10/8日経ビジネスオンライン 森英輔『TPP合意を受け、中国は日中韓FTAを加速させる 中国経済の今後を占う9月の輸出統計』について

エリートと言うのは上の人間としか付き合わないから、下々の考え、行動が理解できないのではと思います。いつも言っていますように中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」です。そういう社会で上に上り詰めるには何度も裏切りや過酷なことをしないとダメです。胡錦濤が鄧小平に見出されたのもチベット弾圧の技量を見込んでのことです。言って見れば、保身の才を身につけた知能犯のヤクザが上になっていると見た方が良い。下はもっと目に見えるように荒っぽい。小生は中国駐在8年間で下のそういう人たちと付き合ってきました。

李克強インデックスは時代に合わないと言いますが、では「信頼できる数字を出してくれ」と言いたい。信頼できる数字が出ないから、李克強インデックスを使って中国経済を評価しているのです。高橋洋一は李克強インデックスを使って、中国のGDPは▲3%と推定しました。投資判断するときに嘘の数字を基にはしないでしょう。自分のお金を預けるときにはより正確な数字を求めるハズです。瀬口氏の言い方は投資判断を誤らせます。以前の日経新聞と同じで、あれだけ中国進出を煽っていましたが、今は流石におとなしくなっています。それはそうでしょう。実体経済が悪くなっていますので。まあ、平気で嘘をつけるのが民族の特性なので、デタラメな数字を出すのは当り前なのでしょう。大躍進時に嘘の数字を上に出したため餓死者が数千万人単位で出たとのこと。こんなことが平気でできる国です。もっと歴史を勉強した方が良い。それと下々の人とも付き合うことです。

TPPは米国議会で批准されるかどうかですが、ヒラリーは「現時点では不支持」と言っています。選挙対策なのでしょうけど、「三百代言」の厭らしさが目につきます。米国はウイルソン大統領の推進していた国際連盟も批准しなかった前例がありますので、何とも言えませんが、TPPが中国の経済的封じ込めを目指すのであれば、共和党は乗るのではと思っています。日中韓のFTAなんて急いでやる必要はありません。騙されるのがオチです。今までもレアメタル(中国)や農水産物(韓国)で煮え湯を飲まされてきたではないですか。騙すのが国技の2ケ国と付き合っても碌なことにはなりません。「非中三原則」「非韓三原則」で行くべきです。

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5年にわたって協議が続けられてきたTPP(環太平洋経済連携協定)が10月5日、ついに大筋の合意に達した。これは中国にどのような意味を持つのか。6月の株価急落、8月の人民元安を経て、中国経済に対する懸念が高まっている。中国経済は今後、いかなる経過をたどるのか。長年、中国をウォッチしている、キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之・研究主幹に聞いた。

瀬口 清之(せぐち・きよゆき)氏

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1982年、東京大学経済学部を卒業し、日本銀行に入行。2004年、米国ランド研究所に派遣(International Visiting Fellow)。2006年に北京事務所長、2008年に国際局企画役。2009年からキヤノングローバル戦略研究所研究主幹。2010年、アジアブリッジを設立し代表取締役。

—TPP交渉がついに大筋合意に達しました。中国はTPPをどのように見ているのでしょう。

瀬口:中国はこれを中国包囲網と見ています。それも単なる経済的な協定ではなく、安全保障にも関わる取り組みと見て危機感を高めています。中国が展開しようとしているアジアインフラ投資銀行(AIIB)や一帯一路構想はTPPに対抗するものと言えるでしょう。

—TPPが中国の安全保障にも関わるというのはどういう意味ですか。

瀬口:経済的な関係の強化が安全保障上の関係の深化につながるからです。例えば南シナ海で、中国はベトナムと領有権紛争を抱えて対立しています。しかし、両国間の貿易が増え、経済的な関係が強まれば、安全保障上の対立を緩和させることが期待できます。ところが、TPPによってベトナムと米国との経済関係が強くなると、こうした思惑が実現しづらくなる。

 同様の思惑が米国にもあります。米国は西太平洋において日本やオーストラリアと安全保障上の強い関係を築いています。TPPによって経済関係を深めることで、この安全保障上の関係を補強したいと考えているのです。中国は、米国がTPPによって西太平洋の同盟国及びその予備軍、中国と紛争を抱える国々との経済関係を強め、それを安全保障上の関係強化につなげることに警戒を強めているわけです。

 中国は、その一環として、日本がこれ以上、米国べったりにならないよう、日中関係を融和の方向に持っていこうとするでしょう。日米関係は今、オバマ政権が発足して以来、最高の状態にあります。安倍政権は4月に日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改定。9月19日には、安全保障法制を成立させました。オバマ政権は安倍政権による一連の安全保障政策を非常に高く評価しています。そして今回、TPPで合意。安全保障と経済の両面での日米関係強化は、中国にとって大きな脅威になります。

 中国は、TPPへの対抗策として、具体的には日中韓3カ国による自由貿易協定(FTA)交渉を加速させるでしょう。日中韓FTAは日韓関係の融和にもつながる。この意味においても、TPPの合意は大きな意味を持っています。

一帯一路構想はTPPへの対抗策

—一帯一路構想がTPPへの対抗策であるというのは、どういうことでしょう。

瀬口:TPPは太平洋を取り巻く米国主導の経済圏作りです。これに対して一帯一路構想は、中国から欧州に至るユーラシア地域に作る中国主導の経済圏だからです。中国は米国に対抗しうる大国になることを望んでいます。中国が主導して新たな世界秩序を打ち立てたい。この仲間作りを、経済関係をドライバーにして行うのが一帯一路構想だと言えます。中国は軍事的には米国と対抗できないことを分かっています。なので、経済関係を重視している面もあるでしょう。

—一帯一路構想がTPP対抗策であるなら、米国は中国をTPPに入れないつもりでしょうか。

瀬口:いえ、そうではありません。これは短期と中長期に分けて考える必要があります。短期的には、米国は中国を入れないつもりでしょう。国有企業の問題など中国が短期間で克服するのが難しい高いハードルを設けたのはこのためです。これは、先ほど触れたように、西太平洋地域を中心にアジア太平洋の国々との関係をより緊密なものにすることが狙いです。米国が主導する世界秩序形成を経済連携の面から固める。

 しかし、中長期的には中国を受け入れるでしょう。中国の市場規模は無視できません。ただし、米国が主導して作ったTPPのルールに従うなら--という前提付きです。バラク・オバマ米大統領はTPPの大筋合意を受けて「中国のような国に世界経済のルールを作らせるわけにはいかない」と語りました。この発言が米国の考えを如実に表していると言えるでしょう。中国を名指しして、このような発言をしたことには驚きました。習近平国家主席との首脳会談からまだ10日しか経っていませんから。これは最近の米国国内における反中感情の厳しさを物語っていると思います。

将来は人民元を中国経済圏の基軸通貨に

—米国のルールメーカーとしての地位を支えるシステムの一つにドル基軸通貨体制があります。AIIBは、一帯一路構想が想定する中国経済圏において人民元を基軸通貨にするためのツールなのでしょうか。新興国のインフラ開発向けに人民元を融資して、人民元決済を増やしていく。

瀬口:すぐにそこまで進むことはないと思います。例えば人民元建てで入札を行っても、入札しづらい国や企業がある。そうなれば逆に、AIIBの地盤沈下につながってしまいます。

 ただし、一帯一路構想が対象とする地域において人民元の利用が自然に増えることは望んでいると思います。最終的には地域内で人民元を基軸通貨的な存在にすることを思い描いているでしょう。

—中国はIMF(国際通貨基金)の準備資産であるSDR(特別引き出し権)を構成する通貨に、人民元を加えたいと考えています。これは将来、人民元を基軸通貨にするためのステップなのでしょうか。

瀬口:それは言えると思います。ただし、基軸通貨となるためには金利の完全な自由化、為替の完全な自由化、資本移動の完全な自由化の3つを進めることが不可欠です。中国はその方向を目指していますが、まだかなりの時間を要することでしょう。

 6月の株価が暴落した時および8月に人民元が急落した際に、中国政府は市場実勢に逆らう形で大規模な市場介入を行いました。これを念頭に、世界の市場参加者は「中国政府は市場実勢を無視する形で再び大規模介入することがあるかも」と懸念しています。中国政府がこのような不信感を持たれているようでは人民元が基軸通貨の役割を果たすことはできません。中国共産党が一党独裁体制を維持している限り、この懸念を払拭することは難しいかもしれないですね。

中国経済の将来を占う9月の輸出統計

—中国が8月にドル売り元買いの大幅介入を実施したのは、それだけ元安を恐れていたからでしょうか。

瀬口:その通りです。為替市場では元安期待が高まったので、今のうちに人民元をドルに替えておこうという思惑が広がりました。放っておけば、さらなる大幅かつ急速な人民元安を引き起こします。

—事の発端は、中国政府が8月11日に人民元の基準値の決め方を変更し、5%弱の元安を容認したことにありました。

瀬口:そうですね。中国は人民元の地位向上に不可欠である為替自由化の歩みを進める意図で基準値の決め方を変更したのだと思います。中国政府が恣意的に決める方法から、前日の終値に反映された市場実勢を尊重する形で当日の基準値を決定する方式に変えました。しかし、ちょうどこの時期、中国の輸出の伸び率が落ち込んでいました。加えて、基準値の決め方を変更した直後に公表された国内経済指標も予想以上に弱い数字だったので、「元安を誘導し輸出をてこ入れしなければならないほど中国経済は悪化している」との見方が広まってしまったのです。それが、さらなる元安を招いた。

 中国が元安誘導で輸出の拡大を図ったという見方は間違っていると思います。この時の元安はわずか5%ほどです。この程度の元安で輸出を増やすことはできません。日本がアベノミクスの下で50%もの円安に誘導しても日本の輸出が今の状態にあることを考えれば、今回の元安の効果のほどは知れているでしょう。

 私は今後の人民元、そして中国経済の展望を占うものとして、中国が発表する9月分の輸出統計に注目しています。万が一、ドル建ての輸出額が前年同期比で再び6~10%落ち込むようなことがあれば、中国の輸出の先行きに対する不安が高まり、元安の圧力が高まるでしょう。

 そうなれば中国政府はドル売り元買い介入をし、人民元の買い支えを図ることになる。これは外貨準備高の低下につながります。仮に、現在3.5兆ドルある外貨準備高が2兆ドルを切るレベルにまで急速に減少するような事態になれば、中国は現行の管理フロート制をあきらめる道を選ぶかもしれません。

—人民元を買い支えきれなく可能性があるということですね。その先にあるのは、どのような事態でしょう。

瀬口:1つの選択肢として考えられるのは、為替を一気に完全自由化する道です。完全フロート制への移行ですね。そうなれば、人民元のさらなる大幅安が避けられないでしょう。例えば現在1ドル=6元の相場が1ドル=8元になれば、中国は厳しい輸入インフレに陥ります。部品を海外から輸入している製造業など、ローカルコンテンツへの依存度が低い産業は大打撃を受けます。中国と貿易をする外国にも影響が及びます。資源国の中国向け輸出が今以上に減少するでしょう。日本が謳歌している爆買いも影を潜めることになります。

—米国が利上げの時期をさぐっています。もし利上げがあれば、人民元相場にどのような影響があるでしょうか。

瀬口:さらなる人民元安を促すことになるでしょう。米国が量的緩和策の出口政策を年内に実施すれば、一段とドル高に向かうことが予想されます。これに対して人民元が対ドルレートを維持しようとすれば、人民元も連れ高になります。これは中国の輸出競争力をさらに低下させ、輸出の伸び悩みを深刻化させることが懸念されます。

 そこで人民元の対ドルレートを切り下げざるを得ないとの見方が広がれば、人民元売り圧力が一段と高まる可能性があります。

—中国の9月の輸出の伸び率が大幅なマイナスだったら、米国は利上げを見送ることになるのでしょうか。米中は、対立要素を抱えつつ、経済関係を密にしています。米国も中国経済がさらに悪化する事態は望まないでしょう。

瀬口:このあたりの事情は非常に複雑です。まず、小売り大手の米ウォルマートなどの輸入産業は米利上げがもたらす元安を歓迎するでしょう。米国は中国から実に様々なものを輸入しています。元安は、輸入品の価格低下を意味し、米国の物価を安定させる要因になります。

 ただし米国にもリスクがあります。元安で、生産拠点としての中国の魅力が高まると、シェール革命を機に米国内に回帰していた製造業が拠点を中国に移す動きを始めるかもしれないからです。中国からの輸入品の増加と相俟って、米国内の雇用に対するマイナスのインパクトが高まるのは避けられないでしょう。

中国経済が緩やかに成長する条件

—ここからは、中国の実態経済の将来について伺います。6月半ばに株価が暴落した後、8月半ばには元安が追い打ちをかけ、不安視する見方が強まっています。

瀬口:そうですね。株価が暴落して不安が拡大していた時期に人民元が切り下げられ、さらなる株価の下落を招きました。8月に発表された7月分の経済指標が芳しくなかったことも、これに拍車をかけました。

—でも、瀬口さんは、中国景気は今後、成長率が緩やかに回復していくと見ているのですよね。

瀬口:はい。これから挙げる3つの条件を満たせば、中国経済は落ち着きを取り戻すし、市場も安心すると考えています。第1の条件は、先ほどお話しした9月の輸出が前年同期比でプラスになることです。マイナスであっても、せいぜい1~2%減程度に収まること。第2の条件は、9月の経済指標で「工業生産」と「小売総額」、すなわち生産と消費の指標が8月の伸びを上回ることです。第3に、不動産投資の伸び率の低下傾向が年内に反転して回復に向かい始めることです。

 投資の状況を表わす「固定資産投資累計」の伸び率が低下し続けても問題ありません。この伸び率の低下は過剰生産設備の処分が進んでいることを示すからです。

 7~9月期のGDP伸び率について、市場では6.8%前後と見る向きが多いようです。ふたを開けて見なければ分かりませんが、十分にあり得る数字だと思います。しかし、「李克強インデックス」を基に、実態のGDP成長率は5%前後とする見方には私は与しません。このインデックスは中国経済の弱い部分にスポットを充てており、下方バイアスがかかっているからです。

李克強インデックスは中国経済の実態を表わさない

—李克強インデックスのどこに問題があるのですか。

瀬口:李克強インデックスは、中国の李克強首相が重視する電力消費量、鉄道輸送量、中長期新規貸出残高を合成して作る指標です。このうち、電力消費量と鉄道輸送量は、中国経済全体の実態を示すものとは言えなくなっているからです。理由は3つあります。

 1つは、中国経済で第3次産業へのシフトが進んでいること。これら2つの指標は重厚長大型の製造業の活動と関係が深い数値で、第3次産業の動向を適切に表すとは言えません。しかも、ニューノーマル政策の下で中国政府は重工業分野を中心に過剰設備の削減を進めています。これが製造業の生産を低下させ、2つの指標を押し下げる方向に働いています。

 第2の理由は中国で省エネが進んでいること。経済が成長するのに以前ほどの電力を必要としなくなっています。第3の理由は国内輸送手段が鉄道からトラックへと移っていることです。高速道路網が整備され、トラックでの輸送が便利になりました。納期も、鉄道よりもトラックの方が守れるようになっています。日本でも昭和30~40年代に同様の動きが起こりました。

—来年に向けて成長率をどう見ていますか。

瀬口:3つの成長ドライバーがあると考えています。地方政府による公共投資、不動産投資、そして第13次5カ年計画に伴う投資です。

—地方政府による公共投資と不動産投資は、今日の経済不振を招いた元凶です。これからも、それらに頼っていくのは適切なことなのでしょうか。

瀬口:ご懸念はもっともです。地方政府によるこれまでの投資は、炭鉱や鉄鋼業を中心に発展する都市に、立派な役所を建てたり、誰も来ない大きなショッピングモールやリゾート施設を作ったりする無駄なものが多く見られました。しかし中国はこれまでの失敗に学び、投資の中身を効率的で収益性の高いものに変えていく方針です。中央政府は金融機関に対し、実需を伴わない無駄な投資には融資しないよう指示を出しました。

 もちろんこれまでもすべての投資が非効率だったわけではなく、実需を伴う投資として実を結ぶものもありました。例えばこの10月に、重慶と成都をつなぐ高速鉄道がサービスを始めます。これまで2時間かかっていた移動が1時間に短縮されます。これは重慶=成都間の経済圏を大幅に活発化させるでしょう。これに伴って、この地域の不動産投資も実需を伴って拡大していくことが見込まれます。

 この高速鉄道は北の西安、南の昆明へとさらに伸びていく予定です。これが各地の産業集積の形成を促進し、西部地域の経済活性化に大きく貢献していくでしょう。さらに、同様のことが、新首都経済圏=北京・天津・河北省(京津冀)=でも進むとみられます。

—第13次5カ年計画では、どんな取り組みを進める予定なのですか。

瀬口:主要国家級プロジェクトとして、いま触れた新首都経済圏の構築、長江流域経済ベルトの確立、一帯一路構想の推進が挙げられます。現時点ではまだ具体的な開発案件は明らかになっていませんが、来年3月の全国人民代表大会(全人代)で批准される予定です。

—中国市場が緩やかに成長していく時、日本企業にはどんなビジネスチャンスがあるでしょう。

瀬口:今、注目されている「爆買い」を考えてみてください。そこにビジネスの芽が表われています。中国人が日本に来てまで買うものが中国国内で入手できるようになったら、買わないわけがありません。

 先日、武漢を訪れました。武漢経済技術開発区では、イオンが武漢2号店を開く準備を進めていました。そしてイオンの進出に伴って、吉野家やニトリも進出しています。イオン1号店にテナントとして入っている吉野家では、2時間待ちの行列ができることも珍しくないと聞いています。

 自動車もまだまだ期待できます。8月の統計で、トヨタの新車販売台数は前年同月比20%増、ホンダは50%増を記録しました。トヨタではカローラが人気を集めています。日本車の価格性能比の良さに中国の消費者が気付いたのでしょう。一方のホンダは武漢で第3工場の建設を続けています。こうした動向から今後のビジネスチャンスが読み取れるのではないでしょうか。

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