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5/13日経ビジネスオンライン 熊谷徹『英国保守党の圧勝で、EU脱退が視野に ヒトの移動の自由をめぐる価値観に関わる断層』記事について

5/14日経朝刊「経済教室 英国総選挙とEUの行方上 経済優先奏功、「残留」が濃厚」の記事にもありましたように、キャメロンは国民投票をダシにしてEUと交渉してある程度の譲歩を勝ち取り、鉾を納めるのではと思います。やはり、離脱は英国にとって損失の方が大きい。メデイアの予想を覆して保守党が勝ったのは、ブッシュ父を敗ったクリントンと同じく経済です。経済に悪影響を与えれば次の選挙で保守党は選ばれなくなりますから。EU離脱はスコットランド独立の引き金、外資の本社移転(税金徴収問題、シテイの凋落)、国連P5からの脱落等失うものの方が大き過ぎます。まともな感覚の持主なら絶対にしないでしょう。

ただ移民の問題は欧州全体で考えないと。南欧は北アフリカからの移民ですが、英国は欧州からの移民とのこと。国のありようが壊れます。日本も他人事ではありません。日本の伝統文化が壊されないようにしませんと。“入郷随俗”で日本に敬意を払い、勤勉であれば良いですが、数は多くは必要ないでしょう。その国で経済発展させ得る人材の育成に手を貸すのが一番です。

オズボーン財務相がAIIB参加の旗振りをしたとのことですが、中国の今の経済状況を認識しているとは思えません。中国が日本の参加を執拗に求めて来るのは日米分断の他に「格付け」の問題があるからです。低利で資金を得なければ低利で融資はできません。日米と中国では信用差があり、低利資金獲得は難しいためです。英国のAIIB参加はロスチャイルドが裏で動いて、今後の世界は米国でなく、中国にすると認めたからと言うユダヤ陰謀論に近いことを言う人もいます。真偽のほどは分かりません。ただ、米国の軍部は中国の台頭を認めないでしょう。一旦覇権を握った国がそうやすやすと覇権を手放すことはないと思います。英国もアメリカに渡したのは二度の世界大戦で経済が疲弊したからで、今のアメリカはそんな状況にありません。アイクが心配した軍産複合体(=WASPで構成)がユダヤ人の言いなりになるとは考えにくいです。

朝刊記事

「損得計算は様々だが、外資に依存する英国経済だけに、試算に含まれないタイプの損失も懸念される。EUとの間に貿易障壁ができれば、世界中から進出した多国籍企業は大陸へ生産拠点を移すであろう。外国の多国籍銀行が離脱すれば、ロンドン金融市場は空洞化する。海外直接投資の流入も減少する。自由と開放を誇った英国が移民排斥とナショナリズムへ大転換すれば世界へ悪影響を与える。

ただ、筆者は英国残留の可能性の方が高いとみている。第1に、世論調査で離脱支持の方が多いのは60歳代以上だけで、25歳以下では残留支持が30%も多い。投票率が高ければ残留になる。第2に、今回の選挙でUKIPは不振でファラージユ党首は引責辞任した。影響はこれから出る。第3に、これまで慎重だった産業界が残留運動に乗り出すであろう。英銀行大手HSBCが4月末、「本社の外国移転を検討中」と発表したのはその始まりかもしれない。第4に、英国離脱となればスコットランドは独立し、EU加盟へと進むであろう。離脱は英国分裂へとつながる。第5に、キャメロン首相が残留支持なら、EUとの再交渉次第で、残留を支持するという声がかなり多い。新政権は規制改正などでEUと再交渉し、その成果を背景に国民投票に臨む。EU側にもある程度の譲歩の用意はあろう。

戦後の欧州統合の隠れた目的は、独仏両国を中心とする欧州の不戦体制構築だった。この目的は達成され、不戦は世論を団結させる力を失った。そしてユーロ危機以降、多くの国でEU統合懐疑派の政治運動が盛り上がった。批判の矛先は、統合によるナショナルアイデンティティーの喪失、EUの官僚主義と非効率、EU諸国からの移民流入による雇用や社会保障制度の損失などに向かっている。

だが、統合はEU諸国経済を強固に結びつけている。個々の批判はともかく、EU離脱要求に合理性はない。ユ- ロ危機はすでに終息、域内国民のユーロへの信頼は厚い。ギリシャでさえ8割の国民がユーロ残留を望んでいる。

にもかかわらず、多数国で懐疑派運動が持続する主要な理由は、リーマン危機後の先進諸国経済の低成長とユーロ危機後遺症による高失業、欧州経済の南北分断などだ。

原油安・ユーロ安・QE (欧州中央銀行の量的緩和)と3 重の追い風を受けて、今年と来年のEUの成長率は2%を視野に入れる。経済改善のスタートを期待できそうだ。今回の英議挙は、安定成長の経済こそが政治の安定をもたらす、という古典的命題を再確認させた。国民投票の16年繰り上げもありえよう。」

記事

5月7日に行われた英国総選挙で、「どの政党も過半数を取れない」という報道機関や世論調査機関による事前予測を覆し、キャメロン首相が率いる保守党が大勝利を収めた。保守党は議席数を307から331に大幅に増やして、単独過半数を確保した。これに対し、野党は総崩れとなった。労働党は議席数を258から232に、自由民主党は57から8に減らした。

 筆者は、多くの有権者が保守政党に票を投じた理由の1つは、昨年以来、英国経済に回復の兆しが見えていることだと思う。実際、キャメロンは選挙戦の中で、「保守党は英国経済の体力を着実に強化しつつある」という点を強調していた。

 2014年の英国の実質GDP成長率は2.8%で、EU(欧州連合)平均(1.3%)やドイツの成長率(1.6%)を大幅に上回っている。

実質GDP成長率の推移

UK GDP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資料=欧州連合統計局

 就業者数も、前回の選挙が行われた2010年以来、毎年増加しており、2014年には前年比で2.3%増えた。これは、就業者の数が4年間で170万人増えたことを意味する。2014年の英国の就業者の増加率はEU全体の平均(0.8%)を大幅に上回っている。

 英国の失業率は、2010年以来10%を超えていたが、2014年には4年ぶりに10%台を割って8.4%になった。これは、EU全体の失業率(17.4%)の半分以下である。

失業率の推移

UK Unemployment rate

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資料=欧州連合統計局

 GDPに対する累積公的債務残高の比率は2010年から2014年の間に増加しているものの、キャメロン政権は財政赤字比率(GDPに対する新規債務の比率)を2010年からの4年間で9.7%から5.7%へ4ポイント減らすことに成功した。

 ドイツでメルケル首相が圧倒的な人気を誇っている最大の理由は、ドイツ経済が好調で失業率が1990年以来最低の水準になっていることだ。キャメロンが圧勝した背景にも、有権者の似たような心理を感じる。英国市民は、労働党などのリベラル政党ではなく、保守党に経済の舵取りを任せておいた方が安全だと考えたのだろう。

EUによる政治統合の深化を拒否

 だが今回の保守党の圧勝は、EUの未来に大きな影を投げかける。欧州の報道機関は、「今回の選挙結果により、EUが今の形のまま存続できるかどうかが、わからなくなった」という論調を強めている。その理由は、英国がEUに残留するべきかどうかについて、2017年までに国民投票を行うことをキャメロンが約束しているからだ。

 彼は2013年1月23日に行った演説の中で、EU内で民主主義が実行されていないことを批判。EUの政府に相当する欧州委員会が、独断的な決定を英国に押しつけることを拒否する姿勢を、明確に示した。彼は、この演説の中で、EUが条約を改正して、英国の意向を尊重する改革を行わない限り、国民投票を断行する方針を明らかにした。

 キャメロンは2年前の演説で何を要求したのだろうか。彼は、次の5つの点に要約している。

1.国際競争力の回復

2.柔軟性

3.欧州委員会に集中した権限の、加盟国への部分的な返還

4.民主的な説明責任の強化

5.ユーロ圏に加盟していない国に対する公正さ(フェアネス)

 この5つの要求は、密接にリンクしている。

 彼によると英国がEUに加盟している理由は、ひとえに「単一市場」の利益を享受できるからだ。EU域内では関税が廃止されているだけでなく、金融サービス自由化指令によって、ある国で銀行業や保険業を営む権利を取得すれば、他の加盟国でも営業できる。

 英国にとっては単一市場があれば十分で、他の点については干渉しないでほしいというのが本音だ。

 ユーロ危機をきっかけとして、通貨同盟に属する19カ国の間で、将来ギリシャやイタリアが野放図な借金経営をしないように、政治統合を深化させようという動きが強まっている。キャメロンは「ユーロ危機後のEUは、もはや以前のEUと似ても似つかないほど、違ったものになる」と指摘する。英国は正にこの政治統合を最も恐れている。

英国のことは英国が決める

 キャメロンは「EUが現在めざしている政治的統合は、英国が我慢できる範囲を超える」と断言している。つまりキャメロンは、欧州委員会やドイツ、フランスがめざす政治統合の強化に、「ノー」と言ったのだ。この発言は、英国と大陸諸国との亀裂を決定的にするものだ。ドイツやフランスは、「債務危機の再発を防ぎ、ユーロを防衛するには、これまで以上に政治的統合を強め、財政政策・経済政策を調和させなくてはならない」と考えている。これに対し、英国は政治統合を深めることに真っ向から反対している。

 キャメロンは「EUはこれまで、リスボン条約を変更し、その力をどんどん強大にしてきた。一方、英国民は意見を言う権利を与えられてこなかった。英国民は、EUが不必要な規則や規制を設けることによって自分たちの生活に干渉しつつあるという怒りを抱いている」と訴える。

 キャメロンは「欧州の全てを調和させることは、不可能だ」と断言する。そして彼は「たとえば英国の医師の労働時間が、英国議会や医師たちの意向とは無関係に、ブリュッセルで決められるのはおかしい」と告発する。

 そしてブリュッセルで中心的に決める必要がない事柄については、権限を各国の議会に返すことによって、再び議会の力を強めるべきだと訴える。彼は、そのことがEUの民主的な性格を強化すると考えている。

移民による社会保障ただ乗りに「ノー」

 保守党は、EUによる銀行規制や資本取引税にも反対している。加えて今回の選挙戦の中で、移民の規制を争点の1つにした。EUは、域内での資本や営業の自由と並んで、市民の移動の自由を極めて重視している。つまりEU加盟国の市民は、職業に就くために他の加盟国に移り住み、労働許可なしに働くことができる。しかもEU法は加盟国政府に対し、他のEU加盟国から移住した外国人に対して、原則として自国民と同程度の社会保障サービスを提供するよう求めている。このことは、自国よりも社会保障サービスの水準が高い国をめざして移住する外国人が増える可能性を秘めている。

 このため、ポーランドやハンガリーなど21世紀にEUに加盟した東欧諸国から、英国への移住者が増加した。他の欧州諸国から英国に移住した外国人の数は、2003年から2013年の間に約12万人増えている。英国統計局によると、移民が人口に占める比率は、1991年には7.3%だったが、2011年には13.4%に増えている。

 英国市民の中に移民が占める比率の推移(単位:%)

Uk immigrant

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出所:Office of National Statistics

 キャメロンは、不法移民に対する規制を強化する方針を選挙期間中に打ち出した。彼はマニフェストの中で「真面目に働いている市民が不公平感を抱かないような移民政策を導入する」と訴えていた。具体的には、英国に滞在する資格のない移民を、これまでよりも容易に摘発したり、国外追放にしたりできるようにする。さらに、不法移民が社会保障制度を不正に利用することを制限する。

 保守党は、「我々は、社会保障制度の恩恵を得るために英国に移住する外国人を規制する。労働党が政権についていた頃には、英国の移民制度が不法移民に悪用された。労働党は、今後さらに移民を増やす方針を打ち出している」と主張し、移民の規制が必要だと感じている市民の票をひきつけた。

英国はEUを脱退するか?

 キャメロンは2014年11月に行った演説の中でも、EUに改革を求めた。最も重要な項目の1つとして「EU域内での移動の自由の制限」を規定した。だがこれは欧州委員会にとって、妥協することが難しい根本的な政策目標である。欧州委員会のユンケル委員長や、ドイツの首相、メルケルはすでに「移動の自由について交渉する余地は全くない」と断言している。

 EU加盟国にとって現在の優先課題は、ギリシャで再燃したユーロ危機に対する対応や、ウクライナ危機をめぐる対ロシア政策であり、英国のためにリスボン条約を改正することではない。しかも「移動の自由」のような重要な項目については、原則として全ての加盟国が賛成しなくてはならない。果たして全ての加盟国が、英国の主張に賛成するかどうかは未知数である。

 つまり現状では、欧州委員会や欧州大陸の加盟国が、英国に妥協してリスボン条約を改正する可能性は、極めて低い。もしもEUが英国の要求に屈して、移動の自由を制限する方向に踏み切った場合、他の国も将来、英国と同じような手段で、条約の改正を勝ち取ろうとするかもしれない。その意味でも、EUは英国の圧力の前に負けたという印象を与える措置を避けようとするだろう。

 一方、下院選挙で圧勝した事実を背景に、キャメロンがEUに対し条約改正への圧力を高めることは確実だ。

 また、今年は北アフリカや中東から、地中海を経て欧州にやってくる難民の数も急増している。ドイツ政府は、同国に亡命を申請する外国人の数が今年45万人に達すると予測している。これは過去25年間で最高の数だ。特に「アラブの春」以降混乱が続くシリアやリビアなどからの難民が増えている。現在、イタリアなど南欧諸国に大きな負担がかかっているため、将来はEU加盟国内で難民の受け入れ数を割り振る可能性もある。その際にもキャメロン政権が強く抵抗する事態が起こりうる。

 さて英国でEU残留に関する国民投票が行われた場合、どのような結果になるのかは、予断を許さない。市民の反応は、大きく揺れている。英国の世論調査機関YOUGOVが今年2月に行った世論調査では、「英国はEUに残るべきだ」と回答した市民の比率は45%で、「脱退するべきだ」と答えた回答者の比率(35%)を大幅に上回った。だがこの機関が2011年9月に行った世論調査では、脱退賛成派が52%で、残留希望派(30%)に比べて圧倒的に多かった。

 英国は、ドイツに次ぐEU第2の経済大国。そのGDPは、2014年の時点でEUの約16%に相当する。Brexitと呼ばれる英国脱退が現実化した場合、EUは経済的に大きな打撃を受ける。

Brexitは日本企業にも大きな影響

 英国に展開している日本企業にとっても、BrexitはEU加盟国との貿易のコストを高めることにつながるだろう。EUとの間に特別な協定を結ばない限り、英国とEUとの間に関税が再び導入される。

 英国は、日本企業にとって欧州で最も重要な国の1つである。外務省によると、英国には約1000社の日本企業が進出している。この数はドイツに次いで欧州で2番目に多い。言語が英語であることも、日本人にとっては大きなメリットだ。

 日本企業による対英投資額は1兆3084億円(2013年)で、過去最高。国別に見ると、英国は米国に次いで第2位の投資先である。日本から英国への新規直接投資(プロジェクト件数)も116件と、米国に次いで第2位である(2013年)。また日本から英国への対外直接投資残高は7兆1379億円(2013年末)で、EUではオランダに次いで2番目に多い。

 英国がEUから脱退した場合、欧州経済の中で大陸諸国、特にドイツの影響力と発言力がさらに高まるだろう。欧州経済における英国の地位が低下することは避けられない。

 英国の有権者たちは、経済的な不利益が増加しても、EUと袂を分かつ道を選ぶのだろうか。

英国のEU脱退が、スコットランド独立の火を再燃させる可能性

 今回の選挙でもう1つ注目される出来事は、スコットランド国民党(SNP)が大躍進し、議席数を6から56に伸ばしたことだ。同党は、スコットランドが英国から独立することを求めている。SNPの地滑り的勝利も、欧州で強まる「地域第一主義」という遠心力を象徴している。

 スコットランドで2014年9月に行われた住民投票では、有権者の55.3%が独立に反対したため、スコットランドは英国に残留した。しかし今回の選挙結果は、スコットランド市民の間で独立を求める機運が衰えていないことを示している。2017年の国民投票で英国がEU脱退を選んだ場合、スコットランドでは英国からの独立を求める声が再び燃え上がるかもしれない。

 英国の金融関係者から「スコットランドが独立したら、スコットランドに本社を持つ大手企業は、本社をイングランドに移すだろう」と聞いたことがある。

 キャメロンが国民投票の期限と定めた2017年まで、残された時間は、あと1年半しかない。英国の要求に対してEUはどのように対応するのだろうか。欧州政局に、目を離せない難題がもう1つ増えた。

 

 

 

 

 

5/12渡部亮次郎メルマガ掲載 杉浦 正章『中露の「法秩序無視」が「歴史認識」を霞ませる』記事について  

杉浦正章氏は時事通信出身だけあってリベラルな立場で小生とは意見を異にする時が多くあります。ただ彼の世界を視る眼は曇っていませんというと、小生がさも偉らそうにと思われるかもしれませんが、そうではなく彼の見方が素晴らしいということです。嗅覚鋭く先を読みます。そこが他の底の浅い売国且つ平気で嘘がつける左翼リベラルとの違いかも。

彼の言う『9月の「抗日戦勝記念式典」を“不振”に終わらすのだ。』と言うのは大事なポイントで、9/3に中国が開催する抗日記念行事の参加国を5/9のロシアの70周年戦勝記念のように減らすことです。9/3以降のオバマと習の訪米会談は要注意です。オバマが八方美人のため、4月の安倍首相訪米時の歓迎と同じように行動する可能性もあります。これはラジオで青山繁晴氏が危惧していたところです。議会は上下とも共和党が多数だから習に演説させることはないと思いますが。

TVでは外務省出身の宮家邦彦氏は、「中露はいじめっ子で誰も近づきたがらない」と言っていました。まさしくその通りで、ジャイアンが二人もいたのでは学級崩壊になってしまいます。外務省出身と言うと栗山や孫崎を思い浮かべ、非常に印象が悪いのですが、宮家氏はまともです。「中露の連携は結局のところ「弱者同盟」に過ぎない。要は両国が失敗を続けているからこそ成り立つ関係であって、逆にどちらか一方が成功すれば、早晩弱体化していく運命にあると思う。」と彼のブログにもありました。

ロシアの60周年戦勝記念には50数か国参加したのに今回は20カ国でプーチンも寂しさを感じたのではと思います。軍事大国ではありますが、経済も今いち、欧米日と仲間はずれになって、悔しいけど習近平と手を結ばざるを得なくなってきているということでしょう。オバマがもっと地政学を学ばないとダメです。真の敵は誰かと。ケリーとプーチンが会って話すようですが。もっと早くロシアと話すべきだったのではと思います。ただ習はロシアの帰り、旧ソ連のカザフやバラルーシにも足を運んだとのことでプーチンは内心面白くなく思っているハズです。

「5/12軍事情報メルマガ」によれば、自衛隊も南シナ海での哨戒活動?との記事がありましたので、紹介します。皆で中国の軍事拡張を止めないと。個別に戦えば負けますので合従連衡が大事です。中国の戦略は「そうはさせじ」と分断を図ってきますからその手に乗らないことです。

■防衛省、南シナ海での哨戒活動参加を検討?

http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2015/04/148469.php

によれば防衛省は、米軍と共同しての南シナ海哨戒活動への参加について検討を始めたとのことです。

昨日もお知らせしましたが、南シナ海の危機を煽る報道等が目立ってきているのはその証左でしょう。

ただ、中共の侵略的海洋進出の姿勢がアジア太平洋情勢の不安定化を招いていることだけは確かで、わが国にとっては臺灣、尖閣という目の前の危機に直結する重大問題でもあります。

南沙諸島侵略に直面している東南アジア諸国は、我が国のプレゼンス発揮を待ち望んでいるのが実際のところです。

わが国は、世界の大国としての責任を、国益と天秤にかけつつ果たしてゆく必要があります。いま、南シナ海方面、ホルムズ海峡が有力候補なのは確かでしょう。

たとえば今年3月に米は、ASEANに対し統合海上部隊の結成を呼びかけています。

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/150321/cpd1503210500003-n2.htm

米・豪など各国がASEAN各国と共同演習等を実施してはいますが、南シナ海方面で現在展開している国連活動、多国籍部隊はありません。

ホルムズ海峡では連合任務部隊CTF150が展開しています。

【参考】(H27.4.27配信 軍事情報517号より)

記事

“悪意の枢軸”による「擬似的冷戦」の構図は長期化する

このところ目まぐるしく展開する世界情勢を鳥瞰(ちょうかん)するなら、ナチスや日本軍と戦っていない中国共産党政権が、「戦後70年」をプロパガンダに活用しロシアに急接近し、米欧に対抗し始めたことであろう。

ロシアは北朝鮮にも急接近し、ロシアを軸とする中国、北朝鮮との「悪意の枢軸」を形作っている。一方極東における日米関係は、首相・安倍晋三訪米によりその歴史上最も強い絆で結ばれ、豪州、インドとともに海洋覇権を目指す中国を抑止する構図が確立した。

この「擬似的冷戦構図」ともいえる二つの潮流は、少なくとも10年単位の長期にわたりしのぎを削るものとなり、世界情勢に影響を及ぼし続けるだろう。日米は70年前の歴史認識より、今そこにある法秩序の破壊を展開している国の動きにくさびを入れる国際世論を盛り上げるべきだろう。

まずはモスクワの「対独戦勝70年式典」を米欧日首脳がボイコットしたように、9月の「抗日戦勝記念式典」を“不振”に終わらすのだ。

中露2国の接近はいわば「同病相哀れむ」の色彩を濃くしている。なぜなら両国とも国連憲章の定める法と秩序による世界平和の達成に真っ向から挑戦しているからだ。

ロシアはウクライナ侵攻へのごうごうたる世界世論の非難をどこ吹く風とばかりに、隙あらば軍事行動を本格化させる姿勢である。そればかりかプーチンは窮鼠猫をかむがごとくに核使用までほのめかしている。

一方で中国は、東・南シナ海への覇権行動を繰り返している。最近では東シナ海は安倍訪米で日米共同防衛の方向が確立した結果、容易に進出出来ないと見たか、矛先を軍事力の手薄な南シナ海に向け、過去4か月で埋め立てを4倍に拡大して、軍事拠点化を推し進めている。

南シナ海は欧州のウクライナと同様にアジアの火薬庫としての色彩を深めている。

この中露2国による覇権行動はあの手この手の懐柔策が伴っており、巧みである。プーチンは、北方領土に解決策があるかの如き“そぶり”を安倍に見せて、日本が米ソ冷戦時のような形で米国に付くことを引き留めようとしている。

しかしクリミア半島を濡れ手で粟のごとくかすめ取り、プーチン支持率が天上を突き抜けそうになっていることを目の辺りにして、今ロシアが北方領土で譲歩することはあり得ない。

安倍はプーチンの“たらしこみ”にやすやすと乗ってはならない。一方中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)でG7にくさびを打ち込んだ。イギリス、フランス、ドイツなどの加盟は日経・風見鶏が「渇して盗泉を飲む欧州」と形容したが、まさにその通りだ。

尤も米国はいくらNATOで軍事的結びつきがあるからと言って、その経済活動にまで口を出すことは難しい。欧州は中国とは日本のように安全保障問題に直面していないから、参加は無理もない。

日本は「武士は食わねど高楊枝」でネガティブな立場で静観するしかない。

筆者が最初から指摘しているように、AIIBを巡る中国の思惑はその国内対策であるような気がしてならない。バブル崩壊が始まっているというのは既に通説であり、その対応策としての様相が強いからである。

高度経済成長を維持してきたけた外れの過剰生産能力を振り向けるのに絶好の材料となるからだ。振り向けなければバブルはのっぴきならぬ事態へと発展する。

習近平は海と陸のシルクロードを一路一帯と称して大風呂敷を広げているが、中国内の過疎はどうして起きたかと言えば、人口の都市集中であり、これは高度経済成長にとって構造的に不可欠なものである。

そのシルクロードに沿った過疎地帯に莫大な投資をして利益がどうして上がるだろうか。極めて疑問である。つぎにシルクロードに面した世界的過疎国家群の存在である。やはりこれらの国々に莫大な投資をして、取得できる利益があるのだろうか。

習はアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトが世界恐慌を克服するために行ったニューディール政策を意識しているのかもしれない。TVA(テネシー川流域開発公社)などの公共事業を起こして恐慌克服に役立ったが、それを先取りしようとする思惑が見られるのだ。

しかし、まかり間違えば中国のバブルをユーラシア全域に及ぼしかねない側面がある。したがって日米が慎重に参加を見送っているのは賢明である。日本国内には元首相・福田康夫や村山富市のようにAIIBが何であるかも分からない内から参加の必用を説く盲目的親中派があるが、元首相

たるものもう少し情報を集めて判断をしてもらいたいものである。

その習近平が、おそらくりつ然としたのが去る9日にモスクワで行われた「対独戦勝70年式典」だろう。

9月3日に予定している「抗日戦勝記念式典」の“予行演習”で気勢を上げようともくろんでいたに違いないが、ウクライナへの軍事介入の余波で米欧日本がボイコットして、国際政治の厳しさをまざまざと見る羽目陥ったのだ。

これは紛れもなく今そこにある安全保障問題が70年前の歴史認識に優先順位として勝(まさ)ったことを意味する。習にしてみれば抗日式典が、同様の有様になった場合など考えたくもないだろうが、事態の展開は甘くはない。

南沙諸島での埋め立てという領有化政策をどんどん進めて、まるでその竣工祝いのように、抗日戦争式典を催すことに世界がどう反応するかだ。おまけに中国共産党は抗日戦争で一線に立っていない。

日本は国民党政権に負けたのであって、対日軍事行動を避けて逃げ回っていた中国共産党軍に負けたのではない。

安倍は70年記念行事にたじろぐ必要は無い。6月7,8日のドイツ・エルマウサミットで堂々と戦後日本の平和主義を主張し、過去70年間にウイグル侵攻、チベット侵攻、朝鮮戦争に介入、インドに侵攻して中印戦争、中ソ国境紛争、中越戦争と血塗られた好戦的国家・中国の姿と対比させるべきであろう。

今月15日に開かれた先進7か国(G7)外相会合が「海洋安全保障に関する外相宣言」を初めて取りまとめたことは成果であろう。この流れをサミットへと勢いづけ、極東においても今現実にある安保問題を歴史認識より優位に立たせて、中国のプロパガンダにクギを刺すべきであろう。

5/12日経ビジネスオンライン 上野哲也『李克強首相が警戒する、とめどない量的緩和の行く末』記事について

以前、中国の金融緩和について日本と比較しながら論じました。http://dwellerinkashiwa.net/?p=1725

日本と中国がM2+CDとGDPの比では1.8倍とか2倍とかで同じくらい金融緩和しているというものでした。確かに上野氏の言うように出口戦略がなければ麻薬と同じで止まるところを知らなくなります。「悪貨は良貨を駆逐する」のと同じ状況になるのでは。感覚的に言えば、何となく鋳造された小判の金の含有比率が下がっているような感じがします。景気回復を始動させるためのイグニッション・スウイッチだから、景気回復が見込まれるある程度のところでストップをかける必要はあると思います。保守派の論客として名を馳せています佐伯啓思も「貨幣と欲望 資本主義の精神解剖学」か「ケインズの予言」or「アダムスミスの誤算」の中で、金融緩和は「非常手段であって効果が見込まれたらストップすべき」と言っていたと思います。参考:4ページ目「安倍首相は~

http://www.murc.jp/thinktank/rc/quarterly/quarterly_detail/201304_88.pdf#search=’%E4%BD%90%E4%BC%AF%E5%95%93%E6%80%9D+%E9%87%91%E8%9E%8D%E7%B7%A9%E5%92%8C%E3%81%AF%E9%9D%9E%E5%B8%B8%E6%89%8B%E6%AE%B5

勿論デフレがこれで脱却できると言うのがハッキリ分かれば良いのですが。ここが判断の難しい所です。早めに手仕舞いするとデフレに逆戻りしますので。今は2年連続で賃上げが続いているので失われた20年のような閉塞感は少なくなったと思います。もう少し経済に自信がついてからの緩和解除かと思います。2017年4月の消費税増税がありますが、ここで増税すると景気は腰折れし、元の木阿弥になるのでは。2020年まで安倍首相と上野氏は言っていますが、経済政策で失敗すれば特例措置はないと思います。小生は安倍内閣が続いてほしいと思っていますが。

記事

 4月15日に中国国家統計局から発表された1~3月期の中国の実質GDP(国内総生産)は、前年同期比+7.0%になり、景気の減速が続いていることが確認された。2009年1~3月期に、「リーマンショック」発生後の世界経済悪化局面で記録した同+6.6%以来の低成長である<図>。

■図:中国の実質GDP成長率

china economic growth

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「われわれは経済動向を適切に収められる」

 そうした中、英経済紙フィナンシャルタイムズ(アジア版)が4月16日、中国の李克強首相の単独インタビュー記事を掲載した。李首相は、中国経済が下押し圧力に引き続きさらされていることを率直に認めたうえで、7%前後という今年の成長目標を達成するのは容易でないとしつつも、「われわれは経済動向を適切なレンジ内に収める能力がある」と言明。「昨年10~12月期以降、われわれは財政・金融政策にファインチューニング的な調整を加えてきた。しかし、それらの調整は量的緩和政策ではない(but these adjustments are not a QE policy.)。代わりに行われたのはターゲットを絞った規制上の手段であり、それらには効果があった」と説明した。

 上記の発言からもうかがわれるように、量的緩和という政策手段を、李首相は好意的にはとらえていない。むしろ、米国が利上げに続いて量的緩和からの「出口」を模索することが今後見込まれる中で、市場や経済に混乱が生じて、中国も巻き込まれることを警戒しているようである。今回のインタビュー記事には李首相の次のような発言があり、筆者にはかなり印象的だった。

 「量的緩和政策を導入するのはきわめて簡単だ。それはプリンティングマネーと変わらないからだ」

 「量的緩和が行われている時にはすべての種類のプレーヤーが、この大きな海(this big ocean)の中で何とか浮かんでいられるかもしれない」

 「しかし、量的緩和が取りやめられる時にそこから何が起きる可能性があるのかを、現時点で予測するのは難しい」

 李首相はさらに、世界的な金融危機の根本的な原因に対処するために必要な構造改革に、ほとんどの国がまだ取り組んでいないと警告。「点滴と抗生物質投与」を受けており、まだ自力で回復するための免疫機能が強化されていない患者に、世界経済を例えた。

 日本流に言い換えると、量的緩和政策というのは「行きは良い良い、帰りは恐い」である。実験的に試みられた政策であり、実績が伴って信頼感がある「出口」の道筋というものはいまだ存在しない。しかも、量的緩和という「ぬるま湯」につかり続けていると、この政策で「時間を買っている」間に行われるべき構造改革や成長戦略などの政策の推進がどうしてもおろそかになりやすいという、危うい側面を有している。

「われわれは皆QEジアン」なのか?

 筆者には、そうした強い危惧の念がある。だからこそ、日米欧を含む多くの先進国が量的緩和政策を採用している現状を「ニューノーマル」だと安易に呼んだり、黒田東彦・日銀総裁が3月20日に日本外国特派員協会で行った講演の中で伊藤隆敏氏(米コロンビア大学・政策研究大学院大学教授)の言葉を借りて「われわれは今やみなQEジアンだ(“We are all QE-sians now”)」と述べたりしていることには全く高揚感を抱かない。逆にぬぐい去り難い違和感を覚える。

 上記のインタビュー記事が出てくるのとほぼ同時期に、IMF(国際通貨基金)は世界金融安定報告(GFSR)を公表した。世界経済の成長の不均衡や、米国と日欧の間に横たわる金融政策の方向性の違いから、安定性へのリスクが高まっているとIMFは警告。債券市場の流動性の低下や新興国にまつわるリスクに注意を喚起した。

 量的緩和からの「出口」を模索しようとしている米国のケースは、まだましと言える。より大規模な緩和策である日銀の「量的・質的金融緩和」の場合、2013年4月に開始されてからすでに約束の2年程度が経過しているが、「物価安定の目標」である2%を達成するメドはまったく立っておらず、昨年10月に続いての追加緩和がおそらく今年10月に行われるだろうと、筆者を含む多くの日銀ウォッチャーが予想している。

 国会や記者会見の場などで「量的・質的金融緩和」からの「出口」についてたずねられると、そうした議論は「時期尚早」だと黒田日銀総裁は返答している。実は、日銀の「出口」を巡るこうした論議で欠落している大きな部分が一つある。

目標が達成されない時の出口戦略がない

 それは、あたかも当然のことであるかのように2%の「物価安定の目標」が達成されることが前

提になってしまっており、いつまでたっても2%目標が達成されないケースでいつ、どのような形で日銀はあきらめてこの金融緩和を取りやめるのかという議論が、日銀の中でも外でもまったく行われていないことである。

 筆者は、安倍晋三首相がこのまま長期政権を築き、自民党総裁としての任期が3年・2期までという現行の規定から特例で延長されて、2020年夏の東京オリンピック開催の頃まで続投するのではないかと予想している。

 したがって、2018年4月に5年の任期が切れる黒田総裁の後任も「リフレ派」から登用される可能性が高く(むろん黒田総裁の再任も可能性としてはある)、マネタリーベースの積み上げを軸とする「量的・質的金融緩和」は今から5年後も続けられているだろうというシナリオを描いている。

「いつまでも続けられる政策ではない」のだが…

 市場参加者の期待や金利観の安定に寄与するとされる「オープンエンド方式」(事前に終了期限を定めず、条件が満たされるまで続けていく方式)の金融緩和というのは、確かに聞こえがよい。だが、達成できない条件が掲げられている場合には「エンドレス」になり得る。

 日銀の事務方の中にも、今の政策が「エンドレス」になっていくことへの警戒感・恐怖心を抱く向きが出始めたようである。実際、「『いつまでも続けられる政策ではない』と日銀内から焦りの声が漏れ始めた」と、4月4日に日経新聞が報じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

5/8日経ビジネスオンライン 長尾賢『シンガポールに学ぶインドとの防衛協力強化』記事について

中国に対する警戒感の高まりで日経と雖も中国包囲網についての記事を載せるようになりました。インドはパル判事やチャンドラ・ボース、ラス・ビバリ・ボースを出すまでもなく親日国家です。アフターブ・セット元駐日インド大使と飲んだ時に「インドと日本は歴史的に見て争った時はない。(仏教を初め)友好的な交流が続いてきた」と聞きました。

昨日(5/11)の日経に世界の政治腐敗度のランキング(100点満点、低い方が良い)が出てました。日本24、インド62、中国64でした。感覚的に中国の腐敗度はもっと高い気がします。インドは貧しい国で社会主義が長かったためやはり役人の裁量が大きいと思われます。日本はインドともっと経済交流を進め、恩を知らない中国を見限り、軍事的にも手を結ぶことは可能と思います。

インドとシンガポールが軍事的に交流しているのは背景に中国の存在があると思います。シンガポールはマラッカ海峡に面しており、東アジア向けの船はここを通ります。石油タンカーはここを通りますので中国がここを押えることを懼れているのだと思います。日本もマラッカ海峡を航行できることで利益を受けていますので、インドだけでなくシンガポールとも軍事的連携を図っても良いと思いますが、華僑の多いシンガポールの日本に対する受け止め方がどうかがポイントです。過去に重きを置くか、将来の脅威に対抗した方が良いと判断するかどうかです。

記事

昨今、安倍晋三首相の外交成果が報道されることが多くなっている。アジア・アフリカ会議では日中首脳会談が行われた。日米間では新ガイドラインで合意し、日本の首相として米議会上下両院合同会議で初めて演説するなど、日米同盟は強固になりつつある。

 このような成果をみると、日本の安全保障も若干ながら改善しているのだが、注意すべき点がある。それは長期的にみて、日本の安全保障環境がよりよくなる傾向にあるのかどうか、だ。

 南シナ海で中国が滑走路建設工事を進めている。いずれは中国軍機が離発着して、周辺国の航空機や船を追い出すようになることが懸念される。中国の軍事的な活動は徐々に外側に拡大しつつある。日米同盟は、このような中国の行動をどこまで抑えることができるだろうか。将来まで安心な状況とはいえない。

 なぜなら米中のミリタリーバランスは徐々に変化しつつあるからだ。2000年から2014年までの間に、中国は41隻の新しい潜水艦を配備した。米国は11隻にすぎない。米国の潜水艦の方が性能が優れているが、過去と比べ米国のプレゼンス(存在感)が下がりつつあることは明らかだ。

図1:2000~2014年までの潜水艦の新規配備数

number of new submarine

 

 

 

 

 

 

 

 しかも米軍は中国だけでなく、世界中の問題に同時に対応しなければならない。欧州におけるロシアの問題もあれば、中東やアフリカにおけるイスラム過激派などの問題もある。だから、将来、日本が中国の動きに十分に対応できるかどうかは、単に米国との協力だけではなく、米国の同盟国や友好国同士の連携、オーストラリアや東南アジア諸国、そしてインドなどとの連携がより重要性を増していくことになる。

 その中で、東南アジア諸国とインドの潜在性は大きい。経済が発展し、時間とともに軍備が整っていくからだ。日本、東南アジア諸国、インドとの連携は、日本にとって重要性を増していくだろう。

 日本はどのようにしてこれらの国々との連携を強めていくことができるだろうか。何かアイデアはないか。本コラム「日印『同盟』時代」で日印連携の具体的アイデアを探っていたところ、興味深いことに気付いた。東南アジア諸国はインドに対してどう対応しているのかをよく調べれば、日本、東南アジア、インドと協力する際に役立つアイデアがあるかもしれないことだ。

 実際、調べれば調べるほど、興味深いことが行われていることが分かった。本稿はシンガポールに着目する。

図2:シンガポールの位置関係

location of SP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンガポールとインドが南シナ海で海軍演習

 シンガポールは長年にわたって米国と協力してきた国だ。シンガポール軍は装備において、多くの米国製の武器を採用している。だからシンガポールは、中国の海洋進出に対抗する手段として米国との連携強化に取り組んでいる。そして、インドとの連携にも積極的だ。シンガポールは日本と共通の国益を有する。

 そのシンガポールはどうやってインドと連携しようとしているのか。大きく分けて3つある。訪問、共同演習そして基地借用である。

 まず訪問について。シンガポール軍幹部が、1990年代初頭から頻繁にインドを訪問している。特に象徴的だったのは、1998年にインドが核実験をした後、世界の中で最初にインドを訪問した軍高官はシンガポールの海軍参謀長であったことだ。今年3月にはシンガポールの国防大臣が、東南アジアの安全保障でインドがより大きな役割を果たすことを支持する発言をした。シンガポールは事あるごとにインドを特別扱いし、インドが東南アジアの問題に関心を持つように仕向けてきたのである。

 共同演習にも同じような傾向がみられる。シンガポールは1993年、インドと海軍の共同演習を始めた。その演習は、1999年に「シムベックス」と名前を変え、現在まで続いている。

 この演習は、シンガポールの意図を示す非常に興味深い特徴を持っている。例えば1998年以降、対潜水艦戦を想定した内容になっている。中国の潜水艦は昨今、南シナ海だけでなくインド洋でも活動している。シンガポールは当時からそのような事態を想定していたものと考えられる。

 演習を行う地域にも興味深い変化がある。演習はシンガポールとインドがそれぞれ交互に主催する。2005年以降、シンガポールが主催する年は、いつも南シナ海で演習を行っているのだ。シンガポールがインド海軍を南シナ海に呼び込む形を取っている。

シンガポール軍の装備がインド国内に常駐

 シンガポールとインドは2004年から空軍間の共同演習も始めた。2005年からは、陸軍の戦車部隊、砲兵部隊の共同演習も開始している。この陸軍と空軍の演習が、実はシンガポールとインドとの連携強化に有効な役割を果たしている。海軍と違って、陸軍や空軍は陸上の拠点を必要とする。広大な演習場に重装備を運んでいって、ちゃんと整備してからでないと共同演習はできない。

 しかし、そのことがかえって外交的に有用だった。シンガポールは、インドの基地を長期(5年更新で)借用契約し、そこに装備を常駐させ、そこで毎年訓練を行っている。こうすると、シンガポール軍はいつもインドに足場を持っている状態になる。

 これはシンガポールとインドの軍人が意見を交換し、インドにとってあまりなじみがない南シナ海の問題の重要性を訴える、絶好の機会を提供する。また、シンガポール軍の装備をインドにみせることで、武器輸出につながる可能性もある。両国が共通の装備をもって共同訓練することにつながれば、関係はより深まる。連携を考える上で賢い選択だ。

インドと米国が主催する演習にシンガポールが参加

 こうしたシンガポールの努力が近年、成果を上げ始めているかもしれない。例えば2007年にインドと米国が海軍の共同演習を主催した際、シンガポールも参加した。インドと米国以外の参加国はシンガポールのほか、日本とオーストラリアだった。インドがシンガポールとの関係を日豪と並べて、重視し始めている証左といえる。

 また、インド海軍艦艇の寄港地をみてもそのことが分かる。インドは2011年、2012年、2013年と連続して4隻の艦艇を東に派遣している。南シナ海の周辺国であるシンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン(そして日本)を訪問するようになったのだ。2012年12月にはインド海軍のD.K.ジョシ参謀長が、南シナ海でインドの国益が脅かされた場合には、インド海軍艦艇を派遣する用意があると発言した(注)。

(注)インド海軍の昨今の動向については、長尾賢『検証 インドの軍事戦略―緊張する周辺国とのパワーバランス―』(ミネルヴァ書房、2015年)参照。

日本・インド・シンガポールの連携もあり得る

 このようなシンガポールの戦略を見ると、長期的な視点に立ってインドを徐々に南シナ海にひきつけていることが分かる。こうした戦略的な動きには、日本も学ぶべきものがある。

 日本もすでにインドとの防衛交流を開始している。海上自衛隊とインド海軍、海上保安庁とインド沿岸警備隊の共同演習も定期的に行っている。救難飛行艇など海自の装備品輸出も協議している(関連記事「インドに潜水艦を輸出することの損得勘定」)。

 しかし陸上自衛隊とインド陸軍、航空自衛隊とインド空軍は、共同演習を行っていない。だから、共同演習を始めるべきである。その際には、小規模でもいいから、インドの演習場で日本が実弾演習を行うのはどうだろうか。インドの演習場の一部を長期契約し、そこに装備も置いておいて、定期的な実弾演習を行うことは連携を深める手段として有用だ。

 この時、日本とインド、シンガポールの3カ国が協力する枠組みがあると、よりよい連携になると思われる。例えば、シンガポールがすでに借りている倉庫を使わせてもらうのはどうか。

 日本だけがインドと連携を組みたいのではない。米国も、オーストラリアも、東南アジア諸国も、みなインドとの連携に注目して取り組んでいる。ならば同じ目的を持つこれらの国々でアイデアを共有し、より効率的な方法をみつけることができるはずだ。日本は今、協力できる友好国がとても多い。その利点をいかに生かすことができるか、工夫が求められている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5/7日経ビジネスオンライン 福島香織『安倍首相の米議会演説、中国はどう報じたか 対立と駆け引き、「新冷戦」の始まりは低調に』記事について

日本が強くなることに、中国・韓国と日本のメデイアがまともに報じるとは思えません。そういう意味では中国の報道は分かり易いのでは。日本を韓国のように属国にしないまでも、弱い儘であれば金を強請れますので。それでいつも「歴史を鑑」と馬鹿の一つ覚えのように言う訳です。「歴史を鑑」にしたらウイグル、チベット、内蒙古等困った問題が出るのでは。それでも臆面もなく、日本に強弁できるのが中国人の凄い所です。

今回は習近平がAIIBに日本を引き込もうと思っているから批判のトーンが和らいだとの見立てですが、それもあると思います。何とかして日米分断を図りたいと中国は思っているはずですから。日本人の中にもアメリカでなく、中国とくっついた方が良いと思っている人もいます。中国のように裏切るのが当たり前という国と付き合ったら大変と言うのは戦前戦中戦後も体験して分かっているのに。

5/10宮崎正弘メルマガに「中国三大メジャーのトップ全員が交代  「石油派」の利権は、最後に誰が掌握するか」の記事が載っていました。習・王体制VS軍(団派)+上海派の争いです。今は内部での権力闘争が熾烈で、日本を叩きすぎると、後で政権が変わった時に粛清されるかもしれないので報道機関は様子見しているのではという気がします。まあ誰が権力を握ろうと反日は変わらないでしょう。日米同盟を確固たるものにして中国の野望を挫くようにしないと。中韓と日本のメデイアの逆をやる事が正しい。

宮崎記事

『中国の三大石油メジャーとは「シノペック」「ペトロチャイナ」、そして「中国海洋石油」である。中国語では「三桶柚」が三大メジャーを意味する。これまでは江沢民一派が「三桶柚」のトップを独占し、利権を独占して、いわゆる「石油派」のボスとして君臨したのが周永康だった。実際の裏のボスは曽慶紅(江沢民の右腕、元国家副主席)だった。江沢民の家来だった周永康(中国共産党政治局元常務委員)が曽慶紅の禅譲により、トップについてからは露骨に一族で利権を握りしめ、金庫番の蒋潔敏らを駆使して、好き放題をやってきた。

とろこが、習近平の反腐敗キャンペーンで真っ先に血祭りに上げられ、周永康の子分たち400名(三大メジャーの役員クラス、幹部)がその座から転がりおちた。習近平は兄貴分だが、煙たい存在で、目の上のたんこぶだった薄煕来(重慶市書記)を、夫人の外国人殺害事件を口実に逮捕し、党籍剥奪して裁判にかけた。まず自分の権力の邪魔になる厄介者を消した。

 つぎに標的としたのは悪評さくさくだった周永康だった。かれは公安系、司法系を司る政治法政系を牛耳っていたため、つまりは取り締まり側の総元締めだから、誰も手を出せないアンタッチャブルの存在だった上、背後に江沢民がいる。反面、周が君臨したお陰で温家宝首相(当時)の金銭スキャンダルなどは握りつぶされた。

 そこで習近平は辣腕政治家の王岐山とコンビを組んで「反腐敗キャンペーン」を本格化させ、周りから攻め込んだ。石油メジャーの不正経理と乱脈の捜査によって外堀を埋め、さらには周の子分達を経済犯罪を立証しつつ裁判にかけて、五名を処刑した。周の息子もこれらのマフィアと共謀していた。

 周は慌てて王岐山らに懇請したが聞き入れられず、泣きつかれた江沢民が習近平に電話すると途中で切ったという噂も流れた。江沢民一派は追い詰められたことを認識し、反撃に出る。

盛んに地方巡察などと嘯いてマスコミに動静を写真入りで報道させる一方、ヒットマンを送り込み、暗殺を狙った。王岐山への暗殺未遂は数件、もっとも師匠格の朱容基元首相は、暗殺未遂事件が十数回もあった。

 習近平は自分のボディガード軍団を入れ替え、さらに中南海の警備陣を、江蘇省、福建省時代に培った子飼いの公安系に入れ替え、万全なものとした。暗殺を懼れるからである。王岐山に至ってはスケジュールを明かさず、神出鬼没の行動をとる。

 ついで習近平が狙ったのは軍である。中央軍事委員会で習近平の子分はひとりしか居ない。ほかは胡錦涛派、とくに副主任の氾長龍と許基亮。参謀総長の房峰輝の三人が習近平になびかない。そこで、これら軍トップの副官クラスと弁辞処(中央軍事委員会事務局)の高官を入れ替え、軍幹部の独自の動きに注意をはらう人事構造とした。つまり軍事クーデターを警戒する態勢である。あまつさえ習近平は外遊時に、これらの幹部の何人かを引き連れていくようになった。

留守中の動きを封じ込めるためで、たとえば5月8日からのモスクワ、ベラルーシ訪問では氾長龍(軍事委員会副主任)を随行した。

 ▼迂回捜査だったから、本丸を囲まれたことに江沢民は気がつかなかった

 このたびの人事で三大メジャーのトップがすべて交代したことが分かった。

 中国石油のトップは王宣林で、前トップだった周吉平は辞職し、前社長だった寥永遠は失脚した。

 中石化のトップは未発表。前幹部の傳成玉は辞職し、前社長の王天普は失脚、同系工程院副院長だった王玉普は左遷された。中国海洋石油は新トップに楊華が繰り上がり、王宣林は「中国石油」のトップに横滑り、副経理(副社長)だった呉振芳は失脚した。

 この動きから推測できること。習近平は石油派を締め上げることによって、鉄道利権に続いて、江沢民派の利権を取り上げ、つぎに李鵬ら守旧派が握る発電利権、そして江沢民の息子が握る通信の利権を奪回するため、その腐敗構造へのメス入りをしている最中である。

 また利権構造とは言えないが、江沢民残党の影響力がつよく残る行政、地方政府、国有企業にもメスを入れており、外交関係部署では江沢民色の強い楊潔チ国務委員(前外相)と外交部助理の張昆生(令計画と親密だった)らが取り調べを受けた気配がある。げんに王毅外相のまわりからも、多くの幹部が拘束、逮捕されている。

 ▼上海派の牙城、上海市政府の人事にも介入

 上海政府の行政幹部に関しては「調査の対象」(取り調べ)となった幹部が目立つ、戴海波(上海市政府副秘書長)、崔健(実鋼集団副社長)と同社の33名の幹部が取り調べを受けた。

上海政府は、江沢民一派の牙城であり、これまではアンタッチャブルの存在。数年前に陳良宇が失脚した折は、胡錦涛政権だったが、上海で最も汚い手口のデベロッパー逮捕に連座させて、経済スキャンダルを立証したのだった。

 同市の上海光明集団元理事長の王宗南も、江沢民一族と濃密な関連があったが、失脚した、江沢民の長男、江綿恒は中国科学院上海分院長のポストを免職となったうえ、彼のもとに出入りしていた、怪しげな政商らも多数が拘束された。

 周永康の牛耳った法政法(公安関係)でも李東生(弁王室全主審)、馬建(公安部腹部省)らが取り調べを受け、事実上失脚した。馬建失脚直後に郭文貴が外国へ逃亡、令計画の弟の令完成も機密書類を持ち出して、米国へ逃亡した。

 まさに闇の世界に手を付けた結果、計り知れない闇の奥底が広がる。悪魔の生息する伏魔殿へ、本気で習近平の特捜部隊は突入するのだろうか。もしそうなれば地獄の決戦が開始されることを意味し、中国共産党の瓦解が始まる。』

福島記事

日本の安倍晋三首相の訪米と議会での演説についての、日本や海外のニュースを拾い読みしている。日本の報道では主に二通り。高校生よりひどい英語だ、米議会の8割が聞き取れなかったらしい、謝罪の言葉なかった、アメリカに擦り寄っただけ、といった嘲笑・批判の報道。そして、見事な演説だった、10回以上のスタンディングオベーションで共感が示された、米国の信頼取り戻した、というべた褒めの真逆の報道が相半ばしていたかと思う。中身に関しては、日米同盟強化・深化を、TPP交渉の成立と安保関連法案の夏までの成立をもって進めていくという目標提示でもって訴えた。これに対しては日本の世論でも、大きく賛成反対に分かれているテーマなので、本当に政権の思惑どおりすんなりといくかはまた別ではあるが、演説で公言したことは米国としては安倍政権の決意として受けとめられたことだろう。

 個人的な感想を言えば、日本の首相らしからぬうまい演説だと思った。言葉の強弱や息継ぎまで指示されたカンペを見ながらの演説であったことがウォールストリート・ジャーナルで写真付きで報じられたのはご愛嬌だが、アメリカ人の心に響きそうなフレーズを小憎たらしいまでにちりばめたスピーチ原稿や、的確な演技指導をうけてこの日に備えた心構えは非難されることではなく、対米外交に対する安倍政権の真剣さを物語るものとしてむしろポジティブに受け取られるものではないだろうか。

演説のキモは中国へのメッセージ性

 正直、歴史認識に関わる部分、第二次大戦メモリアルのくだりや硫黄島の和解の演出など、日本人の私も不覚にも目が潤んでしまった。ベイナー議長やバイデン副大統領も硫黄島のくだりでは目頭を押さえていたそうだ。泣かせるつもりやな、とわかっていても、思わず目頭が熱くなる、そういうスピーチ原稿を短時間で書けと言われて自分に書けるかというと、これはなかなか難しい。すなおに、いいスピーチであったと思う。

 ただし、この演説のキモは、感傷を盛り上げるような表現のうまさでもなく、謝罪のあるなしでもない。当然、英語のうまいへたでもない。スピーチ上に名前も出てこない国に対するメッセージ性だろう。言う間でもなく、中国に対するものである。そこで中国ではこの演説がどのように報じられているのか、まずそこを見てみたい。

例えば国営通信新華社である。

「日本首相安倍晋三は4月29日に米国議会において演説したが、侵略の歴史と慰安婦問題については謝罪せず、国際世論と専門家から安倍に対する批判があいついだ」

「日本の元首相・村山富市は安倍の演説は日本が歴史を隠蔽しているとの印象を人々に与えたと非難した。村山談話で提示した植民統治と侵略の歴史に対するお詫びの言葉を回避したのは、歴史認識を砂糖衣で包み歴史を隠蔽しているような印象を与え、むしろ外界の不信感を増加させた、と西日本テレビで語っていた」

「安倍の演説は、日本の世論からも批判を受けている。朝日新聞は、(安倍が)アメリカに迎合しアジアに対しては冷ややかで、演説中に“侵略”と“謝罪”という言葉を出さなかったのは歴史のくびきから急いで逃れようとしていると指摘した。日刊現代は安倍演説原稿に、顔を上げて拍手を促すなどの官僚の指示が書き込まれていたことをあげて、笑いものにしていた。東京新聞は安倍の演説内容は中国への対抗心があらわであると指摘した。米国との軍事安保協力を強化し、日米で経済秩序主導権を握ると宣言し、徹頭徹尾、米国へのリバランス政策支持を表明している、としていた」

「米国のニューヨークタイムズ(ネット)は4月30日にこのように報じている。『日本の歴史的役割は今までにすでに明確になっているが、安倍およびその右翼政治の盟友たちは絶えずこの事実を疑い、この後に及んで改ざんを試みている。…』…英国のフィナンシャルタイムズ4月30日付の駐米主席評論員のコラムはこう指摘している。『安倍の演説には何の新鮮味もない。叙述の貴重は濃厚な“軍国主義的色彩”を帯びている。安倍は“慰安婦”問題についての一歩進んだ言及もなく、日本の教科書の歴史修正主義傾向が覆る保証もなく、人を失望させる演説であった』…」

お決まりの批判も低調、保留する政権に同調

 日米のリベラルメディアの報道を引用する形で、国際的な評価は低い、謝罪がなかった、といった形でお決まりの批判は展開しているものの、あまり力の入ったものではない。どちらかというと低調な報道という印象を受けた。目下の中国では、新華社報道の調子からあまりはずれて、各メディアが自由な論評を展開することはない。新華社報道はおおむね、習近平政権の姿勢に合致している。訪中した日中友好議連に応対した唐家璇元国務委員は「歴史について総理の積極的な姿勢を一定程度表したものだと思うが、村山談話などと比べると入っていない要素もあり、依然と差がある」と、比較的穏やかな表現で受け止めている。つまり、習近平政権は、日本に対する出方を保留している感じである。

しかし、この演説の政治的意味について、日本メディアよりも的確に受け止めているようだ。新華社はこうも報じている。

「中国に対する意図が行間ににじみ出ている」

「安倍の演説では明確に中国について指摘している部分はないが、行間に中国に対する意図がにじみ出ている。上海交通大学の日本研究センターの王少普は『安倍の演説の重点は、日米同盟の強調であり、米国に対して明確な政治的シグナルを発している。すなわち、日本は米国の忠実なる盟友であり、米国とアジア太平洋地域の協力を展開して米国の戦略を支持したいということだ』と指摘。…また、中国外交学院副教授の牛仲君は『安倍の演説は、日本が終始、米国の弟分であり、米国の戦略に甘んじて協力するということを米国民に表明した。日米がなぜ同盟強化する必要があるか、安倍は明確に説明しなかったが、中国に対する意図が透けて見える』と指摘した」

 この両専門家が、中国に向けてのメッセージが透けて見えると指摘した演説箇所は例えば、

“アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します” “アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。第一に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第二に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること” といった部分や、 “日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場をつくりあげなければなりません。太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない。許さずしてこそ、自由、民主主義、法の支配、私たちが奉じる共通の価値を、世界に広め、根づかせていくことができます。その営為こそが、TPPにほかなりません” といった部分である。

 報道の自由がある中国の外の華字のメディア、たとえば香港に拠点を置く独立系華字メディア「ボイスオブアメリカ」はもう少し踏み込んでいる。米国の台湾・香港メディア特派員や反共亡命中国人論客を招いた対談ではこんな意見を披露している。

香港独立系メディアが予感する「新冷戦」

「この同盟強化が中国にどんな反応を引き起こすか。もし日米同盟と中露同盟の対立という形になれば、あらたな冷戦時代が到来する。その時、韓国はどちらの陣営につくのか」(中国時報駐ワシントン特派員・劉屏)

「経済領域・安全保障領域での日米同盟強化はともに中国に直接的影響を与える。日米防衛協議では釣魚島(尖閣諸島)問題も明確に日米安保協定内に含まれるが、米国は南シナ海の問題や世界その他の問題にも日本の介入を求めるだろう。…日米同盟のリスクは日本と隣国の領土および歴史領域での衝突だが、これに米国を引き込むことになる。米国が支払う代価も増加する」(香港中天ニュース駐ワシントン特派員・臧国華)

「米日の防衛協力の新指針は、地域の問題がグローバルな問題に変化し、今後、国際的な、特にアジアの地縁政治に深刻な変化をもたらすだろうことを示している。米日同盟関係の深化は安倍外交の重大な勝利であることはもとより、オバマ外交にとっても重大な成果だ。…第二次大戦で、米中同盟は日本と対抗した。その時は東京が軍国主義を奉り、アジアの侵略者だった。今は米日が同盟を結び中国に対抗している。今の北京が独裁国家であり、突出してアジアの多くの国家にとっての不安となっているからだ」(亡命華人政治評論家・陳破空)

「オバマと安倍の会談で、中国をめぐる問題は不可避であっただろう。経済と安全保障の議題は、米日軍事同盟の現代化とTPPを含めて、中国の近年来の拡張姿勢、特に東アジアでの強硬姿勢が背景にある。米国は安倍が日本をアジアの権力の中心に返り咲かそうとしている意図を見抜いているし、日本がさらに積極的な軍事外交政策をとることがオバマのアジアリバランス政策に有利だと見ている。安倍は日本が戦後、民主、自由、人権、人道援助、経済技術援助などの貢献をしてきたことを強調し、米日同盟を体制と価値観を同じくするものとしている。これは中国と違うということの暗示でもある。価値観と利益がともに共通することが米日のゆるぎない関係の基礎である」(亡命華人の民主化活動家・楊建利)

 つまり、安倍演説のキモは、中国が掲げる中華民族の偉大なる復興、つまりアジアにおける新中華秩序の確立を、米国とともに積極的に阻むつもりだというメッセージを米国民と中国に示したことである。その行く先には新たな冷戦時代の到来や地縁政治の劇的変化が待ち受けているかもしれないという予感もある。

 明確に中国に対する牽制ではあるが、中国側があまりムキになって反論していないように見えるのはどうしてだろうか。

対立と駆け引き、外交戦はこれからが本番

 4月22日、インドネシアで短いながらも安倍習近平両首脳は会談しているが、中国の報道ぶりをみても、その雰囲気は悪くなかったようだ。その理由に、習近平が権力掌握、軍権掌握を順調にしており余裕が出て来たため、という解説もあったが、今の中国の内政状況に余裕を持てるならば、それは政治家として相当鈍感である。私は余裕ではなく、嫌々でも戦略として関係改善策にシフトする選択をせざるを得ないからではないかと見ている。

 背景には、昨年の参院選以降、安倍政権長期化の予測がある。そしてその安倍政権が発表する戦後70年の歴史談話の内容がまだ見えていない。AIIBへの日本参加もまだ説得の余地があるかもしれない、と見ていることなどが、批判報道の低調につながっているのではないかと、勝手に想像している。もう一つ言えば、中国はすでに、鄧小平式の韜晦戦略は捨てており、米国秩序に対抗する中華秩序の確立の野心は隠していない。日米が中国を脅威とみなすことは別に心外なことではない。日本が忠実に米国のリバランス政策を支えることも織り込みずみだ。ただ、中国の元官僚から以前に聞いた話では、中国の政治家は、その場しのぎの体裁の良いことを言う人間より、例え対立的でもぶれない方針を持っている相手の方を好む、という。その方が駆け引きをしやすいからだ。中国は安倍政権をちゃんと外交できる政権だと見始めているということではないだろうか。

 中国が本当に手ごわくなるのは、反日世論を盛り上げて感情任せに激しく攻撃してくるときではなく、むしろこういう相手の出方を見極めようと慎重な姿勢を見せるときではないだろうか。

 日本のリベラルメディアの報道で目立った英語の発音がどうだとか、謝罪がなかったとか、国会を無視して安保委関連法案の夏までの成立を公言したとか、実はあまり重要な話ではない。中国の野心やそれに伴うアジアの地政学的変化への対応の仕方として、安倍政権の方針に反対ならば反対だとして、では、どういう代案があるのか議論を促す視点があまりなかったのは残念である。