銀閣寺入口
銀閣寺
千葉県柏市在住
銀閣寺入口
銀閣寺
大河内伝次郎庭園から見た比叡山と大文字山
祇王寺
大覚寺
狩野永徳の襖絵
門
竹林の小径
渡月橋
渡月橋
天龍寺
庭
池
大河内伝次郎宅
7/19フォーカス台湾<「一つの中国、一つの台湾」支持表明 米下院外交委小委員長>当り前の話です。キッシンジャーが自分の利益の為に台湾を売ったのを直すだけです。日本の田中角栄も同じですが。こいつらは中国人の何たるかが分かっていなかったのでしょう。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」というのを。
http://japan.cna.com.tw/news/apol/201807190006.aspx
7/19阿波羅新聞網<北京为啥每逢暴雨必淹?原来自己挖坑往里跳=北京は何故暴風雨になると必ず溢れ出るのか 何と自分で自分の墓穴を掘っていた>IT集積地の中関村は暴風雨になるとボートで出勤。中国はまだまだ貧しいと揶揄われる。
暴風雨の時に水があふれるのは①下水道の問題。北京は地下5mに直径1mのソ連式排水管しか通っていなくて、而も老朽化。東京は地下60mに御殿のような排水管が通っている②排水管内に80%の沈殿物が溜っている③地下水を過剰汲み上げ。地盤沈下を引き起こしている。よって雨が降ると水が貯まる④地下道が多い⑤雨雲が南方から来て長期滞留。夏には空調、車の排ガスが上空で暖められ、高層建築が多いので拡散できず、空気が冷えて来ると大雨やみぞれになる。
小生が97年~98年、02年~05年に北京にいたときは乾燥していて雨の記憶は殆どありません。冬には空っ風が吹き、耳がちぎれるような痛さを感じました。勿論雪は降りましたが大雪のイメージはなかったです。氷はいつも張っていましたが。5月は柳絮が漂い、いい時期でした。上海は雨がシトシトずっと降っている印象でした。深圳は南方の天気で台風、豪雨が多かったです。その代りスコールが止んでは降り、止んでは降りの繰り返しでした。ゴキブリも半端なく大きく高層階でも飛んできます。
日本の異常気象も小生は中国のCO2排出量が増えたからだと睨んでいます。このような集中豪雨は中国南部と同じです。中国は自動車の電化を進めると言っていますが、発電に石炭を使うのであれば同じこと。環境汚染は治りません。
http://www.aboluowang.com/2018/0719/1145736.html
7/19阿波羅新聞網<倒习“政变”子虚乌有?四大证据揭示中南海出大事了=打倒習の政変はフェイク?4大証拠は中南海に何か大事が起きていることを示す>政治局拡大会議が開かれたとの噂(これは可能性が低い)。4大証拠とは①CCTVが7/16に「党の政治建設では旗幟鮮明が第一」と報道。「旗幟鮮明」は動乱の時に使われる言葉②7/12北京で「中央と国家機関の政治建設推進会議」を開催したとのこと。習が党の内部固めを目論んだ③7/6貿易戦争開始時、匿名の官員達が珍しく香港メデイアのインタビューを受け「習は党内の政敵を打倒したのは明らか、一方で習は未だかつて韜光養晦を放棄したことはなく、一方では貿易戦の責任を党内部や党メデイアの誰かに負わせるつもり、高級幹部は習の意図を曲解し間違った判断や宣伝をした、これらが党の真の敵である」と強調した。④栗戦書は月曜に習こそが「最高権威」と断固支持したが、反対勢力に「戦書」を下ろす方に向かわせた。少なくとも習の権威は挑戦を受けている。
http://www.aboluowang.com/2018/0719/1145760.html
吉田氏の人民日報の記事の狙いは①習の政策の軌道修正を図る(有所作為から韜光養晦へ戻る)②米中貿易戦争で日本を味方につける、意味があるのでは。人民日報は共産党の「第一の喉と舌」でプロパガンダ新聞です。何事も政治的意図無くして報道するはずがありません。
サーチナの記事は少しずつ共産党の統治に疑問を持つ人が出てきていると思われます。それはそうです。下々を弾圧しているのを間近に見れば誰でも政権に反発するでしょう。
7/20facebook投稿 朱雪琴
兲朝執法者遇上執法者,看誰牛逼,誰就是贏家?傻逼披上執法外衣,一個比一個牛逼!
正当な法執行者が法執行者に会う。 誰が強く、誰が勝者かを見てください。 法執行のゼッケンを付けたバカ、一人一人はお互いに強い!
https://www.facebook.com/100013649473166/videos/481643792300599/
まあ、こういう国に生まれなくて良かったと思います。でも中国は日本を侵略しようとしています。多国間で防衛しなければ。日米台豪印+NATOで中国に対抗するようにしましょう。ロシアは中立化して貰うようにすれば良いでしょう。
ダイヤモンド記事
Photo:AFLO
日本代表と観客に中国メディアが賞賛の声
7月3日、サッカーワールドカップでベルギー代表チームに3−2で敗れた日本代表。だが、彼らが試合後に取った行動を、中国の市民たちが称賛している。
7月4日付けの『人民日報』は「ゴミを片付けることから始めよう」という記事を掲載。日本代表チームが自分たちが使ったロッカーをきれいにし、試合を観戦した日本人サポーターも、自分たちの座席の周りのゴミを片付けたことについて取り上げていた。
その中で、チームが負けたのに、すぐに心を切り替えてファンに感謝し、ロッカーをきれいにすることは、高いプロ意識とマナーのよさを示したとして、日本チームと日本サポーターを称賛している。
記事は、さらに次のように述べ、日本人のマナーのよさを称賛している。
「ロッカーや、自分の座席周りのゴミを自分で片付けることは、難しいことではない。難しいのは、こういう習慣を続けることだ。世界には多くのチームがあり、多くのファンがいるが、自分たちの出したゴミを持ち帰るのはたぶん少ないだろう。ゴミの片付け自体は大きなことではない。だが、そういう小さなことから選手のプロ意識と、サポーターのマナーのよさが分かるのだ」
学ぶ姿勢を忘れるなとSNSでも拡散
この記事は、たちまちネット上や中国のSNS微信(WeChat)上で広まり、微信のモーメンツ上で拡散していた人も少なくなかった。
『人民日報』は中国共産党の機関紙なので、日本がらみの話題と言えば、政治問題への批判や、日中友好に取り組む人たちの紹介が多く、今回のような政治抜きの話題を取り上げ、称賛したのは珍しい。こうした動きは、日中関係が改善しているからとも解釈できる。だが、筆者は、次のようなことも述べようとしているのだと思う。
第一に、中国は確かに世界の大国となったが、まだまだ世界に学ぶ必要がある。現在、中国は世界第2位の経済大国であり、キャッシュレス決済やシェアリング経済など一部の分野は進んでいる。
そうしたことを背景に、『すごいぞ、わが国』というドキュメンタリー映画を作り、「中国=すごい国」という認識を広めようとしている。これは、国をまとめる上で必要なことかもしれないが、このようなことばかり強調していると、「中国は傲慢な国」といったイメージになってしまう。まだ遅れている部分もたくさんあるので、世界のよいものを学ぶという姿勢を忘れるなと言っているように思えるのだ。
第二に、人々に「公共意識」を持てと呼びかけようとしているのではないか。以前もコラムで書いたことがあるが、中国人は「公と私」の観念が曖昧だ。だから、「公共の場」という意識も欠如しており、道に平気でゴミを捨てる人、大声で話す人、さらにはバスや地下鉄で飲食し、そのゴミを持って降りない人などは当たり前にいる。
しかし、このような行為は世界的に見れば「非文明的」な行為に当たり、ひいては中国の国際イメージにも影響する。ゆえに、中国人一人ひとりが「公共意識」を持った行動を取らなればならないとこの記事は説いているのだろう。
ネット民たちはこの記事に対し、どう反応したのだろうか。
この記事が転載された別のサイトでの書き込みを見ると、多くのネット民たちは「日本人はマナーがいいので、見習わなければならない」「日本の民度は確かに高い」「日本人は小さい頃からそうやって教育されてきたのだから、そういうことができるのだ」という声が多かった。
だが、一部には、「権威あるメディアが小日本の記事を紹介するとはね」とか、「日本はやりすぎだ。欧米に右へ倣えしている」という否定的な意見もある。
その一方で、「中国のサポーターだってゴミを拾えるんだ。ただ、中国は機会がなかったんだ」「中国サポーターだってゴミ拾いしているんだ」と、日本だけが賞賛されることに疑問を呈する声もあった。確かに、アジア予選などでゴミ拾いをしている中国人サポーターの姿もあったが、中国人は「マナーが悪い」というレッテルを貼られているので、あまり目立たなかったのだろう。
席の“争奪戦”を引き起こす発展の“地域格差”
この記事がネット上で話題になったのは、日本人のマナーのよさに対する一種の「憧れ」があるのではないだろうか。
中国人のマナーは一時期に比べてよくなったとはいえ、中国は発展の“格差”が大きく、いまだマナーの悪い人も大勢いる。知人の中国人も「日本人はマナーがいいけど、中国人は本当にだめだ。モラルがなさ過ぎる」と語り、一部のマナーのない人たちに顔をしかめている。そういう意味で、中国人の大半が日本のようになるのには、まだまだ時間がかかるだろう。
都市部では、外国滞在の経験があったり、外国人との接触が多かったりする人が少なくないので、マナーが悪いと外国メディアを通じて世界に知れ渡り、自国の国際イメージに影響することは分かっている。それに対し、農村部から出てきた出稼ぎ労働者たちは自分たちが豊かになることを優先して、他の人のことは考えない。
筆者の住んでいる北京の地下鉄を見ると、中国の発展レベルの“格差”が理解できる。北京の地下鉄1号線は、北京の天安門広場や有名な繁華街である王府井などと、比較的所得の低い人たちの住むベッドタウンを通るため、乗客は北京郊外に住む農民工や地方の観光客が多い。乗る際は席の“争奪戦”になるし、農民工とおぼしき乗客は基本的に老人や子どもに席を譲ることはない。
それに対し、ビジネス街や大学を通る10号線や4号線はホワイトカラーが多いため、席を譲る姿をよく見かけるし、1号線ほど“無秩序な席の争奪戦”は見られない。こうした“格差”が続いている理由には、中国の発展のレベルが不均衡であることはもちろんだが、大都市は人口の流動性が激しいという点もある。
都市に出てくる出稼ぎ労働者も、一定期間が過ぎればさすがに都市の生活に慣れ、公共の場で常識を欠いたことはあまりしなくなる。しかし、春節(旧正月)後は、労働者が大きく入れ替わるため、再び“格差”が大きくなるのだ。
中国人は痕跡を残すために落書きをする
「中国と日本の文化的違いの大きな要因だ」
筆者の微信のモーメンツ上にこんなコメントがあった。そして次のように続けられていた。
「日本チームの振る舞いは、日本人の『立つ鳥跡を濁さず』という習慣から来ているもので、自分たちが去っていくときは、なるべく来たときと同じようにするように努める。だが、中国には『雁は飛び過ぎる時も声を残す』という言葉があり、自分の痕跡を残そうとする。日本と中国の文化はやはり違う」
このコメントは筆者の興味を引いたので、別の中国人の友人に聞いたところ、「雁は飛び過ぎる時も声を残す」という言葉は、自分がその場を去ったとしても、相手の心の中に自分という存在が残っているという意味で、何も片付けをしないということではないという。
さらに、他の友人に聞いてみると、それは自分がそこにいたことを示す意味で、悪い意味でも使われるという。さらにその友人は「万里の長城など貴重な文化遺産に落書きをする不届き者もいますから、中国人は日本人の姿勢に学ぶべきです」と語った。
また、よく聞く話だが、中国人はレストランや食堂で食事するとき、魚や鶏の骨を机の上に捨てて、立ち去るときもそのままにしている。それは「私は金を払って食べているのだから、掃除する人が片付けるのが当然」という考えもある。
ただ、こうした行為に対し中国人も、後に使う人のことも考えなければならないという意識を持ちつつある。
日本とのモラル格差は大きい さらなる発展が必要
中国の街中には、実に多くのスローガンが見られる。それらは政治的なものもあれば、現在の社会問題を示しているものもある。
例えば、公衆トイレの男性用便器に「一歩前へ出ることは、文明への大きな一歩」というスローガンが貼ってある。そんなスローガンは、日本ではあまり見かけない。それだけ公衆トイレを汚す中国人が多いからだ。こうしたスローガンが出てくるのは、関係部門も現状ではいけないと思っているからだ。
スローガン以上に、人々の意識を変えているのはネットだ。今は携帯電話で気軽に動画を撮れるため、「非文明的行為」はネット上で拡散され、批判の対象にされる。それは、一歩間違えれば特定の個人に対する誹謗中傷につながるという危険性をはらんでいるが、「反面教師」として利用できるという利点もある。
ただ、ネット空間も「公共の空間」という意識を持っていないユーザーもいるため、真の“監督機能”を発揮するにはまだ時間がかかる。そのカギとなるのは、モラルの向上だが、中国は国が大きいためなかなか難しい。あるネットユーザーは、現在の中国の状況について次のように指摘している。
「中国人と日本人のモラルの違いは10年、20年で追いつくものではない。歴史を見ると、日本は中国から学んできたが、現在は中国のほうが日本に学ぶ必要がある。高学歴だからといってモラルが高いわけでないし、経済成長率が高いからといって民度が高いわけでもない。世界での影響力をさらに高めるには、経済や軍事の他に、文化面や文明面での発展も不可欠だ」
中国はこれまで経済成長の拡大に力を入れてきた。だが、今後は生活の質や教育、マナーの向上など力を入れる必要があり、それが「新時代」の大きな課題となるだろう。
(フリーライター 吉田陽介)
サーチナ記事
サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会は決勝が行われ、フランスの優勝で幕を閉じた。日本代表は惜しくも決勝トーナメント1回戦で姿を消してしまったが、その健闘ぶりは世界を驚かせ、また日本中を熱狂させた。
決勝トーナメント1回戦で敗戦後の日本代表はロッカールームをきれいに清掃し、ロシア語で「ありがとう」というメッセージを置いて立ち去った。これは世界中で注目を浴び、そして、高く評価されたが、中国メディアの快資訊はこのほど、中国のサッカーチームが日本代表の真似をしたところ、中国のネット上では批判が殺到したと伝えている。
記事は、日本代表の敗戦後の振る舞いは世界中で称賛されたことを紹介し、このニュースを聞いた中国のサッカー選手たちが日本代表の真似をし、ロッカールームをきれいに清掃し、テーブルの上に「謝謝(ありがとう)」と書かれたカードを置き、その写真をネット上にアップしたことを紹介。写真を見て見ると、テーブルの上にはバナナ1房が置かれている。「謝謝」と書かれたカードはバナナの上に置かれていることから、バナナは感謝の印なのだろう。
こうした行動は褒められるべきなのだが、中国のネットユーザーからは「話題づくりのためにやっているに過ぎない」などといった辛辣な声が寄せられたと紹介。表面上だけ日本代表の真似をしても意味がなく、日本人選手の内側にある精神やサッカーの技術を学ぶべきであると指摘した。
すかさず日本代表の真似をするところは、さすが中国といった感じだが、記事も指摘しているとおり、表面上の行動だけを真似しても仕方なく、その行動の真意を理解し、学ぶ必要があるのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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6/29中国観察<贸易纠纷升级 民间忧心 中国发白皮书自辩(图)=貿易戦争はエスカレート 民間は懸念 中国はWTO白書を出して自己弁護>28日中国政府はWTO白書を出したが、全文1万2千字で4つに分かれている。①中国は加盟時の約束を誠実に履行②中国は多国間貿易を支援③中国は加盟後世界に貢献④中国は積極的に対外開放を謳った。広州中山大学教授は中国が加盟時の約束を履行していないので、米国と貿易戦争になり、民間は心配しているのを抑えるために白書を出した。しかし香港の経済学者は自己弁護に過ぎないと。WSJは、中国の対米黒字は2758億$にもなると。「経済学週報」の副編集長は「中国はグローバル経済に於いて重要な役割を演じようとしているが、中国は既に三方面で貿易秩序を破っている。中国は圧力で安定した政策を採り、それが経済を発展させて来た。しかし、権力者が発展の機会と果実を独占し、人件費は低く抑えられたままである。労働者の福利や保護は保証されていない。この他、中国は長期に亘り所謂保護貿易主義を採って来た。研究開発コストを低くして他国の技術を盗んで来た」と。
2001年中國加入世界貿易組織時的部分入世承諾。(圖片來源:手繪插畫)2001年中国がWTO加盟時に約束した事項の履行状況(図の来源:手で作ったもの)
https://www.secretchina.com/news/gb/2018/06/30/863128.html
6/30日経朝刊<米中摩擦、人民元が急落 7カ月ぶり水準 当局、下落を容認 関税上げに備えか 市場に不安心理も>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32433680Z20C18A6EA2000/
中共支配の終わりの始まりになるかどうかです。習が鄧小平の韜光養晦政策を止め、有所作為に転換したことが米国という虎の尾を踏んだという事でしょう。鄧小平の方がズル賢く、世界を騙しとおせましたが、習は愚かにも中国が世界制覇するという野望を明らかにしました。世界にとっては騙されずに済んだので良かったと思います。中国は通貨覇権を握っている米国の力を甘く見ています。IEEPAを中国に適用すれば中国の持つ1.18兆$の米国債は紙屑となります。またSWIFTのリストから中国企業の名前を消せば、主要国との貿易もできなくなります。CIFUSは中国からの投資を制限するようですし、人民元と株価は大暴落するのでは。
飯山記事に出て来る中国人外交官でオーストラリアに亡命したのは陳用林氏です。スパイ防止法が無い日本はもっと危ないでしょう。ハニーと金で籠絡された政治家、経営者、メデイア人は沢山いるのでは。発言内容に注意し、不投票・不買で対抗して行きませんと。
渡邉哲也氏の『日中開戦2018 朝鮮半島の先にある危機』を読み終えました。米国の経済覇権について書かれています。非常に分かり易く書かれていますので、一読を勧めます。
飯山記事
トランプ政権は7月から500億ドル相当の中国製品に関税を課すと発表した。即座に対抗関税を発表した中国は、今世紀半ばまでに米国に並ぶ大国になるという目標を掲げている。両者の角逐は足元の“貿易戦争”だけでなく、先端技術や軍事まで幅広い分野で本格化していくだろう。
日経ビジネスでは6月25日号特集「米中100年 新冷戦~IT、貿易、軍事…覇権争いの裏側」で、現在の関税措置の打ち合いや米国の懸念、中国化する世界の現状を徹底した現地取材でまとめた。それに関連して、米中に精通した専門家のインタビューを掲載する。
中国の影響力が急速に強まっていたオーストラリアでは昨年から反中感情が噴出し始めた。今年2月には豪チャールズ・スタート大学のクライブ・ハミルトン教授が『Silent Invasion~China’s Influence in Australia(静かなる侵略~オーストラリアにおける中国の影響)』という著書を出版。政治家への資金供与や大学への寄付、企業買収などにより豪州が中国に「侵略」されている様を克明に描き、広く豪州で物議を醸した。豪ターンブル政権は中国との関係見直しに動いたが、足元では豪中関係の悪化に苦しむ。オーストラリアはこれまでの関係をリセットできるのか、中国のアジア太平洋地域における影響力の拡大は阻止できるのか。『静かなる侵略』の著者ハミルトン教授に聞いた。
(イラスト:北沢夕芸)
—親中派と見られていたターンブル政権は昨年からオーストラリアにおける中国の影響を排除しようと動きはじめました。
クライブ・ハミルトン・豪チャールズ・スタート大学教授(以下ハミルトン):オーストラリアでは1年ほど前に中国に対する認識のシフトが起きました。北京が長年に渡ってオーストラリアの政治、経済、学界エリートの言動に影響を及ぼしていたことに人々が気づいたからです。中国の影響力拡大やその手法に関する詳細なニュースやリポートが主要メディアや情報機関から出され、私の著書も広く読まれています。政府も中国との関係見直しに動き始め、7月には(中国を念頭に置いた)外国による内政干渉を制限する法律も施行される見通しです。
豪チャールズ・スタート大学のクライブ・ハミルトン教授。今年2月、豪州で中国が陰に陽に影響力を拡大している様を克明に描いた著書『Silent Invasion~China’s Influence in Australia(静かなる侵略~オーストラリアにおける中国の影響)』を出版し話題を読んだ。その内容の過激さから複数の出版社が出版を拒否する騒動も起きた。
ただ残念なのは、ここまで来るのに時間がかかり過ぎたことです。2005年、オーストラリアに政治亡命した在シドニー領事館の中国人外交官は「中国共産党がオーストラリアに深く入り込んでいる」と既に警告していました。ただ当時は誰も注意を払わず、具体的な対策が取られることもありませんでした。何年も経ってようやく、彼の警告が正しかったことが分かってきたのです。
「中国の圧力に耐えるのは容易ではない」
今もオーストラリアの政治は深刻な問題を抱えています。中国マネーに踊らされ、彼らの都合のいいように操られる政治家がいます(昨年、野党議員が中国企業から金銭支援を得て中国寄りの発言をしていたことが発覚している)。特定の政治家が買収されていたように、北京は個人を通してその国に影響を与えます。誰が北京の利益になっているのか、それはなぜなのか、注意して見ていく必要があるのです。
—経済界からは豪中関係の悪化を不安視する声が出ています。オーストラリア経済は中国との取引を拡大させており、既に中国なしでは立ち行かない状況です。
ハミルトン:(豪州産ワインの一部が中国の関税で足止めされたり、豪政府関係者に中国のビザが発給されなかったりといった)今オーストラリアが受けている北京からの圧力は最低限のものに過ぎません。北京のさじ加減一つで、もっときついプレッシャーを受けるリスクも十分にあります。習近平国家主席がオーストラリアと長期的な友好関係を結びたいと考えるのならば話は別ですが、今のところそうした兆しは見えない。スタンスは強硬です。
オーストラリアは中国の圧力に耐えて中国との関係をリセットできるか。北京がバックオフ(後ずさり)するまで強い態度を保てるか。残念ながら、現状で北京は今もオーストラリアの政治、経済、学界、メディアエリートの手綱を握っています。今の段階では北京の圧力に抗することは難しいかもしれません。
中国の弱点はソフトパワー
—中国の影響力はアジア太平洋全体に広がり、かつ深まっています。
ハミルトン:中国にも弱点はあります。たとえば経済的、軍事的な影響力に比べて文化的な影響力(ソフトパワー)は小さい。彼らが持つマネーに群がる国々も、社会主義まで取り入れようとはしていません。民主主義のシステムに比べ中国の政治経済システムは硬直的で脆い部分がある。経済が立ち行かなければ、たちまち行き詰まるリスクを抱えています。
もっとも、しばらく中国の成長は続くでしょう。長期的に向き合っていくためには、互いの利益になる形を追求しつつ、かつ内政干渉には強い態度で臨まなければなりません。経済と政治とをできる限り分離し、経済的関係を構築したいというメッセージを北京に送り続ける必要があるのです。
これを実現するのは容易ではありません。中国との関係を見直すにはコストがかかるからです。経済的な損失を覚悟しなければいけないところまで来ています。アジア太平洋地域の各国に求められているのは、「自分たちの主権はいくらの価値があるのか」を見極めることです。主権を犠牲にしても(中国の支援を得て)GDP(国内総生産)の成長を優先させたいのか、あるいは、GDP成長をある程度犠牲にしても、自分たちの価値観を守るために中国との関係を見直しに踏み切るのか。各国が決断を迫られているのです。
米国が手を引けば中国はますます自信を深める
汚職や腐敗が蔓延している国々が、どこまで後者(価値観を守る)ことを選択できるのかは疑問です。北京が巧妙なのは、これまで西欧諸国が軽視してきた国々、たとえばアフリカ諸国などに入り込んだ点でしょう。オーストラリアで言えば(ポリネシアやミクロネシアなどの)太平洋諸国がこれに当たります。ここはオーストラリアにとっては裏庭のようなものですが、これまできちんと支えてきませんでした(今年4月、中国が南太平洋のバヌアツで軍事基地建設を検討していると豪州メディアが報じた。バヌアツと豪州とは2000kmほどしか離れていない)。
問題は同盟関係にある米国の動向です。彼らがインド太平洋で存在感を保とうとすれば豪中関係見直しの後押しになりますが、現状で米国のプレゼンスは弱まっています。もし今後、米国がこの地域から手を引くような兆しを見せれば、中国はますます自信を深めて、影響力の拡大に動くでしょう。
渡邉記事
写真:ロイター/アフロ
連日、米国トランプ政権及び米国議会は、中国への制裁強化を打ち出し、中国との対立姿勢を明確化させている。そして、米国の伝家の宝刀ともいえる2つの法律を中国に対して適用すると世界に向けて発信した。
一つ目は「米国通商法301条」(貿易相手国の不公正な取引慣行に対して当該国と協議することを義務づけ、問題が解決しない場合の制裁について定めた条項)であり、これを根拠に中国からの輸入品500億ドル(約5兆5300億円)相当に、25%の関税をかけるとしたわけだ。
当然、これに対して、中国は強く反発し、米国からの輸入品に同額の関税をかけるとしたのであった。対して、トランプ大統領は、中国が報復関税をかけるならば、さらに2000億ドルの産品にも関税をかけるとし、また中国が報復するならば、同額の2000億ドルを積み増すと発表した。これは中国から米国への輸入額とほぼ同額であり、要は全部に関税をかけると脅したのである。
また米国と中国との間の最大の懸念事項である「中国通信大手ZTE問題」にも大きな進展があった。米国はZTEに対して、米国の制裁を破ったとして、7年間の米国内販売禁止と米国企業からの技術移転禁止を命じた。これにより、ZTEは操業停止に追い込まれ、次世代規格である5Gでの展開も危ぶまれることになったのであった。
しかし、これは中国側の必死に説得により、10億ドルの罰金と4億ドルの供託金で回避される見込みとなった。だが、これに議会が反発、米国上院は、この合意を白紙化し、中国通信最大手であるファーウェイにも制裁を課す法案を絶対的多数で可決したのである。この法案は来年度の軍事予算などを含む国防権限法に盛り込まれているため、大統領権限でも簡単に解除できない仕組みになっているのである。これにより、ZTE及びファーウェイの株価は暴落、将来の展開が見込めない状況に追い込まれ始めている。
二つ目は「IEEPA法」(国際緊急経済権限法)の採用である。安全保障・外交政策・経済に対する異例かつ重大な脅威に対し、非常事態宣言後、金融制裁にて、その脅威に対処するという法律であり、議会の承認なしで、脅威となる対象の米国内での経済活動や金融取引を制限又は禁止できるという法律である。そして、金融取引の対象には資産の凍結や没収まで含まれているのである。
つまり、大統領が宣言し大統領令を出すだけで、相手を徹底的に潰すことができるのである。米国のISやイランなどへの金融制裁はこれを根拠に行っているわけだ。米国は中国からの先端企業への投資に対して、これを適用しようとしているわけだ。
これに先立ち米国下院は、外国投資を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡大する法律を絶対的多数で可決しており、これは上院も通過する予定になっているのである。
通商法301条は、7月6日から発動される予定であり、これが予定通り実施されれば、米中の貿易戦争は後戻りのできない状況になるのだろう。そして、これは始まりに過ぎないといってよいのだろう。米国は「中国の自由市場からの排除」を始めたのである。
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1月21(日)~23(火)まで福島県の猫魔温泉に行ってきました。
ホテル正面、雪がかなり積もっています。
ホテルから見た檜原湖、真っ白でした。
21日に途中(那須高原SA)で陸自の車隊と会いました。スキーの訓練でしたのでしょうか?
草津の陸自の隊員が訓練中に亡くなられたのは残念です。哀悼の意を捧げたく。
朝6時から神社に参拝して来ました。
日本と家族が守られるようにと。
柏神社
諏訪神社
香取神社
文在寅大統領の訪中時の中国のあしらい方についての報道です。
12/16日経<「中国は無礼」韓国で批判 文大統領をないがしろ 会食スケジュールまばら、記者に暴行>朴槿恵大統領が安倍首相の訪韓時、食事も出さなかった(まあ、何が出されるか分からないので食べない方が良かったでしょう)例もありますから。中国に同じことをされてもしょうがないのでは。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24698530V11C17A2FF8000/
12/15facebook記事によれば国賓扱いされていないようです。
「中国が韓国を無視しなかった背景には,韓国の背後に米国という心強い後ろ盾があったからだ(韓日訳文) 現在の文在寅大統領が大韓民国を代表する国賓として訪中したが習近平主席と李首相が一緒に食事もしないほど無視された。遂行記者2名も中国警備員に殴られた。 その背景には,現政権が反米,反日,親北左派政権であるため,米国が韓国をけしからんと思う本音を中国が見抜いて,米国の代わりに深刻な外交欠礼(惨事)を起こした訳だ。 これは,国際社会に恥ずかしい韓国の恥である。大韓民国の名誉とプライドを傷つけるでたらめ親中政権•親北左派政権に国民の怒りがエスカレーティングしている。 こんな不祥事が米国や日本で起こったら大掛かりな反米•反日デモが発生しただろう 日本は日清戦争と日露戦争の勝利で半島から中国とロシアを追い出した。更に,惜しみない対韓経済支援で韓国は貧乏を卒業した。米国は血を流して韓国を守った恩恵の国である。 韓米同盟と日米同盟は韓国と日本の心強いバックグラウンドであり,地域の平和と安全を支える二本柱であるという事実を再認識すべきだ。今からでも遅くないからデタラメ政権のデタラメ参謀陣は反米,反日がどう言う惨事を招くのか?改めて再認識すべきだ 。」
12/15朝鮮日報<記者暴行:韓国写真記者協会「大韓民国に暴力を振るったも同然」 中国人警備員、韓国大統領出席の行事会場外で記者に暴行>
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/12/15/2017121500893.html
崔碩栄 氏ツイッターより
12/15「文大統領、訪中 食事の日程。 1日目 夕食 公式日程無し 2日目 朝食 大衆食堂 昼食 公式日程無し(李総理との昼食できず) 夕食 国賓晩餐 3日目 朝食 公式日程無し 対韓「お・も・て・な・し」の洗礼」
12/13「文在寅大統領の中国訪問。 習近平主席にもあえず、空港に迎えにきたのは次官、国賓晩餐無し、共同記者会見無し、共同声明無し。朝食は豆乳にパンだったと韓国で話題。 新聞は「一般食堂で中国の庶民たちと疎通した」とかばう。 そんな疎通は韓国内でも出来そうな気がするけどね (^o^;)」
韓国人も「中国は無礼」と言える立場にあるのか良く考えて見たらよいでしょう。彼らの儒教秩序によれば中国が親、朝鮮半島は兄、日本は弟という事で、日本を見下しています。儒教的価値観であれば親に逆らうことはできないはず。韓国こそ無礼なのでは。日本は明治以降、儒教の呪縛から解き放されています。中国も「孔子学院」は中共のスパイ活動の先兵として利用しますが、儒教の教えを真剣に守ろうとした試しは歴史上ありません。何せ道徳最低の民族ですから。また韓国人は日本人に対して非礼な振る舞いを続けてきました。在日や帰化人を除いて、日本人の心の中の嫌韓度は高まっていると思います。中国に冷たくあしらわれたからと言って日本に擦り寄ってくることの無いように。反日国同士でたたき合えば良いでしょう。古田博司氏の『韓国・韓国人の品性』には「筆者の立ち位置は、西洋近代化は善で、資本主義も民主主義も善である。・・略・・東洋近代化が善と言う見通しは必ずはずれるだろう。これからも東アジアはダークサイドに落ちて行く」と予言していました(P.220~221)。中国、朝鮮半島とはできるだけ関わらないことです。
12/16NHKニュース<国連安保理閣僚級会合 アメリカと北朝鮮が非難の応酬>「ティラーソン国務長官が発言し、「対話に入るには、地域を脅威にさらす北朝鮮の行いが停止されなければならない」と述べ、先の発言を修正して北朝鮮に方針の転換を強く促しました。」とあり、ティラーソン国務長官は日本の主張に合わせて軌道修正しました。河野太郎外相の力量の賜物と思います。彼の父親が死ねば、父親のやって来た誤りを、息子が軌道修正できるのでは。吉田清治の息子が父の誤りを認めたように。
先程の古田博司氏の『韓国・韓国人の品性』には、朝鮮半島は「国王が必ず逃げる国」と書かれています。「2019年までに(北朝鮮は)滅亡するだろう。金正恩は必ず逃げる。・・略・・もし金正恩だけが逃げなかったとすれば、彼はコリア初の「逃げなかった名君」の誉を背負うことになるだろう」と(P.34)。朝鮮半島人は力もない癖に自分を大きく見せようとします。誇大妄想を持ち、かつ被害妄想も併せ持つ世界でも稀な民族では。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171216/k10011260971000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
鈴置氏の記事では、韓国は堂々と約束を破る国としていますが、中国も同じです。国際ルールを守らないという点では中国の方が上かも。
12/14希望の声TV<川普政府正收集中共“活摘”法轮功器官者名单=トランプ政権は中共が生きたまま内臓を摘出された法輪功信者のリストを集めている>人権責任法“The Global Magnitsky Human Rights Accountability Act”(米国は人権違反や国外の目だった腐敗人達に制裁を課す権限を行政府に与えることができる。例えば入国禁止、官員の米国との資産取引を凍結or禁止できる)に基づき、トランプは人権侵害の調査を指示とのこと。まず、法輪功被害者で米国に銀行口座を持っている人か米国に妻子が居る人が優先するとのこと。どんどん中共を追い込んでいってほしい。
http://www.soundofhope.org/gb/2017/12/14/n1361664.html
記事
12月14日の中韓首脳会談で、「五輪休戦」で足並みを揃えれば、それは米韓の決定的な亀裂につながる(写真:新華社/アフロ 2017年7月撮影)
(前回から読む)
12月14日の中韓首脳会談で、韓国が「米国との縁切り状」に判を押すかもしれない。それは中国の属国に戻る道である。
防衛を放棄する「3NO」
鈴置:中国が韓国に「約束を守れ」と迫っています。韓国は中国の圧力に負け、自国の防衛の要(かなめ)を放棄する約束をしました(「中国に『降伏文書』を差し出した韓国」参照)。
ところが文在寅(ムン・ジェイン)政権がその約束をとぼけようとしたので、中国が叱りつけているのです。
10月31日に交わした中韓合意書と、その前日の10月30日の康京和(カン・ギョンファ)外相の表明により「3NO」を韓国は約束しました(「韓国が中国に表明した『3NO』」参照)。
米国とMDは構築しない
THAAD追加配備は容認しない
日米韓3国同盟は結成しない
韓国は在韓米軍へのTHAADの追加配備を容認しないと表明しました。しかし追加配備しなければ北朝鮮の弾道弾のうち、ソウルを含む韓国の北半分を狙うものは十分に落とせません。
米国とのMD(ミサイル防衛網)を構築しないと、北の弾道弾のリアルタイム情報が入りません。韓国は独自のMDを作ると言っていますが、米軍の情報がなければ不可能です。
日米韓軍事同盟は結ばないとの表明を中国は拡大解釈して圧力をかけ、日米韓共同演習をキャンセルさせました。日本からの情報が入らないと韓国は防衛上、かなり不利になります(「トランプの約束を1日で破り、変造した文在寅」参照)。
外交史に残る失態
—大坂冬の陣(1614年)を思い出します。
鈴置:まさにそうです。徳川に白旗を掲げた豊臣方が、大坂城の堀を埋め立てさせられたのと同じ構図です。韓国は自らを守る盾を捨てさせられたのです。韓国外交史に残る失態と見なされています。
もちろん保守派からは激しい批判が噴出しました。しかし文在寅政権は大失態を誤魔化そうとしました。青瓦台(大統領府)は韓国メディアに「これでTHAAD問題は完全に封印した」と手柄顔で説明したのです。
合意により中国は今後、THAADに関し文句は言えなくなった。一方、中国は韓国製品不買運動などTHAAD配備に対する報復を中止することになる――と解説したのです。実際は「封印」どころか「炎上」することになるのですが。
韓国政府は米国政府に対しても「3NOは約束ではなく、表明に過ぎない。だから韓国はそれに縛られない」と説明しました。
しかし「中韓合意」には「3NO」に関して「中国側は立場と憂慮を明らかにした。韓国側は関連する立場を改めて説明した」とちゃんと書いてあるのです(「中韓合意のポイント」参照)。
韓国側は、中国側のTHAAD問題に関連する立場と懸念を認識し、韓国に配置されたTHAADは、その本来の配置の目的からして第3国を狙うものではなく、中国の戦略的安全保障の利益を損なわないことを明らかにした。
” 中国側は国家安保を守るために韓国に配置されたTHAADシステムに反対することを改めて明らかにした。同時に中国側は韓国側が表明した立場に留意し、韓国側が関連した問題を適切に処理することを希望した。
双方は両国軍事当局の間のチャネルを通して、中国側が憂慮するTHAAD関連問題に対し、話し合いを進めることで合意した。
中国側はMD(ミサイル防衛)構築、THAAD追加配備、韓米日軍事協力などと関連し、中国政府の立場と憂慮を明らかにした。韓国側はすでに韓国政府が公開的に明らかにした関連する立場を改めて説明した。
双方は韓中間の交流・協力の強化が双方の共同利益に符合することに共感し、全ての分野での交流・協力を正常的な発展軌道に速やかに回復することに合意した。
※注:韓国外交部のサイト「韓中関係改善に関連した両国の協議の結果」から作成
そして合意の前日に外相が「3NO」の立場を説明しているのです。「中国の憂慮に応えて韓国が3NOを約束した」と理解するのが普通でしょう。
約束を堂々と破る国
—日本との慰安婦合意もそうでした。韓国は約束を堂々と破る国ですね。
鈴置:その通りです。「ソウルの日本大使館前の慰安婦像の撤去に努力する」「この問題は最終的かつ不可逆的に解決された」との合意を韓国側はいとも簡単に破りました。
米国との約束も1日で破り、発表文から都合の悪いところを削ってしまいました(「トランプの約束を1日で破り、変造した文在寅」参照)。今度は中国との約束を反故にしようとしています。韓国はやることなすこと、もう北朝鮮並みです。
もっとも中国は日本のように甘い国ではありません。合意後の中韓首脳会談では必ず「3NO」に言及します。12月14日の首脳会談の直前にも「約束を守れ」と韓国の胸倉を再度、しっかりとつかみました。
12月9日、王毅外相は北京でのシンポジウムで演説、「3NO」に言及し「韓国側は重要な公式声明を発表した」(the ROK side has made important public statement)と語りました。「誤魔化そうたってそうはいかないぞ」とクギを刺したのです。
中国外交部の「Speech by Foreign Minister Wang Yi at the Opening of Symposium on International Developments and China’s Diplomacy in 2017」(12月10日、英語版)で読めます。
12月9日付の人民日報・海外版も「韓国大統領の来訪をいかに見るべきか」(中国語版)という見出しの論評で「3NO」の約束を守るよう、執拗に求めました。
中国国際問題研究院の阮宗澤・副院長の「中韓関係の未来は韓国がTHAADなど『3NO』の約束を守るかにかかっている」との発言も紹介しました。約束を破ったら報復するぞ、という意味でしょう。
文在寅を脅したCCTV
—中国はすべきことはちゃんとしますね。
鈴置:極めつけは文在寅大統領への直接的な威嚇でした。朝鮮日報の「中国メディアの『3NO原則を中国人民の前で明かせ』との突然の要求に文大統領は難色」(12月11日、韓国語版)が報じました。
この記事によると中国・CCTVが12月8日に収録し、11日夕に放送した文在寅大統領との単独会見で、インタビューした中国の記者が以下のように要求しました。
「THAADは追加配備しない、米国のMDに編入されない、米日韓の同盟は結ばない」と韓国政府は言う。言葉には信用が、行動には結果が必要だ。数億人の中国の視聴者のために、韓国政府の立場を具体的に語ってほしい。
康京和外相が韓国の国会で与党議員の質問に答える形で表明した「3NO」を、中国のテレビ局のカメラの前で大統領自身がもう一度、約束しろ、ということです。中国はCCTVの会見を使って、大統領から直接、言質を取ろうとしたのです。
—大統領はどう答えたのですか?
鈴置:朝鮮日報の記事によれば「韓国はすでにTHAADに関する立場を明らかにしたことがある。それに対し双方が深く理解したのが10月31日の両国間の合意だった」と返答しました。
大統領の口から「3NO」を直接的に語らせることはできませんでした。が、「THAADに対する韓国の立場が中韓合意のベースにある」とは言わせました。
今後、中国は「韓国の大統領が言ったように、中韓合意はすなわち3NOだ」と主張、このカードをさらに駆使して韓国を操っていくでしょう。
「双中断」が議題に?
—12月14日の首脳会談も「3NO」が主要テーマになるのですか?
鈴置:それも中国は持ち出すでしょうが「凍結対凍結」(freeze for freeze)が議題になるとの観測が出ています。
「凍結対凍結」は中国語で「双中断」と言います。米韓の軍事演習と北朝鮮の核・ミサイル実験を同時に中断し、これを期に米朝が対話に入って解決を模索する、との案です。
中国が言い出し、文在寅政権も「2段階論」「凍結論」などと呼んで賛成しました。これに対し米国は、いまさら対話しても北朝鮮に核武装のための時間稼ぎをされるだけ、と拒否しています。
トランプ(Donald Trump)大統領は「(11月9日の)米中首脳会談で習近平主席と『凍結対凍結』は受け入れないことで合意した」と11月15日の会見で述べました(「第2次朝鮮戦争か、金正恩体制崩壊か」参照)。
中国外交部の報道官は翌11月16日の会見で、これを否定しませんでした。「双中断が一番合理的な案だ」と語りましたが「双中断は初めの一歩に過ぎない」とも述べ「時間稼ぎに使われてはならない」との米国の主張を認めたのです。
さらに「朝鮮半島の核問題を解決するいかなる他の提案も我々は歓迎する」と語って、米中の間に「双中断」――「凍結対凍結」を巡る対立はないことを示しました。
北とつるむ文在寅政権
—なぜ、「凍結対凍結」が中韓首脳会談の場で持ち出されそうなのでしょう。
鈴置:韓国は「五輪休戦」を名分にした「凍結対凍結」を目指しています。2月から3月にかけて開催される平昌(ピョンチャン)五輪・パラリンピックを理由に、例年3月初めから2カ月近く実施する米韓合同演習を中止し、それを手がかりに北朝鮮を対話に引き出す作戦です(「平昌五輪『選手団派遣は未定』と言い出した米国」参照)。
この「五輪休戦」により第2次朝鮮戦争を食い止めようと文在寅政権は画策しているのです。そのころまでに米国が北朝鮮を先制攻撃するとの見方が増えていますからね。
もっとも北は核武装を放棄するつもりは全くありませんから「五輪休戦」で当面の戦争は止められても、北朝鮮の核武装を阻止するチャンスは大きく減ります。北朝鮮の核武装が進み、核による反撃の可能性が高まるほどに、米国は軍事行動をとりにくくなるからです。
—韓国は北が核武装してもいいのですか?
鈴置:韓国の親北派の中には「南の経済力と北の核を合わせれば強力な独立国家を創れる」と信じる人がかなりいます。
韓国の保守は危機感を強め「親北の文在寅政権は北朝鮮の核武装を認めるつもりだ」と国民に訴え始めました(「『北に先制核攻撃も辞さず』と言明した米国務省」参照)。
14日の中韓首脳会談で「双中断」が論議されるのではないかと指摘したのも、保守系紙の朝鮮日報でした。
「『THAAD出し惜しみ』に動く中国…複雑になった文大統領の対応策」(12月11日、韓国語版)で「双中断が首脳会談で論議される可能性もある。ただ、青瓦台は一応、否定している」と書いています。
中国を「五輪休戦」に引き込む
—韓国が望めば米国は米韓合同演習をやめますか?
鈴置:韓国の言うことなど、米国は聞かないでしょう。来年春の合同演習が北朝鮮を圧迫し、核武装を食い止める最後の機会になる可能性が高いからです。
ヘイリー(Nikki Haley)国連大使らが、米選手団の平昌五輪への派遣に関し「まだ決まっていない」と一斉に言い出したのもそのためでしょう。
「北朝鮮の核武装を阻止するためなら五輪の開催などに構っていられない」との意思表示です。「五輪休戦」への牽制でもあると思います(「平昌五輪『選手団派遣は未定』と言い出した米国」参照)。
結局、韓国が「五輪休戦」を実現するには、中国に頼んでそれを唱えてもらうしかないのです。
—中国が「五輪休戦」を唱えるメリットは?
鈴置:中国だって地続きの朝鮮半島で戦争を起こしてほしくない。ダメもとで「五輪休戦」を提唱しても、損にはならないのです。
ただ中国は、元・属国である韓国の「使い走り」をやるつもりはないでしょう。「五輪休戦を唱えてもいいが、独唱するつもりはない。合唱しよう」と韓国に逆提案するのではないかと思います。
例えば、今回の中韓首脳会談後に「世界平和実現のため両首脳は五輪・パラリンピック前後の軍事行動は自制するよう共に世界に呼び掛ける」と共同発表する手です。
米韓同盟に決定的なヒビ
—韓国1国で呼び掛けるよりは効果があるでしょうが、トランプ大統領がそれを受け入れ軍事行動をあきらめるでしょうか。
鈴置:あきらめる可能性は低いと思います。でも、中国とすれば米国が軍事行動をやめなくともいいのです。中韓が「五輪休戦」で声を揃えれば、米国は韓国を裏切り者と見なすでしょう。米韓同盟に決定的な亀裂が入ります。
裏切りが表面化する前から、トランプ大統領は「韓国は歴史的に中国の一部だった」と語り、勢力圏外の国と認定しているのです(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)
米国から捨てられることが判明すれば、韓国人の相当数が「米国陣営から中国陣営に戻るしかない」と観念するでしょう。
習近平主席がトランプ大統領に教えたように、朝鮮半島の歴代王朝は中国大陸の王朝の朝貢国だったのです。韓国人には中国の属国に戻ることに、日本人が想像するほど拒否感はありません。
「戦後」に強まる米国の影響力
—あのように「うるさい国」を再び属国にしたいのでしょうか、中国は……。
鈴置:確かに、そう言う中国人が多い。ただ、中国は米国に対し何らかのカウンターパンチを準備する必要に迫られています。
第2次朝鮮戦争の「戦後」には、米国の影響力が朝鮮半島やアジアで飛躍的に増すのは確実です。米国の軍事力が改めて見直されるからです。中国がそれに対抗するには、韓国の再属国化が最も実現可能で手ごろな策なのです。
先に引用した12月9日の演説で王毅外相は改めて「双中断」に言及しました。「中国は対話と交渉を再開するための条件整備を目指し『双中断』を主張してきた」と語ったのです。
中国のこれまでの外交努力を誇ったようにも見えますし、韓国に「双中断」すなわち「五輪休戦」を共に唱えようと、サインを送ったようにも見えます。
(次回に続く)
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12/10中国観察<傳三亞基地核潛艇全部離港 金正恩突造訪中共國恥地 阿波羅網=海南島・三亜海軍基地から核搭載の潜水艦が全部出航したと伝えられる 金正恩は中共の為した国恥の地を突然訪問 アポロネット>「核搭載の潜水艦6~7隻が出航したのは朝鮮との関係では?軍事機密を伝聞の形で報じさせたのは当然許可あってのこと。周恩来が60年代にミャンマー、ネパール、朝鮮、パキスタン、アフガンと領土交渉、協定を結んだ。共産主義者は世界革命を目指したせいか、国家や民族の概念は無かった。(それなら扶清滅洋、滅満興漢の概念はどこから出たのか、漢族はご都合主義では。今や中華民族の偉大な復興の夢で世界制覇を目論んでいるくせに)。周恩来が領土割譲と言う売国的行為をしたのは、長白山(朝鮮では白頭山)が金日成の抗日ゲリラ活動を起こした聖地だから譲歩したのだと。そこを孫の金正恩が訪れたとは、領土割譲は盗人に追い銭ではないか」との記事。
宮崎正弘・藤井厳喜両氏による『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』には、中共の崩壊について論じられていました。藤井氏は「中国に対する経済制裁→オフショアコントロール→エア・シー・バトル。(中国のSLBM搭載の原潜は総て米軍が把握している)」(P.188)とのプロセスを辿り、宮崎氏は「中国の崩壊は経済破綻から始まる。習は党内でも軍部にも人気がない。「一帯一路」も挫折。AIIBは69ケ国が出資国として名を連ねているが、議会の承認が必要な場合が多く、前途多難。BRICS銀行も原油価格の低迷により事実上の業務停止状態に陥っている」と。(P.196~214)やはり、米国の金融制裁(基軸通貨$を使わせず、貿易できなくする)と海上制裁が効くのでは。トランプも早く北の問題を解決して中共打倒に動いてほしい。
北村氏の中国のトイレの記事について、11/29本ブログでも同じように取り上げました。
http://dwellerinkashiwa.net/?p=7693
顔認証(中国語で“刷脸”と言います。顔をスキャンするイメージです)付きトイレまで造る必要があるのかどうか。トレペ盗難対策と言うのが笑わせます。中国のオフイスではトイレに鍵を持って行かないと用が足せない所もありました。北村氏の言いますように、その前に中国人の「公衆道徳革命」が必要なのでは。
6/24のサーチナの記事に<訪日できて嬉しくても・・・「これは絶対やっちゃダメ」=中国報道>の中で「痰吐きはダメ」、「割り込みもダメ」と教えているとのこと。まあ、それでも大声で話したり、自分勝手に振る舞う姿を日本人が見て、「同文同種」ではないとやっと気付くようになったのでは。
http://news.searchina.net/id/1638441?page=1
2015/9/20のレコードチャイナの記事には<中国人観光客の10の「非文明的行為」を列挙―中国メディア>とありました。まず自己中を無くすように教育的指導が大切ですが、賄賂塗れになっている中共幹部が言っても誰も言うことは聞かないでしょう。
http://www.recordchina.co.jp/b119156-s0-c60.html
記事
中国の公衆トイレで「顔認証システム」を導入。その理由とは…(写真:AFP/アフロ)
2017年3月3日、中国最大のSNSである“微博(Weibo)”の「“南寧人不知道的南寧事(南寧人が知らない南寧の事)”」という表題のブログに掲載された動画がネットユーザーの注目を浴び、動画の再生回数は翌4日の午後2時までに360万回を突破した。
「それで嫁になれだって?」
その動画は南寧市の繁華街“悦薈広場”にある“奶茶街(ミルクティ街)”で撮影されたもので、多数の人々が見守る中で30歳過ぎと思われる男性と小太りの女性が1m程の間隔を空けて向き合っていた。どうやら男性が女性に求婚したらしいのだが、これに対して女性は周囲の人々に聞かせるかのように大声で男性に向かって、「あなたの家にはトイレも無ければ、入浴する場所もない。それで私に嫁になれだって。あんたおかしいよ」と罵声を浴びせた。男性は返す言葉もない様子で、ひたすら女性にぺこぺこと頭を下げるばかりだった。
動画はただそれだけの短いもので、現場を目撃した人が撮影して投稿したもののようである。当該ブログは一般大衆から投稿された動画を掲載するもので、ブログの管理人はこの動画に「私が南寧全市の公衆トイレの運営を請け負ったら、嫁に来てくれるかい」と嫌味のコメントを書き込んだ。動画を見たネットユーザーの1人は「この女は“勢利眼(地位や財力に媚びる人)”だ」とコメント欄に書き込んだし、別のネットユーザーは「この男性は多くの人々の面前で結婚を迫って、自ら恥をかいた」と書き込んだ。求婚された女性の身になってみれば、トイレもなければ入浴する場所もないような家に好んで嫁に行くはずないと言うのはもっともな話である。一方、この男性は貧乏で家にトイレがないということなのだろうが、大衆の面前で求婚した女性に「家にトイレもない」と大恥をかかされては、さぞかし悔しかったに違いない。
2015年4月にメディアが報じたところでは、海南省“白沙黎族自治県七坊鎮”にある東方小学校には240人の児童が在籍しているが、県財政のひっ迫で予算がなく、長年にわたって同小学校にはトイレがない状態で、児童たちは便意や尿意を催すと校舎の周囲にあるゴムノキ林の中で用を足すのだという。調査によれば、白沙黎族自治県にはトイレがない小学校は少なくなく、七坊鎮だけでも東方小学校を含めて7校あり、全てが100人以上の在校生を擁しているという。
排泄は人間の営みの中で欠くことのできない重要な行為である。その重要な行為を行う場所が“厠所(トイレ)”であり、排泄された便や尿の臭気を抑え、簡便にかつ衛生的に処理する度合が高いほど、文明が発達していると見なされる。従い、トイレは文明発展のバロメーターという事ができる。この点、中国のトイレは歴史的に汚くて臭いことで定評があり、庶民のトイレには1本の溝があるだけで、仕切りがなく、顔見知りの人々が溝を跨いで用を足しながら挨拶することから、日本では「你好(ニーハオ)トイレ」と揶揄されている。
2017年11月30日付の「人民日報」は、中国農村部の従来のトイレを“一塊木板両塊磚, 三尺柵欄囲四辺(1枚の木の板と2つのレンガ、3尺の柵で四方を囲む)”と描写した。地面に穴を掘り、その上に真ん中に孔を開けた木の板を掛け渡し、孔の両側にレンガを置く、その四方を柵で囲んだのが伝統的な農村のトイレだった。3尺は約1mだから柵の高さ1mということになるが、レンガの上に足を乗せ、しゃがんで用を足せば、柵の上から頭が見える。かつての農村ではこのような“露天坑(屋外の穴)”と呼ばれる方式のトイレが一般的だった。この種のトイレは汚くて臭いし、蛆がわき、ハエがたかるが、それが当たり前だと思って使い慣れれば、何の不満も感じなくなるし、不衛生だと思わなくなるのだ。
13億人の24%が「不衛生トイレ」
2015年12月1日発行の「中国環境統計年鑑2015年」に掲載された「中国農村部“衛生厠所(衛生トイレ)”カバー率」のグラフによれば、農村部で2000年に45%程度であった衛生トイレのカバー率は、2014年には73%程に上昇したとある。また、2009年に採択された国連(UN)の「ミレニアム開発目標」に基づく調査によれば、1990年から2015年の間に中国の都市部と農村部の“厠所質量(トイレ品質)”は大きく改善され、衛生トイレのカバー率は都市部で68%から87%へ、農村部では40%から64%へ、それぞれ上昇したとある。農村部の衛生トイレカバー率が、前者は2014年で73%程なのに対して、後者は2015年で64%を大きく異なるが、それはともかくとして2016年11月に広州紙「南方都市報」の質問に答えた北京科技大学環境工学部教授の“李子富”は、「中国の13億人の人口のうち実際にはまだ24%の人々が衛生要件を満たしていないトイレを使用している」と述べている。
それでは“衛生厠所(衛生トイレ)”とは何か。中国版ウィキペディア「互動百科(Hudong)」には次のように定義されている。
衛生トイレの正式名称は「無害化衛生トイレ」。衛生トイレはその基本要件に合致するものを指し、“糞便(し尿)”の無害化処理施設を備え、基準に基づき使用管理が行われるトイレ。衛生トイレの要件は、壁と天井があり、「し尿溜(た)め」はにじまず、漏れず、蓋で密閉されており、トイレは清潔で、ハエや蛆が無く、基本的に無臭で、し尿は規定に基づき浄化して流す必要がある。
2004年から2013年までに中央政府は82.7億元(約1046億円)を地方政府に配分して農村部のトイレ建設を推進した。衛生トイレを建設することに同意した農民には補助金が支給されたが、地方政府の役人は農民に衛生トイレの建設を説得するのに難渋したという。しかし、上記の統計数字を見る限り、衛生トイレは着実に普及しているように思える。
5.7万カ所に「観光トイレ」を
2014年10月、河北省“⽯家荘市”に属する“正定県”で“全国愛国衛⽣運動委員会”主催の「全国農村トイレ改造作業推進会議」が開かれ、同時に『農村のトイレ改革をさらに推進することに関する通知』が発行されたことで、農村における“厠所革命(トイレ革命)”の動きが巻き起こった。同年12月には,中国政府“国務院”が『新たな愛国衛生運動作業を一層強化することに関する意見』を提出したことで、農村のトイレ改造の歩みはさらに速度を上げた。
こうした動きを捉えた中国政府“国家旅游局(国家観光局)”は、2015年3月17日に局長の“李金早”が同局のウェブサイトに『“旅游要発展, 厠所要革命(観光は発展が必要であり、トイレは革命が必要である)”』と題する署名入りの文章を発表した。その文章の中で李金早は下記のように述べた。
海外生活が40年以上の華僑で、かつては飛行士であった人物が李金早に手紙をよこし次のように伝えて来た。すなわち、2013年の秋に、“長江(揚子江)”の三峡へ旅行した際に100人程のドイツ人旅行団と一緒になった。言葉を交わす中で彼らはさまざまな面で中国を絶賛したが、唯一彼らを困惑させたのは観光地の“公厠(公衆トイレ)”の問題だった。その中の1人のドイツ女性は清潔な洋式便座が無いと言って、尿を直接ズボンの中に漏らして見せたが、私は言葉にならない苦しさを感じた。
李金早はこの話を引用して、「トイレに行くのが困難なこと」が中国観光業の発展を長期にわたって阻害している理由の1つであると見なすことができるとし、中国国内の観光地が毎年受け入れる観光客は延べ37億人以上だが、観光客は1人平均8回トイレに行くので、全ての観光客がトイレに行く回数は延べ270億回以上になると述べた。
2015年4月1日、“中国共産党中央委員会”総書記の“習近平”は、中国政府“国家旅游局(国家観光局)”が提出した李金早の文書に指示を与え、“厠所革命(トイレ革命)”に力を入れ、観光の質を向上させるよう命じた。これを受けて国家旅游局は5日後の4月6日に『“全国旅游厠所建設管理三年行動計劃(全国観光トイレ建設管理3年行動計画)”』を発表し、2015年から2017年までの3年間に資金補助などの方法を通じて、全国の“旅游厠所(観光トイレ)”5.7万カ所の新築・増築を推進し、観光トイレの数量が十分にあり、清潔で臭いがなく、無料で使用され、管理が有効に行われるという目標を実現すると表明した。
一方、2015年7月16日に吉林省“延辺朝鮮族自治州和龍市東城鎮”の“光東村”を視察した習近平は、田畑に下りて作物の生育状況を聴取し、“村委員会”で老人舞踏チームの練習を見た後に民家を訪れるなどして、同村で長時間を過ごした。この時、習近平は農民たちが依然として伝統的な“旱厠(旧来のトイレ)”を使っていることを知り、新農村建設を絶え間なく推進する中で“厠所革命(トイレ革命)”が必要であり、農村の群衆に衛生的なトイレを使わせなければならないと指摘した。
“下放”時代から大改造
文化大革命(1966年~1976年)時代に“下放(幹部や知識分子、またその子弟を思想改造のため農村や工場へ行かせること)”された習近平は、1969年1月から1975年10月までの7年間を陝西省“延川県文安驛公社”の“梁家河大隊(後に“梁家河村”)”で過ごした。首都の北京市で比較的恵まれた生活をしていた習近平が直線距離で700km以上離れた辺境の山奥へ送られたのであるから、その文化程度の差に強烈な衝撃を受けたに違いない。その最たる物は男女の区別もなく、汚くて臭い伝統的な農村のトイレだっただろう。2017年8月に「“中国共産党中央党学校出版社”」から出版された習近平の下放時代を知る人々の証言集『習近平の知識青年7年の歳月』によれば、習近平は伝統的な農村のトイレを取り壊して、男女が分かれた公衆トイレを建設して、村人たちから喜ばれたという。また、1982年に河北省定正県の党委員会副書記(1年後に書記となった)に赴任した習近平は、農村ではトイレと豚小屋が一体化した“連茅圏”<注>が一般的であるのは不衛生であるとして、1984年にトイレの大改造に着手したという。
<注>人の排泄物を豚が待ち構えていて餌として食べる仕組みになっている。
上述したように2015年7月16日に習近平が吉林省の東城鎮光東村を視察した際に発動したトイレ革命の大号令は、観光地の公衆トイレ、農村部の衛生トイレのみならず、都市部の衛生トイレの普及促進も含むものだった。そして、瞬く間に全国各地でトイレ革命の呼び掛けに答える運動が沸き起こり、各地に“厠所革命工作領導小組(トイレ革命作業指導チーム)”が発足し、トイレ改造の作業業績が人事考課に反映されるまでになったのだった。
2015年12月31日までに全国で新築・改築された観光トイレは2万2009カ所で、2015年の計画であった2万1028カ所を上回り、計画達成率は104.67%に達した。観光トイレの新築・改築はその後も順調に推進され、2015年4月の『全国観光トイレ建設管理3年行動計画』の発表から3年を経ることなく、2017年10月末までに計画目標は達成された。その詳細は“国家旅游発展基金(国家観光発展基金)”による累計10.4億元(約177億円)の拠出資金と各地が手配した資金200億元(約3400億円)により、3年間で6.8万カ所の観光トイレを建設し、当初の計画目標であった5.7万カ所に対する達成率は119.3%であった。
ところで、2017年11月19日は国連(UN)が2013年7月に制定した「世界トイレデー(World Toilet Day)」であった。同日、国家旅游局は『全国観光トイレ建設管理新3年行動計画(2018-2020)』を発表し、当該3年間に全国で観光トイレ6.4万カ所の建設を行うと表明したが、その内訳は新築4.7万カ所、改築1.7万カ所であった。一方、11月28日に中国政府「国家衛生・計画育成委員会」が発表したところによれば、2016年末時点で全国の農村部における衛生トイレの普及率は80.3%に達し、東部の一部の省では90%以上に達しているという。同委員会は、農村部におけるトイレ革命は、農民の健康、生態環境、経済および社会で次第に効果を表わしていると述べている。
なぜ、トイレに「顔認識」?
トイレ革命は都市部でも着実に推進されている。12月5日付の北京紙「北京晩報」は、北京市内“西城区”の“胡同(横丁)”で進むトイレ革命を報じた。西城区では2017年に20カ所以上の2級公衆トイレに通風除臭システムを設置し、2018年には区内にある2級以上の公衆トイレ全てに通風除臭システムを設置するとしている。北京市全体ではすでに公衆トイレ500カ所に通風除臭システムが設置されているという。同記事によれば、北京市内の一部の公衆トイレにはハンドドライヤーや電気暖房機が設置されているところもあるという。北京市内には顔認識装置付きのトイレットペーパー自動供給機が試験的に設置されたところもあるというが、これはトイレットペーパーの盗難を防ぐために、顔認識した上でペーパーを供給するもので、再度ペーパーが必要となっても同じ顔では10分間経過しないと供給しないという代物。公衆トイレに無料のトイレットペーパーが置かれると、不届き者が次々と持ち去ってしまう中国ならではのトイレ設備である。
日常の生活から外出や旅行まで、トイレは人々の生活に必要不可欠な施設であり、トイレは全ての人々にとって常に身近な存在である。11月27日付の「新華社通信」は、先ごろ習近平がトイレ革命に関する重要指示を出した旨の記事を配信した。同記事によれば、習近平は、「トイレ問題は小さな事ではなく、都市・農村の文明建設にとって重要であり、観光地だけでなく、都市部でも、農村部でも取り組まねばならず、都市・農村振興戦略の具体的任務の一つとして推進し、この人々の生活の質に影響する弱点を努力して補わねばならない」と指示したという。
中国という国家および中国国民にとって、トイレ革命が重要であることは疑いのない事実であるが、世界第2の経済大国である中国の最高指導者が「革命」と銘打ってまで推進する必要のあることかどうかは議論のあるところだろう。しかし、中国が2020年までに「“小康社会(ややゆとりのある社会)”」の全面的実現という目標を達成するには、トイレの改善は避けて通れないし、「革命」という言葉を使って推進しなければ前に進まないことは確かである。
ただし、トイレそのものは革命により改善されたとしても、それを使う人々の意識が変わらず、管理が行き届かなければ、改善されたトイレはいつの間にか汚れて悪臭を放ち、元の木阿弥となる可能性は否定できない。これを防止するには中国国民に“社会公共道徳(公衆道徳)”を根付かせる必要があり、そのためには習近平主導の“公衆道徳革命”が不可欠と思われる。
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マスメデイアは今回の衆院解散について「解散の大義がない」と喧しいですが、杉浦氏の言うように勝てるときに選挙をするのは常道でしょう。負けると分かっていて勝負をするのは馬鹿なだけ。任期までの追い込まれ解散であれば負けると分かっていてもやらざるを得ません。憲法45条で衆院議員の任期が定められていますし、首相の解散権も憲法7条で定められています。「権利の上に眠る者は保護に値せず」の格言もあります。況してや護憲をずっと主張してきている左翼メデイアは二重基準の謗りを免れません。どうしても解散をストップさせたいのであれば、田崎氏の言う「憲法改正」してから文句を言えばと思っています。
9/20杉浦正章氏ブログ<解散の「大義は後から貨車で来る」>
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20
「エコドライブ日記」ブログより<9/18TV「ひるおび」の中で、八代英輝氏「憲法には解散に大義を要するとは一言も書いてない。郵政解散はワンイシューで国民生活の全てを決める乱暴なやり方。総選挙は国民投票とは違う。これまでを評価しこれからを託す議員を選ぶもの」、伊藤惇夫氏「北朝鮮情勢緊迫中、政治的空白(選挙期間)があっても良いのか?」、八代英輝氏「(今回の選挙は)今までの緊張状態についての対応の評価の場でもある」、伊藤「総理に自由に解散権を持たせても良いのか?」、田崎史郎氏「じゃあ、憲法改正しますか」、伊藤「そうね」>
9/19「ぼやきくっくり」ブログ<9/18放送 DHCシアター「真相深入り!虎ノ門ニュース」>で青山繁晴氏が解散の件や首相のインド訪問について解説しています。
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2104.html#sequel
伊藤俊幸氏と高濱氏の記事で、伊藤氏は米国の外交努力に力点を置いて見ていますが、高濱氏の方は軍事力行使もありうるとの見立てです。外交と軍事力行使は国益を賭けた戦いの車の両輪です。もう既に戦争は始まっていて、ただ軍事力行使がまだと言うだけです。国際社会が経済制裁を北朝鮮に課し、北朝鮮の外交官の追放(メキシコ、クウェート、ペルー、スペイン)や北朝鮮からの大使召還(イギリス)まで進んできました。これらが奏功し、北の核開発やミサイル開発が一時的に止まることがあれば、米国も攻撃を様子見するでしょう。ただ金正恩は国民を餓死させても核・ミサイル開発に突き進むのでは。米朝戦争は不可避でしょう。同盟国を守るにはトランプの言う“totally destroy North Korea”しかありません。小生はB61-11や「あらゆる爆弾の母」を使用するのではと思っています。マテイス長官も「ソウルを危険に晒さぬ軍事手段「ある」」と言っていますし。これしか方法はないのでは。ただ今回、<核兵器禁止条約 国連で署名式 50の国と地域が署名>しました。これがB61-11の使用に影響を与えるかどうかです。地下核施設の破壊に使われたとしても。核兵器禁止条約は左翼に利用されるのであれば、国家の安全は担保できなくなると思っています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170921/k10011150101000.html
ダイヤモンドオンライン記事
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮と、「予防攻撃」を示唆して抑え込もうとする米国との「チキンゲーム」はエスカレートするばかりだ。その行方はどこなのか──。
北朝鮮の核開発や「9・11」後のテロ対策などを、在米防衛駐在官や情報部長時代などに経験し、朝鮮半島情勢や安全保障政策を熟知する元海将の伊藤俊幸・金沢工業大学院教授は「二つのシナリオが考えられ、どちらも日本には難しいことになる」と話す。日本を覆う朝鮮半島リスクとは何なのかを聞いた。(聞き手 ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)
>>前編『元海将が指摘「北のミサイルは狙った所に飛ばない可能性がある」』はこちら
「核保有」と「核放棄」 米朝で前提が違う
──金正恩・北朝鮮労働党委員長と、トランプ米大統領の威嚇合戦が止まりません。
実は、北朝鮮も米国も、お互い対話がしたいのです。北朝鮮が懸命に核を開発しているのは、米国と平和条約交渉をし、米国の「不可侵」を約束させたいからです。
というのも、朝鮮戦争はまだ終わっておらず、平和条約を締結していないから心配で仕方がないのです。先代の金正日氏もそうでした。米国を、平和条約の交渉のテーブルに着かせるには、米国に届く核兵器を持つことだと。軍事介入を許して体制が崩壊したリビアのカダフィやイラクのフセインにならないように、米国と対等に交渉できるというのが、北朝鮮の根っこにある考え方です。それを受け入れるかは別にして、北がそう思っていることをベースとして理解する必要があります。
しかも金正恩政権になって、「核保有国になる」という国家方針が一段と明確にされました。
昨年、36年ぶりに開かれた労働党大会で金正恩委員長は、核開発と経済発展を追う「並進路線」をぶち上げました。「並進」というのは、核を持つことで米国と軍事的に対等の立場に立てるので、その分、通常兵器にかける予算を普通の経済活動に向けられるという意味です。つまり、核と経済発展は国家建設の“両輪”なのです。
だから北朝鮮としては、まずは核保有国になることが最優先で、この国家方針は簡単には変えられない。それに対し米国は、北朝鮮が核を放棄したら交渉に応じるという姿勢です。
双方が対話を求めていても、前提が「核保有」と「核放棄」で全く違うのですから交わりようがありません。底流には、こうしたせめぎあいがあって、ここにきて両方の綱引きが先鋭化している状況です。
ミサイルが発射されたり、空母が出動したりすると、それイコール戦争と捉えられるのですが、いま米朝が展開しているのは、交渉のテーブルに載せるための「外交手段」として、軍事力行使を選択肢として見せている。 つまり、「条件闘争のための軍事外交」という表現ができるかもしれません。
6回目の核実験で 吹き飛んだ対話ムード
──しかしそれが行き詰まっているわけですね。
北朝鮮が挑発的行為を一時中断したら、話し合いに乗ってもいいという「中間案」を、韓国の文在寅大統領が唱えたこともありました。北がミサイル実験をいったん中断したら話し合いを始め、そこから核放棄を実現しようという思惑でした。
この提案は、今年6月の米韓首脳会談でトランプ大統領からダメ出しをされるのですが、その後、マティス国防長官やティラーソン国務長官が、これに近いことを言い出します。米国が、北朝鮮との話し合いのハードルを、「核放棄」から「挑発行為の中断」に下げたというので、一時、対話ムードが強まりました。
この「モラトリアム(一時中断)」の提案は、中国もロシアも乗れるわけです。
ところがその後、北朝鮮が6回目の核実験をやってしまったので、対話ムードは吹き飛んでしまった。トランプ大統領は、それ見たことかと、圧力をかけて北を抑え込む方針に戻ってしまいました。
国連も、石油輸出制限などの制裁強化を決議しましたが、北朝鮮の武力挑発をやめさせるのは難しいでしょう。
米国は北の「核保有国」化を 前提に動き出している
──今後の展開をどう予想しますか。
一つは、「チキンゲームが続いて、何も解決しないまま緊張が続き、下手をすれば戦争に発展する」というシナリオです。
もう一つは、「米国が北朝鮮を『核保有国』と認め、それを前提に、北の核攻撃を封じる核抑止体制を作る」というシナリオです。どうも米国は、裏で後者の方向で動いている気がします。
というのは、インドやパキスタンも6回核実験をして、結局は核保有国として認められました。北朝鮮も同じ回数の核実験をやっていますので、理由はともかくとして認めざるを得ないと、米国は考え始めていると思います。
米韓両国は、2013年に北が3回目の核実験をした際、短距離ミサイルの「スカッド」に積めるぐらいの大きさの核弾頭が作れるようになったと、認識しています。
だから、韓国国内への「THAAD」(超高高度迎撃ミサイル)の配備や「5015」という新しい作戦が策定されたのです。
それまでの作戦計画は、北の先制攻撃を受けて、韓国側がいったんは押し込まれるものの、そこを耐えて押し返すという「通常兵器」による戦争シナリオでした。
しかし、北が核兵器を持ったことで前提条件が変わった。押し返すまでの間に、核戦争で壊滅的な被害にあってしまう。そこで、相手が戦争を始める兆候を見つけたら、先にミサイルや核施設をたたく先制攻撃を基本とした計画に変更されたのです。
「斬首作戦」も、戦争を指揮する金正恩氏への通信系を遮断し、孤立させた後に捕捉、あるいは殺害するという、新しい作戦の附随作戦としてあるわけです。
米国が新しい作戦計画に切り替えたのは2015年、オバマ政権と朴大統領の時ですが、正恩氏にとってはかなりのプレッシャーになっています。だから米韓合同演習が行われるたびに、ミサイルを発射するなど、過敏に反応するわけです。
「核シェアリング」による核抑止 NATOでの成果を朝鮮半島に
──しかし、米国が北朝鮮の「核保有国」化を認めるとなれば、影響が大きいのではないですか。
韓国国内では、「北の核保有を認めるなら、自前で核を持つべき」という議論が強まることになるでしょう。今は米国の「核の傘」の下にあって、韓国が核ミサイル攻撃を受けることになれば、米国が核兵器を使って応じる。そうなると、攻撃したら自分も致命的な打撃を受けるので、北も核を使えない。韓国にしてみれば、「自国優先を掲げるトランプ大統領が、本当に核ミサイルを撃って守ってくれるのか」という思いがあるわけです。
それなら、自分たちで核を持てば、南北間で「相互確証破壊」ができるわけですから、北の核を、「使えない核」にすることができるという考えです。しかし、NPT条約もあり、米国が許さないでしょう。代わりに米国が提案すると思われるのが「核シェアリング」です。
──「核シェアリング」とは何ですか。
これは、米国の開発した核爆弾を韓国国内に置いて、管理は米国が行うものの、使う際には韓国の空軍機に載せて使わせるという手法です。これは、旧ソ連を封じ込めるためにNATOで行われた方法です。
米国は、欧州に中距離核(INF)を配備して、欧州とモスクワで相互確証破壊が成り立つようにしました。それまでは、遠く離れたワシントンとモスクワとの間で相互確証破壊が確立していたわけですが、モスクワにとってはすぐそばの欧州との間で、相互確証破壊の状況になってしまった。しかもこれに対応するための軍拡自体が非常に重荷になっていました。それで当時のゴルバチョフ大統領は、INF撤廃条約締結に動き、最後は旧ソ連自体が崩壊することになりました。これと同じことを米国は朝鮮半島で行う可能性があるのだと思います。
「非核3原則」見直しで 国論が二分される事態に
──日本への影響はどうですか。
同時にこの動きを見ている日本も、「核シェアリング」の問題を突きつけられるでしょう。先日、石破茂・元防衛相が、テレビ番組で「非核三原則」の問題に言及しました。「米国の核の傘で守ってもらうといいながら、日本国内に置かないという議論は正しいのか」と。発言が唐突に出て来た印象を受けましたが、日米間で、水面下で「核持ち込み」の議論が出ているのかもしれません。
日本の場合は、核を「持たず、作らず、持ち込ませず」の方針をどうするか、大変な議論になるでしょう。
当然、自分らも核を持つという議論は出てくると思います。核を持たないで「核保有国」北朝鮮との交渉になれば、日本は何事も従属的な立場に立たたざるを得なくなると。元気のいい人たちは、核武装論を言い出すでしょう。
「核シェアリング」論は、そうした強硬論を抑える側にあるわけです。
「持たず」「作らず」を変えるとなれば、3原則の根幹を変えることですから、それこそ大議論になります。そこで「持ち込ませず」に絞って議論する。
それでも難しい判断になると思います。米軍の核が日本本土に置かれるとなると、中国やロシアも反発を強めるでしょう。
戦略的、論理的に議論をするなら、北が「核保有国」になれば、日本も米軍に核の持ち込みを認めて相互確証破壊の形を採ることで、北が日本に核・ミサイルを撃てない状況を作るべきでしょうが、広島・長崎を経験した日本としての感情論などからは受け入れられないということになり、国論を二分する議論にならざるを得ないでしょう。
伊藤俊幸(いとう・としゆき)/1981年に防衛大卒業後、海上自衛隊入隊。潜水艦「はやしお」艦長などを務めた後、在米日本大使館防衛駐在官、防衛省や海上幕僚監部の情報部長として、北朝鮮の核開発、「9・11」テロなどの安全保障、危機管理を担った。海上自衛隊呉地方総監を最後に2016年退官。現在は金沢工業大学虎ノ門大学院教授(リーダーシップ論、安全保障論)
高濱記事
(写真:KCNA/UPI/アフロ)
—金正恩・朝鮮労働党委員長は、9月15日の中距離弾頭ミサイル(IRBM)発射を成功させ、「核戦略の完成がほぼ終着点に達した」と高らかに謳い上げました。国連安全保障理事会(安保理)の制裁決議も何のそのといった感じですね。
高濱 北朝鮮に核ミサイル開発を放棄させるためには、米国は北朝鮮に対して、経済面で死活的なダメージを与えるしかありません。その障害になっているのが中国なら、その中国を制裁するしかありません。
となると、北朝鮮問題は米中貿易問題へと発展せざるをえません。
米中間には為替、貿易、投資、知的所有権問題など摩擦要因が既にいくつもあります。これらは北朝鮮問題があるなしかかわらず、既に交渉の俎上に乗っているアジェンダです。
米国が北朝鮮に絡んだ対中制裁措置を打ち出せば、中国も報復に出るでしょう。経済制裁とは、まさに兵器を使わぬ「戦争」です。
ワシントンでは、日本や韓国に対して「高度に洗練された軍備の導入を支援」(トランプ大統領が示唆)する問題、韓国への核兵器再配備、日本との「ニュークリア・シェアリング」(核兵器の共有)構想*などが注目を集め始めています。これに一番敏感に反応しているのは中国です。
米国は、北朝鮮がこのまま「核保有国」となれば日本も韓国も黙っちゃいないゾ、と脅しているのでしょう。米国はこうした「軍事的要素」を経済的制裁に絡めて、中国を揺さぶろうとしているのです。
現に、中国の崔天凱駐米大使が15日、「中国が北朝鮮を核保有国とみなすことは決してない」と発言しました。
*自民党の石破茂元幹事長が9月7日、米国が核兵器を日本に配備することについて議論するよう提起。北朝鮮の核・ミサイルへの抑止力を強化する方策として「非核三原則」の見直しを促した。米軍事専門家の間でも注目を集めている。 (参考:「自民・石破氏、米核兵器の配備議論を=非核三原則見直し、政府「考えず」、時事通信、9/5/2017)
ホワイトハウスは一体
—これまで米国が取り得る選択肢は、軍事行動を除けば、制裁と対話。そして、「第三の道」が取りざたされてきました。「第三の道」とは、米国が有する軍事力、外交力、経済力、発信力などすべてを同時並行的に使ったものです(関連記事:「北朝鮮、対話でも制裁でもない『第三の道』)。
高濱 そうです。日米の常識ある軍事外交専門家のコンセンサスは、「米国は軍事行動を口にするけれども、実際に北朝鮮を先制攻撃することはできない」だと思います。もっと言えば、北朝鮮も韓国も中国、ロシアもそう思っている。その意味ではトランプ大統領は舐められているのです。
米議会の外交、軍事各委員会の幹部議員たちが9月6日、ジェームズ・マティス国防長官、ティラーソン国務長官、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長、ダン・コーツ国家情報長官を招いて、対北朝鮮戦略についてブリーフィングを受けました。かん口令が敷かれているので詳しい内容は明らかになっていません。
しかし、会合の後、議員たちが記者たちに漏らしたコメントを総合すると、「トランプ政権の外交軍事最高責任者たちは極めてプロフェショナルで、『bluster』(北朝鮮に対する恫喝)を行う考えはなかった」「大統領の過激な発言と閣僚たちの冷静な発言とは表裏一体のものだということがわかった」というものでした。
つまり「サージカル・アタック」(外科手術的攻撃=核・ミサイル関連施設の一部を攻撃)とか、「斬首作戦」(金正恩委員長暗殺)といった「恫喝」をする気はないということです。 (”Trump officials brief lawmakers on North Korea,” Rebecca Kheel, The Hill, 9/6/2017)
ボルトン元国連大使が大統領の「北朝鮮攻撃命令」を暴露
—金委員長は、「先制攻撃したいがそう簡単にはできない」という米国の本心をお見通しなのでしょうか。在京の北朝鮮ウォッチャーの中には、金委員長は米国の出方を冷静に分析しながら危険なゲームを続けていると見る向きがあります。米国ではどうみていますか。
高濱 さて、それはどうか。
朝鮮情勢に詳しい元米政府高官の一人は、こう指摘しています。「金委員長及びその側近たちが、民主主義国家の政策決定、つまり戦争に関する大統領の権限、米国と同盟国との軍事同盟関係などについて、完全に理解できるとは思わない。国際情勢のイロハをそれほど知っているとは思わない。国体護持(つまり金王朝護持)、国家存続が世界から見て絶対的価値などないことを知らない」
「核戦力を手に入れること以外に国体を護持できる道はないと考えているのだろう。核兵器を保有して米国と対決できると信じていたイラクのサダム・フセイン大統領(当時)やリビアのカダフィ大佐(当時)が無残な最期を遂げたのを『他山の石』している。だが、国家経済が破たんし、国民が餓死する国家が滅亡した歴史は数限りない。今やっている瀬戸際外交はギャンブルに過ぎない」
—しかし現実問題として、北朝鮮が今のペースで核ミサイル開発を続ければ、半年後には米本土に届くICBMを手にすることになります。それよりも今、金政権を一撃のもとに粉砕すべきだ、という声が米国内にあるのではないですか。
高濱 トランプ政権の外交国防チームの一人、ジョン・ボルトン元国連大使が9月9日、保守系ニュースサイト「ニューズマックス」とのインタビューでこう発言したのです。「(北朝鮮が米領グアム沖への「火星12」発射計画を発表した)8月10日、トランプ大統領は激怒し「米国の国益を脅かす北朝鮮のミサイル攻撃に対しては常に軍事行動をとるようにマティス国防長官に命じた。北朝鮮がグアムへの発射を取りやめたので実際には軍事行動はとられなかった。米国の領土を脅かす北朝鮮のミサイルに対抗して軍事行動をとることは明らかな自衛権の行使である」
「大統領は、北朝鮮が韓国及び日本を危険にさらす事態が起こった際にも、同盟条約上の義務を遂行するために、日韓を狙うミサイルを米軍が迎撃することを検討している」 *北朝鮮は、グアム沖へのミサイルは発射せず、8月26日には短距離ミサイル3発を、同29日には北海道上空を通過する「火星12」を発射した。いずれも日韓を標的にしたものではなかった。 (”Report: Mattis Gets Trump’s OK to Blast N. Korean Missile Out of The Sky, ” Jack Davis, www.westernjournalism.com., 9/9/2017)
米主要メディアは、なぜか、ボルトン氏が暴露した大統領命令について報道していません。
それはともかくとして、トランプ大統領が考えている北朝鮮に対する「レッドライン」がこのボルトン発言からおぼろげながら分かってきます。つまり北朝鮮がグアムを含む米国領土に向けてミサイル攻撃すれば、軍事行動をとる。グアム攻撃は「レッドゾーン」だというわけです。
報復攻撃なきサージカル・アタックを模索
—軍事行動とは、具体的にはどのようなものですか。
高濱 ボルトン氏は言及していません。米軍事関係者の何人かに聞くと、次の三つのケースが浮上します。
(1)北朝鮮がグアムを狙ってIRBMを発射すると同時に、陸上と海上に配備している迎撃ミサイルで撃墜する。
(2)北朝鮮がグアムを狙ってIRBMを発射する兆候が察知できた時点で、発射基地に対し、陸上および海上に配備した弾道ミサイルを撃ち込む。
(3) (1)の場合も(2)の場合もミサイル発射基地だけでなく、北朝鮮の核ミサイル施設や通常兵器配備の基地に対する「サージカル・アタック」を断行する。
トランプ大統領がどのケースを想定してマティス長官にスタンバイの命令を出したのか。ペンタゴンは、すべてのケースを想定して準備万端整えているはずです。
—これはボルトン発言と直接結びつく話ではないのですが、ご指摘の(1)(2)のケースは北朝鮮が報復攻撃に出る可能性が大ですね。となれば、ソウルが焦土化したり、米軍基地のある日本本土が狙われたりします。同盟国である日韓が犠牲になっても米国は先制攻撃を仕掛けるのでしょうか。
高濱 米国は先制攻撃はしない、と考えるのは早計だと思います。
筆者が何人かの米軍事専門家と話をしていて感じるのは、米国はやはり「米国第一主義」の国だということです。国益を守るために必要とあらば、同盟国が多少損害を受けても躊躇せずに軍事行動に出る。純軍事上の認識が非常に強いことを思い知りました。
無論、北朝鮮からの報復攻撃を同盟国が受けることなく「サージカル・アタック」が実行可能かどうか、ペンタゴンは以前から検討しています。
例えば、「サージカル・アタック」の標的を核・ミサイル施設だけでなく、北朝鮮軍の主要基地、さらには最高指揮官・金委員長のいる中枢機関まで含めて「同時多発的に攻撃」することです。瞬時に国家機能をマヒさせてしまう。イラク攻撃がこのケースでした。
北朝鮮が「レッドライン」を踏み越えた、あるいは踏み越えようとした瞬間に米国がどのような軍事活動に出るか。米主要紙の政治コラムニストは筆者にこうアドバイスしています。「大統領がトランプだけに何をするかわからん。今のワシントンは『Trump Derangement Syndrome』(トランプ錯乱症候群)に罹っている。固定観念に問われていると危険だよ」
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