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6/17日経ビジネスオンライン 福島香織 『周永康はなぜ死刑にならなかったか 裏取引か不文律か、闘争はさらに複雑化』記事について

「刑不上常委」(=政治局常務委は罪に問われない)という不文律は周永康の逮捕で破られましたので、「党内闘争で人を殺してはならない」と言うのも歯止めがかからなくてもおかしくはなかったでしょう。何故死一等減じられたかは分かりません。本文にありますように習と王の周りは皆敵なので、取引したことは間違いないでしょう。間違っても善意で寛大な措置をしたわけではありません。習の収賄資産が1兆6000億円と言われていますので、これを没収して、敵の懐柔原資にしたことも考えられます。金に弱い民族で、金のためには平気で裏切る体質ですから。

樋泉克夫のコラムによれば『中国は先ずは万古不易の性懲りもない賄賂帝国といったところだが、ワイロ問題に突き当たるたびに思い出されるのは林語堂の『中国=文化と思想』(講談社学術文庫 1999年)の次の一節だ。

 「中国語文法における最も一般的な動詞活用は、動詞『賄賂を取る』の活用である。すなわち、『私は賄賂を取る。あなたは賄賂を取る。彼は賄賂を取る。私たちは賄賂を取る。あなたたちは賄賂を取る。彼らは賄賂を取る』であり、この動詞『賄賂を取る』は規則動詞である」

 だとするなら、習近平政権が推し進める腐敗摘発で「虎」の一匹として仕留められ、北京の約30キロ北方に位置する「最神秘的監獄」である秦城監獄にブチ込まれた周永康は、裁判の際、はたして「私は中国では古来続く役人の伝統を順守し、『規則動詞』に従って行動しただけだ」と抗弁しただろうか。それとも判決を聞きながら心の中で「私は賄賂と取る。習近平は賄賂を取る。李鵬は賄賂を取る。私たち旧指導部は賄賂を取る。あなたたち現指導部は賄賂を取る。共産党幹部は賄賂を取る」とでも唱えただろうか。いずれにせよ、共産党もまた歴代王朝から国民党政権まで続く官場伝統文化をしっかりと引き継ぎ、「中国語文法における最も一般的な動詞活用」を忠実に守っているものだ。少なくとも賄賂文化に関する限り、「旧」も「新」も中国であることに大差はないということだ。ッったくもう、どうしようもないなア。』とありました。中国ではあらゆる階層で賄賂を取るのが当たり前の社会ですから。小生は目の前で体験したことがありますので、中国から帰国した時に(2005年)話したら「人種差別主義者」という目で見られましたが、今は流石に小生の話を「差別」レベルで捉える人は少ないでしょう。

李小琳が軟禁状態にあるという事は、まだ大トラを叩くのは止めないという事だと思います。逮捕という脅しと金で籠絡というアメとムチの政策を取っているのかもしれません。しかし、軍部の動き(特に南沙諸島は軍の面子絡むので)とアメリカの動き(ペンタゴンの考えや在米華人の幹部の腐敗証言)、経済崩壊という習政権に与える影響の大きいファクターもあり、その動きによっても政権延命できるかどうかです。

記事

周永康の判決があっけなく出た。無期懲役と予想よりも軽いものだった。それまでの、周一族の腐敗ぶりの喧伝、起訴段階でわざわざ機密漏洩容疑を付け加えたこと、習近平暗殺未遂の主犯は周永康であるといった香港などからのゴシップ報道を合わせれば、習近平政権は、彼の死刑判決を望んでいたと言われていた。少なくとも周永康が死刑判決を受けても、国民としては納得せざるを得ないだけの犯罪に関わっていたという印象を与えていた。しかも、彼と共謀していたといわれる元重慶市党委書記・薄熙来の公判が大々的にショーとして人民に公開され、SNSの微博などでもその発言や表情を逐一発信されたのとは違い、裁判は非公開でそそくさと行われた。裁判でどういった証言ややりとりがあったかは、目下ほとんど外に漏れていない。これはどうしたことか。なにか裏取引でもあったか。それとも、習近平が妥協したのか。

「無期懲役」「上訴しません」

 6月11日、天津市第一中級人民法院で周永康に対する判決は言い渡された。CCTVでもその様子は放送されたが、かつて「百鶏王」のあだ名をもち、精力絶倫といわれ脂ぎっていた周永康は、その見る影もなく、頭髪は真っ白に変わり、顔も痩せほそり、こめかみには老人特有のシミが浮いていた。やや猫背になり、自分より上背のある警官にはさまれて被告人席に座る様子は、権力闘争の敗北というもののみじめさを視聴者に伝えるには十分だった。

 だが、その判決内容は、おそらく多くの人たちが予想していたよりも甘かった。

 無期懲役、政治的権利の終身剥奪、および個人財産の没収。罪名は職権乱用罪で懲役7年、故意の国家機密漏洩罪で懲役4年、そして約1.3億元の収賄罪、この三つの罪を合わせると無期懲役という。判決を言い渡されている間、周永康は観念したように目をつぶり、最後に罪を認め、上訴しません、と答えた。

 新華社によると5月22日に裁判は開かれ、犯罪事実に関する証拠が提出されたが、国家機密に関わるものも含まれるために公開はされなかった。証言台には、四川の政商で、周永康の長男・周斌のビジネスパートナーでもあった呉兵らが立ち、また周斌と、周永康の妻で元CCTV美人キャスターの賈暁曄の証言ビデオが流されたとか。

 そこで、周永康および、周斌、賈暁曄は呉兵、丁雪峰(元山西省呂梁市長)、温青山(元中国石油天然ガス集団会計師)、周灝(元中国石油天然ガス集団遼河油田公司党委書記)、蒋潔敏(元国有資産管理委員会主任、元中国石油天然ガス集団会長)らに利益を図るために、彼らから計1億2977万2113元に相当する金品を受け取ったことが、証言されたとか。

 このほか李春城(元四川省党委書記)の証言で、周永康は李春城や蒋潔敏に指示して、息子や妻、弟夫婦らが経営する企業に便宜を図らせ、違法な利益21.36億元以上を得させた上、14.86億元以上の経済損失を国家と人民に被らせたとか。

 また元人気気功師の曹永正の証言によれば、警察の捜査記録など国家機密保護法の規定に違反する絶密文書5部が周永康の事務所にあり、またある機密文書については、その内容を曹永正に見せたとか。

表向きはこれで決着、だが…

 こういった証拠・証言を前にして、周永康はすべて事実であり、異議はありませんと答えたという。

 周永康は法廷での最後の陳述で、「検察からの指摘を受け、基本事実をはっきりさせ、罪を認めて悔いたいと思う」「関係者から家人が受け取った賄賂は、実際のところ私の権力に対するものであり、責任は私が追うべきである」「個人的事情から法を犯し続けたことは客観的事実であり、党と国家に重大な損失をもたらした。私の問題が規律と法によって処理されたことは、厳しい規律に従う党と法治国家の決心を全面的に体現している」と神妙に語ったそうだ。今年4月3日に起訴された周永康の事件は、表向き、これで決着がついた、ということになる。

 この判決について、いろいろと腑に落ちないことがあるので、いろいろ想像力をはばたかせてみたい。憶測を重ねるので、眉に唾をつけながら読んでほしい。

 周永康事件は、薄熙来事件からつながる事件である。薄熙来事件とは、2012年秋の党大会で政治局常務委入りを目指し、「唱紅打黒」(革命家唱和と腐敗撲滅キャンペーン)という大衆運動でアピール中の薄熙来が、その側近で重慶市公安局長だった王立軍と、薄熙来妻・谷開来の犯した英国人殺人事件の処理をめぐって対立、薄熙来から命を狙われると思った王立軍は、薄熙来失脚の決定的証拠を持ったまま成都市の米総領事館に逃げ込み、薄熙来のさまざまなスキャンダルが表ざたになり、失脚した一連のできごとである。

謀議の録音が米国経由で習近平に?

 薄熙来は収賄罪、横領罪、職権乱用罪などで無期懲役判決を2013年秋に言い渡された。実はこのとき、薄熙来が本当に失脚させられた理由は、彼の野望が政治局常務委入りにとどまらず、習近平から政権の座を奪うことであった、といわれている。いわゆる薄熙来クーデター説である。その片棒を担ぐと約束したのが周永康であった、といわれている。

 この説を最初に報じたのは、統一教会系の米国紙ワシントン・タイムズのビル・ガーツ記者だったのだが、この情報の出所は、王立軍が米総領事館に持ち込んだ録音だったという。

 私も又聞きの又聞きなのだが、その録音には、薄熙来が、父親薄一波ゆかりの成都軍区雲南第14軍の力を背景に2014年に強制的に習近平を引退させ、薄熙来が政治の実権を握る計画を周永康に相談している声が入っており、その時、周永康は「機が熟したときには、私も300万銃(公安警察、武装警察ら周永康指揮下にある武力)を引き連れて味方しますよ」と発言したとか。この録音が、米国経由で習近平の耳に入り、序列第9位の政法委書記と重慶市党委書記の軍事クーデター共謀説の根拠となった、らしい。

 冷静に考えると、軍事クーデターなど、そうそう簡単に実現できるものではないので、幼馴染の弟分が総書記出世コースに乗ったことに僻んで、鬱屈した薄熙来が、「おれはいつか天下とってやるぞー!」と与太話をしたのに対して、愛人も共有する大親友の周永康が「わかった、わかった。その時は、俺も加勢してやる」となだめた程度のものかもしれない。しかし、この時の習近平の受けたショックは激しく、薄熙来、周永康への復讐を心に誓ったとか。幼馴染の薄熙来はともかく、実際に公安・司法権力を掌握していた周永康の謀反心への怒りは深く、本気で極刑で報いるつもりであったとか。

なぜ予想より軽かったのか

 香港ゴシップメディアが、習近平が約6回の暗殺未遂に遭遇し、そのうち2回は周永康の指示によるものだと報じたのは、国家指導者暗殺容疑のイメージを植え付けようという習近平サイドのリークである、とも聞いた。暗殺やクーデターを計画した危険人物なので、極刑判決もやむなし、と人民に思わせるための前工作だと。

 また機密漏洩容疑を付け加えたのも、スパイ罪なら最高死刑もありうるからだと言われていた。ちなみにこの機密とは、北朝鮮の高官・張成沢と中国要人との会談内容を金正恩サイドにリークしたという今年2月の香港報道と関係あると見られていた。これが中国にとっての重要な北朝鮮パイプであった親中派の張成沢の粛正につながったとすれば、周永康のやらかした罪は万死に値しよう。動機は、薄熙来失脚連座を恐れて北朝鮮亡命を画策するため、だとか。

 これらの情報が嘘かまことかは、検証するすべはない。ただ、多くの中国国内外の専門家や評論家が、この判決は予想より軽かったと感じたのは事実だろう。

 では、なぜ予想より判決が軽かったのか。

 一つの仮定は、周永康と習近平になんらかの裏取引があった、可能性である。

 習近平の反腐敗キャンペーンの名を借りた権力闘争は、すでに後戻りできない域に突入している。胡錦濤の腹心・令計画を失脚させ、共産主義青年団のホープである李源潮ら江蘇閥に照準を合わせた汚職狩りを展開し、共青団派は完全に習近平の敵である。また江沢民、曾慶紅ら上海閥との闘いも収束していない。6月9日、天安門事件当時、首相だった李鵬の娘で元中国電力投資集団副総経理の李小琳が北京の空港から香港に向かおうとした際に、出国禁止措置にあった。同じ日、中国電力投資集団は彼女がすでに同集団を離れ、大唐電力集団副総経理に移籍したと発表した。李鵬の息子の李小鵬・山西省長も失脚秒読みと噂されている。

裏取引か、不文律か

 つまり、習近平にはこれから戦わねばならない大物長老・党中央幹部に囲まれている。まさしくほぼ360度、敵。なので、彼らの弱点を知る人間は、できるだけ生かして情報を引き出さなければならない。周永康は江沢民にかわいがられ、曾慶紅の後押しで出世してきた人物だから、当然上海閥のネガティブ情報にも詳しいはずだ。また胡錦濤政権では政治局常務委員9人の一人、つまり最高指導部の一員であるのだから胡錦濤政権の弱点もつかんでいるはずだ。そういった情報の提供の代わりに、周永康の判決を軽くした、のではないか。

 もう一つの仮説は、「党内闘争で人を殺してはならない」という党内不文律を犯そうとする習近平に対する反対勢力が予想以上に強かった可能性。文化大革命を引き起こした罪で逮捕・起訴された毛沢東の妻・江青ら4人組に対して判決を言い渡す前に、中央政治局で事前討論が行われた際、局内のほとんどが死刑判決を支持していた。だが、当時副首相の陳雲はこれに強硬に反対。「党内闘争で殺戒をしてはならない。でなければ、後の世代がうまく機能しない」と主張し、ついには「どうしても死刑にしたいなら、陳雲一人が反対した、と記録に残してくれ」とまで言ったとか。

 これは党史に残る有名な話で以来、権力闘争敗北者を死刑にしないという不文律ができた。鄧小平と趙紫陽の権力闘争の側面もあった天安門事件でも、趙紫陽は党籍そのままで終生軟禁生活を送った。党内闘争で人を殺せば、党内の疑心暗鬼は広がり団結は崩れ、共産党統治は続かないというわけだ。天安門事件の後、大規模な権力闘争自体が起きにくくなるように、権力が個人に集中しなくする集団指導体制が導入され、「政治局常務委は(司法による)罪に問われない」ことも暗黙のルールとなった。

 習近平は「政治局常務委は罪に問われない」という不文律を周永康起訴で破ったので、もう一つの「権力闘争で人を殺さない」という不文律も破るのではないかと言われていたのだが、明日は我が身と思う党中央幹部、長老たちが必死で抵抗した。習近平と、反腐敗キャンペーンの指揮を執る規律検査委書記の王岐山も必ずしも清廉潔白というわけではないので、それに妥協した、という見立てである。

さらに激化、複雑化

 刑が軽かった理由が、第一の仮説通りであれば、周永康判決は事件の終わりではなく、新たな事件の始まりであり、今後展開される権力闘争はもっと大物、元国家主席や元国家副主席や元首相ら大長老がターゲットにされる可能性も出てくることになる。もし、後者の仮説が理由であれば、「習近平の大虎狩り」は収束に向かうという期待も出てくるわけだ。

 私個人の予測では、習近平政権の「大虎狩り」は激化し、さらに複雑化すると見ている。複雑化する原因は、米国の習近平政権に対する姿勢だ。南シナ海での埋め立て作業を急速に大っぴらにやり過ぎたことで、さすがに米国サイドも習近平政権に揺さぶりをかけてきているが、その一つが、五月雨式に報じられている習近平一族の不正蓄財疑惑と王岐山のJPモルガン・チェースとの癒着疑惑だろう。米国から習近平政権の根幹を揺るがすネタが出る可能性もある。

 たぶん、2017年の党大会に至るまで、誰が勝つか負けるかわからない大規模かつ複雑な権力闘争が展開される。その間、本当に党の不文律が守られ続け、党中央内で人死にが出ないかどうかは、今知る由がない。

6/16日経ビジネスオンライン 高濱賛 『なぜ米共和党で大統領候補が乱立しているのか?』記事について

日高義樹氏の本によれば「米国の下院議員は日本の県会議員と同じレベル。また米国民はパスポートを持たない人が多い」とありました。外国に関心のない国民によって大統領とか国会議員が選ばれるのですから、ヘンな人がなる可能性もあります。この選挙の結果が世界の平和と直結するのですから。

民主党の政治が8年続き、米国民は変化を求めないのでしょうか?「ガラスの天井」を主張するヒラリーは中国人からの献金問題に見られるように中国と対峙できないのでは。またベンガジ事件とメールアドレス問題も抱えています。

ブッシュはやはり兄貴のせいでしょうか?ヒラリーとこんなに差が付くのでは指名を勝ちうるのは難しいです。マルコ・ルビオ辺りが抜け出すかも知れません。44歳と若く、ヒスパニックなのでそちらの票も取り込めます。ブッシュも奥さんがヒスパニックでスペイン語もできますが、この数字を縮めて行かないと。

記事

米共和党で、大統領候補としての指名を目指して立候補者が乱立している。6月9日現在で、その数は10人に上る。なぜ、そのような事態が生じているのか。今回は、Q&A方式でお伝えする。

—共和党で、大統領候補への立候補が相次いでいます。

高濱:6月4日にはリック・ペリー前テキサス州知事が出馬宣言しました。15日には本命の一人とされているジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が正式に立候補する予定です(本稿は6月13日に脱稿)。6月後半にはクリス・クリスティ ニュージャージー州知事、スコット・ウォーカー ウィスコンシン州知事、ジョン・カシック オハイオ州知事も立候補すると言われています。

 これまで正式に立候補を表明した候補者をまとめると以下のようになります。立候補が予想される人たちも付け加えておきます。

立候補日 氏名 スタンス
3月23日 テッド・クルーズ上院議員(テキサス、44歳) 守強硬派
4月13日 マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ、44歳) キューバ系
5月4日 カーリー・フィオリーナ 元ヒューレット・パッカードCEO(カリフォルニア、60歳)  
5月4日 ベン・カーソン元ジョンズホプキンズ大学小児神経外科長(ミシガン、63歳) 黒人
5月5日 マイク・ハッカビー元州知事(アーカンソー、59歳) 南部バプティスト教会元牧師
5月18日 ボビー・ジンダル州知事(ルイジアナ、43歳) インド系。キリスト教保守
5月27日 リック・サントラム元上院議員(ペンシルバニア、57歳) 保守派
5月28日 ジョージ・パタキ元州知事(ニューヨーク、69歳) 中道保守派
6月2日 リンゼイ・グラハム上院議員(サウスカロライナ、59歳) 中道派。外交タカ派
6月4日 リック・ペリー前州知事(テキサス、65歳) 保守強硬派。外交タカ派
6/15? ジェブ・ブッシュ元州知事(フロリダ、62歳) 党主流派
6月後半? クリス・クリスティ州知事(ニュージャージー、52歳) 保守中道派
6/30? ジョン・カシック州知事(オハイオ、63歳) 保守派
ドナルド・トランプ氏(ニューヨーク、68歳) 実業家。作家
ランド・ポール上院議員(ケンタッキー、52歳) 眼科医。リバタリアン(自由意志尊重主義者)
スコット・ウォーカー州知事(ウィスコンシン、47歳) 保守派

—なぜこんなにたくさんの人が手を挙げているのですか。

高濱:最大の理由は、フロントランナーがいないからです。フロントランナーとは通常、50%近くの支持を得て、他の候補を大きく引き離している候補を言います。

 共和党でフロントランナーが出てこない理由は、党としての理念、政治哲学を巡って共和党を一本にまとめる人物がいないからです。これは単に人材難というだけでなく、共和党内で、保守政党としてのコンセンサスが形成しづらい状態が続いていることとも関係があります。具体的に言うと、伝統的な保守本流勢力と、草の根保守「ティーパーティ」(茶会)の影響下にある保守強硬派勢力が対立しています。

 このような状況では、「うまくすると、自分も指名が得られるかもしれない」と猫も杓子も意欲を見せるようになります。他方、指名されることが目的ではなく、自分の名前や主義主張、政策を予備選段階で世間に知ってもらおうと考える政治家も出てきます。リンゼイ・グラハム上院議員(サウスカロライナ州)などはその例でしょう。同議員は国防力強化を訴えており、予備選での国防論議に一定の影響力を及ぼすことが狙いだと思います。

—立候補している人の中には現職州知事や知事経験者が多いですね。

高濱:その通りです。専門家の中には、上下両院の連邦議員経験者よりも州知事経験者のほうが大統領に適していると指摘する人たちがいます。ニクソン第37代大統領以降を見ると、4人の州知事経験者が大統領になっています――カーター、レーガン、クリントン、ジョージ・W・ブッシュ。上院議員経験者はニクソン、オバマ、下院議員はジョージ・W・H・ブッシュ、フォードのそれぞれ2人だけです。

 6月9日現在で正式に出馬声明している現職州知事にはジンダルがいます。知事経験者はハッカビー、パタキ、ペリーの3人。出馬予定者を見ると、クリスティ、カシック、ウォーカーの3人が現職知事。知事経験者にブッシュがいます。

 確かに連邦議員の仕事は特定の政策を法案として上程し、他の議員の賛同を得て立法化することです。一方、州知事は「一国一城の主」。州という自治体の政策全般を立案し、実施し、州行政を運営していくのが仕事です。多くの州知事経験者が指名争いに名乗りを上げているのは、行政家として一定の成果があり、業績に自信を持っているからです。

(”Do Governors Really Make Better Presidents? We Did the Math,” Arit John, Bloomberg Politics, 11/11/2014)

—立候補するにはそれなりにカネがかかるのではないですか。

高濱:本格的な、予備選に突入すれば湯水のようにカネを使わねばなりません。しかし、序盤戦に立候補し、リストに名前を載せて、地元を中心にキャンペーンをするくらいならば、「億万長者の支持者が一人、カネを出せる支持団体が一つあれば十分」(共和党幹部の一人)と言われています。その後は、知名度を上げ、支持層を増やし、さらなる選挙資金を集めることができるかどうかにかかってきます。集められなければこの長いキャンペーンを続けることはできません。

—候補者はどのように絞られていくのでしょうか。

高濱:一つの目安は、8月6日にクリーブランドで開かれる米フォックス・ニューズ主催の公開討論会です。ここに参加できる10人に選ばれるかどうかが最初の関門でしょう。参加者はこの時点における支持率で決められます。

 第2の目安は、9月16日にカリフォルニア州シミバレーのレーガン大統領記念図書館で行われる CNN主催の公開公聴会です。これもやはり10人の候補者が参加して行われます。

(”CNN announces details of Republican presidentila debate,” CNN politics, 5/21/2015)

(”As Republican Debates Near, Candidates Veto Make Cut,” Maggie Haberman & Jeremy W. Peters, New York Times, 6/4/2015)

 現時点での各候補者および立候補予定者の人気度を見ると、ブッシュとウォーカーが12%でトップ、これにカーソン(11%)が肉薄。その後にポール(9%)、クルーズ(8%)、ルビオ(7%)、クリスティ(5%)が続いています。

(”Latest Elections Polls,” realclearpolitcs.com., 6/9/2015)

 まだ序盤ですから、これらの数字はメディアに登場する頻度に影響されたもの。その政策や政治理念が尺度になっているものではないと思います。しかしこうした知名度のある候補者が8月6日の第1回公開討論会に選ばれると言っていいでしょう。それだけに今、名の知られていない候補者はありとあらゆる機会を使って名前を売る必要があるのです。

ヒラリーに伍せるのはポール

—民主党ではヒラリー・クリントン前国務長官が断トツのようですね。となると、共和党の指名争いでは、「誰を立てればヒラリーに立ち向かえるのか」が重要なファクターになりませんか。

高濱:その通りです。しかし民主党候補と戦う本選挙の前に、まず共和党内の予備選で勝たねばなりません。まずは、どうやったら予備選で共和党員や支持者の票を集めるかが重要です。全米有権者の支持を取り付けることを考えるのは、指名されたあとの話になります。

 確かに共和党候補の誰がヒラリーに勝てるか、に多くの人が関心を持っています。CNNが6月2日に発表した世論調査の結果によると、ヒラリーに勝てる共和党候補はいません。ただ接戦を演じているのはポール(47%)でヒラリー(48%)と1%差。ウォーカーとルビオはともに46%でヒラリー(49%)に3%水をあけられています。

 興味深いのは、保守中道派のブッシュ(43%)がヒラリー(51%)に8ポイントもリードされている点です。

(”Latest Election Polls,” realclearpolitics.com., 6/9/2015)

 ポールは南部出身で保守派ですが、それほど強硬派ではありません。52歳になり、政治家として脂が乗り切っている点も米国民の支持を得ているのでしょう。ヒラリーのアキレス腱はなんといっても67歳という年齢です。しかも電子メール事件などのネガティブ・ファクターもあります(「ヒラリー危うし!『メールゲート』スキャンダルでぐらつく」参照)。

6/16・17宮崎正弘メルマガ中国関係記事について

ここまでアメリカが舐められたのもオバマ大統領のせいでしょう。もっと言えば選んだアメリカ国民に責任があります。日本の場合、ルーピー鳩山が首相になっても局地的な影響(それでも日本に負の影響をかなり与えました)ですが、アメリカは良くも悪しくも世界の平和を守ってきました警察官です。オバマが「止めた」と言ってしまいましたが。勿論アメリカが総て善などと言うつもりもなく、黒人奴隷、人種差別問題やインデイアン虐殺、原爆投下等、問題行動が多かったのも事実。モンロー主義で欧州の言うことを聞かなくなったのは良いですが、西部開拓が終わり、太平洋に出てきて日本に圧力をかけ、終いには戦争まで仕掛けた国です。FDRの腹黒い事たるや、中国人も真っ青でしょう。でも今世界の自由と平和を守れるのは悔しいですがアメリカしかありません。

日本はアメリカと一緒になって戦うしか生きる道がないと思うべきです。プラグマテイズムでどちらを味方につけた方が良いかという発想は当然アメリカにもあります。中国と手打ちすることも充分考えられます。でも日本は韓国と違い、二股外交は止めるべきです。蝙蝠外交何て言われたのでは末代までの恥となります。ユダヤ人の「マサダの戦い」が多くの人々を感動させ、歴史にも残って語り継がれる訳です。岡潔博士の「死を視ること帰するが如し。それができたのは日本民族だけ」と言うのは正しくそうです。玉砕も特攻も外国では評価されます。(真に勇気のある人だけですが)

AIIBも中国が拒否権を持つことが分かり、欧州も腰が引けてきたようです。そんなことはハナから分かっていたこと。欧州もオバマの弁護士体質に嫌気がさし、嫌がらせしようとしたのかも。オバマの人徳の無さ、リーダーとしての資質の無さでしょう。何せ決断できないのですから。リーダーとして一番要求される資質にも拘わらず。でも中国は次の大統領に誰がなるのか予測を始めていろいろ工作に走ると思います。

記事

6/17「南シナ海で、もし米中軍事衝突が起こるとすれば   米国専門家が三つのシナリオを提示」

 保守の論客アービン・クリストルが創刊した『ナショナル・インタレスト』誌は、『フォーリン・アフェアーズ』と並んで全米のマスコミがしばしば引用する有力なメディア(日本では後者しか知られていないが)。

かつてはフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』も、この雑誌に連載された。2004年から発行元はナショナル・アフェアーズ社からニクソン・センターに移管した。

 この『ナショナル・インタレスト』誌最新号に『米中が南シナ海で軍事衝突にいたる三つのシナリオ』が提議されている。執筆はロバート・ファーレイ(パターソン・スクール準教授、海軍戦略専門家)。

 「いまや米中は南シナ海の埋め立て工事をめぐって言葉の戦争状態、日々、緊張が増大している。かといって中国の軍事態勢、その装備、準備具合などから勘案して、すぐに戦争状態に突入するとは考えにくい」としながらも、以下の三つのシナリオが描けるとする。

 第一の想定は小競り合いによる軍事衝突への発展であり、(a)は中国の人工島建設と軍事施設の完成がなされ、航海の自由をかかげる国連の立場からも、米軍は島外海域のパトロールを実行することになる。

 したがって米軍偵察機、あるいは米艦船に対して中国が妨害し、それが米側の損傷をともなく場合、当然だが米軍の報復がなされる。

 (b)米軍の対潜水艦哨戒機P3Cオライオンが、中国側に補足され、緊張が高まった事件があったように、機体とパイロットの返還に数週間を要した。

 つまり米軍の哨戒飛行への嫌がらせによる偶発的衝突が起こりうるだろう。

 (c)このシナリオは嘗てのKAL007便が『領空侵犯』を問われ、ソ連のミサイルで撃墜されたように、民間機の撃墜がなされるとすれば、米軍の報復があるだろう。なぜなら中国は南シナ海にも、一方的にADIZ(防空識別圏)を設定しようとしているからである。

▲偶発戦争というのは稀にしか起こらないが。。。

 第二は潜水艦の偶発事故によるケースである。

 冷戦時代、ソ連原潜ならびに通常の潜水艦と西側NATOの潜水艦にニアミスがよく起こった。

往時のソ連の海軍力と比べると中国海軍の潜水艦戦力はまだ完成の意気にはないが、その戦闘意欲は旺盛であり、また潜水艦をますます増加させている傾向にあり、近未来にニアミスが起こりうるだろう。

 第三は習近平の謳う『軍事外交』である。

いまや中国は後戻り出来ない地点に来ており、その政権維持をかけて軍事力の誇示は、かの政権の政治命題である。

 偶発戦争は起こりえない可能性が高いものの、危機を危機と認識できない指導者が、党内権力闘争の生き残りをかけて軍事突出にでてくる場合、それは起こりうる危険性に繋がるのである。

6/16「 中国軍事委員会副主席の訪米にオバマは会見せず、ゴルフ  「南シナ海は中国領であり、米国は言葉を慎め」と傲慢」

氾長龍(中国中央軍事委副主席=事実上の軍トップ)が、孫建国(副参謀総長)らを引き連れて訪米した。

6月12日にワシントン入りしたが、結局、カーター国防長官から「南シナ海の埋め立て工事を中止せよ」と言われ、きわめて冷たい雰囲気のなかで米中軍事交流となった。

オバマ大統領は、軍人等とは接見せず、ゴルフに興じていた。

 国務省ではケリー長官が交通事故で入院のためアントニー・ブリンケンン長官代理が接見した。

大統領補佐官のライスは会見に応じたものの実のある成果はなかった。

 ペンタゴンでは19発の礼砲で歓迎の儀式はおこなわれたものの、カーター国防長官の「南シナ海における一方的な埋め立て工事の中止」要求に対して中国側は「南シナ海(かれらは『南海』と呼称する)は昔から中国領であり、米国は言葉を慎むべきだ」と、ひっくりかえるような暴言を続けた。

 また中国側のスポークスマンは『米中関係の重要性と大局を鑑みれば、南シナ海の問題など小さな問題に過ぎない』とも発言している。

  米中軍事交流プログラムの一環行事とはいえ、これほど冷たいムードで行われた会談も珍しく、西太平洋における共同軍事演習(救援活動)へ中国軍は昨年に引き続き参加することなど、また軍人らの『文化交流』は続けることなどが決まったと在米華字紙が伝えている。

6/18日経『日韓慰安婦協議、合意にハードル 議題が判明 日本が財政支援 韓国は最終解決を保証』記事について

嘘吐き国民がまた何か言っているとしか思えません。今の安部内閣が朴大統領の言いなりになるとは思えません。国内では訪米時の約束の集団的自衛権を今国会中に通さなくてはならず、韓国のことなど頭の片隅にもないでしょう。彼らがアメリカの圧力を受けて勝手に、かついつも通りに彼らの夢想を話しているだけです。こんな記事を臆面もなく書く記者と言うのはレベルが低いのでは。国民はこんな記事に騙されませんよ、もう。韓国の言い分だけを聞いて記事にするからです。殆ど頭の悪いレベルでしょう。

お互いに主張して、結実しないことが日本の国益です。彼らを助けて日本が今までいいことがありましたか?植民地支配を怨み、従軍慰安婦で嘘を言いまくり、アメリカで嘘の証拠の像を建てまくる、殆どヤクザの手法でしょう。強制徴用裁判も、親日派の財産没収、産経新聞記者軟禁事件も、近代法の概念が分かってないから起こるのです。形だけ真似しても本質が分かっていない民族とは付き合わない方が良い。日本は批判はあるものの鹿鳴館や欧米に人材を派遣して法律を整備し、近代国家と認められました。韓国にはないでしょう。中国と同じく事後法が当たり前ですので。

二階俊博はどうしようもないですね。選んでる和歌山県民は恥と思わねば。2月に朴大統領と会った時に、彼女が前には単独で平昌オリンピックは開催できると言っていたのに雲行きがおかしくなると日本の援助を要請、簡単に平昌オリンピック・東京オリピックの相互協力などと言うのですから。利権政治家で有名。国会議員と言うか市会議員のレベルでしょう。翁長と同じ穴の貉です。

まあ、国民がキチンと監視しないといいようにやられますから。後から後悔しても間に合いません。情報強者になり、悪い政治家は落とさねば。後、メデイアの発する情報は眉に唾付けることが大切です。

記事

従軍慰安婦問題をめぐる日韓協議の議題の概要が分かった。日本がとる措置には元慰安婦への財政支援や、安倍晋三首相による謝罪や責任への言及を含む声明が挙がる。韓国がとる措置には朴槿恵(パク・クネ)政権での慰安婦問題の最終解決への保証などを列挙している。いずれも合意に向けたハードルが高く、結論は出ていない。

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 日韓両政府の外務省局長による昨年4月からの協議で、ネックになってきたのは損害賠償を含む請求権の問題だ。日本は1965年の日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決した」との立場。韓国は元慰安婦の個人請求権がなお残っているとして日本の法的責任を明確にすべきだとしてきた。日本は法的責任をあくまで否定している。

 論争の結論は出ていないとみられるが、判明した日韓協議の議題からは、それぞれがとるべき具体的な措置を議論している状況が分かる。

 たとえば元慰安婦への財政支援。韓国政府関係者は「政府予算を使うことで『日本政府が国家の責任を事実上認めカネを出した』と韓国国内に説明できる」と期待する。

 日本は90年代半ばにアジア女性基金をつくり、募金で集めた償い金を元慰安婦に支給した。人道措置との位置づけだった。韓国側が法的責任を帯びた財政支援にこだわるなら、着地は難しい。

 謝罪や責任への言及を含む首相声明も焦点だ。首相は4月の訪米時の講演で「人身売買の犠牲となった筆舌に尽くし難い、つらい思いをされた方々を思うと非常に心が痛む」と語った。旧日本軍の関与を認めた93年の河野洋平官房長官談話も見直さないと明言している。首相声明でさらに踏み込めば法的責任も絡んでくる。韓国側には「実質的に日本が責任を認めたと受けとれる表現でよい」との意見もある。

 韓国がとる措置もハードルが高い。日本側は「本当に朴政権がこの問題を蒸し返すことなく終わりにできるのか」と疑問視する。韓国世論の反発により一方的に撤回される危険があるからだ。

 ソウルの日本大使館前や米国で慰安婦を象徴する少女像を撤去することや、米国で慰安婦をテーマに集会を開く市民団体などを後押ししているとされることをやめることも、韓国がとる措置だ。いずれも日本を納得させる根拠が必要だ。

 協議は慰安婦問題の包括的な解決を探っており、最終決着には安倍首相と朴大統領の決断が欠かせない。朴大統領は11日の米紙インタビューで「相当な進展があった」と述べた。日韓がとる措置をめぐる話し合いを踏まえたとみられている。

6/15渡部亮次郎メルマガ Andy Chang『米国のアジア政策見直し(2)』記事について

来年1月の台湾の総統選で国民党の泡沫候補と言われていた洪秀柱の支持率が46%超になったという記事をみました。以前に読んだ中国時報の記事では3%しかなかったのですが。外省人がメデイアを支配していますから、中国人と同じく数字を操作しているのかも知れません。母数が3社で各1200人ですから操作は可能でしょう。

民進党の蔡英文が先月末から訪米して認知され、昨年11月の統一地方選の惨敗の余波が残る中ですので、次の次辺りを考えているのかも知れませんが。南シナ海での中国の傍若無人な振る舞いを見て、アメリカも流石に中国と台湾がこれ以上くっつくのは危ないと思っているはず。民進党が勝つと思います。

日本人ももっと国際関係に目を向けた方が良いです。無関心だから奸智に長けた国がそれを利用して間接侵略を果たそうとしているのに気が付きません。享楽主義も考え物です。或は学生時代に取った杵柄か、左翼脳から脱しきれない老人とか曲学阿世の徒とか困ったものです。自分たちは早く死ぬから良いとでも思っているのでしょうか?「平和」は「念仏」や「憲法9条」を唱えていれば実現できるものではありません。自明の理です。現実に中国の内蒙古、チベット、ウルグアイ、南シナ海の侵略を見ていれば分かりそうなもの。分からないとすれば空メクラか似非平和主義者でしょう。戦う姿勢を見せない限り、中国は嵩にかかって攻めてきます。こういう人たちは中国に隷従した方が良いと思っているのでしょうか?人権抑圧国家で自国民を何千万人も虐殺した国です。こういうことが判断基準に入ってないとしたら、何のために学問しているのでしょうか?単なる専門バカを造っているだけのように見えます。くれぐれもメデイアとか学者を権威と思わないように。常識・直観を大切にした方が良い。

記事

米国のアジア政策見直しとはアメリカが中国に強い態度を取るようになったこと、同時に日本重視、台湾重視と南シナ海への介入である。特に台湾問題でこれまでの態度を変えたのは良いことだ。

過去2か月の間に起きた台湾関連のニュースを拾ってみると米国の台湾に対する変化がわかる。(1)朱立倫の訪中と台湾民間の強烈な反対、(2)中台関係が中国拒否になった、(3)米国在台協会(AIT)主席・薄瑞光(Raymond Burghardt)の台湾訪問、(4)蔡英文・民進党党首の訪米で米国側の破格な歓待、(5)オバマの「アメリカは南シナ海の領有権を持っていない」発言。

これらの台湾で起きた一連の事件に前の記事(No.544)で書いた、シャングリラ・ダイアローグとG7首脳合同発表を合わせれば米国のアジア政策見直しが見えてくる。

  • 過去2か月に台湾で起きたこと

5月4日、国民党の党首で新北市長でもある朱立倫は中国を訪問して習近平と会見したが、この会見で習近平が「92年共識(中国は一つというコンセンサス)」が中国と台湾双方の平和の基礎であると強調したのに対し、朱立倫はコンセンサスを認めると言わず、代わりに「両岸同属一中(台湾と中国は同じく中国に属する)」と述べた。台湾は中国の領土であると発言したにも等しい。

これが報道されると台湾人民は激しく反撥し、朱立倫は台湾を売ったと批判された。朱立倫は「一つの中国とは中華民国のことだ」と弁解して嘲笑を買った。朱立倫の人望はガタ落ちとなり、国民党の三大政治人物から脱落した。中国の恫喝は人民の反感を強め、台湾では反中国と反外省人の声が高くなり、国民党は次の選挙で大敗するかもしれない。

5月10日にRaymond Burghardt(薄瑞光)米国在台協会主席が慌てて台湾に飛んできて馬英九と会談した。国民党党首が中国を訪問して習近平と会談をしたらアメリカは中国と中華民国にどんな(公開、非公開の)約束があったのか知りたがるのは当然である。だが彼はこの訪問で国民党側の公式説明を聞くだけでなく、台湾人民の総意が[NO CHINA]になったことを確認したと言える。

国民党は総統選挙に候補者を出せないでもたもたしている。中国政策も反対が強烈だから、Raymond Burghardtはこの時点で「国民党に見切りをつけた」のではないか。2012年の総統選挙にDouglas Paalを派遣して馬英九を支持した時とは大違いである。

Raymond Burghardtのもう一つの任務は、月末に米国を訪問する予定の民進党の党首・蔡英文とスケジュールの打合せだった。蔡英文のほかにも民間の有名人物に会ったと言われている。

  • 蔡英文の米国訪問

5月末から12日間の米国訪問に出発した蔡英文は、6月2日ワシントンで公式訪問を始め、参議院の軍事委員会主席John McCain、民主党議員のJack ReedとDan Sullivan などと会見した。蔡英文はこの後すぐAIT主任Raymond Burghardtの案内で米国貿易代表と会談した。

続いて3日にはホワイトハウスで米国国家安全会議を訪問し、4日には国務省でアントニー・ブリンケン国務副長官らと面会した。近年における台湾の総統候補者として、最も高いレベルの礼遇を受けた。このほか蔡英文は3日にアメリカのシンクタンクCSISにおいてKurt Campbellの主催で台湾問題について講演をした。

アメリカが1978年に中華民国と断交して以来、台湾の政治家がワシントンを訪問しても国会やホワイトハウスに招待されたことはなかった。蔡英文は野党の党首で総統選挙の候補者が、今回のワシントン訪問で破格な待遇を受けたのである。つまり米国は国民党に見切りをつけた、少なくとも来年は民進党が政権を取るだろうと予測したのだ。これは重要な政策変更である。

  • オバマの「南シナ海の領土主権否定」

6月1日、オバマ大統領はホワイトハウスでASEAN諸国の青年代表らと会見した際に、南シナ海における中国の勝手な岩礁埋め立てについて「もしも中国の主張が合法なら諸国はこれを認める。しかし肘で他人を押し退けるような行為で合法性を主張することはできない」と発言して中国の強引な領土主張を退けた。

その次にオバマは「アメリカは領土争議の片方ではなく、南シナ海の領土主権も持たない。しかしアジア太平洋の一国として、国際間の意見の相違は国際標準に従い、外交手段で平和に解決すべきで、これはアメリカにも利害関係のあることである」と述べた。

オバマは「アメリカは南シナ海(そして台湾澎湖)の領土主権を持たない」という非常に重要な発言をしたのである。日本はサンフランシスコ平和条約(SFPT)の第2条bで台湾澎湖の主権を放棄したが、同時に第2条fで新南群島(パラセルとスプラトリー群島)の主権も放棄した。しかし日本が放棄した領土の主権は明らかにされなかった。

放棄された領土の主権が明確でないため、台湾の台湾民政府(TCG)と米国台湾政府(USTG)のグループは、SFPT第23条に主要占領国アメリカと書いてあるからアメリカは台湾の占領権を持つ」と勝手に解釈して宣伝(主張)していた。

アメリカが領土主権を明確にしなかったから根拠のない主張ができたのである。だがオバマは「米国は南シナ海(そして台湾澎湖)の占領権を持っていない」と発言した。つまり「台湾民政府(TCG)と米国台湾政府(USTG)の主張には根拠がない」ことが明らかになったのである。

  • 「現状維持」とは緩やかな変遷

これまで米国のアジア政策は「現状維持」だけだった。つまり中国とイザコザを起こしたくないから、横暴な中国の領土拡張や武力恫喝に対し日本、台湾、東南亜諸国に我慢を要求してきたのである。米国のアジア政策見直しとは「我慢にも限度がある」ということだ。

米国が台湾の國民黨を支持してきた理由は、国民党は台湾独立をしない、民進党が独立主張をすれば中国が武力で恫喝する、だから米国は民進党を支持せず「現状維持」を押し付けてきたのだ。それが今回の蔡英文の訪米で米国の態度がガラリと変わった、国民党を見切り、民進党支持に回ったのだ。

米国は民進党が政権を取っても独立宣言はしないとわかった。それより國民黨の統一路線と中国の南シナ海の領土拡張のほうが危険で中国の台湾併呑はアジアで戦争が起きる。中国の急激な侵略を防ぎ、東南アジア諸国と連携して現状の緩やかな変遷で中国を抑え込む、これが米国のアジア政策見直しの要点である。