『米ロ首脳初会談、ロシアゲート疑惑で“共謀”?北朝鮮は平行線、シリア停戦が唯一の成果』(7/10日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

本記事に関係すると思われる記事について紹介します。

7/10Viewpoint<トランプ外交とアジア安全保障、中国主導で南北統一の恐れ 拓殖大学海外事情研究所所長 川上高司氏>

http://vpoint.jp/world/asia/91258.html

7/9レコードチャイナ<米戦略爆撃機B1B「ランサー」2機が朝鮮半島展開、精密爆撃訓練公開=「一度、実際にやってみろ。でなければ張り子の虎」―韓国ネット>

http://www.recordchina.co.jp/b183831-s0-c10.html

7/8産経ニュース<北朝鮮に先制攻撃か 金正恩氏の斬首作戦から変更 統帥権者・トランプ氏からの命令待つ米韓軍>

http://www.sankei.com/premium/news/170708/prm1707080027-n1.html

7/10宮崎正弘氏メルマガ<「ロシアのハッカー選挙妨害の疑いは晴れた」とトランプ>

http://melma.com/backnumber_45206_6554181/

7/7トランプはG20首脳会議で温暖化問題の討議を抜け出して、プーチンと30分の当初の予定時間を越え、2時間15分も話し合い、安倍総理との対談に大幅な遅れを来しました。7/8にはインドネシアとの首脳会談のため首脳会議を中座した後、娘イバンカがトランプ大統領席に座ったことで、「公私混同」とバッシング受けています。まあ、日本人だったら分を弁えて、しない行動ですね。米国人だからというのと、イバンカは次の次の大統領選に出るつもりで話題を振りまいたのでしょうか?米国メデイアはトランプを目の敵にしていますが、オバマを全否定した祟りでしょうか?(笑)。でも、宮崎氏のメルマガに依れば、「クシュナーが最も信頼する外交顧問がキッシンジャーであり、ティラーソン国務長官の推薦もキッシンジャーであった。」とのこと。ロシアとの協調を演出しているのはキッシンジャーでしょうか?ソ連を封じ込めるために中国と手を組み、今でも中国から金を貰っている筈です。キッシンジャーは現実主義者なので、環境が変われば戦略も変えるのは当り前ですが。

北朝鮮とシリアはロシアの緩衝地帯として残しておきたいとプーチンは思っているのでは。米国が北朝鮮を先制攻撃したからと言って、ロシアと直ちに戦争に発展することはないでしょう。ただ、戦後の北の統治の姿が見えない限り、ロシアが米国の攻撃に賛成することはありません。中国も同じでしょう。それに、北を攻撃した時に犠牲者は100万人以上にも上ると言われており、先に手を出すと韓国人や日本人に恨まれるデイレンマがあります。真珠湾の時のように北に先に手を出させれば良いと考えているのでしょう。そのため、先ず兵糧攻めして金融制裁から始めたと思います。中国の北と取引している銀行の丹東銀行だけでなく、総ての銀行を国際金融決済できなくし、次にはロシアや欧州にも範囲を広げていけば良いのでは。国連決議を守らない国なので、そうされても仕方がないのと考えます。

川上氏はトランプが中国とデイールし、安全保障より経済取引を優先するのではと心配しています。トランプのことですから、そうならないとも限りませんが、彼は次期大統領選にも立つつもりでいます。軍の支持なくしては次の大統領選での勝利は覚束ないでしょう。変なことはしないと思っています。日本も早く米国とニュークリアシエアリングの話を進めて行った方が良いでしょう。NPTに違反するかどうかは議論の余地があるようですが、前例があるため、誰も文句は言えないはず。北が文句を言ったら「では、核開発を止めて、中国とニュークリアシエアリングすれば」と返事すれば良いでしょう。

記事

初の首脳会談に臨んだプーチン大統領(左)とトランプ大統領(写真:AP/アフロ)

米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領との初めての会談が7月7日に行われました。予定の30分を大幅に上回る2時間15分に及ぶ会談でしたね。米国内ではどう評価されていますか。

高濱:今回の首脳会談には、二つの注目点がありました。一つは両首脳が「ロシアゲート」についてどんなやりとりをしたのか。もう一つは、シリア情勢と北朝鮮問題への対応策についてどんな話し合いをしたか、です。

ロシアゲートは、トランプ大統領にとって最重要課題でした。トランプ政権の今後を左右しかねないロシアゲートについて、プーチン大統領の生の声が聞きたかったからです。

外交においては「外交は内政の延長」「国内の争いは水際まで」とよく言われています。しかしロシアゲートを取材すればするほど、この外交の基本がトランプ政権で機能しているのか、と首をかしげたくなります。「敵」は米国内の司法当局やメディア。「味方」はロシアなのですから(笑)

トランプ大統領は、2016年の米大統領選にロシアがサイバー攻撃を仕掛けて妨害したという疑惑について、プーチン大統領から「事実無根だ」という一言を聞き、ロバート・モラー特別検察官の捜査や議会各委員会による真相究明の動きを沈静化させたかったのです。

微妙に食い違う米ロのブリーフィング

—で、結果はどうだったのですか。

高濱:首脳会談について、米側は同席したレックス・ティラーソン国務長官が記者会見しました。ロシア側は、同じく同席したセルゲイ・ラブロフ外相がロシア人記者団に答えています。

ティラーソン長官によると、トランプ大統領は会談の冒頭で「ロシアは米大統領選に介入したのか」と切り出しました。これに対してプーチン大統領は全面否定し、「その証拠があったら出してほしい」と答えたそうです。トランプ大統領は一度と言わず、二度にわたってロシアの介入について問いただしたそうです。

一方、ラブロフ外相のブリーフィングによると、両首脳のやりとりはこうでした。「トランプ大統領は、『(ロシアが大統領選に介入したとする)キャンペーン(動き)は奇妙なことになっている。何カ月にもわたって非難や言いがかりが続いているにもかかわらず、それを立証する証拠は何一つ出てきていないのだ』と述べた」

「これに対して、プーチン大統領はそうした事実は全くないと明確に答えた。トランプ大統領はプーチン大統領のその発言を聞き、受け入れた。トランプ大統領は、さらに『米国内の一部の勢力は、証拠もないくせにロシアが米大統領選に介入したという話題を大げさに扱っている』と指摘した」

このラブロフ外相のブリーフィングについて米ニューヨーク・タイムズの記者は、米ロのブリーフィングの食い違いをただす電子メールをトランプ大統領の報道官に送ったそうですが、回答は今もってないようです。

両首脳は、サイバー安全保障や選挙などへの介入を防ぐための作業部会を両国が作ることで一致しました。両大統領はこの問題についてこれで幕を引くつもりなのでしょうが、米国内ではそうもいきますまい。

米司法当局も議会もメディアも、外遊から帰ってくるトランプ大統領を手ぐすね引いて待ち構えています。

「ロシアゲート」疑惑では両大統領の利害が一致

—トランプ大統領は前日6日の記者会見で、ロシアが米大統領選に介入したかどうかについて、「ロシアが介入したかもしれない。他国もやっているだろう。(大統領選に介入していたのかは)本当のところは誰にも分からない」とあいまいな態度に終始していましたね。それがどうして首脳会談ではプーチン大統領に執拗に迫ったのでしょうか。

高濱:トランプ大統領は、プーチン大統領の明快な否定が必要だと急きょ思い立ったのか。側近から忠告を受けたのか。ティラーソン長官とラブロフ外相が、首脳会談前に長時間、協議しています。

ワシントンの民主党系政治オブザーバーは筆者にこう解説しています。「これはトランプとプーチンによる『出来レース』だよ。語弊を恐れずに言えば、二人の『共同謀議』。トランプは『ロシアゲート』をここで断ち切ってしまいたい。プーチンにも『ロシアゲート』が米ロ和解の障害になっているという認識がある。首脳会談で疑惑を一掃したいとの思惑があったはずだ。両者の利害は完全に一致していた」

ただ、今回の首脳会談によって米国内で盛り上がっている疑惑解明要求が直ちに沈静化したり、捜査がストップしたりするとは思えません。なにしろ米中央情報局(CIA)はじめ複数の米諜報機関が「ロシアの介入」があったと結論づけているのですから。

シリア問題でなんとか成果

—シリアや北朝鮮など純粋な外交懸案のほうはどんな話し合いになったのでしょうか。

高濱:ティラーソン長官によると、首脳会談では多くの時間をシリア問題に費やしたそうです。トランプ、プーチンの両首脳が初めて会談したのですから何か成果がなければ締まりません。ですからシリア問題で何とか成果を出したかった。

両首脳は、内戦が続くシリア南西部のダラ、クネイトラ、スワイダに「安全地帯」を設置し、現地時間9日午前0時以降に停戦することで合意しました。停戦状態を監視するのはロシア軍。米軍とヨルダン軍とがこれに協力するというものです。この地域の住民の安全を確保し、難民が帰還できるようになります。

シリア情勢では、アサド政権が化学兵器を使用したとして、同政権が運用する基地を米国が4月に巡航ミサイルで攻撃。6月には米軍機が、アサド政権軍の戦闘機を撃墜しました。

ロシアはアサド政権の後ろ盾となっているので、この攻撃で米ロの対立はさらに深刻化していました。それだけに「今回の合意を、トランプ大統領とプーチン大統領によるシリア問題をめぐる最初の協力案件」(ティラーソン長官)にしたかったわけです。

真っ向から対立した(?)北朝鮮への対応

—緊迫の度合いを深める朝鮮半島情勢ではどんなやりとりがあったか、知りたいところですね。

高濱:ティラーソン長官は首脳会談後の記者会見でこう述べています。「北朝鮮問題については両首脳はなかなか良い意見交換を行った。北朝鮮情勢を見る観点はロシアと米国で少し異なっているが、今後さらに協議を続け、北朝鮮への圧力を一層強めるよう要請していくつもりだ。ロシアは北朝鮮と経済取引(貿易)を行っているが、朝鮮半島の非核化についてはわれわれと同じ公式見解を堅持している」

「(北朝鮮への対応について)ロシアと米国との間には戦術と速度において意見の食い違いがある。ロシアが北朝鮮による核・ミサイル開発を直ちに止めさせることの緊急性を受け入れないのであれば、われわれは引き続き、ロシアが受け入れるまで働きかけざるをえない」

—何か、奥歯に物の挟まったような説明で分かりにくいのですけど。

高濱:今は、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功したと発表した直後で、国連安保理が追加制裁を論議している微妙な段階です。米ロ首脳が北朝鮮への対応をめぐって激しく対立した姿を公にしたくなかったのでしょう。

ただ朝鮮半島情勢について両首脳がどんなやりとりをしたかは容易に想像できます。注目点は二つあります。一つは北朝鮮に対する経済制裁。もう一つは北朝鮮を対話の場に引きずり出す算段についてです。

米国は、経済制裁について、国連安保理による追加制裁を提案しています。一方、ロシアと中国はこれに難色を示しています。トランプ大統領は追加制裁に賛同するようプーチン大統領に強く求めたのだと思います。これに対して、プーチン大統領は「持論」を展開したはずです。

プーチン大統領の「持論」は、6月2日に実施されたサンクトペテルブルク経済フォーラムでの質疑応答でかなり明確になっています。同大統領は、こう述べました。   「北朝鮮が核武装することには反対だ。核クラブの拡大には断乎として反対する」  「(しかし強者による)力の論理、暴力の論理が続く間は、北朝鮮で起きているような問題が続くだろう」  「北朝鮮は、核開発以外の手段で自国を防衛することができない。おそらく(同じような状況にある)小さな国も追随するだろう。それらの国は、核兵器を保有しない限り、独立も安全保障も主権も守ることができないからだ」

トランプが絶対に譲歩できない二つの原則

—この「持論」にトランプ大統領はどう反論したのでしょうか。

高濱:プーチン大統領と中国の習近平主席は4日、モスクワで会談した際に、北朝鮮が核・ミサイル開発を停止する代わりに、米国も韓国との軍事合同演習を中止すべきだ、という点で合意しています。韓国の文在寅大統領も、米韓合同演習を縮小する可能性を示唆しました。

プーチン大統領はおそらく「米韓合同軍事演習」について言及したのだと思います。トランプ大統領は真っ赤になって反駁したでしょう。何せ、憎っくき金正恩委員長は「米国がひざまずくその日まで、核の宝剣をさらに強固にしていく」とつぶやいているのですから。

トランプ大統領としては、北朝鮮を「核保有国」と認定すること、そして米韓軍事合同演習を中止・縮小することの二つは絶対に認めるわけにはいきません。

ティラーソン長官は首脳会談後の記者会見でこうも述べています。「北朝鮮の核開発を今凍結するということは、核開発の全工程におけるかなりの高い段階で活動を凍結することを意味する。北朝鮮は、これを初期の段階にまで後退させる用意があるのか、ないのか。米国は、北朝鮮が今の段階で核開発を停止することには何の関心もない」

つまり、北朝鮮との対話開始をめぐる前提条件で米ロが全く食い違っていることがはっきりしたわけです。

今回の首脳会談は、北朝鮮への対応策をめぐって「折衝を継続する」ことで合意しただけです。ちょうど、1961年6月にウィーンで行われたジョン・F・ケネディ大統領とニキタ・フルシチョフ首相との首脳会談によく似ています。

世界は当時、両首脳が初の会談で、核実験、軍縮、ドイツ問題(注:東独が決定した西ベルリンへの通行権問題)など懸案解決を一挙に解決してくれるのではないか、と固唾を飲んで見守っていました。しかし、これらの懸案のすべてについて、「折衝を継続する」ことしか合意できませんでした。

金正恩委員長は一人で高笑いしているかもしれませんね。

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