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『異例のプーチン発言に見る日露領土問題の光明 領土問題を解決できるのは、プーチン大統領と安倍首相しかいない』(10/5日経ビジネスオンライン 菅野沙織・泰夫)について

10/7阿波羅新聞網<习近平语录“我在必不成功” 爆“高级黑” ?大反转!—— 习语录“我在必不成功”有深意?是“高级黑”还是马屁拍过了?=習近平語録に「私はどうしても成功しない」 黒幕の陰謀か 大反転(意味が逆) 「私はどうしても成功しない」はどういう深い意味が 黒幕の陰謀かおべんちゃらか>

写真は貴州省の道路管理局が立てた看板。習語録は「成功不必在我」とある。原典は1932年、胡適が大学卒業生に送った言葉、「成功不必在我,而功力必不唐捐=成功を望むなら、必ずや努力が必要。努力すれば必ずや報われる。しかし、自分に対して報われるだけでなく、他の人にも良い影響を齎す」から。

それが何故「我在必不成功」となったのか?あるネット民は「PS=フォトショップを使って変えられたのでは」と言う。米国在住の王篤然は「PSで改造したものではない。おべんちゃらの為だろう」と。

習語録の元は左からの横書き、それを右からの横書きに直す時に間違えたのでは。

台湾メデイアの自由時報に依れば、ネチズン達は「失敗は必ず彼のせい」「中国人の中には中国語を学ぶのが永遠にダメなのがいる」「裏には謀反を企てる奸臣がいるのでは」「左から読むべきか、右から読むべきか?」。また、笑って「現地の当局は穴を掘って習に入れと言ったようなもの」と。

https://www.aboluowang.com/2018/1007/1185368.html

10/8希望之声<评论:希拉里一直在破坏民主 不承认败选=評論:ヒラリーはずっと民主主義を破壊して来た 選挙に負けたことを認めず>10/8ニューヨーク・ポストのコラムニストのMichael Goodwinは「ヒラリーはリベラルメデイアの支援を受けてずっと民主主義を壊す方法を探してきた。彼らの破壊行為は昔からである。米国だけでなく国民をも大きく傷つけた。ヒラリーには大統領選に負けたという気持ちが欠けている」と。

Goodwinは「民主党と共和党の争いは許容できる範囲をすでに超えている。第二次内戦(1次は南北戦争)が勃発することを恐れる。和解の呼びかけは聞くが、臭いものに蓋にならないことを希望する」とも。

また、「カバナー事件は、公権力を濫用し、選挙で選ばれた大統領を辞めさそうとしているのを表している。現在米国の真の敵は、何としてでもトランプ大統領の正当性を壊す目論見を以て外国の利益と合わせる輩である。米国は今まさにこの売国行為の代価を払っている所だ。オバマが任命したケリー元国務長官がイラン外相に「次の大統領まで待て」と言うのは売国の一例である。カバナーのセックススキャンダルを仕組んだファインスタイン上院議員(20年も中国人スパイを運転手として使っていたくせに)に誰がその情報を教え、どのようにリークしていったのか。このリークは36年前に発生した証拠のない事件なのに攻撃できる武器となっただけでなく、非難する者も非難される者も戦いの中で傷つき、両者とも負けた形である」とも。

まあ、ヒラリーが抵抗するのも分かりますけど。抵抗しなければ一生ブタ箱で暮らさねばならないほど悪いことをして来ましたので。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/10/08/n2247753.html

10/6 Russia Insight<WOW: US Could Launch Preemptive Strike Against Russia – Trump’s Ambassador to NATO>駐NATO米国大使は「米国がロシアに先制攻撃できたら」と発言。音声はロシア語で字幕が英語。字幕の消えるのが早く、見る気が起きませんでした。やはり中国語は表意文字で見てすぐ意味が取れますが、表音文字ですと難しいです。10/3産経に依れば<米NATO大使、露中距離巡航ミサイル破壊示唆 「先制攻撃についてでない」と軌道修正>とありました。

https://www.sankei.com/world/news/181003/wor1810030008-n1.html

10/9阿波羅新聞網<普京民意大幅下滑=世論調査でプーチンの支持率は大幅に下がる>10/8の世論調査でプーチンの支持率は39%まで下がった。6月時点より9ポイントも下げた。2014年2月の36%以来の低さである。原因はやはり年金受給年齢の引き上げにある。

https://www.aboluowang.com/2018/1009/1186060.html

米国人は真の敵をよく間違えます。第二次大戦でも日本を敵に回した結果、あれほど望んでいた中国大陸を共産党に奪われました。ソ連を打倒したのは正しかったとしても、同じ共産主義の中共に入れ上げ過ぎたのは判断の誤りでしょう。「騙す方が賢く、騙される方が賢い」と言う価値観、賄賂が当り前の民族です。やはり、トランプがやろうとしているロシアと協力して中国を封じ込めるのが戦略的に正しいのかと思います。ロシアを中国側に追いやることはないでしょう。

まあ、4島一括返還は無理で、どこかで旗を降ろさないと駄目なのでは。今や正面の敵は中共ですので。残り2島は継続協議で良いのでは。それでも人気の落ちたプーチンに実効支配している領土を割譲することはできないでしょう。2島と大型経済協力のバーターの形がせいぜいと思われます。

記事

16年12月のプーチン大統領の訪日以降は日露関係、とりわけ領土問題解決と平和条約締結に向けての外交に大きな進展が見られていなかった。すでに恒例となった安倍首相のロシア東方経済フォーラムへの参加にも大きな期待はなかった。このように後退も前進もしない停滞気味の状態がしばらく続くと思いきや、プーチン大統領の「平和条約を先に……」というサプライズ発言は、領土問題解決に双方を近づけたとは思えないまでも、膠着した状況に目を向かせ、日露関係のこれからについてもう一度考えさせてくれたのは間違いなさそうである。

アジア太平洋地域の地政学的な状況は20世紀後半と比べて、着実にかつ大幅に変化している。米中間の経済関係は貿易戦争が勃発するほど悪化しているが、そうした中で現役の米国大統領が北朝鮮のトップと首脳会談を行うことなどは以前では考えられなかったであろう。

では、日露関係はどうかと言うと、安倍首相がロシア側に対する新アプローチを提案した16年以降、日露貿易に弾みがついた。ただ肝心の領土問題解決と平和条約締結は依然として進展がない。

ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで、ロシアのプーチン大統領が日露の平和条約に言及した(写真=代表撮影/AP/アフロ)

9月にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムでプーチン大統領は、日露貿易総額は17年に前年比14%増加し、18年上半期には同20%伸びたと述べた。日露間で、極東地域を中心に三桁に上るプロジェクトが進められている実績もある。今年で4回目となる当該フォーラムには、プーチン大統領と安倍首相のほか、中国の習近平国家主席、モンゴルや韓国の首脳が参加するなど、年々、注目度が高まっている。

当該フォーラムの開催に先立ち、9月10日には安倍首相とプーチン大統領による首脳会談が実施された。同会談のアジェンダは、日露経済関係から北朝鮮問題に至るまで幅広い議論に及んだ。また日露平和条約についても議論されたが、その時点では領土問題解決および平和条約締結に向けて進捗があったのか判断可能な材料が少なく、メディアの注目度も低かった。

日露関係が世界の新聞紙面の一面を飾ったのは、12日の東方経済フォーラムの山場となった全体会合の後の出来事であった。代表国の首脳が参加する大きな会場とテレビカメラを相手にプーチン大統領は、「……私たちは70年間交渉してきました。シンゾウ(安倍首相)はアプローチを変えようと提案しました。そこで私はひらめきました。今ではなくても年末までに、前提条件なしで平和条約を締結するという案を。そして、その平和条約に基づき、友人として、私たちは引き続き論争の的となっている問題を解決します。これ(平和条約締結)によりすべての問題をより容易に解決できるようになります」と発言した。

プーチン発言は「ひらめき」ではない

安倍首相はこのような「ひらめき提案」が日本側では受け入れられないことを誰よりも承知していると思われる。しかし、会場ではポーカーフェースを崩さず、この場面を上手く切り抜けた。このような冷静な判断がなぜできたのだろうか?

人の行動や言動を鵜呑みにせずその背後にどのような思惑があるかを判断するには、その人の性格や理念を把握していなければ不可能である。安倍首相はプーチン大統領と個人的な関係を築き上げたことによって、プーチン大統領ではなくウラジミール・プーチンと言う人間の本音を読み取ることができるようになった、と考える以外に、安倍首相の対応を説明することは難しい。

実際、領土返還より先に平和条約を締結する案は目新しいものではなく、プーチン大統領の「ひらめき」などではない。それは旧ソ連時代のロシア政府の正式なスタンスであった。それを考えると、プーチン大統領がいまさらながら「ひらめき案」を敢えて発表した理由は、実は提案の内容よりも「解決したい」という強い意思を公に広くアピールしたかったためと読み取ることができる。

帰国した安倍首相は日本のメディアに対し、領土問題解決の後に平和条約を締結するという日本政府の基本路線に変わりがないことを再確認したが、プーチン大統領の言動は、両国間の問題解決への意欲の表れと受け止めている、と述べている。

さらに、この発言の翌13日、ペスコフ大統領報道官は、日本側の基本方針に変更がないことについて記者から質問を受けた際、「それぞれのスタンスが違うことは承知している。しかし、周知のとおり、プーチン大統領はこの問題を解決したい意思がある。また、良好な関係構築への安倍首相の努力を高く評価しており、(解決を目指して)建設的かつ好意的な共同作業を実施していく」と述べ、大きな歩みよりをみせた。

ロシアでは年金改革に反対する大規模なデモ

さて、なぜ今になってプーチン大統領はこのような奇抜な形で日露関係の根本的な問題解決への意欲を示さなければならなかったのか。その理由はロシアを取り巻く厳しい地政学的環境にある。ロシアは米国との関係改善に期待を寄せていたものの、その思いはかなわなかったどころか、米露関係は冷戦時代に例えられるほど悪化し、改善の兆しすら見えていない。

米国による制裁はロシア経済、特にルーブル相場に圧力をかけ、海外からの投資のハードルを高くしているばかりではない。ロシア中銀の最新の報告書によれば、制裁に関連する要因が同中銀のリスクシナリオに含まれている。つまり、制裁がより厳格化し、かつ幅広く適用された場合、ロシアは再び景気後退に陥る可能性があるというものである。

国内要因としては、政府が実施を目指している年金改革(定年年齢の引き上げ)に反対し大規模なデモが行われるなど、不安定な内政が続いていることが挙げられている。これはソ連崩壊時に比べるほどではないにしろ、近年でもっとも厳しい環境であることをロシア政府は認識している。

こうした中で、プーチン政権の動きからは、安倍首相の良好な関係構築への努力に応え、インパクトの強い平和条約を締結し、国際舞台におけるロシアの評判を高めようという強い意思が読み取れる。さらにこれは、欧米との関係悪化により我慢を強いられている国民に対してアピールする機会でもある。もちろん、アジアのみならず世界規模で力が増している中国を牽制しようとの思惑があることも否定できない。

もちろん、領土問題の解決がないまま平和条約を結ぼうという呼びかけに対する日本側の答えはノーである。だが、ロシア側には日露間の領土問題解決について実行力のある人物は、事実上プーチン大統領をおいてほかにはない。

プーチン大統領自身が年内に解決するという強い意思を示したことや、「ひらめき案」を公の外交の場で発表したことで一種の解決に向けての意欲表明となった。日本政府にとっては今や、長年の交渉が実を結ぶ可能性が出てきたと言えよう。

ロシア側が考えている解決策とはどのようなものだろうか。プーチン大統領が2000年の就任以来訴え続けている「1956年日ソ共同宣言」への回帰、つまり二島(色丹・歯舞)返還の後、平和条約を締結し、その後残りの二島(択捉・国後)を返還するスキームが可能性の一つと判断される。無論、日本政府は、四島一括返還後の平和条約締結が基本方針となっているため、受け入れることはできない。

ただ、早期解決したいという点では双方の考えは近い。実際、安倍首相はロシアから帰国後、9月14日の日本記者クラブの討論会でも、平和条約締結は、従来の基本方針と変わらないという立場を示したうえで、「今年の11月、12月の首脳会談は重要なものになる。私が意欲を見せなければ動かない」とも述べている。

領土問題は非常に難しい議題であるものの、両政府は双方の国民が納得できる解決策に向けて努力と話し合いを前進させる可能性が高まったともいえるだろう。年内に行われる首脳会談への注目度が高まっている。

図表1 北方領土交渉の歴史

(出所)内閣府および外務省より大和総研作成

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『中国・スウェーデンの外交問題で正しいのは?頻発する中国人海外旅行者の「不文明的行為」』(10/5日経ビジネスオンライン 北村豊)について

10/7阿波羅新聞網<好友曝范冰冰已缴纳完近9亿罚款 公布范冰冰近照=親友が範氷氷の9億元の罰金は既に納めたと明かす 最近の写真をアップ>10/5親友の魔術師・鄭龍風が本人から罰金は払ったと聞いた。

誰が払ったかは記載なし。払ったことにしたのでは。罰金の額が大き過ぎです。

http://www.aboluowang.com/2018/1007/1185442.html

10/7阿波羅新聞網<孟宏伟被计划请君入瓮 范冰冰模式失败酿变局 北京恐出第二个王立军=孟宏偉は「請君入甕」(=自分の出した案で懲らしめられる。この場合人を陥れて逮捕して来たのと同様に逮捕される、因果応報の意)の計にかかる 範氷氷モデル(秘密裡に拘束して取り調べ、数か月後に情報を出す)は失敗して変化を醸し出す 北京は第二の王立軍となることを恐れる孟宏偉の妻のGrace孟が仏警察に届け出したため、北京の計画が狂ったと。下の写真は孟宏偉と妻のスマホの遣り取り。包丁の図は身に危険が迫っていることの意味でしょう。その7分後には繋がらなくなったと。でもこれで中国は法治国家ではないことを示しました。詳しい情報は分かりませんが、ある情報では「留置はされているが、双規(国家でなく共産党の尋問)は未だ」とのこと。

http://www.aboluowang.com/2018/1008/1185716.html

10/7希望之声<过千名老兵聚山东维权 用灭火器回击中共特警=千名を超える退役兵が山東省に集まり権利保護を訴える 消火器を使って特務警察に反撃>中共の10/1の国慶節(国の為に戦死した兵を悼む日)の間に、山東省平度の38名から成る退役兵が北京に訴えに行こうとしたが省当局の妨害に遭い、殴られた。10/5~6数百名の退役兵が全国から平度に向かい、殴られた兵を励ましに行ったところ、当局は特務警察を出動させ鎮圧した。一部の退役兵は怪我したり、逮捕されたりした。10/7再度退役兵が平度に集まり、権利保護活動をした。

退役兵と雖も、軍の一部が政府に反する行動をとりだしていることは中共の命脈も長くはないという事だろうと思われます。

https://twitter.com/twitter/statuses/1048508984079110144

https://www.soundofhope.org/gb/2018/10/07/n2243583.html

2017年1月1日の本ブログで中国人の非文明行為を揶揄した記事を掲載しました。北村氏が言いますように、中国人の自己中は死ぬまで治らないでしょう。反日教育する前にキチンと道徳教育をすべきです。それにつけても、2005年に中国駐在から帰って来て、実態を話した時の日本人の反応は「国粋主義者」とか「人種差別主義者」と罵ることでした。13年経って少しは分かって来たのかも。やはり、現実を見るべきで、見てない人間に人を批判する資格はないという事です。左翼は建前の綺麗事で、自分を棚にあげ乍ら他人を非難します。今の日本の老人も左翼メデイアに洗脳されていて、そういう行動を取る人が多いです。その代り、中共のモンゴル、ウイグル、チベット人への人権侵害については無関心です。

http://dwellerinkashiwa.net/?m=20170101

記事

スウェーデンと中国の関係は予断を許さない状況が続いている(写真:PIXTA)

 9月2日早朝にスウェーデンの首都・ストックホルムで発生した中国人親子3人による宿泊騒動は、親子が駐スウェーデン中国大使館へスウェーデン警察に粗暴な扱いを受けたと訴えて出たことで事件になり、中国とスウェーデンの外交問題に発展した。外交問題に発展するまでの経緯は、9月28日付の本リポート「宿泊騒動が中国とスウェーデンの外交問題に」を参照願いたい。

 中国人親子に非があることは明白なのに、駐スウェーデン中国大使館だけでなく、本国の中国政府“外交部”までが、スウェーデン政府に拳を振り上げて謝罪を要求するその態度に、スウェーデン国民は中国の傲慢さに憤りを禁じ得なかった。そうした中、スウェーデン国民の気持ちを代弁して、スウェーデンテレビ(SVT)の娯楽番組「スウェーデン・ニュース(Svenska nyheter)」で、コメディアンで作家の司会者ジェスパー・ロンダール(Jesper Ronndahl)が、9月21日の同番組で皮肉を込めて中国に対する強烈な一発を見舞ったのだった。

 それはテレビ画面に映しだされた「尊敬する中国人観光客を歓迎する」という題名の映像であった。映像の中で女性アナウンサーが「文化の衝突を避けるために提案する」と前置きした上で、「歴史的建造物に小便をするな」と言うと、画面には中国語で書かれた「大便禁止」の標識を映し出され、これに続いて画面に食卓の映像が映し出され、アナウンサーが「スウェーデン人はトイレの後には必ず手を洗う」と述べると、又しても例の「大便禁止」の標識が映し出された。さらに、画面に犬に散歩をさせている映像が流れ、アナウンサーが「これは昼食を取る目的ではありません」と説明し、犬肉を食べる風習を持つ中国人に当て付けた。

 続いてアナウンサーは、「中国人は人種主義者だ」と言明し、「スウェーデンは人々の権利が守られた多人種国家であり、人々がどこから来ようとも問題ないが、中国から来る人たちはその限りではない」と述べた。そして、最後にアナウンサーは子供に言い聞かせる口調で「中国人観光客のスウェーデン訪問を歓迎しますが、もしも貴方たちの態度が良くなければ、我々は貴方たちのお尻をペンペンしますよ」と述べたが、この時画面には宿泊騒動の当事者である中国人親子が路上で泣きわめく映像が流された。

この「スェーデン・ニュース」の映像は、SVTから中国国内の動画サイト“優酷(YOUKU)”へ投稿されたので、同番組の内容は広く中国国民に知れ渡った。しかし、中国国内で放映が許されたのは、中国側に都合良く編集された映像に、都合よく翻訳した字幕を付けたものだった。

 SVTはスウェーデンの国営テレビである。そのSVTがその番組「スウェーデン・ニュース」の中で、中国および中国人を揶揄(やゆ)したことを知った中国政府はすかさずスウェーデン政府に噛みつき、SVTに謝罪させるよう強く要求した。また、当該番組で映しだされた中国の地図に、台湾とチベットの一部が含まれていなかったのは故意としか思えず、極めて遺憾であると表明した。しかし、「言論の自由」を国是とするスウェーデンは中国と異なる。たとえ大国の中国が脅そうとも、これに屈して国是を曲げることはしない。恐らく、スウェーデン政府はSVTに中国政府の意向を伝えただけで、謝罪要求にどう対応するかはSVTの判断に任せたものと思われる。

 SVTの公式サイトは、9月23日付で、事件は誤解であり、中国側が見た「スウェーデン・ニュース」の内容は、字幕の翻訳が中国側に都合の良い部分だけが使われたものと思われると反論した。また、9月25日に「スウェーデン・ニュース」のプロデューサーであるトーマス・ホール(Thomas Hall)は、SVT公式サイトに声明を発表し、番組が当初表現したかった意図が失われたことを認め、同時に「我々はスウェーデンの問題を浮き彫りにしようと考えていた」と述べ、「番組を動画サイト“優酷”に投稿した目的は、中国国民の注意を促すためだったが、我々の表現方法に欠陥があったことはお詫びする」と表明した。

「謝罪」に激怒した中国政府

 9月28日に放映された「スウェーデン・ニュース」の中で、司会者のロンダールは、先ず自分が中国からのネット暴力に悩まされていると自嘲気味に述べた上で、先週の番組で心に傷を負った数多くの中国国民に謝罪すると表明した。但し、彼はこの謝罪は中国国民に向けたものであって、中国政府に向けたものではないと強調した。そして、香港“銅鑼湾書店事件”注)の被害者でスウェーデン国籍の“桂民海”が逮捕後にテレビ画面を通じて懺悔させられたことを例に取り、中国政府が言論の自由を認めていないことを非難した。

注:2015年10~12月に香港で反中国関連の書籍を販売していた“銅鑼湾書店”の関係者5人が中国政府によって拉致され、後に逮捕された事件。5人のうち4人はすでに釈放されて香港へ戻っているが、書店の株主でスウェーデン国籍の桂民海(現在53歳)は未だに釈放されていない。

 さらにロンダールは、先週の番組で中国の地図に台湾とチベットの一部が含まれていなかったことは謝罪せず、当日の番組では中国国旗の“五星紅旗”で世界地図を覆(おお)って、中国政府に反抗する姿勢を見せていた。

 ロンダールの謝罪は改めて中国政府を激怒させた。翌29日、ロンダールの挑発に応じる形で記者会見した駐スウェーデン中国大使館のスポークスマンは、「スウェーデン・ニュース」の謝罪は、極めて不真面目かつ不誠実であり、中国政府に悪態をつき、その魂胆は腹黒いと高飛車に言い放った。

今後のスウェーデンと中国の関係がどうなるのかは予断を許さないが、少なくともスウェーデン政府が国是である言論の自由を曲げてまでも中国の言いなりに謝罪することはないのではないだろうか。「スウェーデン・ニュース」が番組の中で中国人旅行者に対し侮蔑的な対応を示したのは、非常識極まりない中国人親子3人が引き起こした宿泊騒動に起因するものであり、彼ら親子が自分たちの所業を棚に上げ、スウェーデン警察に粗暴な扱いを受けたと駐スウェーデン大使館に訴え、それを鵜呑みにした駐スウェーデン中国大使ならびに中国外交部がスウェーデン政府に抗議したことに起因する。

 誰が考えても、これは言いがかりであり、今や世界第2の経済大国になった中国としては余りにも大人気ない対応と言える。スウェーデンがチベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世を受け入れる国であり、上述した香港・銅鑼湾書店事件で不当逮捕されて、未だ捕らわれの身である桂民海の早期釈放を要求している国であっても、中国は大国としての矜持を示すべきだった。しかも、「スウェーデン・ニュース」が、中国人観光客を揶揄した内容は、世界各国から指摘され、中国政府自身が十分認識している民度の低さに起因するものなのである。

海外旅行客向けのマナー指南

 2006年10月1日、中国共産党中央委員会傘下の“中央精神文明建設委員会辦公室(略称:「中央文明弁公室」)”と中国政府“国家旅游局(国家観光局)”は、『中国公民海外旅行文明行為指南』と『中国公民国内旅行文明行為公約』を発表した。これは中国人観光客のマナーが余りにも悪く、海外のみならず国内からも非難の声が上がるので、対応に苦慮して取りまとめたものだった。このうち、海外旅行客向けの『中国公民海外旅行文明行為指南』を見ると、以下の内容が記載されている。

中国公民は、海外旅行では、礼儀を重んじ、尊厳を保つ。

衛生に注意し、環境を守り、身分や場所に相応しい衣服を身に付け、ケンカをしない。

老人を敬い、子供を愛(いつく)しみ、女性を優先し、礼儀正しく譲り合う。

出かけて事をするなら、時間厳守。列を作って秩序を守り、立ち入り禁止の線を越えない。

宿泊は礼節をわきまえ、備品を壊さない。食事は静かに、浪費はしない。

健康な娯楽は心身に有益。賭博や風俗は断固拒否する。

観光をするなら、規則を厳守。習俗のタブーは犯さない。

判断がつかないことに出会ったら、大使館や領事館に問い合わせる。

公衆道徳を守って海外旅行に行けば、道中は安全。

 なお、同時期に発行された『“文明旅游出行指南(文明観光旅行案内)”』には、イラスト付きで細かい説明が書かれている。たとえば、「痰(たん)やガムを所かまわず吐くな、ゴミを捨てるな、大小便をどこにでもするな。他人の前で鼻をほじる、歯をせせる、咳(せき)をする、くしゃみをするなどの失礼はするな」とあり、別の項には「果物の皮、紙屑、雑物などの廃棄物はゴミ箱に入れ、そこらに捨てるな。ゴミの分別投棄には注意を払え」と書かれている。まさに手取り足取りであるが、それほどに2006年当時の庶民は民度が低かったと言える。

“不文明的行為”の10項目

 上述の『中国公民海外旅行文明行為指南』は、2015年6月4日付で駐日本中国大使館の公式サイトに掲載されているから、10年間が経過した後も依然として有効な指南なのであろう。2016年5月7日付の「人民日報」海外版には、“中国旅游研究院”院長の“戴斌”が「我が国の海外旅行は過去10年間に急増し、昨年(2015年)の出国旅客は延べ1.2億人に達したが、これだけ海外旅行客がいれば、確率から言っても、一部の旅行客による“不文明的行為(公衆道徳をわきまえない行為)”の発生を防ぐことは困難である」と述べている。

 最近、中国国内で実施された「中国人の海外旅行で“不文明的行為”と考えられるのは何か」というネット調査では、1)文化財や文化遺産への落書き、2)所かまわぬゴミ捨て、3)芝生の踏み荒らしおよび草花の乱採、4)大声でのケンカや電話、5)秩序を守らず行列への割り込み、6)どこにでも痰を吐く、7)所かまわず大小便、8)団体旅行で時間の観念なし、9)ホテルのタオルで靴を拭く、10)地元の風俗習慣を尊重しない、などが上位にランクされたという。

これらは常識ある中国人が恥ずかしいと考える、中国人の海外旅行客による“不文明的行為”であり、『中国公民海外旅行文明行為指南』の発表から12年が経過した現在も大きな改善がなされていないことを意味している。

 中国語のニュースサイトで「大便」、「小便」を検索すると、多数の記事が見つかるが、2016年以降の例を挙げると以下の通り。

2016年8月:

ロシアのサンクトペテルブルグにあるエカテリーナ宮殿で、歴史的価値のある貴重な床板に中国人の母親が子供に小便をさせた。これは歴史上初めての出来事だった。

2016年11月:

オーストラリアのシドニーにある王室植物園で、2人の中国人男性が小便をして警官に見つかり、逃げようとして抵抗した末に逮捕された。2人は66歳と41歳で、浙江省“義烏市(ぎうし)から団体旅行でオーストラリアを訪れていた。

2018年3月:

マレーシアのクアラルンプール市内のPhileo Damansara駅に附属するイスラム教の祈祷室内にある足洗場で、中国人男性2人が小便をして問題になった。2人は「ここはトイレではない」という地元民の説明を無視して小便をしたのだという。

2018年7月:

香港の尖沙咀(チムサーチョイ)にある地下鉄駅のホールで、中国から来た10~12歳の少年5人と引率者の男性1人の団体のうちの少年1人が人目もはばからず大便をした。周囲の人が文句を言うと、「彼は急な下痢でどうしようもなかった」と引率者は答えたが、彼らは誰一人も大便の後始末をしようとしなかった。そこで引率者に大便を処理するよう言うと、「地下鉄の清掃係にやらせれば良く、我々が処理すると、彼らが失業する」と真顔で答えた。

2018年9月:

ロシアのモスクワにあるクレムリン宮殿内の「生神女福音大聖堂」で中国人観光客が小便をした。ガイドがトイレの場所を教えなかったことが原因とされるが、前代未聞の出来事にクレムリン宮殿はガイドに対する規制を強化するという。

2018年9月:

ガーナ共和国の花園で中国人の男が大便をして現地人に見つかり、ショベルで処理するよう要求を受けた。「お前の国では所かまわず大便をするのか」と尋ねられた中国人は、言葉に詰まり、ひたすら謝るだけだった。

ブラックリストで見せしめ

 中国政府は旅行中に“不文明的行為”を行った人物を罰則としてブラックリストに載せ、一定期間その旅行を制限する『観光客不文明行為記録管理暫定弁法』を2015年5月に施行した。これは見せしめを示すことで、中国国民に自覚を促そうとするものである。現在までに何人がブラックリストに載っているかは分からないが、2017年6月の時点で29人という報道があった。2018年9月末にも3人がブラックリストに新規登録されたが、このうちの2人は、マレーシアのボルネオ島に所在するサバ州の州都コタキナバルにあるイスラム教のモスク前でセクシーダンスを踊った不届き者で、37歳と25歳の中国人女性であった。

 こうして見てくると、「スウェーデン・ニュース」が中国人観光客を揶揄した内容は決して間違っておらず、中国政府がそれを十分認識していることは明白である。「スウェーデン・ニュース」が中国政府の痛い所を鋭く突いたので、国家の面子を守るために、逆切れするしか方策が無かったというのが真相かと思える。

 上述した10項目の「不文明的行為」が中国人の海外旅行者から無くなるのはいつの日だろうか。中国人の「自分さえ良ければ、他人が何と言おうと、我関せず」という性質から考えて、中国人の海外旅行者から「不文明的行為」を消滅させるのは困難と思える。義務教育を通じて子供たちに世界に共通する常識と道徳を学ばせ、国民全体の民度を引き上げることが先決ではなかろうか。

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『トランプの「中国潰し」に世界が巻き添え、貿易戦争は覇権争奪戦だ』(10/3ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『日本に巣くう、強烈な「FTAアレルギー」 深層解説:日米首脳会談の知られざる内幕』(10/3日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

10/7阿波羅新聞網<惊传孟宏伟或涉北戴河政变 国际刑警正式向北京要解释=驚くべきことにICPO(国際刑事警察機構)のトップの孟宏偉は北戴河の政変にひっかかったのかも ICPOは正式に北京に説明を求める>アップルデイリーは「孟宏偉は中国政治のタブー、北戴河の政変に触れた嫌疑で勾留されたのかも。事件は重大且つ緊急を要するため、当局は与える影響も顧みず孟宏偉から話を聞くこととした」と報道。但し詳細は分からず。

香港の東方日報に依れば、中共はICPOにまだ正式に回答していないとのこと。

ある情報によれば、中共の役人が言うには「孟宏偉は貪欲にも法に違反して不動産を購入、それなのに一所懸命人々を拘留し、世界を驚かせた。論理矛盾である」と。

AFPとロイターは「仏警察は孟宏偉の在仏の妻の安全保護の命令を出した。妻は夫の失踪届を仏警察に出し、その時に生命の危険に関する脅しを受けたとも指摘した。仏警察は既に調査に入った。

中国では上から下に至るまで賄賂漬けですので孟宏偉に限ったことではありません。ただ上に行けば行くほど賄賂額が大きくなるだけです。腐敗で捕まるのは政敵打倒と、額や配るべき人を間違えたときだけです。産経によれば、14年間公安省次官を14年務め、周永康派とのことです。習近平の暗殺計画でも起こそうとしていれば別ですが、国際組織のトップを呼びつけて逮捕拘留するのは異常です。前に周永康と組んで習を狙ったとしても済んだことであり、緊急性はないでしょう。習の判断が狂ってきているのでは。安倍首相も訪中した時には、彼らの権力闘争に巻き添えを食わないように発言には充分注意しませんと。

http://www.sankei.com/world/news/181006/wor1810060017-n1.html

http://www.aboluowang.com/2018/1007/1185223.html

10/7看中国<一幅中国地图隐藏的秘密(组图) 我的中土情怀=中国の地図の隠された秘密私の国土への思い>毛沢東がソ連を助けるために、外蒙古を売ってしまった。蒋介石は同意せず、それで中華民国の地図には外蒙古が入っている。

中華民国地図

中華人民共和国地図

釣魚島の歴史については大陸人だから台湾の歴史については詳しくない。台湾と付属島嶼(含む釣魚島)は日清戦争で日本に割譲・帰属した。第二次大戦で日本は負けたのだから還すべきなのにまだ返していない。

この中国人は歴史を知らない。中共の主張を鸚鵡返ししているだけでしょう。別に尖閣は日清戦争前から日本が統治していたのを、国民党政権が、68年の国連の石油埋蔵調査を知り、70年に台湾のものと言いだしたのが始まり。そうでなければ米国が射爆場として使用することは無かった筈。尖閣問題は長崎純心大学の「いしゐのぞむ」教授が詳しいです。歴史的に日本の領有の正当さを主張しています。日本政府がもっと「いしゐ」氏を活用すべきと思いますが。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/07/869839.html

10/4日経 FT<対中冷戦へと進む中国

米国が9月24日、対中制裁関税第3弾として2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に追加関税を課したことを、トランプ米大統領によるいつもの挑発行為の一つとみるのはたやすい。トランプ氏の首にかけられた法的な縄がここへきて締まり始めているように思えるなか、米国民の目を海外に向けさせる必要があるのだろう、と。

しかし、それは間違った見方だ。実際、今回のあまり賢明とはいえない追加関税は、ホワイトハウス内だけで拙速に決めた政治判断ではない。今回の措置は、もっと危険で永続的なものを表している。米国と中国の経済的、政治的関係は完全にリセットされ、これからは貿易戦争というより冷戦に近い状態が始まるということだ。

■米中関係のリセットは企業に根本的変化もたらす

イラスト Matt Kenyon/Financial Times

中国との関係を根本的に見直すというのは、トランプ氏の考えだけでなく、右派と左派双方の幅広い支持も得ている。それだけに事態は深刻だ。トランプ氏は確かに対中貿易赤字の削減に固執しているものの、同時に自分の利益になると思えば取引をする人間だし、中国がトランプ氏の態度を軟化させる策を何かひねり出せないはずがない。

しかし、トランプ政権の経済的タカ派であるナバロ大統領補佐官(通商担当)や通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、トランプ氏とは異なり、まったく別のゲームを戦っている。彼らは、中国との経済関係を断ち切ることが長期的には米国の国益にかなうと信じている。

こうした考え方に同意する向きは、米国防総省にも多くいるし、労働運動を手掛ける進歩的な左派にもいる。彼らの中には、トランプ氏が大統領職を去った後もずっと権力のある地位に就く人も多くいるはずだ。それぞれに目指すものは異なるが、米中は長期的に戦略的対立関係にあり、従って米国の貿易政策と安全保障政策を別々に考えていてはいけないという見方でほぼ一致している。

米中関係をこのように根本から見直すことは、グローバルに事業を展開する企業にとって根本的な変化を意味する。

国際的な企業の経営者たちは、今回の追加関税はあまりに広範囲にわたり、かつ高率なため、米国にインフレ圧力をもたらすことから、製品価格を引き上げざるを得なくなると不満を表明している。しかし、政権内の経済的タカ派たちには、こうした経営者に同情する向きは全くない。それどころか、こうした企業を米国の裏切り者だとさえ考えている。中国という西側の根本的な価値観を共有することもなく、いろいろ条件をつけて最終的には自国の市場への平等なアクセスも認めない国に、自社の短期的な利益を優先して米国の事業を移してきたとんでもない存在だとみている。

今の経済的、政治的環境で政策の方向性や世論を牛耳っているのは、タカ派だ。彼らには、中国による知的財産権や人権の侵害、南シナ海での中国の攻撃的な行動など、自分たちの主張を正当化する材料は多くある。

中国を専門とする調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの責任者アーサー・クローバー氏は、「中国をかつてのソ連のような『修正主義』勢力だとみなす意見をよく聞く。従来とは全く異なる体制を世界に広めようとしているという意味だ」と話す。この見方は大げさすぎるかもしれないが、中国やロボット(中国製ロボット)に仕事を奪われるのではないかとの懸念を強めている一般の米国民には、今の経済のグローバル化を擁護する意見より、こうした大げさな意見の方が心に響きやすい。

■米企業にサプライチェーンの見直し迫る

タカ派はこれまでのところ非常に巧妙に、消費者物価への影響を最小限に抑えるよう関税対象を選別する一方で、最も重要と考えられるサプライチェーンを中国に移してきた企業を罰している。米半導体大手クアルコム(米中両国のナショナリズムの犠牲になった面もある)や米IT(情報技術)機器大手シスコシステムズをみれば分かる。シスコのルーターやスイッチは、欧米だけでなく中国でも都市のIT化に利用されており、同社はこれらの製品を今回の関税対象から外すようロビー活動を展開したが、そうはならなかった。

ホワイトハウスは、国防総省がこのほどまとめた白書を近く発表するようだが、同白書は米企業に一部の部品調達については米国内に移すよう提言している。このように同白書が、トランプ政権の今後の産業政策をどういう方向に持っていくかを示すことになるかもしれない。ただ、米中が冷戦に突入すれば、企業によってその被る影響に差が出ることは間違いない。

従来型の消費者向け事業を展開する米スターバックスや米ウォルマートなどは、様々なデリケートなデータを吸い上げるIT企業や、マッピングや自動運転車など戦略的分野に取り組む企業よりも、中国市場での立場を維持しやすい。米中の貿易戦争が冷戦に発展したら、米アップル、米フェイスブック、米マイクロソフト、米グーグルおよびその他中国で事業をする多くの米国の多国籍企業は、難しい選択を迫られるだろう。米国の中国に対する国家的な懸念に対して、見て見ぬふりを続けられなくなるからだ。

■政治をもはや無視できなくなる米企業

短期的には輸出依存が大きい中国の方が苦労するかもしれない。だが、中長期的には米企業の方が米国内にサプライチェーンを再構築しなければならないという意味で、苦労しそうだ。

ゲームの「フォートレス・アメリカ」のように、すべてを米国内で調達することは政治的にも現実的にも不可能だ。従ってトランプ政権は、米国としての産業政策を進めたいのであれば、欧州を含む貿易パートナーと同盟関係を確立する必要がある。だがこれは、決してトランプ氏が得意とすることではない。

企業が進む先には、事業の存亡に関わる本質的難題が立ちはだかる。例えばグーグル。同社の親会社、米アルファベットのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は、ロシアが米IT企業のプラットフォームに干渉したかどうかについての上院の公聴会での証言を拒否した。だが、一方で同社が、中国当局の検閲を容認する形で同国向け検索サービスを始めるとしたら、それはこの企業にとって、どんな意味を持つことになるのか。

経営者らは、政治は自社の事業には関係がないとの立場を貫けるだろうか。これまで経営者は好んでそう考えてきたが、それは今、希望的観測にすぎないように思える。

By Rana Foroohar

(2018年9月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)>(以上)

FTも気づくのが遅いとしか思えません。トランプ大統領が誕生したのは、敵の中共を倒し、産業を米国に回帰させ、雇用を拡大するためです。儲かれば何をしても良いと言うような経営者は淘汰されるでしょう。中国側に立つ経営者は自由社会でビジネスできなくなるでしょう。今はそこまで行きませんがやがて来ると思っておいた方が良い。日本の経営者も同じようにしなければ排除されるようになります。今の日本の経営者でそこまで読めている人は殆どいないでしょうが。政府もきっちり指導して国益を守るように動かねば。第二次大戦の誤りは組む相手を間違えたことです。今中国に近づくことは同じ過ちを繰り返すことです。

北野氏の記事は、まさしくその通りで、今米国は米国が作って来た国際組織を壊そうとしています。何故そんなことをするのかと言うと、狡猾な国が善意を利用し、悪をはびこらしてきたからです。悪を罰することもできない組織はガラガラポンして作り替えるしかないでしょう。

細川氏の記事では、交渉の場面でトランプと部下とで役割分担しているのではという気になりました。「俺たちは合意したけれど、上がNoだから」「上と相談して」と言い訳して、相手を幻惑するのでは。中国に米国は何年も騙されて来ましたので、ちゃぶ台返しするのも良いでしょう。やはり、自由貿易の論理を主張できるは自由を認める国でないと。一党独裁・言論の自由のない国に「自由貿易を守る」と言われても。

北野記事

エスカレートする一方の米中貿易戦争。これは、もはや「米国の貿易赤字解消」といった次元を超えている。米国は覇権を維持するために、中国つぶしに動き始めたと見るべきだろう。そう、米中貿易戦争は、「米中覇権争奪戦争」でもあるのだ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

米中が経済制裁の応酬!戦争には「戦闘」以外の形態もある

中国を本気でたたきつぶし、覇権を維持しようと目論むトランプ。中国には勝っても、世界経済を道連れにする恐れがある Photo:Reuters/AFLO

トランプ政権は9月24日、対中国制裁第3弾を発動した。中国からの輸入品2000億ドル相当に、10%の関税をかけることになる。これに対して中国は、米国製品600億ドル相当に報復関税をかける意向を示している。

これを受けてトランプは、対米報復制裁が発動されれば、さらに2670億ドル相当の中国製品に関税を課すと警告した。現実にそうなれば、米国は、中国からの全輸入品に関税をかけることになる。

筆者はこれを、「米国の貿易赤字解消」という次元を超えた、米中の覇権争奪戦と見ている。そう、実際に武器を使用していなくても、立派な戦争である。

「大げさだな」と感じる人は多いだろう。日本人は「戦争」と聞くと、「ミサイルをぶっ放した」「空爆した」「戦闘機が戦った」「戦車で進軍してきた」など、「戦闘行為」を思い浮かべる。しかし世界的に見ると、「戦争」という言葉の意味は、もっと広い。

考えてみよう。戦争はまず、ある国の「指導者の頭の中」で始まる。彼は敵国を設定し、「たたきつぶそう」と決意するが、翌日早速軍隊を送るだろうか?敵国が弱く、間違いなく圧勝できる場合ですら、いきなりそんなことはしない。

国際社会から非難されて経済制裁を科され、かえって自国の方が苦しくなる可能性があるからだ。

では、どうするのか?

普通、戦争は「情報戦」から始まる。これは、敵国を「悪魔化」する目的で行われる。理由は2つ。第1に「国際社会を味方につける」ためである。戦闘して勝ったはいいが、結果国連から制裁を受けては意味がない。第2に、自国民に「戦争やむなし」と信じさせるためである。戦争中に「反戦派」がうるさくては困るのだ。

第2次世界大戦前に行われた情報戦、外交戦、経済戦

情報戦の例を挙げよう。1932年、日本は満州国を建国した。中国は当然これに不満で、国際連盟に訴えた。そして、情報戦を開始。「田中メモリアル」という「日本の世界征服計画書」を全世界に拡散した。もちろん、実際は日本の「世界征服計画」など存在せず、「田中メモリアル」は「偽書」である。
しかし、中国は情報戦を有利に進め、世界の国々に、「田中メモリアル」=「本物」と信じさせることに成功した。その結果、日本は「世界支配を企む悪の帝国」となり、「国際連盟脱退」に追いこまれてしまった。1930年代の例を挙げたが、もちろん現在も情報戦は行われている。

「外交戦」も重要だ。これは、自国の仲間を増やすことで、敵国を孤立させるために行われる。たとえば、1937年から始まった日中戦争で、中国は、米国、英国、ソ連から支援を受けていた。日本は、外交戦でも負け、孤立していた。

そして、「経済戦」。経済制裁によって、敵国に大打撃を与えることができる。一番わかりやすい例は、米国が、英国、中国、オランダを巻き込んで、日本に対して実行した「ABCD包囲網」だろう。

米国は、1937年から日本への経済制裁を開始。1941年8月には「対日石油全面禁輸」措置が発動されている。この4ヵ月後、追い詰められた日本は真珠湾を攻撃し、「戦闘」という意味での「日米戦争」が始まった。

トランプ政権誕生前から米国内は「対中戦争モード」だった

最後に「代理戦争」。これは、大国が特定の勢力を支援することで行われる。たとえば、シリアで欧米は、「反アサド派」を支援している。一方、ロシア、イランなどは「アサド政権」を助けている。これは、欧米vsロシアの「代理戦争」である。
ほかにもある。ウクライナだ。欧米は、ポロシェンコ政権を支持している。ロシアは、ウクライナ東部ドネツク、ルガンスクのいわゆる「親ロシア派」を支援している。ウクライナ内戦は、欧米とロシアの「代理戦争」なのである。

こうして歴史を振り返ると明らかなように、リアルの「戦闘」は、武器を使わないさまざまな戦争を経て勃発する。では、米中の現状は、どう考えるべきなのだろうか?

筆者が「米中貿易戦争」を「覇権争奪戦争」と見る理由はいくつかある。

まず、トランプが大統領になる前、すでに米国内では、「中国と戦って勝たなければならない」と主張するベストセラー本が出ていた。

1冊目は、国防総省顧問マイケル・ピルズベリーの『China 2049』。「中国は、建国100年目にあたる2049年までに、世界覇権を握ろうとしている」という内容だ。ピルズベリーは、「アメリカはこのマラソンの敗者になろうとしている」(P.28)、つまり、覇権争奪戦で中国に負けると警告している。

2冊目は、トランプ大統領の補佐官で国家通商会議議長ピーター・ナヴァロの『米中もし戦わば~戦争の地政学』だ。この本は、「米中戦争が起こる確率」は、「非常に高い」という話から始まる。そして、第6部のタイトルは、「力による平和への道」である。中国に強硬な姿勢で対抗することを主張している。
この2冊は共に、米国での出版は2015年である。つまり、トランプが大統領になる2年前に出されている。

そして、この年の3月、「AIIB事件」が起こっている。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国など親米国家群が、米国の制止を無視し、中国が主導する「AIIB」への参加を決めたのだ。

反中→仲直り→やっぱり反中…目まぐるしく変わるトランプの胸中は?

この事件は、米国の支配力低下と、中国の影響力増大を世界に示した。つまり、米国には「中国を打倒しなければ、わが国の時代は終わる」という強い危機感が、トランプ政権誕生前からあったのだ。

このような機運の中、トランプは「反中大統領」として登場した。選挙戦中も、一貫して反中だった。選挙に勝つと早速、台湾の蔡総統と電話会談し、中国と世界を仰天させた。

しかし、2017年4月、初めて習近平に会ったトランプは、以後「私は彼のことが大好きだ!」と公言するようになる。米中関係は、一気に改善された。
なぜ、そうなったのか?トランプは、北朝鮮問題で習近平の助けを必要としていたからだ。そして習近平も、トランプを助けることを約束した。

ところが、それから1年たって、トランプは中国との貿易戦争を開始した。唐突に見えるかもしれないが、以下のような流れだったのだろう。
(1)トランプは、もともと「米国の覇権を維持するために、中国をたたこう」と考えていた
(2)しかし、習が北朝鮮問題で協力する意向を示したので、様子を見ていた
(3)ところが、1年たっても何も変わらないので、元の路線に戻った

ご存じのように、中国はロシアと共に、北朝鮮を守り続けている。

さらに、報道されているように、「米国の貿易赤字を減らすため」とか「知的所有権を守るため」だけの「貿易戦争」ではない理由はほかにもある。

トランプ政権の動きを見ていると、もっと「トータルな戦争」を開始しているからだ。

人権問題批判に中国軍への制裁 台湾への武器輸出も再開した米国

たとえば、トランプ政権は突然、中国が「100万人のウイグル人を拘束している!」と批判し始めた(太線筆者、以下同じ)。

<米国務長官、ウイグル人拘束めぐり異例の中国批判
【AFP=時事】9/22(土) 17:38配信  マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官が21日、中国政府に対し、イスラム教徒の少数民族ウイグル人を多数拘束していると異例の強い論調で批判し、不穏さを増す米中関係に新たな火種が浮上している。>

これは、「中国悪魔化」のための「情報戦」を開始したと見ることもできる。なぜそう言えるのかというと、米国は、自国に都合のいい時しか「人権カード」を切らないからだ。

たとえば、米国の同盟国サウジアラビアは、民主主義のカケラもない、絶対君主制の人権侵害国家である。しかし、米国がサウジの人権問題を批判することはない。

実際、米国は長い間、中国の人権問題を批判してこなかった。これが再開されたことには、大きな意味があると見るべきだ。

また、トランプ政権は、なんと「中国軍」にも制裁を科している。

<米国>中国人民軍を制裁 露から戦闘機など購入
毎日新聞 9/21(金) 19:15配信  
 【ワシントン鈴木一生】トランプ米政権は20日、中国人民解放軍の兵器や装備品を管理する部門とその責任者に制裁を科すと発表した。米国の対ロシア制裁に違反して2017~18年、ロシア国営武器輸出企業「ロスオボロンエクスポルト」と取引し、戦闘機10機と最新鋭の地対空ミサイルS400関連部品を購入したことが理由という。制裁は、米金融機関との取引や米国人とのビジネスを禁じる内容。>

さらにトランプは、中国が「自国の一部」と主張する台湾に武器輸出することを決め、中国を激怒させた。

<中国外務省の耿爽(こう・そう)報道官は25日、トランプ米政権が台湾への武器売却を議会に通知したことに関し、「中国の主権と安全保障の国益を損なうものだ」と述べて「強烈な不満」を表明した。中国は米台の軍事交流の停止を求めているが、米中間では貿易分野だけでなく軍事部門でも関係が悪化しているのが現状だ>(産経新聞 9月25日)

戦闘しにくい核時代は「経済戦争」がメインに

米中関係は、過去の戦争のように、情報戦、外交戦、経済戦、代理戦争などを経て、必要があれば「戦闘」をして敵国をたたきつぶすところまで行ってしまうのだろうか?

1930年代と現代では、実は大きく異なる1つの事情がある。「核兵器」の存在である。これが、戦争の形態を変えた。

米中ロにはそれぞれ、敵国を壊滅させるのに十分な核兵器がある。それどころか、地球を「人の住めない星」に変えることすらできる。結果、大国間の戦闘は、起こりにくくなっている(既述のように代理戦争は起こっているが)。

現在では、「経済戦争」が「主戦場」になっているのだ。たとえば、ロシアは2014年3月、クリミアを併合した。さらに、ウクライナ東部ルガンスク、ドネツクを支援して、事実上の独立状態に導いた。そして、ロシアは、シリア・アサド政権支援を続け、ここでも勝利している。
しかし、米国は、ロシアと直接戦闘することはない。では、米国はロシアに負けっぱなしなのだろうか?

そうではない。何かあるたびに、米国はロシアへの経済制裁を強化している。それで、ロシア経済はボロボロになってしまい、プーチン政権は、大打撃を受けている。

トランプが、「米中貿易戦争で、中国に勝とう」と考える理由もわかる。米国は、年間5000億ドル強を、中国から輸入している。一方、中国は、米国から年間1300億ドルしか輸入していない。貿易戦争によって、お互いの全製品に関税をかけたとすると、中国が受ける打撃は、米国が受ける被害の3.8倍になる。

それでトランプは、「貿易戦争で、米国は中国に勝てる」と確信しているのだろう。

中国に勝ちたい米国が世界経済をも破壊する

果たして、米国は中国に勝てるのだろうか?

その可能性は、高い。というか、成長期の最末期にある中国の栄華は、米中貿易戦争がなくても、終わりつつあった。トランプが何もしなくても、中国の成長率は鈍化し続けていたのだ。今回の貿易戦争は、中国の没落を加速させる結果になるだろう。

ところが、それで米国の繁栄とはなりそうもない。世界中の研究者が懸念しているのは、「中国を倒したいトランプが、世界経済を道連れにすること」である。

ノーベル賞学者のクルーグマン教授は、6月にこうツイートした。

「トランプ大統領が貿易戦争に向かって行進する中、私は市場の慢心に驚いている」
「トランプ氏が行くところまで行って、世界経済を壊すのかはわからない。しかし、相当な可能性があるのは確かだ。50%?30%?」

対中制裁第3弾発動で、「トランプが行くところまで行って、世界経済を壊す可能性」は、さらに高まった。

細川記事

日米首脳会談で「物品貿易協定」(TAG)の交渉に合意したといわれるが、実態は自由貿易協定(FTA)にほかならない――。通商交渉の舞台裏を知り尽くした細川昌彦氏が、日米首脳会談におけるパワーゲームの深層を徹底解説する。

日米首脳会談 国連総会に合わせて実施 貿易交渉開始で合意(写真:AFP/アフロ)

まず、今回の首脳会談について素直に評価する点から始めよう。

9月26日に開催された日米首脳会談における日本側の最大の焦点は、トランプ大統領が打ち出した自動車への25%の追加関税という脅しを避けるために、新たな貿易交渉をスタートすることだった。

米国は追加関税で脅しながら、交渉入りを迫った。これに対し日本が最優先としたのは、自動車の追加関税を発動しない確約を得ることだった。とりあえず今後交渉している間は発動しない確約を得たようだ。これは7月の米欧首脳会談での欧州連合(EU)も同様の交渉をしており、日本はEUのやり方を参考にした。

ただし、その拳は「挙げたまま」、ということも認識しておくべきだろう。米国はまだ脅しのカードを手放したわけではない。EUも日本も「交渉が続く限りは自動車への追加関税はない」と説明するが、米国から言えば、「脅しのカードを持ち続けて交渉する」というものである。

日本はこれまで長年、米国からの圧力で譲歩を迫られることを懸念して、米国との2国間交渉を避けてきた。他方、今のトランプ政権は2国間協定にこだわって、米韓自由貿易協定(FTA)の見直し交渉、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉、EUとの貿易交渉など、次々と2国間交渉を進めている。いつまでも日本だけが交渉に入ることを拒否し続けられないと、日本も現実を見据えた対応をしたのだろう。

日米首脳が合意した交渉は「物品貿易協定」(TAG)という名のFTAの交渉だ。日本政府の発表では、これから日米でスタートするのは「物品貿易協定(TAG)」だとして、あえてFTAという名称を避けたようだ。それはなぜか。

日本が「FTA」の名称を避けたいわけ

確かに、モノの貿易の関税の交渉を始めることにしたのだから、TAGと呼ぶこと自体は間違いではない。しかし世界貿易機関(WTO)という国際ルールでは、特定国に対して関税を引き下げるにはFTAという手段しかないということを忘れてはならない。TAGという名称を付けようが、付けまいが、それはFTAなのだ。

安倍総理は「これはFTAか」との記者の質問に、「日本がこれまで締結してきた包括的なFTAではない」とすれ違い答弁をわざわざしている。これがその後、日本の報道に混乱と誤解を招いたのだ。これは「包括的でないFTA」であっても、当然FTAである。

では何故FTAと呼ぶのを避けたのか。

日本には伝統的にFTAに対して強烈なアレルギーがある。FTAになれば、米国からの圧力で日本は農産物の市場開放をさせられるとの被害者意識が根強くある。だから、国会答弁でも「今の協議はFTA交渉ではない」と言い続けてきた。

実は同じように日本がFTAという名称を避ける動きは16年前にもあった。日本が編み出した「経済連携協定」(EPA)という言葉がそうだ。この言葉も日本の造語だと言うことはあまり知られていない。

かつて1990年代後半ごろから世界はFTA締結へと動いていたが、日本はこうしたこともあって、この潮流に乗り遅れていた。そこで日本もついに2002年にシンガポールとの間で初めてFTAを締結した。その際もやはり、FTAと聞くと強く反発する農業関係者にどう説得するかが最大の問題であった。相手国にシンガポールを選んだのは、農産物の市場開放にはおよそ無縁な国だからだ。しかも名称をFTAではなく、関税引き下げよりもルールの策定を重視したFTAとして「経済連携協定(EPA)」という名称を編み出して、FTA色を薄めることに腐心した。実は名前がEPAであっても、実態はFTAなのだ。

15年以上経った今も、日本の“FTAアレルギー”は変わらない。今回、「TAG」という名称を考え出したのもFTA色を薄めるためで、歴史は繰り返される。EPAと言おうが、TAGと言おうが、WTOのルール上はFTAという概念しかない。現に米国では日米のFTA交渉として認識され、「日本とFTA交渉をする」と報道されている。

いつまでも言葉で逃げるのではなく、むしろFTAであることを正面から認めて、その中身の是非について議論する成熟さが日本には必要だ。

むしろ問題は交渉の内容だ。恐らく中間選挙後の年明けからスタートするであろうFTA交渉で後述する点で日本はどこまで頑張れるかが大事だ。

トランプ氏の中間選挙対策として「牛肉の手付金」

自動車の追加関税の回避のために2国間交渉に入った日本が懸念するのは、「農産物の市場開放において環太平洋経済連携協定(TPP)で合意した以上の譲歩を迫られるのではないか」という点であった。これが日本の農業関係者の最大の懸念で、この懸念を払拭することが、日本にとっての次の優先事項だった。首脳会談では、「TPP水準が最大限である」ことを留意させたことは成果であった。

ただしそれは裏返せば、「TPPで約束した水準までは引き下げる」と言ったのも同然だ。これからの交渉で関税引き下げが決まるのではあるが、今回、既に “手付金”を払ったと言える。トランプ大統領にとってはありがたいことに違いない。

トランプ大統領の狙いは中間選挙に向けての得点稼ぎだ。ターゲットは牛肉である。

TPPを離脱した結果、TPPに参加している豪州産牛肉に比べて、相対的に不利になる。さらに米中間の関税合戦の結果、中国の報復関税によって、米国の牛肉、大豆が打撃を被っている。中西部の農業州の農畜産業者の不満は爆発寸前だ。11月の中間選挙に向けて、この不満解消はトランプ大統領にとって至上命題となっている。

そこで7月の米欧首脳会談では欧州から大豆の輸入増を勝ち取り、今度は日本から牛肉の輸入拡大を勝ち取って支持層にアピールする。わかりやすい構図だ。

日本も欧州同様、コミットではないが、トランプ大統領が支持者に成果とアピールできるような「仕立て方」をEUのやり方を参考にして考えたのだ。

今後の焦点は自動車の数量規制

今回の首脳会談の共同宣言文に気になる文言が盛り込まれてしまった。

今後の交渉において日米双方が目指すものとして、「米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」と書かれているのだ。これは要注意だ。日本が農産物について既に述べたような「TPPでの水準が関税引き下げの最大限だ」とする文言を入れること主張したために、「それならば」と米国がその引き換えに持ち出したものだ。

今回の首脳会談の結果に対して、日本の中には「自動車の追加関税を免れるために、農業が犠牲になった」という人もいるが、逆に「農業はTPP止まりという条件を米国に飲ませるために、日本は自動車で譲歩させられた」とも言える。

これは何を狙っているのか。

米国の交渉責任者であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表の目指すのが自動車の数量規制だ。追加関税の脅しで数量規制に追い込もうとしている。米韓FTAの見直し交渉で韓国に、NAFTA見直し交渉でメキシコ、カナダに数量制限を飲ませた手法だ。G7(先進7カ国)の一角であるカナダまでこの“毒まんじゅう”を食べさせられたのは衝撃だ。

そして今、ライトハイザー代表は同様の手法で、EU、そして日本と交渉をしようとしている。

米国の自動車販売台数は年間およそ1700万台で成熟市場になって、今後大きな伸びは期待できない。そういう中で、日系メーカーが米国で生産するのは377万台、米国内で生む雇用(間接も含めて)は150万人だ。これをさらに増加させるには、対米投資を増加させ、現在174万台である対米輸出台数を減らすことになる。その結果、日本での国内生産969万台は減らさざるを得なく、国内雇用にも影響する大問題なのだ。

そしてそれを実現するために、今後の交渉で、米国がこの文言を盾に「対米輸出の数量規制」や「対米投資の数値目標」を強く要求してくると考えるのが自然だ。まさにこれこそ日本が断固拒否すべき管理貿易なのだ。

これが、これから始まる交渉の最大の焦点であろう。

日本政府はこの文言を受け入れたことで、もちろん今後厳しい交渉が予想される。日本政府は平静を装い、メディアも大本営発表のせいか、意味不明の解説をしているものまである。本当にこの文言が日本にとって大きな失点でないならば、それを今後の交渉の結果で示すことを日本政府には期待したい。

新交渉で注目すべきは「米国の自動車関税」への攻めだ

今回の首脳合意を受けて、新たな日米交渉が年明けにも始まるが、そこで注意しなければならないのが、日本は受け身一辺倒にならないことだ。日本はメディアも含めて、伝統的に「米国から攻められるのをどう守るか」にばかりに関心がいく悪い癖がある。しかし交渉は相手を攻めることも大事なのだ。

具体的に米国を攻めるべきポイントは「米国の自動車関税」だ。米国は乗用車で2.5%、ライトトラックで25%の関税をかけて、これを死守しようとしている。

かつてTPPにおける米国との関税交渉では、日本の農産物の市場開放と米国の自動車の関税撤廃がパッケージで合意されたことを忘れてはならない。

新交渉でも当然、日米双方向でなければならない。かつてのTPP合意と同様に、日本の農産物の関税引き下げだけでなく、日本が米国の自動車関税の引き下げを要求するのは当然の主張だ。米国にかつてのTPP合意の“いいとこ取り”をさせてはならない。

注目すべき、対中国を睨んだ日米欧協力

日米共同声明に盛り込まれた注目点は、こうした日米2国間の問題だけではない。中国の知的財産権の収奪・強制的な技術移転など中国の不公正な貿易慣行が日米共通の今後の大きなテーマだ。その問題に欧州も含めた日米欧が協力して対処することが盛り込まれた。これは大いに評価すべき点だ。メディアの目が余りこの点に向いていないのは問題だ。

これがトランプ大統領の首脳会談の共同声明だからこそ意味がある。

こうした中国の経済体制に起因する根深い問題にはトランプ流の関税合戦は手段として問題解決にはつながらない。むしろ中国が徐々に改善せざるを得ない国際的状況を作り出すことこそ大事なのだ。しかしトランプ大統領自身は恐らく全く関心がない。中国とは2国間の関税合戦での駆け引きにしか関心がない。

そのことを理解しているのはライトハイザー代表だ。2017年12月から日米欧三極での貿易大臣会合を4回と頻繁に繰り返しながら、中国問題への対処を進めてきた。

問題はそうした取り組みがトランプ大統領のお気に召すかである。トランプ政権の通商戦略はトランプ大統領の独断で仕切られていることから、いかにうまくトランプ大統領の頭に刷り込むかがポイントになる。

それはライトハイザー代表の手腕にかかっている。

7月の米欧首脳会談の共同宣言にも同趣旨の文言が盛り込まれている。これはまさしく日米欧が連携した「トランプ対策」なのだ。これはこの政権が独特の構造であることを物語っている。

会談直前の夕食会が持つ大きな意味

同じく「トランプ対策」という意味では、会談直前での日米首脳2人きりの夕食会が大きな意味を持った。日米首脳会談の前に茂木大臣-ライトハイザー代表による閣僚レベルの交渉があったが、それに先立って、まず安倍総理とトランプ大統領との間で2人だけの夕食会がトランプ大統領の発案で開かれた。そこで安倍総理はトランプ大統領との直接の会話で、繰り返し刷り込んでいくことが可能になった。

トランプ政権ではトランプ大統領だけがポイントだ。それで失敗したのが中国で、閣僚レベルで折角合意できても、トランプ大統領にちゃぶ台返しにあってしまった。逆にEUは直前の閣僚折衝では物別れに終わっても、翌日の首脳会談でトランプ大統領のお気に召せば、丸く収まった。失敗した中国と成功したEUの例をみれば、どう対処すればよいか明らかだ。

そういう意味では安倍総理がトランプ大統領の頭を事前に作っていく機会があったことは効果的だったようだ。

これがトランプ政権との付き合い方なのだ

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『中国とバチカン接近であおりを食う台湾 中台双方と正式な“国交”樹立に期待の声も』(10/3日経ビジネスオンライン 福島香織)について

10/4NHKニュース5:32<バチカンの会議に中国司教が初参加 関係改善を反映 台湾は警戒

ローマ・カトリック教会の中心地、バチカンと中国が関係を改善させているのを反映して、世界各国の司教が集まるバチカンの会議に、初めて中国の司教が参加しました。

バチカンでは3日、世界各国からカトリック教会の司教や教会関係者およそ300人が集まる、恒例の「司教会議」が始まりました。
会議の開幕にあたってミサを行ったフランシスコ法王は、この会議に中国から2人の司教が初めて参加したことを明らかにし、「2人を温かく歓迎したい」と述べました。
バチカンと中国は、中国政府が内政干渉を理由にローマ法王による司教の任命を拒否してきたことで対立が続いてきましたが、先月、司教の任命方法で双方が暫定合意したことで、関係改善に向かっています。
今回の会議に中国から参加した2人の司教のうち1人は、中国政府に任命されていた司教で、暫定合意とともにフランシスコ法王から新たに正式な司教として承認されていました。
中国側としては、カトリック教会をなるべく中国共産党の管理下に置くとともに、将来、バチカンが台湾との間で維持する外交関係を解消させたい狙いがあるとみられます。
バチカン内では中国との暫定合意に批判的な声もあり、今後、どこまで関係が改善するのか注目されます。

警戒強める台湾

バチカンと中国が関係の改善に向かっていることについて台湾は、70年以上にわたって維持してきたバチカンとの外交関係が将来、解消される事態になるのではないかと警戒感を強めています。
このため台湾は、今月14日、バチカンで開かれる大規模な式典に蔡英文総統の特使としてカトリック教徒でもある陳建仁副総統を派遣し、関係のつなぎとめを図ることにしています。
中国は、蔡政権が「1つの中国」という考え方を受け入れていないと批判し、台湾と外交関係のある国々の切り崩しを図っています。
とくにことしに入って3か国が台湾との外交関係を断っていて、関係を維持している国は過去最も少ない17か国にまで減り、ヨーロッパではバチカンのみとなっています。>(以上)

10/3阿波羅新聞網<对圣座的侮辱 中共的胜利=教皇に対する侮辱 中共の勝利>バチカンが中国とサインしたことについて独メデイア(南ドイツ新聞)は「最大の侮辱」と評した。川の名前を変えるのと同じように考えた歴史的なこの合意は、独メデイアにとって宗教の自由に関心を寄せ続けさせる。「中国は国内ではイスラム教の影響を制限する仕組みを作り、国外ではバチカンに恥辱を与える合意を為した。寧夏ムスリム自治区の「艾依河=アイイ川」の名前を「典農川」と変えたのと同じ。北京は宗教の影響を減じることを益々システム的に行い、中共の幹部は川の名前までムスリム色が匂うという事で変えてしまった。アイイはマホメットの第三夫人のアーイシャを連想させるのとアイの発音が「愛」に繋がるのを嫌ったため。漢化宗教をうち出したのは習近平本人である」と報道。

オーストリアの「ニュース新聞」は「バチカンの為した中国との合意は教皇に対する侮辱である。何年にも亘り、力比べをしてきたが、これで中共の勝利となった。この合意は北京の指名したキリスト教愛国党の主教をバチカンが認めることになり、何らの報いもない。この理由は中国の教会の分裂を克服するため。でも世界のカソリック教会では聖職者の児童猥褻行為が問題になり、分裂の危機にある。信徒は心を痛めるばかりである。徹底して目を閉じ、中国の信徒や他の宗教が弾圧されているというのに、合意するとは。中国には第二のシンガポールになってほしい。今でも民主国家でないが、宗教の自由や少数民族を保護する国である。だが、この希望は打ち破られた。この合意は北京が原因でなく、バチカンの態度変更によるもので、迷妄なのはムソリーニ時代と同じである」と報道。

http://www.aboluowang.com/2018/1003/1183192.html

10/4阿波羅新聞網<特朗普发布讨伐中共檄文 彭斯全方位警告北京 还指明台湾民主为所有中国人展示更好道路 =トランプは中共討伐の檄文(国連での中共の中間選挙介入の件の発表)を発す ペンスはあらゆる方面で北京に警告 そして台湾の民主主義こそが中国人が進むべき道を示していると >ペンスは10/4ハドソン研究所で演説し、中共を非難した。航行の自由と、南米3ケ国の台湾断交は中共の差し金、また債務の罠を仕掛けていると。航行の自由作戦ではUSS Decatur駆逐艦が南沙諸島(Gaven Reef、Johnson Reef)の12海里内に入った時に、中国軍艦が接近、非常に危険な行為と非難。だが米国は国際法を守り、中国が何をしようが退くことはないと発言。

http://www.aboluowang.com/2018/1004/1184023.html

10/5阿波羅新聞網<教宗落泪迎「红色主教」引起强烈反弹 被批与魔鬼同流合污与狼共舞=教皇は涙を流して迎えた 2名の「桃色(アカに近い)主教」は強烈な反発を受ける 悪魔と同じく汚れ、狼と一緒に踊ると批判を受ける>

2018年10月3日、世界カソリック大会が開かれ、バチカン報道官のスパダロはツイッターに2名の中国の「桃色主教」を載せ、「中国の主教が参加するのは今回が初めて、場は共にできたことに喜んでいる」と。写真で二列目左が郭金才、二列目右から二人目が楊暁亭。

ある牧師が言うには、「中共のどこが教会にとって良いのか?キリスト教やカソリックを弾圧、教会解体だけでなく、十字架まで壊し、そこに国旗掲揚する。教皇は今の中国の状況を知るべきで、何故関係を作るためといってこんなことをするのか」と。

http://www.aboluowang.com/2018/1005/1184232.html

福島氏の言うバチカンが台湾と中国との国交を認める可能性は薄いと思います。「台湾は独立国家」という形となり、中共は絶対認めないでしょう。またフランシスコ法王は桃色ではなく赤色法王なのでは。中共派遣の主教を涙を流して迎えるくらいですから。金に転んだとしか言いようがない。ゴッドファーザーパートⅢと同じです。世界が中共に警戒心を持ち出し始めたこの時にです。

まあ、米中が覇権争いをし、米国が台湾を国家と認めれば西側諸国は右倣えするでしょう。日米は尖閣だけでなく、台湾を共同防衛すべきです。台湾軍上層部が国民党系(=中国人)でしめられているのが気になりますが。少なくとも韓国は防衛する価値はありません。

記事

「カトリック教」を意味する「天主教」の十字架。台北で2018年9月23日撮影(写真:AP/アフロ)

バチカンと中国が、カトリックの司教任命問題について9月22日に北京で行われた会談で暫定合意書に署名したというニュースが世界を駆け巡っている。司教任命権に関する合意の可能性は3月下旬にも報道され、その背景については拙コラム「中国、バチカンと交渉決裂?」で解説したとおり。結局、この時点から半年経って暫定合意にこぎつけた。

あくまで“暫定”であり、任命権のプロセスの問題や、また反共産党的な中国の地下教会に対しての対応も不明だ。私が気になるのは、バチカンと台湾の関係がどうなるか。以前の拙コラムでは、中国とバチカンの関係を主に取り上げたことがあるが、今回は台湾サイドからの見方を中心に考えたい。おりしも9月末、東京で「世界台湾同郷会連合会第45期年会」が開催されていた。台湾出身の評論家・文筆家の黄文雄さんから世界中の台湾人が集まるから、いろんな人の話を聞いてみるといい、と誘われたので私も行ってきて、バチカン問題に関する見方、そして台湾の未来に関する予測についていろいろ聞いてきた。「チャイナ・ゴシップス」のタイトルのコラムで台湾のことを取り上げると、中国の欄で台湾を取り上げるな、と怒る方もいるのだが、今回は大目に見ていただいて、台湾から見た、バチカン問題について紹介したい。

この世界台湾同郷連合会の特徴は、タイトルに台湾とあることからもわかるように、思想的にはアンチ国民党の台湾派の人が主流だ。そういう政治的カテゴリーとしてまとまっている台湾人の間だけでも、多様な見方が混在する。たとえば、米中貿易戦争が台湾に与える影響にしても、中国に進出した台湾企業が受けるマイナス影響を大きく見る人もいれば、逆に中国向けの投資が台湾に向かうプラス効果を期待する声もある。米中対立が世界の不安定化を招き、台湾がカードに扱われるということへの不安を言う人もいれば、米国が台湾との関係を強化しようとしていることが台湾にとって好機だととらえる人もいる。では、バチカン問題についてはどうだろうか。

まずバチカン問題について現在の状況を整理しておこう。

9月22日、北京でバチカン外務局次長および北京外交部次長レベルの会合で、司教の任命をめぐる暫定合意書に署名。この合意書の全文は今のところ公開されていない。だがその後のバチカン側の報道を総合すると、署名がすぐさま、バチカンと中国の国交樹立で台湾の国交断交につながるというわけではなく、あくまで司教任命権についての暫定合意という。司教任命プロセスについても、公式に解説されてはいないが、最終任命権はバチカンの法王にある、と言う点で合意に至りそうだ。はっきりしていることは中国が任命し、バチカンが認めてこなかった7人の司教を、バチカンが今回改めて認めるということ。この先例をもって、中国側が選んだ司教をバチカンが任命するというプロセスが合意の落としどころであるということを示したのではないか。この7人の司教は、バチカンに対して破門取り消しの陳情を行っていた。

だが、文革後最悪といわれる宗教弾圧が今現在起きている中国習近平政権が選んだ司教たちを、バチカンサイドが受け入れるということは、バチカンが中国の宗教弾圧について容認したことになるのではないか、という一部西側人権国家の懸念がある。中国の宗教政策において、「宗教の中国化」が打ち出されているのは以前に拙コラムで取り上げたとおり。中国側は宗教の教義に変化はない、というが、信仰の前提に愛国的であることを強くもとめている。「宗教の中国化」の解釈についてはいろいろ言われているが、多くの宗教学者は中国による宗教のコントロール強化を意味すると理解している。

中国、バチカンそれぞれの思惑

一方で、バチカンサイドにはそれなりの思惑もある。この暫定合意を梃に年末までに地下教会として迫害を受けている少なくとも十数人の司教たちを中国当局に認定させる交渉を水面下で続けているらしい。報道ベースでは、中国でカトリック信者は1200万人で、愛国派500万人とその他・地下教会に大きく分かれている。地下教会は、ローマ教皇には忠誠を尽くすが、共産党には反抗的とされ、RFI(フランス国際放送中国版)によれば、この地下教会の神職として迫害されている人物は40人前後はいる。

このうち2割は90歳以上の高齢で、健康上の問題からも、このまま迫害に耐え続けることが困難ではないかとも危ぶまれている。バチカンが中国との妥協に急ぐのは、彼らを一刻も早く救いたいからだという。最も、当の迫害を受けている地下教会の司教の一人、魏静怡(洗礼名ヨセフ)は「私は中国当局の認可など必要としていない。だが認可を得られれば、バチカンが中国との調和と安寧を得られる助けになるだろう」(RFI)と、比較的冷静な受け止め方だ。

ちなみにプロテスタント、その他新興宗派を含めれば中国でキリスト教系信者は6000万人から1億人に上ると推計されている。中国としては、バチカン側に譲歩しすぎると、共産党員よりも多いかもしれないキリスト教信者に対するコントロール力を失い、これが中国の歴史で何度も繰り返されてきた“農民起義”の動力になる可能性を心配している。この交渉は中国側も慎重だ。

中国、バチカンのそれぞれの思惑はあれど、これに翻弄されることになるのが、台湾である。

中国のバチカン接近の目的はバチカンに中国の存在感を認めさせ、国内カトリックへの共産党の指導とコントロール強化をバチカンに容認させることもあろうが、それ以上に、台湾を国際的に孤立させるという意味がかなり大きい。台湾が国交を結ぶ国は現在17カ国にまで減っている。習近平政権になってから台湾は5カ国の友好国を失ったのだ。とりわけ今年はドミニカ、ブルキナファソ、エルサルバドルと3カ国がドミノ式にチャイナマネーになびく形で台湾との国交を断った。残りの台湾友好国の中で唯一ヨーロッパ国家であり、国際的にも影響力の大きいバチカンがこの上、中国と国交を結び台湾と断交すれば、台湾の国際的立場は極めて脆弱になってしまう。

「第三の選択」の可能性

16世紀からローマ・カトリックの版図に組み入れられてきた台湾には17世紀から本格的に宣教が開始された。仏教や道教、土俗信仰が根強い台湾で、キリスト教は決して多数派の宗教にはならず、現在もプロテスタントを含めてもキリスト教信者は58万人ほどだが、1951年にバチカン公使が中国から追い出されて以降は、台北がバチカンの公館所在地であり、1966年に台北のバチカン(ローマ教皇庁)公使館は大使館に昇格した。1971年に中華民国が国連から脱退したのち、教皇庁大使は召還されるも撤収、いわゆるchargé dʼaffaires(代理⼤使、代理公使)によって事実上の国交を維持している。台湾の在バチカン公館は土地の狭さの関係でバチカン市国外に置かれているが、運営は正常におこなわれている。なぜ、台北においての大使名称が避けられたかは、やはり国際政治的理由があるが、すくなくとも中華圏のカトリック信者とバチカンをつなぐ窓口は台湾にあった。

さて、バチカンは果たして台湾と断交するのかしないのか。信者の数という点においては、中国との国交を結ぶ方がバチカンにとっては意味のあることだろう。

世界台湾同郷連合会年会に参加していた台湾人たちに、この質問をぶつけてみた。トロント、シアトル、ベルリン、東京そういった先進国の都市に暮らす台湾知識人たち10人前後から話を聞いたが、意外に答えは大きく三つほどにばらけた。「バチカンが台湾を放棄する流れには歯止めはかけられない。年内にはバチカン中国の国交が樹立し、台湾は断交されるだろう」「バチカンと中国との国交樹立はそう簡単ではない。台湾側もバチカンに働きかけているところだし、数年内に決着の出る問題ではない」。そして三つ目が「バチカンは中国と台湾の両方とも国交を維持する最初の国になるのではないか」というものだ。

答えとして興味深いのは三つ目だ。そう考える根拠を聞くと、バチカンは普通の国ではなく、国交といっても、経済・安全保障の問題にはほとんど関係ない、あくまで宗教分野の交流に限定される特殊な関係であり、普通の国交とは別格に考えていいだろう、ということだ。

バチカンの在外公館として現在台北に置かれているのがchargé d’affairesであれば、もし北京に大使館が置かれても、一国に二人の大使を派遣しているという矛盾はうまく言い訳できるのではないか。台湾としては何としても、バチカンとの絆を断たれるわけにはいかないから、そういう論法で、なんとかバチカンを説得したいのかもしれない。

バチカンでは10月、「世界宗教会議」が開催され、初めて中国から郭金才、楊暁亭両司教が参加することが発表されている。二人とも共産党統戦部が公認する愛国司教である。ちなみにバチカンは1998年と2005年も中国の司教をこの会議に招待していたが、中国は外国から宗教的干渉を受けないという理由で断っていた。この会議には台湾からも司教団が派遣されるので、おそらくこの場でも、バチカン、台湾、中国の関係について議論がなされるのではないか。

個人的な期待をいえば、私もバチカンに第三の選択、つまり中国と台湾のどちらかを選ぶ、ではなく両方とも“国交”を維持するという先例を作ってほしい。中国に経済的あるいは軍事的圧力を受けることのないバチカン市国という特殊な国であれば、そういう条件で中国と話しあえる可能性は残っているのではないか。ちなみに香港教区は、1952年の中国による宗教弾圧下で、教皇庁直轄統治となっており、1997年の香港の“中国返還”後も、特例としてその体制が続いている。台湾も特例扱いで従来どおりの体制を維持できるはず、という主張はあながち無茶でもない。

バチカンは突破口を開けるか

中国経済、チャイナマネーに大きく依存している国や、その軍事的脅威にさらされている国にとっては、中国からの圧力を無視して台湾を“国”扱いできない。だが、バチカンは、中国からの経済的、軍事的圧力の影響をほとんど受けることがない。バチカンの外交とは宗教外交であり、いわゆる経済や安全保障の利害を交渉する通常の外交ではないのだから、中国と台湾ともに在外公館があっても、その利害が相反することもなかろう。

今回のバチカンの中国への歩み寄りは、西側社会の一部ではバチカンの敗北と批判的に報道されていたりもする。バチカンの中国接近の目的は、第一に中国の司教任命権を少なくとも建前上でも取り戻すという政治権威上のもの。第二に迫害に苦しむ地下教会神職・信者の救済という人道的目的。第三に新たな宗教フロンティアとしての中国への取り組み。第一の目的では、今回は妥協点が見いだせたとしても第二の点は果たして習近平政権としてどこまで妥協できるか。かりにカトリック地下教会に対してだけ迫害を緩和しても、ウイグル・ムスリムやチベット仏教に対する迫害、あるいはその他の民族や宗教に対する迫害、差別が継続することを黙認してよいのか。

そもそも、博愛、平等を説く神の愛が、不平等で非人道的な中国の宗教政策に対して寛容であることは大いなる矛盾を生むのではないか。その上で、バチカンが台湾と断交すれば、バチカンの国際的評価は、バチカン自身が思う以上に下がるのではないか。たとえ14億人人口の中国という新たな布教フロンティアを獲得したとしても、中国共産党の指導を優先させた愛国カトリック信者を増やしても、決してバチカンの権威にプラスにはならないのではないか。

だがバチカンが、もし中台双方と正式な“国交”をもつ最初の国として存在できれば、それこそバチカンにしかできない突破口を開いたといえるはずだ。「一つの中国」というフィクションにこだわって、有権者によって選ばれた独自の政権と軍隊と通貨と憲法をもつ人口2300万人の台湾を国家と呼べない不自然さを是正するきっかけになるやもしれない。もしそういうことをバチカンがやれるならば、近年のセックススキャンダルで傷ついた権威と国際的影響力を回復できると思うのだが、どうだろう。

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『「北朝鮮の使い走り」と米国で見切られた文在寅 「金正恩は信頼できる」と詭弁を連発したあげくに……』(10/2日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

10/4看中国<韩国民调显示:威胁最大的竟然不是朝鲜(图)=韓国の世論調査は「最大の脅威は何と北朝鮮ではなく・・・・」と>ソウル大学の研究所の調査で、脅威の一位は、46.4%の人が答えた中国政府。サード問題での経済報復がマイナスイメージとなった。北朝鮮は32.8%。最も緊密な関係の国はとの問いに3.7%の人しか中国を挙げていない。また、2017年の調査では63.7%の人が北を脅威としていたのが様変わりした。

日本が入っていませんが、高いのでは。朝鮮半島人は朝鮮半島から出ず自給自足経済で生きれば良いでしょう。少なくとも日本と交流はしないでほしい。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/04/872616.html

10/5ZAKZAK<韓国「旭日旗」禁止法案提出にネットも騒然 社旗が似ている朝日新聞、ソウル支局では掲揚せず!?>朝日新聞は敵の手先の新聞です。「南京」も「慰安婦」も彼らの手に依る創作です。こんな誠実さと程遠い新聞を読んでいる人の気が知れません。日本人はもう気付いても良いのでは。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/181005/soc1810050008-n1.html

10/4ZAKZAK<日本は観艦式「参加拒否」を通告せよ 「旭日旗=戦犯旗」に笑いが止まらぬ韓国の“反日屋”たち>今までの日本の対応が韓国人を増長させたのです。自衛隊も韓国海軍何て信頼するに足りないことは分かっていた筈です。観艦式には参加拒否すれば良い。米軍も国際ルールを無視するやり方では不参加となるかも、というか米軍も不参加にするか、米軍を動かし韓国海軍を黙らせるかしたらどうか?何もしないのでは舐められるだけ。敵の韓国はあらゆる機会を見つけて世界で日本を貶めようとしているのですから。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/181004/soc1810040001-n1.html

10/7ポンペオが金正恩と会うようですが、どうなることやら。米国は北の非核化ができないのであれば、日本の核武装も認めるべきです。憲法問題は生じませんので。敵(中国・朝鮮半島)の手先である左翼が騒ごうが関係ありません。日本の歴史を永続させたいなら無視するに限ります。後から振り返ってみて良かったと歴史に刻まれる筈です。しかし、大衆の無関心というか、洗脳されたままの心のありようでは、北の核問題だけでなく、日本は何度も危機に直面するでしょう。滅びることになるかもしれません。子々孫々のために、もっと真剣に国の安全保障について考えませんと。

鈴置氏は、朝鮮半島は南北統一して核保有国となり、中国の束縛から逃れようと考えているのではと。韓国は核を入手次第、日本に投下するかもしれません。不断から言っていることですので。何せキチガイ民族ですから、合理的判断ができません。中国同様恐ろしい国です。米国は韓国を切り捨て北にくっつけるとしたら、北の核の代わりに米国の傘を北に差しだすつもりでしょうか?或は中・短距離核ミサイルの保有を認めることになるのでしょうか?

10/4朝日新聞<アーミテージ氏ら、日米同盟に提言 基地の共同使用など>アーミテージもナイも日本抑え込み派だったのに宗旨替えしたようです。でも今回ここに書かれていることは当り前のことばかり。日本の自主防衛に賛成ですが、単独で中国と戦争は出来ません。中国を封じ込めるには米国の手を借りませんと。共同で訓練をすれば中国も侵略の矛先が鈍るでしょう。

http://www.asyura2.com/18/senkyo251/msg/703.html

在日米軍基地は米軍が守るべき存在です。日本に米軍基地がある以上、敵はそう簡単に手出しはできないはずです。ですから中国は沖縄から米軍基地を追い出すため、まず沖縄を独立させ、基地をなくし、然る後沖縄併呑するつもりです。沖縄県民には中共と日本の左翼の意図が見えないらしい。

記事

9月27日、国連総会で演説し北朝鮮の非核化への意思は本物と強調する文在寅大統領(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

米メディアが文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「金正恩(キム・ジョンウン)の首席報道官」と報じた。訪米中に北朝鮮の核武装を擁護する詭弁を繰り返したため「北の使い走り」と見切られたのだ。

金正恩を称賛する報道官

鈴置:9月下旬に文在寅大統領がニューヨークを訪問、トランプ(Donald Trump)大統領と会談したほか、国連総会で演説しました。さらにテレビの取材や、外交専門家の会合で質問に答えました。

今回の訪米は9月18―20日に開いた平壌での南北首脳会談の結果を踏まえ、米国と北朝鮮の間を取り持つのが狙いでした。でも、完全な裏目に出ました。米国での質疑応答のたびに「文在寅は金正恩の代弁人だ」との印象を深めてしまったのです。

ブルームバーグ(Bloomberg)は「文在寅は金正恩の首席報道官」との見出しで報じました。「South Korean’s Moon Becomes Kim Jong Un’s Top Spokesman at UN」(9月26日=JST)です。以下のように書き出しています。

・While Kim Jong Un isn’t attending the United Nations General Assembly in New York this week, he had what amounted to a de facto spokesman singing his praises: South Korean President Moon Jae-in.

金正恩は国連総会に出席しなかったが、彼を称賛する事実上のスポークスマンを得た。韓国の文在寅大統領である――と言い切ったのです。

テレビで見れば誠実さが分かる

ブルームバーグが指摘したのは、米外交問題評議会(CFR)などが9月25日に主催した「文在寅氏との対話」での大統領の発言です。その1つが以下です。

・So the Chairman Kim that I experienced, as you may have the same views as well, he is young, but he is also candid, and he respects elders.
・I believe that Chairman Kim is very much prepared to abandon his nuclear program in exchange for economic development.

文在寅大統領は「金正恩委員長は若いが率直で先輩を立てる人だ。(だから、彼は発言通りに)経済発展のために核を放棄する」と言ったのです。思わずうなる発言です。

これまで、北朝鮮は非核化で嘘をつき続けてきた(「非核化の約束を5度も破った北朝鮮」参照)。金正恩委員長を信じる人はあまりいないでしょう。

それは文在寅大統領もよく分かっている。そこで「文在寅氏との対話」の席でさらに弁解しました。引用します。

・And also, we made a point of making efforts to broadcast live all these dialogue and the summits through live TV so that the footage of me meeting Chairman Kim could be seen by the whole world, so that the people can decide for themselves what kind of personality Chairman Kim is.

(平壌共同声明の発表など)すべての首脳会談の状況を世界に向けテレビで生中継した。それを見れば金委員長が信頼できる人と分かるはずだ――と言ったのです。何ともはや、子供だましの説明です。

ブルームバーグはこの発言を記事の「落ち」として使いました。この詭弁を見れば「首席報道官」と揶揄するのも当たり前でしょ、と最後に念押ししたのです。

  • 非核化の約束を5度も破った北朝鮮
▼1度目=韓国との約束▼
・1991年12月31日 南北非核化共同宣言に合意。南北朝鮮は核兵器の製造・保有・使用の禁止,核燃料再処理施設・ウラン濃縮施設の非保有、非核化を検証するための相互査察を約束
→・1993年3月12日 北朝鮮、核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言
▼2度目=米国との約束▼
・1994年10月21日 米朝枠組み合意。北朝鮮は原子炉の稼働と新設を中断し、NPTに残留すると約束。見返りは年間50万トンの重油供給と、軽水炉型原子炉2基の供与
→・2002年10月4日 ウラニウム濃縮疑惑を追及した米国に対し、北朝鮮は「我々には核開発の資格がある」と発言
→・2003年1月10日 NPTからの脱退を再度宣言
▼3度目=6カ国協議での約束▼
・2005年9月19日 6カ国協議が初の共同声明。北朝鮮は非核化、NPTと国際原子力機関(IAEA)の保証措置への早期復帰を約束。見返りは米国が朝鮮半島に核を持たず、北朝鮮を攻撃しないとの確認
→・2006年10月9日 北朝鮮、1回目の核実験実施
▼4度目=6カ国協議での約束▼
・2007年2月13日 6カ国協議、共同声明採択。北朝鮮は60日以内に核施設の停止・封印を実施しIAEAの査察を受け入れたうえ、施設を無力化すると約束。見返りは重油の供給や、米国や日本の国交正常化協議開始
・2008年6月26日 米国、北朝鮮のテロ支援国家の指定解除を決定
・2008年6月27日 北朝鮮、寧辺の原子炉の冷却塔を爆破
→・2009年4月14日 北朝鮮、核兵器開発の再開と6カ国協議からの離脱を宣言
→・2009年5月25日 北朝鮮、2回目の核実験
▼5度目=米国との約束▼
・2012年2月29日 米朝が核凍結で合意。北朝鮮は核とICBMの実験、ウラン濃縮の一時停止、IAEAの査察受け入れを約束。見返りは米国による食糧援助
→・2012年4月13日 北朝鮮、人工衛星打ち上げと称し長距離弾道弾を試射
→・2013年2月12日 北朝鮮、3回目の核実験

慰安婦合意でも背信

韓国政府はこんな子供だましが通ると考えているのですか?

鈴置:韓国では、大声で強く言った者が勝ちなのです。事実や常識は関係ありません。

9月25日、ニューヨークで日韓首脳会談が開かれました。安倍晋三首相に文在寅大統領は、日韓慰安婦合意に基づき韓国政府が設置した従軍慰安婦関連の財団を解散するかもしれないと通告しました(日経「慰安婦問題、宙に浮く日本の拠出金」=9月27日=参照)。

慰安婦合意を破棄する手掛かりとしたいのです。ただ、破棄と言えば外交上問題化する。そこで大統領は首相に「合意の破棄や再交渉は求めない」とも語りました。

しかし、文在寅大統領は9月27日、国連総会で演説する中で日本軍の従軍慰安婦問題にも言及しました(文大統領『終戦宣言に期待』=9月27日=」参照)。

「我が国は『日本軍の慰安婦』被害を直接体験しました」と語ったのです。演説全文(韓国語)は聯合ニュースで読めます。

慰安婦合意は「最終的で不可逆的な合意」と規定したうえ「今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える」と明確に約束しているのです。

韓国政府は「言及しただけ」と言い逃れるつもりでしょうが、「女性に対する全ての差別と暴力にさらに断固として対応しています」とその前段で述べていますので、非難したも同然です。

文在寅大統領は2日後に破ることが分かっていることでも、堂々と“約束”したのです。そんな人が「金正恩氏を信じて欲しい」と言ったのですから、ますます信用できません。

「挑発はもうない」と断言

—文在寅発言を信じる専門家はいないでしょうね。

鈴置:もちろんです。ブルームバーグだけではありません。「文在寅氏との対話」の司会者――CFRのハース(Richard Haass)会長は、大統領の発言を頭から疑ってかかっています。

ハース会長の質問は「韓国に向けた核・通常兵器での脅威を北朝鮮が削減すると考えているのか」「北朝鮮が言っていることを万が一にも実行した場合は、政策の根本的な変化になるが……」「本日、大統領が米国人に語った米韓同盟に関する説明は懐疑的に受け止められている――私もその1人なのだが……」などでした。

北朝鮮だけではなく韓国の大統領も信じていないことを露わにしたのです。それも当然で詭弁は「金委員長はいい人だ」だけではなかったのです。例えば以下の発言です。

・North Korea also promised to permanently dismantle the missile engine test site, as well as the launch platform, under inspection from American experts.
・So if these measures are taken and implemented, I believe that this means that North Korea will no longer be able to engage in nuclear and missile provocations that threaten the United States and the international community.

9月19日の平壌共同宣言で、北朝鮮は「東倉里(トンチャンリ)のミサイルエンジン試験場と発射台の廃棄」と「米国が相応の措置を取れば」との条件付きで「寧辺(ニョンビョン)の核実験場の廃棄」を約束しました。

大統領はこれを根拠に「米国と国際社会を脅かす核とミサイルの挑発はもはやない」と断じたのです。全く実態とかけ離れた主張です。

エンジンの実験はどこでも可能です。発射台の廃棄にも意味はありません。北朝鮮は移動式の発射台を多数導入済みです。

場所も判明している東倉里の固定式の発射台は米国の偵察衛星の監視対象で、実用的な代物ではない。核弾頭にしても、北朝鮮は寧辺以外にも製造拠点を持っている。

米韓に亀裂が走る

—もう1度聞きます。文在寅政権はこんな子供だましが通ると考えているのですか?

鈴置:今度は別の角度から答えます。「すぐに露見する嘘でも、つくしかなかった」のでしょう。米国の外交関係者はどうせ文在寅大統領を「北朝鮮の使い走り」と見切っている。

でも、トランプ大統領は11月6日の中間選挙を控え、米朝対話が成功したことにしたい。それなら、トランプ大統領だけは嘘に付き合ってくれるかもしれない――と南北は計算しているのでしょう。

もちろん中間選挙の結果次第では、トランプ大統領も大嘘に怒り出すかもしれません。でも、南北朝鮮が北の開発した民族の核を温存するにはこの手――大嘘をつき続けるしかないのです。

—米国に見切られたことを韓国政府は分かっているのでしょうか。

鈴置:分かっていなければ無能の極みです。大統領の訪米以前から、米メディアは「米国を裏切ると承知しないぞ」と警告を発していました。

例えばワシントン・ポスト(WP)。9月22日の社説「Trump sees ‘tremendous progress’ on the Koreas where none exists」は平壌での南北首脳会談を取り上げました。

「米国の最も重要な事項――北朝鮮の核弾頭と米国を打撃する大陸間弾道弾との廃棄に関し、何の実質的な進展をもたらさなかった」と酷評したのです。

さらに「金正恩体制が意味ある行動に出たわけでもないのに米国に大きな譲歩を迫るハト派の文在寅政権と、トランプ政権の間に亀裂をもたらすかもしれない」と韓国に警告したのです。

・But it offered no real progress in the matter of most import to the United States: the dismantlement of North Korea’s arsenal of nuclear weapons and intercontinental missiles capable of striking the United States.
・Instead, it appeared to raise the risk of a breach between the Trump administration and the dovish South Korean government of Moon Jae-in, which is pushing for significant U.S. concessions even without meaningful action by the Kim Jong Un regime.

文在寅委員長?

—「米国に譲歩を迫る」文在寅政権はすっかり挙動不審者扱いされているのですね。

鈴置:北朝鮮の経済制裁破りを幇助するなど、韓国のやり口が露骨になっているからです。WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は9月13日「North Korean Coal Slipped Into South Despite Warning From U.S.」を掲載しました。

見出しを見れば分かりますが「北朝鮮の制裁破りの石炭輸出を韓国企業が助けていると米政府が韓国政府に警告していたのに、韓国はそれを無視した」という内容です。米政府がこの話をWSJにリークすること自体が韓国に対する警告です。

そうそう、国務省のナウアート(Heather Nauert)報道官が文在寅大統領を「文委員長」と呼び間違える事件も発生しました。9月20日のブリーフィング(動画付き)の開始11分8秒後からです。

ナウアート報道官は「疲れているので」と弁解しましたが、「委員長」(chairman)という肩書は社会主義国のトップに使います。「文在寅=金正恩」とのイメージが頭にこびりついているのかもしれません。

文在寅大統領の訪米以前から、米国では韓国を「北朝鮮側」と見なす空気が広まっていた。そこにのこのこやってきて強弁・詭弁を繰り返したので炎上した構図です。

保守系紙の朝鮮日報は「そら見たことか」とのノリで文在寅政権を批判しました。社説「外国メディア『文大統領が金正恩の首席報道官になった』」(9月28日、韓国語版)です。ブルームバーグの報道も引用しています。ポイントは以下です。

・文大統領は米朝間で北朝鮮の核廃棄を仲介する役割から、北側の立場を説明する場合もあり得る。(中略)だが、それも過ぎれば信頼を失う。その時は仲介の役割も難しくなる。

取り消し可能な終戦宣言

—微温的ですね。

鈴置:朝鮮日報も「文在寅政権は北の核武装を幇助している」とまで書く覚悟はない。そこで「仲介役だから仕方ない部分もあるが」と筆先が鈍ってしまうのです。

でも、他の保守系紙が大統領の発言に何の批判もしないのと比べれば、必死の抵抗を続けています。

朝鮮日報のユ・ヨンウォン軍事専門記者も9月28日に「文大統領は『北が東倉里を閉鎖すれば核ミサイルは撃てない』と言うのだが」(韓国語版)を書き「東倉里や寧辺をいくら閉鎖しても非核化には何の関係もない」と説明しました。

朝鮮日報は9月27日にも社説で、南北朝鮮が声をそろえて主張する「終戦宣言」についても批判しています。「終戦宣言、やって見てダメならやめればいいと言うが」(韓国語版)です。

文在寅大統領が米国でFOXのインタビューを受けました。その中で「終戦宣言を出して見て、問題が起こればやめればいい」と語りました。聯合ニュースの「Moon says N. Korean leader will keep denuclearization promise」(9月26日、英語版)から引用します。

・A declaration of end of war can be called off at any time because it is a political declaration.

文在寅大統領はしきりに「終戦宣言は政治的な宣言に過ぎない。米韓同盟や在韓国連軍の地位には影響しない」と説明します。朝鮮日報はこの社説で「単なる政治宣言でいつでも取り消せるものなら、なぜそんなに早期の実現にこだわるのか」と突っ込んだのです。

筆先が鈍る保守系紙

—米国での文在寅大統領の説明は突っ込みどころ満載だったのですね。

鈴置:ただ、朝鮮日報以外のメディアは保守系紙を含め、突っ込んでいません。

—なぜでしょうか?

鈴置:理由は2つあると思います。この問題を掘り下げて行くと結局「文在寅政権が北の核武装を幇助している」と指摘せざるを得なくなる。政権との全面戦争になるのは避けられません。

先ほど見たように、最も厳しい朝鮮日報さえも「仲介役をしている」との政府の上に乗る形での批判に留めている。

朝鮮日報のシニアの記者が「北朝鮮の核を民族の核として活用したいと左派は考えている」と書いたことがあります(「北朝鮮の核武装を望む韓国」参照)。

この際も「万が一にも青瓦台(大統領府)の補佐陣までがこんな夢を見ているとすると危険である」と逃げを打った書き方をしました。

「現政権が民族の核を望んでいる」とはっきりと指摘すれば、「どこに証拠があるのか」と言論弾圧の材料にされかねないからでしょう。

「民族の和解」を謳歌

もう1つの理由は、韓国人の多くが政権の宣伝に乗って「非核化よりも民族の和解が重要だ」と考え始めたからです。

平壌市民の前での韓国大統領の演説や、南北首脳の白頭山登山――。今回の南北首脳会談では数々の和解ショーが繰り広げられました。それらを素材に韓国のテレビや左派系紙は「新たな和解の歴史が始まった」と盛り上げたのです。

左派系紙、ハンギョレは南北の政権の意向に極めて忠実でした。社説「15万の平壌市民の前で非核化を説いた文大統領」(9月21日、日本語版)は以下のように書きだしました。

・北朝鮮訪問の最終日、文在寅大統領と金正恩・国務委員長が一緒に白頭山に登った。(中略)南北首脳が民族の精気が宿る白頭山頂に共に登ったのは、南北和解の歴史を画したものというに値する。

世論調査会社、リアルメーターによると、9月20日の時点で71.6%の韓国人が平壌首脳会談を肯定的にとらえました。半面、否定的に見たのは22.1%に留まりました。

そもそも韓国には「米国は大陸の一角である韓国に軍を置きたがっている。そのために我が民族を分裂させ、対立させているのだ」との発想が広まっています。

今、「文在寅大統領は北朝鮮の使い走りだ」などと書けば、読者から「民族の和解を望まないのか」「お前こそ米国の使い走りだ」と反発を食らいかねない。

朝鮮日報も米国メディアが「首席報道官」と書いたから、ようやくそれを引用する形で「使い走り」を指摘できた感じです。

トランプは満足するのか

—韓国を使って核武装を狙う北朝鮮に対し、米国はどう出るのでしょうか。

鈴置:トランプ政権は11月の中間選挙後に2回目の米朝首脳会談を開く方針のようです。ただ、その結果がどうなるかは予測困難です。

トランプ大統領がどの程度の「非核化」で満足するか、誰にも分からないからです。金正恩委員長が提示するであろう実のない「非核化」で満足するのか、あるいは逆に怒り出すのか――。それはトランプ大統領自身も決めかねているのかもしれません。

ただ1つ、はっきりしていることがあります。南北朝鮮が手を組んで「民族の核」を温存しようとしていることです。細かなファクトを観察するに、それがどんどん明確になってきました。

—では、それは次回に。

(次回に続く)

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