『ついに「中立」を宣言した文在寅 北朝鮮の「グアム威嚇」でソウルが陥落した』(8/17日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

8/16日経電子版中国全土を射程に」習近平氏を脅す金正恩氏  編集委員 中沢克二 

「開発に成功した新型弾道ミサイルは中国全域を射程に収めた」。北朝鮮の幹部が内部で口にしたという極秘の話の一部が、中朝国境をまたいで中国側に流れてきている。日本上空を通過して米国領グアムのアンダーセン空軍基地周辺を狙うミサイル発射があるのか。これが世界の関心の的だが、実は「中国全土が北朝鮮の核ミサイルの照準に入った」という事実も、現在の緊張状態を読み解くには極めて重要だ。

北朝鮮の意図の証拠ともいえる奇妙な映像が公表された。5月21日、北朝鮮は朝鮮労働党委員長の金正恩も立ち会うなか、内陸部の平安南道の北倉(プクチャン)から、固体燃料を使った中距離弾道ミサイル「北極星2」を打ち上げた。ミサイルは小型カメラを搭載し、地上が徐々に遠ざかる様子を空中から撮影していた。北朝鮮の国営放送は翌日、かなり長い映像を大々的に公開した。

■あえて北京方向を映した弾道ミサイルの映像

5月21日に発射した弾道ミサイルに搭載したカメラの映像は、中国遼寧省の遼東半島から北京上空へと照準を定めるようにアングルを移して終わった(北朝鮮の朝鮮中央テレビより)

軍事専門家らの分析によると、映像は中国領内の地形を延々と映している。北朝鮮内陸部から発射したミサイルは東方の日本海に落ちたにもかかわらず、映像は西側を映していた。

「中国遼寧省の大連や旅順がある遼東半島がくっきり見える。西は中国の内海である渤海。南は黄海だ。ここまで雲はない。渤海の西方には首都北京が見えるはずだったが、大気汚染を含む分厚い雲が邪魔した。最後に映像は、わざわざアングルを北京上空に移し、照準を合わせた形を示した」

朝鮮半島の安全保障に詳しい国際関係筋は指摘する。なぜ北朝鮮領内でなく、中国領の映像をあえて公開したのか。北朝鮮の基地周辺は軍事機密だからという理屈は成り立つ。だが、中国が制止する弾道ミサイルから中国を“盗撮”し、公開するのは「血で固めた友誼(ゆうぎ)」を結ぶ中国への信義にもとる。

「中距離弾道ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星12、14』は米国を狙うが、すでに金正恩が量産を指示した中距離の『北極星2』は北京も標的にできる。言葉ではなく映像で意図を伝えたのは巧妙だ。金正恩は(中国国家主席の)習近平を脅している」

先の国際関係筋の見方だ。北朝鮮は「ICBMは米本土も視野に入れた」とうそぶく。だが、今の技術ではワシントンをピンポイント攻撃する能力には乏しい。しかし、平壌に近い北京や上海なら比較的容易だ。

北朝鮮は中国による制裁に強く反発した。「レッドラインを越えた」とかつてない非難に踏み切ったのは、映像を公開する前のことだった。とはいえ、経済的な中国頼みは明らかだ。石油だけでない。北朝鮮の市場には中国製の日用品があふれる。もはや中国なしに市民生活は成り立たない。

■中朝有力者2人の失脚で崩れた信頼

金正恩氏は核兵器を持てば中国の「半植民地」を避けられると考えているとの見方もある(北朝鮮の労働新聞が7月29日に掲載した「火星14」発射に立ち会う金正恩氏=中央、共同)

「金正恩は中国の“半植民地”になるのを避ける手段が核兵器だと考えている。多様な弾道ミサイルと合わせれば、経済的にかなわない中国とも対等に話せる」。別の中朝関係者の見方だ。北朝鮮が最後に狙う米国との国交樹立も、中国依存から脱する手段になりうる。

それは中国自身が歩んだ道でもある。1964年10月の東京オリンピックの最中、まだ国連に加盟していない中国は原爆実験に成功した。67年に水爆実験へと進み、70年には弾道ミサイルで人工衛星を打ち上げた。

その結果が、世界を驚かせた72年のニクソン訪中による国交正常化だった。米国は核・ミサイルを持つ中国の力を認め、旧ソ連と対立する双方の利害も一致した。北朝鮮は60年代の中国と同じ戦略で動いている。当時、悲惨な文化大革命の発動で国際社会から孤立した中国の状況も、今の北朝鮮と似ていた。

中朝関係はここ数年、かなりこじれた。要因は中国の内政にもある。北朝鮮側の主役は、金正恩の叔父で、処刑された張成沢(チャン・ソンテク)だ。中国とのパイプ役だった張成沢は2012年8月17日、当時の中国トップ、胡錦濤と北京で会談した際、ある陰謀を口にした。

正統性なき金正恩を排し、中国の後ろ盾を得て兄の金正男を擁立したい――。重大な提案だった。胡錦濤は数日前、共産党大会を控えた「北戴河会議」で、長老の江沢民に自分の側近、令計画の不祥事を暴かれてタジタジになっていた。決断力が衰えていた胡錦濤は即答を避け、「最高指導部会議に諮る」と伝えるしかなかった。これが張成沢と金正男が死に至る運命を決めたといってよい。

国家安全省と警察を仕切った江沢民派の最高指導部メンバー、周永康は金正日時代の北朝鮮とパイプを築き、後継者に指名された金正恩とも気脈を通じていた。周永康は張成沢の奇妙な動きを盗聴で察知し、内政の戦いに使う意図も絡めて、ひそかに金正恩へ通報した。実際の連絡役は、後に習近平政権が摘発した国家安全省幹部の馬建だったという。

激怒したのは金正恩である。張成沢を追い込み、13年末には有無を言わさず死刑にした。17年2月にマレーシアで殺された兄、金正男の事件も、この延長線上にある。5年かけて中国側にいる兄を追い詰めた。

金正恩氏の動きに手を焼く習近平国家主席(全人代で、撮影=小高顕)

中国の周永康は13年10月に自由を奪われ、同12月に公式に拘束された。北朝鮮では張成沢の処分が同時進行していた。中国が早期に周永康の拘束を公表すると、張成沢との関係に焦点が当たってしまう。発表は翌夏まで引き延ばされた。周永康は最後は無期懲役になった。理由は汚職だ。だが、中国が発表した周永康の罪状を詳細に見ると、国家機密の漏洩が含まれる。機密の中身は説明されていない。

これが12年夏、盗聴で得た張成沢を巡る情報を金正恩に漏らした罪だ。中国の権力闘争も絡む国際情報戦の当事者だった金正恩は、中国の弱みも握った。自分を下ろす陰謀に中国の一部が加担し、それを親切にも教えてくれた中国内勢力は粛清されてしまった。だから「中国の言いなりにはならない。すでに核兵器を持ち、中国全土は照準の内にある」。金正恩は逆に脅しているように見える。

中国も負けてはいない。8月初旬、2回のICBM実験を受けた国連安保理の対北朝鮮制裁決議に賛成。中国海軍は渤海と黄海で、初めて実戦形式の大規模ミサイル演習を実施した。渤海と黄海は、先に紹介した北朝鮮のミサイル搭載カメラが映し出した海だ。渤海沿いの北戴河は、まさに共産党大会前の重要会議の最中だ。演習には北朝鮮攻撃を検討する米国、そして北朝鮮にも圧力をかける意図があった。

米朝双方をけん制した演習の意味を解説するような論評を、共産党機関紙、人民日報傘下の環球時報が8月11日に掲載した。ポイントは2点ある。「もし北朝鮮が米国領を威嚇するミサイルを発射し、報復を招いたなら中国は中立を保つ」「米韓同盟が軍事攻撃で北朝鮮政権の転覆を謀り、朝鮮半島の政治版図を変えようとするなら、中国は手段を講じて断固阻止する」

■米朝が戦争なら「中立」、権益確保へ占領も

「中国は中立を保つ」は、1961年締結の中朝友好協力相互援助条約の肝である「自動参戦条項」を履行しないという宣言だ。条約は「一方の国が攻撃されて戦争状態に陥った場合、他方の国は全力で軍事援助を与える」と定める。米軍が北朝鮮を攻撃すれば即、中国に軍事援助の義務が生じる。すなわち米国と戦う羽目に陥るのだ。

冷戦時代の遺物といえる条項は、中国にとって重荷である。「中国全土が核ミサイルの照準内」と習近平を脅す金正恩を助ける義務などない。金正恩もそんな中国にいら立つ。トップ就任後、一度も訪中できないのは「張成沢・周永康問題」のほか、中朝条約の今後を巡って深刻な対立があるからだ。

一方、中国は「朝鮮半島の版図変更なら断固阻止」の方で、武力行使を排除していない。朝鮮戦争(1950~53年)も参考になる。当初、劣勢の米韓軍は釜山に後退したが、マッカーサーによる仁川上陸で巻き返し、北朝鮮領内の中国との国境に迫った。中国は見過ごさなかった。人民志願軍は鴨緑江を越えて米軍との激闘に入り、権益確保のため戦った中国軍は18万人もが命を落とした。

今回も似た構図がありうる。中国は「中立」を示唆するが、米軍が北朝鮮に踏み込むなら難民流入の阻止を名目に、中国軍が北朝鮮領内に侵入するだろう。米軍と正面衝突しないだけだ。ある中国の安保関係者は「国境から100キロほど入って“中立地帯”をつくる選択肢はある」と口にする。

米大統領のトランプも「米国への威嚇行為をしないことが、北朝鮮にとって最善だ。世界が見たことがない炎と怒りを受ける」と“口撃”した。まるで北朝鮮の声明だ。金正恩への強い怒りは習近平にもある。だが、こちらはおくびにも出さない。

北朝鮮が反撃すれば在韓米軍などに深刻な打撃を受けるだけに、トランプは簡単には攻撃に踏み切れない。当面は通商法301条を駆使し、中国による知的財産権侵害に関する調査の検討などで習近平をやる気にさせるぐらいしか手がない。金正恩も8月15日、米領グアム周辺へのミサイル発射に関して「米国の行動をもう少し見守る」と思わせぶりな発言をした。米中朝のチキンレースはなお続く。(敬称略)>(以上)

中沢氏の論考は中北合作のデイスインフォーメーションでは。北のミサイルは北京に向けられていると言いますが、中国の衛星を使ってミサイル誘導していると言う話もあり、ミサイルを北京に向ければ、中国は当然ミサイルを自爆させるような仕組みを組み込んでいると思います。長距離弾道弾はGPSではなく慣性航法とwikiにはありましたが。中国と北朝鮮で役割分担を決め、北に「暴れん坊」を演じさせ、中国は米国がどこまで我慢できるのかを観察しているのだと思います。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%81%AE%E8%AA%98%E5%B0%8E%E6%96%B9%E5%BC%8F

8/16Money Voice記事<「中国製」の服は実は「北朝鮮製」?「ほとんどの発注企業が気づいていない」 >(大紀元からの引用)。こういう脱法行為を平気でやる所が中国です。国連決議を遵守して、北に経済制裁するなんて嘘だと思います。裏で抜け駆けすると思います。中国人の発想は「ルールは破るためにある」ですから。

http://www.mag2.com/p/money/282460?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_thu&utm_campaign=mag_9999_0817

韓国は相変わらず小ズルイ立ち回りをしますね。事大主義が民族的体質というかDNAに組み込まれているからでしょう。妄想に生きる民族のことだけはあります。事実上の中立宣言をしたという事は、鈴置氏の言う日米VS中北韓の構図になったと理解した方が良いと思います。敵国の一部です。米国もこんな国を支援することはありません。在韓米軍は撤退して台湾に基地を置いた方が良いのでは。韓国は中国にあげるけど台湾は米国の同盟国と位置付ける交渉を米中ですれば良いでしょう。日米台の軍事同盟を完成させれば。

置き土産として、北を完膚なきまでに打ちのめし、中国・韓国に復興資金を出させれば良いでしょう。日米とは敵国になりますので支援することもありません。韓国民が望んだ赤化が完成します。

文在寅大統領は、今度は「強制徴用」で日本にイチャモンを付けてきています。まあ、無視するに限りますが、世界に向けて外務省は否定の談話を発せねば。ついでに所謂従軍慰安婦についても。佐藤地ユネスコ大使が「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(含む軍艦島)」の世界遺産登録の時に韓国の言いなりになり“Koreans and others who were brought against their will and forced to work under harsh conditions”を認めました。“forced labor”ではないと日本国内向け説明しましたすが、“forced to work”も“forced labor”世界的に見たら一緒でしょう。佐藤大使は東大教養卒後、外務省入省したエリートですが、学力だけの人物です。女性だからなのか、東大卒と言う看板が邪魔するのか、肚が全然座っていません。敵は「軍艦島」の映画を作り、世界に事実と違う日本の悪逆ぶりをアピールしているようですし。(こんな胸糞悪い映画は金を貰っても見ないでしょう)。国賊です。外務省は国賊の集団ですか?

シンシアリー氏の『朴槿恵と亡国の民』を読むと慰安婦の次には関東大震災時の朝鮮人虐殺をネタに日本を強請ろうという動きがあったらしいですが、強制徴用で強請ることに変わったとのことです。北の裏での画策があるのでしょうけど、北・韓ともどこまで行ってもヤクザ国家そのものです。それに呼応する反日日本人(学者や偏向メデイア)が悪いし、自分の頭で考えない情弱老人も同罪です。ヤクザに肩入れしているという自覚を持ってほしいです

8/18織田邦男氏のJBプレスの記事です。<グアムを狙ったミサイルより日本向けを真剣議論せよ 北朝鮮の核の脅威に「虚空に吠える」議論は有害無益>。日本も少なくとも、ニュークリアシエアリングの要望を2+2で上げてほしかったです。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50819

記事

8月15日の「光復節」式典で文在寅大統領は、米国の対北攻撃は許さないと宣言した(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

北朝鮮による「米領グアム攻撃計画」を巡り、緊張が高まった1週間。それが一段落した時、米韓同盟が崩れ始めた。

米国の対北攻撃は許さない

—第2次朝鮮戦争が始まるかと思いました。

鈴置:8月9日、北朝鮮が「グアムを攻撃する計画を練っている」と発表しました。それに対しトランプ(Donald Trump)大統領が激しく反発。世界のメディアも「すわ、戦争か」と大騒ぎしました。

1週間後の8月15日、朝鮮中央通信が「米国の行動をもう少し見守る」との金正恩(キム・ジョンウン)委員長の発言を報じました。軍事的な衝突はとりあえず避けられたと世界は胸をなでおろしました。

—北朝鮮はこの騒ぎで何を得たのでしょうか。

鈴置:米韓同盟の亀裂です。8月15日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は日本からの解放記念日「光復節」の式典で演説しました。ここではっきりと、米国の対北攻撃は許さないと宣言したのです。

青瓦台(韓国大統領府)の「第72周年光復節祝辞」の関連部分を翻訳します。

朝鮮半島で再び戦争を繰り返してはなりません。朝鮮半島での軍事活動は大韓民国だけが決めることができ、誰も大韓民国の同意なくして軍事活動はできません。

政府は何があっても戦争だけは止めることでしょう。

「戦争は絶対に止める」と言っているのですから、もちろん「軍事活動」つまり米国の先制攻撃にも同意しないわけです。

米国は北朝鮮の核武装を阻止するためには、先制攻撃も選択肢の1つと公言しています。韓国はそれを認めないと言い出したのです。

日本の基地を使え

—もし、北朝鮮がグアム沖にミサイルを撃ち込んだら?

鈴置:当然、米国は北朝鮮に反撃します。文在寅大統領の宣言によれば、在韓米軍基地を使っての反撃に対し韓国は「NO」と言うことになります。

「どうしても北朝鮮を攻撃したいなら、グアムや日本の基地を使え」と米国に言うのでしょう。その際は「朝鮮半島の軍事活動は韓国が決める」と大統領が予め通告したではないか、と主張できるのです。

すると、北朝鮮も韓国への攻撃は控えるかもしれません。韓国と戦闘状態に入らなければ、地上軍で攻められる心配がなくなります。かくして朝鮮半島は戦争に巻き込まれずに済む――と文在寅政権は期待しているのでしょう。

—もし、北朝鮮が突然、韓国を侵攻したり、あるいはミサイルで攻撃してきたら?

鈴置:その際は、韓国は米国と一緒になって戦うしかありません。しかし現時点で、そんなケースはまずあり得ません。北は米韓に圧倒的な戦力差を付けられています。米韓同盟が機能する限り、北朝鮮が自ら滅亡する道を選ぶことはないでしょう。

左派系紙もデモ隊も支持

—すると結局……。

鈴置:文在寅大統領のこの発言は現実の状況から言って、有事の際の「中立宣言」にほかなりません。

文在寅政権はこの方向に行くだろうと予想はしていましたが、米朝間の緊張に耐えかねて、予想外に早く中立を宣言してしまった感じです。グアムを狙ったミサイルがソウルを直撃したのです。

—「中立宣言」への反響は?

鈴置:当然というべきか、左派系紙のハンギョレは社説で褒め称えました。8月15日の「『戦争だけは防ぐ』 平和への意思を明らかにした文大統領」(韓国語版)は「米国と北朝鮮との『言葉の爆弾』の戦いにはっきりと反対する立場を明らかにした」と書きました。

同日午後には左派団体が「戦争反対集会」を催したうえ、米国大使館と日本大使館の前をデモ行進しました。韓国メディアによると6000人が参加。決議文には以下のくだりもありました。大統領の演説と軌を一にしています。

最近、米国政府が予防戦争、朝鮮半島での武力使用をうんぬんするが、誰にも朝鮮半島で戦争を起こす権利はない。

一触即発の軍事的危機を前に、敵対的な韓米合同軍事演習を中断せねばならない。

韓国には事前通告しない

—なぜ、デモ隊は日本大使館にも向かったのでしょうか。

鈴置:「米国に従う戦争勢力」と認定されているからです。

—そもそもの質問です。韓国が「第2次朝鮮戦争」の勃発を食い止められるのでしょうか。

鈴置:難しいと思います。軍事専門家の多くは、米国が北朝鮮を先制攻撃する際、韓国には事前通告しないか、したとしても攻撃寸前と見ています。

韓国から情報が漏れると疑っているからです。ことに文在寅大統領は選挙期間中に「米国から攻撃を通告されたら北朝鮮に知らせ、その挑発をやめさせる」と語っています(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。

もし、敵国に内通する国に戦争を事前通告したら、トランプ政権は米国人から非難されるでしょう。

8月14日にソウルで文在寅大統領らと会談した米軍制服組のトップ、ダンフォード(Joseph Dunford, Jr.)統合参謀本部議長は、直後の会見で「韓国の同意なしに戦争できるか」と聞かれました。

聯合ニュースの「ダンフォード議長『米国はグアムを攻撃された時は断固と対応』」(8月14日、韓国語版)によると、ダンフォード議長は「それは政治的な決定となることだろう。しかし、我々が下すすべての決定と論議は同盟国と協議している」と答えました。

裏切り者への皮肉

—「政治的な決定」とは微妙な言い方ですね。

鈴置:皮肉に聞こえるのが「同盟国とは協議する」部分です。米国は朴槿恵(パク・クネ)政権の時から、韓国を腹の底では同盟国と見なさなくなっています(「米国から『同盟国』と呼ばれなくなった韓国」参照)。

朴槿恵政権が米中等距離外交に乗り出し、米中対立案件ではほぼ米国の意向を無視したからです。「反米親北」の文在寅政権の裏切り方はもっと露骨です。米韓同盟自体をないがしろにしています。

在韓米軍へのTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備も国を挙げて邪魔しています(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。

ダンフォード議長は「先制攻撃の時はもちろん連絡する。韓国が本当の同盟国ならな」と皮肉を言ったのだと思います。

THAADも元の木阿弥

—「THAADの配備は容認する」と文在寅大統領は姿勢を転換したのでは?

鈴置:ええ、北朝鮮が2回目のICBM(大陸間弾道弾)を発射した直後の7月29日未明、追加配備を認めました(「『北爆』準備は着々と進む」参照)。

しかし、直ちに元の木阿弥となりました。文在寅政権は再び「住民の支持が必要だ」とか「環境影響評価が要る」などと言い出し、配備は宙に浮いています。

ブルックス(Vincent Brooks)在韓米軍司令官は、在韓米軍のサイトに掲載された記事「U.S. Forces Korea Commander confident THAAD will enhance Alliance’s defense against North Korean Threats 」(8月1日、英語と韓国語)でTHAADの有効性を改めて説きました。

韓国政府に配備許可を催促したとも、韓国政府を批判したとも受け止められています。

のけ者の韓国

—米韓の間に信頼関係などありませんね。

鈴置:米韓同盟は危機に瀕しています。7月31日と8月15日に日米首脳は北朝鮮に関し電話で協議しました。が「米韓」は行われませんでした。

「3国協調」の形を整えるために米国の大統領は、必ず日韓双方の首脳とほぼ同時に電話で協議してきましたが、その慣行が崩れました。

少し前までなら「外された」韓国が大いに怒ったでしょうが、最近は平然としたものです。保守系紙は「のけ者になった」と批判しましたが、文在寅政権はむしろ「日米韓」3国協調体制から外れたことにほっとした感じです。

あまりに保守系紙が批判するものですから文在寅大統領は8月7日、トランプ大統領との電話会談に踏み切りました。もちろん内容はありませんでした。

こんなに関係が冷え切ったところに、今回の「中立宣言」です。ことに米国の安全が北朝鮮のICBMで侵され、もっとも同盟が重要になった瞬間に、です。米国が韓国をますます信用しなくなるのは確実です。

—韓国は米国との同盟を失ってもいいのでしょうか。

鈴置:「戦争に巻き込まれるよりはいい」と考える韓国人が多いと思います。左派だけでなく、保守の中にもそう考える人がかなりいます。この点に関する世論調査はまだ実施されていないようですが。

それに、保守の中にも「どうせ米国には捨てられるのだ」と考える人が増えてきた。彼らは左派の大統領が「中立」を選んだことは批判するでしょうが、「では戦争に巻き込まれてもいいのか」と反論されたら黙ってしまうと思います。

韓国の奥の手は核武装

—でも、このまま行けば北朝鮮が核武装する可能性が高い。

鈴置:ええ。平和的な方法での解決は難しくなっています。金正恩委員長が核を手放したら、その地位を失う可能性が高いからです。

北朝鮮の生殺与奪の権を握る中国も、崩壊が自らに及ぶ混乱を恐れ、制裁には消極的です(「中国にも凄んで見せたトランプ」参照)。

ただ韓国には奥の手があります。北朝鮮と和解し、その核を「民族共有の財産」とすることです。その夢を描いた小説はベストセラーになっています(「北の核ミサイルは日本を向く」参照)。

傍から見ていると「南北の和解は簡単ではなかろうに」と思いますが韓国人、ことに左派の中にはこれを信じる人もいます。

もう1つの手は、韓国も核を持つことです。最近の韓国の保守系紙では「北が持つなら我々も」と、核武装論が花盛りです。そして文在寅政権も、実は核武装の準備に熱心です。

8月7日の米韓首脳電話会談で、文在寅大統領はトランプ大統領に原子力潜水艦の保有に関し、暗に了解を求めました。中央日報の「韓米首脳が電話会談、文大統領が韓国原子力潜水艦に言及」(8月8日、日本語版)など、韓国各紙が一斉に報じています。

韓国が核弾頭を開発するには半年から数年間あれば十分に可能とされています。北朝鮮を射程に収めるミサイルはもう持っています。

課題は核ミサイルのプラットフォームです。核武装する以上は、核の先制攻撃に耐え、核で反撃できる原潜が欲しくなるのです。

原潜の保有はすなわち核武装を意味しますから、こっそりやって米国に計画を潰されるのを恐れ、敢えて了解を求めたのでしょう。

保守派も中立化に賛成?

—そう言えば、韓国は核武装の準備を着々と進めてきました。

鈴置:そうなのですが、日本人は忘れがちです(「韓国が目論む『2020年の核武装宣言』」参照)。

保守の大御所、朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問もいち早く核武装を唱えてきました(「北の核保有で笑うのは中国」参照)。

8月15日の「北の核を抱いたまま、生きて行けるのか」(韓国語版)でも、こう書きました。

結局、我々の選択は以下である。第1に北の核との均衡をとるため我々も核武装するか、米国の戦術核を持ち込むかである。

第2に、北朝鮮の核の段階的な縮小を条件に米朝の関係正常化、平和協定、米軍撤収と韓米同盟破棄を認める。

3番目はどんな形での戦争、武力で北の政権を交代させることだ。

あれもだめ、これもだめと言うなら、北に屈服し膝を屈して生きることになる。そうやっても命を長らえることができるかは分からない。その時は米国が朝鮮半島を離れている時なのだ。

親米保守の金大中顧問も、米韓同盟の延命には期待を持てなくなっているようです。韓国の保守派が、核武装を条件に左派政権の中立政策を追認する日が来るかもしれません。

中国も中立宣言

—保守派まで中立を認めるとは!

鈴置:中国も「中立」を宣言しました。北朝鮮がグアム沖にミサイルを撃ち込む計画を発表した直後、中国共産党の対外宣伝紙、環球時報が社説で「中立」を主張しました。

環球時報の英語版、Global Timesの「Reckless game over the Korean Peninsula runs risk of real war」(8月10日)から引用します。

China should also make clear that if North Korea launches missiles that threaten US soil first and the US retaliates, China will stay neutral.

「もし北朝鮮が米国に対し先にミサイルで攻撃し、米国がそれに報復した際、中国は中立を保つと明確にしておくべきだ」――というのです。

中朝韓VS米日

—米国の先制攻撃により米朝が交戦状態に突入したら、中韓両国が中立を宣言するわけですね。

鈴置:もしかしたら文在寅政権は、中国のこの中立宣言を見て追随したのかもしれません。

韓国1国が中立を宣言しても効果がない。そればかりか、米国から「正気か」と殴られかねない。

一方、中韓が一緒になって米国に圧力かければ、その先制攻撃をより強力に阻止できるはずです。もちろん、中国と同じ立場ですから、その後ろに隠れることができる。

先ほど「そもそも米国が始める第2次朝鮮戦争を韓国が食い止められるのか」と聞かれ「難しい」と答えました。でも、中韓が組んで予防線を張れば、話は違ってくるのです。

これから考えて、あるいは中国が韓国を陰で脅し、中立を宣言させたのかもしれません。先ほどのGlobal Timesの記事。引用部分には、以下が続きます。

If the US and South Korea carry out strikes and try to overthrow the North Korean regime and change the political pattern of the Korean Peninsula, China will prevent them from doing so.

「もし米韓が攻撃を仕掛け、北朝鮮の体制打倒と朝鮮半島の政治構造を変更しようとするなら、中国は阻止する」です。

これを読んだ韓国人は「米国について行けば、北朝鮮とだけではなく、中国との戦争が始まる」と震え上がったことでしょう。中国の尻馬に乗って「中立」を言いたくなったはずです。

「グアム攻撃」はとりあえず棚上げされました。しかし北の核武装はどんどん進んでいます。衝突の可能性は依然として残っています。

そして、北の核問題を引き金に北東アジア全体の地殻変動が始まったのです。第2次朝鮮戦争も「第1次」と異なり「中朝韓VS米日」の戦いになるかもしれません。

(次回に続く)

■「北朝鮮の核危機」年表(2017年8月以降)

8月5日 国連安保理、石炭などの全面輸出禁止を含む対北朝鮮制裁決議を採択
8月6日 労働新聞「米国が核と制裁を振り回せば、本土が想像もつかぬ火の海になる」
8月7日 李容浩外相「米国の敵視政策が変わらない限り、核とミサイルで交渉しない」
8月8日 トランプ大統領「北朝鮮は世界が見たこともない炎と怒りに直面するだろう」
8月8日 WP「北朝鮮が弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭の生産に成功とDIAが分析」と報道
8月9日 朝鮮人民軍戦略軍「『火星12』でグアムを包囲射撃する作戦計画を慎重に検討」
8月9日 朝鮮中央通信、先制攻撃論に関連「決意すれば瞬時に日本を焦土化できる能力がある」
8月9日 マティス国防相「北朝鮮は体制の終わりや国民の滅亡につながる行動は中止すべきだ」
8月10日 北朝鮮戦略軍司令官「『火星12』4発は島根、広島、高知の上空を通過しグアム沖に着弾」
8月10日 トランプ大統領「グアムに何か起これば、誰も見たことのないことが起きる」
8月10日 GT社説「北朝鮮が米国に向け先にミサイルを発射した際、中国は中立を維持する」
8月11日 トランプ大統領「北朝鮮が浅はかな行動をとるなら軍事的に解決策する準備が完全に整った」
8月11日 トランプ大統領「極めて高レベルの追加制裁を考えている」
8月11日 米中首脳が電話会談
8月12日 米仏首脳が電話会談
8月14日 トランプ大統領、301条適用を念頭に中国の知財侵害の調査を指示
8月15日 金正恩委員長「米国の行動をもう少し見守る。危険な妄動を続けるなら決断」
8月15日 文在寅大統領「朝鮮半島での軍事活動は大韓民国だけが決めることができる」
 

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