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1/22日経ビジネスオンライン 田村賢司『人民元安の裏に潜む中国経済の本当の弱点』、秋場大輔『中国指導者の誤解が世界を混乱させている』1/23日経『インド中銀総裁に聞く 新興国こそ構造改革』について
1/22ブルームバーグにダボス会議に出席したジョ-ジソロスの記事が掲載されていました。「中国経済はハードランデイングに向かっている。不況の波は世界にデフレ圧力を齎し、株式の価格低下と米国債の価格上昇を招くだろう。ハードランデイングは不可避である。これは予想ではなく、実際に目にしていることだ」と。
中国政府は、構造改革の必要性は理解しても断行できないでしょう。過剰債務、過剰投資、過剰在庫、過剰雇用どれをとっても難しい問題です。在庫を世界的に投げ売りすればデフレの輸出となり、ダンピング輸出で禁止されるかもしれませんし、企業は赤字を貯め込むことになります。人員の整理は下手をすると革命が起きるかもしれません。生産設備は需給を無視して地方が勝手に作ったためで、それを中央が廃棄せよというのも難しい。過剰債務の解消はBSの反対側にある資産圧縮を意味します。固定資産を売却しようとしても買い手が付かないでしょう。打つ手がないのでは。それでソロスのいうハードランデイングになるのでは。共産党の存続、革命、難民、どういう展開になるのか予想が付きません。日本に迷惑にならないことを祈っています。
田村記事
1992年9月といえば、通貨史において、最大級と言っていい事件のあった時である。
ポンド危機。世界最大級のヘッジファンドを率いていたとはいえ、一介の民間投資家に過ぎないジョージ・ソロスが、英国の通貨、ポンドに巨額の売りを仕掛け、買い入れ防衛に走った英・中央銀行のイングランド銀行を打ち負かしたのだ。
当時、欧州は将来の統一通貨、ユーロの実現のために特別な仕組み(欧州為替相場メカニズム=ERM)を導入していた。緩やかな固定相場制と言えそうなものだったが、ソロスはこのためにポンドが実力以上に高くなっていると見て猛烈に売り浴びせたのである。
敗れた英国はERMを脱退し、やがて変動相場制に移行していった。政府に対する市場の勝利として名高いこの出来事を思い起こしたのは、年初から大揺れが続く世界経済の混乱の元にある中国と、その通貨、人民元の今を考えたからだ。
市場にすり寄り始めた中国為替当局
「今の規模で中国当局が為替介入を続けると、あと3~4年程度で中国の外貨準備は1兆ドルに落ちる可能性がある。そうなれば、ポンド危機と同じ人民元危機が起きても不思議ではなくなる」
8.11ショックから人民元安が進んできた ドル・人民元レートの推移
みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏はそんな“強烈な”予言をする。中国は、日本や米国のように市場で為替レートが決まる自由な変動相場制ではない。通貨当局が、毎営業日の午前10時過ぎに発表する基準値から一定の幅しか動かさない管理変動相場制をとっている。当局の決めた為替レートからの変動を一定の幅に抑えることで、市場の急変による経済への影響を小さくするためであり、ドル売り人民元買いなど為替介入に使うのが政府の保有する外貨準備だ。
この人民元の動きに、今の中国が置かれた経済の停滞が、これまでとは質の違うものであることがうかがえる。
8.11ショック。昨年8月11日、中国は突然、為替相場の管理方法を変えた。それまで中国は、市場で実際に取引される為替レートを見ながら、それとは“別に”基準値を決めていた。ところがこの日、「前営業日の銀行間取引(市場レート)の終値と、主要通貨の動向を考慮して」基準値を決定すると発表したのだ。一定の幅以上には動かさない管理変動相場制は維持したが、元になる基準値を市場の実勢に沿う形にしたのである。中国は基準値を3日連続で引き下げ、人民元は急落していった。
これまで唯我独尊を貫いてきた中国が、市場にすり寄り始めたのには2つの理由がある。1つは、外資と見られる資本の流出である。「中国株や様々な資産に投資していた(投機の)ホットマネーや、実物資産への投資などが母国に引き上げられている」(富士通総研の柯隆・主席研究員)。
資本の流出の裏にあるのは、経済失速への警戒と、株式市場や為替市場など、様々な市場に見られる統制経済体制への不満なのだろう。
人件費の低さを生かし、人海戦術で稼ぐ繊維など軽工業は、賃金上昇や人民元高とともに競争力を失い、工場の一部がベトナムやカンボジアなどに移り始めている。一方、鉄鋼や造船、自動車などを初めとした主要産業には、設備と債務と投資の3つの過剰が改めて指摘され始めた。「過剰」の中心にあるのは、国有企業か国有企業と外資の合弁で、社会主義政権の元にある限り、過剰問題を解決する力がないと見られ始めたのである。
3つの過剰の本丸、国有企業の危機
国有企業問題は、中国が抱える経済の矛盾の凝縮でもある。製造業で言えば、鉄鋼や板ガラス、セメント、非鉄金属、造船、石炭、アルミなどが国有企業の柱。世界一の生産国となった自動車も、中核は、トヨタ自動車や日産自動車、米国のビッグ3、ドイツのフォルクスワーゲンなど外資との合弁企業だ。
これら国有企業と地方政府、国有銀行の3者がもたれ合って「過剰」を増やしてきたと言われる。国有銀行は、国有企業に過剰融資を行い、地方政府は公共工事などで仕事を作る。あるいは、業績の悪い企業にも融資をしたり、減税をしたりして延命させる。いわゆるゾンビ企業を増やした。
生産も同様。ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎・上席研究員によれば、「世界のGDPに占める中国の比率は約13%(2013年)だが、製造業だけ取り出してみると23.2%に達する」という。その差は、製造業の設備が過大になっている可能性があるというわけだ。鉄鋼の過剰生産もここに原因があり、安値輸出で世界にデフレを広げていると酷評される。
しかし、より深刻なのは、中央・地方政府、国有企業自身の改革力のなさだ。「過剰」を削れば、雇用が失われ社会が不安定化しかねない。「本来、その政策は失敗する可能性がある」(三尾・ニッセイ基礎研上席研究員)だけに、改革の腰が入らないのだ。
当局が為替市場にすり寄り始めた理由の2つ目は、意図的な人民元安誘導と見られる。人民元安は当然ながら、ドル高であり、円高と同義である。人件費の上昇などで失われてきた製造業の競争力を回復するには最もお手軽な手段になる。8.11ショック以降、じりじりと進んできた人民元安には、そんな思惑が伺える。
国有企業を中心とした「過剰」問題のもう1つ奥には「技術革新や生産性向上などを起こすイノベーション力の不足がある」(柯・富士通総研主席研究員)。新興国が、安い人件費や投資コストの低さなどを生かしてある程度の経済発展をした後にぶつかる壁、いわゆる「中所得国のワナ」にさしかかったのかもしれない。
2008年秋のリーマンショック時のような外的要因や、循環的な景気後退とも異なる不安。市場は、それを中国に感じ始めている。
秋場記事
このところの急激な株安で、2008年のリーマンショックを連想する人が増えている。地政学リスク、12年ぶりの原油安、円高…。確かに不安要素は多々あるが、日本にとって最大の懸念材料は中国経済の減速だ。その行方について、富士通総研の柯隆主席研究員に話を聞いた。
(聞き手は秋場大輔)
—世界経済の先行きについて、急速に不透明感が高まっています。震源の一つは減速する中国経済です。実際、年明け早々の上海総合指数急落が世界的な株安の発端となりました。
柯 隆(カ・リュウ)氏 富士通総研主席研究員 中国南京市生まれ。1988年来日。92年愛知大学法経学部卒、94年名古屋大学大学院経済学研究科修士課程修了。長銀総合研究所を経て富士通総研経済研究所の主任研究員に。2006年より現職。静岡県立大学グローバル地域センター特任教授・広島経済大学特別客員教授兼務。 主な著書に『中国の不良債権問題──高成長と非効率のはざまで』(日本経済新聞出版社)、『チャイナクライシスへの警鐘』(日本実業出版社)など多数。
柯:まずは株式の見通しからお話ししましょうか。私は米ウォールストリートで働く人と意見交換をする機会が多いのですが、彼らは適正水準が2000~2500だと言います。しかし中国当局は、それを3000~3500のレンジで収めようとしている。実態とのかい離が続いているため中国の株式市場でショック反応が起きているのだと思います。
為替相場も同様です。輸出の不調をどうにかすべく、元を切り下げたいというのが当局の思惑です。しかし、当たり前ですが為替は中国の思惑だけでは決まらない。それを管理しようとするから、不安定な状況が続いています。社会主義国の指導者はマーケットがコントロールできると思っているフシがあります。選挙を経験したことがない人はそうなりがちなんですが、こうした誤解が世界経済を混乱させている。
—人民元安が円高を招いている面もあります。
柯:1月の中国の外貨準備高は、昨年12前月末時点から1079億米ドル(約12兆7300億円)減少し、3兆3300億米ドルに低下しました。急減したとはいえ、まだ高水準だと思います。ただこれは国際収支だけで貯まったものではなく、人民元を切り上げた時にホットマネーとして入ってきたものが多い。これが米利上げで局面が変わりました。投資家が人民元建て資産を残していいのかという疑問を持つようになり、キャピタルフライトを招いている。その行き場の一つが円というわけです。
リーダーがメッセージを出さないのが問題
—マーケットはどうしたら安定すると思いますか。
柯:株式市場と為替市場を落ち着せるのはマクロ政策です。選択肢は景気対策と構造改革の2つがありますが、構造改革しかないでしょう。リーマンショック後に中国政府は4兆元という大型の景気対策を打ちましたが、それが現在の中国経済の混乱を招いている面があることはご承知の通りです。景気対策はサステイナブルな成長を約束しない。だから構造改革しかないわけです。
現実論として景気対策を打とうにも財源がありません。私自身、それを肌身に感じています。毎年1~2月になると、中国の政策畑の研究者が日本に来ます。そこでさまざまな意見交換をするのですが、今年は緊縮財政のあおりを受けて来ないのです。本来ならなかなか手を付けない分野の予算を絞っているのです。
—構造改革の具体策とは何なんでしょうか
柯:一つは過剰設備の解消でしょうね。もっともこれはなかなか進まないでしょう。理由はさまざまありますが、根本的に誰が担い手なのかがはっきりしないことが大きいと思います。本質的には政府ではなく、マーケットメカニズムに従って解消されるべき問題です。しかし中国共産党のリーダーがスローガンを掲げるばかりで、ロードマップを示さないことは問題です。
これは重要な点です。たとえば米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は利上げをするまでに何回も記者会見を開き、市場と対話をしました。これに対して習近平国家主席と李克強首相は経済についてほとんど語ろうとしない。だから不信が増幅され、鉄鋼業界やセメント業界などの経営者は「ひょっとして政府が守ってくれるのではないか」と思ったりするのです。
最近、人民日報に興味深い記事が載りました。国有企業の中のゾンビ企業を閉鎖せよ、という内容です。対象は過剰設備、過剰生産、過剰債務に陥っている製紙や石炭、製鉄といった産業でしょう。論調は非常に正しいけれども、リスクも大きい話です。
これら企業では約2700万人が働いています。リストラをすれば、失業者が出る。失業者の増加は社会不安を高めますから、ハードランディングを防ぐためにも職業訓練が必要です。ところが地方政府にその意思がない。このあたりがロードマップを示さないという証拠の一つです。
反腐敗運動、地方政府の債務問題に影
—構造改革と言えば、地方政府の債務問題もありますね
柯:ここにきて中国財政部は限度額管理を打ち出しましたが、これはあくまでフローの管理を求めている。肝心のストック対策がありません。
地方政府の債務問題には反腐敗運動も影を落としています。この運動は3年続いていますが、いつ終息させるのかが見えない。どの官僚も「行ってきます」と家から出かけても、その日、帰ってこられるかどうかがわからない状態が続いている。そんな状態で、やる気が出ないのは当然です。経済を動かす人が動かなければ、中国を覆う不安は解消しません。
—中国の外交についてはどう見ていますか。
柯:経済外交はうまくいっていると思います。特別引き出し権(SDR)の構成通貨として人民元が入りました。アジアインフラ投資銀行(AIIB)も設立されました。原子力発電プラントや鉄道といったプラントの輸出商談も成立させています。しかし一般的な外交では東南アジアとは緊張関係が続いています。北朝鮮に対する歯止めも効かない。
1月16日に台湾総統選挙がありました。最大の争点は中国との関係をどうするかでしたが、その直前に中国共産党体制や国家指導者を批判する書籍を取り扱う香港の書店関係者が相次ぎ失踪している事件が大きく取り沙汰されました。これは中国との関係を深めようとする国民党にはマイナスに作用したはずです。習近平主席の外交政策は急ぎ過ぎだと思います。グランドデザインがない。
内政にも問題があります。チベット族やウイグル族では格差が広がっている。格差はテロの温床です。そうした中で強硬姿勢を見せることは、中国政府にとって得策ではない。地政学的な安定は経済成長に寄与します。今の外交や内政は中長期的に悪影響を及ぼすでしょう。
経済減速、中長期的には日本にプラス
—中国経済の減速が日本に与える影響は
柯:長い目でみればプラスでしょう。構造改革には技術的なイノベーションが不可欠で、日本の技術を取り込みたいという考えがあるからです。昨年11月に日中経済協会が訪中し、李克強首相との面会が実現したことはそうした思惑の表れです。「振る舞われた食事がこれまでで一番おいしかった」と語る人もいます。足元ではチャイナショックが企業業績などに影響を及ぼしていますが、中国と中長期的にどう向き合うか。戦略的にとらえる必要があります。
—中国国家統計局が19日に発表した2015年の国内総生産(GDP)の速報値は物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比6.9%増となり、天安門事件直後の1990年(3.9%増)以来、25年ぶりの低い伸びとなりました。
柯:中国政府は2020年にGDPを現在の倍にするとしています。達成するには毎年6.5%以上の成長が必要なので、公表数字はこれを下回ることはないと思います。もっとも重要なのは実態。5%あるかどうかではないでしょうか。5%を下回ると失業が深刻化するので、注意深く見る必要があります。
—今後の中国を見通すうえで、当面は何に注目していますか。
柯:3月に全国人民代表大会が開かれます。そこで国有企業改革について、どう言及するかを注視しています。
日経記事
ダボス(スイス東部)=小滝麻理子】インド準備銀行(中央銀行)のラグラム・ラジャン総裁(52)は世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で日本経済新聞のインタビューに応じ、年明け以降の世界市場の混乱について「世界規模の金融緩和政策により過大評価された資産価格の調整が根底にある」と語った。そのうえで、緩和マネーへの依存を強めてきた新興国は苦境に直面していると指摘。「新興国は構造改革に取り組み、新たなモデルの構築を急ぐべきだ」と指摘した。
ラジャン氏 印経済安定の立役者
ラジャン氏は2013年9月にインド準備銀行(中央銀行)総裁に就いた。米シカゴ大教授、国際通貨基金(IMF)の調査局長を歴任し、米国発の世界金融危機を05年時点で予測した実績を持つ同氏の起用はインド国内外で注目を集めた。
ラジャン氏の総裁就任時には、インドは金融危機を招きやすい「脆弱な5カ国」の一角とされていた。ラジャン氏は就任直後から利上げやルピー買いの優遇策を敢行。急落していた通貨と高騰していた物価を安定させた。15年に入り、景気の減速懸念が高まると金融緩和に政策転換した。現在、インドは他の新興国に比べて経済の安定感が際立つ。
数々の実績を背景に、「新興国の中銀代表」として各国の金融政策の協調を説く論者としても知られる。昨年11月に国際決済銀行(BIS)の副議長に任命されるなど、世界の金融界からの信任は厚い。金融専門誌「バンカー」で最優秀中銀総裁に選ばれた。
(堀田隆文)
株安、金融政策のひずみ
――世界的な株安や先進国の通貨高が金融市場を揺さぶっています。理由をどうみていますか。
「市場混乱の引き金は、中国と原油安の2つだ。世界経済を引っ張ってきた中国経済の減速やさらなる人民元切り下げへの懸念は大きい。原油など商品価格の下落により、産油国の政府系ファンドが資金を引き揚げる懸念も強まった。ただこれらはきっかけにすぎない」
「むしろ問題は金融緩和に伴う過去数年の巨額のマネーの流入により、資産価格が上昇したことにある。金融緩和の副作用ともいえるし、狙い通りともいえるが、株や債券、商品などあらゆるリスク資産の価格が上昇し、適切な水準がだれもわからなくなった。本当の水準はどこなのか、市場はいま見極めようとしているところだ。高いボラティリティー(変動率)を吸収するにはまだ時間がかかるだろう」
――中国の2015年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.9%と、25年ぶりの低い水準に減速しました。いま中国経済が抱える問題は何でしょうか。
「一部の産業でみられる過剰設備と、過剰債務という2つの大きな問題がある。ただ原料輸入国でもある中国は原油・商品安の恩恵も大きい。中国経済は減速するが、緩やかな減速になると見ている。この間、世界経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が急激に大きく悪化したわけではない。市場の動きばかりにとらわれず、各国のファンダメンタルズに注目すべきだ」
日欧、追加緩和はリスクも
――資源国を中心に新興国からは資金流出の動きが強まっています。逆風のなか新興国はどう対処すべきでしょうか。
「まず大事なのはきちんとした経済政策を定めること。2つ目は急激な資金流入に対して警戒すること。流入した資金を全て使うのではなく、より長期的な資金を呼び込むよう制度を整えるべきだ。そして最後に、適切な外貨準備高を持つこと。この3つは密接に関連しており、重要だ」
「緩和政策は新興国に資産価格の上昇をもたらしたが、成長資金をもたらしたかは疑問だ。緩和マネーだけでは問題は解決できない。新興国は新たな市場環境を前提に、長期的な資金を呼び込むための構造改革を進め、投資リターンを考え直すべきだ」
「インドは財政赤字の縮小やインフレ率の低下などマクロ経済の安定性はかなり高まった。今後の焦点は金融セクターの改革だ。銀行の財務の健全化や、IT(情報技術)を生かした送金システムなど技術革新を進め、より長期の投資資金を呼び込む環境を整備する」
――米国が金融引き締めに踏み切る一方、金融市場の混乱による実体経済の押し下げが懸念される日本や欧州では追加緩和による景気刺激を求める声も強まっています。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は21日、追加緩和の可能性を示唆しました。日米欧の金融政策の方向性の違いはどんな影響を及ぼしますか。
「金融政策のあまりにも大きな違いは望ましくないが、各国の経済回復やデフレへの対処の段階の違いを示している。ただ一般論だが、経済が回復途上の国では通貨高は逆風になるが、金融政策を通貨誘導のために用いるべきではない」
「追加緩和を求める声は多いだろうが、私はそう思わない。市場が適切な価格を探っている今の段階で、中銀は追加緩和によりこれ以上、資産価格に介入すべきではないと考える」
1/21・22日経ビジネスオンライン 鈴置高史『掌返しで「朴槿恵の親中」を批判する韓国紙 では、韓国は米国側に戻れるのか』『「在韓米軍撤収」を保守も主張し始めた 韓国は中国の手に乗るのか』について
鈴置氏の「韓国が米国側に戻るかどうか」についての見立ては懐疑的という所でしょうか。韓国は核武装中立を考えているようですが、米中露とも認めないでしょう。北朝鮮の暴れん坊の扱いでも苦労しているのに、同じく火病を持った民族ではいつ暴発されるか分からない恐怖を持っているでしょう。
韓国は日清戦争前の事大主義を遺憾なく発揮しています。日清露から米中に変わっただけ。蝙蝠人間が信頼されることがないようにこの民族を誰も信用はしないでしょう。韓国の米軍基地にTHAADの配備も日本とのGSOMIA締結も機密情報が中国に筒抜けになる恐れがあるから止めた方が良いと思います。
(1/22朝日新聞には「韓国、日米のミサイル防衛に事実上参加へ 中国は反発か」という記事がありましたが。
http://www.asahi.com/articles/ASJ1Q2RGZJ1QUHBI007.html)
中国の手に乗って、在韓米軍の撤退があるかですが、朝鮮戦争で5万人の米兵が亡くなったことを考えると、「ない」のではと思います。沖縄米軍基地は太平洋戦争(大東亜戦争の一部で地理的概念)の戦利品と米海軍は考えています。また日本も日清・日露戦争での戦死者は約10万人で、米国の中国の門戸開放要求を蹴って太平洋戦争を招来したのは「英霊に申し訳ない」という思いがあったのも理由の一つでしょう。韓国政府の出方ひとつです。ヤクザと同じやり方をする民族でしつこいですが、米国が恫喝すればおとなしくなるでしょう。米国は日本のようには甘くありません。韓国経済を干し上げ、韓国企業の完全米国化を進め、いう事を聞く大統領に首を挿げ替えるかもしれません。鼠男潘基文辺りが最適かも。
記事
朴槿恵(パク・クンヘ)政権の親中路線が韓国メディアの批判に直面した。米国の制止を振り切って接近したのに、中国は北朝鮮の核実験を阻止してくれなかったからだ。直前には、米国の外圧により日本との「慰安婦合意」をのまされてもいる。果たして韓国は米国側に戻るのか――。
ホットラインは無用の長物
—1月6日の北朝鮮の4回目の核実験の後、韓国の保守系紙が朴槿恵政権の「親中外交」を一斉に批判したそうですが。
鈴置:ええ、大手3紙が1月12日に声を合わせて――合唱といった感じで批判しました。最大手の朝鮮日報は「虚構であることが露見した『歴代最高の韓中関係』 誰が責任をとるのか」(韓国語版)という見出しの社説を載せました。要旨は以下です。
- 核実験の直後、中国と共同対応を取るため韓国は国防相による電話会談を要請したが、1月11日になっても何の回答もない。昨年末に開通し、決定的瞬間に効果を発揮するはずのホットラインが、いざ必要な時に無用の長物になっていたのだ。
- 首脳同士の電話会談もまだ行われていない。中国の態度は、外交関係の常識に大きく反すると言わざるを得ない。
- 昨年9月、朴大統領は欧米諸国から冷たい視線を浴びながらも中国で行われた抗日戦勝70周年記念式典に出席、韓中関係は大きく好転し関係も深まるかと思われた。しかし今回、それは完全に無に帰した。
- 尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は昨年7月、韓中関係は「史上最高」と語り「米国と中国の双方からラブコールを受けるのは祝福だ」とも発言した。ところが危機的状況に直面すると、韓中間には越えられない大きな壁があることが判明した。外交の責任者が自慢げに語った言葉が、数カ月後には虚しい戯言になってしまった。
- 朴槿恵政権が取り続けてきた中国重視政策の影響で、同盟国である米国からも韓国の中国傾斜を懸念する声が出始めている。北朝鮮による核実験という決定的瞬間に中国がその本心をさらけ出した今、我々は対日外交に続き対中戦略についても方針の見直しを迫られている。
- このままでは国としての誇りを持ち続けることも、国民に「政府は外交によって国益をもたらしている」という信頼を持たせることもできない。
- 外交政策担当者の失敗によるものであるなら、今すぐ担当者を交代させ、新たな戦略と方針を定めねばならない。大統領の間違った指針が今の状況を招いたのなら、大統領自らすぐにでも国民に説明すべきだ。
核実験前から「米国回帰論」
—「あれだけ中国に忠義を尽くしたのに、肝心な時に助けてもらえなかった」との憤りですね。
鈴置:その通りです。1月12日の他の保守系紙の社説――中央日報の「米中からラブコールを受けているという韓国外交の実情」(日本語版)も、東亜日報の「北朝鮮の4度目の核実験を受けて朴大統領に問いたいこと」(同)も、そこを突いています。
そして「中央」も「東亜」も「朝鮮」と同様に尹炳世外相の「ラブコール発言」を批判的に引用し、朴槿恵政権の親中外交が破綻したと厳しく指弾しました。
ただ見落としてはならないのは、北の核実験の前から韓国では「親中外交」への批判が高まっていたことです。
朝鮮日報の元日の大型社説「新たな政治のリーダーシップで国に活気を取り戻そう」(韓国語版)は明確に「米国への回帰」を訴えました。外交部分を訳します。
我々は米日同盟と中国の駆け引きの圧力の下で昨年1年間を送った。周辺大国の間の角逐は、半島北部で急変事態が起きたり力の空白が生じた時、すぐさま我々の生存の問題につながるだろう。
警戒すべきは短期的な現象の変化を長期的な趨勢と誤解して、安全保障の座標軸を性急に調整することだ。昨年9月の朴槿恵大統領の抗日式典への参加は、韓中関係を新たな次元へと発展させたが、韓米同盟には少なからぬ負担をもたらした。
これを機にワシントンに拡散した「韓国の中国傾斜論」は、今年11月の米大統領選の行方によっては、韓米両国の争点や懸案に浮上する。韓米同盟を強化し、中・日対立の影響が半島に及ぶことを遮断すべきだ。
中国が覇権を握ると勘違い
—なるほど、核実験前から「米国への回帰」が訴えられていたのですね。なぜでしょうか。
鈴置:まずは、経済的な力関係が中国から米国に再び傾く――との認識が広まったためです。中国からの資本逃避が、2015年夏以降、激しくなっています。経済がおかしくなり始めた証拠です。半面、米国経済の復活を象徴する利上げが同年末に始まりました。
2008年のリーマンショックを見て韓国人は「米国の時代は終わった。これからは中国だ」と信じました。ことに2013年2月にスタートした朴槿恵政権は、露骨な「離米従中」外交を展開しました。
しかしそれは大きな見込み違い。慌てた韓国紙は「中国の天下になるとの判断は早過ぎた」と外交の軌道修正を要求しているのです。
先に引用した朝鮮日報の元日の社説の「警戒すべきは短期的な現象の変化を長期的な趨勢と誤解して、安全保障の座標軸を性急に調整することだ」とのくだり。中国が覇権を握ると考え「離米従中」した朴槿恵政権の勘違いを率直に指摘した部分です。
中国シフトを唱えていた大記者たち
—でも、朝鮮日報こそが「短期的な現象の変化を長期的な趨勢と誤解していた」のではありませんか?
鈴置:全くその通りです。朴槿恵政権がスタートした時に、金大中(キム・デジュン)顧問のコラム「“二股外交”」(2013年4月1日)を載せ、中国寄り外交を先頭に立って訴えたのは朝鮮日報なのですから(「保守派も『米中二股外交』を唱え始めた韓国」参照)。
中央日報も金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題担当大記者が「中国包囲戦略への参加を警戒する」(2012年6月22日、韓国語版)を書き、当時の李明博(イ・ミョンバク)政権を「米国と近過ぎて中国との関係が悪化する」と批判していたのです。
韓国紙は主張の一貫性にこだわらない――はっきり言えば、都合が悪くなると自分で書いた記事をきれいさっぱりと忘れ「掌返し」をして他人を非難するのが普通です。
でも、今回のそれはあまりにひどい。親中外交を批判する記事を朴槿恵大統領が読んだら「親中路線は朝鮮日報や中央日報が要求したものではないか」と怒り出すことでしょう。
朝鮮日報を揶揄した韓国経済新聞
日刊紙では珍しく、朴槿恵政権下でも親米路線を掲げてきた韓国経済新聞が、朝鮮日報などの変節ぶりを揶揄しています。
1月12日夕刻にネット版に載せた社説「中国問題を巡るあまりに軽い世論のバイアス」です。12日付の朝刊各紙の「親中批判」社説を受けて書かれたものと思われます。
- 中国を見る世論のブレがあまりに激しい。米国で「韓国の中国傾斜論」が巻き起こっていた時に、大統領が抗日式典に参加したのも論議を呼んだ。
- 当時は朴大統領が訪中すべきとの意見が多かった。一部のマスメディアもそそのかした。オピニオンリーダーも同調した。
- 人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)通貨になると「人民元崛起(くっき)」とか、人民元が基軸通貨になったことを祝う論調の記事と論評が溢れた。
- 人民元は今や、不透明な為替の決定方式と人為的な切り下げに対する疑問により、世界の金融市場でパニックを起こしている。
- 中国問題をあまりに軽く考えたということだ。ブレの激しい世論では、正しい外交路線を歩むことはできない。
「人民元の崛起」を礼賛
—厳しいメディア批判ですね。
鈴置:確かに、人民元がSDRの基準通貨の1つに選ばれることが決まった際、韓国紙は一斉に「中国の金融崛起」と褒めそやしました。
例えば朝鮮日報の「人民元の崛起……ドルの覇権に挑戦」(2015年11月16日、韓国語版)です。
それが2カ月も経たないうちに人民元を「世界のトラブルメーカー」扱いするようになったのです。
もっとも韓国経済新聞だって2015年12月29日には「人民元の地位向上でAIIBに翼……中国の『金融崛起」加速」(韓国語版)との見出しで、人民元と中国経済を称賛する記事を載せていたのですが……。
—要は最近、はっきりして来た中国経済の不調が韓国紙の「親中外交批判」を呼んだということですね。
鈴置:そして、もう1つの理由が「離米従中する韓国」に対する米国の怒りです。2015年12月28日、日韓両国政府は「慰安婦」で合意しました。韓国人はここに米国の強い怒りをかぎ取ったのです。以下は、韓国のある識者の解説です。
「慰安婦カード」を取り上げられた
「慰安婦合意」の直後、韓国人は外交的な勝利と考えた。「アベは絶対に謝罪しない。日本にはその必要がないからだ」と諦めていたのに、意外にも、安倍晋三首相が謝ったためだ。
ただ状況を子細に見るに連れ、韓国人は「我々が負けた」と思い始めた。合意に含まれる「財団」を作るには、元慰安婦や支援団体を韓国政府が説得して「合意」を認めてもらう必要がある。しかし支援団体は日本に対し強硬姿勢をとっており、説得は困難だ。
韓国政府は在韓日本大使館前に設置された慰安婦像の移転問題も「努力する」と日本に約束してしまっている。これも多くの国民が反対しているから容易ではない。
もし、いずれをも実現しないと「韓国が日韓合意を反故にした」と米国から見なされてしまう。合意はそもそもオバマ大統領をはじめ米政府高官が執拗に求めていたものだった。合意直後にケリー(John F. Kerry)国務長官がすかさず「歓迎」を表明したのも、米国が事実上の「保証人」であることを示す。
それに、安倍首相が元慰安婦に直接会って謝るのかと思っていたら、岸田外相が謝罪を代読して終わりだった。
これだけ韓国側に不利な条件を朴槿恵大統領がのんだのは、米国の強力な圧迫があったからに違いない。「慰安婦カード」はもう使うな、と米国が怒り出したのだ――と少しモノを考える韓国人は気づいた。
米国の怒りにようやく気づいた韓国
—朴槿恵政権にとって今回の合意は自殺行為になりかねないのですね。
鈴置:2つの意味でそうなのです。まず、元慰安婦や支援団体を敵に回す内政上のリスク。左派や普通の人からも格好の攻撃目標になります――というかもう、なっています。
もう1つは「日本が慰安婦で韓国の言うことを聞かないから日―米―韓の3国軍事協力はできない」との、米国向けの言い訳を失ってしまう外交上の問題です。
この「慰安婦カード」こそは「離米従中」という、相当に無理筋の外交を成立させる武器だったのです。実際、日韓合意の後、米国やその意向を受けた日本は「さあ、日韓の間の懸案は片付いた。日―米―韓の3国軍事協力を進めよう」と言い出しています。
—韓国紙もようやく、米国の怒りの大きさに気づいたのですね。
鈴置:「離米従通」に対し、米国は相当に苛立ちを強めていました。朴槿恵大統領が2015年10月に訪米した際には、オバマ大統領は記者団の前で「米中どちらの味方なのか」と厳しく問い詰めました(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。
朴槿恵政権は平静を装っていましたが、外交に詳しい韓国の識者は「オバマの難詰」「米国の最後通牒」と縮み上がりました(「日本を『一撃』できる国になりたい」参照)。
そこに中国経済の失速と「慰安婦圧力」が加わって一気に「親中批判」が保守系紙で盛り上がった、ということでしょう。
「中国の尻馬」にしがみつかざるを得ない
—では、朴槿恵政権は「親中」というか「従中」をやめ、米国側に戻るのでしょうか?
鈴置:それが微妙なのです。容易には戻れない理由が2つあります。まず「米国頼りで北の核問題を解決できるか」との疑問です。確かに米国の力なしでは北に圧力をかけられないし、北の軍事的な脅威も防げない。
ただ、米国がどこまで本気で核問題を解決する意思があるかは分からないのです。北朝鮮が核兵器を輸出さえしなければ、その核保有を認めてしまうかもしれない。
もう1つは中国要因です。米国側に戻ることで中国との関係を悪化させたら、中国の対北圧力を期待できなくなります。
中国だけが北朝鮮に実効ある経済制裁をかけられることを考えると、韓国は安易に「米国回帰」には動きにくい(「やはり、韓国は核武装を言い出した」参照)。
この辺の苦しい事情は中国だって見抜いています。韓国が米国側に戻る素振りを見せれば「勝手にしろ。米国に頼んで解決してもらえばいいだろう」と韓国を脅すでしょう。
—なるほど。「離米従中」路線の修正は簡単ではないのですね。
鈴置:ええ、韓国は「中国の尻馬」にしがみつかざるを得ないのです。次回、その辺をじっくりと読み解きます。
(次回に続く)
(前回から読む)
日本との「従軍慰安婦」合意と北朝鮮の核実験。2015年末から2016年初めにかけて起きた2つの動きは、韓国を米国側に引き戻すのか、逆に中国側に押しやるのか――。
オバマは「世間の笑いモノ」
—前回は、韓国の保守系紙が「親中外交をやめて米国側に戻ろう」と言い出した、との話でした。そして「だが、米国回帰は容易ではない」とのことでしたが……。
鈴置:韓国が米国側に素直に戻れない最大の理由は、米国に対する不信です。北朝鮮の4回目の核実験の翌日の韓国各紙の社説や論評には「オバマ大統領の失敗」という単語が溢れました。
中央日報の金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題担当大記者のコラム「金正恩『水爆奇襲』…米国に核対話圧力」(1月7日、日本語版)は「世間の笑いモノ」とまで書きました。以下です。
- 「戦略的忍耐」と呼ばれたオバマ政権の対北朝鮮政策は失敗を越えて世間の笑い話になった。
「戦略的忍耐」と称し、何もしなかった。これが北の核開発につながった――とのオバマ政権への非難です。そして、金永煕大記者は以下のように主張したのです。
- 韓日米三角同盟の誘惑だけに陥ってはいけない。北朝鮮が核兵器を放棄しないのは韓国と米国が暗黙的に認めている。韓日米は3カ国同盟より国際協調で核モラトリアム(凍結)を誘導し、北朝鮮の非核化を成功させなければいけない。
北朝鮮が核実験をすれば当然、韓国人は米国の軍事的バックアップが欲しくなる。ことに2015年12月28日に日本と「慰安婦合意」をした直後です。「日米韓」安保協力の声が、米国や日本からだけではなく韓国の保守からもあがりました。
でも、金永煕大記者は「国際協調で」――つまり、中国を頼りに解決しようと訴えたのです。軍事力を行使するつもりがない限り、北と深い経済的なつながりを持つ中国を頼りにするほかはない。
ことに、中国は「日米韓」安保協力を中国包囲網と見なしている。3カ国同盟などを振りかざせば、中国にそっぽを向かれてしまう――との判断でしょう。
漂う手詰まり感
—それにしてもオバマ大統領に厳しいですね。
鈴置:韓国紙が書いているだけではありません。米国の保守もオバマ大統領の“弱腰”に批判的です。穏健とされる日経新聞だって、1月8日朝刊の北朝鮮核実験を解説した記事の主見出しは「オバマ外交が危機招く」でした。
その記事の他の見出しは「『不安定の芽』を放置」「漂う手詰まり感」。本文も「『米国は世界の警察官ではない』と開き直っている」と指摘し、オバマ大統領のやる気の無さが「北の核」を許したと評しています。
朝鮮日報は1月7日の社説「米中にも解決が難しい北の核、国と国民を守る非常措置をとらねばならない」(韓国語版)で「核武装を議論しよう」と主張しました。理由として、やはりオバマ政権の「やる気の無さ」を挙げています。
- 北朝鮮の核は大韓民国の存亡をかける最上級の懸案だ。だが、オバマ政権は解決の意思を失った状態だ。
「B52ショー」には騙されない
—なるほど。だから核を持とう、と朝鮮日報は社説で主張するに至ったのですね。
鈴置:その朝鮮日報に、驚くべき記事が載りました。核武装を訴えてきた楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹が1月14日に載せた「米国も『北に核が存在するという現状の維持』に向かっている」(韓国語版)です。以下は記事の冒頭に掲げられた要約です。
- 米国の「戦略的忍耐」は、北の核が(自身への)直接の脅威ではないとの認識が基盤にある。
- 北がもう1度核実験しても、米国は「B52ショー」を見せて韓国をなだめるだけだろう。
米国は1月10日、グアムからB52を発進、韓国の領空を低空飛行させました。もちろん北朝鮮へのけん制が狙いで、聯合ニュースは「このB52は核を搭載していた」と報じました。
しかし楊相勲主幹はB52の飛行を、韓国人をなだめるためのショーに過ぎないと決めつけたのです。背景には、米国にとって北の核はたいした脅威ではない。だから米国は本気で北の核を抑え込もうとしてこなかった――との醒めた認識があります。
北の核を黙認する米中
—そこで楊相勲主幹は「核を持とう」と訴えた……。
鈴置:ただ、今回の記事では「韓国の核武装論」は北の核解決に向けた米中への圧力にならず、両大国は北の核を黙認する、と悲観的な見方を披歴しています。関連部分を翻訳します。
- 1971年、ニクソン大統領は毛沢東主席と会い「南北双方のコリアンが再び問題を起こし、我々が困るようなことになってはならない」と語った。以来、米中は仮に競争・葛藤を繰り広げてもこの原則を違えることはなかった。
- 韓国の一角にある「核武装論」は、こんな米国に対する誤解を基にしている。「我々も核武装しよう」と言えば、米中が(北朝鮮の核問題の解決に向け)動く――というのは希望的観測に過ぎない。米中は我々の本心を見抜いている。
- 我々の望みとは異なって現実は「北に核が存在するという現状の維持」に向かっている。「北の核実験に驚かなかった」という国民が、「驚いた」人の2倍に達したという不感症さも、「北に核が存在するという現状の維持」の一部分だ。
「衝動的な朝鮮人」
なお、ニクソン大統領が毛沢東主席と初めて会ったのは1972年です。引用された発言も周恩来首相に対してのものです。
原文は「Nixon’s Trip to China」の「Document 2」の17ページに出てきます。日本語では『ニクソン訪中機密会談録』の100ページで読めます。以下です。
- 朝鮮人は、北も南も感情的に衝動的な(emotionally impulsive)人たちです。私たちは、この衝動と闘争的態度が私たち(米中)両国を困らせるような事件を引き起こさないよう影響力を行使することが大切です。
楊相勲主幹は韓国人読者が怒り出さないように、やんわりと書いていますが、はっきりと書けば、以下になるでしょう。
- 米中は韓国・朝鮮人を感情的で度し難い民族と見ている。だから「南北双方に核を持たせれば、核戦争が起きかねない」と考え、現状維持――つまり北の核だけを認めるだろう。
半島は米中で共同管理
—北の核だけ認めれば不均衡が生じませんか?
鈴置:北の核に対しては米国の核と中国の対北圧力でバランスをとればいい、との発想でしょう。韓国人は不満でしょうが。
『ニクソン訪中機密会談録』の表現を借りれば、感情的で衝動的な人たちだから、南北に核均衡を作らせるのは難しいし、危険だ。それなら米中が協力して朝鮮半島を管理した方がよい――との判断です。
—楊相勲主幹は韓国の核武装論を先導してきました(「一歩踏み出した韓国の核武装論」参照)。なぜ急に弱気になったのでしょうか。
一歩踏み出した韓国の核武装論
鈴置:いざ、北の4回目の核実験に直面しても、米中は責任をなすり合うだけで本気になって北の核の除去に動かない。この現実をまざまざと見たからと思います。
本人はともかくも、韓国の核武装論者の多くが「口だけ」であることを米中に見抜かれてしまった――と見てもいるのでしょう。いずれにせよ、これに続くくだりに驚かされるのです。
米中が「北に核が存在するという現状の維持」に向かうのなら、我々も現状を揺るがす方策をとらねばならない。北の核賭博ほどに現状を打破するものでなければ、それは意味がない。
韓国の核武装論が口先だけではないとの事実を見せるか、あるいは北が要求している在韓米軍撤収と北の核廃棄を取引するような、国家戦略の大転換を始めるか、何かをせねばならない。
核廃棄と引き換えに米軍撤収
—在韓米軍撤収ですか!
鈴置:そこなのです。いくら「北の核廃棄」と引き換えとはいえ、韓国の保守本流中の本流の言論人が「在韓米軍撤収」に言及したのです。
核武装論は米中から無視されそうだ。だったらそれよりも実現性の高い「在韓米軍撤収論」をもぶち上げ、米中の「現状維持」に向けた談合を破壊しよう――との狙いです。
ただこれは、北朝鮮の核を振りかざしての要求を受け入れることを意味します。米韓同盟の破棄につながっていく可能性もあります。相当な「劇薬」です。
ポイントは、主張したのが保守層に大きな影響力を持つ言論人であることです。同じことを左派が言えば「北の回し者」と見なされるでしょうが、楊相勲主幹が言えば「在韓米軍撤収と核廃棄の取引も1つの手だな」と考える人が出てくると思います。
実際、この記事の書き込み欄を見ると「結局、自分の国は自分で守るしかないのだから」との理由を挙げて、米軍撤収論に賛成した人がいました。
もちろん、これを読んでぎょっとした韓国人も多いと思います。「米軍撤収を取引材料にするのは絶対に認められない。北に騙されるだけだ」と書き込んだ読者もいました。
韓国人に決意はあるのか
—楊相勲主幹の主張を朴槿恵(パク・クンヘ)政権が採用する可能性はあるのですか。
鈴置:核武装と同様に、その可能性はさほど高くないと思います。この政権は言うことは勇ましいけれど、それほどには度胸がないと見られるからです。
「米中星取表」を見れば分かる通り、強く出る中国の言うことなら何でも聞いてしまい、同盟国たる米国を怒らせてしまう。
| 米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2016年1月21日現在) | |||
| 案件 | 米国 | 中国 | 状況 |
| 日本の集団的自衛権 の行使容認 | ● | ○ | 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致 |
| 米国主導の MDへの参加 | ● | ○ | 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ |
| 在韓米軍への THAAD配備 | ▼ | △ | 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否 |
| 日韓軍事情報保護協定 | ▼ | △ | 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ |
| 米韓合同軍事演習 の中断 | ○ | ● | 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施 |
| CICAへの 正式参加(注1) | ● | ○ | 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」 |
| CICAでの 反米宣言支持 | ○ | ● | 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か |
| AIIBへの 加盟 (注2) | ● | ○ | 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明 |
| FTAAP (注3) | ● | ○ | 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」 |
| 中国の 南シナ海埋め立て | ● | ○ | 米国の対中批判要請を韓国は無視 |
| 抗日戦勝 70周年記念式典 | ● | ○ | 米国の反対にも関わらず韓国は参加 |
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。
「慰安婦合意」では国内の根回しも終わっていないのに、米国の圧力に屈し自ら窮地に陥ってしまう(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」参照)。
楊相勲主幹も記事の最後に「我々にそれほどの決意があり、実現する能力があるかは別の問題だが」と書いています。ただ、こうした議論が出てきたこと自体が現実を動かすと思います。
慰安婦合意の裏に米国
—北朝鮮がそれに応えて動き出す、ということですか?
鈴置:北よりも、中国が動くのではないかと思います。中国は日韓の慰安婦合意と北の核実験により、日米韓の対中包囲網が実現するのではないかと恐れています。それに風穴を開けられるこのアイデアは、ことのほか嬉しいでしょう。
2015年12月28日の「慰安婦を巡る日韓合意」を見た中国は相当に焦りました。韓国に「慰安婦カード」を使わせることで、米国が狙う日米韓の3国軍事協力の強化にクサビを打ち込んできた。中国にすれば、その貴重なカードが突然に無くなってしまったのです。
国営通信社、新華社が運営する新華網の記事「慰安婦問題の合意の裏側、賠償金で口封じ」(12月30日、日本語版)が中国の失望と警戒感を如実に示しています。
見出しの「賠償金で口封じ」は台湾メディアの報道を引用したとしています。そしてこの記事は日本と米国メディアの記事を引く形をとって、以下のように解説しました。
- 合意の裏側には米国がいて、狙いは中国けん制である。米国は日韓のどちらが正しいかに興味はない。両国が手をつなげばいいのだ。
- 米国のアジアにおける主要な同盟国が歴史問題から、北朝鮮や中国の脅威に目を向け直すことになる。今後は「慰安婦」という障害物が取り除かれ、米日韓の軍事協力がさらに拡大する。
北の核兵器を中国が管理
中国をさらに困惑させたのが1月6日の北朝鮮の核実験でした。これが日米韓を結束させ、3国の軍事協力がますます進化してしまうと考えたのです。
北の核実験を受けて朴槿恵大統領に電話したオバマ大統領は「北の核実験という挑戦に対する韓米日の対応能力は、日韓の慰安婦合意によって強化されている」と述べています。
聯合ニュースの「朴大統領、米日首脳と相次ぎ電話……『対北強力制裁』を推進」(1月7日、韓国語版)が伝えています。なお、この記事は朴槿恵大統領が「日米韓の協力」に関し、どう答えたかは報じていません。
包囲網に困惑した中国の目の前に飛び出した「米軍撤収論」。これを上手に利用すれば、北京を直近から狙う在韓米軍を除去できるかもしれない。上手くいけば米韓同盟も破棄させられるのです。
これほど大きな「果実」を得られるのなら、中国も北朝鮮に本気で核をやめさせるかもしれません。それが不可能でも「核兵器の中国との共同管理」くらいは北にのませて韓国を安心させる、などの手があります。
すると、それを見た米国も「北の核」への対応に本気になるかもしれません。こうなっていくことが、楊相勲主幹の望む「北の核武装という現状を揺るがす」状況なのでしょうけれど。
伏線を敷いてきた中朝
—そんなに上手くいくでしょうか。
鈴置:中国と北朝鮮は伏線を敷いてきました。2015年1月10日、米韓合同軍事演習を中断すれば、核実験を中断する用意があると北朝鮮は表明しています。4回目の核実験後の2016年1月15日にも同じ趣旨の談話を発表しました。
米韓はこれを宣伝攻勢と見なし無視してきました。一方、中国は積極的に支持。2015年4月11日には韓国に対し「緊張激化を高める」との理由を掲げ、演習の中断を求めています(「オバマが帰ると即、習近平に秋波を送った朴槿恵」参照)。
中国には、まずは「合同軍事演習の中止と核実験の中断」を取引しよう――と韓国を誘い出す手があります。そして「米軍撤収と核廃棄」の取引へとつなげていけばいいのです。
韓国人の心の動きを実に深く観察しているのが中国です。米国のやる気の無さに失望した韓国の保守までが、米軍撤収を語り始めたのを見落とさないと思います。
というか、それを――仕掛けたワナに韓国がはまるのを待っていたでしょう。
中立化が射程に
—結局、北の核はどうなるのでしょうか。
鈴置:これからの駆け引き次第です。ざっと分けてシナリオは2通りあります。まず、米中が北の核保有を事実上認めたうえで、朝鮮半島の共同管理体制を強化するケース。もう1つは、米中のカルテルが崩れ、状況が流動化するケースです。
後者の場合、朝鮮半島全体の非核化と中立化が射程に入ってきます。その過程で北朝鮮の体制が揺れれば、統一問題も絡むでしょう。
—米国と協調するように見えながら、韓国は中国の思い通りになっていくということですね。
鈴置:もし、北の核を本気で取り除こうと韓国人が決意すれば、中国の手に乗る可能性が高い。その際は「慰安婦合意」などは吹き飛ぶでしょうね。
1/21・/20日経ビジネスオンライン 高濱賛『共和党本流が推す三人衆はトランプを駆逐するか』、堀田佳男『民主党支持者の票をも奪い始めたトランプ候補』について
1/20日経夕刊に「ペイリン氏がトランプ氏支持 米共和党指名争い
【ワシントン=芦塚智子】11月の米大統領選に向けた共和党の候補指名争いで、2008年の同党副大統領候補だったペイリン元アラスカ州知事が19日、実業家のトランプ氏を支持すると表明した。ペイリン氏は保守層に根強い人気があり、予備選の初戦となる2月1日のアイオワ州党員集会に向けてトランプ氏に追い風となりそうだ。
アイオワ州ではトランプ氏と保守派のクルーズ上院議員が接戦を展開している。ペイリン氏は12年の上院選でクルーズ氏を支持した。ペイリン氏はアイオワ州に多いキリスト教保守派にも人気があり、テレビ番組への出演が多いことから知名度も高い。」
1/21NY発信「反トランプ」運動、米国で発足 大物俳優や著名人が続々賛同
【AFP=時事】米国の劇作家らが20日、米大統領選挙の共和党指名獲得争いで首位に立つ富豪のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を糾弾する運動「ストップ・ヘイト・ダンプ・トランプ(#StopHateDumpTrump、ヘイトをやめてトランプを除去しよう)」を立ち上げた。米大物俳優や作家、知識人らが続々と賛同の意を表明している。
トランプ氏、大人気なのはなぜ?支持者が語る
「トランプ大統領」の誕生を阻止すべく発足した同運動のオンライン署名には、これまでに歌手・俳優のハリー・ベラフォンテ(Harry Belafonte)さんや、女優のケリー・ワシントン(Kerry Washington)さん、ジェーン・フォンダ(Jane Fonda)さん、映画監督のジョナサン・デミ(Jonathan Demme)氏、言語学者のノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)氏らが名を連ねた。
発起人は劇作家のイブ・エンスラー(Eve Ensler)氏、ドキュメンタリー映画監督で反戦運動「コード・ピンク(Code Pink)」を立ち上げたジョディ・エバンス(Jodie Evans)氏、法学者のキンバリー・クレンショー(Kimberle Crenshaw)教授の3人。「憎悪や分断をあおる演説手法を多用しているにもかかわらず、トランプ氏の選挙キャンペーンは勢いを増している。こうした中で、声を上げ行動する機会を米国の人々に提供したい」とエンスラー氏は説明した。
また、メディアや政治団体がトランプ氏の過激主義を「一般化」した責任を問うことも、運動の目的の1つだという。エンスラー氏は、メディアも政治団体も「トランプ氏の過激主義を娯楽として扱い、過度な放送時間を割いて不平等に報じ、調査も質問も非難も適切に行ってこなかった」と批判している。
「ダンプ・トランプ」運動のウェブサイトは、トランプ氏について「米国と全米国人の民主主義、自由、人権、平等、幸福に対する深刻な脅威だ」と主張。「歴史は、憎悪に満ちた指導者に立ち向かうことを人々が拒否したとき、何が起こるのかを私たちに教えてくれる。彼(トランプ氏)に代表される憎悪と排他の政治に対抗すべく、あらゆる手段を使って声を上げていく」と言明している。
ウェブサイトには立ち上げからわずか数時間で1200人近い賛同の署名が集まった。【翻訳編集】 AFPBB News」
1/23日経には「トランプ氏 焦りの正体 初戦アイオワ世論調査首位だが… 支持者は本当に投票行くか
11月米大統領選の候補指名争いの初戦となる2月1日の中西部アイオワ州党員集会まで1週間あまり。世論調査で共和党大統領候補として支持率首位を保つ不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は他候補への攻撃を強める一方で「大物」の支持を取りつけた。一連の行動の背後にはアイオワを巡るトランプ氏の焦りがにじむ。焦りの「正体」は何か。
米大統領選の共和党候補指名争いで演説するトランプ氏(21日、ラスベガス)=ロイター
「私は候補指名を獲得する。そのことは世論調査が示している」。トランプ氏が集会で自らの支持率を誇示するのはお決まりの流れだ。トランプ氏を支持するのは中低所得者層の白人で、大学を卒業していない人が多いという特徴がある。
あまり投票に行かない傾向にあるとされるこれらの人たちが本当に投票するのか――。トランプ氏が候補指名を引き寄せられるかどうかは、この一点にかかっている。過去の大統領選をみても、支持率と投票行動の相関関係は、そんなに単純ではないからだ。
天候の影響も
2004年大統領選。民主党候補として支持率で独走していたハワード・ディーン氏はアイオワで予想外の3位に終わり、その後失速した。08年大統領選の民主党候補の一人だったヒラリー・クリントン氏も世論調査では優勢とみられたが、アイオワで現大統領のオバマ氏に敗北し、巻き返すことができなかった。
本選をみても、1992年大統領選に独立候補として出馬した大富豪ロス・ペロー氏は一時、民主党候補のビル・クリントン氏や共和党候補のジョージ・ブッシュ父氏の支持率を上回っていた。だが本選の総得票数は全体の19%で3位に沈んだ。
浮かび上がるのは、支持率が選挙予測の万能薬ではないということだ。ディーン氏は後に「アイオワで負けることは3週間前から分かっていた。聴衆の熱狂に違和感があった。調べてみると、アイオワの人たちではなかった」と語っている。
熱烈な支持者が全国の遊説について回ったため集会はいつも盛り上がる。半面、地元の聴衆でないことから候補が知りたいその州の支持の強度が分からない。補強箇所のミスマッチを放置したまま選挙運動を続け、党員集会・予備選を迎える。ディーン氏の例は、その典型だ。
トランプ氏の選挙運動はどうか。集会の様子をみる限り、一部の熱狂的な支持者は全国をついて回っているものの、ほとんどはその地元の聴衆だ。ディーン氏の例とは違うが、アイオワにはまだ難関がある。
天候と党員集会の時間帯だ。最低気温はマイナス10度を下回ることも珍しくない。党員集会は夕食時の午後7時ごろから始まる。世論調査で「共和党候補として誰を支持しますか」という質問に気軽に答えるだけでは済まない。氷点下の中、家族だんらんを放棄して党員集会に足を運ばなければならない。投票する側にも覚悟がいる。
さらにアイオワは中絶禁止や同性婚反対など保守的な政策を掲げるキリスト教右派が影響力を持つ。同派は天候や時間帯にあまり左右されないとみられている。トランプ氏とテッド・クルーズ上院議員(45)の支持率がアイオワでは拮抗するものの、同派に支えられるクルーズ氏が有利との見方が消えないのは、このためだ。
ペイリン氏連携
「私がいまここにいるのは、次期大統領を応援するためだ」。アイオワで19日に開いたトランプ氏の集会。08年大統領選の共和党副大統領候補、サラ・ペイリン元アラスカ州知事の独特の甲高い声が響いた。トランプ氏はクルーズ氏に対抗するため、キリスト教右派の人気が根強いペイリン氏に目をつけた。アイオワでは二人三脚で遊説する。
共和党の場合、これまでアイオワで負けても、予備選の致命傷にはなっていない。しかし、トランプ氏は昨夏以降、世論調査でトップの座を守ってきただけに「負ければ、他州への影響は避けられない」(ラリー・サバト米バージニア大政治センター所長)。
移ろいやすい世論の風をうまくつかんできたトランプ氏の強さは本物か。最初の結果は、あと1週間あまりで出る。(ワシントン=吉野直也)」
米・大統領選についてはいろんな人がいろいろ解説して、誰が的中するのか分かりません。2/1アイオワ州の投票を待ちたいと思います。誰が大統領になろうとも中国に対峙する大統領であれば良しとせねば。オバマは戦後最低の大統領に選ばれたとの記事もありました。(2014/07/02)
http://www.excite.co.jp/News/politics_g/20140705/Leafhide_election_news_aXOzWr1NXA.html
やはり「世界の警察官」に復帰して、自由主義諸国と共に邪悪な中国の封じ込めをしてほしい。
高濱記事
米共和党の大統領に名乗りを挙げた面々。左から2番目がクリス・クリスティ・ニュージャージー州知事、3番目がマルコ・ルビオ上院議員、一番右がジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(写真:ロイター/アフロ)
—いよいよ2月1日から、米大統領選が予備選に突入します。皮切りはアイオワ州の党員集会。「トランプ旋風」は衰えるどころか、勢いを増しているようですね。
高濱:イスラム過激派「イスラム国」(IS)のテロや北朝鮮の「水爆」実験などに対して、米国の一般大衆は憤りをあらわにしています。不動産王のドナルド・トランプ氏はこうした大衆の怒りをストレートに代弁して拍手を浴びています。それゆえ各種世論調査で高い支持率を維持しているのです。政策云々よりも、言っていることに賛同を得ているのです。
これが党員集会や予備選での投票行動にどう表れるのか、多くの選挙専門家が注目しています。
トランプと同じ層から支持を得ているのが超保守のテッド・クルーズ氏です。こちらはテキサス州選出の1年生上院議員。米プリンストン大と米ハーバードを卒業したキューバ系弁護士(キューバ移民の父親と米国人の母親との間に生まれた)。連邦裁判所で働いたこともあるインテリです。
1月14日に行われたテレビ討論会でも、トランプ氏とクルーズ氏が目立ちました。
—両者はその討論会でかなり激しくやり合いましたね。
高濱:トランプ氏はクルーズ氏がカナダで生まれたことをとらえて、「米国内で生まれていないものは大統領選に出る資格はない」とし、裁判所に提訴すると息巻いています。
これに対して、クルーズ氏は「ちょうどいい機会だから言っておく。両親のどちらかが米国籍であれば生まれた子供はどこで生まれようとも米国籍を得られるというのが米法曹界の従来からの憲法解釈だ」とやり返しています。
米憲法は、「natural-born citizen」(出生によって米市民権を有する市民)でなければ大統領になれないと定めています。つまり両親のどちらかが米国籍を持っていれば、世界中どこで生まれても米国民になれるという条文です。
08年にはパナマ生まれのジョン・マケイン上院議員が共和党大統領候補に指名されました。このことから見てもクルーズの主張は法的に正しいのですが、「natural-born citizen」の定義を巡って法曹界で異論があることも事実です。
アイオワ州でトップを走るクルーズ氏
—世論調査はいわゆる人気投票であって実際の投票を占う参考材料にはない、という意見も聞かれます。ですが、予備選の幕開けとなるアイオワ州の投票結果はどうなりそうですか。
高濱:アイオワ州の住民を対象にここ1月の間に行われた各種世論調査の平均値ではクルーズ氏が26.7%と、トランプ氏(26.2%)を0.5%差でリードしています。この2人に13%ほど引き離されて、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)が追っています。
4位は元外科医のベン・カーソン博士9.0%。第3陣には、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事、クリス・クリスティ・ニュージャージー州知事、ジョン・カーシク・オハイオ州知事が7%未満で続いています。
ルビオ氏と第3陣の3人のうちブッシュ、クリスティ両氏は、いわゆる「共和党エスタブリッシュメント」(共和党保守本流)がなんとか指名したと考えている「保守中道」です。なかなか浮上しきれずにいます。 (”Iowa Republican Presidential Caucus,” Poll, Real Clear Politics)
—「共和党エスタブリッシュメント」というのはどういった人たちを指すのでしょうか。なぜトランプ氏やクルーズ氏が嫌いなのでしょう。
高濱:共和党という保守政党を実際に動かしてきた政治勢力です。共和党の上下両院の指導層、州知事といった政治家のほかに、共和党を物心両面で支援する財界、経済界の実力者たち、それに保守系メディアの最高幹部らを指します。 (”Who exactly is the ‘Republican establishment’?” The Week Staff, The Week, 3/9/2012)
軍事産業や薬品・保険業界など、共和党の政策を支持し、政治献金をしてきた企業団体もこの中に入ります。銃規制に強く反対する全米ライフル協会も無論この政治勢力に属しています。
オバマケアに反対して21時間以上の議事妨害演説
クルーズ氏はこうした共和党エスタブリッシュメントに反発するティーパーティ(茶会)や宗教保守から支持を得て大統領選に立候補しています。クルーズ氏には売名屋的なところがあります。13年9月の上院での予算審議ではオバマケア(医療保険制度改革)に反対するためにフィリバスター(議事妨害)を行いました。なんと21時間以上にわたって本会議場で演説し、連邦政府機関を閉鎖させる立役者になりました。
せっかく中間選挙で上下両院の過半数を取り、政権担当能力のある野党として国民にアピールしようとしていた共和党執行部は激しく怒りました。共和党エスタブリッシュメントがクルーズを嫌うのも頷けるというものです(関連記事「躍り出た2人のキューバ系!トランプを超えるか」)。
共和党保守本流が憂慮しているのは、万一トランプ氏やクルーズ氏が共和党候補に指名されたら、あまりにも過激なため、とてもではないが秋の本選挙で民主党候補に勝てないと見ているからです。
ですからトランプ氏やクルーズ氏に対して、共和党エスタブリッシュメントから選挙資金はほとんど流れていません。トランプは自腹を切って、クルーズ氏はティーパーティなどから小口のカネを集めることしかできません。ちなみにこれまでブッシュ陣営が使った政治広告費は4900万ドル、ルビオ氏が2560万ドル。それに比べてクルーズ氏は200万ドルにとどまります。 (”Bush, Allies Have Now Spent Nearly $50M in Ads,” Mark Murray, NBC News, 1/5/2016)
—ということは、共和党エスタブリッシュメントは予備選の序盤戦でなんとかトランプ氏やクルーズ氏を脱落させたいのではないでしょうか。何か手を打とうとしているのですか。
保守本流が今「ストップ・ザ・トランプ」に動かない理由
高濱:「ストップ・ザ・トランプ」について言えば、共和党エスタブリッシュメントが今の段階で、表立って動かない理由は3つあります。
一つは今やっても支持率争いで実益がないこと。トランプ氏がこれだけ一般大衆からの人気を得ているときに手を出せば、何をやっても逆効果になる可能性があるとの判断です。
さらには放っておいてもトランプ氏はいずれ自滅すると見ているからだと思います。私の近所に住む共和党員の一人は、「常識ある党員たちはまだ休憩しているか、寝ている段階だよ」と言っています。
でも水面下では色々な動きが出ています。例えば共和党実力者の一人、リンゼイ・グラム上院議員(サウスカロライナ州)は1月16日、ブッシュ支持を打ち出しています。同氏は昨年6月に大統領候補に立候補したものの、12月に辞退しています。ブッシュ支持を表明している上院議員は5人、下院議員は26人います。一方、クルーズ支持には16人ティーパーティ系下院議員が手を挙げています。ただし上院議員はゼロ。トランプ氏にいたっては、上下両院議員はもとより、州知事もひとりとして支持していません。 (”CEO Daily: One contest Trump isn’t winning,” Tory Newmyer, Fortune, 1/16/2016)
「支持率」よりも「好感度」に注目
—党員集会や予備選を占う上で、世論調査の支持率ばかりが取り上げられます。ほかにどんなバロメータ―がありますか。
高濱:今後注目すべきは、「好感度」です。時系列的に見て、この「好感度」が大きく変化している候補を注目すべきだ、という説があります。
保守系の著名なコラムニスト、ジョージ・ウイル氏は、共和党エスタブリッシュメントが推している候補の一人、クリス・クリスティ氏の好感度が変化していると指摘しています。 (”The Des Moines Register/Bloomberg Politics Iowa Poll,” Selzer & Company, 1/7-10/2016)
クリスティ氏の好感度は15年8月の時点では29%(非好感度=嫌いだ=は59%)でしたが、16年1月には51%(非好感度は42%)と飛躍的に伸びています。6回にわたる公開討論会での発言やメディア報道を受けて、嫌いだった人が好きになってきているのです。
トランプ氏の場合は非好感度が8月以降じりじり上がる一方です。非好感度は、15年8月の35%から16年1月の45%に増えています。
ウイル氏はこう指摘しています。「トランプ氏は、メディアがその人柄や言動を取り上げれば取り上げるほど好感度が低下している。それに比べ、クリスティ氏は知られれば知られるほど好かれ始めている。ロングランの予備選では重要な要素になる」。 (”Keep an eye on Chris Christie,” George F. Will, Washington Post, 1/15/2016)
共和党各州知事に貸しを持つ共和党全国知事会会長
クリスティ氏は共和党全国知事会会長を務めていた14年、知事選挙に際して1億ドルの選挙資金を集め、17人の再選と7人の新人当選に大きく貢献しました。このためメリーランド州とメーン州の知事がすでにクリスティ支持を表明しています。こうした知事は今後も増えていきそうです。
さて2月1日にはアイオワ州。そして2月9日にはニューハンプシャー州。20日はサウスカロライナ州、23日はネバダ州。そして3月1日には13州同時に行われる「スーパーチューズデー」と続きます。
共和党エスタブリッシュメントが支持するルビオ氏、ブッシュ氏、クリスティ氏の三人衆のうち誰が、どこから急浮上して、トランプ氏やクルーズ氏の勢いを止めるのか。指名争いの行方がはっきりし出すのは「スーパーチューズデー」あたりからになりそうです。
堀田記事
共和党の大統領候補を目指し遊説するドナルド・トランプ氏(写真:AP/アフロ)
米大統領選の共和党候補に手を挙げるドナルド・トランプ氏が次期大統領になることはあるのか―。
今年11月8日に行われる本選挙で「トランプ大統領」が誕生する可能性がでている。民主党寄りの有権者でさえもトランプ支持に回るのがイマの米国である。いったい何が起きているのか。
大統領選を追う専門家らは過去数カ月、トランプ氏の人気の理由を探ろうと懸命になってきた。というのも、ほとんどの専門家は昨夏から秋にかけて「トランプ人気はいずれ落ちる」と予想していたが外れたからである。
恥ずかしながら筆者もその1人。昨年9月末まで、トランプ氏は年明けまでもたないと読んでいた。過去の大統領選を振り返ると、暴言を1度口にしただけで消えていった候補が何人もいたからだ。
ところがトランプ氏は不法移民やイスラム教徒に対する差別的発言を繰り返しても、その支持率が落ちなかった。というより、逆に、暴言や失言を前に進むエネルギーに変えてしまうほどの勢いがある。
民主党支持者の支持も集め始めた
連邦議会の動向を主に報じる新聞「ロール・コール」の記者ジョナサン・アレン氏は、トランプ支持者は今も増えていると米テレビ番組の中で述べている。「トランプ氏の支持率はいずれ落ちると、いまだに考えている人がいます。その一方で、民主党員の中にもトランプ氏に魅了される人が増えてきています」。
共和党内で人気が高いことは、過去半年ほどの世論調査を眺めればわかる。だが民主党支持者がトランプ支持に回っている現象は、トランプ人気が「一過性」のものではなく「着実」という言葉で表現できるまでになっていることを意味する。
首都ワシントンにあるマーキュリー・アナリティクスが行った最新世論調査で、民主党支持者の20%が「間違いなくトランプ氏に投票する」と答えたのだ。しかも予備選の幕を切る最初の2州(アイオワとニューハンプシャーの両州)で1月4日から放映し始めたトランプ氏の30秒のテレビ広告に対して、民主党支持者の25%が「完全に賛同します」と答えてさえいる。この広告は、イスラム国(IS)を殲滅し、メキシコ国境に壁を建設するという内容だ。
同社のロン・ハワードCEO(最高経営責任者)は現状を次のように分析する。「(昨年6月に)トランプ氏が出馬した直後、民主党や無党派の有権者は彼の主張に無関心でした。しかし今は違う。問題を解決する能力、誰からも影で操られない存在、成功し続けたビジネスマンという実績が、彼の傲慢な性格や暴言も帳消しにするだけの魅力になっているのです」。
カネにしばられない
トランプ氏が躍進している理由はいくつか考えられる。 (1)利益団体から選挙資金を受け取らない。ロビイストや企業・団体などから一切選挙資金を受け取っていない。カネにからんだ政治的影響を、誰からも受けない点が好感度を高めている。 (2)ビジネスマンとして数々の成功を収めた。4度の破産を経験しながらも、個人資産約1兆円を築いた実績が買われている。 (3)既存の政治家とは異なり、本音を語る。遊説先では10歳児にも理解できる英語表現を使って、思いの丈をのべている。 (4)行動力への期待。中東和平も「私に半年くれればまとめられる」と豪語する。数々の交渉をまとめてきた人物だけに、有権者の期待は高まる。
上記の理由は、トランプ氏の言動を追っている米有権者であれば肌感覚で察知していることかもしれない。
特に1番目の理由は多くの有権者が納得させられる点である。多額の選挙資金をだしてくれる人物や特定の産業との関係を断った候補は過去にほとんどいなかった。
当選したのち、大統領は一般市民ではなく多額の献金者の要請に耳を傾けがちだ。そうした流れを最初から断ち切った点が、共和党支持者だけでなく民主党支持者からも支持を集める理由になっている。
ビジネスの実績は党派にかかわらず評価
2番目の、成功したビジネスマンという点も所属政党に関係なく、多くの有権者から支持を得る理由である。
ビジネスの分野ではあるが、類い希な実績を残してきたのは事実で、多くの有権者は言葉だけの政治家よりよほど頼りになるとの思いを抱く。近年、連邦議会の信頼度は各種世論調査で15%前後と低迷しており、既存の政治家への不信感が強い。それだけに、政治家でないトランプ氏への期待が増している。
3番目の本音を語る遊説スタイルも、これまでの大統領候補とは違う。誰にでも分かる平易な英語で、多くの人が公言してこなかった本音を口にしている。
よく理解できる内容をストレートに述べることで、「トランプ氏はこれまで選挙にあまり足を運ばなかった有権者を開拓している」(共和党の戦略家リック・ホヒット氏)。
4番目の行動力への期待も大きい。政治家が公約を守らないことは多い。しかし、トランプ氏であれば実現できるかもしれないとの期待感が高まる。
同氏は中東和平を実現するだけでなく、イスラム国に対して徹底した軍事攻撃を加えるとの公約を繰り返し述べている。これが、自信過剰気味の言動や多くの失言があったとしても、トランプ氏ならばやってくれると有権者の心理に訴えている。
ギターを持たずにホールをいっぱいにする
遊説先に多くの人が押し寄せるのは、こうした期待感の表れだ。出馬した当初、トランプ氏は遊説の場所としてホテルの大部屋を借りた。200~300人が収容できるサイズだ。しかしすぐに収容不可能になり、スタジアムを借りるまでになった。
2015年8月にアラバマ州モービル市で行った遊説では、アメリカン・フットボールのスタジアムを借り切った。集まった聴衆は約3万5000人。他州でもコンサートホールなど大きな会場を満席にする。「ギターを持たずにホールをいっぱいにできるのはトランプ氏だけ」と言われるほどだ。
どこに行っても会場に入りきれないほど人が集まる。大統領候補の遊説先というのは、これまで公民館や学校の体育館を借りるのが普通だった。
筆者が大統領選の取材をし始めた1992年、ビル・クリントン候補(当時)の予備選の遊説に集まった聴衆はせいぜい500人。オバマ候補の時でさえ数千人規模だった。ひと目みたいからとの理由で遊説先に足を運ぶ有権者もいるだろう。しかし、ほとんどの聴衆はトランプ氏の賛同者と見られる。
レーガンに民主党支持者が投票した
昨年12月にアイオワ州のネオラで演説をした時、トランプ氏は言った。「私はビジネスマンとしてこれまで、かなり貪欲に金儲けをしてきました。でもこれからはアメリカ合衆国のために貪欲に生きたいと思います」。愛国心をくすぐるこの言葉に、聴衆から大きな歓声があがった。ただ、排他的な発言を繰り返すトランプ氏に対し、共和党内から「党を破壊する」(ランド・ポール上院議員)との声もでている。同氏を大統領にすると、「米国の威信」に傷がつくと考えている有権者は少なからずいる。
しかしケーブルニュース局MSNBCのクリス・マシュー氏は「80年代、レーガン候補(共和党)に投票した民主党員が大勢いたように、今回もトランプ氏に一票を入れる民主党員がいる」と読み、トランプ氏有利とみる。
トランプ氏が示す行動力のある政治スタイルが党を越えて支持され、「トランプ大統領」誕生という流れになるのか。世界中が注目している。
1/20日経ビジネスオンライン 趙章恩『台湾出身の16歳韓流アイドルが求められた「中国」』、1/22北村豊『16歳美少女「国旗事件」が民進党圧勝に貢献
趙章恩女史のプロフィールを見ますと
「ITジャーナリスト/KDDI総研特別研究員/東京大学学際情報学府博士課程
研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ、小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学社会情報学修士号取得後、東京大学学際情報学府博士課程進学。
日本経済新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」、日経デジタルヘルスオンライン「韓国スマートヘルスケア最前線」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。
著書に「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)などがある。」とあります。
彼女に「慰安婦」についてどう考えているのか聞いてみたい。東京で育ったようですから韓国の偏向教育・報道の影響は少ないのではと思いますが。特に、朝日新聞の誤報・謝罪と韓国の対応についてどう考えているのか。呉善花拓大教授のように韓国社会からバッシングを受けても真理の追究をするのかどうか。そうでなければ東大(韓国から見た敵国の最高学府)で学ぶ意味はないのでは。真実をネグるのであれば学問する意味はないでしょう。金慶珠東海大准教授のように何を学生に教えているのか分からないような人は百害あって一利なしです。帰国して貰った方が良い。
韓国メデイアは「政治にツウィを利用しようとする台湾の蔡氏」と非難していますが、筋違いと言うもの。蔡次期総統は「金の力で16歳の女の子に圧力をかける中国のやり方が正当かどうか」を言っただけです。慰安婦であれだけ騒ぎ、女性の人権尊重を言うのであれば中国に対し断固として人権侵害と抗議すべきでしょう。結局日本のマスコミ同様腐っているという事です。言い易い所しか叩きません。今の世界で一番横暴なことをしているのは中国ではありませんか?他国の内政干渉はできないというのであれば、日本のことをとやかく言うなと言いたい。
趙章恩女史も「帝国の慰安婦」を書いた朴裕河世宗大教授のようになってほしいと願っています。どんなに政治的・社会的圧力があっても、学者はガリレイのように「それでも地球は回っている」(言っていないという説もありますが)と言えるのが学者としての良心でしょう。
趙記事
韓国の新聞は1月18日、台湾出身の韓流アイドル「ツウィ(本名:周子瑜)」が起こした旗騒動が台湾の総統選挙に大きな影響を与えたと一斉に報じた。台湾出身で、韓国と中国で活躍する女性アイドルが、テレビ番組の収録中に台湾の旗を持っていた。その行為が中国、韓国、台湾を巻き込む大問題に発展している。
ツウィは、新人韓流アイドルグループ「TWICE」のメンバーで、現在16歳。TWICE は、韓国の大手芸能プロダクションJYPが、中国市場で売り出すべく2015年秋に企画したユニットだ。
韓国の地上波放送MBCが2015年11月に放映した番組「マイリトルテレビジョン」の収録前、番組スタッフが演出のため出演者らにそれぞれの出身国・地域の旗を手渡した。ツウィは台湾の旗を手にしていた。
韓国では、ツウィは台湾出身だから台湾の旗を手に取るのが当たり前だと思われ、何事もなく番組は放映された。マイリトルテレビジョンは、インターネットで先行して放送。これを録画・編集した番組を2週間後にテレビで放送している。編集の過程で、ツウィが台湾の旗を手に持っている場面はカットされ、テレビには映らなかった。この編集は旗を問題にしたからではなく、単に放送時間を短くするためのものだった。
ところが2016年1月8日、台湾が中国から独立することに反対する台湾の芸能人や中国のネットユーザーがインターネット上での放送に目を留めた。ツウィが台湾の旗を手に持つ場面をキャプチャーした画像に、「台湾の独立を支持するなら中国で活動するな」といった内容の文字が書きこまれたものがSNS経由で拡散した。そして、16歳のアイドルに「台湾の独立を支持する政治活動家」というレッテルが貼られることになってしまった。
中国のネットユーザーは反発。TWICEはもちろん、JYPに所属する他のアイドルも中国での活動をやめるべきだと主張するようになった。韓国の芸能界にとって中国は莫大な額のギャラを払ってくれる大事な市場である。
誤った発言と行動をお詫び
JYPは1月15日、自社のホームページや中国語のSNSに、ツウィが謝罪する動画を掲載した。ツウィは一人でカメラの前に立ち、「中国人として海外で活動しながら、誤った発言と行動を取り、会社と両岸(中国と台湾)のネットユーザーを傷つけてしまいました。申し訳ありません」「中国での活動を中断して反省します」「中国は一つ」「私は中国人であることを誇りに思います」などと謝罪の言葉を述べた。
JYPの代表であるパク・ジンヨン氏も同日、「傷ついた中国のファンの皆さんに心から謝罪する」という内容の謝罪文を発表した。 「(台湾の旗を手にすることが)どれほど深刻なことなのか社内で誰も理解していなかった。申し訳ない」 「ツウィは13歳の時、親元を離れて韓国に来た。親代わりである私がよく教えるべきだった」 「韓国と中国の友好関係と両国の文化交流に寄与するため努力する。ツウィは反省している」 「この事件によって影響を与えてしまったパートナー会社との関係を上手く解決していきたい」。 などなど、中国ファンの機嫌を損ねないよう精いっぱい謝罪の言葉を書いた。
蔡英文が勝利会見で取り上げる
この謝罪動画と謝罪文が、今度は韓国のネットユーザーに火をつけた。なぜ16歳の少女が台湾の旗を手にしたぐらいで謝罪しなければならないのか、彼女は反省する必要があるのか、JYPはなぜここまで中国に低姿勢なのか、などとJYPを非難した。ツウィは韓国のアイドルなのになぜ韓国人はツウィを守ってあげないのか、という意見もあった。
この過程でJYPのホームページはハッカーからDDoS攻撃を受けてダウン。1月18日になってもホームページにアクセスできない状態が続いている。
朝鮮日報や韓国日報、聯合ニュースなどによると、台湾・民進党の蔡英文主席は総統への当選が確実となった直後の記者会見で、ツウィについてふれた。 「この2日間、あるニュースが台湾社会を揺るがした。韓国で活動する16歳の台湾出身の女性芸能人が、中華民国の国旗を持ったせいで抑圧された。この事件は党派を超越して台湾人民の公憤を呼び起こした」 「この事件は私に、国家を強くし、外部に対して一致団結させるのが次期中華民国総統の最も重要な責務であるということを悟らせた」 「国家の国民が国旗を手にするのは誰もが尊重すべき正当な権利である」 「(中国の)抑圧は両岸の安定した関係を破壊する」
ツウィが出演する広告を“自粛”
複数の韓国メディアは18日、次のように報道した。 「『ツウィがあまりにも不憫。台湾人のアイデンティティとプライドを傷つけられた』として中国に反感を持つ若者が増え、台湾の独立を支持する民進党への票が増えた。このため蔡氏は当選した」 「世論調査の結果、ツウィの謝罪動画を観て民進党に投票した台湾の若者は134万人以上、得票率が2%ほど上がった」
韓国の通信キャリアであるLGU+は、ツウィが出演するオンライン広告の放映を中断した。LGU+は、中国で問題になっているアイドルを、同社が販売する中国メーカー製スマートフォンの広告には起用できないと判断し、一時中断すると発表した。この広告は華為技術(ファーウェイ)製のスマートフォン「Y6」を対象にしていた。ツウィを起用したことがある化粧品会社も、「ツウィは弊社の公式モデルではない」と中国のSNSに発表し、中国ネットユーザーの攻撃を回避しようとした。
ツウィに謝罪させたのは人権侵害
一部の韓国メディアは一連の騒動を批判した。「ツウィの何気ない行動を政治問題にまで飛躍させた中国のネットユーザーも、自分の知名度を上げようとSNSでツウィを攻撃した台湾の芸能人も、政治にツウィを利用しようとする台湾の蔡氏も、ビジネスばかり考えすぐ中国に謝罪した韓国の芸能プロダクションも問題があるのではないか。ツウィを盾にして後ろに隠れたMBCの番組スタッフを批判する声も大きくなっている。もっと懸命に対処できないものか」。
韓国の芸能プロダクションは韓流をアジアに広めるため、「現地化」という名目で中国や東南アジア出身の少年少女をスカウトして韓国でトレーニングし、韓流アイドルとしてデビューさせている。しかし韓国の芸能プロダクションは今まで、アジアでアイドルを売り込むことばかり考えていた。歴史や伝統文化を学び、その上でコンテンツを制作し、マーケティングすることを疎かにしていた。これはツウィではなく、韓国の番組制作スタッフや芸能プロダクションが無知を反省すべき騒動であった。
韓国内の外国人労働者や国際結婚で韓国にやってきた外国人女性を支援する韓国多文化センターは1月18日、「16歳の少女に謝罪を強制したことは、人権侵害に当たる」としてJYP社とパク代表を国家人権委員会に提訴する方針であると発表した。同センターは、ツウィの騒動をきっかけに、韓国で働く未成年外国人アイドルの労働環境について調べるよう検察に要求するという。JYP社は、謝罪はツウィの両親と相談した上で行われたことだったと釈明している。ツウィは韓国内での芸能活動は続けている。
北村記事
1月16日に投開票が行われた台湾の“総統・副総統”並びに“立法委員(国会議員)”のダブル選挙では、野党の“民主進歩党”(略称:民進党)が与党の“中国国民党”(略称:国民党)を圧倒して勝利した。
投票への熱意は薄れた?
総統選挙は、有権者数1878万2991人に対して投票者数1244万8302人で、投票率は66.27%で史上最低であった。総統選挙の投票率は、第1回(1996年):76.04%、第2回(2000年):82.69%、第3回(2004年):80.28%、第4回(2008年):76.33%、第5回(2012年):74.83%と推移して来た。第6回となる今回の投票率は前回の第5回よりも8.5%も下がったが、投票率は2000年以来回を重ねる毎に低下しているのが実情である。今回投票率が大きく下がった背景には、国民党の現職、“馬英九”総統による失政や中国への接近姿勢が国民党に対する国民の強い反発を呼び、民進党の圧倒的な優勢が早くから予想されていたことから、投票への熱意が薄れていたことも影響したかもしれない。
今回の総統・副総統選挙では、民進党候補の“蔡英文”・“陳建仁”(得票数:689万4744票、得票率:56.12%)が、国民党候補の“朱立倫”・“王如玄”(得票数:381万3365票、得票率:31.04%)、“親民党”候補の“宋楚瑜”・“徐欣塋”(得票数:157万6861票、得票率:12.83%)に大差で勝利した。国民党候補と親民党候補の得票を合算しても539万票余りで、民進党候補の689万票余りとは150万票もの差があり、蔡英文・陳建仁の圧勝であった。
また、立法委員選挙でも、民進党の躍進は目覚ましく、前回(2012年)の議席40を28議席増やして68議席とした。これに対して国民党は前回64議席を29議席減らして35議席に転落した。中国とのサービス貿易協定反対に端を発した“太陽花学運(学生ひまわり運動)”から派生した新党の“時代力量(時代の力)”は5議席を獲得、親民党は前回同様に3議席に留まった。党派別の得票率は、民進党:45%、国民党:39%、時代力量:3%、親民党:1%であり、民進党と国民党の差はわずか6%であったが、国民党は地方区で大敗したために、議席を大幅に減らしたのだった。<注1>
<注1>立法委員選挙は地方区と比例区に別れているが、比例区の議席は党派別の得票率で配分される。今回の議席配分は、民進党:18議席、国民党:11議席、時代力量:2議席、親民党:3議席であった。
さて、選挙前日の1月15日の夜、韓国の芸能事務所「JYPエンターテインメント」(以下「JYP」)が、同事務所所属の女性アイドルグループ「Twice」のメンバーである台湾出身の“周子瑜(チョウ・ツウィ)”の動画をYouTubeに配信した。Twiceは2015年5月に開始されたオーディション番組を通じて、同年7月に選出された9人で編成された女性アイドルグループで、韓国人5人、日本人3人(モモ、サナ、ミナ)と台湾出身の周子瑜(芸名:ツウィ<Tzuyu>)で構成されている。
周子瑜は1999年6月14日生まれの16歳、出身は台湾の“台南市”。彼女は13歳で故郷の台南市を離れて韓国へ渡り、タレント養成所で学んだ後に、16歳でTwiceの最年少メンバーとして選抜されたのだった。また、周子瑜は米国の映画情報サイト「TC Candler」が発表した「2015世界で最も美しい顔100人」の第13位にランクされている。ちなみに、これにランクされている日本人は4人(石原さとみ、桐谷美玲、島崎遥香、佐々木希)で、その最高は第19位の石原さとみである。
「台湾独立支持者は閉め出せ」
ところで、Twiceは結成された2015年7月から芸能活動を開始した。そうした活動の中で、あるテレビ局のバラエティ番組に出演した際に、周子瑜は自分が台湾出身であることを示す“中華民国”の国旗である“青天白日満地紅旗”と韓国の“大韓民国旗”の2本の小旗を手にして、小さく振りながら歌ったことがあった。当然ながら、その時、他のメンバーも大韓民国旗と日本国旗の小旗をそれぞれ手にしていたはずだが、この青天白日満地紅旗がいけなかった。
2016年1月8日、台湾出身ながら現在は中国大陸で活躍する男性歌手“黄安”がインターネットの“微博(マイクロブログ)”に「テレビ番組の中で台湾の青天白日満地紅旗を打ち振る周子瑜は台湾独立支持者だ」と告発した。この告発を見た中国のネットユーザーたちは、台湾独立支持者はけしからんとして、そんな周子瑜がメンバーとなっているTwiceには中国で芸能活動をさせるなとか、Twiceを中国から閉め出せと騒ぎだしたのだった。
こうした中国のネットユーザーの動きに慌てたのがJYPだった。大事な顧客である中国からTwiceが締め出されるようなことになれば、稼ぎが大幅に減る。それにはどうすればよいのか。Twiceのメンバーに出身国の国旗を持たせることは、恐らくJYPが考えたものだろうが、そんなことは構っていられなかった。そこで、わずか16歳の周子瑜に「言うことを聞かないならTwiceを辞めてもらうしかない」と因果を含ませて、周子瑜の動画を撮影したのだろう。
事前の説明が長くなったが、その動画とはどのような内容なのか。画面には無造作にまとめた髪を左側に垂らし、黒色の丸首セーターを着た周子瑜の上半身が灰色の壁を背景に映し出される。周子瑜の表情は硬く、心労からかやつれ、美しいその顔は曇って見える。周子瑜はやおら口を開く。「皆さん、今日は。私は皆さんにお話しがあります」。こう言うと、周子瑜は正面のカメラに向かって深く頭を下げて一礼した。頭を上げた周子瑜は1枚の原稿を取り出すと、中国語で次のように読み上げたのだった。
タレントと社長が謝罪
「皆さん、今日は。私は周子瑜です。すみませんでした。もっと早く謝らねばならなかったのですが、現在の状況にどう対処すればよいか分からず、今まで皆さんに直接対面する勇気がありませんでしたので、今になってしまいました。中国はただ1つであり、“海峡両岸(台湾海峡の両側)”は一体です。私は終始自分が1人の中国人であることに誇りを感じています。私は1人の中国人として国外で活動しているのに、私の言行上の過失により、会社ならびに“両岸(中国と台湾)”のネットユーザーの感情を傷つけてしまったことを、非常に申し訳なく思うと同時にとても恥じ入っています。私は当面中国における全ての活動を停止することを決定しました。真摯に反省します。改めて皆さんにお詫びします。ごめんなさい。」
こう述べると周子瑜は再び頭を垂れてお辞儀をした。頭を上げた彼女はぐっと口元を引き締めていたが、そこには無念さがにじみ出ていたように思えたのは、筆者の思い込みか。
これに続いて、JYP社長の“J.Y.Park(朴軫永)”が同社のミニブログに次のような中国語の文章を発表した。
「皆さん、今日は。私はJ.Y.Parkです。
先ず初めに、中国の友人たちを傷つけてしまったことに対して衷心よりお詫び致します。同時に、我が社の社員、ツウィ(周子瑜)および私自身が何も考えずに今回の事件を起こしてしまったことに対して重く、深く後悔しています。このことに対して私は再度深くお詫びいたします。
今回の事件を通じて、私は1つの国家と協力するにはその国家の主権、文化、歴史および国民感情を尊重しなければならないことを深く体得しました。これら全ては我が社および我が社所属の芸人に非常に大きな教訓を与えました。今後、私たちはこの種の事件を決して発生させないことを固く誓います。
私は改めて私、我が社および所属の芸人を一貫して支援いただいている中国のファンの皆さまに衷心からのお詫びを申し上げます。私たちは皆さまを失望させ、皆さまの心を傷つけました。皆さまを傷つけたことを挽回し、皆さまの支持に報いるため、我々が努力を続け、中韓の友好と両国間の文化交流に貢献する所存です。
過去数日間、ツウィ自身も感じるところ多く、同時に反省しています。彼女は13歳で故郷を離れて韓国へ来ました。私および我々の会社がツウィの両親に代わって彼女を育成することができなかったことは、私と会社の大きな誤りでした。我々はツウィの中国での活動を当面停止し、今回の事件で影響を受けた全ての関係者と今後の事を適切に処理いたします。」
上記から分かることは、JYPが事件の責任を全て周子瑜に押し付け、彼女を犠牲にすることで事件を引き起こした責任を免れようとしていることである。台湾と中国の複雑な関係に思いを至らせることなく、何も考えずに、周子瑜に青天白日満地紅旗を持たせたのは、他ならぬJYPのスタッフだったはずだが、厚顔にも周子瑜の教育を怠ったことに原因があったと述べるに至っては、開いた口が塞がらない。
飛行機でバイクで高速鉄道で急遽、投票へ
さて、周子瑜の動画を知って怒ったのは台湾の人々であった。韓国のテレビ番組で台湾出身の周子瑜が祖国である中華民国の青天白日満地紅旗を手にすることが、どうしていけないことなのか。番組で周子瑜に青天白日満地紅旗を持たせたのはJYPのスタッフであるはずなのに、わずか16歳の周子瑜に全ての責任を負わせ、「中国はただ1つ」と言わしめた謝罪動画をYouTubeで配信するとは、周子瑜がかわいそうなだけでなく、台湾および台湾人を侮蔑した行為であると考えたのである。これは台湾の人々のナショナリズムを強く刺激した。
本来ならば16日のダブル選挙には行かない積りだった人々が、周子瑜の動画を知って勇んで投票所へ駆けつけたのだった。彼らは誰もが中国と一線を画する民進党に投票した。
日本に留学中のある学生は、動画を知ると早朝5時50分発の飛行機に飛び乗り“台北市”へ戻って投票を行ったという。また、台北市内に住む若者は、動画を見ると即座にオートバイで南部の実家へ向かい、本来予定していなかった投票を行った。台北市内の某氏は動画を知ると、投票するために実家のある“金門県”<注2>へ帰ろうとしたが、台北市からの飛行機チケットが取れなかったので、高速鉄道で南部の“高雄市”へ移動し、高雄市から飛行機で金門県へ帰り投票を行った。
<注2>中国福建省“厦門(アモイ)市”の対岸に所在し、台湾が管轄する金門島。台湾の行政区分では福建省金門県。
これらは代表的な例に過ぎない。周子瑜の動画に関するニュースを知って、当初は投票を予定していなかったにもかかわらず、急きょ投票に出向いた人たちが、台湾全土にどれほどいたのかは分からない。しかし、それが民進党の勝利に大きく貢献したことは否めない事実のようである。
中国官営メディア「人民日報」海外版に属する“微信(ウィーチャット)”の「“侠客島”」は、1月17日付の「ネットユーザーが周子瑜を討伐するのは、ポピュリズムの狂喜」と題する文章を発信した。同文章は中国で初めて中国メディアが台湾芸人の周子瑜事件に絡み彼女の活動を禁止する措置を取ったことを認めたのである。すなわち、歌手の黄安が周子瑜を台湾独立支持者だと告発したのを受けて、中国メディアは一斉に反応した。周子瑜が出演した北京衛星テレビと安徽衛星テレビの番組は周子瑜の名前を削除したし、“華為(ファーウェイ)”ブランドの携帯電話を販売する韓国の代理店は、周子瑜とのCM契約を解除したのだった。また、同文章は同時に、周子瑜事件が発酵して大きなものとなった結果、多くの“神転折(奇跡的な転換)”が生じ、誇張なしで、民進党に50万票の増大をもたらしたと述べたのである。
「50万票」の意味
1月17日付で“米国之音(Voice of America中国語)”が報じたところによれば、ニューヨーク台湾商業会議所の会長“李金標”は、台湾のダブル選挙で民進党が圧勝したことについてインタビューを受けて、周子瑜事件は民進党に50~100万票をもたらしたと述べた。李金標は、「中華民国の国旗を持てば、誰でも台湾独立支持者になるのか。周子瑜に対する謝罪の強要が、ネットを通じた投票の呼びかけを生み、台湾の若者たちの大量動員につながった。その根底にあるのは、反感である」と述べた。
一方、1月17日付の中国メディアは、周子瑜事件はいずれかの政治勢力の挑発によるものであると論じ、周子瑜は「罪のない少女」であると報じた。また、国営テレビ“中央電視台(中央テレビ)”は周子瑜を含むTwiceの出演番組を放映した。Twiceの中国での活動が早々に解禁となったのは、JYPの戦略が功を奏したと言えるのだろうが、JYPが周子瑜の心に残した傷は深い。
上述した周子瑜事件がダブル選挙において民進党の圧倒的勝利に大きく貢献したことは間違いのない事実であろう。但し、周子瑜事件が民進党にもたらしたという50~100万票を差し引いたとしても、民進党の得票数は国民党の得票数を大きく上回っていた。それほどに、台湾の有権者は過去4年間の馬英久総統および国民党による執政に大きな不満を感じていたのだ。周子瑜事件からも分かるように、次期総統となった蔡英文女史にとって対中関係の舵取りは極めて困難なものとなることが予想されるが、民主選挙で民意により圧倒的勝利を収めたことが、蔡英文総統にとって大きな心の支えとなることは間違いない。
1/17朝日新聞デジタル『日米にも「ドアは開き続けている」 AIIB総裁が会見』と1/18ZAKZAK 田村秀男『AIIBに参加すれば中国リスクに取り込まれる 韓国には「奉加帳」が回ってきた…』について
中国が如何に経済的に苦境にあるかを表す記事です。韓国も中国の尻馬に乗ったツケが回ってきたという事です。事大主義の国、蝙蝠人間ですから、米中共に信頼されないでしょう。愚かですからそこまで気が付きません。日本は中韓とは『非中韓三原則』を貫いた方が良いです。
金立群は安倍首相の「対話のドアは常に開いている」をもじってAIIBに日米が入ってほしいと訴えましたが、会計処理が不透明な銀行に出資するのは愚かの極みです。中国企業は財務諸表を3通りも作る国です。賄賂も当たり前。
いよいよ人民元の暴落が秒読みになって来たという所でしょう。FRBの利上げがあれば、キャピタルフライトが起きるでしょう。米国の覇権に中国は軍事・経済面で挑戦してきている訳ですから、米国は戦争をしないで相手を潰すことを考えるでしょう。中国の外貨準備高は「昨年末約3・3兆ドルだが、対外負債約4・4兆ドル」と記事にはあります。人民元が暴落すれば対外負債の人民元換算は増えることになります。
朝日記事
就任後初の記者会見に臨む金立群・アジアインフラ投資銀行(AIIB)初代総裁=北京市内
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群・初代総裁が17日、北京市内で就任後初めて記者会見した。透明性や開放性、独立性といった点で「最高基準の機関にする」と強調。「中国主導」の色が強くなりすぎることを避け、新銀行に距離を置く日米などにも参加を促す考えだ。 金氏は前日に始まったAIIBの設立総会で総裁に選ばれたばかり。「無駄がなく(lean)、清潔(clean)で、環境に優しい(green)」を掲げ、「実行力を伴う21世紀型の国際開発銀行にする」と語った。官僚的な組織の非効率さなどを指摘される既存の国際機関の欠点を乗り越えることで、存在感を発揮したい考えだ。 AIIBには日米などが参加を見送っている。金氏は「ドアは開き続けている」として、引き続き、参加を歓迎する考えを示した。国籍を問わず専門家をネットで公募し、「その採用責任者も中国籍ではない」と、開かれた機関であることをアピールした。
ZAKZAK記事
日米不参加のままアジアインフラ投資銀行(AIIB)が開業した。日本では昨年前半、朝日新聞や日経新聞などメディアの多くが「バスに乗り遅れるな」とばかりに参加論の大合唱だったが、今では静まり返っている。バスに乗ると中国リスクに取り込まれることが、明らかなのだ。 好例が韓国である。中国市場シェアほしさのあまり、米国の反対を押し切って参加したのだが、中国のバブル崩壊と安値輸出攻勢のあおりで韓国産業が痛んでいるばかりではない。AIIBは当面、15億ドル以上の融資を計画しているが、原資が要る。アジア開発銀行のように、債券を国際市場で発行するのだが、米国の債券格付け機関はジャンク(くず)債並みの信用度しか認めないので、北京のメンツ丸つぶれである。そこで、AIIBは縁故債引き受けを韓国に要請している。 AIIB出資比率ではインド、ロシア、ドイツが韓国を上回るし、欧州最大の国際金融センターを持つ英国もメンバーだ。だが、各国はプロジェクトこそ欲しいものの、返済リスクの大きい融資に応じるのは、割に合わないから、拒否しているのだろう。 AIIB最筆頭株主の中国はどうか。事実、金立群AIIB総裁は以前に、「中国国内で200億~300億ドルを低金利で調達できる」と断言した。ならば、韓国に「奉加帳」を回さなくてもよい。韓国は外貨準備に不安を抱え、日韓通貨スワップ協定の復活を水面下で働き掛けている。 実は中国自体、それどころではない。人民元安とともに巨額の資金流出が加速している。外準は昨年末約3・3兆ドルだが、対外負債約4・4兆ドルを下回り、中国から外資が一斉に引き揚げると底を突く。
残る手段は人民元の活用だが、株式など金融市場はがんじがらめに規制され、公安当局が情報統制するので、中国人ですら元建ての資金や資産に投資したがらない。最後の一手は、習近平指導部による強権の対外発動だ。東南アジア各国などに元建て融資を受け入れさせ、中国企業がインフラを受注する。その結果、起きるのは乱開発と環境破壊だ。アジアは元経済圏に組み込まれ、対中依存が強まり、外交・安全保障上でも立場が弱体化する。
欠陥だらけのバスは党の強権で何とか始動しても、必ず暴走する。制止に向け日本は米国と結束すべきだ。







