『中国「一帯一路」が英国の国家事業に触手を伸ばす思惑』(1/12ダイヤモンドオンライン 姫田小夏)、『英国のEU離脱を歓迎し、待ち構える中国 ブレグジットでますます深まる英中経済関係』(1/9JBプレス 姫田小夏)について

1/8アポロネット<中共國恐怖計劃 兩年後全體國民成瓮中之鱉 ——逾700萬人登上黑名單=中共国務院は恐怖計画を持つ 2年後には国民全体が甕の中のスッポン同様逃げられず 700万人超がブラックリストに掲載>国が国民を評価するシステムを作り、公共道徳、政府への不満の言論をした人はブラックリストに載せられ、既に700万人を超えたと。二等国民として、航空券や乗車券も買えないし、銀行ローンや住宅も買えない。新聞記者は腐敗追及の記事を載せただけでブラックリスト入りした。2017年、何の通知もなく、逮捕もないのにこの扱いを受けた。2013年に捏造拡散罪で逮捕・起訴、2015年に裁判では名誉棄損で訴えられ、判決はHPに謝罪文の掲載を要求された。この信用システムは、当局が政治的に異なる意見に対し圧力をかける手段として使っているのに、驚くことに、大陸の人は批判を多くしない。

共産党は毛沢東がやった黒5類と同じことをやろうとしています。共産党に敵対する者は二等国民に仕立て上げ、社会生活をできないようにします。まだ文革のように虐殺が起きていないだけマシとは言えるでしょうが、党や政府を批判できない社会程恐ろしいことはありません。これが三権分立のない、選挙で自分達の統治者を選ぶこともできない共産主義の実態です。

http://hk.aboluowang.com/2018/0108/1051666.html

1/8希望の声<“一代奸相”周恩來42周年忌 評:秦檜、西特勒自嘆不如=一代の国民への裏切り宰相 周恩来の42周忌 評価:秦檜もヒットラーも彼には及ばない>毛沢東が文革後、聖壇から降り、周は共産党の道徳聖人の役割を果たした。しかし、周がいなければ、毛は文革を発動できなかったし、他の残虐な事件も周が手を貸していたのでできた。日本人の中で、周は不倒翁として褒め称える向きもありますが、単なる保身の塊です。毛を抑えようとすれば出来たかもしれないのに、それをせず何千万と餓死させました。彭徳懐将軍の方が良心的でしょう。

http://www.soundofhope.org/b5/2018/01/08/n1429749.html

1/10ダイヤモンドオンライン・ロイター<中国の不良債権市場、世界的な専門ファンドが食指>悪辣な中国は、ハゲタカの為すが儘にはさせないでしょう。買わせておいて急に法律を変え、売らせることをできなくし、再建したらハゲタカの買値で、買い戻しするのでは。こんな国を信用する方が間違っています。

http://diamond.jp/articles/-/155410

1/10希望の声<传一批中共特工渗入朝鲜 金正恩生日加强警戒>朝鮮の新義州に中国のスパイが入り込んでいるので、(斬首作戦を恐れてか?)朝鮮の緊張は高まっているとの話です。

http://www.soundofhope.org/gb/2018/01/10/n1439115.html

1/12日経朝刊「EU離脱、後戻りできない英国 ジャンクロード・ピリス氏 元EU理事会法制局長 

英国の欧州連合(EU)離脱交渉の第1段階が簡単でなかったのは、英政府と英保守党が結束できず、国民に「交渉はとても難しい」と説明できずにいたからだ。国民が何を望んでいるかを知るには、EU離脱から15年は必要だろう。その間、経済的には苦しむ。

Jean-Claude Piris フランス国立行政学院(ENA)卒。仏国連代表部などを経て、2010年までEUに勤務。数多くのEU条約の起草に携わった。74歳。

EU加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインの31カ国が加盟し、人やモノ、カネ、サービスを域内で自由に行き来させられる欧州経済地域(EEA)がある。英国では今でも多かれ少なかれ、EEAのような合意をEUと結べるという幻想がある。

しかし、英国は合意を結べない。EUから離脱した後はEUの政策決定に参加できないのに、英国のような大国がEUの法律のコピーを受け入れるわけがない。法的に可能だとしても、EEA入りには残る30カ国の議会承認が要る。

英EUの将来の協定は、EUがカナダや韓国と結び、日本と交渉が妥結した自由貿易協定(FTA)なら可能だ。協定はFTAに「プラスアルファ」を加えるのがいい。安全保障やテロ対策、原子力、医薬品、航空といった分野での協力になるだろう。

英国は現状のままだと離脱後、EUの金融サービス市場には自由にアクセスできなくなる。EUとカナダのFTAの金融の取り決めは、世界貿易機関(WTO)の協定を写した薄い内容だ。英国はEUと金融規制などで同等の条件を得ようと努めるだろうが、同等かどうかはEUの執行機関である欧州委員会が決める。

ロンドンの金融街シティーは魅力的な場所で、多くの人材を抱える。(EU離脱後に)1万~10万の雇用が失われても、シティーの終わりでない。EUと自由にアクセスできなくなるのは、英国への懲罰でも差別でもない。EU加盟国でないウクライナのような欧州の国に示した条件と同じだ。

もし(単一市場内での)人の移動の自由を望んでいない国があれば、移動できなくなる。スイスにも金融サービスの自由なアクセスは与えていない。単一市場はEUの魂そのものだ。金融サービスだけいいとこ取りするのは、政治的にも法的にも問題外だろう。

離脱後の少なくとも2年近くの移行期間中、英国は今のまますべてを手に入れられる。ただEUがそれを超えた期間を設定する用意があるとは思えない。せいぜい1年を加えた3年近くだろう。アイルランドは5年というが、無理だ。離脱から5年後(2024年)には市民を代表する欧州議会の選挙がある。

英国のEU離脱自体の撤回は可能だろうか。実は法的には、交渉の最初の時点では可能だと思った。英国が単一市場に残りつつ、ユーロ圏に対しても、国境管理を廃止したシェンゲン協定にも入らない今の立場を保てると思った。しかし、政治的にもう後戻りできるとは思えない。EU離脱を撤回する可能性はせいぜい2~3%で、それ以上ではないだろう。

仮に英国とほかのEU加盟27カ国がEU離脱撤回で合意しても、合意案は英下院だけでなく欧州議会でも審議される。私は英国が要請すれば離脱を撤回できると思っているが、加盟国で構成するEU理事会の法制局によると、撤回には英国の要請に加え27カ国の合意が必要という。

欧州議会は撤回の阻止さえできる。予定通りであれば、英国がEUから離脱した直後の19年5月か6月、次の欧州議会選が控える。(英国のEU残留を前提に)欧州議会の選挙運動が英国で展開されるとは想像できない。現実的・政治的にEU離脱撤回の可能性はほぼなくなった。英議会が離脱に反対し、政権が退陣し、総選挙や再び国民投票があったとしても時間切れを迎えつつある。

EUが英国を失うのはとても不幸で、悲しいことだ。EU理事会の法制局時代も英国人とともに働いてきた。だが、EUにとって単一市場は必要不可欠で、きわめて重要なのだ。単一市場のルールはEU司法裁判所で解釈される。その司法管轄権は厳密に守らなければならない。

(談)

準備進む欧州議会

ピリス氏はEU法の権威だ。英国のEU離脱撤回は可能と訴えてきたが、主張を百八十度変えたところにEU本部のあるブリュッセルの雰囲気の変化がみてとれる。

日本ではなじみの薄いEUの議決機関である欧州議会だが、19年の次回選挙を控え、実は英EU離脱を前提にした改革案をめぐる水面下の議論が大詰めを迎えている。欧州議会選挙法の改正にあわせ各加盟国の選挙法も変えなければならず、「逆算すると18年の早い段階で改革案をまとめねばならない」と欧州議会幹部は明かす。

欧州議会選の準備が着実に進む中、英国はもう後戻りできなくなったというのがピリス氏の判断だ。度重なる条約改正で権限を強める欧州議会は交渉自体にもにらみを利かし始めている。(編集委員 瀬能繁)」(以上)

ピリス氏の言うのは、英国のEU脱退撤回は加盟国の承認が要るのでできないとの見通しですが、元々英国にその気もないでは。あれば早くから手を打っていたでしょう。“Commonwealth of Nations ”と中国を活用しようとしているのかも。ただ姫田氏の意見にもありますように、中国の狙いは“Commonwealth of Nations ”に「一帯一路」を繋げようとしている訳ですから、取らぬ狸になる可能性があります。オズボーンは中国人の正体を知らずウブだったか、ハニーにでもかかったかです。何せ中国の屈辱の原典は阿片戦争にあります。ただ当時の中国は満洲人に統治されていましたが。扶清滅洋から滅満興漢に簡単に切り替わるのですから、漢民族は如何に忠義のない民族という事です。阿片戦争については、英国を相当恨んでいる筈です。英国王室の執事としてのロスチャイルド(真田幸光氏談)に中国とくっつくことをどう思っているのか聞きたいものです。河添恵子氏は習近平はリークワンユー亡き後のロスチャイルドの東南アジアの代理人だと言っていました。

ダイヤモンドオンライン記事

急接近する中国と英国

中国と英国が急接近している。両国が距離を縮め始めたのは、1997年の香港返還が契機だが、これまで中国にとっては、長期にわたって「喉の奥に小骨のささった状態」が続いていた。

ロンドンのチャイナタウンは、すごい賑わいを見せていた Photo by Konatsu Himeda

そもそも、中国と英国の関係には長い歴史がある。南京条約(アヘン戦争の講和条約・1842年)で英国は清朝に開港を迫り、香港を割譲させた。その後英国は、日清戦争(1894~95年)のドサクサにまぎれて香港の領域を拡大させ、1898年から99年間にわたる租借権を設定したのだ。

近年は、2012年にキャメロン首相が、ダライ・ラマ14世と会見したことが関係をギクシャクさせたが、2015年10月の習近平国家主席による訪英で、二国間関係はこれまでにない発展的局面を見せた。

このとき、両国はその外交関係において「21世紀グローバルな全面的戦略パートナー関係」を結び、英中両首脳(当時の英国はキャメロン政権)はこの二国間関係を「黄金時代を迎えた」と自賛した。

従来、中国にとって英国は「全面的戦略パートナー関係」という立ち位置だったが、これが格上げされた形だ。「21世紀」「グローバル」「全面」「戦略」「パートナーシップ」という五つのキーワードの並列について、中国の研究者は「二ヵ国の関係が最高級の段階に引き上げられたことを示唆するもの」と指摘する。

ちなみに同じ欧州でも、中国とフランスの関係は、中英関係に比べて温度差がある。1月9日に北京で行われた中仏首脳会談では、1997年に結ばれた「全面的戦略パートナーシップを推進」することで一致を見たものの、英国とのパートナーシップからすればその成果は精彩を欠く。

「一帯一路」が英国の国家事業とドッキング

訪英時の演説で習主席は、「一帯一路は開放されたもので、英国など欧州国家の参加を歓迎する」と強調し、英国に向けてアピールした。英国によるお墨付きをもらえれば、「一帯一路」も”鬼に金棒”との思惑が見て取れる。

振り返れば2015年、米国やEUとの歩調も顧みず、英国が率先してアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟したことは、中国が進めようとする「一帯一路」に自信を与えるものにもなった。中国はこれを「英国は『一帯一路』に対し金融面からサポートするもの」と解釈したのだ。

習主席の滞在中、両国は、総事業費160億ポンドの原子力発電所建設プロジェクトを始め、英国政府によるイングランド北部の経済振興策(ノーザンパワーハウス)のプロジェクトを含む、総額400億ポンドにのぼる150のプロジェクトに署名した。 「150のプロジェクトに署名」というのは、そもそも英国が進める国内プロジェクトに中国が便乗した構図だが、英国の一部のプロジェクトは、「一帯一路」とドッキングした形になった。

「既存のプロジェクトに相乗りする」という手法で、「一帯一路」に関わりのある国を増やそうというケースは、他国の例でも散見される。

イングランド北部の経済振興策は、「EU離脱決定を受けて、政府が今後ロンドンのみならず、英国全土への投資誘致を強化する上で重要性を増す」(自治体国際化協会ロンドン事務所)と言われており、ロンドンに次ぐ第二の経済の中心を形成すべく、産業振興と交通インフラ整備が計画されている。これが、インフラ建設を得意とする中国の”垂涎の的”であることは想像に難くない。

原発建設への中国資本の参入については、一時、英国メディアの強い危機感とともに、メイ首相が再検討に入る場面もあったものの、最終的には調印にこぎつけた。

英国が中国資本に対して行った市場開放は、「メード・バイ・チャイナ」(特に原発建設)にお墨付きを与え、世界市場を切り開く追い風になったという意味で、今後の「一帯一路」にとって中国に有利な展開になったことは間違いない。

余談だが、ドッキングを提案したのは、キャメロン政権時の財務大臣ジョージ・オズボーン氏だったという。オズボーン氏は親中派で知られており、英国では「拝金主義者」かつ「中国共産党寄り」という悪評すら存在するようだ。「英国がAIIBに先進国で一番乗りしたのは、彼が首謀したからだ」とも伝えられている。

大英帝国の”遺産”にうまみか

「一帯一路」の布陣を広げるなかで、中国が英国を重要国家に位置づけるのは、いくつかの理由がある。

その一つが、英国を抱き込めば、間接的に英連邦圏への影響を強めることができ、「一帯一路」の舞台を格段に広げられるという胸算用だ。英国をパートナーにすれば、欧州市場はもとより北米、中東、アフリカへのアクセスに弾みがつく。

大英帝国時代、英国もまた植民地でインフラ建設に乗り出し、鉄道や道路の建設が行われた。商品の供給先や資本の投資先、あるいは資源の調達先である植民地で、当時英国が行ったインフラ整備は、まさに中国の「一帯一路」と相似を成す。

サマセット・モームの小説には、南洋の島に英国から派遣された行政官が、実に狡猾に地元の労働者を使いこなす様子が描かれているが、世界経済の頂点に立とうとする中国は、経験豊富な英国を巧みに利用しようとしているのではないだろうか。

英国も「中国しか目に入らない」

日増しに高まる中国の影響に「いまや英国は中国しか目に入らない」と語るのは、ロンドン在住の日本人実業家だ。その変化は日常にも色濃く表れる。

「ロンドンのギャラリーで貸し出すイヤホンガイドは、日本語から中国語に取って代わりました。飛行機のビジネスクラスで配られるのは中国紙、中国人スタッフが常駐するブランドショップでは、中国人客を歓迎こそすれ日本人客には見向きもしません。テレビのコンテンツに至っては、中英同時放映が実現しますが、日本に番組が上陸するのは1年遅れです」

皮肉なことに、筆者がロンドンで最もにぎわいを感じたのがチャイナタウンだった。「安くておいしい」という評判もあるのだろう、小雨の降る夜、実に多くの観光客でごった返し、どの飲食店にも長蛇の列ができていた。

英国において、日本企業はまだ優勢だが、今後は中国企業の対英投資に勢いが出てくる可能性が強い。それは、中国が「世界2位の投資大国」となったからでもある。中国商務部によれば2015年、中国の対外直接投資総額は1456億ドルとなり、日本の対外直接投資の1364億ドルを抜いた。中国の旭日昇天の勢いは否めない。

世界の観光客が集まるロンドンの中華街が暗示するのは、「品質もそこそこで価格も安い」とされる”メード・バイ・チャイナ”の影響力だ。「老獪な英国は、日本と中国を競争させようとしている」(在英の日本人駐在員)といわれるだけに、その動向から目が離せない。

(ジャーナリスト 姫田小夏)

JBプレス記事

英ロンドンのバッキンガム宮殿で開かれた公式晩さん会で、エリザベス女王(右)と乾杯する中国の習近平国家主席(2015年10月20日撮影、資料写真)。(c)AFP/DOMINIC LIPINSKI〔AFPBB News

1月2日、米調査会社のユーラシア・グループが「2018年の10大リスク」を公表した。その筆頭は「中国の影響力」だが、8位に「英国」がランキングしている点にも注目したい。なぜ英国がリスクかというと、ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)の期限が2019年3月末に迫るなか、英国が首尾よくこの離脱手続きを進められるかが問われているためだ。

ロンドンに拠点を置く日本の政府機関も、「英国とEUとの間で交渉の進め方に隔たりがある」と懸念する。英国は離脱に関わる清算金の交渉にケリをつけ、離脱後の貿易条件を協議したいところだが、「EUから自由になりながらもEUとの関係を維持したい英国の思惑に、EUは反発している」(同)という。

EU離脱は英国経済や社会に短期的な弊害をもたらす。一方、EU残留は長期的な苦痛をもたらす――そんな判断のもとブレグジットを選択した英国に対し、国際社会は「2018年のリスクは英国そのものだ」と悲観的な視線を向けている。

ブレグジットは「リスクよりチャンス」

しかし、“ブレグジットは好機だ”とばかりに英国に急接近を図っている国もある。中国だ。

2016年6月、離脱をめぐる英国の国民投票が僅差で「離脱」という結果になったとき、中国は歓迎しなかった。中国による英国企業の買収が進む中、「中国が投資した資産価値はどうなるか」が懸念されたのだ。

だが時間の経過とともに、「英国のEU離脱は、中国にとってリスクよりチャンスが大きい」と楽観視する空気が形成されていき、英国に同調する記事も徐々に増えてきた。

例えば、中国商務部のシンクタンクに所属する研究員は、中国紙への寄稿で次のように指摘している。

「EUの管理システムは官僚主義だ。そのルールは世界で最も細かくて煩わしく、事務効率は主要先進国に比べて低い。これらは英国の経済的活力をそいできた」

EUとの交渉を担当した日本の通産省OBも、「EUは各国の寄り合いなので意思決定に時間がかかるのは事実。そもそも『欧州の統合』という高邁な理念のもとに結成された組織なので、理念先行のきらいがある」と明かす。

英国はこうした大陸諸国とは異なり、よりプラグマチックに思考する。「経済的実利」を追求するという点では、むしろ中国とそりが合うといえるだろう。両国がブレグジットをきっかけに接近を図ってもおかしくはない。

英国市場へのアクセスが容易に?

話は10年以上前にさかのぼるが、2005年に繊維製品の輸入数量規制が撤廃されると、EU市場にどっと中国製品がなだれ込んだ。このとき、EUは緊急輸入制限(セーフガード)の発動を発表するが、英国は自由貿易を主張して輸入制限に反対した。中国は今なお、このときの英国の対応を評価している。

そして、英国のEU離脱に対しても、英国との貿易の障壁を低くし、英国市場にアクセスしやすくするものであると確信しているのだ。

2017年1月、浙江省義烏と英国ロンドンを結ぶ国際貨物列車が運行を開始した。鉄道によって中国と英国の市場はますます接近している。義烏から運ばれる貨物は大半が日用雑貨だと言われるが、ロンドン発の復路にはウイスキーが積まれている。

ウイスキーは英国にとって、国内産業をけん引する重要な商品である。しかし人口6500万人(2015年)の島国である英国にとって国内市場は今後の成長が見込めない。そのため輸出拡大への取り組みを避けることはできない。そこにタイミング良く打ち出されたのが中国の「一帯一路」構想だった。英国のウイスキーは今後「一帯一路」に乗って中国へ大量に運ばれるだろう。

中国メディアは「『一帯一路』はブレグジット後の英国に、市場のみならず自信も与えることになるだろう」と論じている。

中国は、英国が債務問題を抱え、生産現場が資金不足に陥っていること、大量のインフラが老朽化していることを知っている。「英国にはパートナーが必要だ。中国の投資で製造業を復活させてやろう」――中国がそう目論んでいることは想像に難くない。

両国は「英中黄金時代」を宣言

中国の掲げる「一帯一路」と英国の「ノーザンパワーハウス(Northern Powerhouse)」(イングランド北部の経済振興策)、中国の「メイド・イン・チャイナ2025」(製造業の強化を図る政策)と英国の工業政策「The future of manufacturing」など、両国の経済政策には類似性があり、さまざまなプロジェクトの相互乗り入れが検討されている。

また、中国は「ロンドンが、中国の人民元の国際化を推進する橋頭保になる」と期待している。ブレグジットが決まった際、「ロンドンは国際金融センターとしての地位が低下し、パリやフランクフルトに取って代わられるだろう」との見方があった。しかし今では、「結局、ロンドンの地位が他所に取って代わられることはなく、影響は限定的だった」(中国の電子メディア)と捉えられている。

「一帯一路」構想で世界への影響力を強めようとしている中国にとって、ブレグジットは渡りに船だ。すでに両国は「英中黄金時代」を宣言しており、ブレグジット後の英国の運命は“中国とのタッグ”に強く支配される気配さえする。

果たして数年後、世界の10大リスクから英国の名前は消えているだろうか。

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『バノンはなぜトランプを刺したのか 「バノン大統領選出馬」から「猿芝居」まで諸説紛々』(1/10日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『「史上最低の大統領・親日家グラント」が米国で大評判 スキャンダルと失政だらけで、どこかトランプに類似?』(1/9JBプレス 高濱賛)について

1/10日経<バノン氏、極右サイト会長辞任 暴露本で出資者と対立>によれば、バノンは「ブライトバート・ニュース」会長も辞任とのこと、次の大統領選に誰がスポンサーになるかを考えれば、高濱氏が言っています、バノンが大統領候補となるのは難しいのでは。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25493010Q8A110C1000000/

1/10トランプのツイッター“Cutting taxes and simplifying regulations makes America the place to invest! Great news as Toyota and Mazda announce they are bringing 4,000 JOBS and investing $1.6 BILLION in Alabama, helping to further grow our economy!”法人税減税と規制緩和で米国は投資適格国になった。トヨタとマツダはアラバマに4000人の雇用確保と16億$の投資を発表し、そのことは我が国の経済発展に役立つであろう。

1/10看中国<美攻朝 陸攻台?專家談北京局勢(圖)>カナダの学者が「米軍が朝鮮を攻撃すれば、中国は朝鮮半島で戦えないので、報復として台湾を侵攻するだろう」と発表したが、大多数の学者は彼の意見に賛成しなかった。西側全体を敵に回すことになると。中国の心理作戦だろうとの見方。

http://chinaexaminer.bayvoice.net/b5/comments/2018/01/10/386754.htm%E7%BE%8E%E6%94%BB

1/11看中国<中共要掌控对台“制空制海权”(组图)>中共は(日本と)台湾にサラミスライス作戦を展開、現状維持の約束を少しずつ中国有利なように変更して来たと言うもの。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/01/11/846607.html

1/11宮崎正弘氏メルマガ<すごいニュースが飛びこんできた 米国と台湾の政府高官相互訪問解禁の「台湾旅行法」を米連邦議会下院が可決>蔡英文総統のホワイトハウス公式訪問も可となるとのことです。日本も台湾関係法&旅行法&安全法を制定すべきです。日米台で自由主義社会を守るべきです。朝鮮半島には自由はありませんので、彼らは敵と看做した方がより正確です。上記の看中国の記事のように、中共は台湾を手に入れるために、制空権・制海権を抑えることを狙っています。同盟を結び防ぐようにしないと。

http://melma.com/backnumber_45206_6631819/

1/9正義の見方<【マスコミ】視聴者の会「最近のテレビ、偏向報道が増えていると思いますか?」⇒ 調査結果 「最近のテレビは偏向報道が増えている」が 67.8%>

http://www.honmotakeshi.com/archives/52760932.html

日本でも「モリカケ」が捏造だったというのが、知られてきているのでは。それなら、慰安婦も南京も同じようにメデイアが操作してきたのではと勘づけば良いのに。

日経ビジネスオンライン記事

バノン氏が掲げた政策がプアホワイトの琴線に触れ、トランプ氏を大統領の座に就かせたとされる(写真:Jeff Malet Photography/Newscom)

—スティーブ・バノン前大統領首席戦略官・上級顧問 の発言*1が新年早々、大問題になっていますね。ドナルド・トランプ大統領の「分身」とまでいわれた人物です。

高濱:ホワイトハウスは、「バノン爆弾」炸裂で大揺れです。バノン発言を盛り込んだ暴露本が5日に発売されました。飛ぶような売れ行きです。トランプ氏の弁護士は出版差し止めを裁判所に要請しました。

この暴露本には、「トランプ氏は大統領職に適していない」「トランプ氏は元々大統領になどなると思っていなかった」など大統領周辺の関係者が語った話が記述されています。

なんといっても最大のインパクトは、最側近だったバノン氏がトランプ氏の長男や娘婿が取った行動を「売国的行為だった」と糾弾している点です。どちらもロシアゲート疑惑に関わったとされています。

バノン氏は、トランプ氏の長男であるドナルド・ジュニア氏や娘婿のジャレッド・クシュナー氏といった選挙対策幹部たちが選挙中にロシア人弁護士と会っていたことを後から知って、「売国的行為だった」と激しく批判した「事実」を同書で暴露されたのです。

トランプ氏の最側近だった人物がロシアゲート疑惑をめぐって「正論」を述べたというのでメディアは大騒ぎ。トランプ氏はわざわざ声明まで出して、バノン氏を「正気を失った」となじりました。

*1:バノン氏は、1月5日に発売された「Fire and Fury」*2(炎と怒り)の中で、ドナルド・ジュニア氏(選挙当時は選対顧問)らがロシアのウラジミール・プーチン大統領周辺と親しいロシア人弁護士らと選挙期間中に面談していたことについて、「国家に対する反逆行為であり、愛国心のない行為だ。すぐに米連邦捜査局(FBI)に通報すべきだった」と発言した

*2:同書の著者はマイケル・ウォルフ氏(64)。同氏は「USAトゥデイ」などにコラムを書いているジャーナリスト。「事実関係よりも、たくましい想像力に基づく記事が少なくない」との批判が一部にある。サラ・ハッカビー・サンダース大統領補佐官は「本の内容はでっち上げばかり」と攻撃している (”Fire and Fury: Inside the Trump White House,” Michael Wolff, 2018)

「16・6・9会談は売国的行為だった」

—バノン氏は、トランプ・ジュニア氏らがロシア人弁護士たちに会ったことを「売国的行為」と断定しています。なぜ、ですか。

高濱:トランプ・ジュニア氏は16年6月9日午後、ロシア人の弁護士、ナタリア・べセルニツカヤ氏 らとトランプタワーで会いました。タブロイド紙の元記者から「ヒラリー・クリントン民主党大統領候補(当時)のイメージダウンにつながる情報を持っているロシア人がいるが、会うか」と言われて、飛びつきました。

この会談にはクシュナー氏(選挙当時は選対幹部、現大統領上級顧問)や選対委員長だったポール・マナフォート氏(当時選挙対策本部長)も同席しました。

ドナルド・ジュニア氏は「大した話はなかった」と議会の未公開公聴会で証言しているのですが、外国勢力が米大統領選挙に「介在」した点において、ボブ・モラー特別検察官 が捜査中のロシアゲート疑惑の最も重要な事案になっています。

バノン氏の発言が、ホワイトハウスに衝撃を与えたのは、「16・6・9会談」をトランプ氏の最側近だった人物が「売国的行為」と言い切っているからです。

ついに「正論」を吐いてしまったバノンの性

高濱:ワシントンに在住する、民主党系政界オブザーバーの一人は、寓話「サソリとカエル」*に例えてこう言っています。

「サソリ(バノン)は自分が川で溺れ死ぬのが分かっていてもカエル(トランプ)の背中を刺す。サソリの性(さが)なのだろう。部外者には理解できないのがトランプ氏とバノン氏の関係じゃないのか」

*:川を渡りたかったサソリがカエルの背中に乗せてくれと懇願。カエルは、サソリが自分を刺さないことを条件に乗せるが、結局刺されて死んでしまうという寓話

「トランプ氏もバノン氏も保守主義者で、我こそ一番頭が良いと思い込んでいる。政権樹立までは、ともに『アメリカ第一主義』を貫き、オバマ前政権のやってきた政策とは正反対の保守政権を目指した。ところが出来上がった政権は、バノン氏にしてみれば、トランプ氏の親族と軍人と実業家からなる寄せ集め政権。これに耐えられなかった。問題の発言は、解雇された昨年8月以降のもの。ロシアゲート疑惑の中心人物であるドナルド・ジュニア氏やクシュナー氏に対する憤りが口をついて出たのだろう。本音というか、バノン氏の性が出てしまった」

—サソリはカエルの背中を刺してしまいましたが、バノン発言だけではカエルであるトランプ氏の政治生命は終わりそうにありませんね。

高濱:さあ、どうでしょう。サソリの毒がカエルの体中に回って、命取りにならないとも限りませんよ。

バノン氏の意図については、別に2説あります。

一つは、これはトランプ氏とバノン氏が仕組んだ「猿芝居」だという説です。つまりロシアゲート疑惑でトランプ・ジュニア氏が起訴されるのは時間の問題だというのです。ひょっとしたらクシュナー氏も起訴される可能性があります。そうなる前にこの二人を悪者にして、トランプ氏と切り離す。同氏は安泰。まさにトカゲのしっぽ切りです。

もっともバノン氏の発言内容が発覚した後のトランプ氏の憤りを見ていると、本心からのようにみえます。

「スティーブ・バノンは私及び大統領職とは何の関係もない。スティーブは(首席戦略官・上級顧問を)解雇されたとき、その職を失っただけでなく正気も失った(lost his mind)」

「スティーブが私と差しで話すことは極めてまれだった。あたかも(私に対する)影響力があるかのように見せていただけだ。(私との)アクセスや接点もないくせに影響力があるかのように見せ、人々を欺いていた。そしてインチキ本を書く手助けをした」 (”Read Trump’s Reaction to Steve Bannon’s Comments,” New York Times, 1/3/2018)

20年大統領選への出馬に向け準備を始めたバノン?

—もう一つの説はどんなものですか。

高濱:バノン氏は、政治経験のまったくないトランプ氏に選挙参謀、戦略担当者として仕え、同氏を大統領にしてしまいました。トランプ氏の当選を阻もうとした共和党保守本流と真っ向から戦い、それでも見事当選させた。ホワイトハウスを去った後も上院アラバマ州の上院補選で、共和党執行部が支持する候補者に対抗馬を立てて勝ちました。政策面でも選挙でも大変な自信を持っているようです。

なので、バノン氏自身が大統領選に出馬するとの説が昨年後半から出ているのです。そこに持ってきて今回のトランプ氏との「決裂」劇が出馬説をいやが上にも盛り上げる。

無論、この場合、共和党の現職であるトランプ氏が再選を目指さないことが前提条件としてあるわけですが……。つまり、「ポスト・トランプ」を狙うバノン氏のキャンペーンの始まり、というわけです。 (”Bannon 2020? ‘I have Power’: Is Steve Bannon Running for President?” Gabriel Sherman, Vanity Fair, 12/21/2017) (”Bannon may run for president,” Brent Budowsky, The Hill, 10/24/2017)

北朝鮮情勢が何となく収まる方向に進み始める中で、トランプ政権にとっては予想だにしなかった「バノン爆弾」が年明けから炸裂しました。政界はまさに一瞬先は闇です。

JBプレス記事

ドナルド・トランプ米大統領。ホワイトハウスで(2017年12月16日撮影)。(c)AFP PHOTO / NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

作者はミュージカル「ハミルトン」の原作者

年末から年始にかけて米国内で売れに売れている本がある。米大統領経験者として初めて日本を訪問したこともあるユリシーズ・グラント第18代米大統領の一生を描いた「Grant」である。965ページの超大作だ。

著者はロン・チャーナウ氏。大ヒットのブロードウェー・ミュージカル「ハミルトン」(アレキサンダー・ハミルトン第1代財務長官の物語)の原作者。

これまでにもジョージ・ワシントン初代大統領をはじめモルガン財閥の創始者ジュニアス・モルガンやジョン・D・ロックフィラーの伝記を書いている。2010年にはワシントンの伝記でピューリッツアー賞を受賞している。

歴史上の人物を徹底的に調べ上げ、新たな視点から人物像を絶妙の筆致で描き出す伝記は多くの読者を引きつけてきた。日本で言うと、さしずめ司馬遼太郎のような作家だ。

目下各紙ベストセラーのランキングではトップの座を占めている。

「書けば売れるチャーナウ」は「米国の司馬遼太郎」

Grant by Ron Chernow Penguin Press; First Edition edition (October 10, 2017)

売れる理由は、まず第1にチャーナウ氏の新作だということ。今や彼が書けば読者は飛びつくのだ。これまで手がけてきた本はすべてベストセラーになっている。

第2の理由は、グラント氏が、どこか、就任1年を迎えようとしているドナルド・トランプ大統領によく似ているからという声を聞いた。

読書家の中学校英語教師、ボブ・ローリンさん(42)。ロサンゼルス在住の公立中学校で歴史を教える白人教師はこう筆者に語っている。

「毎日テレビや新聞で連日報道されるトランプの妄言に皆あきれ返っているんですよ。待てよ、俺たちの大統領の中にこんなひどいのがいたかな、と思う」

「これまで大統領と言えば、みなジョージ・ワシントン初代大統領とか、エイブラハム・リンカーン第17代、ジョン・F・ケネディ第35代大統領を思い浮かべる。何冊もの伝記も出ているし、米一般国民は彼らについては何となく分かる」

そんな中、史上最悪の大統領の1人といったイメージのあるユリシーズ・グラント第18代大統領の本が出た。読んでみようじゃないか、っていう感じなんですね」

「どれほどひどかったのか。トランプと比較したらと、興味が湧いてくるんです」

確かにトランプ政権発足後、米経済は順調に推移している。経営者出身の大統領が何をやり出すかという期待感もある。年末やっと議会を通過成立した税制改正が追い風となるとの見方も出ている。

一部に熱狂的な白人支持者がいる一方で、米国民の60%近くの人たちはトランプ氏に落第点をつけている。

支持率は就任以降、4割を超えるか超えないか。2017年12月28日現在の各種世論調査機関の平均支持率は39.8%、不支持率は55.8%。

政策もさることながら、むしろトランプ氏の人品骨柄と言うか、言動に皆、辟易しているのだ。

南北戦争の「英雄」必ずしも大統領には適さず

オハイオ州の製皮業者の息子として生まれたグラント氏は陸軍士官学校を卒業し、南北戦争では武勲を重ね、英雄となる。その後、北軍勝利の英雄として絶大なる人気を浴び、推されて大統領になってみたもののだった。政治経験はゼロ。

閣僚人事ではウォール街の金融業界の大物や陸軍時代の旧友などを集めた。この「仲良し内閣」が政治音痴の「将軍大統領」の足を引っ張る。閣僚や補佐官たちが次々とスキャンダルを起こし、汚職を繰り返す。

グラント大統領自身は、リンカーン大統領による奴隷解放宣言(1863年)以降の「リコンストラクション期」(南北戦争後の再建期)における諸問題の解決に奔走する。

しかし北部と南部諸州との「しこり」解消や黒人の法的地位の確立などまったくうまくいかなった。さらに原住民(アメリカインディアン)の保留地政策を推進するが、強引な囲い込み策が裏目に出る。

当時の国内分裂の状況は、トランプ政権下の米国の現状にそっくりなのだ。「仲良し内閣」内のスキャンダル騒動もロシアゲート疑惑に振りまわれるトランプ政権によく似ている。

明治天皇に「民主主義とは何たるか」をご進講

ところがこのグラント氏は、大統領を辞めてから外交面で大活躍するのだ。

特に日本との関係では、グラント氏は1879年、米大統領経験者として初めて訪日した歴史上の人物として知られている。

滞在中は、当時26歳だった明治天皇に会い、訪日前に訪問した欧州情勢にはじまり、諸外国からの借款問題、対日不平等条約、教育や招聘外国人教師の問題に至るまで進講したとされている。

これに対し、明治天皇はグラント氏に「発言を多とする。よく検討させてもらう」と感謝の意を表したとも言われている。

(”Remembering Ulysses S. Grant’s visit Japan,” Hiroshi Chida, Stars and  Stripes, 4/8/2004)(参照=https://www.stripes.com/travel/remembering-ulysses-s-grant-s-visit-to-japan-1.22915

本書は、このグラント氏の訪日について詳しく記述している。

大統領を引退したグラントはリチャード・トンプソン海軍長官から地中海からスエズ運河を経てインド、中国、日本を訪れる政府所有の汽船に乗って世界旅行をしないかとの誘いを受ける。1877年5月から1879年9月までの2年間の旅だった。

友好親善と通商促進を目的した米代表団の団長に『武勲のある前大統領』を据えることで米国の「威厳」を示そうとしたわけだ。ある意味では失意のうちにホワイトハウスを去った前大統領の名誉挽回を狙ったとも言える。

それをグラント氏は快諾したのだ。2年にわたる外遊で最後の訪問先日本を訪れる前に清国を訪れ、恭親王と会う。

親王は当時日本との間で外交論争になっていた琉球(沖縄)帰属問題*1でグラント氏に調停役を依頼する。グラント氏はその要請を受けて、伊藤博文内務卿(当時)ら政府高官とこの問題でついて協議。日本側から日清交渉合意を取りつけた。

*1=清国は琉球の帰属を主張、グランド氏の調停で日本は中国国内での欧米並み通商権を認めさせることを条件に宮古・八重山を清国に引き渡す「分島・増約案」で合意。(但し、清国側の都合で署名せず)日本は1895年、日清戦争で勝利したため琉球問題はあいまいなまま日本に帰属。

http://rca.open.ed.jp/history/story/epoch4/syobun_8.html

日本は前大統領を礼砲21発で元首級待遇

「グラント前大統領を乗せた『リッチモンド』が長崎に到着したのは1879年6月21日(9月3日に離日)だった。

日本政府は礼砲21発*2で同氏に最大級の敬意を表した。天皇の特使が出迎えに出た。その夜は由緒ある寺で歓迎の宴が開かれた55品のコースが出された。

グラント氏は近くの公園にベンガル産菩提樹を植えた。その横に建てられる石碑に刻まれる銘文にこう記した。

『この樹木が立派に育ち、未来永劫、生き続けること、そして日本国の末永い繁栄と成長を象徴することを心より望む』

グラント氏は米国を発って約半年の外遊で多くの諸国を訪れたが、ことのほか日本が気に入ったようだった。彼はそこに美しさ、調和、洗練さの典型を見出したのだ」

「自然の美しさとともに日本人の優しさと清潔さに魅了されたのだ。それは世界中で最高のものだった。視察した学校での水準の高い、規律正しい授業。それらが東アジアで最も優れた人々を創り出していることを実感したのだった」

*2=礼砲21発は、当該国の国旗および元首(天皇、国王、大統領など)に対して行われる最大級の歓迎を意味する。

病床のグラント氏に駐米大使を4回も遣わせた明治天皇

米国内では「最低の大統領」といったイメージの強いグラント氏だが、日本では「米歴代大統領としては最も尊敬された人物」だった。特に明治天皇がグラント氏に抱く尊敬の念、親近感は絶大だった。

半年にわたる外遊から6年後の1885年、グラント氏は病に倒れた。その知らせを聞いた明治天皇は直ちに駐米大使を見舞いに遣わした。その年、グラント氏は他界する。駐米大使はその間、明治天皇の命を受け4回もお見舞いに行っている。

1929年、グラント氏の訪問50周年を記念して上野公園内に石碑が建立された。35年には同氏の没後50周年の式典がそこで催された。47年以降、毎年、同氏の命日には追悼式が行われている。

(参考=https://wiki.samurai-archives.com/index.php?title=Ulysses_S._Grant

大統領を辞めた後のグラント氏の「外交手腕」は日本でも今も生き続けている。

明治天皇との「絆」のなせる業なのだろうが、米国内で一般向けに評価されるのはおそらくチャーナウ氏の手による本書が初めてではないだろうか。

2018年も厳しい政権運営が迫られているトランプ大統領。安倍晋三首相は積極的なアプローチで「ドナルド・シンゾー」関係を築き上げ、トランプ大統領はにわかに「親日大統領」になったわけだが、米国内ではそのことを評価する声はあまり聞かない。

それよりも「トランプと親しい国はイスラエルと日本だけ」(国務省担当の主要紙記者)と皮肉を言う者もいるくらいだ。

さて、そのトランプ大統領は、これから10年後、50年後、米国ではどのような評価を受けるのだろうか。そして日本ではどのような大統領として歴史に刻まれるのだろうか。

 

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『「五輪休戦」で金正恩の窮地を救う文在寅 「南北合作劇」に虚を突かれたトランプ』(1/8日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『元駐韓大使が占う2018年の北朝鮮、軍事衝突まで想定した具体策を』(1/9ダイヤモンドオンライン 武藤正敏)について

1/2日経<2018年の世界10大リスク、首位は「中国の影響力拡大」>第2位の「偶発的なアクシデント」の例としては、サイバー攻撃や北朝鮮問題などで偶発的な衝突が起きる危険性を挙げています(朝日新聞)。今年は中朝絡みで世界が揺れ動くという事です。日本国民も覚悟しておかないと。平昌オリンピックで浮かれることは、日本人はないでしょうけど、その後が危ないという認識は持っておいた方が良いと思います。鈴置氏の記事では、米国の北への核放棄の期限は2月末と言っていますが、平昌オリンピック・パラリンピックの開催期間はそれぞれ2/9~25、3/9~18です。ここまで来れば米軍の攻撃はあるとすれば3/19以降と読むべきか?1/5産経ニュースに<米韓合同演習は平昌パラリンピック終了後 マティス米国防長官>とありました。まあ、韓国軍は信用できませんので、合同演習時ではなく、米軍の単独行動で先制攻撃すると思います。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25283350S8A100C1FF8000/

1/9日経朝刊「18年最大のリスクは北朝鮮」 英国際戦略研究所長に聞く

2017年は北朝鮮や中東情勢の緊迫など、地政学リスクが国際社会を揺さぶった。18年の展望について、安全保障の分野に強い英有力シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のジョン・チップマン所長に聞いた。

英国際戦略研究所(IISS)のチップマン所長

――18年の国際社会を取り巻くリスク要因をどう分析しますか。

「典型的な地政学の観点で最も大きなリスクは、北朝鮮の紛争だろう。地域のパワーバランスを変えるリスクとしては中東でのロシアの台頭も懸念される。サイバー攻撃もグローバルな脅威で、政府機関と民間の双方が対策を優先課題に据えなければならない」

――北朝鮮情勢を巡る緊張緩和に向けて何が必要ですか。

「緊張を和らげるための第一歩は、緊張をやや高めることではないか。米国が国連安全保障理事会の支持を得て進める経済制裁はその一環で、北朝鮮の活動コストを引き上げるものだ。経済面で中国にできることがまだあると思う。日本や西側諸国が期待するほど影響力を行使していない印象だ」

――トランプ米政権による軍事行動の可能性をどうみますか。

「0か100であり、確率は推し量りようがない。明らかなのは、仮に北朝鮮がグアムであれ米領土に直接攻撃すれば、米軍が報復に動くリスクは高いということだ」

「多くの人が注目するのが中国の(軍事的な)出方だ。北朝鮮の指導者の受け入れがたい行動への対処に乗り出す必要性を認識する可能性も排除できない。もっとも、米中がどれだけ軍事面で強固な協力関係を築けるかにかかっている」

――日本は対北朝鮮で何をすべきでしょうか。

「ミサイル防衛能力の向上が大切で、米国と弾道ミサイル防衛システムの開発を続けるべきだ。中国は韓国や日本のミサイル防衛強化に難色を示すが、それを認めないなら、日韓が独自に抑止力を持つ必要性を模索することになる。中国は北朝鮮を説得できていないがゆえの結果として受け入れるべきだ」

――中東のリスクは。

「イランが支える勢力とイスラエルの衝突が主なリスクだ。イランはこの1年、過激派組織『イスラム国(IS)』との戦いを通じてイラクやシリア、レバノン、イエメンで影響力を広げた。イスラエルはその領域的な広がりだけでなく、イランが後ろ盾となる軍事勢力がミサイル能力を持つことも警戒している」

――米国はエルサレムをイスラエルの首都と認定しました。

「東西を分けずにエルサレム全体が首都だという考え方を支持しているのは米国だけだ。追随する国はほぼ出ないだろう。最大の問題点は、米国が果たしてきた中東和平プロセスを進める調停役が、他にいなくなってしまったこと。新たな役割を欧州諸国に期待する向きもあるが、まだ彼らはそこまでの外交政策を持ち合わせていない」

――ISは支配地域をほぼ失いました。テロとの戦いの行方は。

「テロはSF映画で顔を変え続けるモンスターのようなもので、見た目が変わっても同じ力を持ち続ける。支配地域が一掃されてもコピーされた手法が拡散し、戦い方を難しくする。18年もテロの脅威は続く」(聞き手はロンドン=篠崎健太)>(以上)

中国が何を言おうが、民族の生存権として脅威に対する抑止力を持つべきと考えます。今は米軍頼みで歯がゆい部分があります。日米同盟は自由・民主主義・法治・基本的人権の尊重と言った価値観を共有する同盟ですので、日本の軍事力強化と矛盾しません。

米国も国際社会の反応を見ているのでしょうが、金正恩とその手先の文在寅の時間稼ぎを許さないようにしてほしい。朝鮮半島の非核化で、一番良いのは金正恩の亡命、二番目がクーデターか金正恩の暗殺、三番目が戦術核を使った核施設の破壊、四番目が戦術核を使わない核施設の破壊となると思います。

米軍の攻撃があれば、日本の左翼メデイアとそれに洗脳されている人達が騒ぎ出すと思います。自分達の安全が脅かされているのに、意図的に知らない振りをしているのか、単なる間抜けなのかは別として。北からミサイルが飛んでくるか国内でテロが起きて被害者になって初めて気が付くのかも。或はそれでも「トランプが悪い」、「安倍が悪い」とか言いだすのでしょう。少しは自分の頭で世界の現実を見ろと言いたい。

1/8ぼやきくっくり<虎ノ門ニュース 青山繁晴氏>

(年末にハワイの太平洋軍司令部を訪問して、北への攻撃を)

 「米軍は苦悩している。 やるべきだと思いつつも、民間人に犠牲を出さないというのはシミュレーションではできるが、果たして可能なのかと。最終的にはやっぱり大統領の決めることだと強調していた。」とあります。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2140.html#sequel

鈴置記事

金正恩委員長は新年の辞で「平昌五輪に代表団派遣の用意がある。核のボタンは常に私の机の上にある」と発言した(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

韓国と北朝鮮は最後の賭けに出た。北朝鮮ののど元を締めあげる米国の剛腕を、南北合作の「五輪休戦」でふりほどく作戦だ。

中国の支持も獲得

—1月9日午前10時から、南北朝鮮は閣僚級の会談を開き、北朝鮮の平昌(ピョンチャン)冬季五輪参加について話し合います。

鈴置:窮地に立った金正恩(キム・ジョンウン)委員長に、親北左派の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が助け舟を出したのです。

文在寅政権は平昌五輪・パラリンピックに重なる時期――例年、3月初めごろから約2カ月間実施予定の米韓合同演習を延期し、それをテコに北朝鮮を対話に引き出す構想を温めていました(「平昌五輪『選手団派遣は未定』と言い出した米国」参照)。

平昌五輪・パラリンピックの期間中、米韓軍事演習も実施されず、北朝鮮の妨害活動も核・ミサイル実験も行われない――つまり「五輪休戦」を韓国の手で実現することで外交の主導権を握る、との目論見です。

中国の支持も得られると読んでいました。かねてから中国は米韓合同軍事演習の中断と、北朝鮮の核・ミサイル実験の中断を取引し、これをきっかけに米朝が対話に入る「双中断」を主張していました。

「五輪休戦」は五輪を名分にして、結果的に「双中断」を実現することになります(「『約束を守れ』と韓国の胸倉をつかんだ中国」参照)。そのため中国は、今回の南北会談が決まると直ちに「事実上の双中断である」と歓迎しました。

文在寅政権は政権維持のためにも「五輪休戦」を実現する必要に迫られていました。韓国民の間には、自分たちの運命を決する北朝鮮の核問題を米中と北朝鮮が仕切り、韓国は疎外されているとの不満が高まっていたからです。

  • 文在寅政権の「反米・親北・従中」
2017年4月13日 文在寅氏、大統領選挙の討論会で「(米国が先制攻撃を準備する場合)北朝鮮にホットラインを通じて直ちに連絡し、挑発を中断するよう要請する」と発言
5月10日以降 「手続きが不透明」としてTHAADの追加配備を認めず
8月15日 文在寅大統領、「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国の同意なくして誰もできない」と米国の先制攻撃に反対
9月21日 「時期は未定」としつつ、800万ドルの対北人道支援を発表
9月27日 国連総会第1委員会で、北朝鮮の非核化を念頭にした「核兵器廃絶決議案」に棄権
9月28日 文在寅大統領、「戦時作戦統制権を早期に米国から韓国に移す」と国軍の日の記念式典で演説
10月31日 「中韓合意」を発表。THAADの追加配備などを否定する「3NO」とTHAADに関する協議の実施を受け入れ
11月29日 文在寅大統領、北朝鮮のICBM発射直後に「米国が先制攻撃を念頭に置く状況にならぬよう防がねばならない」と発言、米国を牽制
12月14日 中韓首脳会談で「朝鮮半島の戦争は絶対に容認しない」などの「4大原則」に合意し、米国を牽制
12月19日 文在寅大統領、NBCに「平昌五輪期間中は合同演習を延期するよう米側に提案」
2018年1月2日 北朝鮮に五輪と南北関係改善を協議する高官級会談を提案
1月9日 南北高官級会談を実施へ
 

美女応援団で再び聾落

「五輪休戦」にかける政権の意図をはっきりと語っていた人がいます。大統領の本音を体現することから「影の外交部長官」と呼ばれる、文正仁(ムン・ジョンイン)統一外交安保特別補佐官です。

2017年12月27日、国民日報のナム・ドヨン政治部長に、以下のように述べました。国民日報は大手キリスト教会の指導者が創設した保守系の中堅紙です。

平昌を平和五輪にすることには2つの意味がある。1つは軍事的な衝突が起きないとの狭義の意味。もう1つは南北関係が改善し、北朝鮮と米国の対話も始まることで朝鮮半島に平和の機運が生まれるとの広義の意味だ。文在寅大統領は後者を望んでいると思う。

—南北関係が改善したからと言って、米朝対話が始まるものでしょうか。

鈴置:文在寅政権は「南北関係が改善すれば、韓国民の間に米国主導の『第2次朝鮮戦争』への反対機運が高まる。すると米国も『非核化』要求を降ろして北と対話せざる得なくなる」と計算しているのです。

平昌五輪・パラリンピックに南北が合同チームを作って参加したり、北朝鮮が「美女応援団」を送ってきたら、韓国の空気はかなり変わると思います。

美人ぞろいのうえ、きさくで人間らしさを感じさせる「美女応援団」。2002年の釜山アジア競技大会で初登場し、韓国人の北朝鮮観を大きく変えました。

反米感情の苗床に

—でも今や、北朝鮮は核を持っています。

鈴置:確かに2002年当時と比べれば、北朝鮮に対する感情はさほど好転しないかもしれません。しかし「美女応援団」を間近に見て「北にも我々の同胞が住んでいるのだ」と思い起こし「金正恩は悪い奴だが、罪のない同胞を巻き添えにしてまで北を攻撃しようとする米国も悪い国だ」と考える人が出てくるのは間違いありません。

北朝鮮と文在寅政権にとって、それで十分なのです。韓国で米国への反感をかきたてれば、米国の先制攻撃の可能性が減じると考えているのです。

2018年春までに北朝鮮が核を放棄しない限り、米国が先制攻撃するかもしれない、との懸念が韓国内で広まっています。それは北朝鮮も同じことでしょう。それを防ぐことが彼らにとって緊急課題なのです。

米国は無条件で対話せよ

—「反米感情により攻撃可能性が減じる」のですか?

鈴置:韓国が反対すれば米国は戦争しない、と思い込んでいる韓国人が未だに多い。米国は自身の安全を担保するために北朝鮮の非核化に動いている。というのになぜか、米国が韓国を救うために介入した「第1次朝鮮戦争」のノリで考えるのです。

それに平和ムードを醸し出せば、世界の世論も米国の強硬姿勢に厳しくなるのは間違いありません。世界のほとんどの国にとって、北朝鮮が核武装しようが関係ないのです。

「何と美しい光景だったろうか。米朝を含め世界中の選手が手に手をとった平昌五輪。トランプ(Donald Trump)大統領はこの平和の尊さを心に刻み、かたくなな姿勢を改めて無条件で北朝鮮との話し合いに応じなければならない」なんて主張する左派系紙が日本でも出ると思います。

なお、文正仁特別補佐官の発言は国民日報の「文正仁『南北関係が改善すれば、韓米同盟に過度の依存も不要に』」(1月1日、韓国語)で読めます。

同盟破棄は覚悟のうえ

—「米韓同盟は不要」とも発言したのですか?

鈴置:米韓同盟に関し、文正仁特別補佐官は以下のように語りました。

我々が同盟を結ぶのは北朝鮮の脅威があるからだ。南北関係が改善すれば同盟に恋々とすることもなくなる。

驚く話ではありません。文正仁特別補佐官はこれまでも米韓同盟の破棄を主張してきました(「『米韓同盟破棄』を青瓦台高官が語り始めた」参照)。

文在寅政権は民族至上主義者の集まりです。人権を蹂躙しようが国際ルールを破ろうが、どんな政権であろうと同族なら手を結ぶのが彼らの正義です。

民族至上主義者にとって米国は民族の団結を踏みにじる邪悪な存在であり「米韓同盟はない方がいい同盟」なのです。

そこまで腹をくくっているからこそ文在寅政権は、米国を怒らす「五輪休戦」に平気で乗り出したのです。

核武装に向け最後の時間稼ぎ

—南北が手を組んで米国の圧迫と開戦を防ぐ「五輪休戦」。意図がよく分かりました。

鈴置:もちろん韓国の保守は「危険な南北対話」を批判しています。朝鮮日報の社説「『核武装完成』の時間稼ぎの会談は許せない」(1月8日、韓国語版)の結論部分を翻訳します。

国際社会が構築した対北朝鮮制裁の原則を壊したり、一部の大統領の参謀が主張するように韓米合同演習を「核開発を凍結する」との約束と取引してはならない。

そうした形の南北合意は北朝鮮が核武装完成という目標に駆け上がる間、息をつかせるものであり、北朝鮮の対話提案の下心に踊らされるものである。

「五輪休戦」で時間稼ぎするうちに、北朝鮮は米国に届くICBM(大陸間弾道弾)を完成する。そうなったら韓国は終わりだ――との悲鳴です。

一方、左派系紙のハンギョレはこうした批判を先回りして封じ込めようとしました。1月5日の社説「『軍事演習延期』が南北会談成功への道」(韓国語版)は以下のように締めくくりました。

口さえ開けば「安保」を叫ぶ保守派が、朝鮮半島が対話局面に進むことを不安視して苛立つ様は見苦しい。南北対話の進展を邪魔しないでほしい。

意表を突かれたトランプ

—「五輪休戦」は予想されていたのですか?

鈴置:こんなにあっけなく「五輪休戦」に向け、世の中が動くと読んでいた人は少なかった。米政府の目には「『反米・親北・従中』に突き進む文在寅政権がまた小陰謀をたくらんでいる」と映っていた。演習延期の申し出など、まともに取り合いませんでした。

それに業を煮やしてのことと思います。12月19日、文在寅大統領は米NBCに「五輪期間中は合同演習を延期するよう、米国に提案した」と語りました(日経・電子版「なぜ韓国は『五輪休戦』に執着するのか」参照)。

「軍事演習を予定通り実施すると、北朝鮮がテロなどで平昌五輪を妨害する可能性がある。五輪が混乱すればNBCも大損だろう」と独占放映権を持つNBCを揺さぶったのです。

韓国政府の力ではトランプ政権を動かせない。そこでNBCの力を借りたと思われます。

しかし、これに対しても米国が見せたのは冷たい反応でした。ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官は同日「演習の予定を変える、いかなる計画も私は知らない」と述べたのです。

当然です。合同軍事演習も北朝鮮に核放棄を迫る極めて重要な圧力の一端だからです。それに演習を延期しても、北朝鮮が五輪を妨害しないとの保証はありません。

結局、その3週間後の1月1日になって北朝鮮は「妨害しない証拠」として「五輪参加」を言い出したのです。

これはトランプ政権にとっても予想外の動きでした。大統領を含め、南北会談への評価は揺れ続けました。よほど意表を突かれたのでしょう。

メダルが取れない北朝鮮

—北朝鮮は五輪に参加するつもりはなかったのですね。

鈴置:2018年1月1日に金正恩委員長が参加を表明するまで「参加しない」というのが大方の見方でした。韓国が主宰する大会であるうえ、韓国選手がメダルを多数取ると見られています。半面、北朝鮮の選手で五輪の出場枠を得たのはフィギュアスケートのペアだけ。

北がこの五輪に参加すればあらゆる点で韓国との国力の差を見せつけられ、メンツを潰すのは確実です。出場枠を得たフィギュアスケートのペアも、期限までに出場の意思を示していませんでした。

文正仁特別補佐官も同じ理由から、北朝鮮が五輪参加を表明するとは想像していなかったようです。国民日報のインタビューで「参加できる選手も少ないうえ、成績も期待できないとなれば(五輪参加は北朝鮮にとって)政治的に負担が大きい」と語っています。

朝鮮日報の元旦の社説「北朝鮮の核『3か月期限説』の中で始まる2018年」(韓国語版)の書き出しは次のようなものでした。

「北朝鮮が核を搭載したICBMを完成するのにかかるのは後3カ月」と米CIAが分析したとの報道が出て1カ月経った。新年の春までに何らかの決着が付くということだ。

韓国を排除して米国と北朝鮮が朝鮮半島問題を協議することもあり得るし、軍事的に衝突することもあるだろう。ところが我々はこの危機を他人事のように見ている。

「韓国は無視されている」と嘆くこの社説がネット版に掲載された数時間後に、金正恩委員長が「五輪対話」を韓国に呼び掛けたのです。執筆した朝鮮日報の論説委員は頭をかいたことでしょう。

予想以上の圧迫効果

—なぜ、大方の予想に反して北朝鮮は五輪参加に転じたのですか。

鈴置:外から見る以上に、北朝鮮は心理的に追い詰められていたと思われます。米国は経済、軍事、外交面で圧迫を強めています。それを瞬時でも緩めたくなったのでしょう。メダルの数で韓国に負けるなどということは、もう小事になっていたわけです。

12月22日、国連安保理は北朝鮮向け石油精製品の輸出を90%削減するなどの追加制裁決議を採択しました(日経・電子版「安保理、北朝鮮への制裁強化 全会一致で決議採択」参照)。

北朝鮮に対する制裁に乗り気でない中国も、米国の圧力で決議案に賛成しました。この制裁強化ですぐさま北朝鮮が困窮するわけではありません。が、経済がじり貧になっていくのは確実です。

米軍の爆撃機「B1B」が北朝鮮周辺を飛び回るようにもなりました。「B1B」は金正恩暗殺用と見なされており、北朝鮮は神経を尖らせています(「金正恩をコーナーに追い詰めたトランプ」参照)。

12月4日から8日まで実施した大規模の空軍演習「ビジラント・エース 18」(Vigilant ACE 18)。F22やF35など最新のステルス機を含む230機が参加、実戦に近い形で実施されました。米国は「空爆だけでお前を潰せるぞ」と腕まくりして見せたのです。

12月5日には米国務省の報道官が「北朝鮮への先制核攻撃も辞さない」と、米政府系メディア、VOAに述べました(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

金正恩政権は「核の報復攻撃を恐れ、米国は戦争を仕掛けて来ない」と国民を安心させてきました。しかし北朝鮮に対し核兵器を使って先制攻撃すれば、米国は反撃の可能性を極小化できます。

米国務省の「先制核攻撃宣言」を読んだ北朝鮮の要人は、腰を抜かしたことでしょう。多くの日本の安保専門家も「米国は核を使う覚悟も固めたのか」と驚きましたが。

「金正恩後」を米中が協議

—「米国は北朝鮮を攻撃できない。北の核施設は中国との国境地帯にあり、核汚染の被害が及ぶ中国が反対するからだ」と言う人がいます。

鈴置:北朝鮮の指導層はそうも期待していました。でも米国はその安心材料も軽く打ち砕いて見せました。

12月12日、ティラーソン国務長官はアトランティック・カウンシル(Atlantic Council)で演説しました。

その中で「金正恩体制の崩壊後の問題に関し、中国の軍・外交部と話し合っている」と明言したのです。原文は以下です。

the diplomatic and strategic dialogue that Secretary Mattis and I chair with our counterparts, and we actually have included Joint Chief of Staff Chairman Dunford, General Dunford, and his counterparts from China as well.

These are the subjects of these dialogues, and to try ? for us to gain an understanding of, first, how credible do we think the Chinese concern is about a mass flow of refugees across the border in the event of a regime collapse. China is taking steps to prepare for such an eventuality. I think it is something that they can manage.

「中国は難民の大量流入を恐れているが、それへの備えも進めており何とか処理するだろう」と、かなり具体的に意見交換をしていることを明かしました。

指導層に広がる動揺

米中は「金正恩後の北の核」についても相談しています。「もっとも重要なことは核兵器が、それを手にすべきではない人の手に落ちることであり、米中はその問題を話し合った」というのです。

the most important thing to us would be securing those nuclear weapons they’ve already developed and ensuring that they ? that nothing falls into the hands of people we would not want to have it. We’ve had conversations with the Chinese about how might that be done.

さらに「米軍が38度線(軍事境界線)を越えることはあるだろうが、すぐに戻ると中国に約束している」というくだりまであるのです。

We have had conversations that if something happened and we had to go across a line, we have given the Chinese assurances we would go back and retreat back to the south of the 38th parallel when whatever the conditions that caused that to happen. That is our commitment we made to them.

—「北朝鮮処分」を米中で話し合っているのですね。これを読んだ北朝鮮の指導層はショックを受けたでしょう。

鈴置:北朝鮮内部に詳しい人によると、経済・軍事・外交面の圧迫を受け、指導層に動揺が広がっています。そもそも、金正恩委員長に腹心の部下はいないとされます。30歳そこそこで突然にトップに立ったうえ、相次ぐ側近の粛清で「付いて行く人」がいないのです。

米国はそこまで見切ったうえで「核を放棄するのか、しないのか」と北朝鮮を問い詰めています(「米国務長官演説は『ハル・ノート』だ」参照)。

「最後通牒」の返答期限

—「最後通牒」の返答期限はいつですか?

鈴置:それは分かりません。ただ「2017年11月末までに、CIA長官がトランプ大統領に対し『あと3カ月で、ワシントンを含む米国の全都市を核で攻撃できる能力を北朝鮮が持つ』と報告した」との情報が流されました(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

それが事実とすれば――韓国でもこの説が広く信じられるようになっていますが――どんなに遅くても、返答期限は2018年2月末と想像されるわけです。

先ほど引用した朝鮮日報の元旦の社説「北朝鮮の核『3か月期限説』の中で始まる2018年」(韓国語版)も、それを念頭に置いて書いています。

北朝鮮が「核を放棄する」と答えれば、米朝は「放棄する条件」の話し合いに進むことになります。「核をカネで買う」うえ、在韓米軍の撤収や米韓同盟の破棄などが取引条件になるでしょう。

でも、金正恩委員長が核を手放す可能性は極めて低い。その際、米国は「テロリスト集団が核を手放さないと明言した」ことを名分に先制攻撃をしかけるつもりと思われます。

「核を放棄しない」との返答を期に、北朝鮮船舶に対する臨検を実施、北の暴発を待って攻撃する手もあります。あるいは第2の「トンキン湾事件」(1964年)を起こすかもしれません。

—しかし、南北の間で対話が始まれば……。

鈴置:そこです。最後通牒への回答期限を誤魔化して先送りするためにも、南北対話は活用されていくと思います。

「我々は今、平和に関して話し合っているのだ。邪魔しないでくれ」と米国に言うつもりでしょう、北朝鮮と韓国は。声をそろえて。

●「五輪休戦」を巡る動き
2017年11月29日  北朝鮮、ICBM「火星15」試射、「核武装を完成」
12月19日  文在寅大統領、米NBCに「五輪期間中は合同演習を中断するよう米国に提案した」
2018年1月1日 金正恩委員長、新年の辞で「平昌五輪に代表団派遣の用意ある。核のボタンは常に私の机の上にある」
1月2日 文在寅大統領、南北対話の速やかな実施を指示。韓国、北朝鮮に「高官級会談の1月9日開催」を提案
1月3日 北朝鮮、南北連絡チャネルを再開、五輪参加を協議と発表
1月4日 米韓首脳、電話協議で合同軍事演習の延期に合意
1月5日 北朝鮮、高官級会談の開催を受諾
   
1月9日 板門店で南北高官級会談へ
2月9-25日 平昌冬季五輪
3月9-18日 平昌冬季パラリンピック
     

(次回に続く)

武藤記事

金正恩が「新年の辞」で平昌五輪への代表団派遣に言及

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長にとって、2018年は生き残りをかけた「節目の年」となりそうだ。

1月1日、金委員長は国営メディアを通じ、「新年の辞」を発表した。この中で、米国への威嚇と韓国との対話姿勢に言及、硬軟織り交ぜた内容にして、国際社会を惑わすことを狙った。

まず、金委員長は、米国本土全領域が核攻撃の射程内にあり、「核のボタンが私の机の上に常にある」と威嚇しつつ、核弾頭と弾道ミサイルの増産・実戦配備の加速を指示した。一方で、2月に開催される韓国・平昌オリンピックについて「心から成功を願う」と述べ、代表団を派遣する用意があるとした。ただ、南北関係の改善を進めるために米韓合同演習の中止などを要求することを忘れなかった。

しかし、結論から言えば、金委員長が核ミサイルの開発・配備にこだわる限り、国際社会の流れは止められないと思う。対する日米韓にとっての今年の課題は、いかに北朝鮮の政権交代を図っていくかということである。

金委員長の発言に対し、韓国の文在寅大統領はすぐさま歓迎の意向を示し、趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相も高官級の南北当局者会談を9日に板門店で開催することを提案した。中国も、対話による問題の解決を進めるように促した。

一方で米国のトランプ大統領は記者団に「様子を見よう」と発言、対話姿勢に疑問を呈した。日本でも、「北朝鮮は、米韓関係にくさびを打とうとしているのではないか」との反応が見られた。  米国を始めとする国際社会は、決して北朝鮮の核保有を容認せず、これを前提とした対話には応じられないとの立場である。しかし文在寅大統領は、平昌オリンピックを契機として北朝鮮との対話を模索しており、これに目をつけた形で揺さぶりをかけてきたのだ。

金正恩発言に対し反応が分かれる国際社会

北朝鮮の戦略は、核ミサイルを保有することで「核保有国」として認めさせ、米国と対等に交渉して自国の安全を確保するとともに、経済制裁を取り下げさせるというものだった。

そのため、北朝鮮は昨年11月29日、米国本土全域を攻撃できるICBM「火星15」の発射実験に成功したとして、「核戦力の完成」を宣言した。

しかし、北朝鮮のそうした期待に反し、核保有を公言した後も米国主導によって経済制裁は一層強化され、米国は北朝鮮をテロ支援国家に再指定した。これにより、北朝鮮への輸出のほぼ全てが遮断されたほか、石油精製品も9割削減され、公海上での石油を始めとする輸出品の積み荷の移転取り締まりも厳しさを増している。

北朝鮮が韓国を狙い撃ちにして仕掛けた”揺さぶり作戦”

このまま行けば、早晩、北朝鮮経済は立ちゆかなくなることは目に見えている。そうした状況を打破しようとした”揺さぶり作戦”が「新年の辞」であり、国際社会の結束の中で最も揺らいでいて”軟弱”な韓国を狙い撃ちしたものなのだ。対話を進めることで時間を稼ぎ、あわよくば北朝鮮に対する国際的な包囲網を打ち破ろうという思惑があったものと見られる。

こうしたタイミングで、北朝鮮は初めて「文在寅大統領」と呼び、中断していた南北間の通話ルートを再開させた。ただ、米国からの報道によれば、近日中に再度、弾道ミサイルを発射する兆候もあるようで、韓国を盾に核ミサイル開発を続けるつもりなのかもしれない。

実は、今回の「新年の辞」のような揺さぶり作戦は、2014年に開催された仁川アジア大会の際にも行われた。

大会の閉会式に、当時、北朝鮮の「実力者3人組」だった黄炳瑞(ファン・ビョンソ)人民軍総政治局長、崔龍海(チェ・リョンヘ)労働党書記、金養建(キム・ヤンゴン)党統一戦線部長を突然派遣。韓国では、金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長や柳吉在(ユ・ギルジェ)統一部長官などか空港に出迎え、南北対話に対する期待が一気に高まった。実際、南北間の超高官級接触の再開にも合意していた。

しかし、一行の訪問直後、北朝鮮は西海(黄海)北方境界線(NLL)での交戦や、非武装地帯(DMZ)でビラ射撃を行った。そしてその後、韓国の民間団体のビラ散布を問題視して高官級接触を一方的に白紙に戻したという過去があるのだ。

そうした北朝鮮の今回の提案は、あくまでも核保有を前提としたものであって、日米などにとっては受け入れられないもの。そればかりか、北朝鮮は米韓合同軍事演習の中止まで要求している。

これに対し韓国は、北朝鮮の非核化こそ求めているものの、それを対話の入り口とはしていない。また、米韓合同演習については、米国に対しオリンピック期間中を避けることを提案、米国はこれを検討中であると公表した。こうした韓国の姿勢が、北朝鮮に利用されたのである。

しかし、米国のティラーソン国務長官は、そうした事実は承知していないと語っており、マティス国防長官も演習を中止する考えはないと述べている。米国は、北朝鮮の脅威に備えるためには合同演習が不可欠だとの立場であり、北朝鮮の要求は到底のめるものではないのだから当然だ。

つまり、北朝鮮は姑息な手段で延命を図ろうとし、韓国がそれに乗ってしまったという構図。文政権には本当に困ったものである。

核保有を認めて”管理”するのは可能か

確かに、米国国内においても、北朝鮮の核ミサイル開発はもはや完全に止められないのだから、核の保有は認めつつ、対話を進めることでこれを”管理”することを検討すべきだとする意見がある。オバマ政権に近い筋がこのような見解を述べている。しかし、それは可能かなのだろうか。

安倍晋三首相は、「対話のための対話は無意味」だと語っているがその通りである。それは、これまでの北朝鮮の行動を検証してみれば分かることだ。  金委員長は、前述した仁川アジア大会のときのように、約束したことを簡単に反故にしており、ただの一度として守ったことはない。核施設の査察をIAEAに認めるとした約束も誠実に実行せず、最終的には反故にした。また、異母兄の金正男氏を大量破壊兵器となり得る猛毒のサリンで殺害した。

そのようなことをしてしまう指導者が、核を使わないという保証はない。まして、武器を密輸し、資金を確保することを”生業”としている北朝鮮が、核をテロリストに譲渡しないという保証などどこにもないのだ。

要するに「核を管理する」という主張は幻想でしかない。特に日本にとって、核ミサイルを保有する北朝鮮を米国が容認するということは、金委員長が国内で行っている横暴を国際社会の中でも許しかねないという意味で、安全保障上きわめて深刻な脅威となるだろう。

北朝鮮の核ミサイルがどこまで完成したかは、専門家の間でも意見の分かれるところである。しかし、筆者もこれまでダイヤモンド・オンラインに寄稿したように、金委員長としては、もはやこれを自ら進んで放棄することができないところまできていると見るべきだろう。いや、最初から放棄するつもりなど、さらさらなかったと考えるべきだ。これまで、北朝鮮の”良心”に期待してきたのは無駄だった、それによって一層、危険度が増してしまったと言えるのだ。

これに対し、米国を始めとする国際社会の大勢も、国連制裁などで北朝鮮に対する包囲網を狭めてきており、北朝鮮との対立は核ミサイルの放棄なくして反転することはない。要するに、北朝鮮の核ミサイル問題を巡る対立は決定的で、もはや止めることができないのである。

米軍の軍事行動による犠牲を最小限にする擦り合わせが必要な時期

そこで浮上するのが米軍による軍事行動である。

日本国内には、もし北朝鮮を非核化するために米軍が軍事行動を起こした場合、犠牲が甚大となる可能性が高いので、安倍総理は「朝鮮半島では絶対に戦争を起こさせない」とする文大統領と一緒になって、トランプ大統領の軍事行動を制止するべきだとの議論がある。

筆者も、軍事行動は非常に大きな犠牲を伴うと考えており、できる限り避けるべきだと考えている。しかし、だからと言って、北朝鮮の核ミサイル開発を容認してもいいと考えているわけではない。金委員長が国内で行っている専制政治の余波を、日本が受けることだけは絶対に避けなければならない。

今のところ米国は、北朝鮮に対する軍事行動には慎重な姿勢を見せている。だが、軍事行動を起こす確率は徐々に高まってきているというのがおおかたの見方だ。軍事行動は最後の手段だろうが、決断された時には、現実問題として止めるのは難しいだろう。

だとすれば、軍事攻撃以外の選択肢にいかなるものがあるか、それを尽くしたのか、仮に最悪、軍事行動が不可避な場合、わが国への犠牲をいかに最小限にとどめるかといったことを、米国と擦り合わせざるを得ない時期に来ているのかもしれない。

もう一つの選択肢として、直接軍事力を使わず金正恩体制を変えるという方法があり、今後、その動きが強まるのではないかと考える。そして、こうした流れに、中国がすでに組み込まれているのではないか。

ティラーソン米国務長官は昨年12月22日講演の講演で、半島有事の際の難民対策や核兵器の管理について中国と協議している、仮に米軍が38度線を越えて北朝鮮に侵攻した場合でも、条件が整い次第、撤退することを中国に「確約」すると伝えていると述べた。

米中の間で議論が始まっている北朝鮮有事への対応

こうした発言は、米中の間で北朝鮮有事への対応について話し合いが始まっているからこそ出てくるもの。中国では、「米国の北朝鮮攻撃不可避論」や「中国の北朝鮮介入論」が徐々に高まっていると聞く。

また、中国共産党関係者からは、有事の際に中国軍が北朝鮮領内に入り、核ミサイル施設を制圧し管理するとの発言もあった。中国の習近平国家主席が昨年夏ごろ、すでに吉林省に難民キャンプ5ヵ所の設置を指示したとの情報も伝えられている。

中国は、米国に北朝鮮との対話を促しながら、一方でこうした現実的な対応も始めている。そうした流れは、習主席の特使として北朝鮮を訪問した宋濤(そう・とう)政治局員が、金委員長との面会すら実現しなかったあたりから強まったと見られる。

北朝鮮で政権交代を促すためには、あくまでも米国の軍事的な圧力が背景となるだろうが、最終的にどのような決着になるかは米中の話し合い次第だ。米中がそろって介入することで、北朝鮮の反撃能力を取り除くことができれば、日本の犠牲は最小限にできるだろうし、米国が北朝鮮を崩壊させることが確実になれば、中国が先に手を下すかもしれない。

また、米国や中国が直接、手を下すのではなく、朝鮮人民軍のクーデターによって政権が交代する方がより犠牲は少なくなるであろうし、その方が望ましい。これまで、北朝鮮におけるクーデター計画は未然に防止されてきた。

しかし、米国ないし中国が後方支援するとなればクーデターを行おうとする動きが出てくるかもしれないし、成就する可能性も高まろう。秘密裏にクーデターを支援するという場合、米国よりも中国の方が協力しやすい面もあるだろう。

日本はタブーを捨て現実的に対応するべき

日本は、これまでこうした議論は避けてきた。しかし、それで本当にわが国の国民の安全を守れるのか。そろそろタブーを捨てて、現実的に対応することが国益に資するのではないか。状況さえ把握していなかったという事態は最悪である。

そしてもう一つ。日本にとって重要なことは、米中の話し合いが先行することがないよう、米国との連携を強化しつつ、米中の連携を後押ししていくことだろう。

文大統領も、こうした選択を迫られた時に影響力を行使できるよう、米中の首脳といい関係を結んでおくべきなのだが、実際にやっていることはこれに逆行するもの。日本に対しても、慰安婦問題などで挑発的な行動に出ている。日米韓の連携が最も重要な時期に何を考えているのかと思うが、それが現実である。韓国とどのような協力が可能か、今しばらくは様子を見るしかない。

こうした動きが本格化するのは、中国の人事などが固まる3月の全国人民代表大会(全人代)以降だろうが、残された時間は少ない。今すぐにでも日本として現実的に取り得る対策は全て整えていく必要がある。

(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)

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『バノン氏の政敵、トランプ政権のアジア政策責任者に 中国に精通するキャリア外交官、スーザン・ソーントン氏』(1/8JBプレス 古森義久)、『中国続かぬ幸運 米中、国益むき出しの年に 』(1/8日経朝刊 FT)について

メイ・フォン著『中国「絶望」家族』を読みました。抜粋をお届けします。読んだ印象として、著者はWSJの中国系米国人女性記者なので、祖国中国の女性の人権侵害、特に一人っ子政策、それが引き起こした異常な男女比(間引き)、法執行機関の悪逆ぶり、失独(一人っ子が死んで面倒見てくれる子供がいない)の問題を抉っています。でも中国の言論弾圧や少数民族については関心が無さそうな印象を受けました。漢族の末裔だから仕方がないのかもしれませんが。

P.74~75

「姚自身、一人っ子政策のせいで自分勝手な人や他人を信頼できない人が増え、「われわれがチーム競技に弱くなった理由はおそらくそこにある」と考えている。たしかに中国、にはある種のスポーツに劣等感がある。卓球や飛び込み、体操では定期的にメダルをとれるものの、サッ力―やパスケットボールのようなプロのスポーツとなるとパッとしない。

スポーツ関係者はこれを「大球・小球」説と呼ぶ。中国が得意とするのは正確さや機械的練習が重視される競技「小球」だけで、創造性やチームワークが求められる競技「大球」は苦手という説だ。この説はスポーツのみならず、中国の教育システム、優れた経済人の育成に至るまで、あらゆる面で当てはまるといわれている。

開会式の夜、中国が必死で「大球」の地位を得ようとしているのは明らかだった。 私は開会式の模様をライブでネット上にアップし、流産や子供たち、地震といった、自分の心の中で一つにつながって大きな塊となった悲しみのことを考えまいとしていた。過去の数々の非道な行為を葬り去り、中国の栄光のみを称えようとする執拗なゴリ押しムードを漂わせたオリンピックは、そんな私にはうってつけの場に思えた。

しかし、それでも思い出さないなどしょせん無理な話だったのだ。

開催会場一つとってみてもそうだ。中国でもっとも有名な反体制派アーテイストで、中国のアンデイ・ウォーホルとも呼ばれている艾未未は、当初「鳥の巣」の設計顧問だった。ところが、中国政府がオリンピックをまがい物にしてしまったと批判し、結局「鳥の巣」建設から手を引いた。

艾は、震災から10日後に四川省を訪れその実情を撮影し、校舎倒壊の隠蔽について非難した。その後も、震災で犠牲になった子供たち全員の名前をデータベース化しようと試みた。こうした活動のために、暴行や拘束はもちろん、身に覚えのない脱税の罪でニ〇〇万ドルの罰金を科せられている。」

P.123「テレビ、自転車、洗灌機・・・・妊娠したら家財没収

私はこの巨大機構の末端がどのように機能しているのかを探るべく翼城県を訪ねた。この地域では一人っ子政策の規制が特別に緩和されていることから、退職した複数の計画出産担当職員から話を聞くことができた。

その職員の多くは一九八〇年に一人っ子政策が導入される以前から計画出産に関わり、一九八五年に翼城県で第二子の出産許可が下りてからも引き続きこの業務に携わっており、内部の人間ですら困惑するほどの政策のブレを説明できる。 青菊も今はこの計画出産の仕事が事実上不要になったと明言する。担当グループの若者たちは、育児にお金がかかるという理由で二人目をもとうとは思ってもいない。 「子供は一人で十分というのが大勢ね」と彼女は言う。一九八五年以来、黄家鋪村で三人目の 子供をもったのは一家族のみ、自動車部品会社を経営する比較的裕福な家庭だ。

ただし、第二子を認める緩和策が実施されても、村民には相変わらず負担を強いる規則があった。一九九〇年代には、第二子を出産した女性は必ず避妊手術を受けるという規則、そして、 第一子から第二子の出産までは最低五年あけるという規則があったのだ。

では、三人目は望まないから避妊手術は受けたくないという女性はどうなるか。また、もし 五年ではなく三年後に第二子を妊娠したとしたら。そのときには、特別措置を受けている翼城県でさえ、その計画出産機関の冷酷な顔を見ることになる、と黄家鋪村の元村長ホアン•デエンガォウは証言する。

まずは罰金だ。計画出産外の子供をもうけた夫婦には、年間可処分所得の五倍から一〇倍の罰金が科せられる。「夫婦が貧しくて支払えない場合には、家財道具を没収する。これは稀なケースではあるが」とホアンは言う。

村民の年問収入に相当するテレビは格好の没収品で、他にもテーブル、自転車、洗濯機などがよく没収される。没収には一〇名のパートタイム執行役人(通常、屈強で健康な若い男たち) が当たる。没収品を売却した代金は村が管理する。ホアンは、こうした措置は強制ではなく、 むしろ「説得」だと称した。」

P.246~247「一九九六年の全国人民代表大会で、子供は高齢の親を扶養する義務があるとする法律が可決された。次いで中国政府はニ〇一三年、子供が年老いた親を頻繁に訪問することを義務づける 法律を制定した。そうした法律を遵守させるのは難しいが、こういった法律を制定することで 国民に明確なメッセージを送ったのだ。つまり、国ができないことは家族がやれ、ということだ。

残念ながら、破壊行為の中には修復困難なものもあるようだ。介護施設一つをとっても、ガワンデの住むアメリカでは子供がいれば施設に入らなくてもすむかもしれないが、中国では子供がいなければ、介護施設にすら入れない可能性がある。一人っ子を亡くした「失独」家庭は、 こうして二重の苦しみを体験する。

多くの介護施設が「失独」夫婦を受け入れないその理由は、「失独」夫婦には万がーの際に 施設での治療に許可を出し、支払いを保証する子供がいないからだ。この種の差別は墓場にまで及ぶ。

「失独」夫婦の中には、霊園業者が墓地を売ってくれない、自分たちの墓地だけでなく、亡くなった子供の墓地さえも売ってくれないと訴える人々もいる。売り手にすれば、将来の唯持費を負担する人が誰もいないことを懸念してのことのようだ。 「失独」父母は、現在のところ100万人とされ、その数は増加している。彼らは数々の要求を列挙した長文の嘆願書を政府に提出した。そこにはより多額の補償、養子縁組での優先権、それに加えて老齢年金、医療費、墓所割り当てなどの要求が記されていた。

その主張には、いくらかうなずける部分もある。政府は一人っ子政策の違反者から強引に法外な罰金をとってきたのだから、法律を守った一人っ子家庭が、その跡継ぎである一人っ子を失い重要な経済的安定も失った場合は、その資金で補償すべき、という論理だ。

その主張は、困難な状況で下される「ソロモンの判決」のように見事な解決策ではあるが、 何と痛々しい考え方であることか。

中国政府は若干補償金を上げて応じたものの、他の要求に関してはあまり進展がない(「失独」父母にたいする国家補償制度が始まったのは比較的最近で、ニ〇〇七年からだ。現在、月額一六〜五〇ドルの補償金を受けとっている)。 「失独」家庭は、たとえば、彼らの特殊な事情を考慮してくれる老人ホームを要求している。

理由の一つは面会日にある。「他の入居者に家族が面会にきているのを見ると・・・ただただ耐えられない」と、ある「失独」夫婦は言う。

ニ〇一四年に広州市の地方議員が、一人っ子政策違反で集めた罰金の一部を社会保障費として「失独」家庭のために使ってはどうかと提案したが、一蹴された。当局は罰金の使い道はすでに决まっているというのだ。」

P.263「中国で、患者より家族の意思が優先されるという特異な状況が生まれたのには、いくつかの理由がある。その一つが経済的な理由だ。医者が患者の成人した子供たちの意見に従うのは、治療費を支払うのが子供たちだからだ。中国の高齢者の世代は、中国の好景気を享受できた子供たちの世代に比べて相対的に貧しい。

さらに嘆かわしい解説をすると、死の床では、過去の遺物となったはずの孝行心が頭をもたげてくるようだ。「すべては面子、つまり体裁の問題だ」と、ある北京の病院の運営管理者は言う。「子供たちは、できるだけのことはやったと示さなければ体裁が悪い、つまり面子を失う。 だから、たとえそれが不必要で苦痛に満ちた治療になっても、医師に最後まであらゆる手を尽くすように強く要求するのです」

マ医師の見解はまた別だ。過去三〇年以上ものあいだ、中国が資本主義実験を実施した結果、物質主義文化が生まれたせいだという。 「最近の中国人はみな物質主義者です。私は違うが、多くの人がそうなりました。そのため、 死についての教育が実施されなくなりました。物質主義者は自分の目に映るものだけを信じ、目に見えないものは否定します。彼らには宗教心がないのです」

P.280~281「だが、養子縁組幹旋機関の誰もが楽天的なわけではない。ニ〇〇九年、オランダ最大の養子縁組斡旋機関「ワールド.チルドレン」の所長アイナ・フートは、湖南省の事件に抗議して辞職した。さまざまな疑惑に思い悩んだフートは、無駄とは知りつつ中国、オランダ両国の当局に回答を強く求めた。ニ〇〇七年、彼女は一か月にわたる調査を行なうため中国へ飛んだ。

フートは、乳幼児売買の慣行は「私たちが思っている以上に蔓延している」という確信をもって帰国した。養子縁組業界の関係者が彼女に語ったところによると、計画外出産の子供を生まれる前から見つけて確保しておいた助産師には報酬が支払われる。また、孤児院が、養子となった子供たちについて、中央の養子縁組機関や養父母に報告している以上の情報をもっていることも多いという。

彼女は他にも中国の当局者から個人的に、湖南省の人身売買事件の被害者のうち少なくとも二人が最終的にオランダ人の養子になったという話を聞いた。しかし、中国政府からもオランダ政府からも、この件に関する調査をしてもらうことはできなかったという。「彼らにとっては、すでに終わった話なのです」

髪はブロンド、日焼けした肌に陽だまりのような笑みをたたえ、話し方も柔らかなフートは、その容姿から活動家らしさは感じられない。彼女はソフトウヱア分野で成功した起業家であり、 大学の経営者でもあった。

「ワールド.チルドレン」に加わったのはニ〇〇ニ年、はじめての子供死産した直後だった。 その衝撃的体験から、フ-トは「次のステップは世界を少しでもよくすることだ」と決意したという。当初はみずからの養子縁組を計画していたが、養子縁組の内部事情を知るにいたって、待機者リストから名前を削除した。

「内情を目にして衝撃を受けました。養子縁組の多くは養父母の利益のためで、子供たちのためではないと.い.うことがわかったのです。誰にでも子供を望む権利はあります。でも子供をもつ権利はないのです。子供には両親をもつ権利がありますけどね」

自らの信じる所を公表したフートだったが、その代償を払うことになった。2009年に辞職してからの五年間、彼女にはずっと仕事がなかった。内部告発者として有名になったから、誰も自分を雇いたがらなかったのだ、と彼女は思っているニ〇一四年、彼女はようやく人身売買の被害を救済するオランダの非営利墨組織「CoMensha」の代表に就任した。」(以上)

1/8facebook投稿より。如何に毛沢東が自国民を虐殺したかを示すものです。中国は、天安門に彼の写真を掲げているのですから、殺人鬼を崇め奉る中共教と言う怪しげなカルト教団に国が乗っ取られていると見た方が良いでしょう。

トランプの政策変化が中国有利に傾くのかどうか?スーザン・ソーントン氏が東アジア太平洋担当の次官補になるのであれば、ティラーソン国務長官を延命させることになるし、北朝鮮・中国に対して「力による平和」を実行できなくなるのでは。エドワード・ルース氏が書いたように、中国はトランプのアメリカを「張り子の虎」と看做すようになるかもしれません。まあ、国防総省サイドの行政運営を押し隠すための国務省人事だとすれば頷けますが。共産主義の両国は打倒されてしかるべきです。

FT記事

トランプ米大統領にはごますりが効く。ただ、効果は持続しない。2017年、並み居るライバルを抑え、トランプ氏に最も効果的におべっかを使ったのは中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席だった。北京の人民大会堂でトランプ氏のために豪華な公式夕食会を催しただけで、同氏の頭から対中貿易不均衡や中国の人権の問題をすっかり吹き飛ばしてしまった。

問題は、習氏が絶えずトランプ氏の機嫌をとらなければならないことだ。同氏にこびを売り続けると自尊心が傷つき、我慢できなくなる。トランプ氏へのへつらいも「収穫逓減の法則」で続けても効果は減っていき、18年は恐らくマイナスになるだろう。

2018年は貿易問題を含め米中間の摩擦が激しくなりそうだ=AP

自意識が強いといえば、習氏も同じだ。中国はトランプ政権誕生後の数カ月間、責任ある行動を取れる国だとの期待を裏切らなかった。だがこれ以上の自制はなさそうだ。習氏は17年10月の中国共産党大会で、積極的に対外政策を推し進めると表明した。習氏はあらゆる肩書を手に入れ、自身の思想を党規約に盛り込んだ。個人崇拝も復活している。いまや米中関係は、途方もなく肥大した自我を持つこの2人に託されている。

これは18年にとっては良くないことだ。しかも大きな暗雲も2つ垂れ込めている。一つは冷戦以来初めて米国にライバルが出現したことだ。習氏率いる中国は、世代交代する前に世界一の大国になるという目標を掲げる。旧ソ連と異なり、中国は米国と技術的に張り合っていける。アジア太平洋地域での米国の優位はもはや盤石ではない。もう一つは、米大統領は1時間先のことしか考えないが、中国の指導者は10年単位で物事をとらえることだ。望遠鏡を持つ習氏と鏡を見つめるだけのトランプ氏のどちらが優位かは明らかだ。

■WTOへ米国を提訴も

世界は米国と北朝鮮の核をめぐる対立にばかり注目し、米中関係がどのようになるかについてはほとんど気にしていない。

トランプ氏はいまだに中国が米国のために北朝鮮を非核化してくれると信じている。一方、同氏は対中貿易で保護主義的な措置も取りたがっている。米国は中国を筆頭に諸外国の食い物にされていると思い込んでいるからだ。「(中国が)北朝鮮問題で助けてくれないなら、前からやると言っていることをやるだけだ」と同氏は17年末、米紙に語った。今年、米国は中国に貿易で対抗措置をとり、中国政府は米国を世界貿易機関(WTO)に提訴する可能性が高い。

米中関係悪化の影響は朝鮮半島を越え、はるか遠くまで広がる。中国は17年、アフリカのジブチに初の国外軍事拠点を設け、空母も初めて地中海に派遣した。南シナ海の軍事拠点化も加速している。

トランプ氏と習氏のにらみ合いではどちらが先に引き下がるか。それは知る由もないが、中国は自信過剰になっているようだ。イラク戦争から米大統領選まで中国に有利なことが次々起きた。民主的に選出された指導者に、トランプ氏が侮蔑的な態度をとっていることも中国には好都合だ。とはいえ、幸運が長続きするはずはない。習氏は米フロリダ州のトランプ氏の別荘に招かれ、共に夕食を取っているさなかに、トランプ氏がシリア空爆を命じたことを肝に銘じるべきだ。中国では多くの人がトランプ氏を張り子の虎だと考えている。そうだとしても、実際に試すのは軽率といえる。

By Edward Luce

(2018年1月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

古森記事

米連邦議会議事堂。首都ワシントンで(2017年4月28日撮影、資料写真)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

トランプ政権がアジア外交政策の最高責任者にスーザン・ソーントン氏を任命した。

ソーントン氏は米国の歴代政権にキャリア外交官として長年加わってきた。トランプ政権の外交部門の高官任命では初めての現職女性官僚である。

米国でこの人事は、同政権の外交が大きく変質しようとしていることの兆しだとして注目されている。また、トランプ大統領との不和を噂されるレックス・ティラーソン国務長官の影響力が健在であることが示されたという指摘もある。

かつて外交官として中国に駐在

スーザン・ソーントン氏(米国務省HPより)

トランプ政権は昨年(2017年)12月中旬、国務省のキャリア外交官、スーザン・ソーントン氏を東アジア太平洋担当の次官補に任命した。ソーントン氏は議会の上院での審議、承認を経て正式に次官補に就任する。

東アジア太平洋担当の国務次官補は日本、中国、朝鮮半島などを管轄し、政権の対アジア政策を担当する最も重要な実務ポストとされる。日米関係に関しては米国務省の実務面における最高責任者となる。

ソーントン氏は1991年のジョージ・W・H・ブッシュ政権時代に国務省に入省した。外交官として主に中国や中央アジアなどを担当し、とくに中国に精通している。中国の北京や成都、カザフスタンのアルマトイなどの駐在経験があり、本省で中国部長も務めた。

トランプ政権では、2017年3月にダニエル・ラッセル氏が東アジア太平洋担当の国務次官補を辞任してから代行を務めてきた。

ソーントン氏の任命が注目される3つの理由

ソーントン氏の国務次官補任命は、少なくとも3つの理由によりワシントンの外交筋の間で強い関心を集めている。

第1の理由は、ソーントン氏がトランプ政権の外交関連分野で初めて現職キャリア官僚として高官に任命されたことだ。

国務次官補のポストは政権が政治任命し、議会の承認を必要とする職務であるが、トランプ政権はキャリア官僚ではなく共和党系の学者や元高官など非官僚の人物たちを要職に起用してきた。だが、ソーントン氏は政党色のない純粋なキャリア官僚である点が異色だといえる。また政策面でも、同氏はトランプ政権の主流派よりも“正統派”の外交に傾く見通しが強い。

第2の理由は、ソーントン氏の国務次官補任命にはトランプ政権の一部から強い反対があったのに、それが抑えられたことである。

トランプ大統領側近の首席戦略官だったスティーブ・バノン氏らは、キャリア官僚を高官に起用することに対して「民主党色が強すぎる」として強く反対してきた。またバノン氏は昨年8月の政権辞任直後、とくにソーントン氏に対して「中国への強固な政策を保つためには、ソーントン氏のような対中融和の官僚を任命してはならない」と明言していた。

だが、レックス・ティラーソン国務長官の意向が通る形でソーントン氏の起用が決定した。この人事は政権内部の外交政策が変質していることの表れだとみる向きもある。

第3の理由は、そのティラーソン国務長官の政権内での存在感が見直されたことである。

ティラーソン長官は、米国の外交においてきわめて重要な東アジア太平洋担当の国務次官補ポストが空席のままであることを懸念し、代行だったソーントン氏の任命を昨年7月にトランプ大統領に提案した。だが、その人事はなかなか実現しなかった。

その後、11月にトランプ大統領がアジア各国を訪問した際、ソーントン氏は大統領のアジア歴訪の実務面の責任者の1人となって活躍してティラーソン長官に高く評価された。今回、ソーントン氏が国務次官補に任命されたのは、ティラーソン長官がトランプ大統領に改めて要請したことの結果とみられる。ワシントンでは、「トランプとティラーソンの不仲説」や「ティラーソン辞任説」が囁かれているが、そうした噂は否定されることとなった。

こうした背景のもと誕生するスーザン・ソーントン新国務次官補の今後の動向は、日本にとっても大きな関心が持たれるところである。

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『中国の海洋浸出を食い止めるために日米がすべきこと 対処療法的な方針では焼け石に水、確固たる海軍戦略が不可欠』(1/5JBプレス 北村淳)、『日本はいつまで核の傘に「ただ乗り」できるのか 必要なのは憲法改正より日米同盟の見直しだ』(1/5JBプレス 池田信夫)について

1/7は浅草7福神に家内とお参りしました。浅草寺と浅草神社、今戸神社は沢山人が並んでいたので、境内近くでお祈りをしただけですが。写真は今戸神社で取ったもの。浅草寺→浅草神社→待乳山聖天(お土産に大根を貰う)→今戸神社→橋場不動院→石浜神社→吉原神社の順で回り、2時間コースでした。

その後は靖国参拝、文京シビックセンターで白石千尋氏による「スイスの事例にみられる国防意識」セミナーに参加、その後facebookで繋がった「民間防衛」メンバー4人と懇親しました。

中国の強みは北村氏が言うように「一党独裁」で長期的な戦略が樹立できることです。而も、民主的ではないため、当然強権的になり、国民の生命・財産を犠牲にしても目標成就を最優先とする集団が牛耳っています。しかし、これを裏から見れば、統治の正統性がないのですから、国民の怒りを沸騰させ、共産党打倒に結び付けられるようにすれば良いと思います。先ずは、中国経済、特に輸出での稼ぎができないよう報復関税、貿易決済に$を使えなくする金融制裁を早く実施することです。キッシンジャーは「中国と言う怪物」を育て上げ、パクス・アメリカーナからパクウ・シニカに移した売国奴の烙印を押されないためには早く政策転換しないと。そうしなければ、彼の歴史評価は前述の通り定まるでしょう。

池田氏記事の「憲法改正よりはニュークリアシエアリングを」と言うのは、ニュークリアシエアリングについてはその通りで、軍事予算増額・人材育成等と合わせて、憲法改正しないでもできるところはドンドンやるべきと思っています。憲法改正については青山繁晴氏が言っていますように、9条の最後に「但し、自衛権の発動はこれを妨げない」を入れれば良いと思います。しかし、白石氏のセミナーを聞いて思うことは、スイスは800万の小国でありながら、直接民主主義・国民皆兵・永世中立を成し遂げている国で、日本のように他人依存・自立自尊のない国とは違うという事を痛感しました。スイスの一番の脅威は「情報戦・デイスインフォメーション」に引っかからないことでした。日本の現状は中共の手先の日本メデイアに手もなく引っかかり、東大のアカ教授の言説を有難がる滑稽な人達ばかりです。とても自己責任を追求しているスイス国民と成熟度に置いて雲泥の差です。慰安婦や南京に手もなく騙され、核シエルター配備0%で、まだ似非平和主義を有難がっているのでは。

北村記事

香港に到着した中国の空母「遼寧」(2017年7月7日撮影、資料写真)。(c)AFP/Anthony WALLACE〔AFPBB News

昨年(2017年)は、東アジア海域、とりわけ南シナ海において、中国が東アジア諸国はもとよりアメリカに対しても優勢的立場を着実に築き上げ、それに対してアメリカの東アジア方面海洋戦力が目に見えて凋落し始めた年であった。このような状況に関しては、昨年末の本コラム(「北朝鮮暴発の危機」は中国のシナリオだった? 中国の海洋戦略が勝利を手にした2017年」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51961)で述べたとおりである。

2018年にはいよいよトランプ政権の海軍力増強政策がスタートするが、南シナ海や東シナ海における中国の膨張主義的海洋侵出に、アメリカは待ったをかけることができるのであろうか?

米国民は東アジア海域に関心を示すのか?

しかし、アメリカが南シナ海や東シナ海での中国の膨張主義的海洋侵出を食い止めるのは容易ではない。まず、トランプ政権が中国の動きを、アメリカの国益という観点からどの程度深刻な軍事的脅威と受け止めるのか? という問題がある。

中国の渤海で行われた軍事演習で、空母「遼寧」の甲板上に駐機された艦載機「殲15」(2016年12月撮影、資料写真)。(c)AFP〔AFPBB News

もちろん、かねてより米海軍関係者たちを中心とする人々は、南シナ海や東シナ海が「中国の海」と化することをアメリカの国益にとって最高度の脅威と考え、絶対に阻止すべきであると唱えてきた。

なぜならば、戦時(そして準戦時)に際して、それらの海域に横たわる海上航路帯(SLOC、シーレーン)を中国がコントロールすることになると、日本や韓国そしてフィリピンといったアメリカの同盟国の経済活動のみならず、アメリカ海軍の軍事行動にとっても致命的な影響が確実に生ずるからである。

しかしながら、海上航路帯の妨害という軍事作戦は、ミサイルや魚雷が飛び交う戦闘行為が繰り広げられることなしに──すなわち、人々の目に何が起きているのかが映し出される以前に、決着がついてしまう。そうした“目に見えないせめぎ合い”は、海軍戦略家以外の人々にはなかなか理解されがたいものである。

そのため、アメリカから遠く離れた「アメリカ国民にとって全く馴染みのない」南シナ海や東シナ海で中国が軍事的優勢を手にすることがアメリカの国防にとって極めて重大な脅威となる、との説明が、トランプ政権や連邦議会、またアメリカの主要メディアや世論などに幅広く受け入れられる見込みは高くはない。

まして、北朝鮮がアメリカ本土に到達するICBMを完成させ、アメリカを直接核攻撃できる能力を手に入れそうな状況下においては、「中・長期的に考えれば、中国海軍戦略の伸展こそが、金正恩のICBM恫喝などとは比べものにならないほどアメリカに対する最大の軍事的脅威となる」との主張が、トランプ政権や連邦議会そして米主要メディアを説得する可能性は低いものと考えざるを得ない。

海軍戦略を欠くアメリカ

もしトランプ政権が、北朝鮮問題に対する中国の役割に期待する無益さを真摯に受け止めて、中国の膨張主義的海洋侵出政策に対して本腰を入れて妨害する決断をなしたとしよう。この場合、マティス長官率いるペンタゴンが南シナ海や東シナ海で中国海洋戦力に対峙する動きを開始させることになる。

とはいっても、現在の米海軍の態勢では、とても中国の海洋侵出の勢いを大きく減速させたり食い止めたりすることはできそうにもない。

なぜならば、中国は確固たる長期的海軍戦略を手にしているが、アメリカ側にはそれに対抗し得る海軍戦略が存在しないからだ。中国の南シナ海(そして東シナ海)での軍事的優勢の確保は、「積極防衛戦略」(米軍ではしばしば「接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略」と呼ばれている)と呼称される国防戦略に立脚して着々と推し進められている。一方、アメリカ側は中国側の動きに応じて対処療法的な方針を繰り出しているに過ぎない。

中国は「よく練られ、適宜に修正を加えられつつある」海軍戦略を基に、南シナ海や東シナ海において次から次へと様々な手を打ち、主導権を手にしつつある。それに対してアメリカ側は海軍戦略といえるものを手にしていないため、押っ取り刀で対応し、結局は中国に振り回されているのが現在の構図である。そうした現状では、中国海軍・空軍・ロケット軍が睨みを効かせる南シナ海や東シナ海において、アメリカ海軍がかつてのように軍事的優勢を手中に収めることはもはやはなはだ困難であると言わざるを得ない。

たしかに、トランプ大統領は、355隻海軍建設のための法的根拠を実現させた。しかし、その355隻の主要戦闘艦が造り出され、アメリカ海軍がかつての大海軍の座を手にするまでには、10年以上もの年月がかかるとも言われている。その間、中国が待っていてくれはしない。

それどころか、数隻の空母や多数の潜水艦を含む500隻大海軍が南シナ海、東シナ海、西太平洋、インド洋に展開し、東シナ海や南シナ海沿岸部からは無数の対艦ミサイルや対空ミサイルが中国大陸に接近する敵勢力に備えているという、積極防衛戦略が描いている状況が実現してしまうことになる。

日米共に効果的な海軍戦略が必要

トランプ政権が打ち出したアメリカ海軍の大増強政策は長期的には必要不可欠な方針である。しかしながら、軍艦という「モノ作り」の前に、中国の積極防衛戦略に効果的に対抗するだけの海軍戦略を生み出さなければ、中国の極めて強力な膨張主義的海洋侵出の勢いを減衰させることはできない。

もちろん、アメリカ以上に海軍戦略(そして国防戦略そのものも)不在状態が続いている日本が可及的速やかに「国防戦略」や「海軍戦略」といえるだけの戦略を策定しなければ、未来永劫アメリカの軍事的属国、そしていずれは中国の属国の地位から脱却できないことは言を俟たない。

池田記事

北朝鮮が実施した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」発射実験の様子を写した写真。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が配信(2017年7月28日撮影、同29日配信)。(c)AFP PHOTO/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

今年(2018年)は憲法改正が議論される年になるだろう。自民党は通常国会で憲法審査会に改正案を示し、改正の発議をめざす方針だが、公明党は難色を示しており、衆参両院の3分の2を得る見通しは立たない。発議しても国民投票で否決されると二度と改正できなくなるので、自民党内にも慎重論が強い。

最大の争点は第9条だが、安全保障の議論が憲法論議に終始するのは危険である。むしろ今は、戦後の日米関係が大きく変わる時期に来ており、日米同盟を見直す必要がある。そのためには憲法改正は必要条件ではない。

護憲を言い換えた「なんちゃって立憲主義」

憲法論議で最近いわれるようになったのは「立憲主義」という言葉である。これは数年前までほとんど聞かなかった。朝日新聞データベースで調べると、立憲主義という言葉が使われた記事は1985年以降で2221件出てくるが、そのうち1931件が2014年以降だ。つまり安保法制についての閣議決定が国会で問題になったときから、急に増えたことが分かる。

こうなったのは、野党の掲げてきた「憲法を守れ」という統一スローガンが、国際情勢の緊迫で現実性を失ったからだ。立憲民主党などの唱える立憲主義は「護憲」を言い換えた「なんちゃって立憲主義」に過ぎない。

55年体制では、自民党が憲法を改正しようとし、社会党をはじめとする野党は「憲法を守れ」と主張した。第9条1項は1928年のパリ不戦条約と実質的に同じなので、自民党も改正しようとしていないが、問題は第2項である。

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」という規定は素直に読むと、あらゆる軍事力をもたないと解釈するしかない。国に自衛権があるとしても、交戦権がないと自衛できない。

この条文には多くの解釈があるが、憲法学者の多数は「自衛隊は憲法違反だ」と考えている。それは当然だが、奇妙なことに彼らの多数は「憲法を改正するな」という。これは三段論法で考えると「憲法違反の自衛隊を認める」ということだ。これは憲法学の自己否定に等しい。

与野党のなれ合いで続いてきた憲法論争

第9条の奇妙な条文は、不毛な憲法論争を生んできた。1946年に憲法制定議会で、吉田茂首相は「今日までの戦争の多くは自衛権の名によって始められたので、自衛権による戦争と侵略による交戦権を区別することは有害無益だ」と答弁した。

多くの戦争は自衛を理由に行われるので、自衛戦争も含めてすべての戦争を禁止するというのは筋が通っているが、その後は吉田の答弁も変遷し、政府は自衛権を認めるようになった。

今では自衛隊は「戦力」ではなく「自衛のための必要最小限度の実力を保持する」組織と定義されている。これは日本語として奇妙で、「必要最小限度とはどの程度なのか」とか「実力と戦力はどう違うのか」などの神学論争が国会で果てしなく続く原因になってきた。

在日米軍基地も「戦力」だと考えると、それを国内に「保持」することは違憲の疑いが強いので、「自衛隊を解散し、安保条約も破棄して米軍基地を撤去すべきだ」という憲法解釈が自然である。これは社会党の石橋政嗣が1960年代に非武装中立として社会党の政策とし、土井たか子委員長の時代まで続いた。

それは万年野党としては、合理的な政策だったともいえる。1960年代以降の社会党には政権交替の可能性がなくなり、過半数の候補者も立てなくなった。「正しい憲法解釈」を主張した結果として野党に甘んじることはそれなりに潔く見え、中選挙区では1議席ぐらい取れた。

他方、自民党は結党した当初から、保守勢力が「反共」で野合した理念なき党だった。岸信介は日米安保条約の改正に殉じて退陣したが、その後の首相は(安倍首相まで)改正案さえ出さなかった。多数を取るために小選挙区制にしようという案も、党内ハト派の反対で実現しなかった。

それも当時としては合理的だった。1951年に吉田首相は、アメリカのダレス国務長官が要求した再軍備(憲法改正)を拒否した。吉田は第2次大戦の経験から、ロシアや中国の経済力でアメリカと戦争することはありえないと考えていたからだ。1960年ごろのソ連のGDP(国内総生産)はアメリカの3割、中国は2割ぐらいだったので、従来の総力戦の発想では、両方の合計の2倍の戦力をもつアメリカに戦争を挑むことは考えられない。

吉田の判断は、アメリカの核の傘に「ただ乗り」する結果になった。彼はのちに「占領統治を離脱してから日本国民が決めればよいと思った」と語っているが、自民党にはその後、一度も改正を発議するチャンスがなかった。

「核の共有」も日本のオプション

他方、1955年にNATO(北大西洋条約機構)は西ドイツの加盟と再軍備を認め、ヨーロッパにアメリカの核兵器が配備された。このときNATOもアメリカと核兵器を共有し、その使用について拒否権をもつ二重の鍵(dual key)という原則が決まった。

アメリカは日本にも核兵器の配備を行う予定だったが、憲法が障害になってできなかった。むしろ日本では「反核」の世論が強かったため、1960年の安保条約改正では、核兵器の日本国内への持ち込みに「事前協議」を行うことが定められた(実際には協議は一度も行われていない)。

1960年代後半にアメリカはベトナム戦争の軍事負担を日本に求めたが、佐藤栄作は拒否した。日本を懐柔するためにアメリカは沖縄を返還したが、1972年の返還のとき佐藤内閣は「沖縄への有事の核持ち込みは黙認する」という密約を交わした。

このとき自衛隊の海外派兵を拒否するために「集団的自衛権」の行使を違憲とする法制局見解を出し、これがその後も日本の外交を拘束した。アメリカは常に日本の軍備増強を求めたが、日本は「憲法の制約」を理由にしてそれを逃れてきた。安保法制をめぐる騒ぎは、安倍政権がこういうアメリカの圧力をかわすための八百長のようなものだった。

しかし東アジアの地政学的なバランスは、冷戦期から大きく変わった。北朝鮮のような最貧国まで核武装する現代は、軍事力が経済力に比例しない非対称戦争の時代に入ったのだ。北朝鮮のGDPは日本の400分の1だが、その弾道ミサイルは大きな脅威である。

このように核の傘でも抑止できない脅威が高まっている現代では、安全保障を憲法問題に矮小化しないで、日米同盟を見直す必要がある。冷戦時代には米ソの核の均衡が保たれていればよかったが、今は北朝鮮の核攻撃に即応する「核の共有」が必要かも知れない。今では野党も日米同盟を否定していないので、憲法改正は見直しの必要条件ではない。

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『観光開発に揺れる「駱駝のシャンズ大街」 破壊される古都の風情』(1/5日経ビジネスオンライン 北村豊)について

1/5ロイターJustice Dept. launches new Clinton Foundation probe: The Hill

WASHINGTON (Reuters) – The U.S. Justice Department has begun an investigation into whether the Clinton Foundation conducted “pay-to-play” politics or other illegal activities during Hillary Clinton’s tenure as secretary of state, The Hill reported on Thursday, citing law enforcement officials and a witness.、

FILE PHOTO: A Clinton Foundation souvenir is seen for sale at the Clinton Museum Store in Little Rock, Arkansas, United States April 27, 2015. REUTERS/Lucy Nicholson

The newspaper said FBI agents from Little Rock, Arkansas, where the foundation began, had taken the lead in the investigation and interviewed at least one witness in the past month. Law enforcement officials told The Hill that additional activities were expected in coming weeks.

In response to a request for confirmation, a Justice Department spokeswoman said the agency did not comment on ongoing investigations.

There was no immediate response to a request for comment by officials at the Clinton Foundation. The organization previously said there was never any trade in policy decisions for contributions.

Democrats have accused Republicans of launching a spurious investigation of Clinton, the 2016 Democratic presidential nominee, to divert attention from Special Counsel Robert Mueller’s investigation into possible collusion between President Donald Trump’s election campaign and Russia.

The Hill reported that the officials, who spoke on condition of anonymity, said the probe was examining whether the Clintons promised or performed any policy favors in return for contributions to their charitable efforts or whether donors promised to make donations in hopes of government outcomes.

The probe may also examine whether any tax-exempt assets were converted for personal or political use and whether the foundation complied with tax laws, the newspaper cited the officials as saying.

A witness recently interviewed by the FBI told The Hill the agents’ questions focused on government decisions and discussions of donations to Clinton entities during the time Hillary Clinton led President Barack Obama’s State Department.

U.S. Attorney General Jeff Sessions asked Justice Department prosecutors to decide if a special counsel should be appointed to investigate certain Republican concerns, including alleged wrongdoing by the Clinton Foundation and the sale of a uranium company to Russia, according to media reports in November.

Reporting by Eric Walsh; Editing by Peter Cooney」

米・司法省はクリントン財団を再調査するようです。寄付者に「何ら見返りを与えてない」と財団は言っていましたが、司法長官はそれも含め、ヒラリーのウラニュウムワンのロシアへの売却についても検察に調査を求めたと。遅きに失した感はありますが、“better late than never”です。これでトランプも外交(北朝鮮)に力を注げるようになるのでは。

1/6看中国<政府下令拆40所學校 河南幼兒無校可讀(圖)=政府は40ケ所の学校を潰すよう命令 河南の幼稚園は校舎なく勉強できるのか>

https://www.secretchina.com/news/b5/2018/01/06/846137.html

北村氏記事にもありますように下々の生活を無視して、中共は土建国家に邁進中と言ったところ。校舎も何も壊してしまうのですから。教育は国の義務だと思いますが、一党独裁の共産党に聞く耳はないでしょう。歴史の改竄も得意ですから、万里の長城の石垣の上をコンクリで固めるようなことを平気でします。九寨溝も手を加えすぎです。観光で人を呼ぶためとはいえ。

1/7中国観察のfacebook投稿からです。「貧困」と題して、窑洞に住む人を撮影。窑洞は山西省・陝西省・甘肅省など中国西北黄土高原地帯の山の崖に掘られた横穴式の住宅です。追い出しをかけられないのは田舎だからでしょうけど。共産党幹部は都市開発で多額の賄賂を手にすることしか考えなく、弱者に対する思いやりはありません。日本の左翼政党に投票、朝日を筆頭とする左翼新聞を取っている人はこれをどう見ますか?三権分立がない一党独裁が如何に恐ろしいかが分かります。

https://www.facebook.com/100010739386824/videos/526649367703038/

なお、北村氏の記事に出てきます「老舎」は文革時に自殺に追い込まれました。Wikiによれば、「1966年、文化大革命の初期、紅衛兵たちに暴行され、入水自殺した。(中国当局からの公式発表のため、暗殺説あり)」と。共産主義社会は狂っています。TBSの大野元プロデユーサーは何を好き好んで中国で暮らしているのか分かりません。思想的に共産主義にシンパシーを感じているのかどうか。まあ、人それぞれですから。日本人でいる限り、日本での自由は認められます。中国では言論の自由はありませんけど。

記事

北京の中心に位置する“故宮(明・清代の皇居)”の北に“前海”、“后海”、“西海”の3つの湖で構成される“什刹海(シーシャハイ)”がある。北京の人気観光スポットの一つである“南鑼鼓巷(なんらここう)”は、その什刹海の東側にある。地下鉄6号線と地下鉄8号線が交差する“南鑼鼓巷站(駅)”のA出口を出ると、すぐ目の前に南鑼鼓巷の入り口がある。

南鑼鼓巷は北京市“東城区”にある市内最古の街区の一つであり、北京市が計画中の25カ所の“旧城保護区(旧市街保護地区)”の中の一つである。南鑼鼓巷は北側の“鼓楼大街(鼓楼大通り)”と南側の“地安門東大街(地安門東大通り)”を結ぶ全長786m、幅8mの“胡同(路地)”を指し、1267年から26年間を費やして元朝(1271年~1635年)が国都として“大都(北京の前身)”を建設したのと同時期に建設されたもので、元代の胡同や“院落(塀で囲われた住宅)”が最大規模かつ完全な形で残された伝統的居住区であった。

北京五輪を契機に変身

700年以上の長きにわたって静かな伝統的居住区であった南鑼鼓巷は、2008年の北京オリンピックを契機として変身を遂げる。2008年、北京市は1300万元(約2億2100万円)の募金を集めて“南鑼鼓巷商業業態調整資金”を設立し、商業店舗の誘致を働きかけ、2008年以前には50~60軒に過ぎなかった店舗は、2008年以降は飲食店、バー、軽食など各種各様の商店が次々と開店し、店舗数は100軒以上になった。2014年4月25日には中国共産党総書記の“習近平”が南鑼鼓巷にある“雨児胡同”を視察し、2軒の“四合院(中央の庭を囲む4棟からなる伝統家屋)”を訪問して生活状況を聴取したことでも知られるようになった。

しかし、南鑼鼓巷の名が知られるようになるにつれて、北京市民のみならず全国各地の観光客が大挙して訪れるようになり、瞬間の受け入れ可能数が1.7万人であるにもかかわらず、ピーク時の平均訪問客数が10万人を超えるようになった。こうなると南鑼鼓巷は人の波で溢れて身動きが取れない状態になり、観光客が不満を感じるだけでなく、地元の住民たちは生活をかき乱され、静かに暮らすことが困難な状態になった。一方、観光客が増えれば、抜け目のない商売人たちは北京とは全く関係ない食品や雑貨、服装など店舗を開き、南鑼鼓巷の商業化はかつての伝統的風情を破壊するに至った。2016年4月、南鑼鼓巷は“3A級旅游景区質量(3A級観光地品質認定)”<注1>を自主返納すると共に、観光旅行団の受け入れ拒否を決めた。2016年11~12月、南鑼鼓巷は無許可営業の店舗や違法建築の建物の集中取締りを行い、店舗数を80軒前後に減らし、文化財保護の修繕を展開した。

<注1>最高が5A(AAAAA)で、最低が1A。

筆者は2016年に南鑼鼓巷を訪れたが、北京とは関係ない飲食店や軽食店、さらには服飾や雑貨小物の店舗が軒を連ねているだけで、新奇な感じはするものの、元朝の胡同といった風情を感じさせるものは全く無かった。目先の経済発展と利益だけを目的とした都市開発や観光開発は古い文物や文化を破壊するだけで、決して得策とは言えないし、後世に誇れるものとはならない。中国の観光地は概ね似たり寄ったりで、古い建築物を改築・改造したり、けばけばしく塗り直したりしていて、古びたことによる良さを消し去っていることが多い。また、そうした場所に地元の特産品や雑貨、あるいは民芸品が売られているなら良いが、どこにでもある関係ない品物が売られていて興醒めすることが多い。

さて、筆者の中学・高校の同期である大野清司君は、TBS映画社(現TBS VISION)でTBSテレビの「世界遺産」などのドキュメンタリー番組のディレクター、プロデューサーとして活躍し、世界60か国を取材して回った経歴を持つ。その大野君が期するところあってTBS映画社を退職して中国へ渡り、中国の大学で教鞭を執ること10年以上に及んでいる。2016年9月から1年間だけ北京市を離れて浙江省の大学で講師として勤務したが、任期が終わると長年なじんだ北京市へ戻り、10月から北京市西部の“石景山区”にある“模式口大街”の教員宿舎で生活している。大野君は浙江省へ行く前には同じ石景山区の模式口大街より2kmほど東に位置し、地下鉄1号線の終点である“蘋果園(りんご園)”に住んでいたから、今回はさらに2km奥に位置する模式口大街へ住居を移したのだ。模式口大街から市中心の繁華街へ出るには、“蘋果園站(りんご園駅)”までの2kmを歩き、蘋果園站から地下鉄1号線を利用するのだという。

中国庶民の伝統的な生活を観察

中国に住む日本人は一般に便利さを求めて、できる限り繁華街に近い地域に居住するのが常だが、大野君は敢えて辺ぴな場所に住んで中国庶民の伝統的な生活を観察し、体験しようと努めて来た。そして今回、2017年10月から居住先として選んだのが模式口大街だったのである。10月1日付で大野君から受信した転居連絡メールには、「首都鉄鋼公司の住宅に囲まれた丘の一角だけが奇跡的に開発を免れ、今も四合院や街並みがかすかに残されています。老舎の『駱駝祥子』<注2>がラクダを引いて戻って来た京西古道に沿って、宦官博物館や氷河博物館、明代の壁画がほぼ完璧に残る法海寺などがあります」とあり、彼が模式口大街での生活に大きな期待を抱いていることが感じられた。

<注2>老舎(1899~1966年)は中国の作家・劇作家。代表作の『“駱駝祥子(ラクダのシャンズ)”』は1920年代の北京で暮らす農村出身の貧しい人力車夫「祥子」を描いた小説。祥子は敗残兵から逃げる時3頭の軍用ラクダを引いて京西古道を通って北京城内へ戻った。それが題名の由来。

早速にネットの地図検索で「石景山区模式口大街」を調べてみると、模式口大街の沿道およびその周辺には各種の“麺館(メン店)”や“餃子館(餃子店)”、軽食店、家庭料理店など多数の飲食店が点在し、“超級市場(スーパーマーケット)”やパン屋、服飾店、文具店、美容院、理髪店などの日用生活に必要な店舗が存在していた。これだけ飲食店が多ければ一人暮らしの大野君も外食に困ることもないし、必需品は近所で賄えると思われた。

筆者が地図検索の結果を踏まえて激励のメールを送ると、大野君からは模式口大街で見かけたという奇妙な葬式の写真と動画が送られて来た。それは桃色の馬車を引いた黄色い馬の大きな作り物(高さは1.5m程)の前で現代風の歌を歌う女性とそれを見守る死者の親族たちの姿だった。これこそ、大野君が望んでいた庶民の生活であり習俗と言えるものだったはずである。ところが、現実は大野君の期待を裏切ることになるのだった。

模式口大街の葬式風景(2017年10月)

2016年12月21日付の北京紙「北京日報」は、“石景山区政府”が模式口文化財保護区の修繕改造工事を開始する旨の記事を掲載し、次のように報じた。

将来は京西伝統村落体験区に

【1】東西に横貫する模式口大街と南北に縦貫する“法海寺大街”をそれぞれ改造して2本の“文化街”を作る。当該地区は風格のある24カ所の歴史的“院落”を拠り所に模式口文化を発展させ、博物館や伝統手工芸工房、文化上演場などを建設し、山や川の風景と古い街並みの風景を融合させて京西古道の特色ある情緒を再現する。

【2】元の名を“磨石口”を呼んだ模式口は、石景山区の中部に位置する歴史上重要な“京西古鎮(北京西部の古い村落)”であり、その敷地面積は約35.6ヘクタールで、北京市が発表した第2次の“歴史文化財保護区”である。模式口地区は主として“模式口村”と“法海寺森林公園”で構成され、現存する39軒の古民家、さらには“法海寺”、“承恩寺”、“田義墓”<注3>、“第四紀氷河擦痕”など多数の文化財保護対象が存在する。

<注3>明朝の萬歴帝(在位:1572~1620年)に寵愛された宦官“田義”の墓。同墓には田義を慕った明・清代の宦官10数人が合葬されている。上述した「宦官博物館」がこれに相当する。

【3】都市化の発展に伴い、当該地域の文化や歴史の形態は次第に埋もれつつあり、一部の“低端業態(低級業態)”がこれに取って代わっている。違法建築が密集し、屋台が道路を占拠し、道路は塞がれて水がはけず、各種の私設配管が違法に建てられた小さなビルから乱脈に延び、電線やパイプは蜘蛛の巣のように張り巡らされている。道路は最も広いところで6~7mしかなく、消防車や救急車は入れず、住民たちからの改造要求は強いものがある。同時に、当該地区では人口の逆転現象が深刻であり、模式口村の戸籍人口が1500戸余りであるのに対して、流動人口は1800戸余りに達している。

【4】今年10月、石景山区政府は模式⼝⽂化財保護区の修繕改造を開始したが、周辺住民の生活環境を適切に向上させ、便利で住み易い村落を建設することを計画している。また、模式口大街の伝統的な商業分布を維持する前提の下で、同大街の商業的特色を形成し、歴史的・文化的遺物のより一層の保存を図る。目下、模式口大街に面した店舗の立ち退きは完了しており、過渡的に駐車用として使っていた法海寺路南端の駐車場も工事が完了している。

【5】3年以内には、当該地区は京西古道の特色ある情緒を再現し、模式口大街と法海寺大街は高級な文化街となり、東西の模式口大街は京西古道文化、南北の法海寺大街は仏教文化をそれぞれ担うことになる。東と西の両区域は将来的に京西伝統村落体験区となり、その時には“駱駝隊(ラクダ隊)”、“太平鼓(うちわ太鼓)”、“叫売(声を張り上げて行う物売り)”、“地秧歌児(民間の集団舞踊)”などの伝統的な京西文化を模式口に再現する。

それから半年後の2017年6月5日付の「北京日報」は、「模式口で“大雑院(大きな雑居住宅)”解体」と題する写真入りの記事を掲載した。記事は次のように報じていた。すなわち、石景山区模式口大街の東口にあった“康達”と“陽光暁鴎汽修廠(自動車修理工場)”の“大雑院”が先日解体された。両者合計の解体された建屋面積は3230m2。これらは“金頂街地区”で最後に残されていた“低端業態(低級業態)”の集中する“大雑院”であったが、解体後は緑地として整備される。掲載された写真には瓦礫の山となった“大雑院”跡が写っていた。

商店は軒並み閉店

8月25日付の“千龍網(ネット)”は「駱駝祥子大街の改造工事が今月始動」と題する記事を報じたが、その概要は以下の通り。なお、“駱駝祥子大街”とは、記者が洒落の積りで『駱駝祥子』に因んで模式口大街に命名したのだろう。

(1)模式口文化財保護区修繕改造工事のテスト改造街区である“南小街段”の工事が完成し、メディアに対するお披露目会が、本日午前中に模式口の“駝鈴(ラクダの首につるす鈴)古道”で挙行された。南小街段は田義墓および模式口大街の南側に位置し、全長170mで、模式口大街と周辺に多数ある文化財保護地区への重要な道路であり、模式口文化財保護修繕改造工事の中で重要な節目となる工事である。

(2)テスト改造街区である南小街段の工事が完成したことにより、今月、老舎の『駱駝祥子』のモデルである模式口大街の修繕改造工事は開始されることになる。石景山区の関係責任者は、「“模式口民族老街”は北京西部の山間部文化発展の中核をなす部分であり、重厚な歴史の記憶を支えるものである。知っての通り、老舎が書いた『駱駝祥子』はこの模式口から出て来たのである」と語り、「修繕改造工事は今月から開始される」と強調した。

ところで、修繕改造工事が本格化した結果はどうなったのか。12月末に一時帰国した大野君によれば、模式口大街およびその周辺にあった飲食店やスーパーマーケットなどの商店は軒並み閉店を余儀なくされ、営業しているのは野菜や肉類などの食品と雑貨を扱う小さな商店と修繕改造工事に従事する労働者を相手にする“饅頭(中国式蒸しパン)”の店だけだという。模式口大街およびその周辺にあった商店には、石景山区政府の役人が出向き、違法建築、無許可営業、衛生法違反、消防法違反などの各種名目で営業停止を命じて、強制的に店舗を閉鎖、封印したという。これら店舗の経営者や従業員のほとんどは、北京市の戸籍を持たない“外省人(他の省の人)”で、北京市へ出稼ぎに来た人たちだった。

こうした出稼ぎ者たちが暮らしていた“雑院(雑居住宅)”も順次解体されたことから、職場も住居も無くした出稼ぎ者たちは次々と模式口大街から去って行ったという。上述したように模式口村の流動人口は1800戸余りであったということだから、恐らく3000~4000人の出稼ぎ労働者とその家族が模式口大街を離れたものと思われる。大野君が写真と動画を送ってくれた、あの奇妙な葬式を行っていた家族もすでに模式口大街にはいないという。そして、封印された店舗は京西古道の趣を加えた店舗に改装され、新たな経営者たちによる営業開始の日を待っている状態にあるという。

“低端人口”駆逐を継続

石景山区政府が模式口大街の修繕改造計画を進めるに当たり念頭に置いたのは、観光客を誘致して歳入を増やすことを目的とした観光開発であり、その手本となったのは文頭に述べた北京市東城区の南鑼鼓巷であったと思われる。南鑼鼓巷と同様にインフラを整備し、中国国民の誰もが知る老舎の『駱駝祥子』と京西古道のイメージを活かして商店の外装を一新して、従来からある文化財の価値を高めて集客を図る。これが究極の目的と考えられる。しかし、これはあくまで筆者の意見だが、華美な外装の店舗や地元と関係ない商品を扱う店舗が連なる商店街は、模式口大街が従来持っていた中国的特色を払拭し、望むべき京西古道のイメージを損なうことになるのではないかと懸念される。その悪しき参考例が南鑼鼓巷である。観光客が増大すれば、地元民の生活環境も大きく影響を受け、その生活自体も変化を余儀なくされるだろう。

北京市政府は外地から出稼ぎに来た人々を“低端人口(低級人口)”と呼び、彼らを北京市から駆逐する動きを依然として継続している。上述した模式口大街の修繕改造計画も低級人口の駆逐が目的の一つであり、都市改造を名目とした低級人口駆逐の動きは北京市全域で今なお進められている。低級⼈⼝駆逐の動きは、北京市に隣接する河北省や遠くは広東省まで波及し、全国的なものとなりつつある。こうした動きを背景に2018年の中国はどうなるのか。筆者は引き続き庶民生活に立脚した目線で本リポートを続けて行く所存です。大野君には模式口大街の変貌振りを引き続き報告してくれるように依頼した次第です。

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『ますます高まる中国の軍事的脅威と覇権拡大 習近平体制下の中国の安全保障戦略』(1/4JBプレス 矢野義昭)について

1/5看中国<北京清理“低端人口”和文革黑五類(組圖)=北京は低級人民と文革黒5類(文革時の地主、富農、反革命分子、破壊分子、右派)を整理>農民工は人が嫌がる仕事をして都市を支えて来たのに、都市戸籍も与えられず、福利や子供の教育等で差別を受けて来た。北京の大興区の火災を発端に、彼らの住まいを解体して追い出しを図った。

思い起こすのは、文革時の黒5類である。差別・追放されただけでなく、殴られ・辱めを受け・殺されたりした。黒5類と低級人民の出発点は違う。黒5類は階級闘争、低級人民は社会維持の為である。但し両者を発生させる土壌は一緒である。為政者が最下層の人達を蔑視するからで、米国の黒人奴隷、ナチスドイツのユダヤ人迫害、インドのカースト制、南アのアパルトヘイトと同じである。昔は黒5類だったが、今は低級人民が同じ扱いを受けている。

文革中の言論・行動・政策・思想は突然に出て来たものではない。17年の赤色教育と洗脳によってである。更に言えば、数千年の専制文化があり、文革の源流は遙か昔からである。文革を否定し、その毒を消し、真の平等社会を実現させるのは道遠しである。

https://www.secretchina.com/news/b5/2018/01/05/845815.html

1/5看中国<澳洲在排華嗎?來自澳洲的心聲!(圖)=オーストラリアでは中国人排斥中 オーストラリアの心の声より>オーストラリアで別れの時には“Have a good day”と言うが、中国人は安全注意と言う。それは中国領事館から「安全に注意して」と言われたから。それだけ「排華」「辱華」事件が多く起きている。何故かと言うとターンブル首相が「中国が国内政治に干渉」していることへの不満を表明したため。彼は民主主義の価値観を守れと呼びかけた。国と国とを分かつ原因は、中国では狂ったように外国産を排撃してきたこと。日本車・ケンタッキー・ロッテの襲撃、韓国旅行禁止、インド人を阿三(上海租界のシーク教徒の警官)と呼んで罵り、クリスマス行事禁止等大国のすることか。習はG20で世界に向け「問題をよそに押し付けない」と言ったがどのように体現するのか。彼が言ったのはクレージーの極みで非人間だけができることである。私はメルボルンに住んでいるが、周りは親切で、“Have a good day”と言って貰えている。

https://www.secretchina.com/news/b5/2018/01/05/846038.html

1/5希望の声TV<朝核會談中方代表急赴韓 評:效果有限 原因在習近平=1/5 6者会談の中方代表孔鉉佑が急遽韓国ソウルを訪問し会談 評:効果は限定 原因は習近平にある>コロンビア大学の李天笑政治学博士は「金正恩にとって核ミサイルの開発では、時間こそが大事。残された時間は多くない。習は金とは益々疎遠になったが、7艘の外国旗を付けた船が北に石油を渡しているのを米国衛星にキャッチされた。真偽は分からないが、同じ共産主義と言う事で朝鮮労働党が倒れるのを習は望んでいないし、核を持つことも望んでいない。将来誰が朝鮮を統治するかが問題。朝鮮半島が統一されることも反対だし、中国の国境付近に民主政権ができるのも反対である。今回の会談は実質的な意味合いはない。朝鮮が時間を引き延ばして米国を狙う力を持てば、最後に米国は核施設を破壊せざるを得ない。韓国と中国は反対さえしなければそれで良い。CIAの報告に依れば今年3月に米国にミサイルが届く力を持つとの評価で、世界は平昌オリンピックが終わった時点が核問題の平和的解決の分水嶺になる」と述べた。

https://www.bannedbook.org/bnews/zh-tw/cbnews/20180105/881313.html

トランプが文在寅に頼まれて平昌オリンピックまでは攻撃を延期したのかどうか。でも文在寅は北の手先でしょう。トランプは、まだまだ北への先制攻撃には大義名分が足りないと思っているのかどうかです。

矢野氏の記事では、中国が(韓国、朝鮮もそうですが)如何に嘘つきかが分かります。明らかに言っていることとやっていることが違うのに恬として恥じずです。彼らの頭の中は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」ですから、習は「俺は賢い」と思っていることでしょう。多くの日本人は騙されてばかりですから、馬鹿と言うことになります。

記事

中国北京の三里屯地区の繁華街で警備に当たる武装警察。(c)AFP PHOTO / GREG BAKER〔AFPBB News

2017年11月の中国共産党第19回党大会で習近平中国共産党総書記の報告がなされ、その中で習近平総書記の安全保障観と安全保障戦略が示された。

同時に通過した新たな『中国共産党党規約』では、その冒頭で、中国共産党は、中国人労働者、人民の「先鋒隊」であるだけではなく、中華民族の「先鋒隊」であると規定されている。

また、中国共産党の最高の理想と最終の目標は「共産主義の実現」にあると断言している。そのことは、すべてを「民主集中制」のもと共産党の「領導(指導)」の下に置く共産党独裁政治を貫徹するとの決意を内外に改めて表明したものと言えよう。

今回の党大会では、50代若手の政治局常務委員が選出されないなど、習近平総書記への権限強化が図られている。安全保障、軍事面ではどうであろうか?

また、報告された習近平の安全保障観、安全保障戦略の内容はどのようなものであろうか?

1 党大会報告にみられる習近平総書記の安全保障観と安全保障戦略

今年10月に開かれた中国共産党第19回全国代表大会での習近平総書記の報告では、本党大会の主題が

「初心を忘れず、使命を深く胸に刻み、中国の特色ある社会主義の大旗を高く掲げ、小康社会を全面的に建設し、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な勝利を勝ち取り、中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現のために怠りなく奮闘すること」

にあると、その冒頭で宣言している。

そのための基本戦略として、以下の14項目が挙げられている。

①すべてに対する党の指導の堅持 ②人民を中心に服務することの堅持 ③改革の全面的深化の堅持

④新たな発展理念の堅持 ⑤党の指導下での人民統治制度の堅持 ⑥法に基づく国家統治の堅持

⑦社会主義の価値体系の堅持 ⑧発展の中での民生の保証と改善の堅持 ⑨人と自然の調和と共生の堅持

⑩総体的な国家安全保障観の堅持 ⑪党の人民軍隊に対する絶対的指導の堅持 ⑫「一国両制」と祖国統一推進の堅持

⑬人類運命共同体の建設推進の堅持 ⑭全面的に厳格に党を管理することの堅持

この中で安全保障上注目されるのは、⑩以降である。

⑩では、「全般的には発展と安全を図りつつも有事を忘れず、国益を擁護することを堅持し、人民の安全を第一義(「宗旨」)に、政治は安全保障を根本とし、外部と内部の安全、国土と国民の安全、伝統的安全と非伝統的安全、自身の安全と共同の安全について全般的に計画し、国家安全保障制度体系を完璧にし、国家の安全保障能力建設を強化し、国家の主権、安全、利益の発展を固く保持する」としている。

ここには、国家の主権や安全など、至上の利益を守り抜くため、国内外の各種脅威にバランスよく隙なく備えるとの総合的な安全保障観が示されている。

治にいて乱を忘れず、平時から戦争に備えるとともに、テロなどの国内の治安上の脅威、サイバー、宇宙などの非伝統的脅威にも備えるべきことが示唆されている。

⑪では、指揮系統を一元化し、戦って勝てる、優秀な人民軍を建設することが、第18回党大会で提起された「2つの200年」という奮闘目標を実現し、中華民族の偉大な復興という戦略実現の重要な基盤を実現することであると、軍建設の決定的な重要性を強調している。

ただし、その際に党の指導に徹底して従うべきこととされている。軍はあくまでも党の軍隊であり、国家の軍隊ではなく、人民の安全を第一義と言いつつも、天安門事件でも示されたように、それが守られる保証はない。

⑫では、香港や厦門の長期的な繁栄と安定を保持し祖国の完全統一を実現することが、中華民族の偉大な復興を実現する上での必然的要求であるとしている。

さらに、中国が「両岸関係」の政治的基礎と位置づけ「一つの中国」を体現しているとする「92共識」を堅持し、両岸関係の平和的発展を促進するとともに、両岸の経済文化交流を拡大し、両岸の同胞が共同で一切の国家分裂的活動に反対するよう促し、共に中華民族の偉大な復興の実現に奮闘しなければならないと述べている。

台湾はもとより尖閣諸島についても、中国は固有の領土と主張しており、「祖国の完全統一」には、台湾と尖閣諸島の併合が含まれている。

⑩と⑪を考え合わせるならば、いずれ武力を用いてでも、台湾と尖閣諸島は占領し併合しなければならない、またそのため、人民軍は党の命令があればいつでも占領任務を果たせるよう、平時から備えておかねばならないことになる。

日本としては、中国がこのような安全保障観を持っている点に留意し、日本の固有の領土である尖閣諸島に対する中国の侵略がいつかは起こり、力による、あるいは力を背景とした台湾の併合もいずれ行われることを予期し、今から備えておかねばならない。

また、このような事態に対し米国が軍事介入も含めた対応行動を取る可能性も高く、台湾、尖閣諸島をめぐり、米中対決が生ずるおそれもある。半面、中国が米国の介入がないと判断すれば、このような侵略が生起するおそれは高まる。

⑬では、人類の運命共同体の構築推進を堅持するとの基本戦略が謳われている。

中国の夢の実現は、平和的な国際環境と安定した国際秩序に反するものではなく、「世界平和の建設者、全地球的な発展の貢献者、国際秩序の維持者となる」と表明している。

中国のこのような国際協調的な姿勢は、南シナ海などでの行動に照らせば、欺瞞的なものと言わざるを得ない。

WTO(世界貿易機関)など自国に好都合な国際取り決めには参加して受益しながら、他方では露骨に力で既成事実を作りそれを国際社会に押しつける手法を取る国家や体制は、人類運命共同体を語るに値しない。

アメリカ・ファーストを掲げ、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)離脱など内向き姿勢を強める米ドナルド・トランプ政権を意識し、その隙に乗じて国際社会での影響力を拡大しようとするプロパガンダと言えよう。

同様の狙いは、エコロジーへの配慮を強調した⑨にもうかがわれる。

⑭では、党と党員の厳格な綱紀粛正、腐敗防止、規律維持の重要性が強調されている。

この点は軍と軍人についても同様であり、軍改革でも郭伯雄、徐才厚の粛清にみられるように、軍内の腐敗撲滅が重視されている。

ただし、実質的には反腐敗闘争に名を借りた権力闘争でもあり、習近平総書記が軍内で権力基盤を固めるため仕組まれたものと言える。党大会での報告もその意向を反映している。

2 具体的なタイムテーブルとしての「2つの100年」

また同報告では、具体的なタイムテーブルとして、第18回党大会で提起された「2つの100年」という目標の実現が中華民族の偉大な復興戦略のキーとなることを強調している。

第19回党大会から第20回に至る間は「2つの100年」が交わる時期であるとされ、以下のように新たな100年への展望が述べられている。

「我々は、全面的な小康社会を建設し、1つ目の100年の奮闘目標を実現しなければならないが、それとともに、勢いに乗じて社会主義現代化国家の全面的建設という新しい遠征の道のりを開始し、2つ目の100年の奮闘目標に向けて進軍しなければならない」

さらに、国際国内情勢と中国の発展条件を総合判断すると、2020年から今世紀半ばまでを2段階に分けることができるとして、以下のように発展戦略を描いている。

すなわち、2020年から2035年の第1段階では、「社会主義の現代化を基本的に実現」する。2035年から今世紀半ばまでの第2段階では、「社会主義の現代化強国の建設」を目指し、中国を「総合国力と国際的影響力において世界的な指導国家にする」としている。

これに連動し軍建設については、「世界の軍事革命の発展の趨勢と国家安全保障上の要求に適応し、建設の質的量的向上と効率化を進め、2020年までに機械化、情報化を大幅に進展させ戦略能力を向上させる。

2020年から2035年の間に、国家の現代化の進展過程に合わせ、軍事理論、軍隊組織形態、軍事人員および武器装備の現代化を全面的に推進して、2035年には国防と軍隊の現代化を基本的に実現し、今世紀中頃には人民軍隊を全面的に世界一流の軍隊にするとしている。

3 党大会報告にみる「中国の特色ある強軍の道」

「中国の特色ある強軍の道を進み、国防と軍隊の全面的な現代化を推進することを堅持」して、次のような方針を安全保障政策では採ると述べている。

「国防と軍隊建設は新たな歴史的出発点にいま立っている。国家の安全保障環境が深刻に変化し、強国強軍という時代的要求に直面する中、新時代の党の強軍思想を貫徹し、新形勢下での軍事戦略方針を貫徹し、強大で現代化された陸軍、海軍、空軍、ロケット軍と戦略支援部隊を建設し、堅固で強い戦区聯合作戦指揮システムを生み出し、中国の特色ある現代的な作戦体系を構築し、党と人民の与えた新時代の使命と任務を担わねばならない」としている。

そのための具体策として、以下の事項が言及されている。

①精神的に優れた「革命軍人」を育成し、人民軍としての特性、本質を保持し、 ②軍官の職業化制度、文官人員制度、兵役制度などの重大な政治制度改革を深化させ、軍事管理革命を進め、中国の特色ある社会主義軍事制度を完璧にし発展させる。

③科学技術面では、戦闘力思想を核心とし、重大な技術革新を推進し、自主創造に努め、軍事的人材育成のシステムを強化し、新機軸型の人民軍隊を建設する。

④軍を全面的に厳格に統制し、その方式を根本的に変え、法治の水準を高める。 ⑤各戦略正面の軍事闘争準備を堅実に行うとともに、伝統的および非伝統的な安全保障領域での闘争準備を推進する。

⑥新型の作戦戦力と作戦基盤を発展させ、実戦的軍事訓練を行い、運用能力を高め、軍事の知能化を加速させ、インターネット情報システムによる聯合作戦能力、全域作戦能力を高め、危機を管理し、戦争を抑止し戦勝を達成する有効な態勢を作る。

⑦富国と強軍を統一し、統一的な共産党による指導を強化し、改革イノベーションと重大項目の実施、国防科学技術工業改革の深化、軍民融合の深化と各方面での発展、一体化された国家戦略の体系と能力の構築を行なう。

⑧国防動員体系を完璧にし、強大かつ安定した現代的な海空国境警備態勢を建設する。

⑨退役軍人の管理保証機構を構築し、軍人軍属の法的権利を保護し軍人を社会全体から尊崇される職業とする。

⑩武装警察の部隊改革を進め現代化された武装警察部隊を建設する。

我々の軍隊は人民の軍隊であり、我々の国防は全人民の国防である。我々は全人民の国防教育を強化し、軍政軍民の団結を強固にし、中国の夢、強軍の夢を実現するため強大な力を結集しなければならない。

以上の施策は軍事力建設の各方面にわたる総合的なものであり、今世紀半ばには人民軍を世界一流の軍隊にするとの長期目標達成のための個別施策を網羅していると言えよう。

特に、軍事制度改革、法治水準の向上、退役軍人の管理保証機構の創設、軍人の社会的地位の向上などの施策が強調されているのは、今年発生した退役軍人による抗議行動など、軍改革に伴う兵員削減、粛軍などに対する不満を和らげる狙いがあるものと思われる。

軍事作戦面での、聯合統合作戦と全域作戦の能力向上、軍の情報化を通じた現代化、軍民融合の重視などは、軍改革でもこれまで強調されてきた点であり、改めて確認したものであろう。

4 許其亮報告の内容とその特色

党大会の政治報告である以上、当然と言えるかもしれないが、軍事に関する報告で重点が置かれているのは、作戦運用面よりも軍政関連の事項である。

中国共産党中央政治局委員、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席の空軍上将である許其亮は、『習近平の強軍思想を国防と軍隊建設の指導的地位としてしっかり確立せよ』と題する報告を第19回党大会で行っている。

しかしその内容は、上記の習近平の報告内容から出るものではなく、重複引用が目立つ。

特に作戦運用に関する部分は、習報告の引用に終始するか習近平の軍改革の内容を繰り返しているにすぎず、新鮮味はない。

強調されているのは、表題からも明らかなように、党の指導への絶対服従、「習近平の強軍思想」の礼賛、軍内での腐敗撲滅の成果などである。

注目されるのは、これまでの「党の強軍思想」が「習近平の強軍思想」と呼ばれていることである。

このことは、党と国家の中央軍事委員会主席である習近平の軍事支配権が、「思想」と称される水準にまで強化されたことを意味している。

しかし他方で許其亮は、徐才厚と郭伯雄を名指しし、2人の「流毒の影響」を徹底的に排除することを強調しており、軍内での彼らの影響力がまだ残っていることを示唆している。

軍歴のない習近平の軍事支配権はまだ堅固に確立されたわけではなく、今後も、軍改革の進展と並行して、反腐敗闘争に名を借りた軍内での権力闘争は続くものとみられる。

結言

習報告の最後に、「中国の夢」と「強軍の夢」が併記されており、習近平の強軍思想に指導された「強軍」が、「中国の夢」を実現することそのものであり、「中国の夢」実現の最も重要な基盤であり前提条件であることを意味している。

「強軍」が実現されなければ、「中国の夢」が実現されることはない。

中国の軍事力強化と力を背景とする覇権拡大は、習近平体制のもと一層拍車がかかるものと予想される。

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『いつ日中衝突が起きてもおかしくない尖閣諸島 米ランド研が警告、米軍の対応もシミュレート』(1/4JBプレス 古森義久)、『やはり「中国と対決」の道を選んだトランプ政権 米中融和路線を否定した国家安全保障戦略』(12/27JBプレス 古森義久)について

1/5中国観察facebook<中国政府把90岁的农民夫妻的房子违法强拆了,零下十几度的大雪天,两口子住在透风露雪的草棚子里,不知他俩今晚会不会冻死?能否活过今晚?=中国政府は90歳になる農民夫婦の住まいを違法に強制撤去し、零下10数度にもなる大雪の中、二人は風雪の入る草庵に住み、今晩にも凍死するかも分からず、今晩生きていられるか?>

https://www.facebook.com/chinaexaminer/videos/2073463856207370/

自国民をここまで虐待できる共産党統治に正統性はありません。古森氏の記事にありますように、中国は他国を侵略して自分のものにしようとする野望を持っています。尖閣だけでは勿論ないのですが、尖閣すら守れないようでは、後は推して知るべしです。中共の毒牙にかかり、日本は無くなるでしょう。

ランド研究所の報告によれば、中国の台湾進攻の可能性が最も高いとのことです。その際、日本は米台の支援ができるように擦り合わせしておく必要があります。日本の左翼メデイアは侵略して来る中国を非難せず、「中国の内政に首を突っ込むな」という誤った論陣を張るでしょう。日本人は台湾が中国の手に落ちたら次は日本に襲いかかって来るというのを理解しなければ。無責任な他人の言うことを鵜呑みにせず、自分の頭で考えれば分かる筈です。

1/5ブルームバーグニュース<バノン氏、トランプ大統領の支持を継続すると表明-関係修復へ火消し>

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-04/P217C96S972E01

1/5日経朝刊には「トランプ氏とバノン氏、決別か 米中間選挙へ影響必至

【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は3日発表した声明で、元側近で昨年8月に辞任したバノン前首席戦略官・上級顧問について「彼はクビになり、職とともに正気を失った」と批判した。近く出版される書籍の中で、バノン氏がトランプ氏親族らを批判したためだ。白人貧困層などトランプ氏の支持層の声を代弁してきたバノン氏だが、両氏の「決別」は秋に控える議会の中間選挙にも影響をおよぼす。

スティーブン・バノン氏 極右ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」を率い、2016年米大統領選でトランプ氏を大統領に押し上げた。首席戦略官・上級顧問としてイスラム圏からの入国禁止令などを主導したが、政権運営が混迷するなか、17年8月に辞任した。(写真はロイター)

発端は、ジャーナリストのマイケル・ウォルフ氏が政権の内幕を暴露した「炎と怒り」。米メディアが報じた内容によると、バノン氏はトランプ氏長男とロシア人弁護士との大統領選中の面会を「反逆罪」に当たるなどと指摘。トランプ氏は3日の声明で「いんちきだ」と断じ、バノン氏の言動を激しく罵った。

極右ニュースサイトを率いるバノン氏は「米国第一」のトランプ氏の政治思想を支え、政権を去った後も関係は近いとみられてきた。バノン氏は暴露本の内容について、現時点でコメントしていない。米国内では両氏の関係は破綻したとの見方が広がる。

特に関心を集めるのは11月の中間選挙への影響だ。政権の今後を占うためだが、有識者の間でも見立ては分かれている。

経済アナリストで米政治に詳しいジョセフ・クラフト氏は「影響は大きい。バノン氏が掘り起こした候補が複数おり、トランプ、バノン両氏の二枚看板に頼って選挙に出ようとした候補に逆風だ」とみる。過激な「味方」を「敵」に押しやる恐れがあるだけに、北海道大学の鈴木一人教授は「仮に共和党内で醜聞の暴露合戦になれば民主党を利する」と指摘する。

一方で「バノン切り」により、共和党保守派とトランプ氏が「結束するプラスの影響がある」(みずほ総合研究所の安井明彦欧米調査部長)との見方もある。バノン氏は「支配層」を敵視し、与党共和党主流派と対立してきた。昨年12月のアラバマ州の上院補選ではバノン氏が推した共和党候補が敗れ、同党は長年保った議席を失った。笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員は「バノン氏の影響力が低下すれば、共和党主流派の候補にとって有利に働く」とみる。

米紙ニューヨーク・タイムズ電子版によると、政権内では今回、少なくとも3つの声明案が用意されたという。それだけバノン氏との距離には神経を使う。大統領と側近との個人関係が命運を握るトランプ政権の基盤の弱さも改めて浮き彫りになった。」(以上)

バノンがトランプとの関係を修復しようとしても難しいのでは。アラバマ補選での敗退が痛手でした。今年の11月の中間選挙では確かに民主党との競争があり、トランプと共和党保守派が手を結ばないと、お互いに困る状況が出ますので、選挙をにらんで協力はしていくと思います。

トランプも北への攻撃についてはトーンダウンしているような気がしますが、中間選挙までに手を打つのかどうか。

1/4記事

民間機から見た尖閣諸島(左から魚釣島、北小島、南小島)、出所:Wikipedia

新しい年の2018年、尖閣諸島をめぐって日中両国が軍事衝突する危険性はますます高くなった――。そんな新たな警告が米国で発せられた。

米国の安全保障研究機関「ランド研究所」は、2017年12月に公表した調査報告書で、尖閣諸島をめぐる日本と中国の対立が地域的な戦争に発展する危険性を指摘した。さらに同報告書は、米軍もその事態に備える必要があることを勧告していた。

米軍が潜在敵とみなす5つの勢力

ランド研究所は米国の主要な民間研究機関の中でも歴代政権の国防総省との絆が最も強く、国防総省や米軍当局から委託研究を頻繁に請け負ってきた。トランプ政権下でも国防総省などからの委託を受け、米国にとっての戦争や軍事衝突の危険性をグローバル規模で調査している。

今回、ランド研究所がまとめた約150ページの報告書「危険な世界に対する米国の軍事能力と兵力」は、まず米国が戦争あるいは軍事衝突を起こし得る潜在敵として中国、ロシア、北朝鮮、イラン、イスラム系テロ勢力の5つを挙げて、それぞれとの戦闘の見通しを詳述している。

さらに米軍がこの5つの潜在敵対象の複数と同時に戦闘状態に入る可能性を考え、米側の戦闘能力を具体的に評価し分析していた。

その中でとくに注目されるのは、いまの米国にとって、中国との戦闘が最も現実性が高いと予測する点だった。戦闘の形は、小規模な紛争から全面戦争に至るまでさまざまな規模が考えられるという。

対中衝突のきっかけは、中国の台湾への軍事力行使が最も可能性が高いとしている。さらに同報告書は、米中開戦につながりうる他の地域的な有事として「尖閣諸島をめぐる日本と中国の軍事衝突」を第一に挙げていた。

沖縄や本州を攻撃する可能性も

その部分の概要は以下のとおりである。

・米国は、中国の台湾攻略を抑止することに加えて、日本と中国の軍事衝突の可能性の高まりに備えることが急速に必要になってきた。最大の発火点とみなされるのは東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)であり、日本と中国の両方の領有権主張がぶつかり合っている。

・とくにここ数年、尖閣諸島をめぐる日中両国間の緊張が高まっている。日本側は国家安全保障政策の最重点を北方領土や北海道での有事から南へと移し、尖閣はじめ琉球諸島や沖縄の防衛を最重視するようになった。こうした防衛政策の再調整は、中国側の尖閣周辺での軍事力行使に対応する日本側の能力を大幅に高めている。

・西太平洋での軍事力増強を求められる米軍にとって、尖閣での日中衝突への対応は、台湾有事ほどの重大性はないにせよ重視せざるをえない。尖閣を発火点とする日中軍事衝突は限定的かつ短期的である見通しが強い。だが中国が沖縄や本州の日本の軍事施設を攻撃した場合、戦闘全体が大幅に拡大する。

・尖閣における戦闘で、日本の自衛隊が中国軍に一方的な損害を与えて敗北させた場合、中国軍は日本本土の重要なインフラ施設に対して、サイバー攻撃、あるいは長距離のミサイル攻撃をかけるという選択肢をとるかもしれない。その場合、西太平洋の米軍は、尖閣をめぐる戦闘だけでなく日本本土での日本側の空軍戦力やミサイル防衛を支援する任務を負う。

米軍の日本支援は、台湾有事に備えて西太平洋に駐留してきた兵力によって、その責務を果たすことができるだろう。とくに日本本土のミサイル防衛は現在の日本独自の能力ではまったく不十分であり、米軍から支援が必要である。

*  *  *

ランド研究所の報告書は上記のように「尖閣での日中軍事衝突」「戦闘の展望予測」「米軍の任務」などをきわめて具体的に記していた。尖閣諸島をめぐる中国と日本の軍事衝突がいつ起きてもおかしくないという前提がはっきりとうかがわれる。

日本側は、こうした尖閣の危機を、もっと真剣に、もっと現実的に受け入れるべきである。尖閣有事こそが現在の日本にとって目前に迫った「国難」であることはもはや疑う余地がないといえよう。

12/27記事

米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席(2017年11月9日撮影、資料写真)。(c)AFP/Fred DUFOUR〔AFPBB News

中国は、米国が主導する国際秩序への最大の挑戦者である──。米国のトランプ大統領が12月18日に発表した「国家安全保障戦略」は、対中政策の前提として中国をこう位置づけ、長期的には中国の膨張を抑える対決の道を選ぶという姿勢を明確にした。

日本の一部では、トランプ政権が中国とやがて手を結ぶという「対中取引外交」説が語られていたが、その説を否定する形となった。

アジアで他国の主権を脅かしている中国

今回トランプ大統領が発表した国家安全保障戦略は、中国とロシアが軍事力や経済力政治力を拡大して、米国が主導する現在の国際秩序を壊し、米側の利益や価値観に反する新たな世界を作ろうとしているとして、その試みを防ぐことが不可欠であると強調していた。

特に、米国にとって今後長期にわたり最大の脅威となる相手と位置づけていたのが中国である。同戦略は中国の特徴を以下のように定義づけていた。

・中国はインド・太平洋地域で米国に取って代わることを意図して、自国の国家主導型経済モデルを国際的に拡大し、地域全体の秩序を作り変えようとしようとしている。中国は自国の野望を、他の諸国にも利益をもたらすと宣伝して進めているが、現実にはその動きはインド・太平洋地域の多くの国の主権を圧迫し、中国の覇権を広めることになる。

・ここ数十年にわたり米国の対中政策は、中国の成長と国際秩序への参加を支援すれば中国を自由化できるという考え方に基礎を置いてきた。だが、米国の期待とは正反対に、中国は他の諸国の主権を侵害するという方法で自国のパワーを拡大してきた。中国は標的とする国の情報をかつてない規模で取得し、悪用し、汚職や国民監視などを含む独裁支配システムの要素を国際的に拡散してきた。

・中国は世界の中で米国に次ぐ強力で大規模な軍隊を築いている。その核戦力は拡張し、多様化している。中国の軍事力の近代化と経済拡張は、大きな部分が米国の軍事や経済からの収奪の結果である。中国の急速な軍事力増強の大きな目的の1つは、米国のアジア地域へのアクセスを制限し、自国の行動の自由を拡大することである。

・中国は自国の政治や安全保障の政策に他国を従わせるために、経済面での“飴と鞭”の使いわけのほか、水面下で影響力を行使する工作、軍事的な威嚇を手段としている。インフラ投資や貿易戦略は、地政学的な野望の手段となっている。また、南シナ海における中国の拠点の建造とその軍事化は、他国の自由航行と主権を脅かし、地域の安定を侵害する。

そして同戦略は、インド・太平洋地域の諸国は、中国に対する集団防衛態勢を米国が主導して継続することを強く求めていると強調していた。

明確に否定された「米中融和」の推測

このように同戦略は、中国は他の諸国の主権や独立を侵害しようとする危険な存在であり、アジア・太平洋地域全体にとっての脅威となっているため、米国が中国の脅威を受ける諸国を集めて、対中防衛、対中抑止の態勢を共同で保たねばならない、と唱える。

つまりトランプ政権は、長期的にみて中国が米国にとっての最大の対抗相手、潜在敵であるとみなしているのだ。

その一方、トランプ大統領は就任からこの11カ月ほどの間に、北朝鮮の核兵器開発を防ぐための協力を求めるなど対中融和と受け取れる言動もあった。そのため日本では一部の識者たちの間で、「トランプ大統領は、結局は中国との協調姿勢をとることになる」「米中はやがて水面下で手を結び絆を強め、日本を疎外するようになる」という観測が述べられてきた。トランプ大統領の実業家としての経歴を重視して「トランプ氏は中国との間でビジネス的な取引を進め、対立を避けるだろう」と予測する向きも少なくなかった。

しかし、今回、打ち出された国家安全保障戦略は、中国を米国にとっての最大の脅威と位置づけており、「米中融和」や「米中蜜月」という推測を明確に否定したといえよう。

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『米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に 米台の軍艦が相互寄港へ、ヒステリックに反応する中国』(1/3JBプレス 阿部純一)について

1/2希望之聲<美媒:金正恩新年賀詞藏重大信息 北京或被當作棋子=米国メデイア:金正恩は新年賀詞を発表したがその中には隠されていた情報があった 北京は将棋の駒の扱いを受けるのかも>1/1金正恩は新年賀詞を発表したが、韓国向けに平昌オリンピック参加と米国を核で脅すことで、米韓の離間策を採るよう戦略を変えて来た。NYTは「金は、韓国と直接対話して米韓を離間させ、中露に“双暫停”を出させて、国際社会の制裁を緩和させようというもの」と書いた。

http://www.soundofhope.org/b5/2018/01/01/n1412511.html

1/4NHKニュース<日米で世論調査 日本ではアメリカ第一主義に警戒感>

バノンからフェイクニュース社との指摘を受けたNHKのニュースですから。米国の左翼リベラルメデイアの垂れ流す情報を日本のメデイアが翻訳して報道してきた結果だと思われます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180104/k10011278431000.html?utm_int=news_contents_news-main_001

1/1特定アジアニュース<中国、パラオに台湾との断交を要求、パラオが断るとパラオ行き観光商品を不法扱いニダ!>パラオの通貨は$で国防も米国に依存している国です。それが米国の意向を無視して台湾と断交できる筈がありません。中国はダメモトで言ってきているのでしょうけど。

http://specificasia.blog.jp/archives/1069136892.html

阿部氏の記事は、対中強硬派のランドール・シュライバー氏が国防次官補になり、米国艦艇の台湾寄港を推進して行くだろうと。中国の駐米大使が何を言おうともぜひ進めてほしい。南シナ海の航行の自由作戦をドンドンやって、昔から中国の海と言う中国の嘘を打ち破ってほしい。

記事

台湾・台北の街並み

北朝鮮の核・ミサイル問題に世界の耳目が集中する中で、トランプ米大統領は12月12日、「2018会計年度 国防授権法」に署名し、同法が成立した。同法が今回注目されたのは、高雄など台湾の港湾への米国海軍艦船の寄港、ならびに台湾海軍艦船の米国港湾への寄港が盛り込まれていたからである。

ただし、米国の国防授権法とは、議会による国防費の監督・監視を目的とするもので、具体的な米軍の行動まで指図するものではない。よって、米国海軍艦船の台湾寄港の是非は行政府の判断に委ねられる。オバマ前政権下で成立した2017会計年度の国防授権法でも、米台間の軍事交流・協力の強化を支持するなどの内容が盛り込まれていたが、オバマ政権はこれを無視してきた。このことから分かるように、国防授権法における議会の意見は、言うなれば政策提言の域を出ないのである。

特に米国海軍の艦船を台湾に寄港させるかどうかは中国にとっては極めてセンシティブな問題であるから、トランプ政権が実行に移すのが容易ではないことは想像がつく。

現に、国防授権法成立に先立つ12月8日、在米中国大使館がワシントンで開催した在米中国人や留学生を集めたイベントでは、李克新公使が、米国艦船の台湾寄港は中国が定めた「反国家分裂法」の適用事項に該当し、「寄港すれば法律が適用され、中国人民解放軍は武力による台湾統一を実現する」と断言した。

どの条項に該当するかまでの言及はなかったが、該当するとすれば第3条か第8条であろう。第3条は、「台湾問題は中国の内戦によって残された問題である。台湾問題を解決し、祖国の統一を実現することは、中国の内部問題であり、いかなる外国勢力の干渉も受けない」という内政干渉排除の条文である。第8条は、「『台独』分裂勢力がいかなる名目、いかなる方式であれ、台湾を中国から切り離す事実をつくり、台湾の中国からの分離をもたらしかねない重大な事変が発生し、または平和統一の可能性が完全に失われたとき、国は非平和的方式その他必要な措置を講じて、国家の主権と領土保全を守ることができる」と「重大事変」について記している。いずれにせよ、判断基準は中国の解釈次第だからどうにでもなる。

シュライバー新国防次官補、中国を挑発

しかし、中国がかくもヒステリックな反応を示したのには、恐らく理由があったのだろう。すでにオバマ政権時代のことに言及したように、これまでの国防授権法に関する台湾関係の事項については、米政権側が中国を刺激したくないから政策提言を受け入れないままで来た印象がある。ところが、中国側が警戒する動きが、トランプ政権に出てきた。

それは、ランドール・シュライバーの国防次官補への指名である。シュライバーはブッシュ・ジュニア政権時代に国務次官補代理として当時のアーミテージ国務副長官を支えた、いわば共和党主流派につながるアジア問題専門家であり、アーミテージ同様、軍人出身である。

国防次官補の任用は政治任用であるため、議会の承認が求められる。11月16日に行われた米上院の任命承認公聴会で、シュライバーは米台海軍艦船の相互寄港の是非を問われ、次のように述べた。

「私は米台海軍艦船の相互寄港を支持する論文を寄稿したことがある。これは米国の『一つの中国』政策と完全に合致するものである。すでに米台の軍用機は、定期的ではないが相互に離発着している。台湾における米国の代表機関に現役将校を送ってもいる。米国の『一つの中国』政策を我々が定義する中で、米台の海軍艦船の相互訪問を開始することも包摂されるべきだろう。(中略)それは我々の政治的な目的である台湾への支援と、中国を抑止することへの助けにもなる。もし国防総省の中で異論があるなら、そうした反論について知りたいと思う」

なんとも自信に満ちた証言である。「文句があるなら言ってみろ」というシュライバーの証言で、中国は台湾への武力行使というヒステリックな対応を取らざるを得なくなったとも言えるだろう。

台湾を戦略的に重視するシュライバー

2018会計年度 国防授権法が成立してから1週間もたたない12月18日、トランプ政権は「国家安全保障戦略」を公表し、ここで中国、ロシアを米国の影響力、価値や資産への競争相手とするとともに、米国が維持する国際秩序の変更を迫る「修正主義勢力」と位置づけた。米国はこの内容を台湾に事前通告し、米国が台湾の自衛のための武器を供与する義務を負っていることを明記した。台湾は、これを好意的に受け止めている。

ただし、米国は中国について警戒を露わにしているものの、敵対姿勢を鮮明にしているわけではない。トランプ政権にとって、対中関係の最重要課題は対米貿易黒字の問題であり、次いで北朝鮮への中国の影響力行使の問題である。トランプ政権にとって、中国との健全な関係構築こそが重視すべき問題であって、台湾問題は必ずしもメジャーな課題ではない。こうした状況は、中国にとって相対的には都合のいい状況なのかもしれない。

もちろん、北朝鮮問題で米国が武力行使に及べば、中国は北朝鮮崩壊後の政治処理に発言権を確保するため、人民解放軍を、国境を越えて北朝鮮に進軍させる動機はあるし、そのためには政治的に北朝鮮との同盟条約を援用することも可能だろう。あるいは北朝鮮問題が幸いに外交的解決に向かえば、中国主導の6者協議の復活もありえない話ではなくなる。いずれにしても中国の出方がカギとなる。

問題があるとすれば、そうした北朝鮮危機の間に、中国が南シナ海の人工島の軍事拠点化を着実に進めていることだ。しかし、12月20日、米上院はシュライバーの国防次官補就任を承認した。シュライバーの描く東アジアの戦略地図は想像を働かせるしかないが、台湾を戦略的に重視するシュライバーであれば、南シナ海での「航行の自由」を保証する米海軍艦船の行動頻度を上げるために台湾を活用する、つまり米海軍艦船の台湾寄港という判断はありうる選択だろう。

台湾の地位見直しを進めるトランプ政権

トランプ米政権の外交・安全保障政策の特徴は、軍人出身者が政策決定に深く関与していることだ。

ホワイトハウスのジョン・ケリー大統領首席補佐官、マクマスター国家安全保障担当補佐官に加え、マティス国防長官がいる。アジア太平洋地域では、経験豊富なシュライバー国防次官補がそれに加わることになる。影が薄いのは国務省で、ティラーソン国務長官が辞任するのはいまや時間の問題とされ、アジア太平洋問題担当の国務次官補ポストも、長く空白が続いたが、ようやく前任のラッセル次官補辞任後の3月から代行を務めていたスーザン・ソーントンが昇格指名された。あとは議会上院の承認待ちだが、従来の国務次官補の顔ぶれと比較すれば、軽量級のそしりは免れない。

軍人は、軍事力のなんたるかを知悉しているから、実は軍事力の行使については慎重だとされる。しかし、行使は慎重だが、その重要性を深く理解している。トランプ政権の「国家安全保障戦略」では、「力による平和」という米国の基本姿勢が明瞭に描かれている。軍事力の裏付けがあってこその外交という考えは、古くはセオドア・ルーズベルト大統領、最近ではロナルド・レーガン大統領に通じるものだろう。

トランプ大統領は11月のアジア歴訪にあたり、空母3隻を東アジアに集結してみせた。米国が軍事力を活用することで外交を有利に運ぶ意思が示されたことになる。アジア太平洋の秩序維持を目指す米国が、軍事的プレゼンスを強化していくとすれば、東シナ海と南シナ海の結節点に位置する台湾の戦略的地位に着目するのは当然の流れであろう。

トランプ政権の台湾の地位見直しが進むとなると、当然ながら、今後注目されるのは中国の出方だ。

李克新公使が発言したような、中国の台湾に対する武力統一を含めた全面的な軍事攻撃は現状に鑑みてありえない。米国が介入することは必至だからだ。

では、中国が傍観するかといえば、返答に詰まる。立場上、習近平に傍観は選択し得ないだろうから、部分的な衝突を含め相当な緊張が予想されると言わざるをえない。ただし、究極的な力と力の勝負では、まだ米国の優位は疑いない。よって、米国が中国の面子を立てるやり方で中国が矛を収めることになろうが、1996年の台湾海峡危機で米空母2隻に圧倒された屈辱をまだ忘れていない中国にとって、さらに屈辱感を増大させる結果になろう。

北朝鮮問題に目を奪われている中で、東アジアでは次なる摩擦の火種が準備されているといっても過言ではない。

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『2018年秋、習近平は「裏門」を開けられるか 「青空」の下で高まる「人民の不満」、対応を誤れば…』(1/1日経ビジネスオンライン 福島香織)について

1/1アポロネット<習近平的鬧心事 政治局25名成員逐一上鏡發言=習近平が心を煩わせるのは、25名の政治局員が逐一報告する内容について>何清漣に依れば、「習近平が政治局員に求めていることは2つあり、一つは本人の問題、二つ目は家族の問題である。但し、王岐山が退職以降、誰もが王の仕事をやりたがらず、またこのメンバーでは王ほどの才能は持ち合わせていない。要求の落とし所は、実の所難しい。毎回の会議は説明会のようである。」と。

香港の雑誌「争鳴」の2017年2月号に依れば、2016年12月26、27日と二日間、政治局は長い民主生活会を開いた。延べ20時間にも亘り、一人ひとり先ず自分の検査報告、5分間は自己批判に充てる。習近平が相次いで4回に亙る講話と5条に基づく自己批判を展開、劉雲山は習の批判を受けた。

<香港メデイアによると王岐山は江派の大物と話し、最後通牒を突き付ける>

香港の雑誌「争鳴」の2016年7月号に依れば、6月中旬の週末に中共中央は香山中央幹部休養所で学習座談会を開いた。退職した元政治局常務委が集められたが、江と胡両元総書記は集められなかった。

王岐山はこの会議で,直接曾慶紅、李長春、賈慶林、賀国強を指名し、3つの要求を突きつけた。1,個人、配偶者、子供の財産と収入の出所についての公開・公示意見にいつ署名するのか2,子供・配偶者・直系親族のビジネスについての規範についていつ署名するのか3,当然、自律・自覚して執行紀律や規則を遵守し、一切非正常な活動を停止すると。

http://tw.aboluowang.com/2018/0101/1048515.html

福島氏の記事と上記のアポロネット記事を読んで思い出したのは、毛沢東が共産党内部の権力奪取の為起こした「整風運動」です。1942年から始まり45年には終了した運動ですが、自己批判の手法は文革でも引き継がれ、多数の善良な市民を死に至らしめました。日本の左翼もあさま山荘事件のように総括・自己批判をさせてリンチして仲間を殺し合いました。左翼の特徴でしょう。仲間を敵に仕立て上げ、自己批判させたうえで殺すというのは。革命が如何に血を見るかです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%B4%E9%A2%A8%E9%81%8B%E5%8B%95

習近平も毛のこのやり方を真似ています。中国人民がまたあの時代に逆戻りするのを恐れる気持ちは分かります。特に知識人は臭老九として文革の時には弾圧されましたから。折角豊かになったのに財産は剥奪、悪く行けば処刑となりますので。

これが続けば、優秀な人間ほど中国から出るようになるでしょう。でも中国人の本質は変わりません。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」ですから。近くてお人好し日本人は彼らから見ればカモです。今の日本人にどれだけ彼らを撥ね付ける力があるのか。「悪貨は良貨を駆逐する」状態にならなければ良いですが。

記事

習近平主席は「人民の不満」に対処できるのか(写真:新華社/アフロ)

2017年暮れに北京、山西省雲城、河北省・石家荘、貴州省貴陽と所用があって出かけてきた。一つ印象的であったのが、空気がずいぶんきれいになっていたことだった。北京でも山西でも河北で貴州でも、現地に行って一番最初に接触する中国人、つまり地元のタクシー運転手や白タク運転手たちが共通して口にしたことは、「今年の空気はずいぶんいいだろ。太陽が見えているからな」というセリフだった。言い方は、それぞれの表現があるが、北京や河北や山西では、この季節、スモッグがひどくて太陽が鈍いオレンジ色をしている日が多い。だが、今年の冬は太陽の日差しが北部の黄色い大地に届いていた。もちろん、まったく大気汚染がないということはなく、東京などと比べると、やはり空気の透明度は相当低いのだが、一時のひどいPM2.5のことを思えばすばらしく空気がきれいになった。

「よくなったのは空気だけ」「追っ払われたのさ」

地元の中国人はこれを「習近平の青空」と呼んだ。なぜなら、この青空は、習近平政権の数々の政策、つまり北京など北部での「煤改気」と呼ばれる「石炭から天然ガスへの燃料転換」(途中で、石炭の代わりに使用されている天然ガスの高騰で、この通達は一部緩和された)や、北部の大気汚染原因である中小工場の一斉閉鎖や、北京市での冬季の建設プロジェクト中止、爆竹の禁止などの通達による効果とみられるからだ。興味深いのは、「では習近平政権のおかげで、大気汚染が改善されたんだな。みんな喜んでいるかい?」といった問いかけをすると、必ずしも肯定的な答えは返ってこない。

「よくなったのは空気だけだな」「習近平の青空のために我々はたくさん犠牲をはらっている」「我々の指導者は、民生よりも国防や国家のメンツを重視しているんだ」といった微妙なニュアンスの答えが返ってくる。

かつて貧困の代名詞であった貴州省の省都・貴陽はいたるところで高層ビル建設、再開発、モノレール建設が進み、いかにも景気がよさそうだが、では地元のタクシー運転手たちの稼ぎがよくなったか、生活がよくなったか、という話になると、「農村がいきなり強制撤去された」「新しくできた都市やマンション街にやってきたのは外地のやつらばかり」「確かに月収はこの数年よくなったが、それ以上に物価が高くなったので生活は前より悪くなった。特に家賃の高騰がひどい」といった不満の声の方が多い。

山間部の小さな少数民族の村がいきなり消えてそびえるようなマンション群、別荘群が登場するが、買い手は外国籍を持つ華僑らだ。貴陽は今後、世界のビッグデータセンターとして、国際的なIT、AI、VR関連企業が集中すると喧伝されているので、目ざとい華僑の金持ちたちは値上がりを見込んで不動産を買いしめる。では、そこにもともと住んでいた、いまだ民族衣装を日常に来ている高齢者も含む村民たちはいったいどこにいったのだろう? 案内してくれた運転手に聞くと「追っ払われたのさ」。貴州省のGDPが急上昇しているのは、建設ラッシュぶりをみれば納得がいくのだが、肝心の人々の暮らしがどのくらいよくなったのか、という話になると、あまり見えてこない。

「習近平はものすごく切れやすい」と、ある北京都市民は語った。ニュースにはなっていないが、トランプ米大統領が訪中したとき、首都国際空港の付近で小さな工場が爆発事故を起こした。それは偶然の事故だったが、習近平は、これに激怒し、すぐさま空港周辺5キロの工場をすべて問答無用でつぶした。こうした工場の中には安全基準に問題のあるものもあったが、多くは出稼ぎ者や周辺の村の農民の現金収入源であった。こうした中小工場は、地元の政府や党委員会の関係者に、ささやかな賄賂を贈ってお目こぼししてもらって営業していたが、この一斉閉鎖命令は、地元の政府や党委員会を越えて党中央の指示であったために、言い訳も懇願も通用しなかった、という。

「普通の中国人にとって悪い方向だ」

大興区の火事をきっかけに「低端人口」の追い出し政策を実行したのは、北京市委書記の蔡奇であるとして、批判はもっぱら蔡奇に向かっている。だが、ある事件をきっかけに、「キレた」ように、強権的な政策をいきなり一気に容赦なく実施するのは、習近平の性格を反映しているのではないか、と思う。

北京を中心に、北部の人たちの多くが今なんとなく予感しているのは「中国は今激しく変化している。しかも普通の中国人にとっては悪い方向だ」ということだ。

今振り返ると、2008年の北京五輪前も、確かに土地の強制収用問題とそれにともなう人権問題、急激な再開発計画による人々の暮らしへの激震というものがあり、多くの庶民が戸惑い顔を見せたが、少なくとも、あの時の変化は、まだ自分たちが予想できる範囲の変化であり、また中国全体に、明日はもっとよくなるはず、という期待感はあったように思う。だが、知り合いの北京市民の間で聞こえるのは「今の中国の変化は予想を上回る。あす、どんな通達が出て、これまで許されてきた生き方が、ダメだといわれるか、正直わからなくなっている」という不安だ。

いきなりの明日働く場所が失われる。いきなり住んでいるところが撤去される。今まで習慣化していたささやかな脱税や密輸が、いきなり信頼する部下や同僚に密告され刑務所に入ることになる。今まで存在はしていたが、守らなくてよかった法律がいきなり厳密に施行され、いきなり巨額の罰金が科される。そういった話を北京のあちこちで聞いた。

そういう話の中には、北京で長年、北京流でビジネスをやってきた日本人ら外国人が当事者のケースも結構含まれる。ある日本人ビジネスマンは「この激しい変化の先を予測できるものだけが、中国で生き残れる」と慄いていた。

変化の年、過渡期の年

もともと法律が多く、規制・統制の厳しい北京では、法律通り規則通りに商売をやっていてはぜんぜん儲けにならない。だから、その法律や規制の「走后門」(裏門を行く)という表現で抜け道を探す。「走后門」は外国人が中国語を習うと、最初の方に習う言葉であり、それが中国人の生き方そのものであった。だが、習近平政権はその「走后門」を完全に閉じ、共産党の管理を徹底しようとしている。

つまり中国人の生き方そのものを変えよう、ということである。中国は昔から、自由がひどく制限され、統制され、貧しく、自然環境と政治が苛酷で、差別も人権無視も公然とおこなわれる厳しい社会であったが、どこか「なんとかなる」「なんとかできる」という楽観が救いだった。習近平政権二期目の特徴は、その楽観を根こそぎつぶしにかかっているというところにある。だが、そんなことが可能なのか。

2018年に中国がどうなるのか、という予測が今回のコラムのテーマであるが、2018年の予測自体はあまり意味がない。

なぜなら2018年は、変化の年、過渡期の年であり、その先、結果はおそらくまだ見えないからだ。習近平政権が中国をどのようにしたいか、ということは第19回党大会で打ち出されている。習近平独裁を確立し、これまでの中国共産党秩序から習近平が新たに作る秩序で中国を支配する。それは腐敗せず清廉潔白で規則を重んじる「理想の共産党」による支配の徹底であり、習近平を頂点とする共産党ヒエラルキーと、その共産党に従順に従う、清く正しく文明的な人民によって構成される中国の実現であり、その中国が世界の秩序・文明の中心として影響力を発揮し、米国一極の世界から米中二極時代、最終的には中国一強時代を目指すという壮大な野心が背後にある。それを実現するための処方箋を2018年秋の三中全会(第三回中央委員会総会)で打ち出すことになる。

この処方箋を最終的にどのようにまとめるかは、2018年夏までの党内の権力闘争の行方にも左右されるが、それまでに北京など直轄市や重要省で実施される、さまざまな政策の成否を見ながら調整されると思われる。

「小康社会」はどこへ?

もし今、北京や北部の都市で行われているような、統制強化と、統制しきれぬものは問答無用で徹底排除というやり方が習近平政権の根本的な方針として三中全会で承認されるようであれば、おそらく今後の中国は、私たちが過去30年余りの間になじんでいた国と大きく様変わりする可能性がある。

旺盛な欲望や活力をもち、政府の厳しい統制下でも柔軟にずる賢く臨機応変に生き抜く人々があふれる、厄介ながらも魅力的な部分もある中国から、共産党に従順な統制された人民以外は排除された厳しく冷酷な先軍的専制国家になるかもしれない。民間経済は萎縮する一方で、国家主導の都市建設、一帯一路戦略が経済利益無視で進められた結果、GDP的には目標値を上回るかもしれないし、大気汚染問題は目に見えて改善するかもしれないが、習近平政権が人民に約束した「小康社会」の実現や魅力あるグローバルな市場の誕生とは全く別物だ。

だが、こうした習近平の“中国”が誕生したとして、長続きするか、というとこれも話は別である。中国の政治はいつの時代も、統制が基本であったが、それは強い統制がなければ無秩序に暴発しやすい中国人民の性格が関係あると思う。それは近代に入っても繰り返し発生する政治動乱の多さを見ても想像がつくだろう。だから政権側は常に、統制を強化しつつも、ある種のいい加減さや、抜け穴や逃げ道を認め、そして適度なガス抜き対策を一緒にやっていた。

習近平政権が従来の政権と違う、と感じるのは、こうした抜け道や逃げ道をほとんど認めず、徹底した人民コントロールを目指しているように見える点だ。かつてはやろうとしても不可能だった徹底支配、徹底統制が、IT、AI、フィンテックといった技術の進歩でできるようになった。だが、外国人はもとより、統制慣れしている中国人ですら「息苦しい」と訴える、そんな徹底支配、徹底統制が長続きするのだろうか。

中国の政治は、今なお王朝政治に例えられ、法治ではなく人治、徳治を掲げるのだが、こうした王朝を覆すきっかけはだいたい農民起義、つまり人民の反乱である。王に徳がない、と誰かかが言い出せば、その煽動にのった大衆によって政権は倒されてきた。だから、中国の政権にとって最大の敵は人民、というのは本質である。

習近平は、その人民の中から、意に染まないもの、貧しすぎるもの、文明的でないもの、規律・秩序を乱すもの、中国のイメージを悪くするものを徹底的に排除し、従順な人民のみで構成される中国を創ろうとしているのだが、だからといって排除されたものが、死滅しているわけではなく、彼らは何かのきっかけで集団化し暴発する可能性は今後高まっていくという気がしてならない。

「徳」はあるのか

習近平政権が私の予想より聡明であれば、中国人の本来の生き方や価値観を根本的に変えていくような徹底的な統制は不可能であると気づき、どこかで政策の転換を打ち出すかもしれない。党規約にまで書き込んだ一帯一路戦略に象徴される、自国の民生改善につながるどころか圧迫しかねない国家主導の大型プロジェクトよりも、民営経済の振興を重視する規制緩和政策に転換する可能性もゼロではない。

だが、今の方向性を堅持した結果、そこで生じる庶民の不満の矛先を外国人や外国、たとえば日本に向けようと世論誘導するかもしれない。2018年は首相の相互訪問の予定があり、表面的には日中関係改善が期待される年ではあるが、それが大きく裏切られる可能性も常にあることを頭の片隅に置いておく必要があるだろう。

いずれにしろ、予測といえるほどのものが見えてくるのは2018年の秋以降だ。それ以降、ひょっとすると「習近平には徳がない」と叫び出す誰かが登場するかもしれない。

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