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『混迷する朝鮮半島 朝鮮半島で軍事衝突はない』(4/21日経ビジネスオンライン 重村 智計)、『空母を見れば明らか、米国の北朝鮮攻撃はまだ先だ 「米国はすでに準備完了」が間違っている3つの理由 』(4/19JBプレス 部谷直亮)について
4/22渡部亮次郎氏ブログの中の記事<杉浦正章氏 米、北へのサイバー攻撃実施の可能生
16日のミサイル発射失敗が怪しい:NYTやCNNが報道
サイバー攻撃などは宇宙戦艦ヤマトの専売特許かと思っていたが、なかなかどうして米軍では実戦に配備されているかのようだ。とりわけ16日の湿った花火のような北朝鮮のミサイル発射実験失敗は怪しい。
発射後数秒で爆発している。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙によるとやはりその可能性が高いようだ。もともと米軍にはオバマ時代から「Left of Launch作戦」(発射寸前作戦)があり、時々北のミサイルにサイバー攻撃やレーザー攻撃を仕掛けているようだ。
もちろんトップシークレットである。サイバー兵器問題を漏らした米軍幹部が処分されている。サイバー攻撃が米軍によって採用されているとすれば、すでに北との“暗闘”が宣戦布告なしに展開されていることになる。この重大な事態を日本の全国紙が掌握していないのか、ほとんど報道しないのにはあきれた。
NYTは米軍から最近までサイバー攻撃について書かないように要請されていたが、15日付の同紙は「北朝鮮と米国の間では、過去3年にわたり、ミサイル計画をめぐる隠密の戦争が行われてきた」と暴露した。
確かに16日の実験の失敗はアメリカによるサイバー攻撃が原因である可能生がある。NYTはこの種の攻撃は少なくとも過去3年にわたって展開されてきた「Left of Launch作戦」だという。
北朝鮮は今年2月から3月にかけて北極星2型およびスカッドERの発射に成功したが、3月以降、ミサイル発射は3回連続で失敗した。今月5日には、新浦から弾道ミサイルを発射したものの、飛行距離は60キロにとどまっている。16日に新浦から発射した弾道ミサイルは、発射後わずか4-5秒で墜落した。
さらにNYTは、北朝鮮が使用しているロシア製ミサイルの発射成功率が低いのは、アメリカが北朝鮮のミサイル関連ソフトを操作したり、北のネットワークを妨害しているからだという。
同紙によると、北朝鮮の失敗が多いのは、ミサイル関連インフラがロシアのそれには及ばないという事情はあるものの、北朝鮮のミサイルがベースとしている旧ソビエト時代のミサイルの発射失敗率が13%だったのに対し、北朝鮮のミサイルは88%もの確率で失敗していると指摘している。
この失敗の確率の高さは、米国が部品の輸入段階でのサプライチェーンを使って欠陥を生じさせている可能性もあるようだ。
16日の実験失敗の経緯について米CNNは来日した副大統領ペンスに空母ロナルド・レーガン上でインタビューしている。サイバー技術などを使った可能性について質問されたペンスは、「我が軍の電子およびIT能力についてはコメントできない」と発言。
「私に言えるのは、(北朝鮮のミサイル発射が)失敗したということだ。あれはさらなる挑発だった。そしてそれは終わらせなければならない」と強調した。「ノーコメント」として否定も肯定もしなかったのだ。
サイバー攻撃は人工衛星や、U2やグローバルホークなど有人無人偵察機、ドローン、スパイ情報、通信情報などを通じて得た情報をクロスチェックしたうえで実施されるようであり、戦時には針の落ちる音すら見逃さない精度があるという。従って新浦での動きは掌握されているのであろう。
新浦に接近しているイージス艦などが攻撃の役割を果たすものとみられる。ひょっとしたら16年には実戦配備されているはずのレーザー兵器を使っている可能生も否定出来ない。
レーザー兵器は、2010年にイギリス国際航空ショーで軍艦に設置された米レイセオン社製レーザー兵器が、約3.2キロ先を時速480キロで飛行する無人飛行機4機を破壊している。
最新の技術情報によれば、ポーランドで遠距離到達も可能な極めて高出力のレーザー衝撃波を生成する技術的なブレークスルーがあり、小型艦船・迫撃砲弾・ロケット弾などへの攻撃・迎撃にも使用可能となっているといわれる。
従って今後北朝鮮の核実験にもサイバー攻撃やレーザー攻撃が行われる可能生も否定出来ない。既に核施設へのサイバー攻撃はイランに対して行われている。2009年にイランの核燃料施設を破壊したサイバー攻撃プログラムは、NSA(米国家安全保障局)のサイバー集団がイスラエル軍と共に作り上げたものだ。
このサイバー攻撃作戦は、大統領ジョージ・W・ブッシュの下で立案され、オバマに引き継がれて決行され、成功している。北は衛星写真向けに、核実験場前の広場で職員にバレーボールをやらせて、「実験はまだしない」と訴えているかのようだが、する兆候が察知されれば攻撃されると覚悟した方がよい。>(以上)
米軍のEMP(電磁パルス)やサイバーアタックで北朝鮮からの核・毒ガスミサイルを防いでほしいと願っています。イージス艦のSM3や地上のPAC3はミサイルの飽和攻撃には脆弱で、撃ち洩らしが必ず出るとのことですから。
4/21時事通信は<北欧訪問、一転取りやめ=安倍首相、北朝鮮情勢受け
安倍晋三首相は、北朝鮮情勢が緊迫化していることを受け、今月下旬からの外遊日程を短縮することを決めた。政府関係者が21日、明らかにした。ロシア、英国訪問は予定通りだが、北欧4カ国への訪問は取りやめる。27日に出発し、30日に帰国する予定。>(以上)
首相が4/30に帰国するという事は、5月連休に米軍の北朝鮮攻撃があるかもしれないという事です。青山繁晴氏によれば4月末には打撃群の態勢が整うという事ですから。4/15本ブログで山村明義氏は5月7日~9日が一番危ないと言っていましたのを紹介しました。連休中の韓国への旅行中止は勿論のこと、在韓邦人の日本帰国を企業は、政府の退避勧告がなくとも、促さないと。米軍と自衛隊の活動の足手まといになります。早めに帰さないと、一遍に帰国は出来ないと思います。もし、北朝鮮の韓国攻撃で在留邦人の犠牲が出たら、遺族は会社を安全配慮義務違反で民事訴訟すべきです。分かっていて行動に移さないのですから。そもそも反日国家に投資することが間違っています。
http://dwellerinkashiwa.net/?p=6114
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017042100468&g=prk
重村氏と部谷氏両方とも、米軍の北朝鮮攻撃は、今すぐは無いというだけです。ただ、重村氏の予測は外れることで有名ですが。日本と北朝鮮を対話させたいような話の持って行き方です。朝鮮半島に関与した人間は、朝鮮人の肩を持ちやすい。これは、欧州、米国に長く住むと、日本人であることを忘れる人間が多いのと同じです。それなら、先方の国籍を取って日本人であることを止めれば良いのに。
部谷氏の見方は打撃群が揃い踏みしてからとのこと。織田邦男氏はこれにNEO(noncombatant evacuation operations)が実行されてからと読んでいます。ただNEOが実行されれば、北も気づくでしょうから、北が先制攻撃に打って出る可能性があります。在韓邦人はやはり早めの退避が良いかと思います。また、北と南の難民は済州島に留め置くべきです。テロリストが必ず混じっていますので。
中国はこのところ、米国のシナリオ通りに動いているように見えます。習近平がトランプの言い付け通り動いているのは、首脳会談時にトランプが「令完成の機密資料の中に、習近平のスキャンダル(女性、金)があり、それをニュースで流しても良い」と脅されたのでは。45%の関税という脅しだけで、今まで動かなかった中国が動くのは考えにくいです。
4/22にマンション総会があり、その最後に、内閣官房制作の「武力攻撃やテロから身を守るために」のガイドラインを紹介しました。既に知っている人もいたのかもしれませんが、無関心な人が殆どです。これで戦争が起き、ミサイル飛来やテロが起きれば、物的損害だけでなく、人的損害も大きくなります。少子化どころでなく、人口が大きく減り、GDPも大きく減るでしょう。昨年は「シンゴジラ」が人気を博しました。今回、米朝間が平和的終結を迎えるか、北のミサイルが無力化されたとしても、「X国の先制攻撃(核ミサイルや毒ガスミサイル)を受け、逃げ惑う人や、保護のガイドラインを守って助かった人を描き、再興していく」映画を、どなたか製作してみてはどうでしょうか。内閣官房にも本件で意見を送付しました。
重村氏記事

金日成生誕記念の軍事パレードを閲兵する金正恩委員長(写真:ロイター/アフロ)
米国のドナルド・トランプ大統領は4月6日の米中首脳会談で「中国が、北朝鮮を抑えないのなら、米国単独で行う」と述べた。米国が単独でシリアにミサイル攻撃をした直後のこの発言は、米国は北朝鮮を限定攻撃する意向だと受け止められた。攻撃については、4月15日説や25日説が、まことしやかに流されていた。
しかし、朝鮮半島で軍事衝突や戦争が年内に起きる可能性は極めて低い。トランプ大統領は「中国が北朝鮮の核開発を抑えなければ」と条件をつけており、6回目の核実験をしても米国が直ちに単独攻撃をするわけではない。一方、中国の習近平国家主席は、対北朝鮮向けの石油輸出を禁止すると米国に約束した。北朝鮮の側から仕掛けることも考えづらい。北朝鮮は全面戦争できない国である。
歴史的な石油禁輸の約束
米ニューヨーク・タイムズ紙は4月13日に「習近平国家主席は、北朝鮮が核実験をすれば石油禁輸に踏み切る、とトランプ大統領に伝えた」と報じた。同紙は、国務省当局者にこの事実を確認した。これは中国の歴史的な決断だ。中国政府系の環球時報も同じ内容を報じている。
中国が、対北石油禁輸を約束したのは、これが初めてのこと。安倍晋三首相による働きかけの成果といってよいだろう。同首相は2月11日のゴルフ会談で、有効な対北制裁策をトランプ大統領に説いた。
安倍首相は、北朝鮮向け石油輸出を禁止すれば、同国の軍隊は崩壊し体制を揺さぶることができると説明した。同首相は、米中首脳会談直前にトランプ大統領と電話会談した際にも、対北石油禁輸を習氏に求めるよう改めてアドバイスした。
トランプ大統領は、4月6日の米中首脳会談で石油禁輸を強く求め、習主席がこれに応じた。トランプ大統領は「金正恩体制の崩壊は目標でない」と明言したと報じられている。
米中首脳による合意は、米国が「単独限定攻撃」するにはかなり時間がかかる事実を示している。北朝鮮が、核実験かICBM(大陸間弾道ミサイル)に進めば、中国は北朝鮮への石油供給をストップする。それでも、核開発が止まられなければ、米国は核施設への「限定攻撃」を検討する。トランプ大統領は、「中国に感謝している。習近平国家主席を信じている」と発言した。
わずか年50万トンの石油
北朝鮮は、なぜ全面戦争できないのか。同国は「石油最貧国」で、軍隊の石油消費量は世界最低だ。年間の石油輸入量は、中ロの貿易統計やオイル・タンカーの航行記録を確認しても、最大で年間70万トン程度。過去数年は、50万トン前後にとどまる。戦争をしない自衛隊でも、年間150万トンの石油を使用している。全面戦争は、中国とロシアが無制限に石油を供給しない限り不可能なのだ。
加えて、北朝鮮が使用する兵器は、1960~70年代に装備された旧式だ。米韓の近代兵器には、太刀打ちできない。
だから、北朝鮮は核兵器開発に踏み切ったのだ。米韓両国が「北は戦争できない」とわかれば、攻撃してくると信じている。それを抑えるために核開発を進めたのだから、北朝鮮軍部には核兵器の開発で譲歩する気はない。
国連総会で演説か?
「単独攻撃」にかけるトランプ大統領の気をそぐために、北朝鮮に残された選択肢は多くはない。南北対話か米朝対話、日朝交渉の再開、日朝首脳会談の実現しかない。
北朝鮮は、5月9日に実施される韓国大統領選挙に期待している。革新系の文在寅候補が勝利すれば、直ちに南北首脳会談を呼びかける。投票前に核実験をすれば同候補が落選してしまうから、それまで核実験はしない。
米国は北朝鮮に対抗し、文在寅候補を落選させるための作戦を展開している。5月9日に向けて緊張を高める意向だ。韓国の内政には一切関与しないふりをする一方で、4月25日頃に空母カールビンソンを朝鮮半島近海に到着させる予定。中国の了解を得て、黄海深くまで航行させると見られる。米朝の軍事緊張を一挙に高め、文在寅候補を落選に導く。
このような状況において、金正恩委員長が「今年の国連総会で演説してもいい」と述べ、側近たちを慌てさせたという。中国外交関係者が情報源だから、にわかには信じがたい。それでも、金正恩委員長が限定攻撃を回避し、各国首脳の認知を得る打開策を模索している様子はよくわかる。
習氏は、金委員長の度重なる「訪朝招待」と北京への訪問要請を拒否しており、「それなら国連に行く」と中国に聞こえるように、情報を流したのだろうか。
日朝首脳会談の可能性
故金日成主席の生誕記念行事が行われた4月15日、粛清されたと報じられていた金元弘国家保衛相が、金正恩委員長と同じひな壇に姿を見せた。彼が、なお国家保衛省を担当し、対日政策を担当している様子がうかがえた。
宋日昊・朝日国交正常化担当大使は17日、平壌で取材に当たっている日本人記者団を呼び集め、日本に日朝交渉再開を呼びかけた。宋大使は、①拉致再調査を約束したストックホルム合意はすでに消えた②要望があれば残留日本人問題には応じる③戦争が起きれば日本に一番被害が及ぶ――など高飛車な態度を示した。その言葉からは、話し合いを望む北朝鮮の痛々しい思いが伝わった。
宋大使の発言には、ウソがある。戦争になれば、被害が大きいのは韓国と北朝鮮だ。日本にはほとんどない。日本がお願いすれば「交渉を再開する用意がある」という発言は、こう表現しないと北朝鮮の高官たちが納得しないからだ。
日朝は14年、ストックホルムで「行動対行動原則」に合意した。これは日本外交の失敗だった。この言葉は、北朝鮮外交が昔から駆使する「得意用語」。拉致問題への取り組みを遅延させる一方で、残留日本人の帰国や日本兵の遺骨捜索に協力し資金を手に入れることを意味していた。
外務省は、それに気がつかなかったようだ。安倍首相はこのトリックを知り、「拉致問題解決を最優先にしないと、交渉に応じない」と条件を変更した。北朝鮮は、外交作戦をひっくり返された。
北朝鮮では、秘密警察である国家保衛部が日本への工作と秘密交渉を担当してきた。ところが、2002年に日朝首脳会談が失敗に終わり、日本部局は廃止。ここ数年、担当者は一人しかいなかった。最近の情報では、金委員長の指示で今年初めに日本部局が復活し、20近い人員が働いているという。金委員長は、明らかに「日朝交渉」を目指し、「日朝首脳会談」を視野に置いている。
JBプレス記事

北朝鮮との軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)の警戒所を訪れ、在韓米軍のビンセント・ブルックス司令官(右)と会話を交わすマイク・ペンス米副大統領(中央、2017年4月17日撮影)。(c)AFP/JUNG Yeon-Je〔AFPBB News〕
普段、安全保障とは縁遠いテレビのワイドショーまでもが北朝鮮情勢を取り上げ、米国政府による北朝鮮攻撃まで秒読みだと論じている。米国はすでに準備が完了していると述べるコメンテーターも少なくない。しかし、本当にそうだろうか。
筆者は“現時点”では、その見解には反対である。米国の先制攻撃の蓋然性はなく、可能性も低いとみている(ツイッター等でも一貫して主張してきた)。以下ではその根拠と、今後どのような場合に蓋然性が高まるのかを述べてみたい。
空母1隻では戦力不足
第1の根拠は、空母打撃群の展開状況である。
現状で西太平洋に展開する空母は、カール・ビンソンただ1隻だ。空母ロナルド・レーガンも横須賀にいるが、これは5月まで整備予定であり、その上、さらに訓練を行わなければ実戦投入は不可能だ。リビア空爆(1986)は空母3隻、湾岸戦争は空母6隻、ユーゴ空爆は空母1隻+同盟国軽空母2隻、アフガン攻撃は空母4隻程度、イラク戦争は空母6隻で攻撃を実行している。ブッシュ政権末期にイラン攻撃がささやかれた際は空母3隻がペルシャ湾に集結した。だが、現状はたかだか空母1隻でしかない。これではいかにも戦力不足である。
というのは、北朝鮮の対空ミサイルを中心とする防衛網は相当強力だからである。航空戦力は無きに等しいが、イラン製の新型フェイズドアレイレーダーを装備しているほか、ロシア製S-300のコピーとされるKN-06対空ミサイルを複数装備している。また、低空攻撃であれば、携帯式対空ミサイルや対空砲が数千門を超える数を展開している。
それに対して空母打撃群1個では、明らかに戦力が不足しているし、撃墜された時のパイロット救助もままならない。しかも、北朝鮮の軍事力は山岳地帯をくり抜いた防空壕やトンネルに守られており、トマホークミサイルでは打撃を与えられない。
古い事例だが、1969年にニクソン大統領が北朝鮮への懲罰的攻撃を検討した際は、空母4隻が投入される予定だった。やはり最低でも3個の空母打撃群を展開しなければ、話にならないだろう。
ゆっくり移動している米空母部隊
第2の根拠は、カール・ビンソン空母打撃群の動きである。その動き―特に速度―を見ると、先制攻撃の意図があるとは思えない。
カール・ビンソン空母打撃群は4月8日にシンガポール沖で豪州行きを中止し、朝鮮半島近海(公式声明では北上)への移動を開始した。シンガポール沖から朝鮮半島近海までの距離は、ざっと計算して4800キロメートルである。この距離は巡航速度20ノットであれば5.4日、最大速度30ノットであれば3.5日、駆け足25ノットであれば4.3日で到着する。しかし16日に至るも、カール・ビンソン空母打撃群は到着した気配はない。しかも、17日の声明ではまだインドネシア沖に展開していたという。
これこそが、米政府の意図を明瞭に語っている。つまり、意図的に空母打撃群の展開を遅らせているのである。
歴史を振り返ってみると、1996年の中台危機の際も同様のことがあった。当時、台湾海峡を目指したニミッツ空母打撃群は、「第7艦隊司令部より、ゆっくり移動するように」という事実上の命令を受け、あえて巡航速度よりもかなりの低速で台湾海峡へと向かった。しかも、移動命令は命令の5日後に移動を開始せよというものだった(この経緯の詳細は秋元千明著『アジア震撼―中台危機・黄書記亡命の真実』を参照していただきたい)。
なぜなら、空母打撃群の性能をフルに発揮してアッという間に到着してしまうと、中国政府を焦らせ、冷静な判断力を失わせることになってしまうからだ。米国としてはじわじわと中国を威圧して台湾への威嚇をやめさせることを狙っていたのだという。
今回のカール・ビンソン空母打撃群も、やはり非常にゆっくりとした動きを見せている。また、ちょうど4月11日に錬成訓練が終了し、実戦投入が可能となったニミッツ空母打撃群もカリフォルニア沖から動く気配がない。
これは現在の状況が、あくまでも軍事力による威嚇によって、相手の妥協を迫る「強制外交」(coercive diplomacy)のフェーズでしかないことを意味している。要するに、先制攻撃はまだ先であるということだ。
いまだ整わない報復攻撃への防衛態勢
第3の根拠は、在韓米軍の防衛体制が整っていないことだ。
北朝鮮への先制攻撃の形としては、B-2ステルス爆撃機で高高度から核施設等の一部を叩くという選択肢もあり得る。しかし、それでは北朝鮮の弾道ミサイル等による報復を招き、韓国に居住する多くの米兵とその家族が犠牲になるおそれがある。だが、在韓米軍は自国民保護の対策を取れていない。
実は、迎撃に使用する在韓米軍のパトリオットミサイル2個大隊(96台)は、先月末から更新に入ったばかりである。在韓米軍の説明によれば、3月25日より、韓国に展開する米軍のパトリオットミサイルは、レーダーや指揮システムを含む全てのハードウエアとソフトウエアを最新式に交換する作業を実施しており、製造元のレイセオン等の技術者が長期間滞在して実施するという。報道によれば、在韓米軍の関係者は「海外の米軍の防空部隊を対象にこれだけ大々的な性能改良作業が行われるのは初」としている。今までにない規模のこの改良作業がすぐに完了することはないだろう。
しかも、韓国への高高度ミサイル防衛システム(THAAD)配備もいまだ途上段階であり、使用可能な状況に至っていない。加えてトランプ政権はTHAAD配備の先送りすら示唆するありさまである。
これでは北朝鮮からの反撃に対して、万全の体制とは言い難い。また、現在、北朝鮮からの報復として懸念されているのは、砲兵部隊によるソウル攻撃だけでなく、小型ドローンにサリンなどの化学兵器を積載してソウルに飛ばしてくることである。その対策として在韓米軍の増強がなされているかも疑わしい。
ちなみに、米軍が北朝鮮に攻め入る際はどれくらいの兵力が必要だろうか。2013年に米陸軍は北朝鮮崩壊時の核兵器等の差し押さえを想定したウォーゲームを実施した。その際の結論は、最終的に2個師団の投入に56日間かかり、9万人の米軍の兵力が必要、というものであった。現在、米韓軍事合同演習が実施されている最中だが、とても数が足りない。
また、この演習での結論としては、(1)オスプレイによる敵中深くへの戦力投射は、すぐに膨大な北朝鮮軍に包囲されてしまい失敗の連続となる、(2)人的情報がとても足りず、偵察衛星や盗聴による技術情報ではとても埋め合わせができず攻撃等に難儀した、というものであった。これも一部のメディアが「近いうちに行われる」とする特殊部隊やトマホーク等による斬首作戦の困難性を示唆している。
北朝鮮攻撃の蓋然性が高まるのはいつか
では、どのような状況になると北朝鮮攻撃の蓋然性が高まったと見なせるのか。
それは、ニミッツ空母打撃群が西太平洋に展開し、ロナルド・レーガン空母打撃群も合わせて3個体制に移行し、パトリオットミサイル部隊の更新とTHAADの配備が終了し、在韓・在日米軍の増強が開始されたときだろう。
無論、現時点でも限定的な攻撃は、米本土からB-2爆撃機を飛ばせば可能である。意外性を好むトランプ大統領の「ギャンブラー」としての性格を考えれば、あり得ない選択肢ではない。
しかし、トランプ氏自身が繰り返し述べてきたように、現政権は首尾一貫して中東重視である。実際にシリアに地上兵力を投入しており、これを15万人に増やすべきという議論も政権内で行われている。
そして、トランプ政権の安保政策の主導権を握っているとされるマティス国防長官やマクマスター国家安全保障担当補佐官は、イラク戦争で苦労した経験を持つ軍人である。後先を考えない楽観主義に基づく戦争の尻拭いを10年以上やってきた彼らが、そのような攻撃の計画をトランプに提案する可能性は低い。
そう考えれば、やはり、米軍による先制攻撃は、少なくとも上記のような態勢への移行がほぼ完了した時点と考えるのが妥当だろう。
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『文在寅が大統領になったら移民する 「米国に捨てられていいのか」と叫ぶ韓国紙』(4/19日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について
韓国の大統領選も、日本では「米朝戦争の行方」の方に関心が移り、左程盛り上がっていません。それはそうで、誰が大統領になろうとも反日に邁進するのが分かっていますので。日本のメデイアも韓国大統領選を大きく取り上げたいのでしょうが、それどころではありません。4/20日経には、<汝平和を欲さば
北朝鮮情勢が緊迫し、金融市場は地政学リスクに敏感になっている。今も予断は許さないが、今回戦闘状態にならずとも、リスクは消え去りはしない。どんな備えが必要か。
第1に、全国民への的確な情報伝達だ。2004年に国民保護法が制定され、内閣官房には国民保護ポータルサイト、総務省消防庁にもサイトが設けられている。内閣官房作成の「武力攻撃やテロなどから身を守るために」というパンフレットは簡潔に要点をまとめている。消防庁の資料も核兵器による攻撃を受けた後に身を守る方法を具体的に教えてくれる。
だが、こうした情報が浸透しているとは言えない。かつて高齢者がネットを利用しないといわれたのは昔の話になったが、それでも「情報通信白書」によれば、15年末時点で70代以上の高齢者でネットを利用する人は51%にとどまる。また低所得者層ほどネットを利用しないという格差がある。
それゆえ新聞やテレビといった既存のメディアの役割が重要になる。一部のワイドショーなどでは、門外漢があれこれ好き勝手な発言をすることが多いが、事は国民の命に関わる重要事項だ。NHKや民放、主要紙は先のパンフレット内容を周知徹底してはどうか。
第2に、有事への備えだ。具体的には訓練、設備、そして国防になる。内閣官房のサイトによると、政府は弾道ミサイルを想定した避難訓練を各都道府県で実施している。ただ、その記録を見る限り小規模で、大都市部中心地への攻撃を想定して行われた大規模避難訓練は見当たらない。9月1日の防災の日に訓練を行うように、「国民保護の日」の制定と全国規模での訓練実施を勧めたい。
設備面では核攻撃が起きた時に国民を収容する施設、救援体制が十分に確保されているかが課題だ。在外邦人保護体制の確立も急務だ。
第3に、安全保障・国防・軍事に関する研究と教育を推進すべきである。こうした研究は長年日本では半ばタブー視されてきた。だが、「汝(なんじ)平和を欲さば、戦への備えをせよ」という。安全保障への脅威はミサイル攻撃だけではない。既にサイバー空間、宇宙空間、深海で目に見えない戦争が起きている。今こそ備えるべきだ。>(以上)
何度も本ブログで紹介しています小坪慎也氏のHPを貼り付けます。非常に役に立つと思いますので拡散して戴ければ。
https://samurai20.jp/2017/04/j-alert/
政府はパニックを恐れているのかもしれませんが、正しい情報を国民に与え、万一の事態が発生しても、冷静に行動できるように避難訓練をした方が良いでしょう。安倍内閣は憲法改正を悲願としていますが、国民に安全保障を考えさせる良いチャンスなのに。小生の周りでも朝鮮の核・毒ガスミサイル攻撃やテロの脅威が高まっていることについて知っている人は多くいませんでした。知っていても、根拠なしに、「絶対ない」と思っている人が多い。これでは生き延びれないでしょう。
4/19TVモーニングショーで北朝鮮の元外交官韓進明は「北が願っていることは、アメリカとの2カ国対話。最終的には大使レベルでの外交関係を願っている。国民のために文化、経済のレベルを上げようとしていると思う。先制攻撃はありません。北は戦争を願ってはいない。トランプ氏との交渉の接点を模索している。政策決定機関の心理をよく知っている。北の国民性からいうと、絶対に発砲することはありません」と述べました。でも、第一次大戦の勃発、太平洋戦争、朝鮮戦争、湾岸戦争が起きたことを考えれば、絶対戦争は起きないとは言えないでしょう。煽る訳ではありませんが、最悪の事態を想定し、良く準備しておくことが危機管理の要諦です。
https://www.j-cast.com/tv/2017/04/19295951.html?p=all
4/19ZAKZAKには「米紙(WSJ、ディプロマット)が韓国左派一喝「外交政策を人質に慰安婦問題を悪用」 半島有事でも国民感情誘導する報道に批判の目」という記事が載りました。米国知識人も蝙蝠人間の韓国民を厳しく見るようになってきたという所でしょう。勿論WSJはNYTのようなリベラル紙ではなく保守派を代表する新聞ですから。真面な知識人であれば所謂従軍慰安婦は朝日新聞と挺対協、中共の合作だとすぐ気が付くでしょうから。気が付かないとしたら真面でないか、金かハニーに転んでいるかです。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20170419/frn1704191530008-n1.htm
鈴置氏の記事では、韓国保守派が「第二のアチソン声明」になるのを心配しているとのことです。「時、既に遅し」でしょう。もう米中で朝鮮半島の管理について取引した可能性があります。昨日の小生のブログで紹介しましたように、トランプは習近平から「韓国は歴史的に中国の一部だったことがある」とツイートしました。朝鮮民族の蝙蝠さとしつこさ、嘘つきにホトホト嫌気がさしてきたのかもしれません。それを考えますと、米朝戦争になっても米国は韓国を守る気があるのかと思ってしまいます。
記事

文在寅(左)と安哲秀、2人の大統領候補は韓国をどこへ導こうとしているのか(セウォル号事故3周年追悼式にて 写真:YONHAP NEWS/アフロ)
(前回から読む)
大陸勢力側に行くのか、海洋勢力側に残るのか――。大統領選挙を目前に、韓国が揺れる。
中国圏に行く韓国
鈴置:「このまま行けば米国から見捨てられる」と韓国の保守系紙が相次いで国民に訴えました。
中央日報のコラムニスト、チョン・ヨンギ記者は「米中に捨てられる韓国」(4月10日、日本語版)を書きました。韓国語版(4月10日)にも同じ見出しで載せています。
5月9日の大統領選挙で左派か中道の大統領が選ばれそうだが、そうなれば米国は韓国から兵を引くであろう、と警告したのです。ポイントを訳します。
- 近い未来、韓国の自主的平和主義者が描く反米的理想が実現するかもしれない。
- 在韓米軍へのTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)配備を、次期政権が国会の議決を通じ拒否する可能性が十分にあるからだ。
- (合わせれば国会の議席の過半数を占める)「共に民主党」と「国民の党」は党論でTHAAD配備に事実上反対している。
- さらに次期大統領が(北朝鮮への外貨送金パイプとなっている)開城(ケソン)工業団地の再稼働と金剛山(クムガンサン)観光を宣言し、金正恩委員長に首脳会談を提案すれば、韓国は外交的に親中国圏に分類されることになる。
- 中国はTHAAD配備容認への報復を中断するだろう。しかし韓国は対北朝鮮制裁を細密に規定した国連決議案の違反国になる。北朝鮮の核・ミサイル開発を現金で支援する国として非難される。
次の大統領は左派「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表か、中道をうたう「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前共同代表のどちらかと見なされています。
4月以降の世論調査で両者がいずれも30―40%の支持率を誇るのに対し、保守系候補の2人はとも数%に留まっているからです。弾劾され下野した朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領への不信感が「保守離れ」を生んだのです。
「反米ごっこ」をやめろ
—「親中国圏に分類され」たらどうなるのですか?
鈴置:チョン・ヨンギ記者は次のように説きました。
- トランプ(Donald Trump)大統領が韓米同盟の終結を通知しても韓国は返す言葉がない。米軍が撤収し、米国の東アジア防御ラインは韓国の休戦ラインから日本の西海岸に後退するだろう。
つまり「米国は韓国を見捨てる」と断じたのです。決して大げさな見方ではありません。米中二股外交を採用した朴槿恵前政権は米国を裏切り続けてきました(「米中星取表」参照)。
| 案件 | 米国 | 中国 | 状況 |
| 日本の集団的自衛権 の行使容認 | ● | ○ | 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致 |
| 米国主導の MDへの参加 | ● | ○ | 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD(ミサイル防衛)」を採用へ |
| 在韓米軍への THAAD配備 | △ | ▼ | 韓国は「要請もなく協議もしておらず決定もしていない(3NO)」と拒否していたが、朴槿恵大統領の弾劾訴追後の2017年2月28日にようやく米軍への用地提供を決定 |
| 日韓軍事情報保護協定 (GSOMIA) | △ | ▼ | 2012年6月、中国の圧力もあり韓国が署名直前に拒否。締結を望む米国に対し、朴槿恵大統領は「慰安婦」を理由に拒否。しかし下野要求デモが激化した2016年11月突然に締結 |
| 米韓合同軍事演習 の中断 | ○ | ● | 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施 |
| CICAへの 正式参加(注1) | ● | ○ | 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」 |
| CICAでの 反米宣言支持 | ○ | ● | 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か |
| AIIBへの 加盟 (注2) | ● | ○ | 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明 |
| FTAAP (注3) | ● | ○ | 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」 |
| 中国の 南シナ海埋め立て | ● | ○ | 米国の「明確な対中批判要請」を韓国は無視 |
| 抗日戦勝 70周年記念式典 | ● | ○ | 米国の反対にもかかわらず韓国は参加 |
| 米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2017年4月18日現在) | |||
(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。
そんな韓国にトランプ政権は厳しい視線を向けています。3月に初訪韓した米国のティラーソン(Rex Tillerson)国務長官は米メディアの前で、日本を「最も重要な同盟国」と呼んだ半面、韓国は「重要なパートナーの1つ」と形容するに留め、露骨に格下げしたのです(「米国から『同盟国』と呼ばれなくなった韓国」参照)。
韓国の保守層は大きなショックを受けました。朴槿恵政権以上にはっきりと反米姿勢を打ち出す文在寅候補が政権をとったら「パートナー」でさえなくなると考えたのです。
「反米左派の文在寅が大統領になったら移民する。米国が守ってくれない韓国には怖くて住めない」と語る韓国人が増えています。
そんな心情を聞かされる日本人もかなりいまして、朝鮮半島研究者の集まりでは、しばしば「韓国人の亡命願望」が話題になります。
チョン・ヨンギ記者は記事の最後で、名指しはしなかったものの文在寅候補らに対し「反米ごっこをやめろ」と要求しました。
- 韓国の大統領候補は夢から目覚める必要がある。世界の安保状況が韓国の「井の中の蛙」式の「独りよがりの遊び」をあざ笑っている。韓米同盟を固めて国論をまとめ、中国にしっかりと対応していこうと有権者に訴えるのが正道だ。
「アチソンライン」が復活
—「独りよがりの遊び」とは激しい表現ですね。
鈴置:米国との同盟を失いかねないのです。それぐらいの言葉を使いたくなるでしょう。
保守言論界の大御所である金大中(キム・デジュン)朝鮮日報顧問も同じ趣旨の記事を翌4月11日に載せました。「5月9日の選択と韓米関係」(韓国語版)です。
韓国の左派政権の下で韓米同盟関係はどのようになり、韓国の安全保障はこれまでのように維持できるのか――。これが現在の韓国の絶体絶命の問題だ。
楽観的に見て韓米「関係」が維持されたとしても、少なくとも軍事的「同盟」は弱体化する。悲観的に見た際、同盟関係に異常が生じ、米国は日本列島を防御線とする「アチソンライン」にまで後退、韓国は大陸側に放置されるだろう。
「アチソンライン」とは1950年1月12 日に米国のアチソン(Dean Acheson)国務長官が演説で明かした米国の防衛領域を示す限界線です。
「防衛線はアリューシャン列島―日本―沖縄―フィリピンにある」と定め、韓国をその外に置きました。これを聞いた北朝鮮の金日成(キム・イルソン)首相(当時)が「南に攻め込んでも米国は介入しない」と判断、朝鮮戦争を始めたのです。
「アチソンライン」は韓国人のトラウマとなっています。中央日報のチョン・ヨンギ記者も、この言葉は使いませんでしたが「米国の東アジア防御ラインが韓国の休戦ラインから日本の西海岸に後退」との表現で「見捨てられ」の危険性を訴えたのです。
金大中顧問は折に触れ「アチソンライン復活」の可能性を指摘してきました(「日米の『同時格下げ宣言』に慌てる韓国」参照)。しかし、これほどに切羽詰まった感じで書いたのは初めてです。
「名誉革命」などと自らに酔って、保守派の大統領を追い出した韓国人(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。でもその結果、米国に見捨てられかけているとようやく気づき、大慌てなのです。
軟化して見せた文在寅
—「見捨てられ論」は大統領選挙に影響を与えましたか?
鈴置:THAADの在韓米軍配備に関し、左派と中道候補がスタンスを微妙に変えました。
4月10日の朝鮮日報とのインタビューで、文在寅候補は「北朝鮮が核挑発を続け、高度化するなら、THAAD配備が強行されることだろう」と語りました。
一貫して「配備は延期すべきだ」「国会の同意が要る」と主張してきたのに「状況によっては容認もあり得る」と軟化したのです。
同日の朝鮮日報のインタビューで、安哲秀候補は「国民の党」が「THAAD配備反対」を掲げていることに関し「大統領選挙の局面で、党は候補の意に沿って党論を定めるしかない」と述べました。これを受け「国民の党」も党論を「容認」に修正する方向です。
安哲秀候補自身はすでに「配備が米国との合意に基づいて実施に移されている以上、国家間の約束は守る必要がある」と容認にカジを切っていました。
両候補のインタビューは「文『北が核挑発継続ならTHAAD強行』 安『THAAD反対の党論撤回に向け説得』」(4月11日、韓国語版)で読めます。
「安哲秀の急追」を意識
—文在寅候補はなぜ、軌道修正したのでしょうか。
鈴置:保守層を取り込んだ安哲秀候補に支持率で追い上げられ、一部の調査では抜かれたからです。
文在寅氏が「共に民主党」の大統領候補に選ばれるまでは、同じ党の安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事が「文在寅氏よりは現実的で穏健」との理由から保守層の一部の支持を集めていました。
4月3日に「共に民主党」の候補が文在寅氏に決まり、安煕正氏の出馬がなくなった瞬間、同氏への支持の多くが同じ党の文在寅氏ではなく、「文氏よりは穏健な」安哲秀候補に流れたのです。
韓国ギャラップの4月第1週(4-6日)の調査で文在寅候補の支持率は38%。安哲秀候補の35%に肉薄されました。

3月第5週(28―30日)の調査ではそれぞれ31%と19%でしたから、安哲秀候補の急追ぶりが分かります。「楽勝ムード」に酔っていた文在寅陣営には危機感が走りました。それがTHAAD問題での軟化につながったのです。
ちなみに4月第1週の調査で保守候補への支持率は、朴槿恵派の自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補が7%、反朴槿恵派の劉承旼(ユ・スンミン)候補が4%でした。
「次悪」に投票せよ
韓国では「見捨てられ」への警戒が強まるほどに「反米」の文在寅候補を当選させまいとする空気が濃くなるのです。
興味深いことに、左派から「極右」と決めつけられる保守の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が、保守ではなく中道の安哲秀候補への投票を呼び掛けるに至りました。
当選可能性がほぼない保守系候補に投票しても「死に票」になる。それなら「最悪の文在寅ではなく、次悪の(より悪くない)安哲秀候補に投票しよう」との訴えです。
趙甲済氏の主張は動画「保守の悩み 洪準杓か安哲秀か」(4月7日、韓国語)で視聴できます(「次悪」部分は開始38分30秒後から)。
街頭でも呼び掛け始めました。「趙甲済の清渓広場での演説『候補一本化は有権者の責務』」(4月8日、韓国語による動画)です。
世論調査では「安哲秀」と答えても、投票場には行かない保守が多いと趙甲済氏は懸念したのでしょう。
そこで「とにかく投票しよう」と呼び掛けています。「朴大統領は悔しい。投票所へ皆で行こう。大韓民国を守ろう!」(4月9日、韓国語)でそう書きました。
保守の中には「中道を自称するものの本質は左翼」と安哲秀候補を嫌う人もいます。安哲秀氏は2012年12月の大統領選挙では文在寅氏を支持しました。それに2014年3月から2015年12月までは、文在寅氏ら左派と統合新党を結成していたからです。
趙甲済氏は「今は米韓同盟解体の危機を乗り越えることが急務」と考え、苦渋の「安哲秀支持」を打ち出したのです。
次の王を首実検
—朝鮮日報のインタビューで、文在寅と安哲秀の両候補は安保政策で軌道修正しています。それでも保守は安心できないというのですか?
鈴置:2人の「軌道修正」は選挙用の「偽装転向」ではないかと疑う向きも多いのです。朝鮮日報の社説「安と文の2人の安保政策は本当に信頼できるのか」(4月12日、韓国語版)は見出しからしてその疑いを露わにしています。
それに「軌道修正」に対しては、中国が黙ってはいません。4月10日に訪韓した中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表が、各党の代表に会って意見を交換したと報じられました。
米国側に戻らないよう、ネジを巻きに来たと言った方が正確と思います。朝鮮朝の次の王様は誰がいいか、清朝の皇帝のお使いがやってきて首実検した感じでもあります。
韓国が海洋側に残るかは、まだ流動的なのです。
(次回に続く)
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『中国主導の半島有事が「十分あり得そう」な理由 習近平が長期独裁を狙う時、“着火先”は台湾より半島?』(4/19日経ビジネスオンライン 福島香織)について
4/20JBプレスの4/18FTの記事です。
<トランプとキムと核の誤算のリスク 緊迫する半島、米国の先制攻撃はあるのか?

北朝鮮軍第966大連合部隊の指揮部を視察する北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長。国営朝鮮中央通信(KCNA)配信(2017年3月1日配信、資料写真)。(c)AFP/KCNA VIA KNS〔AFPBB News〕
1950年には、ワシントンでの軽率な発言と平壌(ピョンヤン)での誤算の組み合わせが朝鮮戦争の勃発につながった。今、朝鮮半島で新たな戦争が勃発する可能性について世界が熟慮する中で危険なのは、米国と北朝鮮の政府が再び計算を誤り、紛争に陥ってしまうことだ。
多くの歴史家は、朝鮮戦争勃発の発端はディーン・アチソン米国務長官が1950年1月にワシントンのナショナル・プレス・クラブで行った講演にあったと考えている。長官はアジアにおける米国の「防衛ライン」について語り、朝鮮半島はその線の外に位置すると示唆した。
平壌では、北朝鮮指導者の金日成(キム・イルソン)氏が、米国は韓国を防衛しないという明確な意味合いに留意した。5カ月後、北朝鮮軍は38度線を越えて南へなだれ込み、韓国を侵略した。
しかし、金氏は計算を誤った。米国が戦ったのだ。朝鮮戦争は数十万人の死者を出し、米軍と中国軍の直接的な戦闘につながった――そして、いまだ正式に終わっていない。今日に至るまで、朝鮮半島の平和は正式な和平条約ではなく、休戦協定によって保たれている。
アチソン長官が無関心を示唆したのに対し、ドナルド・トランプ大統領は決意を示している。米国は北朝鮮の核開発プログラムを阻止すると誓い、先制的な軍事行動に出る用意があると強くにおわせている。
だが、今回もまた、北朝鮮が予測不能な形で攻撃に出る明確なリスクがある。
北朝鮮の現指導者で、金日成氏の孫にあたる金正恩(キム・ジョンウン)氏は、祖先の軍国主義と孤立主義、そしてパラノイアを受け入れた。もし金正恩氏が米国は本当に自分の体制を攻撃する構えだと結論づけたら、最初に攻撃する気になるだろう。同氏が素早く動く動機は、米国の戦争計画には北朝鮮指導者を殺害する早期の試みが含まれているというメディアの報道によって一段と強まったに違いない。
最近の軍事演習から見て取れる北朝鮮の軍事ドクトリンは、敗北や破滅を回避するために核兵器を先制使用することを想定している。学識経験者のジェフリー・ルイス氏は最近、フォーリン・ポリシー誌への寄稿で、次のように論じた。
「金の戦略は核兵器を早期に使用することに依存している・・・米国が彼を殺したり、特殊部隊が北のミサイル部隊を発見したりする前に使う、ということだ・・・やるのであれば、金は最初にやらなければならない」
北朝鮮はまだ米国西海岸に届く核ミサイルは開発していないものの、韓国や日本を攻撃できる、核兵器が搭載可能なミサイルは恐らく持っている。北朝鮮との国境から55キロほどしか離れていない韓国の首都ソウルは間違いなく、破壊的な迫撃砲の嵐にさらされやすい。そして日本と韓国は、北朝鮮の化学兵器に大きな不安を抱いている。
米国が北朝鮮攻撃を検討しているというトランプ氏の強い示唆は、中国に対し、朝鮮半島の従属国を「差し出す」よう圧力を加えることを意図している。この作戦は奏功するかもしれない。中国政府は北朝鮮での出来事をあからさまに警戒しており、北朝鮮政府への圧力を強めるかもしれない。
一方、金体制が実は見かけの威張った態度からうかがえるよりもずっと怖気づいており、今後、核開発プログラムを凍結する可能性もある。
だが、トランプ政権の好戦的な戦略が目的を果たすことは確かに考えられるものの、それよりは北朝鮮が引き下がらない――ひいてはトランプ戦略が失敗に終わる――公算の方が大きい。その場合、トランプ氏はジレンマに直面する。
同氏の「非常に強力な大艦隊」は任務が完了しないまま朝鮮半島から引き揚げるだろうか。トランプ政権は、公に約束した非常に厳しい措置として、場合によっては中国とともに経済制裁の強化策を提示できるだろうか。
トランプ氏は臆面もなく発言と方針を変えることができる。だから、北朝鮮問題について、トランプ氏がただ引き下がる、または本人がずっと求めてきた劇的な変化として現状を受け入れることは間違いなくあり得る。
だが、その一方で、トランプ氏が北朝鮮への先制攻撃が実行可能な選択肢だと確信したという可能性もある。そのような結論は、標準的な軍の助言――1度の集中攻撃で北朝鮮の核プログラムを「抹殺する」のは不可能であり、それゆえ、そのような攻撃の後には、韓国と日本、アジア域内の米軍基地が報復の危険にさらされるとする助言――に真っ向から反することになる。
米軍は、北朝鮮への先制攻撃に伴うリスクを十分に認識している。このため、H・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が、ベトナム戦争の最中に政治家に率直なアドバイスを与えなかったことで米軍幹部らを痛烈に批判する本を書いたことを思い出すと、心強くなる。
これに対するリスクは、トランプ氏が――大統領として混沌としたスタートを切った後――、軍事行動こそが自分が有権者に約束した「勝つ」イメージのカギを握ると結論づける危険だ。大統領は、シリアを爆撃したことで得た超党派の喝采を享受した。シリア攻撃のすぐ後、トランプ氏はアフガニスタンに巨大な従来型爆弾を落とし、息子のドナルド・トランプ・ジュニアは――爆弾の絵文字付きで――歓喜をツイートした。
トランプ大統領のインナーサークルには確かに、トランプ政権は本気で北朝鮮への「先制攻撃」を検討していると思っている人がいる。だが、もし金正恩氏が同じ結論に達したとしたら、先に核の引き金に手を伸ばすかもしれない。
By Gideon Rachman
© The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.>(以上)
北朝鮮に時間の利益を与えないためには、どこかの時点で金正恩を排除するか、戦うしかありません。識者が言っています通り、北朝鮮問題は日本を脅威に晒したノドンの開発完了前に、日本が主体的に解決しなければならなかったものでした。太平楽に溺れ、「治に居て乱を忘れず」の警句も隅に追いやり、享楽主義に只管耽ってきたのが日本人です。せめて今回の危機に際し、真剣に日本の安全について、国民一人ひとりが考えるべきです。
反日共産党は、4/14しんぶん赤旗の中で、志位委員長が「米国は軍事的選択肢をとるな――外交交渉のなかで北朝鮮の非核化を、・・・重大なことは、安倍首相が、トランプ政権のこうした動きを手放しで歓迎する姿勢をとっていること」と述べています。これは論理倒錯としか言えません。悪いのは、日本に向け核・毒ガスミサイルを向けている北朝鮮ではないですか。米国はその脅威を除去しようとしているだけです。共産主義者だけあって善悪の判断が常人とは違います。文句を言うなら、同じ共産主義者として、核放棄を説得して来ればよいでしょう。こういう人間が日本にまだ残っているのが不思議です。サイレントマジョリテイとはいっても、ノイジイマイノリテイに引きずられるのは国を誤らせる元です。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-14/2017041401_01_1.html
福島氏の記事で、六か国協議に戻ることはないでしょう。それこそ時間の利益忌を北に与えるだけです。このままでは米国と北との衝突は不可避に見えます。中国の金正恩亡命計画?は頓挫したと思われます。4/18FNNテレビは
<「北」問題「中国はキープレーヤーではない」
北朝鮮問題に十分対応していないとの指摘に反論した。
17日、中国外務省の陸慷報道官は「中国は、半島核問題の火つけ役でもないし、問題発生に関わるキープレーヤーでもない」と述べた。
韓国を訪問しているアメリカのペンス副大統領が、北朝鮮問題について、中国に対処を求めたのに対し、中国外務省の陸報道官は「中国はキープレーヤーではない」と述べ、全ての関係各国が対話を通じて解決を目指すべきだとの考えを示した。
また陸報道官は、北朝鮮のミサイル実験について、「全ての関係国がお互いを刺激し、火に油を注ぐような行動を避けるべきだ」と述べ、自制を促した。>(以上)とあります。
http://jp.reuters.com/article/nk-crisis-china-idJPKBN17L0PX
ソンイルホは最大の被害を受けるのは日本とか抜かし、日本人妻を人質に泣き落としにかかってきています。でも、彼女らはまだ日本国籍を持っているのでしょうか?朝日新聞の犠牲者と言われますが、自分の選んだ道です。拉致被害者とか中国残留孤児とは違います。取引材料として使う方も使う方ですが、テロリストとは取引しません。
またロシアにも近づいています。「万景峰」号がロシアと定期航路を5月に新設とのこと。あらゆる手を使って米国へのとりなしを図っていると思います。それだけ北も必死なのでしょうけど。
http://www.sankei.com/world/news/170419/wor1704190052-n1.html
米国はEMPやMOABを使っても敵のミサイル攻撃を無力化すべきです。日本はテロ攻撃だけ防げばよい。トランプは習近平から「韓国は歴史的に中国の一部だったことがある」と聞いたとの話です。まあ、千年属国の話をしたのだろうと思いますが。でも台湾と違い、韓国には同情しません。トランプがどういう意図でこの話を持ち出したのか分かりません。「戦後統治を韓国に任せるが、中国は韓国を属国にしてきた歴史があるのだから、うまく裏でコントロールしろ。その代り戦争に手を出すな」と言ったところでしょうか。
http://www.sankei.com/world/news/170420/wor1704200034-n1.html
記事

緊張高まる朝鮮半島、“着火”するのはトランプか習近平か、駆け引きは続く(写真:AP/アフロ)
4月16日の北朝鮮のミサイル発射が失敗し、トランプが失敗はカウントしない、報復しないと言ったので、どうやら北朝鮮有事は少しだけ遠のいたようだ。しかも、米国はTHAAD配備について、次の大統領が判断すべきだ、として先送りを示唆した。中国に対しての譲歩と見ていいだろう。為替操作国認定も先送りにしており、これが北朝鮮制裁に対する協力への見返りであることも公式に述べている。かわりに、中国は北朝鮮をなんとかせい、と押し付けられた格好だ。
中国はより厳しい北朝鮮制裁を強いられることになり、石油(重油)禁輸や金融制裁に踏み切らざるを得ないだろう。中国の石油禁輸などの制裁計画案は昨年のうちにすでに策定されている。中国による石油禁輸は2003年2月に一度3日間、“パイプライン補修のため”の名目で行われたが、この圧力によって北朝鮮を米中朝の三者協議に引きずり出し、それが六者協議につながったことを思えば、これを実行すれば、効果はあるかもしれない。だが、この措置は、北朝鮮を本気で追いつめることになり、下手をすれば北朝鮮が暴発しかねない。中国はそういう事態にどのような対応を想定しているのだろうか。
金正恩に「中国亡命」を説得中?
改めて言うと、中国の同盟国としての北朝鮮の今の体制の存続が中国の根本利益に当たる。なので、米国主導の南北統一や体制変革は絶対に容認できない。ぎりぎり容認できるとしたら金正恩個人の排除までだ。一応米国側は北朝鮮のレジーム変革には興味を持っていない、と言明しているので、そのあたりは中国に配慮している。
中国の理想としては、中国側の説得に応じて、金正恩政権が核兵器の全面放棄をすることだが、それが簡単にできたら苦労はしない。体制を存続させながら、もう少し性格の穏当な「話し合いのできる」指導者に交代させることができれば、米中ともに納得できるだろう。嘘か本当か、中国当局が金正恩に自国に亡命するように説得中という情報も韓国メディアから流れているが、もし万が一、米国の攻撃前に金正恩が中国に亡命すれば、次の後継者選びおよびその後の情勢は中国主導の展開になるやもしれない。後継者としては過去マカオで中国の庇護下にあり、今は米国の庇護下にあるハンソルが、筆頭にあがることになるだろう。もっとも、金正恩がそんな説得に応じるようであれば誰も苦労はしまい。
ところで、米国のような超軍事大国にとって北朝鮮のミサイルが本当に脅威かというと、そうではないだろう。ロシアの軍事専門家も、今の北朝鮮に米国本土に核弾頭をぶち込めるミサイル技術はない、と見ている。せいぜい届くとしたら、佐世保や岩国あたりの在日米軍基地である。ミサイル実験の失敗も、本当に北朝鮮の技術的問題のせいだけなのか。米軍によるジャミングのせいという可能性もゼロではないだろう。
米国にとって、北朝鮮の脅威とは北朝鮮の兵器がイランやシリアに流れることである。シリアで使われた化学兵器も金正男を殺害した毒薬もサリンだった。シリアの生物化学兵器技術は、30年来の軍事協力関係がある北朝鮮が提供したといわれている。この上、小型核弾頭までシリアに持ち込まれてはえらいことなので、米国としては強硬策に出た。
国境に派兵、航空便とワタリガニ漁船は停止
そういう状況で、中国が北朝鮮有事をどのぐらい具体的に考えて準備しているか。これは米国系華字ネットニュース・多維がまとめていたので参考にさせてもらう。
4月15日の太陽節に起き得る有事に備えて中国は中朝国境に兵力15万を配備した。これは公式には否定されている。だが、難民の大量流入を防ぐための国境警備強化は従来からあるマニュアルどおりである。同時に、北京・平壌間の航空便を停止した。航空会社側は「チケットが売れていないので取り消した」と説明しているが、実際のところは有事警戒といえる。今後も長期的に続くとすれば経済制裁の意味もあろう。また延坪島付近の中国漁船も姿を消した。これは違法漁業だが、ワタリガニの季節の今頃は、中国漁船でにぎわっているのが常である。漁民がいちいち北朝鮮情勢に気を配っている可能性は低いので、これも当局の指示で出漁を抑えられたと見られている。
中国としては4月15日前後に、何かが起こる可能性は低いとみていたが、それでも相応の警戒はしていた。14日夜に王毅外相はロシアのラブロフ外相と電話会談し、シリアおよび朝鮮半島における共通の関心事の“戦略的コミュニケーション”を行った。細部の内容は公開されていないが、要するに、半島問題については戦略的に手を結ぼう、ということらしい。
中国が想定する北朝鮮有事リスクは、①北朝鮮の核兵器がコントロール不能になって、東北部が核汚染の危機にさらされる、②大量の難民が押し寄せる、③有事の影響で地縁政治と大国関係が変化する、の主に三つだ。北京に核ミサイルがぶち込まれる、というリスクもゼロではないが、中国も数千発と推計される核弾頭を地下施設に隠し持っている核兵器大国である。中国が北朝鮮に先制攻撃する意思は今のところなく、いくら北朝鮮が中国に腹を立てたからといって、いきなり核攻撃をしかける可能性はさすがに低かろう。
リスクの中で最も懸念されているのが、実際のところ、有事そのものよりも有事後の地縁政治および大国関係の変化、つまり北朝鮮の体制が変化し、半島における米国の軍事プレゼンスが強化されることにあるといえるだろう。逆にいえば、これが米国側の最終目的であろうと見られているので、これを防ぐためには、半島で微妙に利害対立のあるロシアとの意思疎通、連携は不可欠となる。
ロシアの発言を中国が対米牽制に利用
トランプ政権は発足当初、親ロシア人脈の台頭が注目されていたが、最終的にはロシアコネクションスキャンダルによって弾劾の可能性をおそれたトランプが、「プーチンに弱みは握られていない」ことを証明するためにシリア・アサド政権の攻撃に踏み切った、という見方がある。シリア攻撃に反対していたバノンは国家安全保障会議(NSC)メンバーから外され、更迭が噂され、トランプ政権の方向性はロシアを宿敵とする従来の共和党路線に立ち返る可能性が濃厚となった。
そういう状況で、中国はすかさずロシアとの関係強化にテコ入れしてきている。ロシアは北朝鮮問題に対しては「米国が金正恩政権転覆を考えているならそれは受け入れらない」という立場を明確にしている。さらにロシアメディアは「北朝鮮が米国を攻撃できる能力は実際のところないのに、米国が北朝鮮に戦争をしかけるようなことがあれば、2021年までの期限がある中朝友好協力互助条約に従って中国は再び米国と戦うことになる」というロシアの軍事専門家の意見などを報じ、中国メディアもこれを転電している。トランプスキャンダルを握っているという噂もあるロシアの発言を中国も対米牽制に利用しているともいえる。
ちなみに、中ロが合同でTHAADに対抗するミサイルシステムを構築する噂が一時流れたが、これについては、ロシアの軍事専門家が環球時報のインタビューに「可能性は低い。中ロが同盟関係になる可能性も低い」と答えている。中ロも根本的には利害対立関係にある。ただし、中ロで“米ペンタゴンの危険な選択”に対抗していく方針は言明している。
米国は西大西洋地域に配備されている三つの空母戦闘群を半島付近に向かわせた。北朝鮮が今後、核実験を行えば、米国としては先制攻撃もあり得る、という牽制を形で見せているわけだ。半島有事の可能性はいったん遠のいたかもしれないが、なくなったわけではない。だからこそ、中ロとも空母・カール・ビンソンに対しては偵察艦を出しており情報収集に動いている。
中国の戦争肯定派、北の「支援」と「打倒」に二分
ところで中国の一般人の間では北朝鮮有事に対して、どのような見方が多いだろうか。
これはネットで軍事問題について討論をするのが好きなミリタリーオタクに限っての意見かもしれないが、半島で戦争が起こるなら、積極的に戦闘に参加すべきであるという意見が多い。中国世論は基本的には戦争に肯定的である。こうした積極参戦派の意見も二通りあって、北朝鮮に味方して参戦すべきだという意見と、米国と一緒に金正恩政権をつぶすべきだという意見に分かれている。
北朝鮮応援派の意見は、「中国にとって北朝鮮は北の大門、この土地を守るために中国は歴史上、6回戦争をしてきた。この土地を守ることが中国の中心利益であり、米国に半島で勝手に軍事行動を起こすことを許してはいけない」というものだ。中朝友好協力互助条約を結んでいる以上、中国と朝鮮は軍事同盟関係にある、というのも根拠にある。
米中協力派の意見は「金正恩の横暴は中国も手を焼いている。だが、米国に半島で単独で軍事行動を起こさせることだけは許してはいけない。それなら中国も一緒に戦争に、そして金正恩排除に参加して、米国に勝手にさせないようにするべきだ」。半島問題の本質が米中のどちらが北朝鮮に対して主導権を握るかという点にあるとすれば、どちらもあり得る、ということでもあろう。
さて中国が今後、具体的にどのような展開を考えているのか。
一つ重要な要素は5月9日の韓国大統領選挙である。韓国の大統領が親北朝鮮派の文在寅となれば、中韓ロの連携によって米国の軍事的行動を抑止し、北朝鮮を再び六カ国協議の席に戻すことができる確率は高まる、と少なくとも中国は期待を寄せている。
「六カ国協議」で時間稼ぎ、その先は…
そう、いまだに六カ国協議なのだ。だから武大偉のような過去の人が、いまさらのように韓国を訪問したり、北朝鮮を訪問しようとしたり(北朝鮮側が拒絶してできず)している。六カ国協議では、北朝鮮の核問題は根本的に解決できないことは明白だ。できるとしたら、北朝鮮を核保有国と認定し、不拡散を約束させるぐらいだろう。核の完全放棄は、金正恩政権をつぶさないかぎり考えにくい。
ちなみに中国内部には、北朝鮮はすでに核兵器保有国であり、そろそろそれを認めるのが現実的だという意見が少なからずあり、もし米国の方を多少なりとも説得できるとしたら、北朝鮮の正式な核保有国認定も視野に入れていそうだ。そうでなければ、六カ国協議は時間かせぎでしかない。
いや、中国にとっては時間稼ぎでもいいのだ。では、いつまでの時間稼ぎだろうか。
それは、中国にきわめて反抗的な金正恩を、中国主導の軍事行動によって排除するまで、ではないだろうか。2021年に中朝友好協力互助条約の期限が切れるタイミングは、習近平が引退する直前、もしくは三期目継続による長期独裁体制の確立を狙っている最中かもしれない。仮に従来の共産党システムを破壊して、長期独裁政権を築こうというならば、党内と人民を納得させるような政治的必要状況を作り出す必要がある。それが台湾進攻作戦ではないか、という人が多いが、こうなってきてみると、中国主導の半島有事も十分あり得そうな気がしてくる。
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『「シリアの誤算」に苦慮するプーチン政権』(4/14日経ビジネスオンライン 池田元博)について
ロシアは共産主義から脱しても、その残滓としての腐敗が残ったままです。メドベージェフの腐敗はプーチンの人気も下げて行くでしょう。また、米朝戦争が起きたときにロシアがどう外交していくのかによっても、ウクライナを侵攻した時のような人気が出るかどうかです。
韓国メデイアは「今中国が4/30までに金正恩が中国に亡命することを勧めている」とのこと。でも彼は金正男を保護していた北京に行くことは望まないでしょう。行くとすれば瀋陽軍区でしょうけど、習近平は反乱軍となる可能性の強い瀋陽軍区に彼を置くことはしないでしょう。
そうであれば、機を見るに敏なプーチンが金正恩をロシアに亡命させれば外交上の得点(戦争を回避させたという意味で)になるのでは。できれば、あらゆる手段を使って戦争を回避してほしいと思いますが、金正恩が北朝鮮のトップにいる限り、米国に譲歩するのは難しいと思います。織田邦男氏によれば「今すぐ米朝戦争は起こらない。在韓邦人の脱出と在韓米軍の家族の沖縄への避難(NEO=noncombatant evacuation operation)が先にあるので」という事です。でも先送りするだけで危機の本質は変わっていません。北朝鮮がチキンレースを米国に仕掛けるのであれば、衝突は不可避です。
北朝鮮の核とICBMの保有は米国と大東亜戦争がまだ続いているという見方もありますが、大東亜戦争は林房雄が言ったように「ペリー来航」からで、植民地解放戦争が終わったところまででないかと思います。自国民を大量虐殺してきた金王朝と毛沢東には大義はありません。それと同じ扱いでは、日本が為した大東亜戦争の名誉を損ねるものではと思っています。小生は、大東亜戦争は「レーベンスラウム」、「アウタルキー」の確保の為に起こしたもので、植民地解放は副次的なものと思っていますが。
北朝鮮はあまつさえ、核や毒ガスミサイルで日本を標的にしています。世界史的な名誉を北朝鮮に与えるのはどうかと思います。勿論、戦勝国が特権を持ってきた世界に風穴を開けたいという気持ちは分かりますが、それが武力行使に依るのであれば、世界平和には役立たないものと思っています。
当面は中国のやり方を見守ることになると思います。ただ、北が動かなければ、米国は先制攻撃するでしょう。その前にNEOをすると思われますので、要注意です。戦争が始まれば、ミサイルはEMPやMOABで飛べないようにして、後は日本国内のテロ防止に注力してほしいと思っています。
記事
ロシアが軍事介入するシリア問題で、プーチン政権が苦慮している。第2の都市サンクトペテルブルクでテロ事件が発生したのに続き、シリアでアサド政権による化学兵器使用疑惑が浮上、米国がミサイル攻撃に踏み切ったからだ。

米ロ関係改善のシナリオは完全に狂った(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
冷徹な指導者とされるプーチン大統領にとっても、さぞかしショックだっただろう。4月3日にサンクトペテルブルクの地下鉄車内で起きた爆発事件だ。容疑者1人を含む15人が死亡し、100人以上が負傷した」
捜査当局は爆破テロ事件と断定するとともに、実行犯を中央アジアのキルギス出身で、ロシア国籍を持つサンクトペテルブルク在住のアクバルジョン・ジャリロフ容疑者と特定した。
プーチン大統領にとって衝撃だったのは、政権が万全だと誇示してきた国内のテロ対策のもろさが露呈したうえ、標的となった都市が自身の出身地であるサンクトペテルブルクだったことだ。
しかも大統領は事件の当日、ベラルーシのルカシェンコ大統領との首脳会談のため、サンクトペテルブルク市内に滞在中だった。まさにプーチン氏の訪問日程に合わせ、大統領の神経を逆なでするようなテロ攻撃だったわけだ。
プーチン大統領の困惑ぶりを象徴したのが、事件当日の夜に現地で開いたルカシェンコ大統領との共同記者会見だろう。
「我々の会談結果を簡単に報告したい」――。プーチン大統領は厳しい表情のまま、冒頭から首脳会談での合意事項を列挙し、続くルカシェンコ大統領の発言が終わると質問も受け付けずに会見場を去った。メディアを通じて国民に訴えかける格好の場だったが、地下鉄爆破事件には一言も触れなかった。
テロと断定された事件に対する大統領の生の声が伝わったのは2日後。5日にモスクワで開いた独立国家共同体(CIS)加盟国の治安機関トップとの会合の席だった。
「先のサンクトペテルブルクでの悲劇が示したように、残念ながら状況は改善していない。テロ攻撃によって人々が犠牲になり、多くが負傷した。我々のどの国であってもテロ攻撃の潜在的な標的となり得るということだ」
従来、「テロリストの殲滅(せんめつ)」を豪語してきた大統領にしては、やや意外感のある弱気の発言ともいえる。サンクトペテルブルクでのテロ事件が政権に与える打撃の大きさを実感しているからかもしれない。
プーチン氏が恐れる、テロとシリア問題の関連付け
ロシアはこれまで何度もテロの悲劇に遭い、多くの犠牲者を出してきた。ただ、過去の多くのテロ事件はチェチェン独立派武装勢力など、主に国内のイスラム過激派や原理主義勢力によるものだった。
1999年秋には首都モスクワなどでアパート連続爆破事件が発生し、当時は首相に就任直後でほぼ無名だったプーチン氏が「チェチェン武装勢力の犯行」と断定。大規模な掃討作戦を主導して国民の人気を一気に集め、翌年の大統領選で初当選する素地となったのは有名な話だ。
こうした経緯もあって、プーチン氏は「テロとの戦い」を政権の主要課題に掲げ、国民の結束を呼びかけるとともに、政権への支持を集める〝題材〟として利用してきた。実際には政権基盤を安定させるためのメディア統制やデモ・集会規制といった社会統制措置も、対テロ対策を国民向けの言い訳にしてきた面も否定できない。
今回の事件によって、社会統制を含めた政権の治安対策にも疑問符がつけられかねない情勢だが、政権が恐らく、それ以上に危惧しているのは事件がシリア問題と関連づけられることだろう。
ロシアは過激派組織「イスラム国」(IS)など国際テロ組織の撲滅を名目に、2015年9月末からシリアで大規模な空爆作戦を開始した。旧ソ連圏以外では、ソ連時代のアフガニスタン侵攻以来の他国への軍事介入だった。プーチン政権には、ウクライナ領クリミア半島の併合で強まった国際的な孤立を脱却する狙いもあったとされる。
しかし、ロシア社会では多数の犠牲者を出したアフガン侵攻の苦い経験から、他国への軍事介入に否定的な風潮も根強い。
プーチン政権もシリア介入後、社会の反応にはとくに配慮した。2015年10月末にエジプトで観光客を乗せたロシア旅客機が墜落した際には、「爆破テロ」との見方をなかなか認めなかった。同年11月、トルコがシリア空爆作戦に参加していたロシア軍機を撃墜しロシア兵が死亡した時は、経済制裁まで科してトルコを激しく非難したこともあった。
ところが今回はロシア第2の大都市で、一般市民が巻き込まれた。ひとごとと思っていたテロが、身近な恐怖として国民の間に浸透したのは間違いない。
国内メディアはジャリロフ容疑者が2015年11月にトルコのイスタンブールに空路で向かい、その後にシリア入りしてISによる軍事訓練を受けていたとの説や、今年2月にキルギスに一時帰郷後、急に無口になり様子が変わったという情報などを相次ぎ報じている。
ロシアや旧ソ連諸国からIS戦闘員として参加した若者らは数千人に達しているとされる。しかもIS側は空爆を続けるロシアへの報復を予告していた。ジャリロフ容疑者もISや他のイスラム過激主義に傾倒し、テロ事件を起こした可能性は否定できない。
旧ソ連から「イスラム国」(IS)に参加した戦闘員 (ICSRの推計、2015年1月発表)

(注)ICSR=英ロンドン大学キングス校の過激化・政治暴力研究国際センター
ただ、ISの関与の有無にかかわらず、国民の多くがテロ事件とシリアでの軍事介入を関連づけ、介入に批判的な世論が今後高まる恐れがある。ひいては「シリアの誤算」が、政権の求心力を弱めるきっかけにもなりかねない。
狂った米ロ関係改善のシナリオ
プーチン氏にとって唯一の救いは、地下鉄テロを受けて米国のトランプ大統領をはじめ世界の主要国首脳がこぞって電話をかけ、対テロ共闘を呼びかけたことだろう。大統領は機を見るに敏な戦術家だけに、国際連帯の輪を利用し、シリア和平を主導的に進める方策を模索したことは十分に想像できる。
ところがそんな折も折、新たな「誤算」に見舞われた。シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑である。北西部の反体制派が支配する地域でサリンとみられる化学兵器が空爆に使われたとされ、女性や子どもを含めて100人規模の死者が出た。これで国際社会のアサド政権批判が一気に強まった。
特にトランプ大統領は「多くの一線を越えた」「シリアとアサド(大統領)への考えは大きく変わった」と激しく非難。さらに米軍はシリア内戦が始まってから初めて、アサド政権軍に対する大規模なミサイル攻撃に踏み切った。
ロシア大統領府はこれに対し、プーチン大統領が「米国のシリア攻撃は主権国家への侵略で国際法違反」とみなしたとする非難声明を発表。アサド政権軍による化学兵器使用を否定するとともに、今回の攻撃が米ロ関係にも深刻な損失を与えると警告した。
ロシアはこれまで、アサド政権を存続させる形でのシリア和平を画策してきた。今年1月にはトルコ、イランとともにカザフスタンの首都アスタナでのシリア和平協議も主導した。この流れに、米国のトランプ政権も巻き込んで和平を実現するとともに、オバマ前政権下で大きく冷え込んでいた米ロ関係を改善するシナリオを描いていたようだ。
こうしたシナリオは完全に狂ってしまった。かつてロシアとの協調に前向きだったトランプ大統領は、アサド政権の後ろ盾となっているロシアにも疑心の目を向けており、対ロ制裁の強化までちらつかせている。
4月11~12日には米国のティラーソン国務長官が初めて訪ロし、プーチン大統領やラブロフ外相と会談したが、シリア情勢をめぐる米ロの立場の隔たりは全く埋まらなかった。
米ロ外相会談では両国が特別代表による作業部会を設置し、互いの様々な懸案を協議する枠組みをつくることでは合意した。決定的な対立は回避したとはいえ、トランプ政権の発足で一時的に膨らんでいた米ロの関係改善の期待も、急速にしぼみつつある。
ロシアでは先月末、反政権派ブロガーとして知られる弁護士、アレクセイ・ナワリヌイ氏の呼びかけで政権の汚職や腐敗を批判する集会が各地で開かれ、若者を中心に多数の市民が参加した。メドベージェフ首相が莫大な隠し財産を保有していると告発したナワリヌイ氏のビデオがユーチューブを通じて流布し、多くの若者の関心を集めたためだ。
危機感を募らせる政権与党などの間では、その直後に起きた地下鉄爆破事件を受け、反テロ集会を盛り上げて国民に連帯を呼びかけ、汚職や腐敗に対する国民の不満を抑えようとする動きがでている。また、政権側が「テロ対策」を名目に、政権批判のデモや集会を一段と規制するのではないかとの観測も浮上している。
しかし、こうした小手先の対応が政権の求心力維持に結びつく保証はない。むしろ地下鉄爆破事件で国民の懸念が強まったシリア介入に、どのような落としどころを探っていくのか。プーチン大統領の真価が試されているといえるだろう。
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『用心棒代1万元を要求された男子中学生が不審死 いじめによる致死が濃厚も警察は否定、「役人の子供」の暴挙か』(4/14日経ビジネスオンライン 北村豊)について
4/18日経<中国6.9%成長、公共投資がかさ上げ 不動産バブルの懸念も
【北京=原田逸策】中国の2017年1~3月の実質経済成長率は前年同期比6.9%だった。地方を中心にインフラや不動産への投資が増え、成長をかさ上げした。習近平指導部は最高指導部が入れ替わる秋の党大会をにらんで安定成長の演出に躍起だ。ただ、資産バブルの拡大など先行きのリスクは膨らんでいる。
成長率は2四半期続けて上向いた。成長加速の原動力は前年同期から23.5%も伸びた道路や空港などインフラ投資だ。経済政策に通じた共産党関係者は「党大会前に経済成長で得点を稼ごうと地方政府の指導者や官僚が投資を増やした」と指摘する。

インフラ投資が成長をけん引する(北京の新空港建設現場)=ロイター

1~3月の財政支出は21%増の大盤振る舞いとなった。同期中のショベルカー販売は約4万台とほぼ倍増。需要の高まりは鉄鋼などにも広がる。
「多少高くてもいい。鉄を売ってもらえないか」。今春、日本の大手鉄鋼メーカーの中国オフィスに電話が入った。電話の主は中国の建設関連企業の調達担当者だ。
国を挙げて過剰生産能力の削減を進めるなか、地方政府のインフラ投資増などで鉄鋼需要は膨らみ、需給はにわかに引き締まっている。中国の鉄鋼価格は昨年夏以降、2~3割上昇。1~3月の粗鋼生産は前年同期比4.6%増と16年通年(1.2%増)から伸びを高めたが、それでも需要を満たしきれず日本企業に泣きつく例も出てきた。
日本の鉄鋼メーカー幹部も「こんなことは今までなかった」と驚く。目先の需要増で過剰生産能力の調整ペースが緩めば将来、供給過剰問題が再燃するリスクが残る。
インフラ投資とともに成長を引っ張ったのは不動産だ。1~3月の不動産開発投資は前年同期比9.1%増と16年(6.9%増)より加速。販売面積は19.5%増えた。中国政府は国外への資金流出を抑えるため昨年末から海外投資を厳しく制限しており「資金が海外に流れず、最後は国内不動産に戻ってきている」(エール大学の陳志武教授)。
中国国家統計局によると1~3月の成長率のうち不動産投資の寄与は1割弱だった。マンション購入後の家具や家電製品など耐久消費財の消費も考慮すると実体はさらに膨らむ。
インフラ投資と不動産が主導する成長は副作用も大きい。北京、上海、深圳のマンション価格はバブル経済時の東京を超えたとされる。名目の国内総生産(GDP)は1~3月に前年同期より1.9兆元(約30兆円)増えたが、家計や企業の債務は3.6倍の6.9兆元増えた。借金漬けの体質は強まっている。
3月の統計局の調査で、中小企業の5割超は「資金繰りが苦しい」と訴えた。債券の債務不履行も高水準が続く。中小銀行は短期の借り入れを膨らませて中長期の債券や理財商品への投資を増やしている。
李克強首相は3月の政府活動報告で「金融リスクを高度に警戒する」と表明した。中国人民銀行(中央銀行)も過度の金融緩和を修正、短期の市場金利を緩やかに引き上げる。足元の期間1年の短期金利は16年初より1.5%も高い。市場の流動性も引き締め気味だ。
安定した経済成長を保ちつつ、生産能力の調整、不動産など資産バブルの抑制といった構造問題にどこまで本腰を入れて取り組むか。当局の政策運営に中国景気は大きく左右されそうだ。>(以上)
今の国民の関心は米朝戦争の行方で、中国については北に圧力がかけられるかどうか見守っている所です。トランプは中国を為替操作国認定から外しましたので、中国はそれなりに動いているという事でしょう。「王毅外相は14日、「誰であろうと朝鮮半島で戦争を起こしたら、歴史的な責任と代償を払わなければならない」と述べ、北朝鮮とアメリカ双方に自制を求めた。」との報道です。4/15核実験は思い留めさせたのかも知れません。
4/14「報道特注」で山口敬之氏が北のミサイルとテロについて述べていますので、下記のyoutubeを是非ご覧になってください。北のミサイル失敗は米国が何らかの手段で阻止したのかも知れません。EMP(電磁パルス)でミサイルが飛んでくるのは防げるかも知れません。そうなると怖いのはテロです。市民が良く観察して、事が起きれば、すぐ警察に連絡できるようにしませんと。
また、米国の攻撃の前にNEO(noncombatant evacuation operations)が実施されるだろうと思われます。本年1月に在韓米軍の家族が沖縄へ避難演習していました。子供にガスマスクを付けさせていた様子が映っていました。政府は国民全員にガスマスクを配布するくらいを考えなければ、国民の生命は守れません。左翼政党が共謀罪に抵抗しているように、事が起きてからの対応しかできないようにしてきたためです。メデイアに騙され、そういう政治家を選んで来た国民の責任が問われる時が近づいています。
4/18日経記事は本年1~3月の成長率が6.9%あるというのは昨日の小生ブログの記事にありましたように「本当?」と感じます。インフラ・不動産投資で成長と言っても、借金を積み重ねて来ていますので、臨界点がどこかで来るのではと思います。
北村氏の記事は役人の腐敗ぶりが分かる記事です。父が権力者であれば、子供も何でもできるという世界です。台湾でも、国民党の子孫は、子供でも自分を偉く思うと聞いていますので、中国人に共通の思いなのでしょう。日本でも虐めで子供が亡くなっているケースがあります。日教組が幅を利かせているからです。本当に左翼と言うのは始末に負えません。権力の濫用を平気でしますので。反日共産党、反日民進党を応援している人はこの北朝鮮危機をどう感じるのでしょうか。拉致問題もずっと解決しないで来ました。もっと国民が国際情勢に関心を持たなければ。
記事

四川省南部の“瀘県”は“瀘州市”の管轄下にあり、県東部で重慶市と境を接している。瀘県は面積1532km2、人口110万人で、日本の市で2番目の面積を持つ浜松市(1558km2、80万人)の規模に近く、西部地区の“百強県(経済力のある100カ所の県)”に選出されており、現在は“瀘川区”として瀘州市へ編入させる計画が進行中である。
学校は火葬を急ぎ、警察は事故死と断定
その瀘県の県庁所在地から東南へ30kmに位置する“太伏鎮”にある“太伏鎮初級中学(略称:太伏中学)”で、中国社会が直面する問題点を如実にさらけ出す事件が発生した。この事件に関する海外メディアと中国のインターネット上に庶民によって書き込まれた情報を総合して取りまとめると、その概要は以下の通り。
【1】4月1日朝6時20分頃、“瀘県公安局”の“太伏鎮派出所”は、太伏中学の男子学生宿舎前のコンクリート舗装の道路上に人が倒れているとの通報を受けた。太伏鎮派出所は警官を現場へ急行させると同時に、救急車の派遣を要請した。現場に到着した警官は倒れていた男性が死亡していることを確認し、死者の身元を調査したところ太伏中学の男子学生であることが判明した。死亡していたのは太伏中学2年生の“趙鑫(ちょうきん)”(2002年12月21日生まれの14歳)で、同中学の男子学生宿舎5階の505号室に居住していた。以下、本件を「趙鑫事件」と呼ぶ。
【2】趙鑫の父親“趙廷学”と母親の“游小紅”は2001年に結婚し、2002年に趙鑫をもうけたが、2012年に離婚した。離婚した2人は間もなく再婚したが、2014年に再び離婚し、趙鑫の養育は趙廷学が行うことになった。しかし、趙廷学は年中出稼ぎに出ていることから、趙廷学の父母、すなわち趙鑫の祖父(67歳)と祖母(62歳)が趙鑫の世話をしていた。2015年9月に趙鑫が太伏中学へ入学して学生宿舎で生活するようになると、趙鑫は毎週金曜日の午後に自宅へ帰り、月曜日の早朝に太伏中学へ戻るのが慣例となった。祖父は趙鑫が学校へ戻る時に、毎週100元(約1600円)前後の生活費を渡していた。但し、毎週100元程の生活費をもらっていたのに、趙鑫はいつも腹を空かせた様子であったので、祖父は疑問に思っていたという。
【3】事件当日、学校側は趙鑫の家族が現場へ到着していないにもかかわらず、大急ぎで趙鑫の遺体を“殯儀館(葬儀場)”へ搬送して火葬に付そうとした。遺体が搬送される直前に現場へ到着した趙鑫の家族はこれを押し止め、遺体を仔細に見ると、趙鑫の背中には打撲による赤紫のうっ血が広範囲に存在しただけでなく傷口もあり、左腕は背中の方へ奇妙にねじ曲がっていた。現場にはどこにも血痕がなく、どうみても宿舎の5階から転落して死亡したとは考えられなかった。なお、事件発生から数時間後にはネット上に宿舎前の路上に横たわる趙鑫の遺体や遺体の背中を写した写真が投稿され、人々は当該写真を通じて趙鑫の死が不審なものであることを確信した。
【4】一方、現場検証を行った太伏鎮派出所の警官は趙鑫が誤って学生宿舎の5階から転落したと簡単に結論付け、事故死と断定した。これを受けた学校側は鎮政府に対して趙鑫が学生宿舎から誤って転落したと報告を入れ、事件を事故死として決着させようとした。ところが、趙鑫の凄惨な遺体を見ていた家族は転落死という判定に強く反発し、趙鑫は5階の部屋で暴行を受けて殺害された上で、転落しに見せかけて5階から投げ落とされたと推定し、瀘県公安局に対して趙鑫の遺体を司法解剖して死因を究明するよう強く要求したのだった。
5人の番長、うち2人は「役人の子供」
【5】趙鑫の祖父が語ったところによれば、趙鑫は以前から太伏中学の“校覇(番長)”たちからカネをゆすられていたという。最初の要求は1000元(約1万6000円)だったが、そんな大金を趙鑫が払えるはずがなく、彼は思い余って祖父母に事態を打ち明けた。話を聞いて怒り心頭に発した祖父母は即座に太伏鎮派出所へ通報し、通報を受けた派出所は太伏中学へ事態を連絡して善処を要請した。太伏鎮派出所にはこの時の通報記録が残っていると言われる。これでカネの支払いなしで、何事もなく終わったかと思われたが、警察に通報されたことを根に持った番長たちの趙鑫に対する要求は増大した。彼らは趙鑫に対して「よくも警察に通報したな、3月31日までに“保護費(用心棒代)”として1万元(約16万円)を支払え。さもないと、“弄死你(お前をぶっ殺す)”」と脅したという。1000元でさえ払えないのに、1万元などという大金が趙鑫に支払えるはずがなく、趙鑫は番長たちに彼らの言葉通り「消された」可能性が高い。
【6】太伏中学には5人の番長がいることは世間に知られたことで、趙鑫の死亡が太伏鎮内に知れ渡ると、インターネットの掲示板には、「その5人には、太伏鎮の鎮長である“雷鑫平”の息子、太伏鎮に隣接する“兆雅鎮”の“兆雅鎮派出所”の所長である“田安軍”の息子、さらには太伏中学の元校長である“彭傳彬”の息子が含まれている」との書き込みが行われた。彼ら3人は“官二代(役人の子供)”であり、父親の権威を嵩に着て太伏中学の学生たちを牛耳り、悪さの限りを尽くしていた可能性がある。彭傳彬は太伏中学の元校長であり、その息子が番長の1人だったとは「何をか言わんや」である。
【7】母親の游小紅が語ったところによれば、趙鑫事件の発生が太伏鎮内に知れ渡ると、事件の隠蔽を図るべく、太伏鎮政府と太伏中学は密かに游小紅と父親の趙廷学に接触し、5人の番長の家族が1人当たり20万元(約320万円)ずつ出し合った合計100万元(約1600万円)で示談にしようと持ち掛けたが、2人はこれを拒否したという。游小紅はSNSのチャット「QQ」を通じて次のような文章を発表して、太伏鎮の人々に自身の気持ちを訴えた。
私は死者の母親です。私の今の気持ちは誰にも分からないと思います。血肉を分けた息子がどれほど痛かったことかは、母親の私にはわかります。今、私の息子は訳も分かぬ形で死亡してしまいましたが、私は息子が自殺するような子でないことを知っています。あの日、貴方に一体何があったの。どうして貴方は満身創痍で全身にうっ血があったの。息子よ、夢の中で何があったか教えて。私は真相が知りたいの。代われるものなら、私があなたに代わりたい。この文章を読んだ母親の皆さん、この無力な母親と哀れな息子を助けてください。
群衆抑制、署名強要、祖母昏倒
【8】趙鑫が太伏中学で不審死を遂げたことは、口伝えで瞬く間に太伏鎮内に知れ渡った。その遺体には明らかな暴行の痕跡が見られたのに、警察がいとも簡単に趙鑫が宿舎から誤って転落したと結論付けたことに、人々はその背後にある権力の濫用を察知して怒りを募らせた。太伏中学学生の父母を中心とする人々は続々と太伏中学の門前に集まり、学校側に対して事件の真相を究明するよう要求した。これらの人々を前にして、小型の拡声器を手にした母親の游小紅は、息子を突然失った母親の悲しい心境を訴えると共に、遺体の状況から見て、息子は暴行を受けて死亡した後に、転落死を装うために宿舎5階から投げ捨てられた可能性が高いとして、死亡解剖による死因の究明を要求すると強い口調で述べた。さらに彼女は、「あなた方の子供もこの太伏中学では生命の安全はない。私の息子がどうなったか考えれば分かるでしょう」と強調したのだった。
【9】4月1日の午後には太伏中学の門前には数百人の群衆が集まり、事件の真相究明を求めた。このため、太伏鎮公安局は多数の警察官を太伏中学周辺に配備して群衆の動きを抑制し、速やかに解散するよう命令を出した。しかし、群衆は減らぬばかりか、ますます増大する傾向を示した。これに困惑した太伏鎮公安局は游小紅と趙廷学の2人を拘束して連行して、2人を群衆から隔離した。また、4月2日には、太伏鎮長(雷鑫平?)と瀘県副県長の2人が人知れずに趙鑫の家を訪ね、祖父母に趙鑫が学生宿舎の5階から飛び降り自殺したことを認める旨の署名を行うよう強要した。これに激高した祖父母は署名を拒否したが、祖母は怒りの余り昏倒し、医院へ緊急搬送された。祖母が緊急搬送されたことは、すぐに太伏鎮の人々の知る所となった。なお、一時的に祖母が医院で亡くなったというニュースが流れて人々の義憤を誘ったが、後に虚報であったことが確認された。
【10】太伏鎮政府は「趙鑫は宿舎5階から飛び降りて自殺したものと思う」と記した文書に署名したら50元(約800円)を支払うとして、太伏鎮の住民たちに署名を呼びかけたが、署名する者は誰もいなかった。それというのも、太伏中学で学生が突然に不審死を遂げたのは今回が初めてではなく、以前にも2回発生していた。前の2回も学校側は死亡した学生の家族にカネを支払って示談にしていたが、今回は趙鑫の家族が示談を強く拒絶して、死因の究明を望んだため、鎮政府までが住民たちを懐柔すべく50元を支払ってまでも趙鑫の死因を飛び降り自殺にするための世論誘導を行おうとしたのだった。しかし、50元程度のはした金で良心を売ろうとする鎮の住民はいなかった。
「部分停電」で通信の遮断?
【11】太伏中学では在学生たちに対し趙鑫事件についてかん口令を敷いたが、事件の真相を知る学生たちが親に話したり、SNSに投稿したことで、5人の番長が趙鑫に暴行して殺害した挙句に、自殺に見せかけるため、遺体を学生宿舎の5階から投げ捨てたという事件の輪郭が徐々に浮かび上がった。これを知った群衆は太伏中学の門前に集結して、事件の徹底解明を要求した。群衆の規模は4月2日には数千人であったが、翌3日には1万人を超え、地元の“瀘県公安局”の警官だけでは群衆の動きを抑制することは不可能になった。このため、瀘県公安局は“瀘州市公安局”に、瀘州市公安局は“四川省公安庁”に応援を依頼した。
【12】4月3日午後4時、瀘県公安局は「“厳打謡言通告(デマ取締り布告)”」を発布して、ネットを通じて趙鑫の死因に関するデマをまき散らし、群衆を扇動する者を厳しく取り締まり処罰すると発表した。4月4日には装甲車を含む多数の警察車両が太伏鎮に到着し、面付きヘルメットと防護衣で身を固め、手には防護盾を持つ“特警(特殊警察部隊)”が降り立ち、太伏中学門前から群衆を排除すると同時に、太伏鎮内の治安維持の任務に就いた。また、太伏鎮は“特警”によって完全に封鎖され、鎮への出入りは厳しく制限され、上空からは飛行機による群衆の監視ならびに写真撮影が行われた。
【13】4月5日には瀘県市公安局が、趙鑫事件の現状報告を行い、「公安部門が事件を調査中であり、趙鑫の検死を間も無く開始する」旨を発表し、群衆の沈静化を図った。なお、瀘州市は4月5日から16日まで12日間の予定で広範囲にわたる部分停電を実施すると発表したが、これはインターネットなどによる通信の遮断が目的と考えられている。
4月7日、瀘州市党委員会と瀘州市人民政府が共同で開催した記者会見の席上、瀘州市副市長兼公安局長の“何紹明”は、趙鑫事件の調査結果について報告を行い、結論として「趙鑫の損傷は高所から墜落してできたものであり、その他暴力が加わったことによる損傷がないことから、他殺の可能性は排除できる」と言明した。その理由を簡潔に列記すると以下の通り。
(1)趙鑫の学校における評判は、授業を聞かず、学習に努力せず、反抗心が強かった。
(2)趙鑫の学業成績は中一の時はクラスで20~30番だったが、中二になると40番に下がった。担任がこの原因を本人に問いただしたが、泣くばかりで話をしなかった。
(3)趙鑫は日頃から金遣いが荒く、祖父に毎週もらう100元の生活費も水曜日には使い果たし、同級生からカネを借りて、翌週返却する有様だった。
(4)3月28日、趙鑫は風邪で発熱したが、数日間薬を飲まなかったため、病状が悪化していた。3月31日は通常通り授業に出席していたが、午後に発熱による不調を訴え、居室に戻って休息を取った。その後は教室へ戻って夜の自習を行い、9時10分頃に居室へ帰った。
(5)夜10時に就寝すると、11時頃に趙鑫は突然飛び起き、大声で意味不明な言葉を叫び出したので、生活指導教員を呼び、趙鑫を見てもらったら、発熱していたが、趙鑫は医者に見てもらうのを拒否した。当該教員は夜中の2時から3時の間に2回居室に入って趙鑫の様子を見たが、趙鑫は「大丈夫だから先生は寝て下さい」と答えた。
(6)学校に5人の番長がいるという事実はない。官二代が3人いるという事実も存在しない。校長と道徳主任の子供が中一に在学しているが、いずれも娘であって、息子ではない。
(7)趙鑫が飛び降り自殺したという文書に署名すれば、派出所が50元を支払うという話はデマであり、すでにデマを流した犯人を拘束して取り調べている。
(8)死者の家族は何度も検死を拒否したが、敢えて検死を行った結果、損傷は高所から墜落した特徴と一致しており、生前の傷はどこにもなかった。
庶民の不信感、増幅止まらず
先述した「海外メディアと中国のインターネット上の書き込み情報」と上記の「何紹明による報告の内容」のいずれを信じればよいか。それは筆者にも判断はつきかねるが、後者は実に巧みに辻褄合わせを行っている感が強く、どちらかと言えば眉唾物なのではないか。上記の何紹明の報告に対して、あるインターネットユーザーは、「学生宿舎の生活指導教官が発熱している学生の容態を心配して、真夜中に2度も様子を見に行くなどということは有り得ない」と喝破している。さらに、検死を要望したのは家族であり、検死を避けようとしたのは太伏中学であった。遺体の写真から見て、高所からの墜落死とは到底考えられない。
中国では親の権力を嵩に着る“官二代”に対する反感が今まで以上に増大している。また、2016年5月7日の夜に北京市で冤罪の買春容疑で逮捕された“雷洋”が警官の暴行を受けて死亡した、通称「雷洋事件」<注>を境として公安警察に対する庶民の不信感はますます増幅されている。趙鑫事件は両者の要素を兼ね備えていたことで、太伏鎮の庶民の反発を買い、大きな騒動へと発展した。怒れる民衆を公権力で押さえつけ、黒を白と言いくるめても、それに反発する民衆が立ち上がる日が必ず来るのが歴史の定理である。中国共産党総書記の“習近平”は“依法治国(法に基づき国を治める)”を標榜するが、その最たる理由はそうしなければ、民衆が蜂起する可能性を否定できないからなのである。
<注>本リポートの2016年5月20日付「若き研究者は偽りの買春逮捕の末に殺されたのか」、2016年6月17日付「雷洋事件続報、売春逮捕は警官による偽装が濃厚」、2016年7月15日付「雷洋事件続々報、鑑定は窒息死、暴行に言及せず」参照。
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