『東アジアで中国海軍と米海軍の力が逆転する日 明確な海軍戦略を描く中国、かつての栄光にすがる米国』(7/20JBプレス 北村淳)、『消えた中国包囲網。日本はこのまま「一帯一路」の野望に飲み込まれるのか?』(7/23Money Voice斎藤満)について

中国の軍拡は止まるところを知りません。専制国家で市民の監視もなければ、予算の制約もないから好き勝手できる訳です。でも、これは米ソ冷戦のアナロジーが適用できるのでは。SDIをレーガンが提唱、ソ連が無理にそれに合わせようとしたため、軍事費が国家予算の40%も占めるようになって米国に降参したわけです。中国のGDPはいい加減な数字で、437兆円以下と上念司氏は言っていますが、世界銀行は11.2兆$(=1840兆円)と言っています。上念氏の数字とは4倍も離れています。

中国とソ連の大きな違いは、西側と東側とが対立して、交易が少なかったことが挙げられます。ソ連は共産国家の盟主として、自分達の陣営での貿易をしていましたから豊かになれませんでした。翻って中国は、自由主義国家の米国がソ連に対抗するため後押ししたため、低賃金での生産物を輸出することにより、WTO加盟以降、急激に経済成長しました。

http://alterfree.blog.fc2.com/blog-entry-34.html

中国の軍拡の息の根を止めるためには、ソ連同様、経済を崩壊させることです。金融制裁して$を使えなくして、人民元だけで取り引きさせるようにすれば良いでしょう。世界の銀行は米国と取引していますので、中国と人民元で取引している銀行の情報も米国はキャッチできると思っています?人民元のSDR入りはそうした思惑があったのでは?

「一帯一路」は中国の滞貨一掃処分と軍事侵攻の道の開拓にあります。関係国は目先の欲得で判断すると後々痛い目に遭います。安倍首相も「一帯一路」に条件付き協力を表明しましたが、中国の透明度や公平性が上がるはずもなく、高いバーを設定した、単なるリップサービスと見るべきでしょう。金融制裁を課せば間違いなく中国経済は死に体になります。戦争を仕掛けて来るかも知れませんが、その時は海上封鎖で石油が入らなくすれば良いでしょう。ロシアがどう動くかですが。

北朝鮮の潜水艦が日本海を潜航したとの記事がありました。SLBMの発射訓練かどうか知りませんが、朝鮮半島から7分で日本にミサイルが着くのであれば、潜水艦から撃つ必要はないので、米国へ向けてでしょう。でも、日本のP3-Cも北朝鮮の領海内(22.2Km)には入れませんが、公海での監視活動はできる筈です。活動範囲を広げる必要があります。そのためには防衛予算増と人員の確保が前提となります。

7/21日経<北朝鮮潜水艦が日本海航行 米報道、異例の動きに警戒 

 

【ワシントン=共同】米CNNテレビは20日、北朝鮮の「ロメオ級潜水艦」(1800トン)が48時間連続で、本国から約100キロ離れた日本海で活動していると報じた。北朝鮮の潜水艦がこれほど離れた海域を航行するのは異例で、米韓両軍は警戒を強めている。複数の米国防当局者の話としている。

CNNによると、ロメオ級はディーゼル式で全長65メートル。米軍はこの潜水艦が母港から遠く離れた海域で航行する能力はないとみていた。沿岸地域で行う典型的な訓練活動とは異なるといい、米軍が偵察衛星から監視を続けている。

北朝鮮のロメオ級は旧式潜水艦で、弾道ミサイルの発射能力は備えていない。>(以上)

また、米海軍は空母ジェラルド・フォードを就役させたとのこと。中国が海軍力を増強する前に、北を片づけ、次には中国を片づけなくては手遅れになります。目先だけでなく、将来のことも併せて考えなければ。

http://www.sankei.com/world/news/170722/wor1707220028-n1.html

北村記事

今年だけでも既に2隻が誕生した中国海軍の054A型フリゲート

トランプ大統領は「強いアメリカの再現」のシンボルの1つとして、大統領選挙中から一貫して大海軍再建を標榜し、国防予算、とりわけ海軍関連予算の大増額計画を打ち出している。

しかしながら、トランプ政権発足後半年を経過した現在まで、大海軍再建の司令塔となるべき海軍長官(海軍と海兵隊の最高責任者でシビリアンのポスト)人事が決定していない(これまでは代理海軍長官としてシーン・スタックリー氏が代行してきた)。トランプ大統領は6月初旬に元投資会社役員のリチャード・スペンサー氏を海軍長官候補に指名し、あと数週間以内には上院で指名認可がなされる見込みとなっている。だが、大海軍再建計画が順調に滑り出すまでにはまだまだ時間がかかる状況と言わざるを得ない。

順調に進んでいる中国の大海軍建設

一方、中国においても、「中国の国益を保護するための大海軍建設」が喧伝されている。共産党独裁国家である中国では、党が打ち出した「大海軍建設」はアメリカと異なり極めて順調に進んでおり、今後も加速度的に海軍力が強化されていくものと思われる。

ちなみに、2017年上半期に誕生した中国海軍艦(小型艇を除く)は以下の10隻である(表)。

2017年の上半期に誕生した中国海軍艦(小型艇を除く)

2016年に大小取り混ぜて30隻ほどの艦艇を誕生させた中国海軍の戦力強化は、少なくとも数の上では目覚ましいものがあるとアメリカ海軍側も認めている。

新鋭艦艇の質に関しては「見かけ倒しではないか」「恐るるに足りない」といった評価を下している海軍首脳も少なからず存在する。だがそれに対して、「確実な情報がない以上、そのように楽観視しているととんでもないことになりかねない」「アメリカも含めて世界中から最先端技術を取り込んでいることを忘れてはならない」と警戒を促す人々も少なくない。

いずれにせよ、対中戦略を専門とする海軍関係者たちは、「敵を過大評価して恐れおののくのは慎むべきではあるが、敵を過小評価するのはさらに良くない姿勢である」との基本姿勢を尊重している。

中国国産の001A型航空母艦

海軍戦略達成のために強化される海軍戦力

人民解放軍は昨年より抜本的再編成を進めている。中国国営メディア(人民日報、環球時報)によると、その一環として陸軍人員数の大幅削減を実施するという。また、海軍、ロケット軍(かつての第二砲兵部隊)、そして新設された戦略支援部隊の人員数は、今後それぞれ大幅に増強するという。空軍は現状維持とされている。

人民解放軍再編成の方針に基づき海軍力増強が推進されていくことは間違いないものと思われる。実際に、2017年上半期だけでも上記のように多数の軍艦が誕生している。

そもそも、中国海軍が近代的海軍(海上自衛隊など西側海軍と肩を並べるような海軍)となりうるきっかけとなったのは、1980年代に鄧小平軍事委員会主席の片腕として活躍した海軍司令員(海軍のトップ)、劉華清が打ち出した防衛戦略である。

毛沢東時代の中国の防衛戦略は、基本的には敵勢力を中国大陸内部に引き込み、ゲリラ戦も交えつつ殲滅していくというものであった。それは自然と陸軍が中心となる戦略であった。当時はアメリカの核恫喝に自力で抵抗するため核搭載大陸間弾道ミサイルの開発運用にも多大な資源が投入された。そのため、海軍や空軍を充実させることは後回しにされ、鄧小平によって国防改革が開始された当初は、中国海軍は沿岸警備隊(それも時代遅れの)に毛が生えた程度の極めて貧弱な海軍に過ぎなかった。

このような状況に対して劉華清は、「鄧小平による経済発展策の根幹となる幅広い交易活動を支えるには強力な海軍戦力が必要である」と力説した。そして、劉華清が打ち出したのが、「近海積極防衛戦略」と呼ばれる海軍戦略であった。

すなわち、日本列島から台湾、フィリピン諸島、そしてカリマンタン島(ボルネオ島)を経てシンガポールに至る、いわゆる第1列島線内の東シナ海や南シナ海に進攻してきた敵(=アメリカ海軍や海上自衛隊をはじめとするアメリカ側海軍)を、それら海域のできるだけ遠方で撃破し、中国沿岸域には敵を寄せ付けない──そして、いずれは第1列島線に接近させないようにする、という戦略である。

「積極防衛戦略」の“積極”というのは、「島嶼や海岸線を防衛するには、待ち受けるのでなく、こちらから出撃しできるだけ遠方洋上で敵を迎え撃たねばならない」という海洋国家防衛の伝統的鉄則を意味している。そこで、その戦略を実施できるだけの実力を持った海軍を建設することが急務となり、1980年代後半から近代海軍建設に努力が傾注されたのである。

海軍建設には少なくとも四半世紀はかかると言われているが、21世紀に入ると中国海軍は近代海軍の呈を成し始め、2010年を過ぎるといよいよ強力な海軍として世界中の海軍から一目置かれる存在になってきた。

そして、昨年から正式に推し進められている人民解放軍の再編成と平行して、海軍戦略も「近海積極防衛戦略」からさらに歩みを進め、「外洋積極防衛戦略」とも表現しうる戦略へとバージョンアップされた。

中国国防当局はアメリカや日本を強く刺激することを避けるため、この戦略を単に「積極防衛戦略」と称している。だが、要するに敵を撃破する海域を東シナ海や南シナ海からさらに遠方の西太平洋へと拡大させた戦略ということになる。

海軍戦略を欠いているアメリカ

このように、中国の軍艦建造の目を見張るほどの勢いは、明確な海軍戦略を達成するために必要不可欠の動きということができる。

ところが、トランプ政権が打ち出している350隻海軍建設は「偉大なアメリカの再建」という政治的目標の道具の1つとはなり得るが、確固たる海軍戦略に基づいているわけではない。

そもそも、「近海積極防衛戦略」そして「(外洋)積極防衛戦略」といった具体的な海軍戦略を策定してきた中国軍とは異なって、アメリカ軍は「エアシーバトル」「マルチドメインバトル」といったコンセプトを打ち出してはいるが、いずれも戦略というレベルのものではない。

達成すべき海軍戦略を構築し、それに向かって海軍戦力増強にいそしむ中国。片や、確固たる戦略なしにかつての栄光を取り戻すために大海軍を再建することを標榜しているアメリカ。これでは、少なくとも東アジア海域における海軍力バランスが逆転する日が現実のものとなってしまったとしても不思議ではない。

斎藤記事

トランプ政権の親中路線はまやかしに過ぎません。日本政府や日本企業も、綺麗事ばかりの中国「一帯一路」構想の誘惑に負けないよう、冷静に判断すべき局面です。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

中国の一帯一路構想に協力表明!? 日本政府はどこまで正気なのか

「中国包囲網」はどこへ消えた

米国にトランプ大統領が誕生して以来、日米の対中国戦略が揺れ動いているように見えます。

昨年の米大統領選挙キャンペーンでは対中国強硬論を唱えていたトランプ氏が、今では習近平国家主席を「大好き」と持ち上げ、これまでの強硬論がどこかへ消え去ったかのような印象です。これを受けて日本の対中国戦略も微妙に変化してきました。

安倍総理は第二次安倍政権誕生以来、今や中国こそ最大の脅威と位置づけ、「中国包囲網」を構築すべく、その周辺国を相次いで訪問してきました。

尖閣諸島の領有権を脅かす中国が、東シナ海から南シナ海へと、軍事力を伴った進出を進めているためで、これに対処するには日本としても東南アジアの関係国との連携が必要と考えたからです。

もちろん、これら関係国との連携にとどまらず、中国を取り巻く各国との関係改善を図り、軍事的にもいざという時に日本の味方をしてもらい、ともに中国に対峙する体制を構築する狙いがありました。

そのために、ロシアから中央アジア、インド、東南アジアを歴訪し、まさに日本の「友人」で中国を包囲する形を作ることに専心してきました。

このため、中国が進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、周辺国のみならず欧州各国が参加するのをしり目に、日本は米国とともにこれに参画せず、中国とは距離を置く姿勢を鮮明にしていたのです。

安易に乗ると危ない「一帯一路」

ところが、トランプ政権が対中国戦略を軟化させ、AIIBへの参加を検討すると言い出し、AIIBと対をなす「現代版シルクロード建設」ともいうべき習主席の長期戦略「一帯一路」構想に米国も関心を持ち始めました。

そして今年5月に中国で開催された「一帯一路」構想に関する大規模な国際会議に、米国は代表チームを参加させ、日本も親中派の二階幹事長の他、安倍総理の名代を送りました。知らぬ間に、日米ともに中国の長期世界戦略に巻き込まれていく構図が鮮明となってきました。

そんな中で、日本の企業も、次第に習主席の「一帯一路」構想に関心を持つものが増えています。中国事情に詳しい人物やコンサルタントに、この「一帯一路」構想の内容、ビジネスの観点からの妙味について、質問が増えていると言います。

しかし、この中国の「一帯一路」構想は、中国の苦しい事情、矛盾もはらんでいるだけに、安易にこれに乗ろうとするのは危険なのです。

習近平主席の「野望」と「矛盾」

そこでまず、習主席が提唱する「一帯一路」構想をおさらいしておきましょう。

この構想、もとはと言えば、習主席が2013年9月に中央アジアを歴訪した際に提示した大規模経済開発構想が発端で、それが2015年になり、国家発展改革委員会が中心となって、「シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードの共同建設推進のビジョンと行動」として交付されたものです。

その名からも伺えるように、陸路(一帯)と海路(一路)の両方から、現代版のシルクロードを建設し、その大規模なインフラ投資を通じて、中国や当該経路の地域の経済発展を促進し、完成後には中国とユーロッパとの結びつきを強める効果が期待され、いずれも習近平国家主席が歴史に名を遺す一大イベントと位置付けられます。

陸路(一帯)は中国蘇州から西に向かい、新疆から中央アジア、中東、トルコを経て、ドイツなどヨーロッパにつながります。そして海路(一路)は、中国の福州、広州からシンガポール、インド洋のスリランカ、紅海を経てサウジ、エジプト、そして地中海に入りギリシャ、イタリアのヴェネチアへとつながります。

その大規模な構想を可能にするには資金的、金融的な裏付けが必要となり、それを賄うのがAIIBということになります。

つまり、中国が一国で進めるには資金面でも限界があり、広く欧米やアジア周辺国の資金も導入する必要がありました。実物面での「一帯一路」構想と、資金金融面でのAIIBが、セットで進められることになるわけです。

これがアウトラインですが、そもそも習主席が進める最近の経済改革と、この「一帯一路」構想は相容れない面を持ち、さらに周辺国の資金事情や中国が抱える債務問題の深刻さを考えると、この「一対一路」がスムーズに進むのか、その実現には多くの疑問符がつきます。

ロスチャイルド資本が構想を後押しか

「一帯一路」構想は、発展途上国にとっては有効な経済政策ですが、発展段階の異なる地域での進め方を中国が指導できるのか疑問です。そもそも中国はこれまでの発展途上国型経済モデルから転換し、経済や産業の構造改革を進めようとしていたはずです。それを周辺の「途上地域」のために、自ら構造改革を差し置いて以前の成長モデルに戻るのは理解に苦しみます。

それでもあえてこれを進めようとしている裏には、簡単には進まない鉄鋼、石炭、セメントなどの過剰生産能力の削減問題があり、結果としてこれを積極的に「一帯一路」構想で活用して過剰生産能力問題を拡大均衡の中で吸収しようとしている面があります。また、新たな「人民元経済圏」の構築を目指している、との見方もあります。

西側からは中国版「マーシャル・プラン」ではないか、との批判もあります。戦後米国が欧州経済復興に支援の手を差しのべながら、欧州を取り込んでいった記憶が残っているようです。そして中国国内的には、これを契機に、習国家主席が独裁的指導力を高め、「現代の毛沢東」を目指そうとの意図がうかがえます。

さらに、トランプ大統領の背後で影響力を行使するロスチャイルド資本が、積極的に欧州と中国の橋渡しを進めるべく、この構想を後押ししているように見えます。中国だけのインタレストで動いているのでないとすれば、ますますその全貌を理解することが容易でなくなります。

習近平氏の野望はわからないではありませんが、残念ながらここまで金銭的な裏付けが進んでいません。AIIBへの出資も欧州勢が協力的でないために順調ではないようで、事務局は何とか日米の協力を取り込みたいようです。

だからこそトランプ大統領の「親中派」色を利用して今のうちに協力を取り付けたいとの思惑もあるようですが、簡単ではありません。計画の多くが資金面のネックから立ち往生する懸念があります。

トランプの中国接近の意味

この「一帯一路」構想は、その大きな野望とは裏腹に、具体的な計画、準備が進んでいないので、日本企業が慌てて参画しても計画が頓挫し、持ち出しだけで終わるリスクがあります。

それよりなにより、トランプ政権の「親中」路線がまやかしと思われます。そもそも、「黄禍論」のトランプ氏が、黄色人種の安倍総理や習近平主席を好きだということ自体、眉唾物です。

それはさておき、トランプ陣営の中国に対する基本姿勢は「米中冷戦」であって、決して中国にシンパシーを持ったわけではありません。

一見、親中派に転換したかに見えるのは表向きだけで、これは中国に北朝鮮の核ミサイル開発を抑止させるための「アメ」の面と、今後米国が習主席の下で中国と冷戦を進めることを前提に、まずは習主席に秋の共産党大会で絶対的地位を確保させたいがゆえの「協力」の面があります。

このうち、まず北朝鮮の管理は、裏で米国のネオコンやユダヤ系が入り込んで北朝鮮に影響力を行使している面があるだけに、中国の成果は期待しにくい面があります。

ある意味では北の核ミサイル開発を遅らせる「時間稼ぎ」の面があり、しばらくの間、北からイランに核やミサイルの提供がなされないようにする目的が考えられます。最後は「結果が出ない」ことを理由に、対中強硬論に戻る兆しはすでに見られます。

秋以降、トランプの「中国叩き」再開へ

また秋の中国共産党大会で習国家主席の地位が安泰となれば、トランプ氏の目的は達成されたことになり、そこからは遠慮なく中国叩きに戻り、冷戦体制の構築を進めることになります。ウィルバー・ロス商務長官などは、共産党大会が終わるのを待ちきれずに、早くも「米中包括経済対話」のなかで、中国に無理難題を突き付けています。

7月19日の第1回包括経済対話の冒頭で、ロス商務長官は中国の巨額の対米黒字を批判し、早急に米中関係を公正で公平、かつ相互的なものにするよう求め、中国が米国製品をより多く輸入する形での不均衡是正を進めたいとしました。

会議の中で、米国は中国に対して、鉄鋼などの過剰生産能力を解消しろと迫り、中国からの鉄鋼輸入に高率関税をかけると脅しをかけ、さらに中国金融サービスへの米国企業のアクセス、外国企業に対する中国企業への出資上限の引き上げ、撤廃などを迫ったようですが、中国はこれらに難色を示し、共同記者会見も声明文もまとめられないまま終わりました。

つまり、トランプ政権の「親中派」転換は見かけ上のもので、せいぜい一時的で、少なくとも秋の共産党大会後には、改めて対中国の強硬論が復活すると見られます。

その時には巨大な貿易不均衡を力ずくで是正し、市場開放、金融の自由化、国有銀行への出資、経営介入、南シナ海への進出牽制、韓国への「THAAD」配備など、改めて中国攻勢を強めることになるでしょう。

中国の「壮大な公共事業」に潜むリスク

このようにみると、日本企業が「一帯一路」に加わることにはいくつかのリスクがあります。

確かに日本市場は少子高齢化による先行き縮小懸念が強く、これを打破するために「一帯一路」構想に乗ってみたいという気持ちはわかります。壮大な公共事業とも言えるからです。

しかし、話はそう簡単ではなさそうです。

前述のように、「一帯一路」構想については、中国当局のコントロールがどこまで及ぶのか、計画は進めたものの、途中で事業が頓挫するリスクがあります。とりわけ資金面で行き詰まる懸念があります。途中で行き詰まっても、中国の商業慣行では、資金や資源の回収が簡単にできないケースが少なくありません。

また、米国の対中国姿勢の変化により、中国経済、新興国経済に打撃となる事態も予想せざるを得なくなります。

中国共産党大会が終われば、米国は遠慮なく利上げを進める可能性があり、人民元安が新たな資本流出を招く面があり、他の新興国にも同様の問題が及びます。その場合、欧州資本(ロスチャイルド)からの支援で収拾するのか、予断を許しません。

日本は「トランプの次の一手」を読み切れるか

日本政府の外交姿勢も微妙になります。米国追随の日本政府としてはトランプ政権に倣って中国と対峙する面はあるものの、トランプ政権の米国が、世界から遊離し孤立化する面があります。

その米国に追随していると、日本も一緒になって世界から遊離するリスクがあります。

米国が世界の警察機能を放棄し、暗に世界の多極化を促すのであれば、日本としても米国一辺倒ではなく、ロシアや欧州、中国とも外交網を広げる必要があり、トランプ大統領もこれを拒否しないと見られます。

問題は、日本の外交当局が米国の動きを正しく評価し、米国と距離を置きつつ、弾力的に中国やロシアと外交を展開できるかどうかでしょう。

政府も日本企業も、表向きの米中関係に振り回されず、綺麗事を並べた「一帯一路」の誘惑に負けないよう、冷静な判断が必要です。中国は日本マネーを取り込みたいのですが、安易に乗ると、これが不良債権になって回収不能となるリスクがあります。

中国が政治経済面でスーパー・パワー化することも、日本には大きなリスクです。美しいバラには棘があることをお忘れなく。

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