『外国人は我慢しろと?「鎖国」が進む中国社会 覚悟が必要、支配を拒めばこんなに不便だ』(4/24JBプレス 安田峰俊)について

4/27日経朝刊<習主席に水面下の圧力 米中会談、凍り付いた笑顔の裏 米、突きつけた制裁リスト

夏のような日差しが降りそそぐ米フロリダ州。6~7日、トランプ米大統領と初めて会談した中国の習近平国家主席は終始、笑顔を振りまき続けた。だが、その笑顔は凍り付いていた。トランプ氏が会談のさなかにシリア攻撃に踏み切り、北朝鮮や通商を巡る問題で優位に立ったことだけが原因ではない。会談前から、米国は水面下で中国を揺さぶり続けた。

中国の習主席を別荘「マール・ア・ラーゴ」で迎えたトランプ米大統領(6日、パームビーチ)=ロイター

中国企業を追加

首脳会談を2週間後に控えた3月下旬、米国務省は対米取引を禁じる制裁対象リストに、北京市内にある中国企業の名前を加えた。「イランのミサイル開発計画に関与した」との理由だった。

北朝鮮と違法に取引する中国企業があれば、同様の制裁を加える。核・ミサイル開発をやめない北朝鮮の後ろ盾である中国への明らかなけん制だ。しかも、この中国企業は特殊な背景があった。

中国のシリコンバレーと呼ばれ、ベンチャー企業が集まる北京の「中関村」。米国の制裁対象となった「北京中科華正電気公司」が公表する住所を訪ねると、警備員が入り口を守る巨大な敷地にたどり着いた。門から見える建物には「中国科学院電工研究所」。中国国務院(政府)に直属する研究機関だった。

「この会社は敷地内にあるはずだ」。警備員にただすと、記者が見せた資料をまじまじと見つめて「そうだ。この中にある。面会予約はあるのか」。何度電話しても出ないので連絡先を教えてほしいと答えると、「予約のない人は入れられない」。門前払いだった。

中国政府がイランや北朝鮮のミサイル開発を黙認している証拠をつかんでいるぞ――。制裁対象の名前を並べただけの米国務省資料の裏側には、中国への強烈なメッセージが込められている。

3月上旬、米国は中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対し、北朝鮮などに通信機器を違法に輸出したとして約12億ドル(約1300億円)の罰金を科した。同社の2016年12月期の最終損益は赤字に転落した。

外交筋によると、米国は北朝鮮の核・ミサイル開発に関わる中国企業や金融機関を調べ上げている。首脳会談前に突きつけたのはその一部だ。

畳みかけるように、トランプ氏は初めて習氏と会った6日、シリア攻撃のゴーサインを出した。北朝鮮問題でも武力に訴える構えをちらつかせ、習氏から北朝鮮の核放棄に向けた「協力強化」という合意をもぎ取った。

次の一手を迫られた習氏。会談終了後、トランプ氏とともに散歩した。現地では「習氏は笑顔を見せないかもしれない」との見方も浮上していた。散歩はたったの3分間。背広にネクタイという堅苦しい装いながら、習氏は何とかほほ笑んでトランプ氏と握手した。

会談前から揺さぶりをかけられながらも、なぜ習氏はトランプ氏との早期会談にこだわったのか。国内の政治情勢に背中を押されたからだ。

秋の党大会意識

中国では秋に5年に1度の共産党大会を控え、最高指導部の人事の入れ替えに向けた権力闘争の季節に入っている。習氏が人事の主導権を握り続け、スキをつくらないようにするためには、外交の安定が絶対条件となる。

特に、世界の大国の指導者を自負する習氏にとって、米国に自らの立場を理解させたという国内向けの演出が必要だった。中国国営中央テレビは、芝生の上をトランプ氏と肩を並べて歩く習氏の貼り付けたような笑顔を繰り返し放送した。

トランプ政権は首脳会談直後から韓国への核の再配備をちらつかせ、朝鮮半島周辺に空母を派遣するなど圧力を強めた。早く次の手を打たなければ中国の安全保障環境は悪化するばかりだが、米国に譲歩しすぎれば国内で弱腰の批判を受ける。

党大会まではまだ半年ある。習氏はトランプ氏との個人的な関係構築を国内に示す当初の目的は達成したが、北朝鮮への対処だけでなく、対米黒字の削減に向けた具体策という宿題を残した。「早すぎる会談はリスクも大きい」。訪米前から中国国内でささやかれていた懸念が再び頭をもたげ始めている。(北京=永井央紀)>(以上)

北朝鮮関連企業への制裁くらいで習がトランプの言い分を聞くとは思えません。やはり、江沢民派+瀋陽軍閥と連なる金正恩を亡き者にできると思い、トランプと手を結んだのでは。人のフンドシで相撲を取るのは、中国人の得意とするところです。ただ、多分瀋陽軍と思われますが、北朝鮮船から石炭の積み下ろしはしているが輸入ではない“China allows North Korean coal ships to unload, but not import”と主張しているという記事が4/26ロイターに載りました。人道支援や船員の健康問題、船の難破の可能性を理由に挙げています。相変わらずの詭弁です。これを見ますと、習の米国への協力の姿勢が本物なのかが不明です。

http://af.reuters.com/article/commoditiesNews/idAFL4N1HY3N7

同じく、4/27日経朝刊<中国、車の外資規制緩和、合弁出資、50%超可能に、25年までに>の記事がありました。EVやら自動運転技術をパクるための飴でしょう。でも、以前にも触れましたように、中国の合弁企業法には『董事(=取締役)全員一致の原則』があります。中国側の株式がゼロでない限り、合弁企業となり、持ち株に関係なく、少なくとも一人は中国人の董事を入れなければなりません。重要事項は中国人董事によって反対され、決定できない場面が出て来るのが予想されます。また、合弁企業の裏には必ず共産党の書記が任命され、表に出て来なくとも、裏で中国側董事を操って経営させます。100%独資であっても、許認可権を持つのは行政で、人脈を持たなければ、意地悪をされるでしょう。中国進出は控え、既に投資している企業は早く撤退すべきです。

http://www.ginkouin.com/rensai/china/5.html

本記事の中国人だけが得するサービスというのは昔からありました。外国人価格というものです。北京の大学に語学留学していた時に、先生と共に、万里の長城(八達嶺)に行きました。外国人だと高くなるというので、中国人として入ることにしました。その代り「しゃべるな」と言われましたが。

中国は軍事・治安優先国家です。ですから、便利さもその範囲内という事です。小生が中国に在勤していたのは97年~2005年までですが、物を運ぶのに大変だった記憶があります。最初の頃はリヤカーでと言った所。その頃は日本式の引越業者や宅配業者はありませんで、帰国するぐらいからボチボチと日本の運送・宅配業者が出て来て、サービスを受けれるようになりました。それを考えれば、今の中国の便利さは天国と地獄の差でしょう。外国人であっても許容できる範囲では。

中国人は基本的人権なんて求めている人は少ないでしょう。金が稼げれば良いというのが大半です。国が国民を監視してもそれが当たり前と思っているのでは。何せ、文革時には密告が奨励され、今でも密告奨励法ができるくらいですから。権力に弱く、「寄らば大樹の陰」が彼らの生き方です。中国で不便を感じるのなら、行かないことです。日本人は彼らとは本質が違いますので。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族です。また、日中関係が悪くなれば、確実に人質にされます。そんな危険な所に行く必要はありません。

http://www.newsweekjapan.jp/rebelpepper/2017/04/post-42.php

記事

中国の高速鉄道。中国人は外国人よりもスムーズにチケットを買える。ただし移動の履歴をすべて当局に管理されることになる(資料写真)

今春、江戸時代の日本の外交姿勢をたとえる「鎖国」という言葉を教育指導要領に含めるか否かで世論が沸騰したことは記憶に新しい。実際はオランダや中国と交易関係があったと解釈する学問上の定説と、「鎖国」という単語に慣れ親しんだ世間の感覚とのズレが議論の原因だった。

他方、現代の中国においても「鎖国」が進んでいると聞けば、やはりピンとこない方が多いことだろう。

2016年の中国の貿易総額は3兆6850億ドルで世界2位、一帯一路政策を提唱する中国首脳部は毎日のように各国の首脳とよしみを通じ、国際社会におけるプレゼンスの拡大を図り続けている。現在、中国はボリュームの面においては史上最も海外との接触が多い時代を迎えていると言っていい。

だが、中国を訪れる外国人の肌感覚として「鎖国」はリアルな言葉だ。すなわち、われわれ外国人の多くは、現代中国の一般市民が当たり前のように享受している便利なサービスの多くを利用できず、また自国で使っている多くのサービスが中国では使えないためである。

しかも、この不便さは中国の社会が「遅れている」から発生するのではない。中国では(特にITの分野では日本以上に)先進的でスマートなサービスが数多く提供されているにもかかわらず、これらがほぼ意図的に中国国民のみに特化した提供形態を採用しているため、下準備をおこなわない外国人だけ大きく割を食うハメになっているのだ。

砂漠で自分の目の前に水がたっぷりあるのに、ヨソ者の自分だけがそれを飲めないもどかしさ。これぞ現代の中国における「鎖国」の正体である。

中国では”ガイジン”だけが損をし続ける

具体的な場面をシミュレートしたほうが分かりやすいだろう。仮にあなたが予備知識を持たず、また現地の中国人からのサポートもない状態で、北京に3日間出張したとする。

空港の制限エリアを出て、まずは困るのがホテルへの移動だ。中国では国民への情報統制と自国産業保護の目的からグーグルをはじめとした国外のインターネットサービスの多くが遮断されているため、いまや私たちの生活上の必需品となっているグーグルマップが使えない。

この問題を解決するには中国アプリ(中国語)の「百度地図」などを、情報流出のリスクを覚悟してあらかじめインストールしておくか、中国からでも国外サイトに接続可能な技術を提供するVPN機能をスマホやパソコンに仕込んでおく必要がある。ただしこのVPNも、特にセキュリティの厳しい北京などではなかなか接続できず、トライ&エラーの繰り返しで膨大な時間を無駄にすることを余儀なくされる。

そもそも、日本の携帯キャリアから海外でネットにつなぐ際に追加のパケット代を支払いたくない場合はWi-Fiを利用するしかないが、中国のパブリックWi-Fiの多くは現地の携帯電話番号を用いたログインが必須である。中国大都市部の公共スペースのWi-Fi環境は日本以上に整備されているものの、最もWi-Fiが必要であるはずの短期滞在の外国人はそれを使えないという困った事態に直面することとなる。

ちなみに外国人が中国で携帯電話のSIMカードを買う際はパスポートの提示が必須で、自分の個人情報を当局に提供しなくてはならない。他国とは異なり監視社会である中国においては、このSIMを使った携帯は当然ながら会話を盗聴される可能性があるし、その気になれば当局はGPSを使って携帯の所有者の所在地や行動の内容をリアルタイムで補足し続けることもできる(事実、中国国内にいる民主活動家や外国人ジャーナリスト、大企業の外国人幹部などはこの方法で一挙手一投足を監視され続けている)。

なんとか空港シャトルに乗り、市内の駅に到着してからも大変だ。ホテルまでの交通手段が分からないならばタクシーを使えばいいと、北京のすさまじい大気汚染に耐えながら道路脇で車を何十分も待っていても、いつまでも捕まらない。しかも腹が立つことに、なぜか周囲にいる中国人たちは待たずにどんどん車両に乗り込んでいく。

これは彼らがタクシーの配車アプリや中国版のUber「滴滴打車」を使っているためだ。例によって中国アプリをインストールし、中国国内の携帯電話番号を入力するなどすれば、苦労を味あわずにすぐに車に乗れるわけである。

現地では逆に「流し」のタクシーがどんどん減っているため、中国語が話せなかったり、アプリ利用を知らない(できない)人だけが大幅に割を食うことになる。

利便性は個人情報と引き換えに

やっとホテルに到着して、近所のキオスクのような店でミネラルウォーターを買おうとすると、さっき空港で両替したばかりの100元札がニセ札であると突き返されるかもしれない。いっぽうで他の中国人客を見ると、スマホのウェブ電子マネー「WeChat Payment(微信支付)」などを使って、ニセ札知らずでキャッシュレスで買い物をしている。これを使うにはやはり中国アプリをスマホにインストールし、さらに現地の銀行口座と紐つける必要がある。

仮にあなたが現地の知人名義の携帯SIMを使うなどしていた場合(※ 長期・短期滞在を問わず、私を含めた外国人は従来こうした手法を取る人も多かった)、携帯と銀行口座の名義が一致しないため利用はNGである。ウェブ電子マネーはものすごく便利な機能なのだが、これを使うことで自分の行動形態はすべて当局に筒抜けだ。

翌朝、すこしホテルの近所を出歩きたいと考えたとする。中国の街はだだっ広く、徒歩移動には限界があるため、自転車があると便利だ。中国では昨年ごろからシェアサイクルがブームで、街のあちこちで乗り捨て可能なレンタル自転車を安価で借りることができる。ただ、こちらも多くは料金支払いにあたって専用アプリや WeChat Payment の利用が必要。結果、周囲の老若男女の中国人がスイスイとシェアサイクルをこいで移動するなか、外国人のあなただけが徒歩でとぼとぼと街を歩くこととなる。

ちなみにシェアサイクルの提供元である大手各社は、中国国内の信用ポイントサービスと連動しているため、過去に各種のウェブサービスで踏み倒しなどを行ったユーザーだと貸し出し処理ができない場合がある。品行方正ではない人はサービスを利用できないというわけで、確かに便利かもしれないが、中国では“オイタ”な行動やささいな失敗がまったく許容されない社会が構築されつつあるということでもある。

ほか、仮にあなたが別の都市に移動したいとする。2000年代以降、中国では高速鉄道網の整備が急速に進み、いまや総延長距離で従来は各国別1位だった日本を抜いて世界最大の高速鉄道大国に成長した。だが、(路線によっても異なるが)外国人の場合は長い列に並び、膨大な時間を使って疲れ果ててチケットを買うことを余儀なくされる。もちろん中国人であれば、自動販売機にIC化されたIDカードをかざすだけでスムーズにチケットを買えるし、そもそもネットで買ってしまう人も多い。

ここでも割を食うのは外国人だけというわけだ。ただし中国人の場合、高速鉄道や航空機での移動の履歴はすべて当局側に蓄積されていくので、お忍びの行動などはまったくできない。また当局は、過去に公共交通機関の利用上で問題行為を起こしたデータを持つ人間にチケットの購入を制限するなど、より踏み込んだ管理も進めつつある。

「鎖国」から逃れるには支配を受け入れるしかない

日本においても、一部のポイントカードや電子マネーは使用者の利用情報を収集してビッグデータとして活用しているが、こちらは個人情報保護の面での配慮がなされている(とされる)。いっぽうで中国の場合、生活の各方面において提供されている極めて便利で先進的なサービスの数々は、すべて本人のプライバシーと明確に紐付けされた膨大な個人情報を当局に握られることと引き換えに、得られる仕組みとなっている。

これらはもちろん、中国当局が防諜や国民管理の目的から意図的に政策として進行させているものである。その背景にある事情や中国人自身の認識について、亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科(MBA)講師の田中信彦氏は下記のような指摘を行っている。これは主にウェブサービスの信用度に関して論じた内容だが、中国におけるより広範な各種サービスへの個人情報の紐付けについても同様の論理が適用できるはずだ。やや長くなるが引用しておきたい。

“悪いことをしようとしてもできない(リスクが高すぎる)社会、人を騙そうとしても騙せない(割が悪すぎる)社会をデジタル的につくり上げ、「ルールを守り、真面目にコツコツやったほうが結局はトクだ」という仕組みで、社会をがんじがらめにする。そうすることで否応なく人に「良い行動」をさせる。やや極端に言うと、そういう壮大な試みが、いま全土で進行中だ。”

“一方、中国ではもともと社会主義的な情報一元管理の仕組みがあり、西欧社会流の「プライバシー」という観念は成熟していない。宗教的、道徳的な土壌も違う。自らの情報が公的機関はもちろん、企業によって収集、活用されることへの抵抗感は、個人差はあるものの、全般に薄い。むしろ自分自身の情報開示に相応のメリットがあるならば、積極的に公開してもよいと考える人が多数派だ。そのため企業が個人の信用情報の活用を進めやすい。ここに中国の信用情報システム構築の際立った特徴がある。”

“情報のデジタル化を武器に、権力と民間が一体となって個人の信用情報を網羅的に管理し、その「アメとムチ」によって個人の行動を変えさせる。その試みは、まさに中国という専制国家ならではの凄味がある。その全ての基盤は冒頭に書いたように「快適かつ安全な社会の実現はプライバシーに優先する」という中国社会のコンセンサスにある。 ”

(「『信用』が中国人を変える スマホ時代の中国版信用情報システムの『凄み』」)

私が本稿で挙げたシミュレーションは単発の短期出張者の行動なので、やせ我慢をして中国式の「便利」なサービスの利用を拒否し、「鎖国」に甘んじる選択肢も可能ではある。だが、定期的に中国を訪問したり、現地に駐在・留学する人にとって、この選択肢は日常生活上においてきわめて不公平で理不尽な苦労を背負い込むことになるため現実的ではない。自分が損をしないためには、消費・移動・通信などにまつわるあらゆる行動の情報を、中国人と同様に当局に提供せざるを得ないというわけだ。中国における「便利」は「監視」と同義語なのである。

もちろん、「自分は悪いことをしないので情報を提供してもよい」という考え方もあるだろう。だが、中国における「悪いこと」の基準は日本とは異なる。

中国国内でNGOに協力したり、在留日本人としての権利保護を集団で主張したり、たまたま中国人の民主活動家の友人を持ったりすることも「悪いこと」である。それどころか、仮に今後に日中両国の関係が極度に悪化した場合、日本人であることそれ自体が「悪いこと」となり、移動や通信が制限される可能性だって否定できない。

──そこまで怖いことを考えなくとも、事実として中国は外国人にとってはどんどん不便な国になりつつある。そして、この変化は今後も不可逆的に進んでいくはずなのだ。

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