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『中国イニシアチブ──姿を現した習近平の狙い 日本を含め世界各国を本気で取り込む』(12/27日経ビジネスオンライン 遠藤誉)、『習近平の外交ブレーンが記した「驚愕の論文」その中身 「今世紀は中国式が世界の主流だ!」』(12/26ゲンダイ 近藤大介)について

12/12笹川平和財団主催の奥山真司講師の『地政学から見た海洋安全保障  ~北朝鮮問題を事例として~』のスライドから。

中国が掲げている「一帯一路」に酷似しています。中国人はパクリの名人ですからこれからヒントを受けたことは間違いないでしょう。12/16本ブログでも紹介しました「南シナ海の内海化」も欧米の地政学者の発想のパクリです。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7822

近藤氏の言う「中国模式」が東南アジアに広がっていると言いますが、それは軍事力を恐れてのことです。米国の出方によって変わります。

また「ツキディデスの罠」を避けるために、アメリカを除く「ユーラシアの覇者」を目指すとのこと、ユーラシアの覇権を握るとなると欧州とロシアは黙っていないでしょう。ルトワックの唱えた説(周辺国の合従連衡で対抗)通りとなるのでは。

遠藤氏も近藤氏も「中国が世界征服を目指している」と考えています。小生も本ブログでそのことの危険性を早くから指摘してきました。鄧小平の“韜光養晦”から“有所作為”へ変わったころから中国は野心を剥き出しにして来ました。それが今度の12/1の習の発言で明らかになっただけです。「われわれは外国のモデルを『輸入』しない。同時に、中国のモデルを『輸出』もしない。そして他国が中国のやり方を『コピー』することも求めない。

第一に、中国共産党は一貫して世界の平和と安寧に貢献する。第二に、一貫して世界共同体の発展に貢献する。第三に、世界の文明交流に貢献する」との発言は明らかに嘘です。「南シナ海の人工島は軍事拠点にしない」と習自ら言ったのにも拘らず、軍事拠点化しているではないですか。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言う国ですから。日本も遠藤氏の言うように甘い対応をしては駄目でNATOに入り、中国の封じ込めをするようにしないと。

12/26中国観察<中共打壓聖誕重慶上狙擊手 網民抵制洋幽靈共產黨 信徒抗命上街遊行過聖誕 阿波羅網=中共は重慶に狙撃手を配置してクリスマスを祝わせなかった ネットでは“西洋の幽霊である共産党(マルクスの共産党宣言の「ヨーロッパに幽霊が出る――共産主義という幽霊である」からもじって)”をボイコット 信徒は命令に逆らいクリスマスにデモ行進>

今年の重慶市のクリスマスイブ

昨年度の重慶市のクリスマスイブ

「 通知 今年のクリスマスイブ・クリスマスには、全校の教師と生徒は真剣に中共中央弁公庁の定めた“中華の優秀な伝統文化を継承・発展させるプロセスについての意見”を学び、西洋崇拝を止め、西洋の祝日に盲従せず、キャンパス内でのいかなる形でのクリスマス祝賀活動を厳禁する  〇〇中学校」

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/bads/2017/12/26/385036.htm%E4%B8%AD%E5%85%B1%E6%89%93%E5%A3%93%E8%81%96%E8%AA%95%E9%87%8D%E6%85%B6%E4%B8%8A%E7%8B%99%E6%93%8A%E6%89%8B-%E7%B6%B2%E6%B0%91%E6%8A%B5%E5%88%B6%E6%B4%8B%E5%B9%BD%E9%9D%88%E5%85%B1%E7%94%A2%E9%BB%A8.html

ショービニズムの極みでしょう。これで「相互尊重、公平正義、提携共勝」と言う言葉がどこから出て来るのか。中共中央がやらせていることです。やはり中国人と言うのは嘘つきです。警戒しませんと。

12/28日経電子版<イスラエル・パレスチナ・日米 東京で4者会談構想 河野外相が提案>12/27本ブログで紹介しました増田俊男氏のメルマガ記事が当たっているのかも。でも日本の安全保障・エネルギー対策上非常に良いことです。中国に顔を向けさせないためにも。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25131660X21C17A2MM0000/

遠藤記事

「中国共産党章程(党規約)」の現物

12月初旬、「中国共産党と世界政党ハイレベル対話会」が北京で開催された。各国政府のど真ん中の人物に焦点を当てて、中国への理解を深めさせ、そして「中国礼賛」へと洗脳していく――。「世界の工場」「巨大市場」として、経済に大きな存在感を占めるに至ったこの国が、次に狙うのは精神だ。対話会では「中国イニシアチブ」が採択された。紅い中国が世界を染める狙いを覗かせる日がやってきたのだ。

本稿では、第19回党大会で決議された「習近平(シージンピン)新時代、中国の特色ある社会主義思想」とは何かを紐解き、その一連の流れの中で遂に現し始めた習近平の正体を考察する。

「習近平思想」とは何か

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

1941年、中国吉林省長春市生まれ、1953年帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授。理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員教授などを歴任。最新の著作は『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』。主な著書に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)『チャーズ 中国建国の残火』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』(朝日新聞出版)など多数。

10月24日に閉幕した第19回党大会(中国共産党第19回全国代表大会)では、党規約の改正が行われ、党の綱領として「習近平思想」が盛り込まれることが決議された。正式名は「習近平新時代中国特色社会主義思想(習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想)」という非常に長い文言で表現されている。

これまで党規約には、その政権が終わった段階で、新たに当該政権スローガンを明記する、という習慣があった。毛沢東思想は建国前から入っていたが、それ以外は政権一期目に書き入れることはない。党規約の冒頭には「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表重要思想、科学的発展観」が書かれていたのだが、ここに「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」という言葉を、まだ政権一期目の終わりにも拘わらず、明記することが決議されたわけだ。

マルクス・レーニン主義という共産主義国家におけるくくり以外では、個人名があるのは毛沢東と鄧小平のみ。おまけに「個人名+思想」という形は、建国の父である毛沢東以来、初めてのことだ。習近平は、少なくとも党規約の中では、毛沢東と並んだことになる。

それでもストレートに「習近平思想」と書かなかったのは、建国前から中国人民の中に浸透している「毛沢東思想」と全く同じ文字数で明記するのは、さすがにおこがましいと思ったからだろうか。だから、なぜ「習近平思想」を党規約に書き入れるかという理由を同時に弁明するために、間に「新時代の中国の特色ある社会主義」という文字を入れたもの、と思われる。

新時代を説明するに当たり、習近平は党大会の演説で「アヘン戦争以来、中華民族は虐げられてきたが、しかし遂に人民は站起来(ザンチーライ)(立ち上がり)、富起来(フーチーライ)(富み始め)、強起来(チャンチーライ)了(ラ)(そして強くなり始めたのだ)!」と言った。この「站起来」は中国を建国した毛沢東時代を指し、「富起来」は改革開放後の鄧小平時代を指す。富国時代だ。そして最後の「強起来」こそは、習近平が描いた強国時代を指している。このように三つの象徴的な言葉で時代区分することにより、習近平がもたらした「強国時代」を「新時代」と称したのである。

また演説で習近平は、中国を「世界の舞台の中心で重要な役割を果たすようになった」と位置付けた。これは、米国に追いつき、追い越して、世界のナンバー1の国家となり、全世界を制覇することを示唆している。それが「中華民族の偉大な復興」であり、「中国の夢」だ。

メディアをフル活用、全国を“洗脳”

10月31日、習近平ら新チャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員会委員7名。筆者命名)は上海にある第一回党大会開催跡地を視察した。これに関して日本では「江沢民派閥排除を強調」などの報道があったが、いささか矮小な分析ではないか。中国の真相を観る視座を歪めかねない。

習近平は党大会における演説で何度も「勿忘初心(初心、忘るべからず)」と言っている。1949年10月1日に中華人民共和国が誕生してからの2年間ほどは、人民はまだ中国共産党を信じていた。今では腐敗と虚偽に満ち満ちた中国共産党を誰も信じていない。それでは、世界を制覇すると言っても国内が先に崩壊する可能性がある。

だからこそ新チャイナ・セブンは、上海市にある第一回党大会跡地へ赴き、中国共産党に入党するときの「宣誓の言葉」を斉唱した。「党員になった時の初心を忘れてはならない」と誓ったのだ。

これだけならば日本でもありそうなお題目だが、中国共産党はそこからが違う。全国的な再洗脳を始めたのである。

11月1日、中共中央は、中宣部を中心として新「中央宣講団」を結成し、共産党精神の宣伝活動に入った。管理指導するのは王滬寧(カタナカで無理に読み下すと、「ワンフーニン」か)。イデオロギーを担当する新チャイナ・セブンのメンバーの一人だ。「中央宣講団」は中央のあらゆる関係部門と提携して、地方にも出かけていき、講話を含めた双方向的な党宣伝を行なう。中央宣講団のメンバーが各地方を回って、地元住民に対しFACE TO FACEで話をするのだ。その模様を、中国共産党管轄下のテレビ局CCTVなどが一斉に全国津々浦々へと報道する。

中でも一際注意せねばならないのが、王滬寧の談話だ。彼は「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想を企業や農村、各関係機関、大学のキャンパス、社区(社会のコミュニティ)など、全ての群衆に広めていかなければならない」と表明した。

中国人の話だろう、と聞き流してはダメだ。たとえば、中国に進出している日本企業も「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」を学び遵守する義務を要求されることを意味する。

最近、中国が外国企業に対して、強いネット規制や原材料管理を打ち出しているが、実はこれはまだまだ序の口だ。そもそも中国では政府機関や大学は言うに及ばず、各企業にも中国共産党委員会があり、それぞれに「書記」(社長より上の最高権限を持つ)がいる。今後は外資系企業にも同様の書記が置かれ、「習近平思想」の遵守を日本側企業にも要求してくることになるのではないか。私はそう見ている。

中国共産党が全世界の政党を北京に集めた理由

このような流れの中、11月30日から12月3日にかけて「中国共産党と世界政党ハイレベル対話会」が北京で開催され、120数ヵ国の300以上の政党から成る600人の幹部たちが一堂に集まった。これは世界史上初めてのことだと、中国は胸を張っている。主宰したのは中国共産党の対外聯絡部。

中国共産党の宣伝工作を行う組織には中共中央宣伝部、統一戦線工作部などがあるが、これらは主として中国大陸および香港やマカオなどの特別行政区を含めた「中国国内」に対して「中国共産党が如何にすばらしいか」ということを宣伝する組織だ。それに対して対外聯絡部は「対外」とある通り、国際社会に対して「中国共産党の偉大さ」を宣伝していく組織なのである。

これまでは、それほど大きな活動をしてこなかったが、第19回党大会が終わり、習近平政権第二期に入ると、突然、この「対外聯絡部」の存在が大きく前面に打ち出されるようになった。

その目的は、「中国共産党」という世界最大の政党(党員数、約9000万人)が、世界各国の政党と関わり、指導し、影響力を強めていく、というものだ。中国が国家として他国に介入するのは「越権だ」という抗議を受け得るだろうが、一つの政党として他国の政党に声をかけて連携していくのは、なんら非難される筋合いはない、という論理で動いている。

もっとも中華人民共和国憲法では、中国共産党が中国という国家を統治していくと明記しているので、一政党と雖も当然、中国の場合は国家を代表することにはなる。

中国共産党という一政党の名において、全世界を「習近平思想」を軸にした「紅い中国」の思想に洗脳し、「中国礼賛」という心情を植え付けていこうというわけだ。しかしこの「大戦略」、果たして現実味はあるのだろうか。民主主義的な世界に生きている日本人や欧米人には、誇大妄想のようにも思えるだろう。言論弾圧やネット規制がある中、中国がグローバル・スタンダードに則ることができるか否かも甚だ疑問だ。

中国イニシアチブ確立を本気で目論む

成功するかどうかはもちろん分からない。だが、中国(中国共産党=習近平)は本気だ、と思う。

冒頭の「中国共産党と世界政党ハイレベル対話会」に戻ろう。開会の辞は習近平国家主席自身が行い、3日に会議は閉幕したが、それらを総括する形で、中国政府の通信社である新華社の電子版「新華網」は「中国イニシアチブ」に関する全文を掲載した(こちら)。

それを読むと、一見、参加者の心を納得させ感動させるスピーチの中に、中国を礼賛せずにはいられないような心理を醸成する「核」を隠し込んでいることがわかる。全文を翻訳するのは避けるが、日本は中国のこの戦略にまんまと嵌っていきかねないと個人的に危惧しているので、肝心の部分だけを抽出してご紹介したい。

1.人類の運命共同体を構築するために、「習近平による中国の特色ある社会主義思想」を実現し、ともに一帯一路の建設に携わるために、中国の貢献と各国政党間の連携を強化していきたい。

2.テロやネットの安全あるいは気候変動など、これまでとは異なる脅威が世界に蔓延している。しかし平和と安定は依然として私たちの最大の課題だ。深刻で複雑な国際情勢の中で、いかなる国家も自国単独で人類が直面しているさまざまな挑戦に対応することは出来ないし、どの国も閉鎖的な孤島の中に閉じこもって問題解決に当たることは出来ない。したがって我々は「人類の運命共同体」を形成していかねばならないのである。

3.異なる社会制度や意識形態(思想)あるいは伝統文化を乗り越え、開放と包容的な態度で各国間の交流協力を推進し、自国の利益を追求すると同時に、他国の利益に配慮してウィン-ウィンを目指す。

4.新型国際関係の基礎の下「小異を残して大同に付く」関係を樹立し、相互尊重と相互を鑑とする「新型政党関係」を築く。全ての国の政党が人類の未来を創っていく。われわれは習近平総書記を中心とする中国共産党と中国政府が人類運命共同体を構築し、一帯一路建設が実現していることを喜ばしく思う。習近平総書記が一帯一路建設において提唱してきた精神である「共商共建共享(Jointly sharing)」が地球ガバナンスの方向性として国連決議に盛り込まれ、人々の心の中に深くしみわたっている。一帯一路の精神は、まさに人類の運命共同体という時代の潮流にふさわしいものである。

5.このように「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」は人類運命共同体の構築を強調している。これは、中国共産党が中国人民の幸福をもたらすだけでなく、人類の進歩のために奮闘する正当であることを証明している。

概ね以上のような内容だが、参加者は身を乗り出して聞き入っていた。

「閉鎖的な孤島」という言葉を用いて「人類運命共同体」を新型国際関係と位置付けるあたり、明らかに米国を意識してのことだ。「民主主義とハンバーガー」のような、アメリカンウェイの一方的な押しつけをするようなことは、我々はしませんよ、いっしょに独自性を保ちつつ繁栄しようではありませんか…。

強面と思われた習近平の、耳に心地よい「おもてなし」を受けた参加者たちは、昨今のトランプ政権の不手際の連続もあり、「わが党も、新たな人類運命共同体を担う一員として認められている」と自尊心をくすぐられて、中国に協力していく抵抗感が薄れる…と、中国側は期待しているのだろう。

巧拙はさておき、これだけ幅広く、またフレンドリーに「仲間作り」を始めたのは、おそらく中国始まって以来のことだ。

と、思ってCCTVを見ていたら、画面には、日本の公明党の山口那津男代表や吉田忠智社民党代表などの紅潮した顔と弾んだ声が現れた。山口氏は「新時代の第一歩を記せた」と訪中成果を誇っていた。もちろん、日本が自公連立政権であることを知った上での中国の戦略だろう。与野党を問わず、政界のキーマンと目される人々に自分の国に対する好意を醸成するのは国際政治の常だが、中国は自国の夢を賭けて本気で乗り出している。

心理戦に負けつつあるのでは?

笑顔の一方で、全世界にいる6000万人の華人華僑をまとめ上げてコントロールするのも中共中央と国務院(中国人民政府)の任務だ。その巨大なネットワークを駆使して、南京事件や慰安婦問題に関して抗議活動を展開させ、当該国の政権与党内の、これはと思う議員を動かして議会で抗議決議を可決させ、日本を追い込む。

こういった心理戦は、習近平政権に入ってから徐々に強化されてきた。だから本年中に日本で開きそうだった日中韓首脳会議を、わざと延期させて安倍晋三首相をじらすのである。そうすれば日本から頭を下げてくることを中国は知っている。

もちろん、日本の経済界が「一帯一路」のバスに乗り遅れまいと焦っていることも中国は見逃していない。日米のどちらかを落せば両国とも「一帯一路」構想の陣営に入るので、天下は中国のものだと考えているのだろう。

政治情勢のなせる技、と、油断している間に、中国はどんどん石を打っていく。その音に耳を澄ました方がいい。

近藤記事

中国は「ユーラシアの覇者」へ

早いもので、トランプ政権登場に始まった2017年は、瞬く間に過ぎてゆき、2018年の戌年に移ろうとしている。

2017年の世界は、トランプ政権発足によって、大きく変化した。周知のようにトランプ大統領は、就任早々、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)から脱退し、メキシコとの壁を築くと宣言し、中東移民の制限も行った。夏になると地球温暖化防止の新たな枠組みであるパリ協定から脱退し、秋になるとユネスコ(国連教育科学文化機関)からも脱退した。

そして冬になると、エルサレムをイスラエルの首都に認定し、イスラム社会は大騒動になった。その間、北朝鮮の核ミサイル問題を巡って金正恩政権との角逐はエスカレートし、東アジアは不安定化した。

こうしてみると、2017年は、トランプ大統領という「怪物」が暴れ回った一年だったと言える。

これに対し、2018年に最も注目すべきなのは、習近平主席率いる「巨竜」かもしれない。巨竜・中国は、アメリカと並ぶ「世界のもう一つの基軸」となるべく、前進を続けると見られるからだ。

習近平総書記は、2017年10月の第19回中国共産党大会と、翌11月のトランプ大統領訪中を成功させたことで、「ユーラシアの覇者」となる決意を新たにした。

なぜ「ユーラシアの覇者」かと言えば、習近平政権は発足当初の2012年、短期目標として、共産党創建100周年の2021年までに、「アジアの覇者」にならんとしていた。だが5年を経て、当初思い描いていたよりもスムーズに実現できそうな見通しがついた。

そこで今度は、中期目標として2035年までに、「ユーラシアの覇者」になろうとしている。習近平主席はこの時まで自ら政権を担う決意でいるように見受けられる最後は建国100周年までに「世界の覇者」を目指すのだが、まずは「ツキディデスの罠」を避けるためにも、アメリカを除く「ユーラシアの覇者」を目指そうということだ。

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そのため、2018年は、「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)という習近平政権の外交スキームを使って、どんどん「攻め」に転じる年になるだろう。アメリカは秋の中間選挙で内向きになり、ロシアも春の大統領選挙で内向きになる。EUもBrexitやドイツの政局不安などで、やはり内向きだ。そんな中、中国は外交攻勢を強めるチャンスなのである。

習近平政権は、自信と余裕が生まれたことから、対日関係の改善にも乗り出した。換言すれば、過去一世紀半近くとは真逆の「中国が上で日本が下」という、新たな日中関係の構築を目指し始めたのだ。

12月1日には、北京に世界300近い政党幹部たちを一堂に集めて、「中国共産党と世界政党幹部対話会」を開いた。そこで習近平総書記は長い演説を行い、次の2点を主張した。

第一に、中国が主導する「一帯一路」によって、ユーラシア大陸に人類の運命共同体がもたらされるということだ。習総書記はこう述べた。

「2013年に、私は初めて人類は運命共同体であると提唱した。その時以降、嬉しいことに、中国と世界各国との友好的な提携を不断に開拓、発展させている。そして、人類は運命共同体であるという理念が、ますます多数の支持と賛同を得て、私の提唱したことが理念から行動へと移り行くさまを見ている。

私が提起した『一帯一路』はまさに、人類が運命共同体であるという理念を実践することなのだ。この4年来、『一帯一路』は、関係各国が共同で実現する発展の巨大な提携プラットフォームとなってきた。

細々とした支流も、集まれば大海に流れるのであり、点々たる星々も、集まれば銀河の輝きを見せるのだ。私は、おのおのが人類の運命共同体の理念を樹立し、計画を立ててそれを実践し、一歩一歩たゆまぬ努力を続ければ、人類の運命共同体の目標は、必ずや実現できるのだ」

もう一点は、中国はアメリカや前世紀のソ連と違って、他国に対して自国の制度の強要はしないということである。習総書記はこう述べた。

「中国共産党は、中国人民の幸福を謀る政党であり、人類を進歩させる事業に奮闘する政党である。中国共産党は世界最大の政党だが、大なる者は大なる者にふさわしい様子というものがある。

つまり中国共産党の行動の一切は、中国人民に幸福を謀るためであり、中華民族の復興を謀るためであり、人類の平和と発展を謀るためである。われわれは自分のやるべきことをうまくやれば、それはすなわち人類の運命共同体作りに貢献することなのだ。

われわれは外国のモデルを『輸入』しない。同時に、中国のモデルを『輸出』もしない。そして他国が中国のやり方を『コピー』することも求めない。

第一に、中国共産党は一貫して世界の平和と安寧に貢献する。第二に、一貫して世界共同体の発展に貢献する。第三に、世界の文明交流に貢献する」

習総書記は、このように非常に慎重な物言いで、中国に対する世界の警戒感を解こうとしたのだった。中国は恐い国ではないから、安心してついて来なさいというわけだ。

2018年以降の指針を示す論文

もう少し精緻に、2018年以降、中国が世界で目指す指針を示した一篇の論文がある。11月13日、中国共産党の幹部養成機関である中央党校の機関紙『学習時報』に掲載されたもので、タイトルは「中国の特色ある社会主義が新時代に入った世界的意義」。

筆者は、韓志強・外交部弁公庁主任である。2011年7月から4年以上にわたって、駐日本中国大使館公使として、「最悪」と言われた日中関係の最前線に立ち、一時は次期駐日大使とも噂された外交官だ。

この論文は、中国共産党の厳格な「査読」を経ているので、今後の習近平政権の外交指針を定めたものとも言える。かなりの長文で、かつ難解だが、非常に重要な内容なので、全文を訳出してみる。

<中国の特色ある社会主義は新時代に入った。これは、わが国の総合的国力が世界のトップクラス入りしたこと、国際的地位が前代未聞の昇級を果たしたこと、及び党と国家の事業が全方位的に、開放の創造的な成就を深いレベルで取得し、根本的変革の発展を獲得したことなどをもとに、わが国の新たな歴史の方位に対して、党が出した科学的判断である。

この判断は、世界に向けて宣告する。中国共産党の党員が牽引する中国人民は、中国の特色ある社会主義の道の偉大なる成功を一心に模索し、中華民族はいままさに世界の東方にまったく新たな形で屹立していく、と。中国の特色ある社会主義が新時代に入ったというのは、中華人民共和国の発展史上、もしくは中華民族の発展史上において重大な意義を有するものである。そればかりか、世界の社会主義の発展史上、人類社会の発展史上にも重大な意義を持つものなのである。

中国の特色ある社会主義が新時代に入ったということが意味するのは、科学的な社会主義が、21世紀の中国に強大な機会と活力を生み、世界に高く高く中国の特色ある社会主義の偉大なる御旗を掲げるということである。

科学的社会主義は、人類社会発展の客観的規律の真理を提示しており、誕生して一世紀半の間、人類社会の発展と変革に、他の思想理論とは較べものにならないほど重大な影響を与えてきた。

その意味するところは、世界で一大無産階級の政党が政権を掌握した社会主義国家を建国したというばかりでなく、現在の資本主義制度の国家がほぼ例外なく社会主義の要素を借用し、マクロコントロールを強化し、そこに内在する社会矛盾など多方面のことを緩和することによって社会福利を発展させていったことを示している。

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20世紀の80年代末から90年代初めにかけて、ソ連が巨大な変化を見せて解体し、その他の東欧の社会主義国も次々と旗色を変えていった。それによって、科学的社会主義の実践は、深刻な曲折の時を迎えた。一部の西側国家は、共産主義は失敗し、自由民主制度が「人類の意識形態発展の終着点」「最後の統治形式」などと宣称したものだ。

しかしながら、中国共産党の党員は、確固としたマルクス主義の信念に従い、畏れることなく政治的勇気を持って、そうした圧力を抑えつけ、自己の道を切り開き、中国の特色ある社会主義の偉大なる政治的選択を行った。先のない旧道を歩むことなく、かつ旗色を変えた邪な道を往くこともなく、マルクス主義の普遍の真理と中国の現実とを結合させて、改革開放を実行する道を進んだ。

まさにその道こそが、中国共産党が中国人民を率いて、国家と民族の発展を阻害する一切の思想や体制を除去し、社会主義制度のメリットを十分発揮し、大股に時代を闊歩し、党と国家事業を繁栄させ、国家と民族の面貌に前代未聞の変化を発生させるものだったのだ。

そして実際に、中華民族の偉大なる復興という光明の前景を迎えた。中国の特色ある社会主義の成功実践が雄弁に物語っているのは、科学的社会主義は真理であり、ただその基本原理を正確に応用し、実践しさえすれば、真理の無比で巨大なパワーが展示されるということである。

新時代に入った中国の特色ある社会主義は、発展途上国に現代化の道を切り拓き、世界で発展していけるという希望、自身の独立した国家と民族が新たな選択をできるという希望を与えた。人類の問題を解決するのに、中国の智恵と方案が貢献した。

すなわち、中国の特色ある社会主義は成功したのだ。その成功のもとは、中国共産党の堅強かつ安定した政治的リーダーシップ能力にある。党が正確に基本的な国情を把握して、長期にわたる正確な基本路線を制定し、改革が安定して発展していけるようあらゆる堅忍不抜の努力を怠らず、民主法治建設と国家の統治システムと統治能力の現代化を不断に強化し、整備してきたことによるものなのである。

もう一つの特別重要な経験は、国家がどのような発展の道を選択し、どのような社会制度を実行するかという際に、必ずや社会の発展の規律を尊重し、人民の意思を尊重しながら、わが国が実際に出発することを確定させていかねばならないということだ。

机上の理論を指導したり、外国の経験を持ってきて参考にしてもよいが、ただ模倣するだけではいけない。世界には、四方にあまねく通じる標準モデルなどなく、成功の要諦はあくまでも、自己の道を歩んでいくことにあるのだ。

われわれはいまだ前進の途上にあり、またわれわれの制度システムは、さらなる改革改善が必要である。だが科学的な社会主義は疑いなく、中国国内において巨大な成功を得たのであり、このことが世界に対して、特に多くの発展途上国に多彩な選択の道を提供し、人類文明の進歩に一大貢献をしたと言っても過言ではない。

中国の成功に世界は瞠目し、発展途上国は、さらに羨望と期待の眼差しで中国を見つめ、多くの国家が自身の発展の秘薬にしようとし、そこから秘訣を汲み取ろうとした。

まさにエチオピアのハイアマリアム総理が中国中央テレビのインタビューで述べたように、「中国の特色ある社会主義が新時代に入ったという点は、中国の経済、政治、軍事などの発展の中に見て取れ、中国の発展モデルを全世界が学習する価値があると言える」。この総理の話こそが、多くの発展途上国の声なのだ。

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中国の特色ある社会主義が新時代に入ったことが意味するのは、中国が日増しに世界の舞台の中央に近づいていることであり、世界平和と発展の力の増強である。そして、中国が将来の人類の進歩に、さらに大きな貢献をするということである。

習近平総書記が第19回共産党大会の報告の中で述べたように、中国共産党は中国人民の幸福を追求する政党であり、人類の進歩のために奮闘する政党である。そして、中国共産党は無産階級政党の国際主義の立場として、中華民族が天下をすでに担っているという崇高な心情を体現したのである。

長期にわたって、われわれは自身の安全と発展を維持、保護すると同時に、積極的に世界平和の発展に知恵と力で貢献してきた。わが国は国連の24項目の平和維持活動に累計3・5万人を派兵してきた。50数年間にわたって、発展途上国に1・5万人あまりの医療チームを覇権してきた。加えて、世界経済成長への貢献率は、多年にわたって一国で3割を超えている。

第18回共産党大会以降、われわれは中国の特色ある大国外交を全面的に推進してきた。そして、国際情勢の大発展、大変革、大調整と世界各国の平和と発展という共通の要求に直面しながら、積極的に国際地域のホット・イシューの解決に参画し、全世界の統治をリードしてきた。中国は積極的に提議と方案を提出し、国際的な影響力、カリスマ力、組成力をさらに一歩上昇させてきた。

第19回共産党大会の報告で、中国の特色ある大国外交によって、新型の国際関係を構築することを明確にした。そして人類の運命共同体の構築を、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の中に組み込んでいくことを推進し、その具体的内容を鮮明にしたのだ。それはすなわち、「相互尊重、公平正義、提携共勝」という新型の国際関係であり、「平和保持、普遍的安全、共同繁栄、開放包容、清潔美麗」という世界の姿だ。

これらは、新時代の中国の特色ある大国外交という目標の権威的解釈であり、世界に向けて中国外交が追求する理想を明らかにしたものである。こうした外交理念は、人類の歴史発展の過程の高みに位置しており、国家や社会制度の同異を超えて、世界各国の共同利益と普遍的な期待を反映したものなのである。

おかげで国際社会の広範な歓迎と支持を得て、すでに何度も国連の文書に組み込まれている。今後、われわれが期待できることは、中国の国際的影響力を不断に上昇させていき、中国の特色ある大国外交を不断に推進させていくことだ。そして人類の運命共同体構築を理念から実践に移し、必ずや不断に結実、開花させ、中国人民と世界人民の幸福に貢献していくのだ。

習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導のもと、さらに一層、広闊な眼で世界を見つめて、さらに一層、国際的責任を自覚し、さらに一層、国家のために担当能力を持つようにする。そうして新時代の中国の特色ある大国外交の新局面を開闢していくのだ。

第19回中国共産党大会の報告では、平和的発展の道を堅持し、人類の運命共同体建設の推進を主線としている。そして党と国家の対外政策の主張を系統立てて陳述し、新時代の中国外交の重要な戦略的配備を行い、その方向と任務を明確にし、新時代の外交活動に強力な基本的定めと指導を提供している。

この部分の内容は、外交活動の各方面を全面的に網羅している。文中や行間に浸透しているのは、中国共産党の党員は、中華民族の偉大なる復興を実現するための深思熟慮の民であり、天下世界を治めていくという胸懐の人士であり、新時代の中国外交が鮮明にした新たな視野と新たな境界を体現する者だということである。

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第19回共産党大会の精神の学習を貫徹し、思想認識を必ず新たな形勢の上に置き、新たな任務と新たな要求に適応していくことが、われわれに求められている。対外活動においては、国家のためになり、民族の利益を考え、国家と民族の利益と安全を堅く維持、保護すること。

及び人類の進歩に役立つ事業を考え、大国としての役割を積極的に果たし、大国の責任を履行し、大国の作用と影響力を発揮していくことが求められているのだ。

煩雑で複雑な国際問題や地域の問題に直面した際に、うまく互いの利を掴んで害を避け、うまく主動的に介入、参与し、積極的に中国から方案を提唱していく。そして協商・協建・共受の全世界的な統治観を持ち合わせ、全世界の統治システムの改革と建設に積極的に参与し、わが国の体外環境の組成力を高めていく。

人類の運命共同体の構築はすでに、中国外交の崇高な目標であり、世界の発展と人類の未来に対する中国共産党員の正確な方向づけである。それを中国がリードする時代の潮流と、人類の文明の進歩の方向に向かって旗幟を高く掲げ、そこに内在する豊富なものを認識し、その重大な意義を深刻に捉え、新時代の外交活動をうまく執り行うのだ。

第19回共産党大会の報告の精神と関係する論述を全面的かつ正確に捉え、客観的な現実から出発して主動的にアプローチし、政策を把握し、それらを実際の活動にうまくマッチさせていくのだ。

第19回共産党大会の報告では、「中国人民の幸福を謀るため」「人類を進歩させる事業に向かって奮闘するため」といったことが提出された。これらは、中国共産党が全人類を解放させる無産階級の政党としての基本的な属性と基本的立場を反映させたものである。同時に、中国と世界との空前の連結であり、中国の発展が世界と切り離すことはできず、世界の発展もまた中国の客観的な現実の反映と切り離せないということを示したものなのである。

中国外交の服務は、(国内と国外の)二つの同じでない目標がある。それは、二つの同じでない対象を向いているということだが、実際には両者は密接に関係しあい、統一的に内在されている。これらは、われわれが国内と国外の二つの大局をうまく統治することを要求するものであり、内外の両方向に目を向けることなのである。

また、国家の利益を根本的な出発点とすることは堅持しながらも、同時に外部の影響も顧みるということである。つまり、国際的責任を履行するに際して、わが国の利益と安全の角度からの着想を多く持つということでもあるのだ。

西側諸国は長期にわたって、わが国の社会主義制度を、偏見ないしは敵視しながら見てきた。そして常にこれを排斥し、疑義を唱えようとしてきた。それに対し、科学的社会主義が中国にもたらした偉大な成功は、そのような態度と立場に対して、強力な回答を与えるものだ。

われわれには、自分たちのサクセス・ストーリーを、気宇壮大に世界にアピールする完全な理由がある。中国人民が自主的に選択した中国の特色ある社会主義の道が、全世界に応用できる認識、同意と尊重を得られるよう推進していく完全な理由があるのだ。

中国は一貫して、世界各国の相互尊重、同じでない社会制度を持つ国家同士の平和共存を主張してきた。中国の道の成功が必ずしも、国際的な思想対立や闘争を招くものではないと主張してきた。そして無知と偏見を除去し、よりよい平和共存の道を実現させようと主張してきた。

習近平総書記は、第19回共産党大会の報告の中で、世界には完全に同じ政治制度モデルなどなく、政治制度は特定の社会の政治条件や歴史文化の伝統の具合などと密接に結びついていると指摘している。そのため一国の政治制度は、指導者の一存では定められず、また無理やり外国の政治制度を自国に運び込めないということも指摘している。

中国の道の成功は、一部の発展途上国に、主動的に自身の発展の道の問題を考えさせる機会を与えた。われわれには、中国の話や経験を彼らに紹介し、参考にしてもらう義務と責任がある。しかし、一つの国家がどのような発展の道を選択するのかは、最終的にはそれぞれが自己の道を探索し、選択していかねばならないのである。>(以上)

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どうだろう、この自信に満ち溢れた「中国模式」(チャイナ・モデル)のアピールぶりは。やや大袈裟な言い方をすれば、19世紀に興った「欧米型資本主義」、20世紀に興った「ソ連型社会主義」に続き、21世紀には「中国型社会主義」が、世界の政治システムの主流をなすであろうと予見しているのである。

実際、足元のA.S.E.A.N.10ヵ国を見ると、社会主義国のベトナムとラオスが「中国模式」を採用している。加えて最近は、フンセン首相の独裁化が進むカンボジア、同じくロヒンギャ難民を弾圧し、独裁化に転じた「スーチー政権」のミャンマー、そして「薬物撲滅」の大義名分のもと、ドゥテルテ大統領がやはり専制民主の道を歩むフィリピンも、「中国模式」に傾きつつある。つまり、すでにA.S.E.A.N.の半数の国が、「中国模式」を採用しているか、もしくはその方向に向かっているのである。

アジアは「中国模式」がスタンダードとなっていくのか。2018年も「巨竜」から目が離せない。

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『2018年「北の核」は軍事攻撃か体制崩壊で決着 かすかに残る「核をカネで買う」妥協案』(12/26日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/26日経朝刊2018年の世界(2)現実味増す米朝衝突 北京大学国際関係学院院長 賈慶国氏

――2期目に入った中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は「新型の国際関係」を築くべきだと訴えています。

「(中国がオバマ前米政権に提起した)『新型の大国関係』と基本的に同じだ。核兵器が存在するなかで大国がいがみ合えば、出口はなくなる。協力するためには、何よりもまず互いの主権と領土保全を尊重しなければならない。大国同士が協力し、はじめて(国際社会を)率いる力が生まれるという考え方だ」

――中国が南シナ海などへの進出を加速すれば、米国や国際社会と衝突するのではないですか。

「南シナ海、東シナ海のいずれでも、中国はずっと前から権益を主張してきた。最近になって言い始めたわけでない。過去との違いは中国が強大になったことだ。国家の権益を守るため、以前より積極的な措置を採るべきだとの声が増えている。もちろん、周辺国との意見の相違は平和的な方式で処理すべきだ」

――今年9月、朝鮮半島での有事に備え、中国は米国や韓国と事前に協議すべきだと提言し、大きな反響を呼びました。

「朝鮮半島で危機が起きる可能性は大きく高まっている。(1)北朝鮮の核実験で事故が発生する(2)国連の制裁強化で北朝鮮の経済が行き詰まる(3)米国が予防的な軍事行動に出る(4)北朝鮮で政治的な動乱が起こる――の4つの事態が考えられる」

「危機対応策は中米韓が個別に考え、互いに擦り合わせていない。本当に危機が起きたとき、それぞれの軍隊が偶発的に衝突する恐れもある。難民の受け入れなどを含め、関係国は事前に十分な話し合いをすべきだ」

――米国が北朝鮮に対して軍事行動に出る可能性はありますか。

「その可能性は大きくなっている。さまざまなルートから入ってくる情報によると、米国は北朝鮮への予防的な攻撃を真剣に検討している」

――米国は中国に北朝鮮への石油供給を止めるよう求めています。

「かえって危機を引き起こしかねず、中国政府は非常に慎重だ。それでも石油供給の停止を完全には排除できない。北朝鮮が国際社会の反対を顧みず、核・ミサイル開発を続ければ中国はさらなる努力を迫られる」

――米朝の直接対話はあり得ますか。

「当然、あり得る。問題は何らかの合意を得られるかだ。私は難しいと思う。北朝鮮は中国を含め、誰も信用していない。核兵器を開発するしか自らの安全を守る方法はないと考えている」

――日中関係に改善の兆しがあります。

「ある程度は改善しているが、正常な水準に戻ったとは言い難い。両国は協力できる分野が数多くあるのに、歴史や領土の問題が障害となり、関係をなかなか改善できない悪循環に陥っている」

――中国の巨大経済圏構想「一帯一路」での協力は、日中関係の改善を後押ししませんか。

「世界の多くの国でインフラ需要があり、中国は資金や技術だけでなく管理の面でも助けを必要としている。一帯一路は中日が協力する非常によい機会となる。両国がビジネスの面でも競い合っているだけでは、お互いに損するだけだ」

(聞き手は中国総局長 高橋哲史)

中国の国政助言機関、全国政治協商会議の常務委員も務める。金正恩(キム・ジョンウン)氏が最高指導者に就いた後、北朝鮮を1度訪れたことがある。61歳>(以上)

賈慶国氏については9/19の本ブログでも取り上げたことがあります。でも中国人は平気で嘘がつけないと出世できないという事です。尖閣や南シナ海について中国はずっと前から権益を主張してきたと言いますが、「証拠を出せ」と言いたい。「南京」や「慰安婦」と同じで指し示す史料は何もなく証言だけではないですか(中国の南京の史料は捏造と東中野修道氏に見破られました)。日本に史料はたくさんあります。裁判(当事者間の権益の調整)をする場合、当然“factual evidence”に基づいて判断されます。証言だけでは偽証や勘違いもあり、証拠としては不十分です。米国では、民事の場合“preponderance of evidence”が判断基準に、刑事事件の場合は“beyond reasonable doubt”が判断基準になると渡邉怱樹氏の本に書いてありました。まあ、民主主義も体験したことの無い中国ですから、近代法に則り行動することを要求しても無理なのかも。力の信奉者で遅れて来た帝国主義者ですから。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7218

News Alert – Mattis Asks Troop To ‘Prepare For War’ As Storm Clouds Gathering Over Korean Peninsula=マテイス長官は朝鮮半島を覆う戦雲に対し、部隊に「戦いに備えよ」と。

https://www.youtube.com/watch?v=JZjmGPWOnrA&feature=share

鈴置氏の言うように、暗殺・クーデターで朝鮮半島の非核化ができるのが理想です。でも北朝鮮の人々は洗脳されていますのでなかなか難しいのかと。国際社会の経済制裁が効いてきても、自国民を餓死させても、金正恩は核開発に邁進するでしょう。それを防ぐには、クーデターが起きないのであれば、早めに米軍が攻撃して北朝鮮の体制変換を図った方が良いのでは。金正恩はmadman なのでMADは成立しません。

記事

年末年始の特別企画として、日経ビジネスオンラインの人気連載陣や記者に、それぞれの専門分野について2018年を予測してもらいました。はたして2018年はどんな年になるのでしょうか?

(「2018年を読む」記事一覧はこちらから)

12月12日、ティラーソン国務長官は、MADが成り立たない北朝鮮には核を一切持たせないと言明した。(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

北朝鮮の核問題の行方はほぼ2つに絞られた。米国が軍事攻撃して核を除去するか、金正恩(キム・ジョンウン)体制が崩壊するか――である。いずれにせよ2018年中に決着する可能性が高い。

中ソと異なり共存できない

トランプ(Donald Trump)大統領の国連演説(9月19日)を通じ、米国は「北朝鮮の核武装はいかなる形であっても認めない」姿勢を明確に打ち出した(「北朝鮮に『最後通牒』を発したトランプ」参照)。

もし北朝鮮がテロリストに核を売らないと約束すれば、あるいは、米国まで届くICBM(大陸間弾道弾)を開発しなければ、核武装を黙認する、との構想がワシントンで語られたこともあった。しかしトランプ大統領はそうした妥協策をはっきりと否定したのだ。

妥協案の背景には「核保有国のソ連や中国とも米国は共存した。核を持つ北朝鮮ともできないはずがない」との理屈がある。だがトランプ政権は北朝鮮を、金正恩という異常な指導者に率いられる共存できない存在と見なした。

韓国での国会演説(11月8日)でトランプ大統領は、数々の例をあげて北朝鮮の人権蹂躙を非難し「狂信的カルト集団」と規定した(「トランプ大統領の韓国国会演説のポイント(1)」参照)。

■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)

北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え

10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ

反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている

金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた

外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた

神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている

外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた

北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示

米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)

米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)

米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)

韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)

韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)

米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)

「金正恩カルト体制」への批判

北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある

核兵器を持つ国同士が厳しく対立したからといって、必ずしも核戦争は起きない。相手を先制攻撃しても核で反撃されたら我が身も滅びる――と指導者が考えるからだ。核による均衡、専門用語で言えば「相互確証破壊」(MAD=Mutual Assured Destruction)である。

だがMADは「相手も自国民の被害に思い至り、合理的に考えて先制核攻撃はしてこないだろう」と双方が確信した時に成立する。

暗殺、クーデターで体制崩壊

北朝鮮は自国民の人権をためらいもなく侵害してきた。「米国や日本、韓国を先制核攻撃する」とも言い放ってきた(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。そんな異常な国とMADは成立しないのだ。

12月12日、ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が再び、MADが成り立たない北朝鮮には核を一切持たせないと言明した。アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)での演説だ。

同長官は「北朝鮮はソ連や中国、ほかの核保有国にも相当しない。何らかの国際的規範に裏打ちされた行動をしてこなかった。それどころか正反対だ。だから大統領も私も核武装した北朝鮮を認めない」と述べた。原文は以下だ。

That certainly was not the case with the Soviet Union. It’s certainly not the case with China. It’s certainly not the case with other nuclear countries that possess nuclear weapons.

These are countries that have a history of abiding by certain international norms. North Korea has no such record. In fact, their record is quite contrary to that.

And that’s the reason the President and I agree with his assessment that we simply cannot accept a nuclear-armed North Korea, and I think that’s why it is the policy of the neighborhood as well.

米国がここまではっきりと「北の核は認めない」と宣言した以上、ICBMを持たなければ暗黙裡に核保有を認める、といった妥協はできない。

結局、北朝鮮が核を捨てない限り、米国にとって選択肢は2つしかない。軍事行動で核を取り上げるか、あるいは北朝鮮の指導層に、暗殺やクーデターで金正恩体制を倒させるか、である。

前者の場合も体制が崩壊する可能性が高い。全面的な軍事攻撃を実施する際、米国は当然、空爆による金正恩暗殺を狙う。それに失敗しても、核武装以外に実績のない若い「敗軍の将」が政権を維持するのは容易ではない。

発射台だけ先制攻撃

英紙テレグラフ(電子版)は12月20日「北朝鮮が新型ミサイルを試射する前に、そのミサイル発射台を破壊する作戦『Bloody nose』を検討中」と報じた。「Exclusive: US making plans for ‘bloody nose’ military attack on North Korea」である。

テレグラフは「米国はICBM破壊により本気であると金正恩に見せつけ、核開発の中断と米国との交渉につなげたい考えである」とも報じた。

核施設を航空機やミサイルで破壊するなら、レーダーなど防空網や日米を攻撃するミサイル基地など、軍事関連施設のすべてを叩く大規模な戦争になる可能性が高い。

それを避けるためICBMの発射台に限って攻撃を実施するアイデアが浮かんだのだろう。だが、この「限定的な攻撃」を受けた北朝鮮が、反撃して全面戦争に発展しないとの保証はない。

いずれにせよこうした構想を練るに至るほど、米国は外交による解決に希望を持たなくなっているのだ。

「首のすげ替え」呼び掛ける米

米国が未だに期待しているのは「体制崩壊」だ。金正恩委員長の冒険主義に危機感を抱く指導層や軍部に暗殺、クーデターを起こさせる。後継政権と交渉して核を放棄させる――構想だ。軍事攻撃と比べれば、はるかに「平和的」な方法だ。

この案はCIAのポンペオ(Mike Pompeo)長官が公然と提唱してきた(「『金正恩すげ替え論』を語り始めた米国」参照)。北朝鮮の指導層を恐怖に陥れ、体制の動揺を誘う軍事的威嚇と経済制裁強化に米国が余念がないのもそのためだ。

11月29日のICBMの実験以降「米国は2018年3月までに北朝鮮を攻撃する」といった情報が相次いでリークされ「戦争間近」のムードが醸し出されている(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

対北朝鮮経済制裁もさらに強化された。12月22日、国連安保理は米国主導で、石油精製品の北朝鮮輸出を9割削減することを決めた。ガソリンやディーゼル燃料の在庫を枯渇させ、戦闘能力を奪うのが目的だ。

11月21日にはジンバブエのムガベ大統領が軍の反抗で失脚している。金正恩委員長の祖父、金日成(キム・イルソン)主席とムガベ氏は親しかっただけに、首筋にひやりとしたものを感じたに違いない(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。

「おまけ」は米韓同盟破棄?

軍事攻撃と体制崩壊は朝鮮半島の激変を呼ぶ。もっと穏やかな解決方法として、新たな「対話解決」の道が探られている模様だ。「北の核をカネで買う」案だ。

ティラーソン国務長官のアトランティック・カウンシルでの演説に興味深いくだりがある。

同長官は「北朝鮮が(軍事的な)抑止のためだけに核を持つのではないことは明らかだ。商業用の目的だ」と語った。

it’s clear to us that they would not just use the possession of nuclear weapons as a deterrent. This would become a commercial activity for them. Because we already see elements of it in the commercial marketplace.

テロリストらに売るために核を開発している、と断じたのだ。そうだとするのなら、テロリストの代わりに米国が北から核を買い取ることも可能なはずだ。

ティラーソン長官はこの演説で「初めの会談は前提条件なしに会おう」と対話も呼び掛けた。「彼らも巨額のカネを投資しているのだ。核をあきらめるためだけに対話のテーブルには付かない」と述べている。要は「核を放棄すれば、代償はカネで支払う」と呼び掛けているのだ。

it’s not realistic to say we’re only going to talk if you come to the table ready to give up your program. They have too much invested in it. And the President is very realistic about that as well.

もっとも、金正恩委員長が「カネで売る」取引に応じる可能性は低い。核は「米国に抗する英雄」の象徴であり、権力の源泉である。そこで米国は「在韓米軍の撤収」あるいは「米韓同盟の破棄」など“おまけ”を付けると言い出すかもしれない。

仮に金正恩委員長が応じなくとも、このような具体的な案を示せば北の指導層もいっそう「米国との取引」に魅力を感じ「体制打倒」に心を動かすだろう。

「3月までに決着」と威嚇

北朝鮮の核問題を分析する時、重要なのは「時」だ。放置するほどに北朝鮮が、米国まで届く核ミサイルを完成する可能性が増す。

だからこそ「2018年3月までに軍事攻撃する」との米国発の情報が乱れ飛ぶのだろう(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

この情報リークは「クーデターや暗殺を実行するなら早くせよ」と、北の反乱を急かすためとも思われる。あるいは「核の購入期限は迫っている」という意味でもあろう。

北朝鮮がこうした取引に乗るフリをした時、米国は軍事攻撃のタイミングを失うかもしれない。その際、核問題は進展のないまま、こう着状態に陥る可能性がある。米国の焦燥感から見て、その可能性は極めて低いのだが。

  • 北朝鮮の核問題、2018年のシナリオ

①米国の軍事行動により核を除去→全面戦なら金正恩政権崩壊の可能性

②暗殺・クーデターで金正恩政権崩壊→後継政権は核を放棄

③米国が核をカネで買う取引→在韓米軍撤収、米韓同盟破棄の可能性

④こう着状態が続く

(次回に続く)

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『トランプ大統領の「クリスマスプレゼント」 約30年ぶりの税制改革は政権浮揚につながるか?』(12/22日経ビジネスオンライン 篠原匡)、『話題づくりに腐心するプーチン再選戦略 実質4期目、ビジョン曖昧で有権者はマンネリ気味』(12/22日経ビジネスオンライン 池田元博)について

12/22大前研一氏メルマガで「▼米税制改正の影響は極めて大。2.5兆ドルが米国に戻る可能性

与党共和党指導部は13日、上下両院の一本化へ向け協議していた連邦法人税率について、21%に引き下げる案で大筋合意しました。両院とも20%に引き下げる案でそれぞれ可決していましたが、実施時期を2018年で統一する一方、税収減を懸念する議員を配慮し、減税幅を1%縮小したもので、週明け早々にも上下両院で採決する見通しです。

おそらく今年中にはトランプ大統領がサインをして成立する予定です。共和党としてはこれでトランプ大統領の役割は終わりと考え、後は決別してもいいという気持ちだと思いますが、これは極めて重要な案件です。

連邦法人税率を21%に引き下げるということですが、実際には各州税が加わるため、20%台後半の税率になります。また個人所得税については、最高税率が39.6%→37%に引き下げられます。こちらは、あまり効果を期待できないでしょう。

一方、大きな影響を期待できるのが、海外子会社からの配当課税の廃止です。これにより、企業は海外留保資金を米国に戻しやすくなります。これは非常に影響力が大きく、うまくすれば、海外に置いている2.5兆ドル規模の資金が米国に戻ってくる可能性があり、米国は「お金でジャブジャブ」状態と言えるレベルになるでしょう。

この政策が実施されると、米国はクリントン政権の後期のように、盆と正月が一緒に来たような状態になるかもしれません。米国経済は株価も上がり、さらに海外からの資金も流入してくる可能性があり、

日本経済への影響も極めて大きいものになると私は見ています。

トランプ大統領に弾劾を乗り切る能力はない

ザ・エコノミストは13日、「ロシアゲート、厄介なシナリオ」と題する記事を掲載しました。大統領選当時のトランプ陣営幹部らが出版した回顧録からは、陣営の混乱状況とことごとくルールを破る厚かましさが見て取れると指摘。現在捜査を進めているモラー特別検察官がコミー氏解任による司法妨害の罪をあげたとしても、おそらくトランプ氏はニクソン氏のようには辞任せず、議会もトランプ氏を追い落とすには分断されすぎているとしています。

私は少し異なる意見を持っています。共和党は完全に分裂しており、トランプ大統領を支持するのはわずか10%程度です。大統領の弾劾の可能性も大いにあると思います。そして、もしトランプ大統領が弾劾される立場になったとき、彼の言語能力ではその状況に耐えられないと見ています。

トランプ大統領の発言を見ていると、文章は短く、バラバラでしかモノが言えない人だと感じます。弾劾される立場になって厳しい問答に1時間も2時間も耐えられるとは思いません。クリントン元大統領、ニクソン元大統領とも違います。その意味でも、トランプ大統領が辞任する可能性は大いにあると思います。ただ、トランプ大統領が辞任したとしてもトランプファミリーにとっては何も痛いところはないでしょう。大統領を何年務め上げたかは関係なく、元大統領という経験と肩書きがあれば十分でしょう。

プーチン大統領とメドベージェフの役割と関係性

ロシアのヤマル半島に設置したプラントで8日、液化天然ガス(LNG)の生産が始まり初出荷に合わせた記念式典が開かれました。これは、ロシア天然ガス大手・ノバテクを中心に、総額約3兆円を投じて進められるプロジェクトでこれによりロシアは従来のパイプラインによる輸出だけでなく、北極海航路を利用したアジアや欧州向けのLNG輸出を拡大したい考えとのことです。

このヤマル半島というのは、現地ネネツ語で「ヤ(世界)マル(終わり)=最果て」の意味を持つ、非常に気候条件が厳しい地域です。1年のうち約8ヶ月は冬で、氷点下60度まで気温が下がります。一方、夏にあると30度まで気温が上がり永久凍土が溶け、蚊や虻が大量発生するという地域です。天然ガスの埋蔵量は世界有数の地域として有名です。

ロシアはこのヤマル半島に港をつくる計画を立てています。一般的に天然ガスはパイプライン経由で輸送されますが、今回の計画は、天然ガスを液化してLNG船で輸送するというものです。液化した天然ガスをのせたLNG船で、北極海を通じて日本や中国に運ぶという壮大な計画です。

この日、プーチン大統領は3箇所の異なる場所に顔を出して、挨拶・演説をしていました。ヤマル半島という寒い場所にも赴いて、達者な人だと感じました。

そのプーチン大統領は、2018年3月に予定される次期大統領選挙への出馬を表明しました。自動車企業の従業員らとの会合で、参加者からの立候補の要請に応える形で明らかにしたもので、再選され任期満了の24年まで務めれば約四半世紀にわたってトップに君臨することになります。

プーチン大統領は2000年に大統領に就任し、一度首相を経て、また大統領に就任しました。その間に大統領の任期を6年に延ばし、6年×2期=12年できる体制を確立しています。

プーチン大統領に対するロシア国内の支持率は、約80%です。ロシア国民の政府に対する不満は高いのですが、その不満はメドベージェフ首相に向けられていて、プーチン大統領には影響していません。

政府の代表はメドベージェフ首相であり、政府に対する不満は首相に向けられるようになっているのです。この構図は中国も全く同じです。習近平は総書記であり、中国政府に対する不満は国務院総理である李克強に向けられます。私は以前、「李克強がメドベージェフ化した」と説明したことがありますが、まさにこの構図のことを指しています。

それにしても、メドベージェフ首相をおとしめて、プーチン大統領は安全な立場で信任を得ているという、このイカサマのロジックにロシア国民は気づいていないのでしょうか?おそらくロシア国民は、みんな気づいていると私は思います。

それでも、今のロシアから強力なリーダーシップを発揮するプーチン大統領がいなくなってしまうと、

米国や欧州からも馬鹿にされてしまうので、どうしようもないと感じているのだと思います。

すなわち、プーチン大統領は「必要悪」であり、強いロシアを作るためには必要な人物だと認められているということです。

日本にとってみれば、プーチン大統領の再任はチャンスです。プーチン大統領は親日派です。一方のメドベージェフ首相は日本を好きではありません。プーチン大統領が再任されたとして、任期は6年です。日本としては、その6年間でロシアとの問題を解決しないと、さらに厄介な状況になってしまうでしょう。」(以上)

プーチンと習の大きな違いは、トップとして国民の選挙で選ばれたかどうかです。共産党の息のかかった人間しか立候補できない人民民主は真の民主主義から相当遠く、非民主と言っても言い過ぎではないでしょう。世界経済第二位と言われる国が「独裁国家」では。これを認め、貿易してきた自由主義国のセンスがないとしか言いようがありません。世界制覇を目論む国を支援して来たのですから。

以前本ブログで紹介しました高濱賛氏と大前氏のトランプ大統領の弾劾に対するスタンスの違いがあります。どちらの予想が正しいか期待して見守りたいです。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7855

大前氏・篠原氏共に「海外子会社からの配当課税の廃止」を高く評価しています。カネが世界から米国に還流して景気が上がるのか、過熱してFRBが利上げをするのか、2018年の中間選挙にどう影響を与えるかです。日本は2009年度から「海外子会社配当益金不算入制度」を創設しましたが、景気が良くなっている実感がないのは、企業が投資や賃上げをせずに、内部留保として貯め込んでいるせいです。米国は貯めこむことはしないでしょう。

ロシア経済を上向かせるためには、欧米の経済制裁を解除して貰わなければなりません。まず米国が北朝鮮問題を片づけ、中国と対峙するように仕向けなければ。本来経済制裁すべきは中国であってロシアではない、「クリミアはウクライナ人のフルシチョフが勝手にウクライナに渡しただけ、歴史的に見ればロシアのもの。これに対し中国の主張する東シナ海・南シナ海の領有については根拠がない」と訴えるべきです。平昌オリンピックについて12/23の本ブログで「プーチンがIOC決定を簡単に飲んだのは、戦争で平昌オリンピックが潰れるのを知っているからだという説もあります」と紹介しました。それは次のブログの記事からです。

http://www.mag2.com/p/money/352657

12/25・26増田俊男氏メルマガ<戦後初めて花開く日本の外交><イスラエル・パレスチナ和平方式>に今度の河野外務大臣の中東訪問の狙いが書かれています。書かれていることが本当かどうか分かりませんが、もし真実だとすれば成功して、中東問題が平和的解決に結び付けられれば良いと願っています。

http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/back_h29.html

http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h29/jiji171226_1219.html

篠原記事

米下院は12月20日、約30年ぶりの大規模な税制改革法案を可決した。税制改革法案の可決を喜ぶ米下院のポール・ライアン議長(中央右)と握手をするトランプ大統領 (写真:AP/アフロ)

米税制改革法案が成立へ、減税規模は約170兆円

トランプ政権と共和党にとって、さしずめ逆転ホームランといったところだろうか。

12月20日、米下院は税制改革法案を採決、賛成多数で可決した。米上院も同日未明に同法案を可決しており、あとはトランプ大統領の署名を待つばかり。1986年のレーガン政権以来、およそ30年ぶりの大規模な税制改革の実現は確実な情勢だ。

全体の減税規模は10年で1兆5000億ドル(約170兆円)と2001年の「ブッシュ減税」を上回る。35%だった連邦法人税は21%と日米欧の主要先進国で最低水準になる見込みだ。2026年までの時限措置だが、個人所得税も税率の引き下げが実現する。

海外子会社からの配当は非課税に

また、米国は全世界課税方式を採用しており、海外子会社の所得を配当として米国に還流させる際に課税対象になっていたが、全世界所得課税方式を廃止、国外の源泉所得に課税しないテリトリアル課税に移行することも決めた。

「米国へのクリスマスプレゼント」。税制関連法案の年内成立に強い意欲を示していたトランプ大統領。大統領選で公約に掲げた法人税率15%はさすがに無理だったが、大幅な法人税引き下げという公約は果たした。

今回の税制改革の実現はトランプ大統領にとって極めて大きな政治的勝利だ。

最初に着手したオバマケア(米医療保険制度改革法)の撤廃は身内の共和党の分裂によって頓挫した。メキシコ国境に壁を作るという公約も、壁の試作品こそ募集したが、効果に疑問符がつく上に財政悪化につながる支出に共和党は否定的だ。もう一つの公約である1兆ドルのインフラ投資も実現のメドは全く立っていない。

追い詰められていた共和党

トランプ氏は大統領就任以来、オバマ政権時代に導入された規制の撤廃や緩和を進めている。だが、本人の発言とは裏腹に、立法面における成果はないに等しい状況だった。このまま税制改革まで失敗すれば、トランプ政権の実行力を疑問視する声が相次いだだろう。

尻に火がついていたのは共和党も同様だ。

共和党は上下両院で過半数を維持しており、議会をコントロールできる立場にある。大統領も生粋の保守政治家ではないが、共和党の候補として大統領選を勝利したトランプ氏だ。しかも、税制改革は共和党を支える大口献金家や企業が強く求める看板政策。その中で税制改正まで頓挫すれば共和党指導部のメンツは丸つぶれである。

もっとも、「税」は利害関係が幅広く、同じ政党の中でも各論では賛否が入り交じる。共和党はフリーダム議連のような財政タカ派から中道右派の穏健派までウイングが広く、2018年11月に中間選挙を控えているため時間的な余裕はほとんどない。10月末のハロウィンの頃は年内の税制改革は無理筋という見方が主流だった。

最大の難関、上院で起こった様々なドラマ

その状況下、共和党指導部は猛スピードで立法プロセスを進めた。上院と下院の意見をまとめる時間がないため、それぞれが別の法案を可決、あとで一本化するというプロセスを取った。税率も下院案では20%だったが、財政規律を重視する上院に配慮して一本化の過程で21%に引き上げている。法案の詳細をぎりぎりまで明らかにしなかったのも中身への批判を封じ込めるためだ。

それでも、共和党の議席が52(定数:100)しかない上院では様々なドラマが起きた。

上院版の税制改革法案を採決する際には財政赤字の懸念から共和党の重鎮、ボブ・コーカー上院議員が反対票を投じた。同じ共和党のスーザン・コリンズ上院議員は不動産税の控除、ロン・ジョンソン上院議員も個人事業主やパートナーシップなどのパススルー企業への控除が少ないと批判している。

法案一本化の過程でも、土壇場でマルコ・ルビオ上院議員が子女控除の還付を巡り不満を表明、共和党に緊張が走った。12月19日に中東訪問を予定していたマイク・ペンス副大統領が予定を延期したのは上院の採決で賛否同数だった場合に最後の1票を投じるため。最終的に控除額の引き上げなどで反対議員を懐柔したが、かなりきわどい情勢だったのは間違いない。

中間層の減税幅は小さく、企業や富裕層の恩恵が大きい

「歴代政権で誰もできなかったことを成し遂げた」。ポール・ライアン下院議長など共和党指導部とともに演説に臨んだトランプ大統領は税制改革の勝利を高らかに宣言した。共和党現職にとっても支持者に向けた実績ができて一安心だろう。ただ、今回の税制改革が共和党に中間選挙の勝利を呼び込むかどうかは不透明だ。

「相対的に中間層の減税幅が小さい」。米ユーラシア・グループのジェフリー・ライト氏がこう指摘するように、今回の税制改革は企業や富裕層の恩恵が大きい。

個人所得税の引き下げや子女控除で中間層も恩恵を受けるが、法人税減税を恒久化するために個人所得税の引き下げは2026年までという期限が設けられた。2026年以降は延長すると共和党は述べているが、延長されるかどうかはその時になってみないとわからない。減税規模も所得が増えるにつれて上がっていく。中間層が企業の犠牲になった格好だ。

ウォールストリート・ジャーナルとNBCが実施した世論調査によれば、回答者の41%が税制改革について否定的な見方を示した。それも企業や富裕層のための税制改革と捉えているからだだろう。「税制改革は中間選挙の争点になる」とライト氏は言う。

また、減税によってトランプ政権が主張する3%以上の経済成長が実現するかどうかも定かではない。

減税には小さな政府を実現するという面も

法人税が減れば設備投資や雇用の増加が理論上は見込まれる。だが、米国は完全雇用に近い状況にあり、人手不足が深刻だ。減税による需要喚起も期待されるが、経済状況が過熱することでFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペースが加速、減税の効果を打ち消すかもしれない。

「保守派が望んでいるのは連邦政府の縮小」。米シンクタンク、ヘリテージ財団のジェイムズ・カラファノ副所長が語るように、減税には連邦政府の税収を減らすことで小さな政府を実現するという面もある。共和党の保守派にとっては大勝利だが、それが多くを占める無党派に響いたかどうかは中間選挙が近づくに連れて明らかになるだろう。試合はまだ終わっていない。

池田記事

プーチン大統領が来年3月の大統領選への出馬を表明した。国内の支持率は8割を超え、有力な対抗馬もいない。再選は確実だが、手をこまぬいていれば国民の選挙への関心が低下しかねず、政権も話題づくりに腐心しているようだ。

12月6日、ロシアのプーチン大統領はニジニーノブゴロドのゴーリキー自動車工場の創業85年式典で大統領選出馬を表明した(写真:代表撮影/AP/アフロ)

時は12月6日、場所は西部ニジニーノブゴロドにある大手自動車会社「ゴーリキー自動車工場(GAZ)」。プーチン大統領は同社の創立85周年の祝賀式典に出席し祝辞を述べた。すると間髪を入れず、式典の司会者から質問が出た。

司会者「あなたは本日、ボランティアのフォーラムで大統領選に出馬するかを聞かれました。あなたは国民が支持してくれるなら出馬すると答えました。さて今日、この会場では例外なく、全員があなたを支持しています。ウラジミル・ウラジミロビッチ、我々にプレゼントを下さい。ここで自らの決断を表明してください。なぜなら、我々はあなたの支持者だからです」

プーチン大統領「ありがとう、本当にありがとう。(出馬)表明の場として、ここより良い場所も良い手段もないでしょう。支持をありがとう。私は大統領候補者として出馬します。本当にありがとう」――。

司会者が言及した「ボランティアのフォーラム」はプーチン大統領が同日、GAZ訪問前にモスクワで参加した催しだ。若者を中心にしたボランティア活動を表彰するこの式典で、大統領は2018年春の大統領選に出馬するのかという質問を受けた。大統領はいつもなら「何も決まっていない」と受け流すのに、この日はまず、「(出馬表明は)誰にとっても非常に責任の重い決断となる」と強調した。

大統領は続けて、人々の生活を向上させ、より強大で防御され、将来に向けた明確な指針のある国にしたいという欲求が立候補の動機となると指摘。こうした目標を達成できるかどうかはひとえに、人々が自分を信頼し支持してくれるかどうかにかかっていると強調した。その上で「もし、私がそのような(出馬の)決断をしたら、皆さんはその決断を支持してくれるでしょうか」と参加者に問う形で、暗に国民の支持を促していた。

会場からはすかさず「支持します」との声があがったものの、大統領はこの場では「近いうちに私の決断を公表します」と答えただけだった。そして、その日のうちにGAZの創立85周年式典に参加し、出馬表明となったわけだ。

労働者たちの熱烈な支持に背中を押され、長らく逡巡(しゅんじゅん)していた大統領選への出馬をついに決断した――。そんな演出だったのだろう。偶然を装ったようだが、2つの式典を巧みに使って効果を盛り上げる。大統領府が事前に練りに練ったシナリオに基づくパフォーマンスだったことは疑いない。

クリミアを併合した“記念日”に大統領選を実施

プーチン大統領が出馬表明した当日は、それまで別の衝撃的なニュースがロシアを駆け巡っていた。前日夜にスイスのローザンヌで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で、組織的なドーピング関与が疑われるロシア選手団の来年2月の平昌冬季五輪参加を認めない決定が下されたことだ。

潔白が証明された選手は「ロシアから来た五輪選手」として個人参加が認められるものの、ロシア国旗や国歌は禁止されるという厳しい内容に、落胆したロシア市民は少なくなかった。

それだけに、平昌五輪へのロシア選手団の出場禁止というニュースから国民の目をそらすべく、プーチン大統領が慌てて大統領選への出馬を表明したとの説もある。ただ、今回の出馬表明は最大限の演出効果を狙ってかなり入念に準備されたとみられるだけに、IOCの決定に左右されたという見方は必ずしも多数派ではない。

いずれにせよ、本命のプーチン大統領が出馬表明したことで、大統領選がいよいよ本格化する。ロシア上院は15日、大統領選の投票日を来年3月18日とすることを全会一致で承認した。3月18日はロシアが2014年、ウクライナ領のクリミア半島を自国に併合した記念日でもある。

大統領選にはロシア自由民主党のウラジミル・ジリノフスキー党首、ロシア共産党のゲンナジー・ジュガノフ党首といった〝常連組〟のほか、プーチン大統領の恩師の娘で女性テレビ司会者として知られるクセーニア・サプチャク氏らが立候補する見通しだ。野党指導者で反政権派ブロガーのアレクセイ・ナワリヌイ氏も出馬に意欲を示しているが、当局側は同氏が横領罪で有罪判決を受けたことを理由に立候補を認めない方針とされる。

新顔のサプチャク氏は反政権派とされているものの、大統領府が選挙戦への国民の関心を高めるため、プーチン大統領の「スパーリングパートナー」として出馬を要請したとの説も根強い。有力な対抗馬が不在のまま、選挙戦はプーチン大統領の圧勝で終わるとの予測が大勢を占めている。

政権側にとって再選戦略の課題はむしろ、プーチン大統領が出馬表明時に演出したシナリオ通りに、「大多数の国民の支持」で再選を果たしたと内外に誇示できるかどうかにあるようだ。大統領は大統領府の選挙担当に投票率、得票率いずれも70%台の実現を求めているとされる。国民の支持率がいくら80%を超えているとはいえ、その達成は簡単ではない。

実質的に4期目となるプーチン大統領の再選には、どうしてもマンネリのイメージがつきまとう。圧勝が事前に伝えられるだけに、このままでは投票所に足を運ばない有権者が多数出てくることも予想される。

現にロシア民間世論調査会社のレバダ・センターが12月初めに実施した調査によると、来年3月の大統領選で「確実に投票する」「たぶん投票する」との回答は合わせて58%だった。これに対し、「投票しない」「たぶん投票しない」と「わからない」の合計も39%に上っている。

「有能な国家指導者」のイメージづくりに腐心

政権側としては少なくとも来年3月の投票日までは、プーチン大統領のイメージを刷新し、有能な国家指導者として国民に再評価してもらい、投票所に足を運んでもらえるように、あの手この手で新鮮な話題を提供していく必要があるわけだ。実際、話題づくりに腐心している様子もうかがえる。

その一例がプーチン大統領のシリア電撃訪問だろう。出馬表明から5日後の12月11日。大統領は突然、ロシア軍がシリア空爆作戦の拠点としている同国北西部のフメイミム空軍基地を訪れた。駐留するロシア兵らを前に演説した大統領は「ここシリアでの武装暴力集団との戦いという任務は成功裏に果たされた」と宣言。駐留するロシア軍部隊の大部分を撤退させると表明した。

ロシアは過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を理由に、2015年9月末からシリアでの空爆作戦を展開していた。「シリア全土がISから解放された」(ロシア軍のゲラシモフ参謀総長)直後にシリアを電撃訪問して軍事作戦の成功を高らかに唱えるとともに、ロシア兵の犠牲者の増大を危惧する国内世論にも配慮して軍部隊を早々に撤収させる意向を示したわけだ。

プーチン大統領はこの日、シリアでアサド大統領と会談した後、さらにエジプト、トルコを相次ぎ歴訪してシシ大統領、エルドアン大統領との首脳会談をこなすという離れ業もみせた。米国と中東の関係がぎくしゃくする中、中東和平の仲介役としての存在感を誇示するとともに、65歳になっても一向に体力の衰えをみせず、精力的に世界を飛び回る姿もアピールした。

もうひとつ特徴的なのは、米欧との対立を控え、国際社会で孤立しているとの印象を極力抑えようとしている点だろう。

IOCがドーピング問題でロシア選手団の平昌五輪参加を認めない決定を下した際、プーチン大統領は五輪ボイコットを表明するのではないかとの臆測が出ていた。かねてロシア大統領選を狙った米国の陰謀説を唱え、ロシア国旗や国歌を認めない形での参加は「ロシアへの侮辱」としていたからだ。しかし、大統領は意外にも「我々にも罪がある」としてIOCの決定に従う意向を示し、政権として五輪への個人参加も容認する考えを示した。

対米関係もしかり。ロシア大統領府は今月17日、プーチン大統領が同日にトランプ大統領と電話協議したと発表したが、その内容は極めて意外感があった。米中央情報局(CIA)の情報提供により、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで爆弾テロを計画していたテロリストを拘束したとして、プーチン大統領が謝意を伝えたというのだ。米大統領選への介入疑惑などで大きく冷え込んだようにみえる米ロ関係だが、水面下では協力も進んでいると国民向けに訴えたかったのかもしれない。

話題を次々と提供するプーチン政権だが、次の任期で何をめざすのかというビジョンはあいまいなままだ。今月14日の記者会見では、大統領は「選挙公約は話したくない」とし、インフラの発展、健康維持、教育、ハイテク技術の推進、労働生産性の向上といった漠とした目標を掲げただけだ。

原油価格急騰で年平均7%もの高い経済成長を達成した1期目、2期目と経済環境は一変し、国民の生活向上を確約するような公約はもとより難しい。いくらプーチン大統領でも、国民の期待をつなぎとめる明るい将来ビジョンを描くのは容易ではなさそうだ。

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『北京に吹き荒れた「看板・広告撤去騒動」の顛末 強権を振るう北京市トップは習近平の寵臣』(12/22日経ビジネスオンライン 北村豊)について

12/24日経朝刊中国、朝鮮半島有事を想定か 難民キャンプ準備  国境地帯、軍駐留施設を増設

中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が朝鮮半島有事に備えた準備に着手したもようだ。北朝鮮との国境地帯で数十万人を収容できる難民キャンプを設営するよう指示したほか、軍駐留施設を増設している。中国は北朝鮮の核問題を対話で解決する方針を崩していないが、トランプ米政権と北朝鮮が衝突する事態に身構え、影響を最小限に抑えたい思惑がにじむ。

中国共産党関係者によると、習指導部は今夏、北朝鮮と国境を接する吉林省や遼寧省などの地方政府に対し、有事の際に難民キャンプを設営できる体制を整えるよう指示した。北朝鮮側から難民が流入しやすい地域を中心に複数の施設を設ける計画で、合計収容人数は最大で50万人を想定しているという。すでに食糧やテントなどの備蓄が始まっているもようだ。

12月上旬、中国通信大手、中国移動通信集団の内部文書とみられる資料がインターネット上に流出した。吉林省長白朝鮮族自治県で5カ所の難民収容所建設が計画され、同社が2日に通信環境を調査したとの内容だった。真偽は不明で、数日後にネットで閲覧できなくなった。外交筋に「本物だったのではないか」との見方が広がった。

国境地帯の関係者によると、吉林省の軍管理区域内では最近、駐留軍向けの新たな居住施設が建設されている。3階建て程度の低層住宅で、シャワーなどは共用の一般的な兵舎だという。

表向きは、冬季に凍結した河川を渡って国境を越えてくる北朝鮮人による窃盗事件が増えていることへの対応策、だという。だが実際には防犯を名目に、有事も視野に入れた国境警備を強化し始めた可能性がある。

ティラーソン米国務長官は12日の講演で、半島有事の際の難民対策や核兵器の管理についてすでに中国と協議したと明らかにした。6月にワシントンで開かれた米中外交・安保対話で議題にしたとみられ、ちょうど難民キャンプの設営指示が出た時期と符合する。

国境付近には見張り小屋が建てられ、北朝鮮兵士が周囲を監視する(10月28日、中国・遼寧省丹東から北朝鮮を望む)=小高顕撮影

ティラーソン氏は、仮に米軍が北緯38度線を越えて北朝鮮に侵攻した場合でも、条件が整い次第撤退することを「中国に確約した」とも説明した。米中がすでに一定の事前調整に入っていることが確認された。

共産党関係者や外交筋の間では、有事の際に中国軍が北朝鮮領内に入り、核・ミサイル施設を制圧し管理するとの見方もささやかれる。党内には慎重論もあり、実際には米国や北朝鮮の出方を慎重に見極めるとみられるが、こうした話が取り沙汰されるほど中国側の危機感は強まっている。

北朝鮮の核実験場に近い吉林省の党機関紙「吉林日報」の6日付の特集記事は、地元の緊迫感がうかがえる。新聞の5ページ目に「核兵器の常識と防護」との見出しが躍り、一面すべてを使って核兵器が使われた場合の対処方法を紹介。(1)避難が間に合わない場合は窓や戸を閉めて被曝(ひばく)量を減らす(2)外出時はマスクやコートなどで汚染を防ぐ(3)すみやかにヨウ素を飲む――などと、イラスト入りで具体的な対策を示した。

記事に掲載の狙いについての説明はないが、朝鮮半島有事を想定したものだと受け止められた。中国メディアによると同紙編集部は「通常の国防教育だ」と述べ、内容は吉林省人民防空弁公室の提供だったとしている。同省では、防空警報を使った避難訓練の強化も検討されているという。

中国人民解放軍の動きも慌ただしい。中朝国境地帯を管轄する北部戦区の部隊は、11月下旬から大規模演習を実施。氷点下20度近い環境の下で、武器や装備の動作を確認したという。さらに12月11~16日には、空軍がロシアと共同でミサイル防衛のシミュレーション演習を行った。第三国の「突発的な攻撃」に対応するためとしている。

一連の動きには、北朝鮮に対して中国が抱く危機感を明確に示し、新たな挑発行為を食い止めることが狙いとも指摘される。中国軍で旧南京軍区副司令官を務めた王洪光・元中将は16日、北朝鮮問題に関する討論会で「戦争はいつ起きてもおかしくない。来年3月までがヤマ場だ」と語った。

3月は毎年、米韓が軍事演習を実施し、北朝鮮が強く反発する時期だ。軍機関紙「解放軍報」は19日、「米軍攻撃に前兆はあるか」との記事を掲載。「米軍は威嚇が失敗した後、動きを止めたように思わせたうえで突然、戦争に打って出るかもしれない」と結んだ。(北京=永井央紀)>(以上)

本ブログで早くから告知してきた内容の記事です。中国観察(法輪功関係)の記事からの引用でしたが、「解放軍報」を除いて総て網羅できていたと思います。公開情報を追うだけでもそれなりに早く伝えることができるのかなあと。ただ、この時期にと言うのは、米軍家族はクリスマス休暇で帰って、後は日本人の新年休暇に向けて警告を発したのかも知れません。安倍首相は「平昌オリンピックがあるから韓国渡航は大丈夫」と言っていましたが、何の根拠にもなりません。今の情勢で見れば、いつ戦争になってもおかしくないのですから、韓国渡航は自己責任で行くことです。ソウルは「火の海」になると言われていますし、邦人救出に韓国は協力しないのですから。行く方が悪いとしか言いようがありません。

12/23facebook記事から易靈12月23日 16:32 ·

傻逼遊行抵制聖誕節,仲沿途大聲叫喊毛主席萬歲?

你毛爹死了幾十年都仲叫萬歲,真典型的腦殘加料;

傻逼你先將手中的手機、 家中進口用品全部燒晒,再將身上的進口衣物通通除光再講啦

クリスマスをボイコットするためのバカなパレードで, 途中大声で毛主席万歳を叫んでいる? 貴方は毛父さんが亡くなって何十年も経っているのに万歳を叫ぶ、典型的な本当の馬鹿である。 先ずバカなあなたの手に持っているスマホや家にあるすべての輸入品を燃やし、身に着けている輸入の衣服を全部捨ててから言いなさいよ。

https://www.facebook.com/100010311528070/videos/583662278654151/?id=100010311528070&hc_ref=ARTyose6Cg8M6ikEnSDSsY8fsffrc5RKX1_QfU2iC_nAUjUbLuCtvxYFfGyy4PcxmUE&fref=nf

>(以上)叫んでいるのは「中華を愛し、クリスマスなぞ止めろ」と聞こえます。まあ、官製デモで共産党の許可がない限りデモは出来ませんので。ここまで習はやらせるのかという事です。下が忖度したのかも知れませんが。150年前の日本の攘夷と同じ発想、排外主義者です。でも、あの当時の日本は外国からの圧力がありましたが、今の中国はないでしょうに。

もう一つ同じ排外思想を小学生から洗脳している図を紹介します。黒板に書かれているのは

「「外国の祭日にNOと言おう」

外国の祭日を拒否しよう!

まず自分から始めよう!

文明を伝承しよう!

中国の祭日を祝おう!

(写真です。クリックしても動画にはなりません)」

北村氏記事は12/20中国観察の記事<傳蔡奇被迫檢討 目標卻是習近平 分析:習走錯了路阿波羅新聞網=蔡奇は検討を迫られたと伝えられる 目標は習近平 分析:習は道を誤った アポロネット>にもありました。出だし部分のみを翻訳します。

「北京市委書記蔡奇領導下的驅逐〝低端人口〞和清理〝天際線〞等行動,因其野蠻暴力而遭國內外輿論鞭撻。外媒披露,蔡奇因此在政治局做了檢討。港媒認為,事件開始朝着政治鬥爭方向發展,政治炮口對着蔡奇但目標卻是習近平,已關係到“之江新軍”的安危。時政評論員陳破空表示,“中國模式”破產,習近平走錯了路。

北京市書記の蔡奇の下で低級人口を追い出し、スカイライン(ビル看板)を整理する行動は、野蛮で暴力的であるが故、国の内外の世論を喚起した。外国メデイアは、蔡奇は政治局にて検討を迫られたと明らかにした。香港メデイアは、事件が起きてから早々に政治闘争に発展、非難は蔡奇に向けられたが目標は習近平で、“之江新軍”(習の昔からの仲間)の無事と関係して来る(指桑罵槐です)。時事評論家の陳破空は「中国モデルは破綻し、習は道を誤った」と。」

12/24ロイター<焦点:中国工業地帯を襲う天然ガス不足、環境対策が裏目に>

https://jp.reuters.com/article/china-pollution-gas-shortages-idJPKBN1EC0XT

北京市だけでなく石家荘市でもガスが足りなく、一時的に石炭の使用を認めたとのこと。日本だったらキチンと手当てしてから実施するでしょうけど。“没問題”“没関係”の人達ですから。

最後にトランプ関連で12/24トランプのツイッターより

<@FoxNews-FBI’s Andrew McCabe, “in addition to his wife getting all of this money from M (Clinton Puppet), he was using, allegedly, his FBI Official Email Account to promote her campaign. You obviously cannot do this. These were the people who were investigating Hillary Clinton.” >「FBI副長官の妻がヒラリーの手先から金を受け取り、FBIの公式アカウントを使ってヒラリーの選挙応援をした。やってはいけないこと。こういう人達がヒラリーの調査担当者だった」ということです。辞任しても追及すべきです

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/944906847970119680

http://www.sankei.com/world/news/171224/wor1712240021-n2.html

記事

北京市書記の蔡奇は現代の蔡京か?(写真:ロイター/アフロ)

北宋(960~1127年)の政治家に“蔡京(さいけい)”(1047~1126年)という人物がいる。興化郡仙游県(福建省仙游県)の人で、前後4回(1102~1106年、1107~1109年、1112~1120年、1124~1126年)にわたって宰相を務め、権力を掌握すること合計16年間に及んだ。蔡京は、後世の人から「中国史上最も名高い汚職官僚の1人であり、贅の限りを尽くし、無能で無定見、保守的で腐敗にまみれ、北宋王朝の衰微を招いた奸臣」と評されている。

歓心を買う奸臣

蔡京は宰相を4回も務めた程の人物だから、決して無能であったとは思えない。その証拠に、蔡京は“興寧3年(1070年)”に実施された科挙で“進士”に23歳の若さで合格している。北宋の第6代皇帝“神宗”(在位1067~1085年)は財政再建のため“王安石”を宰相に任命して“新法(革新政策)”を行わせたが、神宗の死後政権を握った“宣仁太后”は保守派の“司馬光”を宰相に任命して“旧法(保守政策)”に復そうとした。司馬光は新法である“募役法”を廃止し、旧法である“差役法”を復活させることを5日間の期限で実行するように命令したが、役人の抵抗で思うように保守回帰が進まなかった。当時、“開封府”(現・河南省開封市)の“知事(長官)”であった蔡京は、新法支持者であったにもかかわらず、司馬光におもねって旧法支持者に転じ、この難題を司馬光の命令通り5日間で実行して、司馬光を喜ばせたという。

宣仁太后が1093年に死去すると、7代皇帝“哲宗”(在位1085~1100年)の親政が始まり、再度新法への復帰が行われ、多数の旧法派官僚が追放され、新法派官僚が登用されることになった。しかし、蔡京は神宗時代には新法、宣仁太后時代には旧法を支持するという無定見な風見鶏的性格が災いして、冷遇された。ところが、第8代皇帝の“徽宗”(在位:1100~1126年)の治世が始まると、持ち前の非凡な処世術で宰相に上り、彼に反対する者は旧法派・新法派を問わず追放して絶対権力を握り、16年間も宰相の地位を保った。権力者となった蔡京は、一般民衆から重税を取り立て、大規模な土木工事を行い、大量の賄賂を受け取って私腹を肥やし、富と権力を独り占めして、北宋の弱体化を促進させた。なお、蔡京は伝記歴史小説『水滸伝』にも悪名高き“高俅(こうきゅう)”と並ぶ「四奸臣」の1人として登場している。

北京のSKYLINE

さて、11月27日、北京市当局は、“北京市城市管理委員会(北京市都市管理委員会)”、“北京市規劃和国土資源管理委員会(北京市計画・国土資源管理委員会)”、“北京市綜合管理行政執法局”が連名で策定した11月24日付の『“関于開展集中清理建築物“天際線”専項行動的通知(建築物輪郭集中撤去特別行動展開に関する通知)”』を公布した。“天際線”は英語では“SKYLINE”だが、「空を背景とした建築物の輪郭」を意味する。同通知の内容は以下の通り。

建築物輪郭集中撤去特別行動展開に関する通知

都市の管理を強化し、都市の質を高め、視覚的に明瞭な都市の輪郭を作り、国際的に一流で、調和が取れて住みやすい都を建設するため、中国の各種法令の要求に基づき、2017年第4四半期から我が市は建築物輪郭集中撤去特別行動を開始するので、ここに以下の通り通告する。

【1】この通告の公布日を起点として、『北京市看板標識設置管理規範』の要求に合致しない建築物の屋上や壁面にある広告看板は全面的に撤去する。すなわち、建築物屋上の高さを超えたり、壁面の縁(へり)からはみだしている戸外広告や看板標識、建築物壁面に垂直に置かれた戸外広告や看板標識、建築物の壁面に張り付けられた違法な戸外広告、一つの壁面に張り付けられた多数の戸外広告、外地が設置した看板標識、“店内店(店の中の店)”が建築物の壁面に設置した看板標識、その他規則の要求に違反した看板標識。

【2】この通告の公布日を起点として、全ての新設される看板標識は『北京市看板標識設置管理規則』の要求に合致しなければならない。撤去後新たな看板標識を設置する確たる必要性があるならば、財産権を持つ組織は関係部門に申請し、審査を経た上で実施することができる。重要な大通り、重要な地区は北京市や区の特別行動連絡会議の連合審査と専門家の審査を経た上で実施が可能になる。

【3】各レベルの党・政府機関、事業組織、北京駐留の軍部隊、北京駐在機構、国有企業は率先して自ら撤去し、もしも撤去能力がない場合は、所在する区の都市管理部門に申請して援助を受けることが出来る。およそ管轄区が規定した時間内に自力撤去できない場合は、各区の組織が連合して撤去を執行し、撤去費用は建築物の財産権を持つ組織の負担とし、法令に違反している場合は、企業および個人の信用システムに記録する。

【4】撤去過程で、屋上にその他の違反建築や規定違反の残存設置物があれば同時に撤去し、市外観の整然性を保証しなければならない。

【5】公安部門は、暴力による公務執行妨害、強迫や威嚇、攻撃や報復などを行う暴⼒団員や悪党に対して、法に則り厳重な処罰を行う。紀律検査・監察部門は高級幹部からの声掛けや“保護傘(後ろ盾)”となるなどの紀律・規則違反の行為に対しては法に基づき厳しく処罰する。

【6】いかなる組織も個人も『北京市看板標識設置管理規則』の要求に違反した建築物の屋上や壁面上の広告看板を訴える、あるいは告発する権利を有する(都市管理局ホットライン:96310、首都環境建設委員会ホットライン:12319)。

北京市城市管理委員会 北京市計劃・国土資源管理委員会 北京市総合管理行政執法局

2017年11月24日

上述の通知は公布された11月27日を期して実施に移された。11月27日の当日から北京市内には大量の大型クレーン車や高所作業車が出現し、手当たり次第にビルの屋上や壁面から企業名の看板や商品の広告看板を撤去し始めた。北京市内には『北京市看板標識設置管理規則』の要求に違反した撤去を要する戸外広告や各種看板が2万7000カ所以上あり、これらを12月末までに全て撤去ことが目標とされた。

8956カ所を猛烈撤去

12月1日付の北京紙「北京日報」は、「SKYLINEを遮る広告・看板はすでに8956カ所撤去された」と題する記事を報じた。その概要は以下の通り。

(1)北京市内各区のビル屋上にある広告看板の撤去作業が猛烈な勢いで進められている。記者が昨日(11月30日)「建築物輪郭集中撤去特別行動分析会」から得た情報によれば、全市ではすでに各種の違反広告看板8956カ所が撤去されている。現在、各区は積極的に撤去作業を展開しており、年末までに“長安街”沿線、環状2号・3号・4号道路周辺区域の撤去作業を完成させるべく全力を挙げている<注1>

<注1>長安街は北京市の中心を東西に走る幹線道路で、道路の両側には主要な官庁や企業のビルが立ち並んでいる。環状道路は市中心から外側に2号から6号まであるが、2・3・4号は快速道路、5・6号は高速道路。

(2)高いビルの屋上と空との接合部を“天際線(SKYLINE)”と呼び、これは都市景観にとって重要な構成部分である。今年から北京市共産党委員会と北京市政府は「北京に美しいSKYLINEを取り戻せ」という意見を度々提出し、戸外の広告・看板標識の撤去を呼びかけて来た。今年9月に公布された『北京市看板標識設置管理規則(改訂版)』には、ビル屋上に看板、標識、広告などを設置することの禁止、すでに設置済みの物は撤去することが明記されており、その重点は市内中心部、長安街沿線、2号・3号・4号道路沿線となっている。

(3)北京市都市管理委員会の関係責任者は次のように述べた。すなわち、各区で調査した台帳によれば、全市で撤去が必要な違反広告看板は2.7万カ所以上で、その7割が市内の6つの区に集中している。事前の2カ月の撤去作業により<注2>、現在全市ですでに撤去されたのは8956カ所である。その中、“石景区”はすでに1700カ所余りを撤去しており、率先して撤去作業を完了している。その他の区の撤去状況は、“東城区”:702カ所、“西城区”:1365カ所、“朝陽区”:2497カ所、“海淀区”:1518カ所である。12月末に各区の関係部門が検収を行い、来年1月には北京市都市管理委員会が道路毎に北京市としての検収を行う。

<注2>北京市当局は10月下旬に違反看板標識・広告撤去の特別行動を決議し、各区に命じて撤去作業を行わせていた。

(4)ビル屋上には看板標識や広告が設置できないだけでなく、各建築物は“一楼一標(1ビルに1標識)”が要求され、外壁にいくつもの標識を掛けることはできない。また、撤去後の建築物は“規劃部門(計画部門)”が認可したビル名称しか使用できず、掛ける位置はビルの3階以上、屋上の床面からの距離は0.5m以上となっている。同時に、字体の大小にも厳格な規定があり、建築物名称の文字は高さ2mを超えないこと、組織名称の文字は高さ0.8mを超えないことになっている。新しい看板標識にはステンレスなどの高反射材料の使用は禁止、“外射光源(外へ光を放つ光源)”の使用も禁止で、“内投光源(内側へ光を投じる光源)”だけが使用可能である。

朝令暮改、再び

12月5日に中国メディアが報じたところでは、北京市内西城区にある“金融街(Financial Street)”では、“中国銀行”、“北京銀行”などの大手銀行、生命保険の“中国人寿保険”、携帯電話の“中国移動”、ホテルの“麗思卡爾頓(リッツカールトン)”などを含む127カ所の看板を年末までに全て撤去することになっており、地元の“街道居民委員会(自治組織)”や都市管理執行チームに雇われた十数人の作業員が看板の撤去作業を行っていたが、彼らに賃金はなく、撤去した残骸が彼らに与えられるということだった。

この撤去作業を見守る北京市民の中には、「違反広告看板が取り外されて北京市本来の外観が取り戻せる」と好感する者もいるにはいたが、大多数の市民は冷たい視線を送っていた。一番の問題はビルから看板が撤去されたことにより、目印となる物がなくなり、道に迷う人が激増したことだった。あるネットユーザーは、「目印となる看板や広告がなくては、自分がどこにいるのかも分からなくなるし、ましてや目的の場所を探すのは容易ではない。人に道を尋ねても、聞かれた方も目印なしでは道案内できるはずがない。どだい、看板や広告が何もない、無味乾燥なビル群は寒々しいだけで、何の魅力も感じられない」と掲示板に書き込んだ。

こうした庶民の声は日を追って大きくなり、看板標識や広告の撤去に対する不満は大きくなり、世論の高まりは北京市党委員会ならびに北京市政府に大きな圧力を与えるに至った。このため、12月8日、北京市都市管理委員会は会議を招集して検討した結果、撤去作業を一時停止することを決定し、翌9日に市内関係者に緊急通知を発した。緊急通知は、「区内の違法広告看板の撤去を一時停止し、すでに看板を撤去した商人は北京市当局の規格に適合した看板を新たに設置しても良い。撤去作業の再開時期は改めて通知する」というものだった。撤去一時停止の理由は次の2つの要因であった。すなわち、(1)冬季は気温が寒冷で、風が強く、気候が乾燥しており、高所作業には危険があり、出火の危険性も高いこと。(2)看板撤去後、人々にビルの識別を困難なものとしたこと。

12月9日の早朝から北京市内の街頭からは撤去作業を行っていたクレーン車の類や作業員が消えた。この撤去作業一時停止を知った北京市民の多くは、又しても朝令暮改かと呆れると同時に嘲笑したのだった。「又しても」とはどういう意味か。中国政府“環境保護部”はPM2.5の低減を目的として、10月1日から北京市を中心とする2+26都市で“禁煤令(石炭禁止令)”を発令して、“電代煤(石炭に換えて電気)”と“気代煤(石炭に換えて天然ガス)”を推進する暖房変換政策を展開したが、関連工事の遅滞や天然ガスの供給不足により1000万人以上が暖房なしの生活を余儀なくされた。この実情を知った世論は中国政府の準備不足を非難し、圧力に屈した環境保護部は同政策の緩和を表明せざるを得なくなって朝礼暮改を行い、工事遅延地区に対して石炭使用を認めたのだった。<注3>

<注3>暖房変換政策については、2017年12月15日付の本リポート『1000万人が凍える中国「暖房変換政策」の失態』参照。

蔡京と蔡奇を重ねて

暖房変換政策は環境保護部が主管部門だが、その対象地域の中心である北京市の党委員会と市政府が深く関わっていることは疑問の余地がない。その北京市のトップこそが北京市共産党委員会書記の“蔡奇”である。蔡奇は11月18日に発生した火災を契機として違法建築物の撤去を命じ、膨大な数の出稼ぎ労働者の住処を取り壊して、彼らを北京市から駆逐した張本人である<注4>。蔡奇は違法建築物の取り壊しを5日以内に終わらせろと命じて、無情にも出稼ぎ労働者たちを最低気温が氷点下となる寒空の下に放り出した。

<注4>11月18日に発生した火災に関連する事態は、2017年12月1日付の本リポート「寒空の北京、路頭に迷う10万人の出稼ぎ者たち」参照。

蔡奇は、福建省“三明市”の管轄下にある“永安市”に属する“龍渓県”出身。“福建師範大学”政治教育学部を卒業した後、大学院へ進み、政治経済学博⼠号を取得した。その後は浙江省党委員会常務委員、杭州市長などを経て、2017年1月に北京市長となり、同年5月に北京市党委員会書記となり、同年10月に中国共産党中央政治局委員となった。蔡奇の経歴は福建省、浙江省と中国共産党総書記の“習近平”が歩んだ足跡と重なり、習近平によって中央へ引き上げられた人物で、習近平の寵臣の1人である。その蔡奇が北京市のトップである党委員会書記就任後に始めたのが血も涙もない違法建築物の取り壊し、出稼ぎ労働者の駆逐、違法看板標識・広告の撤去であった。さらに暖房変換政策の一翼も担った。

人々は文頭に述べた北宋の蔡京と蔡奇を重ね合わせ、蔡奇が国を弱体化させる可能性を危惧している。両者は共に福建省出身であり、新法を廃して旧法を5日間で復活させた蔡京をまねて、蔡奇も5日間で違法建築物の取り壊しを命じている。12月5日、内部会議の席上で蔡奇が「末端に至っては、本物の刀や銃が必要で、やるなら徹底的にやり、強硬に押し切れば、問題は解決する」と述べたという情報がネット上に流出した。この高圧的な政治姿勢に反発した“清華大学”、“中国人民大学”などの卒業生たちが、12月13日に蔡奇の辞任を求める公開書簡を発表した。

後世に蔡奇が蔡京と同様に奸臣と見なされるかどうかは分からないが、今のままでは習近平がその任命責任を追及されても仕方ない状況にあると考えられる。

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『「低端人口排除」を加速する火事は“失火”か? 「現場動画」投稿で画家逮捕、「書記辞任」要求は強権封殺』(12/20日経ビジネスオンライン 福島香織)、『2018年、中国の鬱屈した30代が社会に牙をむく 「チベット映画」と「いたたまれないダンス」ブームの意味するもの』(12/21日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

12/19ダイヤモンドオンライン ロイター<中国の地方都市で「特区ブーム」過熱、債務拡大の懸念も>中国の歴史の中で偉人と言われるのは治水対策に成功した人達です。尭舜や李冰親子(四川省・都江堰ダム)等。それで中国では、土建工事が好まれるのでは。細かいことは気にせず、若干菱形になった窓穴でも“没問題”という人達ですから。侘び・寂び、精緻さを好む日本人とは大いに異なります。それと、土建工事は金額が大きく、受け取る賄賂の大きさも半端でなくなりますから、好まれることもあるでしょう。中国駐在の時に、工事が途中でストップしている建物が多くあるのを見ました。それは資金繰りができなくなると、其の儘放置、金ができるとまた再開のパターンでした。

中国人も朝鮮半島人も複式簿記を本当には理解できていないのではと思います。両者ともに借金体質です。資本主義であればやがて過剰債務は資金ショートを起こし破綻します。韓国は輸出大国なのに、通貨スワップの重要性も理解していないような国ですから、オーストラリアといくら通貨スワップを結んでも、日米と結んでなければ行き詰まるでしょう。中国は共産国家(国家資本主義)なので、政府があらゆる保証をするため経済崩壊するのには時間がかかると田村秀男氏と何清漣氏は言っています。困った時には中央政府が何とかしてくれる、株価もKPOするだろうし、不動産も価格維持の為、売却禁止することなどはザラです。中央政府を当てにし、需給を無視した計画を実行するため、モラルハザードはあらゆる面で、今既に起きていると見た方が良いでしょう。後はいつ破裂するかです。国際金融資本、ハゲタカが「豚は太らせてから喰え」とばかりに鵜の目鷹の目で狙っているのかも知れません。

http://diamond.jp/articles/-/153716

12/22<中国でネット金融が急速に成長した理由 中国金融の新たなビジネスモデルを概観する>中国のやることは総て軍事・治安優先の発想です。ネット金融が発達したのも、偽札の流通が2割を占めるのを防ぐ意味もあったでしょうし、店や個人が偽札を掴まされるよりスマホ決済が安全と理解したからでしょう。日本のようなクレジットカードが普及しなかったのは、金を貸しても返さないのが当り前の風土だったからと思います。取引しても支払代金を踏み倒すのが普通に行われ、偽装倒産も沢山ありましたので、クレジットカード会社を作ろうと思わなかったのでしょう。それと店が払うクレジットカード利用料が3~5%なのに対し、アリペイは0.6%という安さです。中国はアリペイかウイーチャット(微信)ペイの2社がネット金融の大部分を占めます。アリペイは支付宝=蚂蚁金服傘下、蚂蚁は蟻(アリ)の意味、金服は金融服務(サービス)の意味で英語では“Ant Financial”=アリババ集団の一部です。

ネット購買はアリババの淘宝や天猫モールが有名、支払いはアリペイで、「クレジット払い」も可能とのこと。個人間取引が淘宝で企業と個人間取引が天猫モールです。日本と中国の個人の信用付与のやり方が違うのは歴史と文化の違いです。どちらが優れていると言うものでもありません。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/111400180/121900002/?P=1

しかし、人類の普遍的な人権に対する取り組みは日本と中国では全然違います。中国では金融情報を国が集め、ビッグデータや賄賂防止に使うのならまだしも、個人や企業の預金が国家に没収される可能性もあります。基本的人権である財産権の侵害になります。まあ、中国人は政府や金融機関を信じていないので、金庫に退蔵していると思いますが。

福島氏や山田氏の記事のように中共政府が如何に中国人の人権を侵害しているか、「生活権」や「信仰の自由」の侵害です。日本の左翼は中国に行って、何時も政府に言っているようにクレームを付けるべきです。福島氏の記事は、火事は放火の可能性があることを匂わせています。小生もその通りと思います。山田氏の記事では、30代の中国人がチベット人の五体投地に「自由」を感じているとの話ですが、自己中心の中国人ですから、6人の老人を扶養するとなると、海外脱出を企てる人間が増えるかもしれません。中国の近くにあるお人好し民族の日本は気を付けないと。

小川榮太郎氏が書いた「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)について、朝日新聞側は謝罪や訂正、賠償を求めましたが、小川榮太郎氏は反論を送付、HPにその内容をアップしました。

http://www.sankei.com/entertainments/news/171206/ent1712060016-n1.html

その続きですが、12/22facebookで小川榮太郎@ogawaeitaro

【朝日の捏造をうやむやにしてはならぬ真の理由】朝日新聞への私の回答を「承服できず、対応を検討する」と言った朝日新聞が2週間を超えても何の対応もしてこない。

【朝日の捏造をうやむやにしてはならぬ真の理由-文章後半が大事です】朝日新聞への私の回答を「承服できず、対応を検討する」と言った朝日新聞が2週間を超えても何の対応もしてこない。  私には居丈高に「賠償を要求する」、「2週間以内に真摯に回答しろ」と言ってきた朝日が、私の「真摯な対応」から2週間経っても何も言ってこないというのは、これは一体、どこまで非常識なのだろう。  朝日新聞は森友加計事件を捏造したか、しなかったのか。  これをうやむやにすれば、日本はマスコミの嘘による政府転覆運動を容認する社会だということを自ら証明することになる。それは近未来、日本が中国に政治主権を奪われる予行練習となるであろう。  私がなぜこの件を「戦後最大級の報道犯罪」と言うかと言えば、これは主権簒奪プログラムにすぐに転用可能な、極度に危険な現象だからだ。慰安婦問題の日本の国際的名誉棄損とは異質の、はるかに直接的な危険がここにはあるのだ。  もし本当にこの問題で日本社会が戦う気がないなら、私は近い将来日本を立ち去る。自由社会であることと日本の偉大な精神伝統を二つながら失う馬鹿な祖国には耐えられない。無論、ぎりぎりまで少数の同志と学問もし、戦いも継続する。  評論家は多いが、本当に危機が見える人間の少なさに閉口する。朝日の廃業が目標ではなく自由社会の防衛が目標だ。それには自分たちの社会がさらされている危機を自覚できることこそが一番大切なのだ。朝日が怪しからんから叩く、ここにとどまっていては真の敵から身を守れない。私が今何の闘いを戦っているかを何とか正確に分かってほしいのだ。本当に失ってしまう近未来を越させないために。」(以上)

小生が本ブログを立ち上げたのも、中国の危険性(軍事侵略・人口侵略と共産主義浸透による自由社会破壊への)について警鐘を鳴らしたかったためです朝日新聞購読者は経営を助けることにより中共のお先棒に手を貸していることになっていることに早く気が付かないと。

12/23アノニマスポスト<【NHK】自民党に投票した若者が理由を述べる ⇒ 東大教授「もう少し真剣に考えて!」⇒NPO代表「何も考えず現状維持で自民は短絡的!」www>東大もバカが教授をやっているという事です。まあ戦後利得者である東大が既存の仕組みを温存しようとするのは当り前のことかも知れませんが。難関と言われる司法試験に代表されるように、勉強すればするほど護憲に考えが凝り固まるようになっています。公務員試験もそう。学びて思わざれば則ち罔しの典型です。ですから、法曹界(司法)や官界(行政)の座標軸は大きく狂ってしまう訳です。自分の頭で考えず、学力だけでエリート面する訳です。真のエリートとは程遠い。政界(立法)を選挙と言う手段で国民の意思を反映させるしかありません。今の若者の方が情報選択の間口の広さを持っていて、危機に対して自分の頭で考えているという事です。それができない老人は若者に託すべきです。左翼は若者に対し「徴兵制復活」と脅して味方につけようと思ってきましたが、現代の戦争で徴兵制復活はあり得ないことを今の若者はチャンと知っています。

http://seikeidouga.blog.jp/archives/1069001178.html

福島記事

11月に北京市郊外で起きた大火事の後、街はゴーストタウンに(写真:ロイター/アフロ)

北京の大興区で起きた出稼ぎ労働者向け簡易宿所の火事をきっかけに、大規模な“出稼ぎ者駆逐政策”が始まっている。防災・安全を建前に、大都市の機能を底辺で支える農村出身出稼ぎ者たちが暮らす“ドヤ街”や彼らが働く違法工場の一斉撤去を行い、彼らを“低端人口”(低級の人口)として北京から排除し、直面する人口問題を解決しようというものだ。

だが、あまりに突然で暴力的であることから、少なからぬ良心的知識人たちは、これを憲法違反の人権問題として批判している。片や北京市当局は「そもそも低端人口など北京に存在しない」として、この低端人口駆逐政策自体がネットのデマだと主張。しかも、抗議の声をあげる知識人たちの拘束・逮捕に乗り出した。背景には、国家主席・習近平の信任を得ている北京市書記・蔡奇の強気の姿勢があるとみられる。火事からすでに1カ月以上たつも、問題は収束するどころか、より深刻な人権問題に拡大しつつある。

大火事をきっかけに“一斉駆逐”

出稼ぎ者の簡易宿所、日本で言うところのいわゆる“ドヤ街”の一斉撤去と、そこに暮らす出稼ぎ者の“駆逐”は、すでに日本メディアでも「低端人口問題」として詳細に報じられている。

改めて概要をまとめると、事の起こりは11月18日。北京市南部の河北省と隣接する大興区の新建二村の簡易宿所・聚福縁公寓で幼児・子供8人を含む19人が死亡する大火事だった。この地域には北京市のサービス業などを支える農村戸籍の出稼ぎ者が吹き溜まるように暮らす。火事が起きた聚福縁公寓は違法増改築を繰り返し、老朽化した建物で、10平方メートル前後の部屋が300ほどあり、400人以上の出稼ぎ者と家族が暮らしていた。

一部屋が日本円にして一万円前後という安さだが、防災設備どころか窓すらなく、建物内も入り組んでいた。三つある出入口も一つが封鎖されていたという。一階は食堂、地下には冷蔵室があり、失火原因は、その冷蔵室の故障漏電による火花が冷蔵室の断熱材に使われていたポリウレタンに燃え広がった、と言われている。

この火事自体が悲惨な事件であるが、問題はその後の北京市の政策である。北京市は、この火事を機に防災対策として、郊外にあるこうした違法増改築された建物や老朽化した建築物を年末までに一斉撤去することを決定。建前は、都市の防災・安全対策だが、その狙いは増えすぎた北京市人口を抑制するために“低端(低級)人口”と呼ばれる、都市の最低層の仕事を支える農村戸籍の出稼ぎ者を駆逐することだった。

当局は「問題」認めず情報統制

ちょうど北京に来ていたので、火事の現場の大興区西紅門鎮の新建二村にまで来てみたが、そこの住人はすでに完全に追い出され、撤去を待つ空(から)の老朽家屋が立ち並ぶゴーストタウンと化し、がれきの山が築かれていた。ついひと月前までは、このあたりに万人単位の出稼ぎ者らが普通に暮らしていたのだ。

この場所に連れてきてくれた白タクの運転手も山東省の出稼ぎ者だが、「このあたりに住んでいた出稼ぎ者は、北京市の居留証もなく、最低辺の仕事をしていた。自分は北京にきて6年目で居留証も得ているので、彼らとは違う」と説明した。同情はしていないようだった。

多くの“ドヤ”が問答無用で撤去され、そこに住んでいた労働者と家族たちはいきなり、北京の寒空に放り出されることになった。その数は10万人とも数十万人とも、最終的には100万人に達するともいわれている。

だが北京市当局はこの事件に関する報道を統制、インターネットのSNSで低端人口をはじめとする関連用語を打ち込んでも表示されず、動画や写真も削除対象となっている。

実際のところは、北京の郊外にいけば、こうした強制的に住人を追い出しゴーストタウン化したドヤ街がいたるところに広がり、あるいはすでにがれきの山となっており、またキャリーバッグなど手荷物を持って零下の夜をさまよう出稼ぎ者らが未だ、見かけられた。こうした人たちに、市は新たな職業や宿舎を提供している、という報道もあるが、必ずしも全員に救済措置がとられているわけではない。一部良心的な知識人、アーチストら5000人以上が、こうした北京市の政策が、憲法違反の人権問題であるとして公開書簡で抗議の声をあげている。

「さまよう出稼ぎ者」動画投稿で逮捕

そうした抗議者の一人が北京郊外にある芸術家村・宋荘(通州区)にアトリエを構える画家・華涌(48)だった。華涌は11月下旬から、北京市の政策により出稼ぎ労働者向けの簡易宿舎が強制撤去されている様子や、宿舎を追い出され、零下の北京をさまよう農村戸籍の出稼ぎ者の映像をスマートフォンで撮影し、動画サイトに投稿し、反響を呼んでいた。だが彼の活動に協力した出稼ぎ者が少なくとも5人、警察に逮捕され、彼自身にも危険が迫った。

華涌は12月7日から天津市の友人宅に身を隠していたが、15日夜、ついに警察に連行された。友人宅に警察が来てドアを叩く音が聞こえるなか、華涌がスマホの自撮りで、「すでに刑務所に入る覚悟はできている」と、これから連行されるべくドアを開けることを宣言。「あと三日で娘の誕生日なのだが、一緒に祝えなくて残念だ」と語り、「ハッピーバースディトゥーユー」を歌い、自由になったら、君を世界につれていってあげる、と娘にメッセージを残している(その後、19日までに保釈された)。華涌は48歳、遼寧出身で、かつて天安門広場で、天安門事件を追悼するパフォーマンスをやったために一年三カ月の労働教養所送りになったことがあった。この秋の党大会期間も、自宅軟禁にあっていた。

この事件について、環球時報は、一時期、一部で暴力的な撤去が起き、世論の批判を受けたが、こうした世論を参考に当局は善処しているとして、華涌の抗議は単なる煽情的なパフォーマンスだと批判した。

だが、低端人口問題は公式メディアのいうように、すでに解決し、鎮火した問題かというと、むしろ新たな“火事”が続き、拡大している。

12月13日未明、朝陽区十八里店郷白墙子村のドヤで再び火事が起き、5人が死亡していた。この村も、撤去対象になっていた。火事の原因は無資格者が設置した電動車用充電器らしいが、消防隊はこの地域が撤去対象だからといって出動せず、住人に救出も行われなかったようだ。このドヤにその日に宿泊を開始したある男性は3階から飛び降りて足を骨折して一命を取り留めたが、一緒に泊まっていた息子は死亡したという。この村から遠くない別のドヤ街の村でも11日と12日の夜に火事があった。

こうなってくると、大興区の火事も含めて、本当に撤去予定になっているドヤ街の火事は、失火なのか、という気もしてくる。もちろん、そうした疑問の声はおろか、事件に関する情報自体が統制されている。13日には大興区の龐各荘でも暴力的強制撤去があり、何の準備時間もないまま、布製品加工工場が取り壊された。布など工場にあった材料や車は押収されたという。

「書記批判」封じ込め、強権で強行

こうした激しく暴力的な政策について、北京市書記の蔡奇への批判は高まっているが、それもメディア統制によって封じ込められている。12日、こうした批判を避けるために、蔡奇は都市生活のサービス産業を支える低収入労働者への慰問をこれ見よがしに行い、それを公式メディアに報道させた。蔡奇は都市の清掃、家政、流通、飲食業などに従事している低収入労働者を十分に尊重し、関心をもって彼らの問題を解決せねばならない、とコメントした。だが、こうした実際の行動と裏腹のパフォーマンスが、さらに不信感を呼んでいる。

13日、北京市の北京大学、清華大学、人民大学らの大学生有志84人による「北京市書記・蔡奇先生に辞職を促す」と題した公開書簡がネットで発表された。公開書簡では「今回の暴力的な公民の駆逐政策の悪影響は深刻で、大衆と共産党の関係を損ない、この責任を誰かが負わねばならない。我々は法規・規律を乱したとして、北京市委書記・蔡奇先生に即刻辞職していただき、天下に謝っていただきたい」と訴えているが、当然この公開書簡の載っているサイトはすぐさま削除、封鎖された。

この政策の背景には、今年秋に、2020年までに北京市の人口を2300万人以下に抑制するという都市計画が打ち出されたことが関係している。北京市の人口は2016年末に2172万9000人と発表されている。このうち800万人以上が外来人口と呼ばれる北京市外から流入した人口だ。さらに統計上にカウントされていない出稼ぎ者が100万人から200万人いるともいわれ、北京人口の実質はすでに2300万人を超えている。

北京だけでなく、上海、広州などの大都市では人口爆発の問題が深刻で、都市資源、特に交通インフラの維持や生活用水の確保のためには、都市人口抑制は重要な課題である。その処方箋として“低端人口”の都市からの排除は、かねてから都市計画の専門家から指摘されていた。“低端人口”という言葉そのものに込められている蔑視や、実際に都市サービス産業がこうした外来人口に支えられている現実から、こうした党内部の“政治用語”が表だって使用されることは、これまでほとんどなかったが、習近平政権が二期目に入り、習近平の権力基盤が強化されたことで、習近平派閥の筆頭でもある蔡奇が自分の強権に自信をもち、この強硬な政策を実行に移したと見られている。ある北京市民は「蔡奇書記が自分の権勢の強さを周囲に見せつけるために、今回の“駆逐”政策に踏み切ったのだ」との見方を示した。

都市生活の恩恵を受けている北京市民には、人口爆発を防ぐために正規の居留証を持たずに北京に暮らす“低端人口”の駆逐は致し方ないという意見を言う人も少なくないが、一方で大学関係者や学生、知識層らいわゆる“高端(ハイレベル)人口”に、こうした非人道的な政策はおかしいとはっきり言う人も少なくない。

北京清華大学社会学系教授の郭於華はBBCの取材に「自分の学生で、すでに博士号をとって、大学への就職も決まっている者も、この強制撤去政策で住居を失った。彼は“高端人口”に属する人間だが、この種の人権侵害の政策は、今日は他人ごとでも、明日は我が身だ」と訴えている。この政策に大学生たちが敏感に反応しているのも、実のところ、地方出身の学生の中には、大学卒業後も就職先が見つからず、“低端人口”に陥ると心配している者も多いという現実があるからだろう。

「人民」はどこに?

また、生粋の都市民の中にも、この政策によって“高端人口”の都市生活が大きくマイナス影響を受けている、と懸念を言う人もいる。例えば、都市民の生活を支えるネット通販は、こうした出稼ぎ“低端人口”が運転する宅配便用の電動自動車に支えられているが、今回の“低端人口駆逐”によって、大手宅配会社・順豊の北京方面における運送センターのおよそ十分の一が、人手不足で機能マヒに陥り、宅配の遅延や誤配が一気に増えた。

順豊は一応、自社で宿舎を確保することで、この問題を解決するとしているが、「この政策の結果、宅配便の単価が上がってしまうかもしれない。結果的に、清掃、飲食サービス、ガードマンといった底辺の仕事を低賃金で担う人員が減って、都市サービスの単価が値上がりしたり、質が劣化するならば困る」という市民もいた。

習近平はこの秋の党大会の政治活動報告で、「人民を中心とする」という方針を強く打ち出している。習近平政権の政策ブレーンを自任する清華大学教授の胡鞍鋼は「習近平政権では、『人民』を強く打ち出していることが特徴。人民を中心とする、とは『人民の人民による人民のための政治』ということであり、これが執政党としての正統性の根拠となる」とリンカーンの名言を引用して説明していた。だが、現実をみると、この人民とはいったいどこにいるのか。習近平政権二期目の政治は、「人民を中心とする」ではなく「人民を排除する」政治であり、もはや、その執政党としての正統性は暴力でしか維持できない状況に陥っているということではないだろうか。

山田記事

年末年始の特別企画として、日経ビジネスオンラインの人気連載陣や記者に、それぞれの専門分野について2018年を予測してもらいました。はたして2018年はどんな年になるのでしょうか?

(「2018年を読む」記事一覧はこちらから)

「いたたまれないダンス」の先駆け(左、鄭州2015年)と、「いたたまれない人」と揶揄される人の典型的なタイプ(上海2016年)

中国でも流行語が話題に上る季節が今年もまたやって来た。かつてこのコラムでも書いたが、中国では日本漢字能力検定協会が決め清水寺で発表する「今年の漢字」や、「ユーキャン新語・流行語大賞」のような、「今年の漢字・流行語と言えばコレ」と国民の間に定着しているものがない。そこで、『咬文嚼字』という言語学の専門誌や、『新周刊』という隔週刊誌等、その年のキーワードや流行語を特集で取り上げることの多いメディアにいくつか目を通してみると、共通して取り上げられていたのは「尬」(ガー)という字だった。

「尬」は通常「尷尬」(ガンガー)と2文字セットで使われることがほとんどで、「いたたまれない」「気まずい」という意味。それがここ2、3年、「尬」の字を「尷」ではない他の字と組み合わせて使うケースが出始め、今年になって流行と言えるまでに拡大した。

なかでもよく使われる組み合わせは「尬聊」(ガーリャオ)と「尬舞」(ガーウー)の2つだ。

「尬聊」はネットで知り合った面識のない相手とチャットでおしゃべりを始めたものの盛り上がらず、気まずい雰囲気になることを表現するのに生まれたネット用語の1つだった。そこから派生して、初めてのデートで会話が弾まないことなど、ネットからリアルの世界にまで発展してきた言葉である。

踊り狂う「いたたまれない」50・60代

「尬舞」は、「舞」という字で分かるように、「いたたまれないダンス」という意味。ダンスはダンスでも基本的にはダンスバトルのことを指すらしい。尬舞を躍る人たちの様子を映した掲載できる写真がなく残念なのだが、彼らの出で立ちからダンスそのもの、発する雰囲気まで、何から何まで見ていて確かに「いたたまれない」のだ。

ピンクや黄色など奇抜な色に染め、両サイドを剃り上げて弁髪風にしたヘアスタイル、系統的にはストリート系のはずなのに、70年代から80年代にかけての日本に出現し社会現象になった暴走族やタケノコ族のにおいをも感じさせ、それらのいずれをも2段階ぐらいダサくしたようなファッション。相手を小馬鹿にしたような、世の中を舐めきったような、怖い物なしといった表情。すべてが露悪趣味に溢れている。見ているのが「いたたまれない」し、見ているこちらが「気まずい」気持ちになる。日本で言うところの「イタい」に通じる部分もあるかもしれない。

「尬舞」の発祥の地は内陸の河南省鄭州の公園だ。その後、全国に広まっていくにつれ、ダンスを踊る人の年齢層も拡大していったようだが、中国のネット動画サイトで、発祥の地である鄭州で中心になって踊っている人等を観ると、中高年がほとんどであることに気付いた。

その後、検索大手「百度」のネット記事で「鄭州の尬舞チームで躍っているのは一体どんな人?」という記事を見つけ読んでみると、やはりそうだった。中心メンバーの年齢は50代半ばから70歳ジャストまで。文化大革命(1966~76年)の前後に学齢期だった文革世代の人々である。

「自由=好き勝手に振る舞う」

「尬舞」の流行を牽引する露悪趣味の文革世代が踊り狂う様を見ていて、やはり文革世代の上海人男性が話していたことを思い出した。彼は私よりも2つ年上の今年54歳だから、文革が終わった76年には中学1年生だった。中国有数の名門、上海復旦大学を卒業したエリートである。

その彼が、日本旅行から帰ってきたばかりだといって話してくれたのは「自由」の話だった。「日本もシンガポールも旅行で行ったけど、中国がやっぱりいいよ。だって自由だもんな」と言うのだ。

自由とは、言葉が不自由だったからつまらなかったという意味かと思ったが、しかしシンガポールなら中国語が通じるはず。すると彼は、「違う違う。日本は町も電車の中もレストランもどこもかしこも静かじゃないか。大声でしゃべると冷たい目で見られるだろ。それにシンガポールも日本も、道路にツバを吐いたらイヤな顔をされる。シンガポールはゴミを捨てたら罰金だぜ。その点、上海はツバは吐き放題、ゴミは捨て放題、大声でしゃべってもだれも文句を言わない。中国はまったく自由さ」

自由には責任が伴うものだとか、自由は不自由なものだとか言うような、自由についての議論をここでするのはやめておく。ここでは、中国の文革世代は、「自由」を「好き勝手に振る舞うこと」と捉えているようだということ、そして、この世代が踊る様を、若い世代が「いたたまれない」という思いで見ており、そこから「尬舞」という言葉が生まれたようだということを、ひとまず覚えておいてほしい。

祈り、巡礼できる自由

五体投地でラサへ巡礼の旅に向かう人(『ラサへの歩き方~祈りの2400km』。12月23日(土)からシアター・イメージフォーラムでロードショー公開。配給:ムヴィオラ)

ここでもう1つ、2017年に中国でヒットしたものを取り上げたい。『ラサへの歩き方 祈りの2400km』(原題『岡仁波斉』、カイラス山の中国名。監督・チャン・ヤン)という映画である。チベット自治区の小さな村に住む村人たちが、チベット仏教の聖地ラサ(拉薩)、そして聖山カイラス山へ向かう合計2400kmの道のりを、「五体投地」という礼拝をしながら1年をかけて徒歩で巡礼する様子を描いたロードムービーだ。ドキュメンタリーではなくフィクションだが、演じているのは実際にチベットの村に住む一般人だという。

「五体投地」とは、両手、両膝、額の「五体」を地面に投げ伏して祈りを捧げる、チベット仏教で最も丁寧な礼拝のスタイルのこと。主人公等らの住む村があるチベット自治区東端のマルカム県は標高が平均4300m、カイラス山は6656mと、日本では体験できない高地にある。歩くだけでも気が遠くなりそうなこの厳しい環境を、彼らは、尺取り虫のように体を投げ出す礼拝をしながら、徒歩で歩き通すのだ。参加しているのは幼い少女から妊婦、老人の3家族11人。撮影中、妊婦は本当に道中で出産し、伴走のトラクターの荷台に新生児を載せて巡礼を続ける。今年の6月に中国で公開されると、興収1億元(約17億円)、動員300万人(2017年10月現在)という、「芸術映画」のカテゴリーで過去最高の空前のヒットになった。

さて、言ってみれば、聖地に向かって老若男女がひたすら歩き続ける映画がなぜ、中国で大ヒットしたのか。

日本での配給元のムヴィオラによると、「中国に先駆けて2016年7月に世界で最初の劇場公開が行われた日本では、映画を観るだけで心を整えることができるという声が高まり」、約2万人を超えるスマッシュヒットになったとのことだ。

ただ、短からず上海に住み、少数民族や農村の人たちの生活や現状にほとんど関心を示さない都会の中国人のことを知っている私は、この映画が流行ったのは、生活に余裕のある富裕層や上位中間層が、「スローライフが好きな私」に酔いしれ、他人にもそれをアピールするために、いわばファッションとして観たというところなのではないか、と思っていた。

しかし今年の12月半ば、渋谷の試写室で初めて本作を観ている途中で、いささか考えが変わった。あり得ないような猛吹雪で息ができなくなっても、豪雨で道路が川のようになりおぼれそうになっても、対向車にぶつけられ伴走のトラクターが走れなくなっても、崖崩れの落石で足をケガしても、慌てず騒がず、しかし歩くことを止めない彼らの姿に、観客等は純粋に心を揺すぶられたのだろうと。1年もの巡礼の間、収入がなくなるのを承知で旅に出て、聖地ラサに着いた時点で持ち金がなくなると、旅をいったんやめ、現地で洗車や建築現場の肉体労働をして数カ月金を稼ぎ、金がたまるとまた、聖山カイラスに向かうという彼らの生き様に、心を動かされた。そこに、普遍的なものを感じたということなのだろうと思った。

一人っ子政策の犠牲者たちのやるせなさ

そして、試写の後にあった談話会に登壇した本作の字幕翻訳を務めた樋口裕子氏から興味深い話を聞いた。「最近訪れた上海で、どのような人たちが本作を観たのかと聞いて回ったら、30代の若者が中心だった」というのだ。そして、「30代の人たちというのは、企業の中で責任は重いし、立場的にも難しい位置にいて、とても疲れているらしい。そういう人たちがこの映画を観たそうだ」と。

この話を聞いて私は、いたたまれないという意味の「尬」という言葉が流行ったことにつながるものを感じた。

いまの中国の30代は、1979年に施行され2015年に廃止になった「一人っ子政策」の第1世代と言える世代だ。一人っ子政策が廃止されたのは、少子高齢化で老齢人口を支えることが困難になり始めたためである。子供のころは、双方の祖父母に両親合わせて「6つの財布を持つ」と言われた一人っ子世代だが、今に至って、1人で6人の老後を支えなければならない可能性があるという不安を抱えるようになった。そのような立場にある彼らは、仕事を簡単に辞めるわけにはいかない。樋口氏の言う「彼らはとても疲れている」というのは、仕事だけでなく、社会的な構造を背負わされたプレッシャーから来る疲れもあるのだと思う。

その都会の30代の彼らの目に、仕事を1年以上も休んで巡礼の旅に出るチベットの人たちの姿は、いかにも「自由」に映ったのではないか。ちなみに、チベット族など少数民族は、一人っ子政策の対象から除外されていた。

一方、都会に目を転じると、「自由」を「好き勝手に振る舞うこと」と解釈している50代、60代の大人たち、すなわち、一人っ子世代が支えなければならない中高年たちが、脳天気に「尬舞」に興じている。

「いたたまれない」を意味する「尬」という言葉の流行は、「オレたちは自分を犠牲にして、こんな大人たちを支えていかなければならないのか」という一人っ子世代のやるせなさや憤まんが爆発する前兆のように思える。その思いが高じて、2018年に、この世代が社会に牙を剥いても、何の不思議もない。

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