『中国・女子受験生の「セクハラ自殺」の余波 相次ぐ学校現場での被害、セクハラ立法を求める声も』(7/4日経ビジネスオンライン 福島香織)、『多発する飛び降り自殺と煽る野次馬たち 発端はセクハラを苦に飛び降りた19歳の女性』(7/6日経ビジネスオンライン 北村豊)について

7/6news vision 渡邉哲也<人民元相場の急落は新たな通貨危機への危険サインか?米中貿易戦争は「金融ステージ」に突入する>今度の米中貿易戦争で、中国の外貨準備が減って行き、通貨危機が訪れるとのこと。通貨スワップを中国から頼まれても日本は受けるべきではありません。米中の世界覇権を巡る争いなので、どちらに与した方が良いかは明らかでしょう。また、「人民元を完全に自由化し、為替介入をせず、人民元を温存するという方法があるが、この場合、人民元は暴落し、外貨建て債務を持つ企業などの破綻と輸入品の高騰によるインフレと国内の混乱が待っているだろう。しかし、国が破たんするよりはその方が痛みは少ないのだと思う。米中貿易戦争、次のステージは金融戦争であり、これは米国が圧倒的に有利な戦いであるといえる。」とあります。是非共産中国を打倒してほしい。

https://news-vision.jp/article/188534/?page=1

7/7宮崎正弘氏メルマガ<かくて「米中百年戦争」が開始された 関税による貿易戦争は五十年つづく、経済史未曾有の大戦になる>中国が共産主義のままで世界の覇権を握るところは見たくありません。勿論50年後であれば生きてはいませんが、子や孫が非人間的なシステムの中で生きることを考えると耐えられません。

http://melma.com/backnumber_45206_6705713/

本日の2つの記事は同じ中国人自殺者のことを扱っています。中国人の自殺は飛び降り自殺が多いですが冥界へ行ったときにご利益があると考えてのこと?鴻海精密工業の中国製造子会社“富士康=フォックスコン”でも工員の飛び降り自殺が相次ぎ、郭台銘が対応を迫られました。

中国では女性の人権を言う前に、人権そのものが擁護されていない社会ですから、そこを追及するのが先なのでは。官憲による貧者への甚振りは日常茶飯事です。本ブログでもfacebook投稿記事で何度も紹介してきました。“権銭交易”が“権色交易”に及び、立場の上の人間が、下の人間を虐めるか、言いなりにさせることが可能だと思いこんでいるのでしょう。賄賂と同じく中国社会の病弊です。

「中華民族は同情心が豊富な民族であったはずだが、一体全体これはどうしたことか」と言っていますが、歴史を見れば中国人が情に厚いとは思えません。曹操が董卓の暗殺計画に失敗し、逃げるときに助けてくれた一家を惨殺(呂伯奢一家殺害事件)したり、蒋介石の「黄河花園口決壊事件」をみればそんなことはないだろうと思います。野次馬が“围绕、旁观=取り囲んで傍観する”のは中国では当り前のことです。心無い言葉を発するのも自己中心だからでしょう。自分だけ良ければというのが中国人の遺伝子に組み込まれているという事です。こういう民族とサッカーワールドカップで試合終了後清掃して帰る日本人とを比べたときに、我々の祖先が「南京虐殺」や「強制連行・慰安婦」等の行為を行い得ると思いますか?中共や北のプロパガンダです。それを今でも信じる日本人は、自分の生き方が中国人や朝鮮半島人のように自己中心なんだろうと思います。両方の事件とも彼らは捏造はしていますが、事実で立証できていないのです。我々の祖先を信ぜず、裏切りが常道の彼らの言を信じるとは愚かにも程があるでしょう。

福島記事

自殺した女子は「担任教師からひどいセクハラを受けた」と訴えていた。

 日本ではセクハラ事件の暴露が相次いでいるが、中国ではどうだろう。最近中国では、セクハラをきっかけに19歳の女子受験生が自殺した事件が、あまりにもショッキングで、セクハラが常態化している中国でも、反セクハラ立法の声があがっている。

 19歳の甘粛省慶陽市の女子受験生は担任教師にセクハラを受け、抗議の自殺を6月20日午後3時ごろ、衆人環視の中で行った。この様子はなんとインターネット上でも中継され、中国社会にさまざまな世論を巻き起こした。

 まず犠牲者の女子受験生が、担任教師からひどいセクハラを受けていたということで、セクハラに鈍感な中国でも反セクハラ立法が必要ではないか、という声が起きた。この事件の中でもう一つ、ニュースとなったのは、彼女が百貨店ビルの8階の外壁の出っ張りに座って、スマホをいじっていた時、やじうまから「早くやれ!」「どうせ、死ぬ気などないんだろう!」といった自殺を促すようなヤジがとび、手拍子が起きたということだった。

 この手拍子に押されるように女子受験生が飛び降りたとき、ちょうど消防士が彼女を救出しようと、外壁を上っている途中であった。消防士は飛び降りる彼女の手をとっさに握ろうとしたが、間に合わず彼女は落ちてしまった。消防士が悲痛な叫びを上げる一方で、ビルの下に群がるやじうまたちからは哄笑が起きたという。この様子はインターネットで流された。

 警察当局の会見や中国メディアの情報を総合すると、女子受験生は高校のクラス担任教師から、耳たぶをかまれ、衣服をやぶられるなどのセクハラを日常的に受けていた可能性がある。「可能性がある」とぼかしたのは、担任教師が証拠不十分で不起訴処分になったからだ。だが全寮制が多く、受験競争の厳しい中国の学校での教師によるセクハラは非常に多いことは、すでに中国社会で大きな問題として指摘されている。

 女子受験生と彼女の父親が警察に届けた訴えによれば、2016年9月5日、授業中に胃痛になった彼女は授業を途中で退席し宿舎で休んでいたが、その夜、担任教師が見舞いと称して宿舎内で寝ている彼女のところに訪れ、額や口にキスするなどの猥褻行為をしたのが、セクハラの始まりだという。この後、うつ病と診断された彼女は同年10月、12月に抗うつ剤の大量摂取による自殺を図るも未遂に終わった。2017年2月、彼女は父親に連れられて、警察に行き、教師の猥褻行為を訴えたが、地元公安当局は、証拠不十分とし、教師の行動と彼女のうつ病は因果関係なし、という判断を下した。

父親はこれに納得できなかったが同年5月、検察院は教師に対しては犯罪の要素がないと不起訴処分を決定、学校における教員業務を怠けたとして、10日間の行政拘留処分に処した。この判決に絶望した彼女は、2017年5月24日にも学校の5階から飛び降り自殺しようとしたが、このときは消防士による3時間の説得後に救出されていた。だが、今年1月、再び大量の抗うつ剤を飲んで自殺未遂をおかし、今回5度目で帰らぬ人となった。

 ネット上では、この女子受験生に対する同情の声が集まった。また、司法機関の処理が問題であったという指摘が相次ぎ、中国でも反セクハラ立法を提出すべきだ、という声があがった。中国における“セクハラ”に関する法律は、「婦女権益保障法」の第40条で、婦女に対するセクハラを禁止する、と規定されている。また刑法237条では、強制わいせつ罪、侮辱罪で暴力、脅迫をもって他者に猥褻行為を強要する(しかし、実際はその対価である賃金アップや優遇条件を踏み倒す)、あるいは婦女を侮辱する犯罪に対して刑事罰を規定している。ただ、こうした法律では、明確にセクハラとはなにか、が規定されていないので、権力の上下関係や、微妙な人間関係のなかで、明確にNOといえずに生じてしまう、性的関係については、たいてい証拠不十分、となってしまうのだった。

 香港メディアのラジオフリーアジアが北京航空航天大学法学院副教授の田飛竜の文章を引用して、中国のおけるセクハラ関連法の欠陥を指摘している。まず、法的責任自体が軽い。立件できたとしても軽微な治安管理処罰か行政責任を問うぐらいであり、民事責任も謝罪と損害賠償程度しか問われない。また、密室で行われるセクハラでは証拠固めが難しい。さらに学校や党の機関など外部の独立機関の介入が行われにくい現場で起こりやすい。

 さらに言えば、伝統的男尊女卑感覚が根強い中国社会ではまだ真の意味での女性の人権に対する尊重の共通認識が形成されていないことも背景にあるという。

相次ぐ女子学生のセクハラ被害報道

 この甘粛女子受験生自殺事件に前後して、大学や学校現場で女子学生が被害に遭うセクハラ事件がいくつか報道されている。山東省の臨沂大学の教授が長期にわたって複数の女子学生にセクハラし続け、6月に事件が明るみに出た。ある女子学生は、卒論指導を受けていた教授から、骨折して生活に不自由しているので買い物などを頼まれてほしい、とのメッセージを受けた。女子学生が家に行くと、卑猥な言動とともに肉体関係を迫られたという。すでに卒業した女子学生は教授からのメッセージ記録とともに学校に調査を申し出たところ、それが認められて、この教授に対する調査を大学側が実施、他にも複数の被害者女子学生が名乗り出ていた。教授は「教師としての道徳性に問題あり」として解任されたという。

 また人民大学の文学部副教授が突然解任されたのも学内調査でセクハラ行為が明らかになったからだという。この副教授は女子学生の論文指導を行って信頼を獲得した後、突然“獣性”を発揮して、女子学生をもてあそんだという。人民大学では経済学部教授がセクハラ常習犯で、たまたま南京大学から来ていた客員講師の博士がこれに気づき、告発。客員講師が来ていた期間中だけでも7人の女子学生がセクハラ被害を訴えていたという。人民大学ではもう一人、今年春にセクハラ問題が暴露され解雇された教授がいる。

公式に報道されていない、ネット上のセクハラ告発は枚挙にいとまがない。起訴されない以上、事実が確認できないのだが、5月11日、北京城市学院の女子学生が、その学院に教えにきていた清華大学の教授に暴行された、とか、1999年卒業の女子学生が自殺したのは北京大学有名教授にセクハラを受けたためだという告発が今年4月に実名でネットにあがったり、北京航空航天大学の教授が10年にわたって7人の女子学生にセクハラを続けてきたという訴えが、今年になって実名でネット上で告発されたりしている。いずれも具体名が挙げられており、告発者も名乗っているので、国際社会で起きているMeToo運動の影響を受けての動きだと思われる。

 さてMeToo運動は、米国のハリウッドから起きた動きである。それまでのハリウッドでは、監督やプロデューサーの大物が女優に“枕営業“を要求することが、おそらく常態化していたのだが、その女優達が高い地位を得て発言力を持った今、後進の女優達が同じ目に遭わないように、昔の件を告発しはじめた。そうすると、私も、私も、と女性たちが同じ経験をしていたことを訴えはじめた。この運動が米国で広がり始めたとき、では中国ではどうなのか、という議論が知識人たちの間で巻き起こった。

 実は、中国では司法記録上は、女性のセクハラ案件はまだまだ少ない。中国でセクハラに相当する性騒擾という言葉が登場したのは1988年だが、それから2013年3月までの間、セクハラ問題に関する研究論文はわずか1095編で、その中でも事例はほとんど挙げられていなかったということが、中国ネットメディア「観察者」(2018年1月17日)で言及されている。この記事は、人民大学社会人口学院の副教授と社会学部教授による2013年に発表された共同論文がもとになっているが、結論からいえば、21世紀に中国でセクハラを訴える人たちは、セクハラの概念が欧米と違い、公民権侵害と男尊女卑と“性はすなわち醜いもの”という三者の折り重なった概念の中で停滞しているということ、米国文化と中国文化は違うので、米国のセクハラの定義が正確かどうかはさておき、中国の実際生活には適用できない、という話であった。

 セクハラというのは、権力(パワー)、社会的性差(ジェンダー)、性(セクシュアリティ)の三者の関係の中で起きるのだが、中国の伝統社会では、権力、性差、性の三者の関係は根本的に違う。権力は性差を凌駕し、性差は性を凌駕する。このため、セクハラがおきても、それが性蔑視によるハラスメントとみなされない、ということらしい。

パワーを持たない男性も性的搾取の対象に

 私の中国での生活を振り返れば、確かに中国社会のセクハラ状況はひどいが、それは女性であるが故にセクハラを受けているのではなく、弱者であるから性的に搾取されるのだ。だが権力(パワー)さえもてば、ジェンダーもセクシュアリティも関係ない。逆にいえば、パワーがなければ、男でも性的に搾取され蹂躙される。先の論文では、実は同性間のセクハラについてもかなり触れられている。

 フォーブス中国版では最近「中国女性はセクハラをよくわかっていない」という指摘が行われていた。とある女性弁護士が過去12年の中国の海外進出企業におけるセクハラ調査をおこなったところ、セクハラが常態化しているところが多く、仕事場におけるセクハラは普遍的に存在し、従業員は雇用者に対してセクハラを告発しないのも普通であるという結果をまとめていた。理由としてはもちろん、セクハラに対する教育が欧米よりも相当遅れていること、中国にセクハラを取り締まる法的根拠が(2005年の婦女権益保障法の改正まで)欠如していることなどが挙げられているが、根本的に中国女性自身がセクハラをよくわかっていない、に尽きるということだ。

私が観察するところをいえば、中国で問題視されるべきセクハラの本質は、性搾取だと思う。その主な被害者は、出稼ぎ農民のアーイーと呼ばれるお手伝いさんやレストランやホテルの下働きといった底辺の労働者だ。雇い主から重労働を軽減してやる代わりに、あるいは賃金を上げてやる代わりに性的関係を強要するという例は私も耳にタコができるほど聞いた。こうした雇い主からの性搾取をきっかけに、きっちり対価をとれるプロ売春に転職する女性も多かったし、同じ性搾取されるなら、高く売りたいと、日本人駐在員や出張者がよく行く高級店を紹介してほしい、と相談されたこともあった。そもそも、一部農村では、未だに娘を人身売買ブローカーに売る親もいるのだから、これはセクハラというよりは基本的人権、生存権の問題といえる。

弱者、敗者に厳しい中国社会を反映

 社会格差の激しい中国では、パワー(権力や金、腕っぷし)がない人間は搾取され虐げられて当然という価値観がもともとある。生まれながら人間は平等であるとか、法の下の平等とかの概念がない。だから、何が何でも権力や金にたどりつかねばならず、その方法として、少なからぬ子供たちは激しい受験競争にさらされる。だが、この受験、競争社会を乗り越える過程でも、さまざまな搾取が弱者の子供たちに対して行われている、というのが、今回の女子受験生の自殺事件で見えてくることかもしれない。

 甘粛の自殺した女子受験生は、セクハラが直接の原因でうつ病になったのか、あるいは受験のプレッシャーなのか、亡くなった今となってはわからない。彼女が自殺した瞬間、下で見守っていたやじうまから哄笑が起きた、という事実は、弱者、敗者に対して徹底的に厳しい中国社会を如実に表している(こうしたやじうまたちの数人は、のちに逮捕されている)。

 こんな中国も、世界のジェンダーギャップ指数(世界男女平等ランキング、世界経済フォーラム発表)によれば、日本より上である。当初はおかしいと思っていたが、中国のセクハラや性搾取問題が、ジェンダーやセクシュアリティの問題でもなく、純粋に権力による搾取と人間の不平等の問題であることに気づけば、納得した。ならば、たとえ反セクハラ法ができても、法の下の平等がない中国でどれほど機能するだろうか。

 さて、日本では「セクハラという罪」はないのだが、これからセクハラ罪をつくるべきか否かは、きちんと議論できているだろうか。いい機会だから、MeToo運動の盛り上がりを機会に、日本のセクハラと欧米のセクハラに違いはあるのか、本質はなにか、ちょっと本気で考えてみるといいと思う。中国とも欧米とも違う、セクハラの本質があるかもしれない。

北村記事

自殺志願者に対する心無い煽りに非難の声が上がった。

 6月23日、広東省“汕頭市”で“覃(たん)”という姓の男(33歳)が11階建てビルの屋上の縁に立ち、飛び降りて自殺しようとしていた。11階建てビルの屋上の縁に人が立っているのを見つけた人々は、上を見上げて「人が飛び降りようとしている」と大声を上げたから、たちまちのうちに野次馬がビルの周囲に集まった。その中の誰かが110番に電話を掛けたのだろう。警察は午後4時5分にビルの屋上に自殺しようとする人がいるとの通報を受けた。

 速やかに現場のビルへ到着した警察官は屋上に上り、屋上の縁に立つ男と話をした。男は自分の姓は“覃”(以下「覃さん」)であると述べた上で、妻と感情的に揉めたことが自殺の理由だと釈明した。そこで警察は彼の妻へ急いで連絡と取るのと並行して自殺を思い止まるように覃さんを説得し、最終的に夜7時に覃さんを救出することに成功した。警察の出動から救出までは約3時間を要したが、この間ビルの下には野次馬が群をなし、野次馬の前方に位置した観衆の一部は家から持参した椅子に座り、あたかも“好劇(良い芝居)”を観ているように楽しげであった。

 現場に居合わせた人がこの場景を撮影し、その動画をネットに投稿したが、これを見たインターネットユーザーは、「この人たちは胸糞が悪い、人間性が全くない」とか、「こういう輩には、“瓜子(暇つぶしに食べる西瓜の種)”、お茶や西瓜(すいか)を運んでやれ」、「この社会は一体どうなっているんだ。このように人がビルから飛び降りるのを待っている人たちの良心は一体どれほど曲がっているのか」、「現在の人情はこれほど冷たいのか」といった意見を動画のコメント欄に書き込んだ。

 6月26日の夜、江蘇省“南通市”で某住宅団地の屋上から女性が飛び降りて自殺しようとしていた。これを知った団地の住民たちが大挙して現場の団地前の広場に集まったが、女性は容易に決断できず、飛び降りるのを逡巡していた。すると、広場に集まった群衆の中から「“跳啊, 跳啊(跳べよ、跳べよ)”」の大合唱が沸き起こった。現場で女性の救助に当たっていた消防隊員によれば、強力な光線を照射して、女性を刺激して早く飛び降りさせようとする者までいて、消防局の救助活動を妨害したという。現場に派遣された警察官がその光線の発射を制止したが、そこから逃げ出した者たちが別の住宅棟に逃げ込んで、強力な光線の照射を続け、警察官との間で“捉謎藏(鬼ごっこ)”が繰り広げられ、人々から軽蔑された。

自殺の決行を煽り続ける群衆

 女性は幸運にも3時間後に説得に応じて自殺を断念し、消防隊員によって安全な場所へ誘導された後、検査を受けるために医院へ搬送された。その後に消防隊員はネットに書き込みを行い、「“軽生者(自殺する人)”は“滋事者(面倒を引き起こす人)”だが、彼らは全て苦悩を持っているのであって、人々に申し訳ないことをした訳ではない」と述べて、野次馬たちの品性劣悪な行動を批判した。

6月20日以降、上述した2件以外にも広東省や甘粛省などで類似の飛び降り自殺騒動が発生したが、その発端となったのは6月20日に甘粛省“慶陽市”で19歳の女性“李依依(りいい)”(仮名)が下層にデパート“麗晶百貨”が所在する25階建てのマンション“麗晶公寓”の8階窓外にある小さなベランダから飛び降り自殺を遂げた事件だった。李依依は高さ35mの8階ベランダに腰掛け飛び降りるまでに4時間半を過ごしたが、最後は救助しようとした消防隊員の手をすり抜けてその身を空中へ躍らせたのだった。この彼女にとって最後となった4時間半に麗晶公寓前の地上に集まった多くの野次馬たちは、彼女に向かって「早く跳べ」、「どうして跳ばないんだ」などと自殺の決行を煽り続けたのだった。

 中国では李依依の飛び降り自殺は大きな話題となり、中国社会に問題を提起したのだった。李依依が飛び降り自殺を遂げることになった事件の経緯を振り返ってみる。

「クラス担任に暴行された」

【1】2016年9月から“慶陽六中(慶陽第六高校)”の3年生となった李依依にとって“高考(全国統一大学入試)”までは残すところわずか1年であった。その高校3年の授業が始まって間もない9月5日の午後、李依依は突然の胃痛に襲われた。胃痛は彼女の持病であり、学生宿舎は比較的寒いので、それを心配した某先生が李依依に電気毛布が使える女子職員宿舎の109号室で休息を取るように手配してくれた。その日の夜は雨で、8時過ぎに学校は停電になった。まだ停電が続いていた8時30分頃、李依依のクラス担任である“呉永厚”が女子職員宿舎へ入って行った。

【2】クラス担任である呉永厚は李依依が休息を取っているのは109号室であることを聞いていたので、109号室のドアを開けて中に入った。暗闇の中で呉永厚は李依依が寝ているベッドの横に座ると、李依依に病状を尋ねた。李依依が「とっても良くなりました」と答えると、呉永厚は突然手を伸ばして李依依の顔をなぜた。そして彼女の身体を触り始め、遂には彼女を抱きしめて身動きできないようにした。李依依は抵抗しようとしたが果たせず、呉永厚は一層力を強めると、彼女の顔や唇に接吻し、耳たぶを噛んだ。呉永厚の手はずっと李依依の背中を愛撫しつつ、彼女の着ている服を脱がそうとした。

【3】この時、親友“羅娟娟”(仮名)の父親で物理教師である“羅宇”(仮名)がドアの外から李依依の名前を呼んで、ドアを開けて部屋の中に入って来た。これに驚いた呉永厚は李依依を抱きしめていた手を離すと、ベッドから少し離れた場所に移動し、何事もなかったように振る舞った。羅宇は李依依の頭髪と衣服が乱れていたので、呉永厚が李依依に不埒な行為をしたのではないかと疑ったが、呉永厚の年齢が50歳近いことを思い出して疑念を打ち消した。停電では電気毛布も使えないので、羅宇は李依依を学生宿舎に戻すことを決断し、呉永厚に李依依を学生宿舎まで送らせたが、李依依はこの時程恐かったことはなかったと後に述べている。

【4】それはとにかくとして、李依依は羅宇のおかげで呉永厚に暴行されそうになったのを危機一髪のところで難を逃れた。なお、本来、李依依のクラス担任は別の人物だったが、7月に病を得て入院し、急きょ後任として高校3年2組のクラス担任になったのが呉永厚だった。李依依が呉永厚と初めて会ったのは夏休み中に行われた補習授業だったが、教員室で呉永厚は突然に李依依の顔をなぜた。この時以来、李依依は呉永厚に何かされるのではないかと恐れを抱くようになっていたのだ。呉永厚は1967年生まれで、2016年の事件当時49歳。1992年に“西北師範大学”化学学部を卒業し、2011年に“慶陽六中(慶陽第六高校)”へ配属になり、2014年に“高級教師(大学の助教授に相当)”資格を取得したのだった。

【5】翌日の早朝、李依依は学校の心理指導室へ行き、泣きながら指導教官に事情を説明したが、指導教官は「この問題の解決は自分の手に余るので、状況を学校の責任者である“段”姓の人物に報告すると述べただけだった。事件の2日後、クラス担任の呉永厚は李依依に対して「私が間違っていた。頭がおかしくなり、一時的な衝動で貴女に不埒なことをしてしまった。どうか許して欲しい」と謝罪した。しかし、いくら謝罪されても、許せないことがある。しかもそれをしたのはクラス担任だったのである。

クラス担任変更を要求するも…

【6】事件発生後、李依依の父親“李明”は学校から連絡を受けて娘に問題が発生したと知り、慶陽六中へ出向いて情緒不安定となった娘の状況を知った。当時、李依依は具体的に何が起こったのかを父親には話さなかったし、李明も何があったのかを娘に問い質すことが出来る状態ではなかったので、ひとまず娘を家へ連れて帰ったのだった。9月8日、李明は娘を慶陽市内の医院へ連れて行って検査してもらったが、身体に異常は何も見つからなかった。そこで、翌9日に娘を連れて陝西省省都の“西安市”へ行き、大きな医院で徹底的な検査をしてもらおうとしたが、李依依は心理的な検査を拒否したので、慶陽市へ戻るしかなかった。

大学入試を来年に控えていることから、一度は学校へ戻った李依依だったが、数日すると学校での生活に耐えられなくなり、李依依は再度自宅へ戻った。こうして事件から2週間が過ぎた頃、李明の度重なる質問を受けた李依依は遂に学校で彼女の身に起こったことを話したのだった。真相を知った李明は慶陽六中へ出向き、クラス担任を変更するよう要求したが、学校側は事実関係を調査するとして即答しなかった。

【7】2016年10月7日、李依依は1回目の自殺を試みた。彼女は薬を大量に飲んで人事不省に陥ったが、応急手当によって危機を脱した。李明は呉永厚を婦女暴行で通報しようとしたが、友人から時間が経過しているし、証拠もないから時機を待てと助言を受けたのと、学校側の調査結果を待つこととして通報を保留とした。10月中旬、李明は李依依を連れて検査を受けに上海市へ行った。事前に地元の医院で証明書を発行してもらったが、そこに書かれていたのは“抑鬱症(うつ病)”だった。上海市の医師は明確な診断を下さず、精神安定剤を処方し、可能なら毎月1度検査を受けに来るようにと李明に告げたのだった。慶陽市に戻った後、李依依は再度学校へ戻った。

【8】2016年12月6日、李依依は2度目の自殺を試みた。彼女は上海市の医院が処方した精神安定剤を一気に飲んだのだったが、応急手当を受けて一命を取り止めた。さらに、2017年5月、李依依は3回目の自殺を試みた。今回はビルから飛び降りようとして救助に駆け付けた消防隊員によって救出された。その5月中に李依依は学校の職員に付き添われ李明と共に北京市へ向かい、精神科で名高い“首都医科大学附属安定医院”で診察を受けた。この結果、李依依に下された診断は“創傷後応激障礙(心的外傷後ストレス障害)”であった。

【9】2018年1月15日、李依依は、安定医院が処方した薬10箱以上を一度に飲んで4回目の自殺を試みた。1月16日に慶陽市内の医院が出した“病危通知書(危篤通知書)”には、李依依には多種類の薬物による中毒、中毒性脳病、洞性頻脈などの問題があり、いつ生命の危機が訪れてもおかしくない状態であると書かれていた。

【10】ところで、李依依を4度もの自殺未遂に追い込む原因となった呉永厚はどうなったのか。李明によれば、慶陽六中は李明に35万元(約600万円)の賠償協議を提案して来たが、その他訴訟を行う権利の放棄が前提条件であったので、李明は提案を拒否したという。李明は2017年2月に“慶陽市教育局”を訪ねて呉永厚に対する調査結果を督促した。しかし、その後は何の音沙汰もなかったので、李明は“慶陽市公安局”に事件を通報し、2017年5月に慶陽市公安局の“西峰区分局”が呉永厚に対し“行政拘留10日間”の処罰を科した。

その処罰決定書には、呉永厚が「女子職員宿舎109号室で寝ている李依依に対し唇で李依依の額、顔、唇などに約3分間接吻したが、それを羅宇に見つかった」と供述したことが明記され、呉永厚の行為は『治安管理処罰法』第44条規定の“猥褻(わいせつ)”を構成するとあった。一方、2017年7月23日、“慶陽市教育局”の党委員会は、呉永厚に対する行政処分を決定し、彼を“教育技術7級”から“教育技術8級”へ降格すると同時に慶陽六中から配置転換させることにした。

処罰の理不尽さに失望

【11】呉永厚に対する処罰がわずか10日間の行政拘留であったことを知った李依依は、その理不尽さに失望すると同時に憤った。娘を慰める目的もあって、李明は改めて慶陽市の“西峰区検察院”に対して事件を通報した。事件は受理されたが、2018年3月1日に西峰区検察院は呉永厚を不起訴とする旨の決定を下した。その理由は、「呉永厚の行為は情状が極めて軽微であり、李依依の現在の病状が呉永厚の行為と直接の因果関係を持つという証拠はないので、犯罪を構成しない」という内容だった。

【12】2018年6月中旬、李依依は西峰区検察院の不起訴決定書を見つけて非常に怒った。6月20日の正午、李依依は家族と一緒に昼食を食べた後に、アルバイトの仕事に行くと言って家を出て、その足で麗晶公寓8階に到り、閉店した“火鍋店(寄せ鍋)”の窓から小さなベランダに出た。そして、幅わずか30cmのベランダの縁に腰掛け、不安定な状況で4時間半を過ごした。夜7時頃、消防隊員が李依依を救出しようと手を伸ばした瞬間、彼女は空中に身を躍らせたのだった。午後4時40分に李依依がSNSに投稿した文章の末尾には“一切都結束了(全てが終わった)”と書かれていた。

【13】6月25日の夜、“慶陽市共産党委員会宣伝部”は記者会見を開催し、出席した市公安局西峰分局の副局長“曹懐玉”は、李依依がビルから飛び降りた原因が以前にクラス担任が彼女に行った猥褻行為と直接の関係があるかどうかを現在調査中である旨を表明した。

 長くなったが、上記が多くの自殺志願者が模倣した飛び降り自殺騒動の発端となった19歳の女性が飛び降り自殺を遂げるまでの全貌である。この事件は2018年4月20日付の本リポート「中国の名門大学を騒がせたセクハラ告発運動」で報じた中国におけるセクハラ告発運動(“Me Too Movement”)に関連する事件として中国の世論を沸騰させた。

 また、野次馬が飛び降りようとする自殺志願者に対して「早く飛び降りろ」などと志願者を刺激するような言動を行ったことが、問題視された。「中華民族は同情心が豊富な民族であったはずだが、一体全体これはどうしたことか」、「一つの生命に対して、どうしてかくも冷酷になれるのか、中国伝統の道徳はどこへ行ったのか」というのが、中国の評論家たちの意見である。中国国民の大多数は生命の尊厳をわきまえているが、一部の社会に不満を持つ人たちはそのはけ口を他人の不幸にぶつけるのである。たとえそれが、死を目前にしている自殺志願者であっても。

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