権力闘争を展開するはずである。
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『米国はいつ「韓国放棄カード」を切るのか 真田幸光教授と「金融」を通してアジアの火薬庫を読む(2)』(11/1日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について
11/1日経朝刊<アジア投資銀、18年債券発行 金総裁が表明 不参加の日米に「扉は開かれている
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は31日、香港で日本経済新聞の単独取材に応じた。2018年にAIIBとして債券を発行する見通しを表明。同行の資金調達力が高まる。主要7カ国(G7)のうち参加を見送っている日米両国に「常に(参加の)扉を開けている」と粘り強く参加を呼びかける意向も示した。

日本経済新聞のインタビューに答えるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁(31日、香港)
AIIBはすでにS&Pグローバル、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスの米英格付け会社から最上位の格付けを取得している。今後はいつ国際金融市場で債券を発行して資金を調達するかが焦点となる。
金総裁は「ドル建ての債券、ユーロ建て、円建て、人民元建てなどと、資金調達の機会を幅広く探っている」と述べ、円建てのAIIB債を発行する可能性に言及。発行時期は明言を避けたものの、「来年の可能性は高い」と明言した。
アジア域内で電力、道路や鉄道、通信などのインフラ需要は大きい。アジア開発銀行(ADB)によれば、インフラ需要は16年から30年にかけて総額で約26兆ドル(約2950兆円)にのぼる。
膨大な需要を各国の財政資金や、AIIBやADBといった国際機関の融資だけで賄うのは難しく、民間資金をいかに活用するかがカギを握っている。金総裁は「民間資金の動員はとても重要」として、その方法などをめぐってADBの中尾武彦総裁と緊密に協議していることを明らかにした。
ADBは域内のインフラ整備のための民間資金を呼び込むための基金をつくっているが、金総裁は「こうした資金の集め方はADB加盟国にとってもよい」と評価。今後もADBと協力していく立場を強調した。
AIIBは「世界銀行やその他の国際金融機関を補完するために設立された」と強調した。中国主導のAIIBが中国の広域経済圏構想「一帯一路」に活用されるとの懐疑論が出ている点は「多くの懐疑的な見方や懸念があったとしても、私はとても我慢強い人間である。日本人職員を採用するために懸命に努力している」と語った。
一帯一路に関しては「参加する国が共同で作業するための広範なプラットフォームだ。AIIBは80の国・地域が参加し、(一帯一路と)重なる部分は出てくる」との認識を示した。
同時にAIIBは投融資する事業を選ぶ際に(1)金融面で持続可能である(2)環境面に配慮されている(3)地域住民の利益になる――という3つの原則を掲げ、一帯一路のために「原則で妥協することはない」と強調した。
AIIBの加盟国・地域の数はADBの67をすでに上回る。一方でG7のうち日米は参加を見送り、加盟した独英仏などとの間で対応が分かれている。
金総裁は「米国からもAIIBに否定的な反応は聞こえてこない」と説明。日本の国際協力銀行(JBIC)や国際協力機構(JICA)の名前を挙げ、日米の金融機関などとも幅広い協力を模索する方針を示した。(編集委員 瀬能繁)>(以上)
真田氏の言う「ムーディーズを含む米欧の格付け会社がAIIBに対してトリプルAを付けたのです。日米の銀行は政治的配慮から、直ちにはAIIBにファイナンスしないと思います。
しかし、中国封じ込めに関心のない欧州の銀行は、この格付けを見てAIIBの債券を大いに買うでしょう。中国の金融を通じた周辺国への支配力は格段に増します。今では米国の比較優位は20年前とは比べものにならないほどに低下しています。」というのを見て、米国は本当に馬鹿だなあと言う思いを深くしました。真の敵を強大にすることにずっと手を貸してきたのですから。まあ、米国はユダヤ国際金融資本に牛耳られている国と思えば不思議でも何でもありませんが。ビル・クリントンがデビット・ロックフェラーの隠し子だとすれば、中国を優遇させてきたのも“one world”の構築を狙うグローバリズムの為せる業、永遠なる世界共産革命とマッチします。ロシア帝国が革命で打倒されたのもマルクスやレーニン等ユダヤ人によるものです。ソ連を崩壊させたのは、ユダヤ国際資本かどうかは分かりません。もし、ユダヤ人だとすれば何故ソ連で共産主義を無くす動きに出たのか、また代わりに中国の共産主義を助け、大きくしたのかも分かりません。
言えることは“one world”は理想の社会ではないという事です。中国の掠奪共産主義と米国の強欲資本主義どちらを見ても貧富の格差が甚だしいです。日本のやり方が一番良いと思われます。世界に日本流を広めていけば、世界の人々の暮らしも良くなるのではと思います。
また、真田氏は鈴置氏の言う「米国が韓国をIMF管理に追い込む」とはならないと述べています。韓国をハッキリ中国側に追いやるからという事です。でも、もう既に中国側になっているのでは。「戦時作戦統帥権を韓国に返し、米軍は韓国軍の下に入れ」とか「米国大使館への反米デモ」等やって米韓同盟を破棄させるような動きをしています。裏には北の工作があるのでしょうけど。
局面を打開するには、米中合同での北への攻撃、核・ミサイルの放棄をさせ、金漢率に北を統治させ、南北を分割したままにしておくのが良いのでは。それでも韓国は統一を願うのかどうか。核とミサイルを持てば、日本を攻撃できるという野望は潰えてなくなるにも拘らず。負担だけが大きくなるでしょう。日本は日米豪印の戦略対話を軍事同盟に発展させ、米印とニュークリアシエアリングすれば良いと思います。いざとなれば売って貰うという選択も持っておいて。
記事

トランプ政権が見据える新たな同盟構想に韓国の名は…(写真:ロイター/アフロ)
(前回から読む)
米国は韓国をいつまで同盟国と見なすのだろうか。愛知淑徳大学の真田幸光教授と「通貨戦争」を通じ考えた(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。
摩訶不思議な中韓スワップ
—中韓通貨スワップは、本当に存在するのでしょうか?
鈴置:多くの人が首を傾げています。中韓スワップの期限が切れた翌々日の10月12日になって、韓国銀行の総裁が「結び直した」「延長ではないが、延長と同じだ」などと、立ち話で語りました。
しかし正式発表はなく、韓国銀行のサイトは10月31日になってもこのスワップに関する報道資料を一切、載せていません。問い合わせを受けた中国側も「韓国に聞け」と言うだけです(「『懲りない韓国』に下す米国の鉄槌は『通貨』」参照)。
韓国の通貨スワップ(2017年10月31日現在)
| 相手国 | 規模 | 締結・延長日 | 満期日 |
| 中国 | 3600億元/64兆ウォン(約548億ドル)終了→再開? | 2014年 10月11日 | 2017年 10月10日 |
| 豪州 | 100億豪ドル/9兆ウォン(約78億ドル) | 2017年 2月8日 | 2020年 2月7日 |
| インドネシア | 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約85億ドル) | 2017年 3月6日 | 2020年 3月5日 |
| マレーシア | 150億リンギット/5兆ウォン(約36億ドル) | 2017年 1月25日 | 2020年 1月24日 |
| CMI<注> | 384億ドル | 2014年 7月17日 |
<注1>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 <注2>カッコ内は最近の為替レートによる米ドル換算額 資料:韓国各紙

真田 幸光(さなだ・ゆきみつ) 愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授(研究科長)/1957年東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒。81年、東京銀行入行。韓国・延世大学留学を経てソウル、香港に勤務。97年にドレスナー銀行、98年に愛知淑徳大学に移った。97年のアジア通貨危機当時はソウルと東京で活躍。2008年の韓国の通貨危機の際には、97年危機の経験と欧米金融界に豊富な人脈を生かし「米国のスワップだけでウォン売りは止まらない」といち早く見切った。
真田:中韓の間に口約束はあるのでしょう。皮肉な言い方をすれば、協定を正式に結んだかはあまり関係ない。合意書があっても、様々の理由を付けて守らない国もあるのです(笑い)。
鈴置:確かに(笑い)。中韓スワップ協定が満期になる前から、THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の韓国配備により中国が協定通りに人民元を融通するのか、疑問符が付いていました。
ただ、「米国の向こうを張る大国」を中国は自称し始めました。正式な協定書にサインし世界に発表した後では、さすがに反古にしにくい。
中国は韓国に外交案件で譲歩させた後に、見返りの一部として正式にスワップを結ぶつもりと思われます。
米韓同盟廃棄の呼び水
—7「譲歩」とは?
鈴置:10月31日、韓国外交部はそのサイトに「韓中関係改善に関連した両国の協議の結果」という題目の報道資料を載せました。
これによると、韓国は「在韓米軍のTHAADは中国を狙ったものではない」と中国に一札を入れました。中韓合意のその部分を以下に訳します。
韓国側は、中国側のTHAAD問題に関連する立場と懸念を認識し、韓国に配置されたTHAADは、その本来の配置の目的からして第3国を狙うものではなく、中国の戦略的安全保障の利益を損なわないことを明らかにした。
「在韓米軍に配備されたTHAADは中国を狙ったものではない」と韓国は説明してきました。それを文書化させられたわけで、これは大きな譲歩です。
北朝鮮の核問題が何らかの形で解決すれば、中国がこの文書をかざして韓国に「もうTHAADは不要だろう。米国に撤収させろ」と要求するのは確実です。
一方、在韓米軍が中国の弾道ミサイルから自らを守るTHAADなしに駐留を続けるかは疑問です。結局、この合意は在韓米軍の撤収、ひいては米韓同盟廃棄の呼び水となります。
詫び状を差し出せ
—大きな譲歩ですね。
鈴置:中国は韓国に猛烈な圧力をかけていた模様です。一部の韓国紙は合意文の発表前に「中韓首脳会談に応じてもらうため『THAAD配備は中国の利益を毀損した』との詫び状を差し出す可能性がある」とまで報じていました。
これを報じたのは朝鮮日報。「韓中、THAAD葛藤の『出口戦略』を水面下で交渉」(10月26日、韓国語版)のポイントを訳します。
中韓両国は関係正常化を目指し、THAADによる葛藤を縫合し得る共同声明ないし合意文の発表を進めていることが確認された。
早ければ11月10日のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)など多者首脳会談の前後に発表できるよう、実務者の間で協議中だ。
政府消息筋は「韓国は当初、韓中首脳会談を開き、その共同声明文を通じてTHAAD問題を解決したいと望んだ。しかし中国側が「THAAD(配備への許可)を撤回するか、少なくともTHAAD配備が中国の核心利益を侵害したことを認めてこそ、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪中は認めることができる」と、首脳会談の実現の前提条件として合意文を要求していると語った。
この記事により「中国に屈するのか」と韓国は大騒ぎになりました。10月27日には青瓦台(大統領府)が記事を全面否定しました。聯合ニュースの「THAAD巡る『中国への遺憾表明検討』報道 韓国大統領府が否定」(10月27日、日本語版)などで読めます。
結局、韓国は「詫び状」を差し出すことは許してもらったものの、米韓同盟破棄の呼び水となる一札を取られてしまったのです。
口約束に留め、食い逃げ防止
—「詫び状か」「同盟破棄か」の2択ですか……。
鈴置:そんな中で「スワップを延長してくれ」と哀願するのですから、韓国金融当局の立場は極めて弱かった。でも、中国はこの「大きな獲物」に満足し「正式なスワップ」を結んでやるのではないかと思います。
真田:私は鈴置説と比べ、もう少し韓国の運動空間は広いと見ています。前回に申し上げた通り、米ロがタッグを組む方向にあります。
当然、中国は国際社会でのポジションの悪化を懸念せざるを得ません。スワップで貸しを作り、韓国カードを確保しようと考えても不思議ではないのです。
ことに今、韓国は米国に寄り始めました。THAAD配備を認めたこともそうですし、米韓の共同軍事訓練にも力を入れている。高まる北朝鮮の脅威に対し、文在寅政権も知らん顔というわけにいかないのです。
中国は米ロの関係改善と、韓国の米国への若干の回帰という新たな状況に対応し、スワップで韓国の取り込みを図った。人民元スワップとはいえ、通貨危機に怯える韓国にとっては安心材料です。
ただ韓国はスワップを付けてもらったら調子に乗り、米国にさらに寄るかもしれない。そこで中国は、スワップは結ぶものの正式な締結ではなく「口約束」に留めたのだと思います。
鈴置:韓国は日本にスワップを付けてもらった瞬間、思い切り手のひらを返して卑日三昧しました。韓国は「食い逃げの達人」です(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。大甘の日本と比べ、脇の固い中国なら韓国に騙されないでしょう。
日本もスワップを結べ
—韓国が「中国とスワップを結んだぞ。日本は孤立した。日本も我が国と結んだらどうか」と言ってきませんか?
真田:2008年当時はそうしましたが、今回はさすがに言って来ないでしょう。安倍晋三政権はトランプ(Donald Trump)政権と完全にスクラムを組んでいる。
その米国は「通貨」を対韓圧力の一環として使っています。日本に結べと要求しても埒が明かないことは、韓国も承知していると思います。
日本にスワップ締結を要求して断られたら――今の段階ではそうなると思いますが、マーケットの韓国を見る目はさらに厳しくなりますしね。
—10月に入り、韓国株は連日のように史上最高値を更新しました。為替も落ち着いています。

真田:逆に、だから怖いのです。ヘッジファンドは韓国への投資をいったん手仕舞いする機会を見計らっています。売り抜けるのなら株も為替も高い方がいいに決まっています。彼らがそうしたポジションを作っていると見ることもできます。
米金利は年内に上がる可能性が高い。すでにドルとウォンの金利差はなくなっています。米利上げで、資金が韓国からどっと流れ出すかもしれないとの観測が高まっています。ファンドはそのタイミングを見守っていると思われます。
邦銀も韓国の金融機関や企業に対し、貸し渋っています。北朝鮮の核危機への懸念が主な原因ですが、韓国から資本が逃げるということでは同じです。
八方塞がりの韓国経済
—ウォン金利も上げればいいのでは?
鈴置:韓国経済は家計負債門問題というアキレス腱を抱えています。金大中(キム・デジュン)政権以降、歴代政府は国民に借金させて景気を維持してきました。
2016年末には家計負債はGDPに相当する額に膨らんでいます(日経・電子版「韓国経済に『家計負債の死角』 GDP回復も危うさ」=10月26日=参照)
ウォン金利を上げれば、借金の返済額が増えて消費が減ります。貸し倒れも増えるので金融システムに打撃を与えます。いずれも資本逃避の要因になります。
韓国は金利を上げても資本逃避に直面しかねず、上げなくても資本逃避の可能性が高い、という八方塞がりの状況にあるのです。
米国も許さない「敵塩」
—日本としては、資本逃避によるウォン安を防ぐため韓国とスワップを結ぶべきだ、と言う人が出そうです。
真田:それは「敵塩(てきしお)」――敵に塩を送ることになります。先ほど鈴置さんが韓国を「食い逃げの達人」と評しました。韓国政府の最近の対日外交姿勢を見ていると、私にも「義のない国」としか思えません。
日本からスワップを付けてもらった瞬間、強気になり、中国側にすり寄る可能性が高い(「『中国側に寝返る韓国』にスワップは追い銭」参照)。
だからこそ、現段階では米国も日韓スワップは認めないと思います。1997年の通貨危機の際もお灸をすえるために、韓国を助けようとした日本を止めました(「米国は『日韓スワップ』を許すか」参照)。
鈴置:2017年1月6日、日本がスワップ交渉を打ち切ったのは、釜山の日本領事館の前の慰安婦像を認めるなど、慰安婦合意を堂々と破ったからです(「『百害あって一利なし』の日韓スワップ」参照)。
韓国はその後も、念を入れて合意を踏みにじっています。日本大使館前の慰安婦像を自治体の管理下に置いて撤去しない姿勢を明確に打ち出しました。そのうえ、慰安婦追悼碑の設置を計画しています。日本はよほどのことがないとスワップ再開に応じないでしょう。
自民党の閣僚経験者の秘書から聞いた話ですが、韓国が「卑日」するたびに、代議士の事務所に支持者から「日韓議員連盟をやめろ」との電話が相次ぐそうです。いわゆる「リベラル派」が政権をとってもスワップ再開は困難でしょう。
スワップと民主党
—でも、日韓スワップがないとウォン安になって、日本企業が不利になりませんか?
鈴置:それは完全な誤解です。逆なのです。日韓スワップがあるから韓国は安心してウォン安に誘導できるのです。資本逃避が起きないかと市場が神経質になっている時、韓国の金融当局はその引き金になりかねないウォン安誘導策はとれなくなります。
2008年の韓国が通貨危機に陥りかけた際、李明博(イ・ミョンバク)政権は日米とのスワップを利用してウォン安を維持しました。
一方、日本は2009年9月から民主党が執権。米国との関係を悪化させたため為替政策でも米国の協調を得られず、対ドルで1ドル=80円を切る円高にもなりました。
「民主党の円高」と「スワップによるウォン安」が相まって、円・ウォンレートは2007年に1円=約8ウォンだったのが、2009年から2012年まで13―14円前後で推移したのです。
これでは日本企業は韓国の競合会社と勝負できません。日本はすっかり輸出競争力を失い、景気も低迷しました。
日経・電子版の「『最強連動通貨』と日本株の不思議な関係」(2013年1月14日)によると、2007年から2013年年初までの日経平均株価と円・ウォンレートの相関関数は、何と0.98。対円でウォン安になるほどに日経平均は下がったのです。これこそ「敵塩」でした。
IMFに追い込む
—しかし、スワップを付けないと資本逃避が激化し、韓国が為替をコントロールできなくなる。そうなったらウォン安が進みませんか?
鈴置:その時は手があります。韓国を一気にIMF(国際通貨基金)の救済に追い込めばいいのです。そしてIMFの指示として韓国に超高金利政策をとらせれば、ウォン安は回避できます。
米国も韓国の左派政権を通貨で脅しています(「14年前のムーディーズに再び怯える文在寅」参照)。今のところ、国の格付けを下げるぞ、と威嚇しているだけですが、韓国が言うことを聞かなくなれば20年前と同じようにIMFに追い込むことに躊躇しないと思います。
トリプルAのAIIB
真田:そこは微妙です。今回も米国がIMFカードを切るか――。私には疑問があります。20年前と比べ、米国は劇的に国力を落としているからです。
例えばカザフスタン。この国から中国はエネルギーをどんどん買っています。人民元で支払いますが、カザフは文句を言わずに受け取ります。
なぜなら、中国から生活必需品を輸入したり、インフラを整備してもらう際に人民元で支払えばよいからです。カザフは人民元経済圏に入りつつあります。
中国は、周辺国のインフラ整備のためにAIIB(アジアインフラ投資銀行)を設立しました。各国による出資金だけでは大した規模の融資ができませんので、債券を発行して資金調達することになります。
その際、格付けが重要ですが何と、ムーディーズを含む米欧の格付け会社がAIIBに対してトリプルAを付けたのです。日米の銀行は政治的配慮から、直ちにはAIIBにファイナンスしないと思います。
しかし、中国封じ込めに関心のない欧州の銀行は、この格付けを見てAIIBの債券を大いに買うでしょう。中国の金融を通じた周辺国への支配力は格段に増します。今では米国の比較優位は20年前とは比べものにならないほどに低下しています。
そのような状況で米国が韓国民の恨みを買う「IMFへの追い込み」を実施するか、私は首を傾げるのです。今度そんなことをしたら、韓国は完全に中国側に行きますからね。
「4カ国戦略対話」からも排除
鈴置:トランプ政権は――米国の金融界は別として、安保の専門家は韓国を同盟のネットワークから外すことは織り込み済みと思います。
北朝鮮と対峙する今現在は、米国は韓国との同盟が堅固なものと見せたがっている。北朝鮮への圧迫を最大限に強めるためです。しかし、北朝鮮の核問題を片付ける過程で「韓国放棄」カードを切る可能性があります。
トランプ大統領は公然と「歴史的に韓国は中国の一部だった」と語りました(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。
北朝鮮の核問題解決に協力したら、在韓米軍を撤収や米韓同盟をやめてもよいと中国に約束したのではないか、との推測が広がりました。
トランプ政権が推進する日・米・豪・印の「4カ国戦略対話」構想からも韓国は排除されています。中国の包囲が目的ですから、中国にすり寄る韓国を入れないのは当然ですが。
トランプ大統領の11月5日からのアジア歴訪にも、当初計画では韓国は訪問先に含まれていなかったようです。
CSISのマイケル・グリーン(Michael Green)上級副所長が中央日報の「トランプ氏、日本だけに行きたかった……訪韓の最大の目的は」(10月23日、日本語版)で語っています。
韓国のヌンチに苛立つ米国
真田:それは米国の韓国に対する「揺さぶり」ではないかと思います。北朝鮮もそうですが、韓国は状況変化に応じて立ち位置を替えていく力――韓国語で言うところの「ヌンチ」があります。
米・中・朝の間で上手く立ち回ろうとする韓国に、米国は苛立ちを見せているのです。
(次回に続く)
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『「中国共産党は民間企業に介入しない」 党大会と人事から見る2期目の政策』(10/30日経ビジネスオンライン 森永輔)、『皇帝になった習近平:内に統制強化、外に覇権的拡大 在中国日本企業は中国共産党の統制監督下に』(11/1JBプレス 樋口譲次)について
10/30日経電子版<王岐山氏、中国副主席に就任か 香港紙報道
【香港=粟井康夫】香港紙、星島日報は30日、中国共産党の王岐山・前中央規律検査委員会書記(69)が2018年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で国家副主席に就任する見通しだと報じた。習近平国家主席(党総書記)の要請を受け、外交や国家安全などの分野で引き続き重要な政治的役割を果たすとしている。
国家副主席は党指導部の政治局員である必要は無く、人民解放軍出身の長老だった王震氏や、中国中信集団(CITIC)創設者の栄毅仁氏が就任した前例がある。習氏は反腐敗運動など王氏の功績を高く評価しており、党内でも最高指導部(政治局常務委員)に次ぐ序列になる可能性があるという。
王氏は反腐敗運動で周永康・元政治局常務委員ら政敵の汚職を追及するなど、習氏の右腕として辣腕を振るった。習氏は王氏の留任を探ったが、党内の反発も強く、24日閉幕した党大会で「68歳以上は退任」とする慣例に従い、政治局常務委員を退いていた。>(以上)
王岐山は国家副主席として、党中央規律委担当となる趙楽際の後ろ盾の役割を果たすのでは。でも趙が力を持てば王岐山もなきものにされるかもしれませんが。習近平を総書記に推した江沢民・曽慶紅の今の姿を見れば分かるでしょう。中国では裏切りが常態です。
10/31ダイヤモンドオンライン<習近平に権力を集中させた中国はさらなる世界覇権を目指す 真壁昭夫>
http://diamond.jp/articles/-/147586?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor
森氏の記事で瀬口氏の「中国共産党は民間企業に介入しない」という発言は全く違うと考えます。小生の中国駐在体験から言えば、今までも裏では中国内の合弁企業には共産党書記がいました。日方100%独資の企業には流石にいませんでしたが。でも中国は「単位」と呼ばれる職場を管理監督する部署があります。中国人が担当していたので、名前までは分かりません。北京の合弁企業で新工場を建設する段になり、旧工場の大型設備を入札で売却するときに、国有資産管理局の審査があったと記憶します。大きな会社でもないのに不可解と思いました。共産党による隅々までの支配の手が伸びていると考えた方が良いでしょう。瀬口氏は日銀出身で、中国政府の発表する数字しか見てないのでは。下々と付き合わなければ見えて来ない部分があります。況してや中国政府の発表する数字はfakeそのものでしょう。真壁氏や樋口氏の見方が正しいと思います。習近平の頭の中には、中華民族の偉大な復興=世界制覇、そのため軍事力で米国を凌駕することが最優先事項でとして入っており、故に経済を富ませ、軍事費捻出に充てようと言うものです。「戦って勝てる軍隊」と習が言っていますが、そのためロジと情報が大切で、樋口氏が解説しています「国防動員法」によってそれを実現させようと言うものです。スパイ監視をして裏切りは許さないと言うものです。中共が民間企業へ介入しないなんてことはあり得ません。経済の面でしかモノを見れない瀬口氏のセンスを疑います。日本企業を中国へ誘導しようとする意図があるのかとも思ってしまいます。富坂聰、加藤嘉一と並ぶ、言わば中国の工作員かと。
瀬口氏は次の投稿記事を見た方が良いのでは。街を歩けばこういう場面に遭遇するのは普通です。中共の存在そのものが邪悪と言うのがこの人は分かっていません。日本企業は中国から離れるべきです。
10/31facebook投稿 朱雪琴<一個向外撒幣的國家老人靠種菜賣菜維生,還不給她留條活路。國家面子工程與這些可憐的老百姓沒半點關係,國家的強大百姓卻看不起病,甚至飢不裹腹。這國是誰的國?只不過是某個盜國集團的國,人民財產與自由被劫掠,一個荒謬絕倫糟糕年代,人性貪婪墜落到極致。
外国に金をばら撒く国では、老人は野菜を育て・売って生計を立てているが、やはり生きる道は与えられない。 国家の面子(個人にも営業免許が必要)と可哀想な大衆との間には何の関係もないが、 国の強権を持つ人達は病気や空腹の人を見下している。この国は誰の国ですか? それは、泥棒の集団の国に過ぎず、 人民の財産や自由が奪われ、 この上なく不合理で愚かな時代、 そして品性が強欲の極みに達している>。中国ではこれが官憲によって日常茶飯事に行われています。小生も中国駐在時代しょっちゅう見ました。営業免許を持たないor賄賂を役人に贈れない貧しい人はこうやって彼らの生産物や生産手段を奪われます。
https://www.facebook.com/100013649473166/videos/348726005592379/
真壁氏の言う、親日国を作っていく努力として、台湾へもっと日本として協力していけることがあるのではと思います。米国同様、台湾関係法も策定すべきです。
10/29リンゴ日報<【出訪南太】夏威夷僑宴 總統:台美關係前所未有堅強=蔡総統は南太平洋を訪問、ハワイでは同胞を集め演説、対米関係は前例にないほど堅固であると>
http://m.appledaily.com.tw/realtimenews/article/politics/20171029/1231135/
森記事
中国共産党が、5年に一度開く党大会を終え、習近平総書記(国家主席)が2期目の政権をスタートさせた。習近平氏が10月18日に行った3時間半に及ぶ演説と、25日に明らかにした党幹部人事から何を読み取ることができるのか。中国事情に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹に聞いた。(聞き手は森 永輔)

習近平総書記は権力基盤をさらに強めた(写真:新華社/アフロ)
—今回の中国共産党大会と党幹部人事からどんなことが読み取れるでしょう。どこに注目しましたか。
瀬口:大きく三つの点に注目しました。第1は、習近平総書記の演説が総花的だったことです。習近平氏の名前を冠した政治思想を党規約に盛り込むことに重きがあったのでしょう。政策理念の面で目新しいものはありませんでした。毛沢東以来の政権トップが言ってきたことと、これまでの習近平政権の基本方針をバランス良くまとめたという感じです。
ただし、目新しさがない点は割り引いて評価する必要があると考えています。第1期の政権メンバーは、習近平氏の前任である胡錦濤氏やその前任である江沢民氏の影響力が残るものでした。演説の草稿はその環境下で作成されたものです。
習近平氏が今回新たに選んだ信頼できるメンバーと話し合い、中身を伴った政権構想を明らかにするのは、来年に予定される三中全会(第19期中央委員会第3回全体会議)ではないでしょうか。第1期の政権でも、政策構想を明らかにしたのは総書記に就任してから1年後(2013年11月)の三中全会(第18期中央委員会第3回全体会議)でした。あの時は「市場経済重視の改革全面深化」を掲げ、世界中が注目しました。
2025~40年、危機リスクが高まる
二つ目は、今後の展望を2035年までの中期と、建国から100年となる「21世紀半ば」までの長期に分けて提示したことです。期が変わる2035年ごろに政策を見直すことを暗示しています。実は私は、この二つの期の境に当たる2030~2040年にかけて、中国が長期の経済停滞に直面することを懸念しています。この危険な時期を前もって意識して政策を運営する可能性が高まったのはいいことです。
—何を懸念しているのですか。
瀬口:中国が「中所得国のわな」にはまる危険性です。その頃の中国の所得水準は中所得ではありませんが。中国国民の所得が増え生産コストが上昇し中国製品の価格競争力が低下する一方で、イノベーションを生み出すのは難しい。であるにもかかわらず、国内需要の高度化に伴って先進国企業と競争する領域は増えていく。輸出を伸ばしにくくなる一方で、輸入は増加しやすくなります。中国企業の収益が伸び悩めば、税収を直撃する。貿易収支と財政収支がともに悪化するリスクが高まるわけです。
高度成長期であれば、不良債権が生じても、資産価格がすぐに上昇に転じるため短時間で解消することができます。しかし、安定成長になれば時間がかかる。不良債権の問題は特に不動産市場で顕著になるでしょう。
外的ショックにも弱くなります。2008年にリーマンショックが世界を襲った時、中国は非常に強いレジリエンスを発揮しました。もう、そうはいかなくなります。
80年代以降の日本を想像すると分かりやすいでしょう。70年代までは日本経済も強いレジリエンスを発揮し景気後退は長続きしませんでした。しかし、安定成長期に入った80年代以降、プラザ合意後の円高、そしてバブルの崩壊に見舞われました。レジリエンスが低下したため回復が遅れ、政策のイノベーションを起こすこともできず、今もって苦しい情況が続いています。
中国の場合、政権交代がありません。もし当時の日本のような情況に陥れば、不満は共産党政府に向かう。経済的なリスクが政治リスクを生み出し、政経の両面で大変な事態になりかねない。
習近平氏の演説は、このリスクが最も高くなる時期に経済政策を見直すことを示唆しているわけです。適切な見直しをすれば、2035年以降も高いパフォーマンスを維持できる可能性が高まるでしょう。
ただし、習近平氏が私と同じように2030年代のリスクを意識して、2035年を境に中期と長期を分けたわけではないと思います。
—三つ目の注目点は何ですか。
瀬口:政策運営の前提となる基本認識の変化です。
これまで中国では生産力の増大、すなわち経済成長の達成が経済政策の重要課題でしたが、それはある程度満たされた。今後は経済社会発展の不均衡や非効率をどう改善するかが重要課題になるという認識を示しました。そのソリューションとして、貧困脱却、社会保障の充実などを実現すべきであるとの政策方針を出しているので、そのメニューの中で所得再分配を検討するのだと思います。
共産党は、国有企業の過ちを熟知している
—第2期習近平政権の経済政策はどのようなものになるでしょう。全貌は三中全会を待つ必要があるのかもしれませんが、現時点で読めることはあるでしょうか。
瀬口:共産党が民間企業の経営への介入を強めるため経営効率が低下する、との懸念が広まっています。私は、それはあり得ないと考えます。

瀬口 清之(せぐち・きよゆき) キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 1982年東京大学経済学部を卒業した後、日本銀行に入行。政策委員会室企画役、米国ランド研究所への派遣を経て、2006年北京事務所長に。2008年に国際局企画役に就任。2009年から現職。(写真:丸毛透、以下同)
中国の民間企業は、昨年、苦しい時期を経験しました。設備投資の伸び率がそれを顕著に表わしています。2014年まで、民間企業の投資は投資全体の伸び率よりも10%ポイントほど高い値を記録する状態が続いていました。それが、2015年にはほぼ同じ伸び率にまで低下。2016年後半になると、投資全体の伸びが前年同期比10%であるにもかかわらず、同2~3%程度にまで落ち込みました。
背景にあるのは、ドル建ての輸出が2015年、2016年と2年連続でマイナスとなったこと。過剰設備や過剰在庫の処分など、供給サイドの調整が民間企業の先行き見通しを不透明にしたことです。
それが、今年になってようやく明るい見通しが出始めた。過剰在庫を処分するため価格がどんどん下がるという状況を脱し、価格上昇とともに企業の利益が伸びました。輸出も2017年に入ってプラスに転じています。設備投資も回復方向にあり、金融機関は民間企業向けの融資抑制姿勢を改め始めました。
規制緩和が進み、これまで民間企業に対して禁止されていたインフラ産業への参入も可能になった。新しい産業の息吹も感じられるようになってきました。電子商取引、AI(人工知能)、フィンテック、電気自動車などの分野ですね。製造業のイノベーションを図る10カ年計画「中国製造2025」が少しずつ効果を発揮し始めたのでしょう。
もし、ここで共産党が民間企業の経営に介入すれば、せっかく回復した元気が再びしぼんでしまうことになりかねません。なので、共産党は決してそのような政策は取らない。自分たちが介入すれば経営に悪影響を及ぼすことを彼らはよく知っています。「国有企業」という悪い見本を間近に見ていますから。
—大連万達、海航集団(HNA)、復星集団、安邦保険、浙江羅森内里投資の5社の経営に、政府がさまざまな介入をしたと報じられています。大連万達は不動産大手。海航集団は航空・金融グループ。復星集団は投資会社ですね。 例えば大連万達は、政府の圧力を受けて、海外への投資を断念したと伝えられています。
瀬口:ご指摘の企業はいずれも政治銘柄です。つまり、習近平氏が政敵を追い落とすために、政敵とつながりのある企業に圧力をかけたと見られています。大連万達は、かつて習氏のライバルだった薄煕来氏とつながりがあります。安邦保険は鄧小平氏の系列と関係が深い。
加えて、これらの企業は海外投資が多い。共産党政府が資本規制を強める時期だったので、そのターゲットになってしまった面も背景にあります。
—浙江羅森内里投資を除く4社だけで、中国企業が2016年に買収した海外資産の5分の1近くを占めるとの報道があります。資本規制は、元安を懸念する投資家が資金を海外へ移すのを抑制するための措置ですね。
瀬口:そうです。
経済政策の司令塔は劉鶴氏
—経済政策について、人事面から読み取れることはありますか。経済政策の司令塔が、李克強首相になるのか、新たに常務委員に選ばれた汪洋氏が取って代わるのか、注目を集めています。
瀬口:それは、両者の担当が正式に決まる次の全人代ではっきりします。
ただ、政策を立案するのは、習近平氏の右腕である劉鶴氏だと思います。これまでもそうでした。習近平氏が大きな方向を指示し、劉鶴氏が具体的な経済政策を立案、李克強氏もしくは汪洋氏が執行する体制になるでしょう。
—そうだとすると、経済政策が大きく変わることはなさそうですね。
瀬口:はい。ただ習近平氏が力を増したことで、改革が加速するのではないでしょうか。
私が考える改革の柱は次の三つです。第1は所得の再分配。第2は地方の財政改革。第3は国有企業の改革です。
所得の再分配について、習近平氏は明示的には述べていません。しかし、党規約を見ると「大衆の獲得感」という表現が随所にみられます。「生活や社会が良くなったと実感できるようにする」ということです。具体的には貧困からの脱出、社会保障や医療など生活基盤の改善、教育の重視。税制の改革について具体的な話は出ていませんが、三中全会で明らかにするのだと思います。
所得再分配の強化はこれまで、長老など富裕層の反対が強く前に進みませんでした。しかし、習近平氏が権力基盤を固めたので、進められるようになる。共産党は、経済社会の格差に対する不満の増大が共産党政権を脅かしかねないことをよく知っています。欧米の状況を見れば、明らかですから。
トランプ米大統領や、米民主党でクリントン氏と争ったバーニー・サンダース氏が反エスタブリッシュメントを掲げ、支持を集めたのはこの象徴です。トマ・ピケティ氏の著書「21世紀の資本」がベストセラーになったのも同じ流れの中で起こった出来事といえます。
第2の地方財政改革は、地方政府の財源をめぐる問題です。現在、地方政府の収入は税収が半分、不動産開発に伴う収入が半分です。不動産開発の原資には地方政府傘下の組織や国有企業が金融機関から借り入れる資金が多く含まれており、企業債務が増大する原因にもなっています。
この不動産収入は、土地が有限である以上、いずれ枯渇します。長期的には不動産価格が暴落するリスクもあります。仮に暴落すれば、企業債務の不良債権化、金融機関の業績悪化を引き起こすと同時に、地方政府の財政破綻を招きます。
不動産収入に頼らない構造を作るための方策として、以下の二つが考えられます。一つは、中央政府による財政補填です。日本の交付税交付金のような仕組みを取り入れる。もしくは、地方が負担している支出を中央政府が肩代わりすることもありえるでしょう。地方政府は現在、社会保障費、教育費などを負担しています。
もう一つの方法は、地方税を創出することです。例えば不動産利用税を住民に課す。中国では現在、上海市と重慶市以外の地方では固定資産税に相当するものがありません。
国有企業の経営効率を高めることはできない
—第3の国有企業改革はずいぶん前から指摘されている大問題ですね。
瀬口:はい。これに対して私は、ほかのエコノミストとは少し異なる見方をしています。国有企業の経営効率を改善したり、収益率を高めたりことはほぼ不可能と考えています。どの国の歴史を見ても国有企業の抜本改革に成功した事例はほとんどありません。
—え、それでは、国有企業をどう改革するのですか。
瀬口:国有企業の体質はそのままでも、経済全体に占める割合を小さくすることで、国有企業が経済全体にもたらす悪影響を軽減することができます。国有企業は現在、GDP(国内総生産)の20%ほどを占めています。これを10%程度まで小さくする。
—どうやって、小さくするのですか。
瀬口:自然と縮小していきます。
—なぜですか。
瀬口:2020年代、中国は高度成長を終え、安定成長に移っていきます。経営効率が悪く、収益力のない国有企業の伸びは、安定成長となった経済全体の伸びよりもさらに小さい。
それとともに、民間企業と競合する国有企業を退場させる。この時、習近平政権が現在進めている国有企業の合併が役に立ちます。合併によって国有企業の数が減っていれば、介入に取り組む政府にかかる負担が小さくなります。介入にかかる負担は、国有企業の規模ではなく数に依存しますから。
中国政府は私のように考えて国有企業の合併を進めているわけではないでしょう。しかし、もしかしたら、政府内にも私と同じようなシナリオを考えている人がいるかもしれません。
日本企業は中国投資を拡大している
—今後の経済政策が日本企業に影響することはありませんか。
瀬口:日本の金融機関によると、中国で事業を展開する日本企業は以前より元気になっているようです。中でも自動車、自動車部品、電子部品、ロボット、ヘルスケアなどの分野で投資が拡大している。中国市場の伸びがもたらす恩恵を享受しています。
以前は日本企業に元気がなく、欧米企業が元気でした。この流れが逆転した。
—何かトリガーになる出来事があったのでしょうか。
瀬口:フィンテック、電子商取引、AI、ビッグデータ活用などの分野で中国企業が力をつけています。欧米企業はこれを脅威とみて、警戒感を高めています。
一方、日本企業には、中国市場が持つ地域特性や文化が追い風になっています。特性は、例えば人口密度です。中国の都市と日本の都市の人口密度は、どちらも高い。したがって、地下街やコンビニエンスストア、密集型のマンションなど、日本が生み出した商品が、中国の都市にそのままマッチする。欧米先進国にはニューヨークとロンドンを除いて、日中両国のように人口密度が高く人口が多い大都市はありません。
日本政府は、日本企業の中国ビジネスを支援してこなかったので、日本企業は自力でこれらの事業を伸ばしてきました。
地域特性としては距離が近くて時差が小さいことも重要な要素ですね。
加えて、日本と中国の文化は近いものがある。これが、例えば介護事業などで有利に働いています。老人を抱き抱える作業を考えてみてください。日本の文化を背景に持つ人は、欧米文化を背景とする人に比べて、比較的自然に老人を安心させながらサポートすることができます。
—確かに、ハグすることに違和感を覚えるアジア人は多いですよね。
外交のキーパーソンは王滬寧
—対米関係はどのようになるでしょう。
瀬口:今回の党大会と人事から読み取れることはあまりありません。それに米中関係に変化を与える要素は、中国よりも米国側にあると思います。米国務省は、対中政策に関わる重要ポストの人事がいまだに決まっていません。11月に入ると、トランプ大統領・習近平主席による米中首脳会談が開かれます。いったいどんな話し合いになるのか、想像がつきません。
—最後に、人事が対米関係に及ぼす影響について伺います。中国外交のトップを務める楊潔篪氏が25人しかいない政治局員に選ばれたことが注目されています。2002年まで政治局委員を務めた銭其シン氏以来のことです。
瀬口:私は、楊潔篪氏の人事をあまり重視していません。外交政策を立案し習近平氏に進言しているのは外務官僚ではないからです。今回、政治局常務委員に選ばれた王滬寧氏が外交のキーパーソンです。
樋口記事

中国・北京の人民大会堂で会見する習近平国家主席(2017年10月25日撮影)。(c)AFP/WANG ZHAO〔AFPBB News〕
在中国日本企業は中国共産党の統制監督下に
衝撃的なニュースが飛び込んできた。何と中国共産党組織が外資企業の7割に設置されたというのである。伝えたのは、米ニューヨークに本部を置く中国語非営利衛星放送局の新唐人テレビだ。
それによると、中国共産党機関紙「人民網」は、次のように報じた。
10月19日、中国共産党中央組織部の斉玉副部長は、中国共産党大会の記者会見で、2016年末までに国営企業14万7000社のうち93.2%に党組織が設立され、民間企業273万社のうち67.9%、さらに外国企業10万6000社のうち70%に上る7万5000社に党組織を設立した旨を明らかにした。(ゴシックは筆者付記)
帝国データバンクの調べによると、昨年(2016年)8月末時点で、中国に進出している日本企業は1万3934社。
単純に計算すると、進出企業の70%は約9800社に上り、実際の数字は明らかではないが、それほど多くの日本企業が中国共産党の統制監督下に置かれているという、驚くべき事実が中国側から公表されたのである。
前掲の斉玉副部長は、企業内に共産党組織を設立することは、企業の経営発展を促すことになり、党組織のアドバイスにより、中国の政策を理解し、雇用問題の解決を図れるためだと話した。
しかし、それはあくまで、表向きであって、国内外におけるいざという時に、共産党の方針に従って、企業を統制し監督することが主たる狙いになっているのは否定できない。それは、この後述べる、中国の「国防動員法」と大いに関係しているからである。
他方、中国の国内事情からみれば、党員をもってすべての企業の内部監視を行わなければ安心できない中国共産党の不安な心理状態が透けて見える。
今般の共産党大会で「核心的リーダー」、言い換えれば「皇帝」になった習近平総書記(国家主席)が、神格化された自らの権力によって一党独裁体制を維持するための国内統治を強化しようとする意図がありありである。
「国防動員法」が及ぼす日本への脅威
中国は、2010年7月に「国家の主権、統一と領土の完全性および安全を守るため」として「国防動員法」を制定した。
この法律によれば、「召集された予備役要員が所属する単位(役所や企業など)は兵役機関の予備役要員の召集業務の遂行に協力しなければならない」(同法第31条)。
在中国日本企業が雇用した中国人従業員が予備役として招集される場合はそれに従い、職場を離れている間も、雇用主である日本企業は給与支給などの処遇を続ける義務が生じる。
また、同法には「金融、交通運輸、郵政、電信、報道出版、ラジオ・テレビ・映画、情報ネットワーク、エネルギー及び水資源の供給、医薬衛生、食品と食糧の供給、商業貿易などの業種に管制を敷く」(同法第63条)との規定がある。
最悪の場合は日本企業の中国の銀行口座凍結や金融資産接収のほか、売掛金放棄なども起こり得る。
さらに、「備蓄物資が国防動員の需要を延滞なく満たすことができなくなったときは民生用資源を徴用できる」と規定し、「社会生産、サービス及び生活に用いる施設、設備及び場所その他物資」(いずれも同法第54条)がその対象となっている。
自動車や電機など、現地工場の生産設備や物流のためのトラックなどの機材が根こそぎ徴用されてしまうことも予想される。
最近、中国に出張中の日本人社員が、スパイ容疑で拘束され、逮捕される事件が頻発しているが、有事の際には日本人駐在員やその家族が人質になる恐れがある。
また、企業秘密やノウハウなどがすべて中国側に筒抜けになってしまう危険性も排除できないのである。
冒頭に述べた日本企業をはじめとする外資企業を中国共産党の統制監督下に置こうとする狙いと「国防動員法」の目的は、基底で重なり、相互に関連している構図をしっかり認識したうえでの中国における企業活動が求められよう。
さらに、在中国日本企業は「国防動員法」が発動されると以上のような事態が起きることを想定して、情勢緊迫時には、すみやかに国外へ退去し、あるいは資産を移せるよう普段から準備を行う必要がある。
と同時に、そろそろこのような「異質な国家」における企業活動にはハッキリと見切りをつけ、他の有望な国や地域への移転を促進するのも必要な対策の1つかもしれない。
実は、この法律によって、日本国内で仕事をしている中国国籍保持者や中国人旅行者にも「国防動員の平時準備と任務完遂の義務」(同法第5条)が適用される。
2016年末の在日中国人数(在日華僑を含む)は、約70万人(法務省統計)。同じく2016年の中国から日本への旅行者は約637万人(日本政府観光局=JNTO統計)で、合わせると、年間約700万人の中国人が日本に滞在していたことになる。
それらの中国人に対し、突発的に国防動員がかかる可能性は十分にあり得る。その場合は、わが国の安全保障・防衛に重大な影響を及ぼす危険性があり、そのことについて重々認識し、有効な対策を練っておかなければならない。
しかし、対応の中心となるのは全国約25万人の警察官、そして約15万人の陸上自衛官であり、それらの要員をもってしても、対応に限界があるのは歴然としている。
このように、中国の厖大な「人口圧」によってわが国が押しつぶされる可能性を決して甘く見てはならない。予想される事態は、至って深刻である。
中国共産党大会後の中国:内には統制強化、外には覇権的拡大
10月18日に開幕した第19回中国共産党大会で、習近平国家総書記(国家主席)は毛沢東、鄧小平に匹敵する「核心的リーダー」、言い換えれば「皇帝」の地位を獲得し、自らの神格化と権力集中に成功した。
そして、「立ち上がり(毛沢東)、豊かになる(鄧小平)段階から強くなる(習近平)段階を迎えた」との時代認識を示し、自らの使命を「強軍」「強国」に置き、建国100周年を迎える今世紀中頃までに「社会主義現代化強国」を構築する長期目標を掲げた。
また、2025年までには「総合的な国力と国際影響力において世界の先頭に立つ国家になる」と宣言した。
しかし、テレビなどの映像を通じて、外国には中国の団結と安定のイメージを見せようとの意図があったかもしれないが、共産党大会が開催された首都北京は厳戒態勢に包まれていた。
街では包丁の販売やレストランでの調理、宅急便の配達が禁止された。会場付近の車両や住居は窓を開けてはならず、地下鉄では厳重な検閲が行われ、少しでも反政府的な言動を行った人や宗教団体のメンバーは当局の取り調べを受けた。
また、共産党大会期間中、政府機関をはじめ、幼稚園や刑務所に至るまで、大会を生放送で観るよう義務づけられた。
中国国内では、一党独裁の共産党政権下の68年間に、貧富の格差拡大とセーフティーネットの未整備、汚職や腐敗の蔓延、環境の劣悪化など、様々な社会問題が積み重なり、その矛盾は極限状態にまで達している。
また、経済の中に隠れていたリスクが突然爆発し、資産価値が暴落して大混乱を起こす「ミンスキー・モーメント」発生の恐れが指摘されるなど、深刻さを増す国内事情を承知している習総書記を頂点とする共産党指導部は、内に向って規制や統制を強化せざるを得ないというのが実情のようだ。
一方、習総書記は、党大会冒頭の活動報告で、過去5年間の成果として、「南シナ海での人工島建設を積極的に推進した」ことを挙げ、東・南シナ海での中国公船の活動活発化を念頭に「海洋権益の維持を有効に遂行した」とも述べた。
日本をはじめ近隣諸国の主権を脅かし、ルールに基づく国際秩序を破壊する「力による現状変更」として、国際社会から厳しい非難を浴びている行動を、政権の成果として誇る国がすぐ近くにいる現実を深刻に認識しなければならない。
前述のとおり、「社会主義現代化強国」の建設という目標には、それを支えるための「強軍」という、さらなる軍備拡大方針が重なっている。
習総書記は、米国の軍事力を睨みながら、今世紀半ばまでに中国軍を「世界一流の軍隊」にすると明言した。
その強大な軍事力を背景として、習総書記がこれまで繰り返してきた「中華民族の偉大な復興である中国の夢を実現するため、引き続き努力・奮闘しなければならない」との言葉通り、外に向かっては覇権的拡大の圧力を愈々強めるものと見なければなるまい。
一見、平和の中にある日本において、中国が「輿(世)論戦」、「心理戦」および「法律戦」の「三戦」に「歴史戦」加え、それらを積極的に展開しつつ、政治、外交、経済、文化、法律などの分野の闘争と密接に呼応させた、巧妙で強かな作戦を仕かけている現実がある。
また、国内問題を国外問題に転嫁する手法は、これまでわが国が経験してきた中国の常套手段であり、それらに対する不断の警戒を怠ってはいけない。
いま日本は、北朝鮮の核ミサイル開発の恐怖におののき、その関心はひたすら北朝鮮問題に縛られている。
しかし、21世紀の日本そしてアジア太平洋地域、ひいては国際社会に向けられた最大の安全保障の課題は、中国の覇権的拡大のうねりがもたらす影響にほかならない。
北朝鮮発の「差し迫った眼前の危機」、「これまでにない深刻かつ重大な脅威」に加え、中国の海洋侵出による覇権的拡大の重圧は、わが国に戦後最大の試練を与えている。
目先の脅威を注視するばかりでなく、日本に及ぶ中長期的な脅威にもしっかり目を向け、「北朝鮮に備えつつ、中国に備える」という真の課題に、わが国は果敢に挑戦しなければならない。
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『トランプ訪日直前に「先制攻撃の可能性」を警告 24時間アラート準備体制を敷いた戦略爆撃機B52H』(10/30日経ビジネスオンライン 高濱賛)
10/30日経朝刊< 習近平の支配(下) 第6部 大いなる賭け 中国空母がハワイに迫る日

中国の習近平国家主席は11月、トランプ米大統領と首脳会談に臨む(4月、フロリダ)=ロイター
10月上旬には、海軍を巡る衝撃が世界を駆け巡った。中国の空母「遼寧」が母港とする山東省青島の海軍基地に、最新鋭の大型補給船「呼倫湖」の姿が確認されたのだ。2カ月以上にわたる航海の給油ができる同艦は、空母が遠からず遠洋航海に出るサインだ。
鄧小平時代の中国は「韜光養晦(能力を隠して力を蓄える)」と称し、抑制的な外交姿勢を心がけた。2期目を迎えた国家主席、習近平(64)はもはや爪を隠そうともしない。党機関紙の人民日報は1月、空母はいずれ東太平洋にも展開すべきだと主張した。北京の外交筋の間では「空母がハワイまで迫る日は遠くない」との声さえあがる。
習の表現を借りれば、1949年の建国から100年の21世紀半ばまでに「世界一流の軍隊を築く」という。国際協力を名目に米軍と肩を並べて世界に部隊を派遣し、同時に自国の権益を追求する未来図だ。列強に侵略された19世紀以降の「暗黒状態」を脱し、大国の誇りを取り戻すことを「中国の夢」だと訴える。
「習が受ける圧力はすさまじい」と党関係者はいう。「台湾統一を実現できるのか」「南シナ海で米軍を自由に動き回らせていいのか」。軍内では領土や権益の「回復」を必達の目標とする声が強い。その実現を阻むライバルとみているのは、超大国・米国だけだ。
自由、民主、人権といった価値観を世界戦略の表看板とする米国と、共産党による一党支配を最優先する中国は根っこの部分で相いれない。習が「他国の内政干渉に反対する」と繰り返すのも、中国のやり方に米国は口を挟むな、という願望の裏返しにすぎない。
米軍制服組トップのジョセフ・ダンフォード(61)は9月、米上院で「25年には中国が最大の脅威となる」と述べた。2年前は第1の脅威にロシアを挙げたが、米中間では北朝鮮、台湾、南・東シナ海問題など火種が広がる。両国が互いに威圧や譲歩を繰り返し、協調を探る構図が深まった。
習は25日、2期目の治世に入った。最高指導部に次世代の後継候補を入れず、長期政権への意欲もにじむ。習1強に花を添えるのは11月8日から北京を訪れる米大統領、ドナルド・トランプ(71)だ。訪中を控え、強権を手にした習を「『中国の王』と呼ぶ人もいるだろう」と持ち上げた。
一党支配を死守するため、米国に並ぶ強国をめざすとうたい、権威を欲し、政敵を追い落とし、言論を封じ込める。だが習の独裁に近づくほど、体制内の少数の取り巻きだけに頼るもろさが増す。習の支配には、14億人の中国の民の知恵や活力を生かし切れない弱さが潜む。(敬称略)>(以上)
個人の自由のない国に本物の知恵や人類への貢献を期待するのは無理と言うもの。中国が覇権を握った後、どのような世界を描いているのか?一部の人間の為に搾取され続ける奴隷の世界、異議申し立てすればすぐ殺される共産主義の暗黒の世界になるのでは。世界の人々が本当に望むとは思えません。自由主義諸国は共同して危険な芽を早く摘み取らないと。
11/1ダイヤモンドオンライン<アメリカの哲人将軍マティスも警戒する 新旧大国で戦争を不可避にする歴史の罠 グレアム・アリソン 藤原朝子>アリソン教授の書いた『米中戦争前夜』は読んでいないので何ともコメントできません。小生が思うに北朝鮮の問題が解決できなくて、中国との対峙はできないという事です。北との戦争も核保有国同士の戦争になります。ワンサイドゲームになるでしょうけど、戦史に記録される戦いとなるでしょう。中国とは金融制裁と海上封鎖で封じ込めできるかどうかです。
http://diamond.jp/articles/-/147604?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor
10/31中国観察<安倍政權欲借川普訪日復活“鑽石戰略”抗衡中國(圖) 看中国=安倍政権はトランプの訪日を利用して「ダイヤモンド戦略」を復活させ、中国に対抗する>日米豪印の戦略対話(中国に対抗するため、韓国が入っていないこいとに注意、韓国はレッドチーム扱い)に英仏も交えてとなるかもしれないと。第一次安倍内閣の時には「自由と繁栄の孤」を策定して、中国に対抗しようとしたが、日米豪印はダイヤモンドの形状に似るため、今回は「安全ダイヤモンド戦略」と呼ぶが「真珠の首飾り戦略」とも思われている。
10/31百家争鳴ブログ<トランプ大統領見誤ってはならない 加瀬 英明>。次期大統領選もトランプが勝利するとの予言です。まあ、次の選挙で民主党候補がサンダースだったらトランプが勝つでしょう。日本で報道されているような弾劾なんて起きないという事です。ロシア疑惑でマナフォート元選対会長とパパドブロス元外交顧問が起訴されるようですが、昨日のアンデイチャン氏のメルマガにあったように民主党と司法省・FBIの方が性悪かと思います。

(11/1日経朝刊より)
http://hyakka.seesaa.net/article/454558434.html
高濱氏記事で、トランプ大統領と安倍首相はケミストリーが合う一番の理由は二人とも左翼リベラルメデイアのバッシングに対抗して頑張っているところでしょう。安倍首相はツウィートならぬ「LINE」のスタンプを無料配布しましたが。でも「LINE」は韓国が情報を抜いていますので、公務員は使うのを避けた方が良いでしょう。
記事
—ドナルド・トランプ米大統領は11月6日、安倍晋三首相との首脳会談に臨む予定です。米大統領として初めて日本の国家安全保障会議(NSC)にも出席します。また北朝鮮に拉致されている横田めぐみさんの両親との面会も予定されています。ずばり、トランプ大統領が訪日する狙いは何でしょう。

米軍が運用する戦略爆撃機「B52H」(写真:ロイター/アフロ)
高濱:一にも二にも北朝鮮問題です。米国は、北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するため、武力行使一歩手前の軍事演習や経済制裁措置を取ってきました。日本はそれに全面協力しています。それでも金正恩委員長は核・ミサイル開発を止めようとはしません。
トランプ大統領は「盟友」である安倍首相とこれからどうするのかについて徹底的に論議し、新たな対応策を練り上げる意向のようです。安倍首相との合意を踏まえ、金委員長にいわば「最後通告」を突きつけることになるかもしれません。
—「最後通告」の中身はどんなものになるでしょう。
高濱:そればかりはわかりません。極秘中の極秘でしょうから(笑)
ただし、トランプ大統領が今回の訪日とそのあとに続く訪韓・訪中をどれだけ真剣に考えているか、それが窺える動きが訪日前に一つ出ています。極めて手の込んだ「情報戦争」というか、「心理戦争」を開始したのです。
「米市民に告ぐ、韓国内の個人資産を移動せよ」
ワシントン政府部内に流れる極秘情報を配信している「ネルソン・リポート」*が10月21日、次の情報を流しました。 *:「ネルソン・リポート」は、クリストファー・ネルソン氏が80年代に立ち上げたアジア関連情報ニュースレター(会員制)。米政府機関に特別な情報源を持っている。日本をはじめとするアジア諸国の外交官や米政府・議会のアジア外交関係者が購読している。
「米政府高官(複数)が、非公式の背景説明ではあるが、増大する北朝鮮の核ミサイルの脅威に対抗して、米軍が北朝鮮に対して先制攻撃(pre-emptive strike or Kinetic action)する可能性を深刻にとらえるべきだと警告している」
「北朝鮮が開発する核ミサイルの脅威が増大していることにかんがみ、韓国国内に個人資産(personnel assets)*を保有している者(米国市民)はそれを(韓国国外)に移動させることが望ましい。この警告は北朝鮮内で活動し、(韓国内に個人資産を保有している)一部の非政府組織(NGO)にも出された。これは朝鮮半島で有事が生じた際に、外国人が(北朝鮮の)『人質』になるリスクを配慮しての警告である」 *:個人資産とは、現金や預貯金、投資信託、有価証券などの金融資産を指す。 ( “How To Talk Like A Spy,” Paul Szoldra, Business Insider, 9/3/2017)
「この情報は信頼すべき筋から入手したもの。ただし、あくまでも非公式の発言であり、公式なものでない点を明確にしておきたい」
「前述の米政府高官は『北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発が完了するのを未然に防ぐため軍事行動をとるとトランプ大統領が決定した』と明言しているわけではない。しかし同高官は、この情報を北京、ピョンヤン、東京、ソウル(の各国政府当局)は深刻に受け止めるべきだ。仮説で警告しているのではない、とも指摘している」 (“Tonight’s Nelson Report(A reputable newsletter on NE Asia):Removing personnel assets from ROK now advisable, say sr. admin.official,” Nelson Report, 10/21/2017)
—この米政府高官はなぜ、このような重要な情報をワシントンの一部外交関係者向けのニュースレターだけにリークしたのですか。
高濱:米国務省の関係者の一人は、筆者に「心理戦争だよ。トランプ政権の情報戦争も手が込んできた。アジア諸国の外交官たちが信頼している『ネルソン・リポート』に情報を流せば、日本も韓国も中国も、そしてなによりも北朝鮮が驚く」と解説しています。
46年ぶりに戦略爆撃機B52Hに24時間アラート体制
「極秘情報」がもう一つあります。これは軍事専門サイトの「ディフェンス・ワン」が特報しました。
北朝鮮のICBM発射に備えて米戦略軍が、ルイジアナ州バークスデール空軍基地などに待機する戦略爆撃機B52Hに24時間アラート準備体制を命じたというものです。B52Hは核爆弾と空中発射巡航ミサイル(ALCM)を搭載しています。
10月22日、デビッド・ゴールドフィン空軍参謀総長が同基地を直々に視察しました。B52Hが24時間アラート体制に入るのは冷戦が終結した91年以降初めのことです。 ( “Exclusive: US Preparing to Put Nuclear Bombers Back on 24-Hour Alert,”Marcus Weisgerber, cdn.defenseone.com., 10/22/2017)
—主要メディアも報じない情報がなぜ、特定の軍事専門サイトにリークされているのですか。
高濱:前述の国務省関係者は、こう指摘しています。「これもトランプの東アジア歴訪を前にした『準備体操』(muscle-flexing)のようなものだ」
北朝鮮の情報機関や外務省は当然、「ネルソン・リポート」や「ディフェンス・ワン」をチェックしているでしょう。これを読んだ北朝鮮当局者に「脅しじゃないぞ」と言いたいのでしょう。返す刀で日韓中の政府当局者にも「奇襲攻撃の可能性」に対する米政府・軍の真剣度をわかってもらおうという狙いがあるのかもしれません。
トランプ大統領が拉致に関心がある理由
—トランプ大統領は政府主催の行事に出席するほか、横田滋夫妻らとも会見します。拉致された横田めぐみさんについては先の国連総会演説でも触れました。トランプ大統領はどうして拉致問題にそんなに関心があるのでしょう。
高濱:トランプ大統領は今にも北朝鮮に攻撃を仕掛けるような発言を繰り返しています。その一方で、今実際にやっているのは、米国が保有するすべての国力を総動員して行う包括的かつ総合的な対北朝鮮戦略です。
つまり国連安保理に対する影響力、軍事力、経済力、人権擁護を貫く力、情報伝播力、サイバー力を総動員して北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止しようとしているのです。
こうした現状において、北朝鮮による日本人拉致は、米国が金科玉条にしてきた国際法遵守と人権擁護の面から絶対に無視できないアジェンダなのです。
語弊を恐れずに言えば、拉致問題は今のトランプ大統領にとって、北朝鮮が「ならず者国家」であることを立証する格好の材料、シンボリックなアジェンダなのです。しかもトランプ大統領がこの問題に理解を示し、世界に向かって発言することで日本国民の心を鷲づかみできます。
トランプ大統領と安倍首相はなぜ馬が合うのか
—最後に、トランプ氏と安倍首相はなぜ馬が合うのでしょう。米国サイドから見てどうですか。
高濱:主要シンクタンクの上級研究員の一人は筆者にこう述べました。「二人にはいくつもの共通項がある。ともに金持ちのお坊ちゃんだったこと。超秀才ではないこと。あまり学校での勉強が好きじゃなかったこと」
「でも安倍さんは大学を出た後、政治家の父親(安倍晋太郎元外相)の下で政治の現場を学んだし、トランプさんは不動産業で名を成した父親(フレッド・トランプ氏)の下でビジネスと経営術を徹底的に叩き込まれた。それぞれがこれまでに上げた業績を、お互いに評価していることがわかっているのだろう」
「そうした名門であるにもかかわらず、どちらも結婚は家柄とかしきたりから完全に解き放たれていた。トランプさんのほうは自由奔放。安倍さんも恋愛結婚じゃなかったのかな。それに二人とも趣味はゴルフ。今回も日本で、プロゴルファーを交えてプレーするそうじゃないか」
筆者はかって、ロナルド・レーガン第40代大統領と「ロン・ヤス関係」を築き上げた中曽根康弘元首相に首脳同士の信頼関係について聞いたことがあります*。
中曽根氏はこう述べました。「政治家ではないほかの人間と同じ。第一印象だよ。最初に会ってお互いに目を合わせて握手して、この人とはうまくいきそうだな、と思うか思わないかだ。特に外国人の場合、第一印象が重要だ。レーガン氏は会った瞬間に『この人はいい人だな』を思わせる雰囲気があった」 *:17年3月6日、都内の中曽根事務所で筆者と面談した際の中曽根氏の発言。
安倍首相とトランプ大統領も最初の出会いで通じ合うものがあったのだと思います。
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