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『マレーシア東海岸鉄道事業中止、広がる反一帯一路 中国主導の2つのパイプライン事業計画からも撤退の公算』(7/9JBプレス 末永恵)、『一帯一路に飲み込まれて香港が急速に「中国化」 資本と人が押し寄せるも経済発展を享受できるのはほんの一握り』(7/10JBプレス 姫田小夏)について

7/10ダイヤモンドオンライン ロイター<中国「消防隊長」王副主席、米中摩擦でも火消しの影薄く>

https://diamond.jp/articles/-/174507?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

7/11宮崎正弘氏メルマガ<イラン、深刻な外貨不足が表面化。革命防衛隊、ハマス、ヒズボラの資金が困窮  米国、ドイツの3億ユーロの資金洗浄の協力にストップをかけた>(読者の声2)「王岐山の不在」に関連記事が載っています。

http://melma.com/backnumber_45206_6707188/

王岐山も泥は被りたくないと思っているのでしょう。でも、彼の持っている人脈が今どれだけ功を奏しますか。相手はトランプですよ。王に連なる人脈は金融と思われるので、民主党系が多いのでは?

7/10ダイヤモンドオンライン ロイター<中国株、対米貿易摩擦による下落局面に終息の兆し見えず>

https://diamond.jp/articles/-/174500?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

7/10ダイヤモンドオンライン ロイター<米中制裁関税発動でも冷静な米国株、警戒感続く>

https://diamond.jp/articles/-/174503?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

チキンレースですが、世界に公言した以上、お互い面子に賭けても止められません。米中で仲間となる国の奪い合いが始まるのでは。ロシアを引き込みたい。

7/12NHKニュース 4:24<NATO首脳が国防費増額で合意 米との溝埋まらず>「すべての加盟国が2024年までに国防費をGDP=国内総生産の2%に引き上げる目標を再確認しました。しかし、アメリカのトランプ大統領は、アメリカの負担が著しく重く、現在の目標では不十分だとして、目標の達成時期の前倒しや国防費をGDPの4%に引き上げることを求めた」。日本も防衛予算がGDPの2%でも少なすぎです。でも早く10兆円にしませんと。本来の役割ではありませんが、国民救出の為でさえ、今度の大雨災害にあって自衛隊車両は予算が無く、高速を走れず一般道を走ったとのニュースがありました。国民も如何にマスメデイアが嘘を言ってきたか気が付きませんと。メデイアが国民の命を守るのではなく、自衛隊や法執行機関です。彼らが伸び伸び仕事ができる環境を与えるのも国民です。「戦争反対」で喜ぶのは近隣の敵国です。よくよく考えませんと。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180712/k10011529281000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001

http://news.livedoor.com/article/detail/14976357/

7/12NHKニュース 7:06<トランプ大統領がドイツ批判 「ロシアに大金支払っている」>まあ、トランプとドイツ・メルケルはいつも角逐し、相性の悪さが浮き彫りになっています。ドイツは第一次大戦頃から世界の見方を誤って来た歴史があります。トランプの言うロシアは当てこすりで、ドイツが中国に近づいていることの方が問題と思っていると思います。だって、トランプ自身がプーチンと会談する訳ですから。米中貿易戦争が佳境に入れば、自由主義諸国は「中国製造2025」に関連する製品については米国に右倣えさせられるかも。新たなCOCOMです。でも、規制をかいくぐってでも盗むのが得意なのが中国ですが。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180712/k10011529361000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_001

7/10ぼやきくっくり<7/9放送 DHCシアター「真相深入り!虎ノ門ニュース」>拉致問題解決について青山繁晴氏は「これは、本当は解決法は一個しかないんですよ。 逆に言うと一個はあるわけです。 憲法9条を改正して、話し合ってもダメだったら、自衛隊を送って、自衛権の発動として、国民を守るのが自衛権だから。その早紀江さんが象徴的におっしゃってるのは、憲法変えてくださいってことをおっしゃってるんですよ。憲法9条をさっさと変えて、戦争をするんではなくて、自国民の救出に行きますということ以外にありません。」と述べています。根本問題は憲法改正に行きつく訳ですが、国民が洗脳され改憲アレルギーを持ったままでは難しいです。メデイアが悪いことは勿論ですが、国民への官民挙げての広報活動が必要です。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2199.html

末永氏記事では欧州が中国の一帯一路に反対しているとの内容ですが、本当であることを願っています。自由の敵は中共ですから。彼らを利することに協力する必要はありません。

姫田氏記事で、香港はドンドン大陸化が進んでいっているのが分かります。自由が奪われ、監視社会の到来です。金持ちは97年香港から逃げ出し、英連邦の国の国籍を取ったでしょうし、香港に戻って来たとしても、国籍はそのままでしょうから。可哀想なのは今の中産階級でしょうか?逃げる場所がなくなってきています。台湾は普通語ですし、香港は広東語だから言葉の壁があって、当方が考える以上のバリアーがあります。

末永記事

東京都内で開催された国際会議「アジアの未来」で演説するマレーシアのマハティール・モハマド首相(2018年6月11日撮影)。(c)AFP PHOTO / Kazuhiro NOGI 〔AFPBB News

「事業中止の命令に驚きを隠せない。しかし、マレーシアの法律を尊重するとともに、遵守する」

中国が支援するマレーシア最大級のプロジェクト「東海岸鉄道」(ECRL)の計画を管理するマレーシア政府系のマレーシア・レール・リンク(MRL)がこのほど、「国益にそぐわない」ことを理由に、中国の習近平政権が進める一帯一路主要事業、ECRLの工事の即時中止を中国交通建設集団(CCCC)に命じたと明らかにした。

マレーシア政府によると、同事業の即時中止は、マハティール首相が決定した。「契約内容だけでなく、融資率も高く、マレーシアにとっては不利益だからだ」という。

これを受け、6日、マハティール首相は8月中旬に中国(北京)を訪問し、習国家主席と首脳会談を行うことを明らかにし、ECRLなどの中国との大型プロジェクトなどに関し、協議する方針を示した。中国訪問は5月の首相就任後、初めとなる。

マレーシアでは、一帯一路関連事業が東南アジアで断トツに多く、マハティール首相は、3日、政府系投資会社「1MDB」に関連した背任、収賄罪容疑で逮捕されたナジブ前首相と中国政府が決定した大型プロジェクトの見直しを図る。

同計画を進める中国のインフラ建設大手、CCCCはECRLの即時中止を受け、上記のような声明を発表した。

声明書の中で、即時中止命令に従い、建設現場の「現状保持・保存」「建設機器、道具類等の無断持ち出し禁止」などの命令事項を遵守するとともに、「中止に伴う追加費用発生や2250人以上の従業員の生活を懸念する」と突然の中止命令への驚きと不安も露にした。

また、事業の中止期間が明記されていないことから、「同プロジェクトは、MRLとCCCC双方の合意に基づいて決定された。双方にとってウィンウィン(相互利益の共有)の解決法が模索されると期待し、早期の再開を願っている」とマレーシア政府に嘆願した。

このECRLは、習国家主席肝いりの一帯一路の目玉プロジェクトで、総事業費が550億リンギ(約1兆5000億円=1リンギ、約28円。総事業費の85%を中国の輸出入銀行が20年間、3.25%で融資)。

タイ国境近くから、マレー半島を東西横断する形で、クアラルンプール近郊と東西の重要港を結ぶ総距離約688キロの一大鉄道事業で、昨年8月に着工し、すでに全体13%ほど建設工事が進んでいる。

さらに、ECRLは、(米海軍の環太平洋の拠点がある)シンガポールが封鎖された場合、中国からマレー半島東海岸側を抜ける戦略的優位性があり、「(マレー半島南部のシンガポール直下)マラッカ・ジレンマ」を克服する意味で、中国にとって地政学的に極めて重要拠点となるマレーシアを取り込む「一帯一路」の生命線でもある。

マハティール首相は、ECRLについて筆者との単独インタビューで「マレーシアにとって国益にならない。(見直しによっては)中止が望ましい」と発言していた。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53065 マハティールの野党勝利、61年ぶりマレーシア政権交代 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53092 “マレーシア・ファースト”で脱中国依存鮮明に)

マレーシアのリム財務相は、「ナジブ前政権下の見通しでは総工費が550億リンギだったが、新政権の査定では、前政権の査定より50%も跳ね上がり、810億リンギ(約2兆2200億円)にも上った」と中止を正式発表する直前、懸念を示していた。

建設途中のECRLの中断の背景の一つには、マレーシアの政府債務が1兆リンギを超えることが判明し、今後、財政難が避けられないことがある。

さらには腐敗、汚職で負債を抱え、中国支援を受けるアジアの他の国々と同様、マレーシアの場合も、一帯一路のプロジェクトがナジブ前首相の政府系投資会社「1MDB」の「巨額債務を救済する」ために始まったことも、マハティール首相が中国の一帯一路を見直す理由だ。

マレーシア政府筋によると、国際的マネーロンダリング事件に揺れる1MDBに利益をもたらすために、談合取引の間で、中国の政府銀行からの融資が一部賄賂として流れ、“利用”されたか、捜査が行われているという。

また、同政府はECRLだけでなく、今回、中国石油天然気集団(CNPC)の子会社「中国石油パイプライン」(CPPB)が主導する2つのパイプライン事業(マレー半島とマレーシア東部のボルネオ島)においても、事業中止の命令を下したことを明らかにした。

1MDBでは、ナジブ前首相、家族や関係者らが、約45億ドル(約4900億円)にも上る公的資金を横領したと見られてきた。

このパイプライン事業は、「この45億ドルの行方と密接な関係をもっていて、1MDBの巨額負債救済目的で、1MDB(財務省)所有の土地買収に流用されたとのではと捜査を進めている」(与党幹部)ともいわれている。

さらに、政府関係者によると、同パイプラインの事業支払いが、プロジェクト進行が未完成なのに、「事業総額の87%近くが既に中国側に納入されており、今後、政府間交渉でその資金の返還を求めていく」という。

同事業におけるマレーシアの国益はほとんどないため、同パイプライン事業の廃止も視野に入れているようだ。
マレーシアではすでに、1MDB傘下の発電所の全株式約99億リンギを、中国の原子力大手、中国広核集団に売却。しかも、中国広核集団は、1MDB負債の一部の60億リンギも肩代わりした。

ナジブ前首相は借金返済のため、「発電所は外資上限49%」というマレーシアの外資認可規制を無視し、違法に中国企業に100%で身売りしてしまった。

「マハティール首相は、これ以上、中国に国の安全保障を“身売り”できないと考えている」(与党関係者)という。

マレーシアのこうした「反一帯一路」の動きは、他のアジア諸国にも波及している。

ミャンマーに、ネパール、パキスタンなどでは中国主導のインフラ建設計画の延期や中止が相次いでいる。その建設総額は約770億ドル(1ドル=約110円)にもなる。

軍事転用への懸念がある上、中国の支援による見返りに、不信を募らせた結果と見られている。

さらに、インドは今年4月、北京で開催されたインド・中国経済戦略会議でラジブ・クマル国家経済政策機構副委員長が「一帯一路の大型事業で進行中の中国・パキスタン経済回廊は、カミール地方(インドとパキスタンの領土紛争地域)通過し、インドの主権侵害にあたる」と、一帯一路に反対の意を表明。

インドは昨年5月の「一帯一路国際協力サミットフォーラム」にも欠席していた。

また、欧州でも駐中国の欧州28カ国の大使のうち27人が連名で、中国の一帯一路構想を強く批判する異例の声明を発表。

特にドイツを中心にその動きは広がっており、今年の4月には、ドイツの大手経済紙「ハンデルスブラット」が、「中国の一帯一路政策は、自らの政治経済の構想と目標を輸出するためで、中国政府はEUが分裂することで、自らの利益を得ようとしている」と非難した。

さらに、ジグマール・ガブリエル前外相が「中国は一帯一路によって西側の価値観とは異なる制度を作ろうとしており、西側の主要経済国に対する挑戦」と痛烈に批判。

また、英国のテリーザ・メイ首相は今年1月の訪中で、中国との経済関係をアピールする一方、一帯一路を支持する覚書の署名を拒否した。

こうした欧州の動きは、昨年5月の上述の一帯一路国際フォーラムで、ドイツ、英国、フランスなどEU加盟国一部が、中国の一帯一路下での中国との貿易協力での文書署名を拒否した一貫した姿勢を示すものだ。

米国も、ポッティンガー国家安全保障会議アジア上級部長が、「中国は透明性の高い競争入札システムを構築し、中国以外の諸外国や民間企業を参入させることが急務」と一帯一路の受注業者の90%が中国企業(米戦略国際問題研究所=CSIS=の調べ)であることを非難している。

マレーシアでは、中国主導でマラッカに石油関連施設を付設する新たな港湾建設計画も進んでおり、マハティール首相の中国主導による一帯一路大型プロジェクトの見直しは加速化すると見られる。

マレーシアの反一帯一路構想への”オブジェクション”は、国際社会にも拡散しており、にわかに構想そのものが暗礁に乗り上げる可能性も出てきた。

姫田記事

「一帯一路」構想に取り込まれる香港。香港国際空港にて(筆者撮影、以下同)

香港経済は今、「大湾区」というキーワードで盛り上がっている。別の名を「ビッグベイエリア」ともいう。広東省の9都市に香港とマカオを加えた11都市で構成される一大経済圏構想が「粤港澳大湾区」だ。

中国本土と香港を結ぶ鉄道も整備が進む。広州~深セン~香港を結ぶ全長142キロの「広深港高速鉄道」計画は、深セン~香港の区間がすでに試運転段階に入った。香港~マカオ~珠海を結ぶ海上橋もかかり、開通が目前に迫っている。

習近平国家主席がぶち上げた「一帯一路」構想のもと、“香港の中国化”は、想像以上の速さで進んでいる。それは、十数年ぶりに香港を訪れた筆者の目にも明らかだった。

中国に同化する街並み

ハリウッドロードといえば、観光客を惹きつける香港指折りのストリートだ。香港ならではの個性的な店を期待して訪れたが、中国本土にもよくある成金趣味的な店ばかりが目についた。不動産価格が値上がりを続ける香港において、高額なテナント料を払っても利益を出すには、大陸の富裕層を相手に勝負するしかないということか。

大陸客が押し寄せる目抜き通りのネイザンロードも、まるで“上海の淮海路”のようだった。筆者の記憶に残る香港はもっと雑多な街だったはずだが、今回、見たものは、大陸客相手の「周大福」や「周生生」などの貴金属店、または「莎莎」や「卓悦」などのドラッグストア、あるいは大陸資本の飲食店ばかりだった。

大陸客相手の貴金属店が軒を連ねる香港の街並み

返還前の1990年に制定された「香港特別行政区基本法」には、「1997年の返還以降も、従来の資本主義制度と生活様式は50年間変えない」と記されていた。しかし、香港の市民生活はたった20余年で大きく変化した。

その最大の要因は、大陸からの人と資本の移動である。これに加えて大橋がかかれば、中国との一体化はさらに進むだろう。

住宅も大陸系に占拠されていく

かつて香港の裏路地には、庶民が集う食堂が無数にあった。この道何十年という老舗の店舗もあり、手作りの味を自慢にしていた。しかし近年の地価高騰が経営を直撃し、名物食堂も雲散霧消してしまった。賃料が10万香港ドルから30万香港ドルへと3倍に上がったところも珍しくなく、「長年の人気店でもテナント料が払えず、惜しまれながらも店を閉じるところが少なくない」(香港に長い日本人)という。

(参考)「香港で朝食を、私が吉野家に入ってしまった深いワケ」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53284

香港では住宅問題も深刻だ。

香港には日本のような公営住宅があり、人口の3分の1がそこに居住する。残る3分の1が民間の賃貸住宅に住み、さらに残りの3分の1が豪邸を含む分譲住宅に住むと言われている。

香港で最も古い油尖旺地区の公営住宅「石硤尾邨」を訪れてみた。住民に話を聞くと、「募集要項を満たしていれば誰でも居住を申請できる」という。そのため、“新香港人”と呼ばわれる大陸からの移民による申請が増加し、公営住宅はパンク状態なのだそうだ。インターネットの掲示板には、「ただでさえ少ない住宅なのに」など不満の声が数多く書き込まれている。

公営住宅も中国大陸出身者でいっぱい

中産階級は豊かさを実感できない

2017年、香港には5847万人の観光客が訪れたが、そのうちの76%の4444万人(いずれも日帰りを含む、数字は香港政府観光局)は大陸からの観光客だ。

大陸客は香港経済を潤し、貴金属店や化粧品店を儲けさせた。高速鉄道が開通し、大橋がかかればもっと多くの大陸客がこの地に訪れるだろう。「大湾区」構想が本格的に動き出せば、香港はさらに豊かになるかもしれない。

現在、香港証券取引所に上場する6割の企業は、中国企業である。高騰する不動産価格も、もとをたどれば中国から資金が流れ込んだからだ。香港経済は確かに大陸への依存度を高めている。完全にその支配下に組み込まれつつあると言っても過言ではない。

だが、中国化による豊かさを実感できる香港人は、ほんの一握りに過ぎない。香港の中産階級は、住宅や医療、福祉などのサービスを大陸からの移民と奪い合っている。また、大陸の富裕層による不動産投機により、生活の質を大きく下げた。香港全体の世帯数の過半数を占める中産階級は、「中国化」を決して喜んではない。

旺角(モンコック)の美容院で働く美容師の男性は、冒頭で紹介した「大湾区」にまったく関心を示さなかった。その美容師は筆者の髪にドライヤーを当てながら、新しくかかる大橋についてこうつぶやいた。

「橋なんてどうでもいいですよ。僕らが中国に行くわけじゃありませんから」

橋の利用者のほとんどは大陸の中国人だというのだ。中国主導のインフラ建設は「香港人にとっては無用の長物」なのかもしれない。そんな金があるなら福祉に回せ、というのが本音だろう。

筆者が訪れた香港歴史博物館では、香港人の家族連れや高齢者が静かに展示物に見入っていた。太古から戦前・戦後までの香港の生活や文化が時系列に整理された展示場では、特に1970年代のコーナーに立ち止まる人たちが目立った。それは、第25代香港総督・マクレホースのもとで香港市民の生活水準が引き上げられ、市民が苦しさの中にも光を見出した時代だった。30年後、はたしてこの博物館はどんな歴史を伝えるのだろうか。

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『日本の「凡庸な漢籍」ゲットで習近平が大喜びの理由 文化財流出ではなく粋な対中外交だった細川コレクション寄贈』(7/9JBプレス 安田峰敏)について

7/9ZAKZAK<米の“台湾派兵”は嵐の予兆 高まる米中の緊張関係…東アジア情勢の不透明感増す>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180709/soc1807090002-n1.html

7/8宮崎正弘氏メルマガより

「(読者の声1)米国海軍が駆逐艦を二隻、台湾海峡を通過させます。台湾海峡には、戦雲が漂っているのでしょうか?

(JJセブン)

(宮崎正弘のコメント)駆逐艦を二隻、今晩にも台湾海峡を通過する予定とか。注目すべきは、この日、トランプ政権による対中貿易戦争の火蓋が切られたというタイミングでしょう。

それにしてもトランプは就任早々に「ひとつの中国には拘らない」と応援歌を送り、さきには「台湾旅行法」、そして先週は台北の、事実上の大使館新設除幕式。くわえて、海兵隊を駐屯される(いまは私服で警備についています)。補佐官のボルトンは沖縄の海兵隊を台湾へ移動せよと訴えています。

これだけの環境の変化、良い条件が整えされている時期に、適宜に対応した政策効果を挙げられない蔡英文政権は、いったい何をしているのかと、民進党支持者のなかに、蔡英文支持から離れている人が多いようです。」

今、石平氏の『習近平の終身独裁で始まる中国の大暗黒時代』を読んでいますが、それによると習近平は毛沢東(共産党による建国)、鄧小平(経済改革)を超えるため、戦争を起こして勝利し、他国の領土を奪いたいと思っていると。「アジアと世界における覇権樹立という、毛沢東と鄧小平が夢見てついに申し分のない「偉業」を、習近平が自らの手で成し遂げることによって、初めて彼の「思想」は本物の「指導思想」になって支配的権威を確立でき、毛沢東や鄧小平を超える「教祖」として中国に君臨することができるのである」(P.57)。習は日本を準敵国扱いとし、7/7「抗日戦争勃発記念日」、9/3「抗日戦争勝利記念日」、12/13「南京大虐殺犠牲者追悼日」を国家記念日として制定。「アヘン戦争記念日」は制定しないにも拘らず。それで安倍首相とは一度も会っていないとのこと。中共を打倒しない限り、この記念日はもっと増えることがあっても減ることはありません。基本が反日国家と表明しているのですから、仲良くする必要はありません。日本国民はこの持つ意味をもっと良く考えないと。

7/11日経には「習氏、周辺国に融和サイン 太平洋「米中二分論」を微修正 対米長期戦へ仲間づくり」と言う記事と「中国、劉霞さん出国容認 劉暁波氏の妻、ドイツに 対米共闘へ欧州に秋波」、「中国、邦人に実刑判決 スパイ罪などで懲役12年」( https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32818560Q8A710C1CR8000/  )という記事が載っています。明らかに日本を敵と看做し、欧州と東南アジア、太平洋の国々を金で釣ろうとしています。しかし真面な判断ができる国であれば、金と領土を交換することはあり得ないでしょう。況してや要人が自分のポケットに金を入れることなんぞは。でもそれは中国が一番得意とするところです。今、中国に猫なで声で近づいて来られても、野心が明らかになりましたから、各国とも近づいてはいかないと思います。米中貿易戦争は拡大の一途です。各国とも、米中どちらを選ぶかの踏み絵を迫られると思います。それにつけても三菱電機、三菱UFJ銀行は大丈夫かな?このご時世に。7/11日経によれば、「三菱電機社長 米工場向け部品「中国からの調達見直し」」とありますが、中をよく見ると「短期的には関税費用を商社と我々でどう分担するかという話」と言って、米国が本気で中国を追い落とそうとしているのに、社長自身余り危機感が伺えません。三菱電機は中国政府研究機関「機械工業儀器儀表総合技術経済研究所」と提携。この研究所は米国が標的にしている「中国製造2025」と深いかかわりがあるともあります。その内、三菱電機の製品は部品に中国製品が組み込まれている以上対米輸出もできなくなり、米国工場も稼働できなくなるのでは。7/11NHKニュース 4:48<三菱UFJ 外国人観光客増へ 中国SNSサービスと連携>とありました。通信の部品ではないものの、危うさを感じます。劉霞氏をずっと軟禁していたように、そもそも人権弾圧する共産主義国に味方をして稼ぐというのが分かりません。道徳を踏み外してでも儲けようというのでしょうか?渋沢栄一や福沢諭吉がこの状況を見たら何というでしょうか?

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180711/k10011527461000.html

7/9Share News<【西日本豪雨】台湾が義援金2000万円を寄付へ「被災地が一刻も早く再建され日常の生活が戻るよう願っている」>台湾には感謝の言葉しかありません。台湾防衛は日米の責務です。

https://snjpn.net/archives/58487

安田氏の記事では、永青文庫所蔵の書籍の中国への寄贈は細川護熙が主導したと思われます。細川は朝日新聞記者だったこともあって左翼にシンパシーを感じているのかも。祖父の近衛文麿が昭和研究会(アカの巣窟、尾崎秀実もその一員)を主宰していたように。貧乏を無くす目標は大いに買いますが、共産主義は現実には三権分立が無いため、為政者が好き放題自国民を弾圧する仕組みとなっています。机上で判断するのでなく、現場をよく見ることです。特に下々が如何に虐げられているかを。

今回の寄贈は、外務省や日本人中国研究者が深謀遠慮を働かして習近平が喜ぶことをしたと書いてありますが、上述の石平氏の習に対する見方とは全然違います。寄贈を決定した人間は中国人の発想が分かっていないと思います。そんなことぐらいで習が喜ぶとはとても思えません。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国に対し、誠意で応えていくのは愚かと言うもの。書籍自体は価値がなくとも、中国に渡せば保存がうまく行かない可能性もあります。易姓革命が起きれば燃やされる可能性もあります。アホな判断としか思えません。

記事

細川家にまつわる文化財を保管する永青文庫(東京都文京区)

6月26日、元大名の細川家にまつわる文化財を保管する永青文庫所蔵の漢籍が、中国国家図書館に寄贈されたことが発表された。同日に北京市内で挙行された記念式典には、日中平和友好条約締結40周年を記念する意味もあって、永青文庫理事長で元総理の細川護煕氏、中国文化旅行部長(大臣に相当)の雒樹剛氏、程永華中国駐日大使、横井裕日本駐中国大使ら、そうそうたる顔ぶれが出席した。

だが、肥後細川藩54万石の名家に伝わる漢籍の寄贈について、ネット上では「保守派」の人たちを中心に反発の声も上がっている。いわく、これは文化財流出ではないのか、先祖から伝わった宝物を勝手に手放すな、媚中外交は許すまじ云々・・・、というわけだ。一部の保守系言論人からも、ツイッター上などで疑義を呈する声が上がっている。

寄贈に懸念を示すネットの声。Yahoo!ニュースのコメント欄より

いっぽう、漢籍や書誌学に詳しいプロの人たちの間からは、やはりツイッター上を中心に別な声も聞かれる。寄贈された漢籍は「二束三文」の「大して価値のないもの」ばかりで、ろくでもないものを送りつけて恥ずかしい、大々的なイベントを開くに値しないのではないか、という意見だ。

筆者は学生時代に東洋史(中国史)を専攻していたが、近現代史かつ文化人類学寄りの専門だったこともあって、それほど漢籍に明るいわけではない。しかし、現代中国事情を追いかけているライターとして、永青文庫の漢籍寄贈については、上記の両者の意見とは異なる独自の見解がある。

先に結論を書いておけば、永青文庫の今回の寄贈漢籍の大部分は、純粋に文化財としての視点から見れば、それほど価値が高くないものが多い(「二束三文」とまでは言いすぎだと思うが)。なので、国外に寄贈したところで文化財の流出でもなんでもない。

ただし、寄贈書物の一部には特殊な理由から、中国の習近平政権にとって非常に重要な書物が含まれている。今回の寄贈はむしろ積極的に評価するべき出来事だと考えている。

大量に寄贈された漢籍

まず、ここで寄贈された漢籍はいかなるものか。以下に日本語で読める報道を紹介しておこう。

“永青文庫から寄贈された36部4175冊の漢籍は、中国語版25部、日本語版11部で、文献の保存状態は非常に良く、欠けた部分がほとんどなく、種類もすべてそろっており、中国古代の重要な書物だ。特に唐代の功臣として知られる魏徵(Wei Zheng)らが編さんした『群書治要五十巻』は中国古代政治文献撰集で、唐代末期から千年もの間、中国大陸から消失していたが、遣唐使が日本へ持ち帰ったものが現代まで伝えられた”
(AFP)

“澎湃新聞はまた、香港・文匯網の報道を引用し、今回の寄贈について「日本から中国への漢籍の寄贈として1945年以降で最大規模のものだ」とし、「その中には、唐代末期から1000年も失われていた政治参考書『群書治要』全50巻など、中国の歴史から失われて久しい重要な書籍も含まれる」とも伝えた ”
(レコードチャイナ)

また、中国の大手ニュースポータルサイト・新浪の文化コンテンツである『新浪文化』には、寄贈された漢籍の具体的な目録および提要が記されている。以下の表に挙げておこう。よくわからない方はざっと読み飛ばしていただいても構わない。

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53492

なるほど。事情を知らない人が見ると、『論語』とか『春秋』とか『資治通鑑』とか、世界史や漢文の時間に習った古典の名前がたくさん出てくるし、三国志の名軍師とされる蜀の諸葛亮の全集もあったりするので、なんだかスゴいと思うかもしれない。

だが、ちょっと事情がわかる人がこのラインナップを見ると、びっくりするほど拍子抜けをするようだ。トレーディングカードのレアリティで例えれば、☆1のコモンカードが大半、いちばん良いものでも☆3……みたいな感じだからである(もっとも、レアリティが低くてもトレカバトルでは大活躍できるカードが多々あるように、これらの漢籍も歴史学や中国哲学の研究上での価値が低いわけではない)。

少なくとも、わざわざ日中両国が政府レベルで大規模な記念イベントを開いたり、逆に日本の愛国者の人たちが「わが国の文化財の流出だ」と吹き上がるほどの寄贈品ではないのである。

水増しされた「戦後最大規模」の寄贈冊数

古典は数千〜数百年前に書かれた文章なので、成立した当時のままの書物(紙に書かれていない場合だってある)が現存するケースはそう多くない。後世に筆写されたり、版木に彫って刊行されたりした書物が現在に伝わっているわけだ。ある書物の過去複数のヴァージョンを比べて、より原典に近く価値が高いヴァージョン(刊行物の場合は版本という)を確定する学問は目録学と呼ばれ、東洋の伝統的学問となっている。

一般的に言って、書物の成立年代と少しでも時代が近いヴァージョンのほうが、研究の上でより重視されやすい。そもそも、古い時代のヴァージョンのほうが現代に残りづらいため、古ければ古いほど、それだけで貴重なものになりがちだ。逆に言えば、より近い時代に印刷された版本は現存数も多く、希少性が低いものとみなされやすい。

上記のリストを見ればわかるように、今回寄贈された漢籍は、なんと中国で刊行された版本についてはほぼすべて19世紀以降のものである。日本で刊行された版本(和刻本)も江戸時代中期以降のものだ。日本国内の複数の大学図書館に同じ本が保存されているような、相対的に見て希少性が低いものが多くを占めている。

『四部叢刊』の洋装本はなんとAmazonでも売っている。お値段は100冊で9136.08ドル(約100万円)であり、その気になれば個人でも揃えられる値段だ
さらに面白いのは、中華民国8年(1919年)に中国国内で刊行された『四部叢刊』が入っていることだ。これは主要な古典について、編集当時の時点で信頼が置けるとみなされた刊本を写真印刷(「影印」という)した書物である。絵画で例えるなら、よくできた名画のコピーのようなものなのである。

『共同通信』ほか日中の各メディアは、今回、寄贈された漢籍が4175冊にのぼると、やたらに冊数をアピールしている。中国国内の『澎湃新聞』は戦後最大規模の寄贈だったと述べている。

だが、この冊数のうちで『四部叢刊』は2040冊を占める。ほか、上海涵芬楼の『二十四史』などの影印本を合わせると、寄贈冊数の過半数をゆうに超える。寄贈された漢籍の過半数は、その気になれば神保町の古本屋で入手できてしまうような本なのだ。

習近平が本当に欲しいものとは

では、こんな「コモンカード」ばっかりプレゼントされた中国側は大激怒ではないのか? 疑問も湧くが、国営通信社新華社によると、外交部のスポークスマンは「このたび細川護煕氏が大量の貴重な漢籍を寄贈してくれた義挙を高度に賛賞」しているのだそうである。中国側がここまで大喜びしている理由は、『新浪文化』の記事を見るとわかる。

“(今回寄贈の漢籍は)学術的価値が高く、特に高いのは『群書治要』全五十巻であり、この書物は中国古代の政治文献の撰集で、唐代末期にすでに散逸して中国国内では数千年間にわたり失われていたものだが、幸いにして遣唐使が日本に持ち帰っていたことで現在まで伝わっており、前世代のプロレタリアート革命家習仲勲同志が『群書治要』の整理・出版事業を非常に重視し、かつて『群書治要考訳』に「古鏡今鑑」と題字を揮毫したものであり……”

他の中国側関連報道を見ても『群書治要』がまっさきに挙げられている。中国側として、なにより嬉しいのはこの書物だったようだ。

『群書治要』は、67種類の中国古典から国家統治に役立つ部分を抜き出して編集された、名言アンソロジーみたいな書物(類書)である。中国本土では散失したいっぽうで、遣唐使が持ち帰った同書は日本国内の金沢文庫に鎌倉期の書写が伝わっており、江戸時代に入って元和年間・天明年間・弘化年間にそれぞれ刊行された。書物それ自体としては、少なくとも日本国内では極端に貴重なものだとは言えない。

京大人文研が提供する、日本国内の漢籍の所蔵先を調べられるサイト『全国漢籍データベース』で『群書治要』を探した結果。元和・天明・弘化の各版本とも、各地の大学図書館にいっぱい所蔵されている
今回、永青文庫から寄贈されたのは、天明七年(1787年)に尾張藩で刊行されたヴァージョンだ(この版本は京大や一橋大など多数の機関が所蔵しており、そのひとつを中国に寄贈しても一切問題はない)。ちなみに、『群書治要』は中国でひとたび失われたとはいえ、18世紀末〜19世紀はじめごろに元和版か天明版の版本が里帰りして、清朝の嘉慶帝に献上されたこともある。

現代の中国にとって『群書治要』が重要な理由は、習近平の父親の習仲勲が晩年にこの本の編纂プロジェクトにかかわっていたためだ。1990年代、すでに引退状態にあった習仲勲は、対日外交に関係していた友人古参党員から『群書治要』の話を聞き、本人が名誉会長を務める「中国黄河文化経済発展研究会」の陝西省分会に命じて研究を開始させた。習仲勲自身も妻と一緒に研究を手伝い、老後の楽しみにしていたようだ。

この研究成果は2011年に『群書治要考訳』というタイトルで刊行された。題字は2002年に死去した習仲勲が揮毫したものである。

『群書治要』という政治的な漢籍

習近平政権の成立後、中国では習近平自身や父の習仲勲に対する個人崇拝プロパガンダが大々的に展開されるようになった。これに伴い、習近平の著作や関連書籍、習仲勲の伝記などが中国共産党中央党校の学習文献に指定されて党の幹部候補生らの必読書になり、書店の店頭でも山積みにされるようになった。これは晩年の習仲勲が研究を支援した『群書治要考訳』についても例外ではない。

また、習近平は演説のなかで古典の語句の引用をことさら好み、自分が引用した古典語句のアンソロジー『習近平用典』をわざわざ人民日報出版社から刊行させている。この『習近平用典』を読み込むと、習近平の古典引用が活発になったのは習仲勲の最晩年の2000年前後からで、どうも父親の『群書治要』研究グループの学者たちを自分のスピーチアドバイザーとして引き抜いたきらいがある。

習近平の執務室の本棚に『群書治要』があることを盛んに報道する中国のTVニュース

習近平政権にとっての『群書治要』は、書物それ自体の価値や版本の貴重性よりも、政治的意味のうえでものすごく重要な書物なのである。今回の寄贈関連イベントもまた、そういう政治的な重要書籍を入手イベントだからこそ、ここまで大々的な規模で開かれて報道されたのだ。

寄贈された漢籍のなかに、希少性が高くない書物が大量に混じって冊数が嵩上げされているのも、「戦後最多の寄贈冊数」という名目で大々的に報道をおこなわせる政治目的ゆえではなかったかと思われる。

意外とよくやっていた?日本外交

今回の永青文庫の漢籍寄贈が「文化財流出」などではないことは明らかだろう。いっぽう、漢籍や書誌学に詳しいプロの人たちが懸念する「“二束三文”の書物ばかり贈って逆に恥ずかしい」という感想も、実は的外れであることがわかる。

今回の漢籍寄贈の本質は、単純な文化交流事業ではなく、習近平政権が習ファミリーの関連グッズを収集するためのイベントだ。また、習政権が幹部候補党員向けの必修書籍にしている『群書治要考訳』が、いかに価値の高いものであるかを宣伝するための、政治的な目的で仕組まれたプロパガンダなのである。

むしろ気になるのは、日本国家や細川護煕氏が、『群書治要』の「本当の価値」を理解した上であえて寄贈して中国に恩を売ってみせたのか(この場合は高度な外交戦略だと言える)、それとも価値をしっかり理解しないまま中国の言いなりで貴重な外交カードを差し出したのかという問題だろう。

筆者が永青文庫に電話して尋ねたところ、今回の寄贈は永青文庫に出入りする外務省関係者や日本人研究者との話し合いのなかで決まったということであった。どうやら、少なくとも日本側関係者の誰かは、『群書治要』が持つ政治的意味をしっかり理解したうえで今回の寄贈イベントを仕掛けた可能性が高い。

今年は日中平和友好条約締結40週年の節目の年だ。加えて、近年は日中関係が雪解けを迎えつつあり、日本側としては年内の安倍首相の訪中と、来年の習近平の来日を実現にこぎつけたい考えでいる。中国は北朝鮮問題のキープレーヤーでもあり、現在の日本政府としては戦略的な友好外交を求めたいところなのだろう。

『群書治要』の和刻本は、日本側ではそれほどの値打ちがないが、中国にプレゼントすれば習近平が非常に上機嫌になるマジックアイテムだ。しかも元総理の細川氏の手元にあるため、政府が介入する形で寄贈イベントを進めやすい。現在の情勢のなかで打つ手としては、今回の日本外交はなかなか粋なことをやったのではないだろうか?

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『米中貿易戦争のゴングに乗じた北朝鮮の「強気」 北朝鮮は誰の核の傘に入るのか』(7/10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『米、完全非核化の表現を「CVID」から「FFVD」に 「完全」と「不可逆的」をなくし「検証」に集中』(7/9日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

7/9宮崎正弘氏メルマガ<ポンペオ、三回目の訪朝の成果はなし。「強盗の要求ばかりだった」 「交渉は二年半かかるだろう」というポンペオ発言の深い意味>

http://melma.com/backnumber_45206_6706816/

7/9阿波羅新聞網<川普改美国总统几十年战略 完美风暴降临 北京哭晕了=トランプはこの数十年に及ぶ米国大統領の戦略を変える 大嵐を起こしたのは完璧で北京は茫然自失して泣く>大陸の《国情内参》の主席研究員の巩勝利は、「トランプが貿易戦を仕掛けなければ、米国は今後10年、20年と世界市場でのNo1の地位の確保は難しくなる。ほかの国は猶更生きることすら難しい。“今後は中共の生存圏と米国の生存圏の問題になる。米国は欧州、日本、豪州、カナダ等40の先進国の利益代表で、中共はマルクス主義の利益代表、簡単に言えば暴力で世界中の富と利益を得ようとしている”」と。

http://www.aboluowang.com/2018/0709/1141227.html

7/10看中国<川普点名朝鲜变脸背后黑手 有信心金正恩遵守协议(图)=トランプは北朝鮮の豹変には背後に黒幕がいると名指し 金正恩が協議を守ることを信じている>トランプのツイッター:金正恩が我々と結んだ約束、それ以上に我々が握手したことに敬意を払うことに自信がある。我々は北朝鮮の非核化に合意した。一方、中国は貿易戦争を理由に我々の為した取引に悪影響を与えようとしているのかもしれない。そうでないことを祈る。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/07/10/864119.html

宮崎氏、鈴置氏、高濱氏の米朝関係の見方は様々です。でも北は非核化しないというのは一致しているのでは。米国がどう出るかがポイントです。でも日本も安全について他国を当てにするのではなく、核武装すべきです。①ニュークリアシエアリング②米軍の核を有償譲渡(米軍基地内に保管・密約で、自衛隊員が駐在警備)③自力開発のプロセスを経て自国の安全を確かなものにしませんと。北の核保有が認められるのであれば、日本も持てない道理はありません。

鈴置記事

7月8日に会談したポンペオ米国務長官と河野太郎外相、康京和韓国外相。北の攻勢に押される米国に、日本、韓国は果たして……。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

前回から読む)

北朝鮮は「誰の核」に守られるのか。非核化交渉の本質はここにある。

あいまいな「安全の保証」

鈴置:北朝鮮の非核化を話し合いで解決するというトランプ(Donald Trump)大統領。交渉役のポンペオ(Mike Pompeo)国務長官とともに「核を手放せば経済発展を全面的にバックアップする」とニンジンを見せています。

しかし、北朝鮮にとってそのニンジンだけではとても足りません。肝心の安全が確保できるのか、確信が持てないからです。

—シンガポールで結んだ米朝合意で米国は「北朝鮮の安全を保証する」と約束しました。

鈴置:確かに米朝共同声明で、非核化の見返りに「トランプ大統領は北朝鮮の安全を保証する」と謳いました。以下です。

President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK, and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula.

でも、これではあまりに抽象的です。「どうやって安全を保証するのか」がはっきりしないのです。共同声明では4項目の合意を明文化しています。

米朝は1番目の項目で両国の関係改善を、2番目の項目で「永続的で安定的な朝鮮半島の平和体制」を約束しています。いずれも「安全の保証」に関わる約束ですが、これらも具体性を欠いた表現に留まっています。

  1. The United States and the DPRK commit to establish new U.S.─DPRK relations in accordance with the desire of the peoples of the two countries for peace and prosperity.
  2. The United States and the DPRK will join their efforts to build a lasting and stable peace regime on the Korean Peninsula.
  3. Reaffirming the April 27, 2018 Panmunjom Declaration, the DPRK commits to work toward complete denuclearization of the Korean Peninsula.
  4. The United States and the DPRK commit to recovering POW/MIA remains, including the immediate repatriation of those already identified.

非核化の手順と同様、「安全の保証」に関しても米朝は全く詰めていない。シンガポールでの首脳会談は周辺の期待とは裏腹に、何の前進もなかったのです(「から騒ぎに終わった米朝首脳会談」)。

中国の傘に戻れるか

シナリオ 北朝鮮は誰の核の傘に入るのか? 韓国はどうする?
中国の核の傘を確保 米韓同盟を維持
米国と同盟・準同盟関係に入る 米韓同盟を維持
半島全体が中立化し、国連や周辺大国がそれを保証
自前の核を持つが、米国まで届くICBMは放棄 米韓同盟を維持するか、北朝鮮の核の傘に入る
北朝鮮の非核化の行方

—「安全の保証」を具体的に言うと……。

鈴置:「北朝鮮に対し、誰が核の傘を提供するのか」との視点で考えると分かりやすい。「表・北朝鮮の非核化の行方」をご覧下さい。

現状を動かさないなら中国――シナリオⅠです。中朝の間には形式的ですが軍事同盟が残っています。北が核を完全に放棄する、あるいはしたことにしてその見返りに、中国が改めて「自分の核で北朝鮮を守る」と宣言するなどして保証する手法です。

ただ、これは北朝鮮が受け入れないでしょう。そもそも北朝鮮は、中国の核の傘を信じられないから核武装に走った面もあります。

中国が核の傘を提供しないのは、北朝鮮が韓国への侵攻計画を捨てず、しばしば軍事挑発するからです。南北の間で軍事衝突が起きれば米国が介入します。その際、米国は戦術核を使う可能性まである(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。

中国は一応、北朝鮮との同盟関係にありますから、下手すると米国との戦争――核戦争に巻き込まれかねない。そこで中国は、北朝鮮が核開発を露骨に進めた1990年代から、非公式にですが「中朝軍事同盟は有名無実化した」と言って回るようになったのです。

ですからシナリオⅠは北朝鮮だけではなく、中国も賛成しない可能性が大きい。もし中国が賛成するとしたら、北朝鮮を完全にコントロールできるとの自信を持てた時でしょう。

米国の傘に入れるか

—トランプ大統領は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長を信頼できる人と評価しました。

鈴置:米朝首脳会談後の会見で「talented man(才能ある人)」「very smart. very good negotiator(賢く、優秀な交渉者)」と述べました。

彼一流のおだてです。この会見で、トランプ大統領は文在寅大統領のことだって「very, very fine gentleman(とても立派な紳士)」と評しているのです。

中国は厳しく北朝鮮を見ています。面従腹背の朝鮮民族を一番知るのが中国人です。千年にも渡って朝鮮民族に朝貢させていただけのことはあります。

話を「シナリオ」に戻すと、金正恩委員長に対しトランプ大統領が「米国の核の傘に入れてやる」と語っている可能性もあります。シナリオⅡです。ただ、これには中国が大反対します。米軍が中朝国境沿いにまで来ることになりますから。

この案には北朝鮮も本気では乗らないでしょう。人権蹂躙国家である北朝鮮との同盟を米国世論が許すはずがない。トランプ大統領自身が韓国国会で「いかに金正恩体制が滅茶苦茶か」と豊富な事例を挙げて説明しています。

そんなトランプ大統領から「核を捨てたら同盟を結んでやる」と言われて信じるお人好しではないでしょう、金正恩委員長は。親族を粛清して権力を維持している人です。

■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)

北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え

10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ

反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている

金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた

外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた

神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている

外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた

北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示

米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)

米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)

米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)

韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)

韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)

米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)

「金正恩カルト体制」への批判

北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある

半島全体の非核化

—シナリオⅢは?

鈴置:米国はシナリオⅢを北朝鮮に提示しているのではないかと思われます。観察されるファクトの多くがそれを指しています。

シナリオⅢは、朝鮮半島全体を中立化することで非核化を実現するとのアイデアです。北朝鮮が核武装したのは米国の核に対抗するためだ。それなら、米国の核の傘を提供される同盟国が半島からなくなれば、北も持つ必要がなくなる――との理屈です。

具体的には、米韓同盟と中朝同盟を同時に廃棄して半島を中立化するわけです。中朝ともに反対しないでしょう。

北朝鮮にすれば、形骸化している中国との同盟を捨てるぐらいで、米国の核の圧迫から逃れられるのです。悪い話ではありません。

中国も笑いが止まらないでしょう。歴史的に自らの勢力圏だった半島から米軍を追い出し、米国から取り戻せるのです。それも自分は汗を一切かかずに。

はっきりと反対するのは日本くらい。ただ、日本は「本当に完全な非核化が実現されるなら」との条件で飲むと思います。米国から「北朝鮮の非核化を実現するためだ。我慢しろ」と言われたら、それ以上はどうしようもないからです。

在韓米軍は撤収へ

—韓国は?

鈴置:本音はともかく、文在寅(ムン・ジェイン)政権を含む左派は大いに賛成するでしょう。「米韓同盟こそが諸悪の根源」と主張している人たちですから。

普通の人や保守派は米国との同盟を失うことに恐怖を感じると思います。ただ、韓国では論理ではなくムードが物事を決定します。

保守の野党第1党、自由韓国党は韓国や米国と積極的な対話に出た北朝鮮を「偽装平和攻勢」と非難していました。が、選挙に負けると「反省宣言」を発表し、北朝鮮との融和政策に路線転換しました。その結果、国会の中で北を批判する組織的な勢力は消滅しつつあります(「米朝会談で崩壊した韓国の親米保守」参照)。

—しかし、米韓同盟が消滅するとは……

鈴置:多くの日本人にとって「ヒョウタンからコマ」でしょうね。北朝鮮の非核化に向け米国と一緒に努力していたら突然、韓国が海洋勢力から切り離されるのですから。

ただ何と言おうと、現実はその方向に着々と進んでいます。トランプ大統領は米朝首脳会談後の会見で「今すぐではない」としながらも在韓米軍撤収を表明しました。

「駐留なき安保」は可能か

—在韓米軍の撤収が直ちに同盟廃棄につながるわけではないでしょう。

鈴置:「駐留なき安保」は「駐留する安保」よりも危険です。駐留していないと米国の抑止力は落ちる、というのに戦争になったら駆けつけなければならない。

そもそも米国にとって、戦略的な要衝ではない韓国との同盟は価値がありません。それどころかカネがかかるし、余計な紛争に巻き込まれるリスクもある。

朝鮮戦争で韓国を助けたために米国はこの半島にはまり込んでしまった。もともと朝鮮半島は米国の防衛線の外にあるのです。

2010年頃から米軍関係者は「米韓同盟は長続きしない」と日本の安保関係者に非公式に通告してきています。

トランプ大統領は5月10日には「半島全てを非核化する」(denuclearize that entire peninsula)」と発言、米韓同盟廃棄を示唆しています(「『米韓同盟廃棄』カードを切ったトランプ」参照)。

北だけではなく南も非核化するとは「韓国に核の傘を与えない」ということですからね。

他人の好意に安全は託せない

—では、シナリオⅢで決まりですか?

鈴置:北朝鮮は飲まない可能性が高い。表面的には応じて見せるかもしれませんが。「中立化」はともかく「非核化」を受け入れるつもりはないからです。

シナリオⅢでは半島の安全は国連や周辺大国が担保することになります。侵略された場合、国連や大国が助けてくれるから北朝鮮や韓国は心配する必要がない、というわけです。

でも力のない国連や、お互いに利害の対立する周辺大国に期待できるでしょうか。それは国の存亡を他人の好意に任せることを意味します。戦争して負けたのならともかく「話し合い」だけで、自分をそんな境遇に落とす国はあまりありません。

ことに北朝鮮は核を持ったのです。その既得権を手放せというのです。国内からも大きな抵抗があって当然です。

常識からいって、北朝鮮は可能な限り核を持ち続けようとするでしょう。これがシナリオⅣです。

ただ、米国まで届くICBM(大陸間弾道弾)は放棄するフリはし始めました。トランプ大統領は、金正恩委員長から「ICBM用エンジンの実験場は廃棄する」と明かされたと会見で語っています。

ICBMさえ放棄すれば、米国が核武装を認める可能性があると北朝鮮は踏んでいるのです。トランプ大統領は国民に対し「我が国まで届く核ミサイルはなくなった」と言えるし、現にそう言い始めた。

そのうえ日本や韓国に対しても、米国は「北朝鮮が少々、核を持とうと自分の核によって抑止できる。安心しろ」と説得できるからです。

ロシア、中国も米国の同盟国に核ミサイルを向けています。でも、もし攻撃したら核で反撃するぞと米国が脅してくれている――「拡大抑止」により、同盟国は安心できることになっている。

もちろん、米国がワシントンやNYを攻撃されるリスクを冒してまで同盟国を守るかは疑問が残ります。ただ、北朝鮮がICBMを放棄する――米本土への攻撃能力を放棄するのなら、ロシアや中国の核に対する以上に、米国の拡大抑止は働くことになります。

死に物狂いの日本

でも「北朝鮮はロシアや中国とは異なって、核による抑止は働かない」と米国は言っていました。

鈴置:「金正恩体制はカルト集団で正常な判断は期待できない。だから北朝鮮の核はロシアや中国の核と異なり放置できない」と米国は主張してきました(「米中は金正恩を『アジアのムガベ』にできるか」参照)。

しかし北朝鮮と話し合いに入った以上、トランプ大統領はこの認識を修正してみせる必要があります。正常な判断ができないカルト集団と話し合っても意味はないからです。そこで米朝首脳会談後の会見で、金正恩委員長をまともな人と評価して見せたのです。

一方、これを見た北朝鮮は、米国をシナリオⅣに引きずりこめる――ロシアや中国の核武装と同じように、我が国の核武装も認めろと要求すれば、米国は応じると期待したと思います。

—だから日本は米国に対し、ICBMだけでなく短・中距離の弾道弾も放棄させるべきだと死に物狂いで訴えている……。

鈴置:その通りです。「米国に届く核」がなくなっても「日本に届く核」が残る限り、北朝鮮や南北朝鮮から脅され続けるからです。

しかし、日本の願いとは反対に北朝鮮は攻勢に出ています。トランプ大統領が「対話で非核化に成功した」と功績を誇り始めた以上、約束を破ってもそう簡単には軍事攻撃されないと見切ったと思われます。

米国は軍事的な圧迫や暗殺の脅しにより、金正恩委員長を対話に引き出すことに成功しました(「『暗殺』『猫なで声』で金正恩いぶし出すトランプ」参照)。しかし、対話に引き出すことと、非核化を飲ませることは別物です。力で脅し続けない限りは。

完全な非核化を拒否

—脅しの効果は長続きしませんか?

鈴置:もう、切れた感じです。7月6、7日、非核化を具体的に進めるためポンペオ国務長官が訪朝しました。しかし北朝鮮はまともに応じなかった模様です。

それどころか、ポンペオ長官が日本に向け出国した7日の深夜、完全な非核化を求めた長官を非難する談話を発表しました。

朝鮮中央通信の「朝鮮外務省代弁人が朝米高位級会談に言及」(日本語版)からポイントを引用します。なお、翻訳の質が低いので、丸かっこで補いました。

米国側はシンガポール(での)首脳の対面と会談の精神に背ち(馳)してCVIDだの、申告だの、検証だのと言って、一方的で強盗さながらの非核化要求だけを持ち出した。

米国や日本が求めてきたCVID(Complete, Verifiable, Irreversible Denuclearization=完全で検証可能、不可逆的な非核化)をはっきりと拒否したのです。続けて米韓同盟の廃棄まで暗に要求しました。

(ポンペオ長官は)情勢の悪化と戦争を防止するための基本問題である朝鮮半島の平和体制構築問題については一切言及せず、すでに合意された終戦宣言問題までいろいろな条件と口実を設けて遠く後回しにしようとする立場を取った。

完全な非核化は拒否する一方、在韓米軍の撤収や米韓同盟の廃棄につながる平和体制構築を強硬に要求し始めたのです。まさにシナリオⅣです。

米中全面戦争は好機だ

—突然の強気ですね。

鈴置:7月6日、米中が全面的な貿易戦争に入ったことが背景にあるとみられます。高率の関税をかけ合うこの戦争は人民元の下落を呼んでいます。

下手すると、中国は金融危機に陥る。控えめな日経も「中国メディア、米批判控えめ 指導部が抑制か」(7月8日)で以下のように報じました。

中国の習近平指導部は米国との貿易戦争に関する報道を厳しく抑えている。米国への批判は控えめで関税上げの影響を分析する記事も見当たらない。報道が国民の反米感情を刺激して対米摩擦が過熱し、金融市場の動揺に歯止めがきかなくなる事態を恐れているとみられる。

トランプ米大統領への個人攻撃もご法度のようだ。指導部が懸念するのは金融市場への影響とみられる。

もともと米利上げと当局の金融機関締めつけで(株や通貨の)相場は弱含みだったが、貿易摩擦による景気減速懸念が加わって6月中旬から下落に拍車がかかった。北京の投資ファンド運営者は「金融危機がいつ起きてもおかしくない」と話す。

本物の戦争に例えれば、通常兵器を使う局地戦から核ミサイルを撃ち合う全面戦争に入ったのです。この記事は市場の弱点を突かれた中国が押される様を描いていますが、米国だって中国を相手にすぐに勝てるわけではありません。持久戦です。

米国が非核化問題にかかわる余裕などなくした、と北朝鮮は判断したに違いありません。米中の全面的な経済戦争を機に、一気に攻勢に出てシナリオⅣ――北の核武装の容認――を実現するつもりでしょう。

高濱記事

訪朝したポンペオ国務長官(右)。左は、カウンターパートである金英哲副委員長

—マイク・ポンペオ米国務長官が再び訪朝し、金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長と協議、非核化の検証を含む複数の作業部会を設置することを決めした。非核化の進め方で進展があったのでしょうか。

高濱:設置する作業部会について具体的な項目はまだ明らかになっていません。それに北朝鮮外務省の報道官は、協議の直後に「米側の態度と立場は遺憾なこと極まりない。まるでギャングのような態度だ」と批判しています。

また米メディアは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が今回、ポンペオ長官と会わなかったことに注目しています。

ポンペオ長官と金英哲副委員長との会談は、6月12日にシンガポールで開かれた米朝首脳会談以来、両国の高官による初めての協議です。首脳会談は「歴史的握手」ばかりが取り上げられ、北朝鮮の非核化が今にも進むかのような印象を与えました。しかし、ポンペオ長官の今回の訪朝の成果を見ると、何となく前途多難な気がしてきます。

ドナルド・トランプ米大統領は「北朝鮮はこれまで8カ月にわたってミサイル発射も核実験も行っていない。私でなければ今頃北朝鮮と戦争していた」とツィートしています。けれども、非核化に対して綿密な戦略を立てて首脳会談に臨んだわけでないことがはっきりしてきました。

「CVID」を取り下げ「FFVD」に変えたトランプ政権

こうした中でワシントンの外交筋が注目しているのは、当初トランプ大統領が公言していた「CVID」(Complete,Verifiable,Irreversible Denuclearization)、つまり「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)を取り下げたことです。

代わりに米側が言い出したのが、「FFVD」(Final, Fully Verified Denuclearization)という表現でした。つまり「最終的かつ完全に検証された非核化」です。ポンペオ長官もこの表現を使っています。「完全」でなくとも「不可逆的」でなくとも「検証できればいい」と言っているわけです。

国務省報道官は、「米政府の立場が軟化したわけではない」と否定していますが、CVIDという表現をやめて、FFVDと言い始めたのは事実です。北朝鮮があらゆるチャンネルを通じて協議前にCVIDの撤回を求めたのを受けて、米側が譲歩したと大半の米メディアは受け取っています。

—「CVID」と「FFVD」とはどこがどう違うのですか。

高濱:外交上のレトリックは時として極めて重要です。この点について韓国の峨山(アサン)政策研究院安保統一センター長の申範チョル(さんずい+育+のぶん)博士はこう解説しています。

「非核化の第一歩は北朝鮮が保有する核兵器の数量・規模や核・ミサイル関連施設を完全に公開することです。CVIDを取り下げ、FFVDに変更したのは米側が核兵器や核・ミサイル関連施設が完全に破棄されたことを『verify』(検証)することを最優先議題にするためです」

つまり、これまでの表現と比較すると、「complete」と「irreversible」がなくなり、その代わりに「final」と「fully」が入りました。「verified」は残ったままですが、米側の要求がトーンダウンしています。

その心は、「北朝鮮が主張してきた『行動対行動』の原則を米側が受け入れる。その第一歩として『検証』から始めようではないか」という誘い水のように思えます。「行動対行動」とは、相互の要求事項を満たしながら非核化を進めるということですね。

それでも北朝鮮は「ギャングのような要求だ」と言っています。このへんは今後の交渉に向けた北朝鮮なりの戦略かもしれません。何しろトランプ大統領にとって北朝鮮の非核化は唯一最大の外交上の成果ですから、北朝鮮が多少「拗ねて」も断念するわけにはいきません。ロシアゲート疑惑捜査の状況も同大統領にとって芳しいものではなく、内憂外患の状態にあります。そのへんを北朝鮮は十分に承知していて揺さぶっているのでしょう。

根っこにあるのは米朝間の「歴史的な相互不信感」

—米朝首脳会談以後も「北朝鮮は核を放棄していない証拠」が衛星画像や米情報機関からの極秘情報で明らかになりましたね。

高濱:ポンペオ長官は金英哲副委員長にこの衛星画像を見せて北朝鮮の非核化に向けた本心をただしたようです。北朝鮮が「ギャングのような」と表現したのはこのことを指しているのかもしれません。米側から北朝鮮に対する「一種の恫喝」です。

もっとも北朝鮮にしてみれば、米朝首脳会談は非核化に向けての原則を合意しただけですから(非核化の具体的な段取りについてはまだ合意していない)、これまで続けてきた核・ミサイル開発を完全に停止していなくても文句はあるまい、ということでしょう。

北朝鮮の核開発の動向に詳しいアダム・マウント博士(全米科学者連盟)は、ミドルベリー国際大学院(MIIS)が撮った衛星画像や米情報機関が入手した極秘情報などを基に米朝首脳会談以後の動きをこう分析しています。

  1. 北朝鮮はこれまでに核兵器1発を破棄し、ミサイル発射実験施設1カ所を取り壊したに過ぎない。
  2. 北朝鮮は核兵器製造に必要なウラニウム、プルトニウム、トリチウムを増産する一方で、固定燃料型の弾道ミサイル製造拠点を拡張する工事をほぼ完了させている。
  3. 北朝鮮は、核兵器を廃棄する工程への検証を拒み続ける一方で、保有する核兵器の隠蔽を計画している。

理想的なロードマップは「核停止・政策転換・核廃棄」

—「verify(検証)に重きを置く」背景はなんですか。

高濱:北朝鮮が非核化を進めるといっても、米国は十分な情報を持っていません。北朝鮮がどのくらい核兵器を保有し、どこにどのくらいの核・ミサイル関連施設があるのか、現時点では正確な情報を持っていないんです。ですからここでいう「検証」は、北朝鮮が現在持っている核兵器について、これらのことを公開することです。破棄したあとの「検証」はそのあとの話になります。

非核化のロードマップについてスタンフォード大学国際安全保障・協力センター(CISAC)のセイグフライド・ヘッカー博士らはこう分析しています。「北朝鮮の非核化を急いでもそう簡単にはいかない。即断即決というのは非現実的だ」。同博士はロスアラモス研究所所長を務めたこともある北朝鮮の核問題の権威です。

「非核化に向けたロードマップは、①核実験の停止②核開発政策の転換③核開発政策の排除、という長期的視野に立ったアプローチ以外にない」

「具体的には、まず一切の核・ミサイル実験の停止。次いで北朝鮮がどのくらいの核兵器を保有し、どこにどれほどの規模の核関連施設を持っているかの検証から始まる。次の段階ではプルトニウム、ウラニウムなどの生産を停止させ、北朝鮮による核関連機材・技術の輸出・密輸を絶つ必要がある」

「非核化にはそれ相当な期間(reasonable timeline)が必要である。しかも最終的な非核化はその時の当事国の政治情勢などに左右されて遅延しやすい。完全な非核化には少なくとも15年程度はかかる」

以上は、同氏が、5月30日付けで公表された『A Comprehensive History of North Korea’s Nuclear Program』(北朝鮮の核開発問題に関する包括的な経緯)という報告書の中で明らかにしたものです。

NYで第2回米朝首脳会談開催との説が流れる

—ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が非核化について「北朝鮮が戦略的決断を下し、われわれが協力的であれば、早く進む。1年以内に大部分を物理的に破壊することが可能だ」と言っています。

高濱:「大部分破壊」とは、ここまで「検証」と呼んできた工程で公開された核・ミサイル施設の大部分を破壊できるという意味だと思います。

—ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が非核化について「北朝鮮が戦略的決断を下し、われわれが協力的であれば、早く進む。1年以内に大部分を物理的に破壊することが可能だ」と言っています。

高濱:「大部分破壊」とは、ここまで「検証」と呼んできた工程で公開された核・ミサイル施設の大部分を破壊できるという意味だと思います。

もう一つ、ヘッカー博士が指摘している重要な点があります。同博士が「短期的に必要不可欠な要素は米国と北朝鮮が信頼関係を築き上げ、相互依存関係を確立することだ」と強調していることです。

「米国はロードマップを実施に移す過程で北朝鮮が望んでいる原子力平和利用、つまりエネルギー、医療、宇宙平和開発部門での活用に理解を示すこと。そうすることで、北朝鮮は、国際原子力機関(IAEA)が派遣する検査官受け入れ、モニタリング設備の設置などに積極的に協力できるようになる」

今回設置が決まった作業部会には、北朝鮮が求める「安全の保証」や経済・エネルギー面での協力が話し合われる部門も含まれることになるでしょう。どちらも、6カ国協議が2007年2月に取り上げた項目です。米朝直接協議の流れの中で6カ国協議の再開へ移行することも考えられます。すでに中国はそれを強く主張していますし。

—ポンペオ長官訪朝の結果を受けて、トランプ大統領はこれから対北朝鮮でどう動きますか。

高濱:トランプ大統領周辺は、金委員長との第2回会談がニューヨークで開かれる可能性を意図的に流しています。9月の国連総会に金委員長が出席する際(出席するか否かは不明)にトランプ大統領と会談するというのです。
“Scoop” Trump may hold Round 2 with Kim Jong-un in NYC,” Mike Allen. www.axios.com, 7/2/2018)

ポンペオ長官が示した「FFVD」提案を金委員長が秋までに実行に移せば、「トランプ大統領がその褒美として金委員長に<人参>をやるようなもの」(Axiosのマイク・アレン記者)だというのです。国際外交の檜舞台に金委員長を“招待”し、お披露目してやってもいいぞ、ということ。随分と上から目線の話ですけど。

—トランプ大統領としては中間選挙を意識した思惑もあるんじゃないですか。

高濱:その通りです。シンガポールで演じた「歴史的なパフォーマンス外交」を今度は米国、自分の地元ニューヨークでやることでやんやの喝さいを浴び、支持率を上げ、その2カ月後に迫る中間選挙への好材料にしようという魂胆のようです。

6月12日の米朝首脳会談について、米国民の55%が高く評価しました。果たして「柳の下に二匹目のドジョウ」がいるかどうか。米一般国民はもう北朝鮮なんかに関心を示さなくなってきていますから。
AP-NORC Poll: Majority approve of Trump’s North Korea effort,” Emily Swanson, Associated Press, 6/21/2018)

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『勢力均衡崩れれば中国は聞く耳を持たなくなる 米中の間に立つ日本はどうあるべきか。東京大学・小原雅博教授に聞く。』(7/6日経ビジネスオンライン 小平和良)について

7/7阿波羅新聞網<川普语出惊人!中共还面临7大经济危机=トランプが言ったことは吃驚させる! 中共は7つの経済危機に立ち向かわなければならない>5日、トランプが集会で言ったのは「米国は25%の貿易赤字を減らし(2500億$)、GDPを倍にする。3兆$と1000万人の雇用を生み出す」と。中共は7大経済危機に直面していると筆者は考える。ボイスオブアメリカによれば、中共は米国の関税賦課に対して同価値の報復関税を課す他、嫌がらせの別の手を使う。中国が直面する経済危機とは①輸出がまず衝突②輸出が阻止されれば、中国国内から製造業が移転③そうなれば労働市場がシュリンク④産業が打撃を受ければ、雁行型は不利⑤国内債務はとてつもなく重く、金融のシステムリスクは非常に高い⑥中国経済は減速を続けており、圧力に対処することは難しい⑦ドルは強くなり、人民元は下落し、資金は流出する。

中国人の米国旅行者は2016年に300万人に達し、2009年の約5倍であるが、それに対して中国政府は「医療費の高さ、銃撃事件の多さ、税関での没収、自然災害の多さ」を中国国民に警告して渡航にブレーキをかけようとしている。

http://www.aboluowang.com/2018/0707/1140287.html

本記事を読んでの感想です。外務省出身の東大教授と聞いただけで、真面な判断はできないと直感しました。2004年、上海で卡拉OK(カラオケ)小姐と懇ろになり、彼女を人質に取られた電信官が、国家機密の暗号を教えるように迫られて領事館内で首吊りした事件がありましたが、当時の上海総領事が杉本信行です。部下を守れない上司が、癌で亡くなる直前に『大地の咆哮』を書いて中国をやんわりと諫めましたが、部下を殺された総領事時代に厳しく中国と遣り合うべきでしょう。外務省は「闘えない集団」ですから。イ●ポ野郎の集まりです。小生が中国駐在(97~05年)だった時の大使は谷野作太郎と阿南惟茂ですが、谷野のことは深圳にいたので余り記憶がありません。阿南は『日本の一番長い日』に出て来る阿南惟幾陸軍大臣の6男にも拘らず、売国奴です。外務省も真面なのは小村寿太郎辺りまでで、内田康哉や幣原喜重郎辺りからおかしくなっていったのでは。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E7%B7%8F%E9%A0%98%E4%BA%8B%E9%A4%A8%E5%93%A1%E8%87%AA%E6%AE%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

http://nippon-end.jugem.jp/?eid=3389

小原氏の言説で引っかかったのは

①自分が中国と言う怪物を造ったという自覚が無い。製造物責任はメーカーに勤める者であれば誰しも感じるモノなのですが。批判されない立場にいるとでも誤解しているのでは。でも、今の日本のメーカーも数字の誤魔化しが日常茶飯事に出て来て、昔の矜持ある姿とは程遠くなっています。経営者の劣化、出世に目が眩んだ社員が増え、日本の伝統である万物に対する感謝と畏れの気持ちを失ったからでしょう。

②日米同盟の他に日中協商とは馬鹿なことを。怪物をより大きくするだけでしょうに。自由・民主主義の世界が崩壊してしまうことにどうして頭を巡らせないのかと思います。今は蝙蝠のように生きようとしても韓国のように米中両方から信用を失うだけです。中国封じ込めが採るべき正しい道です。所詮、学力だけの人間はこんな程度の発想しかできないのでしょうけど。厳しい交渉をやった経験があるとは思えません。

③BRI(一帯一路)、債務の罠や、金融戦争(SWIFT、FATCA、IEEPA)について言及がありません。また中国市場の大きさだけで判断すると見誤ります。ジニ係数が0.73もあるのに。中国が国際ルールを守らないのは明らかですし、言って聞くようなタマでないことは中国人と交渉すればすぐ分かる筈です。それが分からないとすれば、中国駐在時代ボーっと暮らしていただけなのでしょう。所詮役人と言うのは役に立たない、それが東大教授ですので、地に落ちるのも尤もです。

記事

米国のトランプ政権による中国製品への制裁関税が米国時間の今日7月6日、発動する見通しだ。中国は対抗関税を準備しており、貿易戦争がまさに起きようとしている。中国は今世紀半ばまでに米国に並ぶ大国になるという目標を掲げている。両者の角逐は足元の貿易戦争だけでなく、先端技術や軍事まで幅広い分野で本格化していくだろう。

日経ビジネスでは6月25日号特集「米中100年 新冷戦~IT、貿易、軍事…覇権争いの裏側」で、現在の関税措置の打ち合いや米国の懸念、中国化する世界の現状を徹底した現地取材でまとめた。それに関連して、米中に精通した専門家のインタビューを掲載する。今回は外務省出身で上海総領事なども務めた東京大学の小原雅博教授に米中の将来とその間に立つ日本の立ち位置について聞いた。

(イラスト:北沢夕芸)

—米国と中国の貿易戦争が現実のものになろうとしています。すでに単なる貿易赤字の問題ではなく、両国の覇権争いという側面が強くなっていると思いますが、米中の摩擦は今後どのように推移していくと考えていますか。

小原雅博教授(以下、小原):国際政治を見ていく上で重要なのが国家間のパワーの均衡です。国のパワー、つまり現在の国家間の関係を象徴するのが経済です。北朝鮮情勢が動いていることで核兵器の問題があらためてクローズアップされていますが、現在、核戦争を起こすことは事実上できず、核兵器は使えない武器になっています。核を保有しているから国として強いという話ではなくなっているのです。そのため経済を中心としたパワーゲームが行われています。

米国、中国、日本という経済で世界1位から3位の国はいずれも東アジアに位置するか深い関係があります。今、この3カ国間の相対的なパワーの変化が急激に起きており、そのことが貿易戦争に象徴される米中の摩擦の背景にあります。日本は国のパワーの源となる人口が減少しています。中国もいずれ人口減少に直面しますが、それでも約14億という人口を抱えており、中産階級はまだしばらく増加しそうです。米国は移民の国であり、人口は今後も増加しますが、イラク戦争や世界金融危機を経てパワーが落ちてきているのは確かです。

小原雅博(こはら・まさひろ)氏
東京大学大学院法学政治学研究科教授。1980年、東京大学文学部を卒業し、外務省入省。アジア局地域政策課長や経済協力局無償資金協力課長などを経て、アジア大洋州局参事官、同審議官、在シドニー総領事、在上海総領事を歴任し、2015年より現職。著書に、『東アジア共同体-強大化する中国と日本の戦略』(日本経済新聞社、2005年)、『「境界国家」論―日本は国家存亡の危機を乗り越えられるか?』(時事通信出版局、2012年)などがある。(写真:竹井 俊晴)

米国は中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)に対して、米製品の供給を止めるという厳しい措置を取りました。これは安全保障上の問題であるとともに、次世代の経済繁栄の源を巡る争いでもあります。ZTEが関係している通信のほかロボットや人工知能(AI)、スーパーコンピューター、宇宙などの分野でどれだけ覇権を握れるかという戦いです。米国は現在、先頭を走っていますが、中国がその差を埋めてきています。

これは突き詰めていくと、中国の国家資本主義モデルはイノベーションを起こせるのかという問題に行き着きます。すなわち「中国製造2025」に象徴される、国が主導してリソースを集中投下し、技術的な覇権を奪い取るということが将来、起こり得るのかということです。

—中国は自国の成長モデルに自信を深めているようにも見えます。

小原:トランプ大統領は目先のことだけを考えて、発言や行動をころころ変えているように見えます。一方、中国は習近平国家主席の一極体制を作り上げて、今世紀中葉までに世界をリードする大国になるとの長期目標を掲げています。こうした点も中国の自信につながっているのかもしれません。

かつてオバマ政権時代のバイデン副大統領は講演で「米国は勝ち続ける。なぜなら自由があるからだ」という趣旨の発言をしました。しかし、政治体制とイノベーションはもしかしたら関係ないのかもしれません。かつてヒトラー時代のドイツは原爆の研究を進め、戦後に当時の研究者が米国に渡り、米国の核開発の中心になりました。

自由な発言が許されないと、発想が貧困になり、多様性が生まれないという米国の唱えるイノベーションの論理は分かります。ただ中国の社会主義経済モデルは実は競争が非常に激しいという側面があります。

また米国や日本に比べて規制がルーズです。とりあえずやってみて問題が起きた時に対処すればいいという社会です。一方、日本はアクションする前に全てコンプライアンス。企業の取締役会などに出るとコンプライアンスしか言ってないように感じることもあります。それさえ言っておけば責任を取らなくて済むという考えなのでしょう。

現在、中国では北京市の南部に「雄安新区」という新しい都市を作るプロジェクトが進んでいます。この構想に関わる建築家に話を聞く機会があったのですが、自分の好きなようにできることが大事で、言論の自由が必要といった感じはまったくありませんでした。政治に関わらないことであれば、何でもできるという社会が中国で生まれたのは脅威です。

すでに市場力では中国が米国を上回っている

小原:もう1つの自信の根拠は中国の市場の大きさです。トランプ大統領の信条の1つに圧力外交があります。その圧力とは1つは軍事力、もう1つは市場力です。今までの大統領は負けてきたけれど、この2つの武器を与えてくれれば、ディールの達人の私は勝ってみせる――。それがトランプ大統領の主張してきたことであり、今進めていることでもあります。

しかし、その武器の1つである市場力はすでに中国が勝っているのではないでしょうか。例えば中国は「一帯一路」で各国にインフラを作り、自国の産品を輸出しようとしています。一方、各国としては中国に輸出をしたい。そこで中国は「いいものを作れるのか」「我々のニーズが分かるのか」といった形で各国を競わせています。「あちらは技術を出してくれますよ。あなたたちはどうですか」と天秤にかけられ、中国の求めに応じなければ中国市場に入れません。

一帯一路で中国がユーラシア大陸の各国に影響力を及ぼすようになると、例えば中央アジアの国々の市場に入る際にも中国を通さないといけなくなってしまう可能性があります。こうした国々にとってはセキュリティーの問題はあまり関係ありません。

これは単に中国の市場が大きいという話にとどまりません。半導体で言えば、世界の需要のおよそ6割が中国にあり、そのうちの4分の3は輸入に頼っています。その半導体が例えば米アップルのiPhoneに組み込まれ、世界で販売されています。今回の貿易戦争はこうしたグローバルサプライチェーンをいかに断ち切るかという話でもあります。しかし、これを断ち切れば自国の繁栄も断ち切ることになりかねません。

—自国の発展モデルに自信を持ち始め、市場力では米国を上回りつつある中国に対し、米国はどのように対処すればいいのでしょうか。

小原:やはり重要なのは勢力均衡です。中国が大きくなる中で考え方のベースとして東アジアの勢力均衡がないと、しっかりした外交ができません。今は米国がまだ特に軍事力において強い。しかし経済面では、ほとんどのアジアの国にとって中国が既にナンバーワンのパートナーになっています。これだけの人口、市場力を背景にしており、お金もあります。経済的な勢力均衡をいかに保つのか。この考え方がないと中国を責任あるプレーヤーにするのは難しいでしょう。

勢力均衡が失われてしまうと、いくら言っても聞く耳を持たなくなります。そういう意味で米国も日本も参加するTPP(環太平洋経済連携協定)でルールを作って、この地域の貿易を規定していく必要があったのです。このTPPをトランプ大統領がやめてしまったのはオウンゴールです。中国にとっては「しめた!」というところでしょう。

日米同盟に加えて、「日中協商」も必要

—日米の対立が深まっていく中で日本はどのような立ち位置を取るべきでしょうか。

小原:以前の著書『「境界国家」論』でも書きましたが、「日米同盟」に加えて「日中協商」が必要だと考えます。中国は日本の最大の貿易相手国です。また世界にある日本企業の拠点の4割超が中国に分布しています。米国に付くか中国に付くかの二者択一ではなく、日本の地政学的な位置付けなど考慮した上で、日本の国益を守っていくためには、日米同盟を基軸としながらも中国との関係も考えなければなりません。

そこを前提にすると、日本がどう立ち振る舞うべきか自ずと答えは出てきます。安倍政権は中国との関係がこれまであまり良くありませんでしたが、日中韓首脳会談などはこれを改善していこうという動きです。先ほど申し上げたような大きな時代背景があって、安倍政権もそれを認識した上で動いているのです。トランプ大統領の主張に対しては、時に日中で協力して両国の利益を守る必要もあるかもしれません。自由貿易などはまさにそうでしょう。

—米国は中国で市場経済が進展することにより、政治体制も変わると期待していたように思います。

小原:経済発展により中間層が拡大し、民主化の担い手になるとの議論は広く共有されていましたが、中国については間違っていたのではないかとの疑念や反省が広がっています。

私は外務省時代に政府開発援助(ODA)の柱である無償援助の課長、円借款の課のナンバーツーとして対中ODAに関わりました。日本は3兆6000億円に上る巨額のODAを中国に供与し、改革と開放を支援して中国の経済発展を後押ししました。そこにも民主化し、平和で協調的な中国になるとの期待がありました。

しかし、それは私たちの希望的観測にすぎませんでした。北京で開かれたある国際会議で、私は自らの経歴に触れ、第三国のある著名な専門家から「結果的に日本は手に負えないモンスター作りに手を貸したことになる。小原さんにも大きな責任がある」と言われたことを紹介し、会場が凍りついたことがあります(笑)。

人類の歴史からすると中産階級が増えていけば、普通は民主化するはずです。しかし、中国の場合、チャンスはありましたが、そうはなりませんでした。今や政治改革や民主化ははるか遠くに行ってしまいました。

一方、イラク戦争や世界金融危機で米国の力は落ち、「ラストベルト」と呼ばれる地域に象徴されるように不満を持つ人が多く出てきて、トランプ大統領が誕生しました。民主主義の灯台と言われた米国の伝統的な政治の流れを断ち切ってしまったことで、中国は自信を持ち始めました。

—中国のWTO加盟後、もっと厳格にルールを適用していれば、現在のような状況にはならなかったのではないでしょうか。

小原:中国が小さく、脅威になっていない時代は、中国が少々ルール違反をしても、みんな目をつぶっていました。ところがこれほど中国が大きくなり、自信を深めたことにより、その力で現状を変更しようとています。

プラトンも『国家』で言っていますが、結局、正義は大国が決めるのです。もちろん人道や人権という人類普遍の価値はあります。これまでは力を持つ米国がたまたまそういったものを大切にする国家でした。その米国でさえもダブルスタンダードはあって、自国の利益になる場合のみこうした価値を守り、利益に反する場合は無視することがあります。

中国がさらに力をつけ、自らルールを作るようになると、当然、自国の利益に反するようなルールは作りませんし、そのようなルールがもしあったとしても従いません。南シナ海の問題でも中国は常設仲裁裁判所の裁定に従っていません。ですから先ほど申し上げたようにTPPなどで周囲の国が結束して、みんなが守るべきルールを作らなければいけません。

米国は中国の封じ込めに動き出していますが、日本が同じことをやろうとしても難しい。日本は中国も入ることができるような枠組みの構築に力を入れていくべきでしょう。

民主主義を維持するためには力が必要

—民主主義という政治体制への信頼が失われています。今後、民主主義はどうなっていくのでしょうか。

小原:今、米国で大きな議論になっているのは、「デモクラシーは大丈夫か」というテーマです。米国は第二次世界大戦の勝利を「民主主義の勝利」と説明していますが、やはり軍事力、経済力を含むパワーで勝ったのです。今後も同様で、中国が米国をパワーで追い抜くとどうなるか分かりません。

ただ、中国のような社会は日本にはそぐわないと日本国民が考え、今後も米国と価値観を共有するということであれば、米国との同盟を続け、米国にパワーを持ち続けてもらわないといけません。一方、中国とは価値は共有できないけれども、地政学的にも経済的もある程度、関係を築いていく必要があります。ですから日米「同盟」と日中「協商」という言葉になるわけです。

その先は中国が米国を上回るのか、上回らないのかということになりますが、トランプ大統領の近視眼的な問題解決の手法は、長期的に見て米国の衰退を招いているようで気がかりです。

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『日本の原子力と北朝鮮の核の秘めた関係 日米豪印の原子力協力が鍵になる』(7/6日経ビジネスオンライン 長尾賢)について

7/7facebook投稿 朱雪琴<執法公飽私囊,這是獨裁專制一種普遍現象,披著執法外衣,打著為人民服務的旗號進行搶劫。大的大貪,小的小貪,從上到下都是為人民幣服務。

法執行機関は私腹を肥やす、これは独裁専制にありがちな現象で、法執行官の上着を着て、人民に奉仕する旗の下に強盗をしている。大は大きな貪欲、 小は小さな貪欲さで、上から下に至るまで、人民元の為に奉仕している。>

https://www.facebook.com/100017127274847/videos/256085101639064/

7/7阿波羅新聞網<港媒:〝国运之战〞混淆〝党运之战〞 中共还将有更多误判 ——李平:以党性思维打贸易战的荒谬=香港メデイア:“国運の戦い”に“党運の闘い”が混じる 中共は多くの誤判断をするだろう 李平:党の考えで貿易戦を戦うなぞ大間違い>米中貿易戦が予定通り始まった。トランプに核の脅しは効かない。中国の学者は「国営メデイアは、中米貿易戦は国運を賭けた戦いと見ているが、今の中国の最大の危機は貿易での衝突ではなく、米国が中国を軍事戦略上の敵国とオープンにしたことと思う。貿易戦は中国を全面的に抑止・打撃を与えるために起こされたもので、民族復興の夢がこれで挫折したとなると習近平の権威が打撃を受けるに止まらず、中共統治の正統性の危機が再燃するだろう。所謂、国運の戦いの終点は党のリーダーの習の権威に向かい、このため導き出される対策が党の考えに染まるのは尤もである。一つは、トランプに打撃を与えるため大豆に報復関税をかけると宣言し、共和党の票田への「核兵器」と為し、共和党、民主党両党が中国との貿易戦を支持していることを無視している。民主党は今でも議会にZTEに対して制裁に反対or緩和の方向で法案を出しているというのに。米国の経済・社会の結びつきの変化は政治や国家の利益の変化を齎し、譬えトランプが2年または6年で下りたとしても、米国は大統領が替わったからと言って、中国は戦略上の敵国と言う立場を変えることはできない。中共はずっとトランプの貿易戦は中間選挙と大統領選の為と思ってきたし、トランプは利に敏い商人と思ってきた。「核兵器」に少し恩恵を与えてやれば彼は譲歩するだろうと。しかし結果は失敗で、貿易戦で米国は段階を踏んで、徐々に中国の首を絞めて来るだろう」と。

二つめは、中共は内戦が統一戦線を作り、外敵こそが勝利の有効な道具と看做している。このため北朝鮮、日本、EUを引き寄せるのに工夫している。北の非核化の嘘の成功確率は大幅に増え、日本は中日リーダー対話に乗って来て、EUは中国への輸出を増やすように要求するが、中共の期待する反米の統一戦線はまだできていない。EUはハッキリとトランプ政権の採っている貿易戦での行動は許されるべきものと表明した。中国の政府補助と技術の強制移転は重大な貿易問題だからである。主体的開国は売国と批判される。敵の敵は中共の統一戦線に加わらず、形ばかりの賛意を示すだけで、貿易戦に対しては違った考えがある。世界覇権を変えようという中国の湧き上がる野心に向かい、EUはどうして全力を尽くさないでいられようか?前門の虎を追い出し、後門の狼を迎え入れることがどうしてできようか?

三つめは、中共は世界を代表し、道徳の高みに立って、米国を攻撃するが、中国がWTO加盟時に約束したことを守っていないことに対する反省はしない。更に開放政策を進め、低関税にすれば中国人の利益になる事も反省しないし、信義誠実の原則、契約の精神、民主主義を受け入れて初めて統治ができることについて反省しない。結果は、習が四月にボーアオで4つの開放(「金融・証券・保険業界の外資規制を緩和」、「市場アクセスの実質的自由化」、「知的財産権保護の強化」、「自動車輸入関税引き下げ」のこと?)を宣伝し、国務院は6月に主体的に22項目の外国投資規制を撤廃したが、貿易戦のカードとはならず、ネット民から「売国22条」と揶揄され、再度このようなことが起きれば、面子が潰れることになる。国運の戦いは党の指導のもと、「党運の戦い」になり、国営メデイア・御用学者が言うには「貿易戦は中国が途上国のトップに、米国は西側のトップにいて、世界覇権の運命の戦いの火ぶたが切って落とされた」と。国運を守るために「上海株式指数が2000まで下がっても、我々は喜んで受け入れる」と戯言を言う。

http://www.aboluowang.com/2018/0707/1140385.html

まあ、米国が朝鮮半島人同様、中国人も平気で嘘をつくというのがやっと分かったようで。義和団の乱からすれば100年以上たってやっと分かったというのはお粗末の一言ですが。インデイアンを騙し、土地を奪い虐殺して来た人間が簡単に中国人を信じてきたことが信じられません。そのせいで、世界は大迷惑しています。でも自由世界を守るため米国には頑張って貰わねば。上述の記事は久し振りに全文を翻訳しました。中国人も米国が本気だと分かって焦っているようです。何時も言ってますように、米中の争いは「天保水滸伝」のようなものです。侠客同士の争いと見れば良い。舞台が世界で、覇権が争われるだけです。日本も含め、EU、英連邦(Commonwealth of Nations)は米国に加勢しませんと。

日本人の劣化は止まるところを知りません。目先の利益だけを追い、自分に関係ない分野には無関心です。これでは民主主義を強固にしようとしても、考えないで国民の代表を選ぶことになってしまいます。エネルギー問題もそうです。原子力も国民生活を支える重要なエネルギー源なのに、左翼メデイア・野党の言に惑わされて、原子力を使わせないようにしています。「怖い」という刷り込みが効いているのでしょう。でもそう思う人は飛行機なんか絶対に乗れないでしょうに。原子力は「プロメテウスの火」同様、後戻りはできません。人類が科学技術を如何に平和的・安全に利用できるかです。一昨日の上久保氏の記事のように南シナ海が中国によって封鎖されたらどうするのかという事だって考えておかなければならないでしょう。日本人の大多数が南シナ海に関心は持っていないと思います。総務大臣ですらシーレーンの大切さを分かっていませんので、国益を賭けて仕事をする大臣には不適と思います。自民党だからと言ってこんな人には当選してほしくありません。もっと勉強せよと言いたい。

長尾氏の記事は日米豪印仏で原子力での協力をしていこうと言うもの。最終的には軍事同盟にまで発展することを願っています。日米安保+NATO+Commonwealth of Nationsとの同盟で共産主義国と対抗していくのが理想です。プルサーマルやウラン燃料について経産省、学界は真剣かつスピードを上げて議論し、国民にもっとハッキリ、30年までの原発再稼働の道筋について明示した方が良いのでは。参考:「2030年エネルギーミックス実現へ向けた対応について~全体整理~ 平成30年3月26日 資源エネルギー庁」

http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/025/pdf/025_008.pdf

記事

(写真=Richard A. De Guzman/アフロ)

今、日本の原子力産業は徐々に縮小する傾向を見せ始めている。4月に伊藤忠商事がトルコの原子力発電所事業から撤退したことはこれを象徴する出来事だった。2011年に東日本大震災が起きて以降、安全基準が大幅に高くなり、採算が合わなくなってきているのである。国内の原子力発電所はなかなか再開せず、これから増える見込みもない。海外輸出も採算が合わないとなると日本の原子力産業は衰退を余儀なくされる可能性がある。

特に深刻なのは、原子力産業に優秀な人材が集まらなくなっていることだ。原子力産業には将来性がないようにみえることから、学生も原子力関連の研究を希望しない。このような状況は10~15年後、今の大学生の世代が仕事の中核を担う頃になると、大きな影響をみせる。中には優れた人材もいるとは思うが、平均すれば原子力関連の研究能力が落ちる。良い人材が集まらないと原子力発電所の管理も大丈夫なのか、事故が起きやすくなったりしないのか、心配になる。だからこのまま行けば、長期的には日本の原子力産業は閉じていくことが懸念される。

原発が支えた電力の安定供給

あまり議論されていないことだが、日本の原子力産業が衰退すれば、米国や中国との関係も含めた日本の安全保障環境全体に悪影響をもたらす可能性がある。これまで原子力産業が、日本の安全保障に3つの点で貢献してきたからだ。

まず、1つ目はエネルギーの安定供給である。日本が消費するエネルギー資源は1973年の時点では75%が石油関連だった。その結果として、1973年、1979年におきたオイル・ショックの影響を受けざるを得なかった。そのため、日本は石油備蓄を増やしたり、エネルギー資源を多様化したり、自然エネルギーやメタンを含めた新しいエネルギー資源の開発を進めたり、などの対策をとってきたのである。

特に原子力発電は、東日本大震災が起きる前は電力の30%を供給するまでになっていた。しかし、同震災後、原子力発電による電力供給はほぼ0%になっている。

2つ目は、もし日本が原子力発電を採用せず、エネルギー源の大半を海外に依存していた場合、日本は、より大きな海軍力を保有しなければならなかったかもしれない、という点だ。日本が消費する石油の80%以上が中東から運ばれている。そのシーレーン防衛には巨大な海軍力が必要である。第2次世界大戦に至る過程において、ABCD包囲陣をはじめとするエネルギー関連の制裁があり、これが真珠湾攻撃に至る日本の政策に大きく影響した。大戦中にはシーレーンが攻撃され、日本は苦しい生活を迫られた。このことを踏まえると、シーレーン防衛は重要な問題である。

一定程度は米海軍に依存するとしても、日本自身もより大きな海軍力を備えないと、シーレーン上でなにか問題が起き、エネルギー供給に影響がでた場合、対応できないかもしれない。

日本の原子力技術が支える日米同盟

3つ目は、日本の核保有に関わる点だ。日本政府の姿勢も、日本の世論の動向も核兵器を保有することには強く否定的である。それにもかかわらず、海外の、特に核兵器保有国の世論は、日本が核兵器を保有する可能性があると考えている。

その理由は、日本に原子力産業があるからだ。日本の原子力産業はIAEA(国際原子力機関)の査察をきちんと受け入れており、一見したところ、核保有国になるのは難しい。しかし、日本には核兵器を開発するための原子力関連の科学技術者と、実験施設、知識がある。結果として、日本はもしかすると数カ月から数年程度で核保有国になることができるのではないか、といったイメージが存在する。

日本が核保有国になるかもしれない、といったイメージは、実際には日米関係に大きな影響を与えてきた。例えば1964年に中国が核実験を行ったとき、日本とインドは中国に対抗する核抑止について考えた。そして両国とも米国に「核の傘」を提供するよう求めた。「核の傘」とは、日本またはインドが核攻撃を受けたときは、米国が核兵器で報復してくれる約束である。

米国の回答は、日本には「核の傘」を提供するが、インドには提供しないというものだった。それゆえ、日本は西ドイツと話し始めていた核兵器の共同開発を実行しなかった。一方のインドは、「核の傘」の提供をソ英仏からも断られた後、核兵器を独自開発する道を進むのである。

なぜ米国は、日本には「核の傘」を提供し、インドには断ったのだろうか。もし米国が日本に「核の傘」を提供しなかったら、日本が独自に核兵器を保有する可能性があった。だから提供を決めたと考えられる。つまり日本が核兵器を保有するかもしれないというイメージが、日本への「核の傘」提供につながり、日米関係を強固にしている可能性があるのである。

日本の原子力技術が中国の背中を押す

北朝鮮の核開発の問題にも、日本が核兵器を保有するかもしれないというイメージが影響を与えている。なぜ中国は北朝鮮の核兵器開発を抑えなければならないのだろうか。北朝鮮の核兵器は北京を攻撃するためのものではない。日本が米国の核兵器を脅威とは思わないように、中国も北朝鮮の核兵器を脅威と感じる必要はない。しかし、北朝鮮が核兵器を保有した後、韓国、台湾、日本が核兵器保有へ進む可能性を考えると、中国は北朝鮮の核兵器保有を懸念せざるを得ないのである。

つまり、日本に原子力産業があることは、日本が米中などの国々との関係を強化する要因となっており、地域の安全保障全体に組み込まれた重要なパーツになっている。もしなくなれば、地域の安全保障のバランスは崩れるだろう。そして、今、日本の原子力産業の衰退によって、この懸念が現実味を帯び始めているのである。

インドの原発開発を日米豪で支援

ではどうしたらいいだろうか。そこで昨今検討が進められている日米豪印(+仏)協力によるインフラ事業の一環として、民生用原子力協力を進める案を提案する。インドは今、大規模な原子力発電所を拡大する計画を進めているし、そこに日米仏も参入したいと考えている。

だからすでに日印、米印、印仏の間で、原子力協定が結ばれている。日本がインドに原子力発電所を建造することになれば、日本の原子力産業を支えることになる。米国とフランスがインドに原子力発電所を建設する場合でも、日本製部品を使うから、日本の原子力産業にとって利益になる。オーストラリアはインドへウランを輸出しているから、この計画では重要な役割を果たす。
つまり、日米豪印(+仏)の組み合わせによる協力は、日本の原子力産業に生き残る道を与え、結果として、日本の安全保障の確保に貢献する可能性がある。

本稿は、日本をめぐる安全保障の深刻化に伴い、日本の「核戦略」というタブーな議論に挑戦したものである。特にこの問題は、日米印を比較した場合に意識せざるを得なくなった。ぜひ日本でより深く議論され、手遅れになる前に、適切な決断がなされることを望むものである。

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