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『リムパック参加の中国軍、次は何をしでかすのか?国際ルールを無視して米軍機に高出力レーザー照射』(5/17JBプレス 北村淳)について

5/17看中国<习近平到军科院发声 毛新宇再次被关注(组图)=習近平は軍事科学院で声を上げた 毛新宇はまた注目を浴びた>毛沢東の嫡孫で朝鮮での自動車事故で亡くなったと韓国で報道されていた毛新宇は生きていたようです。習はZTEの問題で焦って中国軍の科学技術力を上げるよう5回の会議を通じてはっぱをかけたとのこと。会議が終わった後の宴会で習は毛新宇を見て見ぬふりをしたと。毛新宇は軍事科学院戦争研究院副院長の肩書きを得たとも。(下記URLでは記事が出ないようなので、表題をコピペして検索ください)

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/05/17/858895.html

5/14Share News Japan<琉球新報「レーザー照射や凧揚げは市民の抗議行動。米軍機はそれで墜落するほど脆弱なのか」>ここまで言われりゃ米軍もレーザー照射や凧揚げする人間に機銃掃射でも浴びせて見たら。被害が出たら文句は琉球新報に言えば良いでしょう。まあ、冗談ですが。沖縄は無法地帯になっています。国民の関心が行かないので、敵に付け込まれやすいという事です。翁長が膵臓癌で辞任するかも知れず、自民党は早めに沖縄県知事候補を立てた方が良いというのが小坪慎也氏の意見です。彼は安里繁信氏を応援しています。翁長も元々は自民党沖縄県連の幹事長だったのに、結局共産党に魂を売った変節漢です。前例がありますので自民党だからと言って安心はできませんが、安里氏は翁長よりは100倍以上に良いでしょう。県警本部長の交代を具申して、違法デモやストライキを厳しく取り締まらないと。福島瑞穂が出て来たら、ネットで目一杯、晒してやれば良いでしょう。国会議員の不逮捕特権は国会開会中だけです。いくらアホでも閉会中に変なことはしないと思いますが。

https://snjpn.net/archives/51254

https://samurai20.jp/2018/05/asato/

左翼の発想は似通るようで、①ルールを守らない②自己中心の人の集団です。ジブチの人民解放軍と沖縄の反基地運動をしている人間の行動の何と似ていることか。両方とも米軍パイロットに何かあれば、戦争勃発や日米同盟の崩壊に繋がりかねません。まあ、敵はそれを狙っているのでしょうけど。平和を唱え、暴力反対をスローガンに掲げる人が一番その反対の行動をするという分かり易い事例です。違法な反対運動をしている人間を日本政府が取り締まれないなら、米軍に頼んで取り締まって貰ったら。米軍が反対派を基地に引きずり込み、グアンタナモまで連れて行って、水責めにでもしたら良いでしょう。ハスペル氏は上院公聴会で拷問は再開しないと答えて、CIA長官として上院で承認されましたが。まあ、米軍が取り調べれば、簡単に裏の活動資金がどこから出ているか簡単に明らかになるでしょう。中国と朝鮮半島でしょうけど。敵はそうできないことを知悉しているので歯がゆい思いをします。

リムパックに中国を参加させる必要はないと思います。貿易摩擦とも絡めて、国際ルールを守れない国は、参加資格はないと断れば良いでしょう。時間が迫っているからというのは関係ありません。中国なんかギリギリになって態度を豹変するのを何度も見ました。そうすれば相手が代替を探すのに時間やコストがかかるだろうと踏んで、足元を見て吹っかけてくるわけです。それに負けては駄目。日本人はその点が甘すぎです。

記事

ジブチにある米軍基地キャンプ・レモニエで軍用機に乗り込む海兵隊や水兵ら。米国防総省提供(2013年12月24日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / US DEPARTMENT OF DEFENSE / US Marine Corps Staff Sgt. Robert L. Fisher III〔AFPBB News

紅海とアデン湾を結ぶ海上交通の要衝に位置するジブチの首都ジブチ市周辺には、かつて宗主国であったフランス軍の基地をはじめ、大規模なアメリカ軍基地、ドイツ軍、イタリア軍、スペイン軍の施設、それに自衛隊初の海外基地などが存在している。それらに加えて昨年(2017年)夏には、中国軍初の海外基地も開設された。

ちなみに、フランス、アメリカ、日本、ドイツ、イタリア、スペインの軍事施設はいずれもジブチ国際空港に位置している。その中で最大の施設はアメリカ軍のキャンプ・レモニエであり(滑走路はジブチ国際空港と共用)、それと隣接してフランス軍と自衛隊の基地が設置されている。中国軍基地はキャンプ・レモニエからジブチ市街を挟んで10キロメートルほどの海岸にある。

ジブチは紅海とアデン湾を結ぶ海上交通の要衝に位置する(出所:Googleマップ)

ジブチで、中国軍事基地の開設式に参加した中国人民解放軍の軍人ら(2017年8月1日撮影)。(c)AFP PHOTO / STR〔AFPBB News

米軍機へのレーザー照射で搭乗員が負傷

そのジブチで、4月下旬から5月上旬にかけて、キャンプ・レモニエから発着するアメリカ軍航空機に対して強力なレーザーが照射される事件が連続して発生した。そして5月2日には、米空軍C-130輸送機の搭乗員2名が、レーザーの照射を受けて負傷するという事態にまで至った。

幸いにも失明するような重傷ではなかったものの、ペンタゴン広報官によると「ジブチで頻発している米軍機に対するレーザー照射事件で用いられているレーザーは、極めて高出力であり、市販のレーザー装置から発せられたものではなく軍用レーザーと考えざるをえない・・・場合によっては失明の恐れもあり、極めて危険な行為である」ということである。

米軍機に対する一連の軍用レーザーによる“照射攻撃”は、いずれも中国軍基地付近から発せられていた。そのため、連邦航空局(FAA)は「中国軍ジブチ基地周辺750メートル付近から高出力レーザーが照射された事案が数回発生している。この地域周辺を通過する際には、最大限の注意を払うように」といった警告を航空関係者に対して発した。

各国のジブチ基地エリア

中国政府は米政府の抗議を一蹴

照射事件が起き始めてから数件に関しては、搭乗員たちに直接的被害が発生しなかったこともあり、米側が中国側に抗議することはなかった。しかし、負傷者が生ずるに至って、アメリカ政府は中国政府に対して公式な外交的抗議を申し渡した。

ところが中国側の反応は、米軍当局が予想していたとおり「米軍機に対して故意にレーザーを照射した覚えはない」「基地周辺でのレーザー照射は、鳥を追い払うためと、基地上空に接近する可能性があるドローンを撃退するためである」といった声が聞こえてくるのみであった。中国外交当局も「厳正に事態を調査したが、アメリカの主張は全く根拠のないものである」と米側の公式抗議を一蹴している。

中国によるレーザー照射に米軍が激怒しているのは、失明の恐れすらあるような危険な攻撃を受けたことに対する直接的な怒りだけではなく、中国がジブチおいても国際的取り決めを守らないことに対してである。

中国は高出力レーザーの使用に関する国際的取り決めに参加している。それにもかかわらず、数回にわたって軍用レーザーを米軍機に向けて照射し、そのうえ中国国防当局は「中国は、地域の安全保障と平和維持のために、国際ルールそして現地の法令などに厳正に従って行動している。言われなき外交的抗議は受け付けない」と米国側の抗議を無視する姿勢を崩さない。

「関与政策」のなれのはて

米軍関係者からは、「百歩譲って、米軍機に対する軍用レーザー照射事件が、上部からの命令に従ったのではなく個人が勝手に行ったものであったとしても、海外に駐屯する部隊の統制すらまともに行えない無責任な国際協力部隊の存在は、迷惑なだけでなく危険極まりない」と危惧の念も聞こえている。

そして、今回の高出力レーザー照射事件や、南シナ海での人工島建設のように、中国が国際ルールを踏みにじる行為を繰り返しているのは、アメリカ側にも責任の一端があるという指摘がある。つまり、アメリカ側が「なんとかして中国を国際社会の枠組みに組み込んでしまおう」という、いわゆる「関与政策」をとり続けて来たことの結果だというわけだ。

今年になってトランプ政権は、国際安全保障環境を「大国間の角逐」状況にあると明言するに至った。すなわち、中国との関係は、これまでの協調関係の維持を目指す「関与政策」から一転して、対決に打ち勝つことを前提とした「封じ込め」、あるいはそこまでいかなくとも「封じ込め的政策」へと大きく舵を切ったのである。

「RIMPAC-2018から中国を閉め出せ」

そこで対中強硬派の米海軍関係者たちの間に、レーザー照射事件を機に、またまた浮上してきたのが「RIMPAC-2018から中国海軍を閉め出せ」という声である。

RIMPAC(リムパック)とは、2年に一度アメリカ太平洋艦隊が主催して行われる多国籍海軍合同演習だ。各国の海軍(海兵隊を含む)が参加し、ホノルルを中心に実施される。2014年からは中国も参加するようになり、今年の夏に開催されるRIMPACにも参加することになっている。

なぜ、米海軍を中心とする同盟海軍にとって仮想敵である中国が、合同演習に参加し始めたのか? それは、中国に対する弱腰ともいえるほどの「関与政策」を取っていたオバマ政権が、多くの米海軍関係者たちの反対を押し切って招待したからであった。

しかしながら、1回目の参加(RIMPAC-2014)では、中国海軍は公式に参加した艦艇以外にも電子情報収集艦(スパイ艦)を訓練海域に派遣して情報収集活動を展開するという国際ルール違反を犯した。そして2回目のRIMPAC-2016では、参加国の“仲間”である海上自衛隊に対して公然と非礼を行うという国際的な海軍信義則を踏みにじる行為を繰り返して、主催者である米海軍を困惑させるとともに激怒させた(参考「中国海軍の参加で意味不明となりつつあるリムパック」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50446)。

このため、今回のジブチでのレーザー照射事件を受けて、これまで何度も中国海軍をRIMPACから排除せよと主張してきた米海軍対中強硬派の人々の間から、「これまでRIMPACに参加させることによって、中国軍が国際ルールを尊重するよう促してきたものの、全く効果はない。アメリカの安全保障戦略の基本的スタンスが『大国間角逐』へと方針転換したのであるから、この際RIMPAC-2018から中国を閉め出すべきだ」との声が上がっている。

とはいっても、RIMPAC-2018への中国海軍の参加を間近に迫った現時点で拒絶するのは外交的には困難と考えざるを得ない。そのため、対中強硬派は「中国海軍は今度はなにをしでかすのか?」と身構えるしかないというのが現状である。

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『朝日も読売も優生思想丸出し記事連発の過去、過ちを認めないマスコミ』(5/17ダイヤモンドオンライン 窪田順生)について

国際関連記事ではありませんが、最近読んだ本で面白かった内容と関連していますので紹介します。今も昔もメデイアは自分の所業を棚に上げて批判することしかできない能無しです。彼らは、戦前・戦中は戦争を煽って亡国の一歩手前まで追いやり、戦後は打って変わって外国の手先となって日本を安全保障の面で丸裸にし、外国からの攻撃に対抗できなくして、国を危殆に瀕するように仕掛けています。戦前・戦中・戦後ともメデイアは方法こそ違え国を滅ぼし共産主義化しようとしているのではと勘繰ります。戦後教育でも悪いのは右翼・軍部と日教組が刷り込んでいますが、自分達のアジテーションについては一言も触れません。

筒井清忠氏著『戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道』が読んだ本です。松岡洋右と近衛文麿も国民世論(実質新聞世論)に迎合して、政治の舵取りを誤ったと批判しています。昔からメデイアは無責任だし、下種な発想を煽情するのが得意という事です。でも騙される方も悪いのです。今はインタラクテイブに情報が交換できる時代。時代の利を生かしませんと。情弱ではまともな民主主義社会の構築は出来ません。

新聞と大衆

次に重要な論点として新聞と(日比谷公園焼き打ち)事件との関連という問題がある。何よりも河野広中、小川平吉ら事件関係者が、暴動の波及が急速となった原因として警察への憤懣が浸透していたこととともに「新聞が是を煽動的に報道せることを挙げて居る」のであるが、取り締まる側もこれを「傾聴に値すると思う」と著していることは見逃せない(社会問題資料研究会〔一九七四〕七五頁)。

この点について松尾尊兊は次のような重要な指摘を行っている。

「調査しえた各種の地方新聞によるかぎり、まず注目すべきは運動の組織には必ずといってよいほど、地方新聞社、ないしはその記者が関係していることである。新聞は政府反対の論陣を張り、あるいは各地の運動の状況を報ずることで運動の気勢を高めただけではなく、運動そのものの組織にあたったのである」(松尾〔ニ〇〇一〕ニ六頁) すなわち、以下のような事例が挙げられる。

八月二十日、九月八日二回にわたる和歌山県民大会。『和歌山実業新聞』『和歌山新報』(政友会系)、『紀伊毎日新聞』『南海新報』(憲政本党系)四社共催

九月三日、五日、十八日 三次にわたる呉市民大会•広島市民大会。地元新聞記者団主催。名古屋市民大会•愛知県民大会。記者団が準備

九月九日静岡県民大会。『静岡新報』(政友会系)、『静岡民友新聞』(憲政本党系)両社と静岡県選出の政・憲両党代議士が発起人

九月十二日新潟県民大会。『東北日報』『新潟新聞』『新潟公友』『新潟日報』四社発起

同日長崎市民大会、九月二十日長崎県民大会。『長畸新報』『九州日の出新聞』『鎮西日報』『長崎新聞』四社と、県会•市会の両議長などが発起人

同日市制施行地でないところでも、愛知県豊橋町や新潟県長岡町などで地方新聞社の発起による町民大会開催

「判明するかぎりのほとんどすべての集会には、新聞記者が発起人あるいは弁士の一員として参加しているのが実状である」(松尾〔ニ〇〇一〕ニ六〜ニ七頁)

こうした新聞の激しい反対運動が日比谷焼き打ち事件を誘発した有力な原因であることは間違いないが、それがのちの憲政擁護運動(護憲運動)•普通選挙要求運動(普選運動)につながったことも否定できない。」(P.30~32)

「日本の行動がよくないと指弾されても、制裁などはないのだから無視してそのまま(国際連盟に)居つづければいいということになるわけである。これは「頰かぶり」論と言われることになる。

十一月三〜七日、松岡はモスクワに滞在したが、リトビノフ外務人民委員から不侵略条約を提議されている。その後、松岡は十一月十八日にジュネーヴに到着した。政府はこの日、 リットン報告書に対する意見書を提出するが、翌日の新聞各紙はリッ卜ン報告書を一斉に非難した。新聞との同調の本格的な始まりである。

十一月二十一日、リットン報告書を審議する国際連盟の第五回理事会が開かれ、松岡と顧維鈞中国代表が演説、さらに十二月六日、総会で松岡と顔恵慶中国代表が演説した。 十二月七日、サイモン英外相が演説し波紋を呼んだ。次のようなものであった。 報告書は両国を正確に批判している。中国に排外感情がないと擁護する向きもあるが報告書は排外感情が疑いなく存在していると結論づけている。中国はワシントン会議の国際協力の道を歩み始めたのだから一〇年間その道を歩んでおればいいものを排外的宣伝の悪意のためにそれを妨げられた。批判ばかりでなく実際的妥協が必要なのである。

中国の激しい運動に苦しめられてきた英国は日本に好意的であったことがわかる。松岡は喜び、中国は憤慨した(臼井〔一九九五〕一四四〜一四五頁)。しかし、松岡にはこれを日本の利益に結びつける工夫に乏しかった。

十二月八日、松岡が著名な十字架演説を行った。日本を十字架上のキリストに喩えたのだが、キリスト教国にプラスであったのか疑わしいところであった。

十二月十五日、一九人委員会は十五日の総会決議に基づき、総会報告案文を日中に提示した。決議案•理由書で構成されているが、和協委員会を設置し、そこに米ソ両国を招請するとし、理由書第九項において「満洲における現体制の維持および承認は解決と見なされない」として満洲国を否認していた。日本代表部は米ソ招請を「快諾」と上申したが、内田外相は紛糾させるだけと拒否した。

十二月十九日、全国の新聞一三ニ紙がリットン報告書受諾拒否共同宣言を出した。これだけの規模と量を合わせた共同宣言はかつてないものであった。ロンドン海軍軍縮条約に賛成で歩調を合わせた新聞メディアは、それをはるかに上まわる対外強硬論で一致したのである。 一九三三年一月一日、山海関事件が起きた。満洲国と中国の国境の山海関を日本軍が占領したのである。これを聞いた対日強硬派のスチムソン米国務長官は、出淵勝次駐米大使に「日本は国際連盟やパリ不戦条約から脱退したほうがよい」と言明した(臼井〔一九九五〕一五〇頁)。

このあと、日本軍は満洲国を固めるため熱河作戦を展開。天皇は国際連盟から除名されることを心配したが、五月の塘沽停戦協定に至る。」(P.196~197)

「このように見てくると、日本が「頰かぶり」主義でじっと黙って待っている戦略を取っていれば、その後の国際情勢の変化のなか国際連盟で生き延びえていた可能性はきわめて高かったと言えよう。勧告を聞きつつ脱退せずにすませるという「頰かぶり」戦略を放棄したことが、日本の失敗の最大の外交的原因であった。

先に見た松岡の文章には「国家の前途は、一に国民精神の如何に依る、断じて一時の便宜、若くは物質的損得に依り決せらるべきものに非ず」とあったが、日米開戦の前にも政府は同種の決断をすることになる。これは政党政治といえば「党利党略を排斥すべきだ」という見方に類似している。外交や政治の主体を「利益」の観点から見ることができない、成熟のない政治観が根本にうかがえるのである。もちろん、「利益」がすべてではない。そこには例えば「価値」「理想」なども必要なのだが、「利益」の追求は合理性を担保することになり、 政治主体が置かれた環境を無視した非合理的行動に走らせないという視点が重要なのである。 それが現実性・合理性を踏まえた外交世論の熟成につながるのである。この視点をたえず保持していた石橋湛山から今日学ぶべきことが多い理由でもある。

ポピユリズム的世諭の問題

松岡は四月二十七日、横浜港に婦国したが、「数万人の山」と言われる大群衆が出迎え万歳の歓呼の声が怒濤のようにわき上がった。「JOAK〔NHK〕のマィクを通じて河西アナウンサーがこの盛観を全国氏の胸へ伝える……官民一同の熱狂歓呼のあらし」(『朝日』四月二十八日夕刊)という有り様であった。鉄道省は横浜駅から東京駅まで「全権列車」を特別編成。東京駅には全閣僚、陸海軍代表らが参列、宮城に向かう車の両側はやはり群衆が万歳を歓呼して迎えたのだった。

著名な外交評論家清沢洌は、このころ松岡に「松岡全権に与ふ」(一九三三年)という文章を書いている。この文章こそ、この問題の本質を最も的確に表現したものであった(緒方〔一九七〇〕)。

清沢は日露戦争後のポーツマス会議と今回のジュネーヴ会議とを比較し、三つの相違点を指摘している。

第一に、日露戦争当時、桂太郎首相と小村寿太郎外相は一体となって、いかに民論による迫害があろうとも断乎として講和会議をまとめる意志があった。これに対し、ジュネーヴ会議の場合には、斎藤実首相、内田康哉外相は民論の赴くままに動くというよりも、むしろ民論に責任を転嫁して、「與論の趨向」「国民の総意」と言って、この蔭に隠れようとした。

第二に、「桂と小村が絶対に、わが国の国際的孤立を避けんとしたに対して、斎藤、内田は寧ろわれから進んで孤立を選んだ傾き」があった。

第三に、日清、日露の戦争中には、「衆論に抗して毅然として立つ少数有力者があった」のに比べ、今回は国家の危機に直面してそうした主張をする者がなかった。「国家の絶大なる難局に面した場合には、暫らく輿論を無視し、国家のために一身を橇牲にするのも国民、殊に指導者の任務」ではなかろうか。かつての日本は小村をはじめこの種の指導者に事欠かなかったが、「今や、こういう国士的矜持を有している者が何処にも見あたらなくなった。

こう主張して清沢は次のように結論づけていく。外交においては「断じて」とか「常に」という断定的な言葉は禁句であり、また結果を急ぐことも外交に求めてはいけない。これまでのいかなる公文書よりはるかに日本の立場を認めたリットン報告書に対して、松岡のやったことは連盟脱退という恫喝と妨害だけであり、戦術として拙劣極まりないものだった。日本で絶賛されている松岡の外交は真の外交ではなく「背面外交」とでもいうべきものだ。背面の国民世論と傍聴席を喜ばせているだけで、肝賢の世界の裁判官席には何も届いていないのだ。

明治末、ポーツマス講和会議から帰国した小村寿太郎は、息子が生きているのに驚いたというほどの轟轟たる国民的非難を浴びたが、これ以上ロシアとは戦えない日本の国力を知っていた小村は、断然講和条約を結んだのだ。満罵を浴びても本当の国民の利益を考えて一身を犠牲にしてまでやり抜くのが真の指導者だ。かつてはわが国には確かにこういう指導者がいた。しかし今こういう「国士的矜持」を持つものがどこにいるか。彼らは「キング・モッブ(群衆王)の前に平伏し、恐怖して、ただその御機嫌を失わざらんことにつとめているではないか」。このように「輿論を懼るる政治家」が闊歩する現状の危険性を、清沢は激しく指弾したのであった。

この違いは言うまでもなく、普通選挙が始まりマスメディアが発達した今日に続く大衆政治の時代と、そうでない時代との政治家の差であった。以後、「群衆王」に突き動かされた日本は日中戦争から日米戦争への道を走る。

清沢は自由主義者として、外交と同じく思想においても左右両極の極論を排した。また、海外経験の長かった清沢は、欧米には老練のジャーナリストが多く、彼らは知力で勝負しており優れた分析力を見せるのに、日本の新聞記者は若者ばかりで、ジャーナリズムは体力で勝負するものだと日本人は勘違いしていると嘆じた。また、欧米のジャーナリズムは厳密な統計など正確なデータに基づいた報道を熱心に心がけているのに、日本のジャーナリズムでは不正確なものが平気で横行しており、ボピュリズムに足を取られやすい危険性の高いことも強く指摘している。

すでに見たように、日比谷焼き打ち事件は日本のポピュリズムの起源となるものだが、それでもそこには小村のような指導者がいた。しかし、国際連盟脱退の時点では下から上まで大衆世論に覆い尽くされていたというわけである。すなわち外交問題における日本のボピュリズムが明治と異なり昭和前期には、ある完成段階に達したことを告げたのが国際連盟脱退事件なのであった。」(P.206~210)

新聞の無反省

無罪判決の日の『大阪朝日』「天声人語」(一九三七年二月十七日)は次のようなものであった。

「この事件は政界と財界と官界とにわたる複雑なる事件であって、その法律的審理が尽されたとしても、何か割り切れないものが国民の脳裏に残るのであり、部分的には疑雲のはれやらぬものがないとはいえないであろうが、それにしても法律によって罰するには無理であるのを、或る前提されたる観念をもって予めこの事件に対したという印象が、司法ファッシヨの名をもって世間を恐れしめていたのである。

斎藤内閣の総辞職が国家にどれだけの損害をかけたかは、今日において計量し得る限りではないが、十六名の被告が全部無罪となり、一部には国家賠償の途があるとしても、その社会的、個人的の損害は到底補うことは出来ないのである」

事件発覚時に「暴露された株売買の裏面 驚くべき策謀と醜悪な犯罪事実 背任として最も悪質 検察当局の鋭いメス」と「犯罪」が存在したかのごとく書き立てた自らの責任には、まったく何の反省の言も報道事実についての確認もなかった。(今のモリカケ騒動と一緒。進歩していない)

「何か割り切れない」で始まり、自ら同調した検察を「司法ファッショ」などと糾弾して、「斎藤内閣の総辞職」にまったく無関係のごとく書き、「その社会的、個人的の損害は到底補うことは出来ないのである」としたのであった。

すなわち新聞は、当初検察に乗って財界・官界要人を激しく攻撃しておきながら、無罪となると今度は検察を糾弾、自ら内閣を倒したことには無関係を装い、損害に対する補債も無頓着のままやりすごしたのだった。新聞は政党攻撃を開始してから、田中義一内閣攻撃では天皇周辺•貴族院による倒閣を支えた形になり、五・一五事件裁判では陸海軍とともに世論を煽動するなどしてきたが、今度は司法官僚の「社会革正」と組み、無罪の人たちを攻撃し内閣を倒したのだった。

一九三四年に起きた事件の判決が三年後に無罪と出たとしても、内閣が倒れ、天皇機関説事件がありニ・ニ六事件などがあった後では、人々の記憶が大きく修正されるものではないだろう。こうして、この事件は政党•財界の腐敗を印象づけ、正義派官僚の存在をクローズアップさせた事件として記憶に残るものとなった。言い換えれば、政党の後退と官僚・軍部の擡頭の方向へのマスメディアによるポピュリズムに大きくプラスした事件なのであった。」(P.223~224)

「しかし、このような達見の士は、極く少数であり、沸き立っている大衆の耳からは遠く、かすかであった。・・・これを批判したり、水を掛けるようなことを言うものは、袋叩きに会うのである。・・・武藤も、軍務局長として、政府と軍部との連絡役という立場で、いろいろと調整に努めてはいた。しかし、ドイツ大勝に煽られ、バスに乗りおくれるな、という大衆の昂奮や、参謀本部将校団の焦燥感とが、相乗作用を起こすし、沸き立つような「反米内」の風潮の中で、次第に戸迷いを見せていた」(矢次〔一九七九〕下巻)

この気運のなか、六月二十四日、近衛は「新体制確立運動」のため枢密院議長辞職を発表、事実上の出馬表明であった。

七月六日、近衛はブレーンの矢部と軽井沢で会談した。新党は「職能的国民組織」を基礎とし、そのなかから優秀な人材を集めて中核体を作り「挙国的な国民運動」を展開する、という方針にした。内容は明確でないが、中身よりドイツの電撃的勝利による気運に後押しされて、近衛自身もはや引き戻せないのである。

そして、この中身のない気運だけの新党運動にすべての政党が慌てて、それこそ「パスに乗りおくれるな」と合流し、解党していくことになる。この言葉の初出は『朝日』(六月二日)のようだ。」(P.274)以上

5/17NHKニュース5:24<北京で香港のカメラマンが連行される 人権派弁護士を取材中>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180517/k10011441311000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_057

こういう場合、中国に対して日本のメデイアは何も発信しません。取材の自由が侵されている同業者との連帯を重視するのであれば、何らかのコメントを出すべきでしょう。そうすれば北京から取材の制限を受けるとか考えて黙るのであれば、窪田氏の言うように「社会の木鐸」とか言う言葉は使わない方が良い。国内で政府が反撃しないことをいいことに、事実を曲げてまでも批判するのはおかしいでしょう。我が身を安全地帯に置いて批判するのは卑怯者のすることです。中国へ行って政府を批判して来たら。大好きな共産主義国ですよ。

窪田氏の記事で、過去の不法行為についての損害賠償は20年の時効にかかるのではと思いますが。96年に法案が廃止されたなら時候の中断がない限り、時効と思いますが訴える側に成算があるのでしょうか?(手術は96年以後も続いた?それなら医者の違法医療行為の問題でしょう。訴える先が違います)況してや当時の医療技術水準が妥当と判断したわけですから。行政訴訟も民事訴訟も同じでしょう。多分アカが嫌がらせで訴訟提起を勧めたものと思われます。窪田氏によれば、自分達が立法化に尽力したくせに自分の責任は頬被りです。まあ、左翼の特徴ですが。オペされた方には気の毒ですが、子供を産みたい気持ちを抑えて20年以上も生きて来たのに今更それを思い出させるのは悪質でしょう。政府の信頼を失わせるためにやっているとしか思えません。こんな刷り込みに乗せられないようにしませんと。

5/16ブルームバーグ<ZTEの技術利用禁じる文言、国防権限法案に残る公算-米共和党議員>

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-05-16/P8SVK26KLVR601

5/17ロイター<米FBI、中国ZTEのような企業に「深刻な懸念」=長官>

https://jp.reuters.com/article/usa-china-zte-fbi-idJPKCN1IH38E

ZTEの件で、トランプが習に営業再開を約束しても、議会の反対があればできないという事のようです。トランプが国防権限法に署名拒否すれば、軍全体の活動が停止してしまうためです。元々ZTEは経済問題ではなく安全保障問題ですから、議会の言うのが正しく、トランプが取引材料に使うのは間違っています。まあ、トランプは習の気を引くために営業再開について踏み込んで発言したのかもしれませんが。

記事

旧優生保護法問題でマスコミが国を糾弾している。しかし、同法の前身である旧国民優生法の時代から、朝日新聞を始め、マスコミ各社が「優生思想で日本民族を繁栄させる」ことをバンバン喧伝し、世論形成に絶大な威力を振るったことは報じられないままだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

旧優生保護法下の悪行をマスコミはこぞって取り上げるが…

旧優生保護法の前身にあたる旧国民優生法成立後、優生思想礼賛記事をバンバン掲載し、世論形成に大きな役割を果たしたのは他ならぬマスコミ各社。にも関わらず、自らの罪をスルーする厚顔無恥な報道姿勢は醜悪だ

なぜ彼らは、この問題をまったく自分たちに関係ないことのような顔をして平気で報じることができるのか。嫌味とかではなく、本気でその神経を疑ってしまう。

旧優生保護法のもとで、約1万6000人にも上る障害者が不妊手術を強制的に受けさせられた問題を扱う、マスコミの「報道スタンス」のことだ。

戦後間もない1948年、人口抑制や強姦などによる「望まぬ出産」の回避を目的として、旧社会党の女性議員たちが中心となった議員立法で成立した「優生保護法」は、その名の通り「優生思想」を色濃く反映しており、「総則」にも「不良な子孫の出生防止」が掲げられていた。

どんな悪法も、できてしまえば役人は機械的に実行していく。かくして、96年に母体保護法にとって代わるまで、膨大な数の障害者の方たちが、自分の意志に反して不妊手術を受けさせられるという悲劇が引き起こされたのだ。

「そんな非人道的なことを日本がやっていたなんて!」「政府は過ちを認めて被害者の方たちを救済すべきだ!」

そんな怒りの声が聞こえてきそうだが、この問題を扱うマスコミの基本的なスタンスも同様だ。わかりやすいのがNHKの「グローズアップ現代+」で4月25日に放送した「”私は不妊手術を強いられた”~追跡・旧優生保護法~」の番組紹介文である。

《番組では関係者を独自に取材。そこからは「社会のためになる」という国のかけ声のもと、社会に潜む“優生思想”を背景に強制手術が広がった実態が明らかになってきた》

クロ現らしい硬派なスタンスじゃないかと思うかもしれないが、筆者からすると、よくもまあそんな当事者意識ゼロの発言ができるものだ、という驚きしかない。

当時のマスコミは悪法の宣伝役を担っていた!

この法律ができたプロセスを振り返っていけば、「社会のためになる」と喧伝して、社会に“優生思想”を潜ませた「犯人」が誰かは明白である。そう、マスコミだ。

先ほど紹介した旧優生保護法の成り立ちは、この問題を扱うマスコミの解説を真似ただけで、本当のルーツはもっと時代を遡る。実は、この法律には前身となるものがあるのだ。それがナチス・ドイツをはじめ当時、欧州でポピュラーだった、優生学に基づく「断種法」にならって、日本政府が1940年に成立させた「国民優生法」である。

当時のマスコミは一大キャンペーンを行い、国民に「優生学」を啓蒙した。たとえば、1941年7月1日の読売新聞では紙面の半分以上を割いて、厚生省の課長のインタビューをデカデカと掲載。「日本の民族の繁栄へ・優生法實施」「悪質遺傳を減少」「よい子をどしどし産む」と、これでもかというくらいのPRを行った。

中でも特筆すべきは、しきりに「日本の危機」を煽っている点だ。「健全者」と「不健全者」の人口をグラフで示し、30~120年後にかけて「不健全者」が圧倒的に増えていくイメージを見せて、こんな記述をしている。

「国民の素質は現在のままに放置すればだんだん低下する。(中略)現在は不健全者と健全者が同数だとしても百二十年後には図のように真に恐るべき結果を来します。これを防止するためにこそ優生法は誕生したのです」

断っておくが、このような論調は「読売」だけではない。他の新聞やラジオでも当たり前のように、「危機」を煽って「優生法」の重要さを力説した。

つまり、マスコミが国民優生法を重要であると喧伝し、日本社会もそれを受け入れたからこそ、戦後の旧優生保護法につながったわけで、戦後の経緯のみを洗っても、「国が悪い」という極めて近視眼的な結論しか出てこないのである。

問題の本質を読み解くには、戦前のマスコミによる嵐のような「優生学が日本を救うキャンペーン」があり、それを大衆が是としていたという事実を直視しないことには、何も始まらないのである。

「健康優良児表彰」も優生学の一環だった

なんてことを言うと、「いや、それは軍部の命令で仕方なかったんだ」とか、「確かに戦時中、マスコミは優生学を触れ回っていたが、敗戦で反省してガラっと変わったんだ!」みたいなことを言い出す人がいるが、残念ながらそれは「そうであってほしい」という願望というか、「妄想」に過ぎない。

吉田茂、佐藤栄作などの面々を見ればわかるように、戦後復興は、ほぼ例外なく戦前のリーダーたちによって進められた。それはマスコミも然りで、一部の幹部はしばらく公職追放されたりしたものの、戦後の報道スタンスを定めたのは、戦前から報道に携わっていた新聞人たちである。

敗戦、そしてGHQの占領政策という日本人の価値観に影響を与える大きな出来事はあったが、たかだが数年で人間の本質は変わらない。戦前のマスコミが張り切っていた「優生学が日本を救うキャンペーン」も1945年でパタリと終わるわけはなく、戦後も外見だけはリノベーションして続けられた。そのおかげで、優生学の残り香のようなものが、つい現代にまで脈々と受け継がれてしまったのである。

象徴的なのが、朝日新聞社が主催、文部省が後援して1978年まで行われていた「健康優良児表彰」。年配の方は覚えておられるだろうが、全国の小学校で、肉体的、運動能力的に優れた子どもを男女1人ずつ選んで表彰をしたキャンペーンだ。

拙著『「愛国」という名の亡国論 日本人スゴイ!が日本をダメにする』(さくら社)の中で詳しく述べているが、実はこの「健康優良児表彰」というのは「優生学」と非常に密接に関係している。

「健康優良児表彰」がスタートしたのは1930年。その年、「東京朝日新聞社」から世に出た「全日本より選ばれたる健康児三百名」(朝日新聞社編)の中で、当時の副社長だった下村宏氏が、「朝日新聞」を代表してこの表彰を続けていくと宣言して、こんなことをおっしゃっている。

「本日この盛大なる式場に於て表彰された健康児は、本人も家庭もお芽出度い喜ばしい事であります。しかし一面に重い責任を負はされて全国の幼年者の中から選り出されたのであります」(p313)

マスコミ界のスターが堂々と優生学を主張していた

子どもに負わされた責任とはどういうものかというと、ここで選ばれた「健康児」たちは当初、「丁年(20歳)」になるまで経過観察をされるという試みだったのだ。「時代」と言ってしまえばそれまでだが、「健康優良児」は単なる全国一斉小学生スポーツテストではなく、もともとは「富国強兵」や「優生学」という考えに基づいた「調査」の側面もあったのである。

朝日新聞を擁護するわけではないが、これは当時としてはおかしな考え方ではなく、特に世界情勢を知るインテリの間では珍しいものではなかった。「健康優良児表彰」に関わっていた下村氏も、もともと台湾総督府民政長官などをつとめた国際派。1921年に朝日新聞に入社してからは専務取締役、副社長を歴任して経営改革に携わる一方で、ラジオ出演をしたり、全国を回って「日本民族の将来」という題目で講演を行い、国際情勢、そして日本の「危機」について触れ回った。今でいえば、池上彰氏のようなスターだった。

では、下村氏のような当時のインテリはどんなことを大衆に説いてまわったのか。「健康児優良児表彰」が始まった3年後、1933年に児童養護協会が出した「児童を護る」の中で、下村氏はこう主張している。

「私は今日日本の国策の基本はどこに置くかといへば、日本の人種改良だらうと思ひます。この點から見ますると、どうも日本の人種改良といふ運動はまだ極めて微々たるものである。それでは一體その他の改良といふことは日本ではやらんのかといへば、人種改良の方は存外無関心であるが、馬匹改良はやつて居る。豚もだんだん良い豚にする。牛も良い牛にする。牛乳の余計出る乳牛を仕入れる」(p8)

このように、国民優生法ができるほんの7年前、当時のマスコミや文化人は日本の「危機」を克服するために、「日本人の改良」の必要性を説いていたのである。

下村氏はこの後、朝日新聞を退社。貴族院議員となって活動するかたわら、「大日本体育協会」の会長や、「財団法人 日本文化中央聯盟」という団体の理事を経て、1943年には日本放送協会(後のNHK)の会長になった。そして、終戦直後には国民の啓蒙・思想取り締まりを行う内閣情報局の総裁となり、「玉音放送」の実現にも関わっている。

彼が力を入れた「健康優良児表彰」は戦後も続き、優生保護法が成立した翌年の「朝日新聞」(1949年7月25日)でも華々しく募集がなされている。

「自らの過ちはすべてスルー」では社会の木鐸は務まらない

「審査の項目」の中には、こんな言葉も見つけられる。

「家族の状況」

「健康優良児」をセレクトする上で、家族のどのような「状況」を精査するのかは、推して知るべしであろう。

1万6000人の障害者に強制的に不妊手術を受けさせた旧優生保護法問題は、確かに政府の責任だ。救済を行うのも政府だ。だが、そのような法律の成立に大きな役割を果たし、戦後になってもなお、オブラートに包んで優生思想を広めていた者たちがいた事実も検証しなければ、同じ過ちを繰り返すだけではないのか。

今年1月、仙台地裁に60代女性が国に謝罪と慰謝料を求めて提訴したことで、この問題が大きく注目をされた際、朝日新聞が「強制不妊手術 救済に向け調査を急げ」という社説を掲載していた。

『驚くことに、自治体の50年代の冊子には「優生手術千人突破」「群を抜き全国第一位の実績」などの記述まである。手術増を奨励した厚生省(当時)の通達により、都道府県で競いあったのではないか。国家による命の選別が、なぜつい二十数年前まで続いていたのか。負の歴史に向き合うことは、政策を許した社会全体の責任でもある』(朝日新聞2月21日)

自分たちの戦前記事や、当時の副社長の講演をよく精査していただければ、なぜ1950年代の自治体の冊子にそんな驚くような記述があふれたのか、原因がわかるはずだ。

負の歴史に向き合うことは大賛成だが、責任を社会全体へ分散させる前に、まずはご自分たちがどういうことをしてきたのかを、ここらで改めてしっかりと検証してみてはいかがだろうか。

マスコミの「世論誘導力」というものは、マスコミ人が思っている以上に強大で、何十年も尾を引くものだ。なぜ戦後70年以上も経ったのに、戦前のような「日本人は世界一優秀」みたいな歪んだ愛国心が社会に溢れているのか。なぜ社会全体で「平等」や「人権」をうたっているのに、下村氏が主張したようなことをネットで触れ回る人々がいるのか。

これらの問題は、戦前にルーツを持つ旧優生保護法が平成まで続けられていたのと、根っこはまったく同じである。自らのとんでもない過ちに触れるのは辛いことだ。しかし、「社会の木鐸」を名乗っているマスコミのみなさんの「スルー」は許されない。「軍国主義が悪い」「時代の犠牲者だ」みたいなトーンでお茶を濁すことなく、問題の本質に迫るような調査報道を期待したい。

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『米国の「原則ある現実主義」が導く核なき中東 国際世論はイランに味方している』(5/14日経ビジネスオンライン 森永輔)について

5/16看中国<九一三事件:林彪出逃 周恩来欲软禁毛泽东(图) ——周恩来弑了林彪 毛泽东又弑了周恩来=913事件(林彪が逃亡して撃墜された日):林彪が逃げだした時 周恩来は毛沢東を軟禁しようとした 周恩来は林彪を殺し、毛沢東は周恩来を殺した>長いので簡単に説明。林彪は毛沢東の政治闘争に寒気を覚え、精神錯乱となり、「1号令」を出し、ソ連と戦争になりかけた。毛は林彪に自分の別荘に軟禁して反省させようとした。林彪は逃亡するつもりか遊びに出て気を紛らわせるつもりか分からない。周は林彪の妻の葉群に電話し、汪東興(党中央弁公庁主任・公安出身)にその内容を伝えた。林彪をソ連まで逃がし、裏切り者を出した責任を毛の追及に使う良い機会だからである。毛は事件を知らず、事後報告となった。周は呉法憲(軍副総参謀長)に「北京に来る飛行機は着陸させるな」と命令、これは林彪が改心して戻ってくるのを防ぐためである。

周の本心を見抜いたのは、毛と江青であった。それで江青は政治局会議で周を責め立てた。だから周に膀胱癌が見つかっても、治療団に「①機密保持、周とその妻には内緒に②検査は不要③手術も不要④栄養摂取と看護強化を命じ、死ぬのを待った。

これは共産党の暴虐な殺人であり、仁政を施さず、互いに殺し合い、その本質が邪悪である例証である。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/05/16/857918.html

5/17看中国<中兴只是“小事件” 习近平因何事夜不能寐?(图)=ZTEは小さなことである。習近平はどうして夜も眠れないのか>習の不眠の原因は、ワシントンの専門家は①重大リスクのメルトダウン防止②格差解消③汚染防止と。中国の速い経済発展の代価は高いものについた。環境汚染、極端な貧富の差、低効率の為の大量のエネルギーや材料の消費、低劣な製品しかできなく、甚だしい浪費である。更に生産過剰と在庫過剰、国と地方の債務は深刻さが大である。

NYTは5つの大問題で習は夜も眠れずという内容の新刊を紹介。①科学技術の劣勢②軍事上の劣勢③金融システムリスク(膨大な政府債務や不動産バブル)④ネットリスク(反共産党の正しい情報が入手可能)⑤環境汚染を原因とした社会動乱の5つである。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/05/17/858851.html

5/17北野幸伯氏メルマガ<アメリカの「イラン核合意離脱」で、中東大戦争が起こる?>

http://archives.mag2.com/0000012950/

この記事中に出て来る4/26JETROリリース<ユーラシア経済連合、イランとFTA締結へ>です。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/04/345a2f9b9169d138.html

日経ビジネスオンラインの記事で、村上氏は「米国の国防授権法」が重要なポイントと言っています。米国の国防上、安全が阻害されるのであれば、イラン以外にも適用することはできるでしょう。新たな立法措置が必要でしょうけど。昨年度成立した2018年度国防授権法には台湾への米艦船寄港も明文化されました。やはり軍拡路線を突っ走る中国を困らすには$決済させないことです。イランのような鎖国に近い状況に陥るでしょう。或はロシアのような地域大国に止まるだけです。

JETROの記事では、イランは$決済ができないため貿易はルーブル建てにしたとのこと。日本の敵と言うか、自由社会の敵である中国も、$を使える状況にしておくのはおかしいです。自由で開かれた民主主義国と貿易で稼いでいながら、国内では苛政に勤しむのでは。自由主義諸国は中国のいいとこどりは許さないようにしませんと。

欧州はイラン核合意を遵守する構えを見せていますが、米国がSWIFTやFATCAを使い、パナマ文書のように従わない国の機密を漏らす可能性があります。軍事的にもNATOを支えているのは米軍ですので、トランプはNATOの米軍の大幅削減を言いだすかも知れません。まあ、米国がどこまで本気になって追い込むかですが。村上氏の言うようにトランプのイラン封じ込めは難しいとして、イスラエル&サウジVSイランの戦争が起きるかどうかですが、村上氏の言うイランに核兵器開発の技術を持っていないとすれば、戦争を起こす大義名分がないので、戦争にはならないのでは。中東問題もユダヤVSアラブではなく、スンニVSシーアの問題の方が大きくなっていますので。アラブでないチュルク(トルコ)とペルシアの動きに注目していた方が良いでしょう。両国は過去に強大な帝国でしたので、中国のように「民族の偉大な復興の夢」を追い求めるかもしれません。そうなると戦争の可能性も出て来るのかと。

記事

トランプ米大統領が5月8日、イラン核合意からの離脱を決めた。「近隣諸国の核武装を抑止する機能が低下する」と懸念する向きもあるが、村上拓哉・中東調査会協力研究員は「イランは穏健路線を維持する」とみる。その背景に何があるのか。(聞き手 森 永輔)

米国によるイラン核合意離脱に抗議するテヘラン市民(写真:AP/アフロ)

—ドナルド・トランプ米大統領が5月8日、イラン核合意からの離脱を決めました。「イランは核エネルギーの平和的な利用だけを考えているという巨大な作り話に基づく」と断定。この合意では、イランは短期間で核兵器が獲得できる状態にとどまる、核弾頭を搭載できる弾道ミサイルの開発にも対処できない、と理由を挙げています。これらも含めて、今回の離脱の理由をどう分析していますか。

村上:それらに加えて、この合意に反対する共和党議員からの強い支持があったと思います。彼らは、核合意の交渉中に「(もし合意に至ったとしても)次期大統領が無効にすることができる」との書簡をイランの指導者宛に送ったりしていました。

村上拓哉(むらかみ・たくや)
中東調査会協力研究員。2007年3月、中央大学総合政策学部卒業。2009年9月、桜美林大学大学院国際学研究科博士前期課程修了(修士)。2009年10月~2010年8月、クウェート大学留学。在オマーン日本国大使館専門調査員を経て中東調査会に

 「この合意ではイランの核開発を封じることができない」との懸念を感じているからでしょう。トランプ大統領が指摘しているようにミサイルの開発を止めるものではありません。イランが心変わりし、核開発を秘密裏に行う可能性も完全に否定することはできません。

 1994年の米朝枠組み合意が北朝鮮の核開発を止めることに失敗したように、イラン核合意についてもこうした懸念を抱くのはもっともです。ただし私は、合意を維持していく方がイランの核開発を制限できると考えています。

 共和党議員からの支持に加えて、トランプ大統領自身が持つ姿勢もあるでしょう。1つは、バラク・オバマ前大統領のレガシーを無に帰したいという考え。TPP(環太平洋経済連携協定)から離脱したのと同様です。2つ目はトランプ大統領のイラン観です。

—それは、親イスラエルの裏返しですか。イランとイスラエルは対立の度を深めています。トランプ大統領は在イスラエル米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転することを決めました。娘婿のジャレッド・クシュナー氏はユダヤ教徒です。

村上:トランプ大統領の中で親イスラエルと反イランがどこまでつながっているかはよく分かりません。親イスラエルであることは間違いありませんが、イスラエルのネタニヤフ首相が求めることをすべて受け入れているわけでもありません。

 シリアに対する米国の姿勢にネタニヤフ首相は不満を抱いていることでしょう。イランが支援している民兵やヒズボラ*がシリアで活動範囲を拡大させているのを放置しているのですから。イスラエルにとって目前の問題は彼らの存在です。イランの核は、将来に問題となる可能性はありますが、「今」の問題ではありません。

*レバノンで活動するイスラム教シーア派政治組織

 ただしネタニヤフ首相がトランプ大統領に対してこの状況に強く文句を言うことはないでしょう。オバマ政権との関係に比べればはるかにましですから。

欧米の良識に期待

—イランは再び米国から強力な制裁を科されることになります。しかし、今のところ強硬な動きはなく、平静を保っていますね。米国が離脱した後の合意に残留する価値があるのでしょうか。

村上:イランと米国の間に通商関係はほとんどありません。このため、イランが恐れるのは米国の制裁により他の国との通商が阻まれる事態です。特に大きいのは米国の国防授権法がもたらす影響ですね。イランの金融機関と取引する第三国の銀行と米国の銀行とのドル決済を禁止するものです。国防授権法が2012年に施行された後、イランは非常に辛い目に遭いました。

国防授権法はイランと米国のどちらを取るのか第三国に踏み絵を迫る措置と言えます。これを突き付けられてイランを選ぶ国はないでしょう。

 とはいえ欧州諸国は、米国から制裁逃れとの追及を受けることなくイランとの関係を維持する策を模索しています。イランは欧州諸国を味方につけ、制裁がもたらすネガティブな効果を十分に軽減することができるかどうかを、見極めようとしています。

 米国の制裁を回避するには、まずは前回の国防授権法のときと同様に、制裁対象から除外される例外措置の適用を米国に要請することでしょうか。例えば、イランからの石油輸入量をある程度減らしたら、制裁の対象からはずすという措置が前回は取られました。

 もちろん、容易なことではありません。しかし欧州産業界が各国政府に強い要望の声を上げるでしょう。例えば仏トタルをはじめとする少なからぬ欧州企業がイランへの投資を決めていますから。

—トタルは2017年4月、南パルス田の開発をめぐってイラン国営石油会社(NIOC)および中国石油天然ガス集団(CNPC)と契約を結んでいますね。

村上:はい。そして国際世論はイランに味方しています。核合意を支持する声も大きい。米国という巨人が一人で暴れている、と見る向きが多いのです。

 後はロシア、中国、インドがどのように行動するかが注目です。インドは、イラン核合意がまとまる前、国防授権法の影響を避けるため、イランとの間でドルを介さない物々交換のような貿易をしていました。イラン産の原油とインド産の小麦を交換するといった具合です。

—90日・180日の期限がすぎ制裁が本格化したとき、イランが強い対抗措置に出る可能性はありませんか。

村上:ロウハニ政権のこれまでの主張に照らして考えると、その可能性は低いでしょう。ロウハニ大統領は次のような論理で自らの立場を正当化しようとします――米国が勝手に合意から離脱し、イランに対して不当な制裁を再び科そうとしている。そして、我々は、良識ある国際社会の国々と共にこの苦難に立ち向かっていく。なので合意維持を唱える諸国との連携を崩すような過激な行動は取りづらいでしょう。

 国内的な要因もあります。イランでは「米国の制裁など効いていない」ことになっています。したがって、ロウハニ政権に反対する勢力も制裁再開をもって同政権を攻撃することはできません。ロウハニ大統領は昨年の選挙で再選されたばかりで、任期は後3年あります。欧州諸国との交渉で事態を打開できるチャンスがある。ここで強い行動に出る必要はないでしょう。

 さらに原油価格が高止まりしているのも、政権を支えます。制裁のため輸出が減少するのは避けられません。しかし、高い原油価格がこの影響を軽減するでしょう。米国と距離を保つ中国とインドがイラン産の石油を買い続けてくれればなおさらです。

—現在のイランの原油輸出先は両国が1位と2位を占めていますね。それぞれ24%、18%です。

ウラン濃縮の強化やNPT離脱はない

村上: ただしロウハニ政権と対立する保守強硬派の動向は要注意です。例えば最高指導者直属の革命防衛隊や、彼らの支援を受けた国会議員などですね。彼らがイスラエルとの間で軍事的な緊張を高めようとする可能性が考えられます。

 もちろん全面戦争にする気はどちらにもないでしょう。代理戦争が行われるのはやはりシリアだと思います*。

*:イスラエル軍は5月10日、シリア国内にあるイランの軍事拠点数十か所に対して空爆を実施した

—制裁への対抗措置として、イランがウランの高濃度濃縮を再開するという見方があります。

村上:ロウハニ大統領が、産業レベルの濃縮を無制限で行う準備をするよう原子力庁に指示しました。産業レベルが何を指すのか明確ではありませんが、これまでの経緯を考えると発電用途を指していると思います。周辺国に脅威を与える発言とは言えないのではないでしょうか。

—イランはNPT(核不拡散条約)*から離脱するかもしれないと見る向きもありますが。そのようなことは……

*:核兵器の管理に関する条約。以下の3点が柱。米、ロシア、英、仏、中の5か国を「核兵器国」と定め、この5カ国以外への核兵器の拡散を防止する。核軍縮交渉を誠実に行なう。原子力の平和利用を認める

村上:ないでしょう。イランが核兵器の保有を望んでいるという見方はまゆつばものです。

—IAEA(国際原子力機関)はイランへの査察に基づいて「2003年まで組織的に核兵器の開発が行われていた。しかし、それ以降について確証はない」と報告しているわけですね。

村上:はい。それに、イランの技術力はまだ十分なレベルに達していないと思います。さらに、イランは地域において孤立しているわけではありません。イラク、ロシア、中国、インド、パキスタン、アフガニスタン、中央アジア、アゼルバイジャンなどのコーカサス諸国……。これらの国との関係を維持できるようまず考えると思います。

米国が進める「原則ある現実主義」

—次に米国の中長期戦略についてうかがいます。村上さんは、トランプ大統領が用いる「原則ある現実主義」という表現に注目されています。

村上:ほとんど話題にされることがありませんが、「米国第一主義」と並ぶ重要な戦略だと思います。トランプ大統領が初の外遊として2017年5月にサウジアラビアを訪問した際に行ったリヤド演説でこれに初めて言及しました。続いて2017年9月の国連総会でこの表現を用いました。この時は対象を中東戦略から政策一般に広げています。さらに2017年12月に発表した「国家安全保障戦略」でもこの考えを踏襲しました。

 その意味するところは、米国の価値観に根差した原則の推進と力の重視です。具体的な手段としては、「同盟国と協調した力による抑止」となるでしょう。トランプ大統領には政策理念というものがほとんど見られません。望ましい社会像を提示することもない。ただし、国家には主権があり、これを侵害してはならない――という一線だけは守る。後は目前の問題を是々非々で判断する。

 トランプ大統領は、米国が世界の秩序を維持するのはもう無理と考えているのでしょう。内政干渉もしない。では何をするのか。伝統的な力による抑止を強め、「米国の安全保障を守る」ことに軸足を移したわけです。地域の問題は地域で解決するよう促す。米国が考える1つの秩序ではなく、地域もしくはそれより小さな単位でのミニ秩序が多数出来上がることになります。

 この考えを中東政策にフォーカスしてブレークダウンすれば次の5つになります。

(1)米国の国力は相対的に衰退している。よって、中東に軍事的に深く介入することはしない。

(2)中東地域における米国にとっての最大の懸念はイスラム過激派のリスト。これを殲滅すること、再び力を持たせない環境を確立することが重要。

(3)地域の不安定化を引き起こしているのはイラン。これを封じ込める必要がある。

(4)地域の問題は地域が主導的に解決すべき。米国の役割は支援である。支援には限定的な軍事関与を含む。

(5)上記の目標が達成されるのであれば、米国は地域秩序や現地の政治体制の在り方に積極的に関心を払うことはない。

—「同盟国と協調した力による抑止」はいわゆるオフショアバランシングとは異なるのですか。

村上:そこは意見が分かれるところです。オフショアバランシング戦略では「米国が求める秩序の実現をジュニアパートナーに任せ、これを支援する」ことになります。冷戦期の中東が分かりやすい例でしょう。米国はサウジアラビアやイランを支援して共産主義に対する防波堤を築きました。しかし、現在のトランプ政権は、「米国が求める秩序」を示していません。

米国の中東での軍事行動はない

—トランプ政権は4月にシリアを空爆しました。これは先の5つの項目に合致しないように映ります。

村上:これは、化学兵器の使用に対する制裁でした。これによって米国の強さを世界に示すことができる。ただしイラク戦争に突き進んだブッシュ大統領と異なり、トランプ大統領はコストをかける気はありません。攻撃はあくまで単発。これならば、統治に関するコストの負担にはつながりません。

—先ほど言及された「反オバマ」の特性がなさしめたものかもしれませんね。

村上:それもあるかもしれません。つけ加えるとすれば「なめられてたまるか」という意識です。オバマ政権は2013年にシリア空爆を躊躇し批判にさらされました。トランプ大統領は「自分は違う」というところを見せたかった。

—トランプ大統領はシリアからの米軍撤収をほのめかしています。「原則ある現実主義」に沿って考えた場合、実現する可能性をどう見ますか。

村上:米国がシリア駐留に利益を見いだすのは難しいでしょう。最大の敵であった、過激派イスラム国(IS)はほぼ壊滅しました。

 シリアにアサド政権が残存し、弾圧されるかわいそうな人々が残り、イランの橋頭堡ができても、そのいずれも米国を攻撃することはありません。

 この地域の秩序が乱れればイスラエルに負の影響がありますが、それに対しては武器供与などのかたちで協力すればよい。

 トランプ大統領は3月末「シリアのことはほかの人たちに任せよう」と発言しました。ロシアやアラブ諸国を念頭に置いての発言と思われます。イスラエルは反対するでしょうが、米国が一方的に撤収する事態も十分にあり得ることだと考えます。

—以上の話を踏まえて、「原則ある現実主義」を改めてイランに当てはめると、米国が軍事的な動きを示すことは……

村上:考えづらいでしょう。トランプ大統領は一度も言及していません。政権スタッフも同様です。

—国家安全保障問題担当のジョン・ボルトン大統領補佐官ですら言及していませんね。

村上:その通りです。つまり、トランプ政権において現実的な選択肢になっていないのです。

トランプ氏が望むイラン包囲網形成は難しい

—今回の米国の核合意離脱が、中東の関係図を塗り替えることはありますか。イランとイスラエルの対立が中心にあり、米国がイスラエルへの支持を強めていく。その後は……

村上:米国としてはイラン包囲網を形成したいところでしょう。先ほどお話しした、地域のことは地域に任す、です。その第一歩として、サウジアラビアとイスラエルとの連携が強まるのを期待する。サウジアラビアは対イランでイスラエルと同じ立場にあります。しかし、両者の間にパレスチナ問題*をめぐる対立がある限り、サウジがイスラエルとの協力関係を表沙汰にすることはないでしょうが。

*:中東におけるアラブ人とユダヤ人の対立を指す。第二次世界大戦後、アラブ人が住むパレスチナに、ユダヤ人がイスラエルを建国したことで発生した。両者は以降、中東戦争を繰り返した

 米国は、湾岸諸国が対イランで連帯することにも期待しています。そのため、サウジとカタールの対立も早く解決してほしいと考えているでしょう。サウジは2017年6月、カタールがイランに融和的な態度を取っている、サウジがテロ組織に指定しているムスリム同胞団を保護しているとして断交に踏み切りました。

 しかし、カタールはイランとの関係を無碍にすることはできません。イランとガス田を共有しています。また、イランからオマーンに天然ガスのパイプラインを通すという話もあります。こうした国々は、イラン包囲網への参加には「ちょっと待ってくれ」と考えているでしょう。

 米国はイラン包囲網にエジプトやヨルダンが加わることを望んでいます。米国の伝統的な同盟国ですから。エジプトはイスラエルと79年に平和条約を締結しており、安全保障上の対立はありません。一方で、エジプトとイランは79年以降、国交断絶が継続しています。しかし、エジプトはイランとの対立に巻き込まれるのを懸念している状態です。得られるものは何もありませんから。

 イラン包囲網が形成され、関係国がトランプ政権が望むレベルで負担を負う可能性は高くないでしょう。サウジアラビアは米国に代わって地域秩序を維持するだけの軍事力も指導力も有していません。エジプトやカタールはイランとの関係を損なうデメリットを考えています。こうした中で、トランプ政権が軍事的な関与を避け、地域に負担を求め続ければ、サウジやイスラエルが米国離れを起こす事態が進みかねません。

 また、湾岸諸国が一致してイランに対抗する状態を展望するトランプ大統領は、その足並みを乱す行動を自ら取っています。サウジがカタールとの断交を決めた時、トランプ大統領はサウジを積極的に支持する発言をしました。これには米国務省、米国防総省、米軍ともに強く反対しました。カタール含め湾岸諸国には米軍の基地が点在しており、地域での米軍の活動に支障が出る恐れがあるからです。

イランがもたらす脅威は核より覇権拡大

—サウジ、トルコ、ロシアという周辺の大国の動きをうかがいます。

 サウジアラビアは米国が合意から離脱するのを支持しました。ライバルであるイランが核開発する可能性が出てくるわけですから、本来なら反対すべきではないでしょうか。

村上:サウジの関心は、イランの核開発よりも、地域における覇権的な行動を止めることにあります。イラクやシリア、レバノン、イエメン、バーレーン、サウジ東部におけるシーア派勢力への支援をやめさせる。サウジにとっては、これらが実存的脅威です。

 イランが核兵器を保有するのをもちろん容認はしません。しかし、イランが核兵器を用いる対象はまずイスラエル、あるいは米軍です。サウジではありません。

 したがってサウジが望むのは、米国がイランに対して強硬な姿勢を取り、その力を削ぐべく経済制裁をかけ続けることなのです。

—米国の離脱により核開発のドミノ現象が起こるという見方があります。まずイランの核開発を招く。これに対抗すべく、サウジをはじめとする周辺国が追随する。こうした事態は当面考えづらいということですね。

村上:はい。少なくともロウハニ政権下でイランが核開発に進むとは考えられないです。先ほどご説明したとおりです。

—サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が「イランが核武装すればサウジも追随せざるを得なくなる」と発言しています。

村上:それは現時点ではブラフでしょう。サウジは同様の発言を10年以上前から何度となく繰り返しています。

去就が見えないトルコ

—トルコはどう動きますか。

村上:トルコはややこしいです。戦略的にどちらを向いているのかよく分からない。

 当面の課題はクルド勢力の封じ込めです。この点に関してはイランと手を組むことができる。イラクのクルド勢力が昨年の9月、自治区の独立を目指して住民投票を実施しました。このとき、トルコとイランはイラク政府とともに軍事演習を実施し威嚇しました。ただし、イランのクルド勢力はトルコやイラクのクルド勢力ほど独立志向が強くない。したがって、イランにとってそれほど深刻な問題ではありません。トルコとは温度差があるのです。

 一方、トルコとイランの経済関係は良好です。米国が核合意からの離脱を決定した後、トルコのゼイベクチ経済大臣はイランとの貿易を今後も続けるとすぐさま宣言しました。

 トルコと米国の関係は悪化していますが、両国の間に戦略的な対立はありません。米国が、シリアで活動するクルド人民兵組織「人民防衛部隊」(YPG)への支援をやめ、ギュレン問題*が解決すれば改善に向かう可能性が高いでしょう。

*フェトフッラー・ギュレン氏はトルコで活動するイスラム教指導者。同氏を指導者と仰ぐ勢力が軍、警察、官公庁に多数いるとされる。AKP(公正発展党)を与党とするエルドアン現政権と対立関係にある。エルドアン政権は、2016年7月のクーデター未遂に同氏が関与していると主張。現在、米国で暮らす同氏を引き渡すよう、トルコ政府は米国政府に求めている

 というわけで、クルド問題やギュレン問題など目の前の課題が解決した後にトルコが、米国とイランのどちらに向くか判断が難しいのです。確実なのは、トルコは、サウジとイランが対立する湾岸地域の争いに巻き込まれたくはないということでしょう。

ロシアはゲームマスターを目指す

—最後は、ロシアについてです。

村上:ロシアの動きも読みづらいところです。シリアに目を向ければ、イランと協調しアサド政権を支援しています。

 一方、石油市場に目を向ければサウジとの協調を続けている。

 サウジはロシアとの関係を強化したいと考えています。米国との関係が悪化した時のことを考えて、ロシアをヘッジに使いたい。昨年10月にはサウジのサルマン国王が訪ロし、ロシア製のS400地対空ミサイルシステムを購入することで合意しました。資金面の支援を誘い水に、シリア問題やイラン問題での協調を呼びかけてもいます。ロシアは乗ってきませんが。

 これらを勘案すると、ロシアの目標は、中東のゲームマスターになることだと思います。サウジとイランのどちらかにつくのではなく、必要に応じてパートナーを組み替える。ソ連時代のように共産主義・社会主義体制の国を支援したような硬直した考えはありません。

 そして、関係国の皆がロシアの方を向き、ロシアを頼る環境を作りたいと考えているのかもしれません。加えて、ロシア製の武器を買ってくれる。こうしたこの目標は実現に向かって既に動いています。

 例えばイスラエルのネタニヤフ首相が5月9日に訪ロしました。10日に実施したシリア空爆について事前に話を通したのでしょう。米国の同盟国であるイスラエルがこのような行動を取るようになっているのです。

 また、イランとサウジがどちらもロシア製地対空ミサイルを導入している。サウジは先ほどお話ししたとおりS400を購入、イランはS300を購入しました。加えて、トルコもS400を購入しています。対立する国の軍がいずれもロシアから武器を購入している。しっちゃかめっちゃかの状態です。普通なら信義の問題になるものですが、ロシアはそんなこと気にしていないようです。

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『米朝会談に中国はどうからむのか 日本に迫られるプレイヤーとしての米中との駆け引き』(5/16日経ビジネスオンライン 福島香織)について

5/15希望之声<金正恩对韩朝高阶会变脸 美国在”独立评估“=金正恩は朝韓高級幹部会議を中止 米国は独自の評価>5/16韓国・聯合ニュースによれば、北は今行われている米韓軍事演習を理由に突然韓国との高級幹部会議を取り消すことを発表した。また米朝首脳会談も止めることも検討すると脅した。これに対し米国のWHのサンダース報道官は「トランプ政権はこの情報に対して独自の評価をしている。北が言うのは理解はするが、同盟国と緊密に連携する。」と。彼女は今進めている首脳会談の計画について影響があるかどうかについてコメントしなかったが、国務省は「たとえ北が軍事演習に反対を宣言しても、首脳会談の準備は継続して行われる。6/12シンガポールで会談は行われるだろう」と。国務省のナウアート報道官は「軍事演習に関して首脳会談をどうするか北から公式、非公式を問わず、連絡を受けていない。まだ会議の準備は米朝高官の間で続けられている」と。国防総省の広報官は「今回の軍事演習はいつもやっているもの」と。北に対する脅威は声明文の中には入っていなかった。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/05/15/n1781295.html

5/15看中国<习金会大连密谈曝光 金正恩提出一个要求(图)=大連での習金密談の内容が明らかに 金正恩は要求を一つ出した>金は習に「もし、朝米が非核化で一致出来れば、中国は途中で北に経済援助をしてほしい」と。習は「一致にこぎつけ、具体的な進展が見込まれれば、中国の北への経済支援は正当な理由がある」と。

北の思惑はトランプとの会談の道具を増やしておきたいのと、北京の思惑は中米貿易戦争が硝煙くすぶる中、金正恩の訪中にかこつけ、中朝の友誼は昔と変わらずと言うのを見せつけ、貿易交渉時の人身御供として「北朝鮮カード」を打ち出そうとしている。

NYTの分析によれば、「北は安全保障の観点から見れば米国に近づき、北京から離れることになる。これは賢い戦略だ。中国は朝鮮の独立をオープンに威嚇することはできないだろうが、近隣国に対して支配したいという野心は強まっている。東南アジアや南シナ海周辺、「一帯一路」計画等を見れば北は厳しく警戒を強めるだろう。金正恩が米国に近づくのは、このことが北京の東アジア支配の野望を抑えることを期待しているから。金正恩はずっと中国の全面的な経済支援を減らそうと希望して来たし、北京が未来の朝鮮半島を牛耳ることを封じ込めたいとも思っている」と。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/05/15/858597.html

NYTの論評が合っているのかどうか。米国に都合の良い見方ですが、ポンペオ周辺から取材したのかも知れません。ただ朝鮮半島の事大主義のDNAは変わらないでしょうから、北は時勢が転ぶ方にいつでも乗り換えられるように米中それぞれに保険をかけているところではないでしょうか?

中国は中国で、昨日の本ブログで指摘しました通り、「北の非核化」を貿易のカードとしてZTEへの制裁緩和を持ちかけたようです。それは福島氏の見方もそうですから、多分その通りなのだろうと思います。

中国が北朝鮮の緩衝国家としての存在を有難がらないとすれば、北はそう感ずれば米国に近づくことも充分あり得ます。米国に自分と北朝鮮を高く売りつけ、「非核化」と「朝鮮半島の統一」をバーターとし、統一朝鮮の安全保障を米国及び在日米軍がするというシナリオです。

武貞氏が「北の核保有は朝鮮半島の統一の為」というのであれば、目的(統一朝鮮の完成)が成就できれば、一つの手段(核保有)は放棄しても良いことになります。ただ、時間の制約があります。2020年までに核放棄と統一朝鮮ができるかどうか?文在寅が率いる韓国も統一には経済的理由で二の足を踏むのでは。日本は拉致被害者の全員帰還が為されない限り、北を支援してはならず、況してや反日国・韓国に支援なぞまっぴら御免です。

記事

米朝首脳会談が現地で開催されることを報じるシンガポールの新聞 (写真:AP/アフロ)

この4月から5月にかけて、アジアでは重要な事件が次々と起きた。南北会談があり、米国務長官ポンペオの訪朝があり、中国外相・王毅の訪朝と金正恩との面会があり、米中通商協議が北京で行われて物別れとなり、北朝鮮外務省が突然、米国を非難しだし、金正恩の二度目の中国訪問があり、そして米朝会談の日取りと場所が決定した。その傍らで、米国は核イラン合意を離脱、マレーシアでは92歳のマハティールが親中派のナジブをやぶって新首相の座についた。中国の李克強首相が初来日し、日中韓首脳会談および日中首脳会談が行われた。

それぞれが連動しており、米中関係を中心に、アジアのパワーバランスに激変が起きうる予感に満ちている。その震源地は半島ではあるが、それは中東の動きとも呼応しており、メーンプレイヤーは言うまでもなく米中である。だが、10日の日米首脳電話会談では、トランプは安倍晋三のことを朝鮮問題について「ビッグプレイヤー」と表現し、日本が半島情勢の動きにおいて影響力をもつキー国の一つであるという認識も示された。

そこで、6月12日にシンガポールで行われる米朝首脳会談を前に、プレイヤーとしての中国の影響力、そして日本の影響力について、少し整理しておこうと思う。

習近平が米朝会談に乗り込む?

シンガポールで6月12日に行われる米朝首脳会談には、トランプ、金正恩のほかに、第三国の首脳が参加する可能性が日本の毎日新聞などで報じられている。その第三の男は中国の習近平ではないか、とも言われており、米国家安全保障会議(NSC)のコーツ国際交渉担当上級部長は記者団の質問に対して、習近平や韓国の文在寅の参加について「可能性はある」と含みをもたせている。中国外交部も今のところ完全否定はしていない。

中国は朝鮮戦争の休戦協定に署名した当事国でもあり、金正恩からの訪問をこの1カ月半のうちに2回も受けて、事実上の後見人役を引き受けた格好になっている。だが、習近平政権が、この米朝首脳会談に対して、どのような立ち位置で関与するかはまだ見定められていない。シンガポール華僑の著名チャイナウォッチャーの頼涯橋や、シンガポール国立大学東南アジア研究所の研究員・藍平児らは、「第三国参加の可能性は高くない」とシンガポールメディアに語り、習近平が米朝会談の現場に入り込んで関与するとの見方には否定的だ。

こうした予測情報がいろいろ流れる背景は、米朝首脳会談の日程と場所が決まっていながら、その成果の見込みがまだ立っていないからだ。可能性としては、トランプサイドが主張する「完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄(CVID)」をそれなりの期限(6カ月から1年)を切って行うという文書で合意となるか、金正恩サイドが主張する半島の非核化への数年をかけた段階的措置で合意となるか、あるいは決裂するかの三択であるが、成果が違えば、当然中国にとっても戦略が変わってくる。何度も言っているが、中国にとって半島問題の最大のテーマは、非核化ではなく、米中新冷戦構造における勢力争いである。

中国がどういったシナリオを望んでいるかも、実のところ分析がわかれている。5月7日に行われた大連での習近平・金正恩会談については、大連で初の国産空母「山東」の試験航海にあわせて行われ、金正恩を中国最新の空母に乗艦させたのではないか、という見方もあった。それは、双方の軍事同盟関係をアピールし、米朝会談を前にした米国への牽制だとも言われている。このとき、金正恩は習近平に緊急の経済支援を頼み込んだという情報もあるが、それに習近平が応じたという話は今のところ聞いていない。

トランプはZTEの事業再開に含み

その直後、習近平とトランプとの電話会談では、北朝鮮に恒久的に核開発・ミサイル開発計画を放棄させるまで制裁を緩めずに継続することが重要だという認識で一致した、ということになっている(ただし新華社はこれを報じていない)。もちろん、習近平は、「双方が信頼を築き、段階的行動で、双方の関心事を解決し、北朝鮮への合理的な安全を考慮して、共同で半島の政治問題を解決してほしい」ということも言っているが、金正恩が切実に望む制裁解除への口添えはなかった模様だ。こうしたことから、習近平としては北朝鮮に完全に肩入れして、その利益の代弁者として米国と対峙するつもりはない、という観測がある。ひとまずの傍観者席をキープしつつ、推移によって、次の対応を決めようとしているのではないか。

中国にとって米国との駆け引きで重要なテーマとして、半島問題と並行して通商問題がある。貿易戦争開始後の一回目の米中通商協議は物別れで、非常に険悪な雰囲気であったと伝えられている。米国から仕掛けられた貿易戦争では、目下中国がかなり不利に追い込まれている。だが、それに屈するわけにはいかない中国側の内政上(習近平政権の安定性)の事情がある。そういう中、中国がもっとも青ざめたといわれる中興通訊(ZTE)への米国製チップ禁輸措置で、トランプが急にZTEの事業再開のために習近平と協議中であるとツイート(5月14日)した。ZTEはこのまま米国が禁輸を続ければ破綻に追い込まれることは確実な状況だった。

これはZTE8万人の雇用が一気に失われるだけでなく、関連企業もふくめた中国の通信端末事業が次世代(5G)市場から締め出されることを意味し、中国の通信覇権の野望にとどめがさされかねない。だが、ここにきてトランプがいきなり、ZTEを救う意向を見せた。これは、中国側がおそらくは水面下でなにか大きな譲歩したことを意味する。私はそれが半島問題ではないか、と見ているのだが、どうだろう。つまり、次の米朝首脳会談では、中国は北朝鮮の味方をしない、ということを了承したのではないか。

北の頼みの綱・プーチンは沈黙

中国が北朝鮮に対し、独自に経済制裁を解くこともせず、突き放す、あるいは米国と共同歩調をとるとなると、米国側のめざす“リビア方式”での非核化実現の可能性が高まってくる。その場合、最終的にリビアのカダフィが、米国の支援する反カダフィ派に殺害された歴史を振り返れば、金正恩としてはいくら体制を保障すると約束されても、体制維持どころか身の安全にすら不安を覚えるだろう。金正恩がそうなったとき頼る相手は、残るはロシアだが、プーチンも今のところは沈黙を守っている。

もし、中国が北朝鮮に与しないで傍観を決め込むとすれば、これは実は中国が唯一の同盟国を裏切るということであり、中国の孤立化が進むことになる。そうなることを予感しているからこそ、中国は、今年になってあからさまな日中関係、中印関係改善に動いている、と解釈できる。

そうなってくると半島問題において「蚊帳の外」と揶揄されてきた日本もプレイヤーとして、米国や中国と駆け引きする必要に迫られてくるだろう。北朝鮮問題において、日本には核廃棄問題のほかに拉致被害者の返還という重要なテーマがある。半島の非核化(CVID)に伴う費用、北朝鮮の経済的支援について、おそらく日本の“財布”が期待されているだろうが、日本が北朝鮮に経済的支援を決める必須条件は、CVIDに加えて拉致被害者100人の一括返還である、という姿勢を崩さないことが重要だろう。これが拉致被害者を取り戻す最後のタイミングになるかもしれない。北朝鮮に拉致された日本人を救う全国協議会(救う会)の西岡力会長によれば、米国サイドはその日本側の意思を理解しているはずだ、という。

さらには経済支援した以上は、それが北朝鮮の人々に恩恵があるだけでなく、日本企業や国際社会の利益にかない、また対日感情にプラスになる形で進めていくことを考えねばなるまい。かつての対中ODAの轍は踏めない。北朝鮮はウランをはじめとするレアアース資源の宝庫であり、また良質で安価な労働力とほとんど手つかずの市場が期待できるアジア最後の経済フロンティアだ。特にウラン鉱山の利権は米中ロその他の国々が虎視眈々と狙う中、日本がどのように立ち回れるかも、プレイヤーとしての力量が問われるだろう。その結果が北朝鮮、あるいは未来の統一朝鮮が日本の安全保障を脅かす反日国家となるか否かにつながってくるやもしれない。

賞味期限切れ?「北朝鮮屏風論」

中国側の半島専門の学者たちが最近指摘しているのは、中国にとって北朝鮮が米韓西側勢力との間に存在する緩衝地帯であるという「北朝鮮屏風論」がそろそろ賞味期限切れである、という問題だ。北朝鮮屏風論は北朝鮮指導者と中国指導者が同盟国同士の信頼関係を築いていてこそ成り立つのだが、習近平と金正恩の間には修復不可能な深い溝がすでにあるといわれている。中国としては、在韓米軍が完全撤退すれば、半島の非核化問題の解決の主導を米国に譲ることは許容範囲内、という見立てもある。ボイス・オブ・アメリカによれば、米シンクタンク・スティムソンセンターの中国専門家・孫韵がとあるシンポジウムで、そのような分析をしている。

中国はすでに、リビア方式による核廃棄の末、現北朝鮮のレジーム交代が行われる可能性も含めてのシナリオを考え始めている。たとえば南北統一の動きの中で、治安の悪化、無秩序・無政府状態が起きた場合、米国がどのように動き、中国としてはどのように動くのか。あるいはロシアはどう動くのか。南北統一の動きがでたとき、中国東北の朝鮮族がどういった反応にでるのか、も重要だ。中国の研究者の中には、東北の朝鮮族および解放軍北部戦区の朝鮮族兵士は北京への忠誠よりも民族の統一に走る可能性がある、という意見もある。北朝鮮の体制転換が中国の体制にどのような影響を及ぼすか、という懸念もある。

もちろん、米朝首脳会談の結果、トランプ側が妥協して北朝鮮の求める数年かけた段階的な核廃棄という“時間稼ぎ”になる可能性も、話し合いが決裂して戦争機運が一気に高まる可能性もある。あるいは直前になって会談自体が延期される可能性もゼロではないかもしれない。

どのような形になっても、これがアジアの国際秩序と枠組みの転換点であり、日本という国の命運の曲がり角であったと後々振り返ることになりそうだ。

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『「米韓同盟廃棄」カードを切ったトランプ 「完全非核化」と交換、メディア通じさりげなく伝達』(5/15日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

5/14現代ビジネス<【特報】安倍首相があの「元総理」を北朝鮮に派遣か>まあ、米朝会談がどういう展開になるかでしょうけど。これを見て清和会の内、小泉・福田を除けば生きている元総理は森しかいませんから。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55650

5/14看中国<李天笑:习近平在美朝互动中起何作用?(视频)=李天笑:習近平は米朝がお互いに動いている時にどう動く?>これは中国語で読んでいただきたく。良く分かりません。酔っているせいもあるのかもしれませんが。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/05/14/858585.html

5/14希望之声<诡异!习近平登上福布斯权势人物榜首报导全面删除=怪しい、習近平がフォーブスに世界に影響を与える人物第一位と報道したのにネットは全面削除まあ、削除の理由は分からないらしいですが。多分腐敗度No1を恐れたのでは。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/05/14/n1776093.html

5/15阿波罗新闻网<中兴问题恐难解!美参议员斥喝特朗普勿“退缩”=アポロネットニュース:ZTEの問題は難解になるのを恐れる マルコ・ルビオ上院議員は「トランプは制裁緩和するな」と吠えた>ルビオはトランプに「中国への強硬な態度を緩めないように。ZTEの問題は役目とか貿易の問題ではない。国家の安全保障とスパイの問題である。もし米国での活動に厳しい制限がなく動けるとすれば、それは狂っている」と。中国メデイアは、米国商務省は2週間以内に解決するだろうと。但し、それは、更なる調査と交渉でZTEはより多くかつもっと厳重な処罰を受ける可能性があることを意味する。

http://www.aboluowang.com/2018/0515/1114011.html

5/11毎日新聞<G7 韓国参加で調整 米朝会談前、南北支援要請へ>

https://mainichi.jp/articles/20180512/k00/00m/030/168000c

毎日の記事は、鈴置氏の「トランプがG7で空爆の可能性の根回し」を文在寅の参加で邪魔しようと言うものです。絶対参加させてはなりません。場所も板門店であれば飛び入り参加の可能性もあったのでシンガポールで良かったと思います。でも流石在日に優しい毎日だけのことはあります。日米の思惑を阻止するように南北が動いているのを日本の読者に誤断させようとしています。

でも、韓国民の発想は中国人以上の自己中心さです。何故在韓米軍撤退でも核の傘はさしかけてくれると思えるのでしょうか?慰安婦像や徴用工像を建てているのに日本と通貨スワップできると何故思えるのでしょう?これは日本が甘やかしてきたことに大きな原因があります。中国の言うことに彼らは尻尾を振って随うではないですか。でも異常性格な民族であるのは間違いありません。

日本は防衛ラインが朝鮮半島から対馬に下がることを覚悟しなければなりません。対馬と北海道(それだけでないかもしれませんが)の外国人に買われた土地は政府が強制買い上げ(売却価格+年金利5%程度?)して活用を図るようにしてはどうか?米韓同盟が破棄となれば、スパイの巣窟である朝鮮総連と在日特権は解消し、反日活動に勤しむ在日は送還すべきです。南北が一緒になれば、専制政治に嫌気がさし、脱出を試みる人も出て来るでしょう。朝鮮半島人は入れないように今から準備しておくべきです。韓国には今からビザを復活すべき。2020年インバウンド4000万人という数字には拘らない方が良いでしょう。譬えオリンピックがあっても。

日本の国会も相変わらずモリカケ一色ですが、下手に米朝交渉のことを詮索されないから今のままで良いのでは。6/12米朝首脳会談、6/20通常国会閉会となり、臨時国会を開かなければ、政府がエネルギーを全部そちらに向けられます。小学生レベルの野党の質問に付き合う時間は勿体ない。其の儘9月の自民党総裁選に雪崩れ込むのでは。安倍三選は間違いないでしょう。ただ、米朝会談が決裂すれば(今のポンペオ・金の話合いの感じでは少なくとも決裂にはならないのではと思いますが)、米国は戦争準備をし、8月にはNEO後、攻撃開始となる気がします。そうなれば総裁選ができるかどうかです。暫定で安倍総裁の任期延長となるのでは。その後は11月の米国中間選挙と。まあ、米国の選挙にとって、米朝の行方が平和的解決、戦争どちらになっても、トランプの株が上がり、共和党優勢に導くのでは。

5/14ぼやきくっくりブログ<「真相深入り!虎ノ門ニュース」青山繁晴氏>を参考ください。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2181.html

記事

平壌で5月9日、握手を交わすポンペオ米国務長官(左)と金正恩・朝鮮労働党委員長(写真:KCNA/新華社/アフロ)

前回から読む)

北朝鮮の核問題を解決する過程で、米韓同盟が崩壊し始めた。

「半島全てを非核化」

鈴置:トランプ(Donald Trump)大統領が金正恩(キム・ジョンウン)委員長に「米韓同盟破棄」カードを切りました。北朝鮮の完全な非核化が条件です。

5月10日、トランプ大統領はアンドリュース基地でポンペオ(Mike Pompeo)国務長官と、彼が取り戻した3人の韓国系米国人を出迎えました。

トランプ大統領は米国東部時間の午前3時(日本時間同日午後4時)ごろ、北朝鮮から戻った政府専用機の横で会見しました。

記者から「何が最も誇らしい成果か」と聞かれ「これ(3人奪還)もそうだが、非核化できればそれが最も誇るべき成果になる」と語ったのです。

・My proudest achievement will be – this is a part of it – but will be when we denuclearize that entire peninsula. This is what people have been waiting for a long time. Nobody thought we could be on this track in terms of speed.

注目すべきは「北朝鮮を非核化する」ではなく「半島全てを非核化する」(denuclearize that entire peninsula)と語ったことです。

北朝鮮に加え韓国も含め非核化する――北朝鮮が非核化に応じれば、米国が韓国に差しかけてきた核の傘も撤去する、つまり米韓同盟を廃棄すると示唆したのです。

これこそ北朝鮮が長らく米国に要求してきたことです。中国もこれを望んでおり、北朝鮮を後押ししています(「中朝首脳会談、『米韓同盟揺さぶり』で一致」参照)。

トランプの新たな対案

—核の傘の提供をやめることが、同盟破棄につながるのですか?

鈴置:そうなります。仮に北朝鮮が完全に非核化されたとしても、韓国周辺には中国とロシアという核保有国が残ります。

中ロは今後、韓国を核攻撃しても米国による核の反撃を受けないと確信できます。すると、核をチラつかせるだけで韓国を恫喝できるので、韓国は中ロの言うなりにならざるを得ません。

そんな同盟に意味はないのです。中立化を宣言し、周辺大国の緩衝地帯として生き延びた方がまだましと考える韓国人が出るでしょう。

話を戻します。要は、トランプ大統領は、韓国との同盟をやめる、と宣言したのです。北朝鮮が完全に非核化されれば、との条件付きですが。

実はトランプ会見の直前、北朝鮮も興味深い発表をしています。訪朝したポンペオ長官から「新たな対案」を受け取った金正恩委員長が、それを評価し賛成した、というのです。

5月10日午後3時10分(北朝鮮時間=日本時間)から朝鮮中央テレビが放送した番組「敬愛する最高領導者、金正恩同志におかれては米合衆国国務長官を接見された(主体107年5月9日)」を通じてです。なお、「主体」とは北朝鮮の年号です。

聯合ニュースの「北、金正恩は『トランプの“新たな対案”で対話解決することに関心を持つ』を評価」(5月10日、韓国語版)から金正恩委員長の発言を引用します。

この部分は約7分間。画面に2人の交歓風景が映る中、アナウンサーが以下を読みあげたそうです。

・席上、マイク・ポンペオ国務長官は金正恩同志に、ドナルド・トランプ米合衆国大統領の口頭メッセージを精忠にお伝え申し上げた。
・最高領導者同志におかれてはトランプ大統領の口頭メッセージをお聞きになられ、大統領の新たな対案により対話を通じ問題解決することに深い関心を持つことに対してと、朝米首脳対面(会談)に積極的な態度を採っていることに対し、高く評価され賛意を表された。

テレビを通じ合意を確認

—「新たな対案」とは?

鈴置:具体的には報じていませんが、トランプ会見から見て「半島全てを非核化する」――北朝鮮が核を完全放棄したら米韓同盟を廃棄する、との提案でしょう。

一連の動きをまとめると、こうです。まず、ポンペオ長官が金正恩委員長に口頭で「米韓同盟破棄」の対案を伝えた。すると、朝鮮中央テレビを通じ、金正恩委員長が「それなら非核化に応じる」と答えた。

それを確認したトランプ大統領がアンドリュース基地での会見を通じ「米朝首脳会談はその線で進めよう」と金正恩委員長に通告した――のです。

北朝鮮側が金正恩委員長の応諾を伝える際、朝鮮通信など活字メディアを使わなかったのは、トランプ大統領のメッセージが口頭だったことに対応したものと思われます。

両者が「米韓同盟の廃棄」とはっきり言わなかったのはもちろん、世界にパニックを引き起こさないためでしょう。

その甲斐あって「半島全てを非核化する」との、よく読めば目をむく発言はさほど注目されませんでした。

世界のメディアは北朝鮮から解放された3人の韓国系米国人に焦点を当てました。さらにそのニュースの約8時間後にはトランプ大統領が米朝会談の日時と場所をツイッターで明かしました(「米朝首脳会談、6月12日にシンガポールで開催」参照)。「半島全てを非核化」発言はますます関心の外に置かれたのです。

韓国紙も見落とした

—韓国メディアもこの大ニュースを見落としたのですか?

鈴置:見落としました。翌5月11日の朝刊では、私の見た限りですが、朝鮮日報で外交を担当する金真明(キム・ジンミョン)記者だけが「半島全ての非核化」に注目しました。

トランプと金正恩は体制を保証し『2020大統領選挙前のCVID』で握ったか」(韓国語版)です。

韓国では珍しい、原典に当たる記者です。ただ、金真明記者は米朝首脳会談が抽象的なメッセージの交換に終わる可能性の傍証として「半島全ての非核化」発言をとらえました。「米韓同盟廃棄」を呼ぶ重大な発言とは考えなかったのでしょう。

韓国の保守系大手3紙が「半島全ての非核化」に言及する社説を掲載したのは5月12日でした。朝鮮日報の社説「北に『非核化』の対価として何を渡すのか、説明の時が来た」(韓国語版)の関連部分を訳します。

・もしこれ(半島全ての非核化)が、トランプ大統領が韓米同盟や在韓米軍を北朝鮮に差し出すカードとして使うのなら深刻な話だ。
・米国が将来、在韓米軍の撤収、位置付けの変化、米軍引き上げの口実になるような言質を北側に与えないかを確認せねばならない。

東亜日報の社説「シンガポール米朝会談、完全な非核化で『68年敵対』終了を」(日本語版)の危機感はやや薄かった。

・米国が韓米合同軍事演習での核戦略資産の韓半島展開中止などに同意した可能性がある。「韓半島全体の非核化」が核の傘の範囲から韓半島を除く極端なレベルにまで拡大する懸念はないのか、韓国政府は綿密にチェックしなければならない。

「核の傘」を信じる韓国人

—「核の傘の喪失」は「極端な話」に過ぎないのですね、韓国紙にとって。

鈴置:中央日報の社説「米朝会談で『完全な非核化』ビッグディールを期待する」(日本語版)はもっと楽観的でした。北朝鮮が「核の傘の撤去」に関して要求する可能性は低いと見たのです。

・韓半島非核化に米朝が合意する場合、韓米連合訓練時に米国は核兵器を搭載できる戦略資産の韓半島展開を中断する可能性がある。北朝鮮が「核の傘禁止」まで要求するかはまだ未知数だ。

—北朝鮮が「核の傘撤去」を要求しないことがあり得ますか。

鈴置:あり得ません。この社説は「半島の非核化」が、核兵器を搭載する原子力潜水艦や戦略爆撃機の半島周辺への展開を禁じることを意味するとの前提で書いています。

そうだとして、どうやって米国は、原潜が半島周辺に来ていないと保証できるのでしょうか。米国がそう宣言すれば、北朝鮮は信じるのでしょうか。信じるわけはありません。

そもそも、米本土のICBM(長距離弾道弾)は北朝鮮を射程に収めているのです。原潜や戦略爆撃機が半島の近海に来るか来ないかは本質的な問題ではないのです。

中央日報の理屈はたぶん、こうでしょう。南北朝鮮は核を持たないことにしよう。一方、核大国からの脅威に対しては、北は中国の、南は米国の傘に頼る体制を続ける。それで南北はすべて対等になる。だから韓国は米国の核の傘を維持してよいのだ――。

この理屈は中朝同盟が機能しなくなっていることを無視しています。ならず者国家の北朝鮮に手を焼いた中国は、日本の記者にまで「北朝鮮との同盟はもうありません」と堂々と言ってきます。

だからこそ、北朝鮮は自前の核を持とうと、核開発を加速したのです。北が「韓国は米国の傘の下にいていいよ」と言うわけがないのです。

「離米従中」は1990年代から

—韓国紙はなぜそんなに楽観的なのでしょうか。

鈴置:自分が米国に深く信頼される、重要な同盟国であると思い込んでいるのです。米国の軍関係者は韓国の不誠実さに呆れ果てているというのに。

韓国は1990年代半ばから中国にすり寄り、米国の軍事情報を流し始めた。米国防総省が日本の防衛省に「中国に漏れるから、韓国に機密を漏らすな」と注意してきたほどです(「『懲りない韓国』に下す米国の鉄槌は『通貨』」参照)。

米軍関係者は2010年ごろから「米韓同盟はいつまで持つか分からない」と言い始めました。まだ、保守政権の時です。そして、文在寅(ムン・ジェイン)という左派政権が登場して完全に見限りました。

文在寅政権は、北朝鮮のミサイルから韓国人と在韓米軍を守るTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の首都圏への配備を拒否するに至りました。中国の圧力に屈したのです(「中国に『降伏文書』を差し出した韓国」参照)。

さらに文在寅大統領がトランプ大統領との会談後に発表した共同発表文を1日後に否定しました。中国の海洋進出を牽制する部分で、これまた中国の顔色を見てのことでした(「トランプとの合意を1日で破り、変造した文在寅」参照)。

トランプ政権が米韓同盟を捨てる決断を最終的に下したのは、4月27日の南北首脳会談だったと思います。

この日に発表された板門店宣言で、南北がはっきりと「半島全ての非核化」をうたったからです(「『民族の祭典』に酔いしれた韓国人」参照)。

板門店宣言で同盟破棄

—韓国が米国よりも先に「半島全ての非核化」を宣言していた……。

鈴置:その通りです。板門店宣言こそは米韓同盟の破棄宣言だったのです。「南北の和解」をテーマにした「政治ショー」に惑わされ、見落とされたのですが。板門店宣言には以下のくだりがあります。

韓国政府が発表した日本語の報道資料「韓半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店宣言」から引用します。

・南と北は、完全な非核化を通じて核のない韓半島を実現するという共通の目標を確認した。

「核のない韓(朝鮮)半島」とは、どう読んでも「朝鮮半島全ての非核化」を意味します。韓国の方が先に米国に三行半を突きつけたわけで、米国も遠慮なく同盟廃棄をカードとして使えるようになったのです。

—米国に出て行けと言ったのに、米国が核の傘を維持してくれると韓国人は考える……なぜでしょうか。

鈴置:「米国はアジア大陸に兵を置き続けたいのだ」との思い込みが韓国人にはあります。だから、どんなに米国を裏切ろうと同盟は引き続き「核の傘」は提供し続ける――と信じ込んでいるのです。

核を隠し続ける北朝鮮

—結局、米朝首脳会談では北朝鮮の完全な非核化と米韓同盟の廃棄という取引が交わされるのでしょうか。

鈴置:そう簡単にはいかないと思います。北朝鮮は簡単に核を手放さないからです。もし米韓同盟を破棄することになれば、中朝同盟も名実ともに破棄することになるでしょう。

すると北朝鮮は核保有国に囲まれながら、自前の核も同盟を持たない、極めて不安定な状態に置かれます。それを解消するために、周辺大国が朝鮮半島全体の中立を担保するというアイデアも語られると思います。

が、そうだとしても金正恩政権と韓国の民族主義者は周辺国のお情けにすがる平和には満足しないはずです。金王朝は歴代、自立のために国民に犠牲を強いて核武装を進めてきたのです。

4月20日の朝鮮労働党・中央委員会総会が採択した「決定書」も核武装宣言でした(「しょせんは米中の掌で踊る南北朝鮮」参照)。

「板門店宣言」はその北に、南が協力するという念書でもありました(「『民族の祭典』に酔いしれた韓国人」参照)。

現在、北朝鮮は数十発の核弾頭を保有すると見られています。完全な非核化を約束しても、その半分を米国に差し出すだけで、残りは隠し持って事実上の核保有国であり続ける作戦でしょう。

「将来の核」にも歯止め

—米国もそれは分かっているのですか?

鈴置:もちろんです。だから米国はいかに困難であろうと、徹底的な査察を実施して核弾頭をすべて取り上げるつもりです。それに加え今後、北朝鮮が核兵器を作れないよう、濃縮ウランなどの製造も禁止する方針です。

ボルトン(John Bolton)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が5月8日、これを明確に要求しました。会見で「米国の北朝鮮に対する要求は、南北共同非核化宣言に立ちかえることだ」と述べたのです。ホワイトハウスの「Press Briefing by National Security Advisor John Bolton on Iran」で読めます。

1991年12月に合意し、1992年2月に発効した南北共同非核化宣言は核兵器に加え、核燃料の再処理施設、ウラン濃縮装置まで一切、南北朝鮮は持たない、と定めています。

  • 非核化の約束を5度も破った北朝鮮
▼1度目=韓国との約束▼
・1991年12月31日 南北非核化共同宣言に合意。南北朝鮮は核兵器の製造・保有・使用の禁止,核燃料再処理施設・ウラン濃縮施設の非保有、非核化を検証するための相互査察を約束
→・1993年3月12日 北朝鮮、核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言
▼2度目=米国との約束▼
・1994年10月21日 米朝枠組み合意。北朝鮮は原子炉の稼働と新設を中断し、NPTに残留すると約束。見返りは年間50万トンの重油供給と、軽水炉型原子炉2基の供与
→・2002年10月4日 ウラニウム濃縮疑惑を追及した米国に対し、北朝鮮は「我々には核開発の資格がある」と発言
→・2003年1月10日 NPTからの脱退を再度宣言
▼3度目=6カ国協議での約束▼
・2005年9月19日 6カ国協議が初の共同声明。北朝鮮は非核化、NPTと国際原子力機関(IAEA)の保証措置への早期復帰を約束。見返りは米国が朝鮮半島に核を持たず、北朝鮮を攻撃しないとの確認
→・2006年10月9日 北朝鮮、1回目の核実験実施
▼4度目=6カ国協議での約束▼
・2007年2月13日 6カ国協議、共同声明採択。北朝鮮は60日以内に核施設の停止・封印を実施しIAEAの査察を受け入れたうえ、施設を無力化すると約束。見返りは重油の供給や、米国や日本の国交正常化協議開始
・2008年6月26日 米国、北朝鮮のテロ支援国家の指定解除を決定
・2008年6月27日 北朝鮮、寧辺の原子炉の冷却塔を爆破
→・2009年4月14日 北朝鮮、核兵器開発の再開と6カ国協議からの離脱を宣言
→・2009年5月25日 北朝鮮、2回目の核実験
▼5度目=米国との約束▼
・2012年2月29日 米朝が核凍結で合意。北朝鮮は核とICBMの実験、ウラン濃縮の一時停止、IAEAの査察受け入れを約束。見返りは米国による食糧援助
→・2012年4月13日 北朝鮮、人工衛星打ち上げと称し長距離弾道弾を試射
→・2013年2月12日 北朝鮮、3回目の核実験

G7で「空爆辞さぬ」と根回し

—では、首脳会談はどういう展開になるのでしょう。

  • 米朝首脳会談、3つのシナリオ
米国、リビア方式での非核化を要求
北朝鮮が受諾 北朝鮮が拒否
①米国などによる核施設への査察開始 ②米朝対話が継続 ③米国、軍事行動ないし経済・軍事的圧迫強化

鈴置:「米朝首脳会談、3つのシナリオ」で言えば、北朝鮮は①の「完全な非核化を受諾」しながら②の「時間を稼ぎながら完全な査察を防ぐ」行動をとる可能性が高い。少なくとも①のフリをしないと、米国が③の「軍事行動ないし経済・軍事的な圧迫強化」を採用するからです。

—実質的には進展しないのですね。だとすると、米国は米韓同盟廃棄などという思い切ったカードを切る必要があったのでしょうか。

鈴置:大いにあったと思います。まず、北朝鮮を対話に引き出すことができた。対話なしでは①にも③にも進みにくく、問題が先送りされてしまう。

さらに米国は「北朝鮮の要求である『朝鮮半島全体の非核化』まで飲んだのに、北朝鮮は前言を覆して『完全な非核化』を拒否した」と主張できるようになりました。

「北朝鮮の非核化を巡る動き」をご覧下さい。5月22日の米朝首脳会談の直前にはG7首脳会談が開かれます。

トランプ大統領は主要な同盟国の首脳に「米韓同盟の廃棄という譲歩までしたのだ。それを北朝鮮が受けないと言うなら空爆も辞さない」と根回しすると思います。つまり③の下準備です。

  • 北朝鮮の非核化を巡る動き(2018年)
1月1日 金正恩「平昌五輪に参加する」
1月4日 米韓、合同軍事演習の延期決定
2月8日 北朝鮮、建軍節の軍事パレード
2月9日 北朝鮮、平昌五輪に選手団派遣
3月5日 韓国、南北首脳会談開催を発表
3月8日 トランプ、米朝首脳会談を受諾
3月25―28日 金正恩訪中、習近平と会談
4月1日頃 ポンペオ訪朝、金正恩と会談
4月17―18日 日米首脳会談
4月21日 北朝鮮、核・ミサイル実験の中断と核実験場廃棄を表明
4月27日 南北首脳会談
5月4日 日中と中韓で首脳の電話協議
5月7-8日 金正恩、大連で習近平と会談
5月8日 米中首脳、電話協議
  トランプ、イラン核合意から離脱を表明
5月9日 ポンペオ訪朝、抑留中の3人の米国人を連れ戻す
  日中韓首脳会談
  米韓首脳、電話協議
5月10日 日米首脳、電話協議
5月22日 米韓首脳会談
5月23~25日 北朝鮮、米韓などのメディアの前で核実験場を破壊
6月8-9日 G7首脳会議、カナダで
6月12日 史上初の米朝首脳会談、シンガポールで
  「米朝」の後、日米中南北の間で2カ国首脳会談か
 

日本人に求められる覚悟

—「米朝」の後、トランプ大統領は日本に立ち寄る方向です。

鈴置:トランプ大統領は安倍晋三首相に覚悟を求めることになるでしょう。米韓同盟が消滅すれば、日本が大陸に立ち向かう最前線になります。あるいは米国が軍事攻撃に踏み切れば、日本にも火の粉がふりかかります。いずれにせよ、日本人は覚悟を固める必要があるのです。

「米朝」の後には「米韓」「中朝」などの首脳会談も開かれると見られています。あるいは米中南北の4者会談が開催されるかもしれません。

今後、関係国は朝鮮半島の安全保障体制の変更について――たぶん、半島全体の非核化と中立化を話し合うことになるでしょう。

—近未来小説『朝鮮半島201Z年』では最後に、米中南北の4カ国が参加する「朝鮮半島サミット」が開かれます。

鈴置:その場で半島全体の中立化が決まります。亜細亜経済新聞の内海利兵衛記者はそれを半島全体の中国化と断じ「中国手品を見る思い 本質は半島の完全支配」という見出しの記事を書くのです。

(次回に続く)

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