『金正恩氏はトランプ氏に「尊敬の念」を伝えた? 「『平昌冬季五輪休戦』は『ニューヨーク・チャンネル』で実現」説が浮上』(1/16日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『世界中が呆れるトランプを辞めさせられない理由 大統領弾劾はほとんど不可能と民主党が判断』(1/16JBプレス 堀田佳男)について

1/13ロイター<焦点:消えぬ米朝戦争懸念、トランプ政権にくすぶる先制攻撃論>

https://jp.reuters.com/article/northkorea-missiles-usa-idJPKBN1F10L5

1/18NHKニュース12:04<米国防長官「北朝鮮との戦争計画ある」と発言>「日米外交筋によりますと、アメリカのマティス国防長官は、カナダで開かれた北朝鮮問題をめぐる関係国の外相会合に先立つ夕食会で、「北朝鮮との戦争計画もある」という趣旨の発言をしたということです。一方でマティス長官は、外交努力による平和的な解決を優先させるべきだという従来の立場も併せて示したということです。

北朝鮮問題をめぐる関係国の外相会合は、日本時間の17日未明からカナダのバンクーバーでアメリカとカナダの共催で開かれ、日本や韓国など合わせて20か国の外相らが出席し、北朝鮮が非核化に向けた意思を示すまで圧力をかけ続ける方針を確認しました。

これに先立って日本時間の16日には、アメリカのティラーソン国務長官やマティス国防長官、日本の河野外務大臣らが出席して夕食会が開かれ、日米外交筋によりますと、この席でマティス長官は「アメリカには北朝鮮との戦争計画もある」という趣旨の発言をしたということです。

一方でマティス長官は「外交努力がうまくいかない場合は、国防相会合を開くことになる。そうならないように外交で頑張ってほしい」と述べ、外交努力による平和的な解決を優先させるべきだという従来の立場も示したということです。

官房長官「コメントすべきではない」

菅官房長官は、午前の記者会見で、「具体的な内容について承知しているわけではないので、政府としてコメントすべきでない」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は「今回の会合を通じて、北朝鮮の核保有は決して受け入れられず、国際社会が一致結束して圧力を最大限まで強めていくというメッセージを全体で発出できたことは極めて有意義だった」と述べました。」(以上)

第二次朝鮮戦争のための大義名分作りで20ケ国の外相が集まり、河野外相は「二度目はない」と断言し、またマテイス長官が「次は国防相会議を開催」と言ったとのことですが、米軍が攻撃するのであれば機密が漏れるので単独行動とするのでは。勿論韓国には連絡せず、ロジや在日米軍の活用があるので日本とは緊密に連絡を取り合うと思います。

この高濱氏の記事にもあるとおり、米朝ともオリンピックとは関係なく、着々と軍事的な意味を持った行動を重ねています。オリンピックだからといって、日本が浮かれて準備を怠ってしまうことが無いよう注意しておかないと。

1/18日経ビジネスオンライン The economist<トランプ政権ではびこるロビー活動 公約とは真逆、透明性は失われる一方だ>1/17の本ブログでも紹介しましたように、ロビー活動は請願権の一種であり、総てが悪ではありません。悪と思うのは、政治や行政と企業が癒着してきたからなのでしょうけど。でもグリシャムの『陪審評決』には、たばこ企業(被告)と癌患者の遺族(原告)の両方の弁護士が陪審員を買収しようという場面が出てきます。民主主義先進国と言われる米国の司法ですらこんな現状です。やはり国民の監視、特にメデイアは事件をでっち上げるのではなく、事実に基づいて三権を監視しなくては。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/011600147/?n_cid=nbpnbo_mlpus

2017/3/1まぐまぐニュース<在米日本人作家が警告する、トランプ・リスク「最悪のケース」 冷泉彰彦『冷泉彰彦のプリンストン通信』>1年近く前の記事ですが、今回の堀田氏の記事や昨年12/21本ブログで紹介しました高濱氏の記事とは真逆です。如何にリベラルが“wishful thinking ”で判断しているかです。彼らにしてみれば気に入らない大統領、言うことを聞かない大統領は政治的に抹殺を図ろうと考えているかが分かろうと言うもの。事実に基づかず、世論を盛り上げて追い落とし・、倒閣を図ろうとするのは日本も同じで、朝日が捏造した「モリカケ」騒動はその典型でしょう。こんな記事を読んで有難がっているようでは、おれおれ詐欺の被害者を笑えないでしょう。

http://www.mag2.com/p/news/241285

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7855

高濱記事

北朝鮮に対する姿勢が定まらないトランプ米大統領(写真:AFP/アフロ)

—金正恩朝鮮労働党委員長が「平昌冬季五輪」を軸についに動きましたね。朝鮮半島での軍事対決の危険性は急速に和らいできた感がしますが、米国は一連の動きをどう見ていますか。ドナルド・トランプ大統領はどう出るのでしょうか。

高濱:金正恩委員長が元旦に演説して以降、トランプ大統領の言動は微妙に揺れ動いています。というより支離滅裂で本心が奈辺にあるのか分かりません。

 ワシントンの政治問題専門家の一人は、筆者に「トランプ大統領が何を考えているかは精神科医か心理学者にしかわからない」とメールしてきました。(笑)

 これは金正恩委員長についても言えることかもしれません。もっとも同委員長の目標は「国体護持」(つまり「金王朝存続」)という点ではっきりしています。その点、トランプ大統領の方は何をしたいのか、いっそうわかりませんけど。(笑)

 同委員長は、「新年の辞」で韓国との関係改善に意欲を示しました。その一方で米国に対しては「核のボタンが机の上にいつも置かれている」と表明。硬軟両様というか、真意はどちらにあるのか。米朝ともに相手の真意を探り合いです。

 トランプ大統領は2日、この金演説に対してツイッターにこう書き込みました。  「ロケットマン(金正恩委員長のこと)は韓国と話がしたいと初めて言い始めた。これはよいニュースかもしれないし、そうではないかもしれない。様子を見てみよう。制裁やそのほかの手段による圧力は北朝鮮に大きな影響を及ぼし始めている」

 「北朝鮮は疲弊して食糧も底をついているか。私も核のボタンを持っていることを、彼(金正恩委員長)の政権の誰かが彼に知らせてくれないだろうか。しかも私のボタンは彼のものよりもはるかに大きく、より強力で、実際に機能するということを」

—つまりトランプ大統領は、北朝鮮が変化したのは経済制裁と軍事的圧力の結果だと言いたいわけですね。なにも文在寅韓国大統領の「宥和政策」が功を奏したわけではない、と言いたげですね。

トランプ「俺がいなければ閣僚級会談は実現せず」

高濱:それから8日後、トランプ大統領は文在寅大統領と電話会談。

 トランプ大統領は、同日開かれた閣議の冒頭で南北閣僚級会談に触れ、こう述べています。「世界にとっての成功になるよう期待する。今後数週間、数か月に何が起こるか注視する。われわれの(強い)姿勢がなければ、(南北閣僚級)会談は決して実現しなかった」

—その一方でトランプ大統領は「金正恩委員長とはおそらく、いい関係にある」と北朝鮮との対話を受け入れる用意があるような発言をしていますね。

高濱:トランプ大統領の朝令暮改的な発言は今に始まったことではありません。この発言については後程、詳しく見てみたいと思います。

 北朝鮮の動きを米国が今どう見ているのか。これまで長年、朝鮮半島問題に関わりを持ってきた国務省元高官は以下のように分析しています。「おそらく金正恩委員長は、対話を開始するタイミングとして去年から『平昌冬季五輪』に的を絞っていたのだろう。五輪にアスリートを参加させることで北朝鮮の『ヒューマン・フェイス』(まともな人面)を世界中にみせ、ミサイルと核で近隣諸国を脅す『ならず者国家』とのイメージを払拭したいにちがいない。返す刀で朝鮮民族主義を鼓舞することで南北統一を韓国民に訴える筋書きだ。それにはオリンピックは最適の場だ」

 「五輪休戦中に、これまで行ってきたミサイル・核実験の結果を総点検し、次に備えるつもりだろう。今は厳寒の候でミサイル発射実験もままならない。未確認情報だが、2017年9月3日に核実験を行なった際に地下施設が損害を受け、科学者数人が犠牲になったともいわれている」

 「外交的には、ミサイル・核実験を一時中止することで、これまで北朝鮮を説得し続けてきた中国の顔を立てることができる。また、これまで終始一貫して宥和政策をとってきた文在寅大統領の『本気度』を試すこともできるだろう。文在寅大統領が、対北朝鮮経済制裁措置や軍事的圧力を弱めさせるよう米国に真剣に働きかけられるかどうか、その判断材料になりうる」

米国は「朝鮮民族ナショナリスト・文在寅」に懐疑的

—米国は文在寅・韓国大統領の宥和政策をどう見ているのですか

高濱:リベラル派の中には、文在寅大統領が進める対北朝鮮路線に理解を示す者もいます。しかし、この路線では北朝鮮にミサイル・核を放棄させるのは難しいとみる米専門家が大半です。一部には、文在寅大統領に懐疑的な専門家もいます。 (“North Korea Is Walking Back War–And Pundits Are Strangely Disappointed,” John Feffer, Foreign Policy in Focus, 1/10/2018)

 その理由として、中国の顔色を窺って高高度防衛ミサイル(THAAD配備)を延期したり、平昌冬季五輪が終わるまで米韓合同軍事演習を延期することを提案したりしている文在寅大統領の政治スタンスが挙げられます。合同演習の中止は中国とロシアがこれまでずっと主張してきたアジェンダでもあります。

 ウラジミール・プーチン ロシア大統領が金正恩委員長を「成熟した政治家」と称賛し、一連の動きについて「北朝鮮が勝った」と言っているのもそのためでしょう。つまり、これまで米国が頑強に突っぱねてきた合同演習の中止を、一時的であるにせよ実現させたのですから。プーチン氏にとっては、「金正恩よ、でかした」ということになるんじゃないですか。

 米韓首脳は、直接会っても電話で話し合っても、そのあとの記者発表はどこかしっくりしていません。例えば、10日に行った電話会談の後も、韓国側は「トランプ氏は南北対話が行われている間、いかなる軍事的行動もしないと述べた」と発表していますが、米側はその点について一切言及しませんでした。

トランプ「俺が金正恩だったら米韓間に楔打つ」

 トランプ大統領は11日行われたウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで「米韓合同軍事演習の中止」に言及しました。しかし「南北対話が行われている間」とは言っていません。“Transcript of Donald Trump Interview with The Wall Street Journal,”1/12/2018)

—そのインタビューで、トランプ大統領は「俺が金正恩だったら同じことをやっただろう」と発言していますね。

高濱:そうです。北朝鮮の対韓アプローチについてのくだりで出てきたものです。

 「北朝鮮が米韓関係を分断しようとしているのは分かっている。もし私が北朝鮮の人間だったら同じことをやっていただろう。だが、私は米国の大統領だ。それに私はウェッジ(楔)について、この地上に住む誰よりもよく知っているよ」

—ウェッジについて自分が一番熟知しているとは、どういう意味ですか。

高濱:一種のジョーク、掛詞です。トランプ氏の言っている「ウェッジ」とは、頭部がクサビ形のゴルフクラブのこと。グリーン手前からオンを狙うときによく使うクラブです。プロ並みの腕前だと自負するトランプ氏がクラブ捌きと楔を打つこととをひっかけたのでしょうが、あまりうまい掛詞とは言えませんね(笑)

米国も北朝鮮も軍事的準備は怠らず

—もう一つ。先ほども出ましたが、トランプ大統領は「金正恩委員長とのとてもよい関係」についてことさら強調しました。直接対話したかどうかについては言葉を濁しましたが……

高濱:金正恩委員長(あるいは同委員長の意を受けた北朝鮮政府高官)とトランプ大統領(あるいは同大統領の意を受けた米政府高官)との間になんらかの接触があったかどうか、です。

 トランプ大統領を嫌う米主要紙の国務省担当記者は冗談めかして筆者にこうコメントしています。「北朝鮮と接触する者がいるとすれば、ジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表(国務次官補)しかいない。お相手は、北朝鮮国連本部のパク・ソンイル米国担当大使だ。パク大使が『金正恩委員長は<非凡な才能を持ったトランプ大統領>*に敬意を表したい』とかなんとかユン特別代表に言い、それがトランプ大統領の耳に入ったのかもしれないね。トランプ大統領は褒められるのが大好きだから。それで『平昌冬季五輪休戦』につながったのだろう」

*:マイケル・ウルフ氏がホワイトハウスの内幕を描いた暴露本『Fire and Fury』(炎と怒り)の中で、側近たちがトランプ大統領は「大統領不適格者だ」と噂しているくだりがある。トランプ大統領はこれに対して「俺は非凡な才能を持った腰の据わった人間だ」(I am very stable genius)と反論した。

 ユン特別代表とパク大使との定期的な接触は、通称「ニューヨーク・チャンネル」と呼ばれる米朝間の非公式外交チャンネルです。

—金正恩委員長による「平昌冬季五輪」攻勢で緊張緩和ムードが漂っています。米国はすべての軍事的デモンストレーションは控えているのですか。

高濱:とは言えません。米太平洋軍は10日、グアムのアンダーセン空軍基地に核兵器搭載可能、かつレーダーに捉えられにくいB2ステルス戦略爆撃機3機と200人の要員を派遣したと発表しています。派遣の時期については公表していません。

 一方、北朝鮮もミサイル・核開発を中止したわけではありません。米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院の米韓研究所は11日、人工衛星からの画像に基づき、北朝鮮北東部・豊渓里にある核実験場の西側坑道で掘削作業が活発化していると分析しています。

堀田記事

米首都ワシントンにあるトランプ・インターナショナル・ホテルに映し出された「shithole(シットホール)」の文字。(c)Sorane Yamahira / Bellvisuals.com 〔AFPBB News

 ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)は1月20日で就任1年を迎える。目の前にはいくつもの難題が待ち受けている。

 北朝鮮問題や中間選挙もあるが、政治生命にかかわる最大の問題は何と言ってもロシア疑惑である。トランプ本人が訴追される可能性が消えていないばかりか、連邦議会での「弾劾」という言葉はいまでも米国で飛び交っている。

 筆者は昨年、当欄で何度か「トランプ弾劾」の可能性について記した。ロシア政府による2016年の大統領選介入はすでに確定的であり、トランプ陣営との共謀が疑われている。

弾劾される可能性はほとんどゼロ

 同時に、ジェームズ・コミー前FBI長官を解任したことが司法妨害にあたる疑いもある。

 ところが年明けに関係者を取材すると、少なくとも短中期的にトランプが弾劾される可能性はほとんどないことが分かってきた。どういうことなのか。

 まず明確にすべきことがある。それは大統領を起訴する動きと弾劾の動きは別である点だ。起訴はトランプ本人が明らかに違法な行為をしたことで、刑事訴追されるということだ。

 現在、元FBI長官のロバート・モラー特別検察官がトランプの周辺を洗っている。司法妨害を含め、ロシア政府との違法な共謀の有無が捜査されている。

 モラー氏の下には16人の検察官がおり、最近新たにコンピューター犯罪を専門にする検察官が加わったばかりだ。

捜査の内容は公表されていないし、簡単に漏れ出ない。しかし、ロシア側のサイバー攻撃との関連性がここにきて精査されており、新たな事実が浮上してくる可能性はある。

 ところが米大統領は刑事事件からの免責特権を持っている。大統領の任期中は公判から逃れられるのだ。しかし裁判所の判断によっては、任期中であっても出廷が求められることもある。

 検察チームによる捜査で、ロシア政府とトランプ陣営と間に共謀がなかったとの結論に至る可能性もある。

上院は多数決ではなく弾劾裁判に

 検察側が「トランプに違法行為はなかった」と結論づければ、トランプ政権は4年間続くだろう。いずれにしても、ロシア疑惑の進展次第でトランプの政治生命は大きく変わってくる。

 次に弾劾について述べたい。

 弾劾は現職の大統領や副大統領を罷免するための手続きで、連邦議会で行われる。議員が弾劾法案を提出するところから始まるため、検察官による起訴とは違う。

 弾劾プロセス、連邦下院(定数435人)で過半数の議員が弾劾への賛成票を投じて進行させる。大統領が犯罪行為をしていなくとも、非行や職務怠慢などでも弾劾の対象になる。ここが刑事裁判とは違うところだ。

 下院で過半数の議員が弾劾に賛成した時は、法案は上院に行く。上院では多数決ではなく弾劾裁判になる。

最高裁判所長官(現在はジョン・ロバーツ氏)が裁判長になり、上院議員(100人)が陪審員となって裁判を行う。そして3分2以上の議員が弾劾に賛成すれば大統領は職を奪われる。

 実は昨年、連邦下院には弾劾法案が何度か提出されている。だが成立していない。つまり現時点で、過半数の下院議員は「トランプは弾劾に値しない」との考えでまとまっているのだ。なぜなのか。

 まずは下院の人数構成を眺めたい。トランプの政党である共和党は、定数435人中239人を占めている。民主党議員は193人で空席が3だ。民主党議員が全員弾劾へと動いても、共和党から多くの造反議員が出ない限り法案は成立しない。

党議拘束のない米国

 米議会には日本の国会のような党議拘束がないため、共和党議員でもトンラプ弾劾に票を入れる議員がいても不思議ではない。

 ましてや中間選挙が近くなり、不人気のトランプと距離を置こうとする議員が増えてくれば、弾劾に賛成する議員もでてくるだろう。

 昨年5月、ジェームズ・コミー前FBI長官がトランプに解任された時、連邦議員の中には解任の理不尽さを説く者が大勢いた。同長官は当時、マイケル・フリン大統領補佐官のロシアとの関係を調査していたからだ。

 解任直後から、民主党議員の間でトランプ弾劾の機運が高まり、7月(法案HR438)、11月(HR621)、12月(HR646)と3回、下院で弾劾法案が提出されている。

 米議会では弾劾法案に限らず、法案が提出されるとまず、担当する委員会に法案が回される。外交問題であれば外交委員会、今回であれば司法委員会で審議・採決される。

ただ委員会の採決段階で否決されると本会議場まで至らない。7月と11月は委員会レベルで潰されていた。だが12月に提出された法案は本会議場で採決さている。結果は364対58で「弾劾の必要なし」との判断だった。

 トランプに反旗を翻しているはずの民主党議員も、100人以上が弾劾に反対したことになる。日本であれば安倍内閣不信任案の採決で、野党でありながら自民党側に寄りそったということになる。

 なぜなのか。

今年11月の中間選挙が試金石

 ワシントンへの取材で見えてきたのは、冷静な民主党執行部の判断があったからだった。現在の勢力図では、下院で弾劾法案を成立させることは最初から無理で、弾劾に動く時期ではないという考えなのだ。

 共和党から造反議員を多数動員しなくては法案の成立はない。現時点では、共和党の牙城を崩すことはできない。山が動くとすれば、今年11月の中間選挙で民主党が上下両院で多数党となった後である。

 それでも弾劾には難しさがある。中間選挙後に新たな弾劾法案が提出され、下院で可決されて法案が上院にいったとしても上院で3分の2以上の票を集めることは多難である。そこまで共和党と民主党の議席数が開くことはなさそうなのだ。

 ワシントンの知人ロビイストは「上院で弾劾裁判が行われ、賛成票が3分の2に届かなかった場合、再び弾劾裁判が行われることはまずないです。だから民主党は慎重に時期を見極めないといけない」と説明した。

 しかも米政治史上、2度開かれた弾劾裁判ではいずれも大統領を罷免できていない。法制上、弾劾というシステムを組み入れたことは民主国家として真っ当であるが、簡単に大統領を辞めさせることもできないのだ。

今月12日、トランプはホワイトハウスで行われた連邦議員との会合で、ハイチやアフリカ諸国を指して「Shithole(野外便所)のように汚い国」と発言した。

 名指しされた国だけでなく、この言葉を聞いた方は「やはりトランプは差別主義者だった」との思いを抱いたはずだ。この発言だけからも、大統領としての資質に欠ける人物であるとの見方がさらに広がった。

 だが実は、Shitholeの件については誤訳なのである。日本の特派員を含めて、多くの国の記者は「shit(糞)hole(穴)」を直訳してトイレ・便所とした。

 だが米国では口語で「汚い場所」という意味で使う。だから野外便所という意味ではない。汚い場所と言っただけでも差別的ではあるが、ニュアンスが違う。

 いずれにしても、「トランプ弾劾」の動きは確実に広がりつつあるが、実際にはほとんど無理というのが現実なのである。

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