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『逆立ちしても国後・択捉は帰ってこない歴史的背景 日露首脳会談総括~神話の崩壊で両国関係は新しいステージに』(12/28JBプレス 杉浦敏広)について

売国奴の丹羽宇一郎率いる伊藤忠にしては(佐々淳行によれば瀬島龍三はソ連のスパイだったとのこと。ずっと、売国奴に牛耳られている会社です)、杉浦氏はまともと言うか、直言居士を思わせます。それでも伊藤忠を辞めたのは、利益追求優先で、国益を考慮に入れない売国体質が合わなかったからかもしれません。古森義久氏が毎日を辞め、伊藤正氏が共同通信を辞め、田村秀男氏が日経を辞めて産経に移ったのは、自分の考えていることを記事にしたくてもそれぞれの社風が許さなかったという所でしょう。産経の阿比留瑠比氏によれば「産経の給与は他紙と比べて低いうえに経費もなかなか出ない」とのこと。こういう新聞社に移ったのは、金よりは自分の矜持を大切にしたからと思います。杉浦氏もそうでしょう。

12/30日経で安倍内閣の支持率調査で、「内閣支持率64%に上昇 真珠湾慰霊「評価」84%」とあり、その中で、日ロ共同経済活動についてもアンケート結果が載せられていました。

<日ロ共同経済活動、「賛成」は57% 

安倍晋三首相は15、16両日のロシアのプーチン大統領との会談で、北方四島での共同経済活動の協議開始で合意した。これについて聞いたところ、賛成は57%で反対の24%を上回った。賛成と答えた人の割合は男性が63%で、女性の48%より多い。

今回の日ロ首脳会談を「評価する」は44%、「評価しない」は38%だった。

北方領土問題の進展を期待するか聞いたところ、「期待する」は57%、「期待しない」は35%だった。期待すると答えた人は、30代は67%、40代で66%と高い一方、70歳以上は47%にとどまった。高齢者ほど交渉の行方を慎重にみている。>(以上)

「期待する」と答えた人も4島全部が返ってくると思っている人は少ないと思います。アンケートの質問項目によって答え方は変わります。小生も杉浦氏の言うように二島返還が限界と思います。ただ、日本政府が主張してきたことに論拠がないというのは知りませんでしたが。国際間の契約は原文(正文)が優先されるのは、国家間・企業間でも同じです。軍事膨張主義の中国包囲網形成の為には、地政学的にロシアの協力が必要です。

また、同じく12/30日経には核融合の記事が載っていました。

<「地上の太陽」 35年に本格稼働 国際熱核融合炉の新計画 安全・無限…新エネへ前進 

太陽と同じ「核融合」と呼ばれる反応を地上で再現し、エネルギーを取り出す国際的な大型実験施設の建設が、軌道に乗り始めた。国際熱核融合実験炉(ITER)計画と呼ばれ、総投資額は約200億ユーロ(約2兆4000億円)。11月には2035年の本格稼働を目指す新計画がまとまった。技術的な課題も多いが、将来のエネルギー供給の切り札になる可能性を秘める。

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ほぼ完成した組み立て棟

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調整作業が始まっている電磁石用コイルの製作棟

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ITER計画には日本、米国、欧州連合(EU)、中国、韓国、ロシア、インドが参加。オーストラリアも協力する。管理運営を担うITER機構本部と、実際に核融合の実験を進めるための中核施設は南仏プロバンス地方のサンポール・レ・デュランス(カダラッシュ)にある。

核融合には原子番号が同じ水素だが、普通の水素とは違い原子核に中性子を持つ重水素と三重水素を使う。約1億5000万度の高温にすると、重水素などの原子はプラスの電気をもつ原子核とマイナスの電子に分かれ、高速で飛び交うプラズマと呼ばれる状態になる。原子核は秒速1000キロメートル以上のスピードで激しくぶつかり合い、融合する。このときに発生する大きなエネルギーを熱として発電などに有効利用するのが目標だ。

原料、海水から

出力100万キロワットの石炭火力発電所は燃料として年間270万トンの石炭が必要だが、ITER機構によると同等の出力の核融合炉なら重水素、三重水素合わせて250キログラムしかいらない。原料の重水素や、三重水素を作るのに必要なリチウムは海水中に無尽蔵にある。

また原子力発電の「核分裂」と異なり、長期間、有害な放射線を出し続ける放射性廃棄物を出さない。中性子のエネルギーの大部分は熱に変換され、安全性は確保しやすいという。

一方で課題も多い。高温プラズマを強力な磁石を使って閉じ込め、制御しなければならないが、出力を上げようとすれば制御は難しくなる。磁石は巨大な超電導コイルに電流を流す電磁石を使うため、それ自体に多くのエネルギーを消費する。緻密な工学設計、プラズマ技術、そして巨額投資が必要だ。

費用総額200億ユーロ

ITER計画は当初の見通しが甘く、参加国が資金の代わりに実験炉に必要な設備を作って「物納」するスケジュールなども明確でなかった。作業の詳細が徐々に固まり、各国との情報交換も進んだため「ようやくきちんとコストの見積もりを出せるようになった」(ITER機構長のベルナール・ビゴさん)。

今年11月のITER理事会は、建設費は07年の機構発足から25年までが約69億ユーロ、26~35年は約46億ユーロとした。参加国が物納する部分の費用と、25年末以降の実験費用を加えると35年までに総額約200億ユーロに達し、当初計画を50億ユーロほど上回る見通しだ。

11月下旬、訪れたカダラッシュのITER建設現場では約1500人が働き、作業用車両が頻繁に行き来していた。機構長室からは工事現場が一望でき「基礎工事は終わった。実験炉のアセンブリー(組み立て)棟もほぼ完成し、来春から使える」とビゴさんは胸を張る。

黒くそびえたつ組み立て棟の天井の高さは約60メートルあり、内部に巨大構造物を持ち上げて移動できる大型クレーンが備え付けられている。核融合炉を作るための電磁石やその収納容器を動かし、炉を組み立てる予定だ。

電磁石用のコイルは専用の製作棟で、ニオブチタン合金でできた超電導線材を多数束ねて作る。実際に使う際にはセ氏零下269度の液体ヘリウムをコイル内に流して冷却する。また、プラズマを発生させる容器は真空状態を保つ必要がある。構造物の位置のずれや隙間は、絶対に避けなければならない。1500トンもある構造物をミリメートル単位の誤差で設置しなければならず、高度なエンジニアリング力が求められる。

電磁石は組み立て棟に連なるトカマク棟の地下に設置する。ITERはトカマク型と呼ぶタイプの核融合炉を採用するため、心臓部となる建物をこう名付けた。わずかな揺れも核融合反応の妨げになるのでバネのような免震器具を493個設置し、総重量約30万トンの建物を支える。地震はまず起きない地域だが、念には念を入れた。

11月の理事会は、装置を稼働して最初にプラズマを発生させる時期を当初計画に比べ約7年遅れの25年12月、核融合反応を起こす本格稼働は約9年遅れの35年とする案を了承した。ビゴさんは「プレッシャーは大きいが、それはすべての参加国の人たちも同じだろう」と覚悟を決めるように語った。(編集委員 安藤淳)>(以上)

杉浦氏はパイプライン敷設について余り肯定的な評価はしていません。小生も同じで、パイプライン敷設等膨大な設備投資が必要なものは、将来のエネルギーミックスを考えて、止めておくべきでしょう。ガスや石油はタンカーで運べば良いと思います。

最後に、杉浦氏は、「米トランプ大統領誕生により、露米関係は好転するものと予測する。

露米関係好転により露は対日関係改善には関心を失うとの識者の見方もあるが、筆者はこのような説には与しない。事実は逆である。露米関係好転にともに、日露関係も好転すると考える。

露米関係・日露関係好転は、日中関係にも影響を及ぼすことになる。中国は露米・日露関係が改善すれば、自国の孤立化を恐れ、多少なりとも対日姿勢を修正する可能性もあると予測する。」とあり、小生も米ロがうまく行けば、日ロもうまく行くと思います。日本単独で動くことは米国が許さないでしょう。悲しい現実です。でも、対中政策を考えれば良いことでしょう。日本の安全保障に直結しますので。ただ、傲慢な中国が「自国の孤立化」を恐れるかは分かりません。行きつくところまで行くかも。中共が人民解放軍をコントロールできるかどうか。

記事

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都内の講道館を訪れ、笑顔で言葉を交わすロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)と安倍晋三首相(2016年12月16日撮影)〔AFPBB News

プロローグ/「あなたはロシアの国益を犯している」

端正な顔立ちのロシア紳士は何の前触れもなく突然、事務所にやって来た。そして、筆者の目の前に座ると筆者に冷たく言った。

「あなたはロシアの国益を犯している」

青雲の志を抱いてサハリンに赴任し、日露経済関係発展のために粉骨砕身努力しようと奮い立っていた矢先の出来事であった。

その時筆者は、レフォルトボ*1に収監される哀れな筆者の姿を想像した。突然やって来たその人の名刺には、「ロシア連邦保安庁(FSB)サハリン支局 法務中佐」と記されていた。

「日本の正義」 vs.「ロシアの正義」

その日、1つの神話が崩壊した。「北方領土は日本固有の領土」という名の神話が。

ロシアのV.プーチン大統領は2016年12月15日、11年ぶりに訪日した。2016年に入り、4回目の日露首脳会談である。しかし領土問題交渉は何も進展せず、日本側には「経済協力食い逃げ論」が出ているが、この認識は間違いである。

プーチン大統領は事前に「あらかじめ期限を設けた領土交渉は有害」と明言しており、領土交渉が進展しないことは事前に判明していた。

また、民間企業のビジネス構築はあくまでも経済合理性に基づくものであり、民間企業は利益の見込めない事業には着手しない。すなわち、「経済協力食い逃げ」はあり得ず、領土交渉が進展するとの安倍晋三首相の期待は独り相撲であった。

しかし、だからと言って、今回の日露首脳会談が無駄であったわけではない。首脳会談を通じ、北方領土を巡る双方の認識の相違が浮き彫りになった点は1つの成果である。

安倍首相は12月16日に開催された日露首脳共同記者会見の席上、この認識の相違を「日本には日本の正義があり、ロシアにはロシアの正義がある」と表現した。

換言すれば、日本の正義はロシアの正義ではないということになる。

では、ロシアの正義とは何か。それは戦勝国(連合国)の正義である。ソ連軍によるクリル諸島占領は第2次大戦の結果であり、これが戦勝国の論理・正義となる。日本側にとっては屈辱の論理・正義だが、米国もソ連のクリル諸島に対する主権を認めていた。

記者会見の実況中継を見ていた筆者は、安倍首相のこの発言こそ、パンドラの箱が開き、日本の神話が崩壊する瞬間であったと受け止めた。神話が崩壊した今こそ、今後の日露関係を構築するうえでの新たなる歴史の1ページが始まるのであろう。否、始めなければならない。

日露首脳会談総括(2016年12月15~16日)

最初に、今回の日露首脳会談を総括したい。領土問題に関しては何の進展もなく、この意味では安倍政権の政治的敗北と言えるが、筆者は下記の点で大きな成果があったと考える。

◆「北方領土=日本固有の領土論」神話の崩壊は新局面への第一歩。 ◆ 日ソ共同宣言に基づき、平和条約締結後、露側が2島を引き渡す確認が取れたこと。

今回の日露首脳会談において、短期的には、元4島住民のビザなし自由往来を検討することで合意した。択捉島や国後島にはロシアの軍事基地があるので自由に島内を歩けるわけではないだろうが、一歩前進と言えよう。早速、事務方では検討作業が始まったと言われている。

戦後日本では「北方領土は日本固有の領土」が国是となり、「北方4島即時一括返還」を錦の御旗にして、戦略としての対露関係構築の方向性を検討してこなかった。

しかし今回、日露安全保障問題や4島における共同経済活動の枠組み検討など、日露共同でやるべき指針・方向性が戦後初めて出てきたと言えるだろう。

一方、欧州連合(EU)は12月15日、日露首脳会談の最中に対露経済制裁を半年間延長することを発表。米財務省は12月20日、米国の対露経済制裁措置の強化を決定した。日本政府も12月25日、対露経済制裁措置を当面延長する方針を固めた。

これを歴史の皮肉と言わずして、何と言えようか。

日露首脳共同記者会見(20161216日)

東京で開催された上記共同記者会見の席上、幹事会社の記者が北方領土問題に関して質問した。

この質問に対するプーチン大統領の返答が圧巻であった。同時通訳が同時通訳にならず、安倍首相も質問した記者もプーチン大統領が何を言いたいのか、内容をよく理解できなかったのではないかと推測する。

プーチン大統領は記者の質問に答える形で、日露間の領土問題を巡る過去160年間の歴史に言及した。日露和親条約・樺太千島交換条約・日ソ共同宣言・ダレスの恫喝*2・・・である。

実によく勉強している。これでは、安倍首相はもちろん日本側の誰も太刀打ちできないだろう。

*1=モスクワにあるFSBの前身旧KGB(国家保安委員会)の刑務所。

*2=「ダレスの恫喝」とは、日ソ交渉が難航している最中の1956年8月、米J.F. ダレス国務長官は重光葵外務大臣と会談して、「日本が2島(歯舞・色丹)返還で決着させるなら、沖縄は永久に返還しない」と脅したことを指す。

安倍首相がロシアをよく知らないことは、上記の日露共同記者会見席上の発言でも明白である。安倍首相はプーチン大統領に対し、「ウラジーミル、君は」と呼びかけた(同じ呼びかけは12月15日の山口県長門市での首脳会談でもあり、またそれ以前にもあった)。

ここには間違いが2つある。ロシア語には“ウラジーミル”という呼びかけはそもそも存在しない。安倍首相は親しみを込めて言っているつもりなのであろうが、プーチン大統領は内心ギョッとしているはずだ。

ウラジーミルの愛称はバロージャであり、“バロージャ・シンゾー”が“ロン・ヤス”に相当する。

余談だがプーチン大統領は安倍首相をどのように呼んだのかと言えば、“Mr.Abe”である。この2人の呼びかけの相違が2人の関係を如実に反映していると言えよう。

2つ目は、公の場で一国の大統領に向かって「君は」はない。親しい仲間内だけの私的な宴席なら「君は」でよいが、公式の場では「プーチン大統領」と呼びかけるべき局面である。

安倍首相は自らの無知を天下に公言しているようなものだと、友人のロシア人が言っていた。安倍官邸には、ロシアを理解している人材がいないのだろう。

北方領土問題/日露交渉クロニクル

プーチン大統領訪日の前後、日系各紙では過去の日露間領土交渉が大きく報じられていたので、領土問題とは何かを考える良い機会が与えられたと言える。しかし、正直申し上げて、領土交渉に関する本質論は少なく、議論が混乱しているように思える。

では、なぜ議論は混乱しているのか?

結論から先に言えば、混乱の原因は、日露間の条約原文(正文)は「クリル諸島 (the Kurile islands) 」と書いてあるのに、日本側翻訳は「千島列島」になっている点である。

もし「クリル諸島」と「千島列島」が同じ地理的概念であれば問題は生じないが、定義の齟齬があれば、原文(正文)が優先されることは論をまたない。

本稿ではまず論点を整理すべく、領土問題を巡る過去160年間の日露交渉の歴史を概観する。

原文(正文)がクリル諸島の場合、この言葉を採用して、いくつかの事例において原文と翻訳を比較することにより頭の体操をしてみたい。

1855年2月  日魯通好条約(日露和親条約/安政条約/正文オランダ語)

千島列島に於ける日露間の国境線が二国間条約にて平和裏に画定。  北方4島は日本、得撫島以北は帝政ロシアに帰属。樺太は二重主権。

和文正文と露文正文も作成されたが、双方は相手の言葉を理解できず、二重通訳の問題が存在した。→ 和文と露文に相違がある場合、蘭語正文に依拠することになる。

1875年5月  樺太・千島交換条約(正文仏語)→「樺太・クリル群島交換条約」

樺太はロシア、クリル群島(18島)は日本に帰属決定。

和文と露文は単なる翻訳に過ぎず、条約正文は仏語のみ。ゆえに、和文と露文に齟齬が生じた場合、正文仏語に依拠することになる。

1905年9月  ポーツマス条約

日露戦争の結果、北緯50度以南の南樺太は日本に割譲。

1945年8月  太平洋戦争終結。 1945年9月  戦艦ミズーリ艦上にて、降伏文書調印。同日、連合国一般司令第1号発布(参考 ⑤)。

1946年1月 連合軍最高司令部訓令(SCAPIN)第677号発布(参考 ⑥)。 1951年9月 サンフランシスコ講和条約 締結。同日、日米安保条約調印。

日本はクリル諸島・樺太における主権を放棄(正文英語/和文翻訳)。(日本側認識:北方領土は日本固有の領土で、千島列島に含まれず)

1951年10月 外務省西村条約局長の国会答弁:

「サンフランシスコ条約にある千島列島の範囲については、北千島と南千島の両者を含むと考えます。なお、歯舞と色丹島が千島に含まれないことは米外務当局も明言されました」

1956年10月  日蘇共同宣言(ブルガーニン/鳩山)

ソ連側は、平和条約締結後、2島(色丹・歯舞)引き渡しを約束。  両国議会が批准しており、法的拘束力を有する。

1993年10月 東京宣言 (エリツィン/細川)。

平和条約早期締結交渉継続で合意。

1997年11月 クラスノヤルスク会談(エリツィン/橋本)。

2000年までに平和条約締結を目指すことで日露合意。

1981年2月 日本政府、「北方領土の日」(2月7日)制定。 1998年4月   川奈会談(エリツィン/橋本)。 日本側、国境線画定案を提示。 1998年11月 モスクワ会談(エリツィン/小渕)。 露側、中間的平和友好協力条約締結案。

2000年9月3日  プーチン大統領訪日。

森首相と会談の際、プーチン大統領は口頭にて日ソ共同宣言を確認すると発言。露側は川奈提案を拒否。

2001年3月 イルクーツク会談(プーチン/森)。

文書にて日蘇共同宣言を確認する声明を採択。

2016年12月 プーチン大統領/安倍首相の公式首脳会談(日本)

ロシアにとっての択捉島・国後島の重要性

ロシア連邦保安庁サハリン支局の法務中佐より「あなたはロシアの国益を犯している」と恫喝された筆者は、直ちに共同作業をしているロシア側の石油会社に駆け込み、助けを求めた。

その時、我々のコンソーシアムはオホーツク海の広大なる海洋鉱区において、海洋鉱区の地形を調査するため、調査船が海底にソナーを打ち込む作業をしていた。

パートナーの石油会社の社長は「心配するな。我々が処理する」と確約してくれたが、理由を訊いても説明はなく、ただニヤニヤしていた。

部屋のドアで別れ際に再度質問した。「なぜ連邦保安庁が私のところに来たのか?」。

その時、そっと返ってきた返事が「あれをやるとメタルが映る」。

どういう意味なのか。メタルと言ってもまだ海底パイプラインも建設していないので、メタルが映るはずはないのだが・・・。その時、突如閃いた。そうだ、潜水艦だ!

ロシア語の「あなた(ブィ)」は単数形と複数形が同形なので、法務中佐殿の「あなた」は、実は「あなた方」という意味だったのだろう。すなわち、ロシア側パートナーにとっては先刻承知の話であり、哀れな日本人が恫喝されて駆け込んでくることも、すべてお見通しだったのかもしれない。

12月16日の日露共同記者会見の席上、プーチン大統領は日本人記者の質問に答える形で択捉・国後は露の軍事的観点より必要という意味の返答をしている。また日本の軍事専門家も、択捉~国後間の国後海峡からロシアの軍艦や潜水艦が通過していると発言している。

確かにその通りだが、これは1枚のコインの表側の現象にすぎない。

では、裏側の露の本当の意図は何かと言えば、それは「オホーツク海の内海化」であり、米の攻撃型原潜がオホーツク海に侵入するのを阻止することである。

「オホーツク海の内海化」はスターリンの戦略であり、1945年8月18日に千島列島最北端に位置する占守(シュムシュ)島に侵攻したのも、スターリンが終戦直後トルーマンに北海道の北半分を要求したのも、「オホーツク海の内海化」戦略の一環にほかならない。

千島列島の弧を形成する最南端の島は択捉島と国後島になる。択捉・国後間の国後海峡は広く深く、水深が約480メートルあり、潜水艦が最大潜航深度で航行できる。太平洋戦争中の潜水艦の最大潜航深度は約100メートルであり、これ以上深く潜航すると圧壊した。

現在の潜水艦の最大潜航深度は約400メートルと言われているが、チタン製の露原潜は約600メートルまで潜航可能とも言われている。

このような深度になると海流や海温の関係で海上からのソナー探知による潜水艦発見は困難になるので、海底に潜水艦探知装置を設置して、音紋(スクリュー音)を採取する。

『レッド・オクトーバーを追え』でも潜水艦の音紋の話が出てくるが、1980年代中葉の旧ソ連邦の時代、ソ連海軍の潜水艦の音紋が一時期採取困難になり、西側軍事筋で話題になったこともあったという。

潜水艦は音紋を採取されると正体がバレ、価値が半減する。択捉・国後間の国後海峡にも、この潜水艦探知装置(ソーサス・ライン)が設置されていると想定するのが合理的判断だろう。

択捉島と国後島間は水深が深く、オホーツク海に遊弋するロシア海軍のミサイル搭載原潜がチョークポイントなしに通過できる海峡であり、ここを越えると太平洋に進出できる。

オホーツク海の内海化を国是とする軍事戦略の観点より、ロシアには択捉・国後両島は必要であり、そのような戦略的重要拠点をロシアが日本に引き渡すはずはないだろう。

これが冷徹な国際政治の現実であり、筆者が択捉・国後は永久に日本に還ってこないと主張してきたゆえんである。これが北方領土を巡る真実である。

「北方領土は日本固有の領土」とお題目を百万遍唱えても、日本に還ってくることはない。

日露経済協力案件

次に、日露経済協力案件を総括したい。

プーチン大統領訪日時、日露経済協力案件では計80(政府関連12事業+民間企業68事業)、総額約3000億円の経済協力案件が調印された。

しかし、いくつかの合意案件を除きほぼすべての案件が法的拘束力のないMoU(Memorandum of Understanding=了解覚書)であり、民間企業は今後、その事業が経済合理性を有するのかどうか精査することになる。

民間TVでは、識者と言われている人たちが「経済協力だけが先食いされる」類の発言を繰り返していたが、これは上述通り間違い。

経済協力と経済支援は似て非なるもの。経済支援は税金投入であるが、民間会社が推進する新規事業案件はあくまで、経済合理性に基づくビジネス関係の発展・拡大を意味する。

民間企業は経済合理性のない案件は着手しない。ゆえに、民間企業においては「経済協力だけが先食いされる」ことはあり得ない。総額3000億円はMoUの総額だが、仮に30億円でも300億円でも実態のある商業契約調印に結実すれば、それは今回の日露首脳会談の成果と言えよう。

サハリンから送電網を整備して日本向けに電力を輸出する構想「エネルゴ・モスト」や、サハリン島と北海道を橋梁やトンネルで接続する構想(妄想)が今回の民間68事業に入らなかったのは、当然と言えばあまりに当然の結果と言わざるを得ない。

また、最近では日露パイプライン議員連盟によるサハリンから日本縦断陸上天然ガスパイプライン建設構想が再度マスコミに登場するようになったが、この構想には致命的欠陥がある。

幹線パイプライン建設構想が成立する3要件は以下の通りである。

(1)供給源が存在すること。 (2)需要家が存在すること。 (3)パイプライン建設費が回収できること。

この1つでも欠ければ本来ならばパイプライン建設は不可能であるが、公共事業として税金を投入すれば物理的には建設可能である。筆者は、この種のパイプラインを「political pipeline=公設パイプライン」と呼んでいる。ちなみに、3要件を満たすパイプラインは通常の「commercial pipeline=商業用パイプライン」である。

この構想がなぜ致命的欠陥を有するのかと言えば、天然ガス供給源も最終需要家も不明であり、パイプライン建設費が回収可能かどうかの事業化調査も実施されていないからである。

すなわち、パイプライン建設が先行する構想であり、実態は利権追求型構想である。

新聞報道などによれば、日本縦断陸上パイプラインの建設費は約7000億円という。土地代の高い日本でこの建設費ですむはずがない。これもオリンピック同様、豆腐一丁・二丁の世界になるだろう。

ここで誤解を避けるためあえて追記するが、筆者はサハリンから日本向け天然ガスパイプライン建設構想自体に反対しているわけではない。供給源が存在し、需要家が存在し、パイプライン建設費が回収できるのであらば、すなわち経済合理性あらば、推進すればよいと考える。

ただしこの場合、日本縦断陸上パイプラインではなく、大陸棚沿岸に敷設する海底パイプライン建設構想の方が経済性ははるかに有利になるだろう。

クリル諸島」の範囲/「千島列島」の範囲

日本の外務省の公式見解では、「北方領土」とは、広義には『全千島列島と南樺太』となり、狭義には『歯舞群島、色丹、国後、択捉』となる。現在、北方領土を巡る交渉がかくも錯綜しているのは、上述のごとく、クリル諸島と千島列島の地理的概念に関し、日露間に解釈の相違が存在するからである。

1855年の江戸幕府と帝政ロシアが交渉して合意した文書は、あくまで蘭語正文である。日本語正文と露語正文は翻訳にすぎず、日本側は露語を、ロシア側は日本語を解せず、二重通訳の問題が存在した点も指摘した。

一方、樺太・千島交換条約の正文は仏文のみ。和文と露文は文字通り翻訳にすぎない点、日魯通好条約と少し事情が異なる。ゆえに、日本側と露側で解釈の相違がある場合、仏語正文のみに立脚しなければならない。

では、仏語正文を検証したい。まず、この仏文正文の条約名称を記す。

TRAITE D’ECHANGE DE L’iLe DE SAKHALINE CONTRE LE GROUPE DES ILES KOURILES

魯暦1875年4月25日、西暦5月7日、サンクト・ペテルブルクにおいて調印(仏文)

(仏語からの和訳) サハリン島(*樺太)とクリル諸島のグループ(*クリル群島)との交換条約 (日本語条約名称)樺太・千島交換条約

上記を比較すると、小さな、しかし本質的な相違に気づかれることだろう。

仏語正文の「クリル諸島のグループ」 (LE GROUPE DES ILES KOURILES)を和文(翻訳)の名称では「千島」と訳している。

すなわち、和文(翻訳)に拠れば樺太島と千島列島を交換したことになるが、これは不正確な翻訳であり、正しくは樺太とクリル群島を交換した。

ところが、同じ“LE GROUPE DES ILES KOURILES”を日本語条約本文(翻訳)の中では、「クリル群島」と仏語を正確に和訳している。

では、「クリル群島」とはどこを指すのか。仏語正文第2条に定義されている。

「全魯皇帝陛下は第一款に記せる樺太島の権理を受し代として其後胤に至る迄現今所有クリル群島(即ち、第1シュムシュ島、・・・第18ウルップ島)計18島の権理及び君主に属する一切の権理を大日本国皇帝陛下に譲り、而今而後クリル全島は日本帝国に属し、カムチャトカ地方ロパトカ岬とシュムシュ島の間なる海峡を以って両国の境界とす」(出典:外務省条約局『旧條約彙纂』第一巻)

すなわち、仏語正文によれば、クリル群島とは日魯通好条約により露側領土となった18島(占守島~得撫島)を指し、この18島(クリル群島)はクリル諸島の一部(1グループ)となり、この18島(クリル群島)と樺太島を交換することにより、クリル全島が日本の領土になる。

仏語正文には、これ以上のこともこれ以下のことも書かれていない。

列強による19世紀のクリル諸島・千島列島の認識

繰り返しとなるが、重要な点なので再度言及したい。現在の北方領土を巡る交渉がかくも錯綜しているのは、ロシア側のクリル諸島と日本側の千島列島の法的・地理的概念に関し、日露間に解釈の相違が存在するからである。

そこで、当時の世界列強および日本が「クリル諸島 vs. 千島列島」をどのように認識していたのか考察したい。

参考① ロシア皇帝ニコライ一世がプチャーチン提督に宛てた書簡

最初に、ロシア皇帝ニコライ一世がプチャーチン提督(露側交渉団長)に宛てた訓令をご披露したい。引用する書簡は、日露の外務省が北方領土問題を巡る問題点を整理するために協議・編纂した資料集であり、正式名称は『日露間領土問題の歴史に関する日本国外務省とロシア連邦外務省の共同作成資料集』(1992年9月作成)と題する。

『ニコライ一世のプチャーチン提督宛訓令』(1853年)(抜粋) 1853年2月24日 皇帝陛下署名   1853年2月27日 第730号

『長崎表及び御老中宛て書簡(蘭語訳付)は本書別添の行嚢にて送付するが、これらの内より重要な御老中宛ての書簡の内容につき、外務省として以下の通り説明しておくべきと考える。この書簡においては、我々との通商関係開設に関する日本側への提案、及び追って指定する我々の商船(必要あれば軍艦も)に対する日本の港湾への寄港許可に関する提案の他、露日間の国境画定の要求も提示してある。国境問題に直ちに取り掛かるとの考えは、根拠のあるものと思われる。何故なら、このことを通じ、我々はいわば日本人が我々と交渉に入ることを余儀なくさせ得るからである(中略)』

この国境問題に関する我々の要望は、可能な限り寛大なものであるべきである。何故なら、通商上の利益というもう一つの目的の達成こそが、我々にとり真の重要性を持つからである。クリル諸島の内、ロシアに属する最南端はウルップ島であり、同島をロシア領の南方における終点と述べて構わない。これにより、我が方は同島の南端が日本との国境となり、日本側は択捉島の北端が国境となる。日本政府が予想に反してウルップ島に対し自らの権利を主張する場合には、先方に対し、この島が我々のあらゆる地図中でロシア領と記載されていること、(中略)。一般にこの島(ウルップ島)はクリル諸島における我々の領土の境とみなされている旨を説明し得よう』(註:下線・ゴシック体・強調部分は筆者の判断による)

上記書簡より、ロシア側の主張するクリル諸島がいわゆる北方領土を含むクリル列島であることは明白である。皇帝陛下は交渉団長を務めるプチャーチン提督に対し、クリル全島のうち、交渉により平和裏にウルップ島と択捉島の間を日露の国境として画定すべく指示を出している。

この指示は簡潔・明瞭であり、間違えようもない。ゆえに、プチャーチン提督はこの皇帝陛下の指示に忠実に従い、江戸幕府代表川路聖謨交渉団長と蘭語通訳を介し、辛抱強く、真摯な態度で日露国境線画定交渉を続けたと理解するのが理に適っている。

参考② 米国の記録

米国はペリー准将をして日本に開国を迫らせる一方、第2分遣艦隊を組織。1853年から1856年までオホーツク海を探検させている。この分遣隊に測量技師として乗船したドイツ人ヴィルヘルム・ハイネはその著『中国、日本、及びオホーツクの海洋探検』(1859年)に、「探検隊の艦船航路を示す北大洋の地図」を記載している。

その地図には、北海道はYeso(エゾ)、Kunashir Insel(国後)からSchumschu Insel(占守)までは“Kurilen-Reihe”(クリル列島)と明記されている(この場合、20島)。

これが当時の列強の認識である。なお、この地図を観るにつけ、今日のカムチャトカ半島・サハリン島・日本列島が正確に測量されていることに驚きを禁じ得ない。

参考③ 明治政府の千島列島の認識

では、一番肝心な日本は、当時の千島列島の範囲をどのように認識していたのか。

幕末・明治維新の碩学、本条約に於ける対露交渉の日本側代表海軍中将榎本武揚特命全権公使は『千島疆界行』(1875年)にて、「今、千島とは根室よりカムチャトカに連なる二十有余島の惣名」と明記している。すなわち、明治維新の日本側認識は当時の世界列強の認識と一致している。

上記より、「樺太千島交換条約」にあるクリル群島(18島)がクリル諸島の一部であり、当時の明治政府も政府の高級官僚も、「クリル諸島=千島列島(北方領土を含む千島全島)」と認識していたことが判明する。

ゆえに、現在の日本政府が主張する「北方4島は千島列島には含まれず」との論理が成立しないことは明白である。付言すれば、「北方領土」という言葉自体、戦後の造語である。

参考④ ヤルタ会談、1945年2月

ここで一言、ヤルタ会談に言及したい。米ルーズベルト・英チャーチル・蘇スターリンは1945年2月、クリミア半島のヤルタに集まり、戦後の世界分割を討議。独降伏3か月後にソ連が対日参戦する密約を結び、このヤルタ会談は日独終戦交渉に決定的な影響を与えた。

ゆえに、5月9日の独降伏を受け、ソ連は8月9日に対日参戦した。ちなみに、同年2月11日に署名された同協定の日本に関連する部分のみ、下記訳出する。

三大国、ソ連、米合衆国、英国の指導者達は独逸の降伏及び欧州に於ける終戦の2~3か月以内に、下記条件のもと、ソ連が連合国側に立ち、対日戦争に入ることに同意した。

1.外蒙(モンゴル人民共和国)の現状維持。 2.1904年、日本による背信的攻撃で犯された露所属の諸権利の回復、すなわち、

(a)樺太島南部及びその近くの凡ての島々をソ連邦に返還すること (b)(c)略

3.ソ連邦に対し、クリル諸島を譲与(Передача)すること(後略)。

3大国政府首脳は、ソ連邦のこれら諸要求が日本に対する勝利の後、無条件に満たされるべきことに同意した(後略)。

これが、国際政治における戦勝国(連合国)の論理(正義)となる。

考察⑤ 1945年9月2日付け連合国一般司令第1号

東京湾の米戦艦ミズーリ号甲板にて1945年9月2日、日本は連合軍に対する降伏文書に調印。その日、連合国司令部(GHQ)は一般司令第1号を発布。ここでは北方領土関連部分のみ抜粋する。(出所はこちら

1(b) The senior Japanese Commanders and all ground, sea, air and auxiliary forces within Manchuria, Korea North of 38 degrees North latitude, Karafuto, and the Kurile Islands, shall surrender to the Commander-in-Chief of Soviet Forces in the Far East.

1(ロ)満洲、北緯三十八度以北ノ朝鮮、樺太及千島諸島ニ在ル日本国ノ先任指揮官並ニ一切ノ陸上、海上、航空及 補助部隊ハ「ソヴィエト」極東軍最高司令官ニ降伏スベ シ(筆者註:日本語訳は千島列島だが、英文原文は the Kurile Islands=クリル諸島)

考察⑥ 1946年1月29日付け連合軍最高司令部訓令(SCAPIN)第677号

次に、1946年1月29日に発布された連合軍最高司令部訓令(SCAPIN)第677号には、以下のとおり記載されている(出所はこちら)。

1.日本国外の総ての地域に対し、又その地域にある政府役人、雇傭員その他総ての者に対して、政治上又は行政上の権力を行使すること、及、行使しようと企てることは総て停止するよう日本帝国政府に指令する。 2.(略) 3.この指令の目的から日本と言ふ場合は次の定義による。

日本の範囲に含まれる地域として

日本の四主要島嶼(北海道、本州、四国、九州)と、対馬諸島、北緯30度以北の琉球(南西)諸島(口之島を除く)を含む約1千の隣接小島嶼

日本の範囲から除かれる地域として

(a)欝陵島、竹島、済州島。 (b)北緯30度以南の琉球(南西)列島(口之島を含む)、伊豆、南方、小笠原、硫黄群島、及び大東群島、沖ノ鳥島、南鳥島、中ノ鳥島を含むその他の外廓太平洋全諸島。 (c)千島列島、歯舞群島(水晶、勇留、秋勇留、志発、多楽島を含む)、色丹島。

(中略)

6.この指令中の条項は何れも、ポツダム宣言の第8条にある小島嶼の最終的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない。

(後略)

正直申し上げて、筆者がこのSCAPIN677号を知ったのはつい最近のことである。筆者の尊敬するロシア専門家よりご教示戴いた次第。

第3項で日本の主権が及ばない地域が規定されているが、ウィキペディアによれば、最終領土画定は講和条約次第となる。

「SCAPIN-677が発令された半月後の1946年(昭和21年)2月13日に行われた日本との会談において、GHQはSCAPINが領土に関する決定ではないこと及び領土の決定は講和会議にてなされると回答している」(ウィキペディア)

この連合軍最高司令部訓令677号は暫定的指令であり、領土の最終画定は講和条約によると明記されている。その講和条約が1951年のサンフランシスコ講和条約となるが、この講和条約は翌年1952年発効したので、講和条約発効とともにこのSCAPINは消滅した

上記より、連合国(戦勝国)はクリル諸島=千島列島と理解しており、そのクリル諸島とは択捉・国後を含む20島と理解していたことが分かる。サンフランシスコ講和条約で日本が放棄したのはクリル諸島ゆえ、日本は名実ともに択捉・国後を放棄したことになる。

なおここでは、日本は「誰に対してクリル諸島を放棄したのか?」という問題が残る。当然、講和条約締結国に対して放棄したことになるが、ソ連邦はこの講和条約に署名していない点を付記しておく。

エピローグ/「あなたは国賊だ」

筆者はサハリン駐在時代から首尾一貫して、「北方領土=日本固有領土論には法的・歴史的根拠がない。択捉・国後は永久に日本に引き渡されることはない」と、孤高の論陣を張ってきた。

そのため、サハリンでは同胞から「あなたは国賊だ」と言われた。

FSBからは「あなたはロシアの国益を犯している」と恫喝され、同胞からは「あなたは国賊だ」と罵倒される辛いサハリン駐在であった。この話は今まで封印してきたが、12月16日にパンドラの箱が開いたので、あえてご披露した次第。

今回この文章を発表することにより「あなたは国賊だ」とまた言われることも覚悟しているが、神話が崩壊した今こそ、ドグマチズム(教条主義)を排し、感情抜きの実のある議論が進むことを心より願っている。

繰り返す。プーチン大統領は日ソ共同宣言を熟知しており、平和条約締結後、2島(歯舞・色丹)を引き渡す心構えはできているだろう。あえて1つの条件を付けるとすれば(実際に付けているが)、それは2島に米軍を駐留させないとの日本政府側からの言質となる。

日米安保条約によれば、日米双方が同意した場合、米軍駐留が認められる。

換言すれば、日本側が反対すれば、米軍の駐留は認められないことになる。歯舞・色丹が日本側に引き渡される場合、日本側は米軍を駐留させない対価として、自衛隊の駐屯を認めさせる選択肢が1つの交渉材料になるだろう。

米トランプ大統領誕生により、露米関係は好転するものと予測する。

露米関係好転により露は対日関係改善には関心を失うとの識者の見方もあるが、筆者はこのような説には与しない。事実は逆である。露米関係好転にともに、日露関係も好転すると考える。

露米関係・日露関係好転は、日中関係にも影響を及ぼすことになる。中国は露米・日露関係が改善すれば、自国の孤立化を恐れ、多少なりとも対日姿勢を修正する可能性もあると予測する。

換言すれば、露米・露日関係が悪化すれば、中国は今後さらなる対日強硬姿勢が可能となる。

この意味でも、今回のプーチン大統領訪日はまさに「奇貨、居くべし」と言えるだろう。

(参考文献:『クリル諸島の文献学的研究』(村山七郎著/三一書房/1987年8月発刊)

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『安倍首相が真珠湾で謝罪する必要がない理由 日米の絆を認め未来を向いている米国の元軍人たち』、『米中は対決の時代へ、日本には何が起きるのか 鮮明に中国との対決姿勢を見せるトランプ新政権』(12/27・28JBプレス 古森 義久)について

中国・台湾関係の記事を紹介します。

12/28ZAKZAK<中国との関係変化望まぬ台湾 米中「一つの中国」騒ぎのウラで盛り上がらず

今回が今年を締めくくる原稿である。その視点から中国を見たとき、やはり今年から来年にかけて大きなテーマとなる話題で締めくくりたいと思う。それは何か。  ずばり、ドナルド・トランプ大統領の誕生と米中関係である。  もちろん来年の中国は5年に一度の大きな人事の1年を迎えるが、このインパクトはそれに勝るとも劣らない衝撃となるはずだ。  先週の記事でも触れたように、トランプ氏は台湾の蔡英文総統との電話会談に続き、FOXテレビとのインタビューで、必ずしも「一つの中国」を重視しないといった発言をして米中の外交関係者を慌てさせた。  この原則に簡単に踏み込むトランプ氏の“外交素人ぶり”についてはすでに述べたが、一連の騒ぎの中で、メディアがなぜか見落としている一つの反応について、少し触れておかなければならない。  それは肝心の台湾がそれほど盛り上がっていないことである。  私はいま、台湾こそ驚いているのではないかと思う。まるで準備もしていない舞台にいきなり立たされたような戸惑いが彼らの反応の随所に感じられるからだ。  そもそも、トランプ氏が台湾の現状への同情心や台湾海峡問題に深くかかわってきたことを背景に中国にプレッシャーをかけているわけではない。単に取引材料として持ち出したことが明らかだけに、台湾の反応が複雑になるのも当然だ。  ここ数年、台湾で「大陸との関係」を問えば、「現状維持」という答えが圧倒的(たいてい80%を超える)であった。

現状維持とはもちろん大陸との統一は嫌だが、一方で独立へと突っ走って中国を刺激することもしたくないという考え方だ。  つまり台湾の人々は、急激な変化など望んでいない。  ここで思い出されるのが、「96年の経験」、いわゆる台湾海峡危機だ。  台湾初の直接投票による総統選挙が行われたこの年、最有力候補とされた李登輝氏が台湾独立派とみられていたことから中国が警戒し、ミサイル演習と称して台湾海峡にミサイルを撃ち込んだことで、一帯の緊張感が一気に高まった。  台湾市場の株価とニュー台湾ドル、そして地価が凄まじい勢いで暴落してゆき、多くの人々が海外移住のための準備を始めた。その過程では中所得者がパラオへの移住を目指し、二束三文の土地を売りつけられて苦労するといった様子を、私は現地でながめることとなった。  台湾を通して“国”が崩れてゆくとはこういうことかと実感したのを思い出す。  結局、この事態を憂慮した米国が台湾海峡に空母を2隻派遣し、事態を鎮静化させたのだが、台湾海峡が間違いなくアジアの火薬庫であることを実感させられた。  ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。>(以上)

富坂氏の論調は相変わらず中国寄りでは。日本人に誤解を与えます。台湾人の現状維持は平和を望むだけで、中国に時間の利益を与えることではありません。変えるべきところは変えて行かないと。トランプ大統領になって、日米で台湾の変化を支援していくべきです。96年の台湾危機に逃げ出そうとしたのは、中国からの亡命政権である蒋介石が連れて来た外省人ではないでしょうか。本省人は台湾で生まれ育ったので逃げ出すわけにはいかないでしょう。中国人・韓国人だったら我先に逃げるでしょうが。「日本死ね」で問題になった俵万智も東日本大震災の時に沖縄へ逃げ出しました。メンタリテイは中国人と一緒でしょう。だから「日本死ね」を擁護できるのです。

下は富坂氏の言っていることとは逆の動きです。中国が嫌がっていることを日台連携してやっていくという事です。台湾の正名運動に繋がります。来年のWBC(ワールドベースボールクラシック)や2020年東京オリンピックでは、日本政府は台湾を「中華台北」ではなく、「台湾」で参加させてほしいと思っています。

12/29日経<対台湾窓口機関が名称変更 「日本台湾交流協会」に 

【台北=伊原健作】日本の対台湾窓口機関である公益財団法人「交流協会」は28日、2017年1月1日から名称を「日本台湾交流協会」に変更すると発表した。1972年の日中国交正常化を受け、日台は断交。同協会が実務関係の維持を担ってきた。名称が曖昧で認知度が高まらないなどの問題が指摘されていた。台湾側も長く改称を求めていた。同協会は「日台関係がさらに発展するよう一層努力する」としている。>(以上)

12/29日経<中国「強烈な不満」 日台交流協会の名称変更 

【北京=永井央紀】中国外務省の華春瑩副報道局長は28日の記者会見で、日本の対台湾窓口機関が「日本台湾交流協会」に名称変更することに「強烈な不満」を表明した。華氏は「『二つの中国』のたくらみに断固反対する。台湾と国際社会に誤ったメッセージを送り、中日関係に新たな障害をつくってはいけない」と強調した。>(以上)

12/28大礒正美氏のメルマガでは「弁護士政権から史上初のMBA政権へ」とトランプ政権を位置づけています。確かに「今までのアメリカとは違うぞ」と期待させてくれます。

http://www.geocities.jp/oiso_zemi/column/latest213.html

米国の民主党政権は、中国に寄り過ぎて、日台を犠牲にして来ました。今後は中国の軍事膨張主義を抑えるために、中国包囲網を形成していかなければなりません。今度の安倍首相の真珠湾訪問で日米の絆は一層深まったと言えます。オバマを全否定したいトランプがどう思っているかは分かりませんが。中国の国際社会での傍若無人ぶりを抑え、中韓の歴史戦にも勝利するためにトランプの登場は喜ぶべきと思います。

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旧日本軍による米ハワイの真珠湾攻撃で犠牲となった人々を追悼し、米首都ワシントンの国会議事堂に半旗で掲げられた米国旗(2016年12月7日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

安倍晋三首相が12月27日にハワイの真珠湾を訪れ、75年前に旧日本軍が行った奇襲攻撃で犠牲になった米国軍人たちの霊を悼む。

「安倍首相は真珠湾で日本軍の攻撃について謝罪や釈明をすべきだ」という主張も一部から聞かれる。だが、米国側の日米戦争への認識を長年考察してきた立場からすると、そんな必要はもうまったくないように思える。米国側の怨讐にはとっくに終止符が打たれ、日米両国の今後の友好を重視する姿勢が明白だからだ。

日本軍と激しく戦ったブッシュ氏の言葉

1991年12月7日の真珠湾50周年の式典でも、そんな米側の日米戦争への認識と態度を確認することができた。

1991年は米国にとって、真珠湾で日本軍の奇襲攻撃を受け、日本との開戦、第2次世界大戦への参戦へと突き進むことになった歴史の転換点から半世紀という年だった。

式典は、日本軍が沈めた戦艦アリゾナの残骸の上に建てられたアリゾナ記念館で催された。私はこの式典を取材するためワシントンからホノルルへと飛んだ。

その時点では、日本軍の攻撃を受けたときに真珠湾の米軍基地で軍務に就いていた将兵たちの約1万2000人が健在だとされていた。その元将兵たちは「パールハーバー生存者連盟」という組織をつくっていた。そのうちの約6000人がこの式典に参加することになっていた。その人たちの間では「多くの戦友が日本軍のスニークアタック(だまし撃ち)に不意をつかれ殺された」という非難の声が出ていた。

そのため私は、ワシントンからホノルルまでの長い飛行機の旅で、その元米軍人たちと乗り合わせ、日本人だという理由で難癖をつけられたり非難されたりするのではないかという懸念を少なからず抱いていた。

だが、実際には私が元米軍人たちから非難されるようなことはまったくなかった。

真珠湾の式典でも、当時のジョージ・ブッシュ大統領はそんな私の懸念をあっさりと一掃する内容の演説をした。

ブッシュ大統領は過去の戦争へのネガティブな思いを一切述べず、以下のように語ることで現在および将来の日米両国の和解と友好を強調した。

「日本とはもう完全に和解を果たした」

「私は日本に対してなんの恨みも持っていない」

「戦争での最大の勝利は、かつての敵国で民主主義が実現したことだ」

「いまやもう罪をなすりあう時ではない」

広く知られているように、ブッシュ氏は米海軍の最も若いパイロットの1人として日本軍基地への爆撃に何度も出動した。そして小笠原諸島の日本軍基地を空から攻撃した際は、地上からの砲火を受けて、乗っていた戦闘機が墜落した。ブッシュ氏はパラシュートで脱出し、文字どおり九死に一生を得た。

そんな日本軍と激しく戦った経歴があるブッシュ氏が、戦争での怨讐はもう完全に過去のものと表明した点はきわめて意味が大きかった。

日本軍を称賛した元海兵隊の議員

過去の戦争の経緯をあえて振り返ることはせず、日米両国が戦後に果たした和解と友好、そして普遍的な価値観の共有を大切にする、という態度は、ブッシュ大統領をはじめ日本軍と実際に戦った経験のある米国人たちの間で特に顕著だった。

しかも、米軍と戦った日本軍の将兵の武勇を称えるという態度さえ頻繁に感じられた。私自身、新聞記者としてワシントンを中心に米国に通算25年以上駐在する間、日米戦争の体験者に数えきれないほど会ったが、いつもそうした印象を受けた。

たとえば、私がワシントンに毎日新聞の特派員として最初に赴任した1970年代後半に取材を通じて知りあったジョン・チェイフィー上院議員は、海兵隊員としてガダルカナルと沖縄の両方の戦闘に参加していた。私は当初、そのことを知らなかった。本人がまったく触れなかったからだ。

ところがある機会に自らの戦歴を語った同議員は、日本軍の勇猛さや規律を賞賛し、日米の戦後の友好がいかに価値ある絆であるかを力説した。その語調には日本の軍事行動を批判するという気配はツユほどもなかった。

私はさらに、南太平洋のブーゲンビル島上空で山本五十六提督の乗機を撃墜したという米軍パイロットや、中部太平洋のタラワ島の攻略戦で日本軍を全滅させた海兵隊の将校からもじっくりと話を聞く機会を得た。終戦からすでに40年以上が過ぎており、かつての敵国だった日本を非難する人は誰もいなかった。

みな、「両国の国益が不可避な形で激突し、戦争となり、両国とも死力を尽くして戦った」という認識を抱いているようだった。米国は完全に勝利し、日本は敗北の代償をさんざんに払ったのだから、どちらが悪かったのか、というような議論を蒸し返す必要はまったくない、という姿勢だった。日本の敗北の代償にはもちろん原爆の被害や東京裁判での懲罰も含まれる。

こうみてくると、真珠湾攻撃から75年、終戦から71年経った今、日本の首相が戦争行動を改めて謝罪すべきだという必然性はどこにも浮かんでこないのである。

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ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」に星条旗を掲揚する乗組員。米海軍横須賀基地にて(資料写真、出所:米海軍)

米国のドナルド・トランプ新政権が中国との対決を辞さない強固な政策をとり、米中対決の新時代を迎えることが確実となってきた。米中関係が険悪となると、当然ながら日本への影響も重大となる。

トランプ氏は選挙戦期間中から中国に批判的な姿勢を貫いてきた。オバマ政権の対中姿勢に対しても軟弱に過ぎると非難し、自分が大統領となれば対決もいとわず中国を力で抑え込むという構えを示してきた。

この対中強硬姿勢は、トランプ氏が大統領に当選してからさらに強くなった。中国側もその動きに対して激しい反発を示しており、米中関係はオバマ政権時代とまったく異なるせめぎ合いとなりそうだ。

新政権の強硬な対中政策を裏付ける根拠

トランプ氏が中国に対して、オバマ政権とは正反対ともいえる強い抑止や封じ込め策を推し進めるという展望には、以下のような根拠がある。

(1)トランプ氏は選挙戦中から、中国に関するオバマ大統領の政策を「軟弱で宥和にすぎる」と非難してきた。中国の経済活動については「通貨レートを不当に操作し、貿易も不正に進めてきた」と糾弾し、中国製品に異常ともいえる高関税を課すことを提案した。

(2)トランプ氏は選挙戦中の9月の演説で、米軍が世界規模で縮小していることを批判的に取り上げ、米軍の再強化を具体的に提案した。そのなかで、東アジアにおいて中国の軍拡を抑止の対象にする海軍や海兵隊の増強案を明示していた。

(3)トランプ陣営の防衛問題顧問であるアレックス・グレイ氏は、選挙投票日の直前の11月初め、トランプ氏自身の考えとして「中国の無法な軍事拡張に対して、まず十分な抑止力の効く軍事増強を実現し、『力の立場』から断固として交渉する」と述べていた。

(4)トランプ氏は当選から間もない12月2日、年来の「一つの中国」の原則を無視して台湾の蔡英文総統と電話会談をした。中国側から抗議が来たが、「中国に命令されるいわれはない」と撥ねつけた。

(5)さらに12月11日に、トランプ氏は「米国はなぜ『一つの中国』策に縛られなければならないのか」という疑問を提起した。「私は『一つの中国』策をよく理解している」と強調したうえでの発言だった。

(6)トランプ氏は12月21日に、新政権の対中政策の一環として「国家通商会議」を新設することを発表した。議長には中国への厳しい政策提言で知られるピーター・ナバロ氏(カリフォルア大学教授)を任命した。

(7)ナバロ氏は、中国が軍事力を強化して南シナ海、東シナ海で強圧的な攻勢を進め、米国の国益までも侵害しているとして、米国の軍事力増強と日本など同盟諸国との連携の強化による中国封じ込め策を訴えてきた。

(8)トランプ新政権にはその他、対中強硬派として知られるランディ・フォーブス前下院議員、ビル・タレント前上院議員、デーナ・ローラバッカー現下院議員、ジム・ウールジー元CIA長官らが政策顧問や次期政権幹部として参集している。

軍事力は今なお米国が圧倒的という自信

こうしたトランプ氏の言動や、同氏を支える人物たちの特徴をみると、トランプ次期政権が外交政策において特に中国への対応を重視し、断固とした姿勢で中国に接していくことは明らかである。中国の軍事的な攻勢を抑止するためには軍事力の行使もいとわないという決意も見てとれる。協調や融和を優先して対決を避けるオバマ政権の対中政策とは根幹が異なっているのだ。

トランプ新政権のこうした強固な対中姿勢の背景には、今なお軍事力は米国が圧倒的な優位にあり、もしも軍事衝突が現実的となれば中国側は必ず譲歩あるいは妥協するという計算があるといえる。

だが、中国が国家の根幹にかかわる「一つの中国」の大原則までトランプ新政権に否定された場合、台湾への侵攻に乗り出す可能性もあり、その展開は予測が難しい。米中関係はまさに波乱や激動を予感させる。

こうした軍事面での衝突も含めて米国が中国と厳しく対決する場合、米国のアジアでの安全保障にとって、在日米軍や米軍基地の重要性がきわめて大きくなる。トランプ新政権にとっては日米同盟の価値がそれだけ高くなるというわけだ。

その場合、日本としては、米中両国間の摩擦や対立に揺さぶられる危険性が高まる一方で、日米の米安全保障の絆が強化される機会にも恵まれる可能性が出てくることとなる。

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『中国が操る韓国大統領レース THAADに連座、ロッテもイジメの対象に』(12/27日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

12/28安倍首相の真珠湾での演説は素晴らしかったです。オバマ大統領はやや軽い感じがしました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161228/k10010822371000.html

日本のTV報道によれば、保守派と言われるFOXニュースが「和解するには謝罪が必要だ」と言ったというのは、米国人の驕りが透けて見えます。NHKの報道で、多分真珠湾の生き残りの米兵と思われますが、オバマ大統領・安倍首相共に彼らに話しかけましたが、安倍首相は身を低くして聞き入っていました。天皇・皇后両陛下が被災者に寄り添う姿勢と同じで、米国人は気が付かないかも知れませんが、相手に気を遣っていることが感じられ、日本人として嬉しく思いました。願わくば、何故日米開戦になったのかを、国民レベルで相互に真剣に学んで行った方が良いと思います。日米ともに、今までの通説だけでなく、新たな証拠に基づいて。和解ができた環境であればこそ可能です。

ハフィントンポストによれば、「安倍首相へオリバー・ストーン監督ら公開質問状、「日本が攻撃したのは真珠湾だけではない」と声明を発表とのこと。真面に答える必要はありません。中韓が裏で糸を引いているのは見え見えですから。ヨタ連中の為せる業です。オリバー・ストーン監督の現夫人は韓国人のチョン・ソンジョン氏とのこと。記者会見時の写真にハングルが見えています。朝鮮人は国を捨てて、世界に出ていても、反日活動に勤しみます。通貨スワップはもっての他、GSOMIAも解消しないと。次期大統領は誰がなっても(潘基文氏でも)、必ず北と一緒になるように動くでしょう。国民感情には抗えません。抗えば朴槿恵大統領のように弾劾されます。共産主義国は粛清が当たり前の国なのに、それを国民レベルで望むとは。ヒトラーを民主的手続きで選んだドイツ国民以上に愚かとしか言いようがありません。後で自分が粛清の対象になった時に気付いても、時既に遅しです。ハフィントンポストに依れば、公開質問状には高橋哲哉東大教授も名を連ねているとのこと。左翼は分かりやすい行動を取ります。朴槿恵大統領が「1000年忘れない」と言ったり、中国のように「従軍慰安婦、南京虐殺、強制徴用」で歴史を改竄・捏造、尖閣や沖縄を盗もうという国に和解を求めてもしょうがないでしょう。過去の歴史でずっと日本を強請る気でいるのですから。彼らに未来志向はありません。あるのは、ゆすりタカリの精神だけです。金を取れれば嘘でも何でもよいという民族性です。未来永劫付き合わないことです。

oliver-stone

http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/25/story_n_13854564.html

次は韓国ではなく、相手は中国と思われますが、東芝の原発で数千億円の損失を再度計上するとのこと。東芝の株主としては、経営者の劣化に怒り心頭です。経営者が、国際環境の変化を読み間違えたのではと疑っています。米国or経産省が中国への原発技術流出を嫌い、今のタイミングでわざと情報をリークしたのでは。12/28日経web版には「消費者、株主、取引先、従業員にとって「寝耳に水」状態だっただけでなく、経営陣も混乱している様子が垣間見えた」とあり、綱川社長も情報がどこから出たのか把握してないのでは。

12/27日経<日米、中国と原発受注目指す 資金期待も技術流出懸念

日米中企業による3カ国連合がトルコで原子力発電所4基の受注を目指している。東芝傘下の米原子力大手ウエスチングハウス(WH)が中国国有の国家電力投資集団と組んで、トルコ政府と交渉中だ。日本にとって強力なライバルだった中国のマネーを活用して海外で原発を受注すれば、日本の原発輸出のあり方にも一石を投じることになる。

受注が実現すれば2兆円規模の商談になるとみられる。3カ国連合の関係者は「2017年中にはトルコ側と(原発建設に向けて)合意できると期待している」という。受注を目指しているのは第3世代と呼ばれる最新の中型炉。WHの新しい加圧水型軽水炉(PWR)「AP1000」が軸になる。

WH会長のダニー・ロデリック氏は、今回のスキームの役割分担を「中国が発電事業に資金を提供し、WHは機器を供給する」と説明する。東芝・WHは出資を避けながら、中国マネーを活用して原発を受注しようとしている。

背景には資金面での高いハードルがある。2兆円規模とされる費用を、10年単位という長期間の売電収入で回収しなければならない。自分たちだけでそのリスクを負うのは難しいとみている。特に、政情が不安で地元通貨の急変動が起きやすい新興国では困難が多い。現地で出資者を募るのも簡単ではない。

一方、中国勢は潤沢な資金を持ち、日米などの原発技術を欲しがっている。海外での受注実績をつくり、自国の原発産業を早期に育成したい考えもある。WHのロデリック氏は3カ国連合について「すべての国にとって利益となる」と述べ、中国と日米の利害が一致すると指摘する。

懸念もある。技術が中国に流出することだ。将来、中国企業が海外市場で一段と台頭する可能性が高まる。日本政府もこうした懸念を抱いている。中国と組んだことについて日本政府関係者は「事前にまったく聞いていなかった」と戸惑いを隠さない。

だが、東芝・WH関係者は「何十年も同じ技術を抱え込むのは無理。次の技術を開発すればいい」と話す。

こうした姿勢は中国をライバル視する三菱重工業とは好対照だ。三菱重工はトルコ・シノプで新型の原発、PWR「アトメア1」を建設する計画。シノプは日本の官民が中国勢と受注を競った案件だ。

三菱重工などが事業に出資し、日本政府は国際協力銀行(JBIC)の融資でファイナンスを支援する方針。だが、事業性の調査を進めるにしたがい、収益を確保する難しさが浮き彫りになっている。

原発の輸出拡大は日本の原発メーカーにとって重要な課題。国内で新規建設が見込めないなか、技術を維持し成長を果たすためには必要不可欠とみている。技術流出を覚悟して中国と手を組むのか、それともあくまで中国と真っ向勝負を貫くのか。トランプ次期米政権が中国に強硬姿勢をとるとみられることも、選択を難しくしそうだ。

(花房良祐)>以上

12/28日経ビジネスオンライン<東芝、原発事業で陥った新たな泥沼 減損額は数千億円か、始まった債務超過へのカウントダウン 小笠原 啓

「減損回避のために買収した企業が、1年後、新たな減損の火種になるとは思わなかった。まるでブーメランのようだ」。ある東芝関係者は12月27日、本誌の取材に対してこう漏らした。

東芝は同日、米国の原子力事業で数千億円規模の減損損失が発生する可能性があると発表した。米原発子会社ウエスチングハウス(WH)が2015年末に買収した企業の資産価値が、想定より下回ったのが原因だ。

会見した綱川智社長は「(損失の可能性を)12月中旬に認識した」と述べ、「経営責任を痛感している」と強調した。一方で具体的な損失額については「精査中で答えられない」として言及を避けた。年明けにも減損テストを実施し、2月中旬までに計上すべき損失額を算定する。

問題となったのは、WHが子会社化した米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)。原発建設におけるパートナーだった米エンジニアリング会社のシカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)から、2015年12月31日に「0ドル」で買収した。

買収後にWHがS&Wの経営状況を見直したところ、原発の建設プロジェクトなどでコスト超過が判明。資材や人件費などが想定よりも大幅に増えたという。その結果、S&Wの資産価値が当初の想定から大きく下がり、多額の損失計上が必要だと判断した。今後、数千億円規模の「のれん」を計上し、減損テストを経てその一部または全部を取り崩すことを検討する。

東芝は2017年3月期の連結最終損益を1450億円の黒字(前期は4600億円の赤字)と見込んでいる。数千億円の減損損失を計上すれば、最終赤字に陥る可能性が高い。

今年9月末の自己資本は3632億円。損失の規模によっては債務超過に陥る可能性すら出てきた。この点を問われた平田政善CFO(最高財務責任者)は「お答えできる状況ではない」と述べるにとどめた。

傘下に収めてわずか1年で、巨額減損の火種となったS&W。なぜ東芝とWHはこの企業を買収したのか。その理由を知るには、時計の針を1年ほど巻き戻す必要がある。

東芝の不正会計が発覚したのは2015年4月。7月に第三者委員会が2000億円以上の利益水増しを認定し、田中久雄氏ら歴代3社長が責任を取って辞任した。9月には東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定され、半導体や家電など複数の事業で厳しいリストラが始まっていた。

この間、一貫して焦点になっていたのがWHの減損問題だった。

電力会社との関係を修復する条件だったS&Wの買収

東芝は2006年に約6000億円を投じてWHを買収。買収価格とWHの純資産との差額、約3500億円の「のれん」を計上していた。買収後、リーマンショックや原発事故などで経営環境は激変したが、東芝は一貫して原子力事業は「好調」と説明し、巨額ののれん計上を正当化してきた。仮に不調を認めると減損処理を迫られ、経営危機に直面する可能性があったからだ。

一方で、原発建設の現場では「コストオーバーラン」が深刻な問題になっていた。WHは米国内で4基の原発を建設していたが、規制強化による安全対策や工事の遅延などでコストが増大し、事前の見積り額を超過するようになったのだ。

発注元の米電力会社はWHに超過分のコスト負担を求め、一部は訴訟に発展。工事を担当するCB&IとWHとの間でも、負担割合などをめぐって争いになっていた。こうした係争が深刻化して損失計上を迫られれば、WHの収益計画を見直さざるを得なくなる。すると、のれんの減損処理が現実味を帯びる。こうした事態を回避するために、東芝はS&Wを買収することで関係を整理することにした。

東芝は2015年10月28日、WHがS&Wを完全子会社化すると発表。プレスリリースには次のように記載されている。「米国のプロジェクトに関し現在訴訟となっているものも含め、全ての未解決のクレームと係争について和解する」。「価格とスケジュールを見直すことにも合意した」。

つまりS&Wを買収することが、電力会社との関係を修復する条件だったのだ。前述の東芝関係者は「S&Wを買収しなければ、WHは2015年中に減損処理に追い込まれていたかもしれない。資産査定などの時間は限られていたが決断せざるを得なかった」と振り返る。冒頭の「減損回避のための買収」とはこういう意味だ。

東芝は結局、2016年4月に原子力事業で約2500億円の減損損失を計上した。それが可能になったのは直前の3月に、東芝メディカルシステムズをキヤノンに約6655億円で売却できたからだ。

だが改めて数千億円の減損処理を迫られた場合、同じ手を使うのは難しい。過去1年でリストラを進めた結果、売れる事業が社内にほとんど残っていないからだ。資本増強の手段としてNAND型フラッシュメモリーの需要が旺盛な半導体事業の売却や、分社化して株式上場する案も考えられるが、それは東芝の「解体」と同義だ。

会見に志賀会長とWHのロデリック前社長は出席せず

東証から特設注意市場銘柄に指定されている東芝は、公募増資などの資本増強策が事実上取れない。12月19日には東証が指定期間を延長することを発表しており、2017年3月15日以降に東芝が提出する内部管理体制確認書で改善が認められなかった場合、上場廃止になる。平田CFOは会見で「銀行に状況を説明して協力を得たい」と述べ、金融支援の可能性に言及した。

日経ビジネスが繰り返し述べてきたように、WHの買収こそが東芝が粉飾決算を始めた「原点」だ。原子力での巨額買収の失敗を覆い隠すために、パソコンや社会インフラなど複数の事業部門が利益の水増しに手を染めた。S&Wの買収は、原発建設でのコスト超過に直面したWHが、それをカバーするために選んだ苦肉の策なのかもしれない。最初の失敗から負の連鎖が始まり、今なお新たな損失リスクを生みだしている。

なお、12月27日の記者会見には原子力事業を率いてきた志賀重範会長と、S&Wの買収時にWHの社長を務めていたダニエル・ロデリック氏(現エネルギーシステムソリューション社の社長)は姿を見せなかった。平田CFOによると両氏は「現地(米国)に飛んで、数字の精査をしている」という。>(以上)

IR法で菅官房長官は、パチンコや競馬競輪を含めてギャンブル依存症対策を講じるとのこと。良いことです。パチンコは脱税の温床且つ朝鮮総連経由で北に資金が流されています。入場時にはマイカードを提示させるようにし、且つ1日の上限枠を設定、且つ売上の5割は税金として国庫納付を義務付ければ10兆円(税)/20兆円(売上)で消費税増税しなくても済みます。日露戦争のための軍事費調達として課税されたビール税の小売価格に対する割合は、今の所42.2%もあります。(ビール酒造組合調べ)。それを考えれば、売上の半分を税金で取って依存症を減らすのは国民も賛成するのでは。反日民進党もきっと賛成に回るでしょう(笑)。パチンコの所管も警察ではなく、厚労省にして、規制した方が良いです。警察の天下り先で、公営でなく違法賭博なのに、取締りしてませんので。

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000090959.html

記事

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2016年7月、抗議デモが展開される中で決定したTHAAD配備だったが、韓国「離米派」の台頭で、中国が望む「配備撤回」への動きが勢いを増している(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

韓国で次期大統領を争うレースが始まった。裏で操るのは中国だ。

観光局長までが脅し

鈴置:朝鮮日報に興味深い記事が載りました。イ・キルソン北京特派員が書いた「中国に向けてろうそくを掲げられるか」(12月21日、韓国語版)です。

韓国の有力大統領候補が米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル防衛システム)の配備に反対の声を上げた。すると、中国政府の観光関係者までが「THAADに反対しろ」と韓国を脅し始めた――との書き出しです。要約しつつ訳します。

  • 12月15日、韓中両国政府の観光部局が北京で式典を開いた。中国の李金早・国家観光局長は祝辞で「最近、両国関係がTHAAD配備で新たな局面と課題に直面した。適切な方法を探し、観光協力強化のために条件を整えてほしい」と述べた。
  • 9月の北朝鮮の5回目の核実験後、中国の外交・国防部以外は公にTHAADを取り上げなかった。北の核に不安を増す韓国の世論を考慮したためだろう。
  • しかし「THAAD反対」を叫ぶ韓国野党の声が大統領弾劾の局面で大きくなり、文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表のような有力大統領候補が配備延期を主張すると、中国は観光局長までがTHAADを語り始めたのだ。

外から援護射撃

7月8日、米韓は在韓米軍へのTHAADの配備を正式に決めました。すると、それに強力に反対していた中国が韓国への嫌がらせに乗り出したのです。10月、中国政府は「韓国に行く観光客を20%減らせ」と中国の旅行会社に指示しました。

中央日報の「中国政府『韓国に行く中国人観光客20%減らせ・・・ショッピングも1日1回だけ』」(10月25日、日本語版)などが報じました。

影響が出始めています。2016年11月に韓国を訪問した中国人客は前年同月比1.8%増に留まりました。

2015年に韓国でMERS(中東呼吸器症候群)が大流行。反動で2016年8月には同70.2%増を記録するなど、訪韓中国人数は急回復していました。その伸びが一気に鈍ったのです。

聯合ニュースの「訪韓中国人客が伸び悩み 日本人は3割増=11月」(12月22日、日本語版)は「THAAD問題が響いた」との大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の分析を紹介しています。

当初、中国政府は訪韓観光の規制強化とTHAADは関係ないと説明していました。ところが朝鮮日報が書いたように、12月15日には国家観光局長がはっきりと「THAADを何とかしないと観光客をどんどん減らすぞ」と脅すに至ったのです。

韓国で文・前代表ら大物政治家が「THAAD反対」を叫び始めた時です。タイミングから見て「内側の声」に合わせ「外側からの圧力」を韓国政府にかける目的であるのは間違いありません。

韓流ドラマにも罰

韓流ドラマも同じパターンです。中国政府が映画、ドラマなど韓国製コンテンツを使うなとの「禁韓令」を放送局に指示したと11月、中国メディアは報じました。

同国政府はそれを否定していましたが12月20日になると、中国外交部の参事官が「禁韓令」に関する韓国記者の質問に答えて「まず、THAADを解決することが必要だ」と語りました。

国家観光局長と同様に韓国内で「離米派」が立ち上がった瞬間、方針を変更し、はっきりと「THAADを認めた罰だ」と言い渡したのです。

聯合ニュースが「韓流締め出しへの批判に『THAAD問題の解決必要』=中国高官」(12月21日、日本語版)で報じています。

毎日経済新聞の「中国の報復で非常燈が点いた対中事業・・・ロッテ税務調査、旅客中断、反ダンピング関税」(12月16日、韓国語版)は「THAADに対する報復」がオンライン通販、化粧品、石油化学製品、自動車関連など多様な業種に広がっていると報じています。

ゴルフ場でとばっちり

—記事の見出しに「ロッテ」が立っていますが。

鈴置:その部分を訳します。以下です。

  • 11月29日から、ロッテグループの中国内の(量販店)150余店舗が税務調査に加え、消防法や食品安全法による検査の対象となった。ロッテケミカルなど在中工場も同様だ。中国でこれほど厳しい「全方位検査」を受けるグローバル企業はなかった。
  • ロッテは中国での広告を停止した。ホームショッピング事業も売却を検討している。3兆ウォン(3000億円)をかけて瀋陽にロッテタウンを建設中だが、許認可が困難になるかもしれない。

—なぜ、ロッテがイジメに遭うのですか。

鈴置:米軍のTHAAD配備は住民の反対運動により、用地選定が難航しました。二転三転の結果、慶尚北道の星州(ソンジュ)郡にあるロッテグループのゴルフ場を軍が入手して米国に提供することになりました。

ロッテが頼んだわけではありません。とばっちりを食ったのです。でも、「泣く子と中国には勝てない」のです。

中国の威嚇で票稼ぎ

—韓国にとっても中国は「困った国」ですね。

鈴置:必ずしもそうとは言えません。「離米派」の大統領候補にすれば、中国は極めてありがたい存在です。

「離米派」は「3点セット」――THAAD配備、日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)締結、従軍慰安婦合意――の見直しを主張しています(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。

一方、中国がTHAAD配備容認に対する露骨な報復に乗り出しました。「3点セット」を見直さないと大変なことになる、との恐怖感が国民の間に広がるほど「離米派」は票をかき集められるのです。

—GSOMIAや従軍慰安婦合意も、中国と関係するのですか?

鈴置:大いに関係します。日韓GSOMIAに対し中国政府は明確に反対しています。「朝鮮半島の対立を深める」などと理屈をこねていますが、要は日米韓による中国包囲網を作らせたくないのです。

表「中韓の『慰安婦共闘』」を見れば分かる通り「慰安婦」でも両国は共闘体制を組んでいます。2014年7月の首脳会談で「慰安婦の共同研究」に中韓は合意し、共同声明の付属文書に盛り込みました。

中韓の「慰安婦共闘」

2014年7月3日
中韓首脳会談で「慰安婦の共同研究」に合意。共同声明の付属文書に盛り込む(聯合ニュース・韓国語版
2014年12月15日
韓国政府系の東北アジア歴史財団と、中国吉林省の機関、档案局(記録保管所)が慰安婦問題関連資料共同研究のための了解覚書(MOU)を締結(聯合ニュース・日本語版
2015年8月15日
中国国家公文書局が『「慰安婦」–日本軍の性奴隷』第1回文献テレフィルムを公式サイトで公表(人民網日本語版
2015年9月22日
サンフランシスコ市議会が「慰安婦碑または像の設置を支持する決議案」を全会一致で採択。運動の中心となったのは中国系団体(産経新聞)
2015年10月12日
中国外交部の華春瑩副報道局長、旧日本軍の慰安婦に関する資料について「ユネスコ世界記憶遺産への登録申請を他の被害国と共同で進める方針」(聯合ニュース・日本語版
2015年10月13日
韓国外交部の魯光鎰報道官、慰安婦資料のユネスコ世界記憶遺産に中韓が共同で登録申請することに関し「推進中の民間団体が判断すべきだ」。推進中の民間団体とは女性家族部傘下の財団法人、韓国女性人権振興院(聯合ニュース・日本語版
2015年10月28日
「中韓の慰安婦像2体」をソウル城北区に設置、除幕式。中韓の彫刻家が製作し、両国市民団体が支援(産経新聞

中国からすれば、米国の仲介による2016年12月の慰安婦合意は韓国の裏切りです。共同声明を証文に韓国に対し「慰安婦合意を破棄しろ」と圧力をかけることもできます。

米韓同盟の紐帯である「3点セット」の見直しを主張する「離米派」とは、中国の顔色をうかがう「従中派」でもあるのです。

意地を見せた韓経

—中国の報復に対し、反発は起きませんか?

鈴置:起きています。東亜日報は社説「ロッテにTHAAD報復し、北朝鮮制裁は真似だけする中国」(10月30日、日本語版)を載せました。

ただ、この記事は中国への反感を表明したうえで、中国依存度を下げようと呼び掛けただけです。私が見た限りですが、明確に中国に対抗しようと訴えたのは韓国経済新聞の社説「政府は中国の市場経済国(MES)の地位認定を撤回せよ」(12月2日、韓国語版)くらいでした。

—韓国政府は「市場経済国」と認定しているのですか?

鈴置:2005年、中国がWTOにおける「市場経済国」であるとの主張に韓国は賛成しました。今、中国の度重なるルール破りに怒った日米欧が「今後も認定しない」と言っているのと対照的です(日経「WTOの『市場経済国』、日本も中国を認定せず」参照)。

韓経は「ロッテなど我が国の企業があれだけ苛められているというのに、まだ認定すると言うのか」と韓国人に訴えたのです。ただ、韓経のように「意地」を見せたメディアは例外的です。

中国に屈する韓国紙

左派系紙はもともとTHAADなど「3点セット」に反対です。そして韓経以外の保守系紙は中国の報復に屈し始めました。

中央日報は社説「中国の偏狭なTHAAD報復・・・大国にふさわしくない」(12月3日、日本語版)を載せました。

見出しや本文では「中国の偏狭さ」を批判しています。韓国語版(12月2日)の見出しも同じです。でも、結論部分では次のように書いたのです。

  • 我々は中国が大局的な立場でTHAAD報復を撤回することを期待する。韓国政府もTHAAD導入において中国の立場を十分に配慮する措置が求められるだろう。

中国が報復を撤回するとは考えにくい以上、「中国の立場に配慮」とは「THAAD配備を拒否」を意味するのです。中央日報はもともと「拒否派」です(「『南シナ海』が加速させる『韓国の離脱』」参照)。

中国で「日本より下」に

—最大手の朝鮮日報は?

鈴置:中国に詳しい政治部のアン・ヨンヒョン次長が「中国の統一戦線戦術」(12月10日、韓国語版)を書きました。まず、中国が日本に対して以上に、韓国に冷たくなったと指摘しました。

  • 11月22日に北京で開かれたアキヒト日王(天皇)の誕生日祝賀会には、中国外交部の劉振民・副部長(次官)が壇上に上がり、中国駐在の日本大使と乾杯した。
  • 一方、10月19日に駐中韓国大使公邸で開かれた開天節(韓国の建国記念日)のパーティには中国外交部の課長が出席しただけだった。毎年、次官補級以上が参加していたというのに様変わりだ。
  • 中国は韓中共同戦線を組むことで日本を圧迫してきた。しかし、7月にTHAAD配備の発表に韓米同盟の強化を見て取ると、日本との関係改善を模索する姿勢を打ち出した。

中国が日本との関係改善に動いているとは言い切れません。ましてそれがTHAADのせいだ、というのは韓国人特有の天動説的発想と思います。

ただ、韓国人読者がこれ読めば「やはり、THAADが諸悪の根源だ」と思うでしょう。アン・ヨンヒョン次長は次のように結論付けました。

  • 中国共産党は国益のためには過去と理念にこだわらず、統一戦線戦術を繰り広げる。THAAD報復に怒るだけで、米国と北朝鮮だけを見つめる外交手法では中国のこの戦術に当たるのは難しい。

はっきりと「THAAD配備に反対する」とは書いていません。しかし「北朝鮮と米国だけを見つめる」とは「北の核ミサイルに対抗することだけを考える」ということです。

アン・ヨンヒョン次長は「それではダメだ」――つまり「THAAD配備を再検討しよう」と説いたのです。

脅せば従う韓国人

—韓国はTHAAD拒否に向かって雪崩を打っているのですね。

鈴置:ええ。7月に米韓がTHAADの配備を正式に決めた直後、人民日報の姉妹紙「環球時報」は「5つの対韓制裁」を発表しました(「『中国陣営入り』寸前で踏みとどまった韓国」参照)。

「環球時報」の英語版「Global Times」の記事「China can counter THAAD deployment」(7月9日)で読めます。

■環球時報が中国政府に建議した「5つの対韓制裁」

(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止 (2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止 (3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応 (4)対北朝鮮制裁の再検討 (5)ロシアとの共同の反撃

注)環球時報の英語版「Global Times」では「China can Counter THAAD Deployment」(7月9日)で読める。

THAADに関し「協力した韓国企業製品の輸入禁止」だけでなく「賛成した政治家の入国禁止」も明言しています。

訪中できなければ韓国の大統領はやっていけません。大統領選挙で「THAAD賛成」を明確に訴えられる政治家はまず、いないと思います(「『習近平のシカト』に朴槿恵は耐えられるか」参照)。

ただ、これまでは1つ問題がありました。政治家として「中国の報復が怖いからTHAADに反対する」とは言えなかったことです。

韓国人の多くも本音では「不愉快でも中国の言うことを聞くしかない」と思っています。意識調査を見ても「中国が最も重要だ」と答える人が「米国」と答える人を上回っているのです。

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冒頭に引用した朝鮮日報の「中国に向けてろうそくを掲げられるか」(12月21日、韓国語版)に以下のくだりがあります。

  • 中国は我々を「強く出れば頭を下げる民族」として扱う。「歴史的に統一した中国に対し、韓国はただの一度も抗ったことがない」ということだ。
  • 「中国側に立てば10倍の褒美をやるというのに、なぜ、中国に反旗を翻し10倍の罰を受けるのか」ということでもある。

2匹目の「ドゥテルテ」

—「脅せば言うことを聞く」と、中国にすっかり見切られていますね。

鈴置:だからこそ、韓国の政治家は「中国の報復を避けるためTHAADは拒否しよう」との本音は言いにくかった。

それが朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の弾劾騒動で「THAAD反対」の言い訳ができたのです(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。

「朴のやったことはすべて悪い」との雰囲気が盛り上がる中、離米派は「あれは『朴印』の政策だから反対する」と言えばいいのです。「従中派」のレッテルを張られず「従中」できるようになったのです。

—「離米派」と中国の共闘が始まったのですね。

鈴置:その通りです。中国が報復カードをちらつかせるほどに「離米派」の票は増える。それにより「離米派」の大統領が誕生すれば、韓国は自動的に「従中」する。明快な共闘の構図です。

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中国は目を細めて韓国のドゥテルテ(Rodorigo Duterte)たち――米軍は出て行けと叫ぶフィリピンの大統領――を眺めているでしょう。

「離米」に警告したトランプ側近

—米国はどうするつもりでしょうか。

鈴置:12月20日になって、トランプ(Donald Trump)次期政権から「見解」が明かされました。国家安全保障問題担当の大統領補佐官に就任する予定のフリン(Michael Flynn)元陸軍中将が韓国の外交部と国防部の高官に以下のように語りました。

東亜日報の「フリン次期国家安保補佐官、在韓米軍とTHAAD配備は韓米同盟の正しい決定」(12月22日、日本語版)から引用します。

  • 米軍とTHAADの(韓国への)配備は、韓米同盟次元の正しい決定であり、韓米同盟の堅固さを象徴するものだ。

もちろん「在韓米軍を追い出したり、THAAD配備を拒否したら米韓同盟がなくなると思えよ」という意味です。韓国に広がる「離米ムード」に警告したのです。

—ズバリ、言いましたね。

鈴置:でも、米国とスクラムを組む政治家が出てきそうにないのも事実です。中国と共闘したがる政治家はいっぱいいるのに。

—「親米派」の国民もいるのでは?

鈴置:もちろん残っています。「親中政権ができたら移民する」という人もいます。親米クーデターを考える人も出てきました。

※2017年は1月1日付で「2017年の日韓関係を占う(仮題)」を掲載します。

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『緊急連載 先読みトランプ 「素人外交」世界に波紋 最終回 変わる世界のパワーバランス』(日経ビジネス2016年12月26日・2017年1月2日号)、『トランプ氏、中国空母に鉄槌! 米国への挑発に猛反発必至 海上民兵の尖閣上陸もあり得る』(12/27ZAKZAK)について

トランプが第二のレーガンを目指すのであれば、SDIに代わる政策を打ち出すかもしれません。レーガンの敵はソ連でしたが、今回は中国です。如何に経済的結び付きが強くとも、中国が世界覇権を目指していることがはっきりしていますので、妥協の余地はないでしょう。国益の観点から言っても、従来米国の持っていた利益が損なわれるのは必定ですから。太平洋を何故米国が二分割して中国にくれてやる必要がありますか。米国の第二次大戦の戦利品です。米兵の血で贖ったもので、中国が戦争で勝ちとった訳ではありません。中国が太平洋、南シナ海に出てこようとするなら、早晩ぶつかることは間違いありません。ぶつかるのであれば、相対的に米国の力が弱まる前の方が良いに決まっています。

「肉を切らせて骨を絶つ」精神が必要です。日経は経済紙ですので、米中戦わば、経済的混乱が起きることを恐れていますが、そもそも戦闘が始まる前に、経済制裁をお互いにしあうのでは。戦前の日本の場合は一方的に制裁されましたが。トランプはまず経済的に締めあげて、中国の軍拡を押えようとするはずです。日本も経済面で中国との取引が減りますが、戦争するより良いでしょう。経営者は中国事業を授業料として諦めることです。そもそも人口の多さに幻惑され、「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という信義誠実の原則が成り立たない国でビジネスしようとしたのが間違いですので。

日米露で準軍事同盟ができれば、日本の安全は飛躍的に高まります。勿論、ロシアはスターリンが日ソ中立条約を無視して日本を攻めましたが、所詮銀行強盗上りの共産主義者です。今のプーチンは柔道精神を大事にし、日ソ共同宣言を履行して、平和条約を結びたいと思っていると思います。ロシアにとっても国境線を接し、シベリアに中国人が増殖し、北極海航路を耽耽と狙っている中国は脅威です。如何に核大国で軍事大国のロシアと雖も、GDP比でみれば中国11,186B$:ロシア1,326B$と、ロシアは中国の1/10くらいしかありません。勿論、中国の公称のGDPが信用できないというのはありますが、継戦能力がないことは明らかです。ロシアにとって日米と準軍事同盟を結ぶことは悪い話ではないと思います。問題は、グローバリズムに染まった国際金融資本の影響を受けた米国議会が米ロの提携に難色を示すことと、北方領土に米軍基地を置かないことを米国が認めるかと言う点と思います。

藤井厳喜氏はトランプが大統領就任してすぐに経済制裁を中国に課し、「大統領令による『在米資産の凍結』だが、その前に特定個人や企業への制裁」と言っています。中国も米国の本気度に恐れをなすのでは。今の人民解放軍のレベルでは勝ち目がないのに、虚勢をはっても、コテンパンにやられるだけです。田村秀男氏は12/24ZAKZAKで「中国 止まらぬ資金流出、人民元の下落 習政権の慢心が自滅招く」という記事を書いています。先ずは中国を経済的に困らせることが大事かと。

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20161224/ecn1612241530002-n2.htm

日経記事

「偉大なる米国の復活」を掲げて次期大統領の座を手にしたドナルド・トランプ氏の外交手腕は未知数とされてきた。ツイッターの書き込みや主要閣僚人事には「素人」との批判が上がるが、「意外に戦略的」との見方も。少なくともオバマ政権とは異なる新たな秩序を築こうとしているのは間違いなく、世界はそれに身構えている。

中国を挑発する言動を連発

●トランプ氏の最近の行動や発言

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トランプ次期大統領(右上)は台湾の蔡英文総統(右下)と電話会談したほか、ツイッターなどで中国を非難。中国の習近平国家主席(左)はどう対応するか(写真=左:ロイター/アフロ、上:ロイター/アフロ、下:AP/アフロ)

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「米中関係が悪くなっても、米ゼネラル・モーターズ(GM)製自動車の販売に大きな影響はないと信じている。中国最大手メーカーの上海汽車集団との合弁事業だし、ディーラーは現地資本だから。しかし大統領就任後のトランプ氏の動きは気になる」

12月中旬、中国・上海でGM車などを販売する李方氏は、ドナルド・トランプ氏の次期米大統領就任について、わずかな不安を口にした。

GMは昨年、中国での新車販売台数で独フォルクスワーゲン(VW)を抑えて3年ぶりに海外メーカーとしてシェアトップに返り咲いた。GMが昨年、世界で販売した約996万台のうち、実に3分の1強を中国市場で売った。同社にとって中国は決して失うことのできない大切な市場だ。

だが、トランプ氏の最近の言動は、近年の米国と中国の安定した関係の上に築かれてきたビジネスにも影響を与えかねない。

そもそも米大統領選の直後まで、中国にはトランプ氏に対する楽観論があった。ビジネスマン出身のトランプ氏は交渉できる余地があり、人権など中国が抱える問題の根幹を突いてくる可能性の高いヒラリー・クリントン氏よりくみしやすいといった見方だ。

ツイッターで中国を批判

だが今月に入ってからトランプ氏は中国を挑発する言動を繰り返している。

12月2日、トランプ氏は台湾の蔡英文総統と電話で約10分間、会談した。米国の大統領や次期大統領と台湾の総統の会談が明らかになったのは、1979年の米国と台湾の断交以来、初めてのこと。さらにトランプ氏は12月11日、FOXニュースのインタビューで「1つの中国になぜ縛られなければならないのか」と再び台湾の問題に言及した。

中国は台湾を自国の一部とする「1つの中国」の政策を堅持しており、台湾を国家として認めていない。米国も79年の米中国交正常化後、「1つの中国」の原則を守ってきた。

96年には中台関係が悪化、中国が台湾に向けミサイルを発射し、米国が空母を派遣する事態に陥ったこともある。台湾を巡る問題は、米中関係で最もデリケートなテーマの一つだが、トランプ氏は台湾問題をも中国との取引材料に使う勢いだ。

トランプ氏の中国への挑発はさらに続く。12月4日には、ツイッターで「中国は我々に南シナ海で大規模な軍事施設を建設していいかどうか了承を求めたか。私はそうは思わない」などと中国を批判した。さらに12月15日に米海軍の無人潜水機が南シナ海の公海上で中国海軍に奪われたことを受けて、トランプ氏は17日、再びツイッターで「前代未聞の行為だ」と非難した。

「外交の素人」ゆえの振る舞い──。トランプ氏の言動はそう受け取られることが多い。しかし米国と中国、ロシアの3カ国に駐在経験のある商社関係者は「相当したたかだ」と言う。

その象徴が国務長官に親ロシア派と目される米エクソンモービルCEO(最高経営責任者)のレックス・ティラーソン氏を充てるという人事だ。「政治経験のないティラーソン氏の国務長官就任の含意は、どちらかと言えば米国よりも中国寄りのロシアとの関係を改善し、3カ国のパワーバランスを見直すつもりなのだろう」(同)と分析する。

日本企業も報復の巻き添えに?

中国へのトランプ氏の強硬な姿勢が続けば、経済にも影響が及びかねない。同氏はかねて中国製品に高関税をかけると公言しており、実行に移せば中国側も米国製品に高い関税をかけるといった報復措置に出ることが考えられる。ロイター通信は専門家の話として、中国政府が報復対象となり得る米企業のリストを作成していると報じている。

米国勢調査局によると、2015年の米中間の貿易額は約6000億ドル(約70兆円)に達する。米中関係が緊張した20年前の1995年と比べると10倍超に膨らんでいる。両国の経済関係の悪化が世界の経済に及ぼす影響は過去とは比べものにならないほど大きい。

中国に駐在する日系商社の幹部は「中国が米国に対し報復措置を取れば、日本企業も巻き込まれかねない。今後の中国ビジネスがどうなるかは予断を許さない」と話す。米国企業以外にも規制の網がかかり、日本企業の事業も落ち込みかねないとの見立てだ。

中国に対する厳しい言動から透けるのは、新たな国際秩序を築こうというトランプ氏の意志だ。大統領就任後に取る対中政策は2017年の世界経済の最大の波乱要因になる可能性がある。

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欧州では2016年、各国で既存の政治に「ノー」を突きつける動きが広がった。移民、難民、経済格差など、国民の鬱積した不満が爆発。6月に英国は欧州連合(EU)からの離脱を決め、12月にイタリアでは憲法改正を否決。マッテオ・レンツィ首相(当時)が退陣した。さらに、国民の不満を巧みに拾い上げ、「打倒既存政治」を掲げる極右政党が躍進しており、トランプ氏の大統領選勝利後、勢いを増している。

「東欧からの移民には労働許可証制度を導入すべきだ」。今年11月、オランダ地元メディアの掲載した記事が、EU加盟国に波紋を広げている。発言の主は、同国のローデワイク・アッシャー副首相。社会・雇用相も兼務するアッシャー氏は、これまで移民に寛容な姿勢を示す人物として知られてきた。ところが、最近になって移民の扱いに対する考え方を転換。早急な移民管理の必要性を訴え始めた。

現実には、EU加盟国の国民に労働ビザの取得を義務付けることは難しい。EUの基本理念の一つである「人の移動の自由」に反するからだ。それでもアッシャー副首相が移民制限を主張し始めたのは、来年3月に予定されている総選挙を意識しているためだ。

同選挙で躍進が予想されているのが、「反移民」を掲げる極右政党の自由党だ。党首のヘルト・ウィルダース氏は移民に対する過激な発言で知られ、12月にはモロッコ移民への差別発言で有罪判決を受けた。

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欧州では極右政党が躍進。ウィルダース氏(左)とルペン氏が注目される(写真=左:ロイター/アフロ、右:AP/アフロ)

「オランダのトランプ」躍進

にもかかわらず、移民流入に不満を抱くオランダ国民からの支持は高い。11月に実施された世論調査では、自由党の支持率は与党の自由民主党を抑えてトップに立った。トランプ氏とも親交があると言われるウィルダース党首はトランプ氏と似た主張を繰り返し、「オランダのトランプ」の異名を持つ。

アムステルダムは国際都市として、多国籍企業が欧州拠点を構えてきた。英国のEU離脱後、ロンドンに代わる都市としても注目を集めている。だが、仮に右翼勢力が台頭すれば、これまで築き上げてきた国際都市のステータスが崩れる恐れもある。

オランダ同様に極右政党の躍進に戦々恐々としているのが、2017年4月に大統領選を予定しているフランスだ。現職のフランソワ・オランド氏に代わり1月に選出される与党候補、既に出馬を表明した最大野党の共和党のフランソワ・フィヨン元首相、そして極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首の争いになると見られている。

なかでも「反EU」「反移民」を掲げるルペン氏のFNは、着実に支持を高めており、2015年の地方選でも注目を集めた。ルペン氏は、大統領に就任した場合、「EU離脱を問う国民投票を実施する」と明言している。

秋に予定されるドイツ連邦議会選挙も懸念が広がる。2016年12月にキリスト教民主同盟(CDU)党首に再任したアンゲラ・メルケル首相は、EUの枠組みを維持する最後のとりでと目されている。しかし難民受け入れを続ける政策へのドイツ国民の不満はくすぶり、反難民を掲げる極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)は勢いを増している。

欧州版TPPへの影響も必至

米国との経済関係も不安要因だ。トランプ氏がTPP(環太平洋経済連携協定)から撤退を宣言すると表明したことなどから、欧州版のTPPとも言える、環大西洋貿易投資協定(TTIP)を巡る交渉も、不透明感が増している。

特にドイツにとって米国とメキシコの関係悪化は自国の製造業を考えると頭の痛い問題だ。これまでVWグループや独BMWはメキシコに生産拠点を開設、NAFTA(北米自由貿易協定)を活用して米国への輸出を増やしてきた。米国とメキシコの関係が悪化すれば、戦術を見直す可能性が出てくる。

東欧の安全保障も懸念事項だ。トランプ氏がロシアとの関係改善を進めれば、ロシアの東欧での影響力が増しかねない。シリアでは政府軍とロシア軍がアレッポを制圧するなど中東地域の力関係も変わる可能性がある。

トランプ氏は欧州が進めてきた温暖化対策の国際的な枠組みにも懐疑的な見方を示している。英国との離脱交渉開始、主要国での選挙に加え、トランプ氏にどう対峙するか。EUの苦悩は深まりつつある。

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トランプ次期大統領の存在は日本の外交や経済にも影響を及ぼしつつある。

12月15、16の両日に行われた日ロ首脳会談。安倍晋三首相はウラジーミル・プーチン大統領と北方領土問題を含む日ロ間の平和条約締結に向け北方四島での共同経済活動に関する協議の開始で合意し、記者会見などで「平和条約への重要な一歩だ」と強調した。

経済協力をテコに日ロの信頼関係を深め、領土問題の解決につなげようというのが安倍首相の基本戦略。会談に合わせ日本側が提案した8項目の対ロ経済協力プランに基づき、約80件の経済協力に関する合意文書を交わした。だが北方領土の主権を巡る溝は埋まらず、領土問題の解決に直接つながる合意は得られなかった。共同経済活動の枠組みに関する協議も難航は必至だ。

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安倍晋三首相とプーチン大統領の会談にも影響を与えたとみられる(写真=読売新聞/アフロ)

今年5月や9月の安倍首相との会談で領土問題の解決に前向きな姿勢をにじませていたプーチン氏だったが、その後、態度を一変させた。領土問題で弱腰を見せればプーチン氏の政権基盤が揺らぎかねないといったロシアの国内事情に加え、大きな要因と見られるのがトランプ氏の大統領選での勝利だ。

オバマ米大統領とプーチン氏の仲は険悪と言える状況だ。EUもロシアと対立を深めている。米から圧力を受けながらも安倍首相がプーチン氏との関係強化を進めたのは、欧米の包囲網に直面するロシアに接近することでプーチン氏との信頼関係を構築し、領土交渉の前進と東アジアの安全保障を脅かす中国をけん制する狙いからだった。

だが、トランプ氏は国務長官にプーチン氏と親交のあるティラーソンCEOを起用するなど、ロシアとの関係改善に取り組む姿勢を鮮明にしている。ロシア経済を揺さぶってきた原油安も減産合意で一服しており、「政治・経済両面で日本との関係打開を急ぐ必要性が急速に薄れたのだろう」と政府関係者は指摘する。

利上げ・保護主義に警戒感

中東で戦闘指揮経験があるジェームズ・マティス元中央軍司令官を国防長官に充てるなど、トランプ氏は外交面では中東を重視する姿勢も見せている。その一方で対アジア政策の方向性は不透明だ。10ページでも見たように、トランプ氏は中国に強硬姿勢をちらつかせており、今後、南シナ海などで緊張が高まる恐れがある。

安倍首相は1月にも行われるトランプ氏との首脳会談で日米の緊密な連携を確認したい考えだ。ただ外務省幹部は「韓国政治の混乱が続く中、対中、対北朝鮮外交の基軸である日米韓の連携に揺るぎがないことを早く示さないと、中国、北朝鮮に隙を与えることになりかねない」と懸念する。

トランプ氏の勝利後に一変した市場環境の先行きはどうか。トランプ氏は大規模減税やインフラ投資などに注力する意向を表明。財政拡張路線を先取りして世界のマネーが米国に回帰し、ドル高・円安、日米などでは株高、金利高が進んでいる。米経済の改善を踏まえて米連邦準備理事会(FRB)も1年ぶりの利上げに踏み切った。

トランプ政権が掲げる大型減税などがある程度実現すれば米経済の成長が加速し、米長期金利やドルの一層の上昇につながる可能性がある。円安が進めば日本の輸出企業の収益改善を後押しする一方、食料品や原材料価格の値上がりが消費を冷やす恐れも出てくる。

米経済が過熱するようだとFRBの利上げが加速し、新興国からの資金流出や通貨急落リスクが高まりかねない。米国内の雇用維持に主眼を置くトランプ氏がドル高を嫌い、FRBに政治介入する可能性もささやかれる。米議会との調整が壁となってトランプ氏の政策の実現性に疑問符がつけば、日本を含む世界の市場が揺さぶられかねない。

保護主義への傾斜も大きな懸念だ。TPP離脱やNAFTA再交渉の方針をどのように具体化していくのかは不透明だが、これらが実行されれば企業のグローバル展開の阻害要因になるだけでなく、安倍政権の成長戦略にとって大きな痛手となる。

トランプ氏が特定の貿易相手国や海外企業に批判の矛先を向けるリスクへの警戒感もじわり広がっている。政府はEUとのEPA(経済連携協定)など大型の経済連携交渉の加速を目指しているが、経済産業省幹部は「2017年は日本の経済連携戦略が正念場を迎える年になりそうだ」と漏らしている。

(上海支局 小平 和良、ロンドン支局 蛯谷 敏、編集委員 安藤 毅)

ZAKZAK記事

習近平国家主席率いる中国が、新たな軍事的挑発を仕掛けてきた。同国初の空母「遼寧」の艦隊が25日、沖縄県の宮古海峡を通過して西太平洋に進出したのだ。「対中強硬姿勢」を明確にするドナルド・トランプ次期米大統領を牽制するとともに、弱腰が指摘されるオバマ政権の間に「第1列島線」(九州-沖縄-台湾-フィリピン)を突破した既成事実を示したかったのか。経済・安全保障面で、断末魔の苦しみに直面しそうな中国が暴発する危険性とは。今後、トランプ氏が猛反発するのは確実だ。  夕刊フジは19日発行の「スクープ最前線」(ジャーナリストの加賀孝英氏執筆)で、《中国が暴走する危険がある》《南・東シナ海で決起行動に出かねない》《沖縄県・尖閣諸島も危ない》と警鐘を鳴らしたが、やはり中国は動いた。  防衛省統合幕僚監部は25日、中国初の空母「遼寧」が同日午前10時ごろ、宮古海峡を太平洋に向けて通過したと発表した。海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」と、那覇基地所属のP3C哨戒機が確認した。  遼寧が太平洋に進出したのを海自が確認したのは初めて。領海侵犯はなかったという。  遼寧は、ルーヤンIII級ミサイル駆逐艦、ジャンカイII級フリゲート艦など5隻とともに艦隊を組んでいた。海自は24日午後4時ごろに東シナ海中部の海域で初めて遼寧を発見しており、動向を追っていた。  防衛省はまた、25日午後にジャンカイII級フリゲート艦からZ9ヘリコプターが発艦し、宮古島領空の南東約10キロから30キロの空域を飛行したと発表した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。  伊藤俊幸・元海上自衛隊呉地方総監(元海将)は「中国側は『訓練の一環だ』と言うだろうが、これは訓練レベルが上がるのを意味しており、米国への挑発と言える。トランプ氏に『1つの中国』を否定されたことへの意趣返しとみられ、示威的に力を見せ、出方を見たいのだろう」とコメントした。

遼寧は、ウクライナから購入したスクラップ状態の空母「ワリヤーグ」を、遼寧省大連で改修したもので、2012年に就役した。全長305メートル、全幅73メートル、排水量6万7500トン。  米海軍横須賀基地を母港とする米原子力空母「ロナルド・レーガン」が、全長333メートル、全幅77メートル。排水量は約10万1400トンだけに、大きさは大差がないが、性能は大違いだ。  ロナルド・レーガンは原子力空母のため、長期間連続航海が可能で、航行速度も速い。遼寧には、航空機を甲板から空中へ飛ばすカタパルト(射出機)がなく、甲板前部を坂にしたスキージャンプ式の発艦しかできない。艦載戦闘機「殲(せん)15」(J15)も重いと飛び立てないため、ミサイルや爆弾などのフル装備は不可能とされる。  軍事研究家は「パイロットの訓練の精度からみても、複雑な空母の運用は困難」と見る向きが多い。だが、中国が米海軍の無人潜水機を強奪したのに続き、空母を西太平洋に進出させる「対米強硬姿勢」に出たことは見逃せない。  背景には、トランプ次期政権の「対中強硬姿勢」が考えられる。  トランプ氏は、安倍晋三首相といち早く会談し、ロシアのプーチン大統領にも好意的なメッセージを送ったが、習氏の中国には批判的だった。  選挙中から「中国は為替操作国だ」と断じ、米国の雇用を奪っていると繰り返し批判。「中国からの輸入品に45%の関税をかける」と主張した。  通商政策などをホワイトハウスに助言する「国家通商会議(NTC)」の新設を決め、委員長に「対中強硬姿勢」で知られ、中国の政策を強く批判する著書を執筆してきた、カリフォルニア大学アーバイン校のピーター・ナバロ教授を充てると発表したのだ。

安全保障面でも、国防長官にジェームズ・マティス元中央軍司令官(退役海兵隊大将)、大統領補佐官にマイケル・フリン元国家情報局長(退役陸軍中将)ら「対中強硬派」の指名を決めた。  さらに、トランプ氏は台湾の蔡英文総統との電話会談に踏み切り、FOXテレビのインタビューで、「なぜ、『一つの中国』政策に縛られる必要があるのか分からない」と発言した。中国が「核心的利益」と位置付ける台湾問題で、「一つの中国」政策を見直す考えを示したのだ。  完全に中国は追い込まれ、習氏は大恥をかかされた。  中国には「死不認錯」(=死んでも間違いを認めない)という言葉がある。自分に非があっても謝らないし、勝てない相手にも弱みを見せない。 冒頭の「スクープ最前線」でも指摘したが、事実上、「死に体」状態であるオバマ政権の間に、中国が軍事的暴発に踏み切る危険性があるのだ。  前出のナバロ氏の著書『米中もし戦わば』(文芸春秋)には、米中戦争の「引き金となるのはどこか?」という分析が各章に分けて行われている。「台湾」「北朝鮮」に続き、3番目に「尖閣諸島の危機」がある。「ベトナムの西沙諸島」「南シナ海の『九段線』」より前であり、「危険度が高い」とみているようだ。  今後、習氏はどう動き、トランプ氏はどう対抗するのか。  国際政治学者の藤井厳喜氏は「ナバロ氏が国家通商会議のトップに決まったことで、トランプ政権は『経済と安保の両面で中国を追い込む方針』だと明白になった。断末魔にある中国は、オバマ政権の間に、できる限り、既成事実を積み重ねるつもりだろう。海上民兵の尖閣上陸も十分あり得る。トランプ氏は就任前は『許し難い暴挙』などと言葉でけん制しながら、就任直後から一気に動くはずだ。伝家の宝刀は大統領令による『在米資産の凍結』だが、その前に特定個人や企業への制裁を科すのではないか。台湾との関係強化も進めるだろう」と語っている。

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『アメリカに冷たくされたタイに食い込んだ中国兵器 オバマの理想主義がもたらした中国の“成果”』(12/22 JBプレス 北村淳)について

本記事を読みますと、日米で中国と言うモンスターを造り上げてしまった感を強くします。日本の大東亜共栄圏を日本に替わり実現しようとしているのでしょう。日本の五族協和とは違い、人民からの収奪が目的でしょうけど。日本も戦後委縮し過ぎです。米国が日本を押さえつけてきたせいもありますが。一帯一路政策が成功してしまうでしょう。

オバマは無能と言うか、世界に害を為しただけという気がします。リベラルというのは共産主義を認めるのでしょう。リベラルは、語源はリベレイトで黒人奴隷解放から来ています。まあ、中共もチベット侵略も農奴からの解放と主張していますが。そもそも人民解放軍と言う名前からして英語名がPeople’s Liberation Armyと言うのですから、リベラルと共産主義は相性が良いのでしょう。でも、オバマのように軍を嫌うのは珍しいです。日本の左翼リベラルと同じで、敵に陣地を明け渡す作戦なのかも知れません。こういう人物がノーベル平和賞なのですから、ノウルエー人も人を見る眼がありません。

タイはブミポン国王が逝去され、新しいワチラロンコン国王が就任されました。不倫問題等で国民の人気はイマイチと言われていまして、中国が介入する余地は沢山ありそうです。ネパールのように王制を打倒し、ネパール共産党毛派が牛耳っているように。ネパールのルンビニはお釈迦様がお生まれになった土地で有名ですが、今の宗教はヒンズーでインドの影響が大きい所にも中国は手を突っ込んできている訳です。

日本も沖縄独立を中国国内で喧伝し、中国人に刷り込みをしていますし、沖縄の左翼2紙を反基地運動のアジビラにして煽動しています。騙される方が悪いとはいえ、中国の人権弾圧の政治について沖縄県民は危機感が足りません。翁長を県知事に担いでいるようでは危ないでしょう。日本の公安調査庁と米国議会報告で反基地闘争の裏には中国がいるというのを明言しました。マスメデイアは殆ど報道していません。

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-a146.html

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47344

12/21日経でもこの内容はスルーされております。中国に不利になる記事は流さない「日中記者交換協定」を墨守しています。これで社会の木鐸を気取るのですから、どうしようもありません。情報はネットで取った方が正しい情報が取れ、正しい判断ができます。

12/21日経<「サイバー攻撃深刻化」 公安調査庁が回顧と展望 

公安調査庁は21日、国内外の治安情勢をまとめた2017年版の「内外情勢の回顧と展望」を公表した。「サイバー攻撃の脅威が多様かつ深刻化している」と分析。20年東京五輪に向けて警戒を一層強める必要があると強調した。

回顧と展望によると、リオデジャネイロ五輪・パラリンピックでは、公式サイトに約2千万件のサイバー攻撃が確認された。企業などから重要情報が盗み取られるケースに中国や北朝鮮、ロシアなどの関与が指摘されているとした。

一方、国内ではオウム真理教から改称した「アレフ」が今年5月、札幌市に最大規模の施設を新たに確保するなど「危険な体質を維持している」と記した。信者の数は昨年と同じ約1650人で、10月末時点の資産は約9億1千万円としている。〔共同〕>(以上)

記事

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タイ陸軍が米国製M41戦車の後継として発注した中国のVT4戦車(出所:Wikipedia)

中国の軍事的・外交的拡張戦略の進展は、南シナ海だけにとどまらない。南シナ海での人工島建設や基地群誕生のように大々的に取り上げられることはないが、タイとの軍事的関係の親密化も目を見張る勢いで推進されている。

露骨にタイに冷たく接したオバマ政権

2014年5月、タイで政治的混乱を鎮定することを大義とした陸軍が中心となってクーデターが敢行され、8月にはプラユット陸軍総司令官が国王から首相に任命され軍事政権が発足した。

それ以降、軍事政権を一律に忌み嫌うオバマ大統領は、タイに対して露骨に冷たい姿勢を示し始めた。

オバマ政権の方針により、それまでタイ軍部と親密な交流を続けてきていたアメリカ軍部も、合同演習などの規模を縮小したり、中止したりせざるを得なくなった。そのため、東南アジアや極東軍事戦略を担当していたアメリカ軍関係者などの間からは、「アメリカ軍とタイ軍の関係が疎遠になってしまうと、その隙に乗じて中国人民解放軍の影響力が強まりかねない」といった危惧の声が上がっていた。

その心配は的中した。オバマによるタイ軍事政権に対する“冷たいあしらい”が始まるやいなや、中国側からタイ軍事政権への軍事的・経済的なさまざまなアプローチが開始されたのである。

本コラムでも指摘したように、2015年夏には、中国によるタイ海軍への潜水艦売り込みに関する具体的情報が流れ始めた。国防予算の関係でこの年の取引は白紙となったが、中国側が“経済的パッケージ”を提供したことで、2016年の夏には3隻の中国製「元型S26T」潜水艦をタイ海軍が手にすることが決定した(本コラム2016年7月14日「潜水艦3隻購入で中国に取り込まれるタイ海軍」)。

潜水艦は国家機密の塊ともいえる軍艦である。そのような潜水艦をタイ海軍に売却し、潜水艦要員の教育訓練や合同演習などを行うことで、人民解放軍海軍とタイ海軍の結びつきは強固になっていく。そして中国側は、潜水艦売却に加えて、継続的に必要となるメンテナンスや修理などを通して経済的利益をも手に入れることになったのである。

今度は新鋭地対空ミサイル

オバマ政権がタイ軍事政権を敵視する政策をとることは、中国にとって好機に他ならない。中国はこの機に乗じて、軍事上の利益と経済的利益を手中に収めつつ、中国国防圏をタイにまで拡大していこうとしている。その戦略は潜水艦取引にとどまらない。

12月13日、タイ空軍は、中国の「中国精密机械进出口总公司」(CPMIEC:中国国営の防衛企業。主としてミサイルや防空システムに関連した兵器や技術の輸出の代理店)から輸入したKS-1C中距離地対空ミサイルシステムを公開した。

1980年代以降、タイ空軍は短距離(最大射程10キロメートル以下)地対空ミサイルをイギリス、スイス、スウェーデンなどから輸入していた。だが、その後、それらは中国製のQW-2短距離地対空ミサイルに置き換えられてきた。そして今回、最大射程距離70キロメートル、最大射程高度27キロメートルとこれまでの短距離地対空ミサイルに比べると極めて高性能のKS-1C中距離地対空ミサイルを、タイ空軍は手にすることになったのだ。

KS-1Cは人民解放軍(陸軍と空軍)が使用しているHQ-12対空ミサイルシステムの輸出向けバージョンである。そのため、中距離地対空ミサイルを初めて手にしたタイ軍に対して、中国人民解放軍が教育訓練を実施することになる。訓練を通して両軍の関係はますます親密になっていくものと思われる。

中国は、KS-1Cよりも射程距離が短いKS-1A中距離地対空ミサイルをミャンマーに輸出しているし、タイと同じKS-1Cを中央アジアの隣国であるトルクメンスタンにも持ち込んでいる。そして、タイに引き続いてパキスタンとマレーシアにもKS-1Cの売り込み攻勢をかけている。それらの売り込みが成功すれば、地対空ミサイル供与を突破口に、人民解放軍の影響力が中国周辺諸国に広がることになるのだ。

タイ国内に中国の装甲車両工場が誕生?

中国が経済的利益を手にしながら軍事的影響力を拡大していくために用いているのは、潜水艦や地対空ミサイルだけではなく戦車にも及んでいる。

タイ陸軍は、かつてアメリカから輸入したM41戦車(陸上自衛隊も1960年代にはM41戦車をアメリカから供与されていた)の後継として、28両の中国製VT4(MBT-3000)を発注した。初期の試験運用などの状況如何では、VT4を150両ほど追加注文するものとみられている。

VT4は中国北方工業公司(ノリンコ)が製造する輸出向け主力戦車であり、旧式の米国製軽戦車であるM41と違って、人民解放軍が使用している99式主力戦車を元にした近代的戦車である。このような新鋭戦車の輸出を通して、タイ陸軍と人民解放軍の交流がさら深まることは確実である。実際に、VT4の輸出にとどまらず、中国の装甲車両メーカー(すなわちノリンコの子会社)がタイに進出する話まで飛び出した。

先週、北京の中国国防省を訪問したタイのプラウィット国防大臣(副首相を兼任、退役陸軍大将)は、人民解放軍の最高幹部たちに対して、主力戦車をはじめとする装甲車両の整備工場や生産拠点をタイ国内に建設するよう誘致したという。中国側は即座にタイ側の誘致案を支持し、さっそくワーキンググループを発足させることで合意したという。

このほか北京では、プラウィット国防大臣と李克強首相との間で、タイ縦貫鉄道や高速道路を建設するための中国・タイ共同プロジェクトが合意されている。そのため、タイに中国の装甲車生産・整備工場が誕生する日もそう遠くはないと考えられる。そして、タイ陸軍が手にする100輛以上のVT4主力戦車は、タイ国内のノリンコ工場で生産されることになるかもしれない。

世界各国が最先端防衛技術を戦略的に活用

潜水艦にしろ、地対空ミサイルシステムにしろ、主力戦車にしろ、中国は、タイのように自ら兵器を製造できない国々に売り込むことにより、経済的利益を手にするだけではなく軍事的影響力をも着実に植え付けつつある。もちろんそのような武器供与は、単なる思いつきではなく綿密に練られた安全保障戦略に基づいている。まさに防衛産業を国防ツールとして有効に活用しているのだ。

このように、新鋭兵器の輸出を戦略ツールとしているのは中国だけではなく、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、イスラエル、ロシアをはじめ枚挙にいとまがない。最先端技術力を有し、各種兵器を生み出している国々の多くは、兵器の輸出を戦略ツールとして活用し、経済的利益を手に入れると共に、外交的立場を強化したり、国内産業の保護を図ったり、国内の最先端技術力の発展に役立てたりしている。

日本には、中国が戦略ツールとして輸出する元型S26T潜水艦、KS-1C中距離地対空ミサイル、VT4主力戦車と同等か、それ以上の性能を誇る潜水艦、地対空ミサイル、主力戦車を作り出す技術が存在する。ところが、いくら高性能兵器を生み出しても、自衛隊だけにしか供給できない仕組みが続いていては、国際競争から脱落することは自明の理である。日本政府は、せっかく国内に存在する技術力を戦略ツールとして活用していかなければならない。

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